説明

運動能力向上組成物及びその使用

毒性の無い量の硝酸塩及び/又は亜硝酸塩を哺乳類に投与することにより、運動中の酸素摂取量(VO2)の減少を示す前記哺乳類の運動能力を向上させることができる。スポーツ飲料などの、液体、半固体、及び固体のスナック及び食品及び栄養補助食品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツドリンク、エネルギードリンク、エネルギーバーなどの運動能力向上栄養食品及び栄養補助食品、液体及び固体食料品の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
現在では、いわゆるスポーツドリンクを摂取することにより運動能力の向上が得られると考えられている。通常、これらは非炭酸であるとともに果糖又はその他の糖分及び複合糖質を含むことが多く、これらの糖質が容易に身体に吸収され、エネルギーの利用性を促進し、及び/又は軽度の脱水症状を予防又は治療するように設計されている。スポーツドリンクはまた、電解質(主にナトリウム及びカリウム塩)及び栄養素(タンパク質およびアミノ酸)も含む。スポーツドリンク、エネルギードリンク、及びその他の液体、半固体及び固体製品は運動選手向けに販売されているが、運動選手以外にも追加のエネルギー及び持久力が求められる場合にスナックとして消費される。
【0003】
時に、スポーツドリンクとエネルギードリンクとは区別されることがあり、前者はより等張性のものとされる傾向があり、後者は糖分をより多く含み、カフェインを含むこともある。本明細書ではこのような区別は意図しておらず、以下でさらに詳細に説明するように、「運動能力向上食品及び栄養補助食品」という用語は、スポーツドリンク及びエネルギードリンク以外にも、エネルギーバー、錠剤などのその他の液体、半固体、又は固体を含む。
【0004】
しかしながら、運動への生理的適応には、心臓血管及び代謝の大きな変化が伴う。活動筋では酸素消費量が劇的に増加し、これと平行に筋血流量も増加する。これらの過程では内因性のガスである一酸化窒素(NO)が重要な調節の役割を果たす。NOは、筋肉への血流を増加させ、筋収縮及びグルコースの取り込みを調節する(STAMLER,J Sらの「骨格筋における一酸化窒素の生理学」Physiol Rev.2001年第81巻第1号209−37頁参照)。
【0005】
さらに、NOはミトコンドリア呼吸鎖の酵素との相互作用を通じて細胞呼吸の制御にも関与する(MONCADA,Sらの「一酸化窒素はミトコンドリアのエネルギー生成及びアポトーシスを調節するか?」Nat Rev Moll Cell Biol.2002年第3巻第3号214−20頁参照)。
【0006】
1990年代に発表されたインビトロ研究では、NOが、チトクロムcオキシダーゼを可逆的に阻害することにより、ミトコンドリア呼吸の調節因子となることが示されている(CARR,G Jらの「亜硝酸還元酵素であるパラコッカスデニトリフィカンによって形成される一酸化窒素は、チトクロムオキシダーゼ活性を阻害するほど十分に安定したものであるとともに好気状態下で還元酵素により還元される」Biochim iophys Acta.1990年5月15日第1017巻第1号57〜62頁;BOLANOS,J Pらの「培養星状細胞におけるミトコンドリア呼吸鎖の一酸化窒素仲介による阻害」J Neurochem1994年第63巻第2号910〜6頁;BROWN,G Cらの「チトクロムオキシダーゼにおいて酸素と競合することによりシナプトソーム呼吸を可逆的に阻害する一酸化窒素のナノモル濃度」FEBS Lett.1994年12月19日第356巻第2〜3号295〜8頁;CLEETER,M Wらの「ミトコンドリア呼吸鎖の末梢酵素であるチトクロムCオキシダーゼの一酸化窒素による可逆的阻害 神経変性疾患の暗示」FEBS Lett.1994年5月23日第345巻第1号50〜4頁;及びSCHWEIZER,Mらの「一酸化窒素が低酸素圧でミトコンドリアを強力かつ可逆的に除勢する」Biochem Biophys Res Comm.1994年第204号169〜75頁参照)。
【0007】
NOはまた、ミトコンドリア呼吸鎖の他の部位及びクレブス回路においても相互作用することができる(上述のMoncadaの論文参照)。細胞培養においては、NOのこの重要な作用は極めて良好に特徴付けられるが、インビボでのその生理的関連性及び運動中の細胞呼吸に対するNOの影響についてはあまり知られていない。Shen及びその同僚らは、最大下運動中の犬にNOS阻害剤をインビボ投与すると酸素消費量が増加することを示し(SHEN,Wらの「覚醒中のイヌの酸素消費量の調節におけるNOの役割」Circulation Res.1999年第84号840〜5頁参照)、ラセルダ及びその同僚らはラットにおいて同様の結果を示した(LACERDA,A C Rらの「脳内一酸化窒素阻害が運動の代謝コストを増加させ、ラットの走る能力を低下させる証拠」Neuroscience Letters.2006年第393号260〜3頁参照)。研究の大部分はNOS阻害剤を使用して行われてきたが、外因性NOの投与が運動に及ぼす影響についてはほとんど知られていない。また、健康なヒトにおける研究は少ない。
【0008】
NOの生成を行う古典的な手段にL−アルギニン経路があり、この場合、NOはNO合成酵素という特殊な酵素により合成される。NOを生成する全く異なる別の方法がつい最近示された(LUNDBERG,J Oらの「ヒトにおける胃内一酸化窒素生成:排気内測定」Gut.1994年第35巻第11号1543〜6頁;BENJAMIN,Nらの「胃内NO合成」Nature.1994年4月7日第368巻第6471号502頁;ZWEIER,J Lらの「生物組織における一酸化窒素の酵素非依存的形成」Nat Med.1995年第1巻第8号804〜9頁;及びWEITZBERG,Eらの「ヒトにおける非酵素的一酸化窒素生成」NO Biol Chem.1998年第2号1〜7頁参照)。このNOS非依存性の経路では、無機陰イオンである硝酸塩(NO3-)及び亜硝酸塩(NO2-)がインビボで還元されてNOを形成する。(主に緑色葉野菜に含まれる)食事中の硝酸塩(MCKNIGHT,G Mの「ヒトの胃内における食事中の硝酸塩からの一酸化窒素の化学的合成」Gut.1997年第40号211〜214頁;及びWeitzbergの1998年の上述論文参照)は、唾液腺による循環から吸収され、唾液中に分泌され、一部は硝酸還元細菌によって口腔内で亜硝酸塩に変換される。飲み込んだ亜硝酸塩はその後体循環に入ることができる。実際、最近の研究で、硝酸塩を摂取すると循環亜硝酸塩量が持続的に増加することが示されている(LUNDBERG,J Oらの「無機硝酸塩は、一酸化窒素を全身に発生させる有力源である」Free Rad Bio Med.2004年第37巻第3号395〜400頁参照)。酸性又は還元環境において、硝酸塩の生物活性NOへのさらなる還元は自然発生的に行われ得る(Benjaminら、1994年、上述論文、Lundbergら、1994年、上述論文)が、同様に様々なタンパク質及び酵素によっても大いに促進され、これらは血中デオキシヘモグロビン(COSBY,Kらの「デオキシヘモグロビンにより亜硝酸塩が一酸化窒素に還元されるとヒト循環系を血管拡張させる」Nat Med.2003年第9巻第12号1498〜505頁)、デオキシミオグロビン(SHIVA,Sらの「デオキシヘモグロビンは、一酸化窒素を生成し、ミトコンドリア呼吸を調節する亜硝酸還元酵素である」Circ Res.2007年2月9日)、キサンチン酸化酵素(MILLAR,T Mらの「キサンチン酸化還元酵素は低酸素状態下で硝酸塩及び亜硝酸塩の一酸化窒素への還元に触媒作用を及ぼす」FEBS Lett、1998年5月8日第427巻第2号225〜8頁)を含み、場合によってはミトコンドリア呼吸鎖の酵素によっても促進される(LUNDBERG,J Oらの「硝酸塩、細菌及びヒトの健康」Nat Rev Microbiol.2004年第2巻第7号593〜602頁;LUNDBERG,J Oらの「亜硝酸塩からのNO生成及びその血管制御における役割」Arterioscler Thromb Vase Biol.2005年第25巻第5号915〜22頁;及びGLADWIN,M Tらの「亜硝酸陰イオンの新興生物学」Nat Chem Biol.2005年第1巻第6号308〜14頁)。特に酸素利用性が低く、NO合成酵素が十分に機能しない虚血及びアシドーシス中に、NOS非依存性のNO生成が内因性NO生成を補足するように思われる(Zweierら、1995年、上述論文;Weitzbergら、1998年、上述論文;DURANSKI,M Rらの「心臓及び肝臓のインビボ虚血−再灌流中における亜硝酸塩の細胞保護作用」J Clin Invest.2005年第115巻第5号1232〜40頁;Lundbergら、2004年、上述論文)。運動中にも組織アシドーシス及び相対低酸素が存在し、この代謝状態において亜硝酸塩の生物活性化が促進されると考えられる。
【0009】
健常被験者及び特に作業及び運動中の運動選手におけるNOの役割に関する入手可能な情報は十分でないとともに矛盾するものでもある。興味深いことに、現在入手可能な栄養補助食品の運動選手及びボディービルダーに対するマーケティングは、NOの血管拡張作用に触れている。1つの例に「NOX2」(Bodyonics社、米国)があり、この製品はαケトグルタル酸アルギニン(A−AKG)及びケトイソカプロン酸アルギニン(A−KIC)を含むと謳っており、短期一酸化窒素量を上昇させることができるということである。他の製品は、NOS酵素によってNOを合成する元となるL−アルギニンを含み、NOの有益な効果を謳っていることが多いが、さらに詳細な説明は提供していない。
【0010】
