説明

運動伝達機構及び差動駆動機構

【課題】途中の機構の運動が回転、並進によらず使用することができ、また、多自由度の運動に対しても適用することができる運動伝達機構を提供する。
【解決手段】流体が出入りし得る入力端1及び出力端2と、この入力端1と出力端2とを接続する流体経路3とを備えており、前記流体を介して駆動力を伝達する運動伝達機構。この運動伝達機構に作用する少なくとも1種の運動を非干渉化するために、前記流体経路の長さが一定に維持されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は運動伝達機構及び差動駆動機構に関する。さらに詳しくは、例えばマニピュレータにおける手元の操作(運動)を先端の操作部に伝達するのに用いることができる運動伝達機構及び差動駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
医療技術や画像診断装置の発達と、術後の早期回復及び早期退院を求める社会的背景より、患者の身体をできるだけ傷つけずに手術を行う低侵襲手術の実現に期待が寄せられている。この低侵襲手術を実現する一手法として、自動車等の製造現場において長年培われてきたロボット技術を利用した手術用マニピュレータを用いる手術が注目されつつある。
かかる手術用マニピュレータは、手元側の操作部と、先端側の出力端との間に複数の関節部ないしはジョイント(以下、関節部という)を有しており、これら関節部を経由して操作部における駆動力が出力端に伝達される。
【0003】
ところで、機械的な要素によって駆動力の伝達を行う場合、前記関節部の存在により操作部の操作をそのままの形で出力端に伝達することができない、「干渉」という問題が存在する。
例えば、図21にモデル化して示されるように、各関節部(回転関節)に駆動源であるモータを配設する場合、手元側のモータMの回転角をθm1、先端側のモータMの回転角をθm2とすると、手元側の関節部の回転角θ及び先端側の関節部の回転角θは、モータの減速比が1のとき、それぞれ以下の式(1)に示すようになる。
【0004】
【数1】

【0005】
すなわち、θ=θm1、θ=θm2となる。このモデルの場合、前述した「干渉」は存在しないが、各関節部にモータを配設することから、関節部の数が多くなると、先端が重くなり、操作性に劣り実用性に乏しいという問題がある。
【0006】
したがって、現実的には、図22に示されるように、手元側にモータを集中して配設し、先端側の関節部をワイヤを介して回転駆動させることが行われている。このモデルの場合、手元側の関節部を駆動させるモータMの回転角をθm1、先端側の関節部を駆動させるモータMの回転角をθm2とすると、手元側の関節部の回転角θ及び先端側の関節部の回転角θは、モータの減速比が1のとき、それぞれ以下の式(2)に示すようになる。
【0007】
【数2】

【0008】
すなわち、θ=θm1、θ=−θm1+θm2となり、先端側の関節部の回転角θには、手元側のモータMの影響(干渉)が現れる。そこで、先端側の関節部を所定角度回転させる場合は、手元側のモータMの影響分を考慮して、各モータM、Mの回転角度が設定されるが、関節部の数が多くなると、装置のガタやワイヤwのたわみ等の影響により、式(計算)通りに先端側の関節部を回転させることができないという問題がある。また、構造が複雑になり、組立てやメンテナンスが煩雑になるという問題もある。
【0009】
そこで、ワイヤにより手元側の駆動力を伝達するタイプの装置において、前述した計算に基づく回転角調整によることなく、非干渉な機構を実現することが提案されている(非特許文献1参照)。
この非特許文献1には、図23に示されるように、先端側パーツ100と手元側パーツ101とを一定距離を保ったままで転がり接触とし、先端操作用のワイヤwをガイドプーリ102、103に沿って2つの転がり接触部の間を交差するように配線することで、先端が首振り動作を行ってもワイヤwの経路長を一定とすることが開示されている。
【0010】
具体的には、首振り動作前を示す図23の(a)における点c−b間において、ワイヤwがガイドプーリ102、103に接触している円弧の中心角度θ、θの合計値は、首振り動作後(図23の(b))の点c−b間におけるθ、θの合計値と常に等しくなる。したがって、首振り動作の角度によらず先端操作用の伝達ワイヤの経路長は常に一定となる。
【0011】
【非特許文献1】西澤幸司らの「手術用マニピュレータのための駆動ワイヤ非干渉型関節の開発」、日本機械学会[No.03−4]ロボティクス・メカトロニクス講演会‘03講演論文集
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、非特許文献1記載の機構は、転がり接触を利用していることから、途中の機構が並進動作を行う場合には使用することができず、設計上の制約があり、適用範囲が限定されるという問題がある。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、途中の機構の運動が回転、並進によらず使用することができ、また、多自由度の運動に対しても適用することができる運動伝達機構及び差動駆動機構を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の運動伝達機構は、流体が出入りし得る入力端及び出力端と、この入力端と出力端とを接続する流体経路とを備えており、前記流体を介して駆動力を伝達する運動伝達機構であって、
