説明

遊星歯車クラッチ機構、及び画像形成装置

【課題】駆動連結及び遮断の切換え動作を行う際の衝撃音や自由振動を、従来よりも低減できる遊星歯車クラッチ機構を提供する。
【解決手段】遊星歯車クラッチ機構に、回転規制部120に設けた規制アーム121の爪部125と、太陽歯車と同軸で一体に設けられたラチェット部112の突起部113とを噛み合わせる駆動連結状態と、離間させる遮断状態に切換える切換手段130を設けた。また、切換手段130に設けたソレノイド131のプランジャ133の端部を係合ピン134で連結した。そして、ソレノイド131を保持するソレノイドケース132とプランジャ133に設けたエンドリング135の間のプランジャ133の外周に圧縮ばね136を設けた。そして、圧縮ばね136が、その荷重−たわみ関係が弾性範囲内の非線形特性領域で変形しながら、この圧縮ばね136が圧縮されて線間接触し、規制アーム121の回動を規制するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファックス、複写機等の画像形成装置に用いる遊星歯車クラッチ機構、及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファックス、複写機等の画像形成装置において、駆動伝達方向下流側の被駆動系へ駆動源の回転駆動力を変速して伝達する遊星歯車機構に、回転駆動力の駆動連結及び遮断を行うクラッチ機構を備えたものが既に知られている。例えば、特許文献1には、駆動連結及び遮断を行うための切替手段にソレノイドを設けた、次のような構成の遊星歯車クラッチ機構(遊星ギアクラッチ機構)の構成が開示されている。
【0003】
入力側の内歯歯車(内歯ギア付き部材)と、内歯歯車に噛み合う遊星歯車(遊星ギア)と、遊星歯車に噛み合う太陽歯車(太陽ギア部材)と、出力側である遊星歯車を保持するキャリア(遊星ギア保持部材)とを有している。そして、太陽歯車には、突起部を有した被回転規制部材(拘束部)が一体に設けられている。この遊星歯車クラッチ機構は、太陽歯車に一体に設けられた被回転規制部材の回転が規制される回転規制状態で初めて、内歯歯車に入力された回転駆動力がキャリアに駆動伝達される遊星画車機構の機能を得て駆動連結された状態になる。逆に、被回転規制部材の回転が規制されない回転規制解除状態では、内歯歯車に入力された回転駆動力がキャリアに駆動伝達される遊星画車機構の機能を得ることができず、遮断された状態となる。
【0004】
このような駆動連結された状態と遮断された状態とを切換える切換手段は、特許文献1の図2の記載から、次のように構成されているものと考えられる。切換手段は、先端部に爪部を有した回動可能な回転規制部材と、電源が投入されると吸引力が生じるフラッパタイプのソレノイドと、引っ張りばねと、これらを保持するソレノイドケースとから、主に構成されている。そして、ソレノイドの電源がオフされると、回転規制部材は引っ張りばねの張力で回動し、その爪部が被回転規制部材の突起部に噛み合って被回転規制部材の回転を規制する回転規制状態となり、遊星歯車クラッチ機構は駆動連結された状態となる。逆に、ソレノイドの電源がオンされると、回転規制部材はソレノイド側へ吸引され、その爪部が被回転規制部材の突起部から離間して回転規制解除状態となり、遊星歯車クラッチ機構は遮断された状態となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の遊星歯車クラッチ機構のように、切替手段にソレノイドを設けた構成の遊星歯車クラッチ機構は、従来から多用されている電磁クラッチに比べて、小型なものでも高回転数や高負荷トルクに対応し易いという優れた点がある。また、低コスト化や省エネ化にも対応し易いという点でも優れている。しかしながら、特許文献1に開示された遊星歯車クラッチ機構は、次のような不具合が生じる可能性が高い。
【0006】
特許文献1の遊星歯車クラッチ機構では、ソレノイドの電源がオンされると回転規制部材はソレノイドの吸引力により回動し、ソレノイドケースの受け部に衝突して、その回動が規制されるように構成されている。このため回転規制部材がソレノイドケースの受け部に衝突する際、衝撃音や自由振動が生じるという不具合である。ここで、上記受け部によってソレノイド側への回動を規制するのは、回転規制部材がソレノイドに直接衝突して、いずれかが破損しないようにするためである。また、回転規制部材の回動角が大きくなり、その爪部を被回転規制部材の突起にかみ合わせる際の速度が増して衝撃音や自由振動が大きくなりすぎたり、噛み合う互いの箇所が破損したりしないようにするためでもある。
【0007】
そして、特許文献1の遊星歯車クラッチ機構では、引っ張りばねの仕様や、設置条件が特に開示されていないため、一般的な同一線径の引っ張りばねを、線形特性領域で利用するように配置されているものと考えられる。このような引っ張りばねの弾性力、つまり回転規制部材がソレノイドに吸着される場合の反力は、回転規制部材の回動により引っ張りばねが引き伸ばされる長さに比例する。一方、ソレノイドの吸引力は、ソレノイドと回転規制部材との距離に略反比例して、その距離が近づくほど強くなる。このような反力と吸引力との関係から、特許文献1の遊星歯車クラッチ機構では、受け部に衝突する際の回転規制部材の速度を低減し難く、回転規制部材やソレノイドケースで発生する切換手段側の衝撃音や自由振動を低減することが困難である。
【0008】
このように遊星歯車クラッチ機構を遮断された状態に切換える際に、衝撃音や自由振動が発生すると、例えば、画像形成装置では、作像ユニットや書込みユニットへの振動伝播され、バンディングやショックジターといった出力画像の濃度変動が増大し、高画質な画像形成が行えなくなってしまう。また、衝撃音が騒音として利用者に認識されてしまう。
【0009】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、駆動連結及び遮断の切換え動作を行う際の衝撃音や自由振動を、従来よりも低減できる遊星歯車クラッチ機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、太陽歯車と、遊星歯車と、該遊星歯車を回転自在に保持するキャリアと、内歯歯車とを有した遊星歯車機構と、その回転が規制されることで前記遊星歯車機構の駆動伝達機能が有効になる、突起部を有した被回転規制部材と、前記被回転規制部材の突起部に噛み合う爪部を有した回転規制部材と、前記回転規制部材を、該回転規制部材の爪部が前記被回転規制部材の突起に接触して噛み合う回転規制状態と、前記被回転規制部材の突起から離間した回転規制解除状態とに切換えさせる、ソレノイドとばねとを有した切換手段と、前記回転規制部材の回転規制解除状態になる方向への回動角度を所定角度内に規制する回動規制部材と、を設けた遊星歯車クラッチ機構において、前記被回転規制部材は、前記太陽歯車、前記キャリア、前記内歯歯車のいずれか1つと駆動連結され、前記切換手段は、前記ソレノイドの吸引力で、前記ばねの弾性力に抗して前記回転規制部材を回転規制解除状態、又は回転規制状態のいずれかに一方に切換えるように構成されており、前記ばねが、その荷重−たわみ関係が弾性範囲内の非線形特性領域で変形しながら、前記回転規制部材と前記回動規制部材とが接触することを特徴とすることを特徴とするものである。
