説明

運搬方法及び装置

【課題】荷物をばら荷の状態から積重ならず、一列で、整列された状態に自動的に変える搬送装置及び搬送方法を提供する。
【解決手段】まず、物品が傾斜した第1のコンベア14に沿って上方に向って運搬され、他の物品の上に位置する物品が落ちて離れる。物品は第1のコンベアよりも速く走行する第2のコンベア16上に、第1のコンベアにほぼ直角に放出される。物品は次に、第2のコンベアから第2のコンベアよりも速くほぼ水平に走行する第3のコンベア18上に、第2のコンベアにほぼ直角に放出される。物品は第3のコンベアから、物品を第3のコンベアと同じ速度で第3のコンベアと同じ方向に走行する第4のコンベア20上に下方に向って案内する摺動面36上に放出される。摺動面は第4のコンベアの内側長手方向縁に向って横方向に傾斜され、物品を、前記長手方向縁に向って前記長手方向縁に沿って延びる垂直案内壁と係合するよう下方に向って案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ばらばらに供給される物品を、特に積重ならず分離した列状の物品を生み出すように運搬することに関する。
【背景技術】
【0002】
異なった大きさの荷物(例えば、箱、扁平物、柔軟小包み)の形式の郵便物のような、ばらで運搬される物品は一般にばらばらの方向に向けられあるいは上下に重なっている(すなわち3次元の配置)。荷物をこのようなばら荷の状態から積重ならず、一列で、整列された状態のような取扱いやすい状態に変えることが望まれる。多くは、これは労働集約的な手動で行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的はこの作用を自動的に行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は駆動される傾斜した第1のコンベアと、駆動されるほぼ水平の第2のコンベアと、駆動されるほぼ水平の第3のコンベアとを具備する運搬装置に関する。第1のコンベアは物品を上方に向って水平面に対し少なくとも25度の傾斜角で運搬するような向きに配置されている。第2のコンベアは第1のコンベアの上端に近接してその下側に配置され第1のコンベアから物品を受取るようにする。第2のコンベアは平面で見て第1のコンベアの走行方向に実質的に直角に走行する。第2のコンベアは第1のコンベアの少なくとも2倍の直線速度で走行する。第3のコンベアは第2のコンベアより低い高さで第2のコンベアの下流側端部に配設され物品を第2のコンベアから受取る。第3のコンベアは第2のコンベアの走行方向に対し実質的に直角に走行する。第3のコンベアは第2のコンベアの少なくとも2倍の直線速度で走行する。
【0005】
好ましくは第4のコンベアが実質的に水平方向に配置され第3のコンベアと実質的に同じ方向に物品を運搬するように位置している。第4のコンベアは第3のコンベアの下流側端部に近接してこれより低い高さに配設された上流側端部を含んでいる。第4のコンベアは第3のコンベアと実質的に同じ直線速度で走行する。
【0006】
好ましくは、垂直の案内壁が第4のコンベアの長手方向の縁に沿って延びていく。静止摺動面が第3のコンベアから第4のコンベアへと長手方向に下方に向って延びている。この摺動面はさらに垂直の壁に向って横方向に下方に向って延び物品を垂直の壁に向って押しつけるように案内する。
【0007】
本発明はまた物品を運搬する方法に関し、以下の段階を含んでいる。
(A)物品を少なくとも25度の角度の駆動される傾斜した第1のコンベア上を上方に向って運搬し、それにより他の物品の上に位置する物品を全て落下させるようにする。
(B)物品を第1のコンベアの上端から下方に向って、第1のコンベアの速度の少なくとも2倍の直線速度でほぼ水平方向に走行する第2のコンベア上に、平面で見て第1のコンベアの走行方向に実質的に直角の方向に、放出し、それにより物品が第2のコンベア上で一列に整列されるようにする。
(C)物品を第2のコンベアの下流側端部から下方に向って、第2のコンベアの速度の少なくとも2倍の直線速度でほぼ水平方向に走行する第3のコンベアの上流側端部の上に、平面で見て第2のコンベアの走行方向に実質的に直角の方向に、放出する。
【0008】
好ましくは、物品を第3のコンベアの下流側端部から下方に向って、第3のコンベアと実質的に同じ直線速度でほぼ長手方向に走行する第4のコンベアの上流側端部の上に第3のコンベアと実質的に同じ方向に放出するさらなる段階が存在する。
【0009】
