運行情報提供装置
【課題】当該乗合車両の乗務員に有用な運行情報を提供し得る運行情報提供装置を提供する。
【解決手段】運行情報提供装置によると、路線バスの走行中においては、乗務員に視認可能な液晶表示部に、次停留所の名称とその発車定刻とその次停留所時間差または予定時刻や予定所要時間を表示するとともに、走行中を示す区切線γといった視覚的に「区切り」を認識し易い目印の上下に次停留所と前停留所のそれぞれの名称を表示するので、乗務員は一目で有用な運行情報を容易に把握することができる。また、路線バスの停車中においては、乗務員に視認可能な液晶表示部に、停車中の次停留所の名称とその発車定刻とその次停留所時間差または予定時刻や予定所要時間を表示するとともに、停車中を示すバスマークγをこれらの表示の先頭または後尾に明示するので、乗務員は、現在停車している停留所について一目で有用な運行情報を容易に把握することができる。
【解決手段】運行情報提供装置によると、路線バスの走行中においては、乗務員に視認可能な液晶表示部に、次停留所の名称とその発車定刻とその次停留所時間差または予定時刻や予定所要時間を表示するとともに、走行中を示す区切線γといった視覚的に「区切り」を認識し易い目印の上下に次停留所と前停留所のそれぞれの名称を表示するので、乗務員は一目で有用な運行情報を容易に把握することができる。また、路線バスの停車中においては、乗務員に視認可能な液晶表示部に、停車中の次停留所の名称とその発車定刻とその次停留所時間差または予定時刻や予定所要時間を表示するとともに、停車中を示すバスマークγをこれらの表示の先頭または後尾に明示するので、乗務員は、現在停車している停留所について一目で有用な運行情報を容易に把握することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗合車両の運行情報を乗務員に提供する運行情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
路線バスやワンマン運行方式の鉄道等の乗合車両には、例えば、下記特許文献1に開示されるような「運賃表示装置」が搭載されている。この「運賃表示装置」では、乗車時に整理券発行機から発行される整理券の番号とこれらの番号に対応する各運賃とからなる運賃表を表示したり、次の停留所の案内や路線図等を表示したりして、当該乗合車両に関する運行情報を乗客に提供可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−65622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示される「運賃表示装置」によると、当該乗合車両に関する運行情報は乗客への提供を目的とするものである。このため、たとえ2画面構成であっても、乗客の視界に入り易い位置に表示画面を車内後方に向けて設けられることから、このような運賃表示装置に表示される運行情報を運転席の乗務員が見ることは容易ではなかった。
【0005】
また、このような乗客向けの表示装置には、乗客に有用な情報が表示されるため、乗務員にとっては有用な情報であっても、乗客には必要のない情報は表示されない。例えば、始発前に始発の停留所で待機している場合や、定刻の発車時刻(以下「発車定刻」という)よりも早く停留所に到着した場合等においては、「あと何分で出発しなければならないのか」等といった定刻に対する時間的な情報は、運転士等の乗務員には有用であっても、乗客にはあまり必要とされるものではない。
【0006】
さらに、交通渋滞等による当該乗合車両の遅れに関する情報は、このような乗客向けの表示には通常表示されないことから、例えば「あと何分くらいで○○○駅に着きますか?」といった問い合わせを乗客から受けても、乗務員は、上記のような運賃表示装置に表示される運行情報からは、遅れた時間を加味した到着時間を咄嗟に答えることは難しい。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、当該乗合車両の乗務員に有用な運行情報を提供し得る運行情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載された運行情報提供装置は、所定の路線を走行する乗合車両に搭載されこの乗合車両の運行情報を乗務員に視認可能に表示する運行情報表示部を備えた運行情報提供装置であって、前記所定の路線の各停留所に関する停留所情報として、少なくとも、これらの各停留所を前記乗合車両が出発する予め設定された停留所ごとの発車定刻および前記各停留所の名称を記憶する停留所情報記憶部と、前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報のうち前記乗合車両が次に停車または通過する次停留所の前記発車定刻と現在時刻とに基づいて、これら両時刻の差から前記次停留所の前記発車定刻に対する遅れまたは進み時間を次停留所時間差として求める時間差演算部と、前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報に基づいて、前記次停留所の名称、前記次停留所の前記発車定刻および前記時間差演算部による前記次停留所時間差ならびに前記次停留所の1つ前の前停留所の名称を含む運行情報を前記運行情報表示装置に表示可能に制御する表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記運行情報表示部の所定の範囲に前記次停留所時間差を表示するように制御し、かつ、前記乗合車両が前記次停留所と前記前停留所との間を走行している場合、前記次停留所の名称と前記発車定刻とを並べて前記運行情報表示部に表示するように制御するとともに、前記次停留所の名称および前記発車定刻の表示と前記前停留所の名称の表示との間に走行中を示す所定の線または記号を表示するように制御することを技術的特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項2に記載された運行情報提供装置は、所定の路線を走行する乗合車両に搭載されこの乗合車両の運行情報を乗務員に視認可能に表示する運行情報表示部を備えた運行情報提供装置であって、前記所定の路線の各停留所に関する停留所情報として、少なくとも、これらの各停留所を前記乗合車両が出発する予め設定された停留所ごとの発車定刻および前記各停留所の名称を記憶する停留所情報記憶部と、前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報のうち前記乗合車両が次に停車または通過する次停留所の前記発車定刻と現在時刻とに基づいて、これら両時刻の差から前記次停留所の前記発車定刻に対する遅れまたは進み時間を次停留所時間差として求める時間差演算部と、前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報に基づいて、前記次停留所の名称、前記次停留所の前記発車定刻および前記時間差演算部による前記次停留所時間差ならびに前記次停留所の1つ前の前停留所の名称を含む運行情報を前記運行情報表示装置に表示可能に制御する表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記運行情報表示部の所定の範囲に前記次停留所時間差を表示するように制御し、かつ、前記乗合車両が前記次停留所に停車している場合、この次停留所の名称と前記発車定刻とを並べて前記運行情報表示部に表示するように制御するとともに、これらの表示の並び方向の先頭または後尾に停車中を示す所定の印を表示するように制御することを技術的特徴とする。
【0010】
また、特許請求の範囲の請求項3に記載された運行情報提供装置は、請求項1または2記載の運行情報提供装置において、前記時間差演算部は、前記乗合車両が次に停車または通過する次停留所の前記発車定刻と前記乗合車両の現在位置と現在時刻とに基づいて、前記乗合車両が前記次停留所に停車もしくは通過する予定時刻および/または前記乗合車両が前記次停留所に停車もしくは通過するまでの予定所要時間を求め、前記表示制御部は、前記時間差演算部で求めた前記予定時刻および/または前記予定所要時間を前記次停留所の前記発車定刻に並べて表示するように制御することを技術的特徴とする。
【0011】
さらに、特許請求の範囲の請求項4に記載された運行情報提供装置は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の運行情報提供装置において、前記次停留所時間差に加えて、前記時間差演算部は、前記乗合車両が前記次停留所の次の停留所を含めてそれ以降に停車もしくは通過する複数の次以降停留所のそれぞれについて、前記発車定刻と現在時刻とに基づきこれら両時刻の差から前記次以降停留所の前記発車定刻に対する遅れまたは進み時間を次以降停留所時間差として求め、前記次停留所の名称、前記次停留所の前記発車定刻および前記次停留所時間差ならびに前記前停留所の名称の表示に加えて、前記表示制御部は、前記次停留所の名称および前記発車定刻の表示に対して、段違いに、かつ表示段が前記停留所の停車または通過順に従って所定の方向に進むように、前記複数の次以降停留所についてその名称および前記発車定刻を段状に並べて前記運行情報表示部に表示するように制御するとともに、前記複数の次以降停留所の名称および前記発車定刻の少なくとも一方の近傍に前記複数の次以降停留所ごとに前記次以降停留所時間差を表示するように制御することを技術的特徴とする。
【0012】
またさらに、特許請求の範囲の請求項5に記載された運行情報提供装置は、請求項4に記載の運行情報提供装置において、前記時間差演算部は、前記乗合車両が前記次停留所の次の停留所を含めてそれ以降に停車もしくは通過する複数の次以降停留所のそれぞれについて、前記発車定刻と前記乗合車両の現在位置と現在時刻とに基づいて、前記乗合車両が前記次以降停留所に停車もしくは通過する予定時刻および/または前記乗合車両が前記次停留所に停車もしくは通過するまでの予定所要時間を求め、前記表示制御部は、前記段状に並べられた前記複数の次以降停留所の前記発車定刻のそれぞれに対応して、前記時間差演算部で求めた前記予定時刻および/または前記予定所要時間を前記発車定刻に並べて表示するように制御することを技術的特徴とする。
【0013】
また、特許請求の範囲の請求項6に記載された運行情報提供装置は、請求項4または5記載の運行情報提供装置において、前記表示制御部は、外部から入力される操作情報を入力可能に構成されており、前記次停留所の名称、前記次停留所の前記発車定刻および前記次停留所時間差ならびに前記前停留所の名称の表示と、これらの表示に段違いに表示される前記複数の次以降停留所の名称、前記発車定刻および前記次以降停留所時間差の表示と、をまとめた前記運行情報表示部における複数段表示について、当該表示制御部は、前記所定の方向であって前記複数段表示の先頭段に表示された停留所の次の停留所について表示を開始するとともに前記所定の方向と逆方向であって前記複数段表示の後尾段に表示された停留所について表示を終了する送りスクロール操作と、前記後尾段に表示された停留所の1つ前の停留所について表示を開始するとともに前記先頭段に表示された停留所について表示を終了する戻りスクロール操作と、に従って前記運行情報表示部による表示を制御することを技術的特徴とする。
【0014】
さらに、特許請求の範囲の請求項7に記載された運行情報提供装置は、請求項6記載の運行情報提供装置であって、前記表示制御部が前記送りスクロール操作または前記戻りスクロール操作に従った表示制御を行っている場合において、当該表示制御部は、所定の操作情報が入力されると、請求項1〜5のいずれか一項に記載の表示制御に移行することを技術的特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項8に記載された運行情報提供装置は、所定の路線を走行する乗合車両に搭載されこの乗合車両の運行情報を乗務員に視認可能に表示する運行情報表示部を備えた運行情報提供装置であって、前記所定の路線の各停留所に関する停留所情報として、少なくとも、これらの各停留所を前記乗合車両が出発する予め設定された停留所ごとの発車定刻および前記各停留所の名称を記憶する停留所情報記憶部と、前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報のうち前記乗合車両が次に停車または通過する次停留所の前記発車定刻と現在時刻とに基づいて、これら両時刻の差から前記次停留所の前記発車定刻に対する遅れまたは進み時間を次停留所時間差として求める時間差演算部と、前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報に基づいて、前記次停留所の名称、前記次停留所の前記発車定刻および前記時間差演算部による前記次停留所時間差ならびに前記次停留所の1つ前の前停留所の名称を含む運行情報を前記運行情報表示装置に表示可能に制御する表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記運行情報表示部の所定の範囲に前記次停留所時間差を表示するように制御することを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、表示制御部は、乗合車両が次停留所と前停留所との間を走行している場合、運行情報表示部の所定の範囲には次停留所時間差、次停留所に停車もしくは通過する予定時刻や予定所要時間を表示するように制御し、かつ、次停留所の名称と発車定刻とを並べて運行情報表示部に表示するように制御するとともに、次停留所の名称および発車定刻の表示と前停留所の名称の表示との間に走行中を示す所定の線または記号を表示するように制御する。これにより、乗合車両の走行中においては、乗務員に視認可能な運行情報表示部に、次停留所の名称とその発車定刻とその次停留所時間差(発車定刻と現在時刻との時間差)または予定時刻や予定所要時間を表示するとともに、走行中を示す所定の線または記号といった視覚的に「区切り」を認識し易い目印の前後(または上下や左右)に次停留所と前停留所のそれぞれの名称を表示するので、乗務員は一目で有用な運行情報を容易に把握することができる。
【0017】
また、本発明では、表示制御部は、乗合車両が次停留所に停車している場合、運行情報表示部の所定の範囲には次停留所時間差、次停留所に停車もしくは通過する予定時刻や予定所要時間を表示するように制御し、かつ、この次停留所の名称と発車定刻とを並べて運行情報表示部に表示するように制御するとともに、これらの表示の並び方向の先頭または後尾に停車中を示す所定の印を表示するように制御する。これにより、乗合車両の停車中においては、乗務員に視認可能な運行情報表示部に、停車中の次停留所の名称とその発車定刻とその次停留所時間差または予定時刻や予定所要時間を表示するとともに、停車中を示す所定の印をこれらの表示の先頭または後尾に明示するので、乗務員は、現在停車している停留所(次停留所)について一目で有用な運行情報を容易に把握することができる。
【0018】
さらに、本発明では、表示制御部は、次停留所の名称および発車定刻の表示に対して、段違いに、かつ表示段が停留所の停車または通過順に従って所定の方向に進むように、複数の次以降停留所についてその名称および発車定刻を段状に並べて運行情報表示部に表示するように制御するとともに、複数の次以降停留所の名称および発車定刻の少なくとも一方の近傍に複数の次以降停留所ごとに次以降停留所時間差または予定時刻や予定所要時間を表示するように制御する。これにより、次に停車または通過する停留所(次停留所)に加えて、次停留所の次やそれ以降に停車または通過する停留所(次以降停留所)についても、停留所の名称とその発車定刻とその次以降停留所時間差(発車定刻と現在時刻との時間差)または予定時刻や予定所要時間を表示するので、次停留所よりも先の停留所に関しても乗務員は有用な運行情報を容易に把握することができる。
【0019】
このように本発明では、表示制御部は、停留所の名称、その発車定刻および発車定刻との時間差または予定時刻や予定所要時間を表示するとともに、走行中を示す所定の線または記号や停車中を示す所定の印を運行情報表示部に表示するように制御する。このため、次停留所よりも先の停留所に関しても、停留所の名称、発車定刻等の運行情報が複数段に亘って表示される場合には、現在走行中の前後の停留所(次停留所と前停留所)や停車中の停留所を、他の停留所情報に比べて特に目立たせることができる。したがって、これを見た乗務員は、特に有用な運行情報として、次に停車または通過する停留所や現在停車中の停留所に関する運行情報を、より一層容易に把握することができる。
【0020】
さらに、本発明では、表示制御部は、運行情報表示部における複数段表示について、送りスクロール操作と戻りスクロール操作とを可能に表示制御する。これにより、次停留所よりも先の停留所に関しても、停留所の名称、発車定刻等の運行情報が複数段に亘って運行情報表示部に表示されているような場合には、乗務員は、このような表示を送り方向や戻り方向に任意にスクロール(スクロール表示)させることができため、表示画面単位で改頁する場合に比べて変動する表示内容を把握し易くでき、操作上の利便性を向上させることができる。
【0021】
また、本発明では、このような送りスクロール操作または戻りスクロール操作に従った表示制御を行っている場合において、表示制御部は、所定の操作情報が入力されると、請求項1〜4のいずれか一項に記載の表示制御に移行する。つまり、所定の操作情報が入力された場合には、運行情報表示部は、スクロール表示を止めて、当該乗合車両が現在走行中の前後の停留所(次停留所と前停留所)や停車中の停留所に関する運行情報を中心とした表示に戻る。このため、乗務員は、上記のようなスクロール操作をしている最中であっても、画面表示を元に戻すスクロール操作をすることなく、1回の操作で戻すことができ、操作上の利便性をさらに向上させることができる。
【0022】
また、本発明では、乗合車両の走行中および停車中にかかわらず、運行情報表示部の所定の範囲には次停留所時間差を表示するように制御する。これにより、乗務員に視認可能な運行情報表示部に、次停留所の名称とその発車定刻とその次停留所時間差(発車定刻と現在時刻との時間差)を表示するので、乗務員は一目で有用な運行情報を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る運行情報提供装置の外観例を示す説明図である。
【図2】本実施形態の運行情報提供装置を構成する制御ユニットおよびその周辺機器の構成例を示すブロック図である。
【図3】図2に示す制御ユニットによる運行情報提供処理のメインルーチンの流れを示すフローチャートである。
【図4】図3に示す交番/系統情報設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図3に示す運行情報表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図6(A)は、図5に示す運行情報表示処理におけるスクロール処理の流れを示すフローチャート、図6(B)は、スクロール処理における現停留所戻り処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図3に示す系統直接設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】図3に示すメインルーチンや図4に示す交番/系統情報設定処理による表示画面の例(図8(A)はトップメニュー画面、図8(B)は交番選択画面、図8(C)は系統選択画面)を示す説明図である。
【図9】図9(A)〜図9(C)は、図5に示す運行情報表示処理による表示画面の例を示す説明図である。
【図10】図10(D)〜図10(F)は、図5に示す運行情報表示処理による表示画面の例を示す説明図で、図9(C)の続きである。
【図11】図6(A)に示すスクロール処理による表示画面の例を示す説明図で、送りスクロール操作をした場合の例である。
【図12】図6(A)に示すスクロール処理による表示画面の例を示す説明図で、戻りスクロール操作をした場合の例である。
【図13】図7に示す系統直接設定処理による表示画面の例を示す説明図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る運行情報提供装置の外観例を示す六面図であり、左側面図は右側面図と同一に表れるため省略している。
【図15】本発明の一実施形態に係る運行情報提供装置の外観例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の運行情報提供装置の実施形態について図を参照して説明する。本実施形態に係る運行情報提供装置20は、例えば、路線バス(乗合車両)の運転席左側で乗務員(本実施形態では「運転士」を意味する。以下同じ。)の視野範囲内に設けられて、当該路線バスの運行情報を乗務員に視覚的に提供し得るものである。
【0025】
まず、本実施形態に係る運行情報提供装置20の構成を図1および図2に基づいて説明する。図1には、運行情報提供装置20を正面から見た外観例を示す説明図、図2には、運行情報提供装置20を構成する制御ユニットおよびその周辺機器の構成例を示すブロック図、がそれぞれ図示されている。
【0026】
図1に示すように、運行情報提供装置20は、例えば、画面サイズが7インチに設定されるカラー表示可能な液晶表示部21と、この液晶表示部21の一端側の幅方向に設けられる短冊状のテンキーユニット25と、これらの外回りを覆い矩形薄箱状に形成される樹脂製筐体とにより、外観が構成されている。この筐体内には、後述するように、内蔵スピーカ27や制御ユニット30等が収容されている。
