説明

遊技用記録媒体発行装置

【課題】遊技場における盗難の発生状況や遊技者の要望を考慮しつつ、記録媒体の盗難を適切に防止する。
【解決手段】各台計数機3は、遊技者が一時的に離席する際の持玉券38(記録媒体)の発行を禁止する状態として第1モード及び第2モードを選択的に設定する。第1モードを設定すると、持玉券38の発行を禁止するが、持玉の払出や現金による玉の貸出を許可し、一方、第2モードを設定すると、持玉券38の発行、持玉の払出、現金による玉の貸出の全てを禁止する。遊技者は自身の要望に応じて第1モード及び第2モードのうち何れかを選択すれば良く、例えば盗難の危険性が低いと判断すれば第1モードを設定し、盗難の危険性が高いと判断すれば第2モードを設定する等、臨機応変な運用を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に付設され、遊技で使用する遊技価値を特定可能な情報を記録した記録媒体を発行する遊技用記録媒体発行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技場においては、例えば特許文献1に記載されているように、遊技者がトイレや食事等の理由で一時的に離席する際には、遊技者自身の意思に基づいてカード(記録媒体)の発行を禁止する発行禁止操作を行うことで、カードの発行を禁止することが行われている。このような機能を利用することで、離席する際にいちいちカードを発行する手間が無くなり非常に便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−275449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、離席する際にカードの発行禁止操作を忘れてしまうというリスクがあり、そのリスクを解消するために離席を自動的に検知して発行を禁止することが考えられる。但し、その場合には、発行の禁止をどのような条件で解除するのかが難しい問題となり、カードを発行したいのに発行できないという煩わしい状況が生じる問題が想定される。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技場における盗難の発生状況や遊技者の要望を考慮しつつ、記録媒体の盗難を適切に防止することが可能な遊技用記録媒体発行装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明は、遊技機に付設され、遊技で使用する遊技価値を特定可能な情報を記録した記録媒体を発行する遊技用記録媒体発行装置において、遊技者が所有している遊技価値の量を記憶する遊技価値記憶手段と、前記遊技価値記憶手段が記憶している遊技価値を遊技に使用する遊技価値使用手段と、付設されている遊技機が稼動状態及び非稼動状態の何れであるかを判定する稼動判定手段と、前記遊技価値記憶手段が一定量以上の遊技価値を記憶している状態で、前記稼動判定手段が所定期間以上にわたって非稼動状態であると判定したときに、前記記録媒体を発行することができない発行禁止状態とする発行禁止手段と、予め設定された解除条件が成立したときに、前記発行禁止状態を解除する禁止解除手段と、前記発行禁止状態として、前記記録媒体の発行を禁止するが前記遊技価値の使用を許可する第1モード、及び前記記録媒体の発行だけでなく前記遊技価値の使用も禁止する第2モードのうち何れか一方を選択して設定するモード設定手段と、を備え、前記禁止解除手段は、前記第1モードが設定されている状態においては、前記稼動判定手段により遊技機が稼動状態であると判定されることを前記解除条件とする一方、前記第2モードが設定されている状態においては、従業員による所定の禁止解除操作が行われることを前記解除条件とすることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載した発明は、貨幣を受付けて、その金額の範囲内で前記遊技価値を遊技者に付与する貨幣処理手段を備え、前記貨幣処理手段は、前記第1モードにおいては前記遊技価値の付与を許可する一方、前記第2モードにおいては前記遊技価値の付与を禁止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載した発明によれば、遊技場における盗難の発生状況や遊技者の要望を考慮して第1モード及び第2モードのうち何れかのモードを選択して設定することにより、臨機応変な運用を実現することができる。