説明

運行管理装置、運行管理方法及びプログラム、並びに交通システム

【課題】制限速度の条件を満たし、かつ消費エネルギーが最小となる走行パターンを特定する。
【解決手段】制限速度フィルタ部105は、走行パターン生成部103が生成した走行パターンのうち、当該走行パターンの加速時間の間、当該走行パターンの加速度で走行した場合に、最高速度が制限速度記憶部104が記憶する制限速度以内となる走行パターンを抽出する。走行パターン特定部107は、制限速度フィルタ部105が抽出した走行パターンのうち、走行に要する消費電力が最小となるものを、当該車両の運行に用いる走行パターンとして特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既定の経路を走行する車両の運行を管理する運行管理装置、運行管理方法及びプログラム、並びに交通システムに関する。
【背景技術】
【0002】
線路などの既定の経路を車両に走行させる交通システムにおいて、当該車両の運行ダイヤを適切に(例えば、閉塞区間、運転時隔、要求される輸送量、回生失効条件、電力ピーク値などの条件を満たすように)生成する技術が開発されており、様々な交通システムに導入されている。これに伴い、運行ダイヤに基づいて車両の走行パターン(ランカーブ)を生成する方法も研究されている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
【0003】
特許文献1には、ある車両が電力の供給を受けている変電所に対する供給電力のピークをカットできる走行パターンの決定方法が開示されている。また、特許文献2には、信号機による加減速ができるだけ生じないような走行パターンを算出することで、車両のエネルギー効率を向上させる方法が開示されている。特許文献1、2によれば、消費エネルギーが小さい走行パターンで車両を走行させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−121377号公報
【特許文献2】特開2011−126404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両が走行する区間には制限速度が設けられることが多い。例えば、カーブのある線路の制限速度は、通常、直線状の線路の制限速度より遅く設定される。しかしながら、上述した特許文献1、特許文献2では制限速度を鑑みた走行パターンの算出がされていないという問題がある。
本発明の目的は、制限速度の条件を満たし、かつ消費エネルギーが最小となる走行パターンを特定する運行管理装置、運行管理方法及びプログラム、並びに交通システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、既定の経路を走行する車両の運行を管理する運行管理装置であって、前記車両の力行及び制動により実現できる加速度及び減速度の組み合わせを複数特定する加減速度特定部と、前記加減速度特定部が特定した加速度及び減速度の組み合わせのそれぞれに対して、前記経路の所定区間をある走行時間で走行するために要する加速時間と減速時間の組み合わせを特定することで、加速度及び減速度並びに加速時間及び減速時間の組み合わせからなる走行パターンを生成する走行パターン生成部と、前記走行パターン生成部が生成した走行パターンのうち、当該走行パターンの加速時間の間、当該走行パターンの加速度で走行した場合に、最高速度が所定の制限速度以内となる走行パターンを抽出する制限速度フィルタ部と、前記制限速度フィルタ部が抽出した走行パターンのうち、走行に要する消費電力が最小となるものを、当該車両の運行に用いる走行パターンとして特定する走行パターン特定部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明においては、前記加減速度特定部は、複数の車両について前記加速度及び減速度の組み合わせを複数特定し、前記走行パターン特定部は、前記制限速度フィルタ部が抽出した走行パターンのうち、同一の電源から電力の供給を受ける複数の車両が加速に要する消費電力と当該複数の車両の減速によって発生する回生電力との差が最小となるものを、各車両の運行に用いる走行パターンとして特定することが好ましい。
【0008】
また、本発明においては、前記車両が前記経路に設けられた基準地点に到達すべき時刻を示す運行計画情報を取得する運行計画取得部を備え、前記走行パターン生成部は、前記加減速度特定部が特定した加速度及び減速度の組み合わせのそれぞれに対して、前記運行計画取得部が取得した運行計画情報が示す隣接する基準地点の間の区間を、一方の基準地点に到達すべき時刻と他方の基準地点に到達すべき時刻との差の走行時間で走行するために要する加速時間と減速時間の組み合わせを特定することが好ましい。
【0009】
また、本発明においては、前記走行パターン生成部は、前記運行計画取得部が取得した運行計画情報が示す隣接する基準地点の間の区間内に前記制限速度が異なる区間が存在する場合、前記一方の基準地点から当該制限速度が切り替わる地点までの区間と、当該制限速度が切り替わる地点から前記他方の基準地点までの区間について、前記加減速度特定部が特定した加速度及び減速度の組み合わせのそれぞれに対して、各区間の合計走行時間が前記一方の基準地点に到達すべき時刻と前記他方の基準地点に到達すべき時刻との差の走行時間となるような加速時間と減速時間の組み合わせを特定することが好ましい。
【0010】
また、本発明においては、前記走行パターン生成部は、前記加減速度特定部が特定した加速度及び減速度の組み合わせのそれぞれに対して、前記経路の所定区間を、当該区間の走行目標時間より所定の猶予時間だけ早い時間以上かつ前記走行目標時間より所定の猶予時間だけ遅い時間以下の走行時間で走行するために要する加速時間と減速時間の組み合わせを特定することが好ましい。
【0011】
また、本発明においては、前記経路の所定区間の走行目標時間からの複数の超過時間に基づいて、当該超過時間だけ前記車両が遅延したときに発生する損失を算出する損失算出部を備え、前記走行パターン生成部は、前記加減速度特定部が特定した加速度及び減速度の組み合わせ、及び前記複数の超過時間のそれぞれに対して、前記経路の所定区間を当該区間の走行目標時間に前記超過時間を加算した走行時間で走行するために要する加速時間と減速時間の組み合わせを特定し、前記走行パターン特定部は、前記制限速度フィルタ部が抽出した走行パターンのうち、走行に要する消費電力に対する費用と前記損失算出部が算出した損失との差が最小となるものを、当該車両の運行に用いる走行パターンとして特定することが好ましい。
【0012】
また、本発明においては、前記走行時間を所定の閾値以上遅延して走行している車両を特定する遅延車両特定部と、前記遅延車両特定部が特定した車両の走行遅延量に基づいて、他の車両の運行に用いる走行パターンを変更する走行パターン変更部とを備えることが好ましい。
【0013】
また、本発明においては、前記遅延車両特定部が特定した車両と同一の電源から電力の供給を受けている車両を特定する隣接車両特定部を備え、前記走行パターン変更部は、前記遅延車両特定部が特定した車両の走行遅延量に基づいて、前記隣接車両特定部が特定した車両の運行に用いる走行パターンを変更することが好ましい。
【0014】
また、本発明においては、前記走行パターン変更部は、前記遅延車両特定部が特定した場合に、前記走行パターン生成部、前記制限速度フィルタ部、及び前記走行パターン特定部の処理により新たに全ての車両の運行に用いる走行パターンを特定することが好ましい。
【0015】
また、本発明においては、前記車両の重量の増減を特定する重量増減特定部と、前記重量増減特定部が特定した車両の重量の増減に基づいて、当該車両の運行に用いる走行パターンを変更する走行パターン変更部を備えることが好ましい。
【0016】
