説明

運動靴

フットボール/サッカー靴(1)が記載される。靴(1)は、一端にヒール(5)と他端にトウ(7)とを有して、ヒール(5)とトウ(7)との間に側部(9)が延びる靴本体(3)を含む。トウ(7)は、ボールのキック中にフットボール/サッカーのボールに当たる凹部(11)を含む。凹部(11)は、半径が約11cmである。これは、標準のフットボール/サッカーのボールの半径に実質的に対応する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に運動靴に関し、詳しくは球技用の靴に関する。
【0002】
本発明は、主にフットボール/サッカー靴として使用するべく開発され、本願を参照して以下に説明される。ただし、本発明はこの特定の分野に限られない。また、例えばプロラグビー(rugby league)、アマチュアラグビー(rugby union)、オーストラリア式フットボール、アメリカンフットボール、クリケット、その他の球技において使用されてよい。
【背景技術】
【0003】
周知のフットボール/サッカー靴は、上から見た場合、相対的に小さな半径を有する凸形状のトウ(toe)と、相対的に大きな半径を有する隣接した曲面形状側部を備える。さらに、靴の側部は典型的に、靴のトウよりも相対的に柔らかい。
【0004】
トウの小さな半径ゆえに、靴のトウでキックされるボールを正確な方向に向かわせることは困難となる。これは、靴のトウによるボールのインパクトポイントの相対的に小さな変化が、当該インパクトポイントにおける靴に対する接線方向、すなわちキックされるボールの結果的な方向に大きな変化をもたらすからである。したがって、プレーヤは靴の側部でボールをキックすることが一般的である。ここで、大きな半径は、ボールに関するインパクトポイントにおいて、キックされるボールの結果的な方向に与える影響がはるかに小さいということを意味する。
【0005】
しかしながら、ボールを靴の側部でキックすることの欠点は、トウキックと比べてボールに伝わるエネルギーが小さいということである。かかる非効率は、トウに比べて柔らかい側部に起因して生じる。さらに、靴の側部でのキックは、トウキックの場合のような脚の自然なアラインメントとインライン(in−line)をなすモーションではなく、非効率なスイーピング(sweeping)モーションで行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第2637806(A)号明細書
【特許文献2】独国実用新案第20017207(U)号明細書
【特許文献3】独国実用新案第202005015243(U)号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第496931(A)号明細書
【特許文献5】米国特許第4,123,856号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、上記欠点の1つ以上を実質的に克服するか又は少なくとも改善することにある。
【0008】
したがって、第1の側面において、本発明は、一端にトウと他端にヒールとを有する靴本体を含む運動靴を与える。トウは、スポーツボールに当たる凹部を有する。
【0009】
凹部は、靴の使用が意図される運動のスポーツボールの半径に実質的に対応する半径を有するのが好ましい。
【0010】
靴は、フットボール/サッカー靴であることが好ましい。しかし、他実施例において、靴は、プロラグビー、アマチュアラグビー、アメリカンフットボール、オーストラリア式フットボール、又はクリケットの靴である。
【0011】
他の側面において、本発明は、スポーツボールに当たる凹形状のトウ部を有する運動靴を与える。
【0012】
本発明の好ましい実施例を、添付の図面を参照して例としてのみ以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】運動靴の第1の好ましい実施例の斜視図である。
【図2】運動靴の他実施例の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照すると、フットボール/サッカー靴1の好ましい実施例が示される。フットボール/サッカー靴1は、一端にヒール5と他端にトウ7とを有する靴本体3を含む。ヒール5とトウ7との間には側部9が延びる。トウ7は、フットボール/サッカーのボールに、当該ボールのキック中に当たる凹部11を含む。凹部11は、半径が約11cmである。これは、標準のフットボール/サッカーのボールの半径に実質的に対応する。また、パッド(不図示)が、靴1の内部の、凹部11の近くに設けられる。これにより、トウキック中に靴1に及ぼされる力が吸収されて、装着者の足への当該力の伝達が低減される。
【0015】
凹部11は、プラスチック等の合成材料又はスチールを利用した成形体構造である。また、凹部11は、ボールのキック中に及ぼされる力に耐えるべく補強される。
【0016】
フットボール/サッカー靴1は、業界で周知のゴムの靴底及びレザーの甲部で構成される。靴の甲部及び靴底の前部は、凹部11の形状に整合するべく適切に成形される。
【0017】
図2を参照すると、運動靴1の第2実施例が示される。ここで、図1の運動靴1に対応する参照番号は、対応する部分を示す。ただし、図2の運動靴1において、凹部11は、フレーム12の形態の補強材によって補強される。フレーム12は、凹部11から靴1のヒール5に向かって延びる。フレーム12は、靴1の内部周縁のまわりに離間された複数のリブ14を含む。フレーム12は、硬質プラスチック等の硬質合成材料又はスチールから構成される。
【0018】
なお、凹部11によって、ボールをトウ7で相対的に正確にキックすることができる。さらに、ボールがトウ7でキックされるので、上記理由によりキックされるボールには多くのエネルギーが伝えられる。その結果、キックされるボールは高速となる。クリケットに使用される場合、靴1はまた、早い歩行を可能とする。これは、クリケット靴に通常与えられるトウのポイントが除去されるからである。
【0019】
本発明が特定の実施例を参照して説明されたが、他の多くの形態でも実施できる。例えば、靴の甲部は、合成材料、又はレザーと合成材料との組み合わせで形成されてよい。いくつかの実施例では、トウキック中の装着者へ伝達される力を低減するべく、付加的な補強材及び/又はパッドが凹部の内側に設けられてよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端にトウと他端にヒールとを有する靴本体を含み、
前記トウは、スポーツボールに当たる凹部を有する運動靴。
【請求項2】
前記凹部は、前記運動靴の使用が意図されるスポーツボールの半径に実質的に対応する半径を有する、請求項1に記載の運動靴。
【請求項3】
前記運動靴はフットボール/サッカー靴である、請求項1に記載の運動靴。
【請求項4】
前記運動靴は、プロラグビー、アマチュアラグビー、アメリカンフットボール、オーストラリア式フットボール、又はクリケットの靴である、請求項1に記載の運動靴。
【請求項5】
さらに、前記運動靴の内部であって前記凹部の近くにパッドを含む、請求項1に記載の運動靴。
【請求項6】
スポーツボールに当たる凹形状のトウ部を含む運動靴。
【請求項7】
前記凹形状のトウ部は、前記運動靴の使用が意図されるスポーツボールの半径に実質的に対応する半径を有する、請求項6に記載の運動靴。
【請求項8】
前記運動靴はフットボール/サッカー靴である、請求項6に記載の運動靴。
【請求項9】
前記運動靴は、プロラグビー、アマチュアラグビー、アメリカンフットボール、オーストラリア式フットボール、又はクリケットの靴である、請求項6に記載の運動靴。
【請求項10】
さらに、前記凹形状のトウ部を補強するべく前記凹形状のトウ部の近くに補強材を含む、請求項6に記載の運動靴。
【請求項11】
前記補強材は、前記凹部から前記ヒールに向かって延びるフレームを含む、請求項10に記載の運動靴。
【請求項12】
前記フレームは、前記本体の周縁のまわりに延びる複数のリブを含む、請求項11に記載の運動靴。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−517710(P2010−517710A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549337(P2009−549337)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【国際出願番号】PCT/AU2008/000174
【国際公開番号】WO2008/098289
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(509228868)メンフィス カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】