この運動伝達機構に作用する少なくとも1種の運動を非干渉化するために、前記流体経路の長さが一定に維持されるように構成されていることを特徴としている(請求項1)。
【0015】
本発明の運動伝達機構では、流体を介して駆動力を伝達しており、この流体が流れる流体経路の長さが一定に維持されるように構成されていることから、当該運動伝達機構に並進運動及び/又は回転運動が作用しても、入力端における流体の移動量と、出力端における流体の移動量とを一定に保つことができる。したがって、前記並進運動及び/又は回転運動の作用にもかかわらず、所定の駆動力を伝達することができる。また、駆動力伝達手段である流体が流れる流体経路長を一定に維持するという簡易な構成であるので、回転運動だけでなく並進運動を非干渉化する場合にも適用することができ、また、1自由度だけでなく、2自由度以上の多自由度を備えた運動伝達機構とすることができる。
【0016】
前記非干渉化する運動が並進運動の場合、前記運動伝達機構が、当該並進運動による流体経路長の変化を阻止するために伸縮自在の経路長調整手段を備えているのが好ましい(請求項2)。この構成によれば、流体経路中に伸縮自在の経路長調整手段が配設されているので、運動伝達機構に並進運動が作用しても、前記経路長調整手段が伸縮して当該並進運動による経路長の変化を阻止することができる。その結果、前記並進運動を非干渉化することができる。
【0017】
前記流体経路の途中に、分岐後に合流する第1分岐路及び第2分岐路を形成し、この第1分岐路及び第2分岐路に、前記並進運動の方向に沿って伸縮し得る経路長調整手段をそれぞれ配設することができる(請求項3)。この構成によれば、第1分岐路及び第2分岐路に、並進運動の方向に沿って伸縮し得る経路長調整手段がそれぞれ配設されているので、前記第1分岐路及び第2分岐路に並進運動が作用した場合に、一方の分岐路中の経路長調整手段が伸びて、他方の分岐路中の経路長調整手段が縮むことで、流体経路長の変化を阻止することできる。その結果、前記並進運動を非干渉化することができる。なお、本明細書において、「経路長」とは、単一の経路の長さだけでなく、経路中に分岐路が存在する場合、かかる分岐路の長さを含めた経路の和も含む概念である。
【0018】
前記非干渉化する運動が、前記入力端付近の流体経路及び出力端付近の流体経路のうち一方が、他方に対して、流体経路の長手軸廻りに相対回転する回転運動の場合、前記運動伝達機構が、前記相対回転を許容しつつ流体の移動を可能にする回転継手機構を含んでいるのが好ましい(請求項4)。この場合、相対回転を許容しつつ流体の移動を可能にする回転継手機構が設けられているので、運動伝達機構に回転運動が作用した場合でも、当該回転運動に干渉されることなく流体を介して駆動力を伝達することができる。
【0019】
前記非干渉化する運動が、前記入力端付近の流体経路及び出力端付近の流体経路のうち一方が、他方に対して、当該一方の流体経路の長手軸を含む平面内において揺動する揺動運動の場合、前記運動伝達機構が、前記揺動運動を許容しつつ流体の移動を可能にする自在継手機構を含んでいるのが好ましい(請求項5)。また、前記非干渉化する運動が、前記入力端付近の流体経路及び出力端付近の流体経路のうち一方が、他方に対して、当該一方の流体経路の長手軸、この長手軸と直交する第1軸、並びに前記長手軸及び第1軸と直交する第2軸の廻りに相対回転する回転運動の場合、前記運動伝達機構が、前記回転運動を許容しつつ流体の移動を可能にする自在継手機構を含んでいるのが好ましい(請求項6)。これらの場合、揺動運動又は回転運動を許容しつつ流体の移動を可能にする自在継手機構が設けられているので、運動伝達機構に揺動運動又は回転運動が作用した場合でも、当該揺動運動又は回転運動に干渉されることなく流体を介して駆動力を伝達することができる。
【0020】
前記入力端に、機械的運動を流体の移動に変換する入力側運動変換部が結合されており、前記出力端に、流体の移動を機械的運動に変換する出力側運動変換部が結合されており、入力端側の機械的運動が運動伝達機構を介して出力端側の機械的運動として伝達されるように構成することができる(請求項7)。この構成によれば、前記入力端において、並進又は回転の変位に応じて所定の体積の流体を押し出すか、又は引き出すとともに、前記出力端において、押し出されるか又は引き出されることによって移動した流体の体積に応じて並進又は回転の変位を発生させることができる。これにより、流体を介して並進運動又は回転運動を伝達することができる。
【0021】
前記入力端側の機械的運動と、前記出力端側の機械的運動とを、互いに異なる運動とすることができる(請求項8)。この構成によれば、例えば並進運動を回転運動に変換したり、逆に、回転運動を並進運動に変換することができ、運動伝達機構の利用範囲を広げることができる。
【0022】