【0027】
液晶表示部21は、後述するように、運行情報等を表示するディスプレィ画面を構成するほか、その表面は図略の透明シート状のタッチパネル23に覆われている。これら液晶表示部21、タッチパネル23やテンキーユニット25は、筐体内の制御ユニット30に対して電気的に接続されている。
【0028】
テンキーユニット25は、図1に示すように、「0」〜「9」のテンキー(数字キー)、後述するトップメニューを表示させるための「メニュー」キー、系統直接設定処理に移行するための「系統」キー、数字や数値を増減させるための「+」/「−」キー、入力を取り消すための「消」キー、選択操作を確定させるための「確定」キーを、備えている。なお、後述するように、液晶表示部21に表示される仮想押しボタンによる、「0」〜「9」ボタン、「クリア」ボタン、「Topメニュー」ボタン、「系統設定」ボタン、「確定」ボタンに代えて、テンキーユニット25の、「0」〜「9」のテンキー、「消」キー、「メニュー」キー、「系統」キー、「確定」キーを、それぞれ使用することができる。
【0029】
図2に示すように、筐体内に収容される制御ユニット30は、主に、CPU31、メインメモリ32、データメモリ33、表示コントローラ34、ビデオデコーダ35、タッチパネルコントローラ36、音声コーデック37、EEPROM38、通信インタフェース39等から構成されている。
【0030】
CPU31は、運行情報提供装置20を制御する演算処理装置で、システムバスやデータバス等の信号バスを介して、メインメモリ32、サブメモリ33、表示コントローラ34等と電気的に接続されている。また、このCPU31には、ビデオデコーダ35、タッチパネルコントローラ36、音声コーデック37、EEPROM38、通信インタフェース39等が内蔵のシリアルポートを介して電気に接続されている。なお、CPU31には、例えば、リチウム電池等のバックアップ電池により電源オフ時にも計時可能なリアルタイムクロック(RTC)が内蔵または外付けされている。
【0031】
メインメモリ32は、信号バスに接続されているSRAMやSDRAM等からなる半導体記憶装置で、CPU31が使用する主記憶空間を構成して、ワーク領域やデータ領域に割り当てられる。これに対して、データメモリ33は、フラッシュメモリ等からなる電気的に消去可能な不揮発性の半導体記憶装置で、メインメモリ32と同様に信号バスに接続されている。
【0032】
このデータメモリ33は、CPU31がアクセス可能な補助記憶空間として、後述する各処理がコード化されたプログラム(運行情報提供プログラム、交番/系統設定プログラム、運行情報表示プログラム、系統直接設定プログラム等)の格納領域(プログラム領域)や、当該路線バスの運行データ(運行情報)が格納されたデータ領域に割り当てられている。本実施形態では、運賃表示装置50が持っている運行情報から料金情報等を除いた運行情報(交番情報、系統情報、停留所情報、経路情報等)を運行データとして、データメモリ33に格納している。
【0033】
なお、「交番」とは、乗務員が1日の運転業務で走行する複数の系統を1つにまとめたもので、乗務員ごとに付与されている番号や記号により割り当てられている。「ダイヤ」と呼ぶ場合もある。また、「系統」とは、路線バスが走行する路線ごとに付与される番号や記号で、同じ経路でも往路と復路で区別される。
【0034】
表示コントローラ34は、液晶表示部(LCD)21の表示制御を行う表示制御部で、液晶表示部21に対して電気的に接続されているほか、図略のビデオメモリやビデオデコーダ35に対しても電気的に接続されている。これにより、CPU31による各表示制御に伴う所定の画面表示制御を可能にするとともに、また次に説明するように、ビデオデコーダ35を介して車内カメラ81や車外カメラ83から送られてくる画像データを液晶表示部21に表示可能にしている。
【0035】
ビデオデコーダ35は、ビデオカメラから送られてくる所定フォーマットの画像信号をデコードして表示コントローラ34に送るもので、例えば、客席状況を撮影可能に当該路線バスの車内に設置された車内カメラ81や、車両後方の車外状況を撮影可能に当該路線バスの車外後部に設置された車外カメラ83等が情報通信可能に接続されている。
【0036】
タッチパネルコントローラ(TPC)36は、タッチパネル23にタッチされたポイントの正確な位置検出を可能にするもので、前述したように、CPU31のシリアルポートを介してタッチパネル23に接続されている。本実施形態では、後述するように、液晶表示部21に表示される仮想押しボタンごとに対応した位置や範囲のタッチの有無を検出して当該仮想押しボタンのオンオフを判断する。
【0037】
音声コーデック(CODEC)37は、CPU31から出力される合成音声や電子音等のディジタルの音響データに基づいてオーディオスピーカを鳴動可能なオーディオ信号を生成するもので、本実施形態では、運行情報提供装置20の筐体内に収容される内蔵スピーカ27に電気的に接続されている。これにより、例えば、運転席の乗務員に対して、当該運行情報提供装置20の動作状態や運行情報を所定のアラーム音や合成音声によって聴覚的に伝えることが可能となる。
【0038】
EEPROM38は、フラッシュメモリと同様に、電気的に消去可能な不揮発性の半導体記憶装置で、本実施形態では、テンキーユニット25やUSBメモリ29により入力された機器設定情報等を記憶している。USBメモリ29は、USBコネクタを備えてUSBインタフェースを介して読み書き可能なEEPROMで、本実施形態では、例えば、プログラムデータや運行データ等の更新作業を行う際に用いられる。
【0039】
通信インタフェース39は、運行情報提供装置20の周辺機器として接続される、運賃表示装置50、GPS装置60、放送装置70や行先表示装置90に対して、情報通信可能にするシリアル通信インタフェースで、例えば、RS-232CやRS-422等の通信規格に準拠している。これにより、例えば、運行情報提供装置20は、次の停留所に近づいたことを知らせる停留所進捗信号を運賃表示装置50から受信したり、運賃表示装置50の操作盤として機能することで、テンキーユニット25により入力した設定情報を運賃表示装置50に送信したりすることが可能となる。
【0040】
運賃表示装置50は、2画面構成にした液晶表示装置を備えた情報処理装置で、当該路線バスの乗客に向け、乗車時に整理券発行機から発行される整理券の番号とこれらの番号に対応する各運賃とからなる運賃表を両画面全体に一覧表形式で表示したり、一方の画面に運賃表、他方の画面に運賃表以外の情報コンテンツ等をそれぞれ表示するものである。運賃表示装置50には、路線バスの降車口付近に設置された運賃箱、乗車口付近に設置された整理券発行機やICカードリーダがそれぞれ情報通信可能に接続されている。なお、運賃表示装置50の構成や機能の詳細については、特開2007−65622号公報に開示される「運賃表示装置」が詳しいため当該公報を参照されたい。
【0041】
GPS装置60は、GPS衛星から届く電波を利用して正確な時間情報を通信インタフェース39を介して運行情報提供装置20に出力する整時装置で、本実施形態では、時間情報のほかに当該路線バスの現在位置情報も運行情報提供装置20に出力可能に構成されている。
【0042】
放送装置70は、車内アナウンス等の音声信号を発して図略の車内スピーカにより車内放送可能にするもので、予め記憶されているメッセージのほかに、例えば、通信インタフェース39を介して運行情報提供装置20から入力されるテキストデータに基づいて合成音声による車内アナウンスが可能となるように構成されている。なお、破線で示すように、運行情報提供装置20から放送装置70を制御することなく、運賃表示装置50を介して、または運賃表示装置50から直接、放送装置70を制御するように構成しても良い。また、放送装置70に代えて、放送装置70を制御する図略の放送制御盤を運賃表示装置50や運行情報提供装置20に接続して、これを介して放送装置70を制御するように構成しても良い。
【0043】
行先表示装置90は、当該路線バスの行き先名称や、主な経由停留所名称を表示するためのもので、例えば、赤、橙、緑の3色で発光可能な多色発光ダイオードをマトリックス状に配置して構成されるLED表示装置である。外部から入力される文字コードや制御コード等に基づいてドット表現可能な文字や図形を表示可能に構成されている。なお、破線で示すように、運行情報提供装置20から行先表示装置90を制御することなく、運賃表示装置50を介して、または運賃表示装置50から直接、行先表示装置90を制御するように構成しても良い。
【0044】
なお、本実施形態では、CPU31やメインメモリ32等をそれぞれ個別の半導体デバイスで構成しているが、特定用途向けIC(ASIC)のように、ワンチップICやハイブリッドIC等で構成しても良い。また、データメモリ33を磁気ディスク記憶装置(HDD)に置き換えても良い。
【0045】
このように運行情報提供装置20を構成することによって、CPU31は、システムプログラム(OS)の管理の下で、データメモリ33に格納された各種プログラム(運行情報提供プログラム、交番/系統設定プログラム、運行情報表示プログラム、系統直接設定プログラム等)を実行することで、図3〜図7に示す各情報処理の実現が可能となる。
【0046】
例えば、本実施形態では、当該路線バスのイグニッションスイッチのオンに連動または乗務員による手動操作等によって、運行情報提供装置20の主電源が投入(オン)されることで、制御ユニット30のCPU31が起動してシステムプログラム上で運行情報提供プログラムが自動的に実行される。これにより、以下、図3〜図13を参照して説明する運行情報提供処理等(以下「本運行情報提供処理」という)の情報処理が可能となる。
【0047】
なお、図3には、制御ユニット30のCPU31による運行情報提供処理のメインルーチンの流れを示すフローチャート、図4には、図3に示す交番/系統情報設定処理の流れを示すフローチャート、図5には、図3に示す運行情報表示処理の流れを示すフローチャート、図6(A)には、図5に示す運行情報表示処理におけるスクロール処理の流れを示すフローチャート、図6(B)には、スクロール処理における現停留所戻り処理の流れを示すフローチャート、図7には、図3に示す系統直接設定処理の流れを示すフローチャート、がそれぞれ図示されている。また、図8〜図13には、これらの各処理に伴って液晶表示部21に表示される画面表示の例が図示されている。
【0048】
図3に示すように、本運行情報提供処理では、まずステップS101により所定の初期化処理が行われる。この初期化処理では、例えば、所定のワーク領域、フラグやカウンタ値がクリアされる。次のステップS103では、トップメニュー表示処理が行われ、続くステップS105によりタッチパネル23による選択入力があるか否かが判断される。
【0049】
図8(A)に示すように、本実施形態のトップメニューには、「交番設定」、「系統設定」、「運行画面に戻る」および「オプション」の4つの仮想押しボタンと、当日の日付(年月日)および現在時刻とが表示される。このため、これら4つの仮想押しボタンのいずれかがタッチされて押されている(選択入力されている)か否かをステップS105により判断し、選択入力されていると判断された場合には(S105:「あり」)、続くステップS107によって選択された仮想押しボタンを判断する。なお、乗務員により仮想押しボタンがタッチされて押されることを、以下、単に「押される」と表記する。また「○○○」の仮想ボタンのことを、以下、単に「○○○」ボタンと表記する。
【0050】
これに対し、「交番設定」、「系統設定」、「運行画面に戻る」および「オプション」の4つの仮想押しボタンのうち、いずれも押されていない(入力されていない)と判断された場合には(S105:「なし」)、再度、ステップS103に戻ってトップメニュー表示処理を行う。なお、ステップS103で表示されるトップメニューの画面には、交番や系統はまだ確定していないことから、「交番:」や「系統:」の右側には何も表示されていない。
【0051】
ステップS107では、ステップS105により選択された仮想押しボタンを判断する選択入力判定処理が行われる。例えば、「交番設定」ボタンが選択されている場合にはステップS200の交番/系統設定処理に移行し、「系統設定」ボタンが選択されている場合にはステップS400の系統直接設定処理に移行する。また「運行画面に戻る」ボタンが選択されている場合にはステップS300の運行情報表示処理に移行し、「オプション」ボタンが選択されている場合にはステップS500のオプション設定処理に移行する。このオプション設定処理では、例えば、液晶表示部21の輝度設定や内蔵スピーカ27の音量設定等を可能にしている。
【0052】
例えば「交番設定」ボタンが選択されている場合について説明すると、ステップS200では、図8(B)に示すような交番選択画面が液晶表示部21に表示される。このステップS200による処理の詳細は、図4の交番/系統設定処理に示されているので、ここからは図4を参照して説明する。なお、この交番/系統設定処理は、制御ユニット30のCPU31が交番/系統設定プログラムを実行することにより実現される。
【0053】
図4に示すように、交番/系統設定処理では、まずステップS201により交番情報読出処理が行われる。即ち、前述したように、制御ユニット30を構成するデータメモリ33には、運行情報として交番情報が格納されているので、これをデータメモリ33から読み出す処理を行う。
【0054】
続くステップS203では、ステップS201で読み出した交番情報を液晶表示部21に表示する処理が行われる。例えば、図8(B)に示すように、平日と休日とに分けて、平日分として「001」〜「004」の「各交番」ボタンが横長の仮想押しボタンとして表示されるほか、これらの「各交番」ボタンの左側には、休日分を表示するための「休日」ボタン、トップメニューに戻るための「Topメニューへ」ボタン、1つ前の画面に戻るための「戻る」ボタン、さらには選択入力を確定するための「確定」ボタンが、それぞれ表示されている。なお、「Topメニューへ」ボタンは、「Top」を「Too」と誤認する等を防止して視認性の向上させ得る観点から、「トップメニューへ」ボタンのようにすべて片仮名表記にしても良い。
【0055】
また、「各交番」ボタンの右側には、「各交番ボタン」の表示をスクロール表示させるための「スクロール」ボタンとして、「▲(上向き黒三角)」ボタン、「□■(上黒下白の重複四角)」ボタン、「■□(上白下黒の重複四角)」ボタンおよび「▼(下向き黒三角)」ボタンが上から下に向かって表示されている。これらの「スクロール」ボタンの機能については、後に詳述するので、ここでの説明は省略する。
【0056】
なお、図8(B)においては、平日分の「各交番」ボタンが表示され、休日分のものは表示されていないが、「休日」ボタンが押されることにより、平日分の「各交番」ボタンとほぼ同形式で、休日分の「各交番」ボタンが表示され、「休日」ボタンに代えて「休日」ボタンの上方に「平日」ボタンが表示されることに注意されたい。また、画面左側に表示される「戻る」ボタンの上に、例えば、図13(A)に示すような「番号入力」ボタンを設けることによって、このような「番号入力」ボタンを押した場合には、後述するように、番号入力画面(図13(B))により交番を直接、数字入力するように構成することもできる(図7に示すS405,S412,S414,S416,S418)。
【0057】
次に、ステップS205によりこのような交番の選択入力があると判断された場合には(S205:「あり」)、続くステップS207による選択交番表示処理によって、例えば選択された交番ボタンの表示色を変える処理が行われる。これにより、選択された交番ボタンが視覚的に明示される。これに対し、交番の選択入力がないと判断された場合には(S205:「なし」)、ステップS203に戻って、交番の選択入力があるまで同様の画面表示を継続する。
【0058】
続くステップS209により選択された交番の確定入力があると判断された場合には(S209:「あり」)、続くステップS211による系統情報読出処理によって、確定された交番に対応する系統情報を読み出す処理が行われる。即ち、データメモリ33には、運行情報として系統情報も格納されているので、確定した交番に対応する系統情報をデータメモリ33から読み出す処理を行う。これに対し、ステップS209で確定入力がないと判断された場合には(S209:「なし」)、ステップS207に戻って、確定入力があるまで同様の画面表示を継続する。
【0059】
例えば、図8(B)に示す交番選択画面の例において、平日の交番「001」が選択されて(S205:「あり」)、その選択が確定した場合には(S209:「あり」)、続くステップS213の系統情報表示処理によって、図8(C)に示す系統選択画面が液晶表示部21に表示される。この画面表示の例では、画面最上部において「交番:平日001」と表示されていることから、交番が確定していることがわかる。
【0060】
また、図8(B)に示す「各交番」ボタンの場合と同様、横長の仮想押しボタンとして、平日の交番「001」に対応する、「00500」、「00201」、「00111」および「00222」の「各系統」ボタンが表示される。「各系統」ボタンの左端に表示されている4桁の番号は、運行開始の時間順に付与された通し番号、また「各系統」ボタンの右端に表示されている時刻は、始発の停留所から発車する出発時刻である。これらの画面表示から、例えば、この交番「001」の乗務員の場合、2011年12月12日は、系統「00500」→「00201」→「00111」→「00222」の順番に、各路線バスを運行するように計画されていることがわかる。
【0061】
なお、この画面表示において、左側に表示されている「交番選択」ボタンが押されることにより、図8(B)に示す交番選択画面に戻るため、一旦は確定した交番を変更することが可能となる。また、同様に左側に表示されている「番号入力」ボタンが押されることで、後述する「系統直接設定処理」の番号入力処理(図7に示すS413〜S419)に直接移行する。また、各系統ボタンの右側には、「各系統」ボタンの表示をスクロール表示させるための「スクロール」ボタンが表示されている。これについては、交番選択画面の「スクロール」ボタンと同様であるため、後で詳述する。
【0062】
次のステップS215により、このような系統の選択入力があると判断された場合には(S215:「あり」)、続くステップS217によって、例えば選択された系統ボタンの表示色を変える処理が行われる。これにより、選択された系統ボタンが視覚的に明示される。これに対し、系統の選択入力がないと判断された場合には(S215:「なし」)、ステップS213に戻って、系統の選択入力があるまで同様の画面表示を継続する。
【0063】
例えば、図8(C)に示す系統選択画面の例において、系統「00201」が選択されて(S215:「あり」)その選択が確定した場合には(S219:「あり」)、続くステップS221の系統情報設定処理によって、選択された系統「00201」(系統情報)がメインメモリ32の所定のワーク領域に記憶される。これにより、当該交番/系統設定処理による情報処理は終了するため、図3に示すメインルーチンに戻ってステップS300に処理を移行する。これに対し、ステップS219で確定入力がないと判断された場合には(S219:「なし」)、ステップS217に戻って確定入力があるまで同様の画面表示を継続する。
【0064】
図3に戻ると、続くステップS300では運行情報表示処理が行われる。このステップS300による処理の詳細は、図5の運行情報表示処理に示されているので、ここからは図5を参照して説明する。なお、この運行情報表示処理は、制御ユニット30のCPU31が運行情報表示プログラムを実行することにより実現されて、例えば、始発の発車定刻(定刻の発車時刻)よりも前のタイミングで開始される。
【0065】
図5に示すように、運行情報表示処理では、まずステップS301により停留所情報読出処理が行われる。即ち、制御ユニット30を構成するデータメモリ33には、運行情報として停留所情報が格納されているので、前述した交番/系統設定処理によりメインメモリ32の所定のワーク領域に記憶された系統情報に基づいて、この系統に含まれる各停留所に関する情報(各停留所の名称、各停留所の番号、各停留所の発車定刻、各停留所間ごとの走行所要時間、各停留所間ごとの走行経路距離、各停留所間ごとの走行経路上のほぼ所定間隔ごとに測定された緯度・経度、等)、つまり停留所情報をデータメモリ33から読み出す処理を行う。
【0066】
続くステップS303では、停留所番号設定処理が行われる。例えば、始発の停留所番号が「00201−01」である場合には、この「00201−01」が設定されて、後述する更新処理(S309)により、例えば、下2桁「01」→「02」→「03」というように1つずつ増加させるインクリメント処理が行われる。
【0067】
次のステップS305により停車中表示処理が行われる。この処理は、ステップS301により読み出された停留所情報に基づいて、現在停車中の停留所(次停留所)の名称およびその発車定刻を液晶表示部21に上段に表示するとともに、その下段に、この停留所の次以降の停留所(次以降停留所)について停留所の名称およびその発車定刻を液晶表示部21に表示する。
【0068】