本発明は、ばねが、その荷重−たわみ関係が弾性範囲内の非線形特性領域で変形しながら、回転規制部材と回動規制部材とが接触する。このように接触するので、ばねが、線形特性領域で変形しながら、回転規制部材と回動規制部材とが接触する構成よりも、回転規制部材と回動規制部材との衝突が生じる直前のばねの弾性力を大きくできる。このようにばねの弾性力を大きくできるので、ばねが、線形特性領域で変形しながら、回転規制部材と回動規制部材とが接触する構成よりも、回動規制部材と衝突する直前の回転規制部材の速度を遅くできる。
したがって、従来の特許文献1のように、ばねが、線形特性領域で変形しながら、回転規制部材と回動規制部材とが接触する構成よりも、回転規制部材と回動規制部材との衝突により発生する衝撃音や自由振動を低減することができる。
ここで、弾性範囲内の非線形特性領域を有するばねとして、円錐コイルばね、不等ピッチばね、及びテーパコイルばね等が一般に用いられている。しかし、圧縮コイルばねや引っ張りコイルばね等も、弾性範囲内の非線形特性領域を狭いながらも有している。このように狭いばねは、一般には使用用途等に鑑み、線形特性を有する範囲で用いられることが多いが、本発明では、回動規制部材と衝突する直前の回転規制部材の速度を従来よりも遅くするため、弾性範囲内の非線形特性領域を使用した。
そして、このような切替手段側の衝撃音や自由振動を低減できる構成を、被回転規制部材が、太陽歯車、キャリア、内歯歯車のいずれか1つと駆動連結された、いずれのタイプの遊星歯車クラッチ機構にも適用できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、従来のように、ばねが、線形特性領域で変形しながら、回転規制部材と回動規制部材とが接触する構成よりも、回転規制部材と回動規制部材との衝突により発生する衝撃音や自由振動を低減することができる。また、このような切替手段側の衝撃音や自由振動を低減できる構成を、被回転規制部材が、太陽歯車、キャリア、内歯歯車のいずれか1つと駆動連結された、いずれのタイプの遊星歯車クラッチ機構にも適用できる。
よって、駆動連結及び遮断の切換え動作を行う際の衝撃音や自由振動を、従来よりも低減できる遊星歯車クラッチ機構を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態に係る画像形成装置であるプリンタの全体概要説明図。
【図2】作像ユニットの正回転時における、感光体及び現像ローラの駆動歯車列の説明図。
【図3】遊星歯車クラッチ機構の斜視説明図。
【図4】遊星歯車クラッチ機構の動作原理の説明図。
【図5】ソレノイドのプランジャの外周に圧縮コイルばねを配置した切換手段の説明図。
【図6】ソレノイドのプランジャの外周に円錐コイルばねを配置した切換手段の説明図。
【図7】ラチェットの突起部と規制アームの爪部が噛み合う際の噛み合い面の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を画像形成装置に適用した一実施形態として、中間転写方式のタンデム型のカラープリンタ(以下、プリンタ200という)に適用した例について、図を用いて説明する。図1は、一実施形態に係る画像形成装置であるプリンタ200の全体概要説明図である。図2は、作像ユニット10の正回転時における、感光体1及び現像ローラ4の駆動歯車列70の説明図である。ここで、図2では、図中、遊星歯車クラッチ機構100については、太陽歯車111に一体に設けたラチェット部112から内歯歯車101側を視た断面を示している。そして、図中、手前側に配置される出力歯車116、感光体1、及び現像ローラ4の外形も破線で示している。
【0014】
また、図3は、遊星歯車クラッチ機構100の斜視説明図、図4は、遊星歯車クラッチ機構100の動作原理の説明図、図5は、ソレノイド131のプランジャ133の外周に圧縮コイルばね136aを配置した切換手段130の説明図。図6は、ソレノイド131のプランジャ133の外周に円錐コイルばね136bを配置した切換手段130の説明図。図7は、ラチェット部112の突起部113と規制アーム121の爪部125が噛み合う際の噛み合い面の説明図である。ここで、上記各図の歯車部については、歯形は省略し、基準ピッチ円を記載するに留めている。また、以下の説明では、特に記載しない限り、各歯車及び中間転写ベルト24等の回転体の回転方向については、画像形成時の回転方向を正回転方向、画像形成時とは逆方向への回転を逆回転方向という。また、このように相対的な回転方向でなく、絶対的な回転方向を示す必要が有る場合には、各図中時計回り又は反時計回りを、単に時計回り又は反時計回りという。また、図1、図5、図6では、各ばねの形状が分かり易いように、本来、隠れ線となる部分を実線で記載している。
【0015】
まず、本実施形態のプリンタ200の全体構成及び動作について説明する。図1に示すように、このプリンタ200には、ブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の4色のトナーに、それぞれ対応した作像ユニット10K、10M、10C、10Yを設けている。各作像ユニット10は、2次転写ローラ25の対応ローラでもある駆動ローラ22、従動ローラ23、及び複数の架張ローラに架け渡された中間転写ベルト24に、下方から接触するように配置されている。また、中間転写ベルト24の無端移動方向上流側(従動ローラ23側)から、作像ユニット10Y、10C、10M、10Kの順で配置されている。各作像ユニット10には、各色に対応した潜像担持体であるドラム状の感光体1K、1M、1C、1Yをそれぞれ設けている。各感光体1の回りには、それぞれ帯電装置2、現像装置3、感光体クリーニング装置7等が設けられている。
【0016】
そして、パソコン等から画像情報が送信されてくると、各感光体1を回転駆動させるとともに、各帯電装置2で、それぞれ各感光体1上を一様帯電する。その後、各感光体1の下方に配置された、光書き込み装置30が、パソコン等から送信された画像情報に基づいて、各感光体1表面上にレーザー光を照射して静電潜像を形成する。この静電潜像を、それぞれに設けられた現像装置3でトナー付着させてトナー画像として顕像化する。
【0017】
各感光体1表面上にそれぞれ形成された各色のトナー画像は、各感光体1の図1図中、反時計回りの回転にともない、時計回りに無端移動する中間転写ベルト24を介した対向位置に設けられた1次転写ローラ21の位置まで搬送される。そして、1次転写ローラ21に印加される1次転写バイアスにより、各感光体1表面上から中間転写ベルト24上に、順次、重ね合わせられるよう1次転写され、中間転写ベルト24上にカラーのトナー画像が形成される。中間転写ベルト24上に1次転写されたカラーのトナー画像は、中間転写ベルト24の無端移動により、2次転写ローラ25が中間転写ベルト24を介して駆動ローラ22に対向配置された2次転写位置まで搬送される。
【0018】
また、転写紙やOHPシート等のシートPが、カラーのトナー画像が2次転写位置に搬送されるタイミングに合わせて、光書き込み装置30の下方に設けられた給紙装置40から図1中、実線で示す搬送経路41に沿って複数のシート搬送ローラにより給紙される。そして、レジストローラ対42により2次転写位置に搬送されたシートP上に、カラーのトナー画像が2次転写ローラ25に印加される2次転写バイアスにより一括転写される。