前記入力端側の流体経路の断面積と、前記出力端側の流体経路の断面積とを互いに異なるものとすることができる(請求項9)。この場合、入力端側の流体経路の断面積と前記出力端側の流体経路の断面積とを変えることで、入力端及び出力端における変位が同じ種類(並進又は回転)であるとき、当該変位の程度を変えることができる。例えば、入力端側の流体経路の断面積を出力端側の流体経路の断面積よりも大きくすることで、出力端における変位を大きく(拡大)することができる。
【0023】
前記流体経路中に、所定値を超える外力が伝達されるのを回避する過大外力回避手段が配設されているのが好ましい(請求項10)。この場合、過大外力回避手段を配設することにより、所定値を超える外力、すなわち所定値を超える流体圧が運動伝達機構を介して伝達されるのが回避されるので、当該運動伝達機構を含むマニピュレータ等を保護することができる。
【0024】
前記過大外力回避手段を、前記流体経路から分岐した分岐路先端に固設された移動プレートと、この移動プレートの中立位置において、その側面が当該移動プレートの側面と対向するように配設された、静止部材であるプレート状のストッパと、前記移動プレートの表側及び裏側にそれぞれ配設された弾性手段と、各弾性手段の先端に固設された当接体とで構成し、この一対の当接体を、前記移動プレートとストッパとの境界付近において、当該移動プレート及びストッパの両者を押圧しつつ挟持し得るように配設することができる(請求項11)。この構成によれば、静止部材であるプレート状のストッパ及び分岐路先端に固設された移動プレートを、弾性手段の先端に固設された一対の当接体で押圧しつつ挟持しているので、流体の微妙な内圧変動等によって前記移動プレートがふらつくのを防止することができる。また、前記移動プレートに表側及び裏側から弾性手段による押圧力が作用しているので、当該弾性手段による押圧力を超える外力が作用するまで移動プレートを静止状態に保つことができる。換言すれば、所定の外力が作用するまでは、前記過大外力回避手段が機能するのを禁止する「不感帯」を設定することができる。この「不感帯」の幅は、弾性手段を押圧力を調整することで、広くしたり、狭くしたりすることができる。
【0025】
また、本発明の差動駆動機構は、請求項6記載の運動伝達機構が並設されるとともに一対の運動伝達機構の入力端側に配設された運動変換部同士及び出力端側に配設された運動変換部同士がそれぞれ接続されており、一方の運動伝達機構の入力と他方の運動伝達機構の入力との差により運動が伝達されるように構成されていることを特徴としている(請求項12)。この構成によれば、一対の運動伝達機構の入力の差を利用して、駆動力を入力端側から出力端側に伝達することができる。
【0026】
各運動伝達機構における流体経路から分岐した分岐路中に伸縮自在部が設けられており、且つ、各分岐路の先端に、当該分岐路中の流体に与圧を付与する弾性手段が設けられているのが好ましい(請求項13)。前記各分岐路中の流体に与圧を付与することで、運動伝達機構におけるガタを防止することができる。なお、差動駆動機構では、一対の運動伝達機構の入力端又は出力端における力の差が入出力となることから、与圧を加えても、差をとることで与圧による影響をなくすことができる。
【0027】
前記流体経路中に、所定値を超える外力が伝達されるのを回避する過大外力回避手段が配設されているのが好ましい(請求項14)。この場合、過大外力回避手段を配設することにより、所定値を超える外力、すなわち所定値を超える流体圧が差動駆動機構を介して伝達されるのが回避されるので、当該差動駆動機構を含むマニピュレータ等を保護することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の運動伝達機構及び差動駆動機構によれば、途中の機構の運動が回転、並進によらず使用することができ、また、多自由度の運動に対しても適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の運動伝達機構及び差動駆動装置の実施の形態を詳細に説明する。
[運動伝達機構]
図1は、本発明の一実施の形態に係る運動伝達機構をモデル化した説明図である。この運動伝達機構は、流体が出入りし得る入力端1及び出力端2と、この入力端1と出力端2とを接続する流体経路3とを備えており、前記流体を介して入力端1側の駆動力を出力端2側に伝達することができる。この運動伝達機構は、図1において、Lで示される直線状の並進運動を非干渉化するものである。
【0030】
前記流体経路3の途中には、分岐後に合流する第1分岐路4及び第2分岐路5が形成されており、この第1分岐路4及び第2分岐路5に、前記並進運動の方向Lに沿って伸縮し得る経路長調整手段6、7がそれぞれ配設されている。なお、8は、経路長調整手段6、7が形成されている分岐路4、5の移動(方向Lに沿う移動)をスムーズに行わせるためのガイド部材である。
【0031】
前記経路長調整手段6、7は、いずれも蛇腹ないしはベローズからなっており、例えば運動伝達機構の出力側においてΔdの大きさの並進運動が作用した場合に、経路長調整手段6が伸びる一方において、経路長調整手段7が縮むことで、全体としての流体経路長の変化を阻止することができる。具体的には、経路長調整手段6、7が伸縮することで、図1において、AC間の長さとBC間の長さとの和を一定に維持することができる。その結果、前記並進運動が作用しても、入力端1における流体の移動量と、出力端2における流体の移動量とを一定に保つことができる。したがって、前記並進運動の作用にもかかわらず、当該並進運動に干渉されることなく、入力端1側から出力端2側に所定の駆動力を伝達することができる。