具体的には、遊技者がトイレや食事等の理由で一時的に離席し、遊技機の非稼動状態が所定期間以上にわたって継続する場合に、第1モードを設定することで、その遊技者が一時的に離席している期間中に、悪意を持った第三者(不正者)による記録媒体の不正な発行を禁止することができ、一方、第2モードを設定することで、その遊技者が一時的に離席している期間中に、悪意を持った第三者による記録媒体の不正な発行を禁止することに加え、遊技価値の不正な使用をも禁止することができる。
【0009】
又、第1モードを設定することで、その遊技者が一時的に離席している期間中でも、遊技価値の使用が許可されるので、例えば信用のある別の遊技者(知人等)が遊技者の所有している遊技価値を使用して遊技を行うことを許可することができる。又、第1モードを設定した場合には、遊技者が席に戻ってから何ら特別な操作を行うことなく遊技を普通に再開することで、記録媒体の発行禁止を解除することができ、これ以降、記録媒体を自由に発行することができる。又、第2モードを設定した場合には、従業員を呼出して所定の禁止解除操作を行わせることで、記録媒体の発行禁止及び遊技価値の使用禁止を解除することができ、これ以降、記録媒体を自由に発行したり遊技価値を自由に使用したりすることができる。
【0010】
即ち、盗難の発生頻度が低く、遊技者が高いセキュリティを望んでいない場合には、第1モードを設定することで、離席している期間中での記録媒体の不正な発行を禁止することができつつ、席に戻ってからの記録媒体の発行禁止を従業員による所定の禁止解除操作を借りずに簡単に解除することができる。一方、盗難の発生頻度が高く、遊技者が高いセキュリティを望んでいる場合には、第2モードを設定することで、記録媒体の不正な発行を禁止することに加え、遊技価値の不正な使用をも禁止することができつつ、席に戻ってからの記録媒体の発行禁止及び遊技価値の使用禁止を従業員による所定の禁止解除操作を借りて解除することができる。
【0011】
請求項2に記載した発明によれば、第2モードを設定することで、その遊技者が一時的に離席している期間中に、悪意を持った第三者により貨幣が受付けられて遊技価値が不正に付与されてしまうことを禁止することができる。又、第1モードを設定することで、その遊技者が一時的に離席している期間中でも、貨幣が受付けられたことによる遊技価値の付与が許可されるので、例えば信用のある別の遊技者(知人等)が貨幣の投入による遊技価値を使用して遊技を行うことを許可することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態を示す全体構成図
【図2】各台計数機の正面図
【図3】各台計数機の機能ブロック図
【図4】第1モード及び第2モードにおける動作の禁止/許可及び解除条件を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、遊技場システム1の全体構成を概略的に示している。遊技場内には複数台の遊技機2が設置されており、各遊技機2に1対1に対応して各台計数機3(遊技用記録媒体発行装置に相当)が設置されている。本実施形態では遊技機2としてパチンコ機を想定しており、遊技価値(遊技媒体)として玉(所謂パチンコ玉)を想定している。これら遊技機2及び各台計数機3はLAN4を介して中継装置5に接続されており、中継装置5はLAN6を介して管理装置7及び景品交換端末(POS端末)8に接続されている。管理装置7は、主装置9、モニタ10及びキーボード11等を有する。尚、図1では省略しているが、数100台の遊技機2が管理装置7の管理対象となる。
【0014】
遊技機2は、発射装置を構成する操作ハンドル12、上部受皿13、下部受皿14を有すると共に、盤面15に、普図入賞口16、第1始動口17、第2始動口18、液晶表示部19、大入賞口20等を有する。遊技機2は以下に示す動作を行う。
【0015】
