運動用装具
【課題】運動時における骨格筋に直接、働いてその運動出力を高めることができる運動用装具を提供する。
【解決手段】シート状の材料を含み大腿部および下腿部の少なくともいずれか一方を覆うようにして下肢に固定される本体と、上記本体に取り付けられ、上記大腿部および上記下腿部の少なくともいずれか一方を圧迫する圧迫手段とから構成され、上記大腿部および上記下腿部における圧迫圧力が、90〜200hPaであることを特徴とする。
【解決手段】シート状の材料を含み大腿部および下腿部の少なくともいずれか一方を覆うようにして下肢に固定される本体と、上記本体に取り付けられ、上記大腿部および上記下腿部の少なくともいずれか一方を圧迫する圧迫手段とから構成され、上記大腿部および上記下腿部における圧迫圧力が、90〜200hPaであることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下肢に装着して運動時における骨格筋の運動出力を高める運動用装具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、筋肉自体の増強を図る方法として加圧筋肉増強方法が知られている。
【0003】
図19および20は、その加圧筋肉増強方法を実施するため加圧筋肉増強用衣服(以下、加圧衣服と略称する)を示したものである。
【0004】
図19において、加圧衣服100は、ベルト通しを備えた衣服本体101と、ベルト102とから構成されている。
【0005】
上記ベルト102は、下肢の基端部を締め付けるべくその背後から大腿部を一周するようにベルト通しに通され、ベルト102の一方端102aを、ベルト102の他方端に備えられているバックル103の第一孔103aに通し、矢印A方向に折り返すようになっている。
【0006】
次いで、ベルト102の一方端102aを引っ張り、ベルト102によって形成された輪の長さを縮めることで、ベルト102が衣服本体101内側の使用者の脚の基端部を締め付けるようになる。
【0007】
次いで、図20に示すように、ベルト102の一方端102aを引っ張る強さを調節し、脚の筋肉に与えられる締め付け力を調節する。ベルト102が作る輪の長さが一定に保たれることにより、脚の筋肉に与えられる締め付け力は一定に保たれ、この状態で運動を行えば加圧筋肉増強方法が実行される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4361282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の加圧筋肉増強方法は、増強を図ろうとする筋肉に対してその筋肉に近接する、心臓に近い上位部位に対し、血流を阻害させるような締め付け力を与え、血流障害による適切な負荷を筋肉に与えることにより、筋肉自体の増強を図るものである。すなわち、筋肉の回復作用を利用して筋肉の増強を図るというものであり、運動時における骨格筋の運動出力を高めるものではなかった。
【0010】
本発明は、運動時における骨格筋に直接働いて下肢の運動出力を高めることができる運動用装具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、シート状の材料を含み大腿部および下腿部の少なくともいずれか一方を覆うようにして下肢に固定される本体と、上記本体に取り付けられ、上記大腿部および上記下腿部の少なくともいずれか一方を圧迫する圧迫手段とから構成され、
上記大腿部および上記下腿部における圧迫圧力が、90〜200hPaである運動用装具である。
【0012】
上記圧迫圧力は好ましくは100〜190hPa、より好ましくは110〜180hPaである。
【0013】
上記圧迫圧力は、上記圧迫手段単独で得られるものであってもよく、または上記圧迫手段と上記本体の両方で得られるものであってもよい。
【0014】
本発明において、上記圧迫手段として、上記大腿部および/または上記下腿部に巻き付けられ上記大腿部および/または上記下腿部の筋肉を圧迫する圧迫ベルトを含むことができる。
【0015】
また、上記圧迫ベルトは、大腿直筋の下部および/または腓腹筋の下部を圧迫するように構成することが好ましい。
【0016】
また、上記圧迫ベルトは、上記大腿直筋および/または上記腓腹筋に接続されている筋腱移行部も圧迫するように構成することができる。
【0017】
また、上記圧迫ベルトは、大腿部前面から大腿部背面に向けて先上がり、または下腿部背面から下腿部前面に向けて先上がりに傾斜した状態で巻き付けられるように構成することが好ましい。
【0018】
また、上記圧迫ベルトの巻き付け位置よりも上方の上記本体に、上記大腿部または上記下腿部に巻き付けるための上部固定ベルトを備えることができ、さらに、上記圧迫ベルトの巻き付け位置よりも下方の上記本体に、上記大腿部または上記下腿部に巻き付けるための下部固定ベルトを備えることができる。
【0019】
また、上記圧迫ベルトは面ファスナーによって上記本体に固定されるように構成することが好ましい。
【0020】
本発明において、上記圧迫手段として、大腿直筋および腓腹筋の少なくともいずれか一方を圧迫する圧迫補助具を有することができる。
【0021】
また、上記本体に上記圧迫補助具を収容するためのポケットを備えることができる。
【0022】
また、上記圧迫補助具はくさび状部材から構成することができ、上記圧迫補助具は樹脂(発泡性樹脂を含む)を成形したものから構成することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の運動用装具によれば、運動時における骨格筋に直接働いてその運動出力を高めることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)および(b)は、骨格筋における縦走筋の種類を説明する模式図である。
【図2】(a)〜(c)は、骨格筋における羽状筋の種類を説明する模式図である。
【図3】(a)および(b)は羽状角と力伝達効率の関係を示す説明図である。
【図4】(a)および(b)は羽状筋の圧迫方向を示す説明図である。
【図5】筋の外部への運動出力を計測する方法において電気刺激を説明するグラフである。
【図6】筋の運動出力の測定結果を示すグラフである。
【図7】(a)〜(f)は本発明に係る運動用装具の第一形態を示す説明図である。
【図8】(a)〜(d)は本発明に係る運動用装具の第二形態を示す説明図である。
【図9】(a)〜(c)は本発明に係る運動用装具の第三形態を示す説明図である。
【図10】(a)および(b)は本発明に係る運動用装具の第四形態を示す説明図である。
【図11】(a)〜(d)は図10に示す運動用装具の変形例を示す説明図である。
【図12】(a)〜(c)は本発明に係る運動用装具の第五形態を示す説明図である。
【図13】(a)および(b)は図12に示した運動用装具の変形例を示す説明図である。
【図14】(a)〜(d)は運動用装具の第六形態を示す説明図である。
【図15】(a)〜(c)は、図14に示す運動用装具の装着例を示す説明図である。
【図16】図14に示す運動用装具の効果を説明するグラフである。
【図17】(a)〜(e)は運動用装具の第七形態を示す説明図である。
【図18】(a)〜(c)は、図17に示す運動用装具の装着例を示す説明図である。
【図19】従来の加圧筋肉増強用衣服の使用方法を示す説明図である。
【図20】図19に示す加圧筋肉増強用衣服の装着状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に示した実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0026】
本発明の運動用装具の構成について説明する前に、その運動用装具が装着される骨格筋のメカニズムについて説明する。
【0027】
1.骨格筋のメカニズム
図1および図2に示すように、骨格筋はその形状によって縦走筋と羽状筋とに分類される。
【0028】
縦走筋は、筋線維が筋と同じ方向に直線的に配列されている筋の総称であり、代表的な筋としては上腕二頭筋などの紡錘状筋(図1(a)参照)と縫工筋などの平行筋(図1(b)参照)がある。
【0029】
一方、大腿四頭筋、下腿三頭筋などの羽状筋は、筋線維が腱に対して斜めに配列されている鳥の羽のような筋であり、この羽状筋には、斜めに配列されている筋が片側のみにある単羽状筋(図2(a)参照)、斜めに配列されている筋が両側にある両羽状筋(図2(b)参照)、斜めに配列されている多くの筋が横に並んで一つの筋を作っている多羽状筋(図2(c)参照)がある。
【0030】
上記紡錘状筋は大きな力は出せないものの収縮スピードが速いという性質があり、上記羽状筋は、収縮スピードは遅いものの大きな力を生み出すことができるという性質がある。
【0031】
上記骨格筋が収縮することにより腱が引っ張られ、関節が屈曲したり伸展する。
【0032】
紡錘状筋や平行筋は筋束と腱が平行であるため、筋の収縮する方向と腱が引っ張られる方向が同じであり、筋収縮力が損なわれることなく運動出力となる。
【0033】
一方、羽状筋は、筋が収縮する方向と腱が引っ張られる方向に角度(羽状角)があるため、運動出力は筋収縮力よりも小さくなる。
【0034】
この筋収縮力のロスを圧迫によって軽減すれば運動出力が高められることから、本発明では上記羽状筋に着目している。
【0035】
1.1 羽状角と力伝達効率
図3(a)において、羽状筋が圧迫されていない状態での筋1が発揮した力をF、羽状角をθ1とすると、腱2方向の力成分はF×cosθ1となる。すなわち、筋1から腱2への力伝達効率は羽状角によって決定される。
