説明

遊星歯車装置、及び画像形成装置

【課題】内歯歯車と駆動軸に同軸で設けられた太陽歯車、及び内歯歯車とキャリアとの同心誤差に起因した回転ムラを低減できる遊星歯車装置を提供する。
【解決手段】駆動モータ111は、複写機500の本体後側板164に支持されたスタッド150に位置決め固定し、内歯歯車140、及び駆動モータ111のモータ軸112に同軸に形成した1段目の太陽歯車123と同軸上に配置した。そして、内歯歯車140の出力側に座面142を設け、この座面142と複写機500の本体後側板164とを位置決めしてネジ固定し、内歯歯車140の駆動モータ111側を支持構造のない自由端とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源の回転駆動力を、駆動対象が必要とする回転数に変速して駆動伝達する遊星歯車装置、及び、この遊星歯車装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置で、複数の回転体を備えた構成が知られている。電子写真方式の画像形成装置では、例えば、次のような構成が知られている。回転する円筒状の潜像持体(以下、感光体ドラムという)の表面に静電潜像を形成し、形成した静電潜像にトナーを付着させて現像し、現像したトナー画像を無端状ベルト状の像担持体(以下、中間転写ベルトという)上に1次転写する。さらに、中間転写ベルト上に1次転写したトナー画像を、記録媒体上に2次転写し、定着して画像を得るというものである。このように画像形成装置には、感光体ドラムや、中間転写ベルト及び転写ベルト等の無端状ベルト状の部材を駆動する駆動ローラ、記録媒体等を搬送するための搬送ローラ等、多くの回転体が使用されている。
【0003】
このように画像形成装置に用いられる回転体の駆動には、一般に高い精度が要求される。例えば、感光体ドラムや中間転写ベルト等の表面移動速度に速度変動が生じると、出力された画像上にジッタや濃度ムラが生じる。そして、感光体ドラムや中間転写ベルトにある周波数で速度変動が継続すると画像全体に周期的な濃度ムラが生じ、縞模様のバンディングとして目視されてしまう。また、感光体ドラムの速度変動は書き込み系の露光ラインの副走査位置ずれを発生させたり、感光体ドラムから中間転写ベルトへのトナー画像の1次転写時の副走査位置ずれを発生させたりもする。一方、中間転写ベルトの速度変動は、1次転写時と2次転写時の副走査位置ずれを発生させる。そして、この速度変動に起因したバンディングにより画像品質が著しく低下してしまう。
【0004】
このような高精度駆動が要求されることから、駆動源からの回転駆動力を回転変動が少ない状態で駆動対象である回転体まで伝達する機構が望まれる。また、感光体ドラムや中間転写ベルトの駆動伝達部には、溶融樹脂を射出することにより成形されたプラスチック歯車が利用されることが多い。プラスチック歯車は、金属歯車に比べて、自己潤滑性があり、使用時の騒音が低く、軽量化を図ることができ、耐腐食性が高く、量産性が高いといった長所がある。一方、耐久性(耐摩耗性)、高精度、高剛性といった点が金属歯車に比べて劣っているといった短所がある。これらの長所及び短所に鑑み、プラスチック歯車を用いた場合でも十分な耐久性が得られるように、遊星歯車機構を用いることが提案されている。
【0005】
プラスチック歯車を用いた場合でも十分な耐久性が得られるのは、次の理由による。遊星歯車機構は、駆動源の回転駆動力を受けて回転する太陽歯車と、太陽歯車と同軸上で配設された内歯歯車と、内歯歯車内に円周方向で等間隔に配設され太陽歯車と内歯歯車とに噛み合う複数の遊星歯車とを備えている。また、遊星歯車をキャリアピンで回転可能に支持するとともに太陽歯車及び内歯歯車と同軸上で回転可能なキャリアも備えている。そして、駆動源からの回転駆動力により太陽歯車を回転させることにより、太陽歯車を中心として複数の遊星歯車がキャリアピンを支持軸として内歯歯車内で自転しつつキャリアを回転させながら公転する。このキャリアの回転による回転駆動力がキャリアと回転体とに接続された出力軸を介して回転体に伝達される。このように駆動源からの回転駆動力を複数の遊星歯車に分散して伝達できるため、回転駆動力を伝達する際に生じる回転負荷も分散でき、プラスチック歯車を用いた場合でも十分な耐久性を得ることができるというものである。
【0006】
そして、従来のプラスチック歯車を用いた遊星歯車装置として、例えば、特許文献1には、遊星歯車機構を1段設けた次のような構成の遊星歯車装置(回転機器用伝動機構ユニット)が記載されている。駆動源の出力軸(以下、駆動軸という)と同軸に遊星歯車装置の太陽歯車を設け、駆動軸にキャリアを回転自在に支持させている。そして、遊星歯車装置の内歯歯車を一体に設けた筒状ハウジングを、用いる装置本体の支持部材にネジ止めして固定している。また、駆動源(小型直流モータ)は、筒状ハウジングに嵌め込むとともに、この筒状ハウジングに設ける遊星歯車機構と駆動源とを隔てる軸方向に垂直な隔壁にネジ固定している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の構成においては、回転駆動力の伝達先である感光体ドラム等の回転体の高精度駆動の阻害要因として、回転体を駆動する回転軸と遊星歯車装置の出力軸との連結部での同心誤差が挙げられ、回転体の回転ムラ(以下、単に回転ムラという)の原因となる。同心誤差には、偏心、偏角、軸心ずれなどがある。また、内歯歯車と太陽歯車、及び内歯歯車とキャリアとの同心誤差も挙げられ、同様に回転ムラの原因となっていた。そして、内歯歯車と太陽歯車、及び内歯歯車とキャリアとの同心誤差を調心することは、次の理由により困難だった。
【0008】
駆動源を筒状ハウジングに嵌め込んで、筒状ハウジングの隔壁にネジ固定しているため、仮に駆動源と駆動軸とに同心誤差が生じても、筒状ハウジングに対する駆動源の偏心、偏角、及び離間距離といった駆動源の位置の調整が困難である。このため、内歯歯車と駆動軸、すなわち内歯歯車と駆動軸に同軸で設けられた太陽歯車との同心誤差を調心することが困難となる。また、同様な理由により、内歯歯車と、駆動軸に回転自在に支持さえれたキャリアとの同心誤差を調心することが困難となる。これらの同心誤差の調心が困難であるため、特許文献1の構成においては、内歯歯車と駆動軸に同軸で設けられた太陽歯車、及び内歯歯車とキャリアとの同心誤差に起因した回転ムラは避けられない。また、駆動源を内歯歯車と一体の筒状ハウジングに固定する多段構成の遊星歯車装置においても、特許文献1と同様に、内歯歯車と1段目の太陽歯車、及び内歯歯車とキャリアとの同心誤差に起因した回転ムラは避けられない。
