説明

運搬システム

【課題】ばら荷(特にコンクリート)を運搬するための運搬システムにおいて、簡単に再構築性できるようにする。
【解決手段】鉛直軸回りに回転可能に構成された回転アームに設けられ且つばら荷を荷下ろし場所まで運搬する運搬ベルトを備え、該ばら荷を該回転アームの自由端まで運搬して該自由端で荷下ろしする運搬システムであって、上記回転アームは、その回転軸心が固定の支持支柱に対して偏心して位置するように、該支持支柱に設けられた保持具に支持されていて、有利には、少なくとも1つの回転位置にあるときに、上側から見て該支持支柱に対して隣接するように配設される。本発明は更に、運搬システムの支持支柱及び運搬システムを再構築する方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛直軸回りに回転可能に構成された回転アームに設けられ且つばら荷(特に流動状又は反流動状のばら荷であって、具体的にはコンクリート)を荷降ろし場所まで運搬する運搬ベルトを備えて、該ばら荷を該回転アームの自由端まで運搬して該自由端で荷下ろしする運搬システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の運搬システムは、とりわけ、大量のコンクリートを必要とするダム建設現場などのような大きな建設現場において使用される。コンクリートは、通常、中央ミキサで用意されて、そこから運搬システムを介してそれぞれの荷降ろし場所まで運搬される。運搬システムに設けられた回転アームは、コンクリートを広範囲に分配することを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、建設工事が進むに連れて、運搬システムは、建設現場の変更に対応する必要があり、荷降ろし場所も時間と共に異なる場所に移動させる必要がある。そのために、従来の運搬システムでは、運搬システムの半径を増加させるために、回転アームを移動体に取り付けていた。これに対し、回転アームが固定の支持支柱に取り付けられていた場合には、運搬システムを再構築するために、回転アームを取り外して他の支持支柱に再度取り付ける必要があった。このことは、しばしば多くの労力を必要とし、従来の運搬システムについての高コストと関連していた。
【0004】
本発明の目的とするところは、ばら荷(特にコンクリート)を運搬するための運搬システムにおいて、簡単に再構築性できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、この目的は、請求項1による運搬システムによって達成される。この運搬システムは、鉛直軸回りに回転可能に構成された回転アームに設けられ且つばら荷(特にコンクリート)を荷下ろし場所まで運搬する運搬ベルトを備え、該ばら荷を該回転アームの自由端まで運搬して該自由端で荷下ろしするものである。本発明によると、上記回転アームは、その回転軸心が固定の支持支柱に対して偏心して位置するように、該支持支柱に設けられた保持具に支持されている。上記回転アームは、少なくとも1つの回転位置にあるときに、上側から見て上記支持支柱に隣接するように配設されることが有利である。支持支柱に対する回転アームの組み付け及び取り外しは、対応する保持具において、回転アームの偏心配置又は支持支柱に隣接する側方配置によって実質的に簡素化することができる。回転アームの偏心配置又は側方配置は、該回転アームの鉛直軸回りの回転性を向上させる。
【0006】
本発明によれば、回転アームは運搬ベルトを備えている。この運搬ベルトは、回転アームの回転軸の領域で他の運搬ベルトからばら荷を受け取って、該ばら荷を回転アームの自由端まで運搬する。この自由端には、上記ばら荷を例えばトラックへ荷降ろすための荷降ろし装置が設けられている。この荷降ろし装置は、例えば鉛直方向に延びるホースを含むことが可能である。さらに、回転アームにおける荷降ろし装置とは反対側にはカウンタウェイトを設けるようにすれば有利である。回転アームの支持構造は、格子構造であることが有利であり、格子状要素部材を組み合わせたものであることがより有利である。
【0007】
