説明

運用管理支援装置

【課題】複数の情報処理システムにおけるイベント発生状況の管理を支援する。
【解決手段】運用管理支援装置16は、複数の情報処理システムにおいて発生した複数のインシデントに関する属性情報を保持するインシデント属性保持部22と、所定の検索条件にもとづいて複数のインシデントを検索し、複数の情報処理システムをグループ化した複数の管理グループのそれぞれにおける検索条件に整合するインシデント数を集計する検索部36と、複数の管理グループのそれぞれにおける検索条件に整合するインシデント数を一覧表示させるサマリ画面表示部38とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ処理技術に関し、特に、情報処理システムの運用管理を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理システムの運用管理の分野においてITIL(Information Technology Infrastructure Library)が浸透してきている。ITILは、情報処理システムで発生したインシデントを管理するためのフレームワークや、情報処理システムが抱える問題を管理するためのフレームワークを提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−198123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの情報処理システムの運用管理を一括して監督すべき管理者、例えばITサービス企業における運用部門の部門長等は、運用サービス部門全体としての業務状況を把握するため、運用部門全体として抱えるインシデントの状況を把握する必要がある。しかし、運用管理の対象となる情報処理システム数が多い場合、運用部門全体として抱えるインシデントの状況を把握することは容易ではなかった。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、複数の情報処理システムにおけるイベント発生状況の管理を支援するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の運用管理支援装置は、複数の情報処理システムにおいて発生した複数のイベントに関する属性情報の保持部と、複数のイベントを絞り込むための検索条件の保持部と、検索条件にもとづいて複数のイベントを検索し、複数の情報処理システムをグループ化した複数の管理グループのそれぞれにおける検索条件に整合するイベント数を集計する検索部と、複数の管理グループのそれぞれにおける検索条件に整合するイベント数を一覧表示させる表示制御部と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様もまた、運用管理支援装置である。この装置は、複数の情報処理システムにおいて発生した複数のイベントに関する属性情報の保持部と、複数のイベントを絞り込むための検索条件の保持部と、検索条件にもとづいて複数のイベントを検索し、複数の情報処理システムのそれぞれにおける検索条件に整合するイベント数を集計する検索部と、複数の情報処理システムのそれぞれにおける検索条件に整合するイベント数を一覧表示させる表示制御部と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の情報処理システムにおけるイベント発生状況の管理を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】インシデント情報画面を示す図である。
【図2】インシデント検索画面を示す図である。
【図3】部門全体サマリ画面を示す図である。
【図4】運用チームサマリ画面を示す図である。
【図5】実施の形態の運用管理システムの構成を示す図である。
【図6】図5の運用管理支援装置の機能構成を示すブロック図である。
【図7】検索条件保持部に格納される検索条件を示す図である。
【図8】サマリ設定画面を示す図である。
【図9】サマリ画面の構成情報を模式的に示す図である。
【図10】第1の変形例におけるサマリ画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態の運用管理システムは、ITサービス企業(例えばSI企業)に構築されたコンピュータシステムである。この運用管理システムは、複数の情報処理システムの運用管理サービスを提供し、言い換えれば、ITサービス企業の運用部門による複数の情報処理システムの運用管理業務を支援する。具体的には、各情報処理システムで発生したインシデントや、各情報処理システムが抱える問題を管理するための処理を実行する。以下では、主にインシデント管理の構成について説明するが、問題管理においても同様の構成が適用できることは当業者には理解されるところである。