【0032】
図1に示される実施の形態では、分岐路4、5を左右対称(図1において左右対称)に形成するとともに、各分岐路4、5に経路長調整手段6、7を配設することにより、並進運動の非干渉化を実現している。これに対し、図2に示されるように、並進運動に平行な方向の流体経路中に経路長調整手段36を1つ設けただけでは、並進運動に対して前記経路長調整手段36が伸縮するものの、流体経路長を一定に維持することはできないので、当該並進運動を非干渉化することができない。すなわち、並進運動の大きさをΔd、出力端の移動量をΔd、入力端における流体移動量をΔI、出力端における流体移動量をΔIとすると、Δd及びΔIは、それぞれ以下の式(3)に示すようになる。
【0033】
【数3】

【0034】
すなわち、Δd=Δd、ΔI=ΔI+αΔdとなり、ΔIは並進運動による干渉を受けることになる。
【0035】
図3は曲線経路に沿った運動を非干渉化するモデルの説明図である。図1に示される実施の形態では、直線状の並進運動Lを非干渉化しているが、本発明の運動伝達機構においては、直線状以外の、例えば曲線経路に沿った運動を非干渉化することもできる。図3において、第1分岐路14及び第2分岐路15は、それぞれ、直線状の分岐路14a、15a及び曲線状の分岐路14b、15bからなっており、このうち曲線状の分岐路14b、15bに蛇腹ないしはベローズからなる経路長調整手段16、17が配設されている。また、分岐路14b、15bに沿って、当該分岐路14b、15bの移動をスムーズに行わせるためのガイド部材18が配設されている。図3に示される実施の形態においても、運動伝達機構の出力側においてΔSの大きさの曲線経路に沿った運動が作用した場合に、経路長調整手段16が伸びて、経路長調整手段17が縮むことで、円弧状の流体経路長の変化を阻止することができる。具体的には、経路長調整手段16、17が伸縮することで、図3において、A´C´間の長さとB´C´間の長さとの和を一定に維持することができる。
【0036】
図4は、本発明の他の実施の形態に係る運動伝達機構をモデル化した説明図である。この実施の形態では、出力端22付近の流体経路23bが、入力端21付近の流体経路23aに対して、前記流体経路23bの長手軸Nを含む平面内において点Oを中心として揺動する揺動運動し、運動伝達機構は、前記揺動運動を許容しつつ流体の移動を可能にする自在継手機構24を含んでいる。この場合、揺動運動を許容しつつ流体の移動を可能にする自在継手機構24が設けられているので、運動伝達機構の出力端22側にΔθの大きさの揺動運動が作用した場合でも、当該揺動運動に干渉されることなく流体を介して駆動力を伝達することができる。
【0037】
図5は、本発明のさらに他の実施の形態に係る運動伝達機構をモデル化した説明図である。この実施の形態では、出力端32付近の流体経路33bが、入力端31付近の流体経路33aに対して、流体経路33bの長手軸Mの廻りに相対回転し、運動伝達機構は、前記相対回転を許容しつつ流体の移動を可能にする回転継手機構34を含んでいる。この場合、相対回転を許容しつつ流体の移動を可能にする回転継手機構34が設けられているので、運動伝達機構の出力端32側にΔθの大きさの回転運動が作用した場合でも、当該回転運動に干渉されることなく流体を介して駆動力を伝達することができる。
【0038】
図4〜5に示される実施の形態において、Δθが変化しても、流体経路長は変化しない。すなわち、自在継手機構24(図4)及び回転継手機構34(図5)内の流体の量は、Δθが変化しても一定であるので、前記揺動運動又は回転運動に干渉されることなく、流体を介して駆動力を伝達することができる。
【0039】
図6は、2自由度用の運動伝達機構をモデル化した説明図である。第1分岐路4は、互いに直交する3つの分岐路部分4a、4b、4cを有しており、また第2分岐路5も、互いに直交する3つの分岐路部分5a、5b、5cを有している。分岐路部分4aと分岐路部分5aは、y軸方向に沿うように配置されており、分岐路部分4bと分岐路部分5bは、x軸方向に沿うように配置されている。また、分岐路部分4a、4bには、それぞれ経路長調整手段6a、6bが配設されており、分岐路部分5a、5bには、それぞれ経路長調整手段7a、7bが配設されている。なお、48は、前記分岐路部分4a及び分岐路部分5aのy軸方向に沿う移動、並びに前記分岐路部分4b及び分岐路部分5bのx軸方向に沿う移動をガイドするためのガイド機構である。
【0040】
この実施の形態では、x軸方向及びy軸方向の2方向の並進運動を非干渉化することができる。具体的には、前記経路長調整手段6b、7bの伸縮により、x軸方向の並進運動に対し、B1B2間の長さとA1A2間の長さの和を一定に維持することができ、また、前記経路長調整手段6a、7aの伸縮により、y軸方向の並進運動に対し、B1C間の長さとA1C間の長さの和を一定に維持することができる。すなわち、x軸方向及びy軸方向の変位に対し、B2B1Cの長さとA2A1Cの長さの和、つまりは流体経路長を一定に維持することができる。