上記回転アームは、上記保持具に第1回転装置を介して支持された回転ユニオンに取り付けられていることが有利である。上記回転ユニオンは、ベルトブリッジの端部を第2回転装置を介して支持し、上記ベルトブリッジは、上記ばら荷を回転アームへ運搬する。これにより、回転アームは、支持支柱に対し第1回転装置を介して回転可能になるだけでなく、上記ばら荷を回転アームへ運搬するベルトブリッジに対しても、第2回転装置を介して回転可能になる。ベルトブリッジは、上記ばら荷を運搬するための運搬ベルトを有する格子構造とすることが有利である。上記運搬ベルトは、その終端が回転ユニオンの上に位置して、回転アームが、この回転ユニオンにより、ベルトブリッジの運搬ベルト上から上記ばら荷が落下して回転アームの運搬ベルト上に載るようにガイドされていることが有利である。上記ベルトブリッジは、回転アームが該ベルトブリッジに対して回転可能な状態を維持しつつ、回転ユニオンによって固定配置される。
【0008】
上記保持具は、上記回転アームを上記支持支柱よりも上側で回転可能とするべく、該支持支柱に、該支持支柱の上端位置よりも高い位置に位置するように配設されることが有利である。そのためには、回転ユニオンを、支持支柱の上端位置よりも高い位置に配置すればよい。この配置によれば、回転アームを360°回転させることができる。しかしながら、回転アームの上側に位置するベルトブリッジが水平方向に対して所定の角度で傾斜して延びている場合には、このことによって、回転アームの回転角度範囲を、幾分か(例えば約300°に)制限することができる。
【0009】
これとは対称的に、保持具が、回転アームを支持支柱の上端位置よりも上側で枢支できないような位置に配置されている場合には、回転アームの最大回転角度は支持支柱からの回転アームの距離に依存することとなって、回転アームの回転角度範囲は非常に小さくなる。しかし、回転角度範囲は50°よりも大きいことが有利である。
【0010】
上記支持支柱は、複数の要素部材、特に複数の格子状要素部材からなっていて、更なる要素部材を積み上げることで、支持支柱の高さを高くすることが可能であることが有利である。このように、支持支柱を複数の要素部材で構成することにより、支持支柱の高さを柔軟に変化させることができる。支持支柱を、タワークレーンのタワーに使用されるような複数の格子状要素部材で構成するようにしてもよい。
【0011】
本発明では、少なくとも一つの要素部材を、上記保持具及び/又は回転アームを取り外すことなく、上記支持支柱の上に積み上げることが可能であることが有利である。上記要素部材、特に格子状要素部材を、保持具又は回転アームを取り外すことなく、回転アームの上端部に積み上げることができるので、支持支柱の高さを回転アームを装着したままで変化させることができる。これにより、運搬システムの再構築をかなり柔軟に実行することができる。支持支柱の上端部に積み上げられた要素部材は、特に回転アームの組み付け又は取り外しのために利用することができる。
【0012】
本発明の運搬システムは、運搬経路を延長するための要素部材を備えるようにしてもよい。
【0013】
本発明の運搬システムは、第2保持具が設けられた第2支持支柱を更に備え、上記第2保持具は、2つのベルトブリッジの端部を支持することが有利である。この場合、第2支持支柱も固定されていることが有利である。また、2つのベルトブリッジの端部は、上側から見て、保持具を介して支持支柱の側方に隣接するように配設することが有利である。こうして、2つのベルトブリッジ(ばら荷を運搬するための運搬ベルトを備えたベルトブリッジ)は、第2保持具を介して互いに接続されて、ばら荷が一方のベルトブリッジの運搬ベルトから他方のベルトブリッジの運搬ベルトへと受け渡される。本運搬システムの運搬範囲は、第2支持支柱及び2つのベルトブリッジを使用することで拡大することができる。このように上記運搬範囲は、複数の支持支柱の使用及び複数のベルトブリッジの選択的な使用によって拡大することができる。
【0014】
本発明では、一方の上記ベルトブリッジは、上記第2保持具及び/又は他方のベルトブリッジに対して鉛直軸回りに回転可能となるように、上記第2保持具に設けられた回転ユニオンに取り付けられていることが有利である。例えば、上記一方のベルトブリッジは、上記第2保持具又は他方のベルトブリッジを取り外すことなくばら荷を他の位置へ運搬するために、回転可能で且つ該一方のベルトブリッジの他方の端部を他の支持支柱に取り付ける可能である。
【0015】
上記2つのベルトブリッジ用の第2保持具は、上記回転アーム用の保持具と同じ構造を有していることが有利である。これにより、保持具を、回転アーム及びベルトブリッジのいずれに対しても柔軟に使用することができる。個々のケースに対応するために、回転アーム又はベルトブリッジに適した回転ユニオンを使用することが有利である。
【0016】
