説明

運行管理支援システム及びプログラム

【課題】交通機関で発生するイレギュラが影響する範囲を把握しやすくする。
【解決手段】運行管理支援システム100において、データベース101は、便ごとに運行内容を示す便情報111と、引継要素を対象として便同士で行われる引継ごとに、引継元の便と引継先の便とを示すコネクション情報112とを記憶する。判定部104は、便情報111とコネクション情報112とを参照して、引継元の便の運行内容と引継先の便の運行内容とが所定の運行条件を満たしていない引継の集合を抽出し、所定の判定基準に基づいて、抽出した引継の集合に含まれる引継の引継元の便と引継先の便とのグループ分けを行う。出力部105は、グループ分けが行われた便のうち、任意の1つのグループを構成する便を示すグループ情報114を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運行管理支援システム及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
航空機のスポットの割り当てを管理するシステムがある(例えば、特許文献1,2参照)。また、鉄道の運行を管理するシステムがある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−74437号公報
【特許文献2】特開2001−307300号公報
【特許文献3】特開2000−1168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
公共交通機関では、ダイヤ計画、乗務員勤務計画、乗客の乗り継ぎ状況、荷物の載せ換え状況(つながりの存在状況)に応じて、あるイレギュラ(計画と異なる事象)がどう影響(伝播)するかを把握しながら運用することが求められる。現状はこういった情報を一元管理できておらず、どこまで影響が及ぶのかの判断を含めて手作業で補完しながら熟練者が対応している。そのため、個人のスキルに依存しており、考慮漏れがあると予想外の遅延拡大、乗客の乗り継ぎへの影響等が発生するという課題があった。前述した従来のシステムでも、イレギュラが影響する範囲を十分に把握することはできないため、同様の課題があった。
【0005】
本発明は、例えば、交通機関で発生するイレギュラが影響する範囲を把握しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様に係る運行管理支援システムは、
交通機関における移動体の運行管理を支援する運行管理支援システムであって、
移動体の運行単位である便ごとに、運行内容を示す便情報を記憶装置により記憶するとともに、移動体と移動体により運ばれるものとの少なくともいずれかである引継要素を対象として便同士で行われる引継ごとに、引継元の便と引継先の便とを示す引継情報を記憶装置により記憶するデータベースと、
前記データベースに記憶された便情報と引継情報とを参照して、引継元の便の運行内容と引継先の便の運行内容とが所定の運行条件を満たしていない引継の集合を抽出し、所定の判定基準に基づいて、抽出した引継の集合に含まれる引継の引継元の便と引継先の便とのグループ分けを処理装置により行う判定部と、
前記判定部によりグループ分けが行われた便のうち、任意の1つのグループを構成する便を示すグループ情報を出力装置により出力する出力部とを備える。
【0007】
本発明の一実施例において、
前記判定部は、前記所定の判定基準として、引継が行われる便同士が同じグループに属し、かつ、それぞれの便が1つのグループのみに属するように、前記グループ分けを行う。
【0008】
本発明の一実施例において、
前記判定部は、前記所定の判定基準として、抽出した引継の集合に含まれる引継のいずれにおいても引継先の便になっていない便ごとにグループが存在し、引継が行われる便同士が同じグループに属するように、前記グループ分けを行う。
【0009】
本発明の一実施例において、
前記データベースは、便ごとに、運行時刻を運行内容として示し、さらに、予め運行が計画された時刻である計画時刻を示す便情報を記憶し、
前記判定部は、引継元の便の運行時刻が引継元の便の計画時刻より遅れており、かつ、引継先の便の運行時刻が引継先の便の計画時刻より遅れている場合、前記所定の運行条件が満たされていないと判断する。
【0010】
本発明の一実施例において、
前記判定部は、抽出した引継の集合に引継先の便が共通し、引継元の便が異なる複数の引継が含まれる場合、当該複数の引継のうち引継元の便の運行時刻が引継先の便を引継先の便の計画時刻に運行するために引継元の便を運行すべき限界時刻から所定の時間以上遅れている引継のみ又は最も遅れている引継のみの便同士が同じグループに属するように、前記グループ分けを行う。
【0011】
本発明の一実施例において、
前記データベースは、既に運行された便について、実際の運行時刻である実績時刻を運行内容として示す便情報を記憶し、
前記運行管理支援システムは、さらに、
前記データベースに記憶された便情報と引継情報とを参照して、実際に運行された便が引継元の便であり、かつ、まだ運行されていない便が引継先の便である引継を抽出し、抽出した引継について、引継元の便の実績時刻から引継先の便の運行時刻を処理装置により予測し、運行時刻を予測する度に、運行時刻を予測した便について、予測した運行時刻である予測時刻を運行内容として示す便情報を前記データベースに記憶させるとともに、運行時刻を予測した便を引継元の便とする引継があれば、その引継を抽出し、抽出した引継について、引継元の便の予測時刻から引継先の便の運行時刻を処理装置により予測する予測部を備える。
【0012】
本発明の一実施例において、
前記データベースは、引継ごとに、さらに、引継にかかる標準時間を示す引継情報を記憶し、
前記予測部は、抽出した引継について、引継元の便の実績時刻又は予測時刻が引継元の便の計画時刻より遅れていなければ、引継先の便の計画時刻が引継先の便の運行時刻になると予測し、引継元の便の実績時刻又は予測時刻が引継元の便の計画時刻より遅れていれば、標準時間以上の任意の時間を引継元の便の実績時刻又は予測時刻に加算した、引継先の便の計画時刻以降の時刻が引継先の便の運行時刻になると予測する。
【0013】
本発明の一実施例において、
前記データベースは、引継ごとに、さらに、引継要素の種別を示す引継情報を記憶し、
前記予測部は、引継元の便と引継先の便とが共通し、引継要素の種別が異なる複数の引継を抽出した場合、抽出した引継ごとに、引継先の便の運行時刻を予測し、予測した運行時刻のうち最も遅い時刻を引継先の便の予測時刻とする。
【0014】
本発明の一実施例において、
引継要素の種別には、移動体により運ばれる乗客と乗員と貨物との少なくともいずれかが含まれる。
【0015】
本発明の一実施例において、
前記予測部は、引継先の便が共通し、引継元の便が異なる複数の引継を抽出した場合、抽出した引継ごとに、引継先の便の運行時刻を予測し、予測した運行時刻のうち最も遅い時刻を引継先の便の予測時刻とする。
【0016】
本発明の一実施例において、
前記運行管理支援システムは、さらに、
前記データベースに記憶された便情報又は引継情報を更新する更新情報の入力を入力装置により受け付けて、前記データベースに記憶された便情報又は引継情報を更新する入力部を備え、
前記判定部は、前記入力部により前記データベースに記憶された便情報又は引継情報が更新される度に、前記データベースに記憶された便情報と引継情報とを参照して、新たに引継の集合を抽出し、抽出した引継の集合に含まれる引継の引継元の便と引継先の便とのグループ分けを行う。
【0017】
本発明の一実施例において、
前記出力部は、前記グループ情報として、前記任意の1つのグループを構成する便を図形で表すとともに、前記任意の1つのグループ内で、前記判定部により抽出された引継の集合に含まれる引継ごとに、引継元の便と引継先の便との関係を図形間の線で表す図を出力する。
【0018】
本発明の一の態様に係るプログラムは、
交通機関における移動体の運行管理を支援するプログラムであって、
移動体の運行単位である便ごとに、運行内容を示す便情報を記憶装置により記憶するとともに、移動体と移動体により運ばれるものとの少なくともいずれかである引継要素を対象として便同士で行われる引継ごとに、引継元の便と引継先の便とを示す引継情報を記憶装置により記憶するデータベースを備えたコンピュータを、
前記データベースに記憶された便情報と引継情報とを参照して、引継元の便の運行内容と引継先の便の運行内容とが所定の運行条件を満たしていない引継の集合を抽出し、所定の判定基準に基づいて、抽出した引継の集合に含まれる引継の引継元の便と引継先の便とのグループ分けを処理装置により行う判定部と、
前記判定部によりグループ分けが行われた便のうち、任意の1つのグループを構成する便を示すグループ情報を出力装置により出力する出力部として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一の態様では、運行管理支援システムにおいて、判定部が、引継元の便の運行内容と引継先の便の運行内容とが所定の運行条件を満たしていない引継の集合を抽出し、所定の判定基準に基づいて、抽出した引継の集合に含まれる引継の引継元の便と引継先の便とのグループ分けを行う。そして、出力部が、判定部によりグループ分けが行われた便のうち、任意の1つのグループを構成する便を示すグループ情報を出力する。このため、本発明の一の態様によれば、交通機関で発生するイレギュラ(計画と異なる事象)が影響する範囲を把握しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態1に係る運行管理支援システムの構成を示すブロック図。
【図2】実施の形態1に係る運行管理支援システムのハードウェア構成の一例を示す図。
【図3】実施の形態1に係る運行管理支援システムの動作の一例を示すフローチャート。
【図4】実施の形態1に係る入力部への入力データ及びデータベースのデータ構造の一例を示す図。
【図5】実施の形態1に係るコネクションダイアグラムの一例を示す図。
【図6】実施の形態1に係るディレイクラスタの一例を示す図。
【図7】実施の形態1に係るディレイクラスタのリストの一例を示す図。
【図8】実施の形態1に係る遅延伝播ダイアグラムの一例を示す図。
【図9】実施の形態1に係る遅延伝播ダイアグラムの一例を示す図。
【図10】実施の形態2に係るディレイクラスタの一例を示す図。
【図11】実施の形態2に係るディレイクラスタのリストの一例を示す図。
【図12】実施の形態2に係る遅延伝播ダイアグラムの一例を示す図。
【図13】実施の形態3に係るディレイクラスタの一例を示す図。
【図14】実施の形態3に係るディレイクラスタのリストの一例を示す図。
【図15】実施の形態4に係る運行管理支援システムの構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0022】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る運行管理支援システム100の構成を示すブロック図である。
【0023】
図1において、運行管理支援システム100は、航空機の運行管理(本願では「運行」及び「運航」を区別しないものとする)を支援するシステムであり、データベース101、入力部102、予測部103、判定部104、出力部105を備える。なお、航空機は、交通機関及び交通機関で利用される移動体の一例であり、本実施の形態は他の交通機関及び他の移動体についても適用可能である。他の交通機関の例としては、鉄道、船舶、自動車等が挙げられる。他の移動体の例としては、鉄道であれば列車、船舶であれば船、自動車であればバスやタクシーのほか、郵便や宅配や運送のためのトラック等が挙げられる。このように、移動体は、人(乗客、旅客)を運ぶものだけでなく、物(貨物、荷物)あるいは人及び物の両方を運ぶものであってよい。
【0024】
運行管理支援システム100は、処理装置191、記憶装置192、入力装置193、出力装置194等のハードウェアを備える。ハードウェアは運行管理支援システム100の各部によって利用される。例えば、処理装置191は、運行管理支援システム100の各部でデータや情報の演算、加工、読み取り、書き込み等を行うために利用される。記憶装置192は、そのデータや情報を記憶するために利用される。また、入力装置193は、そのデータや情報を入力するために、出力装置194は、そのデータや情報を出力するために利用される。
【0025】
データベース101は、航空機の運行単位である便ごとに、運行内容を示す便情報111を記憶装置192により記憶する。本実施の形態において、データベース101は、便ごとに、運行時刻を運行内容として示し、さらに計画時刻を示す便情報111を記憶する。運行時刻には、実際の運行時刻である実績時刻、後述するように予測部103により予測された運行時刻である予測時刻がある。計画時刻は、予め運行が計画された時刻である。ここでは、データベース101が、全ての便について少なくとも計画時刻を示す便情報111を記憶しているものとする。また、データベース101が、既に運行された便については実績時刻を示す便情報111を記憶しており、予測部103により運行時刻が予測された便については予測時刻を示す便情報111を記憶しているものとする。
【0026】
例えば、ある便が出発したときに、その便が運行されたとみなすことができる。この場
合、データベース101は、全ての便について出発の計画時刻を示し、出発済の便について出発の実績時刻を示し、予測部103により出発時刻が予測された便について出発の予測時刻を示す便情報111を記憶する。あるいは、例えば、ある便が到着したときに、その便が運行されたとみなすことができる。この場合、データベース101は、全ての便について到着の計画時刻を示し、到着済の便について到着の実績時刻を示し、予測部103により到着時刻が予測された便について到着の予測時刻を示す便情報111を記憶する。なお、各便の出発、到着以外の任意の時点・状態において、各便が運行されたとみなしてもよい。
