運動案内装置

【課題】
移動ブロックに固定された第一シール部材と第二シール部材との隙間発生を抑え、該隙間を介した移動ブロック内への異物侵入を防止し、もって軌道レール及び移動ブロックの転走面又はボール自体の摩耗や欠損を防止し、軌道レールに対する移動ブロックの円滑な運動を達成可能な運動案内装置を提供する。
【解決手段】
転走面を有する軌道軸と、該軌道軸に沿って自在に移動可能な移動体と、前記軌道軸の表面に摺接して該軌道軸と移動体との隙間を塞ぐ第一シール部材と、前記軌道軸の転走面に沿って設けられ、軌道軸と移動体との隙間を塞ぐ第二シール部材と、を備え、前記第二シール部材は、移動体に係止される固定基板と、軌道軸の転走面に沿って固定基板に固着され、前記軌道軸の表面に摺接するシールリップ部及び前記第一シール部材が移動体に固定された状態でこの第一シール部材に押し潰されながら密着する延長シール部を有するシール部と、を備える。
移動ブロックに固定された第一シール部材と第二シール部材との隙間発生を抑え、該隙間を介した移動ブロック内への異物侵入を防止し、もって軌道レール及び移動ブロックの転走面又はボール自体の摩耗や欠損を防止し、軌道レールに対する移動ブロックの円滑な運動を達成可能な運動案内装置を提供する。
【解決手段】
転走面を有する軌道軸と、該軌道軸に沿って自在に移動可能な移動体と、前記軌道軸の表面に摺接して該軌道軸と移動体との隙間を塞ぐ第一シール部材と、前記軌道軸の転走面に沿って設けられ、軌道軸と移動体との隙間を塞ぐ第二シール部材と、を備え、前記第二シール部材は、移動体に係止される固定基板と、軌道軸の転走面に沿って固定基板に固着され、前記軌道軸の表面に摺接するシールリップ部及び前記第一シール部材が移動体に固定された状態でこの第一シール部材に押し潰されながら密着する延長シール部を有するシール部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動ブロックが無限循環する多数のボール又はローラといった転動体を介して軌道レールに組付けられ、前記移動ブロックに固定された被搭載物を軌道レールに沿って自在に往復運動させることが可能な運動案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記運動案内装置としては、長手方向に沿ってボールの転走面が形成された軌道レールと、前記転走面を転動するボールを介して前記軌道レールに組み付けられると共に前記ボールの無限循環路を有する移動ブロックとを備えるものが知られている。前記移動ブロックは、前記軌道レールの転走面と対向してボールの負荷ボール通路を形成する負荷転走面及び前記ボールを循環させるためのボール戻し孔を有するブロック本体と、このブロック本体の前後両端面に固定される一対のエンドプレートとからなり、この移動ブロックに設けられたボールの無限循環路内をボールが循環することにより、移動ブロックが軌道レールの長手方向に沿って連続的に移動することが可能となっている。
【0003】
このように構成された運動案内装置において、その使用環境によっては前記軌道レールに対してワークの削り屑や塵芥などの異物が付着することがあり、仮にこれらの異物が軌道レールに沿って走行する移動ブロックの内部に侵入してしまうと、軌道レールの転走面、移動ブロックの負荷転走面又はボールに傷が発生し、あるいはこれらの摩耗が促進され、運動案内装置における移動ブロックの移動精度が早期に損なわれてしまう。
【0004】
このような理由から、前記移動ブロックにはその移動方向の両端に一対のエンドシールが装着されることが一般的である。このエンドシールは軌道レールの表面に摺接するシールリップ部を備えており、移動ブロックが軌道レールに沿って移動すると、前記シールリップ部が軌道レールに付着した異物を当該軌道レールの表面から拭い取り、かかる異物が移動ブロックの内部に侵入するのを防止している。
【0005】
また、移動ブロックの内部、特に前記ボールの負荷ボール通路への異物の侵入防止の観点から、前記移動ブロックに係る軌道レールの上面と対向する位置にインナシールが、前記軌道レールの側面と対向する位置に一対のサイドシールが装着されることが一般的であり、これらインナシール及びサイドシールは夫々、前記移動ブロックの長手方向に沿って設けられると共に前記エンドシールと同様に前記軌道レールの表面に摺接するシールリップ部を有している。
【0006】
前記一対のエンドシールは取付けボルトにより前記移動ブロックに固定される一方、前記インナシール及びサイドシールは、前記ブロック本体の移動方向両端面に固定されたエンドプレートによって両端支持された状態で前記移動ブロックに遊動可能に保持されている。これらインナシール及びサイドシールの移動ブロックに対する固定手段としては特許文献1のように、移動ブロックに固定される前記一対のエンドシールに凹部を形成し、この凹部にインナシール及びサイドシールを挿入することで一対のエンドシール間にインナシール及びサイドシールが保持されるようなものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−170279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前記インナシール及びサイドシールを一対のエンドシールによって両端支持する特許文献1のような固定手段では、前記ブロック本体、エンドプレート、インナシール又はサイドシールの加工誤差により、例えば一方のエンドシールに係るエンドプレートとの当接面から他方のエンドシールに係るエンドプレートとの当接面までの軸方向長さ(ブロック本体の軸方向長さと一対のエンドプレートの軸方向長さの総和)とインナシール又はサイドシールの軸方向長さとが合致しない場合、前記エンドシールとインナシールとの間、或いは前記エンドシールとサイドシールとの間に隙間が発生してしまうおそれがある。この課題は、前記インナシール及びサイドシールを一対のエンドプレートによって両端支持するような固定手段においても起こり得る。
【0009】
ここで、上記運動案内装置において、前記軌道レールは取付けボルトを用いてベッド等の固定部に締結される場合が殆どであり、かかる軌道レールには取付けボルトの挿入孔が貫通形成されている。従来よりこの挿入孔を介した移動ブロック内部への異物の侵入を防ぐため、通常挿入孔にはエンドシールが摺接する軌道レールの表面が段差なく平滑面となるように閉塞キャップが埋め込まれる。
【0010】
しかし、前記挿入孔に対して閉塞キャップを埋め込んだとしても、当該閉塞キャップと挿入孔との境界には当然に隙間が生じ、この隙間に溜まるような微細な異物は移動ブロックの進行方向側に位置するエンドシールによって拭い取られることなく、該エンドシールを潜り抜けてしまう。一旦エンドシールを潜り抜けた異物は他方のエンドプレートに係る前記移動ブロックとの対向面、すなわち一対のエンドシール間に堆積することになる。
【0011】
かかる状態で運動案内装置を継続的に使用すると、前記エンドシールに対して異物が徐々に滞留していき、最終的にエンドシールに滞留した異物は該エンドシールとインナシールとの間、或いは前記エンドシールとサイドシールとの間に形成された隙間を介して移動ブロックの内部に入り込んでしまう可能性が高い。その結果、軌道レールの転走面、移動ブロックの負荷転走面又はボールに傷が発生し、あるいはこれらの摩耗が促進され、運動案内装置における移動ブロックの移動精度が早期に損なわれてしまう。このようなインナシール又はサイドシールとエンドシールとの隙間を介した異物の侵入は運動案内装置の長期使用による前記エンドシールの劣化によっても生じる傾向にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、移動ブロックに固定されたエンドシールとインナシール又はサイドシールとの隙間発生を抑え、当該隙間を介した移動ブロック内部への異物の侵入を防止し、これにより軌道レールの転走面、移動ブロックの負荷転走面又はボール自体の摩耗や欠損を防止すると共に、軌道レールに対する移動ブロックの円滑な運動を達成することが可能な運動案内装置を提供することにある。
【0013】
このような目的を達成する本発明を適用した運動案内装置は、長手方向に沿って転動体の転走面が形成された軌道軸と、多数の転動体を介して前記軌道軸に組み付けられると共に前記転動体の無限循環路を有し、前記軌道軸に沿って自在に移動可能な移動体と、この移動体の移動方向両端面に装着されると共に前記軌道軸の表面に摺接して該軌道軸と移動体との隙間を塞ぐ一対の第一シール部材と、前記軌道軸の転走面に沿って設けられて該軌道軸の表面に摺接して前記軌道軸と移動体との隙間を塞ぐ第二シール部材と、を備えている。
【0014】
そして、前記第二シール部材は、前記移動体に係止される固定基板と、前記軌道軸の転走面に沿って前記固定基板に固着されると共に、前記軌道軸の表面に摺接するシールリップ部を有し、長手方向の両端が前記一対の第一シール部材が移動体に固定された状態でこれら一対の第一シール部材に密着するシール部と、を備え、前記シール部は、前記固定基板の長手方向両端から当該固定基板の長手方向に突出した一対の延長シール部を有し、更にこれら一対の延長シール部は、前記一対の第一シール部材が移動体に固定された状態で押し潰されるように構成されている。
【発明の効果】
【0015】
このような本発明を適用した運動案内装置は、前記軌道軸に形成された転走面に沿って設けられた第二シール部材を備え、この第二シール部材が備えるシール部には、前記固定基板の長手方向両端から当該固定基板の長手方向に突出すると共に前記一対の第一シール部材が移動体に固定された状態でこれら一対の第一シール部材に押し潰されながら密着する延長シール部が形成されている。このため、前記第二シール部材と第一シール部材との間に隙間が形成されることがなく、従来の運動案内装置のように、前記第二シール部材と第一シール部材との隙間を介して異物が移動体の無限循環路内へ侵入するのを防ぐことができ、ひいては軌道軸に対する移動体の円滑な運動を達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用した運動案内装置の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示すエンドプレートのブロック本体との当接面を示す正面図である。