【0041】
図7は、3自由度用の運動伝達機構をモデル化した説明図であり、y軸方向に沿って配設された分岐路部分4a、5a並びにx軸方向に沿って配設された分岐路部分4b、5bに加え、z軸方向に沿って配設された分岐路部分4c、5cにも経路長調整手段6c、7cがそれぞれ設けられている。なお、58は、前記分岐路部分4a及び分岐路部分5aのy軸方向に沿う移動、前記分岐路部分4b及び分岐路部分5bのx軸方向に沿う移動、並びに前記分岐路部分4c及び分岐路部分5cのz軸方向に沿う移動をガイドするためのガイド機構である。図7に示される運動伝達機構においても、図6に示される2自由度用の運動伝達機構と同様にして、x軸方向、y軸方向及びz軸方向の変位に対し、B3B2B1Cの長さとA3A2A1Cの長さの和、つまりは流体経路長を一定に維持することができる。
【0042】
図8は、3自由度用の運動伝達機構をモデル化した説明図である。この実施の形態では、非干渉化する運動が、出力端42付近の流体経路43bが、当該流体経路43bの長手軸P1、この長手軸P1と直交する第1軸P2、並びに前記長手軸P1及び第1軸P2と直交する第2軸P3の廻りを回転する回転運動であり、運動伝達機構は、前記回転運動を許容しつつ流体の移動を可能にする自在継手機構44を含んでいる。この自在継手機構44は、3軸廻りに回動自在の球面継手であり、これにより、x軸、y軸及びz軸の各軸廻りの回転運動を非干渉化することができる。つまり、点O廻りのロール、ピッチ及びヨー角に干渉されることなく、入力端41側の駆動力を出力端42側に伝達することができる。
【0043】
図9は、本発明の他の実施の形態に係る運動伝達機構をモデル化した説明図である。この実施の形態では、入力端51に、機械的運動を流体の移動に変換する入力側運動変換部53が結合されており、出力端52に、流体の移動を機械的運動に変換する出力側運動変換部54が結合されている。そして、入力端側の機械的運動ΔIは、運動伝達機構を介して出力端側の機械的運動ΔIとして伝達される。すなわち、以上の運動伝達機構によれば、入力端51において、並進又は回転の変位に応じて所定の体積の流体を押し出すか、又は引き出すとともに、出力端52において、押し出されるか又は引き出されることによって移動した流体の体積に応じて並進又は回転の変位を発生させることができる。これにより、流体を介して並進運動又は回転運動を伝達することができる。なお、図9において、56、57は例えば図1を用いて説明をした経路長調整手段である。
【0044】
例えば、入力側運動変換部53として、風船状の球体を設け、出力側運動変換部54として、開閉自在の洗濯バサミ状のグリップ機構を設け、手元側の球体を縮ませることで、前記グリップ機構を開放又は閉止させる機構を構成することができる。
【0045】
前記入力側運動変換部53のうち、並進運動を流体の移動に変換するものとしては、例えば蛇腹ないしはベローズなどを用いることができ、また、回転運動を流体の移動に変換するものとしては、例えば外周にネジを有するピストンなど、回転運動を、液体を押し引きするための並進運動に変換するものを用いることができる。また、出力側運動変換部54のうち、流体の移動を並進運動に変換するものとしては、例えば蛇腹ないしはベローズなどを用いることができ、また、流体の移動を回転運動に変換するものとしては、例えば外周にネジを有するピストンなど、回転運動を、液体を押し引きするための並進運動に変換するものを用いることができる。
【0046】
このような入力側運動変換部及び出力側運動変換部を備えた運動伝達機構は、用途に応じて、図10に示されるように直列に2以上接続させてもよく、また、図11に示されるように並列に2以上接続させてもよい。さらには、直列接続と並列接続を混用してもよい。なお、図10〜11において、58は、前述した並進運動又は回転運動を非干渉化するための経路長調整手段を含む運動伝達機構である。
【0047】
なお、図9〜11に例示した運動伝達機構において、前記入力端51側の機械的運動と、前記出力端52側の機械的運動とを、互いに異なる運動とすることができる。例えば、入力端51側の機械的運動を並進運動とし、出力端52側の機械的運動を回転運動とすることができる。また、逆に、入力端51側の機械的運動を回転運動とし、出力端52側の機械的運動を並進運動とすることができる。これにより、運動伝達機構の利用範囲を広げることができる。
【0048】
また、入力端51側の流体経路の断面積と、出力端52側の流体経路の断面積とを互いに異なるものとすることができる。入力端51側の流体経路の断面積と出力端52側の流体経路の断面積とを変えることで、当該入力端51及び出力端52における変位が同じ種類(並進又は回転)であるとき、当該変位の程度を変えることができる。例えば、入力端51側の流体経路の断面積を出力端52側の流体経路の断面積よりも大きくすることで、出力端における変位を大きく(拡大)することができる。逆に、入力端51側の流体経路の断面積を出力端52側の流体経路の断面積よりも小さくすることで、出力端における変位を小さく(縮小)することができる。
【0049】