例えば、前述した交番/系統設定処理の系統情報設定処理(S221)により設定された系統「00201」の例(交番は「平日001」)では、これに対応した停留所情報に含まれる停留所が、「定車庫」(00201−001)、「湯の町」(00201−002)、「小金湯」(00201−003)、「豊滝」(00201−004)、「藤野3−8」(00201−005)、「硬石山」(00201−006)、「南21」(00201−007)、「すすきの」(00201−008)および「札幌駅」(00201−009)であった場合(停留所名称の後の括弧内に表記される(00201−xxx)は停留所番号)、つまり系統「00201」の停留所が上記9箇所である場合には、まずステップS305によって、例えば、図9(A)に示すような運行情報が液晶表示部21の画面に表示される。
【0069】
図9(A)に示す画面表示の例では、(1)この系統00201は「定車庫」発の「札幌駅」着であること、(2)始発の停留所「定車庫」は発車定刻が06時00分であること、(3)現在時刻は05時58分で発車定刻06時00分の「2分前」であること(同図中符号α)、(4)次以降の停留所は「湯の町」と「小金湯」でそれぞれの発車定刻は「06時06分」や「06時12分」であること、が把握され、さらにバス停をイメージしたバス停マークβが「定車庫」の発車定刻の表示(06:00発)の左側に付いていることから、(5)現在、当該路線バスは「定車庫」に停車中であることがわかる。
【0070】
なお、当該路線バスが現在停車中の「定車庫」の発車定刻である「6:00発」の文字は、液晶表示部21に表示されている運行情報の中で最も重要度が高いことから、他の時刻表示よりも文字サイズが大きく設定されており、さらにその文字色は、暗い背景色(例えば黒色)に対して明度、彩度ともに高い山吹色に設定されている。また、停留所に停車中であることを示すバス停マークβの表示色も、重要度の高い発車定刻と同色の山吹色に設定されている。これにより、文字と背景とのコントラスト差がより大きくなるため、これらの文字等が最もくっきりとして際立つように見せることが可能となる。なお、他の文字については、彩度ゼロの無彩色でありながら明度が最も高い白色に設定することによって、山吹色よりも目立ち難くくも暗い背景色(例えば黒色)に対して際立つように構成されている。
【0071】
また、図9(A)に示す画面表示の例では、停留所およびその発車定刻を表示する欄を画面の上下方向に4段に構成し各段間を破線で区切って、現在停車している停留所または次に停車を予定する停留所を上から2段目に表示し、その下段には次以降に停車を予定する停留所を当該路線バスの進行方向から近い順番で下方に向かうように表示している。また、既に停車をした直前の停留所を上から1段目(最上段)に表示するようにしている。さらに、画面表示左側には、一点鎖線で囲まれた範囲(所定の範囲)には、現在停車している停留所または次に停車を予定する停留所の発車定刻と現在時刻との時間差(次停留所時間差)αを表示するようにしている。なお、「○○分前」は発車定刻に対する進み時間、「○○分後」は発車定刻に対する遅れ時間、をそれぞれ表示している。
【0072】
続くステップS307では、停車中の当該路線バスが走行を開始したか否かを判断する処理が行われる。例えば、当該路線バスでは、降車用のドアが閉じてから、所定時間が経過したり所定距離を走行すると、または乗務員により図略の歩進スイッチが操作されると、運賃表示装置50を介して(または直接)運行情報提供装置20に停留所進捗信号が入力されるため、これを受けて当該路線バスが走行を開始したことを検出する。なお、停留所の緯度・経度や走行経路上の所定地点(例えば、停留所間の中間地点)の緯度・経度と当該路線バスの現在の緯度・経度とを比較することによって、停車中の当該路線バスが走行を開始したか否かを判断しても良い。
【0073】
ステップS307により走行を開始したと判断した場合には(S307:Yes)、次のステップS309により停留所番号更新処理が行われ、走行を開始したと判断しない場合には(S307:No)、ステップS305に戻って、再度、停車中表示処理を行う。
【0074】
ステップS309では、前述したように、停留所番号の下2桁を1だけ増加させるインクリメント処理によって、次停留所に該当する番号を変更する。例えば、図9(A)に示す画面表示がされた際には、停留所番号は、「定車庫」の00201−001に設定されていたが、このステップS309によってインクリメントされると、00201−002に設定されるため、この停留所番号に対応する停留所は「湯の町」になる。即ち、当該路線バスが次に停車を予定する停留所(次停留所)は「湯の町」に設定され、1つ前の停留所「定車庫」は直前に停車または通過した停留所として前停留所に設定される。
【0075】
続くステップS311では、走行中表示処理が行われる。この処理は、ステップS301により読み出された停留所情報とステップS309により更新された停留所番号とに基づいて、現在、走行中の走行経路における次に停車を予定している停留所(次停留所)の名称およびその発車定刻を液晶表示部21に上から2段目に表示するとともに、その上段、つまり上から1段目に直前に停車または通過した停留所(前停留所)の名称およびその発車定刻を表示する。また、停車中表示処理と同様に、次に停車を予定している停留所(次停留所)の下段に、この停留所の次以降の停留所(次以降停留所)について停留所の名称およびその発車定刻を液晶表示部21に表示する。
【0076】
さらに、直前に停車または通過した停留所(前停留所)の名称や発車定刻の情報表示と、次に停車を予定している停留所(次停留所)の名称や発車定刻の情報表示と、の間に、視覚的に「区切り」を認識し得る区切線δを表示する。さらにまた、この区切線δの左端近傍に当該路線バスをイメージしたバスマークγを表示する。先例の系統「00201」(交番は「平日001」)の場合、ステップS311によって、例えば、図9(B)に示すような運行情報が液晶表示部21の画面に表示される。
【0077】
なお、区切線δに代えて、「*(アステリスク)」や「☆(星印)」等の記号を複数個並べて表示したり、線と記号の組み合わせであっても良い。また、バスマークγは、区切線δの左端近傍に限らず、区切線δの右端近傍や区切線δの上側または下側に位置させても良い。
【0078】
図9(B)に示す画面表示の例では、図9(A)に示す画面表示の例と比べると、(1)次の停留所「湯の町」は発車定刻が06時06分であること、(2)現在時刻は06時07分で発車定刻06時06分の「1分後」であること(同図中符号α’)、(3)直前の停留所は「定車庫」で発車定刻が06時00分であったこと、(4)次以降の停留所は「小金湯」と「豊滝」でそれぞれの発車定刻は「06時12分」や「06時15分」であること、が把握され、さらに次の停留所「湯の町」の情報表示と直前の停留所は「定車庫」の情報表示との間には、区切線δが介在しその左端にバスマークγが表示されていることから、(5)現在、当該路線バスは、前停留所の「定車庫」と次停留所の「湯の町」との間を走行中であることがわかる。
【0079】
なお、図9(B)に示す画面表示の例の場合、当該路線バスは、次に停車予定の「湯の町」の発車定刻に対して現時点で1分遅れていることから、それを乗務員にわかり易く明示するため、発車定刻に対して遅れのない場合の黒地白文字表示(図9(A)に示す符号α)に対して、白黒を反転させて白地黒文字表示している(符号α’)。
【0080】
また、当該路線バスが次に停車予定の「湯の町」の発車定刻である「6:06発」の文字は、液晶表示部21に表示されている運行情報の中で最も重要度が高い。このため、図9(A)に示す「定車庫」の発車定刻である「6:00発」の文字と同様に、他の時刻表示よりも文字サイズが大きく設定されており、さらにその文字色は、暗い背景色(例えば黒色)に対して明度、彩度ともに高い山吹色に設定されている。また、区切線δやバスマークγの表示色は、いずれもバス停マークβと同様に、山吹色に設定されている。これにより、これらの文字等が最もくっきりとして際立つように見せることが可能となる。これに対して、既に停車または通過した前停留所の「定車庫」については、次停留所に比べて重要度が低いため、彩度ゼロの無彩色で明度も低い灰色に設定することによって、暗い背景色(例えば黒色)に対しても目立ち難くしている。
【0081】
次のステップS313では、当該路線バスが停留所に停車したか否かを判断する処理が行われる。例えば、当該路線バスは、停留所に停車すると降車用または乗車用のドアを開閉することから、これに伴うドア開閉信号が運賃表示装置50を介して(または直接)運行情報提供装置20に入力されるため、これを受けて当該路線バスが停留所に停車したことを検出する。なお、停留所の緯度・経度と当該路線バスの現在の緯度・経度とを比較して当該路線バスが停留所に停車したか否かを判断しても良い。
【0082】
ステップS313により停留所に停車したと判断した場合には(S313:Yes)、次のステップS317によってその停留所が終着であるか否か判断する処理が行われる。即ち、終着の停留所に到着した場合には(S317:Yes)、例えば、図10(E)に示すように、次系統への移行が可能な表示にする必要から、画面表示の情報処理が異なるため(S319)、ステップS317においてこのような判断処理を行っている。
【0083】
一方、ステップS313により停留所に停車したと判断しない場合には(S313:No)、次のステップS315によってその停留所を通過したか否か判断する処理が行われる。停留所を通過した場合には、乗務員により図略の歩進スイッチが操作されて、運賃表示装置50を介して(または直接)運行情報提供装置20に停留所進捗信号が入力されるため、これを受けて当該路線バスが停留所を通過したことを検出する。なお、停留所の緯度・経度と当該路線バスの現在の緯度・経度とを比較して当該路線バスが停留所を通過したか否かを判断しても良い。
【0084】
この停留所通過判断処理により、停留所を通過したと判断した場合には(S315:Yes)、ステップS309に移行して停留所番号を更新し、停留所を通過したと判断しない場合には(S315:No)、ステップS311で再度、走行中表示処理が行われる。
【0085】
また、停留所が終着でない場合には(S317:No)、ステップS305に戻って、再度、停車中表示処理が行われる。この場合には、停留所番号が1つ更新されていることから、先例の系統「00201」(交番は「平日001」)の場合、ステップS305によって、例えば、図9(C)に示すような運行情報が液晶表示部21の画面に表示される。
【0086】
停車中の当該路線バスが走行を開始すると(S307:Yes)、ステップS309による停留所番号更新処理の後、ステップS311による走行中表示処理によって、例えば、図10(D)に示すような運行情報が液晶表示部21の画面に表示される。
【0087】
そして、当該路線バスの走行が進んで、終着の停留所に到着した場合には(S317:Yes)、ステップS319による終着表示処理によって、例えば、図10(E)に示すような「00111 次系統へ」の表示とこの次系統の選択を確定する「確定」ボタンの表示とを設けた画面が液晶表示部21に表示される。なお、この次系統「00111」は、図8(C)に示す画面表示から、この交番「001」の乗務員に対して、予め計画された系統順序「00500」→「00201」→「00111」→「00222」に従ったものであることがわかる。
【0088】
このステップS319による終着表示処理による画面表示の「確定」ボタンが乗務員に押されることによって、当該運行情報表示処理が終了する。これにより、図3に示すメインルーチンに戻ってステップS109に処理を移行する。このステップでは、「次系統へ」の確定入力があるか否かの判断が行われる。つまり、図10(E)に示す画面表示において「確定」ボタンが押されているか否かの判断がされる。
【0089】
「確定」ボタンが押されている場合には(S109:あり)、当該路線バスは、引き続き次の系統を走行するため、ステップS300に移行して新たな系統について運行情報の表示処理が行われる。これに対して、図10(E)に示す画面表示において「確定」ボタンが押されていない場合には(S109:なし)、ステップS103に移行してトップメニューの表示処理が行われる。
【0090】
なお、図10(F)には、新たな系統として系統「00111」による始発の停留所「札幌駅」に停車中に液晶表示部21に表示される画面表示の例が図示されている。これを見ると、この系統「00111」は、「札幌駅」の次の停留所が「すすきの」で、その次の停留所が「南21」であることから、図9(A)〜図10(E)を参照して説明した系統「00201」の走行経路が往路であるとすれば、当該系統「00111」は逆方向の復路であることがわかる。
【0091】
また、図9(A)〜図10(E)に示す表示画面においては、いずれも、上から2段目に表示した停留所の発車定刻と現在時刻との時間差(次停留所時間差)を、現在時刻の下(図9(A)に示す一点鎖線枠内)に表示したが、例えば、上から3,4段目に表示した停留所の発車定刻と現在時刻との時間差(次以降停留所時間差)を、それぞれの発車定刻の近傍に表示するように構成しても良い。例えば、図11(A)に示す画面表示の例では、上から2段目に表示した停留所の発車定刻06時06分と現在時刻06時05分との時間差は、1分早い(1分進み)であることから、現在時刻の下に「1分前」と表示されている。
【0092】
これに加えて、上から3段目に表示した停留所の発車定刻06時12分と現在時刻06時05分との時間差は、7分早い(7分進み)ことから、その発車定刻の表示06時12分に(7分前)と併記表示しても良い。同様に、上から4段目に表示した停留所の発車定刻06時15分と現在時刻06時15分との時間差は、10分早い(10分進み)ことから、その発車定刻の表示06時15分に(10分前)と併記表示しても良い。図11(B)に示す画面表示の例についても同様である。
【0093】
また、発車定刻と現在時刻との時間差ではなく、図11(C)に示すように、当該路線バスが到着する予定時刻をその発車定刻に併記表示しても良い。即ち、上から2段目に表示した停留所の発車定刻(06時12分)に対して到着すると予想される時刻(06時12分)を、当該路線バスの現在位置、車速および現在時刻とに基づいて算出して、その発車定刻に併記表示しても良い。また、上から3,4段目に表示した停留所の発車定刻に対しても同様に、到着すると予想される時刻を、当該路線バスの現在位置、車速および現在時刻とに基づいて算出して、その発車定刻に併記表示しても良い。なお、当該路線バスの車速は、例えば、単位時間当たりに変化する緯度・経度による走行距離を各停留所間ごとの走行経路距離から算出しそれを当該単位時間で割ることで求められる。また、このような予定時刻を、2段目に表示した停留所の発車定刻と現在時刻との時間差(次停留所時間差)や3,4段目に表示した停留所の発車定刻と現在時刻との時間差(次以降停留所時間差)に併記表示しても良い。
【0094】
さらに、当該路線バスが到着するまでの所要時間をその発車定刻に併記表示しても良い。即ち、上から2段目に表示した停留所の発車定刻(06時12分)に対して到着するのに要する時間(あと7分)を、当該路線バスの現在位置、車速および現在時刻とに基づいて算出して、その発車定刻に併記表示しても良い。また、上から3段目に表示した停留所の発車定刻に対しても同様に、到着するまでの所要時間を、当該路線バスの現在位置、車速および現在時刻とに基づいて算出して、例えば、「06:15発(あと10分) 豊滝」というように発車定刻に併記表示しても良い。さらに、上から4段目に表示した停留所の発車定刻に対しても同様に、例えば、「06:23発(あと18分) 藤野3−8」というように発車定刻に併記表示しても良い。また、このような予定所要時間を、発車定刻と現在時刻との時間差(次停留所時間差)に併記表示しても良い。さらに前述した予定時刻をこれらに加えて、発車定刻と現在時刻との時間差(次停留所時間差)・予定所要時間・到着予定時刻を3つ並べて表示しても良いし、予定所要時間と到着予定時刻とを2つ並べて表示しても良い。
【0095】
ここで、図6(A)および図11等を参照して「スクロール」ボタンの機能に説明する。これまで説明をした各表示画面(図8(B)〜図10(F))において、画面右側に表示されている「スクロール」ボタン(「▲(上向き黒三角)」ボタン、「□■(上黒下白の重複四角)」ボタン、「■□(上白下黒の重複四角)」ボタンおよび「▼(下向き黒三角)」ボタン)の操作は、例えば、表示コントローラ34に設けられる画面制御専用のメモリ空間と、このメモリ空間で情報処理可能な専用タスク(またはスレッド)により行われるスクロール処理によって実現されている。
【0096】
このスクロール処理では、まずステップS351によって何が入力されたかを判定する処理が行われる。即ち、「▲(上向き黒三角)」ボタン、「□■(上黒下白の重複四角)」ボタン、「■□(上白下黒の重複四角)」ボタンおよび「▼(下向き黒三角)」ボタンのうち、どれが押されて入力されたかをこのステップS351によって判定する。なお、このスクロール処理によってスクロール表示される範囲、つまりスクロールの対象は、図11(A)に示す一点鎖線による枠内である。
【0097】
例えば、図11(A)に示す表示画面において、「▼(下向き黒三角)」ボタンが押されているとステップS351により判断された場合には(S351:「行送り」)、ステップS353aに移行してスクロール対象となる一点鎖線による枠内の表示が最下行の表示であるか否かを判断する。即ち、既に最下行までスクロールされている場合には、これ以上の行送りはできないことから、このような判断をステップS353aにより行い、最下行である場合には(S353a:Yes)、スクロール処理を終了する。
【0098】
一方、ステップS353aにより最下行であると判断されない場合には(S353a:No)、次のステップS355aにより送り改行処理が行われる。この処理では、スクロール対象となる一点鎖線による枠内の表示の最上行を削除するとともに、各行とも1段づつ表示行を上方に移動するように位置を変更して表示し、さらに同枠内の表示の最下行の1つ下に隠れて表示されない情報を表示対象として同枠内の表示の最下行に表示する。
【0099】
例えば、図8(B)に示される表示画面においては、最上行に表示されている「001」が削除され、この表示画面では表示されていない最下行の「005」を最下行に表示する。また、図8(C)についても同様に表示することで、1行送りのスクロールが完了する。
【0100】
なお、本実施形態では、これまで説明してきたように、上から1段目(1行目)に表示される情報は、その表示色が彩度ゼロの無彩色で明度も低い灰色に変更されており、また上から2段目(2行目)に表示される情報は、文字サイズが大きくなるように変更され、さらにその表示色が明度、彩度ともに高い山吹色に変更される。このため、単純に表示位置を変更するだけのスクロール表示では足りないことから、表示位置の変更とともに、このような文字サイズや文字色の変更処理をステップS355aによる送り改行処理にて行う必要がある。
【0101】
また、図11(A)に示すように、上から2段目(2行目)に表示される停留所の発車定刻と現在時刻との時間差で現在時刻の下に表示される「1分前」や、上から3,4段目(3,4行目)に表示される停留所の発車定刻と現在時刻との時間差でそれぞれの発車定刻に併記表示される「06:12発(7分前)」や「06:15発(10分前)」についても、図11(B)に示すように、それぞれ「7分前」、「06:15発(10分前)」や「06:23発(18分前)」というように、それぞれの時間差表示が変更される。このため、これについても単純に表示位置を変更するだけのスクロール表示では足りないことから、表示位置の変更とともに、このような時間差の変更処理をステップS355aによる送り改行処理によって行う必要がある。
【0102】
図11(A)に示す表示画面において、「■□(上白下黒の重複四角)」ボタンが押されているとステップS351により判断された場合には(S351:「頁送り」)、ステップS353bに移行してスクロール対象となる一点鎖線による枠内の表示を1頁分、つまり4行分送っても最下行を超えた表示になるか否かを判断して最下行を超える場合には(S353b:Yes)、スクロール処理を終了する。
【0103】
これに対して、1頁分送っても最下行を超えない場合には(S353b:No)、続くステップS355bにより送り改頁処理が行われる。この処理では、前述したステップS355aによる送り改行処理を4行分、つまり1頁を構成する行数分だけ送り改行処理を繰り返すことによって送り改頁が可能となるため、説明を省略する。なお、文字サイズや文字色の変更や時間差表示の変更等についても送り改行処理と同様に処理される。
【0104】
次に、「▲(上向き黒三角)」ボタンが押されているとステップS351により判断された場合は(S351:「行戻り」)、「▼(下向き黒三角)」ボタンが押されている場合と逆の処理を行う。即ち、ステップS353cによりスクロール対象となる一点鎖線による枠内の表示が最上行の表示であるか否かを判断し、既に最上行までスクロールされている場合には(S353c:Yes)、これ以上の行送りはできないことから、スクロール処理を終了する。
【0105】
一方、ステップS353cにより最上行であると判断されない場合には(S353c:No)、次のステップS355cにより戻り改行処理が行われる。この処理でも、「▼(下向き黒三角)」ボタンが押されている場合と逆の処理を行う。即ち、スクロール対象となる一点鎖線による枠内の表示の最下行を削除するとともに、各行とも1段づつ表示行を下方に移動するように位置を変更して表示し、さらに同枠内の表示の最上行の1つ上に隠れて表示されない情報を表示対象として同枠内の表示の最上行に表示する。
【0106】
なお、文字サイズや文字色の変更や時間差表示の変更等についても、送り改行処理と方向を上下逆方向にすることで同様に処理可能で、例えば、図12(A)〜図12(C)に「▲(上向き黒三角)」ボタンが押されている場合のスクロール表示の例が、図12(A)→図12(B)→図12(C)の順で経時的に示されている。