(1)操作ハンドル12が操作されたことにより盤面15に発射された玉が第1始動口17又は第2始動口18に入賞(始動入賞)することに応じて大当たり抽選を行い、抽選結果に基づいて所謂特別図柄(特図)による図柄変動を液晶表示部19にて実行し、その結果に応じて大当たりを発生させる。尚、所謂保留玉の上限は各4個ずつであり、保留中に始動入賞した場合は上限まで保留し、図柄変動終了後に順次保留した図柄変動を実行する。
【0016】
(2)第1始動口17は入賞率が変動しない所謂ヘソタイプの入賞口である一方、第2始動口18は普図抽選によって入賞率が変動する所謂電チュータイプの入賞口である。
(3)大当たり抽選の当選確率(大当たり確率)は1/300であり、大当たりのうち大当たり後に確変状態(確変)となる大当たりの割合は66.6%(2/3)であり、大当たりが発生すると対応するラウンド数(R)に応じた分だけ大入賞口20を開放する。尚、1Rの上限入賞数(上限数)は8個であり、上限開放時間は30秒であり、上限数又は上限開放時間のうち何れかが満たされた場合に1Rを終了する。
【0017】
(4)大当たりに対応するラウンド数は5Rと16Rとがあり、その振分割合は5Rが25%であり、16Rが75%である。
(5)確変中は大当たり確率が1/30に向上すると共に、第2始動口18への入賞率が向上する時短状態(時短)になる。尚、確変は次回大当たりまで継続するため、大当たり後に通常状態(通常)となる大当たり(通常大当たり)が発生するまで継続し、通常大当たりが発生した場合は通常状態へと戻る。
【0018】
遊技機2及び周辺機器は、遊技者による玉の打ち込みや第1始動口17又は第2始動口18への始動入賞等の遊技の進行に伴って、以下に示す遊技信号を出力する。
「アウト信号」:使用玉を回収するアウトBOX(図示せず)から出力される使用遊技価値(使用媒体数、アウト)を特定可能な信号である。回収玉(使用玉、打込玉)10玉に対して1パルスが出力されるので、アウト信号数×10をアウトとして特定する。尚、遊技機2から直接出力される信号であっても良い。
「セーフ信号」:遊技機2から出力される払出遊技価値(払出媒体数、セーフ)を特定可能な信号である。払出玉10玉に対して1パルスが出力されるので、セーフ信号数×10をセーフとして特定する。尚、補給装置(図示せす)から出力される補給信号をセーフ信号としても良い。
【0019】
「始動入賞信号」:遊技機2から出力される第1始動口17又は第2始動口18への入賞(始動入賞)を特定可能な信号である。第1始動口17又は第2始動口18への入賞1回につき1パルスが出力されるので、始動入賞信号の入力に応じて始動入賞を特定する。
「図柄変動信号」:遊技機2から出力される第1始動口17又は第2始動口18への始動入賞により変動(作動)を開始する図柄変動(役物作動)を特定可能な信号である。図柄変動の確定時(終了時)に出力されるので、図柄変動信号の入力に応じて図柄変動(スタート)を特定する。尚、図柄変動の開始時に出力される信号であっても良い。
「大当たり信号」:遊技機2から出力される大当たり状態である期間を特定可能な信号である。大当たり状態中にレベル出力されるので、大当たり信号受信中を大当たり状態中として特定する。
【0020】
各台計数機3は、図2に示すように、各台計数機3の状態を表示する状態表示LED21、遊技者が紙幣を投入するための紙幣投入口22、遊技者が会員カード(ICチップを有するIC会員カード)等で貯玉する際に操作する貯玉釦23、遊技者が遊技場の従業員を呼出す際に操作する呼出釦24、持玉数やエラー状態等を表示すると共に遊技者からのタッチ操作入力を受付けるタッチパネル式の情報表示部25、持玉や貯玉を遊技機2の上部受皿13に払出す払出ノズル26、持玉及び貯玉のうち何れを払出可能であるかを表示する玉払出表示部27、遊技者が持玉や貯玉を払出す際に操作する払出(払戻)釦28、遊技場の従業員が携帯する従業員リモコン(図示せず)から送信されるリモコン信号を受光するリモコン受光部29、遊技者が持玉券(ICチップを有するIC持玉券)や会員カードを挿入可能なカード挿入口30、遊技者が持玉券や会員カードをカード挿入口30から排出する際に操作する発券(発行)釦31、カード挿入口30に挿入されているカードやカード挿入口30から排出されたカードの状態を表示するカード状態表示LED32、遊技機2の下部受皿14から落下した玉を受ける受皿ユニット33等を有する。
