説明

運用管理支援装置

【課題】情報処理システムの運用管理において議事録の有効活用を支援する。
【解決手段】運用管理支援装置16は、情報処理システムにおいて発生したインシデントに関する属性情報を保持するインシデント属性保持部22と、インシデントの属性情報を表示する画面であり、そのインシデントを議題とした会議の識別情報と議事内容とが入力される画面を表示させるインシデント情報表示部24と、同一の会議の識別情報が入力された複数のインシデントについて、それらのインシデントのそれぞれに入力された議事内容を1つの議事録データへ転記する議事録設定部26を備える。インシデント情報表示部24は、上記複数のインシデントそれぞれの画面で、各インシデントに対する議事内容とともに議事録データへのリンクを表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ処理技術に関し、特に、情報処理システムの運用管理を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理システムの運用管理の分野においてITIL(Information Technology Infrastructure Library)が浸透してきている。ITILは、情報処理システムで発生したインシデントを管理するためのフレームワークや、情報処理システムが抱える問題を管理するためのフレームワークを提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−348310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インシデントや問題を検討する会議においてはその議事録が作成されることがある。議事録は、会議の議事内容を記録した重要な証左物であるが、情報処理システムの運用管理において一層有効に活用できる余地があると本発明者は考えた。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、情報処理システムの運用管理において議事録の有効活用を支援するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の運用管理支援装置は、情報処理システムにおいて発生したイベントに関する属性情報の保持部と、イベントの属性情報を表示する画面であって、そのイベントを議題とした会議の識別情報と議事内容とが入力されるイベント画面を表示させるイベント表示部と、同一の会議の識別情報が入力された複数のイベントについて、それらのイベント画面のそれぞれに入力された議事内容を1つの議事録データへ転記する議事録設定部と、を備える。イベント表示部は、複数のイベントそれぞれのイベント画面において、各イベントに対する議事内容とともに議事録データへのリンクを表示させる。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、情報処理システムの運用管理において議事録の有効活用を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】インシデント情報画面を示す図である。
【図2】図1の経過情報の表示例を示す図である。
【図3】議事録の表示画面を模式的に示す図である。
【図4】実施の形態の運用管理システムの構成を示す図である。
【図5】図4の運用管理支援装置の機能構成を示すブロック図である。
【図6】議事録属性保持部に格納される議事録データを示す図である。
【図7】対応関係保持部に格納される対応関係データを示す図である。
【図8】回覧経路保持部に格納される回覧経路情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態の運用管理システムは、ITサービス企業(例えばSI企業)に構築されたコンピュータシステムである。この運用管理システムは、複数の情報処理システムに対する運用管理サービスを提供し、言い換えれば、ITサービス企業の運用部門による複数の情報処理システムに対する運用管理業務を支援する。具体的には、各情報処理システムで発生したインシデントや、各情報処理システムが抱える問題を管理するための処理を実行する。以下では、主にインシデント管理の構成について説明するが、問題管理においても同様の構成が適用できることは当業者には理解されるところである。
【0011】