【0009】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、次のような遊星歯車装置を提供することである。内歯歯車と駆動軸に同軸で設けられた太陽歯車、及び内歯歯車とキャリアとの同心誤差に起因した回転ムラを低減できる遊星歯車装置である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、駆動源からの回転駆動力を受けて回転する太陽歯車と、該太陽歯車と同軸上に配設された内歯歯車と、該内歯歯車内に円周方向で等間隔に配設され、前記太陽歯車と前記内歯歯車とに噛み合う複数の遊星歯車と、該遊星歯車を回転自在に支持するとともに、前記太陽歯車や前記内歯歯車と同軸上で回転自在なキャリアとから構成される遊星歯車機構を、1段以上設け、最終段のキャリアに出力部を一体に備えた遊星歯車装置において、前記駆動源は、用いる装置の本体側板に支持された保持部材に位置決め固定されて、前記内歯歯車、及び前記駆動源から回転駆動力を受けて回転する前記太陽歯車と同軸上に配置され、前記内歯歯車の前記出力部側は前記本体側板に位置決め固定され、前記内歯歯車の駆動源側は支持構造のない自由端であることを特徴とするものである。
本発明は、内歯歯車の駆動源側は自由端なので、内歯歯車を適切な剛性で作り、内歯歯車を変形させることができる。したがって、内歯歯車を変形させることで、内歯歯車と駆動源の出力軸、すなわち内歯歯車と駆動軸に同軸で設けられた太陽歯車、及び内歯歯車とキャリアとの同心誤差を調心することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、内歯歯車を変形させることで、内歯歯車と駆動軸に同軸で設けられた太陽歯車、及び内歯歯車とキャリアとの同心誤差を調心することができる。
よって、内歯歯車と駆動軸に同軸で設けられた太陽歯車、及び内歯歯車とキャリアとの同心誤差に起因した回転ムラを低減できる遊星歯車装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態に係る複写機の概略構成図。
【図2】本実施1に係るドラム駆動装置の説明図。
【図3】本実施2に係るドラム駆動装置の説明図。
【図4】本実施3に係るドラム駆動装置の説明図。
【図5】本実施4に係るドラム駆動装置の説明図。
【図6】感光体ドラム軸と出力軸との、すきまばめ方式のジョイントの説明図。
【図7】感光体ドラム軸と出力軸との、摩擦方式のジョイントの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を、画像形成装置である電子写真方式のカラー複写機(以下、複写機500という)に適用した一実施形態について、複数の実施例を挙げ、図を用いて説明する。まず、各実施例に共通する本実施形態の複写機500の概要について説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る複写機500の概略構成図である。
【0014】
図1において、符号100は複写機本体であり、符号200はそれを載せる給紙テーブルであり、符号300は複写機本体100上に取り付けるスキャナであり、符号400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。この複写機500は、タンデム型で中間転写(間接転写)方式を採用する電子写真複写機である。
【0015】
複写機本体100には、その中央に、像担持体としての中間転写体であるベルトからなる中間転写ベルト10が設けられている。この中間転写ベルト10は、3つの支持回転体としての第1支持ローラ14、第2支持ローラ15、第3支持ローラ16に掛け渡されており、図中時計回り方向に回転移動する。第2支持ローラ15の図中左側には、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置17が設けられている。また、第1支持ローラ14と第2支持ローラ15との間に張り渡したベルト部分には、そのベルト移動方向に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成部18が並べて配置されたタンデム画像形成部20が対向配置されている。本実施形態においては、第3支持ローラ16を駆動ローラとしている。また、タンデム画像形成部20の上方には、潜像形成手段としての露光装置21が設けられている。
【0016】
また、中間転写ベルト10を挟んでタンデム画像形成部20の反対側には、第2の転写手段としての2次転写装置22が設けられている。この2次転写装置22においては、ローラ23aとローラ23bとの間に記録媒体搬送部材としてのベルト部材である2次転写ベルト24が掛け渡されている。この2次転写ベルト24は、中間転写ベルト10を介して第3支持ローラ16に押し当てられるように設けられている。この2次転写装置22により、中間転写ベルト10上のトナー画像を記録媒体であるシートPに転写する。また、この2次転写装置22の図中左方には、シートP上に転写されたトナー画像を定着する定着装置25が設けられている。この定着装置25は、ベルト部材である定着ベルト26に加圧ローラ27が押し当てられた構成となっている。上述した2次転写装置22には、トナー画像転写後のシートPをこの定着装置25へと搬送する記録媒体搬送機能も備わっている。もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、この記録媒体搬送機能を併せて持たせることが難しくなる。また、本実施形態では、このような2次転写装置22及び定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成部20と平行に、シートPの両面に画像を記録すべくシートPを反転する記録媒体反転装置28も設けられている。
【0017】
