説明

遊離塩基ガシクリジンナノ粒子

液体媒質中のナノ粒子懸濁液は、液体媒質に実質的に不溶であるガシクリジン塩基または他の薬物の送達のための機序を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み入れられる、2006年7月31日に出願された、「ナノ粒子製剤およびその送達」という題名の米国特許仮出願第60/820,931号の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
薬物は、必要とされる場所に局所的に送達された場合、ヒトまたは動物の体内で最も効率的に作用することが周知である。全身送達される場合に、全ての組織が大量の薬物に曝露されるので、副作用の確率がずっと高くなる。しかしながら、組織特異的薬物送達は課題を示すことがある。多くの場合、標的組織(すなわち、、薬物で治療される組織)は到達するのが困難である。薬物をそのような標的組織に注入するには、コストがかかり、かつ患者にとって不愉快である、重要な医療処置が必要となる可能性がある。薬物療法で、長期にわたって少量の送達が要求される場合、組織特異的薬物送達は実用的でない可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
概要
この概要は、下記の詳細な説明でさらに説明される概念選択を簡略化された形で導入するために提供される。この概要は、主張した対象の重要な特徴または本質的な特徴を特定することも、主張した対象の範囲の決定を補助するものとして使用されることも目的としていない。
【0004】
実質的に不溶であるガシクリジンの形態は、液体媒質中のナノ粒子懸濁液として送達させることができる。いくつかの態様では、ナノ粒子は、ガシクリジン(および/または1つもしくは複数の他の薬物)が吸収/吸着されるポリマーまたは他の材料から形成される。別の態様では、ナノ粒子は、純粋形態のガシクリジン(および/または1つもしくは複数の他の薬物)から、ガシクリジン(および/または1つもしくは複数の他の薬物)およびポリマーまたは他の非薬物物質の均一混合物として、またはポリマーコーティングを有するガシクリジン(および/または1つもしくは複数の他の薬物)のコアとして形成されることができる。そのようなナノ粒子および/またはその懸濁液は、様々な様式で形成され、様々な状態の治療のために使用され、様々な技術を用いて送達される。
【0005】
ある態様の下記詳細な説明は、添付の図面と共に読むと、よりよく理解され、これらの図面は、例として含まれるものであり、限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】少なくともいくつかの態様によるミキサを示す図である。
【図2】チューブを省略した、図1のミキサの断面図である。
【図3】図1のミキサ由来の乱流発生器を示す図である。
【図4】図1のミキサ由来の乱流発生器を示す図である。
【図5】薬物送達システムの一例を示す図である。
【図6】ガシクリジンの構造および溶液化学を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
ガシクリジンの標的送達
ガシクリジンは、耳鳴を治療する際に有用なNMDA受容体拮抗薬である。耳鳴治療の他に、ガシクリジンは他の可能性のある治療用途を有する。ガシクリジンなどのNMDA受容体拮抗薬は、傷ついたニューロンのアポトーシスを阻止することができ、ニューロンを術中外傷性ストレスから保護することができる。そのため、ガシクリジンは、人口内耳手術、網膜移植手術、神経筋移植手術、または他の神経学的手術のため、および/または他の神経学的移植物と共に、補助的療法として使用することができる。ガシクリジンおよびその製剤に対する多くの他の用途が、米国特許出願第11/337,815号(「治療薬および/または他の薬剤を内耳および他の組織に送達するための装置および方法」という題名で、米国特許出願公開第2006/0264897号として公開)、同第11/759,387号(「薬物質量から流動誘起送達」という題名で、2007年6月7日に出願)、同第11/780,853号(「点眼薬送達のための装置、システムおよび方法」という題名で、2007年7月20日に出願)、および同第11/367,720号(「改良ガシクリジン製剤」という題名で、米国特許出願公開第2006/0205789号として公開)を有する、1つまたは複数の同一出願人による米国特許出願において記載されている。
【0008】
ガシクリジンは、適当に送達された場合多くの治療効果を有するが、全身送達では体組織全てが有効用量に曝露され、望ましくない副作用が生じる可能性がある。そのため、ガシクリジンを直接、蝸牛、目、脳領域または治療される他の標的組織に送達することが非常に望ましい。さらに副作用の可能性を減少させるために、非常に少量のガシクリジンを長期にわたって送達することが望ましい場合(特に、慢性状態を治療する場合)もある。下記でより詳細に記載するように、長期にわたる少量送達は、患者に完全にまたは部分的に埋め込まれた装置により達成することができる。薬物送達装置の全てまたは一部を埋め込むことにより、患者は繰り返される医療処置を回避することができる。
【0009】
しかしながら、そのような様式でのガシクリジンの送達では多くの課題が示される。ガシクリジンの様々な特性について下記でより詳細に記載する。しかしながら、特に標的組織への送達のために流体媒質に溶解させることができる多くの形態のガシクリジンは不安定である。他の形態はより安定であるが、不溶性が高く、カテーテルおよび他の構成要素の表面への損失(例えば、吸着)を受ける。具体的には、カテーテル、薬物貯蔵部、ポンプ、抗菌フィルタおよび薬物送達システムの他の構成要素は典型的には、ヒト埋め込みのために承認されたポリマーから作製される。ガシクリジンは、これらのポリマー材料の多くに結合する。ヒト埋め込みのために最も普通に使用される材料の1つであるシリコーンは、ガシクリジンに結合する。室温、pH6のガシクリジン溶液では、シリコーンは100マイクロモル(μM)ガシクリジンの60%までを保持することができる(曝露時間および温度に依存する)。薬物送達システムのポリマー構成要素全てを、ガシクリジン塩基に対しほとんどまたは全く親和性を有さない材料で置換することで、送達装置への薬物損失を回避することができるが、これは必ずしも実用的ではない可能性があり、薬物安定性の問題を必ずしも解決していない。
【0010】
少なくともいくつかの態様では、これらの課題はナノ粒子の使用により対処されている。本明細書(特許請求の範囲を含む)で使用されるように、「ナノ粒子」は、高い粒子濃度で起こりうるような粒子の一時的な凝集を除く、一般的には200ナノメートル(nm)またはそれ以下のサイズを有する粒子を示す。そのサイズのために、ブラウン運動によりナノ粒子が長期間の(または無限でさえの)間、流体媒質中に懸濁されたままとなり、このため、溶解することが困難なガシクリジンの形態を運搬するために使用することができる。ナノ粒子はまた、装置構成要素に結合するガシクリジンにより引き起こされる問題に対処することができる。特に、ナノ粒子は、ガシクリジンに対し高い親和性を有する材料から形成することができ、このため、ガシクリジン結合に対し、ポリマー装置表面とうまく競合することができる。例えば、ナノ粒子は、ガシクリジンの安定な塩基形態にしっかりと結合し、その熱安定性を増加させることができ;ガシクリジンの安定な塩基形態は、37℃、1年で10%未満の分解が起こるように封入させることができる。ナノ粒子はまた、0.22μmを超える粒子を遮断する抗菌フィルタを通過することができる移動相中にガシクリジンを維持することができる。これはある態様では(例えば、薬物が蝸牛または、脳脊髄液および中枢神経系と相互接続される他の組織に送達されなければならない場合)、薬物送達システムの重要な要素とすることができる。