まず、運用管理システムが提供するユーザインタフェースを示しつつ、運用管理システムの概要を説明する。図1はインシデント情報画面を示す。インシデント情報画面は、運用管理システムに保持されたインシデントに関する各種の属性情報を表示する。運用部門の担当者(以下、「運用担当者」とも呼ぶ。)は、インシデント情報画面に対して基本情報40や詳細情報42を入力して新たなインシデントを起票する。運用担当者は、インシデントに対する検討や作業の進展に伴って、インシデント情報画面において経過情報44を逐次追加し、またインシデントのステータスを適宜変更する。実施の形態では、インシデントの経過情報44として、そのインシデントを議題とした会議に関する情報(以下、「会議情報」とも呼ぶ。)が入力され、また表示される。
【0012】
図2は、図1の経過情報44の表示例を示す。図2の経過情報44では、特定のインシデントについて入力された会議情報を示している。議事録チェックボックス50は、この経過情報が会議の議事録の場合にチェックされる。会議名欄52および会議日時欄54は会議を一意に特定するための会議の識別情報が入力・表示されるフィールドであり、会議名欄52には会議名が入力・表示され、会議日時欄54には会議の実施日時が入力・表示される。議事録リンク56は、経過情報44の会議情報を含む議事録へのリンク(例えば議事録の表示画面へのハイパーリンク)であり、議事録リンク56が選択されるとその議事録リンク56に予め対応づけられた議事録が表示される。詳細は後述するが、議事録リンク56は、会議情報の入力後、議事録が作成された場合に自動で設定される。議事内容欄58には、インシデント情報画面で表示されたインシデントに関する議事内容が入力・表示される。
【0013】
実施の形態の運用管理システムは、インシデント情報画面の経過情報44に入力された会議情報にもとづいて、会議の議事録の作成を支援する。具体的には、運用担当者が会議名・会議日時・参加者を指定して議事録の作成を指示すると、インシデントの経過情報からその会議の議事内容を自動で取得して議事録のデータを設定する。
【0014】
図3は、議事録の表示画面を模式的に示す。実施の形態の議事録は、運用担当者が指定した会議名・会議日時・参加者の情報に加えて、各インシデントから転記された議事内容を含む。議事内容には、各インシデントへのリンクであるインシデントリンク60が自動で設定される。図3では、インシデントID「0001」に対するインシデントリンク60aとインシデントID「0002」に対するインシデントリンク60bを示している。インシデントリンク60は、例えば、インシデント情報画面へのハイパーリンクである。インシデントリンク60が選択されると、インシデントIDに対応するインシデント情報画面が表示される。このように実施の形態の運用管理システムは、インシデント情報画面と議事録画面とを双方向でリンクすることにより、システムの運用管理において議事録を有効に活用できるよう支援する。
【0015】
以上説明した運用管理システムについて具体的な構成を以下説明する。
図4は、実施の形態の運用管理システム100の構成を示す。情報処理システム10で総称される情報処理システム10a、情報処理システム10b、情報処理システム10c、・・・は、様々な企業の基幹系システムや情報系システムを含む。運用管理システム100は、複数の情報処理システム10に対する運用管理サービスを提供する。
【0016】
運用管理システム100は、監視装置12と、担当者端末14と、運用管理支援装置16と、承認者端末18を含む。運用管理支援装置16は、情報処理システム10で発生したインシデントや情報処理システム10が抱える問題を管理する情報処理装置である。実施の形態では運用管理支援装置16の構成としてインシデントに関する議事録管理の構成を説明するが、問題に関する議事録管理も同様の構成で実現可能であることは当業者には理解されるところである。運用管理支援装置16の詳細な機能構成は後述する。
【0017】
監視装置12は、複数の情報処理システム10の動作状態を監視し、例えば死活監視処理やハードウェアリソースの使用状況の監視処理を実行する。情報処理システム10の動作状態が所定の異常状態になった場合、監視装置12は、新たなインシデントを起票してそのインシデントの情報を運用管理支援装置16へ送信する。また監視装置12は、インシデントを起票済の情報処理システム10の動作状態が変化した場合、そのインシデントの更新情報を運用管理支援装置16へ送信する。監視装置12から運用管理支援装置16へ送信される情報は、図1で示したインシデントの各種属性情報である。