【0012】
まず、運用管理システムが提供するユーザインタフェースを示しつつ、運用管理システムの概要を説明する。図1はインシデント情報画面を示す。インシデント情報画面は、運用管理システムに保持されたインシデントに関する各種の属性情報を表示する。運用部門の担当者(以下、「運用担当者」とも呼ぶ。)は、インシデント情報画面に対して基本情報40や詳細情報42を入力して新たなインシデントを起票する。運用担当者は、インシデントに対する検討や作業の進展に伴って、インシデント情報画面において経過情報44を逐次追加し、またインシデントのステータスを適宜変更する。
【0013】
図2はインシデント検索画面を示す。インシデント検索画面においてインシデントに関するいくつかの属性情報を検索条件として検索を実行すると、その検索条件にもとづく検索結果が一覧表示される。図2の例では、システム名50とステータス52を検索条件として検索が実行された結果、ABC障害管理システムで発生し、かつ、ステータスがクローズ以外の7件のインシデントが表示されている。
【0014】
これまでの運用管理システムでは、運用部門全体を監督すべき管理者(以下、「運用部門長」とも呼ぶ。)は、インシデント検索画面において多くの情報処理システム1つ1つのインシデントを順次検索して、運用部門全体としてのインシデント処理状況を確認する必要があった。運用部門全体で運用管理対象となる情報処理システム数は数百〜千のオーダになる場合もあり、運用部門全体としてのインシデントの処理状況を把握することは容易ではなかった。
【0015】
そこで実施の形態の運用管理システムは、ITサービス企業の運用部門において1つ以上の情報処理システムの運用管理を担当する運用担当者のグループ、言い換えれば「運用チーム」を単位として、複数の運用チームのそれぞれにおけるインシデント状況を一覧表示する画面(以下、「部門全体サマリ画面」とも呼ぶ。)を運用部門長へ提供する。
【0016】
図3は部門全体サマリ画面を示す。同図の部門全体サマリ画面は、システム運用第1グループからシステム運用第3グループの3つの運用チームそれぞれのインシデント数を一覧で示している。例えば図3のフィールド60には、システム運用第1グループが運用管理を担当する複数の情報処理システムにおける未クローズのインシデント数の集計値が設定されている。またフィールド62には、システム運用第2グループが運用管理を担当する複数の情報処理システムにおける未クローズのインシデント数の集計値が設定されている。またフィールド64には、システム運用第1グループが運用管理を担当する複数の情報処理システムにおける緊急度「緊急」のインシデント数の集計値が設定されており、その集計値が予め定められた閾値以上であるため強調表示がなされている。
【0017】
また実施の形態の運用管理システムでは、複数の運用チームのそれぞれに関する画面であり、各運用チームが運用管理を担当する情報処理システムそれぞれのインシデント状況を一覧表示する画面(以下、「運用チームサマリ画面」とも呼ぶ。)を、運用部門長および各運用チームのリーダへ提供する。以下では主にシステム運用第1グループについての運用チームサマリ画面を説明するが、図3のシステム運用第2グループとシステム運用第3グループのそれぞれについての運用チームサマリ画面も提供する。
【0018】
図4は運用チームサマリ画面を示す。同図の運用チームサマリ画面は、システム運用第1グループが運用管理を担当する複数の個社別のシステム、すなわちA社システムからD社システムの4つの情報処理システムそれぞれのインシデント数を一覧で示している。例えば同図のフィールド66には、システム運用第1グループが運用管理を担当するA社システムにおける未クローズのインシデント数が設定されている。またフィールド68では、その集計値が予め定められた閾値以上であるため強調表示がなされている。運用チームサマリ画面は、図3の部門全体サマリ画面を一段階詳細化して、1つの運用チームの状況を示すものである。以下、部門全体サマリ画面と運用チームサマリ画面を総称する場合、単に「サマリ画面」と称する。
【0019】