【0027】
データベース101は、さらに、便同士をつなぐコネクションごとに、前便と、後便と、標準時間と、引継要素の種別とを示すコネクション情報112を記憶装置192により記憶する。コネクション情報112は、引継情報の一例である。コネクションは、引継要素を対象として便同士で行われる引継を表すものであり、引継ごとに存在する。引継要素は、航空機(即ち、機材)と航空機により運ばれるもの(例えば、乗客、乗員、貨物)との少なくともいずれかである。引継要素の種別としては、例えば、機材、乗客、クルー(コクピットクルー、即ち、運航乗務員)(乗員の一例)、CA(キャビンアテンダント、即ち、客室乗務員)(乗員の一例)、貨物が考えられる(この場合、5つの種別があることになる)。前便は、引継が行われる1組の便のうち、前に運行される便、即ち、その引継の引継元の便である。後便は、引継が行われる1組の便のうち、後に運行される便、即ち、その引継の引継先の便である。標準時間は、通常の運行業務において引継にかかる時間であり、任意の方法で引継ごとに決められる。例えば、引継要素の種別等、特定の属性が共通する引継について、経験上、引継に最低限かかると思われる時間を、該当する引継の標準時間として決定することができる。あるいは、例えば、一定の期間を対象に、特定の属性が共通する引継にかかった時間の統計をとり、その結果(平均値、中間値、最低値等)を、該当する引継の標準時間として決定することができる。
【0028】
上記のように、データベース101は、引継ごとに、引継元の便と、引継先の便と、標準時間と、引継要素の種別とを示す引継情報を記憶装置192により記憶する。なお、1つの種別の引継要素のみを対象にするのであれば、引継情報において引継要素の種別を省略しても構わない。
【0029】
入力部102は、データベース101に記憶された便情報111又はコネクション情報112を更新する更新情報113の入力を入力装置193により受け付ける。そして、入力部102は、入力された更新情報113に基づいて、データベース101に記憶された便情報111又はコネクション情報112を更新する。
【0030】
予測部103は、遅延伝播予測を行う。以下、予測部103による遅延伝播予測の動作について説明する。
【0031】
予測部103は、データベース101に記憶された便情報111とコネクション情報112とを参照して、実際に運行された便が前便であり、かつ、まだ運行されていない便が後便であるコネクションを処理装置191により抽出する。そして、予測部103は、抽出したコネクションについて、前便の実績時刻から後便の運行時刻を処理装置191により予測する。本実施の形態において、予測部103は、抽出したコネクションについて、前便の実績時刻が前便の計画時刻より遅れていなければ、後便の計画時刻が後便の運行時刻になると予測する。一方、予測部103は、抽出したコネクションについて、前便の実績時刻が前便の計画時刻より遅れていれば、標準時間以上の任意の時間を前便の実績時刻に加算した、後便の計画時刻以降の時刻が後便の運行時刻になると予測する。つまり、予測部103は、前便に遅延が生じている場合、単純に後便にも前便と同じだけ遅延が生ずると予測するのではなく、可能であれば引継の時間が短縮されて後便には遅延が生じない
か、あるいは、後便には前便より小さい遅延が生ずると予測する。このとき、短縮する引継の時間の長さは、下記の条件(a)及び(b)を満たすように決定され、望ましくは、下記の条件(c)も満たすように決定される。
(a)短縮した引継の時間が、標準時間より短くならないようにする。
(b)引継の時間を短縮したことにより後便が運行可能となる時刻(即ち、予測時刻)が、後便の計画時刻より早まらないようにする。
(c)予測時刻が、後便の計画時刻にできる限り近くなるようにする。
【0032】
予測部103は、運行時刻を予測する度に、運行時刻(即ち、予測時刻)を予測した便について、予測時刻を示す便情報111をデータベース101に記憶させる。また、予測部103は、運行時刻を予測する度に、データベース101に記憶された便情報111とコネクション情報112とを参照して、運行時刻(即ち、予測時刻)を予測した便を前便とするコネクションがあれば、そのコネクションを処理装置191により抽出する。そして、予測部103は、抽出したコネクションについて、前便の予測時刻から後便の運行時刻を処理装置191により予測する。本実施の形態において、予測部103は、抽出したコネクションについて、前便の予測時刻が前便の計画時刻より遅れていなければ、後便の計画時刻が後便の運行時刻になると予測する。一方、予測部103は、抽出したコネクションについて、前便の予測時刻が前便の計画時刻より遅れていれば、標準時間以上の任意の時間を前便の予測時刻に加算した、後便の計画時刻以降の時刻が後便の運行時刻になると予測する。つまり、予測部103は、前便に現実の遅延が生じている場合と同様に、前便に予測上の遅延が生じている場合も、可能であれば引継の時間が短縮されて後便には遅延が生じないか、あるいは、後便には前便より小さい遅延が生ずると予測する。
【0033】
ここで、予測部103がコネクションを抽出する際に、前便と後便とが共通し、引継要素の種別が異なる複数のコネクションを抽出する場合がある。また、後便が共通し、前便が異なる複数のコネクションを抽出する場合もある。こういった場合、予測部103は、抽出したコネクションごとに、後便の運行時刻を予測し、予測した運行時刻のうち最も遅い時刻を後便の予測時刻とする。
【0034】
以上、予測部103による遅延伝播予測の動作について説明した。
【0035】
判定部104は、ディレイクラスタを検出する。ディレイクラスタは、相互に関連する遅延の対策をひとまとまりとして検討すべき便のグループであり、複数個存在し得る。以下、判定部104によるディレイクラスタの検出動作について説明する。
【0036】
判定部104は、データベース101に記憶された便情報111とコネクション情報112とを参照して、前便の運行内容と後便の運行内容とが所定の運行条件を満たしていないコネクションの集合を処理装置191により抽出する。そして、判定部104は、所定の判定基準に基づいて、抽出したコネクションの集合に含まれるコネクションの前便と後便とのグループ分けを処理装置191により行う。本実施の形態において、判定部104は、前便の運行時刻が前便の計画時刻より遅れており、かつ、後便の運行時刻が後便の計画時刻より遅れている場合、所定の運行条件が満たされていないと処理装置191により判断する。即ち、判定部104は、データベース101に記憶された便情報111とコネクション情報112とを参照して、前便の実績時刻又は予測時刻が前便の計画時刻より遅れており、かつ、後便の予測時刻が後便の計画時刻より遅れているコネクションの集合を抽出する。そして、判定部104は、所定の判定基準として、引継が行われる便同士が同じディレイクラスタに属し、かつ、それぞれの便が1つのディレイクラスタのみに属するように、グループ分けを行う。なお、グループ分けの方法の詳細については、具体例を用いて後で説明する。
【0037】
以上、判定部104によるディレイクラスタの検出動作について説明した。
【0038】
出力部105は、遅延伝播ダイアグラムを出力する。遅延伝播ダイアグラムは、1つのディレイクラスタに対応し、対応するディレイクラスタを構成する便を図形(例えば、矩形)で表すとともに、便同士をつなぐコネクションを線(例えば、直線)で表した図である。以下、出力部105による遅延伝播ダイアグラムの出力動作について説明する。
【0039】
出力部105は、判定部104によりグループ分けが行われた便のうち、任意の1つのディレイクラスタを構成する便を示すグループ情報114を出力装置194により出力する。本実施の形態において、出力部105は、グループ情報114として、任意の1つのディレイクラスタに対応する遅延伝播ダイアグラムを出力する。前述したように、遅延伝播ダイアグラムは、対応するディレイクラスタを構成する便を図形で表すとともに、そのディレイクラスタ内で、判定部104により抽出されたコネクションの集合に含まれるコネクションごとに、前便と後便との関係を図形間の線で表す図である。どのディレイクラスタに対応する遅延伝播ダイアグラムを出力部105が出力するかは、例えば、入力部102がディレイクラスタの選択操作をユーザから受け付けることで決めてもよいし、他の方法で決めてもよい。他の方法としては、例えば、最も便の数が多いディレイクラスタ、最も大きい遅延が生じているディレイクラスタ、予め設定された重要度が高い便が含まれるディレイクラスタ等を出力部105が自動的に選択することが考えられる。
【0040】
以上、出力部105による遅延伝播ダイアグラムの出力動作について説明した。
【0041】
上記のように、本実施の形態では、判定部104が、1つ以上の便に遅延が発生した場合に、どの便の遅延が他のどの便に影響を及ぼすかを判定し、影響が及ぶ範囲の1つ1つを、ディレイクラスタとして定義する。そして、出力部105が、任意の1つのディレイクラスタにおいて、どの便の遅延が他のどの便に影響を及ぼすかを表した図を、そのディレイクラスタに対応する遅延伝播ダイアグラムとして表示する。このため、本実施の形態によれば、ユーザ(例えば、航空会社の運行管理の担当者)が、1つ以上の便に発生した遅延の影響が及ぶ範囲を容易に把握することが可能となる。よって、遅延の対策が立てやすくなる。
【0042】
予測部103は、入力部102によりデータベース101に記憶された便情報111又はコネクション情報112が更新される度に、新たに遅延伝播予測を行う。即ち、予測部103は、データベース101に記憶された(更新後の)便情報111とコネクション情報112とを参照して、まだ運行されていない便の運行時刻を予測する。
【0043】
判定部104は、入力部102によりデータベース101に記憶された便情報111又はコネクション情報112が更新される度に、予測部103による新たな遅延伝播予測の結果に基づき、新たにディレイクラスタを検出する。即ち、判定部104は、データベース101に記憶された(更新後の)便情報111とコネクション情報112とを参照して、新たにコネクションの集合を抽出する。そして、判定部104は、抽出したコネクションの集合に含まれるコネクションの前便と後便とのグループ分けを行う。
【0044】
出力部105は、入力部102によりデータベース101に記憶された便情報111又はコネクション情報112が更新される度に、判定部104による新たなディレイクラスタの検出結果に基づき、新たに遅延伝播ダイアグラムを出力する。出力部105が遅延伝播ダイアグラムを出力中に、判定部104により新たにディレイクラスタが検出された場合、どのディレイクラスタに対応する遅延伝播ダイアグラムを出力部105が出力するかは、例えば、入力部102が新たなディレイクラスタの選択操作をユーザから受け付けることで決めてもよいし、他の方法で決めてもよい。他の方法としては、例えば、出力中の
遅延伝播ダイアグラムに対応していたディレイクラスタと同じ又は類似する(例えば、共通する便が最も多い)構成の新たなディレイクラスタを出力部105が自動的に選択することが考えられる。あるいは、前述したように、例えば、最も便の数が多い新たなディレイクラスタ、最も大きい遅延が生じている新たなディレイクラスタ、予め設定された重要度が高い便が含まれる新たなディレイクラスタ等を出力部105が自動的に選択することが考えられる。
【0045】
なお、本実施の形態において、入力部102は、仮の更新情報113の入力を入力装置193により受け付けてもよい。この場合、入力部102は、入力された仮の更新情報113に従って、データベース101に記憶された便情報111又はコネクション情報112の仮の更新を行う。予測部103は、データベース101に記憶された(仮の更新後の)便情報111とコネクション情報112とを参照して、新たに遅延伝播予測を行う。同様に、判定部104は、データベース101に記憶された(仮の更新後の)便情報111とコネクション情報112とを参照して、予測部103による新たな遅延伝播予測の結果に基づき、新たにディレイクラスタを検出する。出力部105は、判定部104による新たなディレイクラスタの検出結果に基づき、新たに遅延伝播ダイアグラムを出力する。その後、入力部102は、仮の更新情報113に従って、データベース101に記憶された便情報111又はコネクション情報112の実際の更新(コミット)を行うかどうかを入力装置193によりユーザ等に選択させる。そして、入力部102は、実際の更新を行うことが選択された場合のみ、仮の更新情報113に従って、データベース101に記憶された便情報111又はコネクション情報112の実際の更新を行う。これにより、ユーザは、便情報111(特に、計画時刻)やコネクション情報112(特に、標準時間)を変更した場合にディレイクラスタの構成や遅延伝播ダイアグラムがどのように変化するかをシミュレーションによって確認することができるため、運行計画の見直し等が容易に行える。また、シミュレーションの結果を即座に実データに反映させることができるため、運行計画の改善が迅速かつ効率的に行える。
【0046】
また、本実施の形態において、判定部104は、ディレイクラスタを検出する度に、各ディレイクラスタの構成を示す情報をディレイクラスタの履歴情報としてデータベース101に記憶させてもよい。この場合、出力部105は、データベース101に記憶されたディレイクラスタの履歴を出力装置194により出力する。これにより、ユーザは、1つ以上の便に発生した遅延の影響が及ぶ範囲が、遅延の発生状況の変化に応じてどのように変化するかを容易に把握することが可能となる。よって、遅延の対策が立てやすくなる。