【0036】
次に、図3(b)に示すように、羽状筋が矢印B方向に圧迫され羽状角が小さくなると、腱2方向の力成分はF×cosθ2となり、
F×cosθ1<F×cosθ2
となるから、羽状筋を圧迫すると、羽状角がθ1の場合に比べ、筋1から腱2への力伝達効率の低下を抑制することができる。
【0037】
このときの圧力は少なくとも20hPa以上、好ましくは100hPa以上である。
【0038】
また、羽状筋を圧迫する方向は図4(a)に示すように、腱2に対して直交する方向(矢印C方向)から圧迫することができるが、好ましくは、図4(b)に示すように腱2に対して斜め方向(矢印D方向)から圧迫することがより効果的である。
【0039】
具体的には、圧迫対象が大腿部の場合、上記直交する方向から圧迫するとは、起立姿勢において、大腿四頭筋を水平方向から圧迫することであり、上記斜め方向から圧迫するとは大腿四頭筋を膝上から背面側に向けて斜め上方向に圧迫することである。
【0040】
また、圧迫対象が下腿部の場合、上記直交する方向から圧迫するとは、張脛の真上から水平方向に圧迫することであり、上記斜め方向から圧迫するとは足首後側上方の部位から前側に向けて斜め上方向に圧迫することである。
【0041】
従来のいわゆるコンプレッションウエアによる圧迫は、筋肉のサポートによるパフォーマンス低下を軽減するものであったり、姿勢を整えるためのものであったり、また、血流を促進させるものである。
【0042】
これらは、あくまで筋肉のサポートに過ぎず、筋の外部への運動出力を向上させるものではなかった。そのため、圧迫の圧力はせいぜい30hPa程度に留まっている。
【0043】
また、テーピング効果のあるサポータ等は圧迫圧力を高めることはできるものの、その目的は関節や筋肉、腱の保護にあり、筋の運動出力を高める本発明とは目的を異にしている。
【0044】
また、背景技術に示した筋肉を増強する加圧衣服についても、運動時において筋の運動出力を高めるものではない。
【0045】
2.筋力の測定方法
次に、筋の運動出力を計測する方法について説明する。
【0046】
電気刺激誘発による筋収縮法により、等尺性の膝関節伸展(大腿四頭筋)動作を対象として、筋収縮力を測定した。
【0047】
刺激は200μsecの矩形波を着座姿勢にある被検者の大腿部に送った。刺激用の電極取付け位置は、大腿部前側の上部と下部である。
【0048】
刺激頻度は20Hzとし被検者の耐痛閾値以下の刺激強度を加えた。
【0049】
また、(a)圧迫を加えない場合、(b)手で大腿部を押し上げる方向に圧迫した場合、(c)伸縮性の小さい帯状の生地で大腿部前側を押し上げる方向に圧迫した場合、(d)伸縮性の小さい帯状の生地で大腿部前側を押し下げる方向に圧迫した場合の4パターンについて測定を行った。
【0050】
圧迫する際の圧力は90〜200hPaとし、圧力は、大腿部における大腿四頭筋と対応する部位に取り付けた複数の圧力センサによって測定した。
【0051】
また、筋の運動出力の測定は、すね部と対向してそのすね部と接触するように配置した力センサによって膝関節が伸展する力を測定した。
【0052】
図5は電気刺激を加える手順を示したグラフであり、横軸は時間(秒)、縦軸は電圧(V)を示している。
【0053】
最大強度での筋活動後に筋力の運動出力が高まるという筋の性質を考慮した場合、筋の運動出力の条件を揃えることが必要となるため、最大筋力発揮後に上記(a)〜(d)の各圧迫を加え、電気刺激を与える。図中、Pは最大筋力発揮後に与えた電気刺激を示している。
【0054】
2.1 測定結果
図6は、上記測定方法によって得られた、被検者5名の運動出力の平均値を示したグラフであり、横軸は圧迫のパターン(a)〜(d)、縦軸は運動出力(N)を示している。
【0055】
同グラフに示すように、(a)圧迫を加えない場合に対し、(b)手で大腿部を押し上げる方向に圧迫した場合および(c)伸縮性の小さい帯状の生地で大腿部を押し上げる方向に圧迫した場合との間で、運動出力の明確な増加が認められた。
【0056】
一方、(d)伸縮性の小さい帯状の生地で大腿部を押し下げる方向に圧迫した場合には、逆に運動出力の低下が認められた。
【0057】
3.運動用装具の構成
次に上記筋の運動出力を高めるための運動用装具の構成について説明する。
【0058】
3.1 運動用装具の第一形態
図7は本発明に係る運動用装具の第一形態を示している。
【0059】
同図(a)において、運動用装具10は、大腿部Cに対し筒状に巻き付けることができるシート状材料を含んで構成された本体11を有し、その本体11の幅方向両端部の上部、中間部および下部に、本体11を筒状に保形するための面ファスナー付き固定用帯片12a,12bおよび12cがそれぞれ設けられている。
【0060】
図7では展開できるシート状の本体11を例示したが、例えば、丸編み機によって成形された継ぎ目の無い筒状に作製してもよい。
【0061】
上記材料には伸縮性材料と非伸縮性材料が含まれる。伸縮性材料の具体例としては、発泡性樹脂(発泡ウレタン樹脂等)、シリコンゴムからなるシート、伸縮性のある織物、編物、不織布等が示され、非伸縮性材料の具体例としては伸縮性の無い織物、編物(トリコット)、樹脂等が示される。
【0062】
本体11の表面は、面ファスナーを貼り付けることができるように全体または一部が例えばパイル地等から構成されている。
【0063】
また、運動用装具10を大腿部Cに装着した状態において、本体11の背面上部には、面ファスナー14a付きの上部固定ベルト14の中央部と面ファスナー15a付きの圧迫ベルト15の中央部13aとが重ねて縫合されており、本体11の背面下部には、面ファスナー16a付きの下部固定ベルト16の中央部13bが縫合されている。
【0064】
上部固定ベルト14は、大腿部Cの上部に対し水平方向に巻き付けられ、前側に向けて先下がりに配置された圧迫ベルト15は大腿部Cに対し斜めに巻き付けられ、下部固定ベルト16は大腿部Cの下部に対し水平方向に巻き付けられるようになっている。
【0065】
これらのベルト14〜16は伸縮性または非伸縮性の生地からなり、その表面は、面ファスナーを貼り付けることができるように全体または一部が例えばパイル地等から構成されている。
【0066】
ベルト14〜16は、大腿部Cを締め付けることができるようになっているが、特に、圧迫ベルト15は、図4(b)に示した方向と同じ方向から大腿直筋の羽状筋を圧迫するように構成されている。
【0067】
すなわち、上記圧迫ベルト15は、上記本体11に対し縫合により支持され、大腿部を90〜200hPaの圧力で圧迫する圧迫手段として機能する。
【0068】
詳しくは、大腿四頭筋は大腿直筋、中間広筋、外側広筋、内側広筋とから構成されており、圧迫ベルト15は大腿直筋を構成している羽状筋を斜め上方向(矢印D方向)に持ち上げながら締め付け、羽状筋の羽状角を効果的に小さくする。
【0069】
それにより、大腿部が圧迫され、大腿四頭筋の外部への運動出力を高めることができる。
【0070】
図7(b)において、各ベルト14〜16の締め付け手順は、まず、上部固定ベルト14を大腿部C上部まわりに水平方向に巻き付け、面ファスナー14aによって本体11に固定する。
【0071】
次に、圧迫ベルト15を大腿部Cまわりに斜めに巻き付け、面ファスナー15aにより固定する。
【0072】
次に、下部固定ベルト16を大腿部C下部まわりに水平方向に巻き付けて面ファスナー16aにより本体11に固定する。
【0073】
なお、図7(c)は運動用装具10における各バンド14〜16を展開した状態を示し、図中、Yは大腿部Cに本体11を巻き付けることによって生じた重ね合わせ線を示している。
【0074】
また、図7(d)は各バンド14〜16を締め付け固定した状態を示している。
【0075】
また、図7(a)〜(f)において、M1は固定用帯片12a先端の固定位置を、M2(またはM4)は固定用帯片12b先端の固定位置を、M3は固定用帯片12c先端の固定位置をそれぞれ示している。
【0076】
M5は90hPaの圧力ポイントを、M6は200hPaの圧力ポイントを示している。
【0077】
上部固定ベルト14を大腿部に巻き付け、その先端をM5に到達させ、下部固定ベルト16をM7に到達させ、且つ圧迫ベルト15先端を、斜めに付与された圧力ポイントM9(図7(e)参照)に到達させれば、大腿部を90hPaの圧力で圧迫することができるようになっている。
【0078】
また、上部固定ベルト14を大腿部に巻き付け、その先端をM6に到達させ、下部固定ベルト16をM8に到達させ、且つ圧迫ベルト15先端を、斜めに付与された圧力ポイントM10(M9の背面側に付与されている)に到達させれば、大腿部を200hPaの圧力で圧迫することができるようになっている。
【0079】
なお、上記圧力ポイントはステッチ(かん止め)を入れることにより付与することができる。
【0080】
また、以下に説明する各運動装具についても、上記した圧力ポイントを所望の部位に付与することにより、所望の圧力で圧迫することが可能になる。
【0081】
3.2 運動用装具の第二形態
以下の説明において図7と同じ構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0082】
図8(a)に示す運動用装具20は、大腿部Cに対し筒状に巻き付けることができる大腿部巻付け部20aと、膝部Eおよびその下方を被覆する膝部被覆部20bが一体に形成されており、大腿部巻付け部20aおよび膝部被覆部20bは上記本体11と同じ材質から構成されている。
