説明

運行管理装置

【課題】運転者が労働基準法で定める条件を満たす運転とすることができる運行管理装置を得るにある。
【解決手段】運送業者の車両に取付けられたデジタルタコグラフ本体5と、このデジタルタコグラフ本体とネットワークを介して接続された運行管理装置本体46と、運行管理装置本体に備えられた前記デジタルタコグラフ本体から取得した運行データより労働状態データを算出することができる労働状態算出装置と、労働状態算出装置に接続された前記労働状態算出装置で算出した労働状態データより運送業者の車両の運転者の労働条件が労働基準法で定める条件を満たしているか判定する労働基準法遵守判定装置と、この労働基準法遵守判定装置により判定された判定結果を前記運行管理装置本体より受信し労働基準法に違反する前に表示し運転者に知らせることができる伝達装置7とで運行管理装置1を構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタコグラフの設置が義務付けされたタクシー、バス、トラック等の運送業者の車両に労働基準法を遵守した運行を促進する運行管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のデジタルタコグラフは運行データ(時間、距離、速度の法定3要素)の全てを数値で記録を取りメモリーカードに記録し、業務終了後、運行データをパソコンに読み取り、運行管理者が解析ソフトウェアで運転の安全性や経済性を解析するものであった。
【0003】
このようにデジタルタコグラフは運送の経済性や安全性の観点から普及、改良が進んでいるが、自動車運転者の労働時間その他の労働条件については、それらが交通事故の要因となる場合が多いため、事故防止対策の一環として、平成元年2月「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(労働省告示第7号)(以下、労働基準法と称する)」が発令され、その後平成3年・平成4年の改正を経て平成9年1月30日付け労働省告示第4号により一部改正が行われ、平成13年8月20日国土交通省大臣告示第1365号として定められた。本願出願時における概要を図32および以下に示す。
【0004】
拘束時間
拘束時間とは、出庫時刻から帰庫時刻までの時間であり休憩時間も含むものである。休憩時間とは、車速0km/hの状態が継続して10分以上である時間の合計である。拘束時間は、1日13時間(最大16時間、15時間超えは週2回まで)、1ヶ月293時間(労使協定があるときは、1年のうち6ヶ月までは、1年についての拘束時間が3516時間を超えない範囲内において320時間まで延長可)。
【0005】
休息期間
休息期間とは、帰庫時刻から翌出庫時刻までの期間である。休息期間は継続8時間以上で、運転者の住所地での休息期間がそれ以外の場所での休息期間より長くなるように努める(1日の定義は出庫から24時間)。
【0006】
休日
休日は休息期間+24時間の連続した時間(いかなる場合であっても30時間を下回ってはならない)であり、2週間に1回は取得しなければならない。
【0007】
運転時間
1日の運転時間は9時間(2日間の平均)、1週間の運転時間は44時間(2週間の平均)。一度の連続運転は4時間以内(運転中断には、1回連続10分以上、かつ、合計30分以上の運転離脱が必要)。
【0008】
休日労働
休日労働は2週間で1回以内。
【0009】
時間外労働
時間外労働は1日、2週間、1ヶ月以上3ヶ月、1年の上限を労使協定で結ぶ。なお、緊急輸送・危険物輸送等の業務については厚生労働省労働基準局長の定めにより適用除外。
【0010】
また、拘束時間・休息期間の特例として以下の特例が存在する。
【0011】
休息期間の特例
業務の必要上やむを得ない場合に限り、当分のあいだ1回4時間以上の分割休息で合計10時間以上でも可(一定期間における前勤務回数の1/2が限度)。
【0012】
2人乗務の特例
2人乗務(ベッド付き)の場合、最大拘束時間は1日20時間まで延長でき、休息時間は4時間まで短縮できる。
【0013】
隔日勤務の特例
2週間で3回までは24時間が可能(夜間4時間の仮眠が必要)。ただし、2週間で総拘束時間は126時間まで。勤務終了後、継続20時間以上の休息期間が必要。
【0014】
フェリーに乗船する場合の特例
