説明

遊星歯車減速装置および画像形成装置

【課題】耐久性を向上することができる遊星歯車減速装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】1段目の遊星歯車機構31の後段に2段目の遊星歯車機構32を接続して、モータMからの回転駆動力を1段目の遊星歯車機構31および2段目の遊星歯車機構32により減速させて、第2キャリア19に設けた出力軸20からドラム軸27に伝達する遊星歯車減速装置において、第2太陽歯車17の外径位置よりも、第1キャリアピン25の中心側外径縁を内側にしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊星歯車減速装置および画像形成装置に関し、詳しくは、感光体ドラムを有する電子写真方式の画像形成装置の駆動伝達系に用いる遊星歯車減速装置およびこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による複写機やプリンタ等の画像形成装置では、回転する円筒状の像担持体(以下感光体ドラムという)の表面に静電潜像を形成し、形成した静電潜像にトナーを付着させて現像し、このトナー画像を無端状ベルト(以下転写ベルトという)に1次転写し、さらに記録紙上に2次転写し、定着して画像を得るようにしている。
【0003】
ここで、高精度に一定速度で回転するべき感光体ドラムや一定速度に搬送するべき転写ベルトに速度変動が生じると出力された画像にジッタや濃度ムラが生じる。ある周波数で速度変動が継続すると画像全体に周期濃度ムラが生じ、縞模様のバンディングとして目視される。感光体ドラムの速度変動は書き込み系の露光ラインの副走査位置ずれを発生させる。同時に、転写ベルトへの1次転写時の副走査位置ずれを発生させる。転写ベルトの速度変動は、1次転写時と2次転写時の副走査位置ずれを発生させる。この速度変動に起因したバンディングにより画像品質が著しく低下してしまう。
【0004】
このような高精度駆動が要求される感光体ドラムや転写ベルトの駆動伝達部には、溶融樹脂を射出することに成形されたプラスチックギヤが利用されている。プラスチックギヤは金属ギヤに比べて、自己潤滑性があり、使用時の騒音が低く、軽量化を図ることができ、耐腐食性が高く、量産性が高い点で優れている。一方、耐久性(耐磨耗性)、高剛性、高精度といった点が劣っている。
【0005】
プラスチックギヤを用いても耐久性、剛性を高くするために、遊星歯車減速装置を駆動減速機として用いることが提案されている。遊星歯車減速装置は、同心状に配置した太陽歯車および内歯車と、これらの双方に噛合う複数の遊星歯車を有し、遊星歯車はキャリアによって回転支持され、自転および太陽歯車の回りに固定可能な状態となっている。出力軸の回転負荷を複数の遊星歯車が分散して伝達するため、歯車輪列の歯車装置よりも耐久性、伝達剛性に優れ、歯車の小型化が実現できる。例えば、小型化された駆動機構と駆動源であるモータを、感光体ドラムや転写ベルトの搬送ローラであるローラ部材の円筒内部に配置することで、大幅な小型化を実現する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
一般的に、複写機やプリンタ等の画像形成装置の感光体ドラムの駆動減速機において、歯車輪列の減速方式で使用される駆動モータ、および減速機は、回転精度、回転速度の要求仕様から以下の仕様のモータが使われている。方式:アウターロータ型DCブラシレスモータ。モータ回転数:1000rpmから2500rpm(但し、アウターロータ型DCブラシレスモータの効率を考えれば、回転数は3000rpmから5000rpmの方が望ましい)。モータ軸径:φ6(モータ軸の歯車がφ6より大きくなる場合は、段付き軸に加工を施す)。モータのアウターロータ径:φ40〜φ60程度。減速機の減速比:1/15〜1/20程度。また、感光体ドラムの径は、φ30〜φ60が主流である。
【0007】
一般的な2K−H型遊星歯車機構は、入力軸は太陽歯車に、出力軸(減速回転する)はキャリアにそれぞれ接続し、内歯歯車はケーシングに回転不能に固定され、複数の遊星歯車がキャリアに回転支持され、太陽歯車と内歯歯車に噛合う構成で、減速比は大きくできても、1/10程度である。
【0008】
しかし、2K−H型遊星歯車機構を2段にすることにより、減速機の減速比を1/20〜1/40に容易にでき、モータの効率の良い回転数での使用が可能となる。
【0009】
また、遊星歯車減速装置は複数の遊星歯車に荷重分配されて駆動されるが、遊星歯車数は3個が均等に配分されて、回転精度も良いことが知られている。
【0010】
さらに、遊星歯車減速装置の外形をモータの外形および感光体ドラムの外形相当、あるいは以下にすることによって、小型化のメリットが発揮できる。
【0011】
また、近年、複写機、プリンタ、の印写速度の高速化が進み、駆動減速機の更なる高耐久が要求されるようになっている。また、高画質化のために、重合トナーが使用されることが多く、感光体ドラムのクリーニングブレード負荷の増加により、駆動減速機に対する負荷トルクが大きくなっている。
【0012】
それに対して、遊星歯車減速装置を多段の高減速比にして、高効率なモータ回転数で使用することが考えられる。構成を簡素化するために各段の遊星歯車と噛み合う内歯歯車を共通化、各段の遊星歯車の共通化、太陽歯車も同じ歯数にて共通化するのが一般的である(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、出力軸に近い最終段の遊星歯車機構に大きな負荷トルクがかかり、その中でも太陽歯車に最も大きな負荷トルクがかかることになる。したがって、特許文献2のような構成では、最終段の太陽歯車の磨耗が最も早く進行するため、耐久性を向上させるには不十分であった。