【0083】
上記運動用装具20には、膝部被覆部20bの前側に面ファスナー22a付きのU字状の膝部ベルト22が設けられている。なお、図中22bは膝部ベルト22における扇状の縫着部を示している。
【0084】
上記運動用装具20を装着する場合、まず、膝部被覆部20bに下肢を通し、開口部21aから膝頭が露出するようにセットする。
【0085】
次いで、大腿部Cに大腿部巻付け部20aを巻き付け、固定用帯片12a〜12cによって大腿部巻付け部20aを筒状に保形する。
【0086】
次いで、図8(b)に示すように、膝部ベルト22の各端部を上方に持ち上げ面ファスナー22aで大腿部巻付け部20aの背面に固定する。
【0087】
次いで、上部固定ベルト14を大腿部C上部まわりに水平方向に巻き付けて面ファスナー14aで固定し、圧迫ベルト15を大腿部Cまわりに斜めに巻き付けて面ファスナー15aで固定し、下部固定ベルト16を大腿部C下部まわりに水平方向に巻き付けて面ファスナー16aで固定する。
【0088】
大腿部Cに巻き付けられ固定された圧迫ベルト15は、逢着された中央部13aを支点として矢印D方向の締め付け力を発揮する。
【0089】
それにより、大腿部Cが圧迫され、大腿四頭筋の外部への運動出力を高めることができる。
【0090】
また、膝部ベルト22で膝部をサポートし、膝下部を斜め上方に引き上げることによって大腿部の筋収縮時の膝の動きをサポートし、運動出力をより高めることができる。
【0091】
なお、図8(c)は運動用装具20における各バンド14〜16および22を展開した状態を示し、図8(d)は各バンド14〜16および22を締め付け固定した状態を示している。
【0092】
3.3 運動用装具の第三形態
図9(a)に示す運動用装具30は、本体が伸縮性のあるパンツ型に構成されている。上記本体は、腰部を被覆する筒状の腰部被覆部31aと、大腿部に巻き付ける大腿部巻付け部31bとが一体に形成されているものである。
【0093】
腰部被覆部31aにおける背面上部には、面ファスナー32a付きの腰部ベルト32の中央部分33(図9(b)参照)が縫合されている。この腰部ベルト32は前側に向けて先下がりに傾斜した状態で配置されている。
【0094】
上記腰部ベルト32の中央部分33に重ねて、面ファスナー34a付きの腰固定ベルト34が水平方向に縫合されている。
【0095】
上記運動用装具30は、まず、腰部被覆部31aに腰を通す。
【0096】
次いで、大腿部に大腿部巻付け部31bを巻き付け、固定用帯片12a〜12cで固定する。
【0097】
次いで、図9(b)に示すように、腰部ベルト32の各端部を腰のまわりに斜めに巻き付け、面ファスナー32aで固定する。
【0098】
次いで、腰固定ベルト34を腰まわりに水平に巻き付けて面ファスナー34aで固定する。
【0099】
上記構成を有する運動用装具30を装着すれば、より効果的に斜め上方に圧力を加えることができるという利点がある。
【0100】
なお、図9(c)において、運動用装具30における左半分は、各バンド14〜16を展開した状態を示し、右半分はそれらのバンドを締め付け固定した状態を示している。
【0101】
また、図中Gは縫合部分を示し、Hは非縫合部分を示している。
【0102】
なお、図9に示した運動用装具30に図8に示した運動用装具20の膝部被覆部20bを組み合わせ、面ファスナー22a付きのU字状の膝部ベルト22で膝の動きをサポートするようにしてもよい。
【0103】
3.4 運動用装具の第四形態
図10(a)および(b)に示す運動用装具50は、伸縮性を有し大腿部を筒状に被覆し得る大腿部被覆部50aを有し、この大腿被覆部50aの前側には線状の補強部50bが平行に形成されている。
【0104】
上記補強部50b,50bの縦方向中央にはバックル51aおよび51bが対向する状態で配置され、また、縦方向下部にもバックル52aおよび52bが対向する状態で配置されている。
【0105】
また、各バックル51a,51b,52a,52bを矢印方向に通すことができる圧迫ベルト53が設けられ、この圧迫ベルト53の各端部53a,53aには面ファスナーが備えられ、運動用装具50の本体50a外面に固定することができるようになっている。
【0106】
上記運動用装具50によれば、大腿部の下部から上部に向けて大腿直筋を締め上げることができる。
【0107】
図11は上記運動用装具50の変形例を示したものであり、同図(a)は側面図、同図(b)は正面図である。
【0108】
同図に示す運動用装具54は、大腿部の下部を固定する下部固定ベルト55が追加されている。この下部固定ベルト55の各先端部には面ファスナー55a,55aが備えられている。
【0109】
詳しくは、両図に示す運動用装具54では、図10に示したバックル52aおよび52bは備えられておらず、圧迫ベルト53の折り返し部分は補強部50b,50bに一旦、縫合され、その補強部50b,50bからさらに延長される下部固定ベルト55,55は、バックル56を介して左右に振り分けられ、本体50aの外面に対し面ファスナー55a,55aによって固定されるようになっている。
【0110】
この構成によれば、大腿下部の固定力が増し、より効果的に圧を加えやすくなるという利点がある。
【0111】
また、図11(c)に示す側面図および同図(d)に示す背面図おいて、M10,M11は圧迫ベルト53先端の固定位置を示しており、M10は90hPaの圧力ポイントを、M11は200hPaの圧力ポイントを示している。
【0112】
また、M12,M13は下部固定ベルト55先端の固定位置を示しており、M12は90hPaの圧力ポイントを、M13は200hPaの圧力ポイントを示している。
【0113】
3.5 運動用装具の第五形態
図12(a)〜(c)に示す運動用装具60は、伸縮性を有し大腿部に巻き付けることができるシート状の大腿部巻付け部60aを有し、この大腿部巻付け部60aの幅方向端部には、上部、中間部および下部にそれぞれ固定用帯片12a〜12cが備えられている。
【0114】
この大腿被覆部60aの前側には圧迫補助具61を挿入するためのポケット60bが設けられている。
【0115】
上記ポケット60bは大腿被覆部60aの外面に帯状の生地を重ねて縫合することによって形成されており、図中、60cは縫合線を示している。
【0116】
また、上記ポケット60bは下側が開口していればよく、上側は開口であってもよく、縫合されていてもよい。
【0117】
上記圧迫補助具61としては、軽量で所望の強度が得られる硬質発泡ポリウレタン、硬質発泡ポリプロピレン等の発泡性樹脂をくさび状に成形したものを使用することができる。圧迫補助具61としてくさび状成形品を使用する場合、くさび先端側を上向きにしてポケット60b内に挿入(矢印F方向参照)する。
【0118】
なお、上記圧迫補助具61をくさび状に成形すれば、大腿筋を斜め上方向に圧迫し羽状筋を効果的に圧迫することができる。しかしながら、上記圧迫補助具61は平板状であっても一定の圧迫効果を発揮することができる。
【0119】
図13(a)および(b)に示す運動用装具70は、上記運動用装具60の変形例を示したものである。
【0120】
両図に示す運動用装具70は、大腿部巻付け部60aに、面ファスナー71a付きの上部固定ベルト71と、面ファスナー72a付きの下部固定ベルト72と、面ファスナー73a付きの圧迫ベルト73がさらに備えられている。
【0121】
上記上部固定ベルト71はその中央部がポケット60bの外面上部に縫合され、上記下部固定ベルト72はその中央部がポケット60bの外面下部に縫合され、上記圧迫ベルト73は、その下部固定ベルト72の縫合部分に共に縫合され、後側に向けて先上がりとなるように斜めに配置されている。
【0122】
この構成によれば、より固定力が増し効果的に圧力を加えやすくなるという利点がある。
【0123】
3.6 運動用装具の第六形態
図14に示す運動用装具80は下腿部に装着されるものであり、同図(a)は装具本体を正面から見た図、同図(b)は側面から見た図、同図(c)は背面から見た図、同図(d)は装具本体に装着される圧迫ベルトである。
【0124】
これらの図において、運動用装具80は、下腿部を挿通し得る筒状の装具本体81を有している。
【0125】
この装具本体81は、その上下両端部に設けられた伸縮性素材からなる伸縮部81a、81bと、装着時にふくらはぎ部分に位置し通気性を有するメッシュ部81cと、そのメッシュ部81cの下方から下腿部前側に向けて先上がりに延設されるクッション部81dと、メッシュ部81cの上方から下腿部前側に向けて先下がりに延設され、下腿部前側を覆って上記クッション部81dと連絡している面ファスナー貼付け部81eとをそれぞれ継ぎ合わせることによって構成されている。なお、メッシュ部81cは伸縮部81a、81bで構成することもできる。
【0126】
装具本体81の上下両端部は、上記したように伸縮性素材から構成されているため、下腿部を通した後、その下腿部の所望の位置に、取り外し可能に固定することができるようになっている。
【0127】
上記伸縮部81a、81bの材料としては、発泡性樹脂(発泡ウレタン樹脂等)、シリコンゴムからなるシート、伸縮性のある織物、編物、不織布等が例示される。
【0128】
上記クッション部81dの材料としては、例えばネオプレンゴム等を使用することができる。
【0129】
また、上記面ファスナー貼付部81eは、面ファスナーを貼り付けることができるように全体または一部が例えばパイル地等から構成されている。
【0130】