好ましくはこの方法は、物品を第3のコンベアから第4のコンベアに、長手方向と横方向に傾斜した摺動面に沿って案内し、物品を第4のコンベアの1つの長手方向の縁に沿って延びる垂直の壁に向って案内するさらなる段階を含んでいる。
【0010】
本発明の他の形態は次の段階からなる物品を運搬する方法を含んでいる。
(A)物品をほぼ水平方向に走行する上流側コンベア上に導入し、物品が上流側コンベアの内側長手方向の縁に近接して平面で見て上流側コンベアの走行方向に実質的に直角の方向に導入される。
(B)上流側コンベアを上流側コンベア上に導入される物品の速度の少なくとも2倍の直線速度で駆動する。
(C)物品を、上流側コンベアの下流側端部から下流側コンベアの上流側端部へと下方に向って延びかつ下流側コンベアの内側長手方向の縁に向って横方向に傾斜している摺動面上に放出する。
(D)物品を摺動面に沿ってかつ下流側コンベアの内側長手方向の縁に沿って延びる垂直の壁と接触して案内する。
(E)下流側コンベアを上流側コンベアと実質的に同じ直線速度で駆動する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の目的と利点は、同一の符号が同一要素を示している添付図面と関連した好適な実施態様の以下の詳細な記載から明らかとなるであろう。
【0012】
図1と2には、異なった大きさと形状のまた場合によっては相互に積重なった郵便物のような、ばらばらの流れで受取られる物品を取扱うための単一型の運搬装置が示されている。これらの物品は、循環コンベア12から物品が供給される搬入コンベア10から、この運搬装置に配送される。運搬装置は、被駆動ローラを代わりに用いることもできるが、好ましくは被駆動無端ベルトの形式の第1、第2、第3及び第4のコンベア14,16,18,20を含んでいる。これらのベルトは適当な普通のモーター(図示しない)によって駆動される。
【0013】
これらコンベアの各々の放出端部は次のコンベアの搬入端部より高く、またこれらコンベアの直線速度は後述されるように各コンベアから次のコンベアへと次第に速くなるようになっている。
【0014】
第1のコンベア14は高い摩擦の運搬表面を有しまた水平面に対し少なくとも25度、好ましくは約30度の傾斜角度で上方に向って傾斜している。積重ね状態(すなわち一方が他方の上)で第1のコンベア14上に載置された物品は第1のコンベア14に沿って走行するにつれて積重ならなくなる。すなわち、上側の物品A1は積重なりの下側の物品A2から落下し、それにより物品の群が3次元状態(図2の搬入コンベア10の放出端部に示されている)から2次元状態(図2のベルト14上に示されている)に変換される。
【0015】
第1のコンベア14の上端部において、物品は平面で見て第1のコンベアの方向に直角なほぼ水平の方向に第1のコンベアの速度の少なくとも2倍の直線速度で走行する第2のコンベア上に放出される。したがって、物品が第2のコンベア16上に落下するにつれて、物品は迅速に移動される。すなわち、第1のコンベア14から受取られた物品の各列は次の列が放出される前に“引き離される”。したがって、物品は第2のコンベア上で一列の関係をとるようになる。
【0016】
好ましくは下方に向って傾斜した静止摺動面18が第1のコンベア14から第2のコンベア16へと延び物品を案内するようにしている。
【0017】
第2のコンベア16の下流側端部は第3のコンベア18の内側長手方向の縁30の上方に配設されている。第3のコンベアは平面で見て第2のコンベア16の走行方向に直角の水平方向に走行している。第3のコンベア18の直線速度は第2のコンベアの速度の少なくとも2倍であり、そのため第1のコンベアから第2のコンベアへの移送の間に達成された物品の整列された一列の関係は物品が第2のコンベアから第3のコンベアへと走行するにつれて改善される。
【0018】
好ましくは、静止摺動面24は下方に向って第2のコンベア16から第3のコンベア18へと延び物品を案内する。
【0019】
第4のコンベア20が第3のコンベアと同じ水平方向に低い高さで走行する。第4のコンベアの直線速度は第3のコンベアの速度と同じである。
【0020】
第3及び第4のコンベアの内側長手方向の縁30,33は相互に整列され、また垂直の案内壁34がこれらの縁に沿って延びている。静止摺動面36が第3のコンベアから第4のコンベアへと延びている。壁34に近接配置されたこの摺動面の内側部分が長手方向下方に向って傾斜するだけでなくまた壁34に向って横方向下方にも傾斜している。したがって、物品は摺動面36に沿って下方に走行するにつれて壁34と係合して案内されることになる。
【0021】