異なる体力レベルの被験者から得たピーク作業量時の血漿及び尿中の硝酸塩レベルと、安静時の血漿及び尿中の硝酸塩レベルとの間の関係が研究されてきた(Jungerstenらの「体力及び急な運動の両方が健常者における一酸化窒素形成を調整する」J Appl Physiol第82巻760〜764頁、1997年)。体力と安静時の一酸化窒素の生成との間の建設的な関係が判明し、この建設的な関係が、運動が心臓血管の健康に及ぼす有益な影響についての説明に役立つのではないかという仮説が立てられた。Jungerstensの研究では、硝酸塩は専らNO生成のマーカとして使用され、著者らは、硝酸塩はNOの安定した不活性な最終生成物であり生物学的に不活性であると何度も述べている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】STAMLER,J Sらの「骨格筋における一酸化窒素の生理学」Physiol Rev.2001年第81巻第1号209−37頁
【非特許文献2】MONCADA,Sらの「一酸化窒素はミトコンドリアのエネルギー生成及びアポトーシスを調節するか?」Nat Rev Moll Cell Biol.2002年第3巻第3号214−20頁
【非特許文献3】CARR,G Jらの「亜硝酸還元酵素であるパラコッカスデニトリフィカンによって形成される一酸化窒素は、チトクロムオキシダーゼ活性を阻害するほど十分に安定したものであるとともに好気状態下で還元酵素により還元される」Biochim iophys Acta.1990年5月15日第1017巻第1号57〜62頁
【非特許文献4】BOLANOS,J Pらの「培養星状細胞におけるミトコンドリア呼吸鎖の一酸化窒素仲介による阻害」J Neurochem1994年第63巻第2号910〜6頁
【非特許文献5】BROWN,G Cらの「チトクロムオキシダーゼにおいて酸素と競合することによりシナプトソーム呼吸を可逆的に阻害する一酸化窒素のナノモル濃度」FEBS Lett.1994年12月19日第356巻第2〜3号295〜8頁
【非特許文献6】CLEETER,M Wらの「ミトコンドリア呼吸鎖の末梢酵素であるチトクロムCオキシダーゼの一酸化窒素による可逆的阻害 神経変性疾患の暗示」FEBS Lett.1994年5月23日第345巻第1号50〜4頁
【非特許文献7】CHWEIZER,Mらの「一酸化窒素が低酸素圧でミトコンドリアを強力かつ可逆的に除勢する」Biochem Biophys Res Comm.1994年第204号169〜75頁
【非特許文献8】SHEN,Wらの「覚醒中のイヌの酸素消費量の調節におけるNOの役割」Circulation Res.1999年第84号840〜5頁
【非特許文献9】LACERDA,A C Rらの「脳内一酸化窒素阻害が運動の代謝コストを増加させ、ラットの走る能力を低下させる証拠」Neuroscience Letters.2006年第393号260〜3頁
【非特許文献10】LUNDBERG,J Oらの「ヒトにおける胃内一酸化窒素生成:排気内測定」Gut.1994年第35巻第11号1543〜6頁
【非特許文献11】BENJAMIN,Nらの「胃内NO合成」Nature.1994年4月7日第368巻第6471号502頁
【非特許文献12】ZWEIER,J Lらの「生物組織における一酸化窒素の酵素非依存的形成」Nat Med.1995年第1巻第8号804〜9頁
【非特許文献13】WEITZBERG,Eらの「ヒトにおける非酵素的一酸化窒素生成」NO Biol Chem.1998年第2号1〜7頁
【非特許文献14】MCKNIGHT,G Mの「ヒトの胃内における食事中の硝酸塩からの一酸化窒素の化学的合成」Gut.1997年第40号211〜214頁
【非特許文献15】LUNDBERG,J Oらの「無機硝酸塩は、一酸化窒素を全身に発生させる有力源である」Free Rad Bio Med.2004年第37巻第3号395〜400頁
【非特許文献16】COSBY,Kらの「デオキシヘモグロビンにより亜硝酸塩が一酸化窒素に還元されるとヒト循環系を血管拡張させる」Nat Med.2003年第9巻第12号1498〜505頁
【非特許文献17】SHIVA,Sらの「デオキシヘモグロビンは、一酸化窒素を生成し、ミトコンドリア呼吸を調節する亜硝酸還元酵素である」Circ Res.2007年2月9日
【非特許文献18】MILLAR,T Mらの「キサンチン酸化還元酵素は低酸素状態下で硝酸塩及び亜硝酸塩の一酸化窒素への還元に触媒作用を及ぼす」FEBS Lett、1998年5月8日第427巻第2号225〜8頁
【非特許文献19】LUNDBERG,J Oらの「硝酸塩、細菌及びヒトの健康」Nat Rev Microbiol.2004年第2巻第7号593〜602頁
【非特許文献20】LUNDBERG,J Oらの「亜硝酸塩からのNO生成及びその血管制御における役割」Arterioscler Thromb Vase Biol.2005年第25巻第5号915〜22頁
【非特許文献21】GLADWIN,M Tらの「亜硝酸陰イオンの新興生物学」Nat Chem Biol.2005年第1巻第6号308〜14頁
【非特許文献22】DURANSKI,M Rらの「心臓及び肝臓のインビボ虚血−再灌流中における亜硝酸塩の細胞保護作用」J Clin Invest.2005年第115巻第5号1232〜40頁
【非特許文献23】Jungerstenらの「体力及び急な運動の両方が健常者における一酸化窒素形成を調整する」J Appl Physiol第82巻760〜764頁、1997年
【非特許文献24】Lundberg & Govoni、2004年、LARSEN,F Jら「健常ボランティアの血圧に対する食事中の硝酸塩の作用」N Engl J Med.2006年第255巻第26号2792〜3頁
【非特許文献25】BRYAN,NS,ら「亜硝酸塩はシグナル伝達分子であるとともに哺乳類組織における遺伝子発現の調整剤である」Nat Chem Biol.2006年第1巻第5号290〜7頁
【非特許文献26】SHEN,Wら「一酸化窒素 酸素消費量の調節における血管内皮細胞と実質細胞との間の重要なシグナル伝達メカニズム」Circulation、1995年12月15日第92巻第12号3505〜12頁
【非特許文献27】ISHIBASHI,Yら「運動中の冠動脈拡張はATP感受性K+チャネル、アデノシン及びNO介在機構が主な原因である」Circulation Res.1998年第82号346〜359頁
【非特許文献28】BOHUSLAVSKYI,A,ら「疲労時に動作する骨格筋によって酸素消費効率に及ぼされる一酸化窒素の影響」Fiziol Zh.2005年第51巻第1号33〜42頁
【非特許文献29】NAVET,R,ら「ラット骨格筋ミトコンドリアにおいてインビトロ酸素欠乏/再酸素化中に生成される活性酸素種により誘発されるプロトン漏出」J Bioenerg Biomembr.2006年第38巻第1号23〜32頁
【非特許文献30】WANG,G,ら「一酸化窒素供与体がミトコンドリア透過性遷移の調整を通じてマウス心筋を梗塞から守る」Am J Physiol Heart Circ Physiol.2005年第288巻第3号1290〜5頁
【非特許文献31】RECCHIA,F A,ら「一酸化窒素が覚醒中のイヌの心臓基質の利用を制御する」Cardiovasc Res.1999年第44号325〜32頁
【非特許文献32】LOKE,K E,ら「一酸化窒素がヒト心不全時にミトコンドリア呼吸を調整する」Circulation.1999年9月21日第100巻第12号1291〜7頁
【非特許文献33】NUNEZ,C,ら「ミトコンドリア酸素消費量、血管作用、及びNOの放出におけるニトログリセリンとNO放出薬物との間の相違」Circ Res.2005年11月11日第97巻第10号1063〜9頁
【非特許文献34】DE BACKER,D,ら「健常ボランティアにおける酸素消費量と酸素送達量との関係に及ぼすドブタミンの作用:ニトロプルシドナトリウムとの比較」Clin Sci(Lond).1996年第90巻第2号105〜11頁
【非特許文献35】KOZLOV,A Vら「亜硝酸塩還元酵素活性は、哺乳類ミトコンドリアの新たな機能である」FEBS Lett.1999年7月2日第454巻第1〜2号127〜30頁
【非特許文献36】MODIN,Aら「亜硝酸由来一酸化窒素:「酸性代謝性」血管拡張の介在物質候補」Acta Physiol Scand.2001年第171巻第1号9〜16頁
【非特許文献37】COSBY,K,ら「デオキシヘモグロビンによる亜硝酸塩の一酸化窒素への還元がヒトの血液循環を血管拡張する」Nat Med.2003年第9巻第12号1498〜505頁
【非特許文献38】COYLE,E Fら「サイクリング効率はI型筋線維の割合に関連する」Med Sci Sports Exerc.1992年第24巻第7号782〜8頁
【非特許文献39】MOGENSEN,Mら「ヒトのサイクリング効率は低UCP3含有量及びI型筋線維に関連するが、ミトコンドリア効率には関連しない」J Physiol.2006年第571巻第3号669〜681頁
【非特許文献40】WILLIAMS,K R.「力学的エネルギー推定と生理的エネルギー推定との関係」Med Sci Sports Exerc.1985年第17号317〜25頁
【非特許文献41】MARCHEAL,Gら「骨格筋収縮に及ぼす一酸化窒素の影響」Cell MoI Life Sci.1999年第55号1088〜1102頁
【非特許文献42】BORG,G.「身体ストレスの指標としての主観的運動」Scand J Rehabil Med.1970年第2巻第2号92〜8頁
【非特許文献43】ASTRAND,P Oら、「作業生理機能のテキスト」ニューヨークMcGraw−Hill Book Company、1970年619頁
【非特許文献44】BROUWER,E.「ガス交換(酸素摂取及び炭酸排出)及び尿−Nから熱消費量及びヒト及び動物の代謝で酸化された炭水化物及び脂肪の量を計算するための単純な公式について」Acta Physiol Pharmacol Neerl.1957年第6号795〜802頁