上記複写機500を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。又は、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。その後、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動する。他方、コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動する。次いで、第1走行体33および第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第1走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読み取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
【0018】
この原稿読み取りに並行して、図示していない駆動源である駆動モータで、駆動ローラである第3支持ローラ16を回転駆動させる。これにより、中間転写ベルト10が図中時計回り方向に移動するとともに、この移動に伴って第1支持ローラ14と第2支持ローラ15とが連れ回り回転する。また、これと同時に、個々の画像形成部18Y,M,C,Kにおいて、潜像担持体としての感光体ドラム40Y,M,C,Kを、それぞれ対応する不図示の感光体ドラム用の回転駆動装置であるドラム駆動装置110Y,M,C,Kで回転させる。そして、感光体ドラム40Y,M,C,K上に、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の色別情報を用いて、それぞれ露光現像して単色のトナー画像(顕像)を形成する。感光体ドラム40Y,M,C,K上に形成したトナー画像は、中間転写ベルト10上に互いに重なり合うように順次転写され、中間転写ベルト10上に合成カラー画像が形成されこととなる。
【0019】
このような画像形成に並行して、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートPを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れる。そして、給紙路46に入れたシートPを、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。又は、手差し給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートPを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト10と2次転写装置22との間にシートPを送り込み、2次転写装置22で転写してシートP上にカラー画像を転写する。画像転写後のシートPは、2次転写ベルト24で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着した後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。又は、切換爪55で切り換えて記録媒体反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、シートPの裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
【0020】
なお、画像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写ベルトクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成部20による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートP上の紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
【0021】
この複写機500を用いて、黒のモノクロコピーをとることもできる。その場合には、図示しない手段により、中間転写ベルト10を感光体ドラム40Y,M,Cから離れるようにする。これらの感光体ドラム40Y,M,Cは、一時的に駆動を止めておく。黒用の感光体ドラム40Kのみが中間転写ベルト10に接触させ、画像の形成と転写を行う。
【0022】
次に、本実施形態の特徴部である、感光体ドラム40Y,M,C,Kを、それぞれ回転駆動力するドラム駆動装置110Y,M,C,Kに用いる遊星歯車減速装置120Y,M,C,Kについて、複数の実施例を挙げ、図を用いて説明する。ここで、ドラム駆動装置110Y,M,C,K、及び遊星歯車減速装置120Y,M,C,Kの構成は、各感光体ドラム40上に形成されるトナー画像の色が異なるのみで、ほぼ同様である。したがって、以下の説明では、特に必要がない限り、符合Y,M,C,Kを省略して説明する。また、同一の部材については同一の符号を用いる。
【0023】
(実施例1)
まず、本実施形態の第1の実施例である実施例1から、図を用いて説明する。図2は、本実施例に係るドラム駆動装置110の説明図である。
図2に示すように、ドラム駆動装置110に用いられる本実施例の遊星歯車減速装置120には、2KH型2段構成の遊星歯車機構が用いられている。
【0024】
駆動源である駆動モータ111の駆動軸であるモータ軸112には、遊星歯車減速装置120における、1段目の遊星歯車機構の入力軸である1段目の太陽歯車121が、同軸で一体に形成されている。この1段目の太陽歯車121及び内歯歯車140の歯形部141に噛み合う1段目の遊星歯車122が、1段目のキャリア123により回転自在に支持されており、1段目の太陽歯車121の外周を公転するようになっている。1段目の遊星歯車122は、回転バランスとトルク分担のために同心状に3箇所、又は、それ以上の複数個が配置される。本実施例では、周方向で3等分された位置に、それぞれ1段目の遊星歯車122が配置している。この1段目の遊星歯車122は、1段目の太陽歯車121と内歯歯車140の歯形部141との噛み合いにより、自転及び公転回転する。そして、1段目の遊星歯車122を支持する1段目のキャリア123は、1段目の太陽歯車の回転に対し減速回転し、1段目の減速比が獲得される。また、1段目のキャリア123の回転中心に設けられた2段目の太陽歯車131が2段目の遊星歯車機構の入力となる。この1段目のキャリア123に回転支持部はなく、浮動回転を行うようになっている。
【0025】