【0021】
図3は、各台計数機3の電気的な構成を機能ブロック図により示している。各台計数機3は、CPU、ROM、RAM、I/Oを有するマイクロコンピュータにより構成される制御部34(遊技価値記憶手段、遊技価値使用手段、稼動判定手段、発行禁止手段、禁止解除手段、モード設定手段、貨幣処理手段に相当)、管理装置7や遊技機2との間で各種信号や各種情報を送受信する送受信部35、遊技者が紙幣投入口22に投入した紙幣の投入金額を特定する等の処理を行う紙幣処理部36、上記した情報表示部25、上記した情報表示部25における遊技者からのタッチ操作入力を受付ける機能及び各種釦(貯玉釦23、呼出釦24、払出釦28、発券釦31)からなる操作部37、持玉券38((遊技用)記録媒体に相当)をカード挿入口30から発行する持玉券発行部39、持玉や貯玉を払出ノズル26から遊技機2の上部受皿13に払出す払出部40、遊技機2の下部受皿14から受皿ユニット33に落下した玉を計数する計数部41等を有する。各台計数機3は、制御部34が制御プログラムを実行することで以下に示す動作を行う。
【0022】
(1)遊技機2の下部受皿14から落下した玉を受皿ユニット33により受けると、その玉を計数部41にて計数し、計数を完了すると、その計数結果である計数値を情報表示部25に表示する。この状態で、遊技者が発券釦31を操作すると、計数部41が計数した計数値を記録した持玉券38を持玉券発行部39によりカード挿入口30から発行する。この場合、遊技者が情報表示部25にタッチキーとして表示されるテンキーを操作し、持玉として特定した計数値の一部を数値入力して指定すると、その指定した玉数だけを記録した持玉券38を持玉券発行部39によりカード挿入口30から発行する(分割発行する)。持玉券38に記録される情報は、その持玉券38を発行した各台計数機3を特定可能な各台計数機番号、発行した持玉券38(の発行順序)を特定可能な発行番号、計数した玉数又は遊技者が指定した玉数を特定可能な持玉数を含む。尚、各台計数機3は、持玉券38を所定枚数(例えば10枚)までストック可能であり、複数の持玉券38を受付順にストックしており、持玉券38を発行する場合には、ストックしている持玉券38のうち受付順が最新である持玉券38を発行する。又、計数を完了した状態で、遊技者が払出釦28を操作すると、計数部41が計数した計数値の範囲内で玉を払出部40から払出ノズル26を介して遊技機2の上部受皿13に払出す。
【0023】
(2)持玉券38を発行すると、その発行した持玉券38に記録される情報と同一の情報、即ち、その持玉券38を発行した各台計数機3を特定可能な各台計数機番号、発行した持玉券38(の発行順序)を特定可能な発行番号、計数した玉数又は遊技者が指定した玉数を特定可能な持玉数を特定可能な情報を管理装置7に送信する。
(3)遊技者が持玉券38をカード挿入口30に挿入すると、その挿入された持玉券38に記録されている計数値をカードリーダ(図示せず)により読取り、その読取った計数値の範囲内で玉を払出部40により払出ノズル26から遊技機2の上部受皿13に払出す。
【0024】
(4)遊技者が紙幣を紙幣投入口22に投入すると、その投入金額を紙幣処理部36にて特定し、その投入金額の範囲内で玉を払出部40により払出ノズル26から遊技機2の上部受皿13に貸出す。例えば貸単価が「4円」であり、遊技者が投入した投入金額が「1000円」であれば、「250玉」を貸出す。
(5)遊技機2から出力される各種信号を受信し、遊技機2が稼動状態であるか非稼動状態であるかを判定する。即ち、遊技機2からアウト信号のパルスを受信したとき、及び遊技機2からアウト信号のパルスを受信した後に所定時間(例えば20秒)が経過するよりも先に次のアウト信号のパルスを受信したときには、遊技機2が稼動状態であると判定する一方、遊技機2からアウト信号を受信した後に次のアウト信号のパルスを受信するよりも先に所定時間(例えば20秒)が経過したときには、遊技機2が非稼動状態であると判定する。尚、アウト信号を遊技機2が稼動状態であるか非稼動状態であるかを判定するための稼動信号として用いることに代えて、セーフ信号を稼動信号として用いて良い。又、遊技機2にて遊技を行う遊技者の顔を撮像する顔認証用のカメラを設けた構成であれば、カメラが撮像した画像を画像解析することで遊技機2が稼動状態であるか非稼動状態であるかを判定しても良い。