【非特許文献45】GAESSER,GAら「定常運動中の筋効率:速度及び作業量の影響」J Appl Physiol.1975年第38号1132〜1139頁
【発明の概要】
【0012】
本発明者らは、硝酸塩の食事投与が全身の亜硝酸塩の貯蔵プールを増大させるかどうか、及びこの食事計画が運動中に様々な生理学的及び生化学的パラメータに影響を与えるかどうかについて検証を試みた。
【0013】
驚くべきことに、本発明者らは、毒性の無い量の硝酸塩及び/又は亜硝酸塩を哺乳類に投与することにより、運動中の酸素摂取量(VO2)の減少を示す前記哺乳類の運動能力が向上することを発見した。この知見に基づき、本発明者らは、引用により本明細書に組み入れられる特許請求の範囲で定義されるような使用、組成物、及び方法を提供する。
【0014】
添付図面を参照しながら、以下の説明、実施例、限定的でない特許請求の範囲において本発明についてさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】硝酸塩とポリフェノールとの組み合わせが相乗的に作用して、一酸化窒素の生体利用性を高めると同時に、酸素ラジカル及びニトロソアミンなどの有害な化合物の形成を減少させる数多くの方法を示すグラフである。詳細な説明は本文を参照されたい。
【図2】9人の健常男性ボランティアにおける硝酸ナトリウム又は塩化ナトリウム(プラセボ)を含む食事補給の、安静時及び運動直後に測定した亜硝酸塩の血漿濃度に対する効果を示す図である。
【図3】硝酸ナトリウム(0.1mmol/kg/日、NIT)又は等量の塩化ナトリウム(CON)を3日間食事補給した後に6つの異なる作業量で測定した酸素消費量(VO2)及び心拍数(HR)を示す図である。この調査は、試験間の休薬期間が少なくとも10日の無作為化二重盲検クロスオーバー法で行った。*p<0.05、**p<0.01。
【図4】9人の健常男性ボランティアにおけるVO2peakが80%での酸素消費量を示す図である。測定は、硝酸塩(0.1mmol/kg/日)又は等量の塩化ナトリウム(プラセボ)を3日間食事補給した後に行った。硝酸塩期間とプラセボ期間との差は顕著であった(p<0.01)。
【図5】硝酸ナトリウム(0.1mmol/kg/日を3日間、塗りつぶした棒)又は等量の塩化ナトリウム(プラセボ、白い棒)を食事補給した後に6つの異なる作業量で測定した血漿乳酸塩濃度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明について説明する前に、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定されるものであるため、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明する目的でのみ使用され、本発明を限定することを意図したものではないことを理解されたい。
【0017】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、「1つの(英文不定冠詞)」及び「その(英文定冠詞)」という単数形は、文脈において単数であることをはっきりと示していない限り複数形の意味をも含むことに留意されたい。
【0018】
「約」という用語は、適用可能な場合、所定の値の±2%、好ましくは数値の±5%、最も好ましくは+/−10%の偏差を示すのに使用される。
【0019】
本文脈における「食用の」という用語は、毒性が無い及び摂取可能であることを意味するが、飲んだり、噛んだり、例えばスプレーやエアロゾルなどの様々な形で口腔に入れたりなどの特定の摂取方式に限定されるものではない。
【0020】
「機能性食品」という用語は、栄養素の補給という基本的な栄養機能を超える健康促進特性及び/又は疾患予防特性を有すると主張されるあらゆる生鮮食品又は加工食品に関する。機能性食品は栄養補給食品と呼ばれることもある。この一般的なカテゴリーには、機能性食品の原料で作られた、或いは「ビタミン強化」製品のような健康促進添加物で栄養強化された加工食品が含まれ、また特定の宣伝文句が添えられた(野菜などの)生鮮食品も含まれる。また、生きた培養菌を含む発酵食品もプロバイオテックな利点を有する機能性食品とみなされることが多い。
【0021】
本発明者らは、無機硝酸塩を食事補給した結果、運動中のVO2が減少し、筋効率が著しく増大することを示した。これらの効果は、血漿乳酸塩を増加させることなく生じた。
【0022】
これらの知見に基づき、本発明者らは、哺乳類が摂取した場合、運動中の酸素摂取量(VO2)の減少を示す運動能力を向上させることができる、無機硝酸塩及び/又は亜硝酸塩を含む組成物、好ましくは食用組成物を提供し、詳細には、運動中の酸素摂取量(VO2)の減少及び筋効率の著しい増大の形で運動能力の向上が示されるような組成物を提供する。
【0023】
1つの実施形態によれば、硝酸塩及び亜硝酸塩が、約5:1〜約100:1(硝酸塩:亜硝酸塩)の間の用量比で、例えば5:1 、10:1 、30:1 、50:1 、70:1及び100:1で与えられる。用量比は約10:1であることが好ましい。
【0024】
特定の実施形態によれば、前記組成物は亜硝酸塩を単独で含み、硝酸塩を含まない。
【0025】
別の実施形態によれば、前記組成物は、硝酸塩及び/又は亜硝酸塩に加えアルギニンも含む。
【0026】
本発明の別の実施形態によれば、以下で説明するように、硝酸塩及び/又は亜硝酸塩を含む組成物、又は硝酸塩/亜硝酸塩に富む加工物とポリフェノールに富む加工物とのブレンドを含む組成物に非病原性細菌が加えられる。この目的は、NO、ニトロソ付加物又は化学的に関連する化合物などの生物活性化合物の生成をさらに強化することにある。この強化は、硝酸塩及び亜硝酸塩のNO及びその他の生物活性酸化窒素への細菌依存した還元を通じて、GI(胃腸)管においても局所的に行われる。また、形成された化合物は全身的に吸収され、例えば、血圧を低下させる上で、及びアテローム性動脈硬化症、癌、又は上述のようなNO放出の促進に関するあらゆる他の作用を予防する上で持続的な生物学的効果を有することができる。細菌を加えた組成物は、ジュースなどの飲料、ヨーグルト、牛乳ベースの飲料又は他のあらゆる発酵食品の形をとることができる。この細菌を加えた組成物を異なる種類の機能性食品に含めることもできる。適当な細菌はいわゆるプロバイオテック細菌であり、以下に限定されるわけではないが、(例えばアシドフィルス菌、デルブリュッキ菌、ヘルベティカス菌、サリバリウス菌、カゼイ菌、カルバタス菌、プランタラム菌、サケイ菌、ブレビス菌、ブフネリ菌、ファーメンタム菌、ロイテリ菌などの)ラクトバチルス属と、例えば以下に限定されるわけではないが、ブレベ菌、ビフィダム菌及びラクティス菌などのビフィドバクテリウム属と、サッカロマイセスボウラディなどのプロバイオテック酵母菌とを含む。適当な非病原性細菌には、例えば以下に限定されるわけではないが、ブドウ球菌属、放線菌属及びロチア属が含まれる。また、これらの微生物を「乾燥型」の、例えば錠剤、カプセル、バーなどに含めることもできる。
【0027】
本発明の1つの実施形態によれば、無機硝酸塩及び亜硝酸塩の供給源は、硝酸塩又は亜硝酸塩を含む植物、野菜、又は果物の濃縮物又は抽出物、或いは無機硝酸塩の塩の中から選択される。硝酸塩及び亜硝酸塩の塩の例として、以下に限定されるわけではないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、アルギニン及びアンモニウムが挙げられる。ナトリウム塩及びカリウム塩が現在のところ最も好ましい。亜硝酸塩及び硝酸塩の塩は、合成起源のものであってもよいが、自然源から単離することもできる。硝酸塩が豊富な野菜の例として、緑色葉野菜、ホウレンソウ、ビートルート、フェンネル、レタス、キャベツ、白菜などが挙げられる。このような野菜のジュース、ペースト、濃縮物等は硝酸塩の適当な供給源であることが企図される。1つの実施形態によれば、本発明の組成物中の硝酸塩はビートルートに由来する。
【0028】
多くの野菜及び果物はポリフェノールに富む。ポリフェノールは、植物に見られる化学物質の群であり、1分子あたり2以上のフェノール基が存在することを特徴とする。ポリフェノールは、一般に、グルコース及びその他の糖質の没食子酸エステルである加水分解型タンニンと、リグニン、フラボノイド及び縮合型タンニンなどのフェニルプロパノイドとにさらに再分割される。このようにして、本発明の1つの実施形態では、硝酸塩及び/又は亜硝酸塩含有組成物が、高レベルのポリフェノールを含む化合物と混合される。硝酸塩含有組成物:高ポリフェノール化合物の比率は、硝酸塩が十分に供給されるように選択すべきである。従って、硝酸塩及び/又は亜硝酸塩含有組成物を、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約30%、さらに好ましくは少なくとも約40%及び最も好ましくは少なくとも約50%又はさらにそれ以上にすべきである。この組み合わせ製品が、NOの生体利用性の相乗作用を通じて健康促進効果を得るようになることが企図される。ポリフェノールは、図1で強調しているいくつかの別個のメカニズムによりNOの生成を促進する。第1に、このような物質は、NOシンターゼ酵素(図1の1)から内生的NO形成に直接刺激を与えることができる。第2に、フェノール環に還元OH基が存在するため(図1の2)、これらの化合物が亜硝酸塩の生物活性NOへの還元を促進することが企図される。第3に、超酸化物のようなフリーラジカルのスカベンジャーとして機能することにより、これらのラジカルがNOと相互作用(及び破壊)しないようにすることによって、NOをさらに長寿命にする(図1の3)。これに加えて、亜硝酸塩又はその反応生成物がポリフェノール自体と相互作用し、ニトロ化又はニトロソ化反応を通じてポリフェノールを化学的に修飾することができる(図1の4a)。結果として得られる化合物は、長寿命NO供与体(図1の4b)として機能することができる。追加の効果として、ポリフェノールの存在により、発癌性の疑いがあるニトロソアミンが形成されないように化学反応が変化する(図1の5)。硝酸塩反応生成物である亜硝酸塩は、アミンと反応してニトロソアミンを形成することができるが、ポリフェノールは、二重のメカニズムによってこの反応を阻害する。第1に、ポリフェノールは、HNO2を急速に直接NOに還元することにより、ニトロソ化種(N23、HNO2)の形成を最低限に抑えるのに役立つ。第2に、ポリフェノールは、自身がニトロソ化されることにより、アミンのニトロソ化と直接争うことができる。