【0011】
ナノ粒子を用いて、そうでない場合に可能である濃度よりずっと高い有効濃度の不溶性ガシクリジン形態を有する、送達可能な懸濁液を得ることができる。例えば、100μMの有効濃度の遊離ガシクリジン、1ミリモル(mM)の有効濃度、100mMの有効濃度、またはより高い有効濃度を有する懸濁液を、薬物ナノ粒子の濃懸濁液から生成させることができる。本明細書(特許請求の範囲を含む)で使用されるように、「有効濃度」は、同じ量の化合物がその液体に完全に溶解させることができる場合に、その体積が含むのと同じ特別な化合物(例えば、塩基性ガシクリジン)を懸濁ナノ粒子中に含むある体積の液体を示す。本明細書(特許請求の範囲を含む)で使用されるように、「ガシクリジン塩基」または「遊離塩基ガシクリジン」は、遊離塩基ガシクリジンの全ての幾何異性体、遊離塩基ガシクリジンの全ての光学異性体、および遊離塩基ガシクリジンの全ての鏡像異性体混合物を含む。
【0012】
いくつかの態様では、ナノ粒子は、ガシクリジン(および/または他の薬物)が吸収/または吸着されるポリマーまたは他の材料から形成される。本明細書(特許請求の範囲を含む)で使用されるように、「吸収/吸着する」は、別の物質を吸収したナノ粒子、別の物質を吸着したナノ粒子、および別の物質を吸収かつ吸着するナノ粒子を示す。別の態様では、ナノ粒子は、純粋形態のガシクリジン(および/または1つもしくは複数の他の薬物)から、ガシクリジン(および/または1つもしくは複数の他の薬物)およびポリマーまたは他の非薬物物質の均一混合物として、またはポリマーコーティングを有するガシクリジン(および/または1つもしくは複数の他の薬物)のコアとして形成されることができる。
【0013】
ナノ粒子作製
様々な方法を使用して適したサイズのナノ粒子を作製することができる。これらの方法は、気化法(例えば、フリージェット膨張、レーザ蒸発、放電加工、電子爆発および化学気相蒸着)、機械的摩耗を含む物理法(例えば、アイルランドダブリンのElan Nanosystemsにより開発されたパールミリング技術)、および溶媒置換後の界面堆積を含む。
【0014】
溶媒置換法は、実験室または工業規模で実施するために比較的簡単であり、0.22μmフィルタを通過することができるナノ粒子を作製することができる。この方法により生成されたナノ粒子のサイズは、有機溶媒中のポリマー濃度、混合速度、および過程において使用した界面活性剤に敏感である。界面活性剤ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いた溶媒置換法の使用により、小さなナノ粒子(<100nm)が得られるが、SDSは薬学製剤には理想的ではない。しかしながら、同様の天然界面活性剤(例えば、コール酸塩またはタウロコール酸塩)を、SDSの代わりに使用して同様のサイズのナノ粒子を得ることができる。コール酸およびタウリンから形成された複合物であるタウロコール酸は、SDSと非常に類似した両親媒性溶液化学を有する完全に代謝可能なスルホン酸である。タウロコール酸の類似体であるタウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)は毒性がなく、実際には神経保護および抗アポトーシス特性を有することが公知である。TUDCAは天然胆汁酸であり、タウリンおよびウルソデオキシコール酸(UDCA)の複合物である。UDCAは胆嚢結石溶解治療のための承認薬(ACTIGALL(登録商標)、Watson Pharmaceuticals)である。他の天然アニオン界面活性剤(例えば、硫酸ガラクトセブロシド)、中性界面活性剤(例えば、ラクトシルセラミド)または双性イオン界面活性剤(例えば、スフィンゴミエリン、ホスファチジルコリン、パルミトイルカルニチン)をSDSまたはナノ粒子製剤研究で普通に使用されている他の界面活性剤の代わりに使用することができる。一般に安全と認識されている他の賦形剤、例えば、ガシクリジンの塩基形態を可溶化するために使用されるものもまた、ナノ粒子を調製するために使用することができる。そのような賦形剤としてはポリオキシエチレン脂肪酸エステル(例えば、ポリソルベート80(例えば、TWEEN 80(登録商標))、12-ヒドロキシ立体酸(steric acid)のポリグリコールモノエステルまたはジエステル(例えば、SOLUTOL(登録商標)HS 15)、およびCAPTISOL(登録商標)が挙げられる。ポロキサマー407など(限定されない)のポロキサマーもまた使用することができる。
【0015】
様々な界面活性剤のサンプリングを使用して、小さな(例えば、<100nm)非毒性薬物含有(例えば、ガシクリジン)ナノ粒子のための最適界面活性剤を決定することができる。界面活性剤濃度はまた、ナノ粒子の形成、その密度およびサイズに影響する。界面活性剤濃度は、各ポリマー組成、所望の薬物濃度、および使用目的に対し最適化することができる。
【0016】
ナノ粒子製剤において前に使用された様々な有機溶媒のうち、アセトンが、濾過可能なナノ粒子を調製する際に従来使用され、毒性が低く、取扱が容易なため、魅力的である。L-およびD,L-乳酸(PLA)または乳酸およびグリコール酸の混合物(ポリ(ラクチド-コ-グリコリド))(PLGA)からなる様々なポリマーは、100% L-PLAおよび100%グリコール酸(PGA)を除き、アセトンに溶解する。100%L-PLAからなるポリマーは塩化メチレンに溶解し、100%L-PLAまたは100% PGAのいずれかから構成されるポリマーはヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解する。
【0017】
いくつかの態様では、溶媒置換法を用いてナノ粒子を調製する場合、迅速混合が使用される。いくつかのそのような態様では、500rpmまたはそれ以上の撹拌速度が典型的に使用される。混合中でのより遅い溶媒交換速度では、より大きな粒子が得られる。変動圧力勾配を使用して、高いレイノルズ数と完全に発達した乱流での効率的な混合とを生じさせる。高重力反応混合物の使用は、高いレイノルズ数での乱流混合により達成されるものと同様の遠心粒子加速が達成されることにより、小さなナノ粒子(10nm)を生成した。
【0018】
超音波処理は、乱流混合を提供することができる1つの方法である。超音波処理は、二重エマルジョンナノ粒子作製法と共に最も普通に使用される方法であるが、溶媒置換法にはあまり適していない。超音波処理は、ストリーム交差点でインライン超音波振動プレートを備えたチューブを通過する2つの液体ストリーム(例えば、溶解された粒子ポリマー材料を有する1つのストリーム、ならびに、粒子を溶液から出て来させ、固化させる薬物および/または薬物の組み合わせを含む、別のストリーム)を混合することにより実施することができる。振動噴霧による非常に小さな液滴の形成がまた、ナノ粒子の作製で使用されている。例えば、Dimatix, Inc.(カナダのサンタクララ)のSpectra Printing Division(レバノン、NH)により作製されたDMP-2800 MEMS-系圧電マイクロポンプ(インクジェット)システムは、10〜50pL(1〜5×10-11リットル)サイズの液滴を100,000pL/sで形成する。マイクロポンプ(インクジェットシステム)は、均一混合および実験室から製造規模に方法を確実に移す能力を提供するが、200nmより小さなナノ粒子の製造は、小さな、ポリマーを含んだ液滴を製造するために圧電マイクロポンプが使用される場合、依然として、混合動力学(すなわち、混合で生成された沈殿固体または液体中間体の固化のタイミング)に依存する。
【0019】