【0047】
図2は、運行管理支援システム100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0048】
図2において、運行管理支援システム100は、コンピュータであり、LCD901(Liquid・Crystal・Display)、キーボード902(K/B)、マウス903、FDD904(Flexible・Disk・Drive)、CDD905(Compact・Disc・Drive)、プリンタ906といったハードウェアデバイスを備えている。これらのハードウェアデバイスはケーブルや信号線で接続されている。LCD901の代わりに、CRT(Cathode・Ray・Tube)、あるいは、その他の表示装置が用いられてもよい。マウス903の代わりに、タッチパネル、タッチパッド、トラックボール、ペンタブレット、あるいは、その他のポインティングデバイスが用いられてもよい。
【0049】
運行管理支援システム100は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit)を備えている。CPU911は、処理装置191の一例である。CPU911は、バス912を介してROM913(Read・Only・Memory)、RAM914(Random・Access・Memory)、通信ボ
ード915、LCD901、キーボード902、マウス903、FDD904、CDD905、プリンタ906、HDD920(Hard・Disk・Drive)と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。HDD920の代わりに、フラッシュメモリ、光ディスク装置、メモリカードリーダライタ、あるいは、その他の記録媒体が用いられてもよい。
【0050】
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、HDD920は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置192の一例である。通信ボード915、キーボード902、マウス903、FDD904、CDD905は、入力装置193の一例である。また、通信ボード915、LCD901、プリンタ906は、出力装置194の一例である。
【0051】
通信ボード915は、LAN(Local・Area・Network)等に接続されている。通信ボード915は、LANに限らず、IP−VPN(Internet・Protocol・Virtual・Private・Network)、広域LAN、ATM(Asynchronous・Transfer・Mode)ネットワークといったWAN(Wide・Area・Network)、あるいは、インターネットに接続されていても構わない。LAN、WAN、インターネットは、ネットワークの一例である。
【0052】
HDD920には、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。プログラム群923には、本実施の形態の説明において「〜部」として説明する機能を実行するプログラムが含まれている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。ファイル群924には、本実施の形態の説明において、「〜データ」、「〜情報」、「〜ID(識別子)」、「〜フラグ」、「〜結果」として説明するデータや情報や信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜テーブル」の各項目として含まれている。「〜ファイル」や「〜テーブル」は、データベース101の構成要素であり、RAM914やHDD920等の記録媒体に記憶される。RAM914やHDD920等の記録媒体に記憶されたデータや情報や信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出、検索、参照、比較、演算、計算、制御、出力、印刷、表示といったCPU911の処理(動作)に用いられる。抽出、検索、参照、比較、演算、計算、制御、出力、印刷、表示といったCPU911の処理中、データや情報や信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
【0053】
本実施の形態の説明において用いるブロック図やフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示す。データや信号は、RAM914等のメモリ、FDD904のフレキシブルディスク(FD)、CDD905のコンパクトディスク(CD)、HDD920の磁気ディスク、光ディスク、DVD(Digital・Versatile・Disc)、あるいは、その他の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912、信号線、ケーブル、あるいは、その他の伝送媒体により伝送される。
【0054】
本実施の形態の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜工程」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。即ち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。あるいは、「〜部」として説明するものは、ソフトウェアのみ、あるいは、素子、デバイス、基板、配線といったハードウェアのみで実現されていても構わない。あるいは、「〜部」として説明するものは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、あるいは、ソフトウェアとハードウェアとファームウェ
アとの組み合わせで実現されていても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、フレキシブルディスク、コンパクトディスク、磁気ディスク、光ディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。即ち、プログラムは、本実施の形態の説明で述べる「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、プログラムは、本実施の形態の説明で述べる「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0055】
図3は、運行管理支援システム100の動作(本実施の形態に係る運行管理支援方法、本実施の形態に係るプログラムの処理手順)の一例を示すフローチャートである。
【0056】
図3のステップS101において、運行管理支援システム100は、外部の複数の業務システムから最新情報を取得する。以下、ステップS101の詳細について説明する。
【0057】
図4は、入力部102への入力データ及びデータベース101のデータ構造の一例を示す図である。
【0058】
図4において、便情報201、フライトプラン情報202、GH情報203、クルー勤務情報204、CA勤務情報205、旅客情報206、貨物情報207は、運行管理支援システム100に接続された複数の業務システムの各々で個別に管理されている情報である。便情報201は、後述する運航基準日、便番号、発着空港、機体、実績時刻、実績時間等を示す情報である。フライトプラン情報202は、後述する運航基準日、便番号、発着空港、機体、計画時刻、標準時間、計画時間、対策時間等を示す情報である。GH情報203は、各便に対して地上で行われる作業(機体の整備等)であるGH(グランドハンドリング)の進行状況等を示す情報である。クルー勤務情報204は、各便に乗務するクルーを示す情報である。CA勤務情報205は、各便に乗務するCA(又はCAのグループ)を示す情報である。旅客情報206は、各便に搭乗する旅客(乗客)を示す情報である。貨物情報207は、各便で輸送される貨物(荷物)を示す情報である。
【0059】
ステップS101では、まず、入力部102が、各業務システムから、便情報201、フライトプラン情報202、GH情報203、クルー勤務情報204、CA勤務情報205、旅客情報206、貨物情報207の最新情報を入力装置193により取得する(最新情報の入力を受け付ける)。便情報201、フライトプラン情報202、GH情報203、クルー勤務情報204、CA勤務情報205、旅客情報206、貨物情報207の最新情報は、更新情報113の一例である。
【0060】
ステップS101では、次に、入力部102が、各業務システムから取得した最新情報に基づいて、便情報111とコネクション情報112とを処理装置191により作成する。
【0061】
具体的には、入力部102は、便情報201、フライトプラン情報202、GH情報203の最新情報から、各便に対応する便情報111を生成する。便情報111は、図4に示したように、例えば、運航基準日、便番号、発着空港、機体、計画時刻、実績時刻、見込み時刻、予測時刻、乗員情報、旅客情報、貨物情報、運用制約を示す情報である。運航基準日は、対応する便が運行される日付である。便番号は、対応する便を一意に識別するための番号である。発着空港は、対応する便の出発空港及び到着空港である。機体は、対応する便で利用される機材である。計画時刻は、対応する便の出発及び到着の計画時刻(予定時刻)である。実績時刻は、対応する便の出発及び到着の実績時刻(実際の時刻)である。見込み時刻は、対応する便の到着の見込み時刻であり、例えば、対応する便が着陸前であれば、その便の出発の実績時刻に、飛行計画時間、あるいは、最新のフライトプラン(天候や空港の混雑状況等を考慮したプラン)により見込まれる飛行時間(運行時間)
を加算して求められる。また、見込み時刻は、例えば、対応する便が着陸済であるがスポット(空港の駐機場所)に入っていない状態であれば、その便の着陸した時刻に、最新のスポットの混雑状況等から見込まれるスポットへの誘導の時間を加算して求められる。予測時刻は、対応する便の出発及び到着の予測時刻であり、後述するステップS103において遅延伝播予測により算出される。乗員情報は、対応する便に乗務するクルーやCAに関する情報である。旅客情報は、対応する便に搭乗する乗客に関する情報である。貨物情報は、対応する便に搭載される貨物に関する情報である。運用制約は、空港の利用時の制約等である。なお、予測時刻は後述するステップS103で、実績時刻は対応する便の発着時に入力される。また、出発空港や機体は対応する便の出発前の時点では計画段階のものであり、出発時に変更があれば更新される。同様に、到着空港は対応する便の到着前の時点では計画段階のものであり、到着時に変更があれば更新される。
【0062】
入力部102は、便情報201、フライトプラン情報202、GH情報203、クルー勤務情報204、CA勤務情報205、旅客情報206、貨物情報207の最新情報と、生成した便情報111とから、各コネクションに対応するコネクション情報112を生成する。コネクション情報112は、図4に示したように、例えば便情報111(実際には、その便情報111を識別する情報)を含むほか、前便、コネクション種別、標準時間、計画時間、実績時間、見込み時間、予測時間、対策時間を示す情報である。便情報111は、対応するコネクションの後便の便情報111である。前便は、対応するコネクションの前便の便番号である。コネクション種別は、対応するコネクションの引継要素の種別であり、例えば、機材、クルー、CA、乗客、貨物である。標準時間は、対応するコネクションの引継の標準時間である。計画時間は、対応するコネクションの引継の計画時間(予定時間)である。実績時間は、対応するコネクションの実績時間(実際の時間)であり、後便の出発時に入力される。見込み時間は、対応するコネクションの引継の見込み時間であり、GHの進行状況等から所定の方法で算出される。予測時間は、対応するコネクションの引継の予測時間であり、後述するステップS103において遅延伝播予測により自動的に入力される。対策時間は、対応するコネクションの引継の短縮された時間であり、手動で入力される。
【0063】
ステップS101では、次に、データベース101が、入力部102により作成された便情報111とコネクション情報112とを記憶装置192により記憶する。なお、本実施の形態では、コネクション情報112が、後便の便情報111を含むとともに、前便の便番号を示す情報であるが、コネクション情報112は、後便の便情報111の代わりに前便の便情報111(実際には、その便情報111を識別する情報)を含むとともに、前便の便番号の代わりに後便の便番号を示す情報であってもよい。
【0064】
ステップS101では、入力部102が新たな便情報111やコネクション情報112を作成するだけでなく、入力部102が既にデータベース101に記憶されている便情報111やコネクション情報112を更新する場合もある。例えば、ある便の到着後に、入力部102が実績時刻、実績時間等を示す最新の便情報201を取得することが考えられる。また、例えば、ある便の機材や出発及び到着の計画時刻に変更があり、入力部102が変更後のフライトプラン情報202を取得することが考えられる。こういった場合、入力部102は、各業務システムから取得した最新情報に基づいて、データベース101に既に記憶されている便情報111やコネクション情報112を適宜更新する。
【0065】
本例では、各コネクションについて生成されたコネクション情報112がデータベース101で管理される。つまり、データベース101がコネクション指向データベースとして機能する。