【0019】
カラーのトナー画像が一括転写されたシートPは、搬送経路41に沿って2次転写位置のシート搬送方向下流側に設けられた、定着装置11まで搬送されてシートP上にカラーのトナー画像が定着される。そして、定着後のシートPは、排紙ローラの回転により排紙口43から排紙されて、排紙トレイ44上にスタックされる。また、1次転写位置で各感光体1上から中間転写ベルト24上に1次転写し切れなかった転写残トナーは、各感光体1における1次転写位置の感光体回転方向下流側に設けられた感光体クリーニング装置7によりクリーニングされる。そして、2次転写位置で中間転写ベルト24上からシートP上に2次転写しきれなかった転写残トナーも、中間転写ベルトクリーニング装置26によりクリーニングされ、再度の画像形成に備える。
【0020】
ここで、各作像ユニット10の感光体1、及び現像装置3に有した現像剤担持体である現像ローラ4や現像剤攪拌搬送スクリュ5,6を回転駆動する際に、個々に駆動源である駆動モータを設けても良い。しかし、本実施形態のプリンタ200では、コストや消費するエネルギーなどを考慮して、1つの駆動モータから複数の作像ユニット10に回転駆動力を伝達するように構成している。具体的には、カラーの画像形成時に稼動させる作像ユニット10Y、10C、10Mで1つの駆動モータを共用し、利用頻度が高いブラックに対応した作像ユニット10Kで1つの駆動モータを利用している。そして各作像ユニット10内では、感光体1、及び現像装置3に有した現像ローラ4や現像剤攪拌搬送スクリュ5,6は駆動歯車列により、それぞれ回転駆動力を伝達するように構成している。このように、回転駆動系を構成することで、プリンタ200を、低コスト化、及び省エネルギー化している。
【0021】
また、本実施形態の各作像ユニット10ように、感光体1や現像装置3内の現像ローラ4、現像剤攪拌搬送スクリュ5,6等の回転部材を設けた構成では、感光体1よりも現像ローラ4の稼動時間にともなう劣化の方が早く進む傾向にある。このため、現像ローラ4の回転駆動は、必要最小限にとどめることが望ましい。また、感光体1の表面上をクリーニングする感光体クリーニング装置7に有したクリーニングブレードのエッジ部にトナー、添加剤、潤滑剤、紙粉等の付着物が固着して、クリーニング不良を起こす場合がある。そこで、所定期間が経過した毎、又は、所定回数の画像形成を行った毎に、感光体1を逆回転方向に回転駆動して、クリーニングブレードのエッジ部に付着した付着物を除去する必要がある。このように付着物の除去動作を行う場合には、通常、感光体1だけでなく、現像ローラ4も逆回転方向に回転駆動することとなる。
【0022】
そこで、本実施形態のプリンタ200では、各作像ユニット10において、感光体1と、現像装置3内の現像ローラ4及び現像剤攪拌搬送スクリュ5,6との駆動歯車列を分岐した。そして、現像装置3内の現像ローラ4及び現像剤攪拌搬送スクリュ5,6に回転駆動力を伝達する駆動歯車列に、双方向回転駆動に対応したクラッチ機構として遊星歯車クラッチ機構100を設けた。このように構成することで、現像ローラ4の回転駆動を最小限の回転駆動にとどめるとともに、クリーニングブレードのエッジ部の付着物の除去動作を行うための駆動制御を可能にした。
【0023】
次に、本実施形態のプリンタ200に備える各作像ユニット10の駆動歯車列、及び遊星歯車クラッチ機構100の構成について説明する。以下の説明では、太陽歯車に被回転規制部であるラチェット部を同軸で一体に設けた(駆動連結した)タイプの遊星歯車クラッチ機構100について説明する。しかし、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、太陽歯車、キャリア、内歯歯車のいずれか1にラチェット部を駆動連結させて、その回転を規制することで、遊星歯車機構の駆動伝達機能を有効にする、いずれのタイプの遊星歯車クラッチ機構にも適用可能である。例えば、カップリング等を用いて駆動連結された2体構成のタイプの遊星歯車クラッチ機構にも適用可能である。また、各作像ユニット10に設ける遊星歯車クラッチ機構100の構成は同様であるので、以下の説明では作像ユニット10Kについて説明するとともに、特に必要がない限り各色に対応した符合K、M、C、Yは適宜省略して説明する。
【0024】
まず、作像ユニット10の駆動歯車列70について、感光体1、現像ローラ4、及び現像剤攪拌搬送スクリュ5,6を正回転方向に回転させる場合を例に、図2を用いて説明する。駆動歯車列70は、駆動モータ(不図示)の出力軸に直接形成された駆動歯車71の図中左側の感光体1を回転駆動する感光体駆動歯車列80と、図中右側の現像ローラ4を回転駆動する現像ローラ駆動歯車列90とに分岐されている。そして、現像ローラ駆動歯車列90内には、遊星歯車クラッチ機構100を設けている。そして、現像ローラ4を回転駆動させる現像ローラ駆動歯車94の駆動力伝達方向下流には、現像剤攪拌搬送スクリュ5,6(不図示)をそれぞれ回転駆動させるスクリュ歯車(不図示)を設けている。
【0025】
ここで、他の色に対応する作像ユニット10Y、10C、10Mでは、感光体駆動歯車列80と現像ローラ駆動歯車列90とに駆動力を伝達する駆動歯車が、作像ユニット10Y、10C、10Mのモータ駆動歯車列(不図示)に接続された各作像ユニット用の駆動歯車(不図示)である点が異なる。しかし、上記相違点を除く、作像ユニット10Y、10C、10Mの各感光体1に回転駆動力を伝達する感光体駆動歯車列80、及び現像ローラ駆動歯車列90の構成は同様である。
【0026】
各作像ユニット10の感光体駆動歯車列80は、駆動歯車71に図中左側から噛み合う第1感光体歯車81、第1感光体歯車81に図中左斜め下方から噛み合う感光体駆動歯車82を備えている。また、現像ローラ駆動歯車列90は、駆動歯車71に図中右側から噛み合う第1現像ローラ歯車91、及び第1現像ローラ歯車91に噛み合う入力歯車部を有した遊星歯車クラッチ機構100を備えている。そして、遊星歯車クラッチ機構100に有した出力歯車116と噛み合う第2現像ローラ歯車92、第2現像ローラ歯車92と噛み合う第3現像ローラ歯車93も備えている。さらに、第3現像ローラ歯車93と噛み合い現像ローラ4を回転駆動する現像ローラ駆動歯車94も備えている。ここで、遊星歯車クラッチ機構100の入力歯車である内歯歯車101の外周に形成された外歯歯車部103と外歯の出力歯車116は、駆動連結された状態の場合には、いずれの方向に回転駆動されても同方向に回転するように構成されている。
【0027】
図2に示すように、遊星歯車クラッチ機構100を駆動連結された状態で、正回転方向に感光体1及び現像ローラ4を回転させる場合には、駆動歯車71は反時計回りに回転する。駆動歯車71が反時計回りに回転すると、感光体駆動歯車列80では、第1感光体歯車81を介して感光体駆動歯車82も正回転方向である反時計回りに回転する。また、現像ローラ駆動歯車列90では、第1現像ローラ歯車91が時計回りに回転し、遊星歯車クラッチ機構100の入力歯車である内歯歯車101は反時計回りに回転する。そして、遊星歯車クラッチ機構100の出力歯車116が正回転方向である反時計回りに回転する。この出力歯車116の反時計回りの回転が、第2現像ローラ歯車92及び第3現像ローラ歯車93を介して伝達され、現像ローラ駆動歯車94が正回転方向の時計回りに回転する。