【0018】
担当者端末14は、運用担当者により操作される情報処理端末であり、インシデント情報画面を所定のディスプレイに表示させる。担当者端末14は、情報処理システム10で発生したインシデントに関する情報(例えばインシデント情報画面に対して入力されたインシデントの起票情報や更新情報)の入力を運用担当者から受け付ける。そして、その情報を運用管理支援装置16へ送信する。担当者端末14から運用管理支援装置16へ送信される情報も、図1で示したインシデントの各種属性情報である。
【0019】
承認者端末18は、運用部門の管理者により操作される情報処理端末であり、議事録のデータを運用管理支援装置16から受信してディスプレイに表示させる。管理者がその議事録の内容を承認すると、承認者端末18は議事録が承認された旨を示す情報を運用管理支援装置16へ送信する。
【0020】
図5は、図4の運用管理支援装置16の機能構成を示すブロック図である。運用管理支援装置16は、インシデント情報受付部20と、インシデント属性保持部22と、インシデント情報表示部24と、議事録設定部26と、議事録属性保持部28と、対応関係保持部30と、回覧経路保持部32と、議事録表示部34と、議事録編集部36と、回覧処理部38を含む。
【0021】
本明細書のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。例えば、図5の各機能ブロックは、運用管理支援プログラムとして記録媒体に格納され、運用管理支援装置16のストレージへインストールされてもよい。そして、運用管理支援プログラムの起動時に、各機能ブロックに対応するプログラムモジュールがメインメモリに読み出されてCPUにより実行されてもよい。
【0022】
インシデント属性保持部22は、複数の情報処理システム10のそれぞれにおいて発生したインシデントに関する属性情報を保持する記憶領域である。この属性情報は、図1のインシデント情報画面で示した各種情報項目であり、図2で示したように、インシデントの経過情報44として入力された会議情報も含む。
【0023】
インシデント情報表示部24は、インシデント属性保持部22に保持されたインシデントの属性情報を表示する図1のインシデント情報画面のデータを担当者端末14へ送信して、担当者端末14にインシデント情報画面を表示させる。なお、図2で示したようにインシデント情報画面において議事録リンク56を表示させる機能については後述する。
【0024】
インシデント情報受付部20は、監視装置12から、インシデントの各種属性情報を指定したインシデントの起票情報および更新情報を受け付けて、インシデントの属性情報をインシデント属性保持部22へ格納する。インシデント情報受付部20は、インシデントの起票情報を受け付けた場合、そのインシデントを管理支援装置16において一意に特定するためのインシデントIDを採番して、そのインシデントIDもインシデント属性保持部22へ格納する。また、インシデントの更新情報として経過情報を受け付けた場合、その経過情報をインシデント内で一意に特定するための経過情報IDを採番して、そのIDと経過情報とをインシデント属性保持部22へ格納する。
【0025】
またインシデント情報受付部20は、担当者端末14から、インシデント情報画面に入力されたインシデントの属性情報をインシデントの起票情報や更新情報として受け付ける。この属性情報には、インシデントの経過情報として入力された会議情報(例えば図2で示した情報)も含まれる。インシデント情報受付部20は、担当者端末14から受け付けたインシデントの属性情報をインシデント属性保持部22へ格納する。なお、図2の議事録チェックボックス50がチェックされていた場合、インシデント情報受付部20は、会議情報フラグを経過情報(すなわち会議情報)に付加する。
【0026】
議事録属性保持部28は、議事録設定部26により作成された議事録のデータを保持する記憶領域である。対応関係保持部30は、複数のインシデントと、それら複数のインシデントの会議情報が転記された議事録との対応関係を保持する記憶領域である。議事録属性保持部28と対応関係保持部30に保持されるデータの具体例は後述する。
【0027】