【0107】
また、「□■(上黒下白の重複四角)」ボタンが押されているとステップS351により判断された場合には(S351:「頁戻り」)、ステップS353d,355dにより、「■□(上白下黒の重複四角)」ボタンが押されている場合と逆の処理を行うことで、戻り改頁が可能となるため、説明を省略する。なお、文字サイズや文字色の変更や時間差表示の変更等についても戻り改行処理と同様に処理される。
【0108】
このようにスクロール操作は、表示画面単位で表示内容を変更する場合に比べて変動する表示内容を把握し易く操作上の利便性を向上することができる。しかし、スクロールによる送りや戻りの行数が累積して、停車中の停留所や走行中の次停留所の情報表示から現在表示している内容がスクロールする行数上、離れてしまった場合には、スクロール開始前の元の画面表示に戻るために逆方向のスクロール操作を再度行う必要があり操作が煩雑になりかねない。
【0109】
そこで、このような操作上の煩雑さを解消するため、本実施形態では図11や図12に示すような「現停留所に戻る」ボタンを設けて、この「現停留所に戻る」ボタンが押されると、図6(B)に示す現停留所戻り処理を起動する。
【0110】
ステップS361による停留所番号読出処理が行われて、当該路線バスが現在停車中の停留所の番号または次に停車する予定の停留所の番号が読み出されると、停車中または走行中といった車両状態に基づいて(S363)、図5に示すステップS305の停車中表示処理やステップS311の走行中表示処理にそれぞれ戻ることが可能となる(S365a,S365b)。このため、液晶表示部21の画像表示をスクロール操作前の画像表示に戻すことができる。
【0111】
ここで再び図3に戻って、ステップS107により「系統設定」ボタンが選択されている場合について説明する。この「系統設定」ボタンが選択される場合は、例えば、交番に関係なく臨時運行を行うとき等が想定される。そのため、各停留所を発車する定刻、つまり発車定刻も設定されていないことが多いことから、これから説明するように、液晶表示部21に表示される運行情報には発車定刻は含まれていないことに注意されたい。
【0112】
図3に示すように、ステップS107により「系統設定」ボタンが選択されている場合には、ステップS400による系統直接設定処理が行われるが、この処理の詳細は、図7に図示されているので、ここからは図7および図13を参照して説明する。なお、この系統直接設定処理は、制御ユニット30のCPU31が系統直接設定プログラムを実行することにより実現される。
【0113】
系統直接設定処理では、まずステップS401により系統情報読出処理が行われる。この処理では、系統情報をデータメモリ33から読み出す処理を行うが、前述したように、臨時運行を行う場合等は、通常は系統に関連づけられる「交番」が存在しない。そのため、交番に関係なく、データメモリ33に格納されているすべての系統情報をデータメモリ33から読み出して、読み出した系統情報を続くステップS403により液晶表示部21の画面に表示する。
【0114】
これにより、例えば、図13(A)に示すように、系統情報が表示されるが、すべての系統情報が複数頁に亘って表示されることから、系統の選択操作が煩雑になりかねない。このため、図13(A)に示す画面左側に表示される「番号入力」ボタンを押すことにより、図13(B)に示すような番号入力画面が表示されることから、系統番号を直接、数字入力することが可能となる。また、同様に、図13(A)に示す画面左側に表示される「交番選択」ボタンを押すことにより、このような番号入力画面によって交番を直接、数字入力することが可能となる。また、系統番号の数字入力処理は、ステップS405(「番号入力」あり),S413,S415,S417により行われる。また、交番の数字入力処理は、ステップS405(「交番選択」あり),S412,S414,S416により行われる。なお、図7に示すステップS407,S409,S411は、図4に示すステップS215,S217,S219にそれぞれ対応しているので、ここではこれらの説明を省略する。
【0115】
図13(B)に示す番号入力画面において、系統番号の入力が済んだときには、画面左側の「確定」ボタンを押すことによって(S419:「あり」)、入力された系統番号が確定しステップS421により系統情報が設定、つまりメインメモリ32の所定のワーク領域に記憶される。例えば、図13(B)に示される例では、系統番号として「00201」が入力されているため、「確定」ボタンが押されることによりステップS421により系統番号が設定されて、当該系統直接設定処理が終了する(また交番の入力が済んだときにも、同様に画面左側の「確定」ボタンが押されることで(S418:「あり」)、入力された交番情報が確定し(S421)メインメモリ32に記憶される)。これより、図3に示すメインルーチンに処理が戻って、続くステップS300により運行情報表示処理が開始される(図13(C))。なお、この図13(C)に示される液晶表示部21の画面表示の例は、図9(A)に示される液晶表示部21の画面表示の例とは異なり、交番、停留所の発車定刻や次停留所時間差(発車定刻と現在時刻との時間差)がいずれも表示されていない。
【0116】
なお、例えば、図8(B)に示す交番選択画面の例においても、画面左側の現在時刻の下に「番号入力」ボタン(図13(A)参照)を設けることにより、図13(B)に示すような番号入力画面を表示して、交番を直接、数字入力することができるように構成しても良い。
【0117】
また、始発や終着の停留所に停車中の当該路線バスにおいて、液晶表示部21に表示される画面(例えば、図9(A)や図10(E)に示す画面)に、「回送」ボタンを設けて、これが押されると、当該路線バスが回送車両である旨の表示、例えば「回送」を行先表示装置90に表示させるように制御する。具体的には、液晶表示部21に表示される「回送」ボタンの押下に連動して、「回送」表示に対応するテキストデータまたはコマンドを運行情報提供装置20から行先表示装置90に出力する。また、行先表示装置90により回送表示が行われている場合には、その旨を乗務員に告知可能な表示を液晶表示部21の画面表示において行う。
【0118】
これにより、例えば、始発や終着の停留所に停車している場合においては、ワンタッチで行先表示装置90の表示を「回送」にすることができるため、行き先が「回送」であれば、乗車するお客もいないことから、運行開始前(例えば乗務員の休憩時間中)におけるお客の誤乗車を防ぐことが可能となる。また、行先表示装置90により回送表示が行われている場合には、その旨を乗務員に告知可能な表示を液晶表示部21の画面表示において行うことにより、行先表示装置90に回送表示がされたままでの運行開始を防止できる。
【0119】
このような回送表示をする技術的思想は、『前記乗合車両は、前記所定の路線における行き先表示を可能に構成される行先表示装置を外部に備えており、前記表示制御部が当該路線バスの運行情報の表示制御(請求項1〜9のいずれか一項に記載された表示制御)を行っている場合において、当該表示制御部は、所定の他の操作情報が入力されると、当該乗合車両が回送車両である旨を前記行先表示装置に表示するように制御することを特徴とする運行情報提供装置』として把握することが可能で、これにより、例えば、始発や終着の停留所に停車している場合においては、ワンタッチで行先表示を「回送」にすることができる。このため、行き先が「回送」であれば、乗車するお客もいないので、運行開始前(例えば乗務員の休憩時間中)におけるお客の誤乗車を防ぐことができる。
【0120】
以上説明したように、本実施形態に係る運行情報提供装置20によると、路線バスの走行中においては、乗務員に視認可能な液晶表示部21に、次停留所の名称とその発車定刻とその次停留所時間差(発車定刻と現在時刻との時間差)または予定時刻や予定所要時間を表示するとともに、走行中を示す区切線γといった視覚的に「区切り」を認識し易い目印の上下に次停留所と前停留所のそれぞれの名称を表示するので、乗務員は一目で有用な運行情報を容易に把握することができる。また、路線バスの停車中においては、乗務員に視認可能な液晶表示部21に、停車中の次停留所の名称とその発車定刻とその次停留所時間差または予定時刻や予定所要時間を表示するとともに、停車中を示すバスマークγ(所定の印)をこれらの表示の先頭または後尾に明示するので、乗務員は、現在停車している停留所(次停留所)について一目で有用な運行情報を容易に把握することができる。
【0121】
上述した各実施形態では、液晶表示部21に表示する運行情報として、次停留所の名称とその発車定刻とその次停留所時間差(発車定刻と現在時刻との時間差)等を例示して説明をしたが、当該路線バスが次停留所に到着をする定刻である到着定刻と現在時刻との時間差をその次停留所時間差として、次停留所の名称とともに表示するように構成しても良く、このような構成においても、前述と同様の作用および効果を得ることができる。
【0122】
また、上述した各実施形態では、当該路線バスの運行情報を液晶表示部21に画面表示することでこれらの情報を乗務員に提供しているが、例えば、これらの運行情報のうち、特に重要度の高いものを合成音声で読み上げて内蔵スピーカ27から音響出力し得るように、CPU31から音声コーデック37にテキストデータを出力する構成を採っても良い。これにより、乗務員は、視覚に加えて聴覚からも運行情報を把握できる。なお、特に重要度の高い運行情報としては、例えば、当該路線バスが停車中の停留所または走行中において次に停車を予定している停留所(次停留所)の発車定刻と現在時刻との時間差(次停留所時間差)や、その停留所における発車定刻等である。
【0123】
また、上述した各実施形態では、液晶表示部21に画面表示する運行情報の一部として、停留所やその発車定刻あるいは到着予定時刻、所要時間等を上下方向に展開される段構成の表示態様にしているが、これに限られることはなく、左右方向に展開される段構成や3D画面の場合には前後方向(奥行き方向)に展開される段構成、さらには円環状や球体状に循環するように展開される構成であっても良い。また、段数は、4段に限らず複数であれば、3段や5,6段等、液晶表示部21の画面サイズや文字サイズに適合した段数に設定しても良い。
【0124】
さらに、上述した各実施形態では、文字やその背景の表示色にコントラスト差を設けたり、複数種類の文字サイズを用いることによって、重要度の高い運行情報を重要度の低い情報よりも目立たせる表示態様にしたが、文字や記号の表示をブリンクさせたり、動きを与えたりすることで、重要度の高い運行情報をより一層目立たせるように表示態様を構成しても良い。
【0125】
また、上述した各実施形態では、当該運行情報提供装置20を路線バスに搭載する場合を例示して説明したが、本発明の適用はこれに限られることはなく、所定の路線を走行する乗合車両であれば、例えば、路面電車、トロリーバスやワンマン運行方式の鉄道等の乗合車両の運行情報をその乗務員に提供する場合にも適用することができ、これらの場合においても路線バスに搭載したときと同様の作用・効果を得ることができる。
【0126】
なお、上述した各実施形態では、当該路線バスが停留所に停車している場合には、図9(A)、図9(C)、図10(E)、図10(F)を参照して説明したように、液晶表示部21の表示画面において発車定刻の左側にバス停マークβを表示し、当該路線バスが停留所(前停留所と次停留所)間を走行している場合には、図9(B)、図10(D)、図11(A)〜図11(C)、図12(A)〜図12(C)、を参照して説明したように、液晶表示部21の表示画面において前停留所の情報表示と次停留所の情報表示との間に区切線δを表示しその左端近傍にバスマークγを表示するように表示制御をする構成としたが、例えば、路線バスが停留所に停車している場合にこのようなバス停マークβを表示し、停留所間を走行している場合においては区切線δやバスマークγを表示しないように表示制御をする構成としても良い。また、これとは逆に、例えば、路線バスが停留所に停車している場合においてはバス停マークβを表示することなく、停留所間を走行している場合にこのような区切線δやバスマークγを表示するように表示制御をする構成としても良い。
【0127】
また、このようなバス停マークβ、バスマークγおよび区切線δをいずれも液晶表示部21に表示することなく、図9(A)に示す画面左側の一点鎖線で囲まれた範囲(所定の範囲)に表示される次停留所時間差α,α’を表示するように表示制御をする構成としても良い。また、図11(A)および図11(B)に示すような次以降停留所時間差や、図11(C)に示すような「予」や「着予」で表示された到着または通過する予定時刻、さらには図示されていないが「あと10分」というような予定所要時間についても、必ずしもこのようなバス停マークβ、バスマークγおよび区切線δと共に液晶表示部21に表示する必要はなく、次以降停留所時間差、予定時刻や予定所要時間をそれぞれ個別に、またはこれらを組み合わせて表示するように液晶表示部21の表示制御をする構成にしても良い。
【符号の説明】
【0128】
20…運行情報提供装置
21…液晶表示部(運行情報表示部)
23…タッチパネル
25…テンキーユニット
30…制御ユニット
31…CPU(時間差演算部、表示制御部)
32…メインメモリ(時間差演算部、表示制御部)
33…データメモリ(停留所情報記憶部)
34…表示コントローラ(表示制御部)
50…運賃表示装置
60…GPS装置
70…放送装置
90…行先表示装置
α、α’…時間差(次停留所時間差)
β…バス停マーク(停車中を示す所定の印)
γ…バスマーク(走行中を示す所定の印)
δ…区切線(所定の線)
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗合車両の運行情報を乗務員に提供する運行情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
路線バスやワンマン運行方式の鉄道等の乗合車両には、例えば、下記特許文献1に開示されるような「運賃表示装置」が搭載されている。この「運賃表示装置」では、乗車時に整理券発行機から発行される整理券の番号とこれらの番号に対応する各運賃とからなる運賃表を表示したり、次の停留所の案内や路線図等を表示したりして、当該乗合車両に関する運行情報を乗客に提供可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−65622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示される「運賃表示装置」によると、当該乗合車両に関する運行情報は乗客への提供を目的とするものである。このため、たとえ2画面構成であっても、乗客の視界に入り易い位置に表示画面を車内後方に向けて設けられることから、このような運賃表示装置に表示される運行情報を運転席の乗務員が見ることは容易ではなかった。
【0005】
また、このような乗客向けの表示装置には、乗客に有用な情報が表示されるため、乗務員にとっては有用な情報であっても、乗客には必要のない情報は表示されない。例えば、始発前に始発の停留所で待機している場合や、定刻の発車時刻(以下「発車定刻」という)よりも早く停留所に到着した場合等においては、「あと何分で出発しなければならないのか」等といった定刻に対する時間的な情報は、運転士等の乗務員には有用であっても、乗客にはあまり必要とされるものではない。
【0006】
さらに、交通渋滞等による当該乗合車両の遅れに関する情報は、このような乗客向けの表示には通常表示されないことから、例えば「あと何分くらいで○○○駅に着きますか?」といった問い合わせを乗客から受けても、乗務員は、上記のような運賃表示装置に表示される運行情報からは、遅れた時間を加味した到着時間を咄嗟に答えることは難しい。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、当該乗合車両の乗務員に有用な運行情報を提供し得る運行情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載された運行情報提供装置は、所定の路線を走行する乗合車両に搭載されこの乗合車両の運行情報を乗務員に視認可能に表示する運行情報表示部を備えた運行情報提供装置であって、前記所定の路線の各停留所に関する停留所情報として、少なくとも、これらの各停留所を前記乗合車両が出発する予め設定された停留所ごとの発車定刻および前記各停留所の名称を記憶する停留所情報記憶部と、前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報のうち前記乗合車両が次に停車または通過する次停留所の前記発車定刻と現在時刻とに基づいて、これら両時刻の差から前記次停留所の前記発車定刻に対する遅れまたは進み時間を次停留所時間差として求める時間差演算部と、前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報に基づいて、前記次停留所の名称、前記次停留所の前記発車定刻および前記時間差演算部による前記次停留所時間差ならびに前記次停留所の1つ前の前停留所の名称を含む運行情報を前記運行情報表示装置に表示可能に制御する表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記運行情報表示部の所定の範囲に前記次停留所時間差を表示するように制御し、かつ、前記乗合車両が前記次停留所と前記前停留所との間を走行している場合、前記次停留所の名称と前記発車定刻とを並べて前記運行情報表示部に表示するように制御するとともに、前記次停留所の名称および前記発車定刻の表示と前記前停留所の名称の表示との間に走行中を示す所定の線または記号を表示するように制御することを技術的特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項2に記載された運行情報提供装置は、所定の路線を走行する乗合車両に搭載されこの乗合車両の運行情報を乗務員に視認可能に表示する運行情報表示部を備えた運行情報提供装置であって、前記所定の路線の各停留所に関する停留所情報として、少なくとも、これらの各停留所を前記乗合車両が出発する予め設定された停留所ごとの発車定刻および前記各停留所の名称を記憶する停留所情報記憶部と、前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報のうち前記乗合車両が次に停車または通過する次停留所の前記発車定刻と現在時刻とに基づいて、これら両時刻の差から前記次停留所の前記発車定刻に対する遅れまたは進み時間を次停留所時間差として求める時間差演算部と、前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報に基づいて、前記次停留所の名称、前記次停留所の前記発車定刻および前記時間差演算部による前記次停留所時間差ならびに前記次停留所の1つ前の前停留所の名称を含む運行情報を前記運行情報表示装置に表示可能に制御する表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記運行情報表示部の所定の範囲に前記次停留所時間差を表示するように制御し、かつ、前記乗合車両が前記次停留所に停車している場合、この次停留所の名称と前記発車定刻とを並べて前記運行情報表示部に表示するように制御するとともに、これらの表示の並び方向の先頭または後尾に停車中を示す所定の印を表示するように制御することを技術的特徴とする。
【0010】
また、特許請求の範囲の請求項3に記載された運行情報提供装置は、請求項1または2記載の運行情報提供装置において、前記時間差演算部は、前記乗合車両が次に停車または通過する次停留所の前記発車定刻と前記乗合車両の現在位置と現在時刻とに基づいて、前記乗合車両が前記次停留所に停車もしくは通過する予定時刻および/または前記乗合車両が前記次停留所に停車もしくは通過するまでの予定所要時間を求め、前記表示制御部は、前記時間差演算部で求めた前記予定時刻および/または前記予定所要時間を前記次停留所の前記発車定刻に並べて表示するように制御することを技術的特徴とする。
【0011】
さらに、特許請求の範囲の請求項4に記載された運行情報提供装置は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の運行情報提供装置において、前記次停留所時間差に加えて、前記時間差演算部は、前記乗合車両が前記次停留所の次の停留所を含めてそれ以降に停車もしくは通過する複数の次以降停留所のそれぞれについて、前記発車定刻と現在時刻とに基づきこれら両時刻の差から前記次以降停留所の前記発車定刻に対する遅れまたは進み時間を次以降停留所時間差として求め、前記次停留所の名称、前記次停留所の前記発車定刻および前記次停留所時間差ならびに前記前停留所の名称の表示に加えて、前記表示制御部は、前記次停留所の名称および前記発車定刻の表示に対して、段違いに、かつ表示段が前記停留所の停車または通過順に従って所定の方向に進むように、前記複数の次以降停留所についてその名称および前記発車定刻を段状に並べて前記運行情報表示部に表示するように制御するとともに、前記複数の次以降停留所の名称および前記発車定刻の少なくとも一方の近傍に前記複数の次以降停留所ごとに前記次以降停留所時間差を表示するように制御することを技術的特徴とする。
【0012】