【0028】
そして、遊星歯車クラッチ機構100が遮断された状態の場合には、遊星歯車クラッチ機構100の出力歯車116に内歯歯車101の反時計回りの回転駆動力は伝達されない。したがって、出力歯車116はいずれの方向にも回転しない。すなわち、遊星歯車クラッチ機構100が遮断状態の場合に駆動モータが正回転方向に回転駆動されると、感光体1は正回転方向に回転駆動される。しかし、現像装置3内の現像ローラ4及び現像剤攪拌搬送スクリュ5,6はいずれの方向にも回転しない。なお、逆回転方向においても、遊星歯車クラッチ機構100の駆動連結された状態と遮断された状態とで、同様に、それぞれの回転が行われることになる。
【0029】
次に、遊星歯車クラッチ機構100について詳細に説明する。図3に示すように、本実施形態のプリンタ200に用いる遊星歯車クラッチ機構100は、遊星歯車機構、出力歯車116、及び被回転規制部であるラチェット部112を有した遊星歯車部110を備えている。また、回転規制部材である規制アーム121を有した回転規制部120と、規制アーム121の噛み合い状態と非噛み合い状態とを切換える動作を与える切換手段130も備えている。
【0030】
遊星歯車クラッチ機構100の遊星歯車部110は、入力歯車である内歯歯車101と、3つの遊星歯車105と、各遊星歯車105を回転自在、かつ公転自在に保持する部材であるキャリア104とを備えている。そして、各遊星歯車105に噛み合う太陽歯車111も備えている。また、各遊星歯車105を保持しているキャリア104には、キャリア104と、キャリア104の回転を下流側の駆動ユニットに伝達する出力歯車116とを一体で動作するように接続する出力軸109も備えている。また、太陽歯車111には、被回転規制部であるラチェット部112が、一体で動作するよう(駆動連結された状態で)設けられている。そして、内歯歯車101、キャリア104、太陽歯車111、ラチェット部112、出力軸109、及び出力歯車116は同軸上に配置されている。
【0031】
ここで、遊星歯車部110では、次のような回転運動を行う。第1現像ローラ歯車91(図2参照)を介して内歯歯車101の外周に形成された外歯歯車部103に回転駆動力が伝達されている間は、内歯歯車101の内歯歯車部102に噛み合っている各遊星歯車105は常に回転運動を行う。しかし、各遊星歯車105を保持しているキャリア104は一定の条件の場合のみ回転運動を行う。つまり、遊星歯車クラッチ機構100は、一定の条件下での遊星歯車部110の下流側駆動ユニットへの回転駆動力を伝達する遊星歯車機構の駆動伝達機能を有効にする駆動連結機能と、他の条件下での下流側駆動ユニットへの駆動伝達を遮断する遮断機能とを備えている。このため、出力歯車116も一定の条件の場合のみ回転運動を行うこととなる。次に、この遊星歯車クラッチ機構100の駆動連結機能と遮断機能について説明する。
【0032】
まず、遊星歯車部110の駆動伝達方法について説明する。図4に示すように、この遊星歯車部110の駆動伝達部は、主に3種類の歯車、つまり、内歯歯車101の内歯歯車部102、遊星歯車105、及び太陽歯車111を備えている。また、内歯歯車101の回転軸と同軸で回転可能な要素としては、内歯歯車101、遊星歯車105を自転可能、かつ公転可能に保持したキャリア104、及び太陽歯車111を備えている。そして、遊星歯車部110は、3つの回転可能な要素に、それぞれ回転可能な入力、出力、及び回転が規制される固定に割り振ることで、初めてその駆動伝達機能が有効となる。そこで、本実施形態の遊星歯車部110では、内歯歯車101に入力、キャリア104に出力、太陽歯車111に固定に割り振ることで、遊星歯車機構の駆動伝達機能を有効にすることとしている。そして、固定に割り振った太陽歯車111を、回転が規制された固定状態に切換えることで、遊星歯車部110を下流側の駆動ユニットに回転駆動力を伝達できる駆動伝達状態にする。また、回転自在な固定解除状態に切換えることで、遊星歯車機構の駆動伝達機能を失う状態、すなわち、キャリア104の回転が停止し、下流側の駆動ユニットに回転駆動力を伝達しない遮断状態にする。
【0033】
なお、内歯歯車101の外周には、外歯歯車部103が同軸で形成され、図2に示した第1現像ローラ歯車91に噛み合って回転駆動力が内歯歯車101に伝達される。また、キャリア104には出力歯車116から離れた側の基準側板106と、基準側板106に支持され遊星歯車105を回転自在に保持するピン108と、ピン108の他端側を支持する端部側板107(図3参照)を有している。そして、基準側板106には、出力歯車116に回転駆動力を伝達する出力軸109が接続されている。この出力軸109の出力歯車116に嵌め合わせる部分の断面は、出力歯車116に確実に回転駆動力を伝達できるように、回り止め加工が施されている。また、端部側板107には、太陽歯車111を回転自在な状態で向かい入れるための孔が設けられている。そして、太陽歯車111及び太陽歯車111と同軸で一体に設けられたラチェット部112(図3参照)には、出力軸109を回転自在な状態で通す孔が形成されている。次に、太陽歯車111を、回転が規制された固定状態と回転自在な固定解除状態とに切換える具体的な構成、つまり、遊星歯車クラッチ機構100を、駆動連結状態及び遮断状態とに切換える具体的な構成について説明する。
【0034】
図5に示すように、太陽歯車111と同軸で一体に設けられた被回転規制部であるラチェット部112には、規制アーム121に設けられた爪部125と噛み合う複数の突起部である突起部113を全周に渡り等間隔に備えている。また、ラチェット部112、つまり太陽歯車111の回転を規制する回転規制部120は、ラチェット部112のいずれかの突起部113に噛み合う爪部125を設けた規制アーム121と規制アーム121を回動可能に支持する支持軸123から構成されている。そして、規制アーム121は、支持軸123から爪部125を設けた先端側のアーム出力部122と、支持軸123から突起とは反対側のアーム入力部124を有している。
【0035】
また、回転規制部120のアーム出力部122に設けた爪部125をラチェット部112の突起部113に噛み合う固定状態と、離間した固定解除状態とに切換える切換手段130にはソレノイド131及び圧縮ばね136(図5では136a)を備えている。ソレノイド131には、電源のオン・オフにより図5図中略水平に移動する円柱状の部材であるプランジャ133を設けている。プランジャ133の先端には規制アーム121のアーム入力部124に設けた長孔(不図示)に通る係合ピン134が設けられており、その略水平方向の移動により、規制アーム121を支持軸123を回動中心として回動させる。また、ソレノイド131のプランジャ133の外周には、詳しくは後述する圧縮ばね136を設けている。そして、プランジャ133の係合ピン134側であって、規制アーム121のアーム入力部124の回動に支障しない位置にエンドリング135を設け圧縮ばね136の一端側を規制し、他端側はソレノイド131を保持するソレノイドケース132で規制している。この圧縮ばね136の反力で、アーム入力部124の係合ピン134を図5図中右方向(矢印A方向)に、押し出すように構成されている。
【0036】