追加的な態様では、連続流ミキサの使用は、小さな粒子サイズを確保するために必要な乱流を提供できる。サブミリセカンド時間スケールで乱流混合を提供することができる様々なミキサが記載されている。そのような混合装置としては、改変T-ミキサ、例えばBergerミキサ(R.L.Berger, B. BalkoおよびH.F. ChapmanによりRev. Sci. Instrum., 39:493-498(1968)において記載)またはWiskindミキサ(R.E. HansenおよびM.W.TonsagerによりJ. Phys. Chem., 92:2189-2196(1988)において記載)が含まれる。Wiskindミキサは、ミキサを通過する間に2またはそれ以上の流体ストリームの均一混合が達成される証明された能力を有する。小さなナノ粒子(例えば、<100nm)を調製するためにそのようなシステムを使用することにより、実験室規模製造と工業規模製造との間の容易な移行が可能になる。そのような混合テクノロジーの使用はまた、商業的方法の比較的簡単な開発を可能にする。実施例2は、迅速混合によるPLGAからのナノ粒子の調製を示す。
【0020】
いくつかの態様では、Wiskindミキサの改変型が使用される。図1は、そのような改変Wiskindミキサ10を示す。ミキサ10は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)「T字」コネクタ11(例えば、イリノイ州バーノンヒルズのCole-Palmerから入手可能な部品番号K-06473-09)を含む。第1のPTFEチューブライン12は入口13に接続し、第2のPTFEチューブライン16は入口17に接続する。出口PTFEチューブライン18は出口19に接続する。ナットおよびフェルール(図示せず)をねじ山21、22および23の周囲で締め、ライン12、16および18を定位置に固定し、流体密封接続を形成する。チューブを入口13および17ならびに出口19に取り付け、当技術分野において公知の様々な他の様式のいずれかで流体密封接続を形成することができる(例えば、チューブ12、16および18の入口13および17ならびに出口19へのO-リング圧縮管継手、接着接合端の使用)。動作中、混合される流体が、流体が流れる十分な圧力下でチューブ12および16を通って供給され;チューブ18中の生産物は供給された流体の混合(コネクタ11内)から得られたナノ粒子を含む。
【0021】
図2は、図1の面と平行な面内のミキサ10の断面図である。便宜上、チューブライン12、16および18は、図2では省略している。円筒穴27は、入口13および17に接続し、出口19からの第2の円筒穴28と交差する。入口13、入口16および出口19は、概ね円錐形であり、1〜4mmの間の外径を有するチューブを受け入れることができる。図2にも示されるように、ミキサ10は乱流発生器30を含む。乱流発生器30はさらに、上部32および3つのリング33を含む。図3は、乱流発生器30の拡大側面斜視図である。図4は、乱流発生器30の上面斜視図である。
【0022】
乱流発生器30は、1つの形態では、22ゲージFEP(テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー)チューブから形成され、穴27の上面から出口19まで延在する。上部32の切れ目35および36は、長さが1mmであり、ライン12および16から乱流発生器30の内側40へのアクセスを提供する。角度のある開口42および43が、上部32の上面37から2mmおよび3mmのアクセススリットの真下に設置される。上部32の反対側の複数(10〜15)の断面スライス45が上面37から3mm〜7mmの間にある。リング33は、長さ1mmであり、上部32を形成するために使用された同じ型のFEPチューブから切断される。ミキサ10が組み立てられると、乱流発生器30は、チューブ18の端により定位置に保持され、この端は、ねじ山23の周りにナットにより(またはいくつかの他の手段により)出口19内で固定される。リング33はチューブ18の端と上部32の底縁46の間の空間を埋める。穴28の内表面と上部32およびリング33の外縁との間には隙間が存在する。上面37と穴27の上部内側との間にもわずかな隙間が存在する。
【0023】
少なくとも1つの態様では、コネクタ11内の液体(ライン12および16からの2つの流入ストリーム混合後)に対し有効な最大体積は4μL未満である。乱流発生器30は、2つの流入ストリームを一緒にした後、乱流および効率的な混合を発生させる。6mL/分の総計流速(すなわち、ライン12および16からの流速の和)では、ミキサを通過する流体に対する最大時間は約40msecである。60mL/分の総計流速では最大混合時間は約4msecである。均一混合を達成するために必要とされる実際の時間は、ごくわずかの最大混合時間であると考えられる。
【0024】
前に示したように、遊離塩基ガシクリジンおよび/または他の薬物を送達するために使用することができる少なくとも4つの型のナノ粒子が存在する:(1)ガシクリジン(および/または他の薬物)が吸収/吸着される、またはポリマーナノ粒子コア上に薬物コーティングを形成するポリマーまたは他の材料から形成されたナノ粒子;(2)ガシクリジンおよび/または他の薬物から形成されたナノ粒子;(3)薬物の、ポリマーまたは他の非薬物物質との一般に均一な混合物を含むように形成されたナノ粒子;ならびに(4)純粋薬物または薬物混合物の、治療コア上のポリマーコーティングを有するナノ粒子。いくつかの態様では、迅速混合(図1のミキサ10を使用)および溶媒置換の組み合わせを使用して、(3)型のナノ粒子を生成させる。1つのそのような態様では、浸食性ポリマー(例えば、PLA、PGA、またはPLGA)を水混和性溶媒(例えば、アセトン)に溶解する。遊離塩基ガシクリジンもまた水混和性有機溶媒に溶解させる。この水混和性溶媒に溶解させた浸食性ポリマーおよびガシクリジンの溶液をライン12または16の一方を通して流入させ、適した体積の水(ライン12および16の他方を通して流入)と混合させ、粒子としてポリマーの沈殿を得る。水にはポリソルベート80など(これに限定されない)の界面活性剤を添加してもよい。ガシクリジン塩基は、水溶液および有機溶液の混合で形成するナノ粒子内に捕捉される。いくつかのそのような態様における混合時間は、実質的には100ミリ秒未満であり、これは、混合された溶液がミキサを通過するためにかかる時間より短い。均一混合を達成するために必要な時間が短いほど、得られたポリマー粒子の直径が小さくなる。
【0025】
別の態様では、遊離塩基ガシクリジンを、浸食性ポリマーから構成される精製ナノ粒子を溶解しない有機溶媒(例えば、エタノール)に溶解する。この態様では、ガシクリジン塩基は、溶解されたガシクリジン塩基を含む溶液中でナノ粒子をインキュベーションする間に粒子内に拡散する。さらに別の態様では、浸食性ポリマーのナノ粒子は、酸形態のガシクリジンの水溶液、または、ポリマーよりもガシクリジンに対し低い親和性を有する界面活性剤、例えばポリソルベート80に結合されたガシクリジンの水溶液/懸濁液中に懸濁される。時間とともに、ガシクリジンが、懸濁されたナノ粒子に吸収/吸着され、その後粒子内に拡散する。
【0026】
ナノ粒子製剤のために使用することができる多くのポリマーよりも密度が低いトリグリセリドを水混和性有機溶媒に含有させることができ、および/または、その後、懸濁液中のナノ粒子により吸収させることができる。トリグリセリドをポリマーおよびガシクリジンと同時製剤化することで、標的組織にナノ粒子を送達するために使用するビヒクル(例えば、リンゲル液、乳酸リンゲル液、生理食塩水)の密度に一致するように、複合物粒子密度を調節することができる。例えば、トリグリセリドを添加することで、水(1g/ml)の密度とほぼ等しい密度を有するナノ粒子を得ることができる。粒子およびビヒクルの密度を一致させることは、粒子を長期間の間安定なコロイド懸濁液中に維持するために役立つ。
【0027】