圧迫ベルト82は、上記面ファスナー貼付部81eに沿わせて装具本体81に巻き付けるものであり、圧迫ベルト82の両端部には面ファスナー貼付部81eに貼り付けるための面ファスナー部82aが設けられている。
【0131】
上記圧迫ベルト82は伸縮性を有することが好ましい。伸縮性があると筋肉や腱の動きが制限されず、動きやすく、しかも体に沿ってフィットさせることができるからである。一方、非伸縮性のものは、動きが制限されてしまい、また、体にフィットしにくいというデメリットがある。
【0132】
図15は上記装具本体81に圧迫ベルト82を装着した状態を示したものであり、同図(a)は正面図、同図(b)は側面図、同図(c)は背面図である。
【0133】
装具本体11のメッシュ部81cがふくらはぎに位置するように、運動用装具80を下腿部に固定し、圧迫ベルト82の中央部に設けられた滑り止め部82bを、クッション部81dの後部に位置決めし(図15(c)参照)、斜め先上がりに形成されているそのクッション部81dに沿わせて、圧迫ベルト82を先上がりに配置し(図15(b)参照)、圧迫ベルト82の各先端部をたすきがけにした後(図15(a)参照)、それら各先端部に設けられている面ファスナー部82a、82aと装具本体11の面ファスナー貼付部81eとを貼り合わせる。
【0134】
その際、圧迫ベルト82の先端部を圧力ポイント81fに到達させれば、圧迫ベルト82は、下腿部を90〜200hPaの圧力で圧迫する圧迫手段として機能する。それにより、下腿部を運動用装具80で締め付けることができ、ふくらはぎ下部は矢印I方向に向けて圧迫され(図15(b)参照)、腓腹筋の羽状筋を効果的に圧迫すると同時に、腓腹筋と腱との接続部分である筋腱移行部を圧迫することができる。
【0135】
なお、圧力ポイント81fを設けずに圧迫ベルト82を自らの力で最大まで締め付ければ、150〜200hPaの圧力で下腿部を圧迫することができる。
【0136】
3.7 筋腱移行部の圧迫について
腱は、通常、たるみを有しているが、筋腱移行部を含む領域に圧迫を加えることによりそのたるみをなくすと、力の立ち上がりや腱スティッフネス(腱の単位長さ変化に対する力の大きさ)が高まることが本発明に関する研究において判明した。腱スティッフネスが高いと運動パフォーマンスを高めることができる。
【0137】
そこで、下腿部圧迫が腱スティッフネスに与える影響を調べた。
【0138】
図16は筋腱移行部に圧迫を加えない場合と加えた場合とで腱スティッフネスを比較したグラフである。同グラフにおいて、横軸は安静時からの腱長さの変化(mm)を示し、縦軸は足関節底屈筋力(N)を示している。
【0139】
特性P1は、筋腱移行部に圧迫を加えない場合の腱長さ変化に対する足関節底屈筋力を示し、特性P2は、筋腱移行部に圧迫を加えた場合の腱長さ変化に対する足関節底屈筋力を示している。
【0140】
腱スティッフネスは、50%MVC(Maximum Voluntary Construction:最大随意筋力)以降の筋力−腱長さの関係から得られた回帰式の傾きによって表すことができる。
【0141】
同グラフにおいて、特性P1の回帰式はy=486.68x−4425.3であり、特性P2の回帰式はy=554.21x−2732.5である。すなわち、筋腱移行部に圧迫を加えると、腱スティッフネスが486.68N/mmから554.21N/mmに向上することが確認された。
【0142】
このことから、足関節底屈筋力は腱伸長量に比例して大きくなるが、同じ腱伸長量であっても筋腱移行部に圧迫を加えると、足関節底屈筋力を向上させることができ、腱スティッフネスが向上することが分かる。
【0143】
したがって、腓腹筋の羽状筋を圧迫すると同時に、腓腹筋と腱との接続部分である筋腱移行部を圧迫すれば、より高い運動パフォーマンスを得ることができる。
【0144】
3.8 運動用装具の第七形態
図17に示す運動用装具90も下腿部に装着されるものであり、同図(a)は装具本体を展開した図、同図(b)は正面から見た図、同図(c)は側面から見た図、同図(d)は背面から見た図、同図(e)は装具本体に装着される圧迫ベルトである。
【0145】
これらの図において、運動用装具90は、ふくらはぎの下部に巻き付けるための帯状の装具本体91を有し、この装具本体91は上記装具本体81の本体片と同様に伸縮性素材からなり、その外面全体がパイル地から構成され、一方端部91aの内面には装具本体91の両端部を接続するための面ファスナー91bが設けられている。
【0146】
上記装具本体91の他方端部91c外面についてその任意の位置に面ファスナー91bを貼り付けることにより、使用者の下腿部にフィットさせた状態で装具本体91を固定することができるようになっている。
【0147】
また、装具本体91外面の長手方向中央部には、後述する圧迫ベルト93を通すための一対のバックル92a、92bが設けられている。
【0148】
一方、圧迫ベルト93の一方端部93aの内面には面ファスナー93bが設けられ、他方端部93cの内面にも同じく面ファスナー93dが設けられ、さらに、圧迫ベルト93の中央部内面にも面ファスナー93eが設けられている。
【0149】
下腿部に固定した装具本体91の前側から後側に向けて圧迫ベルト93を配置し、圧迫ベルト93の一方端部93aをバックル92aに通して折り返し、面ファスナー93bを装具本体91の外面に貼り合わせ、また、装具本体91の他方端部93cをバックル92bに通して折り返し、面ファスナー93dを装具本体91の外面に貼り合わせると、腓腹筋の羽状筋を効果的に圧迫すると同時に、腓腹筋と腱との接続部分である筋腱移行部も圧迫することができる。
【0150】
図18は上記運動用装具90を下腿部(図示しない)に装着した状態を示したものであり、同図(a)は正面図、同図(b)は側面図、同図(c)は背面図である。
【0151】
上記構成を有する運動用装具90は、帯状の装具本体91を対象部位に巻き付けて固定し、圧迫ベルト93で圧迫するというシンプルな構成であるため、運動用装具90の装着、取り外しが簡単に行え、しかも伸長、体格に左右されず装着することができ、下腿部を簡単に圧迫することができるという利点がある。
【0152】
なお、上記した運動用装具90では圧迫の強度の目安となる目印は付けられていないため、使用する際に、圧迫ベルト93を自らの力で最大まで締め付けることを前提としている。それにより、下腿部を圧迫する圧力が150〜200hPaになる。
【0153】
また、本発明の運動用装具は、上記実施形態では大腿部圧迫用と下腿部圧迫用とに分けてその構成を説明したが、大腿部と下腿部の両方を覆うことのできるパンツ状の本体を有し、その本体の大腿部側に上記第一形態から第五形態の運動用装具を備え、本体の下腿部側に上記第六形態から第七形態の運動用装具を備えることもできる。
【符号の説明】
【0154】
1 筋
2 腱
10 運動用装具
11 本体
12a〜12c 固定用帯片
13a,13b 中央部
14a 面ファスナー
14 上部固定ベルト
15a 面ファスナー
15 圧迫ベルト(圧迫手段)
16a 面ファスナー
16 下部固定ベルト
【技術分野】
【0001】
本発明は、下肢に装着して運動時における骨格筋の運動出力を高める運動用装具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、筋肉自体の増強を図る方法として加圧筋肉増強方法が知られている。
【0003】
図19および20は、その加圧筋肉増強方法を実施するため加圧筋肉増強用衣服(以下、加圧衣服と略称する)を示したものである。
【0004】
図19において、加圧衣服100は、ベルト通しを備えた衣服本体101と、ベルト102とから構成されている。
【0005】
上記ベルト102は、下肢の基端部を締め付けるべくその背後から大腿部を一周するようにベルト通しに通され、ベルト102の一方端102aを、ベルト102の他方端に備えられているバックル103の第一孔103aに通し、矢印A方向に折り返すようになっている。
【0006】
次いで、ベルト102の一方端102aを引っ張り、ベルト102によって形成された輪の長さを縮めることで、ベルト102が衣服本体101内側の使用者の脚の基端部を締め付けるようになる。
【0007】
次いで、図20に示すように、ベルト102の一方端102aを引っ張る強さを調節し、脚の筋肉に与えられる締め付け力を調節する。ベルト102が作る輪の長さが一定に保たれることにより、脚の筋肉に与えられる締め付け力は一定に保たれ、この状態で運動を行えば加圧筋肉増強方法が実行される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4361282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の加圧筋肉増強方法は、増強を図ろうとする筋肉に対してその筋肉に近接する、心臓に近い上位部位に対し、血流を阻害させるような締め付け力を与え、血流障害による適切な負荷を筋肉に与えることにより、筋肉自体の増強を図るものである。すなわち、筋肉の回復作用を利用して筋肉の増強を図るというものであり、運動時における骨格筋の運動出力を高めるものではなかった。
【0010】
本発明は、運動時における骨格筋に直接働いて下肢の運動出力を高めることができる運動用装具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、シート状の材料を含み大腿部および下腿部の少なくともいずれか一方を覆うようにして下肢に固定される本体と、上記本体に取り付けられ、上記大腿部および上記下腿部の少なくともいずれか一方を圧迫する圧迫手段とから構成され、