【0029】
ポリフェノールが豊富な果物又は果物ジュースの例として、以下に限定されるわけではないが、リンゴ、ナシ、ブドウ、レモン、オレンジ、ライム、モモ、ザクロ、グレープフルーツ、キウィ、ショウガ及びパイナップルが挙げられる。また、以下に限定されるわけではないが、ブラックベリー、ブラックラズベリー、ブルーベリー、クランベリー、レッドラズベリー、チェリー、クロマメノキ、コケモモ、ブラックエルダーベリー、ブラックチョコベリー、ブラックカラント、ブルーベリー、クラウドベリー及びストロベリーを含むベリー類及びベリー類から得たジュースも使用可能である。その他のポリフェノールの自然源としては、以下に限定されるわけではないが、ニンジン、チリ、ルバーブ、タマネギなどの野菜が挙げられる。また、カカオ製品(フラボノールが豊富)、グリーン又はブラックティー、ナッツ、イエルバマテ及びコーヒーは全てポリフェノールが豊富である。硝酸塩と上述したような高ポリフェノール製品との組み合わせが相乗的に作用して、ニトロソアミンのような有害化合物を犠牲にして体内におけるNO形成を促進することが企図される。この作用の有益な効果として、血圧の低下が挙げられる。1つの好ましい実施形態では、本発明の組成物における硝酸塩は、1又はいくつかのポリフェノールに富む化合物又は製品とブレンドしたビートルート(例えばビートルートジュース)に由来する。ビートルートジュース:高ポリフェノール化合物の比率は、硝酸塩が十分に供給されるように選択すべきであり、従って、ビートルートジュース側を、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約30%、さらに好ましくは少なくとも約40%及び最も好ましくは少なくとも約50%にすべきである。
【0030】
別の実施形態では、本発明の組成物に低濃度エタノールを加える。驚くべきことに、極めて低濃度のエタノールでも、生理量の亜硝酸塩と反応させることにより強力な血管拡張性エチル亜硝酸塩を生成できることが判明している。この反応は、胃管腔内のような酸性の状態で促進される。硝酸塩の摂取により唾液中に亜硝酸塩が蓄積し、亜硝酸塩が胃内のエタノールと反応することによりエチル亜硝酸塩を形成することが企図される。例えば、本発明の組成物が液体の形である場合、エタノール含有量を、約5%(v/v)未満、さらに好ましくは約2%(v/v)未満、最も好ましくは約0.5〜1%(v/v)の間にすべきである。
【0031】
本発明のさらに別の実施形態では、硝酸塩又は亜硝酸塩の塩(例えば硝酸カリウム又は硝酸アンモニウム)及び乾燥粉末野菜を含む天然の硝酸源が、例えばソルティーリコリス(塩化アンモニウム)などのリコリスキャンデーの形でリコリスと組み合わせられる。この組み合わせにポリフェノールを加えることも好ましい。リコリスは血圧を上昇させる効果があることがよく知られており、硝酸塩/亜硝酸塩を単独で又はポリフェノールと組み合わせて加えることにより、これらの化合物のNO媒介による血圧を低下させる効果を通じてリコリスの上記効果を相殺することが企図される。特に、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、又は硝酸アンモニウムなどの塩を、リコリス製品に含有される(塩化ナトリウム又は塩化アンモニウムなどの)塩の一部又は全てと置き換えて使用することができる。
【0032】
本発明の組成物は、液体、ペースト、バー、ケーキ、粉末、顆粒、発泡錠、チューインガム、錠剤、カプセル、薬用キャンデー、速溶性の錠剤又はウェハース、舌下錠、又はスプレーの形をとることが好ましい。別の組成物として、ニコチンを含まない無煙タバコ及び/又は濡れ嗅ぎタバコがある。このような製品は、飲食料品業界又は製薬業界で実施される従来の方法で製造することができる。
【0033】
前記組成物は、液体、ペースト、バー、ケーキ、粉末、又は顆粒などの食品の形をとるか、或いはこの一部を構成することがさらに好ましい。
【0034】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、硝酸塩又は亜硝酸塩の還元を促進することができる生細菌に加えて硝酸塩及び/又は亜硝酸塩の供給源を含むヨーグルト又は同様の乳製品又は非乳製品などの発酵食品として調製される。
【0035】
本発明者らは、この組成物をスポーツドリンク、エネルギードリンク、スポーツバー、又はエネルギーバーの形で市場に出すことを考えている。
【0036】
エネルギーバーは様々な形をとることができる。便宜上、エネルギー食品は、箱型、四角形、円筒形、糸状、パイ状、球状、三角形、又は包装、輸送、取り扱い及び摂食に適したその他の形状であることが好ましい。
【0037】
別の実施形態によれば、この組成物は機能性食品として市場に出される。
【0038】
本発明の組成物を含む製品は、食品、菓子及び飲料業界又は製薬業界の従事者が容易に製造でき、既存の組成物に、硝酸塩、亜硝酸塩及び本明細書で説明するその他の組み合わせを本発明に準じた量で追加することができる。
【0039】
例えば、本発明によるエネルギーバーは、硝酸塩及び任意に亜硝酸塩に加えて、例えばナッツ、クリスプ、果物片、チョコレート、種子などの様々な他の成分を含むことができる。好ましいナッツは、アーモンド、ピーナッツ、ヘーゼルナッツ、カシュー、クルミ、ペカン、ブラジルナッツなどである。クリスプの成分としては、ライスクリスプ、コーンクリスプ、オーツ、小麦フレークなどが挙げられる。チョコレートは、例えばチョコレートチップス、チャンク、フレークなどの様々な形のあらゆる種類のチョコレート又はチョコレート状食用成分であってもよい。限定的でない種子の例として、ゴマ、ヒマワリ、ケシ、キャラウェイ、フェンネルなどが挙げられる。
【0040】
本発明の1つの実施形態では、フラバノールに富むダークチョコレートなどのカカオ製品を硝酸塩/亜硝酸塩に富む天然化合物と飲料又はチョコレートバーの形で組み合わせる。この実施形態における硝酸塩に富む1つの好ましい化合物はルバーブである。この場合も、上述するとともに図1に示すようにNO形成を促進することにより、硝酸塩がフラバノールの効果を高めることになる。
【0041】
また、香料などの従来の食品原料を含めることもできる。例えば、追加材料として、天然及び人工の香料、甘味料、塩、香味増強剤、着色添加物、乳化剤、安定剤、脂肪、保存料などを挙げることができる。
【0042】
硝酸塩/亜硝酸塩含有食品又は飲料が不要な細菌で汚染されると、硝酸塩還元細菌酵素が原因で亜硝酸塩が大量に蓄積する可能性がある。高レベルの亜硝酸塩の摂取は、重篤なメトヘモグロビン血症を引き起こすことがある。1つの実施形態では、硝酸塩に富む組成物が、不要な細菌の繁殖を阻害する化合物と混合される。このような化合物は、製品の風味に悪影響を及ぼさないように選択すべきである。理想的には、このような化合物は、風味を向上させると同時に製品の生物活性も増加させるべきである。1つの選択肢としては、最終的なpHが約5未満、最も好ましくはpH約2〜4の間になるように本発明の組成物を酸性にすることである。これにより、細菌の繁殖が阻害及び/又は根絶される。適当な酸性化剤は、pHを低下させるとともに、人工化合物のほかに、以下に限定されるわけではないが、レモン又はライム、アスコルビン酸、酢酸又は(リンゴ、ブドウ又は他の果物由来の)食酢などから得た天然ジュースを含むあらゆる薬剤であってもよい。天然製品を使用することにより、二重の効果が得られることが企図される。抗菌作用を有することに加え、これらがポリフェノールに富むことにより、野菜飲料中の硝酸塩/亜硝酸塩から生物活性NOの生成が促進される。1つの特定の実施形態では、(ビートルートジュースなどの)硝酸塩に富む野菜ジュースが、細菌の繁殖を阻害する化合物と混合される。
【0043】
本発明はまた、無機硝酸塩/亜硝酸塩の第2の非医療的使用、即ち、運動能力の向上という効果が運動中のVO2減少の形で示される哺乳類の運動能力を向上させるための組成物を製造するための使用も提供する。
【0044】
運動能力の向上効果は、運動中のVO2減少及び筋効率の著しい増大の両方の形で示されることが好ましい。
【0045】
上記使用の1つの実施形態によれば、硝酸塩及び亜硝酸塩は、約5:1〜約100:1(硝酸塩:亜硝酸塩)の間の用量比で、例えば5:1 、10:1 、30:1 、50:1 、70:1及び100:1で使用される。用量比は約10:1であることが好ましい。
【0046】
特定の実施形態によれば、前記無機亜硝酸塩が単独で使用され、硝酸塩を含まない。
【0047】
本発明の1つの実施形態によれば、無機硝酸塩/亜硝酸塩の供給源は、硝酸塩含有野菜の濃縮物又は抽出物、又は無機硝酸塩又は亜硝酸塩の塩の中から選択される。硝酸塩及び亜硝酸塩の塩の例として、以下に限定されるわけではないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、アルギニン及びアンモニウムが挙げられる。硝酸が豊富な野菜の例として、緑色葉野菜、ホウレンソウ、ビートルート、フェンネル、レタス、キャベツなどが挙げられる。このような野菜のジュース、ペースト、濃縮物等は硝酸塩の適当な供給源であることが企図される。