同様に、2段目の太陽歯車131及び2段目まで一体で形成された内歯歯車140の歯形部141に噛み合う2段目の遊星歯車132が、2段目のキャリア133により回転自在に支持されており、2段目の太陽歯車131の外周を公転するようになっている。2段目の遊星歯車132は、本実施例では、周方向で4等分された位置にそれぞれ配置されている。つまり、2段目のキャリア133には、4個の2段目の遊星歯車132が配置されている。ここで、最終段に相当する2段目のキャリア133には、遊星歯車減速装置120の出力部であるとともに、ドラム軸70との遊星歯車減速装置120側のスプライン継ぎ手部となる円筒形状部136が設けられている。そして、この円筒形状部136の内周面には、雌型のスプライン継ぎ手を形成する内歯形状部137が2段目のキャリア133と同軸に形成されている。そして、この2段目のキャリア133に回転支持部はなく、浮動回転を行うようになっている。一方、感光体ドラム40を保持する感光体ドラムユニット60側では、感光体ドラム40の回転軸であるドラム軸70に、上述した内歯形状部137に噛み合うように、感光体ドラムユニット60側のスプライン継ぎ手部となる外歯形状部72が形成されている。この外歯形状部72が、感光体ドラムユニット60の入力部となる。そして、1段目の太陽歯車121、内歯歯車141と各キャリアとは同軸上になるように配置している。
【0026】
ここで、本実施例の遊星歯車減速装置120で用いた2KH型遊星歯車機構にの構成、及び、その動作原理ついて説明する。2KH型遊星歯車機構に用いられる一つのユニットは、太陽歯車(sun gear)、遊星歯車(planetary gear)、遊星歯車の公転運動を支持する遊星キャリア(planetary carrier)、内歯歯車(outer gear)の四点の部品から構成されている。太陽歯車の回転、遊星歯車の公転(キャリアの回転)、外輪歯車の回転である3つの要素のうち、一つを固定、一つを入力、一つを出力に接続する。それぞれ、どれを入出力・固定に割り当てるかによって、一つのユニットで複数の減速比や回転方向の切替えが可能である。本実施例において対象とする2KH型の2段構造は、複合遊星歯車機構(2個以上の2KH型)に分類され、2個以上の2KH型があり、それぞれ3つの要素のうち、1つの要素同士を結合し、残りの1つずつを固定し、残り2つを入力軸または出力軸とする機構である。
【0027】
減速比に関しては、太陽歯車の歯数をZa、遊星歯車の歯数をZb、内歯歯車の歯数をZcとした場合に、以下の数式1で表される。なお、式中の添え字1,2は1段目、2段目を意味している。
(数式1)
減速比 = Za1/(Za1+Zc1) × Za2/(Za2+Zc2)
【0028】
ここで、本実施例の遊星歯車減速装置120に用いた遊星歯車機構の主要な構成部品の材質について説明する。内歯歯車140、1段目の遊星歯車122、2段目の遊星歯車132、1段目のキャリア123、及び1段目のキャリア123と一体の2段目の太陽歯車131は樹脂で構成している。また、2段目のキャリア133、及び2段目のキャリア133と一体の円筒形状部136も樹脂で構成している。一方、1段目の太陽歯車121、1段目のキャリアピン124、及び2段目のキャリアピン134は金属で構成している。
【0029】
次に、内歯歯車140及び駆動モータ111の支持構成を説明する。まず、内歯歯車140の支持について説明する。内歯歯車140には、同軸の内歯形状が形成された歯形部141と、出力側に内歯歯車141の内径方向へ延出した座面142を有し、座面142の中心の周辺にはボス部143を有する孔が設けられている。内歯歯車140は、ボス部143が本体後側板164に設けられた孔165に嵌め合わされて座面142で本体後側板164にネジ固定される。このように内歯歯車140の座面142のボス部143と、本体後側板164に設けられた孔165とを嵌め合わせることで、内歯歯車140と本体後側板164との位置決め固定を、簡易な構成で確実に行うことができる。
【0030】
また、ボス部143の内側の穴に軸受け84を介してドラム軸70が回転自在に支持される。このように、本体後側板164に直接内歯歯車140を位置決めして、内歯歯車140に対してドラム軸70の同心精度を確保している。
【0031】
一方、入力側の駆動モータ111では、モータ駆動回路基板113を介して接合されたモータフランジ114が駆動側板116にネジ固定される。このモータフランジ114には、円形のボス部115を有しており、駆動側板116に設けられた孔117と嵌め合わされて位置だしされる。そして、駆動側板116は本体後側板164にカシメられた保持部材であるスタッド150に固定されている。スタッド150と駆動側板116は、スタッド150の先端の段付き部と嵌め合わされて位置決めされる。以上の構成で、内歯歯車140と駆動モータ111及び駆動モータ111のモータ軸112に直接歯切りした太陽歯車121との同心誤差を極力小さくしている。
【0032】
内歯歯車140と駆動モータ111の位置関係について説明する。内歯歯車140の駆動モータ111側は、歯形部141が形成されていない円形の全面開口となっている。その内周面にモータフランジ114のボス部115がインローで入り込んでいる。しかし、内歯歯車140の駆動モータ111側の内周面と、モータフランジ114のボス部115との間に隙間を設け、内歯歯車140はボス部115に支持されずに自由端になっている。また、内歯歯車140の駆動モータ111側の駆動源側端部と、駆動側板116との間にも隙間を設けている。このように内歯歯車140の駆動モータ111側を自由端としている。そして、上述したように内歯歯車140は樹脂により成型している。このような内歯歯車140の駆動モータ111側を自由端にするで、内歯歯車140と、1段目の太陽歯車121との同心誤差が生じた際に、内歯歯車140を変形させることができる。また、内歯歯車140と、1段目のキャリア123、及び/又は、2段目のキャリア133との同心誤差が生じた際にも、内歯歯車140を変形させることができる。
【0033】
そして、内歯歯車140の剛性を適切に設定することで、内歯歯車140と各キャリア、及び内歯歯車141と1段目の太陽歯車との同心誤差に応じて、内歯歯車140を変形させることができる。したがって、この変形により内歯歯車140と各キャリア、及び内歯歯車140と1段目の太陽歯車との同心誤差を調心することができる。よって、内歯歯車140を変形させて、内歯歯車140と各キャリア、及び内歯歯車140と駆動モータ111のモータ軸112、すなわち1段目の太陽歯車121との同心誤差に起因した回転ムラを低減できる遊星歯車減速装置120を提供できる。
【0034】