以上説明した運用管理システムについて具体的な構成を以下説明する。
図5は、実施の形態の運用管理システム100の構成を示す。情報処理システム10で総称される情報処理システム10a、情報処理システム10b、情報処理システム10c、・・・は、様々な企業の基幹系システムや情報系システムを含む。運用管理システム100は、情報処理システム10に対する運用管理サービスを提供する。
【0020】
運用管理システム100は、監視装置12と、運用担当者端末14と、運用管理支援装置16と、運用部門長端末18と、チームリーダ端末19を含む。運用管理支援装置16は、情報処理システム10で発生したインシデントや情報処理システム10が抱える問題を管理する情報処理装置である。実施の形態では運用管理支援装置16の構成としてインシデント管理の構成、具体的にはインシデント管理において図3や図4で示したサマリ画面を運用部門の管理者へ提示する構成を説明する。ただし、問題管理において同様のサマリ画面を提示する場合にも実施の形態と同様の構成で実現可能であることは当業者には理解されるところである。運用管理支援装置16の詳細な機能構成は後述する。
【0021】
監視装置12は、複数の情報処理システム10の動作状態を監視し、例えば死活監視処理やハードウェアリソースの使用状況の監視処理を実行する。情報処理システム10の動作状態が所定の異常状態になった場合、監視装置12は、新たなインシデントを起票してそのインシデントの情報を運用管理支援装置16へ送信する。また監視装置12は、インシデントを起票済の情報処理システム10の動作状態が変化した場合、そのインシデントの更新情報を運用管理支援装置16へ送信する。監視装置12から運用管理支援装置16へ送信される情報は、図1で示したインシデントの各種属性情報である。
【0022】
運用担当者端末14は、運用担当者により操作される情報処理端末であり、情報処理システム10で発生したインシデントに関する情報(起票情報や更新情報)の入力を運用担当者から受け付ける。そして、その情報を運用管理支援装置16へ送信する。運用担当者端末14から運用管理支援装置16へ送信される情報も、図1で示したインシデントの各種属性情報である。
【0023】
運用部門長端末18は運用部門長により操作される情報処理端末であり、チームリーダ端末19は運用チームリーダにより操作される情報処理端末である。運用部門長端末18は、部門全体サマリ画面を設定するための情報を運用管理支援装置16へ送信し、チームリーダ端末19は、運用チームサマリ画面を設定するための情報を運用管理支援装置16へ送信する。運用部門長端末18は、部門全体サマリ画面および運用チームサマリ画面のデータを運用管理支援装置16から受信してディスプレイに表示させる。チームリーダ端末19は、運用チームサマリ画面のデータを運用管理支援装置16から受信してディスプレイに表示させる。
【0024】
図6は、図5の運用管理支援装置16の機能構成を示すブロック図である。運用管理支援装置16は、インシデント情報受付部20と、インシデント属性保持部22と、検索条件受付部26と、検索条件保持部28と、表示設定受付部30と、表示設定保持部32と、アクセス権限保持部34と、検索部36と、サマリ画面表示部38を含む。
【0025】
本明細書のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。例えば、図6の各機能ブロックは、運用管理支援プログラムとして記録媒体に格納され、運用管理支援装置16のストレージへインストールされてもよい。そして、運用管理支援プログラムの起動時に、各機能ブロックに対応するプログラムモジュールがメインメモリに読み出されてCPUにより実行されてもよい。
【0026】
インシデント属性保持部22は、複数の情報処理システム10のそれぞれにおいて発生したインシデントに関する属性情報を保持する記憶領域である。この属性情報は図1のインシデント情報画面で示した各種情報項目であり、例えば、システム名・ステータス・緊急度等を含む。
【0027】
インシデント情報受付部20は、監視装置12から、インシデントの各種属性情報を指定したインシデントの起票情報および更新情報を受け付ける。またインシデント情報受付部20は、インシデント属性保持部22に保持されたインシデントの属性情報を表示する図1のインシデント情報画面を運用担当者端末14へ提供する。そして、そのインシデント情報画面に入力されたインシデントの属性情報を、インシデントの起票情報や更新情報として運用担当者端末14から受け付ける。インシデント情報受付部20は、監視装置12および運用担当者端末14から受け付けたインシデントの属性情報をインシデント属性保持部22へ格納する。