このように切換手段130を構成することで、ソレノイド131の電源がオフされた状態では、圧縮ばね136の作用によりプランジャ133は図5図中右方向に移動する。この移動にともない、規制アーム121は支持軸123を中心に回動し、図中反時計方向(矢印C方向)に回動する。そして、アーム出力部122の先端に設けられた爪部125のいずれかの側面が、ラチェット部112の突起部113のいずれかの側面に面接触して固定状態となる。また、ソレノイド131の電源がオンされると、プランジャ133は図5図中左方向(矢印B方向)に移動する。この移動にともない、規制アーム121は支持軸123を中心に回動し、図中時計方向(矢印D方向)に回動し、アーム出力部122の先端に設けられた爪部125は、ラチェット部112の突起部113から離間して固定解除状態となる。
【0037】
次に、本実施形態の特徴部である、切換手段130の構成について、さらに詳しく説明する。従来の特許文献1で開示された構成のような切換手段では、駆動連結状態及び遮断状態に切換える際に、主に、次のような箇所で衝撃音や自由振動が発生していた。1箇所目は、被回転規制部材の突起部と回転規制部材の爪部の噛み合い箇所である。そして、2箇所目がソレノイドの電源をオンにして回転規制部材を吸引した際に、その移動を規制するソレノイドケースの受け部である。これらの箇所で衝撃音や自由振動が発生するため、画像形成装置の画質が低下したり、衝撃音が騒音として利用者に認識されてしまったりしていた。ここで、画質の低下するのは、例えば、画像形成装置では、作像ユニットや書込みユニットへの振動伝播により、バンディングやショックジターといった出力画像の濃度変動が増大してしまうためである。
【0038】
一方、本実施形態の衝撃音や自由振動の発生源としては、主に、次の2箇所である。1箇所目は、ラチェット部112の突起部113と規制アーム121の爪部125の噛み合い箇所である。そして、2箇所目がソレノイド131の電源をオンにしてプランジャ133を吸引した際に、その移動を規制する部分、つまり切換手段130側の部分である。これらの箇所から発生する衝撃音や自由振動を低減するためには、移動して衝突する部材である規制アーム121の衝突する直前の角速度や、プランジャ133の衝突する直前の速度を小さくして衝突時の力積を小さくすれば良い。そこで、本発明の発明者らは、上記2箇所目の発生源に着目し、発生する衝撃音や自由振動を低減できないか検討した。
【0039】
従来のソレノイドにプランジャを有した構成では、プランジャの端部やプランジャを連結した規制アーム121のアーム入力部124の端部に引っ張りばね等を線形領域で変形するように配置していた。そして、ソレノイド131の電源がオフされた状態では、線形領域の引っ張りばねの弾性力を用いて規制アーム121を回動させて、突起部113に爪部125を噛み合わせてラチェット部112を固定状態にしていた。また、ソレノイド131の電源がオンされると、ソレノイド131の吸引力により、引っ張りばねの弾性力に抗して、プランジャ133を移動させることで、規制アーム121を回動させてラチェット部112を固定解除状態にしていた。しかし、ソレノイド131の吸引力によりプランジャ133を移動させる場合にも、プランジャ133の移動、又は規制アーム121の回動を規制する必要があった。これは、プランジャ133移動、又は規制アーム121の回動を規制しないとソレノイド131の吸引時に、引っ張りばねとソレノイド131の吸引力との釣り合いで、これらの移動、又は回動を規制することになり、非常に困難なためである。
【0040】
そこで、従来は、例えば、規制アーム121に当接(衝突)して、その回動を規制する部材を設けていた。あるいは、プランジャ133のソレノイドケース132側にソレノイドケース132の外壁面と当接(衝突)して、その移動を規制する部材(エンドリング等)を設けていた。これらのプランジャ133の移動を規制する構成は、いずれも規制アーム121の回動を規制する回動規制部材として機能している。しかし、いずれの方法も規制アーム121の回動を規制する際、回動又は移動する部材が静止した回動規制部材に衝突する構成である。
【0041】
ここで、規制アーム121がソレノイドに吸着される場合の反力は、規制アーム121の回動にともなって、引っ張りばねが引き伸ばされる長さに比例する。一方、ソレノイドの吸引力は、吸引する場合のソレノイドに有するプランジャ133の移動距離に略反比例して、その距離が近づくほど強くなる。このような反力と吸引力との関係から、引っ張りばねのばね定数を適切に設定することで衝撃音や自由振動をある程度は低減できるものの、画像形成装置内の他の機器への振動の影響や、利用者に騒音として認識されない程度の衝撃音にまでは低減できなかった。
【0042】
そこで、発明者らは、圧縮ばね(押しばね)や引張りばねが有する、その荷重−たわみ関係が弾性範囲内の非線形特性領域に着目した。ばねが、その荷重−たわみ関係が弾性範囲内の非線形特性領域で変形しながら、回動又は移動する部材と静止した回動規制部材とが衝突すれば、線形特性領域で変形しながら衝突する構成よりも、衝突が生じる直前のばねの弾性力を大きくできる。このようにばねの弾性力を大きくして、線形特性領域で変形しながら衝突する構成よりも、回動規制部材と衝突する直前の回動又は移動する部材の速度を遅くできる。したがって、回動又は移動する部材と静止した回動規制部材とが衝突する際に作用する力積を小さくすることができ、規制アーム121の回動を規制する際に生じる衝撃音や自由振動も低減することができる。
【0043】
具体的には、本実施形態の切換手段130では、図5に示したように、プランジャ133の外周に圧縮ばね136を設けるとともに、係合ピン134側にエンドリング135を設けた。このように構成することで、ラチェット部112を固定状態にするのに、圧縮ばね136の弾性力である反力を利用できる。また、圧縮ばね136を線間接触するように配置することで、規制アーム121の回動を規制する際に衝突する部材(回動規制部材)を圧縮ばね136自身とすることができ、引っ張りばねを用いた場合のように別途、回動規制部材や引張りばねの他端側を支持する部材を設ける必要がない。したがって、ソレノイドケース132と引っ張りばねの他端側を支持する部材間で、引っ張りばねを介して生じる振動も抑制できるとともに、切換手段130を小型化できる。また、プランジャ133の外周に圧縮ばね136を設けているので、圧縮ばね136の座屈現象の発生も抑制できる。
【0044】
したがって、従来よりも、ソレノイドケース132とプランジャ133とが衝突した際に発生する衝撃音を低減でき、利用者が認識する騒音を低減できる。また、同時に発生する自由振動も低減でき、隣接する他の機器への影響を抑制することもできる。よって、低騒音、かつ、各作像ユニット10や光書き込み装置30への振動伝播を抑制でき、バンディングやショックジターといった出力画像の濃度変動を低減し、高画質なプリンタ200を提供できる。
【0045】
また、用いる圧縮ばね136の種類としては、図5に示した、ばねの外径が一定な圧縮コイルばね136aや、図6に示した、ばねの外径が変化する円錐コイルばね136bを用いることができる。圧縮コイルばね136aは、加わる(ソレノイドの吸引力)に対する変形量の関係が線形特性領域を利用するものが、一般に広く流通しているとともに汎用性が高いため、その製造コストや調達コストを低減できるというメリットがある。
【0046】