また、本発明においては、前記走行パターン変更部は、前記重量増減特定部が前記車両の重量の増減を特定したときに、前記走行パターン生成部、前記制限速度フィルタ部、及び前記走行パターン特定部の処理により全ての車両の運行に用いる走行パターンを特定することが好ましい。
【0017】
また、本発明は、既定の経路を走行する車両の運行を管理する運行管理装置を用いた運行管理方法であって、加減速度特定部は、前記車両の力行及び制動により実現できる加速度及び減速度の組み合わせを複数特定し、走行パターン生成部は、前記加減速度特定部が特定した加速度及び減速度の組み合わせのそれぞれに対して、前記経路の所定区間をある走行時間で走行するために要する加速時間と減速時間の組み合わせを特定することで、加速度及び減速度並びに加速時間及び減速時間の組み合わせからなる走行パターンを生成し、制限速度フィルタ部は、前記走行パターン生成部が生成した走行パターンのうち、当該走行パターンの加速時間の間、当該走行パターンの加速度で走行した場合に、最高速度が所定の制限速度以内となる走行パターンを抽出し、走行パターン特定部は、前記制限速度フィルタ部が抽出した走行パターンのうち、走行に要する消費電力が最小となるものを、当該車両の運行に用いる走行パターンとして特定することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、既定の経路を走行する車両の運行を管理する運行管理装置を、前記車両の力行及び制動により実現できる加速度及び減速度の組み合わせを複数特定する加減速度特定部、前記加減速度特定部が特定した加速度及び減速度の組み合わせのそれぞれに対して、前記経路の所定区間をある走行時間で走行するために要する加速時間と減速時間の組み合わせを特定することで、加速度及び減速度並びに加速時間及び減速時間の組み合わせからなる走行パターンを生成する走行パターン生成部、前記走行パターン生成部が生成した走行パターンのうち、当該走行パターンの加速時間の間、当該走行パターンの加速度で走行した場合に、最高速度が所定の制限速度以内となる走行パターンを抽出する制限速度フィルタ部、前記制限速度フィルタ部が抽出した走行パターンのうち、走行に要する消費電力が最小となるものを、当該車両の運行に用いる走行パターンとして特定する走行パターン特定部として機能させるためのプログラムである。
【0019】
また、本発明は、上記運行管理装置を備えた交通システムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、運行管理装置は、制限速度が定められた区間毎の消費電力が最小となるように、走行パターンを特定する。これにより、制限速度の条件を満たし、かつ消費エネルギーが最小となる走行パターンを特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態による運行管理装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による運行管理装置の動作を示す第1のフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態による運行管理装置の動作を示す第2のフローチャートである。
【図4】ある区間における車両の進行パターンを示す図である。
【図5】本発明の第3の実施形態による運行管理装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図6】本発明の第3の実施形態による運行管理装置の動作を示す第1のフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施形態による運行管理装置の動作を示す第2のフローチャートである。
【図8】本発明の第4の実施形態による運行管理装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図9】本発明の第4の実施形態による運行管理装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第5の実施形態による運行管理装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図11】本発明の第6の実施形態による運行管理装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図12】本発明の第6の実施形態による運行管理装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第7の実施形態による運行管理装置の構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
《第1の実施形態》
図1は、本発明の第1の実施形態による運行管理装置の構成を示す概略ブロック図である。
運行管理装置は、運行ダイヤ取得部101(運行計画取得部)、加減速度特定部102、走行パターン生成部103、制限速度記憶部104、制限速度フィルタ部105、シミュレータ部106、走行パターン特定部107を備える。
【0023】
運行ダイヤ取得部101は、外部の運行ダイヤ生成装置(図示せず)が生成した運行ダイヤ(運行計画情報)を取得する。
加減速度特定部102は、車両の力行及び制動により実現できる加速度及び減速度の複数のパターンを特定する。なお、本明細書において「加速度」とは、正の加速度を示し、「減速度」とは、負の加速度を示す。減速度加減速度のパターンの特定方法としては、予め実現しうる加速度及び減速度のパターンをデータベースなどに記録しておく方法や、車種情報から当該車種の性能に応じて当該パターンを算出する方法が挙げられる。
制限速度記憶部104は、線路上の区間毎の制限速度を記憶する。
【0024】
走行パターン生成部103は、加減速度特定部102が特定した加減速度のパターンで、運行ダイヤ取得部101が取得した運行ダイヤを満たすように、車両が各駅間を走行するための走行パターンを生成する。具体的には、駅を出発した時刻から加速を止める時刻までの時間である加速時間と、減速を開始する時刻から次の駅に到着する時刻までの時間である減速時間とを特定することで、車両の走行パターンを生成する。なお、走行パターンは、加速度及び減速度並びに加速時間及び減速時間の組み合わせ、並びに加速開始時の速度及び減速終了時の速度からなる情報である。なお、当該情報によって車両の最高速度が一意に決まることとなる。なお、走行パターン生成部103は、駅間で制限速度が変化する地点が存在する場合、駅及び当該地点で区切られる区間における走行パターンをそれぞれ生成する。具体的には、走行パターン生成部103は、制限速度記憶部104が記憶する情報を参照し、運行ダイヤが示す駅間の区間の中にカーブが存在する場合など、制限速度が変わる地点が存在する場合に、一方の駅から当該地点までの区間と当該地点から他方の駅までの区間とのそれぞれについて走行パターンの選択を行う。
【0025】
制限速度フィルタ部105は、走行パターン生成部103が生成した走行パターンのうち、当該走行パターンで走行する区間における最高速度が、制限速度記憶部104が記憶する制限速度以内となる走行パターンを抽出する。
シミュレータ部106は、制限速度フィルタ部105が抽出した走行パターンを用いて車両の走行をシミュレートし、各時刻における消費電力量を算出する。なお、シミュレータ部106は、繰り返されるパターンが一巡するまで、全ての車両の走行をシミュレートする。例えば、シミュレータ部106は、運行ダイヤに基づいて車両が走行を開始してから全ての車両が元の位置に戻るまでの全ての車両の走行をシミュレートする。
走行パターン特定部107は、シミュレータ部106によるシミュレートの結果、最も消費電力量が少ない走行パターンを特定する。
【0026】
次に、本実施形態による運行管理装置の動作について説明する。本実施形態では、遺伝的アルゴリズム(GA:Genetic Algorithm)に基づいて走行パターンの特定を行う例について説明する。なお、走行パターンの特定は、遺伝的アルゴリズムに限られず、例えば分枝限定法などの他の解探索手法を用いても良い。