これにより物品は正しく配置され、1996年5月28日に出願されその開示が本明細書に参照例として記載されている米国出願シリアル番号08/654,193に開示されている型の並んだ排除装置40を通って走行するようになる。このような排除装置は物品がここから一列の関係でのみ放出されるのを保証する。物品が並んだ関係で排除装置に入る場合には、外側の物品(すなわち、壁38から離れて位置する物品)が循環コンベア46の上に滑り落ちそして搬入コンベア10に戻されるようになる。
【0022】
流れ制御コンベア部分50が排除装置40の下流側に配設されている。流れ制御部分50は1995年12月21日に出願されその開示が本明細書に参照例として記載されている米国出願シリアル番号08/576,475に開示されている型とすることができる。流れ制御コンベアは第1及び第2のコンベア52,54を含んでいる。第2のコンベア54は第1のコンベア52より速く走行し、物品の間の間隔を調整する。流れ制御コンベア部分50から落下した物品は全て循環コンベア46によって搬入コンベア10に運搬されるようになる。
【0023】
このコンベア装置はばらばらの物品を積重ねず一列の関係に整列させる作用をし、それにより物品のさらなる取扱いを容易にすることが理解されるであろう。
【0024】
コンベアの相対的な直線速度の一例は次のとおりである。すなわち、コンベア14は16.7m/min(55フィート/分)、コンベア16は36.5m/min(120フィート/分)、コンベア18は82m/min(270フィート/分)、そしてコンベア20は82m/min(270フィート/分)である。第1のコンベア14と第2のコンベア16との放出端部の間の高さの差は30.5cm(12インチ)、第4のコンベア16と第3のコンベア18との放出端部の間では10.2cm(4インチ)、第3及び第4のコンベア18,20の間では20.3cm(8インチ)とすることができる。
【0025】
第2、第3、及び第4のコンベア16,18及び20は好ましくは比較的低い摩擦の運搬表面を有し物品が摺動面18,24及び36から搬入されるのを容易にする。
【0026】
本発明は好ましくは実施態様に関連して記載されてきたが、当業者によって、詳細には記載されていない付加、削除、変更、置換が請求の範囲に規定されている本発明の精神と範囲から逸脱することなく行われることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による運搬装置の概略頂面図である。
【図2】図1に示される運搬装置の頂部斜面図である。
【図3】図1の3−3線に沿った垂直断面図である。
【符号の説明】
【0028】
10 搬入コンベア
14 第1のコンベア
16 第2のコンベア
18 第3のコンベア
20 第4のコンベア
24 静止摺動面
34 案内壁
36 静止摺動面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬装置であって、
物品を上方に向って水平面に対し少なくとも25度の傾斜角度で運搬するよう配置された被駆動の傾斜した第1のコンベアと、
第1のコンベアに近接しかつ第1のコンベアの上端部の下側に配設され物品を第1のコンベアから受取る被駆動のほぼ水平の第2のコンベアであって、平面で見て第1のコンベアの走行方向と実質的に直角に走行し、第1のコンベアの速度の少なくとも2倍の直線速度で走行する、第2のコンベアと、
第2のコンベアの下流側端部に第2のコンベアより低い高さで配設され第2のコンベアから物品を受取る被駆動のほぼ水平の第3のコンベアであって、第2のコンベアの走行方向に対し実質的に直角に走行し、第2のコンベアの速度の少なくとも2倍の直線速度で走行する、第3のコンベアと、を具備している、運搬装置。
【請求項2】
実質的に水平に配設され物品を第3のコンベアと実質的に同じ方向に運搬するよう配置されている第4のコンベアをさらに含み、第4のコンベアが第3のコンベアの下流側端部に近接しかつこれより低い位置に配設された上流側端部を含み、また第3のコンベアと実質的に同じ直線速度で走行する、請求項1に記載の運搬装置。
【請求項3】
第4のコンベアと長手方向の縁に沿って延びる垂直の案内壁と、第3のコンベアから第4のコンベアへと長手方向下方に向って延びかつ垂直案内壁に向って横方向下方に向って延びている静止した摺動面とをさらに含んでいる、請求項2に記載の運搬装置。
【請求項4】
第1のコンベアの運搬表面が第2のコンベアの運搬表面より高い摩擦係数を有している、請求項1に記載の運搬装置。
【請求項5】