【0028】
検索条件保持部28は、インシデント属性保持部22に保持された複数のインシデントの中から特定のインシデントを抽出するための条件(以下、「検索条件」とも呼ぶ。)を保持する記憶領域である。具体的には、検索条件は、インシデント属性保持部22に保持された複数のインシデントの中から、部門全体サマリ画面および運用チームサマリ画面の各フィールドにおいて集計対象とするインシデントを抽出する条件である。
【0029】
検索条件受付部26は、運用部門長端末18から、部門全体サマリ画面の各フィールドにおけるインシデントの検索条件を受け付けて検索条件保持部28へ格納する。またチームリーダ端末19から、運用チームサマリ画面の各フィールドにおけるインシデントの検索条件を受け付けて検索条件保持部28へ格納する。具体的には、検索条件受付部26は、図2のインシデント検索画面を運用部門長端末18およびチームリーダ端末19へ提供する。そして、インシデント検索画面において検索条件の登録がなされた場合、その検索条件を取得して、その検索条件にユニークなIDを付与した上で検索条件保持部28へ格納する。
【0030】
図7は、検索条件保持部28に格納される検索条件を示す。同図の検索条件ID欄70には検索条件のIDが格納され、検索条件欄72には検索条件が格納される。同図のID「0001」の検索条件は、図3の部門全体サマリ画面におけるフィールド60の検索条件に対応する。すなわち、システム運用第1グループが運用管理を担当するA社システム〜D社システムについてステータスがクローズ以外のインシデントを指定した検索条件である。またID「0002」の検索条件は、部門全体サマリ画面におけるフィールド64の検索条件に対応する。すなわち、システム運用第1グループが運用管理を担当するA社システム〜D社システムについてステータスがクローズ以外で、かつ緊急度が緊急のインシデントを指定した検索条件である。またID「0101」の検索条件は、図4の運用チームサマリ画面におけるフィールド66の検索条件に対応する。すなわち、システム運用第1グループが運用管理を担当するA社システムについてステータスがクローズ以外のインシデントを指定した検索条件である。
【0031】
図6に戻り、表示設定受付部30は、サマリ画面の情報項目を設定する画面(以下、「サマリ設定画面」)のデータを運用部門長端末18およびチームリーダ端末19へ提供して表示させる。図8はサマリ設定画面を示す。同図は図3の部門全体サマリ画面の設定内容を示すものであり、同図のフィールド80は図3のフィールド60に対応し、同図のフィールド82は図3のフィールド64に対応する。
【0032】
サマリ設定画面の各フィールドは、検索条件指定欄84と強調条件指定欄86を含む。検索条件指定欄84では、検索条件保持部28に格納された複数の検索条件の中から1つの検索条件が選択されて指定される。例えばフィールド82の検索条件指定欄84では、図7のID「0002」の検索条件が指定されている。強調条件指定欄86では、当該フィールドを強調表示させる条件(以下、「強調条件」とも呼ぶ。)が指定される。例えばフィールド82の強調条件指定欄86では、検索条件に整合するインシデント数が50件以上の場合にフィールドの背景を明滅表示させることが指定されている。表示設定受付部30は、サマリ設定画面で指定されたサマリ画面の情報項目を示すデータを運用部門長端末18およびチームリーダ端末19から取得して表示設定保持部32へ格納する。
【0033】
図3に戻り、表示設定保持部32は、表示設定受付部30により受け付けられたサマリ画面の構成情報を保持する記憶領域である。図9は、サマリ画面の構成情報を模式的に示す。同図のID「部門全体サマリ画面」のデータは、図3の部門全体サマリ画面に対応し、ID「運用チームサマリ画面」のデータは、図4の運用チームサマリ画面に対応する。また「サマリ1−1」はサマリ画面の1行1列目のフィールドに対応し、「サマリ1−2」はサマリ画面の1行2列目のフィールドに対応し、サマリ「2−1」はサマリ画面の2行1列目のフィールドに対応する。例えばID「部門全体サマリ画面」について、「サマリ1−1」では検索条件「0001」が設定され、「サマリ1−2」では検索条件「0002」が設定されており、図8のサマリ設定画面の内容に対応している。
【0034】