上記大腿部および上記下腿部における圧迫圧力が、90〜200hPaである運動用装具である。
【0012】
上記圧迫圧力は好ましくは100〜190hPa、より好ましくは110〜180hPaである。
【0013】
上記圧迫圧力は、上記圧迫手段単独で得られるものであってもよく、または上記圧迫手段と上記本体の両方で得られるものであってもよい。
【0014】
本発明において、上記圧迫手段として、上記大腿部および/または上記下腿部に巻き付けられ上記大腿部および/または上記下腿部の筋肉を圧迫する圧迫ベルトを含むことができる。
【0015】
また、上記圧迫ベルトは、大腿直筋の下部および/または腓腹筋の下部を圧迫するように構成することが好ましい。
【0016】
また、上記圧迫ベルトは、上記大腿直筋および/または上記腓腹筋に接続されている筋腱移行部も圧迫するように構成することができる。
【0017】
また、上記圧迫ベルトは、大腿部前面から大腿部背面に向けて先上がり、または下腿部背面から下腿部前面に向けて先上がりに傾斜した状態で巻き付けられるように構成することが好ましい。
【0018】
また、上記圧迫ベルトの巻き付け位置よりも上方の上記本体に、上記大腿部または上記下腿部に巻き付けるための上部固定ベルトを備えることができ、さらに、上記圧迫ベルトの巻き付け位置よりも下方の上記本体に、上記大腿部または上記下腿部に巻き付けるための下部固定ベルトを備えることができる。
【0019】
また、上記圧迫ベルトは面ファスナーによって上記本体に固定されるように構成することが好ましい。
【0020】
本発明において、上記圧迫手段として、大腿直筋および腓腹筋の少なくともいずれか一方を圧迫する圧迫補助具を有することができる。
【0021】
また、上記本体に上記圧迫補助具を収容するためのポケットを備えることができる。
【0022】
また、上記圧迫補助具はくさび状部材から構成することができ、上記圧迫補助具は樹脂(発泡性樹脂を含む)を成形したものから構成することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の運動用装具によれば、運動時における骨格筋に直接働いてその運動出力を高めることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)および(b)は、骨格筋における縦走筋の種類を説明する模式図である。
【図2】(a)〜(c)は、骨格筋における羽状筋の種類を説明する模式図である。
【図3】(a)および(b)は羽状角と力伝達効率の関係を示す説明図である。
【図4】(a)および(b)は羽状筋の圧迫方向を示す説明図である。
【図5】筋の外部への運動出力を計測する方法において電気刺激を説明するグラフである。
【図6】筋の運動出力の測定結果を示すグラフである。
【図7】(a)〜(f)は本発明に係る運動用装具の第一形態を示す説明図である。
【図8】(a)〜(d)は本発明に係る運動用装具の第二形態を示す説明図である。
【図9】(a)〜(c)は本発明に係る運動用装具の第三形態を示す説明図である。
【図10】(a)および(b)は本発明に係る運動用装具の第四形態を示す説明図である。
【図11】(a)〜(d)は図10に示す運動用装具の変形例を示す説明図である。
【図12】(a)〜(c)は本発明に係る運動用装具の第五形態を示す説明図である。
【図13】(a)および(b)は図12に示した運動用装具の変形例を示す説明図である。
【図14】(a)〜(d)は運動用装具の第六形態を示す説明図である。
【図15】(a)〜(c)は、図14に示す運動用装具の装着例を示す説明図である。
【図16】図14に示す運動用装具の効果を説明するグラフである。
【図17】(a)〜(e)は運動用装具の第七形態を示す説明図である。
【図18】(a)〜(c)は、図17に示す運動用装具の装着例を示す説明図である。
【図19】従来の加圧筋肉増強用衣服の使用方法を示す説明図である。
【図20】図19に示す加圧筋肉増強用衣服の装着状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に示した実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0026】
本発明の運動用装具の構成について説明する前に、その運動用装具が装着される骨格筋のメカニズムについて説明する。
【0027】
1.骨格筋のメカニズム
図1および図2に示すように、骨格筋はその形状によって縦走筋と羽状筋とに分類される。
【0028】
縦走筋は、筋線維が筋と同じ方向に直線的に配列されている筋の総称であり、代表的な筋としては上腕二頭筋などの紡錘状筋(図1(a)参照)と縫工筋などの平行筋(図1(b)参照)がある。
【0029】
一方、大腿四頭筋、下腿三頭筋などの羽状筋は、筋線維が腱に対して斜めに配列されている鳥の羽のような筋であり、この羽状筋には、斜めに配列されている筋が片側のみにある単羽状筋(図2(a)参照)、斜めに配列されている筋が両側にある両羽状筋(図2(b)参照)、斜めに配列されている多くの筋が横に並んで一つの筋を作っている多羽状筋(図2(c)参照)がある。
【0030】
上記紡錘状筋は大きな力は出せないものの収縮スピードが速いという性質があり、上記羽状筋は、収縮スピードは遅いものの大きな力を生み出すことができるという性質がある。
【0031】
上記骨格筋が収縮することにより腱が引っ張られ、関節が屈曲したり伸展する。
【0032】
紡錘状筋や平行筋は筋束と腱が平行であるため、筋の収縮する方向と腱が引っ張られる方向が同じであり、筋収縮力が損なわれることなく運動出力となる。
【0033】
一方、羽状筋は、筋が収縮する方向と腱が引っ張られる方向に角度(羽状角)があるため、運動出力は筋収縮力よりも小さくなる。
【0034】
この筋収縮力のロスを圧迫によって軽減すれば運動出力が高められることから、本発明では上記羽状筋に着目している。
【0035】
1.1 羽状角と力伝達効率
図3(a)において、羽状筋が圧迫されていない状態での筋1が発揮した力をF、羽状角をθ1とすると、腱2方向の力成分はF×cosθ1となる。すなわち、筋1から腱2への力伝達効率は羽状角によって決定される。
【0036】
次に、図3(b)に示すように、羽状筋が矢印B方向に圧迫され羽状角が小さくなると、腱2方向の力成分はF×cosθ2となり、
F×cosθ1<F×cosθ2
となるから、羽状筋を圧迫すると、羽状角がθ1の場合に比べ、筋1から腱2への力伝達効率の低下を抑制することができる。
【0037】
このときの圧力は少なくとも20hPa以上、好ましくは100hPa以上である。
【0038】
また、羽状筋を圧迫する方向は図4(a)に示すように、腱2に対して直交する方向(矢印C方向)から圧迫することができるが、好ましくは、図4(b)に示すように腱2に対して斜め方向(矢印D方向)から圧迫することがより効果的である。
【0039】
具体的には、圧迫対象が大腿部の場合、上記直交する方向から圧迫するとは、起立姿勢において、大腿四頭筋を水平方向から圧迫することであり、上記斜め方向から圧迫するとは大腿四頭筋を膝上から背面側に向けて斜め上方向に圧迫することである。
【0040】
また、圧迫対象が下腿部の場合、上記直交する方向から圧迫するとは、張脛の真上から水平方向に圧迫することであり、上記斜め方向から圧迫するとは足首後側上方の部位から前側に向けて斜め上方向に圧迫することである。
【0041】
従来のいわゆるコンプレッションウエアによる圧迫は、筋肉のサポートによるパフォーマンス低下を軽減するものであったり、姿勢を整えるためのものであったり、また、血流を促進させるものである。
【0042】
これらは、あくまで筋肉のサポートに過ぎず、筋の外部への運動出力を向上させるものではなかった。そのため、圧迫の圧力はせいぜい30hPa程度に留まっている。
【0043】
また、テーピング効果のあるサポータ等は圧迫圧力を高めることはできるものの、その目的は関節や筋肉、腱の保護にあり、筋の運動出力を高める本発明とは目的を異にしている。
【0044】
また、背景技術に示した筋肉を増強する加圧衣服についても、運動時において筋の運動出力を高めるものではない。
【0045】
2.筋力の測定方法
次に、筋の運動出力を計測する方法について説明する。
【0046】
電気刺激誘発による筋収縮法により、等尺性の膝関節伸展(大腿四頭筋)動作を対象として、筋収縮力を測定した。
【0047】
刺激は200μsecの矩形波を着座姿勢にある被検者の大腿部に送った。刺激用の電極取付け位置は、大腿部前側の上部と下部である。
【0048】
刺激頻度は20Hzとし被検者の耐痛閾値以下の刺激強度を加えた。
【0049】
また、(a)圧迫を加えない場合、(b)手で大腿部を押し上げる方向に圧迫した場合、(c)伸縮性の小さい帯状の生地で大腿部前側を押し上げる方向に圧迫した場合、(d)伸縮性の小さい帯状の生地で大腿部前側を押し下げる方向に圧迫した場合の4パターンについて測定を行った。
【0050】
圧迫する際の圧力は90〜200hPaとし、圧力は、大腿部における大腿四頭筋と対応する部位に取り付けた複数の圧力センサによって測定した。
【0051】
また、筋の運動出力の測定は、すね部と対向してそのすね部と接触するように配置した力センサによって膝関節が伸展する力を測定した。
【0052】
図5は電気刺激を加える手順を示したグラフであり、横軸は時間(秒)、縦軸は電圧(V)を示している。
【0053】