一方、円錐コイルばね136bは、荷重−たわみ関係が弾性範囲内の非線形特性領域での変形を利用されることを前提に作られており、加わる荷重が増えるほど変形量が少なくなる(バネ定数が大きくなる)。つまり、非線形特性領域では、変形量が大きくなるほど弾性力(反力)が大きくなる。そして、圧縮コイルばね136aのように、線形特性領域での利用を前提に作られている圧縮ばねよりも、非線形特性領域の範囲が広くできるとともに、ばね定数が増加する割合も大きくできる。したがって、規制アーム121の回動を規制する際に生じる衝撃音や自由振動を、圧縮コイルばね136aを用いるよりも低減することができる。
【0047】
また、圧縮コイルばね136aよりも、ばねの線材同士が密着する密着高さを低くできる(La>Lb)ので、ソレノイド131の吸引力を効果的に活用でき、より小型のソレノイド131を用いることができる。さらに、座面接触型の円錐コイルばねを用いると、ばねの線材同士は密着せず、密着高さを最も線径が大きい部分の線径と同じ高さにできるのでより好ましい。ここで、本実施形態では、非線形特性領域での変形を利用されることを前提に作られているばねとして、円錐コイルばね136bを用いた例を説明しているが、不等ピッチばねやテーパコイルばね等、設計条件に合わせ適宜選択して用いることができる。
【0048】
また、これまで説明してきた切換手段130(2箇所目の発生源)に加え、ラチェット部112の突起部113と規制アーム121の爪部125との噛み合い箇所の構成を規定することで、遊星歯車クラッチ機構100から発生する衝撃音や自由振動も低減することもできる。次に、その方法を説明する。
図7(a),(b)に示すように、本実施形態の遊星歯車クラッチ機構100では、ラチェット部112に複数有した突起部113のいずれかと、規制アーム121に設けた爪部125とが噛み合う面が、駆動伝達する回転駆動力の回転方向により異なる。ここで、図7(a)が、正回転方向時の噛み合い状態を示し、図7(b)が、逆回転方向時の噛み合い状態を示している。
【0049】
上述したように、遊星歯車クラッチ機構100から発生する衝撃音や自由振動を低減するためには、移動して衝突する部材である規制アーム121の角速度やプランジャ133の移動速度を小さくするか、それぞれの衝突中の接触時間を長くして衝突時の力積を小さくすれば良い。
【0050】
そこで、本実施形態では、図7(a)に示すように、遊星歯車クラッチ機構100で正回転方向への駆動連結を行う場合、つまり、ラチェット部112の正回転方向への回転を規制する場合の突起部113と爪部125とが噛み合う面である第1接触面を次のように規定することとした。
【0051】
まず、突起部113と爪部125とが面で噛み合った際の突起部113の端部と爪部125の端部とを結ぶ線分の中間点を通る直線を第1接触面中間線と定義する。この第1接触面中間線と、規制アーム121の支持軸123の回転中心とを、その面内に有する面を第1回動アーム面と定義する。そして、この第1回動アーム面と第1接触面とがなす角度を第1角度:θ1[rad]と定義し、第1角度:θ1を、4π/9≦θ1≦π/2の範囲に規定した。
【0052】
このように第1角度:θ1が、θ1≦π/2を満たすことで、突起部113と爪部125とが噛み合い時、及び駆動連結中(噛み合い中)の圧縮ばね136の、ばね力を弱く設定することができる。これは第1角度:θ1が、θ1≦π/2を満たすことで、噛み合い部分で次ぎのような噛み合い動作が行われるためである。一旦、突起部113の第1接触面に爪部125の端部が、又は爪部125の第1接触面に突起部113の端部が接触すると、駆動伝達方向下流側の被駆動ユニットの負荷がラチェット部112に伝達され、ラチェット部112に正回転方向へ回転しようとする力が生じる。
【0053】
このラチェット部112の正回転方向へ回転しようとする力により、突起部113の第1接触面を爪部125の端部が、又は爪部125の第1接触面を突起部113の端部が滑るようにして噛み合いが進行する。また、駆動連結中、つまり噛み合い中は、ラチェット部112の正回転方向へ回転しようとする力により、突起部113と爪部125との噛み合いが維持される。このように噛み合いが進行するとともに維持されるので、規制アーム121に噛み合う方向に回動する力、すなわち圧縮ばね136のばね力を弱く設定することができる。
逆に、第1角度:θ1が、π/2<θ1のとき、規制アーム121が受ける力は規制アーム121がラチェット部112側から離間する方向である。このため正回転方向への駆動連結を行う場合、突起部113と爪部125とを噛み合うように、圧縮ばね136の力で押し戻してやらねばならず、圧縮ばね136のばね力を強く設定せざるをえない。
【0054】
また、第1角度:θ1が、4π/9≦θ1を満たすことで、規制アーム121の離間動作に必要なソレノイド131の吸引力を低く抑えることができ、ソレノイド131をオンした時の衝撃音や自由振動を低減できる。これは第1角度:θ1が、θ1<4π/9のとき、規制アーム121が受ける力がラチェット部112側へ向きすぎて、吸引力の強いソレノイド131を使用しないと、ラチェット部112から規制アーム121を離間できなくなるためである。そこで、本実施形態では、第1角度:θ1を、4π/9≦θ1とすることで、離間動作に必要に必要なソレノイド131の力を小さくした。
【0055】
上述したように、第1角度:θ1を、4π/9≦θ1≦π/2の範囲に規定することで、圧縮ばね136のばね力を弱く設定することができるとともに、噛み合い解除に必要なソレノイド131の力も小さくできる。したがって、規制アーム121の角速度やプランジャ133の移動速度を小さできるとともに、それぞれの衝突中の接触時間を長くして、その力積を小さくできる。これにより、規制アーム121の接触動作時に発生する衝撃音や自由振動を低減できるとともに、切換手段130から発生する衝撃音や自由振動を低減も、さらに低減できる。つまり、弱い圧縮ばね136、及び弱いソレノイド131を用いて規制アーム121を回動させれば、衝突直前の規制アーム121の角速度は小さくなるので、結果的に衝撃音および自由振動は小さくなる。また、ソレノイド131を駆動させて離間させる場合の衝撃音や自由振もさらに低減できる。
【0056】
また、本実施形態では、図7(b)に示すように、遊星歯車クラッチ機構100で逆回転方向への駆動連結を行う場合、つまり、ラチェット部112の逆回転方向への回転を規制する場合の突起部113と爪部125とが噛み合う面である第2接触面を次のように規定することとした。
【0057】
まず、突起部113と爪部125とが面で噛み合った際の突起部113の端部と爪部125の端部とを結ぶ線分の中間点を通る直線を第2接触面中間線と定義する。この第2接触面中間線と、規制アーム121の支持軸123の回転中心とを、その面内に有する面を第2回動アーム面と定義する。そして、この第2回動アーム面と第2接触面とがなす角度を第2角度:θ2[rad]と定義し、第2角度:θ2を、π/2≦θ2≦5π/9の範囲に規定した。
【0058】
このように第2角度:θ2が、π/2≦θ2を満たすことで、突起部113と爪部125とが噛み合い時、及び駆動連結中(噛み合い中)の圧縮ばね136の、ばね力を弱く設定することができる。これは第2角度:θ2が、π/2≦θ2を満たすことで、噛み合い部分で次ぎのような噛み合い動作が行われるためである。一旦、突起部113の第2接触面に爪部125の端部が、又は爪部125の第2接触面に突起部113の端部が接触すると、駆動伝達方向下流側の被駆動ユニットの負荷がラチェット部112に伝達され、ラチェット部112に逆回転方向へ回転しようとする力が生じる。