【0027】
図2は、本発明の第1の実施形態による運行管理装置の動作を示す第1のフローチャートである。
また、図3は、本発明の第1の実施形態による運行管理装置の動作を示す第2のフローチャートである。
まず、運行ダイヤ取得部101は、外部の運行ダイヤ生成装置が生成した運行ダイヤを取得する(ステップS1)。また、加減速度特定部102は、車両の力行及び制動により実現できる加速度及び減速度の複数のパターンを特定する(ステップS2)。
次に、運行管理装置は、加速度及び減速度並びに加速時間及び減速時間の、区間及び車両毎の組み合わせからなる走行パターンを、シミュレーションの対象としてN個(但し、Nは正の整数)抽出するまで、以下に示すステップS3〜ステップS6の処理を繰り返し実行する。
【0028】
まず、走行パターン生成部103は、運行ダイヤ取得部101が取得した運行ダイヤに組み込まれている全ての車両に対して、当該運行ダイヤが示す駅間の区間毎に、ステップS2で加減速度特定部102が特定した加減速度パターンから1つのパターンをランダムに選択する(ステップS3)。なお、加減速度を大きくするほど必要電力量が低くなることが分かっているため、加減速度の大きさに応じた重みを用いてランダムに選択することが好ましい。すなわち、加速度及び減速度の絶対値が大きい加減速度パターンほど選択される確率が高くなることが好ましい。なお、走行パターン生成部103は、制限速度記憶部104が記憶する情報を参照し、運行ダイヤが示す駅間の区間の中にカーブが存在する場合など、制限速度が変わる地点が存在する場合、一方の駅から当該地点までの区間と当該地点から他方の駅までの区間とのそれぞれについて走行パターンの選択を行う。
【0029】
次に、走行パターン生成部103は、選択した加減速度パターンを用いて、運行ダイヤが示す各駅の発着時刻を満たすように、加速時間及び減速時間を特定して走行パターンを生成する(ステップS4)。具体的には、走行パターン生成部103は、式(1)を満たすような最高速度Vmaxを算出し、当該最高速度を式(2)に当てはめることで、加速時間t及び減速時間tを算出する。
【0030】
【数1】

【0031】
【数2】

【0032】
但し、tは、運行ダイヤが示す一方の地点に到達すべき時刻と他方の地点に到達すべき時刻との差の走行時間を示す。また、Lは、区間内の距離を示す。また、aは、加速度を示す。また、aは、減速度を示す。また、vは、加速開始時の速度を示す。また、vは、減速終了時の速度を示す。なお、運行パターンの開始地点と到達地点がそれぞれ駅である場合、v及びvの値はゼロとなる。他方、走行パターン生成部103が、ステップS3で制限速度が変わる地点で区間を分割した場合、当該地点におけるv、vの値は、当該制限速度の値となる。
【0033】
ここで、式(1)によって最高速度Vmaxを算出することができる理由について説明する。
図4は、ある区間における車両の進行パターンを示す図である。
車両が、区間の始点を出発してから加速時間tの間を加速度aで進行し、その後速度Vmaxで等速進行し、減速時間tの間を減速度aで減速することで区間の終点に到達する場合、当該区間の距離Lは、図4に示す台形の面積として表される。すなわち、上底がt−t−t、下底がt、高さがVmaxの台形の面積が、区間の距離Lと等しくなる。当該台形の面積を示す式において、式(2)をt及びtに代入し、時間tの等式に変換したものが、上述した式(1)である。
【0034】
なお、走行パターン生成部103は、ステップS3で制限速度が変わる地点で区間を分割した場合、当該地点に達する時刻として想定される範囲で複数の時刻を設定し、複数の走行時間tに対して走行パターンを生成する。例えば、一方の駅から他方の駅までの間にカーブが存在する場合、一方の駅から当該カーブの始点までの区間である区間A、カーブの区間である区間B、及びカーブの終点から他方の駅までの区間である区間Cについて、区間Aを走行する時間t、区間Bを走行する時間t、区間Cを走行する時間tの組み合わせを、複数設定する。このとき、走行パターン生成部103は、時間t+時間t+時間t(合計走行時間)と、一方の駅から他方の駅までの走行時間tとが一致するように、時間t〜tを設定する。
【0035】
走行パターン生成部103が式(1)に従って最高速度を算出し、式(2)に従って走行パターンを生成すると、制限速度フィルタ部105は、走行パターン生成部103が算出した最高速度が、制限速度記憶部104が記憶する当該区間における制限速度以下であるか否かを判定する(ステップS5)。制限速度フィルタ部105は、最高速度が制限速度以下であると判定した場合(ステップS5:YES)、走行パターン生成部103が生成した走行パターンをシミュレーションの対象として抽出する(ステップS6)。他方、制限速度フィルタ部105は、最高速度が制限速度を超えると判定した場合(ステップS5:NO)、当該走行パターンをシミュレーションの対象としない。
【0036】
上述したステップS3〜ステップS6の処理により、制限速度フィルタ部105がN個の走行パターンを抽出すると、シミュレータ部106は、各走行パターンについて全車両の走行シミュレーションを行い、各時刻における消費電力量を算出する(ステップS7)。このとき、シミュレータ部106は、走行シミュレーションの結果が制約条件を満たすか否かの判定を行う。制約条件の例としては、例えば閉塞区間、運転時隔、要求される輸送量、回生失効条件、電力ピーク値などが挙げられる。このとき、制約条件を満たさない走行パターンを解候補から除外し、制約条件を満たすまでステップS3〜ステップS6の処理を再度行うことで、制約条件を満たす解候補のみをN個抽出する。
【0037】
次に、運行管理装置は、消費電力量を算出した各走行パターンについて、遺伝的アルゴリズムに基づく遺伝的操作を行う。つまり、運行管理装置は、制限速度フィルタ部105が抽出した走行パターンから、消費電力が小さい走行パターンが残るように、選択、交叉、または突然変異の操作を行う。運行管理装置は、以下に示すステップS8〜ステップS16の操作を繰り返し実行する。
【0038】
まず、走行パターン生成部103は、選択、交叉、突然変異の何れの操作を行うかを、ランダムに決定する(ステップS8)。なお、通常、遺伝的アルゴリズムでは、何れの処理を行うかを決定する確率は、交叉操作を行う確率≧選択操作を行う確率≧突然変異操作を行う確率の順に設定される。
【0039】
走行パターン生成部103は、交叉操作を行うことを決定した場合(ステップS8:交叉)、シミュレータ部106が消費電力量を算出した複数の走行パターンの中から、当該消費電力量に応じた重みによってランダムに2つの走行パターンを選択する(ステップS9)。すなわち、消費電力量が小さい走行パターンほど重みが大きく、走行パターン生成部103によって選択されやすくなる。
【0040】
次に、走行パターン生成部103は、選択した2つの走行パターンから、各車両の加減速度パターンを新たに生成する(ステップS10)。具体的には、走行パターン生成部103は、2つの走行パターンが示す加減速度パターンに対して入れ替えを行うことで、新たな加減速度パターンを生成する。加減速度パターンの入れ替え方法としては、一点交叉法、二点交叉法、多点交叉法の何れを用いても良い。また、走行パターン生成部103は、車両毎に加減速度パターンの入れ替えを行っても良いし、区間毎に加減速度パターンの入れ替えを行っても良いし、加速度及び減速度単位で入れ替えを行っても良い。
【0041】
また、走行パターン生成部103は、ステップS8で突然変異操作を行うことを決定した場合(ステップS8:突然変異)、シミュレータ部106が消費電力量を算出した複数の走行パターンの中から、当該消費電力量に応じた重みによってランダムに1つまたは複数の走行パターンを選択する(ステップS11)。