また、本実施例では、上述したように2段で構成される各キャリアを浮動支持しており、1段目の太陽歯車121、内歯歯車140と各キャリアとの同心誤差による回転ムラを、各キャリアの浮動支持による調心作用により低減できる。ここで、本実施例では2段で構成される各キャリアのいずれも浮動支持する構成としている。しかし、本発明は、このような構成に限定されるものではなく、複数段で構成されるキャリアの少なくとも1つ以上を、内歯歯車140に対して浮動支持する構成に適用できる。複数段で構成されるキャリアの少なくとも1つ以上を、内歯歯車140に対して浮動支持することで、1段目の太陽歯車121、及び/又は、内歯歯車140と浮動支持したキャリアとの同心誤差による回転ムラを低減することができる。
【0035】
また、通常、遊星歯車減速装置では、内歯歯車の入力側が出力側よりも負荷が小さくなる。本実施例の遊星歯車減速装置120では、内歯歯車140の負荷が小さな側を自由端にするので、内歯歯車140の負荷が大きい側、つまり出力側を自由端にする構成よりも、若干、耐久性において有利な構成となっている。
【0036】
また、内歯歯車140の駆動源側端部と、この駆動源側端部と対向する駆動側板116との隙間を、内歯歯車140の駆動源側端部の外周に、樹脂系あるいはゴム系の可撓性部材であるシート145を設けてシールしている。このように内歯歯車140の駆動源側端部と、この駆動源側端部と対向する部材との隙間をシールすることで、この隙間から異物やゴミの進入を防止することができる。ここで、シート145としては、樹脂系のフッ素樹脂、ポリエチレン樹脂やゴム系のウレタンゴムシート、シリコンゴムシートやウレタンゴムスポンジ、シリコンゴムスポンジ等を用いることができる。
【0037】
また、本発明は、上述したように潜像担持体である感光体ドラムのドラム駆動装置110に限定されるものではなく、例えば、中間転写ベルト10を回転駆動する駆動ローラである第3支持ローラ16の回転駆動装置にも適用可能である。そして、特に、感光体ドラムや中間転写ベルト10の回転駆動装置に本発明を適用することで、ジッタ、濃度ムラ、及び副走査位置ずれに起因したバンディング等による画質低下を抑制することができる。
【0038】
次に、感光体ドラム40の支持機構のについて説明する。まず、感光体ドラムユニット60の構成について説明する。感光ドラム40の軸方向の端部には、駆動モータ111側の後ドラムフランジ66と、反対側の前ドラムフランジ64とが固定されて、各ドラムフランジがドラム軸70に支持されている。後ドラムフランジ66はドラム軸70とセレーションカップリングで連結され、ドラム軸70が回転すると感光体ドラム40が同期して回転する。セレーションカップリングは、ドラム軸70側に雄形状部71、後ドラムフランジ66側に雌形状部67が設けられ、ドラム軸70の前側からテーパー形状となっている。
【0039】
感光体ドラム40を支持するユニットケース61内には、感光体ドラム40と帯電装置2、現像装置9、クリーニング装置4、図示しない除電ランプ等が収容されている。また、ユニットケース61の後方側板63が、ドラム軸70に固定された軸受け83で支持されるとともに、後ドラムフランジ66も軸受け83で支持され、感光体ドラム40とユニットケース61が位置だしされている。また、前側は前ドラムフランジ64のボス部65がユニットケースの前方側板62と嵌め合わされ、回転自在になっている。
【0040】
ドラム軸70には、さらに本体後側板164と嵌合している内歯歯車140の座面142のボス部143内面と嵌め合う部分にもう1個の軸受け84が設けられ、ボス部143を介して本体後側板164と位置出しされている。本体前側板161には、感光体ドラムユニット60を着脱するための切り欠き孔162が設けられ、そこには面板163が固定されている。この面板163にドラム軸70の前側端部が軸受け81を介して回転自在に支持されている。感光体ドラムユニット60は面板163を取り外すことによって、着脱できるようになる。感光体ドラムユニット60が装着された時は、面板163に固定された軸受け81と前ドラムフランジ64のボス部65の間に設けられた加圧バネ82によって、感光体ドラム40は、ドラム軸方向に加圧される。そして、テーパー状のセレーションカップリング部で回転方向とスラスト方向が位置決めされることとなる。
【0041】
(実施例2)
次に、本実施形態の第2の実施例である実施例2を、図を用いて説明する。図3は、本実施例に係るドラム駆動装置110の説明図である。ここで、本実施例と上述した実施例1とでは、ドラム駆動装置110における、遊星歯車減速装置120の内歯歯車140の本体後側板164への固定に係る点のみ異なる。他の構成は上述した実施例1と同様であるので、同様な構成については、適宜省略して説明する。
【0042】
図3に示すように、本実施例では、内歯歯車140の出力側の座面142と本体後側板164との間には、変速機側板である減速機側板151が設けられている。この本体後側板164には、内歯歯車140の座面142に設けられたボス部143に嵌め合わせ、互いに位置決めされる孔152が設けられている。そして、組立てる際には、遊星歯車減速装置120の内歯歯車140内に各キャリアや、各キャリアに支持された遊星歯車等を組み付けた状態で、ボス部143と孔152とを嵌め合わせて減速機側板151にネジ固定する。ここで、座面142のボス部143は、減速機側板151にネジ固定された状態で、本体後側板164から突き出るように形成されている。そして、内歯歯車140を減速機側板151にネジ固定された後に、座面142のボス部143と、本体後側板164に設けた孔165とが嵌め合わされ、位置だしされてネジ固定されることとなる。すなわち、内歯歯車140の固定は、減速機側板151を介して本体後側板164にネジ固定される。このように内歯歯車140を、減速機側板151を介して本体後側板164にネジ固定することで、変速機である遊星歯車減速装置120をモジュール組み付けした後に、用いる複写機500の本体後側板164に固定できる。したがって、遊星歯車減速装置120の組み立て性が良くなる。
【0043】
また、減速機側板151には駆動側板116を介して駆動モータ111を保持する保持部材であるスタッド150がカシメされて位置だし固定されている。このように減速機側板151に、スタッド150が位置だし固定されているので、遊星歯車減速装置120と駆動モータ111とをモジュール組み付けした後に、用いる複写機500の本体後側板164に固定できるため、組み立て性、ハンドリング性が良くなる。ここで、駆動側板116の固定と駆動モータ111の固定は、図2を用いて説明した実施例1のと同様なので、その説明を省略する。
【0044】