別の態様では、200nm未満(または好ましくは、ある態様では、100nm未満)の直径を有する浸食性ポリマー(例えば、PLA、PGA、またはPLGA)の(1)型ナノ粒子(ガシクリジン(および/または別の薬剤)が吸収/吸着される、ポリマーまたは他の材料から形成されたナノ粒子)は、流体(例えば、任意で少量の酸または界面活性剤を含むリンゲル液または生理食塩水)に懸濁される。その後、この懸濁液をガシクリジン塩基微粒子(すなわち、直径が1μmを超えるガシクリジン塩基粒子)の流動床と接触させて配置する。ガシクリジン塩基の一部はその後、ナノ粒子に吸収/吸着され、その結果、そのナノ粒子をして吸収/吸着された薬物を送達することができる。ナノ粒子懸濁液がまた、酸または界面活性剤(例えば、ポリソルベート80)を含む場合、そのような添加剤は、ガシリジンの固体微粒子ガシクリジン塩基からポリマーナノ粒子までの移動を促進するメディエーターとして作用することができる。
【0028】
さらに別の態様では、(3)型ガシクリジン塩基ナノ粒子(純粋ガシクリジン、および/または他の薬物と組み合わせたガシクリジンから形成されたナノ粒子)の微粒子懸濁液が、ガシクリジンの固体遊離塩基および適したビヒクル(例えば、リンゲル液または生理食塩水)を高いせん断力に供することにより調製される。そのような態様の一例を実施例1に示す。界面活性剤を添加し、ビヒクル中に分散させたガシクリジン塩基の均一分散物が得られる。この方法により生成される粒子のサイズは、高圧均一化中に使用するせん断力、懸濁液中のガシクリジン塩基濃度、分散のために使用する界面活性剤、および温度に依存する。直径が200nmより小さいガシクリジン塩基粒子(適したビヒクル中の懸濁液として抗菌フィルタを通過することができる)が形成される。直径200nmを超える、好ましくは直径1000nm(1μm)を超えるガシクリジン塩基粒子を使用して、流動床を調製することができ、そこでは、そのような粒子は、粒子を過ぎて流れる移動相中に浸食され、溶離され、またはそうでなければ混入されるガシクリジンの固定源として機能する。
【0029】
さらに別の態様では、ガシクリジン塩基ナノ粒子は気相で調製することができる。金属、金属酸化物、またはセラミックスから構成されるナノ粒子のそのような気相調製は、米国特許第7,081,267号、同第7,052,777号、および同第6,855,426号に開示されている。これらの方法は、ナノ粒子作製中に使用される温度を下げることにより、ガシクリジン塩基のナノ粒子の調製に適合させることができる。乾燥ガシクリジン塩基ナノ粒子は、滅菌粉末として保存し、適したビヒクル(例えば、リンゲル液または生理食塩水)で再構成することができる。
【0030】
さらに別の態様では、PLGAナノ粒子を、適した溶媒に溶解したガシクリジン(またはガシクリジンおよび1つもしくは複数の他の薬物の混合物)の溶液に懸濁させることができる。この粒子および薬物の混合物をその後、小滴として(例えば、シーブを通して)液体チッソ浴中に支出させ、液体窒素中で急速冷凍させる。冷凍ペレットをその後、真空で凍結乾燥または蒸発させ、表面にガシクリジン(またはガシクリジンおよび1つもしくは複数の他の薬物の混合物)を有するPLGA粒子を残す。粒子をその後、患者に送達するために、ガシクリジン(または、ガシクリジンおよび1つもしくは複数の他の薬物の混合物)が不溶である適したビヒクル中に再懸濁させる。さらに別の態様では、PLGA粒子をガシクリジン(またはガシクリジンおよび1つもしくは複数の他の薬物の混合物)と共に噴霧化させ、真空で薬物滴として乾燥させることができ、粒子は真空で懸濁される。
【0031】
ガシクリジン塩基の(1)型ナノ粒子は、他の物質、例えば浸食性ポリマーでコートすることができる。浸食性ポリマーの例としては、PLA、PGA、またはPLGAからなるポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。気相で粒子をコートするための方法の例は米国特許第7,052,777号および同第6,855,426号で開示されている。そのような方法は、使用する温度を下げることにより、ガシクリジン塩基、PLA、PGA、またはPLGAから構成されるコートナノ粒子の調製に適合させることができる。そのような粒子は、薬物含有コアから長期にわたる、例えば数週間または数ヶ月の期間にわたる、ガシクリジン塩基の徐放または制御放出を提供する複数の層を有することができる。
【0032】
PLA、PGAおよびPLGA以外のポリマーを上記態様に関する変形で(ならびに別の態様で)使用することができる。いくつかの場合において、生分解性ポリマーが好ましいが、これはいくつかの態様では必須ではない。特別な用途に基づき、生分解速度が異なる(2〜3週から12〜16ヶ月までの範囲)を有するポリマーを選択することができる。そのようなポリマーはアラバマ州バーミングハムのLakeshore Biomaterialsから入手可能である。選択したポリマーが、薬物が(例えば、カテーテル、フィルタまた容器中で)遭遇する可能性のある他のポリマーよりも、薬物(例えば、ガシクリジン)に対し高い親和性を有することが時として望ましいが、これもまた必ずしも必要条件ではない。一般に、選択したポリマーは通常、37℃で製剤化すると化学的に安定であり、非毒性であり、均一なナノ粒子を形成することができ、これはまた安定な懸濁液を形成する。
【0033】
ビヒクル(例えば、リンゲル液)を用いて等密度を達成する他に、ナノ粒子に、トリグリセリドを含浸させ、ガシクリジンの塩基形態に対する親和性を増加させることができる。そのようなハイブリッドナノ粒子(例えば、PLGA-トリグリセリド)は、ガシクリジンの吸着に対し、埋め込み可能な医療装置においてしばしば使用されるシリコーンゴム構成要素などのポリマー表面とより効果的に競合することができる。
【0034】
ナノ粒子サイジングおよび分析法
ゲル濾過クロマトグラフィーとしても公知のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を、そのようなナノ粒子の分画および/またはそのようなナノ粒子の薬剤製造の両方において、ガシクリジン含有ナノ粒子の分析に使用することができる。200,000(Superdex 200)〜約1,000,000(Superose 6)および108を超える(Sephacryl000)までの範囲の球状タンパク質に対する分画分子量(MWCO)を有する様々なSEC媒質がウイルスおよび>1μmの小粒子のSEC分離のために適しており、市販されている(例えば、スウェーデン、ウプサラのGE Healthcare、Amersham Biosciencesから)。
【0035】
SECの他に、徐々により小さな細孔サイズの層状半透過性膜(例えば、接線硫または十字流膜濾過)を使用して、粒子をサイズにより精製し、粒子を洗浄して粒子調製中に使用した汚染添加物を無くし、および/または粒子を濃縮することができる。限定されないが、Pall Corporation、Whatman、またはMilliporeなどの様々な会社が、薬物送達のために粒子を処理するために使用することができる接線流、末端または管状膜システムを提供する。そのようなシステムは、ナノ濾過、限外濾過(5,000〜500,000ダルトンサイズの分子の保持)、および精密濾過(0.2〜0.45μm直径粒子の保持)膜を含む。本明細書で記載した方法により生成された粒子は、1つまたは複数の精密濾過膜を通過させることにより、抗菌フィルタを通過することができないより大きな粒子が除去され、その後、限外濾過またはナノ濾過膜を使用することにより所望の濃度まで濃縮させることができる。膜処理技術の使用は、薬物を粒子に吸着/吸収させた後、粒子に所望の量の1つまたは複数の薬物を含浸させる前、またはその両方で実施することができる。
【0036】