次に、走行パターン生成部103は、選択した走行パターンに含まれる加速度または減速度の一部を、ステップS2で加減速度特定部102が特定した加速度または減速度に書き換えることで、加減速度パターンを新たに生成する(ステップS12)。
【0042】
走行パターン生成部103は、ステップS10またはステップS12で新たな加減速度パターンを生成すると、当該加減速度パターンに基づいて、式(1)及び式(2)に従って、運行ダイヤを満たす走行パターンを生成する(ステップS13)。次に、制限速度フィルタ部105は、走行パターン生成部103が算出した最高速度が、制限速度記憶部104が記憶する当該区間における制限速度以下であるか否かを判定する(ステップS14)。制限速度フィルタ部105は、最高速度が制限速度以下であると判定した場合(ステップS14:YES)、走行パターン生成部103が生成した走行パターンをシミュレーションの対象として抽出する(ステップS15)。他方、制限速度フィルタ部105は、最高速度が制限速度を超えると判定した場合(ステップS14:NO)、当該走行パターンをシミュレーションの対象としない。
【0043】
また、走行パターン生成部103は、ステップS8で選択操作を行うことを決定した場合(ステップS8:選択)、ステップS7でシミュレータ部106が消費電力量を算出した複数の走行パターンの中から、当該消費電力量に応じた重みによってランダムに1つまたは複数の走行パターンをシミュレーションの対象として抽出する(ステップS16)。
【0044】
上述したステップS8〜ステップS16の処理により、制限速度フィルタ部105がN個の走行パターンを抽出すると、シミュレータ部106は、各走行パターンについて全車両の走行シミュレーションを行い、各時刻における消費電力量を算出する(ステップS17)。このとき、シミュレータ部106は、交叉操作または突然変異操作によって生成した走行パターンについて、ステップS7と同様に、走行シミュレーションの結果が制約条件を満たすか否かの判定を行う。このとき、制約条件を満たさない走行パターンを解候補から除外し、制約条件を満たすまで、交叉操作または突然変異操作を再度行うことで、制約条件を満たす解候補のみをN個抽出する。
【0045】
次に、走行パターン特定部107は、予め定められた遺伝的アルゴリズムの終了条件を満たしているか否かを判定する(ステップS18)。終了条件としては、例えばシミュレータ部106によるシミュレーションの実行回数が所定数に達することや、シミュレータ部106が算出した消費電力量の最小値の差が所定値未満になること、解候補の最良値の改善割合が所定の閾値以下となること(解探索が飽和する場合)などが挙げられる。
【0046】
走行パターン特定部107が、遺伝的アルゴリズムの終了条件を満たしていないと判定した場合(ステップS18:NO)、ステップS8に戻り、遺伝的操作を繰り返し実行する。他方、走行パターン特定部107は、遺伝的アルゴリズムの終了条件を満たしていると判定した場合(ステップS18:YES)、シミュレータ部106が算出した消費電力量が最小となる走行パターンを、実運用する走行パターンとして特定する(ステップS19)。
【0047】
このように、本実施形態によれば、制限速度フィルタ部105は、走行パターン生成部103が生成した走行パターンのうち、当該走行パターンの加速時間の間、当該走行パターンの加速度で走行した場合に、最高速度が所定の制限速度以内となる走行パターンを抽出する。これにより、運行管理装置は、制限速度の条件を満たす走行パターンを、各車両の運行に用いる走行パターンとして特定することができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、走行パターン特定部107は、制限速度フィルタ部105が抽出した走行パターンのうち、加速に要する消費電力と減速によって発生する回生電力との差が最小となるものを、各車両の運行に用いる走行パターンとして特定する。これにより、運行管理装置は、複数の車両の回生電力を効率よく力行に用いる走行パターンを、各車両の運行に用いる走行パターンとして特定することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、走行パターン生成部103は、運行ダイヤが示す隣接する駅の間の区間を、一方の駅に到達すべき時刻と他方の駅に到達すべき時刻との差の走行時間で走行するために要する加速時間と減速時間の組み合わせを特定することで、走行パターンを生成する。これにより、運行管理装置は、運行ダイヤを満たす走行パターンを、各車両の運行に用いる走行パターンとして特定することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、走行パターン生成部103は、運行ダイヤが示す隣接する駅の間の区間内に制限速度が異なる区間が存在する場合、一方の駅から当該制限速度が切り替わる地点までの区間と、当該制限速度が切り替わる地点から他方の駅までの区間について、それぞれ走行パターンを生成する。これにより、運行管理装置は、駅間にカーブなどの制限速度が異なる区間が存在する場合にも、制限速度を満たしつつ適切な消費電力で走行できる走行パターンを、各車両の運行に用いる走行パターンとして特定することができる。
【0051】
以上、図面を参照してこの発明の第1の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0052】
例えば、本実施形態では、遺伝的アルゴリズムを用いて走行パターンの策定を行う場合について説明したが、これに限られず、上述したように分枝限定法等の他のアルゴリズムを用いて策定を行っても良い。
【0053】
また、本実施形態では、シミュレータ部106が複数の車両を同時に走行させたときの消費電力量を算出する場合について説明したが、これに限られない。例えば、シミュレータ部106は、車両毎に当該車両単体で走行させたときの消費電力量を算出し、走行パターン特定部107が当該消費電力量に基づいてそれぞれの車両の走行パターンを特定するようにしても良い。但しこの場合、回生電力が効率よく使用されているか否かについては、検討されないこととなる。
【0054】
また、本実施形態では、走行パターン生成部103は、駅間に制限速度が異なる区間が存在する場合に、制限速度が変化する地点で区間を分割して走行パターンを生成する場合を説明したが、これに限られない。例えば、走行パターン生成部103は、駅間に制限速度が異なる区間が存在する場合に、当該駅間の制限速度を、複数の制限速度のうち最も遅い制限速度に設定することで、制限速度を加味した走行パターンを特定することができる。
【0055】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態による運行管理装置は、運行ダイヤ取得部101が取得する運行ダイヤが多少の余裕を持って生成されたものである場合に、運行ダイヤを適切に修正することで、さらに消費電力量を低減できる走行パターンを特定するものである。
【0056】
第2の実施形態による運行管理装置は、第1の実施形態による運行管理装置と走行パターン生成部103の動作が異なる。
具体的には、上述したステップS4及びステップS13において、式(1)の時間t(走行目標時間)に代えて、t−Δt以上t+Δt以下の範囲内の走行時間t´を用いて、走行パターンを生成する。すなわち、走行パターン生成部103は、経路の所定区間を、当該区間の走行目標時間tより所定の猶予時間Δtだけ早い時間以上かつ走行目標時間tより所定の猶予時間Δtだけ遅い時間以下の走行時間t´で走行するために要する走行パターンを生成する。なお、走行パターン生成部103は、走行目標時間tを中心とする正規分布に基づく重みによって、t−Δt以上t+Δt以下の範囲内から走行時間t´をランダムに選択すると良い。
これにより、第2の実施形態による運行管理装置は、運行ダイヤを適切に修正して、さらに消費電力量を低減できる走行パターンを特定するものである。