最大強度での筋活動後に筋力の運動出力が高まるという筋の性質を考慮した場合、筋の運動出力の条件を揃えることが必要となるため、最大筋力発揮後に上記(a)〜(d)の各圧迫を加え、電気刺激を与える。図中、Pは最大筋力発揮後に与えた電気刺激を示している。
【0054】
2.1 測定結果
図6は、上記測定方法によって得られた、被検者5名の運動出力の平均値を示したグラフであり、横軸は圧迫のパターン(a)〜(d)、縦軸は運動出力(N)を示している。
【0055】
同グラフに示すように、(a)圧迫を加えない場合に対し、(b)手で大腿部を押し上げる方向に圧迫した場合および(c)伸縮性の小さい帯状の生地で大腿部を押し上げる方向に圧迫した場合との間で、運動出力の明確な増加が認められた。
【0056】
一方、(d)伸縮性の小さい帯状の生地で大腿部を押し下げる方向に圧迫した場合には、逆に運動出力の低下が認められた。
【0057】
3.運動用装具の構成
次に上記筋の運動出力を高めるための運動用装具の構成について説明する。
【0058】
3.1 運動用装具の第一形態
図7は本発明に係る運動用装具の第一形態を示している。
【0059】
同図(a)において、運動用装具10は、大腿部Cに対し筒状に巻き付けることができるシート状材料を含んで構成された本体11を有し、その本体11の幅方向両端部の上部、中間部および下部に、本体11を筒状に保形するための面ファスナー付き固定用帯片12a,12bおよび12cがそれぞれ設けられている。
【0060】
図7では展開できるシート状の本体11を例示したが、例えば、丸編み機によって成形された継ぎ目の無い筒状に作製してもよい。
【0061】
上記材料には伸縮性材料と非伸縮性材料が含まれる。伸縮性材料の具体例としては、発泡性樹脂(発泡ウレタン樹脂等)、シリコンゴムからなるシート、伸縮性のある織物、編物、不織布等が示され、非伸縮性材料の具体例としては伸縮性の無い織物、編物(トリコット)、樹脂等が示される。
【0062】
本体11の表面は、面ファスナーを貼り付けることができるように全体または一部が例えばパイル地等から構成されている。
【0063】
また、運動用装具10を大腿部Cに装着した状態において、本体11の背面上部には、面ファスナー14a付きの上部固定ベルト14の中央部と面ファスナー15a付きの圧迫ベルト15の中央部13aとが重ねて縫合されており、本体11の背面下部には、面ファスナー16a付きの下部固定ベルト16の中央部13bが縫合されている。
【0064】
上部固定ベルト14は、大腿部Cの上部に対し水平方向に巻き付けられ、前側に向けて先下がりに配置された圧迫ベルト15は大腿部Cに対し斜めに巻き付けられ、下部固定ベルト16は大腿部Cの下部に対し水平方向に巻き付けられるようになっている。
【0065】
これらのベルト14〜16は伸縮性または非伸縮性の生地からなり、その表面は、面ファスナーを貼り付けることができるように全体または一部が例えばパイル地等から構成されている。
【0066】
ベルト14〜16は、大腿部Cを締め付けることができるようになっているが、特に、圧迫ベルト15は、図4(b)に示した方向と同じ方向から大腿直筋の羽状筋を圧迫するように構成されている。
【0067】
すなわち、上記圧迫ベルト15は、上記本体11に対し縫合により支持され、大腿部を90〜200hPaの圧力で圧迫する圧迫手段として機能する。
【0068】
詳しくは、大腿四頭筋は大腿直筋、中間広筋、外側広筋、内側広筋とから構成されており、圧迫ベルト15は大腿直筋を構成している羽状筋を斜め上方向(矢印D方向)に持ち上げながら締め付け、羽状筋の羽状角を効果的に小さくする。
【0069】
それにより、大腿部が圧迫され、大腿四頭筋の外部への運動出力を高めることができる。
【0070】
図7(b)において、各ベルト14〜16の締め付け手順は、まず、上部固定ベルト14を大腿部C上部まわりに水平方向に巻き付け、面ファスナー14aによって本体11に固定する。
【0071】
次に、圧迫ベルト15を大腿部Cまわりに斜めに巻き付け、面ファスナー15aにより固定する。
【0072】
次に、下部固定ベルト16を大腿部C下部まわりに水平方向に巻き付けて面ファスナー16aにより本体11に固定する。
【0073】
なお、図7(c)は運動用装具10における各バンド14〜16を展開した状態を示し、図中、Yは大腿部Cに本体11を巻き付けることによって生じた重ね合わせ線を示している。
【0074】
また、図7(d)は各バンド14〜16を締め付け固定した状態を示している。
【0075】
また、図7(a)〜(f)において、M1は固定用帯片12a先端の固定位置を、M2(またはM4)は固定用帯片12b先端の固定位置を、M3は固定用帯片12c先端の固定位置をそれぞれ示している。
【0076】
M5は90hPaの圧力ポイントを、M6は200hPaの圧力ポイントを示している。
【0077】
上部固定ベルト14を大腿部に巻き付け、その先端をM5に到達させ、下部固定ベルト16をM7に到達させ、且つ圧迫ベルト15先端を、斜めに付与された圧力ポイントM9(図7(e)参照)に到達させれば、大腿部を90hPaの圧力で圧迫することができるようになっている。
【0078】
また、上部固定ベルト14を大腿部に巻き付け、その先端をM6に到達させ、下部固定ベルト16をM8に到達させ、且つ圧迫ベルト15先端を、斜めに付与された圧力ポイントM10(M9の背面側に付与されている)に到達させれば、大腿部を200hPaの圧力で圧迫することができるようになっている。
【0079】
なお、上記圧力ポイントはステッチ(かん止め)を入れることにより付与することができる。
【0080】
また、以下に説明する各運動装具についても、上記した圧力ポイントを所望の部位に付与することにより、所望の圧力で圧迫することが可能になる。
【0081】
3.2 運動用装具の第二形態
以下の説明において図7と同じ構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0082】
図8(a)に示す運動用装具20は、大腿部Cに対し筒状に巻き付けることができる大腿部巻付け部20aと、膝部Eおよびその下方を被覆する膝部被覆部20bが一体に形成されており、大腿部巻付け部20aおよび膝部被覆部20bは上記本体11と同じ材質から構成されている。
【0083】
上記運動用装具20には、膝部被覆部20bの前側に面ファスナー22a付きのU字状の膝部ベルト22が設けられている。なお、図中22bは膝部ベルト22における扇状の縫着部を示している。
【0084】
上記運動用装具20を装着する場合、まず、膝部被覆部20bに下肢を通し、開口部21aから膝頭が露出するようにセットする。
【0085】
次いで、大腿部Cに大腿部巻付け部20aを巻き付け、固定用帯片12a〜12cによって大腿部巻付け部20aを筒状に保形する。
【0086】
次いで、図8(b)に示すように、膝部ベルト22の各端部を上方に持ち上げ面ファスナー22aで大腿部巻付け部20aの背面に固定する。
【0087】
次いで、上部固定ベルト14を大腿部C上部まわりに水平方向に巻き付けて面ファスナー14aで固定し、圧迫ベルト15を大腿部Cまわりに斜めに巻き付けて面ファスナー15aで固定し、下部固定ベルト16を大腿部C下部まわりに水平方向に巻き付けて面ファスナー16aで固定する。
【0088】
大腿部Cに巻き付けられ固定された圧迫ベルト15は、逢着された中央部13aを支点として矢印D方向の締め付け力を発揮する。
【0089】
それにより、大腿部Cが圧迫され、大腿四頭筋の外部への運動出力を高めることができる。
【0090】
また、膝部ベルト22で膝部をサポートし、膝下部を斜め上方に引き上げることによって大腿部の筋収縮時の膝の動きをサポートし、運動出力をより高めることができる。
【0091】
なお、図8(c)は運動用装具20における各バンド14〜16および22を展開した状態を示し、図8(d)は各バンド14〜16および22を締め付け固定した状態を示している。
【0092】
3.3 運動用装具の第三形態
図9(a)に示す運動用装具30は、本体が伸縮性のあるパンツ型に構成されている。上記本体は、腰部を被覆する筒状の腰部被覆部31aと、大腿部に巻き付ける大腿部巻付け部31bとが一体に形成されているものである。
【0093】
腰部被覆部31aにおける背面上部には、面ファスナー32a付きの腰部ベルト32の中央部分33(図9(b)参照)が縫合されている。この腰部ベルト32は前側に向けて先下がりに傾斜した状態で配置されている。
【0094】
上記腰部ベルト32の中央部分33に重ねて、面ファスナー34a付きの腰固定ベルト34が水平方向に縫合されている。
【0095】
上記運動用装具30は、まず、腰部被覆部31aに腰を通す。
【0096】
次いで、大腿部に大腿部巻付け部31bを巻き付け、固定用帯片12a〜12cで固定する。
【0097】
次いで、図9(b)に示すように、腰部ベルト32の各端部を腰のまわりに斜めに巻き付け、面ファスナー32aで固定する。
【0098】
次いで、腰固定ベルト34を腰まわりに水平に巻き付けて面ファスナー34aで固定する。
【0099】
上記構成を有する運動用装具30を装着すれば、より効果的に斜め上方に圧力を加えることができるという利点がある。
【0100】
なお、図9(c)において、運動用装具30における左半分は、各バンド14〜16を展開した状態を示し、右半分はそれらのバンドを締め付け固定した状態を示している。
【0101】
また、図中Gは縫合部分を示し、Hは非縫合部分を示している。
【0102】
なお、図9に示した運動用装具30に図8に示した運動用装具20の膝部被覆部20bを組み合わせ、面ファスナー22a付きのU字状の膝部ベルト22で膝の動きをサポートするようにしてもよい。