【0014】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、耐久性を向上することができる遊星歯車減速装置および画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る遊星歯車減速装置は、第1太陽歯車と、前記第1太陽歯車と同軸上で配設された第1内歯歯車と、前記第1内歯歯車内に円周方向で等間隔に配設され前記第1太陽歯車と前記第1内歯歯車とに噛み合う複数の第1遊星歯車と、前記第1遊星歯車を第1キャリアピンで回転自在に支持するとともに前記第1太陽歯車および前記第1内歯歯車と同軸上で回転自在な第1キャリアと、からなる第1遊星歯車機構と、第2太陽歯車と、前記第2太陽歯車と同軸上で配設された第2内歯歯車と、前記第2内歯歯車内に円周方向で等間隔に配設され前記第2太陽歯車と前記第2内歯歯車とに噛み合う複数の第2遊星歯車と、前記第2遊星歯車を第2キャリアピンで回転自在に支持するとともに前記第2太陽歯車および前記第2内歯歯車と同軸上で回転自在な第2キャリアと、からなる第2遊星歯車機構と、を備え、前記第1遊星歯車機構の後段に前記第2遊星歯車機構を接続して、駆動源からの回転駆動力を前記第1遊星歯車機構および前記第2遊星歯車機構により減速させて、前記第2キャリアに設けた出力軸から回転体に伝達する遊星歯車減速装置において、前記第2太陽歯車の外径位置よりも、前記第1キャリアピンの中心側外径縁を内側にしたことを特徴とする。
【0016】
この構成により、第2太陽歯車を大径にでき、耐久性を向上することができる。また、回転を精度良く伝達する効果、および量産性が良く簡易な構成にする効果もある。
【0017】
また、本発明に係る遊星歯車減速装置は、前記出力軸の外径位置よりも、前記第2キャリアピンの中心側外径縁位置を内側にしたことを特徴とする。
【0018】
この構成により、出力軸を大径にでき、ねじり剛性が高くなり、高負荷トルクに対しても対応可能となる。
【0019】
また、本発明に係る遊星歯車減速装置は、前記第1太陽歯車を前記駆動源の駆動軸に直接歯切りして形成し、前記第1内歯歯車と前記第2内歯歯車とを共通の1つの部材から構成し、前記第1キャリアピンおよび前記第2キャリアピンを金属材料から構成するとともに、残りの他の部材を樹脂材料から構成したことを特徴とする。
【0020】
この構成により、第1キャリアピンおよび第2キャリアピンの他の部材を樹脂材料から構成することで、樹脂成形によって低コストで大量生産が可能となる。
【0021】
また、本発明に係る遊星歯車減速装置は、前記第2太陽歯車における前記第1キャリアピン側の端部に、凹形状のニゲ部を形成し、前記第2太陽歯車と前記第1キャリアピンとのオーバーラップ部に空間を設けたことを特徴とする。
【0022】
この構成により、成型時の熱収縮に差が生じるなどの影響で第2太陽歯車の歯形精度が悪くなることを防止することができる。
【0023】
また、本発明に係る遊星歯車減速装置は、前記出力軸における前記第2キャリアピン側の端部に、凹形状のニゲ部を形成し、前記出力軸と前記第2キャリアピンとのオーバーラップ部に空間を設けたことを特徴とする。
【0024】
この構成により、歯形形状やスプライン形状の精度を悪化させることなく樹脂成形が可能となる。
【0025】
また、本発明に係る遊星歯車減速装置は、前記第2遊星歯車の個数を、前記第1遊星歯車の個数よりも多くしたことを特徴とする。
【0026】
この構成により、各第2遊星歯車にかかる負荷を小さくすることができる。
【0027】
また、本発明に係る遊星歯車減速装置は、前記第1遊星歯車機構が前記第1遊星歯車を3個備えるとともに、前記第2遊星歯車機構が前記第2遊星歯車を4個備えることを特徴とする。
【0028】
この構成により、各第2遊星歯車にかかる負荷を小さくすることができる。
【0029】
また、本発明に係る遊星歯車減速装置は、前記第1キャリアおよび前記第2キャリアが、回転支持部を有さず、浮動回転を行うことを特徴とする。
【0030】
この構成により、調心がより効果的に発揮されて、精度良く回転伝達される。
【0031】
また、本発明に係る遊星歯車減速装置は、前記出力軸と前記回転体とをスプラインカップリングで連結したことを特徴とする。
【0032】
この構成により、出力軸に対して回転体を容易に着脱することができる。
【0033】
また、本発明に係る画像形成装置は、回転体を備えた画像形成装置において、前記回転体を駆動する駆動源と、前記駆動源の回転速度を減速して前記回転体へ伝達する減速手段とを備え、
前記減速手段として、請求項1乃至請求項9の何れかに記載の遊星歯車減速装置を備えたことを特徴とする。
【0034】
この構成により、前記の遊星歯車減速装置を備える画像形成装置において、第2太陽歯車を大径にでき、耐久性を向上することができる。
【0035】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記回転体が、電子写真方式における静電潜像が形成される像担持体であることを特徴とする。
【0036】