【0057】
《第3の実施形態》
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図5は、本発明の第3の実施形態による運行管理装置の構成を示す概略ブロック図である。
第3の実施形態による運行管理装置は、第1の実施形態による運行管理装置の構成に加えて損失算出部108を備え、運行ダイヤ取得部101及び走行パターン特定部107の動作が異なるものである。
【0058】
運行ダイヤ取得部101は、現在運行している車両に遅延(運行ダイヤの乱れ)が発生したときに、外部の運行ダイヤ生成装置が遅延を解消するために組みなおした運行ダイヤを取得する。なお、外部の運行ダイヤ生成装置は、複数の遅延を解消するための運行ダイヤを生成し、運行ダイヤ取得部101は当該運行ダイヤをそれぞれ取得する。
損失算出部108は、運行ダイヤ取得部101が取得した遅延を解消するための運行ダイヤにおける、通常時の運行ダイヤに対する遅延によって発生する経済損失を算出する。
走行パターン特定部107は、シミュレータ部106が算出した消費電力量に対する消費電力費と、損失算出部108が算出した経済損失の差が最小となる走行パターンを選択する。
【0059】
次に、車両の遅延が発生したときの、本実施形態による運行管理装置の動作について説明する。
図6は、本発明の第3の実施形態による運行管理装置の動作を示す第1のフローチャートである。
また、図7は、本発明の第3の実施形態による運行管理装置の動作を示す第2のフローチャートである。
なお、以下第1の実施形態と同じ動作をするステップは、第1の実施形態と同じ符号を用いて説明する。
【0060】
運行管理装置が車両の遅延による走行パターンの見直し処理を開始すると、まず、運行ダイヤ取得部101は、外部の運行ダイヤ生成装置が生成した複数の運行ダイヤを取得する(ステップS101)。なお、運行ダイヤ毎に遅延時間は異なることとなる。また、加減速度特定部102は、車両の力行及び制動により実現できる加速度及び減速度の複数のパターンを特定する(ステップS2)。
【0061】
次に、運行管理装置は、ステップS101で取得した複数の運行ダイヤ毎に、以下に示すステップS102及びステップS3〜ステップS19の処理を繰り返し実行する。
まず、損失算出部108は、運行ダイヤ取得部101が取得した運行ダイヤに基づいて、遅延による経済損失を算出する(ステップS101)。具体的に、損失算出部108は、各遅延車両における単位時間の換算額を示す時間評価値と影響人数と遅延時間の積の総和によって算出される。なお、時間評価値は、国、地域、路線、発生時期、時間帯により異なる値であり、予め定めておく値である。
【0062】
次に、運行管理装置は走行パターン生成部103が生成する走行パターンをシミュレーションの対象としてN個抽出するまで、以下に示すステップS3〜ステップS6の処理を繰り返し実行する。
【0063】
まず、走行パターン生成部103は、運行ダイヤ取得部101が取得した運行ダイヤに組み込まれている全ての車両に対して、当該運行ダイヤが示す駅間の区間毎に、ステップS2で加減速度特定部102が特定した加減速度パターンから1つのパターンをランダムに選択する(ステップS3)。
【0064】
次に、走行パターン生成部103は、選択した加減速度パターンを用いて、運行ダイヤが示す各駅の発着時刻を満たすように、式(1)及び式(2)に従って加速時間及び減速時間を特定して走行パターンを生成する(ステップS4)。
【0065】
次に、制限速度フィルタ部105は、走行パターン生成部103が算出した最高速度が、制限速度記憶部104が記憶する当該区間における制限速度以下であるか否かを判定する(ステップS5)。制限速度フィルタ部105は、最高速度が制限速度以下であると判定した場合(ステップS5:YES)、走行パターン生成部103が生成した走行パターンをシミュレーションの対象として抽出する(ステップS6)。他方、制限速度フィルタ部105は、最高速度が制限速度を超えると判定した場合(ステップS5:NO)、当該走行パターンをシミュレーションの対象としない。
【0066】
上述したステップS3〜ステップS6の処理により、制限速度フィルタ部105がN個の走行パターンを抽出すると、シミュレータ部106は、各走行パターンについて全車両の走行シミュレーションを行い、各時刻における消費電力量を算出する(ステップS7)。
次に、運行管理装置は、以下に示すステップS8〜ステップS16の操作を繰り返し実行する。まず、走行パターン生成部103は、選択、交叉、突然変異の何れの操作を行うかを、ランダムに決定する(ステップS8)。
【0067】
走行パターン生成部103は、交叉操作を行うことを決定した場合(ステップS8:交叉)、シミュレータ部106が消費電力量を算出した複数の走行パターンの中から、当該消費電力量に応じた重みによってランダムに2つの走行パターンを選択する(ステップS9)。次に、走行パターン生成部103は、選択した2つの走行パターンから、各車両の加減速度パターンを新たに生成する(ステップS10)。
【0068】
また、走行パターン生成部103は、ステップS8で突然変異操作を行うことを決定した場合(ステップS8:突然変異)、シミュレータ部106が消費電力量を算出した複数の走行パターンの中から、当該消費電力量に応じた重みによってランダムに1つの走行パターンを選択する(ステップS11)。次に、走行パターン生成部103は、選択した走行パターンに含まれる加速度または減速度の一部を、ステップS2で加減速度特定部102が特定した加速度または減速度に書き換えることで、加減速度パターンを新たに生成する(ステップS12)。
【0069】
走行パターン生成部103は、ステップS10またはステップS12で新たな加減速度パターンを生成すると、当該加減速度パターンに基づいて、式(1)及び式(2)に従って、運行ダイヤを満たす走行パターンを生成する(ステップS13)。次に、制限速度フィルタ部105は、走行パターン生成部103が算出した最高速度が、制限速度記憶部104が記憶する当該区間における制限速度以下であるか否かを判定する(ステップS14)。制限速度フィルタ部105は、最高速度が制限速度以下であると判定した場合(ステップS14:YES)、走行パターン生成部103が生成した走行パターンをシミュレーションの対象として抽出する(ステップS15)。他方、制限速度フィルタ部105は、最高速度が制限速度を超えると判定した場合(ステップS14:NO)、当該走行パターンをシミュレーションの対象としない。
【0070】
また、走行パターン生成部103は、ステップS8で選択操作を行うことを決定した場合(ステップS8:選択)、ステップS7でシミュレータ部106が消費電力量を算出した複数の走行パターンの中から、当該消費電力量に応じた重みによってランダムに1つの走行パターンをシミュレーションの対象として抽出する(ステップS16)。
【0071】
上述したステップS8〜ステップS16の処理により、制限速度フィルタ部105がN個の走行パターンを抽出すると、シミュレータ部106は、各走行パターンについて全車両の走行シミュレーションを行い、各時刻における消費電力量を算出する(ステップS17)。
【0072】
次に、走行パターン特定部107は、予め定められた遺伝的アルゴリズムの終了条件を満たしているか否かを判定する(ステップS18)。走行パターン特定部107が、遺伝的アルゴリズムの終了条件を満たしていないと判定した場合(ステップS18:NO)、ステップS8に戻り、遺伝的操作を繰り返し実行する。他方、走行パターン特定部107は、遺伝的アルゴリズムの終了条件を満たしていると判定した場合(ステップS18:YES)、シミュレータ部106が算出した消費電力量が最小となる走行パターンを、対応する運行ダイヤにおける最適な走行パターンとして特定する(ステップS19)。
【0073】