【0103】
3.4 運動用装具の第四形態
図10(a)および(b)に示す運動用装具50は、伸縮性を有し大腿部を筒状に被覆し得る大腿部被覆部50aを有し、この大腿被覆部50aの前側には線状の補強部50bが平行に形成されている。
【0104】
上記補強部50b,50bの縦方向中央にはバックル51aおよび51bが対向する状態で配置され、また、縦方向下部にもバックル52aおよび52bが対向する状態で配置されている。
【0105】
また、各バックル51a,51b,52a,52bを矢印方向に通すことができる圧迫ベルト53が設けられ、この圧迫ベルト53の各端部53a,53aには面ファスナーが備えられ、運動用装具50の本体50a外面に固定することができるようになっている。
【0106】
上記運動用装具50によれば、大腿部の下部から上部に向けて大腿直筋を締め上げることができる。
【0107】
図11は上記運動用装具50の変形例を示したものであり、同図(a)は側面図、同図(b)は正面図である。
【0108】
同図に示す運動用装具54は、大腿部の下部を固定する下部固定ベルト55が追加されている。この下部固定ベルト55の各先端部には面ファスナー55a,55aが備えられている。
【0109】
詳しくは、両図に示す運動用装具54では、図10に示したバックル52aおよび52bは備えられておらず、圧迫ベルト53の折り返し部分は補強部50b,50bに一旦、縫合され、その補強部50b,50bからさらに延長される下部固定ベルト55,55は、バックル56を介して左右に振り分けられ、本体50aの外面に対し面ファスナー55a,55aによって固定されるようになっている。
【0110】
この構成によれば、大腿下部の固定力が増し、より効果的に圧を加えやすくなるという利点がある。
【0111】
また、図11(c)に示す側面図および同図(d)に示す背面図おいて、M10,M11は圧迫ベルト53先端の固定位置を示しており、M10は90hPaの圧力ポイントを、M11は200hPaの圧力ポイントを示している。
【0112】
また、M12,M13は下部固定ベルト55先端の固定位置を示しており、M12は90hPaの圧力ポイントを、M13は200hPaの圧力ポイントを示している。
【0113】
3.5 運動用装具の第五形態
図12(a)〜(c)に示す運動用装具60は、伸縮性を有し大腿部に巻き付けることができるシート状の大腿部巻付け部60aを有し、この大腿部巻付け部60aの幅方向端部には、上部、中間部および下部にそれぞれ固定用帯片12a〜12cが備えられている。
【0114】
この大腿被覆部60aの前側には圧迫補助具61を挿入するためのポケット60bが設けられている。
【0115】
上記ポケット60bは大腿被覆部60aの外面に帯状の生地を重ねて縫合することによって形成されており、図中、60cは縫合線を示している。
【0116】
また、上記ポケット60bは下側が開口していればよく、上側は開口であってもよく、縫合されていてもよい。
【0117】
上記圧迫補助具61としては、軽量で所望の強度が得られる硬質発泡ポリウレタン、硬質発泡ポリプロピレン等の発泡性樹脂をくさび状に成形したものを使用することができる。圧迫補助具61としてくさび状成形品を使用する場合、くさび先端側を上向きにしてポケット60b内に挿入(矢印F方向参照)する。
【0118】
なお、上記圧迫補助具61をくさび状に成形すれば、大腿筋を斜め上方向に圧迫し羽状筋を効果的に圧迫することができる。しかしながら、上記圧迫補助具61は平板状であっても一定の圧迫効果を発揮することができる。
【0119】
図13(a)および(b)に示す運動用装具70は、上記運動用装具60の変形例を示したものである。
【0120】
両図に示す運動用装具70は、大腿部巻付け部60aに、面ファスナー71a付きの上部固定ベルト71と、面ファスナー72a付きの下部固定ベルト72と、面ファスナー73a付きの圧迫ベルト73がさらに備えられている。
【0121】
上記上部固定ベルト71はその中央部がポケット60bの外面上部に縫合され、上記下部固定ベルト72はその中央部がポケット60bの外面下部に縫合され、上記圧迫ベルト73は、その下部固定ベルト72の縫合部分に共に縫合され、後側に向けて先上がりとなるように斜めに配置されている。
【0122】
この構成によれば、より固定力が増し効果的に圧力を加えやすくなるという利点がある。
【0123】
3.6 運動用装具の第六形態
図14に示す運動用装具80は下腿部に装着されるものであり、同図(a)は装具本体を正面から見た図、同図(b)は側面から見た図、同図(c)は背面から見た図、同図(d)は装具本体に装着される圧迫ベルトである。
【0124】
これらの図において、運動用装具80は、下腿部を挿通し得る筒状の装具本体81を有している。
【0125】
この装具本体81は、その上下両端部に設けられた伸縮性素材からなる伸縮部81a、81bと、装着時にふくらはぎ部分に位置し通気性を有するメッシュ部81cと、そのメッシュ部81cの下方から下腿部前側に向けて先上がりに延設されるクッション部81dと、メッシュ部81cの上方から下腿部前側に向けて先下がりに延設され、下腿部前側を覆って上記クッション部81dと連絡している面ファスナー貼付け部81eとをそれぞれ継ぎ合わせることによって構成されている。なお、メッシュ部81cは伸縮部81a、81bで構成することもできる。
【0126】
装具本体81の上下両端部は、上記したように伸縮性素材から構成されているため、下腿部を通した後、その下腿部の所望の位置に、取り外し可能に固定することができるようになっている。
【0127】
上記伸縮部81a、81bの材料としては、発泡性樹脂(発泡ウレタン樹脂等)、シリコンゴムからなるシート、伸縮性のある織物、編物、不織布等が例示される。
【0128】
上記クッション部81dの材料としては、例えばネオプレンゴム等を使用することができる。
【0129】
また、上記面ファスナー貼付部81eは、面ファスナーを貼り付けることができるように全体または一部が例えばパイル地等から構成されている。
【0130】
圧迫ベルト82は、上記面ファスナー貼付部81eに沿わせて装具本体81に巻き付けるものであり、圧迫ベルト82の両端部には面ファスナー貼付部81eに貼り付けるための面ファスナー部82aが設けられている。
【0131】
上記圧迫ベルト82は伸縮性を有することが好ましい。伸縮性があると筋肉や腱の動きが制限されず、動きやすく、しかも体に沿ってフィットさせることができるからである。一方、非伸縮性のものは、動きが制限されてしまい、また、体にフィットしにくいというデメリットがある。
【0132】
図15は上記装具本体81に圧迫ベルト82を装着した状態を示したものであり、同図(a)は正面図、同図(b)は側面図、同図(c)は背面図である。
【0133】
装具本体11のメッシュ部81cがふくらはぎに位置するように、運動用装具80を下腿部に固定し、圧迫ベルト82の中央部に設けられた滑り止め部82bを、クッション部81dの後部に位置決めし(図15(c)参照)、斜め先上がりに形成されているそのクッション部81dに沿わせて、圧迫ベルト82を先上がりに配置し(図15(b)参照)、圧迫ベルト82の各先端部をたすきがけにした後(図15(a)参照)、それら各先端部に設けられている面ファスナー部82a、82aと装具本体11の面ファスナー貼付部81eとを貼り合わせる。
【0134】
その際、圧迫ベルト82の先端部を圧力ポイント81fに到達させれば、圧迫ベルト82は、下腿部を90〜200hPaの圧力で圧迫する圧迫手段として機能する。それにより、下腿部を運動用装具80で締め付けることができ、ふくらはぎ下部は矢印I方向に向けて圧迫され(図15(b)参照)、腓腹筋の羽状筋を効果的に圧迫すると同時に、腓腹筋と腱との接続部分である筋腱移行部を圧迫することができる。
【0135】
なお、圧力ポイント81fを設けずに圧迫ベルト82を自らの力で最大まで締め付ければ、150〜200hPaの圧力で下腿部を圧迫することができる。
【0136】
3.7 筋腱移行部の圧迫について
腱は、通常、たるみを有しているが、筋腱移行部を含む領域に圧迫を加えることによりそのたるみをなくすと、力の立ち上がりや腱スティッフネス(腱の単位長さ変化に対する力の大きさ)が高まることが本発明に関する研究において判明した。腱スティッフネスが高いと運動パフォーマンスを高めることができる。
【0137】
そこで、下腿部圧迫が腱スティッフネスに与える影響を調べた。
【0138】
図16は筋腱移行部に圧迫を加えない場合と加えた場合とで腱スティッフネスを比較したグラフである。同グラフにおいて、横軸は安静時からの腱長さの変化(mm)を示し、縦軸は足関節底屈筋力(N)を示している。
【0139】
特性P1は、筋腱移行部に圧迫を加えない場合の腱長さ変化に対する足関節底屈筋力を示し、特性P2は、筋腱移行部に圧迫を加えた場合の腱長さ変化に対する足関節底屈筋力を示している。
【0140】
腱スティッフネスは、50%MVC(Maximum Voluntary Construction:最大随意筋力)以降の筋力−腱長さの関係から得られた回帰式の傾きによって表すことができる。
【0141】
同グラフにおいて、特性P1の回帰式はy=486.68x−4425.3であり、特性P2の回帰式はy=554.21x−2732.5である。すなわち、筋腱移行部に圧迫を加えると、腱スティッフネスが486.68N/mmから554.21N/mmに向上することが確認された。
【0142】