【図3】図2に示すIII―III線断面図である。
【図4】本発明を適用した運動案内装置が備えるエンドシールの正面図である。
【図5】図4に示すV―V線断面図である。
【図6】移動ブロックに組み付けられた状態のインナシール及びエンドシールを示す断面図である。
【図7】本発明を適用した運動案内装置が備えるインナシールを示す平面図である。
【図8】図7に示すA矢視図である。
【図9】前記エンドシールとサイドシールとの接続部位を示す斜視図である。
【図10】従来の運動案内装置における前記エンドシールとインナシールの接続部位を示す概要図である。
【図11】本発明を適用した運動案内装置における前記エンドシールとインナシールの接続部位を示す概要図である。
【図12】図1に示す運動案内装置に適用可能な潤滑油供給装置を示す正面断面図である。
【図13】図12に示す潤滑油供給装置と移動ブロックの蓋体及びエンドシールとの接続部位を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を用いて本発明を適用した運動案内装置の一例を詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明を適用した運動案内装置を示すものである。この運動案内装置は、直線状に形成された軌道軸としての軌道レール1と、転動体としてのボール3を介して軌道レール1に組み付けられると共に内部にボール3の無限循環路を備えた移動体としての移動ブロック2と、この移動ブロック2の移動方向両端に固定される一対の第一シール部材としてのエンドシール4と、前記移動ブロック2が備えるボール3の無限循環路を運動案内装置の外部から密封する第二シール部材としてインナシール5とから構成されており、前記ボール3が移動ブロック2の無限循環路内を循環することで当該移動ブロック2が軌道レール1上を往復運動するようになっている。尚、図1では前記移動ブロック2の内部構造を理解しやすくするため、一部を切り欠いて描いている。
【0019】
前記軌道レール1は断面略矩形状に形成されており、各側面には前記ボール3が転走する二条のボール転走面11が長手方向に沿って形成されている。また、この軌道レール1には長手方向に適宜間隔をおいて挿入孔12が貫通形成されており、この挿入孔12に取付けボルトを締結することにより前記軌道レール1を各種機械装置のベッドやコラム等の固定部に取り付けることができるようになっている。この挿入孔12に取付けボルトを締結した後、かかる挿入孔12には異物の滞留を防ぐための閉塞キャップ(図示せず)が埋め込まれるようになっている。尚、本実施形態に係る軌道レール1には四条のボール転走面11が形成されているが、これらボール転走面11の条数及び配置は運動案内装置の用途及び負荷荷重の大きさに応じて適宜設定変更することができる。
【0020】
一方、移動ブロック2は前記軌道レール1のボール転走面11と対向してボール3の負荷ボール通路を形成する負荷転走面及び前記ボール3を循環させるためのボール戻し通路21aを有するブロック本体21と、このブロック本体21の前後両端面に固定される一対の蓋体22とから構成されている。
【0021】
図2及び図3は前記蓋体22を示すものであり、図2は蓋体22に係るブロック本体21との当接面を示すものであり、図3は図2に示すIII―III線断面図である。この蓋体22には前記負荷ボール通路内を荷重を負荷しながら転走するボール3を掬い上げて前記ブロック本体21のボール戻し通路21aに送り込む一方、このボール戻し通路21a内を無負荷状態で転走するボール3を前記負荷ボール通路内へ送り込む方向転換路22aが形成されている。すなわち、前記一対の蓋体22をブロック本体21の両端面に固定することにより、前記移動ブロック2にボール3の無限循環路が完成するようになっている。尚、前記無限循環路内に収容されたボール3同士は、これらボール3同士の整列状態を維持するため、合成樹脂製のベルト31によって保持されている(図1参照)。
【0022】
また、前記蓋体22には前記ボール3の無限循環路に対して潤滑油を供給するための給油口22bが設けられている。更に、この蓋体22のブロック本体21との当接面には、後述するインナシール5の嵌合部が遊嵌する凹部23が形成されると共に、この凹部23の両側部には後述するインナシール5の脚部が挿入される一対の挿入溝24が前記移動ブロック2の移動方向(図2の紙面手前側から奥側の方向)に沿って形成されている。また更に、この蓋体22には前記エンドシール4との当接面に対して当該エンドシール4が固定される収納溝25が形成されている。
【0023】
図4及び図5は上記蓋体22に固定される一対のエンドシール4を示すものであり、図4はエンドシール4の正面図、図5は図4に示すV―V線断面図である。このエンドシール4は固定ボルトによって移動ブロック2の移動方向外側から各蓋体22の収納溝25に固定される。また、このエンドシール4は前記軌道レール1の断面形状よりも僅かに大きな断面形状の案内溝を有しており、この案内溝の縁部には前記軌道レール1の表面に摺接するシール部41が形成されている。
【0024】
このエンドシール4は、前記移動ブロック2に対する固定板となるシールプレート42と、このシールプレート42に固着されたシール本体43とから構成されており、前記シール部41は前記シール本体43の一部を成している。前記シールプレート42は金属板等の硬質材料からなる一方、前記シール本体43はウレタンゴム等の弾性体から成形されており、該シール本体43は前記シールプレート42に対して加硫接着されている。これらシールプレート42及びシール本体43夫々には前記蓋体22に形成された給油口22bと連通する貫通孔42a、43aが形成されている。また、前記シール本体43の周縁にはかかるシール本体43の外側に向けて突出する固定リップ43bが形成されており、この固定リップ43bはシール本体43の内側、すなわちシール本体43の一部をなすシール部41側に向けて弾性変形可能に成形されている。
【0025】
前記シール部41は、前記挿入孔12が形成された軌道レール1の上面、前記ボール転走面11が形成された軌道レール1の側面及び当該ボール転走面11を横断するようにしてかかる軌道レール1の表面に摺接している。また、シール部41の軌道レール1との接触端には二重に配置されたシールリップ44、45が設けられている。移動ブロック2に対して外側に位置するシールリップ44はダストリップであり、主に移動ブロック2の進行方向における軌道レール1の付着物に対して作用し、移動ブロック2の運動に伴って当該付着物を軌道レール1から排除する。一方、移動ブロック2に近接して配置されているシールリップ45はオイルリップであり、前記給油口22bを介して移動ブロック2内に充填されたグリース等の潤滑剤が軌道レール1に付着して当該移動ブロック2から流出するのを防止している。
【0026】
各シールリップ44、45は軌道レール1に当接する先端部が先細り形状となっており、軌道レール1に接触した際の面圧が上昇するのを抑制している。また、前記ダストリップ44とオイルリップ45との間には溝が形成されており、これらダストリップ44及びオイルリップ45は互いに独立した状態で軌道レール1の表面に接触している。更に、前記シール部41には、前記オイルリップ45と連続すると共に前記シールプレート42と協働して前記移動ブロック2との対向面を構成する平坦面46が形成されている。
【0027】
このように構成された一対のエンドシール4が前記蓋体22に設けられた収容溝25内に収納される際には、前記シール本体43に設けられた固定リップ43bがエンドシール4の内側、すなわち前記シール部41側に向けて弾性変形する。その結果図6に示すように、エンドシール4が蓋体22の収納溝25内に完全に収納された状態では固定リップ43bが前記収納溝25の内周壁を付勢し、これにより前記エンドシール4は蓋体22の収納溝25内に固定されるようになっている。このようにエンドシール4が前記収容溝25内に収納されている状態では固定リップ43bが収納溝25の内周壁を付勢しているので、エンドシール4と蓋体22との間における水密性が確保され、エンドシール4の周壁を介した移動ブロック2内への異物の侵入を防ぐことが可能となっている。
【0028】
このようにしてエンドシール4が固定された移動ブロック2を軌道レール1に沿って移動させると、前記エンドシール4に設けられたシール部41は軌道レール1の付着物を排除するように機能し、移動ブロック2の進行方向側に位置するエンドシール4に係るシール部41には軌道レール1との接触端に付着物が堆積するようになっている。
【0029】
次に、本発明を適用した運動案内装置が備えるインナシール5について説明する。図7及び図8は前記インナシール5を示すものであり、図7は平面図、図8は図7のA矢視図である。このインナシール5は、図1に示すように、前記軌道レール1の上面に対向する位置で移動ブロック2の下面に取り付けられている。かかるインナシール5は、前記軌道レール1の上面の幅よりも僅かに狭い幅を有する金属製の固定基板としての固定プレート51と、この固定プレート51の長辺に沿って設けられた一対のシール部52とから構成されている。一対のシール部52は例えばウレタンゴム等の弾性体からなり、成形と同時に前記固定プレート51の長辺に対して加硫接着されている。
【0030】
前記固定プレート51には当該固定プレート51の軸方向両端から突出する脚部51aが形成されており、かかる脚部51aは固定プレート51の各端部から一対ずつ突出している。すなわち固定プレート51には合計四つの脚部51aが形成されている。また、固定プレート51の一端に設けられた一対の脚部51a間には前記蓋体22に設けられた凹部23に遊嵌する嵌合部51bが形成されている。
【0031】