乗船中の2時間は拘束時間として取り扱い、それ以外は休息期間として扱う。減算後の休息期間は、フェリー下船から勤務終了時までの時間の1/2を下回ってはならない。
特例の組み合わせについては、2人乗務の時の分割休息とフェリー乗船時の分割休息は共に適用しない。
【0015】
貨物自動車運送事業者の労働基準法の遵守状況は、図33に示すように十分ではなく、そのため図34に示す通り、文書警告や車両停止処分または事業停止処分を受ける状況にある。
【0016】
特に平成17年度は、JR西日本福知山線脱線事故の例に代表されるように航空、海運事業者においてもヒューマンエラーによる重大事故やトラブルが続発し、そのため国土交通省は運輸のより一層の安全の確保を図るために平成18年10月から運輸安全マネジメント制度を開始し、また平成21年3月に「事業用自動車総合安全プラン2009」を公表し、重点施策の1つとしてデジタルタコグラフの活用による運行管理の高度化に重点を置いている。
【0017】
しかし、現在のデジタルタコグラフは運転者の運転操作中に労働基準法の遵守状況を監視し、労働基準法の遵守をリアルタイムに促進する技術的な仕組みは備えていない。
そのため、図34に示したように貨物自動車運送事業者は労働基準法の遵守に大変困難な状況にあると言える。特に労働基準法は運転者の拘束時間、休息期間、運転時間、連続運転時間、休日労働、休日の取り扱いなどについての条件や例外条件の時間や回数を定めているが、これらの条件の時間や回数は運転者の日々の労働により更新される。
【0018】
そのため運行管理者が日々の運転者の労働実績を確実に把握し、労働基準法を正確に遵守するように翌日の運転者の運行計画を立案することは大変困難である。
同様に運転者も自分の労働について大体は把握しているが、日々の労働の時間や回数を正確に把握し、それらに基づいて労働基準法の定める条件を満たしているか否かを複雑な計算をし、判断することは大変困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開平5−124454
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、運転者に労働基準法で定める条件を満たすような運転ができるように伝達装置で遵守を促し、安全運転は勿論、伝達装置に表示された内容を守ることにより、運転者が労働基準法で定める条件を満たす運転とすることができる運行管理装置を提供することを目的としている。
【0021】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために、本発明はタコグラフの設置が義務付けされた運送業者の車両に取付けられたデジタルタコグラフ本体と、このデジタルタコグラフ本体とネットワークを介して接続された運行管理装置本体と、この運行管理装置本体に備えられた前記デジタルタコグラフ本体からネットワークを介して取得した運行データより労働状態データを算出することができる労働状態算出装置と、この労働状態算出装置に接続された前記労働状態算出装置で算出した労働状態データより運送業者の車両の運転者の労働条件が労働基準法で定める拘束時間、拘束時間残余、休息期間、休息期間残余、運転時間、運転時間残余、連続運転時間、連続運転時間残余、休憩時間、休憩時間残余、累積休憩時間、運転中断に必要な休憩時間残余、時間外労働時間、時間外労働時間残余、休日取得、休日取得の期限のうち少なくとも1項目以上の条件を満たしているか判定する労働基準法遵守判定装置と、この労働基準法遵守判定装置により判定された拘束時間、拘束時間残余、休息期間、休息期間残余、運転時間、運転時間残余、連続運転時間、連続運転時間残余、休憩時間、休憩時間残余、累積休憩時間、運転中断に必要な休憩時間残余、時間外労働時間、時間外労働時間残余、休日取得、休日取得の期限のうち少なくとも1項目以上の判定結果を前記運行管理装置本体より取得し労働基準法に違反する前に表示し運転者に知らせることができる伝達装置とで運行管理装置を構成している。
【発明の効果】
【0023】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1によって、労働基準法で定める条件を満たすための運転条件を知ることができる。
したがって、出庫から交通状態等で逐次変化する運行予定を運転者が伝達装置で知ることができ、難しい労働基準法で定める条件の計算が不要で、運転者に負担をかけることなく、労働基準法の遵守を促すことができる。