また、本発明の運搬システムは、上記回転アーム及び/又は上記ベルトブリッジを吊り上げるためのリフト装置を備えていることが有利である。本発明の運搬システムを再構築するために、このリフト装置により回転アーム及び/又はベルトブリッジを吊り上げることができる。
【0017】
上記リフト装置は、支持支柱、特に支持支柱の上端部にセットされた要素部材に配設されていることが有利である。これにより、回転アーム又はベルトブリッジの保持具を、通常の作動状態において、支持支柱よりも上側の位置で回転するように支持支柱に配設することができる。運搬システムの再構築のために、更なる要素部材を支持支柱に積み上げることができ、この支持支柱には、リフト装置が回転アーム又はベルトブリッジを吊り上げるために配設される。
【0018】
回転アーム又はベルトブリッジの保持具は、固定の支持支柱における異なる高さ位置に取り付けるようにすることがより有利である。上記保持具を、支持支柱と、該支持支柱に隣接して配置され、回転アーム又はベルトブリッジを取り付けるための台部とを有する鋼鉄製構造体とすることが有利である。上記台部は、支持支柱に対して斜めに延びる支持アームを介して支持することが有利である。
【0019】
本発明は、ばら荷(特にコンクリート)を運搬するための運搬システムにおいて、少なくとも1つのベルトブリッジ及び/又は少なくとも1つの回転アームを支持するために使用される支持支柱を更に含み、上記支持支柱には、上側から見て上記ベルトブリッジ及び/又は回転アームが該支持支柱に隣接して位置するように、上記ベルトブリッジ及び/又は回転アームを保持する保持具が設けられており、上記ベルトブリッジ及び/又は回転アームは、上記支持支柱の上端位置よりも高い位置に配置されており、上記支持支柱は、その上端部に更なる要素部材を取り付けることで、上側に長く延長可能に構成されている。
【0020】
これにより、ベルトブリッジ又は回転アームを、通常の作動状態において、支持支柱よりも上側の位置で回転させることで、ベルトブリッジ又は回転アームの広範囲の回転が得られる。支持支柱は、例えば、回転アーム又はベルトブリッジを組み立てるか若しくは解体するか、又は、支持支柱の高さを高くするために、支持支柱の上端部に取り付けられる要素部材によって、保持具よりも上側に延長することができる。上側から見て回転アーム又はベルトブリッジが支持支柱に隣接して配置されていることにより、保持具、ベルトブリッジ又は回転アームを取り外すことなく、支持支柱の上端部に更なる要素部材を取り付けることができる。
【0021】
本発明の支持支柱は、上述したような運搬システムのための支持支柱であることがより有利である。
【0022】
本発明は、ばら荷(特にコンクリート)を運搬するための運搬システムを再構築する方法を更に含み、上記運搬システムは、上記ばら荷を運搬するための運搬ベルトを有するベルトブリッジ及び/又は回転アームを備えるものであり、上記ベルトブリッジ及び/又は回転アームを支持支柱に隣接して配置し、該ベルトブリッジ及び/又は回転アームを、該ベルトブリッジ及び/又は回転アームの上側にて上記支持支柱に配設されたリフト装置により吊り上げる。ベルトブリッジ又は回転アームの支持支柱の側方配置により、それらをリフト装置を介して問題なく吊り上げることができる。このことは、例えば、他の回転ジョイントの組み立て若しくは取り外し、又は上記保持部の異なる高さ位置への取り付けを可能とする。
【0023】
少なくとも1つの要素部材、特に格子状要素部材を、上記ベルトブリッジ及び/又は回転アームを吊り上げるために支持支柱の上に積み上げることで、リフト装置を要素部材に配設した状態で、支持支柱を保持具よりも上側に長く延長することが有利である。これにより、回転アーム又はベルトブリッジを、通常の作動状態において、支持支柱の上側で枢支することができる。本発明による運搬システムの再構築のために、少なくとも1つの要素部材によって支持支柱を延長することができて、リフト装置を回転アーム又はベルトブリッジよりも上側の位置で支持支柱に配設することができる。本発明による運搬システムの再構築の特に柔軟な形態では、例えば、回転アームを或る支持支柱から他の支持支柱に付け替えたり、保持具を取り外して異なる高さ位置に再度組み付けることで回転アーム又はベルトブリッジの高さ位置を変更したりすることができる。
【0024】
上記運搬システムの再構築後に、上記リフト装置が取り付けられた要素部材を再び取り外すことが有利である。これにより、回転アーム又はベルトブリッジの回転性を再度確保することができる。
【0025】
上記ベルトブリッジ及び/又は回転アームを吊り上げた後に、回転ユニオンの固定、取り外し、及び/又は交換を行い、その後に、上記ベルトブリッジ及び/又は回転アームを再び下降させることが有利である。