【0066】
図3のステップS102において、運行管理支援システム100は、コネクションダイ
アグラムを生成する。コネクションダイアグラムは、所定の期間において運行される便を図形(例えば、矩形)で表し、便同士をつなぐコネクションを線(例えば、直線)で表した図である。ここでは、コネクションダイアグラムが、所定の期間として、ある1日に運行される全ての便を表すものとするが、コネクションダイアグラムは、複数時間、複数日、あるいは、その他の期間において運行される便を表すものであってもよい。以下、ステップS102の詳細について説明する。
【0067】
ステップS102では、出力部105が、データベース101に記憶された便情報111とコネクション情報112とに基づいて、コネクションダイアグラムを処理装置191により生成し、出力装置194により画面表示する。
【0068】
図5は、コネクションダイアグラムの一例を示す図である。
【0069】
図5において、矩形のブロックは、便を表し、ブロック内の「第○便」の「○」は、便番号を表す。また、矢印の線は、コネクションを表し、線に付加された「Ship」(機材)、「Crew」(クルー)、「CA」、「PAX」(乗客)、「Cargo」(貨物)は、コネクション種別を表す。各種別のコネクションでは、前便の到着から後便の出発までに以下の業務(作業)が必要となる。
(1)「Ship」:前便の到着から後便の出発までの同一機材のGH。初便(機材が1日で最初に利用される便)の場合は前日の終便(同一機材が1日で最後に利用される便)の到着から初便の出発までのGHをコネクションとして扱ってもよい。
(2)「Crew」:前便から後便へのクルーの乗り継ぎ。前便の到着後の業務、スポット間の移動(機材が異なる場合)、後便の出発前の業務等が含まれる。
(3)「CA」:前便から後便へのCAの乗り継ぎ。前便の到着後の業務、スポット間の移動(機材が異なる場合)、後便の出発前の業務等が含まれる。
(4)「PAX」:前便から後便への乗客の乗り継ぎ。前便からの降機、スポット間の移動(機材が異なる場合)、後便への搭乗等が含まれる。
(5)「Cargo」:前便から後便への貨物の載せ替え。前便からの取り降ろし、スポット間の移送(機材が異なる場合)、後便への積み込み等が含まれる。
【0070】
なお、ここでは、ブロックアウト(機体がスポットから出ること)を便の出発、ブロックイン(機体がスポットに入ること)を便の到着として扱っているが、例えば、テイクオフ(機体が離陸すること)を便の出発として扱ったり、ランディング(機体が着陸すること)を便の到着として扱ったりしてもよい。
【0071】
図5の例では、データベース101が、それぞれ便番号「11」、「12」、「13」、「21」、「22」、「23」、「31」、「32」、「33」、「41」、「42」を示すとともに、共通の運航基準日「2011年8月1日」を示す便情報111を記憶しているものとする。
【0072】
このため、図5のコネクションダイアグラムでは、2011年8月1日において第11便、第12便、第13便、第21便、第22便、第23便、第31便、第32便、第33便、第41便、第42便が運行されることが示されている。いつの日を対象とするコネクションダイアグラムを出力部105が生成するかは、例えば、入力部102が日付の入力操作をユーザから受け付けることで決めてもよいし、当日を出力部105が自動的に選択することで決めてもよい。
【0073】
また、図5の例では、データベース101が、運航基準日「2011年8月1日」、便番号「12」を示す便情報111を含み、前便「11」、コネクション種別「Ship」を示すコネクション情報112を記憶しているものとする。また、データベース101が
、このコネクション情報112と便情報111、前便が同じで、コネクション種別「Crew」を示すコネクション情報112を記憶しているものとする。また、データベース101が、運航基準日「2011年8月1日」、便番号「22」を示す便情報111を含み、前便「11」、コネクション種別「CA」を示すコネクション情報112を記憶しているものとする。
【0074】
このため、図5のコネクションダイアグラムでは、第11便を前便とし、第12便を後便とする「Ship」及び「Crew」の2つのコネクションがあること、第11便を前便とし、第22便を後便とする「CA」のコネクションがあることが示されている。他のコネクションについても同様である。
【0075】
図3のステップS103において、運行管理支援システム100は、遅延伝播予測(PERT計算)を行う。以下、ステップS103の詳細について説明する。
【0076】
ステップS103では、まず、予測部103が、予測計算の不要な箇所(便)を処理装置191により特定する。ブロックインに関して、実績値(到着の実績時刻)がある便、もしくは、見込み値(到着の見込み時刻)がある便については、その値をそのまま使用するものとし、予測計算対象から除外する。また、前便がなく(初便であり)、ブロックアウトに関して、実績値がない便については、計画値(到着の計画時刻)をそのまま使用するものとし、予測計算対象から除外する。
【0077】
ステップS103では、次に、予測部103が、特定した予測計算の必要な箇所(便)について、前便のブロックイン時刻(到着の実績時刻、実績時刻がなければ見込み時刻、見込み時刻がなければ予測時刻、初便であれば計画時刻)とコネクションの所要時間(計画時間、計画時間だと遅延が発生する場合は標準時間を下限として短縮された時間)から後便のブロックアウト時刻(出発の予測時刻)を処理装置191により計算する。そして、予測部103が、計算した後便のブロックアウト時刻をデータベース101の便情報111に書き込む。
【0078】
コネクションには作業をするための標準時間が定義されており、計画通りの所要時間(計画時間)を使用すると後便の出発が遅延する場合は、予測部103が、所要時間を標準時間まで自動で短縮させて使用する。なお、常に標準時間まで短縮しても構わないが、前述したように、予測計算したブロックアウト時刻は計画時刻より前倒しにはしないほうが望ましい。即ち、コネクションに設定する時間(予測時間)は、標準時間以上、計画時間以下の範囲内で、後便に遅延が発生しない最長の時間であることが望ましい。
【0079】
図5の例では、データベース101が、運航基準日「2011年8月1日」、便番号「41」、到着の計画時刻「9:00」、到着の実績時刻「9:15」を示す便情報111を記憶しているものとする。また、データベース101が、運航基準日「2011年8月1日」、便番号「42」、出発の計画時刻「10:00」、到着の計画時刻「11:00」、出発の実績時刻「なし」を示す便情報111を含み、前便「41」、コネクション種別「Cargo」、標準時間「40分」、計画時間「60分」を示すコネクション情報112を記憶しているものとする。
【0080】
このため、予測部103は、実際に運行された第41便が前便であり、かつ、まだ運行されていない第42便が後便である「Cargo」のコネクションを抽出する。このコネクションでは、前便の到着が15分遅れているので、貨物の引継にかかる時間が計画時間のままだと、後便の出発も15分遅れてしまう。よって、予測部103は、前述した条件(a)〜(c)を満たす時間「45分」を前便の到着の実績時刻「9:15」に加算した「10:00」を後便の出発の予測時刻とする。即ち、予測部103は、引継にかかる時
間が45分に短縮されることを前提に、第42便が定刻通り出発すると予測する。
【0081】
さらに、予測部103は、データベース101に記憶された、運航基準日「2011年8月1日」、便番号「42」を示す便情報111に、出発の予測時刻「10:00」を書き込む。また、予測部103は、データベース101に記憶された、この便情報111を含み、前便「41」、コネクション種別「Cargo」を示すコネクション情報112に、予測時間「45分」を書き込む。
【0082】
前述したように、同じ前便から同じ後便へのコネクションが複数存在する場合は、予測部103が、コネクションの所要時間が最長のものを選択し、後便のブロックアウト時刻を計算する。つまり、予測部103が、コネクション種別ごとに後便の出発の予測時刻を求め(コネクションの所要時間を比較すれば実際に予測時刻を求める必要はないが、実質的には予測時刻を求めているのと同等である)、求めた出発の予測時刻のうち最も遅い時刻を選択する。
【0083】
図5の例では、データベース101が、運航基準日「2011年8月1日」、便番号「31」、到着の計画時刻「9:00」、到着の実績時刻「9:15」を示す便情報111を記憶しているものとする。また、データベース101が、運航基準日「2011年8月1日」、便番号「32」、出発の計画時刻「10:00」、到着の計画時刻「11:00」、出発の実績時刻「なし」を示す便情報111を含み、前便「31」、コネクション種別「Ship」、標準時間「50分」、計画時間「60分」を示すコネクション情報112を記憶しているものとする。また、データベース101が、このコネクション情報112と便情報111、前便、計画時間が同じで、コネクション種別「Crew」、標準時間「30分」を示すコネクション情報112を記憶しているものとする。また、データベース101が、このコネクション情報112と便情報111、前便、計画時間が同じで、コネクション種別「CA」、標準時間「40分」を示すコネクション情報112を記憶しているものとする。
【0084】
このため、予測部103は、実際に運行された第31便が前便であり、かつ、まだ運行されていない第32便が後便である「Ship」、「Crew」、「CA」の3つのコネクションを抽出する。これらのコネクションでは、前便の到着が15分遅れているので、機材、クルー、CAの引継にかかる時間が計画時間のままだと、後便の出発も15分遅れてしまう。このとき、前述した条件(a)〜(c)を満たす時間は、「Ship」、「Crew」、「CA」のコネクションの順に、「50分」、「45分」、「45分」となる。よって、予測部103は、これらの時間を前便の到着の実績時刻「9:15」に加算した「10:05」、「10:00」、「10:00」を後便の出発の予測時刻の候補とする。そして、予測部103は、これらの候補のうち、最も遅い時刻である「10:05」を後便の出発の予測時刻とする。即ち、予測部103は、引継にかかる時間が50分に短縮されることを前提に、第32便が5分遅れで出発すると予測する。
【0085】
さらに、予測部103は、データベース101に記憶された、運航基準日「2011年8月1日」、便番号「32」を示す便情報111に、出発の予測時刻「10:05」を書き込む。また、予測部103は、データベース101に記憶された、この便情報111を含み、共通の前便「31」を示し、それぞれコネクション種別「Ship」、「Crew」、「CA」を示すコネクション情報112に、予測時間「50分」を書き込む。
【0086】
前述したように、後便へのコネクションは、ある1便からのものだけではなく、複数の便からのものが存在することもある。そのような場合、予測部103が、前便のブロックイン時刻にコネクションの所要時間を加算した時刻の中から最遅のものを選択し、後便のブロックアウト時刻とする。つまり、予測部103が、前便ごとに後便の出発の予測時刻
を求め、求めた出発の予測時刻のうち最も遅い時刻を選択する。
【0087】
図5の例では、データベース101が、運航基準日「2011年8月1日」、便番号「11」、到着の計画時刻「9:00」、到着の実績時刻「9:15」を示す便情報111を記憶しているものとする。また、データベース101が、運航基準日「2011年8月1日」、便番号「21」、到着の計画時刻「8:45」、到着の実績時刻「9:30」を示す便情報111を記憶しているものとする。また、データベース101が、運航基準日「2011年8月1日」、便番号「22」、出発の計画時刻「10:00」、到着の計画時刻「11:00」、出発の実績時刻「なし」を示す便情報111を含み、前便「11」、コネクション種別「CA」、標準時間「40分」、計画時間「60分」を示すコネクション情報112を記憶しているものとする。また、データベース101が、このコネクション情報112と便情報111が同じで、前便「21」、コネクション種別「Ship」、標準時間「50分」、計画時間「75分」を示すコネクション情報112を記憶しているものとする。また、データベース101が、このコネクション情報112と便情報111が同じで、前便「21」、コネクション種別「Crew」、標準時間「30分」、計画時間「75分」を示すコネクション情報112を記憶しているものとする。
【0088】
このため、予測部103は、実際に運行された第11便が前便であり、かつ、まだ運行されていない第22便が後便である「CA」のコネクションと、実際に運行された第21便が前便であり、かつ、まだ運行されていない第22便が後便である「Ship」及び「Crew」の2つのコネクションとを抽出する。第11便と第22便とをつなぐ「CA」のコネクションでは、前便の到着が15分遅れているので、CAの引継にかかる時間が計画時間のままだと、後便の出発も15分遅れてしまう。このとき、前述した条件(a)〜(c)を満たす時間は、「45分」となる。よって、予測部103は、この時間を前便の到着の実績時刻「9:15」に加算した「10:00」を後便の出発の予測時刻の候補とする。また、第21便と第22便とをつなぐ「Ship」及び「Crew」のコネクションでは、前便の到着が45分遅れているので、機材及びクルーの引継にかかる時間が計画時間のままだと、後便の出発も45分遅れてしまう。このとき、前述した条件(a)〜(c)を満たす時間は、「Ship」、「Crew」のコネクションの順に、「50分」、「30分」となる。よって、予測部103は、これらの時間を前便の到着の実績時刻「9:30」に加算した「10:20」、「10:00」を後便の出発の予測時刻の候補とする。そして、予測部103は、3つの候補のうち、最も遅い時刻である「10:20」を後便の出発の予測時刻とする。この場合、第11便と第22便とをつなぐ「CA」のコネクションでは、引継にかかる時間を短縮しなくても、後便が予測時刻通りに出発できるため、予測部103は、時間の短縮が不要であると判断する(時間の短縮が必要であっても、後便が予測時刻通りに出発できる必要最低限の短縮にとどめることが望ましい)。即ち、予測部103は、第11便から第22便への引継にかかる時間は短縮されず、第21便から第22便への引継にかかる時間が50分に短縮されることを前提に、第22便が20分遅れで出発すると予測する。