またさらに、特許請求の範囲の請求項5に記載された運行情報提供装置は、請求項4に記載の運行情報提供装置において、前記時間差演算部は、前記乗合車両が前記次停留所の次の停留所を含めてそれ以降に停車もしくは通過する複数の次以降停留所のそれぞれについて、前記発車定刻と前記乗合車両の現在位置と現在時刻とに基づいて、前記乗合車両が前記次以降停留所に停車もしくは通過する予定時刻および/または前記乗合車両が前記次停留所に停車もしくは通過するまでの予定所要時間を求め、前記表示制御部は、前記段状に並べられた前記複数の次以降停留所の前記発車定刻のそれぞれに対応して、前記時間差演算部で求めた前記予定時刻および/または前記予定所要時間を前記発車定刻に並べて表示するように制御することを技術的特徴とする。
【0013】
また、特許請求の範囲の請求項6に記載された運行情報提供装置は、請求項4または5記載の運行情報提供装置において、前記表示制御部は、外部から入力される操作情報を入力可能に構成されており、前記次停留所の名称、前記次停留所の前記発車定刻および前記次停留所時間差ならびに前記前停留所の名称の表示と、これらの表示に段違いに表示される前記複数の次以降停留所の名称、前記発車定刻および前記次以降停留所時間差の表示と、をまとめた前記運行情報表示部における複数段表示について、当該表示制御部は、前記所定の方向であって前記複数段表示の先頭段に表示された停留所の次の停留所について表示を開始するとともに前記所定の方向と逆方向であって前記複数段表示の後尾段に表示された停留所について表示を終了する送りスクロール操作と、前記後尾段に表示された停留所の1つ前の停留所について表示を開始するとともに前記先頭段に表示された停留所について表示を終了する戻りスクロール操作と、に従って前記運行情報表示部による表示を制御することを技術的特徴とする。
【0014】
さらに、特許請求の範囲の請求項7に記載された運行情報提供装置は、請求項6記載の運行情報提供装置であって、前記表示制御部が前記送りスクロール操作または前記戻りスクロール操作に従った表示制御を行っている場合において、当該表示制御部は、所定の操作情報が入力されると、請求項1〜5のいずれか一項に記載の表示制御に移行することを技術的特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項8に記載された運行情報提供装置は、所定の路線を走行する乗合車両に搭載されこの乗合車両の運行情報を乗務員に視認可能に表示する運行情報表示部を備えた運行情報提供装置であって、前記所定の路線の各停留所に関する停留所情報として、少なくとも、これらの各停留所を前記乗合車両が出発する予め設定された停留所ごとの発車定刻および前記各停留所の名称を記憶する停留所情報記憶部と、前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報のうち前記乗合車両が次に停車または通過する次停留所の前記発車定刻と現在時刻とに基づいて、これら両時刻の差から前記次停留所の前記発車定刻に対する遅れまたは進み時間を次停留所時間差として求める時間差演算部と、前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報に基づいて、前記次停留所の名称、前記次停留所の前記発車定刻および前記時間差演算部による前記次停留所時間差ならびに前記次停留所の1つ前の前停留所の名称を含む運行情報を前記運行情報表示装置に表示可能に制御する表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記運行情報表示部の所定の範囲に前記次停留所時間差を表示するように制御することを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、表示制御部は、乗合車両が次停留所と前停留所との間を走行している場合、運行情報表示部の所定の範囲には次停留所時間差、次停留所に停車もしくは通過する予定時刻や予定所要時間を表示するように制御し、かつ、次停留所の名称と発車定刻とを並べて運行情報表示部に表示するように制御するとともに、次停留所の名称および発車定刻の表示と前停留所の名称の表示との間に走行中を示す所定の線または記号を表示するように制御する。これにより、乗合車両の走行中においては、乗務員に視認可能な運行情報表示部に、次停留所の名称とその発車定刻とその次停留所時間差(発車定刻と現在時刻との時間差)または予定時刻や予定所要時間を表示するとともに、走行中を示す所定の線または記号といった視覚的に「区切り」を認識し易い目印の前後(または上下や左右)に次停留所と前停留所のそれぞれの名称を表示するので、乗務員は一目で有用な運行情報を容易に把握することができる。
【0017】
また、本発明では、表示制御部は、乗合車両が次停留所に停車している場合、運行情報表示部の所定の範囲には次停留所時間差、次停留所に停車もしくは通過する予定時刻や予定所要時間を表示するように制御し、かつ、この次停留所の名称と発車定刻とを並べて運行情報表示部に表示するように制御するとともに、これらの表示の並び方向の先頭または後尾に停車中を示す所定の印を表示するように制御する。これにより、乗合車両の停車中においては、乗務員に視認可能な運行情報表示部に、停車中の次停留所の名称とその発車定刻とその次停留所時間差または予定時刻や予定所要時間を表示するとともに、停車中を示す所定の印をこれらの表示の先頭または後尾に明示するので、乗務員は、現在停車している停留所(次停留所)について一目で有用な運行情報を容易に把握することができる。
【0018】
さらに、本発明では、表示制御部は、次停留所の名称および発車定刻の表示に対して、段違いに、かつ表示段が停留所の停車または通過順に従って所定の方向に進むように、複数の次以降停留所についてその名称および発車定刻を段状に並べて運行情報表示部に表示するように制御するとともに、複数の次以降停留所の名称および発車定刻の少なくとも一方の近傍に複数の次以降停留所ごとに次以降停留所時間差または予定時刻や予定所要時間を表示するように制御する。これにより、次に停車または通過する停留所(次停留所)に加えて、次停留所の次やそれ以降に停車または通過する停留所(次以降停留所)についても、停留所の名称とその発車定刻とその次以降停留所時間差(発車定刻と現在時刻との時間差)または予定時刻や予定所要時間を表示するので、次停留所よりも先の停留所に関しても乗務員は有用な運行情報を容易に把握することができる。
【0019】
このように本発明では、表示制御部は、停留所の名称、その発車定刻および発車定刻との時間差または予定時刻や予定所要時間を表示するとともに、走行中を示す所定の線または記号や停車中を示す所定の印を運行情報表示部に表示するように制御する。このため、次停留所よりも先の停留所に関しても、停留所の名称、発車定刻等の運行情報が複数段に亘って表示される場合には、現在走行中の前後の停留所(次停留所と前停留所)や停車中の停留所を、他の停留所情報に比べて特に目立たせることができる。したがって、これを見た乗務員は、特に有用な運行情報として、次に停車または通過する停留所や現在停車中の停留所に関する運行情報を、より一層容易に把握することができる。
【0020】
さらに、本発明では、表示制御部は、運行情報表示部における複数段表示について、送りスクロール操作と戻りスクロール操作とを可能に表示制御する。これにより、次停留所よりも先の停留所に関しても、停留所の名称、発車定刻等の運行情報が複数段に亘って運行情報表示部に表示されているような場合には、乗務員は、このような表示を送り方向や戻り方向に任意にスクロール(スクロール表示)させることができため、表示画面単位で改頁する場合に比べて変動する表示内容を把握し易くでき、操作上の利便性を向上させることができる。
【0021】
また、本発明では、このような送りスクロール操作または戻りスクロール操作に従った表示制御を行っている場合において、表示制御部は、所定の操作情報が入力されると、請求項1〜4のいずれか一項に記載の表示制御に移行する。つまり、所定の操作情報が入力された場合には、運行情報表示部は、スクロール表示を止めて、当該乗合車両が現在走行中の前後の停留所(次停留所と前停留所)や停車中の停留所に関する運行情報を中心とした表示に戻る。このため、乗務員は、上記のようなスクロール操作をしている最中であっても、画面表示を元に戻すスクロール操作をすることなく、1回の操作で戻すことができ、操作上の利便性をさらに向上させることができる。
【0022】
また、本発明では、乗合車両の走行中および停車中にかかわらず、運行情報表示部の所定の範囲には次停留所時間差を表示するように制御する。これにより、乗務員に視認可能な運行情報表示部に、次停留所の名称とその発車定刻とその次停留所時間差(発車定刻と現在時刻との時間差)を表示するので、乗務員は一目で有用な運行情報を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る運行情報提供装置の外観例を示す説明図である。
【図2】本実施形態の運行情報提供装置を構成する制御ユニットおよびその周辺機器の構成例を示すブロック図である。
【図3】図2に示す制御ユニットによる運行情報提供処理のメインルーチンの流れを示すフローチャートである。
【図4】図3に示す交番/系統情報設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図3に示す運行情報表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図6(A)は、図5に示す運行情報表示処理におけるスクロール処理の流れを示すフローチャート、図6(B)は、スクロール処理における現停留所戻り処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図3に示す系統直接設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】図3に示すメインルーチンや図4に示す交番/系統情報設定処理による表示画面の例(図8(A)はトップメニュー画面、図8(B)は交番選択画面、図8(C)は系統選択画面)を示す説明図である。
【図9】図9(A)〜図9(C)は、図5に示す運行情報表示処理による表示画面の例を示す説明図である。
【図10】図10(D)〜図10(F)は、図5に示す運行情報表示処理による表示画面の例を示す説明図で、図9(C)の続きである。
【図11】図6(A)に示すスクロール処理による表示画面の例を示す説明図で、送りスクロール操作をした場合の例である。
【図12】図6(A)に示すスクロール処理による表示画面の例を示す説明図で、戻りスクロール操作をした場合の例である。
【図13】図7に示す系統直接設定処理による表示画面の例を示す説明図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る運行情報提供装置の外観例を示す六面図であり、左側面図は右側面図と同一に表れるため省略している。
【図15】本発明の一実施形態に係る運行情報提供装置の外観例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の運行情報提供装置の実施形態について図を参照して説明する。本実施形態に係る運行情報提供装置20は、例えば、路線バス(乗合車両)の運転席左側で乗務員(本実施形態では「運転士」を意味する。以下同じ。)の視野範囲内に設けられて、当該路線バスの運行情報を乗務員に視覚的に提供し得るものである。
【0025】
まず、本実施形態に係る運行情報提供装置20の構成を図1および図2に基づいて説明する。図1には、運行情報提供装置20を正面から見た外観例を示す説明図、図2には、運行情報提供装置20を構成する制御ユニットおよびその周辺機器の構成例を示すブロック図、がそれぞれ図示されている。
【0026】
図1に示すように、運行情報提供装置20は、例えば、画面サイズが7インチに設定されるカラー表示可能な液晶表示部21と、この液晶表示部21の一端側の幅方向に設けられる短冊状のテンキーユニット25と、これらの外回りを覆い矩形薄箱状に形成される樹脂製筐体とにより、外観が構成されている。この筐体内には、後述するように、内蔵スピーカ27や制御ユニット30等が収容されている。
【0027】
液晶表示部21は、後述するように、運行情報等を表示するディスプレィ画面を構成するほか、その表面は図略の透明シート状のタッチパネル23に覆われている。これら液晶表示部21、タッチパネル23やテンキーユニット25は、筐体内の制御ユニット30に対して電気的に接続されている。
【0028】
テンキーユニット25は、図1に示すように、「0」〜「9」のテンキー(数字キー)、後述するトップメニューを表示させるための「メニュー」キー、系統直接設定処理に移行するための「系統」キー、数字や数値を増減させるための「+」/「−」キー、入力を取り消すための「消」キー、選択操作を確定させるための「確定」キーを、備えている。なお、後述するように、液晶表示部21に表示される仮想押しボタンによる、「0」〜「9」ボタン、「クリア」ボタン、「Topメニュー」ボタン、「系統設定」ボタン、「確定」ボタンに代えて、テンキーユニット25の、「0」〜「9」のテンキー、「消」キー、「メニュー」キー、「系統」キー、「確定」キーを、それぞれ使用することができる。
【0029】
図2に示すように、筐体内に収容される制御ユニット30は、主に、CPU31、メインメモリ32、データメモリ33、表示コントローラ34、ビデオデコーダ35、タッチパネルコントローラ36、音声コーデック37、EEPROM38、通信インタフェース39等から構成されている。
【0030】
CPU31は、運行情報提供装置20を制御する演算処理装置で、システムバスやデータバス等の信号バスを介して、メインメモリ32、サブメモリ33、表示コントローラ34等と電気的に接続されている。また、このCPU31には、ビデオデコーダ35、タッチパネルコントローラ36、音声コーデック37、EEPROM38、通信インタフェース39等が内蔵のシリアルポートを介して電気に接続されている。なお、CPU31には、例えば、リチウム電池等のバックアップ電池により電源オフ時にも計時可能なリアルタイムクロック(RTC)が内蔵または外付けされている。
【0031】
メインメモリ32は、信号バスに接続されているSRAMやSDRAM等からなる半導体記憶装置で、CPU31が使用する主記憶空間を構成して、ワーク領域やデータ領域に割り当てられる。これに対して、データメモリ33は、フラッシュメモリ等からなる電気的に消去可能な不揮発性の半導体記憶装置で、メインメモリ32と同様に信号バスに接続されている。
【0032】
このデータメモリ33は、CPU31がアクセス可能な補助記憶空間として、後述する各処理がコード化されたプログラム(運行情報提供プログラム、交番/系統設定プログラム、運行情報表示プログラム、系統直接設定プログラム等)の格納領域(プログラム領域)や、当該路線バスの運行データ(運行情報)が格納されたデータ領域に割り当てられている。本実施形態では、運賃表示装置50が持っている運行情報から料金情報等を除いた運行情報(交番情報、系統情報、停留所情報、経路情報等)を運行データとして、データメモリ33に格納している。
【0033】
なお、「交番」とは、乗務員が1日の運転業務で走行する複数の系統を1つにまとめたもので、乗務員ごとに付与されている番号や記号により割り当てられている。「ダイヤ」と呼ぶ場合もある。また、「系統」とは、路線バスが走行する路線ごとに付与される番号や記号で、同じ経路でも往路と復路で区別される。
【0034】
表示コントローラ34は、液晶表示部(LCD)21の表示制御を行う表示制御部で、液晶表示部21に対して電気的に接続されているほか、図略のビデオメモリやビデオデコーダ35に対しても電気的に接続されている。これにより、CPU31による各表示制御に伴う所定の画面表示制御を可能にするとともに、また次に説明するように、ビデオデコーダ35を介して車内カメラ81や車外カメラ83から送られてくる画像データを液晶表示部21に表示可能にしている。
【0035】
ビデオデコーダ35は、ビデオカメラから送られてくる所定フォーマットの画像信号をデコードして表示コントローラ34に送るもので、例えば、客席状況を撮影可能に当該路線バスの車内に設置された車内カメラ81や、車両後方の車外状況を撮影可能に当該路線バスの車外後部に設置された車外カメラ83等が情報通信可能に接続されている。
【0036】
タッチパネルコントローラ(TPC)36は、タッチパネル23にタッチされたポイントの正確な位置検出を可能にするもので、前述したように、CPU31のシリアルポートを介してタッチパネル23に接続されている。本実施形態では、後述するように、液晶表示部21に表示される仮想押しボタンごとに対応した位置や範囲のタッチの有無を検出して当該仮想押しボタンのオンオフを判断する。
【0037】
音声コーデック(CODEC)37は、CPU31から出力される合成音声や電子音等のディジタルの音響データに基づいてオーディオスピーカを鳴動可能なオーディオ信号を生成するもので、本実施形態では、運行情報提供装置20の筐体内に収容される内蔵スピーカ27に電気的に接続されている。これにより、例えば、運転席の乗務員に対して、当該運行情報提供装置20の動作状態や運行情報を所定のアラーム音や合成音声によって聴覚的に伝えることが可能となる。
【0038】
EEPROM38は、フラッシュメモリと同様に、電気的に消去可能な不揮発性の半導体記憶装置で、本実施形態では、テンキーユニット25やUSBメモリ29により入力された機器設定情報等を記憶している。USBメモリ29は、USBコネクタを備えてUSBインタフェースを介して読み書き可能なEEPROMで、本実施形態では、例えば、プログラムデータや運行データ等の更新作業を行う際に用いられる。
【0039】
通信インタフェース39は、運行情報提供装置20の周辺機器として接続される、運賃表示装置50、GPS装置60、放送装置70や行先表示装置90に対して、情報通信可能にするシリアル通信インタフェースで、例えば、RS-232CやRS-422等の通信規格に準拠している。これにより、例えば、運行情報提供装置20は、次の停留所に近づいたことを知らせる停留所進捗信号を運賃表示装置50から受信したり、運賃表示装置50の操作盤として機能することで、テンキーユニット25により入力した設定情報を運賃表示装置50に送信したりすることが可能となる。
【0040】
運賃表示装置50は、2画面構成にした液晶表示装置を備えた情報処理装置で、当該路線バスの乗客に向け、乗車時に整理券発行機から発行される整理券の番号とこれらの番号に対応する各運賃とからなる運賃表を両画面全体に一覧表形式で表示したり、一方の画面に運賃表、他方の画面に運賃表以外の情報コンテンツ等をそれぞれ表示するものである。運賃表示装置50には、路線バスの降車口付近に設置された運賃箱、乗車口付近に設置された整理券発行機やICカードリーダがそれぞれ情報通信可能に接続されている。なお、運賃表示装置50の構成や機能の詳細については、特開2007−65622号公報に開示される「運賃表示装置」が詳しいため当該公報を参照されたい。
【0041】
GPS装置60は、GPS衛星から届く電波を利用して正確な時間情報を通信インタフェース39を介して運行情報提供装置20に出力する整時装置で、本実施形態では、時間情報のほかに当該路線バスの現在位置情報も運行情報提供装置20に出力可能に構成されている。
【0042】
放送装置70は、車内アナウンス等の音声信号を発して図略の車内スピーカにより車内放送可能にするもので、予め記憶されているメッセージのほかに、例えば、通信インタフェース39を介して運行情報提供装置20から入力されるテキストデータに基づいて合成音声による車内アナウンスが可能となるように構成されている。なお、破線で示すように、運行情報提供装置20から放送装置70を制御することなく、運賃表示装置50を介して、または運賃表示装置50から直接、放送装置70を制御するように構成しても良い。また、放送装置70に代えて、放送装置70を制御する図略の放送制御盤を運賃表示装置50や運行情報提供装置20に接続して、これを介して放送装置70を制御するように構成しても良い。
【0043】
行先表示装置90は、当該路線バスの行き先名称や、主な経由停留所名称を表示するためのもので、例えば、赤、橙、緑の3色で発光可能な多色発光ダイオードをマトリックス状に配置して構成されるLED表示装置である。外部から入力される文字コードや制御コード等に基づいてドット表現可能な文字や図形を表示可能に構成されている。なお、破線で示すように、運行情報提供装置20から行先表示装置90を制御することなく、運賃表示装置50を介して、または運賃表示装置50から直接、行先表示装置90を制御するように構成しても良い。
【0044】
なお、本実施形態では、CPU31やメインメモリ32等をそれぞれ個別の半導体デバイスで構成しているが、特定用途向けIC(ASIC)のように、ワンチップICやハイブリッドIC等で構成しても良い。また、データメモリ33を磁気ディスク記憶装置(HDD)に置き換えても良い。
【0045】
このように運行情報提供装置20を構成することによって、CPU31は、システムプログラム(OS)の管理の下で、データメモリ33に格納された各種プログラム(運行情報提供プログラム、交番/系統設定プログラム、運行情報表示プログラム、系統直接設定プログラム等)を実行することで、図3〜図7に示す各情報処理の実現が可能となる。
【0046】
例えば、本実施形態では、当該路線バスのイグニッションスイッチのオンに連動または乗務員による手動操作等によって、運行情報提供装置20の主電源が投入(オン)されることで、制御ユニット30のCPU31が起動してシステムプログラム上で運行情報提供プログラムが自動的に実行される。これにより、以下、図3〜図13を参照して説明する運行情報提供処理等(以下「本運行情報提供処理」という)の情報処理が可能となる。