図12は、本発明の運動伝達機構のさらに他の実施の形態をモデル化した説明図である。この実施の形態では、所定値を超える過大な外力が作用したとき、すなわち流体経路内の流体の圧力が所定の範囲外の大きさになったときに、当該流体圧が運動伝達機構を介して伝達されるのを防止するために、流体経路中に、所定値を超える外力が伝達されるのを回避する過大外力回避手段60が配設されている。過大外力回避手段60を配設することにより、所定値を超える外力、すなわち流体圧が運動伝達機構を介して伝達されるのが回避されるので、当該運動伝達機構を含むマニピュレータ等を保護することができる。
【0050】
具体的には、図12に示されるように、前記過大外力回避手段60は、流体経路から分岐した分岐路61の先端に固設された移動プレート62と、この移動プレート62の中立位置において、その側面63aが当該移動プレート62の側面62aと対向するように配設された、静止部材であるプレート状のストッパ63と、前記移動プレート62の表側及び裏側にそれぞれ配設された弾性手段であるバネ64、65と、各バネの先端に固設された当接体66、67とで構成されている。この一対の当接体66、67は、前記移動プレート62とストッパ63との境界付近において、当該移動プレート62及びストッパ63の両者を押圧しつつ挟持し得るように配設されている。この構成によれば、静止部材であるプレート状のストッパ63及び分岐路61の先端に固設された移動プレート62を、バネ64、65の先端に固設された一対の当接体66、67で押圧しつつ挟持しているので、流体の微妙な内圧変動等によって前記移動プレート62がふらつくのを防止することができる。また、前記移動プレート62に表側及び裏側からバネ64、65による押圧力が作用しているので、当該バネ64、65による押圧力を超える外力が作用するまで移動プレート62を静止状態に保つことができる。換言すれば、所定の外力(閾値)が作用するまでは、前記過大外力回避手段60が機能するのを禁止する「不感帯」を設定することができる。図13は、この「不感帯」を説明する図であり、縦軸が移動プレート62の変位量Δxであり、横軸が外力(流体圧)の大きさfである。外力fが閾値εよりも小さいときは、移動プレート62は変位せず、閾値εを超える外力fが作用すると、当該外力fの大きさに比例して移動プレート62が変位することで、過大な外力が伝達されるのが回避される。前記「不感帯」は、バネの押圧力を調整することで、広くしたり、狭くしたりすることができる。
【0051】
図14は、図12に示される実施の形態の変形例を示しており、この例では、前記「不感帯」の範囲を全体としてプラス方向又はマイナス方向にずらすために、前記移動プレート62にバイアス力fを付与している。このバイアス力fは、前記移動プレート62をバネ68で押圧することで付与することができる。図15は、バイアス力fを付与することで、「不感帯」が全体としてプラス方向にシフトされることを示している。このように、バイアス力を付与することで、また、このバイアス力の大きさを調整することで、「不感帯」の特性を変えることができる。
【0052】
[差動駆動機構]
図16は、本発明の一実施の形態に係る差動駆動機構をモデル化した説明図である。図16に示される差動駆動機構は、図9を用いて説明した運動伝達機構が併設されている。また、一対の運動伝達機構T、Tの入力端側に配設された運動変換部70、70同士及び出力端側に配設された運動変換部71、71同士がそれぞれ接続されており、一方の運動伝達機構Tの入力と他方の運動伝達機構Tの入力との差により運動が伝達されるように構成されている。この構成によれば、一対の運動伝達機構T、Tの入力の差を利用して、駆動力を入力端側から出力端側に伝達することができる。図示した例では、入力端側に配設されたプーリ72の回転を、出力端側に配設されたプーリ73に伝達している。なお、図16において、Wは、入力端側の運動変換部70、70に両端部がそれぞれ接続されるとともに、プーリ72に巻回されたワイヤであり、Wは、出力端側の運動変換部71、71に両端部がそれぞれ接続されるとともに、プーリ73に巻回されたワイヤである。また、58は、前述した並進運動又は回転運動を非干渉化するための経路長調整手段である。図16及び後出する図17〜18において、ワイヤに引張り力が作用するように経路内の液圧は負圧にされている。
【0053】
図17は、図16に示される差動駆動機構の応用例をモデル化した説明図である。この応用例では、各運動伝達機構における流体経路から分岐した分岐路81、82中に伸縮自在部83、84が設けられており、且つ、各分岐路81、82の先端に、当該分岐路81、82中の流体に与圧を付与する弾性手段85が設けられている。図示した例において、前記弾性手段85は、各分岐路81、82の先端に当接するように配設された当接プレート85bと、この当接プレート85bを介して各分岐路81、82中の流体に与圧を付与するバネ体85aとで構成されている。
【0054】
前記各分岐路81、82中の流体に与圧を付与することで、運動伝達機構におけるガタを防止することができる。なお、図17に示される応用例では、2つの分岐路81、82に対し等しい与圧(fφ/2)が付与されるように、バネ体85aの位置が調整されている。また、差動駆動機構では、一対の運動伝達機構の入力端又は出力端における力の差が入出力となることから、2つの分岐路81、82に与圧fφ/2をそれぞれ加えても、差をとることで与圧による影響をなくすことができる。すなわち、差動駆動機構を干渉することなく、当該差動駆動機構に与圧を付与することが可能となる。