(2)前記(1)によって、労働基準法遵守判定装置で算出されたデータを伝達装置で運転者が容易に確認できるので、運転者の独自の判断により運行計画を変更することを防止し、運転者に運行会社が計画した法律に基づいた運行計画を遵守するよう促すことができる。
(3)請求項2、3も前記(1)〜(2)と同様な効果が得られる。
(4)請求項4も前記(1)〜(2)と同様な効果が得られるとともに、伝達装置のモニターと音声表示器によって、目と耳とで運送業者の車両運転者の労働基準法で定める条件を満たすための条件を確実に知ることができる。
(5)請求項5も前記(1)〜(2)と同様な効果が得られるとともに、運送業者の車両の運転者に個別に条件を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の説明図。
【図2】本発明を実施するための第1の形態のブロック図。
【図3】本発明を実施するための第1の形態のデジタルタコグラフ本体の説明図。
【図4】本発明を実施するための第1の形態の労働情報入力装置の説明図
【図5】本発明を実施するための第1の形態の通常勤務の状態遷移図
【図6】本発明を実施するための第1の形態のプログラムフローチャート図。
【図7】本発明を実施するための第1の形態の休息取得判定フローチャート図。
【図8】本発明を実施するための第1の形態の隔日勤務の休息取得判定フローチャート図。
【図9】本発明を実施するための第1の形態の2人乗務の休息取得判定フローチャート図。
【図10】本発明を実施するための第1の形態の休息取得に対する警告例を示す図。
【図11】本発明を実施するための第1の形態の休日取得判定フローチャート図。
【図12】本発明を実施するための第1の形態の休日取得に対する警告例を示す図。
【図13】本発明を実施するための第1の形態の拘束時間判定フローチャート図。
【図14】本発明を実施するための第1の形態の隔日勤務の拘束時間判定フローチャート図。
【図15】本発明を実施するための第1の形態の拘束時間算出フローチャート図。
【図16】本発明を実施するための第1の形態の拘束時間に対する警告例を示す図。
【図17】本発明を実施するための第1の形態の運転時間判定フローチャート図。
【図18】本発明を実施するための第1の形態の運転時間に対する警告例を示す図。
【図19】本発明を実施するための第1の形態の伝達装置の表示状態を示す説明図。
【図20】本発明を実施するための第2の形態の説明図。
【図21】本発明を実施するための第2の形態のブロック図。
【図22】本発明を実施するための第2の形態の労働情報入力装置の説明図。
【図23】本発明を実施するための第3の形態の説明図。
【図24】本発明を実施するための第3の形態のブロック図。
【図25】本発明を実施するための第4の形態の説明図。
【図26】本発明を実施するための第4の形態のブロック図。
【図27】本発明を実施するための第6の形態の伝達装置の表示状態を示す説明図。
【図28】本発明を実施するための第5の形態の説明図。
【図29】本発明を実施するための第5の形態のブロック図。
【図30】本発明を実施するための第6の形態の説明図。
【図31】本発明を実施するための第6の形態のブロック図。
【図32】自動車運転手の労働時間改善のための基準の概要を示す図。
【図33】改善基準に係る監督指導実施状況(道路貨物運輸業)を示す図。
【図34】貨物自動車運送事業者に対する監査及び処分状況を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。なお、本発明を実施するための形態では、トラック運転者の労働条件を例に説明する。
【0026】
図1ないし図19に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は本発明の運行管理装置で、この運行管理装置1はタコグラフの設置が義務付けされた運送業者の車両2に時間、距離、速度の運行データが取れるように取付けられた、運転席3のコンソールパネル4に配置されたデジタルタコグラフ本体5と、このデジタルタコグラフ本体5に接続された労働情報入力装置6と、前記デジタルタコグラフ本体5に接続された前記コンソールパネル4に取付けられた伝達装置7と、前記デジタルタコグラフ本体5にネットワーク13を介して接続された運送業社の事業所に設置された運行管理装置本体46で構成されている。