【0047】
なお、図3には、制御ユニット30のCPU31による運行情報提供処理のメインルーチンの流れを示すフローチャート、図4には、図3に示す交番/系統情報設定処理の流れを示すフローチャート、図5には、図3に示す運行情報表示処理の流れを示すフローチャート、図6(A)には、図5に示す運行情報表示処理におけるスクロール処理の流れを示すフローチャート、図6(B)には、スクロール処理における現停留所戻り処理の流れを示すフローチャート、図7には、図3に示す系統直接設定処理の流れを示すフローチャート、がそれぞれ図示されている。また、図8〜図13には、これらの各処理に伴って液晶表示部21に表示される画面表示の例が図示されている。
【0048】
図3に示すように、本運行情報提供処理では、まずステップS101により所定の初期化処理が行われる。この初期化処理では、例えば、所定のワーク領域、フラグやカウンタ値がクリアされる。次のステップS103では、トップメニュー表示処理が行われ、続くステップS105によりタッチパネル23による選択入力があるか否かが判断される。
【0049】
図8(A)に示すように、本実施形態のトップメニューには、「交番設定」、「系統設定」、「運行画面に戻る」および「オプション」の4つの仮想押しボタンと、当日の日付(年月日)および現在時刻とが表示される。このため、これら4つの仮想押しボタンのいずれかがタッチされて押されている(選択入力されている)か否かをステップS105により判断し、選択入力されていると判断された場合には(S105:「あり」)、続くステップS107によって選択された仮想押しボタンを判断する。なお、乗務員により仮想押しボタンがタッチされて押されることを、以下、単に「押される」と表記する。また「○○○」の仮想ボタンのことを、以下、単に「○○○」ボタンと表記する。
【0050】
これに対し、「交番設定」、「系統設定」、「運行画面に戻る」および「オプション」の4つの仮想押しボタンのうち、いずれも押されていない(入力されていない)と判断された場合には(S105:「なし」)、再度、ステップS103に戻ってトップメニュー表示処理を行う。なお、ステップS103で表示されるトップメニューの画面には、交番や系統はまだ確定していないことから、「交番:」や「系統:」の右側には何も表示されていない。
【0051】
ステップS107では、ステップS105により選択された仮想押しボタンを判断する選択入力判定処理が行われる。例えば、「交番設定」ボタンが選択されている場合にはステップS200の交番/系統設定処理に移行し、「系統設定」ボタンが選択されている場合にはステップS400の系統直接設定処理に移行する。また「運行画面に戻る」ボタンが選択されている場合にはステップS300の運行情報表示処理に移行し、「オプション」ボタンが選択されている場合にはステップS500のオプション設定処理に移行する。このオプション設定処理では、例えば、液晶表示部21の輝度設定や内蔵スピーカ27の音量設定等を可能にしている。
【0052】
例えば「交番設定」ボタンが選択されている場合について説明すると、ステップS200では、図8(B)に示すような交番選択画面が液晶表示部21に表示される。このステップS200による処理の詳細は、図4の交番/系統設定処理に示されているので、ここからは図4を参照して説明する。なお、この交番/系統設定処理は、制御ユニット30のCPU31が交番/系統設定プログラムを実行することにより実現される。
【0053】
図4に示すように、交番/系統設定処理では、まずステップS201により交番情報読出処理が行われる。即ち、前述したように、制御ユニット30を構成するデータメモリ33には、運行情報として交番情報が格納されているので、これをデータメモリ33から読み出す処理を行う。
【0054】
続くステップS203では、ステップS201で読み出した交番情報を液晶表示部21に表示する処理が行われる。例えば、図8(B)に示すように、平日と休日とに分けて、平日分として「001」〜「004」の「各交番」ボタンが横長の仮想押しボタンとして表示されるほか、これらの「各交番」ボタンの左側には、休日分を表示するための「休日」ボタン、トップメニューに戻るための「Topメニューへ」ボタン、1つ前の画面に戻るための「戻る」ボタン、さらには選択入力を確定するための「確定」ボタンが、それぞれ表示されている。なお、「Topメニューへ」ボタンは、「Top」を「Too」と誤認する等を防止して視認性の向上させ得る観点から、「トップメニューへ」ボタンのようにすべて片仮名表記にしても良い。
【0055】
また、「各交番」ボタンの右側には、「各交番ボタン」の表示をスクロール表示させるための「スクロール」ボタンとして、「▲(上向き黒三角)」ボタン、「□■(上黒下白の重複四角)」ボタン、「■□(上白下黒の重複四角)」ボタンおよび「▼(下向き黒三角)」ボタンが上から下に向かって表示されている。これらの「スクロール」ボタンの機能については、後に詳述するので、ここでの説明は省略する。
【0056】
なお、図8(B)においては、平日分の「各交番」ボタンが表示され、休日分のものは表示されていないが、「休日」ボタンが押されることにより、平日分の「各交番」ボタンとほぼ同形式で、休日分の「各交番」ボタンが表示され、「休日」ボタンに代えて「休日」ボタンの上方に「平日」ボタンが表示されることに注意されたい。また、画面左側に表示される「戻る」ボタンの上に、例えば、図13(A)に示すような「番号入力」ボタンを設けることによって、このような「番号入力」ボタンを押した場合には、後述するように、番号入力画面(図13(B))により交番を直接、数字入力するように構成することもできる(図7に示すS405,S412,S414,S416,S418)。
【0057】
次に、ステップS205によりこのような交番の選択入力があると判断された場合には(S205:「あり」)、続くステップS207による選択交番表示処理によって、例えば選択された交番ボタンの表示色を変える処理が行われる。これにより、選択された交番ボタンが視覚的に明示される。これに対し、交番の選択入力がないと判断された場合には(S205:「なし」)、ステップS203に戻って、交番の選択入力があるまで同様の画面表示を継続する。
【0058】
続くステップS209により選択された交番の確定入力があると判断された場合には(S209:「あり」)、続くステップS211による系統情報読出処理によって、確定された交番に対応する系統情報を読み出す処理が行われる。即ち、データメモリ33には、運行情報として系統情報も格納されているので、確定した交番に対応する系統情報をデータメモリ33から読み出す処理を行う。これに対し、ステップS209で確定入力がないと判断された場合には(S209:「なし」)、ステップS207に戻って、確定入力があるまで同様の画面表示を継続する。
【0059】
例えば、図8(B)に示す交番選択画面の例において、平日の交番「001」が選択されて(S205:「あり」)、その選択が確定した場合には(S209:「あり」)、続くステップS213の系統情報表示処理によって、図8(C)に示す系統選択画面が液晶表示部21に表示される。この画面表示の例では、画面最上部において「交番:平日001」と表示されていることから、交番が確定していることがわかる。
【0060】
また、図8(B)に示す「各交番」ボタンの場合と同様、横長の仮想押しボタンとして、平日の交番「001」に対応する、「00500」、「00201」、「00111」および「00222」の「各系統」ボタンが表示される。「各系統」ボタンの左端に表示されている4桁の番号は、運行開始の時間順に付与された通し番号、また「各系統」ボタンの右端に表示されている時刻は、始発の停留所から発車する出発時刻である。これらの画面表示から、例えば、この交番「001」の乗務員の場合、2011年12月12日は、系統「00500」→「00201」→「00111」→「00222」の順番に、各路線バスを運行するように計画されていることがわかる。
【0061】
なお、この画面表示において、左側に表示されている「交番選択」ボタンが押されることにより、図8(B)に示す交番選択画面に戻るため、一旦は確定した交番を変更することが可能となる。また、同様に左側に表示されている「番号入力」ボタンが押されることで、後述する「系統直接設定処理」の番号入力処理(図7に示すS413〜S419)に直接移行する。また、各系統ボタンの右側には、「各系統」ボタンの表示をスクロール表示させるための「スクロール」ボタンが表示されている。これについては、交番選択画面の「スクロール」ボタンと同様であるため、後で詳述する。
【0062】
次のステップS215により、このような系統の選択入力があると判断された場合には(S215:「あり」)、続くステップS217によって、例えば選択された系統ボタンの表示色を変える処理が行われる。これにより、選択された系統ボタンが視覚的に明示される。これに対し、系統の選択入力がないと判断された場合には(S215:「なし」)、ステップS213に戻って、系統の選択入力があるまで同様の画面表示を継続する。
【0063】
例えば、図8(C)に示す系統選択画面の例において、系統「00201」が選択されて(S215:「あり」)その選択が確定した場合には(S219:「あり」)、続くステップS221の系統情報設定処理によって、選択された系統「00201」(系統情報)がメインメモリ32の所定のワーク領域に記憶される。これにより、当該交番/系統設定処理による情報処理は終了するため、図3に示すメインルーチンに戻ってステップS300に処理を移行する。これに対し、ステップS219で確定入力がないと判断された場合には(S219:「なし」)、ステップS217に戻って確定入力があるまで同様の画面表示を継続する。
【0064】
図3に戻ると、続くステップS300では運行情報表示処理が行われる。このステップS300による処理の詳細は、図5の運行情報表示処理に示されているので、ここからは図5を参照して説明する。なお、この運行情報表示処理は、制御ユニット30のCPU31が運行情報表示プログラムを実行することにより実現されて、例えば、始発の発車定刻(定刻の発車時刻)よりも前のタイミングで開始される。
【0065】
図5に示すように、運行情報表示処理では、まずステップS301により停留所情報読出処理が行われる。即ち、制御ユニット30を構成するデータメモリ33には、運行情報として停留所情報が格納されているので、前述した交番/系統設定処理によりメインメモリ32の所定のワーク領域に記憶された系統情報に基づいて、この系統に含まれる各停留所に関する情報(各停留所の名称、各停留所の番号、各停留所の発車定刻、各停留所間ごとの走行所要時間、各停留所間ごとの走行経路距離、各停留所間ごとの走行経路上のほぼ所定間隔ごとに測定された緯度・経度、等)、つまり停留所情報をデータメモリ33から読み出す処理を行う。
【0066】
続くステップS303では、停留所番号設定処理が行われる。例えば、始発の停留所番号が「00201−01」である場合には、この「00201−01」が設定されて、後述する更新処理(S309)により、例えば、下2桁「01」→「02」→「03」というように1つずつ増加させるインクリメント処理が行われる。
【0067】
次のステップS305により停車中表示処理が行われる。この処理は、ステップS301により読み出された停留所情報に基づいて、現在停車中の停留所(次停留所)の名称およびその発車定刻を液晶表示部21に上段に表示するとともに、その下段に、この停留所の次以降の停留所(次以降停留所)について停留所の名称およびその発車定刻を液晶表示部21に表示する。
【0068】
例えば、前述した交番/系統設定処理の系統情報設定処理(S221)により設定された系統「00201」の例(交番は「平日001」)では、これに対応した停留所情報に含まれる停留所が、「定車庫」(00201−001)、「湯の町」(00201−002)、「小金湯」(00201−003)、「豊滝」(00201−004)、「藤野3−8」(00201−005)、「硬石山」(00201−006)、「南21」(00201−007)、「すすきの」(00201−008)および「札幌駅」(00201−009)であった場合(停留所名称の後の括弧内に表記される(00201−xxx)は停留所番号)、つまり系統「00201」の停留所が上記9箇所である場合には、まずステップS305によって、例えば、図9(A)に示すような運行情報が液晶表示部21の画面に表示される。
【0069】
図9(A)に示す画面表示の例では、(1)この系統00201は「定車庫」発の「札幌駅」着であること、(2)始発の停留所「定車庫」は発車定刻が06時00分であること、(3)現在時刻は05時58分で発車定刻06時00分の「2分前」であること(同図中符号α)、(4)次以降の停留所は「湯の町」と「小金湯」でそれぞれの発車定刻は「06時06分」や「06時12分」であること、が把握され、さらにバス停をイメージしたバス停マークβが「定車庫」の発車定刻の表示(06:00発)の左側に付いていることから、(5)現在、当該路線バスは「定車庫」に停車中であることがわかる。
【0070】
なお、当該路線バスが現在停車中の「定車庫」の発車定刻である「6:00発」の文字は、液晶表示部21に表示されている運行情報の中で最も重要度が高いことから、他の時刻表示よりも文字サイズが大きく設定されており、さらにその文字色は、暗い背景色(例えば黒色)に対して明度、彩度ともに高い山吹色に設定されている。また、停留所に停車中であることを示すバス停マークβの表示色も、重要度の高い発車定刻と同色の山吹色に設定されている。これにより、文字と背景とのコントラスト差がより大きくなるため、これらの文字等が最もくっきりとして際立つように見せることが可能となる。なお、他の文字については、彩度ゼロの無彩色でありながら明度が最も高い白色に設定することによって、山吹色よりも目立ち難くくも暗い背景色(例えば黒色)に対して際立つように構成されている。
【0071】
また、図9(A)に示す画面表示の例では、停留所およびその発車定刻を表示する欄を画面の上下方向に4段に構成し各段間を破線で区切って、現在停車している停留所または次に停車を予定する停留所を上から2段目に表示し、その下段には次以降に停車を予定する停留所を当該路線バスの進行方向から近い順番で下方に向かうように表示している。また、既に停車をした直前の停留所を上から1段目(最上段)に表示するようにしている。さらに、画面表示左側には、一点鎖線で囲まれた範囲(所定の範囲)には、現在停車している停留所または次に停車を予定する停留所の発車定刻と現在時刻との時間差(次停留所時間差)αを表示するようにしている。なお、「○○分前」は発車定刻に対する進み時間、「○○分後」は発車定刻に対する遅れ時間、をそれぞれ表示している。
【0072】
続くステップS307では、停車中の当該路線バスが走行を開始したか否かを判断する処理が行われる。例えば、当該路線バスでは、降車用のドアが閉じてから、所定時間が経過したり所定距離を走行すると、または乗務員により図略の歩進スイッチが操作されると、運賃表示装置50を介して(または直接)運行情報提供装置20に停留所進捗信号が入力されるため、これを受けて当該路線バスが走行を開始したことを検出する。なお、停留所の緯度・経度や走行経路上の所定地点(例えば、停留所間の中間地点)の緯度・経度と当該路線バスの現在の緯度・経度とを比較することによって、停車中の当該路線バスが走行を開始したか否かを判断しても良い。
【0073】
ステップS307により走行を開始したと判断した場合には(S307:Yes)、次のステップS309により停留所番号更新処理が行われ、走行を開始したと判断しない場合には(S307:No)、ステップS305に戻って、再度、停車中表示処理を行う。
【0074】
ステップS309では、前述したように、停留所番号の下2桁を1だけ増加させるインクリメント処理によって、次停留所に該当する番号を変更する。例えば、図9(A)に示す画面表示がされた際には、停留所番号は、「定車庫」の00201−001に設定されていたが、このステップS309によってインクリメントされると、00201−002に設定されるため、この停留所番号に対応する停留所は「湯の町」になる。即ち、当該路線バスが次に停車を予定する停留所(次停留所)は「湯の町」に設定され、1つ前の停留所「定車庫」は直前に停車または通過した停留所として前停留所に設定される。
【0075】
続くステップS311では、走行中表示処理が行われる。この処理は、ステップS301により読み出された停留所情報とステップS309により更新された停留所番号とに基づいて、現在、走行中の走行経路における次に停車を予定している停留所(次停留所)の名称およびその発車定刻を液晶表示部21に上から2段目に表示するとともに、その上段、つまり上から1段目に直前に停車または通過した停留所(前停留所)の名称およびその発車定刻を表示する。また、停車中表示処理と同様に、次に停車を予定している停留所(次停留所)の下段に、この停留所の次以降の停留所(次以降停留所)について停留所の名称およびその発車定刻を液晶表示部21に表示する。
【0076】
さらに、直前に停車または通過した停留所(前停留所)の名称や発車定刻の情報表示と、次に停車を予定している停留所(次停留所)の名称や発車定刻の情報表示と、の間に、視覚的に「区切り」を認識し得る区切線δを表示する。さらにまた、この区切線δの左端近傍に当該路線バスをイメージしたバスマークγを表示する。先例の系統「00201」(交番は「平日001」)の場合、ステップS311によって、例えば、図9(B)に示すような運行情報が液晶表示部21の画面に表示される。
【0077】
なお、区切線δに代えて、「*(アステリスク)」や「☆(星印)」等の記号を複数個並べて表示したり、線と記号の組み合わせであっても良い。また、バスマークγは、区切線δの左端近傍に限らず、区切線δの右端近傍や区切線δの上側または下側に位置させても良い。
【0078】
図9(B)に示す画面表示の例では、図9(A)に示す画面表示の例と比べると、(1)次の停留所「湯の町」は発車定刻が06時06分であること、(2)現在時刻は06時07分で発車定刻06時06分の「1分後」であること(同図中符号α’)、(3)直前の停留所は「定車庫」で発車定刻が06時00分であったこと、(4)次以降の停留所は「小金湯」と「豊滝」でそれぞれの発車定刻は「06時12分」や「06時15分」であること、が把握され、さらに次の停留所「湯の町」の情報表示と直前の停留所は「定車庫」の情報表示との間には、区切線δが介在しその左端にバスマークγが表示されていることから、(5)現在、当該路線バスは、前停留所の「定車庫」と次停留所の「湯の町」との間を走行中であることがわかる。
【0079】
なお、図9(B)に示す画面表示の例の場合、当該路線バスは、次に停車予定の「湯の町」の発車定刻に対して現時点で1分遅れていることから、それを乗務員にわかり易く明示するため、発車定刻に対して遅れのない場合の黒地白文字表示(図9(A)に示す符号α)に対して、白黒を反転させて白地黒文字表示している(符号α’)。
【0080】
また、当該路線バスが次に停車予定の「湯の町」の発車定刻である「6:06発」の文字は、液晶表示部21に表示されている運行情報の中で最も重要度が高い。このため、図9(A)に示す「定車庫」の発車定刻である「6:00発」の文字と同様に、他の時刻表示よりも文字サイズが大きく設定されており、さらにその文字色は、暗い背景色(例えば黒色)に対して明度、彩度ともに高い山吹色に設定されている。また、区切線δやバスマークγの表示色は、いずれもバス停マークβと同様に、山吹色に設定されている。これにより、これらの文字等が最もくっきりとして際立つように見せることが可能となる。これに対して、既に停車または通過した前停留所の「定車庫」については、次停留所に比べて重要度が低いため、彩度ゼロの無彩色で明度も低い灰色に設定することによって、暗い背景色(例えば黒色)に対しても目立ち難くしている。
【0081】
次のステップS313では、当該路線バスが停留所に停車したか否かを判断する処理が行われる。例えば、当該路線バスは、停留所に停車すると降車用または乗車用のドアを開閉することから、これに伴うドア開閉信号が運賃表示装置50を介して(または直接)運行情報提供装置20に入力されるため、これを受けて当該路線バスが停留所に停車したことを検出する。なお、停留所の緯度・経度と当該路線バスの現在の緯度・経度とを比較して当該路線バスが停留所に停車したか否かを判断しても良い。
【0082】
ステップS313により停留所に停車したと判断した場合には(S313:Yes)、次のステップS317によってその停留所が終着であるか否か判断する処理が行われる。即ち、終着の停留所に到着した場合には(S317:Yes)、例えば、図10(E)に示すように、次系統への移行が可能な表示にする必要から、画面表示の情報処理が異なるため(S319)、ステップS317においてこのような判断処理を行っている。
【0083】
一方、ステップS313により停留所に停車したと判断しない場合には(S313:No)、次のステップS315によってその停留所を通過したか否か判断する処理が行われる。停留所を通過した場合には、乗務員により図略の歩進スイッチが操作されて、運賃表示装置50を介して(または直接)運行情報提供装置20に停留所進捗信号が入力されるため、これを受けて当該路線バスが停留所を通過したことを検出する。なお、停留所の緯度・経度と当該路線バスの現在の緯度・経度とを比較して当該路線バスが停留所を通過したか否かを判断しても良い。
【0084】