【0055】
図18は、図16に示される差動駆動機構の他の応用例をモデル化した説明図である。この応用例では、差動駆動機構に、図12を用いて説明した過大外力回避手段90が付加されている。図18において、過大外力回避手段90は、差動駆動機構を構成する一対の運動伝達機構98、98の各流体経路から分岐した分岐路91、91の先端に固設された移動プレート92と、この移動プレート92の中立位置において、その側面93aが当該移動プレート92の側面92aと対向するように配設された、静止部材であるプレート状のストッパ93と、前記移動プレート92の表側及び裏側にそれぞれ配設された弾性手段であるバネ94、95と、各バネの先端に固設された当接体96、97とで構成されている。この一対の当接体96、97は、前記移動プレート92とストッパ93との境界付近において、当該移動プレート92及びストッパ93の両者を押圧しつつ挟持し得るように配設されている。なお、58は、前述した並進運動又は回転運動を非干渉化するための経路長調整手段である。
【0056】
この例においても、図12と同様に「不感帯」が形成されている。すなわち、図19に示されるように、一対の運動伝達機構98、98の各流体経路内の出力側流体圧の差(fo1−fo2)が上限値(fmax)と下限値(fmin)の間にあるときは、過大外力回避手段90は作動せず、前記差(fo1−fo2)が上限値(fmax)を超えるか、又は下限値(fmin)を下回ると、過大外力回避手段90が作動して、所定値を超える外力、すなわち流体圧が運動伝達機構を介して伝達されるのが回避されるので、当該運動伝達機構を含むマニピュレータ等を保護することができる。
【0057】
図20は、図17に示される応用例における与圧付与と、図18に示される応用例における過大外力回避とを、同時に差動駆動機構に適用することができることを説明する図である。図20において、出力側流体圧の差(fo1−fo2)が10[N]を超えるか、又は−10[N]よりも小さくなると、過大外力回避手段が作動するものとする。つまり、過大外力回避手段によって、出力側流体圧fo1、fo2のとり得る値の境界が設定される。
【0058】
また、与圧を付与しても各出力側流体圧の和は一定である(与圧に等しい)ことから、この与圧を定数Cとすると、fo1+fo2=Cとなる。いま、C=10[N]と仮定して、これをグラフ化すると図20においてhで示される右下がりの直線になる。そして、fo1とfo2は、この直線h上を動くことになる。そして、与圧を高くする、例えば20[N]にすると、前記直線hは全体に斜め上方に移動し、fo1+fo2=20で示される直線iになり、fo1とfo2は、この直線i上を動くことになる。このように、過大外力回避手段によって、動き得る範囲の境界が設定され、与圧の付与によって動き得る直線が規定される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の運動伝達機構の一実施の形態をモデル化した説明図である。
【図2】非干渉化機能を有しないモデルの説明図である。
【図3】曲線経路に沿った運動を非干渉化するモデルの説明図である。
【図4】本発明の運動伝達機構の他の実施の形態をモデル化した説明図である。
【図5】本発明の運動伝達機構のさらに他の実施の形態をモデル化した説明図である。
【図6】2自由度用の運動伝達機構をモデル化した説明図である。
【図7】3自由度用の運動伝達機構をモデル化した説明図である。
【図8】3自由度用の運動伝達機構をモデル化した説明図である。
【図9】本発明の運動伝達機構の他の実施の形態をモデル化した説明図である。
【図10】図9に示される運動伝達機構を直列に2つ接続したモデルの説明図である。
【図11】図9に示される運動伝達機構を並列に2つ接続したモデルの説明図である。
【図12】本発明の運動伝達機構のさらに他の実施の形態をモデル化した説明図である。
【図13】不感帯を説明する図である。
【図14】図12に示される実施の形態の変形例を示す図である。
【図15】図12に示される例において、移動プレートにバイアス力を付与した場合の不感帯のシフトを説明する図である。
【図16】本発明の差動駆動機構の一実施の形態をモデル化した説明図である。
【図17】図16に示される差動駆動機構の応用例をモデル化した説明図である。
【図18】図16に示される差動駆動機構の他の応用例をモデル化した説明図である。
【図19】図18に示される例における不感帯を説明する図である。
【図20】与圧付与と過大外力回避が共存可能であることを説明する図である。
【図21】従来の運動伝達機構をモデル化した説明図である。
【図22】従来の他の運動伝達機構をモデル化した説明図である。
【図23】従来のさらに他の運動伝達機構をモデル化した説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1 入力端
2 出力端
3 流体経路
4 第1分岐路
5 第2分岐路
6、7 経路長調整手段
8 ガイド部材
14、 第1分岐路
15 第2分岐路
16、17 経路長調整手段
18 ガイド部材