一方、各シール部52は固定プレート51の長辺、すなわち一方の脚部51aから他方の脚部51aに掛けて、且つ、前記軌道レール1のボール転走面11に沿って設けられている。また、各シール部52は挿入孔12が設けられている軌道レール1の上面に当接しており、一対のシール部52間には前記軌道レール1の挿入孔12が位置するようになっている。すなわち、これら一対のシール部52が加硫接着された固定プレート51は前記軌道レール1の挿入孔12の上方を覆うように配置されている。
【0032】
また、各シール部52は前記固定プレート51を構成する脚部51aの端部からインナシール5の軸方向に向けて延長された一対の延長シール部52aを有しており、各シール部52の軸方向長さは一方の脚部51aの端面から他方の脚部51aの端面までの距離よりも大きく設定されている。更に、軌道レール1の上面に接する各シール部52の先端は先細り状のシールリップ部52bとして形成されており、前記軌道レール1に接した際の面圧の上昇が抑えられている。このシールリップ部52bは一方の延長シール部52aの端部から他方の延長シール部52aの端部まで形成されており、前記シール部52と延長シール部52aは長手方向に関して一様に形成されている。
【0033】
また、前記シール部52には、前記延長シール部52aと一体に成形された一対の延端部52cが形成されており、これら一対の延端部52cには前記シールリップ部52bが形成されておらず、前記固定プレート51の脚部51aを当該固定プレート51の長手方向から覆うように成形されている。尚、図7及び図8に示した例では前記シール部52及び延長シール部52aに対して単一のシールリップ部52bのみが設けられているが、防塵効果の一層の向上を図るのであれば、二重のシールリップ構造としても差し支えない。
【0034】
上記構成からなるインナシール5が移動ブロック2に組み付けられた状態では、前記固定プレート51の両端に設けられた嵌合部51bが前記蓋体22に設けられた凹部23に遊嵌し、前記インナシール5が一対の蓋体22によって両端支持されるように構成されている。すなわち、前記インナシール5は一対の蓋体22に係止されるように構成されている。ここで、前記固定プレート51の加工誤差により前記固定プレート51の軸方向長さ、特に一方の嵌合部51bから他方の嵌合部51bまでの軸方向長さが一方の蓋体22から他方の蓋体22までの軸方向長さよりも大きく設定された場合、前記インナシール5が組み付けられたブロック本体21に対して一対の蓋体22を組み付けることができない。この観点から、前記固定プレート51の軸方向長さはマイナス公差に形成されている。このため、前記一対の蓋体22に係止された固定プレート51は蓋体22による固定方向、すなわち移動ブロック2の移動方向に対する移動が僅かに許容されている。
【0035】
また、このようにインナシール5の嵌合部51bが蓋体22の凹部23に嵌合している状態では図6に示すように、インナシール5を構成する各脚部51a及びこの脚部51aに固着されたシール部52が前記蓋体22に形成された挿入溝24内に挿入され、前記シール部52と連続する延長シール部52a及び延端部52cが前記エンドシール4に密着するように配置されている。
【0036】
ここで、前記インナシール5を構成する延長シール部52a及び延端部52cの軸方向長さLは、前記ブロック本体21の軸方向長さの加工誤差、各蓋体22の軸方向長さの加工誤差及び前記インナシール5を構成する固定プレート51の長辺の軸方向長さ、すなわち一方の脚部51aの端面から他方の脚部51aの端面までの距離に関する加工誤差を考慮し、これら加工誤差を吸収し得るように設計されている。
【0037】
このため、前記インナシール5が組み付けられた移動ブロック2に対して前記一対のエンドシール4を固定すると、図6に示すように、前記インナシール5の脚部51aに加硫接着された延長シール部52a及び延端部52cは押し潰されて前記エンドシール4に設けられた平坦面46及び前記シールプレート42の金属面に密接するようになっている。すなわち、前記延長シール部52a及び延端部52cの構成により、インナシール5とエンドシール4との間における締め代が確保されている。
【0038】
一方、本発明を適用した運動案内装置は必ずしも軌道レール1を水平面に敷設して使用するとは限らず、軌道レール1を壁面に敷設して使用する場合も多々ある。そのような場合、ボール転走面11が形成された軌道レール1の側面に対して塵芥やクーラント液が付着し易く、これら付着物が軌道レール1の側面と移動ブロック2との隙間から当該移動ブロック2の内部に侵入する懸念がある。従って、そのような使用環境下では、図1に示すように、前記軌道レール1の長手方向に沿ってかかる軌道レール1の側面と移動ブロック2との隙間を塞ぐサイドシール6を設けることが好ましい。このサイドシール6を設けることによって前記軌道レール1の側面の付着物の移動ブロック2への侵入を防止することが可能となる。
【0039】
前記サイドシール6は前記インナシール5と同様の構成を成しており、図9に示すように基盤となる金属製の固定プレート61と、この固定プレート61の長辺に沿って設けられたシール部62とから構成されている。このシール部62は例えばウレタンゴム等の弾性体からなり、成形と同時に前記固定プレート61の長辺に対して加硫接着されている。前記サイドシール6のシール部62には、インナシール5のシール部52と同様に、当該サイドシール6とエンドシール4との隙間を塞ぐ延長シール部62a及び延端部62bが形成されている。
【0040】
このように構成されたサイドシール6が一対のエンドシール4間に配置されている状態では、前記延長シール部62a及び延端部62bが押し潰されて前記エンドシール4に設けられた平坦部46及びシールプレート42の金属面に密接し、エンドシール4とサイドシール6との隙間が排除されるようになっている。すなわち、このサイドシール6も本発明が備える第二シール部材に相当する部材と言える。
【0041】
このようにサイドシール6とエンドシール4とを接続すれば、前述したインナシール5とエンドシール4との接続構造と相まって、移動ブロック2の負荷転走面を取り囲むように密封構造を設けることが可能となる。すなわち、相互に密接されたエンドシール4、インナシール5及びサイドシール6によって軌道レール1上におけるボール3の転走領域を取り囲み、かかる転走領域に対する軌道レール1の付着物の侵入を防止することができる。
【0042】
上記構成からなる本発明を適用した運動案内装置に対して、図10に示すような従来の運動案内装置ではその設計において、前記インナシール5と一対のエンドシール4との間に隙間が形成されないよう、前記インナシール5の軸方向長さ、すなわち固定プレート51の軸方向長さを一方のエンドシール4から他方のエンドシール4までの軸方向長さと合致させることが好ましいが、例えば前記エンドシール4の加工誤差により当該エンドシール4の軸方向長さがマイナス公差となった場合には運動案内装置の組立において、インナシール5が組み付けられた移動ブロック2に対して一対のエンドシール4を組み付けることができないおそれがある。この観点から、前記インナシール5の軸方向長さをマイナス公差にすることが通常である。
【0043】
前記インナシール5の軸方向長さをマイナス公差にすることにより、運動案内装置として組立精度が高くなることも考えられるが、インナシール5の軸方向長さをマイナス公差にすることにより、図10に示すように一対のエンドプレート4とインナシール5との間に隙間が形成される懸念がある。
【0044】
このように、前記エンドシール4とインナシール5との間に隙間が形成されているような運動案内装置の場合には、移動ブロック2が軌道レール1に沿って図10に示す矢線方向に移動すると、前記軌道レール1の表面に付着した異物は移動ブロック2の進行方向に配置されたエンドシール4(図10中左側のエンドシール4)に堆積することとなる。その一方で、前記挿入孔12と閉塞キャップとの境界に溜まった微細な異物は移動ブロック2の進行方向に配置されたエンドシール4を潜り抜け、一方のエンドシール4(図10中右側のエンドシール4)に係る蓋体22に近接したオイルリップ45上に堆積されるようになる。
【0045】
かかる状態で運動案内装置を経時的に使用し続けると、前記オイルリップ45上に堆積する異物が増加し、このオイルリップ45に堆積した異物が最終的には図10中右側に示されたエンドシール4とインナシール5との隙間を介して移動ブロック2の内部に侵入してしまう可能性がある。この事象は前記移動ブロック2が図10に示された矢線と反対方向に移動した場合、図10中左側に示されたエンドシール4とインナシール5との間でも起こり得る。尚、図10では前記インナシール5を構成するシール部52とエンドシール4との隙間を理解し易くするため、インナシール5とエンドシール4の構成は実線で描くと共に前記シール部52及びエンドシール4にはハッチング線を施す一方、シール部52及びエンドシール4以外の構成は鎖線で描いている。
【0046】
これに対して、本発明を適用した運動案内装置では、図11に示すように、インナシール5のシール部52に対して延長シール部52a及び延端部52cが形成されており、一対のエンドシール4が移動ブロック2の蓋体22に固定された状態では前記延長シール部52a及び延端部52cが押し潰されて前記エンドシール4に密接し、その結果インナシール5とエンドシール4との間の隙間が排除されている。尚、図11では前記インナシール5の延長シール部52aとエンドシール4との密接関係を理解し易くするため、インナシール5とエンドシール4の構成は実線で描くと共にインナシール5の延長シール部52a・延端部52c、軌道レール1の表面に摺接するシール部52及びエンドシール4にはハッチング線を施す一方、これら延長シール部52a、延端部52c、シール部52及びエンドシール4以外の構成は鎖線により描いている。
【0047】
このため、移動ブロック2が軌道レール1に沿って図11の矢線方向に移動した場合、前記軌道レール1の表面に付着した異物は移動ブロック2の進行方向に配置されたエンドシール4(図11中左側のエンドシール4)に堆積することとなる。その一方で、前記挿入孔12と閉塞キャップとの境界に溜まった微細な異物は移動ブロック2の進行方向に配置されたエンドシール4を潜り抜け、一方のエンドシール4(図11中右側のエンドシール4)に係る蓋体22に近接したオイルリップ45上に堆積されるようになる。