【0048】
また、硝酸塩の塩と亜硝酸塩の塩との組み合わせを使用することもできる。1つの実施形態によれば、硝酸塩及び亜硝酸塩は、約5:1〜約100:1(硝酸塩:亜硝酸塩)の間の用量比で、例えば5:1 、10:1 、30:1 、50:1 、70:1及び100:1で経口的に与えられる。用量比は約10:1であることが好ましい。この用量比により、亜硝酸塩が吸収されてからすぐの急性効果が与えられ、その後、亜硝酸塩に生物変換された後の硝酸塩の持続作用が生じるようになる。
【0049】
さらに別の実施形態によれば、無機亜硝酸塩及び/又は硝酸塩がポリフェノールと共に使用される。ポリフェノールの特徴及び健康促進効果については上述した。無機硝酸塩及び/又は亜硝酸塩組成物:高ポリフェノール化合物の比率は、硝酸塩/亜硝酸塩が十分に供給されるように選択すべきである。従って、亜硝酸塩/硝酸塩含有組成物を、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約30%、さらに好ましくは少なくとも約40%及び最も好ましくは少なくとも約50%又はそれ以上にすべきである。
【0050】
使用できるポリフェノールが豊富な果物又は果物ジュースの例として、限定ではないが、リンゴ、ナシ、ブドウ、レモン、オレンジ、ライム、モモ、ザクロ、グレープフルーツ、キウィ、ショウガ及びパイナップルが挙げられる。また、以下に限定されるわけではないが、ブラックベリー、ブラックラズベリー、ブルーベリー、クランベリー、レッドラズベリー、チェリー、クロマメノキ、コケモモ、ブラックエルダーベリー、ブラックチョコベリー、ブラックカラント、ブルーベリー、クラウドベリー及びストロベリーなどのベリー類及びベリー類から得たジュースも使用可能である。その他のポリフェノールの自然源としては、以下に限定されるわけではないが、ニンジン、チリ、ルバーブ、タマネギなどの野菜が挙げられる。また、カカオ製品(フラボノールが豊富)、グリーン又はブラックティー、ナッツ、イエルバマテ及びコーヒーは全てポリフェノールが豊富である。1つの好ましい実施形態では、(ビートルートジュースなどの)ビートルートが、1又は複数の高ポリフェノール製品と共に無機硝酸塩の供給源として使用される。ビートルートジュース:高ポリフェノール化合物の比率は、硝酸塩が十分に供給されるように選択すべきであり、従って、ビートルートジュース側を、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約30%、さらに好ましくは少なくとも約40%及び最も好ましくは少なくとも約50%にすべきである。
【0051】
本発明の別の実施形態によれば、硝酸塩及び/又は亜硝酸塩、又は無機硝酸塩及び/又は亜硝酸塩とポリフェノールに富む化合物とのブレンドを含む組成物と組み合わせて非病原性細菌が使用される。細菌との組み合わせは、ジュースなどの飲料、ヨーグルト、牛乳ベースの飲料又は他のあらゆる発酵食品の形をとることができる。細菌との組み合わせを異なる種類の機能性食品に含めることもできる。適当な細菌はいわゆるプロバイオテック細菌であり、以下に限定されるわけではないが、(例えばアシドフィルス菌、デルブリュッキ菌、ヘルベティカス菌、サリバリウス菌、カゼイ菌、カルバタス菌、プランタラム菌、サケイ菌、ブレビス菌、ブフネリ菌、ファーメンタム菌、ロイテリ菌などの)ラクトバチルス属と、例えば以下に限定されるわけではないが、ブレベ菌、ビフィダム菌及びラクティス菌などのビフィドバクテリウム属と、サッカロマイセスボウラディなどのプロバイオテック酵母菌とを含む。適当な非病原性細菌には、例えば以下に限定されるわけではないが、ブドウ球菌属、放線菌属及びロチア属が含まれる。また、これらの微生物を「乾燥型」の形で使用することもできる。
【0052】
硝酸塩含有食品又は飲料が細菌で汚染されると、硝酸塩還元細菌酵素が原因で亜硝酸塩が大量に蓄積する可能性がある。高レベルの亜硝酸塩の摂取は、重篤なメトヘモグロビン血症を引き起こすことがある。1つの実施形態では、硝酸塩に富む組成物が、不要な細菌の繁殖を阻害する化合物と混合される。このような化合物は、製品の風味に悪影響を及ぼさないように選択すべきである。理想的には、このような化合物は、風味を向上させると同時に製品の生物活性も増加させるべきである。1つの選択肢としては、最終的なpHが約5未満、最も好ましくはpH約2〜4の間になるようにジュースを酸性にすることである。これにより、細菌の繁殖が阻害及び/又は根絶される。適当な酸性化剤は、pHを低下させるとともに、人工化合物のほかに、以下に限定されるわけではないが、レモン又はライム、アスコルビン酸、酢酸又は(リンゴ、ブドウ又は他の果物由来の)食酢などから得た天然ジュースを含むあらゆる薬剤であってもよい。天然製品を使用することにより、二重の効果が得られることが企図される。抗菌作用を有することに加え、これらがポリフェノールに富むことにより、野菜飲料中の硝酸塩/亜硝酸塩から生物活性NOの生成が促進される。1つの特定の実施形態では、(ビートルートジュースなどの)硝酸塩に富む野菜ジュースが、細菌の繁殖を阻害する化合物とともに使用される。
【0053】
本発明の別の実施形態では、無機硝酸塩及び/又は亜硝酸塩とともに低濃度のエタノールが使用される。例えば、本発明の組成物が液体の形である場合、エタノール含有量を、約5%(v/v)未満、さらに好ましくは約2%(v/v)未満、最も好ましくは約0.5〜1%(v/v)の間にすべきである。
【0054】
本発明のさらに別の実施形態では、硝酸塩及び/又は亜硝酸塩の塩(例えば硝酸カリウム又は硝酸アンモニウム)及び乾燥粉末野菜を含む天然の硝酸源が、例えばソルティーリコリス(塩化アンモニウム)などのリコリスと組み合わせて使用される。この組み合わせにポリフェノールを加えることも好ましい。特に、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、又は硝酸アンモニウムなどの塩を、リコリス製品に含有される(塩化ナトリウム又は塩化アンモニウムなどの)塩の一部又は全てと置き換えて使用することができる。
【0055】
食品、菓子、製薬業界で実施される従来の方法を使用して、本発明の組成物を、液体、ペースト、バー、ケーキ、粉末、顆粒、発泡錠、錠剤、カプセル、薬用キャンデー、チューインガム、速溶性の錠剤又はウェハース、舌下錠、又はスプレーなどの形に製造することができる。
【0056】
さらに、この組成物を、液体、ペースト、バー、ケーキ、粉末、又は顆粒などの食品の形に、或いはこの一部として製造することができる。例えば、上述したような発酵食品、機能性食品、又はスポーツドリンクなどであってもよい。
【0057】
本発明の1つの実施形態では、無機硝酸塩及び/又は亜硝酸塩が、フラバノールに富むダークチョコレートなどのカカオ製品と組み合わせて使用される。この実施形態における硝酸塩に富む1つの好ましい化合物はルバーブである。
【0058】
さらに別の実施形態によれば、無機硝酸塩及び/又は亜硝酸塩が、細菌の繁殖を阻害する化合物と組み合わせて使用される。1つの選択肢としては、最終的なpHが約5未満、最も好ましくはpH約2〜4の間になるようにジュースを酸性にすることである。これにより、細菌の繁殖が阻害及び/又は根絶される。適当な酸性化剤は、pHを低下させるとともに、人工化合物のほかに、以下に限定されるわけではないが、レモン又はライム、アスコルビン酸、酢酸又は(リンゴ、ブドウ又は他の果物由来の)食酢などから得た天然ジュースを含むあらゆる薬剤であってもよい。天然製品を使用することにより、二重の効果が得られることが企図される。1つの特定の実施形態では、(ビートルートジュースなどの)硝酸塩に富む野菜ジュースが、細菌の繁殖を阻害する化合物と組み合わせて使用される。
【0059】
本発明者らはまた、哺乳類の運動能力を非治療的に向上させる方法も提供し、この方法では無機硝酸及び/又は亜硝酸が前記哺乳類に投与される。前記哺乳類は、ヒト、ウマ、又はイヌから選択されるが、ヒトが好ましい。硝酸塩の用量は、1〜1000μmol/kg体重/日であることが好ましい。これに対応して、亜硝酸塩の用量は、0.1〜100μmol/kg体重/日であることが好ましい。
【0060】
より具体的には、硝酸塩を経口で使用する場合、現在のところ約0.01〜100mmol/kg/24hの用量が好まれており、約0.01〜10mmol/kg/24hの用量がより好ましく、0.1〜1mmol/kg/24hがさらに好ましい。これに対応して、亜硝酸塩の用量は約0.001〜10mmol/kg/24時であり、約0.001〜1mmol/kg/24時であることが好ましく、約0.0001〜0.1mmol/kg/24時であることがさらに好ましい。
【0061】
本発明の1つの実施形態によれば、硝酸塩及び亜硝酸塩は、約5:1〜約100:1(硝酸塩:亜硝酸塩)の間の用量比で、例えば5:1 、10:1 、30:1 、50:1 、70:1及び100:1で投与される。用量比は約10:1であることが好ましい。
【0062】
特定の1つの実施形態によれば、亜硝酸塩のみが投与される。
【0063】
本発明の方法のさらに別の実施形態では、無機硝酸塩及び/又は亜硝酸塩がポリフェノールと共に投与される。ポリフェノールの特徴及び健康促進効果については上述した。無機硝酸塩及び/又は亜硝酸塩組成物:高ポリフェノール化合物の比率は、硝酸塩が十分に供給されるように選択すべきである。従って、亜硝酸塩/硝酸塩含有組成物を、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約30%、さらに好ましくは少なくとも約40%及び最も好ましくは少なくとも約50%又はそれ以上にすべきである。投与できる高ポリフェノール製品の例については上述した。
【0064】