【0027】
前記デジタルタコグラフ本体5は図3に示すように、運行データ(運転時間、距離、速度の法定3要素)を記録する記録部17と、該記録部17より取得した運行データおよび労働情報入力装置6により入力された運転者の労働状態をネットワーク13を介して運送業社の事業所に設置された運行管理装置本体46に送信でき、かつ、前記運行管理装置本体46にて判定された判定結果を受信できる送受信部47とより構成されている。
【0028】
前記運行管理装置本体46は、デジタルタコグラフ本体5よりネットワーク13を介して受信した運行データより拘束時間や運転時間等の労働状態データを算出する労働状態算出装置8と、この労働状態算出装置8と連携した運送業者の車両2の運転者の労働基準法で定める労働条件が記録され、前記労働状態算出装置8が算出した労働状態データにより、労働基準法で定める条件を満たすかどうか判定する労働基準法遵守判定装置9と、前記労働状態算出装置8および労働基準法遵守判定装置9と連携し、運転者の現在の状態を監視する労働状態監視制御装置44と、前記運行データおよび労働情報入力装置6により入力された運転者の労働状態を受信でき、かつ、前記労働基準法遵守判定装置9で判定した判定結果を送信できる送受信部48で構成されている。
【0029】
前記労働状態算出装置8は記録部17より運行データおよび労働状態をネットワーク13を介して取得して、拘束時間や運転時間等の労働状態データを算出し、その算出結果および状態を労働基準法遵守判定装置9へ送る装置である。労働状態算出部のポイントは、元となる時間を何にするかである。休息期間と拘束時間の関係は、24時間=休息期間+拘束時間である。休息期間は勤務と次の勤務の間の時間であり、拘束時間は始業時刻から終業時刻までの時間である。ともに生データとして入手できる。そのため、どちらも元となる時間と考えることができるが、図32の労働基準法が定める時間の概要を踏まえると、休息時間が元となる時間である。
【0030】
その理由は、拘束時間の決定は、終業時にするのではなく、始業から24時間を持って算出されるため、例えば月曜日に午前8時から始業し、火曜日は午前6時から始業した場合は、火曜日の午前8時までが月曜日の拘束時間となるためである。そのため、火曜日の午前6時から午前8時までの2時間の拘束時間は月曜日の拘束時間に繰り込まれることになる。
【0031】
結果として、始業時刻から終業時刻までの時間が拘束時間であるという前記の定義はこの場合成立しない。つまり、始業時刻から終業時刻までの時間が拘束時間という定義は成立する場合もあれば、成立しない場合もある。そのため、絶対的な元となる時間としては使用できない。それに対して休息期間の定義は常に成立する。このため、図32の労働基準法の遵守を監視制御する場合に元となる時間は休息期間である。本発明の運行管理装置1は元となる時間として休息期間を採用している。
【0032】
前記労働状態監視制御装置44は本発明の主要部を成すものであり、ポイントは図32の労働基準法を「運転者の状態の遷移」というソフトウェア設計で用いられている状態遷移図という技術から捉えることである。
【0033】
具体的にいえば、ソフトウェア設計のモデリング言語であるUMLの状態遷移図を用いて図32の労働基準法を表現することである。この例を図5に示す。図5は図32の労働基準法の定める運転者の労働状態を正確に表現している。
【0034】
これにより図32の労働基準法が定める労働時間を状態遷移図に表現することができる。このように状態遷移図により運転者の労働状態の遷移と状態の時間を表現できることから、運転者の労働状態を監視制御できるようになる。
【0035】
具体的に言えば、図6から図18のフローチャートに示す通り、労働基準法の遵守状況を判定し、遵守を促進する警告メッセージを発することができるようになる。
【0036】
この判定は労働基準法判定装置9が行うが、その基本となる労働基準法の定める運転者の状態を把握し、監視制御するのが労働状態監視制御装置44である。
【0037】
つまり労働状態監視制御装置44は運転者が現在、図5に示す状態遷移図のどの状態に置かれているかを労働状態算出装置8の労働状態算出データから判定し、その労働状態が労働基準法を遵守しているかを労働基準法判定装置9に判定させる装置である。労働基準法遵守判定装置9は特例等を含めた判定をすることができる。
【0038】