【0048】
かかる状態で運動案内装置を経時的に使用すると、図11内右側のエンドシール4のオイルリップ45及び一対の脚部51aに加硫接着されたシール部52のシールリップ部52bによって区画された空間に異物が堆積され続けるものの、前記固定プレート51に係る脚部51aの両端から当該脚部51aの長手方向に突出した延長シール部52a及び延端部52cがエンドシール4に押し潰されながら密接することでかかるインナシール5とエンドシール4との間における隙間が排除されている。このため、図10に示す従来の運動案内装置のように、インナシール5とエンドシール4との隙間を介して軌道レール1の表面に付着した異物が移動ブロック2の内部、すなわちボール3の転走領域に入り込むのを防止することが可能となる。勿論、移動ブロック2が図11に示す矢線方向と反対方向に移動した場合であっても、軌道レール1の付着物を移動ブロック2の内部に入り込むのを防ぐことが可能である。
【0049】
その結果、前記軌道レール1の付着物、特に軌道レール1の挿入孔12と閉塞キャップとの隙間に溜まる微細な異物が前記移動ブロック2内に侵入するのを防止することができ、その結果軌道レール1のボール転走面11、移動ブロック2の負荷転走面又はボール3自体の摩耗や欠損を防止することができ、もって軌道レール1に対する移動ブロック2の円滑な運動を達成することが可能となる。
【0050】
更に、本発明を適用した運動案内装置では、前記インナシール5のシール部52に対して前記固定プレート51の脚部51aをインナシール5の軸方向から覆うようにして前記延端部52cが形成されている。このように、前記固定プレート51と前記エンドシール4との間に例えばウレタンゴム等の弾性体からなる延端部52cを設けることで、かかる固定プレート51とエンドシール4との密着量を増加させることができ、その結果前記固定プレート51と、前記エンドシール4の平坦面46及びシールプレート42の金属面との隙間をより確実に無くすことができ、もって移動ブロック2内部への異物侵入を防止することが可能となる。
【0051】
また、本発明を適用した運動案内装置では、前記延端部52cを設けることで固定プレート51とエンドシール4との密着量、すなわちエンドシール4に対するシール部52の接触面積が増える分、固定プレート51とエンドシール4との間で延長シール部52bが押し潰される際、前記シールリップ部52bが形成された延長シール部52bはエンドシール4に対して撓むことなく前記固定プレート51の長手方向に圧縮される。その結果固定プレート51とエンドシール4との間で延長シール部52bが押し潰されたとしても、前記軌道レール1の表面に対する前記シールリップ部52bの摺接状態が維持され、前記軌道レール1に対するインナシール5の密封性を確保することが可能となる。
【0052】
また、本発明を適用した運動案内装置では上述したように、前記固定プレート51の加工誤差による運動案内装置の組立不良を無くすとの観点から、かかる固定プレート51の軸方向長さはマイナス公差に設定されており、前記一対の蓋体22に係止された固定プレート51は移動ブロック2の移動方向に対する移動が僅かに許容されている。
【0053】
しかし、前記固定プレート51の脚部51a及びこの脚部51aに固着されたシール部52が蓋体22に形成された挿入溝24内に挿入された状態では、前記延長シール部52a及び延端部52cが押し潰されながら前記一対のエンドシール4に形成された平坦面46及び前記シールプレート42の金属面に密着するようになっている。これにより、固定プレート51の加工誤差による運動案内装置の組立不良を可及的に防止することが可能であり、更に前記固定プレート51がマイナス公差に形成されていたとしても、かかる固定プレート51と前記エンドシール4との隙間を無くすことができ、移動ブロック2内部への異物侵入を防止することが可能となる。
【0054】
更に、本発明を適用した運動案内装置では、前記延長シール部52a及び延端部52cが押し潰されながら前記一対のエンドシール4に形成された平坦面46及び前記シールプレート42の金属面に密着しており、これにより前記前記移動ブロック2の移動方向に対するインナシール5の移動が制限されている。換言すると、本発明を適用した運動案内装置では前記延長シール部52a及び延端部52cがエンドシール4の平坦面46及び前記シールプレート42の金属面に密着することで前記移動ブロック2の移動方向に対するインナシール5の位置決めを行うことが可能であり、もってインナシール5とエンドシール4との隙間発生を可及的に抑えることが可能となる。
【0055】
尚、上記実施形態に係る本発明を適用した運動案内装置では、転動体としてボールを用いた例を説明したが、転動体としてローラ等を用いた運動案内装置であっても差し支えない。
【0056】
上述した実施形態に係る運動案内装置において、軌道レール1のボール転走面11、移動ブロック2の負荷転走面又はボール3自体の摩耗や欠損を防止するとの観点から、ボール3や転走面を使用条件に応じて適切に潤滑してやる必要があり、これらボール3や転走面の潤滑を図12に示すような潤滑油供給装置により行うことが多々ある。
【0057】
上記潤滑油供給装置7は、前記移動ブロック2の蓋体22に装着されるケーシング71と、このケーシング71に収納されると共に前記軌道レール1のボール転走面11に当接して該軌道レール1に潤滑油を供給する塗布体72とから構成されており、前記塗布体72には該塗布体72に保持された潤滑油を軌道レール1のボール転走面11に塗布する塗布片72aが形成されている。
【0058】
このように構成された潤滑油供給装置7は図13に示すように、前記移動ブロック2の蓋体22に対して当該移動ブロック2の移動方向外側から装着されるようになっており、前記エンドシール4は前記移動ブロック2の移動方向外側から潤滑油供給装置7に固定されるようになっている。
【0059】
かかる場合、前記インナシール5の延長シール部52aと潤滑油供給装置7との間に隙間が形成されていると、この隙間を介して軌道レール1に付着した異物が前記移動ブロック2の内部へ侵入してしまう可能がある。このため、前記潤滑油供給装置7を用いる場合には、図12に示すように、潤滑油供給装置7の下面、すなわち前記軌道レール1の上面に対向する位置に前記インナシール2の延長シール部52a及び延端部52cに連結される一対の延長インナシール8を設けることが好ましい。
【0060】
各延長インナシール8は前記軌道レール1に形成されたボール転走面11に沿って設けられ、固定プレート81及びこの固定プレート81に固着されるシール部82を有している。また、前記シール部83のエンドシール4側端面は前記インナシール5の延長シール部52a及び延端部52cと同一の構成からなり、前記固定プレート81から長手方向に突出した延長シール部82a及びかかる固定プレート81の軸方向端面を覆う延端部82bが形成されている。このように構成された一対の延長インナシール8間には前記軌道レール1の挿入孔12が位置するようになっている。
【0061】
以上のように構成された潤滑油供給装置7が前記移動ブロック2の蓋体22に装着されると、かかる潤滑油供給装置7に設けられた延長インナシール8の移動ブロック側端面に対して前記インナシール5の延長シール部52a及び延端部52cが押し潰されて密接し、当該延長インナシール8とインナシール5との隙間が排除されるようになっている。一方、前記潤滑油供給装置7に対してエンドシール4が装着されると、前記延長インナシール8の延長シール部82a及び延端部82bがエンドシール4の平坦面46及びシールプレート42の金属面に押し潰されて密着し、延長インナシール8とエンドシール4との隙間が排除されるようになっている。
【0062】
このような潤滑油供給装置7に係る延長インナシール8の構成によれば、前記インナシール5とエンドシール4との隙間発生を抑えることができ、その結果移動ブロック2の内部への異物の侵入を抑えることが可能となる。すなわち、前記潤滑油供給装置7に設けられた延長インナシール8は前記インナシール5と連結することで単一のインナシールを構成するようになっている。
【符号の説明】
【0063】
1…軌道レール(軌道軸)、2…移動ブロック(移動体)、3…ボール(転動体)、4…エンドシール(第一シール部材)、5…インナシール(第二シール部材)、6…サイドシール(第二シール部材)、11…ボール転走面(転走面)、51…固定プレート(固定基板)、52…シール部、52a…延長シール部、52b…シールリップ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動ブロックが無限循環する多数のボール又はローラといった転動体を介して軌道レールに組付けられ、前記移動ブロックに固定された被搭載物を軌道レールに沿って自在に往復運動させることが可能な運動案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記運動案内装置としては、長手方向に沿ってボールの転走面が形成された軌道レールと、前記転走面を転動するボールを介して前記軌道レールに組み付けられると共に前記ボールの無限循環路を有する移動ブロックとを備えるものが知られている。前記移動ブロックは、前記軌道レールの転走面と対向してボールの負荷ボール通路を形成する負荷転走面及び前記ボールを循環させるためのボール戻し孔を有するブロック本体と、このブロック本体の前後両端面に固定される一対のエンドプレートとからなり、この移動ブロックに設けられたボールの無限循環路内をボールが循環することにより、移動ブロックが軌道レールの長手方向に沿って連続的に移動することが可能となっている。
【0003】
このように構成された運動案内装置において、その使用環境によっては前記軌道レールに対してワークの削り屑や塵芥などの異物が付着することがあり、仮にこれらの異物が軌道レールに沿って走行する移動ブロックの内部に侵入してしまうと、軌道レールの転走面、移動ブロックの負荷転走面又はボールに傷が発生し、あるいはこれらの摩耗が促進され、運動案内装置における移動ブロックの移動精度が早期に損なわれてしまう。