本発明の別の実施形態によれば、硝酸塩及び/又は亜硝酸塩、又は無機硝酸塩及び/又は亜硝酸塩とポリフェノールに富む化合物とのブレンドを含む組成物と組み合わせて非病原性細菌が投与される。投与に適した限定的でない細菌の例については上述した。
【0065】
本発明の方法の別の実施形態では、無機硝酸塩及び/又は亜硝酸塩が低濃度のエタノールと共に投与される。例えば、本発明の無機硝酸塩/亜硝酸塩が液体の形をとる場合、エタノール含有量を、約5%(v/v)未満、さらに好ましくは約2%(v/v)未満、最も好ましくは約0.5〜1%(v/v)の間にすべきである。
【0066】
本発明のさらに別の実施形態では、硝酸塩又は亜硝酸塩の塩(例えば硝酸カリウム又は硝酸アンモニウム)及び乾燥粉末野菜を含む天然の硝酸源が、例えばソルティーリコリス(塩化アンモニウム)などのリコリスと組み合わせて投与される。この組み合わせにポリフェノールを投与することも好ましい。特に、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、又は硝酸アンモニウムなどの塩を、リコリス製品に含有される(塩化ナトリウム又は塩化アンモニウムなどの)塩の一部又は全てと置き換えて使用することができる。
【0067】
本発明の1つの実施形態では、無機硝酸塩及び/又は亜硝酸塩が、フラバノールに富むダークチョコレートなどのカカオ製品と組み合わせて投与される。この実施形態における硝酸塩に富む1つの好ましい化合物はルバーブである。
【0068】
観察される硝酸塩が身体的運動能力に与える効果は、硝酸から亜硝酸への最初の還元に関連するものであると確信するには理由がある。硝酸塩自体は生物学的に不活性であると考えられており、哺乳類細胞はこれを代謝することができない。しかしながら、摂取後に唾液線を介して硝酸塩が再び口に入ると、共生細菌によって効果的に還元されることにより亜硝酸塩が形成される。硝酸塩とは対照的に、亜硝酸イオンは幅広い生物活性を有することが近年示されている。
【0069】
本発明者らは、硝酸塩治療期間後に血漿亜硝酸塩が増加することに気付き、この結果、前述したように硝酸塩がインビボで還元されることを確認した(Lundberg & Govoni、2004年、LARSEN,F Jら「健常ボランティアの血圧に対する食事中の硝酸塩の作用」N Engl J Med.2006年第255巻第26号2792〜3頁)。亜硝酸塩が生物活性であることを支持する別の知見は、血漿硝酸塩のレベルが変化しないのとは対照的に、運動中に亜硝酸塩が効果的に消費されることであった。結局、亜硝酸塩の生物活性は、それがさらにNOに還元されること、及び場合によっては他の密接に関連する窒素媒介物に関連があるようである。また、細胞の情報伝達経路に亜硝酸塩自身が直接影響を及ぼす可能性があることが近年示唆されている(BRYAN,NS,ら「亜硝酸塩はシグナル伝達分子であるとともに哺乳類組織における遺伝子発現の調整剤である」Nat Chem Biol.2006年第1巻第5号290〜7頁)。可能性は低いが、この初期段階では、硝酸イオン自体の作用を除外することはできない。酸化窒素の生物学的作用を伝えることができるいくつかの原理的方法が存在し、これには、ニトロシル化/ニトロ化によるタンパク質機能の変性、又はNOによるグアニリルシクラーゼの原型活性化におけるもののようなタンパク質ヘム成分への直接結合が含まれる。
【0070】
NOS阻害剤を使用して内因性NO生成を阻害する以前の研究にいくつかの指摘がある。NOS阻害により、血流の減少とは無関係に、運動中のイヌの最大下VO2が増加することが示されている。(SHEN,Wら「一酸化窒素 酸素消費量の調節における血管内皮細胞と実質細胞との間の重要なシグナル伝達メカニズム」Circulation、1995年12月15日第92巻第12号3505〜12頁、ISHIBASHI,Yら「運動中の冠動脈拡張はATP感受性K+チャネル、アデノシン及びNO介在機構が主な原因である」Circulation Res.1998年第82号346〜359頁;Shenら、1999年、上述論文)。NOS阻害中におけるこのVO2の増加は、呼吸酵素チトクロームCオキシダーゼの可逆阻害により、NOが組織呼吸に影響を及ぼすという事実により説明されてきた(Carr & Ferguson、1990年、上述論文;Bolanosら、1994年、上述論文;Brown & Cooper、1994年、Cleeterら、1994年、Schweizer & Richter、1994年)。NOS阻害中におけるVO2の増加を、ミトコンドリア内膜へのプロトンの漏れに対するNOの阻害効果と関連付ける者もいる(BOHUSLAVSKYI,A,ら「疲労時に動作する骨格筋によって酸素消費効率に及ぼされる一酸化窒素の影響」Fiziol Zh.2005年第51巻第1号33〜42頁;NAVET,R,ら「ラット骨格筋ミトコンドリアにおいてインビトロ酸素欠乏/再酸素化中に生成される活性酸素種により誘発されるプロトン漏出」J Bioenerg Biomembr.2006年第38巻第1号23〜32頁;WANG,G,ら「一酸化窒素供与体がミトコンドリア透過性遷移の調整を通じてマウス心筋を梗塞から守る」Am J Physiol Heart Circ Physiol.2005年第288巻第3号1290〜5頁)。硝酸塩の作用が、チトクロームCオキシダーゼの阻害のみによるものであるとすれば、運動中の嫌気的代謝の増加、及び乳酸塩の大量蓄積が予測される。しかしながら、結果から判断すると、硝酸塩の補給後も血漿乳酸塩濃度がプラセボと比較してほぼ同じであったため、これは当てはまらない。本発明者らは、このことを大変驚くべきことと考える。
【0071】
上述のNOS阻害剤を使用した研究は、すべて内因性NOが酸素消費量の調節に関与することを意味するが、外因性NO送達の作用を研究する試みはほとんど無かった。ニトロプルシド及びニトログリセリンなどのNO供与体による研究では、いくつかのケースではVO2が減少し(RECCHIA,F A,ら「一酸化窒素が覚醒中のイヌの心臓基質の利用を制御する」Cardiovasc Res.1999年第44号325〜32頁;LOKE,K E,ら「一酸化窒素がヒト心不全時にミトコンドリア呼吸を調整する」Circulation.1999年9月21日第100巻第12号1291〜7頁)、1つの研究では影響がなく(NUNEZ,C,ら「ミトコンドリア酸素消費量、血管作用、及びNOの放出におけるニトログリセリンとNO放出薬物との間の相違」Circ Res.2005年11月11日第97巻第10号1063〜9頁)、他の設定では増加する(DE BACKER,D,ら「健常ボランティアにおける酸素消費量と酸素送達量との関係に及ぼすドブタミンの作用:ニトロプルシドナトリウムとの比較」Clin Sci(Lond).1996年第90巻第2号105〜11頁)という若干異なる結果が示されてきた。
【0072】
上述した亜硝酸塩のNOへの還元に関して提案されるメカニズムのいくつかは、理論的には運動中も作用し始めることができる。従って、これらの経路は全て、低酸素症の期間中及び運動中の筋肉のようにpHが減少した際に大いに強化される。Shiva及びその同僚らは、つい最近、ラット心臓のホモジネートにおいて亜硝酸塩のNOへのデオキシミオグロビン依存性還元に付随してミトコンドリア呼吸の阻害が起こることを実証した(Shivaら2007年、上述論文)。別の考えられる経路としては、ミトコンドリア自身によるNO形成(KOZLOV,A Vら「亜硝酸塩還元酵素活性は、哺乳類ミトコンドリアの新たな機能である」FEBS Lett.1999年7月2日第454巻第1〜2号127〜30頁)、又は運動筋肉中における亜硝酸塩の単純な酸性還元さえも挙げられる(Zweierら1995年、上述論文、MODIN,Aら「亜硝酸由来一酸化窒素:「酸性代謝性」血管拡張の介在物質候補」Acta Physiol Scand.2001年第171巻第1号9〜16頁)。Cosby及びその同僚らは、循環する亜硝酸イオンの血中デオキシヘモグロビンとの反応から生じるNO形成及び血管拡張について説明した(COSBY,K,ら「デオキシヘモグロビンによる亜硝酸塩の一酸化窒素への還元がヒトの血液循環を血管拡張する」Nat Med.2003年第9巻第12号1498〜505頁)。後者の経路、及び場合によっては組織の亜硝酸塩還元も、最近記載された硝酸塩誘導性の安静時血圧の低下(Larsenら2006年)については非常によく説明がつくが、このNOが運動筋肉中における酸素消費量をどのようにして減少させるかについては未だ明らかではない。従って、例えばデオキシミオグロビン由来NOによるミトコンドリア呼吸の効果的な阻害の結果、やはり血漿乳酸塩が蓄積するようになると予想されるが、これは事実ではなかった。
【0073】