【0089】
さらに、予測部103は、データベース101に記憶された、運航基準日「2011年8月1日」、便番号「22」を示す便情報111に、出発の予測時刻「10:20」を書き込む。また、予測部103は、データベース101に記憶された、この便情報111を含み、共通の前便「21」を示し、それぞれコネクション種別「Ship」、「Crew」を示すコネクション情報112に、予測時間「50分」を書き込む。なお、予測部103は、データベース101に記憶された、この便情報111を含み、前便「11」、コネクション種別「CA」を示すコネクション情報112に、前便の到着の実績時刻と後便の出発の予測時刻との差分に相当する予測時間「65分」を書き込んでもよいし、計画時間と同じ予測時間「60分」を書き込んでもよいし、予測時間の書き込みを省略してもよい。
【0090】
ステップS103では、次に、予測部103が、予測計算した後便のブロックアウト時刻に、飛行計画時間、あるいは、最新のフライトプラン(天候や空港の混雑状況等を考慮したプラン)により見込まれる飛行時間(運行時間)を加算し、後便のブロックイン時刻(到着の予測時刻)を処理装置191により求める。そして、予測部103が、求めた後便のブロックイン時刻をデータベース101の便情報111に書き込む。
【0091】
図5の例では、前述したように、データベース101が、運航基準日「2011年8月1日」、便番号「42」、出発の予測時刻「10:00」を示す便情報111を記憶することになる。また、データベース101が、運航基準日「2011年8月1日」、便番号「32」、出発の予測時刻「10:05」を示す便情報111を記憶することになる。また、データベース101が、運航基準日「2011年8月1日」、便番号「22」、出発の予測時刻「10:20」を示す便情報111を記憶することになる。
【0092】
このため、予測部103は、第42便の出発の計画時刻「10:00」と到着の計画時刻「11:00」との差分「60分」を第42便の出発の予測時刻「10:00」に加算した「11:00」を第42便の到着の予測時刻とする。即ち、予測部103は、第42便が定刻通り到着すると予測する。また、予測部103は、第32便の出発の計画時刻「10:00」と到着の計画時刻「11:00」との差分「60分」を第32便の出発の予測時刻「10:05」に加算した「11:05」を第32便の到着の予測時刻とする。即ち、予測部103は、第32便が5分遅れで到着すると予測する。また、予測部103は、第22便の出発の計画時刻「10:00」と到着の計画時刻「11:00」との差分「60分」を第22便の出発の予測時刻「10:20」に加算した「11:20」を第22便の到着の予測時刻とする。即ち、予測部103は、第22便が20分遅れで到着すると予測する。なお、前述したように、予測部103は、後便の到着時刻を予測する際に、後便の出発から到着までにかかる時間(例えば、飛行時間)の短縮が見込める場合は、その時間を短縮した場合の時刻(例えば、最新のフライトプランにより見込まれる飛行時間を織り込んで予測される時刻)を後便の到着の予測時刻としてもよい。
【0093】
さらに、予測部103は、データベース101に記憶された、運航基準日「2011年8月1日」、便番号「42」を示す便情報111に、到着の予測時刻「11:00」を書き込む。また、予測部103は、データベース101に記憶された、運航基準日「2011年8月1日」、便番号「32」を示す便情報111に、到着の予測時刻「11:05」を書き込む。また、予測部103は、データベース101に記憶された、運航基準日「2011年8月1日」、便番号「22」を示す便情報111に、到着の予測時刻「11:20」を書き込む。
【0094】
上記のように、データベース101が第11便、第21便、第31便、第41便の到着の実績時刻を記憶している場合、予測部103は、まず、これらの便のみとコネクションがつながっている第22便、第32便、第42便の出発及び到着の予測時刻を求めることができる。具体例の記載は省略するが、予測部103は、第11便のみとコネクションがつながっている第12便の出発及び到着の予測時刻も求めることができる。その結果、データベース101が第12便、第22便、第32便、第42便の到着の予測時刻を記憶することになるため、予測部103は、次に、これらの便のみとコネクションがつながっている第13便、第23便、第33便の出発及び到着の予測時刻を求めることができる。
【0095】
なお、予測部103が、どのような順番で各便の出発及び到着の予測時刻を求めるかは、任意である。
【0096】
例えば、予測部103は、次のような手順で遅延伝播予測計算を行うことができる。ま
ず、予測部103は、到着の実績時刻又は見込み時刻(実績時刻と同等にみなしてよい)がある便や初便、即ち、予測計算対象から除外された便の集合をO(初期集合)とする。そして、予測部103は、集合Oに含まれる便のみとコネクションがつながっている便の出発及び到着の予測時刻を全て求める。この時点で予測時刻が求められた便の集合をXとする。次に、予測部103は、集合Oと集合Xとの和集合に含まれる便のみとコネクションがつながっている便の出発及び到着の予測時刻を全て求める。この時点で予測時刻が求められた便の集合をYとする。次に、予測部103は、集合Oと集合Xと集合Yとの和集合に含まれる便のみとコネクションがつながっている便の出発及び到着の予測時刻を全て求める。この時点で予測時刻が求められた便の集合をZとする。次に、予測部103は、集合Oと集合Xと集合Yと集合Zとの和集合に含まれる便のみとコネクションがつながっている便の出発及び到着の予測時刻を全て求める。以降、予測部103は、同様に予測計算を行う。
【0097】
上記の手順で、予測部103が、予測計算の必要な全便に対して、ブロックアウト時刻、ブロックイン時刻を求める。このようにして求められたブロックアウト時刻、ブロックイン時刻、及び、最初に予測部103が除外した実績値又は見込み値をもつ便等のブロックアウト時刻、ブロックイン時刻が、最終的な遅延伝播予測計算の結果となる。
【0098】
図3のステップS104において、運行管理支援システム100は、ディレイクラスタを検出する(クラスタリング計算を行う)。以下、ステップS104の詳細について説明する。
【0099】
ステップS104では、まず、判定部104が、遅延伝播予測計算の結果を基に、ディレイクラスタを処理装置191により検出する。
【0100】
具体的には、判定部104は、ステップS103で予測対象となった便、即ち、ブロックインに予測値がある便について、ブロックインの予測時刻と計画時刻の差異(計画時刻からの遅延)をチェックするとともに、ブロックアウトにも予測値がある便であれば、ブロックアウトの予測時刻と計画時刻の差異(計画時刻からの遅延)をチェックする。
【0101】
判定部104は、前便であるA便と後便であるB便との間にコネクションがあり、A便の到着とB便の出発がともに遅延している場合、遅延に依存関係があるとみなし、A便とB便は同一集合に属すると判断する。判定部104は、A便とB便が同一集合に属し、B便とC便が同一集合に属する場合、A便とC便は同一集合に属すると判断する。なお、判定部104は、前便であるA便と後便であるB便との間にコネクションがあり、A便の到着とB便の出発がともに遅延している場合でも、B便のブロックアウトに実績値があれば、A便を対象から除外してよい。即ち、判定部104は、後便が出発済(例えば、飛行中)である場合、その前便を対象から除外してもよい。ただし、判定部104は、後便が複数ある前便については、全ての後便が出発済(例えば、飛行中)である場合のみ、その前便を対象から除外するものとする。例えば、判定部104は、前便であるA便と後便であるB便との間だけでなく、前便であるA便と後便であるD便との間にもコネクションがあり、A便の到着とB便及びD便の出発がともに遅延している場合において、B便のブロックアウトに実績値があっても、D便のブロックアウトに実績値がなければ、A便を対象から除外しない。一方、B便とD便との両方のブロックアウトに実績値があれば、A便を対象から除外してよい。
【0102】
判定部104は、上記のチェックをその日の最終便まで実施した結果、求められた集合をディレイクラスタとする。なお、判定部104は、集合Mに属する便と、集合Nに属する便の間に、前便の到着が遅延し、かつ、後便の出発が遅延しているコネクションが1個も存在しない場合、集合Mと集合Nは異なるディレイクラスタであると判断する。
【0103】
図6は、図5の例におけるディレイクラスタの一例を示す図である。
【0104】
図6において、点線で囲まれた範囲は、ディレイクラスタを表す。各便を表すブロックの左上には出発の実績時刻又は予測時刻、その上には出発の計画時刻(括弧内)が示されている。各便を表すブロックの右上には到着の実績時刻又は予測時刻、その上には到着の計画時刻(括弧内)が示されている。前述したように、ここでは、第11便、第21便、第31便、第41便が到着済であり、その他の便が出発前であるとする。
【0105】
到着済の便には、以下のように遅延が発生しているとする。
(1)第11便:到着の実績時刻が計画時刻「9:00」より15分遅い「9:15」になっている。
(2)第21便:到着の実績時刻が計画時刻「8:45」より45分遅い「9:30」になっている。
(3)第31便:到着の実績時刻が計画時刻「9:00」より15分遅い「9:15」になっている。
(4)第41便:到着の実績時刻が計画時刻「9:00」より15分遅い「9:15」になっている。
【0106】
ステップS103の遅延伝播予測計算により、出発前の便の出発及び到着の予測時刻は、以下のように求められているとする。
(5)第12便:第11便からの全てのコネクションにおいて計画時間「70分」が「55分」まで短縮されたことにより、出発の予測時刻が計画時刻と同じ「10:10」になっている(第11便の遅延の影響が及ばない)。また、到着の予測時刻が計画時刻と同じ「11:10」になっている。
(6)第13便:第12便からの全てのコネクションにおいて計画時間「110分」の短縮を必要とすることなく、出発の予測時刻が計画時刻と同じ「13:00」になっている。また、到着の予測時刻が計画時刻と同じ「14:00」になっている。
(7)第22便:第11便からのコネクションにおいて計画時間「60分」がどんなに短縮されても、第21便からの「Ship」のコネクションにおいて計画時間「75分」が「50分」までしか短縮できないため、出発の予測時刻が計画時刻「10:00」より20分遅い「10:20」になっている(第11便と第21便の遅延の影響により出発に遅延が発生する)。また、到着の予測時刻が計画時刻「11:00」より20分遅い「11:20」になっている(少なくとも第21便の遅延の影響により到着にも遅延が発生する)。
(8)第23便:第22便からの「Ship」のコネクションにおいて計画時間「60分」が「50分」までしか短縮できないため、出発の予測時刻が計画時刻「12:00」より10分遅い「12:10」になっている(第22便の遅延の影響により出発に遅延が発生する)。また、到着の予測時刻が計画時刻「13:00」より10分遅い「13:10」になっている(第22便の遅延の影響により到着にも遅延が発生する)。
(9)第32便:第31便からの「Ship」のコネクションにおいて計画時間「60分」が「50分」までしか短縮できないため、出発の予測時刻が計画時刻「10:00」より5分遅い「10:05」になっている(第31便の遅延の影響により出発に遅延が発生する)。また、到着の予測時刻が計画時刻「11:00」より5分遅い「11:05」になっている(第31便の遅延の影響により到着にも遅延が発生する)。
(10)第33便:第32便からの全てのコネクションにおいて計画時間「90分」が「85分」まで短縮されたことにより、出発の予測時刻が計画時刻と同じ「12:30」になっている(第32便の遅延の影響が及ばない)。また、到着の予測時刻が計画時刻と同じ「14:00」になっている。
(11)第42便:第41便からのコネクションにおいて計画時間「60分」が「45分
」まで短縮されたことにより、出発の予測時刻が計画時刻と同じ「10:00」になっている(第41便の遅延の影響が及ばない)。また、到着の予測時刻が計画時刻と同じ「11:00」になっている。
【0107】