【0004】
このような理由から、前記移動ブロックにはその移動方向の両端に一対のエンドシールが装着されることが一般的である。このエンドシールは軌道レールの表面に摺接するシールリップ部を備えており、移動ブロックが軌道レールに沿って移動すると、前記シールリップ部が軌道レールに付着した異物を当該軌道レールの表面から拭い取り、かかる異物が移動ブロックの内部に侵入するのを防止している。
【0005】
また、移動ブロックの内部、特に前記ボールの負荷ボール通路への異物の侵入防止の観点から、前記移動ブロックに係る軌道レールの上面と対向する位置にインナシールが、前記軌道レールの側面と対向する位置に一対のサイドシールが装着されることが一般的であり、これらインナシール及びサイドシールは夫々、前記移動ブロックの長手方向に沿って設けられると共に前記エンドシールと同様に前記軌道レールの表面に摺接するシールリップ部を有している。
【0006】
前記一対のエンドシールは取付けボルトにより前記移動ブロックに固定される一方、前記インナシール及びサイドシールは、前記ブロック本体の移動方向両端面に固定されたエンドプレートによって両端支持された状態で前記移動ブロックに遊動可能に保持されている。これらインナシール及びサイドシールの移動ブロックに対する固定手段としては特許文献1のように、移動ブロックに固定される前記一対のエンドシールに凹部を形成し、この凹部にインナシール及びサイドシールを挿入することで一対のエンドシール間にインナシール及びサイドシールが保持されるようなものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−170279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前記インナシール及びサイドシールを一対のエンドシールによって両端支持する特許文献1のような固定手段では、前記ブロック本体、エンドプレート、インナシール又はサイドシールの加工誤差により、例えば一方のエンドシールに係るエンドプレートとの当接面から他方のエンドシールに係るエンドプレートとの当接面までの軸方向長さ(ブロック本体の軸方向長さと一対のエンドプレートの軸方向長さの総和)とインナシール又はサイドシールの軸方向長さとが合致しない場合、前記エンドシールとインナシールとの間、或いは前記エンドシールとサイドシールとの間に隙間が発生してしまうおそれがある。この課題は、前記インナシール及びサイドシールを一対のエンドプレートによって両端支持するような固定手段においても起こり得る。
【0009】
ここで、上記運動案内装置において、前記軌道レールは取付けボルトを用いてベッド等の固定部に締結される場合が殆どであり、かかる軌道レールには取付けボルトの挿入孔が貫通形成されている。従来よりこの挿入孔を介した移動ブロック内部への異物の侵入を防ぐため、通常挿入孔にはエンドシールが摺接する軌道レールの表面が段差なく平滑面となるように閉塞キャップが埋め込まれる。
【0010】
しかし、前記挿入孔に対して閉塞キャップを埋め込んだとしても、当該閉塞キャップと挿入孔との境界には当然に隙間が生じ、この隙間に溜まるような微細な異物は移動ブロックの進行方向側に位置するエンドシールによって拭い取られることなく、該エンドシールを潜り抜けてしまう。一旦エンドシールを潜り抜けた異物は他方のエンドプレートに係る前記移動ブロックとの対向面、すなわち一対のエンドシール間に堆積することになる。
【0011】
かかる状態で運動案内装置を継続的に使用すると、前記エンドシールに対して異物が徐々に滞留していき、最終的にエンドシールに滞留した異物は該エンドシールとインナシールとの間、或いは前記エンドシールとサイドシールとの間に形成された隙間を介して移動ブロックの内部に入り込んでしまう可能性が高い。その結果、軌道レールの転走面、移動ブロックの負荷転走面又はボールに傷が発生し、あるいはこれらの摩耗が促進され、運動案内装置における移動ブロックの移動精度が早期に損なわれてしまう。このようなインナシール又はサイドシールとエンドシールとの隙間を介した異物の侵入は運動案内装置の長期使用による前記エンドシールの劣化によっても生じる傾向にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、移動ブロックに固定されたエンドシールとインナシール又はサイドシールとの隙間発生を抑え、当該隙間を介した移動ブロック内部への異物の侵入を防止し、これにより軌道レールの転走面、移動ブロックの負荷転走面又はボール自体の摩耗や欠損を防止すると共に、軌道レールに対する移動ブロックの円滑な運動を達成することが可能な運動案内装置を提供することにある。
【0013】
このような目的を達成する本発明を適用した運動案内装置は、長手方向に沿って転動体の転走面が形成された軌道軸と、多数の転動体を介して前記軌道軸に組み付けられると共に前記転動体の無限循環路を有し、前記軌道軸に沿って自在に移動可能な移動体と、この移動体の移動方向両端面に装着されると共に前記軌道軸の表面に摺接して該軌道軸と移動体との隙間を塞ぐ一対の第一シール部材と、前記軌道軸の転走面に沿って設けられて該軌道軸の表面に摺接して前記軌道軸と移動体との隙間を塞ぐ第二シール部材と、を備えている。
【0014】
そして、前記第二シール部材は、前記移動体に係止される固定基板と、前記軌道軸の転走面に沿って前記固定基板に固着されると共に、前記軌道軸の表面に摺接するシールリップ部を有し、長手方向の両端が前記一対の第一シール部材が移動体に固定された状態でこれら一対の第一シール部材に密着するシール部と、を備え、前記シール部は、前記固定基板の長手方向両端から当該固定基板の長手方向に突出した一対の延長シール部を有し、更にこれら一対の延長シール部は、前記一対の第一シール部材が移動体に固定された状態で押し潰されるように構成されている。
【発明の効果】
【0015】
このような本発明を適用した運動案内装置は、前記軌道軸に形成された転走面に沿って設けられた第二シール部材を備え、この第二シール部材が備えるシール部には、前記固定基板の長手方向両端から当該固定基板の長手方向に突出すると共に前記一対の第一シール部材が移動体に固定された状態でこれら一対の第一シール部材に押し潰されながら密着する延長シール部が形成されている。このため、前記第二シール部材と第一シール部材との間に隙間が形成されることがなく、従来の運動案内装置のように、前記第二シール部材と第一シール部材との隙間を介して異物が移動体の無限循環路内へ侵入するのを防ぐことができ、ひいては軌道軸に対する移動体の円滑な運動を達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用した運動案内装置の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示すエンドプレートのブロック本体との当接面を示す正面図である。
【図3】図2に示すIII―III線断面図である。
【図4】本発明を適用した運動案内装置が備えるエンドシールの正面図である。
【図5】図4に示すV―V線断面図である。
【図6】移動ブロックに組み付けられた状態のインナシール及びエンドシールを示す断面図である。
【図7】本発明を適用した運動案内装置が備えるインナシールを示す平面図である。
【図8】図7に示すA矢視図である。
【図9】前記エンドシールとサイドシールとの接続部位を示す斜視図である。
【図10】従来の運動案内装置における前記エンドシールとインナシールの接続部位を示す概要図である。
【図11】本発明を適用した運動案内装置における前記エンドシールとインナシールの接続部位を示す概要図である。
【図12】図1に示す運動案内装置に適用可能な潤滑油供給装置を示す正面断面図である。
【図13】図12に示す潤滑油供給装置と移動ブロックの蓋体及びエンドシールとの接続部位を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を用いて本発明を適用した運動案内装置の一例を詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明を適用した運動案内装置を示すものである。この運動案内装置は、直線状に形成された軌道軸としての軌道レール1と、転動体としてのボール3を介して軌道レール1に組み付けられると共に内部にボール3の無限循環路を備えた移動体としての移動ブロック2と、この移動ブロック2の移動方向両端に固定される一対の第一シール部材としてのエンドシール4と、前記移動ブロック2が備えるボール3の無限循環路を運動案内装置の外部から密封する第二シール部材としてインナシール5とから構成されており、前記ボール3が移動ブロック2の無限循環路内を循環することで当該移動ブロック2が軌道レール1上を往復運動するようになっている。尚、図1では前記移動ブロック2の内部構造を理解しやすくするため、一部を切り欠いて描いている。
【0019】
前記軌道レール1は断面略矩形状に形成されており、各側面には前記ボール3が転走する二条のボール転走面11が長手方向に沿って形成されている。また、この軌道レール1には長手方向に適宜間隔をおいて挿入孔12が貫通形成されており、この挿入孔12に取付けボルトを締結することにより前記軌道レール1を各種機械装置のベッドやコラム等の固定部に取り付けることができるようになっている。この挿入孔12に取付けボルトを締結した後、かかる挿入孔12には異物の滞留を防ぐための閉塞キャップ(図示せず)が埋め込まれるようになっている。尚、本実施形態に係る軌道レール1には四条のボール転走面11が形成されているが、これらボール転走面11の条数及び配置は運動案内装置の用途及び負荷荷重の大きさに応じて適宜設定変更することができる。
【0020】
一方、移動ブロック2は前記軌道レール1のボール転走面11と対向してボール3の負荷ボール通路を形成する負荷転走面及び前記ボール3を循環させるためのボール戻し通路21aを有するブロック本体21と、このブロック本体21の前後両端面に固定される一対の蓋体22とから構成されている。