筋肉が仕事をする効率は、I型筋線維(COYLE,E Fら「サイクリング効率はI型筋線維の割合に関連する」Med Sci Sports Exerc.1992年第24巻第7号782〜8頁)、及び筋線維の脱共役蛋白−3(UCP3)の含有量の割合に関連付けられてきた(MOGENSEN,Mら「ヒトのサイクリング効率は低UCP3含有量及びI型筋線維に関連するが、ミトコンドリア効率には関連しない」J Physiol.2006年第571巻第3号669〜681頁)。動作効率に寄与する可能性がある別の因子に、解剖学的、生化学的、及び生体力学的特徴がある(WILLIAMS,K R.「力学的エネルギー推定と生理的エネルギー推定との関係」Med Sci Sports Exerc.1985年第17号317〜25頁)。このように、特定のVO2におけるエネルギー出力は基質の利用に依存するため、異なる運動量でのVO2の差を単純に測定することは、最適な筋効率の推定にはならない。総効率(GE)計算は、可能性のある呼吸交換率の変化を含むことにより、基質の利用も考慮に入れたものである。硝酸塩を補充した後にGEが改善するのは効率が良くなったことを示すものであるが、たとえそうであっても、この効率の改善は基準エネルギー消費量(EE)の低下によるものであるということを除外することはできない。デルタ効率(DE)の計算は基準EEに依存せず、GE計算のように1つの時期の1つの仕事量に基づくものではなく、ひとまとめにした全ての仕事量に基づくものである。従って、この場合DEが最も正当な筋効率の推定であると予想することがもっともらしい。実際、硝酸塩の補充後、DEまでもが大きく改善した。この硝酸塩による効率の改善が力学的因子からもたらされたものとは考えにくい。この研究の被験者はすべて長年の訓練及び競技を経験してきたサイクリストであった。研究所に二、三度訪れただけでは、被験者のサイクリング中の効率に注目に値する程の変化が生じることはなさそうである。特に、被験者らは、訓練中に慣れたものと同じサイクリングシューズ、クリップ式ペダル、及び同じ座席位置を使用したので、これはなおさら考えにくい。さらに重要なことに、この研究で使用された無作為化手順により、このような差異は排除される。MarchealとGailly(MARCHEAL,Gら「骨格筋収縮に及ぼす一酸化窒素の影響」Cell MoI Life Sci.1999年第55号1088〜1102頁)は、原位置試験においてNO供与体の投与中に筋線維が急速に弛緩することを実証し、これによりNOの神経筋調節作用を示唆した。これがサイクリング中の筋効率を向上させるかどうかはまだ証明されていない。
【0074】
所定の作業量における酸素パルスが硝酸塩を補給することによって減少するという知見は、その作業量における低い酸素必要量が直接作用したものである。しかしながら、所定の絶対酸素摂取量における酸素パルスには差がない。硝酸塩がVE/VO2又は酸素パルスに及ぼす影響が存在しないということは、心臓又は肺における中枢適応ではなく筋肉又はミトコンドリア適応に起因して効率が向上したことを示す。
【0075】
要約すると、この知見は、毒性の無い量の亜硝酸塩を摂取することにより得られる量の硝酸塩を食事補充した後に最大下作業中の酸素消費量が低下することを実証する。この酸素消費量の低下は血漿乳酸塩の増加を伴わずに生じ、エネルギー生成がより効率的になったことを示した。この作用のメカニズム及び主な対象を明らかにする必要があるが、その過程は硝酸塩の亜硝酸塩及びNOを含む生物活性酸化窒素物へのインビボ還元に関連があると思われる。
【実施例】
【0076】
方法
被験者
9人の健康で十分に訓練された(VO2peak55+/−3.7ml×kg-1×分-1)男性(28+/−6歳)が試験に志願した。全ての被験者は、訓練されたサイクリスト又はトライアスロン選手であり、試験手順にはよく慣れていた。この試験では、最大下運動中にVO2peakが向上したり、或いは機械効率が良くなったりするような、試験から得られる訓練効果を避けるために、十分に訓練された被験者を使用することを選択した。ストックホルムの地域倫理委員会によって手順が承認され、全ての被験者が参加前に承諾書を提出した。
【0077】
硝酸塩の食事補給
この試験の目的は、硝酸塩摂取量が通常より高いものと、低いものとの2つの異なる食事パターンの効果を調べることであった。試験は、二重盲検プラセボ対照クロスオーバー法で行った。10日の休薬間隔で分離した2回の3日間の間、硝酸塩含有量が中程度又は高度の食品(全ての野菜、全ての塩漬け肉、いちご、ぶどう、及びお茶)を全て避けるように被験者に指示した。また、被験者にはアルコール及びタバコ製品を控えるように伝えた。その他の点では、被験者は3日間の食事制限中、好きな食品を自由に食べた。被験者は、水に溶解した0.1mmol硝酸ナトリウム/kg体重/日、又は等量の塩化ナトリウム(プラセボ)の摂取のいずれかにより、ランダムに試験が開始された。1日の用量を分割し、毎日3回摂取した。味又は外観により異なる溶液を見分けることはできなかった。1日の硝酸塩用量は、ホウレンソウ、レタス又はビートルートなどの硝酸塩が豊富な野菜150〜250グラムに通常含有される量に相当した(Lundbergら、2004年、上述論文)。硝酸塩又はプラセボの最後の用量は、測定日の朝に摂取した(以下の本試験を参照されたい)。硝酸塩補給期間(NIT)とプラセボ期間(CON)との間の順序はバランスが保たれた。休薬期間の間、被験者は特定の食事療法には従わなかった。
【0078】
実験手順
被験者がトレーニングで慣れた競技用サドル及びペダルシステムで改造した電気ブレーキ式自転車エルゴメータ(Monark 839E、ヴァールベリ、スウェーデン)で測定を行った。自転車エルゴメータはコンピュータ制御されており、被験者がペダルを漕ぐのに選択したリズムに関係なく一定の作業量が可能であった。ペダルを漕ぐリズムは、70〜90rpmの範囲で個々に選択したが、試験中は一定に保持されて、筋動員パターンの変化による作業出力の差を最小にした。
【0079】
被験者の呼吸がマウスピース及びプラスチックチューブを介して通過する流量計に連結されたコンピュータガス分析器(AMIS 2001 、オーデンセ、デンマーク)により、肺換気量(VE)、酸素摂取量(VO2)、CO2排出量(VCO2)及び呼吸交換率(RER)を10秒間隔で測定した。携帯型心拍数モニタ(Polar S610、Polar、ケンペレ、フィンランド)で試験中連続的に心拍数(HR)を記録した。毛細血液サンプル(20μl)を指先から収集し、Biosen C−Line Sport Analyser(EKF diagnostics、マグデブルク、ドイツ)を使用して乳酸塩([Hla])を分析した。毛細血液を指先から採ってHb測定装置(Hemocue、エンゲルホルム、スウェーデン)で分析し、安静時ヘモグロビン濃度([Hb])を求めた。毛細血液を12000rpmで3分間遠心分離することによりヘマトクリット(Hct)を求めた。
【0080】
予備試験
各被験者は、第1の本試験の前の2週間内に2回実験室を訪れた。被験者に自転車エルゴメータ及び試験手順に慣れてもらうために第1の予備試験を行った。被験者は、各レベルが5分間継続する5つの最大下レベルで予備試験を受けた。異なる最大下レベルの間に休憩はなかった。AMIS 2001でVO2を連続的に測定した。各最大下レベルの最後に指先から毛細血液を採り、後に[Hla]を分析した。各作業量において、被験者は、ボルグのRPEスケール(BORG,G.「身体ストレスの指標としての主観的運動」Scand J Rehabil Med.1970年第2巻第2号92〜8頁)における主観的運動強度を示し、中枢性及び筋肉性運動強度の両方を示した。8分間の回復時間後、被験者は、個々の計算した最大酸素摂取量に相当する作業量で可能な限り長く自転車を漕ぐように指示された(ASTRAND,P−Oら、「作業生理機能のテキスト」、ニューヨーク McGraw−Hill、1970年ISBN 0070024065、619頁)。この試験中、被験者の実際のVO2peakを測定し、被験者が7分よりも長く漕げる場合には、疲労するまで毎分20〜30ワットの追加出力を加えた。最大試験の1分後及び3分後に指先から毛細血液を採取し、[Hla]を分析した。
【0081】
第2の予備試験前に、最大下レベルが、VO2peakの45、60、70、80及び85%と一致するように調整した。また、必要に応じて、時間対疲労度が4分と7分の間に維持されるように最大作業量も調整した。
【0082】
本試験
被験者は、本試験の前3日間は激しい運動を控え、試験前日は全ての運動を避けた。また、試験開始の少なくとも3時間前に最後の軽食を摂るように被験者に伝えた。被験者は、実験室にくるとプラセボ又は硝酸塩のいずれかの最後の投与を受け、試験開始前に60分間仰向けで休憩することが許された。
【0083】
全ての被験者は、100ワットで5分間自転車を漕ぐという標準的なウォームアップ手順を使用し、その後5分間休憩した。異なるレベルの間に休憩を挟むことなく、各々が5分間継続する5つの最大下作業量で第2の予備試験と同じ方法で最大下及び最大試験を行った。2つの本試験中は同じ作業量を使用した。最後の硝酸塩/プラセボ投与を摂取した45分後の休憩時に静脈血液(9ml)を採り、VO2peak試験の直後に再び静脈血液(9ml)を採った。この血液を氷浴に入れ、1300rpm及び4°Cで5分以内の遠心分離を行った。血漿を分離し、前述したような化学発光分析により硝酸塩及び亜硝酸塩濃度が分析されるまで−80℃に保持した(LUNDBERG,2004年、上記)。
【0084】
統計及び計算
結果を平均+/−標準偏差(平均+/−SD)の形で表す。対応のあるt検定を使用して硝酸塩試験とプラセボ試験との間の差を評価した。有意レベルをp=<0.05に設定した。
【0085】
総効率(GE)は、作業量を実際のエネルギー消費量(EE)で割ったものと定義した。次に、Brouwer方程式でEEを計算した(BROUWER,E.「ガス交換(酸素摂取及び炭酸排出)及び尿−Nから熱消費量及びヒト及び動物の代謝で酸化された炭水化物及び脂肪の量を計算するための単純な公式について」Acta Physiol Pharmacol Neerl.1957年第6号795〜802頁)。デルタ効率(DE)は、作業量の増加をEEで割ったものと定義した(GAESSER,GAら「定常運動中の筋効率:速度及び作業量の影響」J Appl Physiol.1975年第38号1132〜1139頁)。DEは最低から4つの作業量に基づき、線形回帰で分析した。酸素パルスはVO2/HRと定義される。
【0086】
結果
安静時血圧
硝酸塩補給(112+/−8mmHg)後は、平均安静時最高血圧がプラセボ(120+/−5.9、p<0.01)よりも低かった。硝酸塩(68+/−5.5mmHg)後は、最低血圧もプラセボ(74+/−6.8mmHg、p<0.01)より低かった。これらの知見の一部は、別の文書(Larsenら2006年)として出版されている。
【0087】
血液値