ナノ粒子懸濁液のコロイド安定性は、ミニ遠心分離機[Hermle Z229;15,000rpm;平均g力 30,000×g(25,000-35,000×g)]を用いて沈降速度を加速することにより評価してもよい。第一近似では、20分間30,000×gでコロイド分散物を保持することができる懸濁液は、撹拌されない薬物貯蔵部中で1年間均一なままであるべきである。PLGA、PGAおよびPLAは水より約20%大きな密度を有するので、これらの材料から作製したナノ粒子は、表面に浮くのではなく、最終的には沈降するはずである。より軽い密度の様々な油(例えば、オリーブ油またはコーン油、トリグリセリド)をポリマーおよび薬物と共に製剤化し、懸濁液の密度を適合させることもできる。そのような製剤は無限にコロイド分散を維持することができる。
【0037】
ナノ粒子を使用する薬物送達のための例示的な装置および方法
いくつかの態様では、針、カテーテル端または他の末端構成要素を外科的に患者の標的組織に埋め込み、カテーテル(これもまた患者に埋め込まれる)を介して皮下に埋め込まれたポートに接続される。埋め込まれた抗菌フィルタをポートと末端構成要素との間の流路に含ませてもよい。薬物を含むナノ粒子の予め製剤化した懸濁液をその後、外部源からポートに注入してもよい。
【0038】
別の態様では、固体薬物含有貯蔵部と流体連絡したポンプを患者に埋め込み、標的組織に埋め込まれている針または他の末端構成要素に接続する。適当なビヒクル中のポリマーナノ粒子の懸濁液を、薬物貯蔵部中に含まれる塩基性ガシクリジンのペレット上で通過させる。懸濁ナノ粒子は、貯蔵部からガシクリジンを吸収/吸着し、吸収/吸着された薬物を標的組織に輸送する。1つのそのような薬物送達システムを図5に示す。図5の態様では、システム70は、カテーテル73および74を介してスリーブ付き薬物貯蔵部72に結合された浸透圧ポンプ71を含む。三次元(3-D)抗菌フィルタ75は、カテーテル76を介して薬物貯蔵部72に結合される。別のカテーテル77およびコネクタ78は、3-Dフィルタ75を別のカテーテル(図示せず)を介して、標的組織に薬物含有ナノ粒子懸濁液を送達するために置かれた末端構成要素(これも図示せず)に接続する。末端構成要素は、例えば針、カテーテルの開口端、人工内耳、網膜移植物などとしてもよい。
【0039】
埋め込み前に、浸透圧ポンプ71を適したビヒクル(例えば、リンゲル液または生理食塩水)中の、ガシクリジンに対する親和性を有するポリマーナノ粒子の懸濁液で充填する。貯蔵部72に固体薬物のペレットを入れる。懸濁液をポンプ71から貯蔵部72中に放出させ、ガシクリジンペレットからガシクリジンを吸収/吸着させる。薬物を含むナノ粒子懸濁液はその後、抗菌フィルタ75を通過しその後、末端構成要素および標的組織に到達する。別の態様では、ガシクリジンまたは他の薬物のより小さな粒子(例えば、0.3〜10μm)を抗菌フィルタに保持させ、薬物物質床を形成することができる。そのフィルタを通過させたナノ粒子懸濁液はその後、同時に滅菌され、薬物を吸収/吸着する。さらに別の態様は、固体薬物粒子を通過して流れるナノ粒子および希酸または両親媒性賦形剤の混合物を使用する。さらに別の態様では、ガシクリジンおよび/または他の治療薬から構成される(またはそれらが予め添加された)ナノ粒子を使用し、固体薬物貯蔵部を省略することができる。
【0040】
さらなる態様は、前に言及した、米国特許出願第11/337,815号、同第11/759,387号および同第11/780,853号、ならびに同一出願人による米国特許出願第11/414,543号(2006年5月1日に出願され、「治療薬および他の型の薬剤の送達のための装置および方法」という題名である)で記載されている装置および/または方法を使用して薬物を送達するためのナノ粒子の使用を含む。
【0041】
ナノ粒子懸濁液の薬物チャンバの通過中、十分な量のガシクリジンを吸着することができない可能性のある用途では、長期間、ナノ粒子およびガシクリジン塩基の懸濁液をインキュベートすることができる。希酸または両親媒性賦形剤含有物がナノ粒子に十分な薬物を含浸させることができない場合、ガシクリジンに対し、ナノ粒子を溶解しない溶媒(例えば、エタノール)を使用することができる。このアプローチでは、ナノ粒子およびガシクリジンのインキュベーションを長期間実施することができる。
【0042】
様々な態様は、ガシクリジンに加えて(またはその代わりに)薬物を有するナノ粒子、ガシクリジンに加えて(またはその代わりに)薬物を有するナノ粒子の形成、およびナノ粒子を用いて、ガシクリジンに加え(またはその代わりに)薬物を送達することをさらに含む。
【0043】
追加的態様
上記製剤、方法および装置に加えて、態様はまた、単層または多層リポソームまたはベシクルを形成するための脂質を用いた純粋薬物のナノ粒子のコーティング、コーティングを介する薬物の放出を制御するための膜を用いた純粋薬物のナノ粒子のコーティング、およびインビボで溶解し薬物を放出する1つまたは複数の浸食性ポリマーを用いた純粋薬物のナノ粒子のコーティングを含む。
【0044】
上記で示したように、本発明のある態様はナノ粒子の懸濁液を含む。本明細書(特許請求の範囲を含む)で使用されるように、懸濁液は、液体およびスラリーを効果的に形成する濃度のナノ粒子の混合物を含む。様々な態様がまた、ナノ粒子粉末を含む。いくつかのそのような態様では、粉末中の10(重量)%未満の粒子が200nmより大きい。さらに別の態様では、粉末中の1(重量)%未満の粒子が200nmより大きい。さらに別の態様では、粉末中の10(重量)%未満の粒子が100nmより大きい。さらに別の態様では、粉末中の1(重量)%未満の粒子が100nmより大きい。
【0045】
ある態様では、様々な薬物を遊離塩基ガシクリジンと組み合わせて送達するためにナノ粒子を使用する。ガシクリジンと共に送達させることができるそのような薬物の例としては、ガシクリジン以外のNMDA拮抗薬(例えば、ケタミン、カロベリン、メマンチン、リドカイン、トラキソプロジル)、亜型特異的拮抗薬(例えば、NR2BおよびNR2D)、ステロイド(例えば、デキサメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、メチルプレジノソロン)、抗ウイルス化合物(例えば、アンチセンス阻害剤、リボザイム、ホミビルセン、ラミブジン、プレコナリル、アマンタジン、リマンタジン、抗イディオタイプ抗体、ヌクレオシド類似体)、抗菌化合物(例えば、アミノグリコシド、アンサマイシン、カルバセフェム、カルバペネム、セファロスポリン、グリコペプチド、マクロライド、モノバクタム、ペニシリン)、抗酸化剤(例えば、N-アセチル-システイン、グルタチオン、システイン、メチオニン)、および上記同一出願人による米国特許出願の1つまたは複数において識別された薬物が挙げられるが、それらに限定されない。1つまたは複数のこれらの薬物は、ガシクリジンと組み合わせ、組み合わせ(または、組み合わせおよび1つもしくは複数のポリマーまたは他の非薬物化合物)のナノ粒子を形成することができる。ポリマー(または他の非薬物化合物)から形成したナノ粒子もまた、ガシクリジンおよび追加の薬物のペレットからガシクリジンおよび1つまたは複数のこれらの追加の薬物を溶離するために使用することができる。さらに別の変形では、ガシクリジンから形成された(またはこれが付加された)ナノ粒子を使用して、1つまたは複数の他の薬物のペレットから1つまたは複数の他の薬物を溶離すること、またはその逆が可能である。
【0046】
ガシクリジン特性
ガシクリジン(CAS登録番号131774-33-9(酸形態)および68134-81-6(塩基形態))は室温、ガラス容器内で7.4の見かけのpKAを有する。図6はガシクリジンの構造および溶液化学を示す。しかしながら、ポリマー容器内または過剰の沈殿薬物の存在下では、薬物の塩基形態のポリマー表面との相互作用またはそれ自体の不溶性沈殿物のために、見かけのpKAはより低い値に摂動する。共役酸形態では、ガシクリジンは非常に水溶性である、1モル(M)濃度を超える溶液を、塩酸塩から調製することができる。しかしながら、薬物の酸形態の溶液は熱的に不安定であり、酸触媒分解を受け、化学量論量のピペリジン(失われた薬物1モルあたり1モル)および複数の他の有機生成物が得られる。ガシクリジンの共役塩基形態は事実上水に不溶である(pH9より高いと<2μM)が、懸濁水溶液中でかなり安定である。ガシクリジンの見かけのpKAの温度依存性は有機アミンに典型的であるが(-0.016△pKA/℃)、温度を上昇させることで、ガシクリジンのポリマー表面に対する親和性およびその酸形態の分解速度が劇的に増加する。