この構成により、回転体として像担持体を備える画像形成装置において、第2太陽歯車を大径にでき、耐久性を向上することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、耐久性を向上することができる遊星歯車減速装置および画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の画像形成部全体の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る遊星歯車減速装置を感光体ドラムの駆動に用いた状態を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る遊星歯車減速装置の具体的構成を示す部分断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る遊星歯車減速装置の各部材の径を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る遊星歯車減速装置の1段目の遊星歯車機構を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る遊星歯車減速装置の2段目の遊星歯車機構を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る遊星歯車減速装置の1段目の遊星歯車機構において、遊星歯車を4個配置しようとした場合を示す断面図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る遊星歯車減速装置の1段目の遊星歯車機構を示す斜視図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係る遊星歯車減速装置の2段目の遊星歯車機構を示す斜視図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係る遊星歯車減速装置の断面図であり、第2太陽歯車の根本および出力軸の根本にニゲ部を形成した状態を示す図である。
【図11】本発明の一実施の形態に係る遊星歯車減速装置の第1キャリアの正面図である。
【図12】本発明の一実施の形態に係る遊星歯車減速装置を転写ベルトの駆動に用いた状態を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
初めに、図面を参照した説明に先立って、実施の形態の概要について説明する。
【0040】
遊星歯車減速装置に用いられる歯車は量産性を考えると樹脂成型品が望ましいが、金属に比べて耐摩耗性、すなわち耐久性に劣る。
【0041】
そこで、出願人は簡素な構成で耐久性を向上させるために、遊星歯車減速装置を以下のように構成した。
【0042】
駆動源として、複写機やプリンタに最も多く使われて汎用性の高いモータ軸径がφ6のアウターロータ型DCブラシレスモータを使用し、金属材質であるモータ軸に直接歯切りして第1太陽歯車として用いる。
【0043】
耐久性の向上に関して、まず1つは、第1太陽歯車は金属材料になるので問題ない。次に、第1遊星歯車は数を増やすことが考えられるが、1段目の遊星歯車機構にかかる負荷トルクは小さいことと、太陽歯車にモータ軸φ6に歯切りすることを前提条件とすると、その周りに配置できる遊星歯車の数は3個が限度であること、また3個配置できれば遊星歯車にかかる荷重が均等に配分されて回転精度も良くなることから、遊星歯車の数を3個配置する。
【0044】
最終段の遊星歯車機構に最も大きな負荷トルクがかかるが、遊星歯車機構を2段備える本実施の形態では2段目に最も大きな負荷トルクがかかることになる。その中でも回転中心にある第2太陽歯車に最も大きな負荷トルクがかかる。そこで第2太陽歯車の径を大きくするほど、歯にかかる力は小さくできるので、第1太陽歯車の歯数より第2太陽歯車の歯数が多くなるよう構成し、第2太陽歯車の径を大きくし、第2太陽歯車の出力軸を大径にした。さらに、第2遊星歯車の耐久性向上策として遊星歯車の数を3個から4個に増やして1個の遊星歯車にかかる負荷を小さくする構成とした。これは、第2太陽歯車の歯数を増やして径を大きくしたから可能となったことである。
【0045】
本実施の形態では、第2太陽歯車の径を大きくする構成を、第1キャリアピンが第2太陽歯車の外径よりも中心方向に位置するようにしたことで達成している。
【0046】
また、上記構成では第2太陽歯車の歯形部と第1キャリアピンの穴とが干渉するため、樹脂成形で量産する場合においては、成型時の熱収縮に差が生じるなどの影響により、第2太陽歯車の歯形精度が悪くなる。その解決策として、第2太陽歯車の根本部分にニゲ部を設ける構成とした。
【0047】
以上のように、各歯車にかかる力を小さくして、歯の磨耗を小さく抑えることによって、耐久性の向上を達成した。
【0048】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0049】
まず、構成について説明する。
【0050】
図1は、画像形成装置の構成について説明する図である。以下、本発明を、画像形成装置である電子写真方式のカラー複写機(以下、「複写機」という。)に適用した一実施の形態について説明する。なお、本実施の形態における画像形成装置は、いわゆるタンデム式の画像形成装置であって、乾式2成分現像剤を用いた乾式2成分現像方式を採用したものである。
【0051】
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置の画像形成部全体の概略構成図である。画像形成装置100は、図示しない画像読取部から画像情報である画像データを受け取って画像形成処理を行う。この画像形成装置100には、図に示すように、イエロー(以下、「Y」と省略する。)、マゼンタ(以下、「M」と省略する。)、シアン(以下、「C」と省略する。)、ブラック(以下、「Bk」と省略する。)の各色用の4個の回転体としての潜像担持体である感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkが並設されている。これら感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkは、駆動ローラを含む回転可能な複数のローラに支持された無端ベルト状の中間転写ベルト5に接触するように、そのベルト移動方向に沿って並んで配置されている。また、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkの周りには、それぞれ、帯電器2Y、2M、2C、2Bk、各色対応の現像装置9Y、9M、9C、9Bk、クリーニング装置4Y、4M、4C、4Bk、除電ランプ3Y、3M、3C、3Bk等の電子写真プロセス用部材がプロセス順に配設されている。