上記の遅延伝播予測計算の結果から、判定部104は、前便の到着の実績時刻又は予測時刻が前便の到着の計画時刻より遅れており、かつ、後便の出発の予測時刻が後便の出発の計画時刻より遅れているコネクションを抽出する。具体的には、判定部104は、第11便から第22便へのコネクション、第21便から第22便へのコネクション、第22便から第23便へのコネクション、第31便から第32便へのコネクションを抽出する。そして、判定部104は、抽出したコネクションの前便又は後便である第11便、第21便、第22便、第23便、第31便、第32便のグループ分けを、前述した所定の判定基準に基づいて行う。即ち、判定部104は、引継が行われる便同士が同じディレイクラスタに属し、かつ、それぞれの便が1つのディレイクラスタのみに属するように、第11便、第21便、第22便、第23便、第31便、第32便のグループ分けを行う。その結果、判定部104は、第11便、第21便、第22便、第23便で構成されるディレイクラスタC1を検出する。また、判定部104は、第31便、第32便で構成されるディレイクラスタC2を検出する。つまり、判定部104は、第11便と第21便の遅延の影響により第22便に遅延が発生し、この遅延の影響により第23便に遅延が発生すると判断する。また、判定部104は、第31便の遅延の影響により第32便に遅延が発生すると判断する。
【0108】
なお、上記の例では、全てのコネクションにおいて、後便の出発の計画時刻と前便の到着の計画時刻との差分を計画時間(即ち、計画時間=後便の出発の計画時刻−前便の到着の計画時刻)としたが、コネクションごとに、個別の計画時間が設定されても構わない。
【0109】
また、上記の例では、判定部104がコネクションを抽出する際に、前便の到着の実績時刻又は予測時刻が前便の到着の計画時刻より遅れているかどうかを基準の1つとしているが、前便の別の運行時刻が計画時刻より遅れているかどうかを基準にしてもよい。同様に、上記の例では、判定部104がコネクションを抽出する際に、後便の出発の予測時刻が後便の出発の計画時刻より遅れているかどうかを基準の1つとしているが、後便の別の運行時刻が計画時刻より遅れているかどうかを基準にしてもよい。例えば、判定部104は、前便の到着の実績時刻又は予測時刻が前便の到着の計画時刻より遅れており、かつ、後便の到着の予測時刻が後便の到着の計画時刻より遅れているコネクションを抽出してもよい。あるいは、判定部104は、前便の出発の実績時刻又は予測時刻が前便の出発の計画時刻より遅れており、かつ、後便の出発の予測時刻が後便の出発の計画時刻より遅れているコネクションを抽出してもよい。
【0110】
ステップS104では、次に、出力部105が、遅延伝播ダイアグラムを処理装置191により作成し、出力装置194により画面表示する。
【0111】
具体的には、出力部105は、判定部104により検出されたディレイクラスタのリストを生成して表示する。このとき、例えば、出力部105は、以下のような基準でディレイクラスタを優先順位付けする。
(1)コネクション情報112(便情報111)の旅客情報や貨物情報に基づき、乗り継ぎ旅客が多い、重要な貨物を搭載しているといった業務上重要な便を特定し、重要な便の数が多いディレイクラスタほど、優先度を高く設定する。
(2)コネクション情報112(便情報111)の運用制約に基づき、滑走路使用制限や着陸時刻制限といった運用制限に抵触する便の数が多いディレイクラスタほど、優先度を高く設定する。
(3)実際の遅延発生までの猶予時間(ディレイクラスタに含まれる便のうち、遅延が発
生する予測時刻が最も早い便の予測時刻と現在時刻との差)が短いディレイクラスタほど、優先度を高く設定する。
(4)便の総数が多いディレイクラスタほど、優先度を高く設定する。
(5)平均遅延時間、最大遅延時間が長いディレイクラスタほど、優先度を高く設定する。
【0112】
図7は、図6の例におけるディレイクラスタのリストの一例を示す図である。
【0113】
図7において、ディレイクラスタのリストは、ディレイクラスタ、優先順位、便、出発の遅延、到着の遅延といった項目(カラム)で構成されている。ディレイクラスタの項目には、ディレイクラスタの識別子が表示される。優先順位の項目には、対応するディレイクラスタに対して出力部105が決定した優先順位が表示される。便の項目には、対応するディレイクラスタを構成する便の便番号が表示される。出発の遅延の項目には、対応する便の出発の遅延時間が表示される。到着の遅延の項目には、対応する便の到着の遅延時間が表示される。
【0114】
出力部105は、最初にディレイクラスタのリストを表示する際は、ディレイクラスタのリストをディレイクラスタごとにグループ化し、さらに優先順位の項目でソートして表示する。入力部102は、どの項目でソートするかを指定する操作をユーザから受け付けてもよい。この場合、出力部105は、必要に応じてディレイクラスタごとのグループ化を解除した上で、ディレイクラスタのリストをユーザが指定した項目でソートして表示する。
【0115】
入力部102は、画面上でディレイクラスタのリストに含まれる1つのディレイクラスタを選択する操作をユーザから受け付ける。出力部105は、ユーザが選択したディレイクラスタの遅延伝播ダイアグラムを生成して表示する。
【0116】
なお、出力部105は、ディレイクラスタのリストを表示する代わりに、全てのディレイクラスタの遅延伝播ダイアグラムを生成して同じ画面内に表示してもよい(例えば、図6のようなダイアグラムを表示してもよい)。ただし、この場合、遅延伝播ダイアグラムの表示等の処理にかかる時間が相対的に長くなることや、各ディレイクラスタの遅延伝播ダイアグラムの見た目が相対的に小さくなることに留意する必要がある。
【0117】
図8は、図6の例における遅延伝播ダイアグラムの一例を示す図である。
【0118】
図8において、遅延伝播ダイアグラムD1は、図6のディレイクラスタC1に対応する。遅延伝播ダイアグラムD1は、遅延とその影響を一見して把握可能なように、ディレイクラスタC1の内容を図式表現するもので、例えば、以下の内容を表示する。
(1)便:コネクションダイアグラムと同様に、矩形のブロックで表される。ブロック内には便番号が表示される。ブロックの左上にはブロックアウト時刻(出発の実績時刻、実績時刻がなければ予測時刻、初便であれば計画時刻)が表示される。ブロックの右上にはブロックイン時刻(到着の実績時刻、実績時刻がなければ見込み時刻、見込み時刻がなければ予測時刻)が表示される。遅延すると影響の大きい業務上重要な便、滑走路使用制限や着陸時刻制限等、運用制限に抵触する便については、ブロックが強調表示される。図8では、第23便の到着の予測時刻が着陸時刻制限を過ぎているため、第23便が強調表示されている。
(2)コネクション:コネクションダイアグラムと同様に、矢印の線で表される。図8では、線にコネクション種別を表すラベルが付加されているが、必須ではない。線にコネクション種別を表す色が設定されていてもよいし、コネクションに設定された時間や遅延量に応じた太さが設定されてもよい。また、コネクションに設定された時間が計画時間、予
測部103により自動的に短縮された時間、ユーザにより手動で短縮された時間のいずれかであるかに応じて線の種類が設定されていてもよい。また、便間にコネクションが複数ある場合、1本の線へ集約されるようにしてもよい。複数の便から1つの便へつながるコネクションがある場合、それらのコネクションのうち、遅延に与える影響が大きいクリティカルコネクションは、強調表示されることが望ましい。クリティカルコネクションについては、後述する。
【0119】
その他にも、便指定操作(例えば、ブロックをマウス903でクリックする)による便情報111の詳細表示、コネクション指定操作(例えば、線をマウス903でクリックする)によるコネクション情報112の詳細表示、コネクションの対策(時間の短縮)が確定か否かの識別表示が行えるようにすることが望ましい。
【0120】
入力部102は、遅延伝播ダイアグラムに対してGUI(グラフィックユーザインタフェース)による情報入力を受け付ける。具体的には、入力部102は、コネクションを指定した対策の入力を受け付け、コネクションの対策の入力後、各業務システムから入力した最新情報を反映した遅延伝播ダイアグラムを更新表示し、対策の効果を把握できるようにする。
【0121】
例えば、図8の遅延伝播ダイアグラムD1において、ユーザが第21便から第22便への「Ship」のコネクションをマウス903により選択して、標準時間「50分」からさらに短縮した「40分」をキーボード902により入力すると、入力部102は、この入力を受け付けてデータベース101に記憶されたコネクション情報112の対策時間を「40分」に更新する。この場合、予測部103は、ディレイクラスタC1の範囲内でステップS103の遅延伝播予測の動作を再度行い、第23便に遅延が発生しないことを予測する。そして、出力部105は、その結果を反映した遅延伝播ダイアグラムD1’を作成して表示する。なお、予測部103が遅延伝播予測の動作を再度行った後、判定部104が、ステップS104のディレイクラスタの検出動作を再度行ってもよい。この場合、ディレイクラスタC1には、第23便が含まれなくなる。そして、出力部105は、その結果を反映した遅延伝播ダイアグラム(図示していない)を作成して表示する。
【0122】
ここでは、ユーザが標準時間をさらに短縮した時間を対策時間として入力しているが、ユーザが任意のコネクション(後便に遅延が発生していないコネクションでもよい)に対して任意の対策時間(標準時間以上の時間でもよい)を入力できるようにしてもよい。例えば、ユーザが任意のコネクションを選択して、任意の対策時間を入力すると、入力部102は、この入力を受け付けてデータベース101に記憶されたコネクション情報112の対策時間を、入力されたものに更新する。ステップS103において、予測部103は、対策時間が設定されたコネクションについては、計画時間や標準時間を使用せず、対策時間を使用して後便の運行時刻を予測する。即ち、予測部103は、予測計算の必要な箇所(便)について、前便のブロックイン時刻とコネクションの所要時間(対策時間、対策時間がなければ計画時間、計画時間だと遅延が発生する場合は標準時間を下限として短縮された時間)から後便のブロックアウト時刻(出発の予測時刻)を計算する。
【0123】
図9は、図6の例における遅延伝播ダイアグラムの別の一例を示す図である。
【0124】
図9において、遅延伝播ダイアグラムD1は、図8の遅延伝播ダイアグラムD1と同じものである。
【0125】
例えば、図9の遅延伝播ダイアグラムD1において、ユーザが第21便から第22便への「Ship」のコネクションをマウス903により選択して、このコネクションを切断すること及びスタンバイ中(予備)の機材を第22便に投入することをキーボード902
やマウス903により入力すると、入力部102は、この入力に応じてデータベース101に記憶されたコネクション情報112を更新する。例えば、入力部102は、運航基準日「2011年8月1日」、便番号「22」を示す便情報111を含み、前便「21」、コネクション種別「Ship」を示すコネクション情報112をデータベース101から削除する。この場合、予測部103は、ディレイクラスタC1の範囲内でステップS103の遅延伝播予測の動作を再度行い、第22便に遅延が発生せず、それによって第23便にも遅延が発生しないことを予測する。そして、出力部105は、その結果を反映した遅延伝播ダイアグラムD1”を作成して表示する。なお、予測部103が遅延伝播予測の動作を再度行った後、判定部104が、ステップS104のディレイクラスタの検出動作を再度行ってもよい。この場合、ディレイクラスタC1がなくなる。そして、出力部105は、例えば、その旨のメッセージ等を表示する。
【0126】
図3において、ステップS102〜S104は、一定時間ごと、即ち、定期的に実行されてもよいし、ステップS101が実行される度、即ち、入力部102が、各業務システムから、便情報201、フライトプラン情報202、GH情報203、クルー勤務情報204、CA勤務情報205、旅客情報206、貨物情報207の少なくともいずれか又はその一部の最新情報を取得してデータベース101を更新する度に実行されてもよい。ステップS103では、予測部103が、毎回遅延伝播予測をやり直す。ステップS104では、その遅延伝播予測の結果に基づいて、判定部104が、ディレイクラスタを検出し直す。これにより、ユーザは、ディレイクラスタの変遷(時間の経過とともに遅延の発生状況やその影響範囲が変わっていく様)を確認することができる。
【0127】
以上説明したように、本実施の形態では、公共交通機関のスケジュール管理において、あるイレギュラが影響する範囲を塊(ディレイクラスタ)として抽出することで、イレギュラ対策検討を効率化する。その手順は、以下の通りである。
(1)全てのつながりを一元管理したダイアグラムから、あるイレギュラに端を発するディレイクラスタを自動抽出し、画面表示する。
(2)それぞれのつながりにはダイヤ上の計画時間と最低限必要な標準時間がある(標準時間≦計画時間)。
(3)ディレイクラスタは、各つながりを標準時間に圧縮したとしてもなお定時通りにはならず影響を及ぼしてしまうもののみを抽出する。
(4)それを見ながら各担当者が協調してイレギュラ対策(復旧プラン)を画面上で手動設定して検討する。
(5)担当者が対策を入力すると、それに応じてディレイクラスタを再計算し管理していく。
【0128】
本実施の形態によれば、予想外の遅延拡大によるロスコストの低減や、定時性の向上が可能となる。また、本実施の形態によれば、コネクションを把握することで、遅延の影響の特定が確実かつ容易に行える。また、本実施の形態によれば、遅延の影響範囲をディレイクラスタとして抽出し、それぞれのコネクションに対するリスク情報を計算し、局所的ではなく、広範囲な視点で全体最適な対策を立案できる。また、本実施の形態によれば、航空会社でGHを管理する部門と、クルー、CA、旅客の乗り継ぎを管理する部門が別であっても、部門をまたがった対策検討が容易になる。
【0129】
なお、本実施の形態では、航空機の運行管理を運行管理支援システム100の支援対象としたが、引継要素(本実施の形態では、機材、乗客、乗員、貨物等)がある交通機関の運行管理であれば、鉄道、船舶、自動車等の運行管理であっても運行管理支援システム100の支援対象とすることができる。また、例えば、航空機と空港ビルに直結した鉄道との間には乗客、貨物等の引継要素があると考えられるが、このような複数の異なる交通機関の運行管理であっても纏めて運行管理支援システム100の支援対象とすることができ