この停留所通過判断処理により、停留所を通過したと判断した場合には(S315:Yes)、ステップS309に移行して停留所番号を更新し、停留所を通過したと判断しない場合には(S315:No)、ステップS311で再度、走行中表示処理が行われる。
【0085】
また、停留所が終着でない場合には(S317:No)、ステップS305に戻って、再度、停車中表示処理が行われる。この場合には、停留所番号が1つ更新されていることから、先例の系統「00201」(交番は「平日001」)の場合、ステップS305によって、例えば、図9(C)に示すような運行情報が液晶表示部21の画面に表示される。
【0086】
停車中の当該路線バスが走行を開始すると(S307:Yes)、ステップS309による停留所番号更新処理の後、ステップS311による走行中表示処理によって、例えば、図10(D)に示すような運行情報が液晶表示部21の画面に表示される。
【0087】
そして、当該路線バスの走行が進んで、終着の停留所に到着した場合には(S317:Yes)、ステップS319による終着表示処理によって、例えば、図10(E)に示すような「00111 次系統へ」の表示とこの次系統の選択を確定する「確定」ボタンの表示とを設けた画面が液晶表示部21に表示される。なお、この次系統「00111」は、図8(C)に示す画面表示から、この交番「001」の乗務員に対して、予め計画された系統順序「00500」→「00201」→「00111」→「00222」に従ったものであることがわかる。
【0088】
このステップS319による終着表示処理による画面表示の「確定」ボタンが乗務員に押されることによって、当該運行情報表示処理が終了する。これにより、図3に示すメインルーチンに戻ってステップS109に処理を移行する。このステップでは、「次系統へ」の確定入力があるか否かの判断が行われる。つまり、図10(E)に示す画面表示において「確定」ボタンが押されているか否かの判断がされる。
【0089】
「確定」ボタンが押されている場合には(S109:あり)、当該路線バスは、引き続き次の系統を走行するため、ステップS300に移行して新たな系統について運行情報の表示処理が行われる。これに対して、図10(E)に示す画面表示において「確定」ボタンが押されていない場合には(S109:なし)、ステップS103に移行してトップメニューの表示処理が行われる。
【0090】
なお、図10(F)には、新たな系統として系統「00111」による始発の停留所「札幌駅」に停車中に液晶表示部21に表示される画面表示の例が図示されている。これを見ると、この系統「00111」は、「札幌駅」の次の停留所が「すすきの」で、その次の停留所が「南21」であることから、図9(A)〜図10(E)を参照して説明した系統「00201」の走行経路が往路であるとすれば、当該系統「00111」は逆方向の復路であることがわかる。
【0091】
また、図9(A)〜図10(E)に示す表示画面においては、いずれも、上から2段目に表示した停留所の発車定刻と現在時刻との時間差(次停留所時間差)を、現在時刻の下(図9(A)に示す一点鎖線枠内)に表示したが、例えば、上から3,4段目に表示した停留所の発車定刻と現在時刻との時間差(次以降停留所時間差)を、それぞれの発車定刻の近傍に表示するように構成しても良い。例えば、図11(A)に示す画面表示の例では、上から2段目に表示した停留所の発車定刻06時06分と現在時刻06時05分との時間差は、1分早い(1分進み)であることから、現在時刻の下に「1分前」と表示されている。
【0092】
これに加えて、上から3段目に表示した停留所の発車定刻06時12分と現在時刻06時05分との時間差は、7分早い(7分進み)ことから、その発車定刻の表示06時12分に(7分前)と併記表示しても良い。同様に、上から4段目に表示した停留所の発車定刻06時15分と現在時刻06時15分との時間差は、10分早い(10分進み)ことから、その発車定刻の表示06時15分に(10分前)と併記表示しても良い。図11(B)に示す画面表示の例についても同様である。
【0093】
また、発車定刻と現在時刻との時間差ではなく、図11(C)に示すように、当該路線バスが到着する予定時刻をその発車定刻に併記表示しても良い。即ち、上から2段目に表示した停留所の発車定刻(06時12分)に対して到着すると予想される時刻(06時12分)を、当該路線バスの現在位置、車速および現在時刻とに基づいて算出して、その発車定刻に併記表示しても良い。また、上から3,4段目に表示した停留所の発車定刻に対しても同様に、到着すると予想される時刻を、当該路線バスの現在位置、車速および現在時刻とに基づいて算出して、その発車定刻に併記表示しても良い。なお、当該路線バスの車速は、例えば、単位時間当たりに変化する緯度・経度による走行距離を各停留所間ごとの走行経路距離から算出しそれを当該単位時間で割ることで求められる。また、このような予定時刻を、2段目に表示した停留所の発車定刻と現在時刻との時間差(次停留所時間差)や3,4段目に表示した停留所の発車定刻と現在時刻との時間差(次以降停留所時間差)に併記表示しても良い。
【0094】
さらに、当該路線バスが到着するまでの所要時間をその発車定刻に併記表示しても良い。即ち、上から2段目に表示した停留所の発車定刻(06時12分)に対して到着するのに要する時間(あと7分)を、当該路線バスの現在位置、車速および現在時刻とに基づいて算出して、その発車定刻に併記表示しても良い。また、上から3段目に表示した停留所の発車定刻に対しても同様に、到着するまでの所要時間を、当該路線バスの現在位置、車速および現在時刻とに基づいて算出して、例えば、「06:15発(あと10分) 豊滝」というように発車定刻に併記表示しても良い。さらに、上から4段目に表示した停留所の発車定刻に対しても同様に、例えば、「06:23発(あと18分) 藤野3−8」というように発車定刻に併記表示しても良い。また、このような予定所要時間を、発車定刻と現在時刻との時間差(次停留所時間差)に併記表示しても良い。さらに前述した予定時刻をこれらに加えて、発車定刻と現在時刻との時間差(次停留所時間差)・予定所要時間・到着予定時刻を3つ並べて表示しても良いし、予定所要時間と到着予定時刻とを2つ並べて表示しても良い。
【0095】
ここで、図6(A)および図11等を参照して「スクロール」ボタンの機能に説明する。これまで説明をした各表示画面(図8(B)〜図10(F))において、画面右側に表示されている「スクロール」ボタン(「▲(上向き黒三角)」ボタン、「□■(上黒下白の重複四角)」ボタン、「■□(上白下黒の重複四角)」ボタンおよび「▼(下向き黒三角)」ボタン)の操作は、例えば、表示コントローラ34に設けられる画面制御専用のメモリ空間と、このメモリ空間で情報処理可能な専用タスク(またはスレッド)により行われるスクロール処理によって実現されている。
【0096】
このスクロール処理では、まずステップS351によって何が入力されたかを判定する処理が行われる。即ち、「▲(上向き黒三角)」ボタン、「□■(上黒下白の重複四角)」ボタン、「■□(上白下黒の重複四角)」ボタンおよび「▼(下向き黒三角)」ボタンのうち、どれが押されて入力されたかをこのステップS351によって判定する。なお、このスクロール処理によってスクロール表示される範囲、つまりスクロールの対象は、図11(A)に示す一点鎖線による枠内である。
【0097】
例えば、図11(A)に示す表示画面において、「▼(下向き黒三角)」ボタンが押されているとステップS351により判断された場合には(S351:「行送り」)、ステップS353aに移行してスクロール対象となる一点鎖線による枠内の表示が最下行の表示であるか否かを判断する。即ち、既に最下行までスクロールされている場合には、これ以上の行送りはできないことから、このような判断をステップS353aにより行い、最下行である場合には(S353a:Yes)、スクロール処理を終了する。
【0098】
一方、ステップS353aにより最下行であると判断されない場合には(S353a:No)、次のステップS355aにより送り改行処理が行われる。この処理では、スクロール対象となる一点鎖線による枠内の表示の最上行を削除するとともに、各行とも1段づつ表示行を上方に移動するように位置を変更して表示し、さらに同枠内の表示の最下行の1つ下に隠れて表示されない情報を表示対象として同枠内の表示の最下行に表示する。
【0099】
例えば、図8(B)に示される表示画面においては、最上行に表示されている「001」が削除され、この表示画面では表示されていない最下行の「005」を最下行に表示する。また、図8(C)についても同様に表示することで、1行送りのスクロールが完了する。
【0100】
なお、本実施形態では、これまで説明してきたように、上から1段目(1行目)に表示される情報は、その表示色が彩度ゼロの無彩色で明度も低い灰色に変更されており、また上から2段目(2行目)に表示される情報は、文字サイズが大きくなるように変更され、さらにその表示色が明度、彩度ともに高い山吹色に変更される。このため、単純に表示位置を変更するだけのスクロール表示では足りないことから、表示位置の変更とともに、このような文字サイズや文字色の変更処理をステップS355aによる送り改行処理にて行う必要がある。
【0101】
また、図11(A)に示すように、上から2段目(2行目)に表示される停留所の発車定刻と現在時刻との時間差で現在時刻の下に表示される「1分前」や、上から3,4段目(3,4行目)に表示される停留所の発車定刻と現在時刻との時間差でそれぞれの発車定刻に併記表示される「06:12発(7分前)」や「06:15発(10分前)」についても、図11(B)に示すように、それぞれ「7分前」、「06:15発(10分前)」や「06:23発(18分前)」というように、それぞれの時間差表示が変更される。このため、これについても単純に表示位置を変更するだけのスクロール表示では足りないことから、表示位置の変更とともに、このような時間差の変更処理をステップS355aによる送り改行処理によって行う必要がある。
【0102】
図11(A)に示す表示画面において、「■□(上白下黒の重複四角)」ボタンが押されているとステップS351により判断された場合には(S351:「頁送り」)、ステップS353bに移行してスクロール対象となる一点鎖線による枠内の表示を1頁分、つまり4行分送っても最下行を超えた表示になるか否かを判断して最下行を超える場合には(S353b:Yes)、スクロール処理を終了する。
【0103】
これに対して、1頁分送っても最下行を超えない場合には(S353b:No)、続くステップS355bにより送り改頁処理が行われる。この処理では、前述したステップS355aによる送り改行処理を4行分、つまり1頁を構成する行数分だけ送り改行処理を繰り返すことによって送り改頁が可能となるため、説明を省略する。なお、文字サイズや文字色の変更や時間差表示の変更等についても送り改行処理と同様に処理される。
【0104】
次に、「▲(上向き黒三角)」ボタンが押されているとステップS351により判断された場合は(S351:「行戻り」)、「▼(下向き黒三角)」ボタンが押されている場合と逆の処理を行う。即ち、ステップS353cによりスクロール対象となる一点鎖線による枠内の表示が最上行の表示であるか否かを判断し、既に最上行までスクロールされている場合には(S353c:Yes)、これ以上の行送りはできないことから、スクロール処理を終了する。
【0105】
一方、ステップS353cにより最上行であると判断されない場合には(S353c:No)、次のステップS355cにより戻り改行処理が行われる。この処理でも、「▼(下向き黒三角)」ボタンが押されている場合と逆の処理を行う。即ち、スクロール対象となる一点鎖線による枠内の表示の最下行を削除するとともに、各行とも1段づつ表示行を下方に移動するように位置を変更して表示し、さらに同枠内の表示の最上行の1つ上に隠れて表示されない情報を表示対象として同枠内の表示の最上行に表示する。
【0106】
なお、文字サイズや文字色の変更や時間差表示の変更等についても、送り改行処理と方向を上下逆方向にすることで同様に処理可能で、例えば、図12(A)〜図12(C)に「▲(上向き黒三角)」ボタンが押されている場合のスクロール表示の例が、図12(A)→図12(B)→図12(C)の順で経時的に示されている。
【0107】
また、「□■(上黒下白の重複四角)」ボタンが押されているとステップS351により判断された場合には(S351:「頁戻り」)、ステップS353d,355dにより、「■□(上白下黒の重複四角)」ボタンが押されている場合と逆の処理を行うことで、戻り改頁が可能となるため、説明を省略する。なお、文字サイズや文字色の変更や時間差表示の変更等についても戻り改行処理と同様に処理される。
【0108】
このようにスクロール操作は、表示画面単位で表示内容を変更する場合に比べて変動する表示内容を把握し易く操作上の利便性を向上することができる。しかし、スクロールによる送りや戻りの行数が累積して、停車中の停留所や走行中の次停留所の情報表示から現在表示している内容がスクロールする行数上、離れてしまった場合には、スクロール開始前の元の画面表示に戻るために逆方向のスクロール操作を再度行う必要があり操作が煩雑になりかねない。
【0109】
そこで、このような操作上の煩雑さを解消するため、本実施形態では図11や図12に示すような「現停留所に戻る」ボタンを設けて、この「現停留所に戻る」ボタンが押されると、図6(B)に示す現停留所戻り処理を起動する。
【0110】
ステップS361による停留所番号読出処理が行われて、当該路線バスが現在停車中の停留所の番号または次に停車する予定の停留所の番号が読み出されると、停車中または走行中といった車両状態に基づいて(S363)、図5に示すステップS305の停車中表示処理やステップS311の走行中表示処理にそれぞれ戻ることが可能となる(S365a,S365b)。このため、液晶表示部21の画像表示をスクロール操作前の画像表示に戻すことができる。
【0111】
ここで再び図3に戻って、ステップS107により「系統設定」ボタンが選択されている場合について説明する。この「系統設定」ボタンが選択される場合は、例えば、交番に関係なく臨時運行を行うとき等が想定される。そのため、各停留所を発車する定刻、つまり発車定刻も設定されていないことが多いことから、これから説明するように、液晶表示部21に表示される運行情報には発車定刻は含まれていないことに注意されたい。
【0112】
図3に示すように、ステップS107により「系統設定」ボタンが選択されている場合には、ステップS400による系統直接設定処理が行われるが、この処理の詳細は、図7に図示されているので、ここからは図7および図13を参照して説明する。なお、この系統直接設定処理は、制御ユニット30のCPU31が系統直接設定プログラムを実行することにより実現される。
【0113】
系統直接設定処理では、まずステップS401により系統情報読出処理が行われる。この処理では、系統情報をデータメモリ33から読み出す処理を行うが、前述したように、臨時運行を行う場合等は、通常は系統に関連づけられる「交番」が存在しない。そのため、交番に関係なく、データメモリ33に格納されているすべての系統情報をデータメモリ33から読み出して、読み出した系統情報を続くステップS403により液晶表示部21の画面に表示する。
【0114】
これにより、例えば、図13(A)に示すように、系統情報が表示されるが、すべての系統情報が複数頁に亘って表示されることから、系統の選択操作が煩雑になりかねない。このため、図13(A)に示す画面左側に表示される「番号入力」ボタンを押すことにより、図13(B)に示すような番号入力画面が表示されることから、系統番号を直接、数字入力することが可能となる。また、同様に、図13(A)に示す画面左側に表示される「交番選択」ボタンを押すことにより、このような番号入力画面によって交番を直接、数字入力することが可能となる。また、系統番号の数字入力処理は、ステップS405(「番号入力」あり),S413,S415,S417により行われる。また、交番の数字入力処理は、ステップS405(「交番選択」あり),S412,S414,S416により行われる。なお、図7に示すステップS407,S409,S411は、図4に示すステップS215,S217,S219にそれぞれ対応しているので、ここではこれらの説明を省略する。
【0115】
図13(B)に示す番号入力画面において、系統番号の入力が済んだときには、画面左側の「確定」ボタンを押すことによって(S419:「あり」)、入力された系統番号が確定しステップS421により系統情報が設定、つまりメインメモリ32の所定のワーク領域に記憶される。例えば、図13(B)に示される例では、系統番号として「00201」が入力されているため、「確定」ボタンが押されることによりステップS421により系統番号が設定されて、当該系統直接設定処理が終了する(また交番の入力が済んだときにも、同様に画面左側の「確定」ボタンが押されることで(S418:「あり」)、入力された交番情報が確定し(S421)メインメモリ32に記憶される)。これより、図3に示すメインルーチンに処理が戻って、続くステップS300により運行情報表示処理が開始される(図13(C))。なお、この図13(C)に示される液晶表示部21の画面表示の例は、図9(A)に示される液晶表示部21の画面表示の例とは異なり、交番、停留所の発車定刻や次停留所時間差(発車定刻と現在時刻との時間差)がいずれも表示されていない。
【0116】
なお、例えば、図8(B)に示す交番選択画面の例においても、画面左側の現在時刻の下に「番号入力」ボタン(図13(A)参照)を設けることにより、図13(B)に示すような番号入力画面を表示して、交番を直接、数字入力することができるように構成しても良い。
【0117】
また、始発や終着の停留所に停車中の当該路線バスにおいて、液晶表示部21に表示される画面(例えば、図9(A)や図10(E)に示す画面)に、「回送」ボタンを設けて、これが押されると、当該路線バスが回送車両である旨の表示、例えば「回送」を行先表示装置90に表示させるように制御する。具体的には、液晶表示部21に表示される「回送」ボタンの押下に連動して、「回送」表示に対応するテキストデータまたはコマンドを運行情報提供装置20から行先表示装置90に出力する。また、行先表示装置90により回送表示が行われている場合には、その旨を乗務員に告知可能な表示を液晶表示部21の画面表示において行う。
【0118】
これにより、例えば、始発や終着の停留所に停車している場合においては、ワンタッチで行先表示装置90の表示を「回送」にすることができるため、行き先が「回送」であれば、乗車するお客もいないことから、運行開始前(例えば乗務員の休憩時間中)におけるお客の誤乗車を防ぐことが可能となる。また、行先表示装置90により回送表示が行われている場合には、その旨を乗務員に告知可能な表示を液晶表示部21の画面表示において行うことにより、行先表示装置90に回送表示がされたままでの運行開始を防止できる。
【0119】
このような回送表示をする技術的思想は、『前記乗合車両は、前記所定の路線における行き先表示を可能に構成される行先表示装置を外部に備えており、前記表示制御部が当該路線バスの運行情報の表示制御(請求項1〜9のいずれか一項に記載された表示制御)を行っている場合において、当該表示制御部は、所定の他の操作情報が入力されると、当該乗合車両が回送車両である旨を前記行先表示装置に表示するように制御することを特徴とする運行情報提供装置』として把握することが可能で、これにより、例えば、始発や終着の停留所に停車している場合においては、ワンタッチで行先表示を「回送」にすることができる。このため、行き先が「回送」であれば、乗車するお客もいないので、運行開始前(例えば乗務員の休憩時間中)におけるお客の誤乗車を防ぐことができる。
【0120】
以上説明したように、本実施形態に係る運行情報提供装置20によると、路線バスの走行中においては、乗務員に視認可能な液晶表示部21に、次停留所の名称とその発車定刻とその次停留所時間差(発車定刻と現在時刻との時間差)または予定時刻や予定所要時間を表示するとともに、走行中を示す区切線γといった視覚的に「区切り」を認識し易い目印の上下に次停留所と前停留所のそれぞれの名称を表示するので、乗務員は一目で有用な運行情報を容易に把握することができる。また、路線バスの停車中においては、乗務員に視認可能な液晶表示部21に、停車中の次停留所の名称とその発車定刻とその次停留所時間差または予定時刻や予定所要時間を表示するとともに、停車中を示すバスマークγ(所定の印)をこれらの表示の先頭または後尾に明示するので、乗務員は、現在停車している停留所(次停留所)について一目で有用な運行情報を容易に把握することができる。
【0121】
上述した各実施形態では、液晶表示部21に表示する運行情報として、次停留所の名称とその発車定刻とその次停留所時間差(発車定刻と現在時刻との時間差)等を例示して説明をしたが、当該路線バスが次停留所に到着をする定刻である到着定刻と現在時刻との時間差をその次停留所時間差として、次停留所の名称とともに表示するように構成しても良く、このような構成においても、前述と同様の作用および効果を得ることができる。
【0122】
また、上述した各実施形態では、当該路線バスの運行情報を液晶表示部21に画面表示することでこれらの情報を乗務員に提供しているが、例えば、これらの運行情報のうち、特に重要度の高いものを合成音声で読み上げて内蔵スピーカ27から音響出力し得るように、CPU31から音声コーデック37にテキストデータを出力する構成を採っても良い。これにより、乗務員は、視覚に加えて聴覚からも運行情報を把握できる。なお、特に重要度の高い運行情報としては、例えば、当該路線バスが停車中の停留所または走行中において次に停車を予定している停留所(次停留所)の発車定刻と現在時刻との時間差(次停留所時間差)や、その停留所における発車定刻等である。