【0026】
本発明による、運搬システムの再構築の方法は、上述したような運搬システムの再構築に用いることが有利である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による支持支柱を含む本発明による運搬システムの実施形態を示す側面図である。
【図2】本発明による運搬システムの実施形態を示す平面図である。
【図3】本発明による運搬システムの代替実施形態の回転アームの回転角度を示す図である。
【図4】本発明による運搬システムの一部を示す側面図である。
【図5】本発明による運搬システムの再構築方法を説明するための側面図である。
【図6】本発明による運搬システムの再構築方法を説明するための側面図である。
【図7】本発明による運搬システムの再構築方法を説明するための側面図である。
【図8】本発明による運搬システムの上記実施形態を示す断面図である。
【図9】本発明による運搬システムの別の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る、ばら荷を運搬するための運搬システムを示す。本発明に係る運搬システムは、建設現場において、流動状又は反流動状のコンクリートを運搬するために使用される。このシステムでは、コンクリートは、例えばダム建設現場等において、コンクリートを生成するミキシングプラントから荷下ろし場までの長距離の区間に亘って運搬される。この目的のために、運搬システムは、コンクリートを運搬するための運搬ベルト1,2及び3を有している。運搬ベルト1及び3はそれぞれ、ベルトブリッジ30及び40に配設されて、ローラ4及び5又は10により連続的に駆動される。運搬ベルト1及び3はそれぞれ、モータ8及び11を介して駆動される。
【0029】
ベルトブリッジ30及び40は、2つの固定の支持支柱18及び38によって支持されている。上記コンクリートは、ベルトブリッジ40を介して支持支柱38へと運搬されるとともに、ベルトブリッジ30を介して支持支柱18へと順に運搬される。回転アーム12は、支持支柱18に沿って設けられた鉛直方向に延びる回転中心軸13回りに回転可能に取り付けられている。もう一つの運搬ベルト2は、回転アーム12に取り付けられていて、上記コンクリートは、該運搬ベルト2を介して回転アーム12の自由端まで運搬されるとともに、荷降ろし装置15を介して荷降ろしされる。回転アーム12に設けられた運搬ベルト2は、ローラ6及び7間に跨って連続走行するように構成されていて、モータ9を介して駆動される。回転アーム12における荷降ろし側とは反対側の部分にはカウンタウェイト16が設置されている。
【0030】
本発明によれば、回転アーム12は、その回転中心軸が支持支柱に対して偏心して延びるように、保持具22を介して支持支柱18に取り付けられている。回転アーム12は、上方から見て、支持支柱18に隣接する所定の回転領域内に配置されている。このような配置を実現するために、回転アーム12を支持する上記保持具22が、固定の支持支柱18の側方に配設されている。このような回転アーム12の偏心配置又は側方配置は、回転アーム12の回転性を確保するという観点のみならず、運搬システムの再構築性の観点において有利である。
【0031】
すなわち、ダム建設現場のように大きな建設現場では、コンクリートの荷降ろしがいつも一定の場所で行われる訳ではないので、荷降ろし場所の変更に関して高い柔軟性が必要とされる。回転アームの回転性向上及び運搬システムの再構築性の容易化は、この柔軟性を確保する上でかなり有利に作用する。回転アーム12を回転させることにより、荷降ろし装置15(本実施形態では、回転アーム12から下方に延びて荷降ろし位置と同じ高さレベルまで達するように、鉛直方向に延設されたホース)の位置を何の問題もなく変更することができる。これにより、例えば、コンクリートを輸送車17に積み込むために、コンクリートの荷降ろし位置を、回転アームの回転角度の範囲内で異ならせることができる。
【0032】
回転アーム12の回転性を確保するために、回転アーム12は回転ユニオン37に取り付けられている。この回転ユニオン37は、回転アーム12が固定の支持支柱18及びベルトブリッジ30の双方に対して回転可能となるように、第1回転装置23を介して上記保持具に支持されているとともに、第2回転装置24を介して固定のベルトブリッジ30を支持している。
【0033】