【0059】
このラチェット部112の逆回転方向へ回転しようとする力により、突起部113の第2接触面を爪部125の端部が、又は爪部125の第2接触面を突起部113の端部が滑るようにして噛み合いが進行する。また、駆動連結中、つまり噛み合い中は、ラチェット部112の逆回転方向へ回転しようとする力により、突起部113と爪部125との噛み合いが維持される。このように噛み合いが進行するとともに維持されるので、規制アーム121に噛み合う方向に回動する力、すなわち圧縮ばね136のばね力を弱く設定することができる。
逆に、第2角度:θ2が、θ2<π/2のとき、規制アーム121が受ける力は規制アーム121がラチェット部112側から離間する方向である。このため正回転方向への駆動連結を行う場合、突起部113と爪部125とを噛み合うように、圧縮ばね136の力で押し戻してやらねばならず、圧縮ばね136のばね力を強く設定せざるをえない。
【0060】
また、第2角度:θ2が、θ2≦5π/9を満たすことで、規制アーム121の離間動作に必要なソレノイド131の吸引力を低く抑えることができ、ソレノイド131をオンした時の衝撃音や自由振動を低減できる。これは第2角度:θ2が、5π/9<θ2のとき、規制アーム121が受ける力がラチェット部112側へ向きすぎて、吸引力の強いソレノイド131を使用しないと、ラチェット部112から規制アーム121を離間できなくなるためである。そこで、本実施形態では、第2角度:θ2を、θ2≦5π/9とすることで、離間動作に必要に必要なソレノイド131の力を小さくした。
【0061】
上述したように、第2角度:θ2を、π/2≦θ2≦5π/9の範囲に規定することで、圧縮ばね136のばね力を弱く設定することができるとともに、噛み合い解除に必要なソレノイド131の力も小さくできる。したがって、規制アーム121の角速度やプランジャ133の移動速度を小さできるとともに、それぞれの衝突中の接触時間を長くして、その力積を小さくできる。これにより、規制アーム121の接触動作時に発生する衝撃音や自由振動を低減できるとともに、切換手段130から発生する衝撃音や自由振動を低減も、さらに低減できる。つまり、弱い圧縮ばね136、及び弱いソレノイド131を用いて規制アーム121を回動させれば、衝突直前の規制アーム121の角速度は小さくなるので、結果的に衝撃音および自由振動は小さくなる。また、ソレノイド131を駆動させて離間させる場合の衝撃音や自由振もさらに低減できる。
【0062】
また、上述した本実施形態の切換手段130の説明では、ソレノイド131を保持するソレノイドケース132とエンドリング135との間のプランジャ133の外周に、圧縮ばね153を直接配置した例について説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、圧縮ばね136の両端を、それぞれ規制するソレノイドケース132及びエンドリング135のいずれか、又は両方に緩衝ゴムを配置することで、さらに衝撃音や自由振動を低減することができる。
【0063】
また、本発明を、潜像担持体である感光体1及び現像剤担持体である現像ローラ4等を駆動する作像ユニット10の駆動歯車列70、つまり作像系に適用した例について説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、レジストローラ対42やシート搬送ローラ等を駆動する給紙レジスト系、定着ローラ対や脱圧カムや排紙ローラ等を駆動する排紙系、及び1次転写ローラ21等と中間転写ベルト24とを接離させる中間接離系等の駆動系にも適用可能である。但し、作像ユニット10及び書込みユニットへの振動は画質に影響を及ぼすが、特に作像系の駆動歯車列70は上記ユニットに近い配置のため、課題になりやすい。
【0064】
また、本発明を、規制アーム121を圧縮ばねを用いて回動させる構成に適用した例について説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、規制アーム121を引っ張りばねを用いて回動させる構成にも適用できる。
また、ソレノイド131にプランジャ133を有した構成に適用した例について説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、ソレノイド131の吸引力で規制アーム121を直接、吸引する構成にも適用できる。
そして、上記のような遊星歯車クラッチ機構100を用いることで、電磁クラッチを用いるよりも、低コスト化や省エネ化が可能となる。
【0065】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
太陽歯車111などの太陽歯車と、遊星歯車105などの遊星歯車と、該遊星歯車を回転自在に保持するキャリア104などのキャリアと、内歯歯車101などの内歯歯車とを有した遊星歯車部110などの遊星歯車機構と、その回転が規制されることで前記遊星歯車機構の駆動伝達機能が有効になる、突起部113などの突起部を有したラチェット部112などの被回転規制部材と、前記被回転規制部材の突起部に噛み合う爪部125などの爪部を有した規制アーム121などの回転規制部材と、前記回転規制部材を、該回転規制部材の爪部が前記被回転規制部材の突起に接触して噛み合う回転規制状態と、前記被回転規制部材の突起から離間した回転規制解除状態とに切換えさせる、ソレノイド131などのソレノイドと圧縮ばね136などのばねとを有した切換手段130などの切換手段と、前記回転規制部材の回転規制解除状態になる方向への回動角度を所定角度内に規制する線間接触した圧縮ばね136などの回動規制部材と、を設けた遊星歯車クラッチ機構100などの遊星歯車クラッチ機構において、前記被回転規制部材は、前記太陽歯車、前記キャリア、前記内歯歯車のいずれか1つと駆動連結され、前記切換手段は、前記ソレノイドの吸引力で、前記ばねの弾性力に抗して前記回転規制部材を回転規制解除状態、又は回転規制状態のいずれかに一方に切換えるように構成されており、前記ばねが、その荷重−たわみ関係が弾性範囲内の非線形特性領域で変形しながら、前記回転規制部材と前記回動規制部材とが接触することを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態について説明したように、駆動連結及び遮断の切換え動作を行う際の衝撃音や自由振動を、従来よりも低減できる遊星歯車クラッチ機構を提供できる。
(態様B)
(態様A)において、圧縮ばね136などの前記ばねが、圧縮コイルばね136aなどの圧縮コイルばねであることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態について説明したように、圧縮コイルばね136aなどの前記圧縮ばねの製造コストや調達コストを低減できる。
(態様C)