なお、図9では強調条件を図示していないが、強調条件が指定されたサマリ画面のフィールドには、検索条件に加えて強調条件が格納される。例えば強調条件が図8のように指定された場合、ID「部門全体サマリ画面」の「サマリ1−2」にはインシデント数が50件以上の場合に背景を明滅させることを示す強調条件がさらに格納される。同様に、ID「部門全体サマリ画面」の「サマリ2−2」にはインシデント数が40件以上の場合に背景を明滅させることを示す強調条件がさらに格納される。
【0035】
アクセス権限保持部34は、サマリ画面に対してアクセス可能なユーザを示す情報(以下、「アクセス権限情報」とも呼ぶ。)を保持する記憶領域である。実施の形態では、部門全体サマリ画面と運用部門長のユーザIDとを対応づけ、運用チームサマリ画面と運用部門長のユーザIDおよび運用チームリーダのユーザIDとを対応づけたアクセス権限情報を保持する。
【0036】
検索部36は、検索条件保持部28および表示設定保持部32を参照して、部門全体サマリ画面と運用チームサマリ画面の少なくとも1つで指定された検索条件を検索キーとしてインシデント属性保持部22に保持されたインシデントを検索する。そして、検索条件に整合するインシデントの数を集計する。例えば、図7の検索条件ID「0001」の検索条件の場合、システム「Aシステム」かつステータス「クローズ以外」の検索から、システム「Dシステム」かつステータス「クローズ以外」の検索までの4つの検索それぞれでヒットしたインシデント数を集計する。検索部36は、検索条件IDとインシデントの集計値との組み合わせを検索結果としてサマリ画面表示部38へ渡す。検索部36は、検索処理および集計処理を定期的(例えば1分おき)に実行する。
【0037】
サマリ画面表示部38は検索部36から検索結果を定期的に受け付ける。サマリ画面表示部38はその都度、各検索条件に整合するインシデントの集計値を、部門全体サマリ画面および運用チームサマリ画面の対応するフィールドへ設定することにより、部門全体サマリ画面のデータおよび運用チームサマリ画面のデータを設定する。
【0038】
サマリ画面表示部38は、フィールドに設定したインシデントの集計値が表示設定保持部32に保持された当該フィールドの強調条件を充足する場合、当該フィールドを強調態様で表示するよう設定する。強調態様とは、他のフィールドよりも運用部門長や運用チームリーダの注意を喚起しやすいと想定される態様である。例えば、他のフィールドよりも集計値を大きく表示させてもよく、集計値もしくは背景をハイライト表示させてもよく、背景を明滅表示させてもよい。
【0039】
サマリ画面表示部38は、サマリ画面の取得要求を外部から受け付けた場合、アクセス権限保持部34に保持されたアクセス権限情報を参照し、その要求元がサマリ画面にアクセス可能な場合、サマリ画面を要求元へ提供する。実施の形態において、サマリ画面表示部38は、部門全体サマリ画面と運用チームサマリ画面とを分けて要求元へ提供する。
【0040】
具体的には、要求元の端末において運用管理支援装置16でのユーザ認証の際に運用部門長のIDが入力されていれば、その要求元の端末(典型的には運用部門長端末18)に対して部門全体サマリ画面のデータを送信する。さらに部門全体サマリ画面において特定の運用チームが指定された場合は、その運用チームについての運用チームサマリ画面のデータを送信する。要求元の端末において運用管理支援装置16でのユーザ認証の際に特定の運用チームリーダのユーザIDが入力されていれば、その要求元の端末(典型的にはチームリーダ端末19)に対して、上記特定の運用チームに関する運用チームサマリ画面のデータを送信する。例えば、サマリ画面表示部38は、図4の運用チームサマリ画面を、運用部門長およびシステム運用第1グループのチームリーダへ提供するが、他グループのチームリーダおよび運用担当者への提供は拒否する。
【0041】
以上の構成による運用管理支援装置16の動作を説明する。
インシデント情報受付部20は、複数の情報処理システム10で発生したインシデントについて、新たに起票されたインシデントの属性情報や、属性情報が追加・更新・削除されたインシデントの更新情報を監視装置12および運用担当者端末14から受け付ける。インシデント属性保持部22は、インシデント情報受付部20で受け付けられたインシデントの属性情報を保持する。検索条件受付部26は、インシデントの検索条件の登録を運用部門長端末18およびチームリーダ端末19から受け付けて検索条件保持部28へ記録する。表示設定受付部30は、サマリ画面の内容の登録を運用部門長端末18およびチームリーダ端末19から受け付けて表示設定保持部32へ記録する。