【0021】
図2及び図3は前記蓋体22を示すものであり、図2は蓋体22に係るブロック本体21との当接面を示すものであり、図3は図2に示すIII―III線断面図である。この蓋体22には前記負荷ボール通路内を荷重を負荷しながら転走するボール3を掬い上げて前記ブロック本体21のボール戻し通路21aに送り込む一方、このボール戻し通路21a内を無負荷状態で転走するボール3を前記負荷ボール通路内へ送り込む方向転換路22aが形成されている。すなわち、前記一対の蓋体22をブロック本体21の両端面に固定することにより、前記移動ブロック2にボール3の無限循環路が完成するようになっている。尚、前記無限循環路内に収容されたボール3同士は、これらボール3同士の整列状態を維持するため、合成樹脂製のベルト31によって保持されている(図1参照)。
【0022】
また、前記蓋体22には前記ボール3の無限循環路に対して潤滑油を供給するための給油口22bが設けられている。更に、この蓋体22のブロック本体21との当接面には、後述するインナシール5の嵌合部が遊嵌する凹部23が形成されると共に、この凹部23の両側部には後述するインナシール5の脚部が挿入される一対の挿入溝24が前記移動ブロック2の移動方向(図2の紙面手前側から奥側の方向)に沿って形成されている。また更に、この蓋体22には前記エンドシール4との当接面に対して当該エンドシール4が固定される収納溝25が形成されている。
【0023】
図4及び図5は上記蓋体22に固定される一対のエンドシール4を示すものであり、図4はエンドシール4の正面図、図5は図4に示すV―V線断面図である。このエンドシール4は固定ボルトによって移動ブロック2の移動方向外側から各蓋体22の収納溝25に固定される。また、このエンドシール4は前記軌道レール1の断面形状よりも僅かに大きな断面形状の案内溝を有しており、この案内溝の縁部には前記軌道レール1の表面に摺接するシール部41が形成されている。
【0024】
このエンドシール4は、前記移動ブロック2に対する固定板となるシールプレート42と、このシールプレート42に固着されたシール本体43とから構成されており、前記シール部41は前記シール本体43の一部を成している。前記シールプレート42は金属板等の硬質材料からなる一方、前記シール本体43はウレタンゴム等の弾性体から成形されており、該シール本体43は前記シールプレート42に対して加硫接着されている。これらシールプレート42及びシール本体43夫々には前記蓋体22に形成された給油口22bと連通する貫通孔42a、43aが形成されている。また、前記シール本体43の周縁にはかかるシール本体43の外側に向けて突出する固定リップ43bが形成されており、この固定リップ43bはシール本体43の内側、すなわちシール本体43の一部をなすシール部41側に向けて弾性変形可能に成形されている。
【0025】
前記シール部41は、前記挿入孔12が形成された軌道レール1の上面、前記ボール転走面11が形成された軌道レール1の側面及び当該ボール転走面11を横断するようにしてかかる軌道レール1の表面に摺接している。また、シール部41の軌道レール1との接触端には二重に配置されたシールリップ44、45が設けられている。移動ブロック2に対して外側に位置するシールリップ44はダストリップであり、主に移動ブロック2の進行方向における軌道レール1の付着物に対して作用し、移動ブロック2の運動に伴って当該付着物を軌道レール1から排除する。一方、移動ブロック2に近接して配置されているシールリップ45はオイルリップであり、前記給油口22bを介して移動ブロック2内に充填されたグリース等の潤滑剤が軌道レール1に付着して当該移動ブロック2から流出するのを防止している。
【0026】
各シールリップ44、45は軌道レール1に当接する先端部が先細り形状となっており、軌道レール1に接触した際の面圧が上昇するのを抑制している。また、前記ダストリップ44とオイルリップ45との間には溝が形成されており、これらダストリップ44及びオイルリップ45は互いに独立した状態で軌道レール1の表面に接触している。更に、前記シール部41には、前記オイルリップ45と連続すると共に前記シールプレート42と協働して前記移動ブロック2との対向面を構成する平坦面46が形成されている。
【0027】
このように構成された一対のエンドシール4が前記蓋体22に設けられた収容溝25内に収納される際には、前記シール本体43に設けられた固定リップ43bがエンドシール4の内側、すなわち前記シール部41側に向けて弾性変形する。その結果図6に示すように、エンドシール4が蓋体22の収納溝25内に完全に収納された状態では固定リップ43bが前記収納溝25の内周壁を付勢し、これにより前記エンドシール4は蓋体22の収納溝25内に固定されるようになっている。このようにエンドシール4が前記収容溝25内に収納されている状態では固定リップ43bが収納溝25の内周壁を付勢しているので、エンドシール4と蓋体22との間における水密性が確保され、エンドシール4の周壁を介した移動ブロック2内への異物の侵入を防ぐことが可能となっている。
【0028】
このようにしてエンドシール4が固定された移動ブロック2を軌道レール1に沿って移動させると、前記エンドシール4に設けられたシール部41は軌道レール1の付着物を排除するように機能し、移動ブロック2の進行方向側に位置するエンドシール4に係るシール部41には軌道レール1との接触端に付着物が堆積するようになっている。
【0029】
次に、本発明を適用した運動案内装置が備えるインナシール5について説明する。図7及び図8は前記インナシール5を示すものであり、図7は平面図、図8は図7のA矢視図である。このインナシール5は、図1に示すように、前記軌道レール1の上面に対向する位置で移動ブロック2の下面に取り付けられている。かかるインナシール5は、前記軌道レール1の上面の幅よりも僅かに狭い幅を有する金属製の固定基板としての固定プレート51と、この固定プレート51の長辺に沿って設けられた一対のシール部52とから構成されている。一対のシール部52は例えばウレタンゴム等の弾性体からなり、成形と同時に前記固定プレート51の長辺に対して加硫接着されている。
【0030】
前記固定プレート51には当該固定プレート51の軸方向両端から突出する脚部51aが形成されており、かかる脚部51aは固定プレート51の各端部から一対ずつ突出している。すなわち固定プレート51には合計四つの脚部51aが形成されている。また、固定プレート51の一端に設けられた一対の脚部51a間には前記蓋体22に設けられた凹部23に遊嵌する嵌合部51bが形成されている。
【0031】
一方、各シール部52は固定プレート51の長辺、すなわち一方の脚部51aから他方の脚部51aに掛けて、且つ、前記軌道レール1のボール転走面11に沿って設けられている。また、各シール部52は挿入孔12が設けられている軌道レール1の上面に当接しており、一対のシール部52間には前記軌道レール1の挿入孔12が位置するようになっている。すなわち、これら一対のシール部52が加硫接着された固定プレート51は前記軌道レール1の挿入孔12の上方を覆うように配置されている。
【0032】
また、各シール部52は前記固定プレート51を構成する脚部51aの端部からインナシール5の軸方向に向けて延長された一対の延長シール部52aを有しており、各シール部52の軸方向長さは一方の脚部51aの端面から他方の脚部51aの端面までの距離よりも大きく設定されている。更に、軌道レール1の上面に接する各シール部52の先端は先細り状のシールリップ部52bとして形成されており、前記軌道レール1に接した際の面圧の上昇が抑えられている。このシールリップ部52bは一方の延長シール部52aの端部から他方の延長シール部52aの端部まで形成されており、前記シール部52と延長シール部52aは長手方向に関して一様に形成されている。
【0033】
また、前記シール部52には、前記延長シール部52aと一体に成形された一対の延端部52cが形成されており、これら一対の延端部52cには前記シールリップ部52bが形成されておらず、前記固定プレート51の脚部51aを当該固定プレート51の長手方向から覆うように成形されている。尚、図7及び図8に示した例では前記シール部52及び延長シール部52aに対して単一のシールリップ部52bのみが設けられているが、防塵効果の一層の向上を図るのであれば、二重のシールリップ構造としても差し支えない。
【0034】
上記構成からなるインナシール5が移動ブロック2に組み付けられた状態では、前記固定プレート51の両端に設けられた嵌合部51bが前記蓋体22に設けられた凹部23に遊嵌し、前記インナシール5が一対の蓋体22によって両端支持されるように構成されている。すなわち、前記インナシール5は一対の蓋体22に係止されるように構成されている。ここで、前記固定プレート51の加工誤差により前記固定プレート51の軸方向長さ、特に一方の嵌合部51bから他方の嵌合部51bまでの軸方向長さが一方の蓋体22から他方の蓋体22までの軸方向長さよりも大きく設定された場合、前記インナシール5が組み付けられたブロック本体21に対して一対の蓋体22を組み付けることができない。この観点から、前記固定プレート51の軸方向長さはマイナス公差に形成されている。このため、前記一対の蓋体22に係止された固定プレート51は蓋体22による固定方向、すなわち移動ブロック2の移動方向に対する移動が僅かに許容されている。
【0035】
また、このようにインナシール5の嵌合部51bが蓋体22の凹部23に嵌合している状態では図6に示すように、インナシール5を構成する各脚部51a及びこの脚部51aに固着されたシール部52が前記蓋体22に形成された挿入溝24内に挿入され、前記シール部52と連続する延長シール部52a及び延端部52cが前記エンドシール4に密着するように配置されている。
【0036】
ここで、前記インナシール5を構成する延長シール部52a及び延端部52cの軸方向長さLは、前記ブロック本体21の軸方向長さの加工誤差、各蓋体22の軸方向長さの加工誤差及び前記インナシール5を構成する固定プレート51の長辺の軸方向長さ、すなわち一方の脚部51aの端面から他方の脚部51aの端面までの距離に関する加工誤差を考慮し、これら加工誤差を吸収し得るように設計されている。