そして、上述したステップS102及びステップS3〜ステップS19の処理により、走行パターン特定部107がステップS101で運行ダイヤ取得部101が取得したそれぞれの運行ダイヤにおける最適な走行パターンを抽出すると、走行パターン特定部107は、それぞれの走行パターンのうち、シミュレータ部106が算出した消費電力量と損失算出部108が算出した経済損失との差が最小となる走行パターンを、実運用する走行パターンとして特定する。
【0074】
このように、本実施形態によれば、損失算出部108は、経路の所定区間の走行目標時間からの複数の超過時間に基づいて、当該超過時間だけ車両が遅延したときに発生する損失を算出する。また、走行パターン特定部107は、走行に要する消費電力に対する費用と損失算出部108が算出した損失との差が最小となるものを、当該車両の運行に用いる走行パターンとして特定する。これにより、運行管理装置は、単に遅れを解消できる走行パターンを特定するだけでなく、経済性指標に基づいて損失が最も小さくなる走行パターンを特定することができる。
【0075】
《第4の実施形態》
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図8は、本発明の第4の実施形態による運行管理装置の構成を示す概略ブロック図である。
第4の実施形態による運行管理装置は、第1の実施形態による運行管理装置の構成に加えて遅延車両特定部109、隣接車両特定部110、及び走行パターン変更部111を備え、走行パターン生成部103及びシミュレータ部106の動作が異なるものである。
【0076】
遅延車両特定部109は、運行ダイヤ取得部101が取得した運行ダイヤから所定の閾値以上遅延して走行している車両を特定する。
隣接車両特定部110は、遅延車両特定部109が特定した車両と同一の電源から電力の供給を受けている車両を特定する。
走行パターン変更部111は、遅延車両特定部109が特定した車両の走行遅延量に基づいて、隣接車両特定部110が特定した車両の運行に用いる走行パターンを変更する。
【0077】
次に、車両の遅延が発生したときの、本実施形態による運行管理装置の動作について説明する。
図9は、本発明の第4の実施形態による運行管理装置の動作を示すフローチャートである。
【0078】
運行管理装置が車両の遅延による走行パターンの見直し処理を開始すると、まず、遅延車両特定部109は、初回の走行パターンの特定をしたときに上述したステップS1において運行ダイヤ取得部101が取得した運行ダイヤと、現在時刻における各車両の位置とを比較する。そして、遅延車両特定部109は、運行ダイヤから所定時間の遅れが発生している車両(遅延車両)を特定する。また、隣接車両特定部110は、現在時刻における各車両の位置に基づいて遅延車両と同一の電源から電力の供給を受けている車両(隣接車両)を特定する(ステップS201)。
次に、加減速度特定部102は、ステップS201で特定した隣接車両の力行及び制動により実現できる複数の加減速度パターンを選択する(ステップS202)。なお、ステップS202で加減速度特定部102が選択する加減速度パターンは、予め車両の遅れ度合いに応じて用意されたものであり、初回の走行パターンの特定におけるステップS2で特定するパターン数より少ないものである。これにより、計算量を少なくし、短時間で走行パターンの変更を行うことができる。また、ステップS202で選択する加減速度のパターンはステップS2において特定される加減速度パターンと比較して少ないため、遺伝的アルゴリズムによらずに走行パターンの策定を行うことができる。
【0079】
次に、運行管理装置は加減速度特定部102が選択した、隣接車両の全ての加減速度パターンについて、以下に示すステップS203〜ステップS205の処理を繰り返し実行する。
【0080】
まず、走行パターン生成部103は、加減速度特定部102が選択した加減速度パターンを用いて、運行ダイヤが示す各駅の発着時刻を満たすように、式(1)及び式(2)に従って加速時間及び減速時間を特定して走行パターンを生成する(ステップS203)。
【0081】
次に、制限速度フィルタ部105は、走行パターン生成部103が算出した最高速度が、制限速度記憶部104が記憶する当該区間における制限速度以下であるか否かを判定する(ステップS204)。制限速度フィルタ部105は、最高速度が制限速度以下であると判定した場合(ステップS204:YES)、走行パターン生成部103が生成した走行パターンをシミュレーションの対象として抽出する(ステップS205)。他方、制限速度フィルタ部105は、最高速度が制限速度を超えると判定した場合(ステップS204:NO)、当該走行パターンをシミュレーションの対象としない。
【0082】
上述したステップS203〜ステップS204の処理により、シミュレーションの対象となる走行パターンを抽出すると、シミュレータ部106は、各走行パターンについて走行シミュレーションを行い、各時刻における消費電力量を算出する(ステップS206)。なお、初回の走行パターンを特定したときのステップS7及びステップS17でシミュレータ部106は、全ての車両についてシミュレーションを行ったが、ステップS206では、シミュレータ部106は、遅延車両及び隣接車両のみに対してシミュレーションを行う。これにより、計算量を削減し、すみやかに走行パターンの策定を行うことができる。そして、走行パターン特定部107は、シミュレータ部106が算出した消費電力量が最小となる走行パターンを特定し、走行パターン変更部111は、隣接車両特定部110が特定した隣接車両の走行パターンを当該走行パターンに変更する(ステップS207)。
【0083】
このように、本実施形態によれば、走行パターン変更部111は、遅延車両特定部109が特定した車両の走行遅延量に基づいて、他の車両の運行に用いる走行パターンを変更する。これにより、実際の運行中に車両の遅延が発生したときにも、消費電力量が最小となるよう他の車両の走行パターンを変更することができる。
【0084】
また、本実施形態によれば、走行パターン変更部111は、隣接車両特定部110が特定した車両の運行に用いる走行パターンを変更する。これにより、回生電力及び力行による消費電力の変動を受ける隣接車両のみをシミュレーションの対象とすることができ、すみやかに隣接車両の走行パターンを変更することができる。
【0085】
《第5の実施形態》
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
図10は、本発明の第5の実施形態による運行管理装置の構成を示す概略ブロック図である。
第5の実施形態による運行管理装置は、第1の実施形態による運行管理装置の構成に加えて遅延車両特定部109を備えるものである。
【0086】
遅延車両特定部109は、運行ダイヤ取得部101が取得した運行ダイヤから所定の閾値以上遅延して走行している車両を特定する。
走行パターン変更部111は、全ての車両の運行に用いる走行パターンを変更する。
【0087】
次に、車両の遅延が発生したときの、本実施形態による運行管理装置の動作について説明する。
遅延車両特定部109は、初回の走行パターンの特定をしたときに上述したステップS1において運行ダイヤ取得部101が取得した運行ダイヤと、現在時刻における各車両の位置とを比較し、遅延車両が存在するか否かを判定する。遅延車両特定部109が、遅延車両が存在すると判定した場合、運行管理装置は、第1の実施形態に示したステップS1〜ステップS19の処理を実行することで、走行パターンを特定する。そして、走行パターン変更部111は、全ての車両の走行パターンを走行パターン特定部107が特定した走行パターンに変更する。
【0088】
このように、本実施形態によれば、走行パターン変更部111は、遅延車両特定部109が遅延車両を特定した場合に、走行パターン生成部103、制限速度フィルタ部105、及び走行パターン特定部107の処理により新たに全ての車両の運行に用いる走行パターンを特定し、各車両の走行パターンを当該走行パターンに変更する。これにより、実際の運行中に車両の遅延が発生したときに、全ての車両の走行パターンを、消費電力量が最小となる走行パターンに変更することができる。