保持具22は、回転アーム12が支持支柱18よりも上側で回転可能となるように、支持支柱18の上端よりも高い位置で支持支柱18に取り付けられている。これにより、回転アーム12は、支持支柱18に対して360°の範囲で回転可能になっている。回転アーム12の回転角度は、傾斜して延びるベルトブリッジ30によって最大値を制限することができ、ベルトブリッジ30の傾斜角が15°で、回転アーム12の回転角度は300°に制限される。
【0034】
支持支柱18及び同じ構造の支持支柱38は、複数の格子状要素部材により構成されていて、格子状要素部材の数を異ならせることでそれぞれの支柱高さを変更可能になっている。支持支柱18及び38は、土台又はコンクリートに打ち込まれて各支柱の基礎をなす脚部21を備えている。支持支柱を構成する格子状要素部材19及び20はそれら脚部の上側に配設されている。保持具22は、上側の格子状要素部材20に設けられて、回転アーム12及びベルトブリッジ30を支持している。ベルトブリッジ30及び40、並びに回転アーム12も、同様に格子状要素部材により構成されている。各格子状要素部材同士の接続はボルト接続によるものとされている。
【0035】
回転アーム12の回転性は、本発明による運搬システムを上側から見た図2に示されている。保持具22は、支持支柱18の上側の格子状要素部材20に設けられて、それらを締結アームによって抱持して配置されている。保持具22は、支持支柱に隣接して配置され且つ回転アーム12を支持する台部を有している。回転アーム12は、回転装置23を介して、保持具22に対し回転可能に構成され、これにより、回転アーム12は支持支柱に対しても回転可能になっている。図2に示すように、回転装置23は、回転アーム12が支持支柱の基礎面と重ならないような、回転アーム12の少なくとも1つの位置が存在するように、支持支柱18の基礎エリア外に配置されている。保持具22は、回転アームが支持支柱18の上端位置よりも上側に位置して360°回転可能になるように支持支柱18に取り付けられている。ベルトブリッジ30の傾斜セッティングは、回転アーム12の回転角度をわずかに制限する。
【0036】
図3(a)及び(b)には、支持支柱が回転アームの下側位置で終端とならずに回転アーム12の回転角度が制限される場合の、回転アーム12の回転可能な角度範囲を対比して示す。図3(a)には、回転装置23を支持支柱20に対してかなり離間して配置した例を示し、この例では最大回転角度が130°になっている。これとは対称的に、図3(b)には、支持支柱18が回転アーム12の回転角度を制限するように、格子状要素部材20の上に更なる格子状要素部材を配設した例を示している。この例では、最大回転角度が75°に制限されている。
【0037】
回転アームは、上側から見たときに、少なくとも1つの回転位置において支持支柱に隣接して配置されているので、保持具22又は回転アーム12を取り外すことなく、更なる格子状要素部材を支持支柱18の上に配設することができる。このことは、運搬システムの再構築及び支持アームに対する更なる要素部材の付加には非常に大きな利点をもたらす。
【0038】
回転性の向上及び再構築性の容易化に関して、上述したのと同じことが、保持具22を介してベルトブリッジ30及び40を支持する固定の支持支柱38に対しても当てはまる。図1及び図4に示すように、支持支柱38は支持支柱18と同じ構造を有している。すなわち、支持支柱18は、上側の格子状要素部材20に配設され且つベルトブリッジ30及びベルトブリッジ40を支持する保持具22を有している。これら2つのベルトブリッジは、上側から見て、少なくとも1つの位置で、支持支柱に隣接して配置されている。そして、第1回転装置25が設けられており、この第1回転装置25を介してベルトブリッジ30が保持具22に支持され、第1回転装置25は、保持具22及び支持支柱38に対して回転可能である。また、ベルトブリッジ30がベルトブリッジ40に対しても回転可能となるようにベルトブリッジ40を支持する第2回転装置26が設けられている。回転ユニオン27は、この目的のために設けられており、ベルトブリッジ30が回転ユニオン27を通過し、回転ユニオン27は、第1回転装置25を介して保持具22に支持され、回転ユニオン27にベルトブリッジ40が第2回転装置26を介して支持される。ベルトブリッジ30の回転可能な支持によって、支持支柱に取り付けられた装置を取り外すことなく、ベルトブリッジ30を支持支柱18から不図示の他の支持支柱の方へ向けることができる。また、この目的のために、ベルトブリッジ30は、回転ユニオン27に設けられたローラ45上に取り替え可能に支持されている。これにより、支持支柱38からの距離と同じ長さを有していないベルトブリッジを設置することができる。