る。
【0130】
また、本実施の形態では、データベース101が、既に運行された便については実績時刻を示す便情報111を記憶するが、データベース101が、まだ運行されていない便の一部について仮の実績時刻を示す便情報111を記憶してもよい。仮の実績時刻は、ユーザ等から与えられるシミュレーション用の時刻であり、実績時刻と同等に扱われる。この場合、予測部103による遅延伝播予測や判定部104によるディレイクラスタの検出のシミュレーションを行うことが可能となる。シミュレーション結果は、例えば、図7に示したディレイクラスタのリストや図8に示した遅延伝播ダイアグラムによって容易に確認することができる。
【0131】
また、本実施の形態では、データベース101が、運行時刻だけでなく、発着空港(出発及び到着の地点)を運行内容として示す便情報111を記憶するが、予測部103が、この情報を利用して後便の運行時刻を予測してもよい。この場合、予測部103は、実際に運行された便が前便であり、かつ、まだ運行されていない便が後便であるコネクションを抽出すると、前便の(実際の又は計画段階の)到着空港と後便の(計画段階の)出発空港とが同一の空港であるかどうかを確認する。前便の到着空港と後便の出発空港とが同一の空港であれば、予測部103は、前便の実績時刻から後便の運行時刻を予測する。一方、前便の到着空港と後便の出発空港とが同一の空港でなければ、予測部103は、後便の運行時刻を予測できないと判断する。あるいは、予測部103は、抽出したコネクションのコネクション種別が「Ship」、「Crew」、「CA」のみであれば、当該コネクションを切断し、スタンバイ中の機材、クルー、CAを後便に投入することを前提に、後便の計画時刻が後便の運行時刻になると予測する。このとき、予測部103は、当該コネクションに対応するコネクション情報112をデータベース101から削除してもよい。予測部103が後便の運行時刻を予測できないと判断した場合、出力部105は、その旨のメッセージ等を表示する。また、予測部103がスタンバイ中の機材、クルー、CAを後便に投入することを前提に後便の運行時刻を予測した場合、出力部105は、その旨の表示を遅延伝播ダイアグラムに追加する。これにより、飛行中の便の着陸空港が天候不良等の理由で変更になった場合に、その影響を受ける便を特定してユーザに通知したり、スタンバイ投入を考慮した上での遅延の影響を特定したりすることが可能となる。
【0132】
実施の形態2.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0133】
本実施の形態に係る運行管理支援システム100の構成は、図1に示した実施の形態1のものと同様である。
【0134】
本実施の形態では、判定部104によるディレイクラスタの検出動作が、実施の形態1のものと異なる。
【0135】
本実施の形態において、判定部104は、実施の形態1と同様に、データベース101に記憶された便情報111とコネクション情報112とを参照して、前便の実績時刻又は予測時刻が前便の計画時刻より遅れており、かつ、後便の予測時刻が後便の計画時刻より遅れているコネクションの集合を抽出する。そして、判定部104は、所定の判定基準として、引継が行われる便同士が同じディレイクラスタに属し、かつ、それぞれの便が1つのディレイクラスタのみに属するように、グループ分けを行う。このとき、本実施の形態では、判定部104が、抽出したコネクションの集合に後便が共通し、前便が異なる複数のコネクションが含まれる場合、クリティカルコネクションのみの便同士が同じディレイクラスタに属するように、グループ分けを行う。即ち、1つの後便に、前便が異なる複数のコネクションがつながっている場合、これらのコネクションの前便のうち、クリティカ
ルコネクションの前便のみが当該1つの後便と同じディレイクラスタに入る。クリティカルコネクションとは、後便が共通する複数のコネクションのうち、前便の運行時刻が前便の限界時刻から最も遅れているコネクションのことをいう。前便の限界時刻とは、後便を後便の計画時刻に運行するために前便を運行すべき時刻のことをいう。具体的には、あるコネクションにおいて、後便の出発の計画時刻から対策時間又は(対策時間がなければ)標準時間を減算した時刻が前便の限界時刻となる。
【0136】
なお、上記のように、後便が共通する複数のコネクションのうち、前便の運行時刻が前便の限界時刻から最も遅れているコネクションのみをクリティカルコネクションとする代わりに、前便の運行時刻が前便の限界時刻から所定の時間以上遅れているコネクション全てをクリティカルコネクションとして扱ってもよい。この場合、前便の運行時刻が前便の限界時刻から少しでも遅れているコネクション全てをクリティカルコネクションとしてもよいし、前便の運行時刻が前便の限界時刻から任意の時間(例えば、30分)以上遅れているコネクションのみをクリティカルコネクションとしてもよい。
【0137】
以下、運行管理支援システム100の動作(本実施の形態に係る運行管理支援方法、本実施の形態に係るプログラムの処理手順)の一例を、実施の形態1と同様に、図5の例を用いて説明する。
【0138】
図10は、図5の例におけるディレイクラスタの一例を示す図である。
【0139】
到着済の便に発生している遅延は、図6に示した実施の形態1の例と同じものとする。また、図3のステップS103の遅延伝播予測計算により求められている出発前の便の出発及び到着の予測時刻も、図6に示した実施の形態1の例と同じものとする。
【0140】
遅延伝播予測計算の結果から、判定部104は、前便の到着の実績時刻又は予測時刻が前便の到着の計画時刻より遅れており、かつ、後便の出発の予測時刻が後便の出発の計画時刻より遅れているコネクションの集合を抽出する。具体的には、判定部104は、第11便から第22便へのコネクション、第21便から第22便へのコネクション、第22便から第23便へのコネクション、第31便から第32便へのコネクションを抽出する。そして、判定部104は、引継が行われる便同士が同じディレイクラスタに属し、かつ、それぞれの便が1つのディレイクラスタのみに属するように、第11便、第21便、第22便、第23便、第31便、第32便のグループ分けを行う。ここでは、判定部104が抽出したコネクションのうち、第11便から第22便へのコネクション、第21便から第22便へのコネクションの後便が共通している。第11便から第22便へのコネクションでは、第22便の出発の計画時刻「10:00」から標準時間「40分」を減算した第11便の限界時刻「9:20」より、第11便の到着の実績時刻「9:15」のほうが5分早い。即ち、このコネクションでは、前便の運行時刻が前便の限界時刻から−5分遅れている。第21便から第22便への「Ship」のコネクションでは、第22便の出発の計画時刻「10:00」から標準時間「50分」を減算した第21便の限界時刻「9:10」より、第21便の到着の実績時刻「9:30」のほうが20分遅い。即ち、このコネクションでは、前便の運行時刻が前便の限界時刻から20分遅れている。第21便から第22便への「Crew」のコネクションでは、第22便の出発の計画時刻「10:00」から標準時間「30分」を減算した第21便の限界時刻「9:30」と、第21便の到着の実績時刻「9:30」が同じである。即ち、このコネクションでは、前便の運行時刻が前便の限界時刻から0分遅れている。よって、第11便から第22便へのコネクション、第21便から第22便へのコネクションのうち、前便の運行時刻が前便の限界時刻から最も遅れている、第21便から第22便への「Ship」のコネクションがクリティカルコネクションである。このため、判定部104は、第11便を含まず、第21便、第22便、第23便のみで構成されるディレイクラスタC1’を検出する。また、判定部104は、図
6に示した実施の形態1の例と同様に、第31便、第32便で構成されるディレイクラスタC2を検出する。
【0141】
図11は、図10の例におけるディレイクラスタのリストの一例を示す図である。
【0142】
図11において、ディレイクラスタのリストの構成は、図7に示した実施の形態1の例と同様である。
【0143】
図10及び図11を図6及び図7と対比すると、図6及び図7では、ディレイクラスタC1に第11便が含まれているのに対し、図10及び図11では、ディレイクラスタC1’に第11便が含まれていない。
【0144】
図12は、図10の例における遅延伝播ダイアグラムの一例を示す図である。
【0145】
図12において、遅延伝播ダイアグラムD1は、図10のディレイクラスタC1’に対応する。
【0146】
例えば、図12の遅延伝播ダイアグラムD1において、ユーザが第21便から第22便への「Ship」のコネクションをマウス903により選択して、標準時間「50分」からさらに短縮した「40分」をキーボード902により入力すると、入力部102は、この入力を受け付けてデータベース101に記憶されたコネクション情報112の対策時間を「40分」に更新する。この場合、予測部103は、ディレイクラスタC1’の範囲内でステップS103の遅延伝播予測の動作を再度行い、第23便に遅延が発生しないことを予測する。そして、出力部105は、その結果を反映した遅延伝播ダイアグラムD1’を作成して表示する。なお、予測部103が遅延伝播予測の動作を再度行った後、判定部104が、ステップS104のディレイクラスタの検出動作を再度行ってもよい。この場合、ディレイクラスタC1’には、第23便が含まれなくなる。そして、出力部105は、その結果を反映した遅延伝播ダイアグラム(図示していない)を作成して表示する。
【0147】
本実施の形態によれば、クリティカルコネクション以外のコネクションの前便をディレイクラスタから除外することで、遅延の影響が大きいコネクションを確実にユーザに認識させることができる。そのため、ユーザが、より迅速に効果的な対策を立案できる。
【0148】
実施の形態3.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0149】
本実施の形態に係る運行管理支援システム100の構成は、図1に示した実施の形態1のものと同様である。
【0150】
本実施の形態では、判定部104によるディレイクラスタの検出動作が、実施の形態1のものと異なる。
【0151】
本実施の形態において、判定部104は、データベース101に記憶された便情報111とコネクション情報112とを参照して、前便の実績時刻又は予測時刻が前便の計画時刻より遅れており、かつ、後便の予測時刻が後便の計画時刻より遅れているコネクションの集合を抽出する。そして、判定部104は、所定の判定基準として、抽出したコネクションの集合に含まれるコネクションのいずれにおいても後便になっていない便ごとにディレイクラスタが存在し、引継が行われる便同士が同じディレイクラスタに属するように、グループ分けを行う。
【0152】
以下、運行管理支援システム100の動作(本実施の形態に係る運行管理支援方法、本実施の形態に係るプログラムの処理手順)の一例を、実施の形態1と同様に、図5の例を用いて説明する。
【0153】
図13は、図5の例におけるディレイクラスタの一例を示す図である。
【0154】
到着済の便に発生している遅延は、図6に示した実施の形態1の例と同じものとする。また、図3のステップS103の遅延伝播予測計算により求められている出発前の便の出発及び到着の予測時刻も、図6に示した実施の形態1の例と同じものとする。
【0155】
遅延伝播予測計算の結果から、判定部104は、前便の到着の実績時刻又は予測時刻が前便の到着の計画時刻より遅れており、かつ、後便の出発の予測時刻が後便の出発の計画時刻より遅れているコネクションの集合を抽出する。具体的には、判定部104は、第11便から第22便へのコネクション、第21便から第22便へのコネクション、第22便から第23便へのコネクション、第31便から第32便へのコネクションを抽出する。そして、判定部104は、抽出したコネクションの前便又は後便である第11便、第21便、第22便、第23便、第31便、第32便のグループ分けを、前述した所定の判定基準に基づいて行う。即ち、判定部104は、抽出したコネクションの集合に含まれるコネクションのいずれにおいても後便になっていない便ごとにディレイクラスタが存在し、引継が行われる便同士が同じディレイクラスタに属するように、第11便、第21便、第22便、第23便、第31便、第32便のグループ分けを行う。その結果、判定部104は、第11便、第22便、第23便で構成されるディレイクラスタC1−1を検出する。また、判定部104は、第21便、第22便、第23便で構成されるディレイクラスタC1−2を検出する。また、判定部104は、第31便、第32便で構成されるディレイクラスタC2を検出する。つまり、判定部104は、第11便の遅延の影響により第22便に遅延が発生し、この遅延の影響により第23便に遅延が発生すると判断する。また、判定部104は、第21便の遅延の影響により第22便に遅延が発生し、この遅延の影響により第23便に遅延が発生すると判断する。また、判定部104は、第31便の遅延の影響により第32便に遅延が発生すると判断する。
【0156】
図14は、図13の例におけるディレイクラスタのリストの一例を示す図である。
【0157】
図14において、ディレイクラスタのリストの構成は、図7に示した実施の形態1の例と同様である。
【0158】