【0089】
《第6の実施形態》
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
図11は、本発明の第6の実施形態による運行管理装置の構成を示す概略ブロック図である。
第6の実施形態による運行管理装置は、第1の実施形態による運行管理装置の構成に加えて重量増減特定部112及び走行パターン変更部111を備え、走行パターン生成部103及びシミュレータ部106の動作が異なるものである。
【0090】
重量増減特定部112は、車両の重量の増減を特定する。
走行パターン変更部111は、重量増減特定部112が特定した車両の重量の増減に基づいて、当該車両の運行に用いる走行パターンを変更する。
【0091】
次に、車両の重量の変化が発生したときの、本実施形態による運行管理装置の動作について説明する。
図12は、本発明の第6の実施形態による運行管理装置の動作を示すフローチャートである。
【0092】
運行管理装置が車両の重量の変化による走行パターンの見直し処理を開始すると、まず、重量増減特定部112は、重量が変化した車両と、当該車両の重量とを特定する(ステップS301)。次に、加減速度特定部102は、ステップS301で特定した車両の力行及び制動により実現できる複数の加減速度パターンを選択する(ステップS302)。なお、ステップS302で加減速度特定部102が選択する加減速度パターンは、予め車両の重量に応じて用意されたものであり、初回の走行パターンの特定におけるステップS2で特定するパターン数より少ないものである。これにより、計算量を少なくし、短時間で走行パターンの変更を行うことができる。また、ステップS302で選択する加減速度のパターンはステップS2において特定される加減速度パターンと比較して少ないため、遺伝的アルゴリズムによらずに走行パターンの策定を行うことができる。
【0093】
次に、運行管理装置は、重量増減特定部112が特定した車両について、加減速度特定部102が選択した全ての加減速度パターンについて、以下に示すステップS303〜ステップS305の処理を繰り返し実行する。
【0094】
まず、走行パターン生成部103は、加減速度特定部102が選択した加減速度パターンを用いて、運行ダイヤが示す各駅の発着時刻を満たすように、式(1)及び式(2)に従って加速時間及び減速時間を特定して走行パターンを生成する(ステップS303)。
【0095】
次に、制限速度フィルタ部105は、走行パターン生成部103が算出した最高速度が、制限速度記憶部104が記憶する当該区間における制限速度以下であるか否かを判定する(ステップS304)。制限速度フィルタ部105は、最高速度が制限速度以下であると判定した場合(ステップS304:YES)、走行パターン生成部103が生成した走行パターンをシミュレーションの対象として抽出する(ステップS305)。他方、制限速度フィルタ部105は、最高速度が制限速度を超えると判定した場合(ステップS304:NO)、当該走行パターンをシミュレーションの対象としない。
【0096】
上述したステップS303〜ステップS304の処理により、重量増減特定部112が特定した車両についてのシミュレーションの対象となる走行パターンを抽出すると、シミュレータ部106は、当該車両及び当該車両と同一の電源から電力の供給を受ける他の車両について走行シミュレーションを行い、各時刻における消費電力量を算出する(ステップS306)。なお、シミュレータ部106は、シミュレーションを行う際、重量増減特定部112が特定した車両と同一の電源から電力の供給を受ける他の車両の走行パターンとして、第1の実施形態に示すステップS19において走行パターン特定部107が特定した走行パターンを用いる。
そして、走行パターン特定部107は、シミュレータ部106が算出した消費電力量が最小となる走行パターンを特定し、走行パターン変更部111は、重量増減特定部112が特定した車両の走行パターンを当該走行パターンに変更する(ステップS307)。
【0097】
このように、本実施形態によれば、走行パターン変更部111は、重量増減特定部112が特定した車両の重量の増減に基づいて、当該車両の運行に用いる走行パターンを変更する。これにより、実際の運行中に車両の重量の変化が発生したときにも、消費電力量が最小となるよう当該車両の走行パターンを変更することができる。
【0098】
なお、本実施形態では、重量の増減が発生したときに走行パターンのシミュレーションを行う場合について説明したが、これに限られない。例えば、重量パターンに応じた運行パターンを予め計算しておき、重量の変化が発生したときに重量を測定し、予め計算した運行パターンに重量を当て嵌めることで、運行パターンを決定することで、車両の実際の運行中にシミュレーションを行わずに走行パターンを変更するようにしても良い。
【0099】
《第7の実施形態》
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。
図13は、本発明の第7の実施形態による運行管理装置の構成を示す概略ブロック図である。
第7の実施形態による運行管理装置は、第1の実施形態による運行管理装置の構成に加えて車両の重量の増減を特定する重量増減特定部112を備えるものである。
【0100】
次に、車両の遅延が発生したときの、本実施形態による運行管理装置の動作について説明する。
重量増減特定部112は、各車両の重量を監視し、重量の増減が発生した車両が存在するか否かを判定する。重量増減特定部112が、重量の増減が発生した車両が存在すると判定した場合、運行管理装置は、第1の実施形態に示したステップS1〜ステップS19の処理を実行することで、走行パターンを特定する。そして、走行パターン変更部111は、全ての車両の走行パターンを走行パターン特定部107が特定した走行パターンに変更する。
【0101】
このように、本実施形態によれば、走行パターン変更部111は、重量増減特定部112が車両の重量の増減を特定したときに、走行パターン生成部103、制限速度フィルタ部105、及び走行パターン特定部107の処理により全ての車両の運行に用いる走行パターンを特定する。これにより、実際の運行中に車両の重量の増減が発生したときに、全ての車両の走行パターンを、消費電力量が最小となる走行パターンに変更することができる。
【0102】
以上、図面を参照してこの発明のいくつかの実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0103】
なお、上述の運行管理装置は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0104】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0105】
101…運行ダイヤ取得部 102…加減速度特定部 103…走行パターン生成部 104…制限速度記憶部 105…制限速度フィルタ部 106…シミュレータ部 107…走行パターン特定部 108…損失算出部 109…遅延車両特定部 110…隣接車両特定部 111…走行パターン変更部 112…重量増減特定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既定の経路を走行する車両の運行を管理する運行管理装置であって、
前記車両の力行及び制動により実現できる加速度及び減速度の組み合わせを複数特定する加減速度特定部と、
前記加減速度特定部が特定した加速度及び減速度の組み合わせのそれぞれに対して、前記経路の所定区間をある走行時間で走行するために要する加速時間と減速時間の組み合わせを特定することで、加速度及び減速度並びに加速時間及び減速時間の組み合わせからなる走行パターンを生成する走行パターン生成部と、