【0052】
本実施の形態に係る画像形成装置100でフルカラー画像を形成する場合、後述する駆動装置10(図2参照)により、感光体ドラム1Yを図中矢印の方向に回転駆動しながら帯電器2Yで一様に帯電した後、図示しない光書込装置からの光ビームLYを照射して感光体ドラム1Y上にY静電潜像を形成する。このY静電潜像は、現像装置9Yにより、現像剤中のYトナーにより現像される。現像時には、現像ローラと感光体ドラム1Yとの間に所定の現像バイアスが印加され、現像ローラ上のYトナーは、感光体ドラム1Y上のY静電潜像部分に静電吸着する。
【0053】
このように現像されて形成されたYトナー像は、感光体ドラム1Yの回転に伴い、感光体ドラム1Yと中間転写ベルト5とが接触する1次転写位置に搬送される。この1次転写位置において、中間転写ベルト5の裏面には、1次転写ローラ6Yにより所定のバイアス電圧が印加される。そして、このバイアス印加によって発生した1次転写電界により、感光体ドラム1Y上のYトナー像を中間転写ベルト5側に引き寄せ、中間転写ベルト5上に1次転写する。以下、同様にして、Mトナー像、Cトナー像、Bkトナー像も、中間転写ベルト5上のYトナー像に順次重ね合うように1次転写される。
【0054】
このように、中間転写ベルト5上に4色重なり合ったトナー像は、中間転写ベルト5の回転に伴い、2次転写ローラ7と対向する2次転写位置に搬送される。また、この2次転写位置には、図示しないレジストローラにより所定のタイミングで転写紙が搬送される。そして、この2次転写位置において、2次転写ローラ7により転写紙の裏面に所定のバイアス電圧が印加され、そのバイアス印加により発生した2次転写電界および2次転写位置での当接圧により、中間転写ベルト5上のトナー像が転写紙上に一括して2次転写される。その後、トナー像が2次転写された転写紙は、定着ローラ対8により定着処理がなされた後に装置外に排出される。
【0055】
図2は、遊星歯車減速装置を備える駆動装置の説明図である。
【0056】
図1で説明した感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkは、以下に説明する遊星歯車減速装置が付いた駆動装置により回転駆動されている。各感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkを駆動する駆動装置は、同一構成であるので、感光体ドラム1Yの駆動装置について説明する。なお、以下に説明する駆動装置は、中間転写ベルトの駆動ローラの駆動等にも適用可能である。
【0057】
この感光体ドラム1Yの軸方向の端部には、その感光体ドラム1Yを回転支持するドラムフランジ1Aとドラム軸27が固定されている。感光体ドラム1Yと帯電器2Y、現像装置9Y、クリーニング装置4Y、除電ランプ3Y等を収容する感光体ドラムユニットDYに設置されたドラム軸受1Bにより回転支持されている。ドラム軸27は、画像形成装置100の本体側板50の軸受によっても回転自在に支持されており、駆動側板51に支持される遊星歯車減速装置30の出力軸20の回転力がジョイント(カップリング)によりドラム軸27に伝達されるように構成されている。感光体ドラムユニットDYは、本体側板50に対し脱着可能であり、装着の際には、図示しないレースガイドで所定の場所へ誘導される。上記のジョイントは、感光体ドラム1Yの交換を可能にするため、出力軸20に対するドラム軸27の着脱が容易な構成となっている。遊星歯車減速装置30は、本体機構固定ネジ52によって駆動側板51に固定されている。また、内歯歯車14は、内歯固定ネジ53によってフランジ54に回転不能に固定されており、フランジ54の反対側にはモータMが固定されている。このフランジ54によって内歯歯車14はモータ回転に対して、回転不能に固定される。モータMおよび遊星歯車減速装置30は、駆動装置10を構成する。
【0058】
図2において、感光体ドラムの着脱について説明する。
【0059】
被駆動部材である感光体ドラム1Yの端部には、ドラムフランジ1Aが固定されており、感光体ドラム1Yと一体で回転するようになっている。
【0060】
ドラムフランジ1Aは、感光体ドラム1Yを収容する感光体ドラムユニットDYに設置されたドラム軸受1Bにより回転支持されている。感光体ドラムユニットDYは、本体側板50に対し脱着可能であり、装着の際には、図示しないレースガイドで所定の場所へ誘導される。
【0061】
本体側板50には、ドラム軸受1Bが挿入される浅い嵌合部50Aが設けられており、図示しない位置決めピンの2箇所で感光体ドラムユニットDYの位置が決定される。ドラム軸受1Bの支持部と本体側板50とはインローで嵌合されることで、感光体ドラム1Yと駆動装置10における遊星歯車減速装置30との同軸精度が確保される。
【0062】
ドラム軸27のスプライン状の外歯21(図3参照)と出力軸20との嵌合部は、スプライン形状のため、感光体ドラムユニットDYをドラム軸27方向に本体側板50から引き出すだけで、第2キャリア19の出力軸20からドラム軸27に形成されたスプライン状の外歯21(連結部)の切り離しが可能となる。つまり、ドラム軸27のスプライン状の外歯21は、第2キャリア19の出力軸20に対して容易に着脱できる部材に相当していることになる。
【0063】
図3は、具体的な遊星歯車減速装置について説明する図である。
【0064】
図2に示す駆動装置に用いられる遊星歯車機構は、2K−H型の2段構成の遊星歯車機構が用いられており、その基本構成を図3に示す。
【0065】