【0037】
このため、前記インナシール5が組み付けられた移動ブロック2に対して前記一対のエンドシール4を固定すると、図6に示すように、前記インナシール5の脚部51aに加硫接着された延長シール部52a及び延端部52cは押し潰されて前記エンドシール4に設けられた平坦面46及び前記シールプレート42の金属面に密接するようになっている。すなわち、前記延長シール部52a及び延端部52cの構成により、インナシール5とエンドシール4との間における締め代が確保されている。
【0038】
一方、本発明を適用した運動案内装置は必ずしも軌道レール1を水平面に敷設して使用するとは限らず、軌道レール1を壁面に敷設して使用する場合も多々ある。そのような場合、ボール転走面11が形成された軌道レール1の側面に対して塵芥やクーラント液が付着し易く、これら付着物が軌道レール1の側面と移動ブロック2との隙間から当該移動ブロック2の内部に侵入する懸念がある。従って、そのような使用環境下では、図1に示すように、前記軌道レール1の長手方向に沿ってかかる軌道レール1の側面と移動ブロック2との隙間を塞ぐサイドシール6を設けることが好ましい。このサイドシール6を設けることによって前記軌道レール1の側面の付着物の移動ブロック2への侵入を防止することが可能となる。
【0039】
前記サイドシール6は前記インナシール5と同様の構成を成しており、図9に示すように基盤となる金属製の固定プレート61と、この固定プレート61の長辺に沿って設けられたシール部62とから構成されている。このシール部62は例えばウレタンゴム等の弾性体からなり、成形と同時に前記固定プレート61の長辺に対して加硫接着されている。前記サイドシール6のシール部62には、インナシール5のシール部52と同様に、当該サイドシール6とエンドシール4との隙間を塞ぐ延長シール部62a及び延端部62bが形成されている。
【0040】
このように構成されたサイドシール6が一対のエンドシール4間に配置されている状態では、前記延長シール部62a及び延端部62bが押し潰されて前記エンドシール4に設けられた平坦部46及びシールプレート42の金属面に密接し、エンドシール4とサイドシール6との隙間が排除されるようになっている。すなわち、このサイドシール6も本発明が備える第二シール部材に相当する部材と言える。
【0041】
このようにサイドシール6とエンドシール4とを接続すれば、前述したインナシール5とエンドシール4との接続構造と相まって、移動ブロック2の負荷転走面を取り囲むように密封構造を設けることが可能となる。すなわち、相互に密接されたエンドシール4、インナシール5及びサイドシール6によって軌道レール1上におけるボール3の転走領域を取り囲み、かかる転走領域に対する軌道レール1の付着物の侵入を防止することができる。
【0042】
上記構成からなる本発明を適用した運動案内装置に対して、図10に示すような従来の運動案内装置ではその設計において、前記インナシール5と一対のエンドシール4との間に隙間が形成されないよう、前記インナシール5の軸方向長さ、すなわち固定プレート51の軸方向長さを一方のエンドシール4から他方のエンドシール4までの軸方向長さと合致させることが好ましいが、例えば前記エンドシール4の加工誤差により当該エンドシール4の軸方向長さがマイナス公差となった場合には運動案内装置の組立において、インナシール5が組み付けられた移動ブロック2に対して一対のエンドシール4を組み付けることができないおそれがある。この観点から、前記インナシール5の軸方向長さをマイナス公差にすることが通常である。
【0043】
前記インナシール5の軸方向長さをマイナス公差にすることにより、運動案内装置として組立精度が高くなることも考えられるが、インナシール5の軸方向長さをマイナス公差にすることにより、図10に示すように一対のエンドプレート4とインナシール5との間に隙間が形成される懸念がある。
【0044】
このように、前記エンドシール4とインナシール5との間に隙間が形成されているような運動案内装置の場合には、移動ブロック2が軌道レール1に沿って図10に示す矢線方向に移動すると、前記軌道レール1の表面に付着した異物は移動ブロック2の進行方向に配置されたエンドシール4(図10中左側のエンドシール4)に堆積することとなる。その一方で、前記挿入孔12と閉塞キャップとの境界に溜まった微細な異物は移動ブロック2の進行方向に配置されたエンドシール4を潜り抜け、一方のエンドシール4(図10中右側のエンドシール4)に係る蓋体22に近接したオイルリップ45上に堆積されるようになる。
【0045】
かかる状態で運動案内装置を経時的に使用し続けると、前記オイルリップ45上に堆積する異物が増加し、このオイルリップ45に堆積した異物が最終的には図10中右側に示されたエンドシール4とインナシール5との隙間を介して移動ブロック2の内部に侵入してしまう可能性がある。この事象は前記移動ブロック2が図10に示された矢線と反対方向に移動した場合、図10中左側に示されたエンドシール4とインナシール5との間でも起こり得る。尚、図10では前記インナシール5を構成するシール部52とエンドシール4との隙間を理解し易くするため、インナシール5とエンドシール4の構成は実線で描くと共に前記シール部52及びエンドシール4にはハッチング線を施す一方、シール部52及びエンドシール4以外の構成は鎖線で描いている。
【0046】
これに対して、本発明を適用した運動案内装置では、図11に示すように、インナシール5のシール部52に対して延長シール部52a及び延端部52cが形成されており、一対のエンドシール4が移動ブロック2の蓋体22に固定された状態では前記延長シール部52a及び延端部52cが押し潰されて前記エンドシール4に密接し、その結果インナシール5とエンドシール4との間の隙間が排除されている。尚、図11では前記インナシール5の延長シール部52aとエンドシール4との密接関係を理解し易くするため、インナシール5とエンドシール4の構成は実線で描くと共にインナシール5の延長シール部52a・延端部52c、軌道レール1の表面に摺接するシール部52及びエンドシール4にはハッチング線を施す一方、これら延長シール部52a、延端部52c、シール部52及びエンドシール4以外の構成は鎖線により描いている。
【0047】
このため、移動ブロック2が軌道レール1に沿って図11の矢線方向に移動した場合、前記軌道レール1の表面に付着した異物は移動ブロック2の進行方向に配置されたエンドシール4(図11中左側のエンドシール4)に堆積することとなる。その一方で、前記挿入孔12と閉塞キャップとの境界に溜まった微細な異物は移動ブロック2の進行方向に配置されたエンドシール4を潜り抜け、一方のエンドシール4(図11中右側のエンドシール4)に係る蓋体22に近接したオイルリップ45上に堆積されるようになる。
【0048】
かかる状態で運動案内装置を経時的に使用すると、図11内右側のエンドシール4のオイルリップ45及び一対の脚部51aに加硫接着されたシール部52のシールリップ部52bによって区画された空間に異物が堆積され続けるものの、前記固定プレート51に係る脚部51aの両端から当該脚部51aの長手方向に突出した延長シール部52a及び延端部52cがエンドシール4に押し潰されながら密接することでかかるインナシール5とエンドシール4との間における隙間が排除されている。このため、図10に示す従来の運動案内装置のように、インナシール5とエンドシール4との隙間を介して軌道レール1の表面に付着した異物が移動ブロック2の内部、すなわちボール3の転走領域に入り込むのを防止することが可能となる。勿論、移動ブロック2が図11に示す矢線方向と反対方向に移動した場合であっても、軌道レール1の付着物を移動ブロック2の内部に入り込むのを防ぐことが可能である。
【0049】
その結果、前記軌道レール1の付着物、特に軌道レール1の挿入孔12と閉塞キャップとの隙間に溜まる微細な異物が前記移動ブロック2内に侵入するのを防止することができ、その結果軌道レール1のボール転走面11、移動ブロック2の負荷転走面又はボール3自体の摩耗や欠損を防止することができ、もって軌道レール1に対する移動ブロック2の円滑な運動を達成することが可能となる。
【0050】
更に、本発明を適用した運動案内装置では、前記インナシール5のシール部52に対して前記固定プレート51の脚部51aをインナシール5の軸方向から覆うようにして前記延端部52cが形成されている。このように、前記固定プレート51と前記エンドシール4との間に例えばウレタンゴム等の弾性体からなる延端部52cを設けることで、かかる固定プレート51とエンドシール4との密着量を増加させることができ、その結果前記固定プレート51と、前記エンドシール4の平坦面46及びシールプレート42の金属面との隙間をより確実に無くすことができ、もって移動ブロック2内部への異物侵入を防止することが可能となる。
【0051】
また、本発明を適用した運動案内装置では、前記延端部52cを設けることで固定プレート51とエンドシール4との密着量、すなわちエンドシール4に対するシール部52の接触面積が増える分、固定プレート51とエンドシール4との間で延長シール部52bが押し潰される際、前記シールリップ部52bが形成された延長シール部52bはエンドシール4に対して撓むことなく前記固定プレート51の長手方向に圧縮される。その結果固定プレート51とエンドシール4との間で延長シール部52bが押し潰されたとしても、前記軌道レール1の表面に対する前記シールリップ部52bの摺接状態が維持され、前記軌道レール1に対するインナシール5の密封性を確保することが可能となる。
【0052】
また、本発明を適用した運動案内装置では上述したように、前記固定プレート51の加工誤差による運動案内装置の組立不良を無くすとの観点から、かかる固定プレート51の軸方向長さはマイナス公差に設定されており、前記一対の蓋体22に係止された固定プレート51は移動ブロック2の移動方向に対する移動が僅かに許容されている。