前記の労働状態監視制御装置44で説明したように図32の労働基準法を運転者の状態遷移図と視点から捉えることにより、文章で表現された労働基準法をフローチャートによる表現することができる。
【0039】
このフローチャートにより遵守の状況を判定するのが、労働基準法遵守判定装置9である。以下、図6から図18に示す通りであるが、これらの説明の前に、発明の重要なポイントである状態遷移図と労働状態監視制御装置44について更に説明する。
【0040】
説明のポイントは、フローチャートで遵守状況を判定できるにも関わらず、なぜ状態遷移図により労働基準法を表現したのか、また労働状態監視制御装置44については、労働基準法遵守判定装置9により遵守状況を判定するにも関わらず、なぜ労働状態監視状制御装置44を設けたのかについて説明する。
【0041】
結論を最初に言えば、これらの理由は図33に示すように労働基準法は大変複雑であるためである。この複雑性を解決するために状態遷移図と労働状態監視状制御装置44を用いた。
【0042】
労働基準法の複雑さを具体的に言えば、1.休息期間の特例 2.2人乗務の特例 3.隔日勤務の特例 4.フェリーに乗船する特例と、4つの特例があることである。この4つの特例が複雑性の原因である。
【0043】
具体的に言えば、図7、図8、図9に示す休息取得判定のフローチャートの通り、休息期間は図7に示すように「休息期間=翌出庫時刻−帰庫時刻」であり、特例のないケースは、図7に示すように休息期間は「継続8時間以上か否かの判定」だけであり単純である。しかし4つの特例を考慮すると、図7に加えて、図8の隔日勤務のケース、図9の2人乗務のケース、また、それぞれの中にフェリー乗船のケース、分割休息のケースの判定を含めるため大変複雑となる。
【0044】
このように4つの特例のためフローチャートは大変複雑となる。そのため、これらのフローチャートすべてを直感的に理解することは大変困難となる。そしてこの困難さは、素朴で、そして素直な疑問と不安を生み出す。それは、これらのフローチャートは本当に正しいのかという疑問、不安である。この疑問、不安は労働基準法を遵守しているか否かを判定する発明のデジタルタコグラフにとって大変シリアスであり、これに解決策を提供しなければならない。
【0045】
この解決策が状態遷移図である。状態遷移図は、複雑な動作を単純に、しかし正確に表現する技術であり、前記の通りソフトウエア設計のモデリング言語であるUMLで用いられている。ただし、その重要性は単純な動作の時には認識されない。具体的に言えば、図5に示すように、特例のないケースでは、家庭休息と拘束の2つの状態が存在するが、一般的にこの2つの状態を意識することはない。家庭での休息は当たり前であり、日常生活で家庭休息という状態を意識することはない。また、勤務時については労働と休憩という2つの状態があり、労働については更にその中に作業と待機という2つの状態があり、更に作業には、運転、停止、そして停止から荷積み、荷卸、フェリー乗船、更には、図4に示すように、洗車・整備・給油の状態があるが、これはすべて拘束状態という1つの状態にある。1つの状態にあるということは、人間は普通その状態を意識しない。
【0046】
つまり、運転者の状態は、運転や荷積みや荷卸、また待機や休憩という状態を考えることはできても、それらはすべて拘束状態にあるとは意識しない。つまり特例のない単純なケースでは、状態とその遷移、つまり状態遷移図というものを考える必要はない。しかし、特例のあるケースは、そうではない。特例の特徴を最も端的に示すのが、状態である。
【0047】
具体的に言えば、図5に示すように、運転状態から4時間以上の分割休息状態、フェリー乗船状態からフェリー休息状態というように共に、拘束状態から休息状態に遷移することである。このことを明確に示すことができるのが状態遷移図である。状態遷移図には、更にもう1つの重要な利点がある。それは図5に示すように、運転者の休息、休日、拘束、そして拘束は労働と休憩、更に労働は作業と待機というように、運転者のすべての状態を網羅することである。言うまでもないが、労働基準法は運転者のすべての状態を網羅し、その状態の時間を決めている。
【0048】