遊星歯車減速装置30は、1段目の遊星歯車機構31と2段目の遊星歯車機構32とからなり、1段目の遊星歯車機構31は、第1太陽歯車12、第1遊星歯車15、第1キャリア16を備え、2段目の遊星歯車機構32は、第2太陽歯車17、第2遊星歯車18、第2キャリア19を備えている。また、1段目の遊星歯車機構31と2段目の遊星歯車機構32は、共通の1つの内歯歯車14を備えている。すなわち、1段目の遊星歯車機構31と2段目の遊星歯車機構32は、1つの内歯歯車14を共有している。
【0066】
遊星歯車減速装置30において、駆動源であるモータMの回転軸M1に第1太陽歯車12を直接歯切りし、この第1太陽歯車12および内歯固定フランジ24に固定された内歯歯車14に噛み合う1段目の第1遊星歯車15が、1段目の第1キャリア16により支持されて第1太陽歯車12の外周を公転するようになっている。第1遊星歯車15は回転バランスとトルク分担のために同心状に3箇所が配置される。本実施の形態では、周方向で3等分された位置にそれぞれ第1遊星歯車15が配置されている。各第1遊星歯車15は、第1キャリア16に設けられた第1キャリアピン25に支持されて自転する。
【0067】
第1遊星歯車15は、第1太陽歯車12と内歯歯車14との噛合いにより、自転および公転回転し、第1遊星歯車15を支持する第1キャリア16は、第1太陽歯車12の回転に対し減速回転し、1段目の減速比が獲得される。
【0068】
次に、この第1キャリア16の回転中心に設けられた第2太陽歯車17が2段目の遊星歯車機構32の入力となる。第1キャリア16に回転支持部はなく、浮動回転を行うようになっている。すなわち、第1キャリア16はケーシングに回動自在に浮動支持されている。
【0069】
同様に、2段目の第2太陽歯車17には2段目まで一体で形成された内歯歯車14に噛み合う2段目の第2遊星歯車18が2段目の第2キャリア19により支持されて2段目の第2太陽歯車17の外周を公転するようになっている。本実施の形態では、周方向で4等分された位置にそれぞれ第2遊星歯車18が配置されている。各第2遊星歯車18は、第2キャリア19に設けられた第2キャリアピン26に支持されて自転する。最終段に相当する2段目の第2キャリア19には、円筒形状の出力軸20が設けられており、出力軸20の内面にはスプライン状の内歯20Aが形成されている。一方、ドラム軸27には、スプライン状の内歯20Aに噛み合うようにスプライン状の外歯21が形成されている。
【0070】
2K−H型遊星歯車機構に用いられる1つのユニットは、太陽歯車(Sun Gear)、遊星歯車(PlanetarY Gear)、遊星歯車の公転運動を支持する遊星キャリア(PlanetarY Carrier)、内歯歯車(Outer Gear)の4点の部品から構成されている。太陽歯車の回転、遊星歯車の公転(キャリアの回転)、外輪歯車の回転の3つの要素の内、1つを固定、1つを入力、1つを出力に接続する。それぞれ、どれを入出力・固定に割り当てるかによって、1つのユニットで複数の減速比や回転方向の切替えが可能である。
【0071】
本実施の形態において対象とする2K−H型の2段構造は、複合遊星歯車機構(2個以上の2K−H型)に分類され、2個以上の2K−H型のそれぞれの3本の基本軸のうち2本の基本軸同士を結合し、残りの基本軸の1本を固定し、他の1軸を駆動軸または従動軸とする機構となる。
【0072】
減速比に関しては、太陽歯車の歯数をZa、遊星歯車の歯数をZb、内歯車の歯数をZcとした場合に、次の式で表される。なお、式中の添え字1、2は1段目、2段目を意味している。
【0073】
減速比=Za1 /(Za1+Zc1)×Za2 /(Za2+Zc2)
上述したモータMの回転軸M1は、2個の軸受け(不図示)を介してモータ固定フランジ13により支持されている。モータMの回転軸M1を支持することでDCブラシレスモータの回転子であるアウター型ロータを支持することになる。モータ固定フランジ13には、図示しないモータの固定子鉄心やモータ駆動回路基板23等も設置されている。
【0074】
内歯歯車14を有する内歯固定フランジ24は、モータ固定フランジ13に対してネジ(不図示)によって固定されている。なお、図2のフランジ54は、内歯固定フランジ24とモータ固定フランジ13の両方に相当するものであり、内歯固定フランジ24とモータ固定フランジ13とをフランジ54として一体形成してもよい。
【0075】
モータ固定フランジ13は、十分な強度となるように5mm程度の金属板を用いている。モータMの回転軸M1には第1太陽歯車12が歯切りで形成されており、第1太陽歯車12の軸と内歯歯車14の軸との同軸精度を確保するために、内歯歯車14とモータ固定フランジ13はインローによる嵌合で位置決めされている。
【0076】
内歯歯車14におけるモータ固定フランジ13と反対側の端部には、ネジによりエンドキャップ22が締結されている。
【0077】
エンドキャップ22は、遊星減速機構を駆動側板に組付ける際に、内歯歯車14内に設置されている第1遊星歯車15、第2遊星歯車18、第1キャリア16、第2キャリア19、および出力軸20が内歯歯車14から脱落するのを防止するための部材として用いられている。エンドキャップ22と第2キャリア19の出力軸20には十分なクリアランスがあり、エンドキャップ22は第2キャリア19を回転支持しておらず、第2キャリア19が浮動回転を行うようになっている。すなわち、第2キャリア19はケーシングに回動自在に浮動支持されている。
【0078】
上記のように、第2キャリア19を浮動支持するとともに、出力部として出力軸20の内面にスプライン状の内歯20Aを形成し、一方、ドラム軸27に、スプライン状の内歯20Aに噛み合うように、スプライン状の外歯21を形成してスプラインカップリングすることにより、調心がより効果的に発揮されて、精度良く回転伝達される。
【0079】