第1、第2、第3、及び第4のコンベアが無端ベルトコンベアを具備している、請求項2に記載の運搬装置。
【請求項6】
第1のコンベアの傾斜角度が約30度である、請求項1に記載の運搬装置。
【請求項7】
第1のコンベアから第2のコンベアへと走行する物品を案内するよう位置している下方に傾斜し静止した第1の摺動面をさらに含んでいる、請求項1に記載の運搬装置。
【請求項8】
第2のコンベアから第3のコンベアへと走行する物品を案内するよう配置された下方に傾斜し静止した第2の摺動面をさらに含んでいる、請求項7に記載の運搬装置。
【請求項9】
物品を運搬する方法であって、
(A)物品を被駆動の傾斜した第1のコンベア上を少なくとも25度の角度で上方に向って運搬し、それにより他の物品の上に位置する物品が落ちて離れるようにする段階と、
(B)物品を第1のコンベアの上端部から下方に向って、第1のコンベアの速度の少なくとも2倍の直線速度でほぼ水平に走行する第2のコンベア上に、平面で見て第1のコンベアの走行方向とは実質的に直角の方向に放出し、それにより物品が第2のコンベア上で一列に整列されるようにする段階と、
(C)物品を第2のコンベアの下流側端部から下方に向って、第2のコンベアの速度の少なくとも2倍の直線速度でほぼ水平方向に走行する第3のコンベアの上流側端部上に、平面で見て第2のコンベアの走行方向に実質的に直角の方向に放出する段階と、を含んでいる、物品の運搬方法。
【請求項10】
物品を第3のコンベアの下流側端部から下方に向って、第3のコンベアと実質的に同じ直線速度でほぼ水平に走行する第4のコンベアの上流側端部上に、第3のコンベアと実質的に同じ方向に、放出する段階(D)をさらに含んでいる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
段階(D)が、物品を第3のコンベアから第4のコンベアに長手方向と横方向とに傾斜した摺動面に沿って案内し、物品を第4のコンベアの一方の長手方向の縁に沿って延びる垂直壁に向って案内することを含んでいる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
段階(A)が、物品を第2のコンベアより高い摩擦係数の運搬表面を有する第1のコンベア上で運搬することを含んでいる、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
段階(B)が物品を下方に傾斜する静止した第1の摺動面に沿って第1のコンベアから第2のコンベアに案内することを含んでいる、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
段階(C)が物品を下方に傾斜する静止した第2の摺動面に沿って第2のコンベアから第3のコンベアに案内することを含んでいる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
物品を運搬する方法であって、
(A)物品をほぼ水平方向に走行する上流側コンベア上に導入する段階であって、物品が上流側コンベアの内側の長手方向縁に近接して、平面で見て上流側コンベアの走行方向に実質的に直角の方向に、導入される、物品の導入段階と、
(B)上流側コンベアを上流側コンベア上に導入される物品の速度の少なくとも2倍の直線速度で駆動する段階と、
(C)物品を上流側コンベアの下流側端部から下流側コンベアの上流側端部へと下方に向って延びる摺動面上に放出する段階であって、摺動面が下流側コンベアの内側の長手方向縁に向って横方向に傾斜している、物品の放出段階と、
(D)物品を、摺動面に沿いかつ下流側コンベアの内側長手方向縁に沿って延びている垂直壁に接触して、案内する段階と、
(E)下流側コンベアを上流側コンベアと実質的に同じ直線速度で駆動する段階と、を含んでいる、物品の運搬方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−308340(P2008−308340A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203581(P2008−203581)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【分割の表示】特願2000−503008(P2000−503008)の分割
【原出願日】平成10年7月8日(1998.7.8)
【出願人】(505277521)サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ (284)
【Fターム(参考)】