【0053】
しかし、前記固定プレート51の脚部51a及びこの脚部51aに固着されたシール部52が蓋体22に形成された挿入溝24内に挿入された状態では、前記延長シール部52a及び延端部52cが押し潰されながら前記一対のエンドシール4に形成された平坦面46及び前記シールプレート42の金属面に密着するようになっている。これにより、固定プレート51の加工誤差による運動案内装置の組立不良を可及的に防止することが可能であり、更に前記固定プレート51がマイナス公差に形成されていたとしても、かかる固定プレート51と前記エンドシール4との隙間を無くすことができ、移動ブロック2内部への異物侵入を防止することが可能となる。
【0054】
更に、本発明を適用した運動案内装置では、前記延長シール部52a及び延端部52cが押し潰されながら前記一対のエンドシール4に形成された平坦面46及び前記シールプレート42の金属面に密着しており、これにより前記前記移動ブロック2の移動方向に対するインナシール5の移動が制限されている。換言すると、本発明を適用した運動案内装置では前記延長シール部52a及び延端部52cがエンドシール4の平坦面46及び前記シールプレート42の金属面に密着することで前記移動ブロック2の移動方向に対するインナシール5の位置決めを行うことが可能であり、もってインナシール5とエンドシール4との隙間発生を可及的に抑えることが可能となる。
【0055】
尚、上記実施形態に係る本発明を適用した運動案内装置では、転動体としてボールを用いた例を説明したが、転動体としてローラ等を用いた運動案内装置であっても差し支えない。
【0056】
上述した実施形態に係る運動案内装置において、軌道レール1のボール転走面11、移動ブロック2の負荷転走面又はボール3自体の摩耗や欠損を防止するとの観点から、ボール3や転走面を使用条件に応じて適切に潤滑してやる必要があり、これらボール3や転走面の潤滑を図12に示すような潤滑油供給装置により行うことが多々ある。
【0057】
上記潤滑油供給装置7は、前記移動ブロック2の蓋体22に装着されるケーシング71と、このケーシング71に収納されると共に前記軌道レール1のボール転走面11に当接して該軌道レール1に潤滑油を供給する塗布体72とから構成されており、前記塗布体72には該塗布体72に保持された潤滑油を軌道レール1のボール転走面11に塗布する塗布片72aが形成されている。
【0058】
このように構成された潤滑油供給装置7は図13に示すように、前記移動ブロック2の蓋体22に対して当該移動ブロック2の移動方向外側から装着されるようになっており、前記エンドシール4は前記移動ブロック2の移動方向外側から潤滑油供給装置7に固定されるようになっている。
【0059】
かかる場合、前記インナシール5の延長シール部52aと潤滑油供給装置7との間に隙間が形成されていると、この隙間を介して軌道レール1に付着した異物が前記移動ブロック2の内部へ侵入してしまう可能がある。このため、前記潤滑油供給装置7を用いる場合には、図12に示すように、潤滑油供給装置7の下面、すなわち前記軌道レール1の上面に対向する位置に前記インナシール2の延長シール部52a及び延端部52cに連結される一対の延長インナシール8を設けることが好ましい。
【0060】
各延長インナシール8は前記軌道レール1に形成されたボール転走面11に沿って設けられ、固定プレート81及びこの固定プレート81に固着されるシール部82を有している。また、前記シール部83のエンドシール4側端面は前記インナシール5の延長シール部52a及び延端部52cと同一の構成からなり、前記固定プレート81から長手方向に突出した延長シール部82a及びかかる固定プレート81の軸方向端面を覆う延端部82bが形成されている。このように構成された一対の延長インナシール8間には前記軌道レール1の挿入孔12が位置するようになっている。
【0061】
以上のように構成された潤滑油供給装置7が前記移動ブロック2の蓋体22に装着されると、かかる潤滑油供給装置7に設けられた延長インナシール8の移動ブロック側端面に対して前記インナシール5の延長シール部52a及び延端部52cが押し潰されて密接し、当該延長インナシール8とインナシール5との隙間が排除されるようになっている。一方、前記潤滑油供給装置7に対してエンドシール4が装着されると、前記延長インナシール8の延長シール部82a及び延端部82bがエンドシール4の平坦面46及びシールプレート42の金属面に押し潰されて密着し、延長インナシール8とエンドシール4との隙間が排除されるようになっている。
【0062】
このような潤滑油供給装置7に係る延長インナシール8の構成によれば、前記インナシール5とエンドシール4との隙間発生を抑えることができ、その結果移動ブロック2の内部への異物の侵入を抑えることが可能となる。すなわち、前記潤滑油供給装置7に設けられた延長インナシール8は前記インナシール5と連結することで単一のインナシールを構成するようになっている。
【符号の説明】
【0063】
1…軌道レール(軌道軸)、2…移動ブロック(移動体)、3…ボール(転動体)、4…エンドシール(第一シール部材)、5…インナシール(第二シール部材)、6…サイドシール(第二シール部材)、11…ボール転走面(転走面)、51…固定プレート(固定基板)、52…シール部、52a…延長シール部、52b…シールリップ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って転動体の転走面が形成された軌道軸と、多数の転動体を介して前記軌道軸に組み付けられると共に前記転動体の無限循環路を有し、前記軌道軸に沿って自在に移動可能な移動体と、この移動体の移動方向両端面に装着されると共に前記軌道軸の表面に摺接して該軌道軸と移動体との隙間を塞ぐ一対の第一シール部材と、前記軌道軸の転走面に沿って設けられて該軌道軸の表面に摺接して前記軌道軸と移動体との隙間を塞ぐ第二シール部材と、を備え、
前記第二シール部材は、前記移動体に係止される固定基板と、前記軌道軸の転走面に沿って前記固定基板に固着されると共に、前記軌道軸の表面に摺接するシールリップ部を有し、長手方向の両端が前記一対の第一シール部材が移動体に固定された状態でこれら一対の第一シール部材に密着するシール部と、を備え、
前記シール部は、前記固定基板の長手方向両端から当該固定基板の長手方向に突出した一対の延長シール部を有し、
これら一対の延長シール部は、前記一対の第一シール部材が移動体に固定された状態で押し潰されることを特徴とする運動案内装置。
【請求項2】
前記シール部は、前記延長シール部と一体に成形されると共に、前記固定基板の端部を当該固定基板の長手方向から覆うようして成形された延端部を有することを特徴とする請求項1記載の運動案内装置。
【請求項3】
前記移動体は、前記軌道軸に形成された転走面に対向して負荷転動体通路を形成する負荷転動体転走面及び前記転動体を循環させるための転動体戻し孔を有する移動体本体と、この移動体本体の移動方向両端面に固定される一対の蓋体と、を備え、
前記固定基板は、前記一対の蓋体を移動体本体に固定した際に長手方向の両端から当該蓋体に係止されることを特徴とする請求項1記載の運動案内装置。
【請求項1】
長手方向に沿って転動体の転走面が形成された軌道軸と、多数の転動体を介して前記軌道軸に組み付けられると共に前記転動体の無限循環路を有し、前記軌道軸に沿って自在に移動可能な移動体と、この移動体の移動方向両端面に装着されると共に前記軌道軸の表面に摺接して該軌道軸と移動体との隙間を塞ぐ一対の第一シール部材と、前記軌道軸の転走面に沿って設けられて該軌道軸の表面に摺接して前記軌道軸と移動体との隙間を塞ぐ第二シール部材と、を備え、
前記第二シール部材は、前記移動体に係止される固定基板と、前記軌道軸の転走面に沿って前記固定基板に固着されると共に、前記軌道軸の表面に摺接するシールリップ部を有し、長手方向の両端が前記一対の第一シール部材が移動体に固定された状態でこれら一対の第一シール部材に密着するシール部と、を備え、
前記シール部は、前記固定基板の長手方向両端から当該固定基板の長手方向に突出した一対の延長シール部を有し、
これら一対の延長シール部は、前記一対の第一シール部材が移動体に固定された状態で押し潰されることを特徴とする運動案内装置。
【請求項2】
前記シール部は、前記延長シール部と一体に成形されると共に、前記固定基板の端部を当該固定基板の長手方向から覆うようして成形された延端部を有することを特徴とする請求項1記載の運動案内装置。
【請求項3】
前記移動体は、前記軌道軸に形成された転走面に対向して負荷転動体通路を形成する負荷転動体転走面及び前記転動体を循環させるための転動体戻し孔を有する移動体本体と、この移動体本体の移動方向両端面に固定される一対の蓋体と、を備え、
前記固定基板は、前記一対の蓋体を移動体本体に固定した際に長手方向の両端から当該蓋体に係止されることを特徴とする請求項1記載の運動案内装置。
【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】


【図13】




【図2】


【図3】


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【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】


【図13】


【公開番号】特開2013−100880(P2013−100880A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245573(P2011−245573)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(390029805)THK株式会社 (420)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(390029805)THK株式会社 (420)
【Fターム(参考)】
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