前記走行パターン生成部が生成した走行パターンのうち、当該走行パターンの加速時間の間、当該走行パターンの加速度で走行した場合に、最高速度が所定の制限速度以内となる走行パターンを抽出する制限速度フィルタ部と、
前記制限速度フィルタ部が抽出した走行パターンのうち、走行に要する消費電力が最小となるものを、当該車両の運行に用いる走行パターンとして特定する走行パターン特定部と
を備えることを特徴とする運行管理装置。
【請求項2】
前記加減速度特定部は、複数の車両について前記加速度及び減速度の組み合わせを複数特定し、
前記走行パターン特定部は、前記制限速度フィルタ部が抽出した走行パターンのうち、同一の電源から電力の供給を受ける複数の車両が加速に要する消費電力と当該複数の車両の減速によって発生する回生電力との差が最小となるものを、各車両の運行に用いる走行パターンとして特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の運行管理装置。
【請求項3】
前記車両が前記経路に設けられた基準地点に到達すべき時刻を示す運行計画情報を取得する運行計画取得部を備え、
前記走行パターン生成部は、前記加減速度特定部が特定した加速度及び減速度の組み合わせのそれぞれに対して、前記運行計画取得部が取得した運行計画情報が示す隣接する基準地点の間の区間を、一方の基準地点に到達すべき時刻と他方の基準地点に到達すべき時刻との差の走行時間で走行するために要する加速時間と減速時間の組み合わせを特定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の運行管理装置。
【請求項4】
前記走行パターン生成部は、前記運行計画取得部が取得した運行計画情報が示す隣接する基準地点の間の区間内に前記制限速度が異なる区間が存在する場合、前記一方の基準地点から当該制限速度が切り替わる地点までの区間と、当該制限速度が切り替わる地点から前記他方の基準地点までの区間について、前記加減速度特定部が特定した加速度及び減速度の組み合わせのそれぞれに対して、各区間の合計走行時間が前記一方の基準地点に到達すべき時刻と前記他方の基準地点に到達すべき時刻との差の走行時間となるような加速時間と減速時間の組み合わせを特定する
ことを特徴とする請求項3に記載の運行管理装置。
【請求項5】
前記走行パターン生成部は、前記加減速度特定部が特定した加速度及び減速度の組み合わせのそれぞれに対して、前記経路の所定区間を、当該区間の走行目標時間より所定の猶予時間だけ早い時間以上かつ前記走行目標時間より所定の猶予時間だけ遅い時間以下の走行時間で走行するために要する加速時間と減速時間の組み合わせを特定する
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の運行管理装置。
【請求項6】
前記経路の所定区間の走行目標時間からの複数の超過時間に基づいて、当該超過時間だけ前記車両が遅延したときに発生する損失を算出する損失算出部を備え、
前記走行パターン生成部は、前記加減速度特定部が特定した加速度及び減速度の組み合わせ、及び前記複数の超過時間のそれぞれに対して、前記経路の所定区間を当該区間の走行目標時間に前記超過時間を加算した走行時間で走行するために要する加速時間と減速時間の組み合わせを特定し、
前記走行パターン特定部は、前記制限速度フィルタ部が抽出した走行パターンのうち、走行に要する消費電力に対する費用と前記損失算出部が算出した損失との差が最小となるものを、当該車両の運行に用いる走行パターンとして特定する
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の運行管理装置。
【請求項7】
前記走行時間を所定の閾値以上遅延して走行している車両を特定する遅延車両特定部と、
前記遅延車両特定部が特定した車両の走行遅延量に基づいて、他の車両の運行に用いる走行パターンを変更する走行パターン変更部と
を備えることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の運行管理装置。
【請求項8】
前記遅延車両特定部が特定した車両と同一の電源から電力の供給を受けている車両を特定する隣接車両特定部を備え、
前記走行パターン変更部は、前記遅延車両特定部が特定した車両の走行遅延量に基づいて、前記隣接車両特定部が特定した車両の運行に用いる走行パターンを変更する
ことを特徴とする請求項7に記載の運行管理装置。
【請求項9】
前記走行パターン変更部は、前記遅延車両特定部が特定した場合に、前記走行パターン生成部、前記制限速度フィルタ部、及び前記走行パターン特定部の処理により新たに全ての車両の運行に用いる走行パターンを特定する
ことを特徴とする請求項7に記載の運行管理装置。
【請求項10】
前記車両の重量の増減を特定する重量増減特定部と、
前記重量増減特定部が特定した車両の重量の増減に基づいて、当該車両の運行に用いる走行パターンを変更する走行パターン変更部
を備えることを特徴とする請求項1から請求項9の何れか1項に記載の運行管理装置。
【請求項11】
前記走行パターン変更部は、前記重量増減特定部が前記車両の重量の増減を特定したときに、前記走行パターン生成部、前記制限速度フィルタ部、及び前記走行パターン特定部の処理により全ての車両の運行に用いる走行パターンを特定する
ことを特徴とする請求項10に記載の運行管理装置。
【請求項12】
既定の経路を走行する車両の運行を管理する運行管理装置を用いた運行管理方法であって、
加減速度特定部は、前記車両の力行及び制動により実現できる加速度及び減速度の組み合わせを複数特定し、
走行パターン生成部は、前記加減速度特定部が特定した加速度及び減速度の組み合わせのそれぞれに対して、前記経路の所定区間をある走行時間で走行するために要する加速時間と減速時間の組み合わせを特定することで、加速度及び減速度並びに加速時間及び減速時間の組み合わせからなる走行パターンを生成し、
制限速度フィルタ部は、前記走行パターン生成部が生成した走行パターンのうち、当該走行パターンの加速時間の間、当該走行パターンの加速度で走行した場合に、最高速度が所定の制限速度以内となる走行パターンを抽出し、
走行パターン特定部は、前記制限速度フィルタ部が抽出した走行パターンのうち、走行に要する消費電力が最小となるものを、当該車両の運行に用いる走行パターンとして特定する
ことを特徴とする運行管理方法。
【請求項13】
既定の経路を走行する車両の運行を管理する運行管理装置を、
前記車両の力行及び制動により実現できる加速度及び減速度の組み合わせを複数特定する加減速度特定部、
前記加減速度特定部が特定した加速度及び減速度の組み合わせのそれぞれに対して、前記経路の所定区間をある走行時間で走行するために要する加速時間と減速時間の組み合わせを特定することで、加速度及び減速度並びに加速時間及び減速時間の組み合わせからなる走行パターンを生成する走行パターン生成部、
前記走行パターン生成部が生成した走行パターンのうち、当該走行パターンの加速時間の間、当該走行パターンの加速度で走行した場合に、最高速度が所定の制限速度以内となる走行パターンを抽出する制限速度フィルタ部、
前記制限速度フィルタ部が抽出した走行パターンのうち、走行に要する消費電力が最小となるものを、当該車両の運行に用いる走行パターンとして特定する走行パターン特定部
として機能させるためのプログラム。
【請求項14】
請求項1から請求項11の何れかに記載の運行管理装置を備えた交通システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−107449(P2013−107449A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252705(P2011−252705)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】