(実施例3)
次に、本実施形態の第3の実施例である実施例3を、図を用いて説明する。図4は、本実施例に係るドラム駆動装置110の説明図である。ここで、本実施例と上述した実施例2とでは、ドラム駆動装置110における、遊星歯車減速装置120の出力部に係る点のみ異なる。他の構成は上述した実施例2と同様であるので、同様な構成については、適宜省略して説明する。
【0045】
図4に示すように、本実施例では、遊星歯車減速装置120の出力部として、2段目のキャリア133に円筒形状部136を設けた実施例2とは異なり、2段目のキャリア133に出力軸138を設けている。そして、2段目のキャリア133に設けた出力軸138とドラム軸70とを一体で構成している。ここで、ドラム軸70(出力軸138)、及び2段目のキャリア133は、金属で構成し、ドラム軸70を2段目のキャリア133にカシメ、あるいは圧入することで一体化している。そして、遊星歯車減速装置120の出力軸138を兼ねるドラム軸70は、内歯歯車140の座面142に設けたボス部143の孔に、軸受け84を介して同軸上に配置されている。
【0046】
このように遊星歯車減速装置120の出力軸138とドラム軸70とを一体に構成することで、遊星歯車減速装置120の出力部と感光体ドラム40の出力軸138との同心誤差を排除でき、その同心精度を向上させることができる。ここで、2段目のキャリア133は、ドラム軸70(出力軸138)を介して、軸受け84により支持されることとなり、浮動支持ではなくなる。しかし、1段目のキャリア123は、浮動支持されているので、1段目の太陽歯車121、及び/又は、内歯歯車140とキャリア123との同心誤差による回転ムラを低減することができる。
【0047】
(実施例4)
次に、本実施形態の第4の実施例である実施例4を、図を用いて説明する。図5は、本実施例に係るドラム駆動装置110の説明図である。また、図6は、ドラム軸70と出力軸138との、すきまばめ方式のジョイント171の説明図、図7は、ドラム軸70と出力軸138との、摩擦方式のジョイント172の説明図である。ここで、本実施例と上述した実施例3とでは、本実施例のドラム駆動装置110において、遊星歯車減速装置120の出力軸138と、感光体ドラム40のドラム軸70とを連結部材を用いて連結していることに係る点のみ異なる。他の構成は上述した実施例3と同様であるので、同様な構成については、適宜省略して説明する。
【0048】
図5に示すように、本実施例では、最終段に相当する2段目のキャリア133の回転中心には出力軸138が一体に設けられており、中空円筒上の連結部材であるジョイント部材を介してドラム軸70と連結されている。出力軸138と2段目のキャリア133とは、図4を用いて説明した実施例3と同様に一体化されている。しかし、出力軸138とドラム軸70とは別体で、内歯歯車140のボス部143に設けた軸受け84と、ドラム軸70に固定され、ユニットケース61の後方側板63を支持する軸受け83との間に設けたジョイントで連結されている。
【0049】
ジョイントの構成については、図6、7に示すような構成があげられる。図6に示すジョイント171は、中空円筒形状部材173と段付きネジ174とから構成されている。そして、ドラム軸70と、遊星歯車減速装置120の出力軸138とは同じ直径となっており、中空円筒形状部材173はドラム軸70に圧入され、出力軸138はすきまばめとなっており、中空円筒形状部材173と段付きねじ174により連結固定される構成となっている。
【0050】
一方、図7に示すジョイント172は、中空円筒形状部材175とネジ176とから構成されている。そして、中空円筒形状部材175には、出力軸138側から中央部にスリット177を有しており、出力軸138はネジ176により押し曲げられた中空円筒形状部材175との摩擦力により連結固定される構成となっている。いずれの構成もジョイント部材によるドラム軸70と出力軸138との中心軸のずれを最小化し、駆動伝達できる構成となっている。
【0051】
このように感光体ドラム40のドラム軸70と、遊星歯車減速装置120の出力軸138とを別体で構成しジョイント部材で連結するので、同心精度を向上させつつ、遊星歯車減速装置120とドラム軸70とを分割できる。したがって、ドラム駆動装置110の組み立て性、ハンドリング性を良くできる。
【0052】
また、上述した各実施例では、本発明を2段構成の遊星歯車減速装置120に適用した例について説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、3段以上の構成の遊星歯車装置や、1段構成の遊星歯車装置にも適用可能である。但し、実施例3及び実施例4で説明した構成のように、最終段のキャリアに接続された出力軸が、軸受けで支持される1段構成の遊星歯車装置においては、最終段のキャリアを浮動支持することはできない。
【0053】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
駆動モータ111などの駆動源からの回転駆動力を受けて回転する1段目の太陽歯車121などの太陽歯車と、該太陽歯車と同軸上に配設された内歯歯車140などの内歯歯車と、該内歯歯車内に円周方向で等間隔に配設され、前記太陽歯車と前記内歯歯車とに噛み合う1段目の遊星歯車122や2段目の遊星歯車132などの複数の遊星歯車と、該遊星歯車を回転自在に支持するとともに、前記太陽歯車や前記内歯歯車と同軸上で回転自在な1段目のキャリア123や2段目のキャリア133などのキャリアとから構成される遊星歯車機構を、1段以上設け、2段目のキャリア133などの最終段のキャリアに円筒形状部136などの出力部を一体に備えた遊星歯車減速装置120などの遊星歯車装置において、前記駆動源は、複写機500などの用いる装置の本体後側板164などの本体側板に支持されたスタッド150などの保持部材に位置決め固定されて、前記内歯歯車、及び前記駆動源から回転駆動力を受けて回転する前記太陽歯車と同軸上に配置され、前記内歯歯車の前記出力部側は前記本体側板に位置決め固定され、前記内歯歯車の駆動源側は支持構造のない自由端であることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例1について説明したように、内歯歯車140などの内歯歯車を変形させて、内歯歯車と駆動モータ111などの駆動源のモータ軸112などの駆動軸に同軸で設けられた1段目の太陽歯車121などの太陽歯車、及び内歯歯車と1段目のキャリア123や2段目のキャリア133などのキャリアとの同心誤差を調心することができる。よって、内歯歯車と駆動軸に同軸で設けられた太陽歯車、及び内歯歯車とキャリアとの同心誤差に起因した回転ムラを低減できる遊星歯車減速装置120などの遊星歯車装置を提供できる。