このことから、足関節底屈筋力は腱伸長量に比例して大きくなるが、同じ腱伸長量であっても筋腱移行部に圧迫を加えると、足関節底屈筋力を向上させることができ、腱スティッフネスが向上することが分かる。
【0143】
したがって、腓腹筋の羽状筋を圧迫すると同時に、腓腹筋と腱との接続部分である筋腱移行部を圧迫すれば、より高い運動パフォーマンスを得ることができる。
【0144】
3.8 運動用装具の第七形態
図17に示す運動用装具90も下腿部に装着されるものであり、同図(a)は装具本体を展開した図、同図(b)は正面から見た図、同図(c)は側面から見た図、同図(d)は背面から見た図、同図(e)は装具本体に装着される圧迫ベルトである。
【0145】
これらの図において、運動用装具90は、ふくらはぎの下部に巻き付けるための帯状の装具本体91を有し、この装具本体91は上記装具本体81の本体片と同様に伸縮性素材からなり、その外面全体がパイル地から構成され、一方端部91aの内面には装具本体91の両端部を接続するための面ファスナー91bが設けられている。
【0146】
上記装具本体91の他方端部91c外面についてその任意の位置に面ファスナー91bを貼り付けることにより、使用者の下腿部にフィットさせた状態で装具本体91を固定することができるようになっている。
【0147】
また、装具本体91外面の長手方向中央部には、後述する圧迫ベルト93を通すための一対のバックル92a、92bが設けられている。
【0148】
一方、圧迫ベルト93の一方端部93aの内面には面ファスナー93bが設けられ、他方端部93cの内面にも同じく面ファスナー93dが設けられ、さらに、圧迫ベルト93の中央部内面にも面ファスナー93eが設けられている。
【0149】
下腿部に固定した装具本体91の前側から後側に向けて圧迫ベルト93を配置し、圧迫ベルト93の一方端部93aをバックル92aに通して折り返し、面ファスナー93bを装具本体91の外面に貼り合わせ、また、装具本体91の他方端部93cをバックル92bに通して折り返し、面ファスナー93dを装具本体91の外面に貼り合わせると、腓腹筋の羽状筋を効果的に圧迫すると同時に、腓腹筋と腱との接続部分である筋腱移行部も圧迫することができる。
【0150】
図18は上記運動用装具90を下腿部(図示しない)に装着した状態を示したものであり、同図(a)は正面図、同図(b)は側面図、同図(c)は背面図である。
【0151】
上記構成を有する運動用装具90は、帯状の装具本体91を対象部位に巻き付けて固定し、圧迫ベルト93で圧迫するというシンプルな構成であるため、運動用装具90の装着、取り外しが簡単に行え、しかも伸長、体格に左右されず装着することができ、下腿部を簡単に圧迫することができるという利点がある。
【0152】
なお、上記した運動用装具90では圧迫の強度の目安となる目印は付けられていないため、使用する際に、圧迫ベルト93を自らの力で最大まで締め付けることを前提としている。それにより、下腿部を圧迫する圧力が150〜200hPaになる。
【0153】
また、本発明の運動用装具は、上記実施形態では大腿部圧迫用と下腿部圧迫用とに分けてその構成を説明したが、大腿部と下腿部の両方を覆うことのできるパンツ状の本体を有し、その本体の大腿部側に上記第一形態から第五形態の運動用装具を備え、本体の下腿部側に上記第六形態から第七形態の運動用装具を備えることもできる。
【符号の説明】
【0154】
1 筋
2 腱
10 運動用装具
11 本体
12a〜12c 固定用帯片
13a,13b 中央部
14a 面ファスナー
14 上部固定ベルト
15a 面ファスナー
15 圧迫ベルト(圧迫手段)
16a 面ファスナー
16 下部固定ベルト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の材料を含み大腿部および下腿部の少なくともいずれか一方を覆うようにして下肢に固定される本体と、上記本体に取り付けられ、上記大腿部および上記下腿部の少なくともいずれか一方を圧迫する圧迫手段とから構成され、
上記大腿部および上記下腿部における圧迫圧力が、90〜200hPaであることを特徴とする運動用装具。
【請求項2】
上記圧迫手段として、上記大腿部および/または上記下腿部に巻き付けられ上記大腿部および/または上記下腿部の筋肉を圧迫する圧迫ベルトを含む請求項1に記載の運動用装具。
【請求項3】
上記圧迫ベルトは、大腿直筋の下部および/または腓腹筋の下部を圧迫するように構成されている請求項2に記載の運動用装具。
【請求項4】
上記圧迫ベルトは、上記大腿直筋および/または上記腓腹筋に接続されている筋腱移行部も圧迫するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の運動用装具。
【請求項5】
上記圧迫ベルトは、大腿部前面から大腿部背面に向けて先上がり、または下腿部背面から下腿部前面に向けて先上がりに傾斜した状態で巻き付けられる請求項2〜4のいずれか1項に記載の運動用装具。
【請求項6】
上記圧迫ベルトの巻き付け位置よりも上方の上記本体に、上記大腿部または上記下腿部に巻き付けるための上部固定ベルトが備えられている請求項2〜5のいずれか1項に記載の運動用装具。
【請求項7】
上記圧迫ベルトの巻き付け位置よりも下方の上記本体に、上記大腿部または上記下腿部に巻き付けるための下部固定ベルトが備えられている請求項2〜6のいずれか1項に記載の運動用装具。
【請求項8】
上記圧迫ベルトが面ファスナーによって上記本体に固定されるように構成されている請求項2〜7のいずれか1項に記載の運動用装具。
【請求項9】
上記圧迫手段として、大腿直筋および腓腹筋の少なくともいずれか一方を圧迫する圧迫補助具を有する請求項1に記載の運動用装具。
【請求項10】
上記本体に上記圧迫補助具を収容するためのポケットが備えられている請求項9に記載の運動用装具。
【請求項11】
上記圧迫補助具がくさび状部材から構成されている請求項10に記載の運動用装具。
【請求項12】
上記圧迫補助具が樹脂または発泡性樹脂を成形したものから構成される請求項9〜11のいずれか1項に記載の運動用装具。
【請求項1】
シート状の材料を含み大腿部および下腿部の少なくともいずれか一方を覆うようにして下肢に固定される本体と、上記本体に取り付けられ、上記大腿部および上記下腿部の少なくともいずれか一方を圧迫する圧迫手段とから構成され、
上記大腿部および上記下腿部における圧迫圧力が、90〜200hPaであることを特徴とする運動用装具。
【請求項2】
上記圧迫手段として、上記大腿部および/または上記下腿部に巻き付けられ上記大腿部および/または上記下腿部の筋肉を圧迫する圧迫ベルトを含む請求項1に記載の運動用装具。
【請求項3】
上記圧迫ベルトは、大腿直筋の下部および/または腓腹筋の下部を圧迫するように構成されている請求項2に記載の運動用装具。
【請求項4】
上記圧迫ベルトは、上記大腿直筋および/または上記腓腹筋に接続されている筋腱移行部も圧迫するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の運動用装具。
【請求項5】
上記圧迫ベルトは、大腿部前面から大腿部背面に向けて先上がり、または下腿部背面から下腿部前面に向けて先上がりに傾斜した状態で巻き付けられる請求項2〜4のいずれか1項に記載の運動用装具。
【請求項6】
上記圧迫ベルトの巻き付け位置よりも上方の上記本体に、上記大腿部または上記下腿部に巻き付けるための上部固定ベルトが備えられている請求項2〜5のいずれか1項に記載の運動用装具。
【請求項7】
上記圧迫ベルトの巻き付け位置よりも下方の上記本体に、上記大腿部または上記下腿部に巻き付けるための下部固定ベルトが備えられている請求項2〜6のいずれか1項に記載の運動用装具。
【請求項8】
上記圧迫ベルトが面ファスナーによって上記本体に固定されるように構成されている請求項2〜7のいずれか1項に記載の運動用装具。
【請求項9】
上記圧迫手段として、大腿直筋および腓腹筋の少なくともいずれか一方を圧迫する圧迫補助具を有する請求項1に記載の運動用装具。
【請求項10】
上記本体に上記圧迫補助具を収容するためのポケットが備えられている請求項9に記載の運動用装具。
【請求項11】
上記圧迫補助具がくさび状部材から構成されている請求項10に記載の運動用装具。
【請求項12】
上記圧迫補助具が樹脂または発泡性樹脂を成形したものから構成される請求項9〜11のいずれか1項に記載の運動用装具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図14】
【図15】
【図16】
【図19】
【図20】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図14】
【図15】
【図16】
【図19】
【図20】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−77430(P2012−77430A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148567(P2011−148567)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(591038820)株式会社デサント (42)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(591038820)株式会社デサント (42)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]