議事録設定部26は、担当者端末14から議事録の設定要求を受け付けて、議事録を自動設定する。議事録の設定要求では、議事録の対象となる会議名・会議日時・参加者が指定される。具体的には、議事録設定部26は、議事録の設定要求で指定された会議名および会議日時を会議の識別情報とし、それらを検索キーとして、インシデント属性保持部22に保持されたインシデントであり、会議情報フラグが付加されたインシデントを検索する。そして、インシデント属性保持部22に保持されたインシデントの中から、議事録の設定要求で指定された会議名および会議日時と整合する会議情報を属性として有するインシデントを議事抽出対象として特定する。実施の形態では複数のインシデントが議事抽出対象として特定されることとする。
【0028】
なお、議事録の設定要求で指定される会議の識別情報は会議日時だけであってもよく、インシデントの属性としてのシステム名がさらに含まれてもよい。また、会議日時が一致するインシデントのみを議事抽出対象として特定してもよく、会議日時が一部重複するインシデントについても議事抽出対象として特定してもよい。また議事録設定部26は、議事抽出対象として特定した1以上のインシデントの情報を議事抽出候補として担当者端末14へ提供して、担当者端末14に議事抽出候補のインシデントを表示させてもよい。そして担当者端末14において議事抽出候補の中から選択されたインシデントを確定的な議事抽出対象のインシデントとして特定してもよい。
【0029】
議事録設定部26は、議事録の設定要求に応じて、議事録を一意に特定するための議事録IDを採番し、その議事録IDと、議事録の設定要求で指定された会議名・会議日時・参加者を示す文字列を議事録属性保持部28へ格納する。それとともに、議事抽出対象として特定した複数のインシデントのそれぞれから、インシデントIDと、議事内容欄58に記載された文字列とを取得して議事録属性保持部28へ格納する。
【0030】
図6は、議事録属性保持部28に格納される議事録データの例を示す。同図の議事録ID「00001」は、図3で示した議事録に対応する。図6の議事内容1は、議事録抽出対象として特定された1つ目のインシデントが属性として有する議事内容が転記されたものである。また議事内容2は、議事録抽出対象として特定された2つ目のインシデントが属性として有する議事内容が転記されたものである。同図の回覧経路ID、承認ステータス、編集可否フラグについては後述する。承認ステータスの初期値は「申請前」である。編集可否フラグの初期値は「可」であり、編集可能であることを示す。
【0031】
図5に戻り、議事録設定部26は、自動設定した議事録のIDと、議事抽出対象として特定したインシデントのIDと、そのインシデントにおいて会議情報が記録された経過情報のIDとを対応づけて対応関係保持部30へ格納する。図7は、対応関係保持部30に格納される対応関係データの例を示す。同図では、議事録ID「00001」と対応づけて、インシデントID「0001」の経過情報ID「003」と、インシデントID「0002」の経過情報ID「002」が対応づけられている。
【0032】
図5に戻り、議事録表示部34は、議事録の表示要求を担当者端末14から受け付けて、その表示要求で指定された議事録のデータを議事録属性保持部28から取得して担当者端末14へ送信し、担当者端末14において議事録を表示させる。議事録の表示要求では議事録の識別情報が指定される。例えば議事録IDが指定されてもよく、会議名および会議日時が指定されてもよい。
【0033】
また議事録表示部34は、対応関係保持部30に保持された対応関係を参照して、表示対象の議事録IDと対応づけられたインシデントIDと経過情報IDを特定する。そして、そのインシデントIDおよび経過情報IDにより特定されるインシデント画面へのリンク(例えばハイパーリンクであってもよく、以下、「インシデントリンク」とも呼ぶ。)を議事録のデータへ設定する。インシデントリンクは特定のインシデントIDおよび経過情報IDと対応づけられ、当該リンクが選択された場合に、それらのIDを指定したインシデント情報画面の表示要求を運用管理支援装置16へ送信させる命令であると言える。実施の形態の議事録表示部34は、議事録内の議事内容エリアに設定したインシデントIDを示す文字列に対して、そのインシデントIDと、会議情報を含む経過情報のIDとにより特定されるインシデント画面へのリンクを設定する。
【0034】