[Hb]は安静時(NIT 152+/−11、CON 153+/−11g ×l-1、p=0.87)又はVO2peak試験直後(NIT 163+/−13、CON 161+/−13g×l-1、p=0.27)で変化が観察されなかった。ヘマトクリット値も安静時(NIT 42+/−4、CON 43+/−3%、p=0.19)又はVO2peak試験後(NIT 46+/−4、CON 47+/−4%、p=0.6)で変化がなかった。
【0088】
安静時の硝酸塩の血漿レベルはCONで27+/−6.9μM、NITで182+/−55(p=<0.01)であった。最大作業試験直後の硝酸塩レベルは、CONで29+/−6.1、NITで175+/−61μM(p=<0.01)であった。血漿硝酸塩は、運動中にNITでもCONでも変化しなかった(p=0.8)。安静時の亜硝酸塩レベルは、CONで124+/−28、NITで226+/−87nM(p=<0.01)であった。最大作業試験直後では、亜硝酸塩レベルは、CONで111+/−29、NITで137+/−48(p=0.17)であった。
運動中の亜硝酸塩濃度の減少は、CONよりもNITの方において顕著であった(図2参照)。
【0089】
作業パラメータ
硝酸塩投与後、プラセボ期間と比較して、45〜80%VO2peakに相当する5つの作業量の間でVO2が著しく低かった(図3)。VO2peakの80%で最も顕著な差が見られた(NIT 3.44+/−0.31l×分-1対CON 3.61+/−0.31l×分-1、p=0.003、図4)。平均すると、VO2は、5つの最大下作業量にわたるNIT試験で0.15l×分-1低かった。NIT試験とCON試験との間で心拍数(HR)に差はなかった(図3参照)。酸素パルスは、CON中の21.0+/−2.0から20.3+/−1.9ml×心拍数-1に減少する傾向にあった(p=0.08)。最大下作業量のいずれの最中にもNITとCONとの間で[Hla](図5)、VE、VE/VO2又は呼吸交換率(RER)に差は見られなかった。平均総効率は、CON中の19.7%からNIT中の21.1%まで改善した(p=0.02)。デルタ効率(DE)は、NIT中の22.9+/−1.9%に比較して、CON中の22.1+/−1.6%から著しく増加した(p=0.04)。
【0090】
最大作業量では、NIT試験のVO2peak及びCON試験のVO2peakは、それぞれ4.49+/−0.44及び4.61+/−0.28l×分-1、p=0.29であった。VEmax(NIT 182+/−21.4対CON 186+/−21.7l×分-1、p=0.5)、HRmax(NIT 189.8+/−7.0対CON 190.3+/−7.5拍動×分-1、p=0.94)又は最大作業量(NIT 360.6+/−32.8対CON 358.9+/−32.3ワット、p=0.35)のいずれにおいても大きな差はみられなかった。あらゆる作業負荷(最大下又は最大)における主観的運動強度(ボルグRPEスケール)ではNITとCONとの間に差はなかった。
【0091】
理解の明瞭化を目的として、説明図及び実施例により上述の発明についてある程度詳細に説明したが、当業者であれば、本発明の教示に照らして、添付の特許請求の範囲の思想又は範囲から逸脱することなく特定の変更及び修正を行うことができることが明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類の運動能力を向上させるための組成物を製造するための無機硝酸塩及び/又は亜硝酸塩の使用。
【請求項2】
前記運動能力向上の効果が運動中のVO2減少の形で示される、
ことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記運動能力向上の効果が、運動中のVO2減少及び筋効率の著しい増大の両方の形で示される、
ことを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の使用。
【請求項4】
前記組成物が、硝酸塩及び亜硝酸塩を約5:1から約100:1(硝酸:亜硝酸)の間の用量比で含む、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
前記組成物が、液体、ペースト、バー、ケーキ、粉末、顆粒、発砲錠、錠剤、カプセル、薬用キャンデー、チューイングガム、速溶性錠剤又はウェハース、舌下錠、又はスプレーの形をとる、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記組成物が、スポーツ飲料、エネルギー飲料、スポーツバー、又はエネルギーバーの形で市場に出される、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記無機硝酸塩の供給源が、硝酸塩含有野菜の濃縮物、抽出物又はジュース、或いは無機硝酸塩の塩の中から選択される、
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
前記無機硝酸塩の供給源が無機硝酸塩の塩である、
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
前記無機硝酸塩が、ポリフェノールと組み合わせて使用される、
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
前記無機硝酸塩が、硝酸塩又は亜硝酸塩の還元を促進できる生細菌と組み合わせて使用される、
ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
前記無機硝酸塩が、約5%(v/v)エタノールと組み合わせて使用される、
ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
哺乳類が摂取した場合、運動中の酸素摂取量(VO2)の減少を示す運動能力を向上させることができる組成物であって、無機硝酸塩及び/又は亜硝酸塩及びポリフェノールを含む、
ことを特徴とする組成物。
【請求項13】
前記組成物が、硝酸塩及び亜硝酸塩を約5:1から約100:1(硝酸:亜硝酸)の間の用量比で含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、液体、ペースト、バー、ケーキ、粉末、顆粒、発砲錠、錠剤、カプセル、薬用キャンデー、チューイングガム、速溶性錠剤又はウェハース、舌下錠、又はスプレーの形をとる、
ことを特徴とする請求項12及び請求項13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、液体、ペースト、バー、ケーキ、粉末、又は顆粒などの食品の形をとるか、或いはこの一部を構成する、
ことを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記無機硝酸塩の供給源が、硝酸塩含有野菜の濃縮物、ジュース又は抽出物の中から選択される、
ことを特徴とする請求項12から請求項15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記無機硝酸塩の供給源が無機硝酸塩の塩である、
ことを特徴とする請求項12から請求項15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が、硝酸塩又は亜硝酸塩の還元を促進できる生細菌を含む、
ことを特徴とする請求項12から請求項17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が抗菌化合物を含む、
ことを特徴とする請求項12から請求項17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、約5%(v/v)濃度のエタノールを含む、
ことを特徴とする請求項12から請求項19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
哺乳類の運動能力を非治療的に向上させる方法であって、前記哺乳類に無機硝酸塩及び/又は亜硝酸塩を投与する、
ことを特徴とする方法。
【請求項22】
硝酸塩及び亜硝酸塩が、約5:1〜約100:1(硝酸:亜硝酸)の間の用量比で投与される、
ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記硝酸塩の用量が、約1〜1000μmol硝酸ナトリウム/kg体重/日の間で投与される、
ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記亜硝酸塩の用量が、約0.1〜100μmol/kg体重/日の間で投与される、
ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
硝酸塩がポリフェノールと共に投与される、
ことを特徴とする請求項21から請求項24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記哺乳類が、ヒト、ウマ、又はイヌの中から選択される、
ことを特徴とする請求項21から請求項25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記哺乳類がヒトである、
ことを特徴とする請求項27に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−519335(P2010−519335A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551970(P2009−551970)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【国際出願番号】PCT/SE2008/050211
【国際公開番号】WO2008/105730
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(509240549)
【出願人】(509240538)
【Fターム(参考)】