(態様B)
(態様A)において、内歯歯車140などの前記内歯歯車の駆動モータ111などの駆動源側の駆動源側端部と、該駆動源側端部と対向する駆動側板116などの部材との隙間を、樹脂系あるいはゴム系のシート145などの可撓性部材でシールしたことを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例1について説明したように、内歯歯車140などの内歯歯車の駆動源側端部と、駆動源側端部と対向する駆動側板116などの部材との隙間からの異物やゴミの混入を防止できる。
(態様C)
(態様A)又は(態様B)において、複数段の遊星歯車機構を備え、複数有する1段目のキャリア123や2段目のキャリア133などの前記キャリアの少なくとも1つ以上は、内歯歯車140などの前記内歯歯車に対して浮動支持される構成とすることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例1について説明したように、同軸上に設けた1段目の太陽歯車121などの太陽歯車、内歯歯車140などの内歯歯車と1段目のキャリア123や2段目のキャリア133などのキャリアとの同心誤差による回転ムラを、キャリアを浮動支持することによる調心作用により低減できる。
(態様D)
(態様A)乃至(態様C)のいずれかにおいて、内歯歯車140などの前記内歯歯車は、本体後側板164などの前記本体側板側に座面142などの座面を有し、前記座面と前記本体側板には、互いに位置出し可能なボス部143及び孔165などの嵌め合い部が、それぞれ形成されており、前記内歯歯車の前記本体側板への位置決め固定は、ボス部143などの前記座面の嵌め合い部を孔165などの前記本体側板の嵌め合い部に嵌め合わせて固定することを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例1について説明したように、内歯歯車140などの内歯歯車と本体後側板164などの本体側板との位置決め固定を、簡易な構成で確実に行うことができる。
(態様E)
(態様A)乃至(態様D)のいずれかにおいて、内歯歯車140などの前記内歯歯車の本体後側板164などの前記本体側板側には減速機側板151などの変速機側板が設けられており、前記内歯歯車の前記本体側板への位置決め固定は、前記内歯歯車を前記変速機側板に固定支持した後、前記変速機側板を前記本体側板に固定することを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例2について説明したように、遊星歯車減速装置120などの遊星歯車装置をモジュール組み付けした後に、複写機500などの用いる本体に固定できるため、組み立て性が良くなる。
(態様F)
(態様E)において、駆動モータ111などの前記駆動源を位置決め固定しているスタッド150などの前記保持部材を、減速機側板151などの前記変速機側板に固定することを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例2について説明したように、遊星歯車減速装置120などの遊星歯車装置と駆動モータ111などの駆動源とをモジュール組み付けした後に、複写機500などの用いる本体に固定できるため、組み立て性、ハンドリング性が良くなる。
(態様G)
(態様A)乃至(態様F)のいずれかにおいて、2段目のキャリア133などの前記最終段のキャリア、出力軸138などの前記出力部、及び該出力部に接続される感光ドラム40などの回転体のドラム軸70などの回転軸が一体で構成されていることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例3について説明したように、遊星歯車減速装置120などの遊星歯車装置の出力軸138などの出力部と感光ドラム40などの回転体のドラム軸70などの回転軸との同心誤差を排除でき、その同心精度を向上させることができる。
(態様H)
(態様G)において、前記出力部として出力軸138などの出力軸を備え、前記出力軸と感光ドラム40などの前記回転体のドラム軸70などの回転軸とをジョイント171やジョイント172などの連結部材で連結したことを特徴とするものである。
これによれば、上記実施例4について説明したように、同心精度を向上させつつ、遊星歯車減速装置120などの遊星歯車装置とドラム軸70などの回転体軸とを分割できるので組み立て性、ハンドリング性が良くできる。
(態様I)
感光ドラム40などの複数の回転体を備え、シートPなどの記録媒体上に画像を形成する複写機500などの画像形成装置において、前記複数の回転体の内、いずれかの回転体の回転駆動に用いる遊星歯車減速装置120などの遊星歯車装置として、(態様A)乃至(態様H)のいずれかの遊星歯車装置を備えたことを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態について説明したように、各態様のいずれかと同様な効果を奏することができる遊星歯車減速装置120などの遊星歯車装置を備えた複写機500などの画像形成装置を提供できる。
(態様J)
(態様I)おいて、遊星歯車減速装置120などの前記遊星歯車装置を、その回転駆動に用いる前記回転体が、感光ドラム40などの潜像担持体や、中間転写ベルト10などの無端ベルト状の像担持体を回転駆動する第3支持ローラ16などの駆動ローラであることことを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態について説明したように、感光体ドラム40などの潜像担持体や、中間転写ベルト10などの無端ベルト状の像担持体を回転駆動する第3支持ローラ16などの駆動ローラの、表面移動速度の速度変動を抑制することができる。したがって、ジッタ、濃度ムラ、及び副走査位置ずれに起因したバンディング等による画質低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0054】
2 帯電装置
4 クリーニング装置
9 現像装置
10 中間転写ベルト
14 第1支持ローラ
15 第2支持ローラ
16 第3支持ローラ(駆動ローラ)
17 中間転写ベルトクリーニング装置
18 画像形成部