例えば議事録表示部34は、図6の議事録データの議事録ID「00001」にもとづいて図3に示す議事録の画面データを担当者端末14へ送信して表示させる。図3のインシデントリンク60bが選択された場合、担当者端末14は、インシデントリンク60bに対して予め設定されたインシデントID「00002」・経過情報ID「002」を指定したインシデント情報の表示要求を運用管理支援装置16へ送信する。インシデント情報表示部24は、その表示要求に応じて、インシデントID「00002」・経過情報ID「002」により特定されるインシデント情報画面、具体的には図2の経過情報44を含むインシデント情報画面のデータを担当者端末14へ送信して表示させる。
【0035】
インシデント情報表示部24は、特定のインシデントについてのインシデント情報画面を表示させる際、対応関係保持部30に保持された対応関係を参照して、そのインシデントIDが議事録IDと対応づけられているか否かを判定する。議事録IDと対応づけられていた場合、経過情報44として表示する会議情報に対して、その議事録IDにより特定される議事録の表示画面へのリンク(例えばハイパーリンクであってもよく、以下、「議事録リンク」とも呼ぶ。)を設定する。議事録リンクは特定の議事録IDと対応づけられ、当該リンクが選択された場合に、その議事録IDを指定した議事録の表示要求を運用管理支援装置16へ送信させる命令であると言える。
【0036】
例えば、図2の経過情報44を含むインシデント情報画面において議事録リンク56が選択された場合、担当者端末14は、議事録リンク56に対して予め設定された議事録ID「00001」を指定した議事録の表示要求を運用管理支援装置16へ送信する。議事録表示部34は、その表示要求に応じて、議事録ID「00001」により特定される議事録、具体的には図3の議事録の画面データを担当者端末14へ送信して表示させる。
【0037】
議事録編集部36は、画面表示された議事録に対する運用担当者の入力データ、すなわち議事録の変更内容を担当者端末14から受け付ける。そして、その変更内容を議事録属性保持部28の議事録データへ反映させる。言い換えれば、担当者端末14において議事録が編集された場合、編集後の議事録データにより、議事録属性保持部28に格納されていたそれまでの議事録データを更新する。議事録編集部36は、議事録データを更新する際に更新対象の議事録に対して設定されている編集可否フラグを参照し、そのフラグが編集不可を示す場合、議事録データの更新を拒否してそれまでの議事録データを維持する。
【0038】
回覧経路保持部32は、議事録に対する管理者の承認を得るために、議事録を管理者に回覧させる経路を示す情報(以下、「回覧経路情報」とも呼ぶ。)を保持する。図8は、回覧経路情報の構成を示す。例えば、承認フローID「3001」は、ユーザID「400001」の管理者による承認後、ユーザID「400002」の管理者による承認が行われることを示している。
【0039】
回覧処理部38は、担当者端末14において議事録の管理者への回覧要求が入力された場合、その回覧要求を担当者端末14から受け付ける。議事録の回覧要求では、回覧経路保持部32に保持された複数の回覧経路から選択された1つの回覧経路と、回覧対象の議事録のIDが指定される。回覧処理部38は、議事録属性保持部28における回覧対象の議事録データについて、回覧要求で指定された回覧経路のIDを設定し、承認ステータスを「承認申請中」へ変更する。そして、議事録データ(例えば図3に示す情報)を、回覧要求で指定された回覧経路で定められた管理者の端末(承認者端末18)へ送信する。その管理者の端末から議事録を承認した旨の情報を受け付けると、回覧経路で定められた次の管理者の端末へ議事録データを送信する。回覧経路で定められた全ての管理者により議事録が承認された場合、回覧処理部38は、議事録属性保持部28の議事録データにおける承認ステータスを「承認済」へ変更し、編集可否フラグを「不可」へ変更する。
【0040】
なお回覧処理部38は議事録IDを指定した電子メールを承認者端末18へ送信してもよく、議事録表示部34はその議事録IDを指定した議事録の表示要求を承認者端末18から受け付けて、議事録の画面データを承認者端末18へ送信してもよい。そして、議事録の表示画面で承認を示す所定操作が行われると、回覧処理部38は管理者が議事録を承認した旨を示す情報を承認者端末18から受け付けてもよい。
【0041】
以上の構成による運用管理支援装置16の動作を以下説明する。