以上の遊星歯車減速装置において、モータMの回転軸M1に直接歯切りされた第1太陽歯車12と、第1キャリアピン25、第2キャリアピン26は金属材料、例えばステンレス、炭素鋼などからなり、その他の第1遊星歯車15、第1キャリア16および一体で構成された第2太陽歯車17、第2遊星歯車18、第2キャリア19および一体で構成された出力部のスプライン状の内歯20A、第1遊星歯車15と第2遊星歯車18と噛み合う共通歯車仕様でハウジングケースと一体で構成された内歯歯車14は樹脂材料、例えばポリアセタールなどの成型品で構成されている。
【0080】
図4は、発明の特徴部の構成について説明する図である。
【0081】
図4は、図3の遊星歯車減速機構を拡大した図である。各構成歯車と各キャリアピンと出力軸の外径を以下の記号で表す。
【0082】
Ds1:第1太陽歯車ピッチ円径。Dp1:第1遊星歯車ピッチ円径。Dcp1:第1キャリアピン径。Ds2:第2太陽歯車ピッチ円径。m:歯車のモジュール。Dsc:出力軸径。Dp2:第2遊星歯車ピッチ円径。Dcp2:第2キャリアピン径。
【0083】
本実施の形態では、1段目の遊星歯車機構31と2段目の第2太陽歯車17を、下記の第1式の関係とした。
【0084】
第1式:Ds2/2+m>(Ds1+Dp1)/2−Dcp1/2
すなわち、第2太陽歯車17の外径位置よりも第1キャリアピン25の中心側外径縁の方が内側になる構成とした。換言すると、第2太陽歯車17の外径を、第1キャリアピン25の中心側外径縁より大きくした。このため、第2太陽歯車17を大径にでき、耐久性を向上できる。
【0085】
次に、2段目の遊星歯車機構32と出力軸を、下記の第2式の関係とした。
【0086】
第2式:Dsc/2<(Ds2+Dp2)/2−Dcp2/2
すなわち、第2キャリア19に設けた出力軸20の外径位置よりも第2キャリアピン26の中心側外径縁の方が内側になる構成とした。換言すると、出力軸20の外径を、第2キャリアピン26の中心側外径縁より大きくした。このため、出力軸20を大径にでき、ねじり剛性が高くなり、高負荷トルクに対しても対応可能となる。
【0087】
図5、図6、図7は、1段目と2段目の遊星歯車の数と太陽歯車の径について説明する図である。
【0088】
図5は、1段目の遊星歯車機構31の各歯車の配置を示した図である。第1太陽歯車12はモータMの回転軸M1に直接歯切りしているので、外径がφ6mm以下となり、その回りに第1遊星歯車15が3個等分に配置されている。これは、第1太陽歯車12の外径が小さいので、仮に、図7に示すように、第1遊星歯車15を4個配置しようとすると、第1遊星歯車15同士が干渉して配置できないためである。
【0089】
図6は、2段目の遊星歯車機構32の各歯車の配置を示した図である。第2太陽歯車17は第1太陽歯車12より歯数を多くしているため、外径が第1太陽歯車12より大きくなっている。したがって、第2遊星歯車18はお互いが干渉することなく、4個等分に配置することができる。内歯歯車14については1段目と2段目は共通となっている
図8、図9は、1段目と2段目のキャリアと遊星歯車構成について説明する図である。
【0090】
キャリアピンにはキャリアを回転させるためのラジアル荷重が発生する。そのため、片持ち構造のキャリアは、キャリアピンの傾斜が発生しやすく、回転伝達精度を悪化させてしまう。一方、両持ちキャリア構造ではキャリアピンの傾斜は発生しにくい利点がある。特にキャリアの材質を樹脂した場合には、両軸持ち構造を採用することで高剛性化は顕著である。キャリアを樹脂で成形することは、射出成形によって低コストで大量生産が可能となる。
【0091】
図8、図9において、第1キャリア16および第2キャリア19は、両軸持ちの構成となっている。
【0092】
まず、図8において、第1キャリア16は、第1遊星歯車15を支持する第1キャリアピン25の両端部をキャリア側板Aとキャリア側板Bの2枚の側板で支持する構成となっている。1段目は遊星歯車が3個配置されており、キャリア側板Aとキャリア側板Bとは3本のキャリア支柱28によって固定されている。第1遊星歯車15の公転回転が第1キャリア16全体の回転となり、キャリア側板Aの同軸上に一体で構成された第2太陽歯車17に回転が伝達される。図4で説明した第1式の構成においては、第1キャリアピン25と第2太陽歯車17がオーバーラップしている構成となっている。
【0093】
図9において、第2キャリア19は、第1キャリア16と同様の構成であるが、第2遊星歯車18およびキャリア支柱28の数が4個となっている。また第2キャリア19のキャリア側板Aの同軸上に一体で構成されたキャリア出力部には、スプライン状の内歯20Aが形成された出力軸20が形成されている。図4で説明した第2式の構成においては、第2キャリアピン26と出力軸がオーバーラップしている構成となっている。
【0094】
図10、図11は、発明の特徴部の構成を説明する図である。
【0095】
図10について説明する。第2太陽歯車17の第1キャリア16側の根本部分(端部)の第1キャリアピン25と重なっている領域に空間を構成する凹形状のニゲ部17aを設けている。ニゲ部17aは第2太陽歯車17の根本部分の全周に渡って設けられているのが好ましい。
【0096】
また、出力軸20の第2キャリア19側の根本部分(端部)の第2キャリアピン26と重なっている領域に空間を構成するニゲ部20aを設けている。ニゲ部20aの空間は第2太陽歯車17の根本部分の全周に渡って設けられているのが好ましい。
【0097】
このように、第1キャリアピン25や第2キャリアピン26と干渉する根本部分(端部)をニゲることによって、歯形形状やスプライン形状の精度を悪化させることなく樹脂成形が可能となる。
【0098】
図11は、キャリアピンを支持するU溝の構成を示している。
【0099】
第1キャリア16は、第1キャリアピン25を支持する支持部としてU字形状のU溝16aを形成することにより、樹脂成形するときの量産性が良くなる。具体的には、金型のスライドコアによりサイドから成型可能となる。なお、第2キャリア19についても同様に構成することができる。