【0042】
検索部36は、定期的に、サマリ画面において各フィールドに設定された検索条件を検索キーとして検索条件に整合するインシデントの数を集計する。サマリ画面表示部38は、サマリ画面の各フィールドにインシデントの集計値を設定することにより部門全体サマリ画面および運用チームサマリ画面を設定する。サマリ画面表示部38は、運用部門長端末18からの取得要求に応じて、部門全体サマリ画面もしくは運用チームサマリ画面のデータを運用部門長端末18へ提供して表示させる。また、チームリーダ端末19からの取得要求に応じて、運用チームサマリ画面のデータをチームリーダ端末19へ提供して表示させる。サマリ画面表示部38は、アクセス権限情報により認められた要求元以外へのサマリ画面の提供を拒否する。
【0043】
実施の形態の運用管理支援装置16によれば、複数の情報処理システム10をグループ化した複数の管理グループ(例えば図3のシステム運用第1グループからシステム運用第3グループ)のそれぞれが抱えるインシデント数を集計して運用部門の管理者へ提示する。これにより、運用管理の対象となる情報処理システムが多数存在しても、それらの情報処理システムにおけるインシデント発生状況の把握を容易なものとする。
【0044】
また運用管理支援装置16は、運用部門全体での最新のインシデント発生状況を示す部門全体サマリ画面を運用部門長へ提供することにより、運用部門全体が抱えるインシデントの状況把握を容易なものとする。また、部門全体サマリ画面を一段階詳細化したサマリ画面であり、運用チーム全体での最新のインシデント発生状況を示す運用チームサマリ画面を運用部門長および運用チームリーダへ提供することにより、各運用チームが抱えるインシデントの状況把握を容易なものとする。例えば運用部門長は、部門全体サマリ画面を表示させて許容数以上のインシデントを抱える運用チームを特定し、その運用チームの運用チームサマリ画面をチームリーダとともに確認して善後策を検討することができる。
【0045】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下変形例を示す。
【0046】
第1の変形例として、検索部36は、必ずしも複数の管理グループ(例えば運用部門の運用チーム)ごとにインシデントを集計せず、運用部門における運用管理対象の複数の情報処理システムそれぞれにおける検索条件に整合するインシデント数を集計してもよい。またサマリ画面表示部38は、複数の情報処理システムそれぞれにおける検索条件に整合するイベント数を一覧表示させてもよい。この変形例においても、運用部門の管理者は複数の情報処理システムそれぞれのインシデント数を個々に検索する必要がなく、複数の情報処理システムにおけるイベント発生状況の管理を支援できる。図10は、第1の変形例におけるサマリ画面を示す。同図のサマリ画面は、個社システムごとにインシデント数を集計した図4の運用チームサマリ画面を一段階詳細化したものとして表示されてもよい。例えば、図10に示す5つのシステムは、図4の運用チームサマリ画面における1つの個社システムに含まれるものであってもよい。
【0047】
第2の変形例を説明する。運用管理支援装置16は、所定の切替契機に応じて、1つのディスプレイに対して部門全体サマリ画面と運用チームサマリ画面とを交互に切り替えて表示させてもよい。例えば、運用部門に設置された大型ディスプレイに対して、予め定められた時間が経過するたびに、部門全体サマリ画面→システム運用第1グループの運用チームサマリ画面→システム運用第2グループの運用チームサマリ画面→システム運用第3グループの運用チームサマリ画面→部門全体サマリ画面の順に切り替えて表示させてもよい。
【0048】
第3の変形例を説明する。運用管理支援装置16は、部門全体サマリ画面のデータと、運用チームサマリ画面のデータの両方を一時に運用部門長端末18へ提供し、部門全体サマリ画面と運用チームサマリ画面を1つのディスプレイに並行して表示させてもよい。
【0049】