インシデント情報受付部20は、複数の情報処理システム10で発生したインシデントについて、新たに起票されたインシデントの属性情報や、属性情報が追加・更新・削除されたインシデントの更新情報を監視装置12および担当者端末14から受け付ける。インシデント属性保持部22は、インシデント情報受付部20で受け付けられたインシデントの属性情報を保持する。複数のインシデントを議題とした会議が行われた場合、各インシデントのインシデント情報画面において会議の識別情報と各インシデントに関する議事内容を含む会議情報が経過情報として入力される。そして、各インシデントの会議情報はインシデント情報受付部20により受け付けられてインシデント属性保持部22に格納される。
【0042】
議事録設定部26は、担当者端末14から議事録の設定要求を受け付けると、その設定要求で指定された会議の識別情報に整合する会議情報を有する複数のインシデントを議事録抽出対象として特定する。そして、議事録抽出対象のインシデントが属性として有する議事内容を議事録データへ転記して議事録属性保持部28へ格納する。またインシデントと議事録との対応関係を対応関係保持部30へ格納する。議事録表示部34は、担当者端末14から議事録の表示要求を受け付けると、議事録属性保持部28からその議事録のデータを取得して担当者端末14へ送信する。その際に、議事録表示部34は、対応関係保持部30においてその議事録と対応づけられた各インシデントの表示画面へのリンクを議事録のデータへ設定し、議事録の表示画面においてインシデントリンクを表示させる。
【0043】
インシデント情報表示部24は、あるインシデントのインシデント情報画面を表示させる際、対応関係保持部30においてそのインシデントと対応づけられた議事録の表示画面へのリンクをインシデントのデータとして設定する。そして、インシデント情報画面において議事録リンクを表示させる。回覧処理部38は、担当者端末14から議事録の回覧要求を受け付けると、その回覧要求で指定された経路にしたがって1以上の管理者に議事録を回覧させる。そして、回覧対象の議事録が管理者により承認された場合、回覧処理部38はその議事録のデータに対して編集禁止のフラグを設定し、議事録編集部36は編集禁止のフラグが設定された議事録データの編集を拒否する。編集禁止のフラグが設定された議事録データを表示させる議事録表示部34は、編集禁止の旨を議事録の表示画面に表示させてもよく、編集不可であることを示す所定の態様で議事録を表示させてもよい。
【0044】
実施の形態の運用管理支援装置16によれば、会議情報を表示したインシデント情報画面に議事録へのリンクが設定される。これにより、インシデントの情報から議事録を容易に参照でき、議事録の有効活用を実現して、効率的なシステムの運用管理を支援する。
【0045】
例えば、システムの運用管理に関する会議では複数のインシデント(例えば同一の情報処理システムで発生した複数のインシデント)に関して一度に検討されることがある。このような会議では、1つのインシデントに関する検討結果の影響を受けて他のインシデントの検討結果が決まることがある。しかし後日に1つのインシデントの情報(経過情報としての会議情報)を見ただけでは、その検討結果に至った理由が不明であることも多い。実施の形態のインシデント情報画面には議事録リンクが設定されるため、ユーザはインシデント画面から議事録画面へ即時に切り替えて、議事録の内容を迅速に確認できる。議事録は他のインシデントに関する議事内容(例えば他のインシデントの検討結果)を含むものであるため、1つのインシデントの情報だけでは不十分であった他のインシデントとの関係をユーザが容易に把握することができる。
【0046】
また運用管理支援装置16によれば、議事録の表示画面に対して会議で議題となった各インシデントへのリンクがさらに設定され、議事録とインシデントの双方向にリンクが設定される。同一の会議で検討された複数のインシデントは何らかの関連を有することが多いところ、議事録とインシデントの双方向リンクにより、ユーザは、議事録を介して関連する複数のインシデントのそれぞれを容易にブラウズすることができる。例えば、あるインシデントのインシデント情報画面でそのインシデントの詳細情報を確認後、議事録画面で関連する別のインシデントを特定し、別のインシデントのインシデント情報画面で当該別のインシデントの詳細情報を確認することができる。
【0047】
また運用管理支援装置16によれば、議事録の内容が管理者により承認された場合、その議事録を編集不可にする。これにより、管理者により承認済の議事内容等の改ざんを防止することができる。
【0048】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0049】