【0100】
図12は、転写ベルトを駆動する遊星歯車減速装置について説明する図である。
【0101】
転写ベルト41は、例えば、図1で説明した電子写真方式の画像形成装置100が備える中間転写ベルト5に相当するものであり、駆動ローラ42とその他複数の図示しない従動ローラおよびテンションローラに張架されおり、駆動ローラ42の回転が、駆動ローラ42と転写ベルト41間のフリクションによって転写ベルト41に伝達されて搬送される。
【0102】
駆動ローラ42に設けられた駆動ローラ軸43と遊星歯車減速装置30の出力軸20は、感光体ドラム1Yと同様にスプラインカップリング連結されており、モータMの回転が遊星歯車減速装置30で減速されて駆動ローラ42へ伝達される。
【0103】
以上のように、本実施の形態に係る遊星歯車減速装置30は、第1太陽歯車12と、第1太陽歯車12と同軸上で配設された内歯歯車14と、内歯歯車14内に円周方向で等間隔に配設され第1太陽歯車12と内歯歯車14とに噛み合う複数の第1遊星歯車15と、第1遊星歯車15を第1キャリアピン25で回転自在に支持するとともに第1太陽歯車12および内歯歯車14と同軸上で回転自在な第1キャリア16と、からなる1段目の遊星歯車機構31と、第2太陽歯車17と、第2太陽歯車17と同軸上で配設された内歯歯車14と、内歯歯車14内に円周方向で等間隔に配設され第2太陽歯車17と内歯歯車14とに噛み合う複数の第2遊星歯車18と、第2遊星歯車18を第2キャリアピン26で回転自在に支持するとともに第2太陽歯車17および内歯歯車14と同軸上で回転自在な第2キャリア19と、からなる2段目の遊星歯車機構32と、を備え、1段目の遊星歯車機構31の後段に2段目の遊星歯車機構32を接続して、モータMからの回転駆動力を1段目の遊星歯車機構31および2段目の遊星歯車機構32により減速させて、第2キャリア19に設けた出力軸20からドラム軸27に伝達する遊星歯車減速装置において、第2太陽歯車17の外径位置よりも、第1キャリアピン25の中心側外径縁を内側にしたことを特徴とする。
【0104】
この構成により、第2太陽歯車17を大径にでき、耐久性を向上することができる。また、回転を精度良く伝達する効果、および量産性が良く簡易な構成にする効果もある。
【0105】
また、本実施の形態に係る遊星歯車減速装置30は、出力軸20の外径位置よりも、第2キャリアピン26の中心側外径縁位置を内側にしたことを特徴とする。
【0106】
この構成により、出力軸20を大径にでき、ねじり剛性が高くなり、高負荷トルクに対しても対応可能となる。
【0107】
また、本実施の形態に係る遊星歯車減速装置30は、第1太陽歯車12をモータMの回転軸M1に直接歯切りして形成し、1段目の遊星歯車機構31と2段目の遊星歯車機構32とが共通の1つの内歯歯車14を備え、第1キャリアピン25および第2キャリアピン26を金属材料から構成するとともに、残りの他の部材を樹脂材料から構成したことを特徴とする。
【0108】
この構成により、第1キャリアピン25および第2キャリアピン26の他の部材を樹脂材料から構成することで、樹脂成形によって低コストで大量生産が可能となる。
【0109】
また、本実施の形態に係る遊星歯車減速装置30は、第2太陽歯車17における第1キャリアピン25側の端部に、凹形状のニゲ部17aを形成し、第2太陽歯車17と第1キャリアピン25とのオーバーラップ部に空間を設けたことを特徴とする。
【0110】
この構成により、成型時の熱収縮に差が生じるなどの影響で第2太陽歯車17の歯形精度が悪くなることを防止することができる。
【0111】
また、本実施の形態に係る遊星歯車減速装置30は、出力軸20における第2キャリアピン26側の端部に、凹形状のニゲ部20aを形成し、出力軸20と第2キャリアピン26とのオーバーラップ部に空間を設けたことを特徴とする。
【0112】
この構成により、歯形形状やスプライン形状の精度を悪化させることなく樹脂成形が可能となる。
【0113】
また、本実施の形態に係る遊星歯車減速装置30は、第2遊星歯車18の個数を、第1遊星歯車15の個数よりも多くしたことを特徴とする。
【0114】
この構成により、各第2遊星歯車18にかかる負荷を小さくすることができる。
【0115】
また、本実施の形態に係る遊星歯車減速装置30は、1段目の遊星歯車機構31が第1遊星歯車15を3個備えるとともに、2段目の遊星歯車機構32が第2遊星歯車18を4個備えることを特徴とする。
【0116】
この構成により、各第2遊星歯車18にかかる負荷を小さくすることができる。
【0117】
また、本実施の形態に係る遊星歯車減速装置30は、第1キャリア16および第2キャリア19が、回転支持部を有さず、浮動回転を行うことを特徴とする。
【0118】
この構成により、調心がより効果的に発揮されて、精度良く回転伝達される。
【0119】
また、本実施の形態に係る遊星歯車減速装置30は、出力軸20とドラム軸27とをスプラインカップリングで連結したことを特徴とする。
【0120】
この構成により、出力軸20に対してドラム軸27を容易に着脱することができる。
【0121】
また、本実施の形態に係る画像形成装置100は、回転体としてのドラム軸27を備えた画像形成装置において、ドラム軸27を駆動する駆動源としてのモータMと、モータMの回転速度を減速して回転体へ伝達する減速手段とを備え、減速手段として、前述の遊星歯車減速装置30を備えたことを特徴とする。
【0122】
この構成により、上記の遊星歯車減速装置30を備える画像形成装置100において、第2太陽歯車17を大径にでき、耐久性を向上することができる。
【0123】
また、本実施の形態に係る画像形成装置100は、回転体が、電子写真方式における静電潜像が形成されるドラム軸27(これと一体回転する感光体ドラム1Yを含む)であることを特徴とする。
【0124】