20 タンデム画像形成部
21 露光装置
22 2次転写装置
23a、23b ローラ
24 2次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 記録媒体反転装置
30 原稿台
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読み取りセンサ
40 感光ドラム
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ
46 給紙路
47 搬送ローラ
49 レジストローラ
50 給紙ローラ
51 トレイ
52 分離ローラ
53 給紙路
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
60 感光体ドラムユニット
61 ユニットケース
62 前方側板
63 後方側板
64 前ドラムフランジ
65 ボス部(前ドラムフランジ)
66 後ドラムフランジ
67 雌形状部
70 ドラム軸
71 雄形状部
72 外歯形状部
82 加圧バネ
100 複写機本体
110 ドラム駆動装置
111 駆動モータ
112 モータ軸
113 モータ駆動回路基板
114 モータフランジ
115 ボス部(モータフランジ)
116 駆動側板
117 孔(駆動側板)
120 遊星歯車減速装置
121 1段目の太陽歯車
122 1段目の遊星歯車
123 1段目のキャリア
124 1段目のキャリアピン
131 2段目の太陽歯車
132 2段目の遊星歯車
133 2段目のキャリア
134 2段目のキャリアピン
136 円筒形状部(出力部)
137 内歯形状部(出力部)
138 出力軸(出力部)
140 内歯歯車
141 歯形部
142 座面(内歯歯車)
143 ボス部(内歯歯車)
145 シート(シール用)
150 スタッド
151 減速機側板
152 孔(減速機側板)
161 本体前側板
162 孔(本体前側板)
163 面板(本体前側板)
164 本体後側板
165 孔(本体後側板)
171、172 ジョイント
173、175 中空円筒形状部材
174 段付きネジ
176 ネジ
177 スリット
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置
500 複写機
P シート(記録媒体)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特許第3411996号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源からの回転駆動力を受けて回転する太陽歯車と、該太陽歯車と同軸上に配設された内歯歯車と、該内歯歯車内に円周方向で等間隔に配設され、前記太陽歯車と前記内歯歯車とに噛み合う複数の遊星歯車と、該遊星歯車を回転自在に支持するとともに、前記太陽歯車や前記内歯歯車と同軸上で回転自在なキャリアとから構成される遊星歯車機構を、1段以上設け、最終段のキャリアに出力部を一体に備えた遊星歯車装置において、
前記駆動源は、用いる装置の本体側板に支持された保持部材に位置決め固定されて、前記内歯歯車、及び前記駆動源から回転駆動力を受けて回転する前記太陽歯車と同軸上に配置され、
前記内歯歯車の前記出力部側は前記本体側板に位置決め固定され、前記内歯歯車の駆動源側は支持構造のない自由端であることを特徴とする遊星歯車装置。
【請求項2】
請求項1に記載の遊星歯車装置において、
前記内歯歯車の駆動源側の駆動源側端部と、該駆動源側端部と対向する部材との隙間を、樹脂系あるいはゴム系の可撓性部材でシールしたことを特徴とする遊星歯車装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の遊星歯車装置において、
複数段の遊星歯車機構を備え、
複数有する前記キャリアの少なくとも1つ以上は、前記内歯歯車に対して浮動支持される構成とすることを特徴とする遊星歯車装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一に記載の遊星歯車装置において、
前記内歯歯車は、前記本体側板側に座面を有し、
前記座面と前記本体側板には、互いに位置出し可能な嵌め合い部が、それぞれ形成されており、
前記内歯歯車の前記本体側板への位置決め固定は、前記座面の嵌め合い部を前記本体側板の嵌め合い部に嵌め合わせて固定することを特徴とする遊星歯車装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一に記載の遊星歯車装置において、
前記内歯歯車の前記本体側板側には変速機側板が設けられており、
前記内歯歯車の前記本体側板への位置決め固定は、前記内歯歯車を前記変速機側板に固定支持した後、前記変速機側板を前記本体側板に固定することを特徴とする遊星歯車装置。
【請求項6】
請求項5に記載の遊星歯車装置において、
前記駆動源を位置決め固定している前記保持部材を、前記変速機側板に固定することを特徴とする遊星歯車装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一に記載の遊星歯車装置において、
前記最終段のキャリア、前記出力部、及び該出力部に接続される回転体の回転軸が一体で構成されていることを特徴とする遊星歯車装置。
【請求項8】
請求項7に記載の遊星歯車装置において、
前記出力部として出力軸を備え、
前記出力軸と前記回転体の回転軸とを連結部材で連結したことを特徴とする遊星歯車装置。
【請求項9】
複数の回転体を備え、記録媒体上に画像を形成する画像形成装置において、
前記複数の回転体の内、いずれかの回転体の回転駆動に用いる遊星歯車装置として、請求項1乃至8のいずれか一に記載の遊星歯車装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項9に記載の画像形成装置において、
前記遊星歯車装置を、その回転駆動に用いる前記回転体が、
潜像担持体や、無端ベルト状の像担持体を回転駆動する駆動ローラであることことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−96476(P2013−96476A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238700(P2011−238700)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】