上記実施の形態では言及していないが、議事録が管理者により承認された場合、議事内容の転記元であるインシデントの会議情報もあわせて編集不可にしてもよい。具体的には、回覧経路で定められた全ての管理者により議事録が承認された場合、回覧処理部38は、対応関係保持部30においてその議事録のIDと対応づけられたインシデントIDおよび経過情報IDを特定してもよい。そして、インシデント属性保持部22に保持され、それらのIDで特定されるインシデントの経過情報(すなわち会議情報)に対して編集不可である旨のフラグを設定してもよい。インシデント情報表示部24は、編集不可である旨のフラグが設定された会議情報を、編集不可を示す所定の態様で表示させてもよい。またインシデント情報受付部20は、編集不可である旨のフラグが設定された会議情報の更新を拒否してもよい。具体的には、当該会議情報に対する更新情報の受け付けを拒否してもよく、もしくは、その更新情報によるそれまでの経過情報の更新を拒否してもよい。この態様によると、インシデントの経過情報においても、管理者により承認済の議事内容等の改ざんを防止することができる。また、転記元のインシデントの経過情報と、転記先の議事録との間で不整合が発生することを防止できる。
【0050】
請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連係によって実現されることも当業者には理解されるところである。請求項に記載の「イベント」は実施の形態のインシデントおよび問題の両方を含む概念である。
【符号の説明】
【0051】
10 情報処理システム、 16 運用管理支援装置、 20 インシデント情報受付部、 22 インシデント属性保持部、 24 インシデント情報表示部、 26 議事録設定部、 28 議事録属性保持部、 30 対応関係保持部、 32 回覧経路保持部、 34 議事録表示部、 36 議事録編集部、 38 回覧処理部、 100 運用管理システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムにおいて発生したイベントに関する属性情報の保持部と、
イベントの属性情報を表示する画面であって、そのイベントを議題とした会議の識別情報と議事内容とが入力されるイベント画面を表示させるイベント表示部と、
同一の会議の識別情報が入力された複数のイベントについて、それらのイベント画面のそれぞれに入力された議事内容を1つの議事録データへ転記する議事録設定部と、
を備え、
前記イベント表示部は、前記複数のイベントそれぞれのイベント画面において、各イベントに対する議事内容とともに前記議事録データへのリンクを表示させることを特徴とする運用管理支援装置。
【請求項2】
前記議事録データを画面表示させ、その画面において、前記複数のイベントへのリンクをさらに表示させる議事録表示部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の運用管理支援装置。
【請求項3】
前記議事録データの内容をユーザの操作に応じて変更する議事録編集部と、
前記議事録データを予め定められた管理者へ回覧させる回覧処理部と、
をさらに備え、
前記議事録編集部は、前記議事録データが管理者により承認された場合、それ以降の前記議事録データの内容の変更を拒否することを特徴とする請求項1または2に記載の運用管理支援装置。
【請求項4】
情報処理システムにおいて発生したイベントに関する属性情報を保持する機能と、
イベントの属性情報を表示する画面であって、そのイベントを議題とした会議の識別情報と議事内容とが入力されるイベント画面を表示させる機能と、
同一の会議の識別情報が入力された複数のイベントについて、それらのイベント画面のそれぞれに入力された議事内容を1つの議事録データへ転記する機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記表示させる機能は、前記複数のイベントそれぞれのイベント画面において、各イベントに対する議事内容とともに前記議事録データへのリンクを表示させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−30061(P2013−30061A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166776(P2011−166776)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)