24 自在継手機構
34 回転継手機構
44 自在継手機構
60 過大外力回避手段
61 分岐路
62 移動プレート
63 ストッパ
64、65 バネ
66、67 当接体
68 バネ
70、71 運動変換部
81、82 分岐路
83、84 伸縮自在部
85 弾性手段
86 経路長調整手段
90 過大外力回避手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が出入りし得る入力端及び出力端と、この入力端と出力端とを接続する流体経路とを備えており、前記流体を介して駆動力を伝達する運動伝達機構であって、
この運動伝達機構に作用する少なくとも1種の運動を非干渉化するために、前記流体経路の長さが一定に維持されるように構成されていることを特徴とする運動伝達機構。
【請求項2】
前記非干渉化する運動が並進運動であり、前記運動伝達機構が、当該並進運動による流体経路長の変化を阻止するために伸縮自在の経路長調整手段を備えている請求項1に記載の運動伝達機構。
【請求項3】
前記流体経路の途中に、分岐後に合流する第1分岐路及び第2分岐路が形成されており、この第1分岐路及び第2分岐路に、前記並進運動の方向に沿って伸縮し得る経路長調整手段がそれぞれ配設されている請求項2に記載の運動伝達機構。
【請求項4】
前記非干渉化する運動が、前記入力端付近の流体経路及び出力端付近の流体経路のうち一方が、他方に対して、流体経路の長手軸廻りに相対回転する回転運動であり、前記運動伝達機構が、前記相対回転を許容しつつ流体の移動を可能にする回転継手機構を含んでいる請求項1に記載の運動伝達機構。
【請求項5】
前記非干渉化する運動が、前記入力端付近の流体経路及び出力端付近の流体経路のうち一方が、他方に対して、当該一方の流体経路の長手軸を含む平面内において揺動する揺動運動であり、前記運動伝達機構が、前記揺動運動を許容しつつ流体の移動を可能にする自在継手機構を含んでいる請求項1に記載の運動伝達機構。
【請求項6】
前記非干渉化する運動が、前記入力端付近の流体経路及び出力端付近の流体経路のうち一方が、他方に対して、当該一方の流体経路の長手軸、この長手軸と直交する第1軸、並びに前記長手軸及び第1軸と直交する第2軸の廻りに相対回転する回転運動であり、前記運動伝達機構が、前記回転運動を許容しつつ流体の移動を可能にする自在継手機構を含んでいる請求項1に記載の運動伝達機構。
【請求項7】
前記入力端に、機械的運動を流体の移動に変換する入力側運動変換部が結合されており、前記出力端に、流体の移動を機械的運動に変換する出力側運動変換部が結合されており、入力端側の機械的運動が運動伝達機構を介して出力端側の機械的運動として伝達される請求項1〜6のいずれかに記載の運動伝達機構。
【請求項8】
前記入力端側の機械的運動と、前記出力端側の機械的運動とが、互いに異なる運動である請求項7に記載の運動伝達機構。
【請求項9】
前記入力端側の流体経路の断面積と、前記出力端側の流体経路の断面積とが互いに異なる請求項7又は8に記載の運動伝達機構。
【請求項10】
前記流体経路中に、所定値を超える外力が伝達されるのを回避する過大外力回避手段が配設されている請求項7〜9のいずれかに記載の運動伝達機構。
【請求項11】
前記過大外力回避手段が、前記流体経路から分岐した分岐路先端に固設された移動プレートと、この移動プレートの中立位置において、その側面が当該移動プレートの側面と対向するように配設された、静止部材であるプレート状のストッパと、前記移動プレートの表側及び裏側にそれぞれ配設された弾性手段と、各弾性手段の先端に固設された当接体とで構成されており、この一対の当接体が、前記移動プレートとストッパとの境界付近において、当該移動プレート及びストッパの両者を押圧しつつ挟持し得るように配設されている請求項10に記載の運動伝達機構。
【請求項12】
請求項7記載の運動伝達機構が並設されるとともに一対の運動伝達機構の入力端側に配設された運動変換部同士及び出力端側に配設された運動変換部同士がそれぞれ接続されており、一方の運動伝達機構の入力と他方の運動伝達機構の入力との差により運動が伝達されるように構成されていることを特徴とする差動駆動機構。
【請求項13】
各運動伝達機構における流体経路から分岐した分岐路中に伸縮自在部が設けられており、且つ、各分岐路の先端に、当該分岐路中の流体に与圧を付与する弾性手段が設けられている請求項12に記載の差動駆動機構。
【請求項14】
前記流体経路中に、所定値を超える外力が伝達されるのを回避する過大外力回避手段が配設されている請求項12又は13に記載の差動駆動機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2008−54920(P2008−54920A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235392(P2006−235392)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年3月1日 立命館大学主催の「立命館大学大学院総合理工学研究科修士論文公聴会」において文書をもって発表
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)