【0039】
図5〜図7に示すように、例えば回転アーム12を支持支柱38に取り付けるべく、ベルトブリッジ30を支持支柱38から取り外すことも可能である。支持支柱38を保持具22の上方に延長するために、更なる格子状要素部材28,29が、支持支柱38の上端部、つまり上側の格子状要素部材20に取り付けられる。この支持支柱38の延長は、ベルトブリッジ30及び40の保持具22を介した側方配置によって、何の問題もなく実現することができる。更なる保持具32が、ベルトブリッジ40よりも上側に取り付けられる。この保持具32は、ベルトブリッジ40を吊り上げるリフト装置42を支持する。そうして、ベルトブリッジ30を取り外すことができ、回転ユニオン27も取り外すことができる。回転ユニオン27を取り外した後は、図7に示すように、回転アーム12用の設計仕様の異なる回転ユニオン37を保持具22に取り付ける。そして、ベルトブリッジ40を、リフト装置を介して下降させることで、回転アーム12における回転ユニオン27の回転装置24上に載置することができる。或いは、図6に示すように、保持具22を、上昇させて、この上昇した状態で支持支柱に取り付けることも可能である。
【0040】
保持具22の上側に配置される追加の格子状要素部材28及び29は、回転アーム12又はベルトブリッジ30の回転性を確保するべく、運搬システムの再構築が完了した後に取り外すことが有利である。
【0041】
上記再構築とは逆の再構築は、逆の方法で行う。すなわち、ベルトブリッジ40を上昇させて、回転アームの回転ユニオン37をベルトブリッジ30の回転ユニオン27に取り替える。
【0042】
支持支柱18に対する回転アーム12の配置を図8に再度示す。保持具22は、回転アーム12が支持支柱18の上端よりも上側に位置して支持支柱18よりも上側で回転可能となるように、支持支柱18の上側の格子状要素部材20に取り付けられている。回転アーム12の回転性を確保するために、回転アーム12は、支持支柱18に隣接する保持具22上に設けられた回転装置23上の回転ユニオン37に取り付けられている。回転ユニオン37上には、更に別の回転装置24が配設されてベルトブリッジ30を支持している。このようにベルトブリッジは、回転ユニオン37を介して、保持具22つまり支持支柱18に回転可能に支持されている。
【0043】
回転アームが支持支柱18に対して隣接して支持されているので、回転アーム12及びベルトブリッジ30と同様に保持具22よりも上側に突出する更なる格子状要素部材を、格子状要素部材の上側に設けることができる。このことは、図9に示されており、同図では、格子状要素部材28及び29が支持支柱18に取り付けられている。この例では、更なる回転アームの更なる回転ユニオン47を支持する保持具42が、回転アーム12よりも上側に位置する格子状要素部材29に締結されている。この他にも、より複雑な運搬システムを実現することも可能である。すなわち、回転アーム用の保持具22、又は、1つ若しくは複数のベルトブリッジ用の保持具を、支持支柱の異なる高さに設けることも可能である。保持具22はそのための上昇を補助する。
【0044】
保持具の上に、例えば、更なる運搬を行わせるクレーンを配設することも可能である。このクレーンは、更なる保持具又は支持支柱上で、2つのベルトブリッジ又は回転アームを支持する役割を果たす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直軸回りに回転可能に構成された回転アームに設けられ且つばら荷を荷下ろし場所まで運搬する運搬ベルトを備え、該ばら荷を該回転アームの自由端まで運搬して該自由端で荷下ろしする運搬システムであって、
上記回転アームは、その回転軸心が固定の支持支柱に対して偏心して位置するように、該支持支柱に設けられた保持具に支持されていることを特徴とする運搬システム。
【請求項2】
請求項1記載の運搬システムにおいて、
上記回転アームは、上記保持具に第1回転装置を介して支持された回転ユニオンに取り付けられており、
上記回転ユニオンは、上記回転アームへばら荷を搬送するベルトブリッジの端部を第2回転装置を介して支持することを特徴とする運搬システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の運搬システムにおいて、