【0123】
また、上述した各実施形態では、液晶表示部21に画面表示する運行情報の一部として、停留所やその発車定刻あるいは到着予定時刻、所要時間等を上下方向に展開される段構成の表示態様にしているが、これに限られることはなく、左右方向に展開される段構成や3D画面の場合には前後方向(奥行き方向)に展開される段構成、さらには円環状や球体状に循環するように展開される構成であっても良い。また、段数は、4段に限らず複数であれば、3段や5,6段等、液晶表示部21の画面サイズや文字サイズに適合した段数に設定しても良い。
【0124】
さらに、上述した各実施形態では、文字やその背景の表示色にコントラスト差を設けたり、複数種類の文字サイズを用いることによって、重要度の高い運行情報を重要度の低い情報よりも目立たせる表示態様にしたが、文字や記号の表示をブリンクさせたり、動きを与えたりすることで、重要度の高い運行情報をより一層目立たせるように表示態様を構成しても良い。
【0125】
また、上述した各実施形態では、当該運行情報提供装置20を路線バスに搭載する場合を例示して説明したが、本発明の適用はこれに限られることはなく、所定の路線を走行する乗合車両であれば、例えば、路面電車、トロリーバスやワンマン運行方式の鉄道等の乗合車両の運行情報をその乗務員に提供する場合にも適用することができ、これらの場合においても路線バスに搭載したときと同様の作用・効果を得ることができる。
【0126】
なお、上述した各実施形態では、当該路線バスが停留所に停車している場合には、図9(A)、図9(C)、図10(E)、図10(F)を参照して説明したように、液晶表示部21の表示画面において発車定刻の左側にバス停マークβを表示し、当該路線バスが停留所(前停留所と次停留所)間を走行している場合には、図9(B)、図10(D)、図11(A)〜図11(C)、図12(A)〜図12(C)、を参照して説明したように、液晶表示部21の表示画面において前停留所の情報表示と次停留所の情報表示との間に区切線δを表示しその左端近傍にバスマークγを表示するように表示制御をする構成としたが、例えば、路線バスが停留所に停車している場合にこのようなバス停マークβを表示し、停留所間を走行している場合においては区切線δやバスマークγを表示しないように表示制御をする構成としても良い。また、これとは逆に、例えば、路線バスが停留所に停車している場合においてはバス停マークβを表示することなく、停留所間を走行している場合にこのような区切線δやバスマークγを表示するように表示制御をする構成としても良い。
【0127】
また、このようなバス停マークβ、バスマークγおよび区切線δをいずれも液晶表示部21に表示することなく、図9(A)に示す画面左側の一点鎖線で囲まれた範囲(所定の範囲)に表示される次停留所時間差α,α’を表示するように表示制御をする構成としても良い。また、図11(A)および図11(B)に示すような次以降停留所時間差や、図11(C)に示すような「予」や「着予」で表示された到着または通過する予定時刻、さらには図示されていないが「あと10分」というような予定所要時間についても、必ずしもこのようなバス停マークβ、バスマークγおよび区切線δと共に液晶表示部21に表示する必要はなく、次以降停留所時間差、予定時刻や予定所要時間をそれぞれ個別に、またはこれらを組み合わせて表示するように液晶表示部21の表示制御をする構成にしても良い。
【符号の説明】
【0128】
20…運行情報提供装置
21…液晶表示部(運行情報表示部)
23…タッチパネル
25…テンキーユニット
30…制御ユニット
31…CPU(時間差演算部、表示制御部)
32…メインメモリ(時間差演算部、表示制御部)
33…データメモリ(停留所情報記憶部)
34…表示コントローラ(表示制御部)
50…運賃表示装置
60…GPS装置
70…放送装置
90…行先表示装置
α、α’…時間差(次停留所時間差)
β…バス停マーク(停車中を示す所定の印)
γ…バスマーク(走行中を示す所定の印)
δ…区切線(所定の線)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の路線を走行する乗合車両に搭載されこの乗合車両の運行情報を乗務員に視認可能に表示する運行情報表示部を備えた運行情報提供装置であって、
前記所定の路線の各停留所に関する停留所情報として、少なくとも、これらの各停留所を前記乗合車両が出発する予め設定された停留所ごとの発車定刻および前記各停留所の名称を記憶する停留所情報記憶部と、
前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報のうち前記乗合車両が次に停車または通過する次停留所の前記発車定刻と現在時刻とに基づいて、これら両時刻の差から前記次停留所の前記発車定刻に対する遅れまたは進み時間を次停留所時間差として求める時間差演算部と、
前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報に基づいて、前記次停留所の名称、前記次停留所の前記発車定刻および前記時間差演算部による前記次停留所時間差ならびに前記次停留所の1つ前の前停留所の名称を含む運行情報を前記運行情報表示装置に表示可能に制御する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記運行情報表示部の所定の範囲に前記次停留所時間差を表示するように制御し、かつ、
前記乗合車両が前記次停留所と前記前停留所との間を走行している場合、前記次停留所の名称と前記発車定刻とを並べて前記運行情報表示部に表示するように制御するとともに、前記次停留所の名称および前記発車定刻の表示と前記前停留所の名称の表示との間に走行中を示す所定の線または記号を表示するように制御することを特徴とする運行情報提供装置。
【請求項2】
所定の路線を走行する乗合車両に搭載されこの乗合車両の運行情報を乗務員に視認可能に表示する運行情報表示部を備えた運行情報提供装置であって、
前記所定の路線の各停留所に関する停留所情報として、少なくとも、これらの各停留所を前記乗合車両が出発する予め設定された停留所ごとの発車定刻および前記各停留所の名称を記憶する停留所情報記憶部と、
前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報のうち前記乗合車両が次に停車または通過する次停留所の前記発車定刻と現在時刻とに基づいて、これら両時刻の差から前記次停留所の前記発車定刻に対する遅れまたは進み時間を次停留所時間差として求める時間差演算部と、
前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報に基づいて、前記次停留所の名称、前記次停留所の前記発車定刻および前記時間差演算部による前記次停留所時間差ならびに前記次停留所の1つ前の前停留所の名称を含む運行情報を前記運行情報表示装置に表示可能に制御する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記運行情報表示部の所定の範囲に前記次停留所時間差を表示するように制御し、かつ、
前記乗合車両が前記次停留所に停車している場合、この次停留所の名称と前記発車定刻とを並べて前記運行情報表示部に表示するように制御するとともに、これらの表示の並び方向の先頭または後尾に停車中を示す所定の印を表示するように制御することを特徴とする運行情報提供装置。
【請求項3】
前記時間差演算部は、前記乗合車両が次に停車または通過する次停留所の前記発車定刻と前記乗合車両の現在位置と現在時刻とに基づいて、前記乗合車両が前記次停留所に停車もしくは通過する予定時刻および/または前記乗合車両が前記次停留所に停車もしくは通過するまでの予定所要時間を求め、
前記表示制御部は、前記時間差演算部で求めた前記予定時刻および/または前記予定所要時間を前記次停留所の前記発車定刻に並べて表示するように制御することを特徴とする請求項1または2記載の運行情報提供装置。
【請求項4】
前記次停留所時間差に加えて、
前記時間差演算部は、前記乗合車両が前記次停留所の次の停留所を含めてそれ以降に停車もしくは通過する複数の次以降停留所のそれぞれについて、前記発車定刻と現在時刻とに基づきこれら両時刻の差から前記次以降停留所の前記発車定刻に対する遅れまたは進み時間を次以降停留所時間差として求め、
前記次停留所の名称、前記次停留所の前記発車定刻および前記次停留所時間差ならびに前記前停留所の名称の表示に加えて、
前記表示制御部は、前記次停留所の名称および前記発車定刻の表示に対して、段違いに、かつ表示段が前記停留所の停車または通過順に従って所定の方向に進むように、前記複数の次以降停留所についてその名称および前記発車定刻を段状に並べて前記運行情報表示部に表示するように制御するとともに、前記複数の次以降停留所の名称および前記発車定刻の少なくとも一方の近傍に前記複数の次以降停留所ごとに前記次以降停留所時間差を表示するように制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の運行情報提供装置。
【請求項5】
前記時間差演算部は、前記乗合車両が前記次停留所の次の停留所を含めてそれ以降に停車もしくは通過する複数の次以降停留所のそれぞれについて、前記発車定刻と前記乗合車両の現在位置と現在時刻とに基づいて、前記乗合車両が前記次以降停留所に停車もしくは通過する予定時刻および/または前記乗合車両が前記次停留所に停車もしくは通過するまでの予定所要時間を求め、
前記表示制御部は、前記段状に並べられた前記複数の次以降停留所の前記発車定刻のそれぞれに対応して、前記時間差演算部で求めた前記予定時刻および/または前記予定所要時間を前記発車定刻に並べて表示するように制御することを特徴とする請求項4に記載の運行情報提供装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、外部から入力される操作情報を入力可能に構成されており、
前記次停留所の名称、前記次停留所の前記発車定刻および前記次停留所時間差ならびに前記前停留所の名称の表示と、これらの表示に段違いに表示される前記複数の次以降停留所の名称、前記発車定刻および前記次以降停留所時間差の表示と、をまとめた前記運行情報表示部における複数段表示について、
当該表示制御部は、
前記所定の方向であって前記複数段表示の先頭段に表示された停留所の次の停留所について表示を開始するとともに前記所定の方向と逆方向であって前記複数段表示の後尾段に表示された停留所について表示を終了する送りスクロール操作と、前記後尾段に表示された停留所の1つ前の停留所について表示を開始するとともに前記先頭段に表示された停留所について表示を終了する戻りスクロール操作と、に従って前記運行情報表示部による表示を制御することを特徴とする請求項4または5記載の運行情報提供装置。
【請求項7】
前記表示制御部が前記送りスクロール操作または前記戻りスクロール操作に従った表示制御を行っている場合において、
当該表示制御部は、所定の操作情報が入力されると、請求項1〜5のいずれか一項に記載の表示制御に移行することを特徴とする請求項6記載の運行情報提供装置。
【請求項8】
所定の路線を走行する乗合車両に搭載されこの乗合車両の運行情報を乗務員に視認可能に表示する運行情報表示部を備えた運行情報提供装置であって、
前記所定の路線の各停留所に関する停留所情報として、少なくとも、これらの各停留所を前記乗合車両が出発する予め設定された停留所ごとの発車定刻および前記各停留所の名称を記憶する停留所情報記憶部と、
前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報のうち前記乗合車両が次に停車または通過する次停留所の前記発車定刻と現在時刻とに基づいて、これら両時刻の差から前記次停留所の前記発車定刻に対する遅れまたは進み時間を次停留所時間差として求める時間差演算部と、
前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報に基づいて、前記次停留所の名称、前記次停留所の前記発車定刻および前記時間差演算部による前記次停留所時間差ならびに前記次停留所の1つ前の前停留所の名称を含む運行情報を前記運行情報表示装置に表示可能に制御する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記運行情報表示部の所定の範囲に前記次停留所時間差を表示するように制御することを特徴とする運行情報提供装置。
【請求項1】
所定の路線を走行する乗合車両に搭載されこの乗合車両の運行情報を乗務員に視認可能に表示する運行情報表示部を備えた運行情報提供装置であって、
前記所定の路線の各停留所に関する停留所情報として、少なくとも、これらの各停留所を前記乗合車両が出発する予め設定された停留所ごとの発車定刻および前記各停留所の名称を記憶する停留所情報記憶部と、
前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報のうち前記乗合車両が次に停車または通過する次停留所の前記発車定刻と現在時刻とに基づいて、これら両時刻の差から前記次停留所の前記発車定刻に対する遅れまたは進み時間を次停留所時間差として求める時間差演算部と、
前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報に基づいて、前記次停留所の名称、前記次停留所の前記発車定刻および前記時間差演算部による前記次停留所時間差ならびに前記次停留所の1つ前の前停留所の名称を含む運行情報を前記運行情報表示装置に表示可能に制御する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記運行情報表示部の所定の範囲に前記次停留所時間差を表示するように制御し、かつ、
前記乗合車両が前記次停留所と前記前停留所との間を走行している場合、前記次停留所の名称と前記発車定刻とを並べて前記運行情報表示部に表示するように制御するとともに、前記次停留所の名称および前記発車定刻の表示と前記前停留所の名称の表示との間に走行中を示す所定の線または記号を表示するように制御することを特徴とする運行情報提供装置。
【請求項2】
所定の路線を走行する乗合車両に搭載されこの乗合車両の運行情報を乗務員に視認可能に表示する運行情報表示部を備えた運行情報提供装置であって、
前記所定の路線の各停留所に関する停留所情報として、少なくとも、これらの各停留所を前記乗合車両が出発する予め設定された停留所ごとの発車定刻および前記各停留所の名称を記憶する停留所情報記憶部と、
前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報のうち前記乗合車両が次に停車または通過する次停留所の前記発車定刻と現在時刻とに基づいて、これら両時刻の差から前記次停留所の前記発車定刻に対する遅れまたは進み時間を次停留所時間差として求める時間差演算部と、
前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報に基づいて、前記次停留所の名称、前記次停留所の前記発車定刻および前記時間差演算部による前記次停留所時間差ならびに前記次停留所の1つ前の前停留所の名称を含む運行情報を前記運行情報表示装置に表示可能に制御する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記運行情報表示部の所定の範囲に前記次停留所時間差を表示するように制御し、かつ、
前記乗合車両が前記次停留所に停車している場合、この次停留所の名称と前記発車定刻とを並べて前記運行情報表示部に表示するように制御するとともに、これらの表示の並び方向の先頭または後尾に停車中を示す所定の印を表示するように制御することを特徴とする運行情報提供装置。
【請求項3】
前記時間差演算部は、前記乗合車両が次に停車または通過する次停留所の前記発車定刻と前記乗合車両の現在位置と現在時刻とに基づいて、前記乗合車両が前記次停留所に停車もしくは通過する予定時刻および/または前記乗合車両が前記次停留所に停車もしくは通過するまでの予定所要時間を求め、
前記表示制御部は、前記時間差演算部で求めた前記予定時刻および/または前記予定所要時間を前記次停留所の前記発車定刻に並べて表示するように制御することを特徴とする請求項1または2記載の運行情報提供装置。
【請求項4】
前記次停留所時間差に加えて、
前記時間差演算部は、前記乗合車両が前記次停留所の次の停留所を含めてそれ以降に停車もしくは通過する複数の次以降停留所のそれぞれについて、前記発車定刻と現在時刻とに基づきこれら両時刻の差から前記次以降停留所の前記発車定刻に対する遅れまたは進み時間を次以降停留所時間差として求め、
前記次停留所の名称、前記次停留所の前記発車定刻および前記次停留所時間差ならびに前記前停留所の名称の表示に加えて、
前記表示制御部は、前記次停留所の名称および前記発車定刻の表示に対して、段違いに、かつ表示段が前記停留所の停車または通過順に従って所定の方向に進むように、前記複数の次以降停留所についてその名称および前記発車定刻を段状に並べて前記運行情報表示部に表示するように制御するとともに、前記複数の次以降停留所の名称および前記発車定刻の少なくとも一方の近傍に前記複数の次以降停留所ごとに前記次以降停留所時間差を表示するように制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の運行情報提供装置。
【請求項5】
前記時間差演算部は、前記乗合車両が前記次停留所の次の停留所を含めてそれ以降に停車もしくは通過する複数の次以降停留所のそれぞれについて、前記発車定刻と前記乗合車両の現在位置と現在時刻とに基づいて、前記乗合車両が前記次以降停留所に停車もしくは通過する予定時刻および/または前記乗合車両が前記次停留所に停車もしくは通過するまでの予定所要時間を求め、
前記表示制御部は、前記段状に並べられた前記複数の次以降停留所の前記発車定刻のそれぞれに対応して、前記時間差演算部で求めた前記予定時刻および/または前記予定所要時間を前記発車定刻に並べて表示するように制御することを特徴とする請求項4に記載の運行情報提供装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、外部から入力される操作情報を入力可能に構成されており、
前記次停留所の名称、前記次停留所の前記発車定刻および前記次停留所時間差ならびに前記前停留所の名称の表示と、これらの表示に段違いに表示される前記複数の次以降停留所の名称、前記発車定刻および前記次以降停留所時間差の表示と、をまとめた前記運行情報表示部における複数段表示について、
当該表示制御部は、
前記所定の方向であって前記複数段表示の先頭段に表示された停留所の次の停留所について表示を開始するとともに前記所定の方向と逆方向であって前記複数段表示の後尾段に表示された停留所について表示を終了する送りスクロール操作と、前記後尾段に表示された停留所の1つ前の停留所について表示を開始するとともに前記先頭段に表示された停留所について表示を終了する戻りスクロール操作と、に従って前記運行情報表示部による表示を制御することを特徴とする請求項4または5記載の運行情報提供装置。
【請求項7】
前記表示制御部が前記送りスクロール操作または前記戻りスクロール操作に従った表示制御を行っている場合において、
当該表示制御部は、所定の操作情報が入力されると、請求項1〜5のいずれか一項に記載の表示制御に移行することを特徴とする請求項6記載の運行情報提供装置。
【請求項8】
所定の路線を走行する乗合車両に搭載されこの乗合車両の運行情報を乗務員に視認可能に表示する運行情報表示部を備えた運行情報提供装置であって、
前記所定の路線の各停留所に関する停留所情報として、少なくとも、これらの各停留所を前記乗合車両が出発する予め設定された停留所ごとの発車定刻および前記各停留所の名称を記憶する停留所情報記憶部と、
前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報のうち前記乗合車両が次に停車または通過する次停留所の前記発車定刻と現在時刻とに基づいて、これら両時刻の差から前記次停留所の前記発車定刻に対する遅れまたは進み時間を次停留所時間差として求める時間差演算部と、
前記停留所情報記憶部から読み出される前記停留所情報に基づいて、前記次停留所の名称、前記次停留所の前記発車定刻および前記時間差演算部による前記次停留所時間差ならびに前記次停留所の1つ前の前停留所の名称を含む運行情報を前記運行情報表示装置に表示可能に制御する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記運行情報表示部の所定の範囲に前記次停留所時間差を表示するように制御することを特徴とする運行情報提供装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−114535(P2013−114535A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261465(P2011−261465)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000144544)レシップホールディングス株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000144544)レシップホールディングス株式会社 (179)
【Fターム(参考)】
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