【0025】
管理装置7は、CPU、ROM、RAM、I/Oを有する制御部、遊技機2や各台計数機3や景品交換端末8との間で各種信号や各種情報を送受信する送受信部、上記したモニタ10及びプリンタ等からなる出力部等を有する。管理装置7は、遊技機2や各台計数機3や景品交換端末8との間で各種信号や各種情報を送受信することで、遊技機2における遊技情報(アウト、セーフ、差玉、出玉率、スタート回数、大当たり回数等)を集計して管理したり、各台計数機3における持玉券38の発行状況を管理したり、景品交換端末8における景品交換状況を管理したりする。
【0026】
景品交換端末8は、遊技場の従業員が景品交換を行うための機器であり、遊技場内の景品交換カウンタに設置される。景品交換端末8は、CPU、ROM、RAM、I/Oを有する制御部、管理装置7との間で各種信号や各種情報を送受信する送受信部、持玉券38を挿入可能な持玉券挿入口42、遊技場の従業員が操作するキーボード43、液晶表示部44等を有する。景品交換端末8は、遊技場の従業員が遊技者から提出された持玉券38を持玉券挿入口42に挿入すると、その挿入された持玉券38に記録されている計数値をカードリーダ(図示せず)により読取り、その読取った計数値に対応する景品(例えば特殊景品等)の個数を算出し、その算出結果を液晶表示部44に表示する。尚、景品交換端末8は、持玉券38に記録されている計数値を読取る機能に加え、例えば島端計数端末(図示せず)から発行された周知のレシート(計数値を例えば2次元コードで記録した紙媒体)に記録されている計数値をスキャナにより読取る機能を有していても良い。
【0027】
さて、各台計数機3は、上記した(1)乃至(5)に示した動作に加え、制御部34が制御プログラムを実行することで以下に示す動作をも行う。
(6)持玉券38の発行を許可する発行許可状態と、持玉券38の発行を禁止する発行禁止状態とを選択的に設定可能(両者の間で移行可能)である。遊技者が遊技にて獲得した玉数(遊技者が所有している遊技価値の量)が所定数以上、又は遊技者がカード挿入口30に挿入した持玉券38に記録されている計数値(遊技者が所有している遊技価値の量)が所定数以上である状態(一定量以上の遊技価値を記憶している状態)で、発行許可状態であるときに遊技機2が稼動状態から非稼動状態に移行したと判定した時点から所定期間(例えば5分)が経過すると(非稼動状態が所定期間にわたって継続すると)、発行許可状態から発行禁止状態に移行する。
【0028】
(7)発行禁止状態としては、図4に示すように、第1モード及び第2モードのうち何れかを選択的に設定可能である。第1モードは、持玉券38を発行すること(記録媒体を発行すること、図4では「発券」と称する)を禁止するが、遊技者が遊技にて獲得した玉(獲得玉)数の範囲内や持玉券38に記録されている計数値の範囲内で玉を払出すこと(遊技価値を遊技に使用すること、図4では「持玉払出」と称する)を許可し、遊技者が投入した投入金額の範囲内で玉を貸出すこと(貨幣を受付けて、その金額の範囲内で遊技価値を遊技者に付与すること、図4では「現金貸出」と称する)を許可するモードである。第2モードは、持玉券38を発行すること、遊技者が遊技にて獲得した玉数の範囲内や持玉券38に記録されている計数値の範囲内で玉を払出すこと、遊技者が投入した投入金額の範囲内で玉を貸出すことの全てを禁止するモードである。即ち、第1モードはセキュリティレベルが相対的に低いモードであり、第2モードはセキュリティレベルが相対的に高いモードである。
【0029】
(8)第1モード及び第2モードは、遊技者が上記した情報表示部25にてタッチ操作入力を行うことで設定可能である。即ち、遊技者は、例えば遊技の途中でトイレや食事等の理由で一時的に離席する際には、情報表示部25にてタッチ操作入力を行うことで第1モード及び第2モードのうち何れかを選択して設定することができる。この場合、遊技者による第1モード及び第2モードのうち何れかの設定操作を、遊技の途中のタイミング(離席する直前のタイミング)で受付けて良いし、遊技の開始前のタイミングで受付けても良い。第1モード及び第2モードのうち何れかを設定すると、その設定したモードを特定可能な情報を管理装置7に送信する。