第4の変形例を説明する。上記実施の形態では、部門全体サマリ画面の検索条件として、各運用チームが担当する複数の情報処理システムのそれぞれを検索条件として指定することとした。変形例では、運用管理支援装置16は、運用部門に存在する複数の運用チームと、複数の情報処理システム10との対応関係を保持するチーム情報保持部24をさらに備える。チーム情報保持部24は、例えば、「システム運用第1グループ」の識別情報に対応づけて「A社システム」、「B社システム」、「C社システム」、「D社システム」の識別情報を保持する。この場合、検索条件として運用チームが指定されてもよく、検索部36は、検索条件として運用チームが指定された場合、チーム情報保持部24においてその運用チームと対応づけられた複数の情報処理システムを特定し、それぞれの情報処理システムを検索条件とした検索および集計処理を実行する。
【0050】
請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連係によって実現されることも当業者には理解されるところである。請求項に記載の「イベント」は実施の形態のインシデントおよび問題の両方を含む概念である。
【符号の説明】
【0051】
10 情報処理システム、 16 運用管理支援装置、 20 インシデント情報受付部、 22 インシデント属性保持部、 24 チーム情報保持部、 26 検索条件受付部、 28 検索条件保持部、 30 表示設定受付部、 32 表示設定保持部、 36 検索部、 38 サマリ画面表示部、 100 運用管理システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報処理システムにおいて発生した複数のイベントに関する属性情報の保持部と、
前記複数のイベントを絞り込むための検索条件の保持部と、
前記検索条件にもとづいて前記複数のイベントを検索し、前記複数の情報処理システムをグループ化した複数の管理グループのそれぞれにおける前記検索条件に整合するイベント数を集計する検索部と、
前記複数の管理グループのそれぞれにおける前記検索条件に整合するイベント数を一覧表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とする運用管理支援装置。
【請求項2】
前記検索部は、それぞれが前記複数の情報処理システムの少なくとも1つの運用を担当する複数の運用チームを前記複数の管理グループとして、複数の運用チームのそれぞれにおける前記検索条件に整合するイベント数を集計し、
前記表示制御部は、前記複数の運用チームのそれぞれにおける前記検索条件に整合するイベント数を一覧表示させることを特徴とする請求項1に記載の運用管理支援装置。
【請求項3】
前記検索部はさらに、前記複数の管理グループのそれぞれに含まれる情報処理システムごとに、前記検索条件に整合するイベント数を集計し、
前記表示制御部は、前記複数の管理グループのそれぞれにおける前記検索条件に整合するイベント数を一覧表示する画面と、1つの管理グループに含まれる情報処理システムのそれぞれにおける前記検索条件に整合するイベント数を一覧表示する画面とを分けて表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の運用管理支援装置。
【請求項4】
複数の情報処理システムにおいて発生した複数のイベントに関する属性情報の保持部と、
前記複数のイベントを絞り込むための検索条件の保持部と、
前記検索条件にもとづいて前記複数のイベントを検索し、前記複数の情報処理システムのそれぞれにおける前記検索条件に整合するイベント数を集計する検索部と、
前記複数の情報処理システムのそれぞれにおける前記検索条件に整合するイベント数を一覧表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とする運用管理支援装置。
【請求項5】
複数の情報処理システムにおいて発生した複数のイベントに関する属性情報を保持する機能と、
前記複数のイベントを絞り込むための検索条件を保持する機能と、
前記検索条件にもとづいて前記複数のイベントを検索し、前記複数の情報処理システムをグループ化した複数の管理グループのそれぞれにおける前記検索条件に整合するイベント数を集計する機能と、
前記複数の管理グループのそれぞれにおける前記検索条件に整合するイベント数を一覧表示させる機能と、
をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−30062(P2013−30062A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166777(P2011−166777)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)