【0047】
ガシクリジンの塩基形態は、共役酸形態よりも200〜400倍安定である(54℃では、10mM HCl中では0.52日-1の分解速度に比べ、1mM NaOH中では0.0013日-1の分解速度)。体温(37℃)では、塩酸塩形態でガシクリジンの10%が損失するために必要な時間は、わずかに酸性の条件下では3.8日であり(表1を参照されたい)、生理学的pHではわずかに長いにすぎない(pH7.4で6.1日;表1を参照されたい)。完全に埋め込み可能な薬物送達システムがガシクリジンの塩基形態を用いると達成可能であり、この場合、分解により10%損失するためにかかる時間は2年より長いはずである。
【0048】
(表1)37℃でのガシクリジン塩酸塩の安定性

【0049】
ガシクリジンの塩酸塩は、水に接触することでほぼすぐに、>1Mの最終濃度まで、透明溶液を提供する。しかしながら、0.1Mの塩酸塩溶液を緩衝水溶液中に1mMの最終濃度まで希釈した場合、その後、pH7を超えるとガシクリジンの沈殿が観察される。溶液中のガシクリジン残渣を決定することにより、室温で6.7の見かけのpKAが観察される。室温および1mMのガシクリジン最終濃度では、ガラスまたはポリプロピレンバイアル中で同様の結果が得られる。しかしながら、37℃では、ガラスバイアル中で観察される見かけのpKAは、ガシクリジン塩基がプラスチックバイアルに結合するため、ポリプロピレン中で観察されるものよりも約0.7pH単位高くなる。様々な両親媒性賦形剤(例えば、SOLUTOL HS 15、TWEEN 80(ポリソルベート80)またはCAPTISOL)を含有させることで、高いpHの溶液中に残るガシクリジンの量が増加し、見かけのpKAの摂動がない。様々な両親媒性賦形剤(例えば、SOLUTOL HS 15、TWEEN 80またはCAPTISOL)は、ガラス容器中のガシクリジン溶解度を増加させることができるが、低いpHであっても、ポリマー表面へのガシクリジンの損失を阻止するには相対的に役に立たない。
【0050】
実施例
下記具体例は、例示目的のみのために提供したものであり、本発明の範囲を制限するよう意図されていない。
【0051】
実施例1:ガシリジン塩基懸濁液の調製
ガシリジンの塩基形態(200mg)をリンゲル液(Baxter Healthcare Corporation)20mLに懸濁させた。この懸濁液にポリソルベート80 10μLを添加することは、Dounceホモジナイザを使用することにより、ガシリジン塩基のリンゲル溶液中でのより均一な分散を達成した。2つの追加の10μLアリコートのポリソルベート80を懸濁液に添加することは、Dounceホモジナイザを使用することにより、リンゲル溶液中でガシリジン塩基の均一な分散を得る可能性をさらに改善した。試料をその後、1サイクルをLabgen 700 Wattホモジナイザによる処理、および多くのサイクルをMicrofluidics高圧ホモジナイザによる処理に供し、その後、3日間放置させた。体積平均粒子サイズは2847±715nmであった。さらに10日間室温で放置した後、上清は低密度粒子を含んだ(約1%)。上清を注意深くペレットから吸引により除去し、沈んだ大きな粒子画分を、リンゲル液20mLを用いて再懸濁させた。再懸濁させた粒子の体積平均サイズは、2808±621nmであり、ガシクリジンを含んだ。大きな粒子画分は、19mMのガシクリジンを含み、これは0.22μmシリンジフィルタ(Millipore 0.22μm PVDF 親水性シリンジフィルタカタログNo.SLGV0054SL)により完全に保持された。
【0052】
実施例2:PLGAナノ粒子を調製するための改変Wiskindミキサの使用
2つの異なる蠕動ポンプ(L/S PTFE-チューブポンプシステム、Cole-Parmerカタログ番号K-77912-00)を使用して、界面活性剤の水溶液およびアセトンに溶解したポリマーを、図1〜4と共に説明したWiskindミキサの2つの入口位置に送達した。0〜10g/Lのポリソルベート80を含む水溶液を第1のポンプにより6.3mL/分の流速で送達した。0〜20g/Lの50:50ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)エステル(PLGA、Lakeshore Biomaterials, 5050 DLG 3E, Lot No.LP271)を含むアセトン溶液を、第2のポンプにより1.0mL/分の流速で送達した。これらの溶液の混合中に形成した、結果として得られた粒子を、静的および動的光散乱強度を決定することにより評価し、体積平均粒子サイズ(直径)を、レーザ動的粒子サイズアナライザ(Horiba LB-550)を使用することにより評価した。これらの混合実験の結果を表2に示す。ポリマー(PLGA)の非存在下で、界面活性剤単独により低濃度粒子が形成した。ポリマー誘導粒子は、アセトンに溶解したポリマー濃度が高いほどサイズが増加し、水に溶解した界面活性剤の濃度が高いほどサイズが減少した(表2)。界面活性剤が存在しなくても、ポリマー誘導粒子の体積平均直径は100nm未満(91±27nm)であった。10g/Lのポリソルベート80を水相に含有させた場合、ポリマー誘導粒子の体積平均直径は20g/L PLGAの濃度で150nm、2g/L PLGAの濃度で70nmであった。どちらのサイズの粒子も0.2μmポリエーテルスルホン(PES)抗菌フィルタ(VWRカタログ番号28145-501)を通過することができる(表2)。より小さな粒子は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)または精密濾過によりさらに精製することができる。界面活性剤は、粒子調製中に存在する場合、限外濾過により除去することができる。限外濾過により濃縮して高密度(例えば、40重量%)にした後、薬物を溶解するが(例えば、ガシクリジンに対してはエタノール)、懸濁させたPLGAナノ粒子は溶解しない溶媒中に懸濁させることにより、これらのより小さな粒子に薬物を含浸させることができる。分析により、粒子による薬物の取り込みにより、所望の薬物濃度/gmまたは懸濁粒子の体積を有することが示されるまで、粒子を溶解させた薬物の存在下で浸す。粒子の薬物負荷後、溶媒および過剰の薬物を、さらに限外濾過により、または接線流もしくは十字流膜濾過を使用することにより除去することができる。
【0053】
(表2)連続流迅速混合によりナノ粒子を生成させるための改変Wiskindミキサの使用

1.水に溶解させたポリソルベートと80の濃度
2.アセトンに溶解した50:50 PLGA(5050 DLG 3E)の濃度
3.静的散乱=静的散乱、入射光と同じ波長での散乱光強度;動的散乱=動的散乱、入射光よりも長いまたは短い波長での散乱光強度;サイズ=体積平均粒子直径;NPD=検出された粒子なし
4.混合後、ナノ粒子懸濁液を、0.2μm PESフィルタを通して濾過した。
【0054】
実施例3:ガシクリジン塩基の大きな粒子(>1mm)の形成および溶離による送達