【0030】
(9)発行許可状態から第1モードに移行した後では、遊技機2が非稼動状態から稼動状態に移行したと判定したことを条件として(図4では「稼動検知」と称する)、発行禁止状態を解除し、第1モードから発行許可状態に移行する(第1モードに移行する前の状態に復帰する)。一方、発行許可状態から第2モードに移行した後では、遊技場の従業員が従業員リモコンにて所定の発行禁止解除操作(従業員による所定の禁止解除操作)を行うことで、従業員リモコンから送信される解除信号がリモコン受光部29に受光されたと判定したことを条件として(図4では「リモコン」と称する)、発行禁止状態を解除し、第2モードから発行許可状態に移行する(第2モードに移行する前の状態に復帰する)。
【0031】
各台計数機3が以上に示した機能を有することで、遊技者は自身の要望に応じて第1モード及び第2モードのうち何れかを選択すれば良い。即ち、自分がトイレや食事等の理由で一時的に離席する場合、その一時的に離席している期間中に、持玉券38の発行だけを禁止すれば良いと考えれば、第1モードを設定すれば良く、一方、持玉券38の発行だけを禁止しただけでは十分でなく、持玉の払出や現金による玉の貸出をも禁止する必要があると考えれば、第2モードを設定すれば良い。
【0032】
以上に説明したように本実施形態によれば、各台計数機3において、遊技者が一時的に離席する際の持玉券38の発行を禁止する状態として第1モード及び第2モードを選択的に設定可能とし、第1モードを設定すると、持玉券38の発行を禁止するが、持玉の払出や現金による玉の貸出を許可し、一方、第2モードを設定すると、持玉券38の発行、持玉の払出、現金による玉の貸出の全てを禁止するようにしたので、遊技者は自身の要望に応じて第1モード及び第2モードのうち何れかを選択すれば良く、例えば盗難の危険性が低いと判断すれば第1モードを設定する一方、盗難の危険性が高いと判断すれば第2モードを設定する等、臨機応変な運用を実現することができる。
【0033】
又、第1モードを設定すると、持玉の払出や現金による玉の貸出を許可するようにしたので、遊技者が一時的に離席している期間にて、例えば信用のある別の遊技者(知人等)に持玉の払出や現金による玉の貸出を許可することができる。又、第1モードを設定した場合には、遊技者が席に戻ってから何ら特別な操作を行うことなく遊技を普通に再開することで、持玉券38の発行禁止を解除することができ、これ以降、持玉券38を自由に発行することができる。又、第2モードを設定した場合には、従業員を呼出して発行禁止解除操作を行わせることで、持玉券38の発行禁止、持玉の払出禁止、現金による玉の貸出禁止を解除することができ、これ以降、持玉券38を自由に発行したり、持玉を自由に払出したり、現金による玉を自由に貸出したりすることができる。
【0034】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
遊技者がタッチ操作入力を行うことで第1モード及び第2モードのうち何れかを設定することに限らず、遊技場の従業員が従業員リモコンにて所定のモード設定操作を行い、従業員リモコンから送信されるモード設定信号がリモコン受光部29に受光されることで第1モード及び第2モードのうち何れかを設定するようにしても良い。又、管理装置7側から送信されるモード設定信号が各台計数機3に受信されることで第1モード及び第2モードのうち何れかを設定するようにしても良い。即ち、遊技場の従業員や管理者等が遊技場における盗難の発生状況を監視することで、遊技場側の判断に基づいて遊技者が盗難に遭わないように未然に対策を講じるようにしても良い。その場合、第1モード及び第2モードのうち何れに設定されているかを各台計数機3にて報知することが好ましい。又、第1モードの内容(持玉券38の発行禁止、持玉の払出許可、現金による玉の貸出許可)や第2モードの内容(持玉券38の発行禁止、持玉の払出禁止、現金による玉の貸出禁止)を各台計数機3にて報知しても良い。又、管理装置7側が第1モード及び第2モードのうち何れかを設定する場合、遊技機単位で設定しても良いし、遊技島単位で設定しても良い。又、管理装置7側が第1モード及び第2モードのうち何れかを設定する場合、その設定するタイミングは営業日の営業開始時であっても良いし、営業日の任意の時刻であっても良く、例えばイベントや新台導入等で来場者が多く見込まれる日時や食事の時間帯を考慮した上で設定しても良い。