上記保持具は、上記回転アームを上記支持支柱よりも上側で回転可能とするべく、該支持支柱に、該支持支柱の上端位置よりも高い位置に位置するように配設されることを特徴とする運搬システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の運搬システムにおいて、
上記支持支柱は、複数の要素部材を備えていて、更なる要素部材を積み上げることで、支持支柱の高さを高くすることが可能であることを特徴とする運搬システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の運搬システムにおいて、
少なくとも1つの要素部材を、上記保持具及び/又は回転アームを取り外すことなく、上記支持支柱の上に積み上げることが可能であることを特徴とする運搬システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の運搬システムにおいて、
第2保持具が設けられた第2支持支柱を更に備え、
上記第2保持具は、2つのベルトブリッジの端部を支持することを特徴とする運搬システム。
【請求項7】
請求項6記載の運搬システムにおいて、
一方の上記ベルトブリッジは、上記第2保持具及び/又は他方のベルトブリッジに対して鉛直軸回りに回転可能となるように、上記第2保持具に設けられた回転ユニオンに取り付けられていることを特徴とする運搬システム。
【請求項8】
請求項6又は7記載の運搬システムにおいて、
上記2つのベルトブリッジ用の第2保持具は、上記回転アーム用の保持具と同じ構造を有していることを特徴とする運搬システム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の運搬システムにおいて、
上記回転アーム及び/又は上記ベルトブリッジを吊り上げるためのリフト装置を備えていることを特徴とする運搬システム。
【請求項10】
請求項9記載の運搬システムにおいて、
上記リフト装置は、支持支柱に配設されていることを特徴とする運搬システム。
【請求項11】
ばら荷を運搬するための運搬システムにおいて、少なくとも1つのベルトブリッジ及び/又は少なくとも1つの回転アームを支持するために使用される支持支柱であって、
上記支持支柱には、上側から見て上記ベルトブリッジ及び/又は回転アームが該支持支柱に隣接して位置するように、上記ベルトブリッジ及び/又は回転アームを保持する保持具が設けられており、
上記ベルトブリッジ及び/又は回転アームは、上記支持支柱の上端位置よりも高い位置に配置されており、
上記支持支柱は、その上端部に更なる要素部材を取り付けることで、上記保持具よりも上側に延長可能に構成されていることを特徴とする支持支柱。
【請求項12】
ばら荷を運搬するための運搬システムを再構築する方法であって、
上記運搬システムは、上記ばら荷を運搬するための運搬ベルトを有するベルトブリッジ及び/又は回転アームを備えるものであり、
上記ベルトブリッジ及び/又は回転アームを支持支柱の側方に隣接して配置し、該ベルトブリッジ及び/又は回転アームを、該ベルトブリッジ及び/又は回転アームの上側にて上記支持支柱に配設されたリフト装置により吊り上げることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、
上記ベルトブリッジ及び/又は回転アームを吊り上げるために用いる少なくとも1つの要素部材を支持支柱の上に積み上げることで、該支持支柱を保持具及びリフト装置よりも上側に延長することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、
上記運搬システムの再構築後に、上記要素部材を取り外すことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか1つに記載の方法において、
上記ベルトブリッジ及び/又は回転アームを吊り上げた後に、回転ユニオンの固定、取り外し、及び/又は交換を行い、その後に、上記ベルトブリッジ及び/又は回転アームを下降させることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−89966(P2010−89966A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−234935(P2009−234935)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(509282402)リープヘル−ミッシュテヒニーク ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】