薬物塩基の巨視的固体ペレットは、熱水浴(90〜100℃)中で塩基性ガシクリジンを溶融し、その後、少量(2μL)を結晶化バイアル中に分注することにより形成されることができる。この方法により、塩基形態の均一ペレットが得られる(平均重量1.5±0.3mg;平均直径1.9mm)。これらのペレットを小流チャンバ内に入れ;その後酸(HCl)を用いて、適当なビヒクル(例えば、リンゲル液)に溶解した所望の薬物濃度で溶離することができる。そのような装置の原型の概略図を図5に示す。浸透圧ポンプ71(例えば、ALZET(登録商標)ミニポンプ(例えば、動物実験では、2ML4、2.5μL/hr、4週間の期間)と抗菌フィルタ75との間には、ガシクリジン塩基ペレット(11ペレット;18mg 総ガシクリジン塩基)を含む薬物チャンバ72(2.1×8.5mm;総体積32mm3)が存在する。低流速ポンプ(例えば、DUROS(登録商標)ポンプ)と共に使用するために適した薬物溶離チャンバを調製するために、より小さな薬物粒子、例えば実施例1で記載したものを使用することができ、そのため、薬物質量は十分小さい。また、ビヒクルに懸濁させたポリマーナノ粒子を浸透圧ポンプからポンピングし、チャンバ72中の1つまたは複数の固体遊離塩基ペレットから薬物を溶離することができる。
【0055】
実施例4:濃縮された無アセトンナノ粒子の調製
アセトンに溶解した2g/L PLGA 250mLを1.0mL/分の流速で、6.3mL/分の流速の、水に溶解した10g/Lポリソルベート80と混合した。混合後、Horiba LB-550粒子サイズアナライザを使用して、粒子のキャラクタリゼーションを実施した。最初の粒子調製物は、45の静的光散乱強度、71の動的光散乱強度、および74nmの体積平均粒子直径を有した。この混合物を開いたビーカー内で24時間、絶えず撹拌しながら放置させ、その後、検出可能なアセトン臭はなくなった。粒子をその後、50psiの窒素下での圧力透析よび10,000MWカットオフセルロス膜を用いることにより75mLの最終体積まで濃縮した。Horiba LB-550粒子サイズアナライザにより測定されるように、濃縮調製物は、472の静的光散乱強度、750の動的光散乱強度、および130nmの体積平均粒子直径を有した。濃縮後の見かけの粒子サイズの増加は高粒子濃度での粒子オリゴマ(例えば、二量体および/または三量体)の可逆形成によるものであった。0.2mLの濃縮粒子調製物を水2.8mLで希釈することで、53までの静的光散乱強度の減少、89までの動的光散乱強度の減少、および53nmまでの体積平均粒子直径の減少が測定された。
【0056】
実施例5:PLGAナノ粒子へのガシクリジン塩基の負荷
実施例1で記載したような、5mg/mLの微粒子ガシクリジン遊離塩基(体積平均粒子直径=2800nm;50mgガシクリジン塩基)10mLをPLGA 0.5gおよびポリソルベート80 0.75gを含む実施例4で記載した濃縮PLGAナノ粒子調製物75mLに添加した。ガシクリジン塩基粒子は、混合するとPLGA-ポリソルベート80懸濁液に溶解した。微粒子ガシクリジン塩基の添加後、混合物は、446の静的光散乱強度、731の動的光散乱強度、および130nmの体積平均粒子直径を有した。この混合物を室温でインキュベーションすることで、溶解ソルベート80とコロイドPLGAナノ粒子との間でガシクリジンが分配される。インキュベーション時間の関数として、ガシクリジンは、PLGAナノ粒子に吸収/吸着され、その後粒子内に拡散する。ポリソルベート80とPLGAナノ粒子の間のガシクリジンの分配は、試料を実施例4で記載したように圧力透析に供した場合、インキュベーション混合物の総ガシクリジン量を、10,000分子量(MW)カットオフセルロース膜を通過するガシクリジン濃度と比較することにより決定することができる。これらの溶液中のガシクリジン濃度は、塩化メチレン抽出およびHPLCの組み合わせにより測定することができる。
【0057】
結果
上記明細書で引用した特許および特許出願は全て、参照により明確に組み入れられる。しかしながら、前記組み入れられた特許または特許出願の1つが用語を、そのような用語が上記明細書で使用される様式と異なる様式で使用する場合には、特許請求の範囲を理解する場合に、上記明細書での用法のみを考慮すべきである(特許請求の範囲外の任意の言語を考慮する必要がある程度まで)。
【0058】
本発明の多くの特徴、利点および態様について、前記説明において添付の図面を参照して詳細に記載してきた。しかしながら、上記説明および図面は例示にすぎない。本発明は説明した態様に限定されず、本発明の全ての態様が、必ずしも利点または目的の全てを達成するとは限らず、本明細書で規定される全ての特徴を有するとは限らない。当業者であれば、本発明の範囲または精神から逸脱せずに、様々な変更および改変が可能である。例示的な材料および寸法を提供してきたが、本発明は、特許請求の範囲の言語により特に要求されなければ、そのような材料または寸法に限定されない。上記態様の要素および使用は、上記で具体的に記載したもの以外の様式で、本発明の範囲内の任意のおよび全ての順列を用いて、再配列させ、組み合わせることができる。本明細書(特許請求の範囲を含む)で使用されるように、「流体連絡」という用語は、流体が1つの構成要素からもう1つの構成要素まで流れることができることを意味し;そのような流れは1つまたは複数の中間(および、具体的には言及されていない)の他の構成要素によるものであってもよく;ならびに、そのような流れは選択的に中断可能(例えば、弁により)であってもよく、またはそうでなくてもよい。これもまた本明細書(特許請求の範囲を含む)で使用されるように、「結合された」という用語は、1つまたは複数の中間構成要素により(可動に、または固定して)取り付けられた2つの構成要素を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
懸濁させたナノ粒子が、少なくとも100マイクロモルの懸濁液中での遊離塩基ガシクリジンの有効濃度を達成する十分な量で遊離塩基ガシクリジンを含む、液体媒質中のナノ粒子の懸濁液を含む組成物。
【請求項2】
有効濃度が100ミリモル未満である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
ナノ粒子が遊離塩基ガシクリジンから構成される、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
ナノ粒子が、少なくとも1つのポリマーとの実質的に均一な混合物中のガシクリジンを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも1つのポリマーが、L-乳酸またはD,L-乳酸(PLA)、乳酸およびグリコール酸の混合物(ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ならびにグリコール酸(PGA)のうちの少なくとも1つを含む、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
ナノ粒子が、遊離塩基ガシクリジンに対し親和性を有する少なくとも1つのポリマーから形成され、かつ
ナノ粒子に含まれる遊離塩基ガシクリジンが少なくとも1つのポリマーに吸収/吸着される、
請求項1記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも1つのポリマーが、L-乳酸またはD,L-乳酸(PLA)、乳酸およびグリコール酸の混合物(ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ならびにグリコール酸(PGA)のうちの少なくとも1つを含む、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
ナノ粒子が、第2の薬物をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
第2の薬物が、ガシクリジン以外のNMDA拮抗薬、亜型特異的拮抗薬、ステロイド、抗ウイルス化合物、抗菌化合物、および抗酸化剤を含む群より選択される、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