【0035】
第2モードにおいて、遊技場の従業員が従業員リモコンにて所定の発行禁止解除操作を行うことで、発行禁止状態を解除することに限らず、遊技場の管理者が管理装置7側にて所定の発行禁止解除操作を行うことで、発行禁止状態を解除するようにしても良い。即ち、管理装置7において、第2モードを設定している各台計数機3を管理すると共に、対応する遊技機2が非稼動状態から稼動状態に移行したかを判定し、対応する遊技機2が非稼動状態から稼動状態に移行したと判定した後に、管理装置7側にて所定の発行禁止解除操作を行い、管理装置7から各台計数機3に解除信号を送信することで、発行禁止状態を解除するようにしても良い。
【0036】
第1モードを設定している状態で、遊技者が遊技を再開せずに発行禁止状態を解除することなく更に所定期間(例えば30分)が経過した場合には、第1モードから第2モードに移行するようにしても良い。その場合、第1モードから第2モードに移行したことを各台計数機3にて報知することが好ましい。
【0037】
持玉の払出や現金による玉の貸出を各台計数機3の払出ノズル26から行う構成に限らず、遊技機2内部の払出機構を用いて行うようにしても良い。
対象となる遊技機2は、遊技価値に相当する遊技媒体である玉を払出す遊技機に限らず、遊技価値を電子データとして加算記憶する所謂封入式やクレジット式の遊技機であっても良い。この点を考慮し、遊技媒体と電子データとを包含して遊技価値と表現している。
【0038】
各台計数機3が行う情報処理の一部を中継装置5等の他の装置にて行っても良い。即ち、遊技用記録媒体発行装置としては各台計数機3や中継装置5等を含む広義の遊技用記録媒体発行装置の概念も含む。
【符号の説明】
【0039】
図面中、2は遊技機、3は各台計数機(遊技用記録媒体発行装置)、34は制御部(遊技価値記憶手段、遊技価値使用手段、稼動判定手段、発行禁止手段、禁止解除手段、モード設定手段、貨幣処理手段)、38は持玉券(記録媒体)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機に付設され、遊技で使用する遊技価値を特定可能な情報を記録した記録媒体を発行する遊技用記録媒体発行装置において、
遊技者が所有している遊技価値の量を記憶する遊技価値記憶手段と、
前記遊技価値記憶手段が記憶している遊技価値を遊技に使用する遊技価値使用手段と、
付設されている遊技機が稼動状態及び非稼動状態の何れであるかを判定する稼動判定手段と、
前記遊技価値記憶手段が一定量以上の遊技価値を記憶している状態で、前記稼動判定手段が所定期間以上にわたって非稼動状態であると判定したときに、前記記録媒体を発行することができない発行禁止状態とする発行禁止手段と、
予め設定された解除条件が成立したときに、前記発行禁止状態を解除する禁止解除手段と、
前記発行禁止状態として、前記記録媒体の発行を禁止するが前記遊技価値の使用を許可する第1モード、及び前記記録媒体の発行だけでなく前記遊技価値の使用も禁止する第2モードのうち何れか一方を選択して設定するモード設定手段と、を備え、
前記禁止解除手段は、前記第1モードが設定されている状態においては、前記稼動判定手段により遊技機が稼動状態であると判定されることを前記解除条件とする一方、前記第2モードが設定されている状態においては、従業員による所定の禁止解除操作が行われることを前記解除条件とすることを特徴とする遊技用記録媒体発行装置。
【請求項2】
貨幣を受付けて、その金額の範囲内で前記遊技価値を遊技者に付与する貨幣処理手段を備え、
前記貨幣処理手段は、前記第1モードにおいては前記遊技価値の付与を許可する一方、前記第2モードにおいては前記遊技価値の付与を禁止することを特徴とする請求項1に記載した遊技用記録媒体発行装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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