(態様A)において、圧縮ばね136などの前記ばねが、円錐状コイルばね136bなどの円錐コイルばねであることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態について説明したように、ソレノイドケース132とプランジャ133との衝突時に生じる衝撃音や自由振動を、圧縮コイルばね136aを用いるよりも低減することができる。また、圧縮コイルばね136aよりも、ばねの線材同士が密着する密着高さを低くできるので、ソレノイド131の吸引力を効果的に活用でき、より小型のソレノイド131を用いることができる。
(態様D)
(態様A)乃至(態様C)のいずれかにおいて、圧縮ばね136などの前記ばねが、ソレノイド131などの前記ソレノイドに有したプランジャ133などのプランジャの外周に設けられていることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態について説明したように、圧縮ばね136などのばねが線間接触することで、規制アーム121などの回転規制部材の回動を規制する回動規制部材としても機能させることができ、部品点数を減らせる。また、別途、ソレノイド131などのソレノイドを保持するソレノイドケース132などの保持部材の外に設けたばねと他の部材との間で、発生する振動も抑制できるとともに、切換手段130などの切換手段を小型化できる。また、プランジャ133などのプランジャの外周にばねを設けているので、ばねの座屈現象の発生も抑制できる。
(態様E)
感光体1や現像ローラ4などの複数の回転体を1つの駆動源で駆動する駆動歯車列70などの駆動列を備え、転写紙等のシート上に画像を形成する画像形成装置において、前記駆動列内に、(態様A)乃至(態様D)のいずれかの遊星歯車クラッチ機構100などの遊星歯車クラッチ機構を設けていることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態について説明したように、低騒音、かつ、各作像ユニット10などの各作像ユニットや光書き込み装置30などの光書き込みユニットへの振動伝播を抑制でき、バンディングやショックジターといった出力画像の濃度変動を低減し、高画質なプリンタ200などの画像形成装置を提供できる。また、遊星歯車クラッチ機構100などの遊星歯車クラッチ機構を用いることで、電磁クラッチを用いるよりも、低コスト化や省エネ化が可能となる。
(態様F)
(態様E)において、駆動歯車列70などの前記駆動列で駆動される複数の回転体に、感光体1などの潜像担持体と現像ローラ4などの現像剤担持体とを含んでいることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態について説明したように、各作像ユニット10などの各作像ユニットや光書き込み装置30などの光書き込みユニットに伝播する自由振動を、他の箇所に本発明を適用した遊星歯車クラッチ機構100などの遊星歯車クラッチ機構を用いるよりも効果的に低減でき、バンディングやショックジターといった出力画像の濃度変動を抑制した、より高画質なプリンタ200などの画像形成装置を提供できる。
【符号の説明】
【0066】
1 感光体
2 帯電装置
3 現像装置
4 現像ローラ
5 現像剤攪拌搬送スクリュ
7 感光体クリーニング装置
10 作像ユニット
11 定着装置
21 1次転写ローラ
22 駆動ローラ
23 従動ローラ
24 中間転写ベルト
25 2次転写ローラ
26 中間転写ベルトクリーニング装置
30 光書き込み装置
40 給紙装置
41 搬送経路
42 レジストローラ対
43 排紙口
44 排紙トレイ
70 駆動歯車列
71 駆動歯車
80 感光体駆動歯車列
81 第1感光体歯車
82 感光体駆動歯車
90 現像ローラ駆動歯車列
91 第1現像ローラ歯車
92 第2現像ローラ歯車
93 第3現像ローラ歯車
94 現像ローラ駆動歯車
100 遊星歯車クラッチ機構
101 内歯歯車
102 内歯歯車部
103 外歯歯車部
104 キャリア
105 遊星歯車
106 基準側板(キャリア)
107 端部側板(キャリア)
108 ピン(キャリア)
109 出力軸
110 遊星歯車部
111 太陽歯車
112 ラチェット部
113 突起部
116 出力歯車
120 回転規制部
121 規制アーム
122 アーム出力部
123 支持軸
124 アーム入力部
125 爪部
130 切換手段
131 ソレノイド
132 ソレノイドケース
133 プランジャ
134 係合ピン
135 エンドリング
136 圧縮ばね
136a 圧縮コイルばね
136b 円錐状コイルばね
200 プリンタ
P シート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】
【特許文献1】特開2009−073648号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽歯車と、遊星歯車と、該遊星歯車を回転自在に保持するキャリアと、内歯歯車とを有した遊星歯車機構と、
その回転が規制されることで前記遊星歯車機構の駆動伝達機能が有効になる、突起部を有した被回転規制部材と、
前記被回転規制部材の突起部に噛み合う爪部を有した回転規制部材と、
前記回転規制部材を、該回転規制部材の爪部が前記被回転規制部材の突起に接触して噛み合う回転規制状態と、前記被回転規制部材の突起から離間した回転規制解除状態とに切換えさせる、ソレノイドとばねとを有した切換手段と、
前記回転規制部材の回転規制解除状態になる方向への回動角度を所定角度内に規制する回動規制部材と、
を設けた遊星歯車クラッチ機構において、
前記被回転規制部材は、前記太陽歯車、前記キャリア、前記内歯歯車のいずれか1つと駆動連結され、
前記切換手段は、前記ソレノイドの吸引力で、前記ばねの弾性力に抗して前記回転規制部材を回転規制解除状態、又は回転規制状態のいずれかに一方に切換えるように構成されており、
前記ばねが、その荷重−たわみ関係が弾性範囲内の非線形特性領域で変形しながら、前記回転規制部材と前記回動規制部材とが接触することを特徴とする遊星歯車クラッチ機構。
【請求項2】
請求項1に記載の遊星歯車クラッチ機構において、
前記ばねが、
圧縮コイルばねであることを特徴とする遊星歯車クラッチ機構。
【請求項3】
請求項1に記載の遊星歯車クラッチ機構において、
前記ばねが、
円錐コイルばねであることを特徴とする遊星歯車クラッチ機構。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一に記載の遊星歯車クラッチ機構において、
前記ばねが、
前記ソレノイドに有したプランジャの外周に設けられていることを特徴とする遊星歯車クラッチ機構。
【請求項5】
複数の回転体を1つの駆動源で駆動する駆動列を備え、転写紙等のシート上に画像を形成する画像形成装置において、
前記駆動列内に、請求項1乃至4のいずれか一に記載の遊星歯車クラッチ機構を設けていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記駆動列で駆動される複数の回転体に、潜像担持体と現像剤担持体とを含んでいることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−113971(P2013−113971A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258861(P2011−258861)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】