この構成により、回転体としてドラム軸27、感光体ドラム1Yを備える画像形成装置100において、第2太陽歯車17を大径にでき、耐久性を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
以上説明したように、本発明に係る遊星歯車減速装置および画像形成装置は、耐久性を向上することができるという効果を有し、感光体ドラムを有する電子写真方式の画像形成装置の駆動伝達系に用いる遊星歯車減速装置および画像形成装置として有用である。
【符号の説明】
【0126】
1Y、1M、1C、1Bk 感光体ドラム(回転体)
10 駆動装置
12 第1太陽歯車
13 モータ固定フランジ
14 内歯歯車(第1内歯歯車、第2内歯歯車)
15 第1遊星歯車
16 第1キャリア
16a U溝
17 第2太陽歯車
17a、20a ニゲ部
18 第2遊星歯車
19 第2キャリア
20 出力軸
20A 内歯
21 外歯
24 内歯固定フランジ
25 第1キャリアピン
26 第2キャリアピン
27 ドラム軸(回転体)
30 遊星歯車減速装置
31 遊星歯車機構(第1遊星歯車機構)
32 遊星歯車機構(第2遊星歯車機構)
100 画像形成装置
M モータ(駆動源)
M1 回転軸(駆動軸)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0127】
【特許文献1】特開2008−151868号公報
【特許文献2】特開2001−173733号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1太陽歯車と、前記第1太陽歯車と同軸上で配設された第1内歯歯車と、前記第1内歯歯車内に円周方向で等間隔に配設され前記第1太陽歯車と前記第1内歯歯車とに噛み合う複数の第1遊星歯車と、前記第1遊星歯車を第1キャリアピンで回転自在に支持するとともに前記第1太陽歯車および前記第1内歯歯車と同軸上で回転自在な第1キャリアと、からなる第1遊星歯車機構と、
第2太陽歯車と、前記第2太陽歯車と同軸上で配設された第2内歯歯車と、前記第2内歯歯車内に円周方向で等間隔に配設され前記第2太陽歯車と前記第2内歯歯車とに噛み合う複数の第2遊星歯車と、前記第2遊星歯車を第2キャリアピンで回転自在に支持するとともに前記第2太陽歯車および前記第2内歯歯車と同軸上で回転自在な第2キャリアと、からなる第2遊星歯車機構と、を備え、
前記第1遊星歯車機構の後段に前記第2遊星歯車機構を接続して、駆動源からの回転駆動力を前記第1遊星歯車機構および前記第2遊星歯車機構により減速させて、前記第2キャリアに設けた出力軸から回転体に伝達する遊星歯車減速装置において、
前記第2太陽歯車の外径位置よりも、前記第1キャリアピンの中心側外径縁を内側にしたことを特徴とする遊星歯車減速装置。
【請求項2】
前記出力軸の外径位置よりも、前記第2キャリアピンの中心側外径縁位置を内側にしたことを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車減速装置。
【請求項3】
前記第1太陽歯車を前記駆動源の駆動軸に直接歯切りして形成し、
前記第1内歯歯車と前記第2内歯歯車とを共通の1つの部材から構成し、
前記第1キャリアピンおよび前記第2キャリアピンを金属材料から構成するとともに、残りの他の部材を樹脂材料から構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊星歯車減速装置。
【請求項4】
前記第2太陽歯車における前記第1キャリアピン側の端部に、凹形状のニゲ部を形成し、前記第2太陽歯車と前記第1キャリアピンとのオーバーラップ部に空間を設けたことを特徴とする請求項3に記載の遊星歯車減速装置。
【請求項5】
前記出力軸における前記第2キャリアピン側の端部に、凹形状のニゲ部を形成し、前記出力軸と前記第2キャリアピンとのオーバーラップ部に空間を設けたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の遊星歯車減速装置。
【請求項6】
前記第2遊星歯車の個数を、前記第1遊星歯車の個数よりも多くしたことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の遊星歯車減速装置。
【請求項7】
前記第1遊星歯車機構が前記第1遊星歯車を3個備えるとともに、前記第2遊星歯車機構が前記第2遊星歯車を4個備えることを特徴とする請求項6に記載の遊星歯車減速装置。
【請求項8】
前記第1キャリアおよび前記第2キャリアが、回転支持部を有さず、浮動回転を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の遊星歯車減速装置。
【請求項9】
前記出力軸と前記回転体とをスプラインカップリングで連結したことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の遊星歯車減速装置。
【請求項10】
回転体を備えた画像形成装置において、
前記回転体を駆動する駆動源と、前記駆動源の回転速度を減速して前記回転体へ伝達する減速手段とを備え、
前記減速手段として、請求項1乃至請求項9の何れかに記載の遊星歯車減速装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記回転体が、電子写真方式における静電潜像が形成される像担持体であることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−92936(P2012−92936A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242304(P2010−242304)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】