この労働基準法の運転者のすべての状態とその時間を網羅することと状態遷移図の網羅性はまさに一致するものである。この一致に着目して、状態遷移図により労働基準法を表現した。具体的に言えば図5である。図5のように状態遷移図により表現できる動作は、コンピュータサイエンスやソフトウエア工学、また現実にUMLのモデリング言語が教え示すようにソフトウエアとして取り扱うことができる。このソフトウエアの動作を示すのが前記のフローチャートである。つまり、図5の状態遷移図からフローチャートを作成することにより、このフローチャートに妥当性を与えることができる。これにより、前記のフローチャートに対する疑問、不安を解決できる。これが労働基準法を状態遷移図により表現する利点である。
【0049】
次に労働状態監視制御装置44について説明する。説明を分かり易くするために労働状態監視状制御装置44の必要性を、それがない場合について、分割休息を例に説明する。例として運転者が図4に示す労働情報入力装置6の分割休息開始ボタンを押し、分割休息に入り十分疲れも取れ、また4時間も過ぎたと思い、分割休息終了ボタンを押し運転を始めたとする。この時に、労働状態算出装置8は分割休息開始ボタンが押された時刻と分割休息終了ボタンが押された時刻から休息期間を算出し、それを労働基準法判定装置9に送り判定する。
【0050】
判定結果は、休息期間が3時間59分のため分割休息にはならず、また合計の分割休息期間も9時間59分のため労働基準法を遵守していないと判定されるとする。この場合、わずか1分足らないが、労働基準法を遵守していない。そのため何のために3時間59分の休息をとったのか運転者としても不満が残るであろう。この問題を解決するのが労働状態監視状制御装置44である。つまり、分割休息の状態を監視しその時間を計測し、休息期間が労働基準法を満たすように運転者に通知することである。これによりこの問題を解決することができる。なお1分足らないために労働基準法を遵守していないと監督機関に指摘されることは現実にあるケースである。
【0051】
ここで重要なことは、デジタルタコグラフ1が運転者の労働状態を認識し、その状態が労働基準法を遵守するように通知し、率直に言えば、運転者の状態を制御することである。そのためには、労働状態監視制御装置44は正確に労働基準法を理解していることが必要であり、具体的に言えば、図5の状態遷移図に基づくことである。労働監視制御装置44は図5の状態遷移図に基づく。そのため前記の分割休息の特例についても適切に対応し1分足らないという問題が起きないようにすることができる。労働監視制御装置44の必要性の2番目の理由は、図4の遵守状況確認ボタンを押された時に必要となることである。
【0052】
運転者は残余の拘束時間や連続運転時間、また前記の取得しなければならない残余の分割休息期間や翌出庫可能時刻を今後の仕事の予定を考えるために必要となる。特に残余の分割休息期間や翌出庫可能時刻は運転者にとって仕事の段取りや翌日は何時に出社しなければならないかを知るために大変重要な情報である。翌出庫時刻については特例がないケースでは8時間の家庭休息のため算出は簡単であるが、特例の場合は、例えばフェリー乗船の場合は、8時間からフェリー休息期間を減じ、また減算後の休息期間はフェリー下船から勤務終了時までの1/2を下回ってはならないため、これらの計算を行う必要があるが、ここで重要なことはフェリー乗船という状態を認識することである。そのため労働状態監視制御装置44は必要である。次に労働基準法遵守判定装置9の判定のフローチャートについて説明する。
【0053】
図6は全体のフローチャートである。ここで重要な事は、出庫時に判断することである。この理由は前記の労働状態算出装置8で説明したように、労働基準法の判断は終業時に行うのではなく、始業時に行うためである。
【0054】
具体的に言えば、出庫時に元となる休息期間を算出し、遵守状況を判定し、次に休日時間の算出と判定、次に拘束時間の算出と判定と進み、運転中は運転時間や拘束時間、また停止中の荷積むや荷卸時間の算出と判定というフローになっている。
以上が全体のフローである。次に休息期間、休日取得、拘束時間、運転時間という労働基準法の定める4つの重要な項目に関してフローチャートによる労働基準法遵守促進のフローを説明する。
【0055】
休息期間の判定フロー
運転者が労働情報入力装置6により出庫情報を入力すると、その状態およびデジタルタコグラフ本体5の内部時計18より出庫時刻を労働状態算出装置8へ送信する。また、労働状態算出装置8は前回の帰庫時刻および出庫時刻より休息期間を算出し労働基準法遵守判定装置9に送り、判定させる。労働基準法遵守判定装置9は図7に示すように、最初に隔日勤務であるか、1人乗務であるかについて判定する。隔日勤務、1人乗務でない場合のフローは後述する。