第2の薬物が、ケタミン、カロベリン、メマンチン、リドカイン、およびトラキソプロジルを含む群より選択される、請求項8記載の組成物。
【請求項11】
第2の薬物が、デキサメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、およびメチルプレドニソロンを含む群より選択される、請求項8記載の組成物。
【請求項12】
第2の薬物が、抗ウイルス化合物または抗菌化合物を含む群より選択される、請求項8記載の組成物。
【請求項13】
第2の薬物が、ラミブジン、プレコナリル、アマンタジン、リマンタジン、およびヌクレオシド類似体を含む群より選択される少なくとも1つの抗ウイルス化合物である、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
第2の薬物が、アミノグリコシド、アンサマイシン、カルバセフェム、カルバペネム、セファロスポリン、マクロライド、モノバクタム、およびペニシリンを含む群より選択される少なくとも1つの抗菌化合物である、請求項12記載の組成物。
【請求項15】
第2の薬物が、N-アセチル-システイン、グルタチオン、システイン、およびメチオニンを含む群より選択される、請求項8記載の組成物。
【請求項16】
ナノ粒子が、ナノ粒子の密度が液体媒質の密度にほぼ等しくなるようにする十分な量のトリグリセリドを含む、請求項8記載の組成物。
【請求項17】
ナノ粒子が生分解性ポリマーを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項18】
生分解性ポリマーが、第1の生分解速度を有する第1のポリマーおよび第2の生分解速度を有する第2のポリマーを含み、かつ
第1の生分解速度が第2の生分解速度とは異なる、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
ナノ粒子が脂質でコートされる、請求項1記載の組成物。
【請求項20】
液体媒質がリンゲル液、乳酸リンゲル液、または生理食塩水を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項21】
請求項1記載の組成物をヒトまたは動物の内耳に直接送達する段階を含む、方法。
【請求項22】
請求項1記載の組成物をヒトまたは動物の眼組織に直接送達する段階を含む、方法。
【請求項23】
請求項1記載の組成物をヒトまたは動物の神経組織に直接送達する段階を含む、方法。
【請求項24】
第1および第2の入口ならびに1つの出口を有し、第1および第2の入口ならびに出口を互いに流体連絡させて配置させる中に形成された1つまたは複数の経路を有する、ハウジング;ならびに
1つまたは複数の経路内に置かれ、中に形成された穴および上端を有する主部材を含み、上端に形成された少なくとも1つの流体入口および主部材の長さに沿って形成された複数の開口を含む、乱流発生器
を含む、ミキサ。
【請求項25】
主部材の長軸に対し概ね平行である、乱流発生器の上面内への複数の切れ目を、乱流発生器の上端に形成された少なくとも1つの流体入口が含み、
主部材の長さに沿って形成された複数の開口が、主部材の長軸に直交しない少なくとも1つの角度のある切れ目および主部材の長軸に概ね直交する少なくとも1つの切れ目を含み、かつ
乱流発生器が、主部材の下方に、および主部材とは独立して可動に置かれた複数の環状部材をさらに含む、
請求項24記載のミキサ。
【請求項26】
請求項24記載のミキサの第1の入口に、浸食性ポリマーおよび水混和性溶媒を含む溶液を供給する段階;
請求項24記載のミキサの第2の入口に水を供給する段階;ならびに
請求項24記載のミキサの出口から、浸食性ポリマーを含むナノ粒子を回収する段階
を含む、方法。
【請求項27】
浸食性ポリマーが、L-乳酸またはD,L-乳酸(PLA)、乳酸およびグリコール酸の混合物(ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ならびにグリコール酸(PGA)のうちの少なくとも1つを含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
浸食性ポリマーおよび水混和性溶媒を含む溶液が、ガシクリジンをさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項29】
加圧下で第2の入口に供給される水が、コール酸もしくはその塩、ウルソデオキシコール酸もしくはその塩、タウロウルソデオキシコール酸もしくはその塩、タウロコール酸もしくはその塩、ポロキサマー、ポリビニルアルコール、アルブミン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、12-ヒドロキシ立体酸のポリグリコールモノエステルもしくはジエステル、またはシクロデキストランより選択される少なくとも1つの界面活性剤を含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
加圧下で、請求項24記載のミキサの第1の入口に、ガシクリジンおよび水混和性溶媒を含む溶液を供給する段階;
加圧下で、請求項24記載のミキサの第2の入口に水を供給する段階;ならびに
請求項24記載のミキサの出口から、ガシクリジンを含むナノ粒子を回収する段階
を含む、方法。
【請求項31】
粉末のナノ粒子が遊離塩基ガシクリジンを含み、かつ
粉末中の全ての粒子の10(重量)%未満が200nmより大きい、
ナノ粒子粉末を含む組成物。
【請求項32】
粉末のナノ粒子が遊離塩基ガシクリジンから構成される、請求項31記載の組成物。
【請求項33】
粉末のナノ粒子が、少なくとも1つのポリマーとの実質的に均一な混合物中のガシクリジンを含む、請求項31記載の組成物。
【請求項34】
少なくとも1つのポリマーが、L-乳酸またはD,L-乳酸(PLA)、乳酸およびグリコール酸の混合物(ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ならびにグリコール酸(PGA)のうちの少なくとも1つを含む、請求項33記載の組成物。
【請求項35】
粉末のナノ粒子が、遊離塩基ガシクリジンに対し親和性を有する少なくとも1つのポリマーから形成され、かつ
ナノ粒子に含まれる遊離塩基ガシクリジンが少なくとも1つのポリマーに吸収/吸着される、
請求項31記載の組成物。
【請求項36】
少なくとも1つのポリマーが、L-乳酸またはD,L-乳酸(PLA)、乳酸およびグリコール酸の混合物(ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ならびにグリコール酸(PGA)のうちの少なくとも1つを含む、請求項37記載の組成物。
【請求項37】
粉末のナノ粒子が第2の薬物をさらに含む、請求項31記載の組成物。
【請求項38】
第2の薬物が、ガシクリジン以外のNMDA拮抗薬、亜型特異的拮抗薬、ステロイド、抗ウイルス化合物、抗菌化合物、および抗酸化剤を含む群より選択される、請求項37記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−511595(P2010−511595A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522840(P2009−522840)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/017109
【国際公開番号】WO2008/016602
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(508322211)ニューロシステック コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】