図13及び図14を図6及び図7と対比すると、図6及び図7では、1つのディレイクラスタC1のみに第22便と第23便が属し、このディレイクラスタC1に第11便と第21便の両方が含まれているのに対し、図13及び図14では、2つのディレイクラスタC1−1,C1−2の両方に第22便と第23便が属し、ディレイクラスタC1−1に第11便、ディレイクラスタC1−2に第21便が含まれている。
【0159】
例えば、図13のディレイクラスタC1−2に対応する遅延伝播ダイアグラムは、図12に示した遅延伝播ダイアグラムD1のようになる。
【0160】
本実施の形態によれば、到着済の1つの便に遅延が発生した場合に、その便の遅延の影響をユーザが容易に把握できる。
【0161】
なお、本実施の形態では、判定部104によるグループ分けの際に、クリティカルコネクションを考慮していないが、実施の形態2と同様に、判定部104が、抽出したコネクションの集合に後便が共通し、前便が異なる複数のコネクションが含まれる場合、クリテ
ィカルコネクションのみの便同士が同じディレイクラスタに属するように、グループ分けを行ってもよい。この場合、図13の例において、第11便から第22便へのコネクションはクリティカルコネクションではないため、判定部104は、第11便、第22便、第23便で構成されるディレイクラスタC1−1を検出しない。即ち、判定部104は、第21便、第22便、第23便で構成されるディレイクラスタC1−2と、第31便、第32便で構成されるディレイクラスタC2のみを検出する。これにより、遅延の影響が大きいコネクションを確実にユーザに認識させることができる。
【0162】
実施の形態4.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0163】
図15は、本実施の形態に係る運行管理支援システム100の構成を示すブロック図である。
【0164】
図15に示すように、本実施の形態では、運行管理支援システム100が、図1に示した実施の形態1の予測部103を備えていない(備えていてもよいが、必要はない)。
【0165】
本実施の形態において、データベース101は、全ての便について計画時刻と実績時刻(前述した仮の実績時刻でもよい)とを示す便情報111を記憶する。また、データベース101は、実施の形態1と同様のコネクション情報112を記憶する。
【0166】
判定部104は、データベース101に記憶された便情報111とコネクション情報112とを参照して、前便の実績時刻が前便の計画時刻より遅れており、かつ、後便の実績時刻が後便の計画時刻より遅れているコネクションの集合を抽出する。そして、判定部104は、所定の判定基準に基づいて、抽出したコネクションの集合に含まれるコネクションの前便と後便とのグループ分けを行う。例えば、判定部104は、実施の形態1と同様に、所定の判定基準として、引継が行われる便同士が同じディレイクラスタに属し、かつ、それぞれの便が1つのディレイクラスタのみに属するように、グループ分けを行う。なお、この判定基準としては、実施の形態2や実施の形態3と同様の基準を用いても構わない。
【0167】
出力部105は、実施の形態1と同様に、グループ情報114として、任意の1つのディレイクラスタに対応する遅延伝播ダイアグラムを出力する。
【0168】
本実施の形態によれば、ユーザが、過去の遅延の発生状況及びその影響のしかた等を分析して、その結果を将来の運行計画の策定時等に活用することができる。
【0169】
なお、本実施の形態では、実施の形態1と同様に、データベース101が、発着空港(出発及び到着の地点)を運行内容として示す便情報111を記憶するが、判定部104が、この情報に基づき、前便の到着空港と後便の出発空港とが同一の空港でない場合に、前述した所定の運行条件が満たされていないと判断してもよい。即ち、判定部104は、データベース101に記憶された便情報111とコネクション情報112とを参照して、前便の到着空港と後便の出発空港とが同一の空港でないコネクションの集合を抽出してもよい。あるいは、判定部104は、遅延や到着空港の変更以外のイレギュラが発生したコネクションの集合を抽出してもよい。いずれの場合も、判定部104は、運行管理支援システム100の用途等に応じて適宜決められる所定の判定基準に基づいて、抽出したコネクションの集合に含まれるコネクションの前便と後便とのグループ分けを行う。これにより、交通機関で発生するイレギュラが影響する範囲を把握したり、イレギュラが後続の便に対してどのような影響を与えるのか等を分析したりすることが容易となる。
【0170】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、これらの実施の形態のうち、2つ以上を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態のうち、1つを部分的に実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態のうち、2つ以上を部分的に組み合わせて実施しても構わない。なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0171】
100 運行管理支援システム、101 データベース、102 入力部、103 予測部、104 判定部、105 出力部、111 便情報、112 コネクション情報、113 更新情報、114 グループ情報、191 処理装置、192 記憶装置、193 入力装置、194 出力装置、201 便情報、202 フライトプラン情報、203 GH情報、204 クルー勤務情報、205 CA勤務情報、206 旅客情報、207 貨物情報、901 LCD、902 キーボード、903 マウス、904 FDD、905 CDD、906 プリンタ、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 HDD、921 オペレーティングシステム、922 ウィンドウシステム、923 プログラム群、924 ファイル群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通機関における移動体の運行管理を支援する運行管理支援システムであって、
移動体の運行単位である便ごとに、運行内容を示す便情報を記憶装置により記憶するとともに、移動体と移動体により運ばれるものとの少なくともいずれかである引継要素を対象として便同士で行われる引継ごとに、引継元の便と引継先の便とを示す引継情報を記憶装置により記憶するデータベースと、
前記データベースに記憶された便情報と引継情報とを参照して、引継元の便の運行内容と引継先の便の運行内容とが所定の運行条件を満たしていない引継の集合を抽出し、所定の判定基準に基づいて、抽出した引継の集合に含まれる引継の引継元の便と引継先の便とのグループ分けを処理装置により行う判定部と、
前記判定部によりグループ分けが行われた便のうち、任意の1つのグループを構成する便を示すグループ情報を出力装置により出力する出力部と
を備えることを特徴とする運行管理支援システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記所定の判定基準として、引継が行われる便同士が同じグループに属し、かつ、それぞれの便が1つのグループのみに属するように、前記グループ分けを行うことを特徴とする請求項1の運行管理支援システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記所定の判定基準として、抽出した引継の集合に含まれる引継のいずれにおいても引継先の便になっていない便ごとにグループが存在し、引継が行われる便同士が同じグループに属するように、前記グループ分けを行うことを特徴とする請求項1の運行管理支援システム。
【請求項4】
前記データベースは、便ごとに、運行時刻を運行内容として示し、さらに、予め運行が計画された時刻である計画時刻を示す便情報を記憶し、
前記判定部は、引継元の便の運行時刻が引継元の便の計画時刻より遅れており、かつ、引継先の便の運行時刻が引継先の便の計画時刻より遅れている場合、前記所定の運行条件が満たされていないと判断することを特徴とする請求項1から3のいずれかの運行管理支援システム。
【請求項5】
前記判定部は、抽出した引継の集合に引継先の便が共通し、引継元の便が異なる複数の引継が含まれる場合、当該複数の引継のうち引継元の便の運行時刻が引継先の便を引継先の便の計画時刻に運行するために引継元の便を運行すべき限界時刻から所定の時間以上遅れている引継のみ又は最も遅れている引継のみの便同士が同じグループに属するように、前記グループ分けを行うことを特徴とする請求項4の運行管理支援システム。
【請求項6】
前記データベースは、既に運行された便について、実際の運行時刻である実績時刻を運行内容として示す便情報を記憶し、
前記運行管理支援システムは、さらに、
前記データベースに記憶された便情報と引継情報とを参照して、実際に運行された便が引継元の便であり、かつ、まだ運行されていない便が引継先の便である引継を抽出し、抽出した引継について、引継元の便の実績時刻から引継先の便の運行時刻を処理装置により予測し、運行時刻を予測する度に、運行時刻を予測した便について、予測した運行時刻である予測時刻を運行内容として示す便情報を前記データベースに記憶させるとともに、運行時刻を予測した便を引継元の便とする引継があれば、その引継を抽出し、抽出した引継について、引継元の便の予測時刻から引継先の便の運行時刻を処理装置により予測する予測部
を備えることを特徴とする請求項4又は5の運行管理支援システム。
【請求項7】
前記データベースは、引継ごとに、さらに、引継にかかる標準時間を示す引継情報を記憶し、
前記予測部は、抽出した引継について、引継元の便の実績時刻又は予測時刻が引継元の便の計画時刻より遅れていなければ、引継先の便の計画時刻が引継先の便の運行時刻になると予測し、引継元の便の実績時刻又は予測時刻が引継元の便の計画時刻より遅れていれば、標準時間以上の任意の時間を引継元の便の実績時刻又は予測時刻に加算した、引継先の便の計画時刻以降の時刻が引継先の便の運行時刻になると予測することを特徴とする請求項6の運行管理支援システム。
【請求項8】
前記データベースは、引継ごとに、さらに、引継要素の種別を示す引継情報を記憶し、
前記予測部は、引継元の便と引継先の便とが共通し、引継要素の種別が異なる複数の引継を抽出した場合、抽出した引継ごとに、引継先の便の運行時刻を予測し、予測した運行時刻のうち最も遅い時刻を引継先の便の予測時刻とすることを特徴とする請求項6又は7の運行管理支援システム。
【請求項9】
引継要素の種別には、移動体により運ばれる乗客と乗員と貨物との少なくともいずれかが含まれることを特徴とする請求項8の運行管理支援システム。
【請求項10】
前記予測部は、引継先の便が共通し、引継元の便が異なる複数の引継を抽出した場合、抽出した引継ごとに、引継先の便の運行時刻を予測し、予測した運行時刻のうち最も遅い時刻を引継先の便の予測時刻とすることを特徴とする請求項6から9のいずれかの運行管理支援システム。
【請求項11】
前記運行管理支援システムは、さらに、
前記データベースに記憶された便情報又は引継情報を更新する更新情報の入力を入力装置により受け付けて、前記データベースに記憶された便情報又は引継情報を更新する入力部
を備え、
前記判定部は、前記入力部により前記データベースに記憶された便情報又は引継情報が更新される度に、前記データベースに記憶された便情報と引継情報とを参照して、新たに引継の集合を抽出し、抽出した引継の集合に含まれる引継の引継元の便と引継先の便とのグループ分けを行うことを特徴とする請求項1から10のいずれかの運行管理支援システム。
【請求項12】
前記出力部は、前記グループ情報として、前記任意の1つのグループを構成する便を図形で表すとともに、前記任意の1つのグループ内で、前記判定部により抽出された引継の集合に含まれる引継ごとに、引継元の便と引継先の便との関係を図形間の線で表す図を出力することを特徴とする請求項1から11のいずれかの運行管理支援システム。
【請求項13】
交通機関における移動体の運行管理を支援するプログラムであって、
移動体の運行単位である便ごとに、運行内容を示す便情報を記憶装置により記憶するとともに、移動体と移動体により運ばれるものとの少なくともいずれかである引継要素を対象として便同士で行われる引継ごとに、引継元の便と引継先の便とを示す引継情報を記憶装置により記憶するデータベースを備えたコンピュータを、
前記データベースに記憶された便情報と引継情報とを参照して、引継元の便の運行内容と引継先の便の運行内容とが所定の運行条件を満たしていない引継の集合を抽出し、所定の判定基準に基づいて、抽出した引継の集合に含まれる引継の引継元の便と引継先の便とのグループ分けを処理装置により行う判定部と、
前記判定部によりグループ分けが行われた便のうち、任意の1つのグループを構成する便を示すグループ情報を出力装置により出力する出力部
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−54771(P2013−54771A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−255341(P2012−255341)
【出願日】平成24年11月21日(2012.11.21)
【分割の表示】特願2011−192455(P2011−192455)の分割
【原出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(394013002)三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社 (251)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)