【0056】
次に、運転者がフェリーに乗船したかについて判定する。フェリーに乗船していない場合、分割休息を取得したかどうか判定する。分割休息を取得していない場合、算出された休息期間が8時間以上であるか判定する。この結果、労働基準法遵守判定装置9は、休息期間が8時間以上であれば休息期間は労働基準法を遵守していると判定し、一方、休息期間が8時間未満の場合、労働基準法遵守判定装置9は休息期間は労働基準法を遵守していないと判定し、「休息期間の警告1」の判定結果をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示する。
【0057】
分割休息を取得した場合、1回4時間以上の分割休息で合計10時間以上の休息期間があるか判定する。この結果、1回4時間以上の分割休息で合計10時間以上の休息期間がある場合は、休息期間は労働基準法を遵守していると判定する。1回4時間以上の分割休息で合計10時間以上の休息期間がない場合、労働基準法遵守判定装置9は、該休息期間は労働基準法を遵守していないと判定し、「休息期間の警告2」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示する。
【0058】
運転者がフェリーに乗船した場合、労働基準法遵守判定装置9は休息期間が継続して8時間からフェリー休息期間を減じた時間以上あるかどうかについて判定する。継続して8時間からフェリー休息期間を減じた時間以上ある場合、休息期間は労働基準法を遵守していると判定し、継続して8時間からフェリー休息期間を減じた時間未満である場合、休息期間は労働基準法を遵守していないと判定し、「休息期間の警告3」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示して休息期間の判定を終了する。
【0059】
警告の内容は図10に示すように、「休息期間は労働基準法の定める8時間以上ではないため、労働基準法を遵守していません。帰庫後この事を運行管理者に報告して下さい。」等と表示される。
【0060】
隔日勤務時の休息期間の判定フロー
労働基準法遵守判定装置9は最初にフェリーに乗船したかどうかについて判定する。フェリーに乗船していない場合、休息期間が継続20時間以上かどうか判定する。休息期間が継続20時間以上である場合、休息期間は労働基準法を遵守していると判定し、休息期間が継続20時間未満である場合、休息期間は労働基準法を遵守していないと判定し、「休息期間の警告5」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示して休息期間の判定を終了する。運転者がフェリーに乗船した場合、労働基準法遵守判定装置9は運転者の休息期間が20時間からフェリー休息期間を減じた時間以上であるか判定する。
【0061】
休息期間が20時間からフェリー休息期間を減じた時間未満である場合、休息期間は労働基準法を遵守していないと判定し、「休息期間の警告6」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示して休息期間の判定を終了する。休息期間が20時間からフェリー休息期間を減じた時間以上である場合、20時間からフェリー休息期間を減じた時間がフェリー下船後から帰庫時刻までの時間の1/2を下回っている かどうかについて判定する。
【0062】
20時間からフェリー休息期間を減じた時間がフェリー下船後から帰庫時刻までの時間の1/2を下回っている場合、休息期間は労働基準法を遵守していないと判定し、「休息期間の警告7」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示する。20時間からフェリー休息期間を減じた時間がフェリー下船後から帰庫時刻までの時間の1/2を下回っていない場合、休息期間は労働基準法を遵守していると判定し、休息期間の判定を終了する。
【0063】
2人乗車時の休息期間の判定フロー
労働基準法遵守判定装置9は図9に示すように最初にフェリーに乗船したかどうかについて判定する。フェリーに乗船していない場合、休息期間が継続4時間以上かどうか判定する。休息期間が継続4時間以上である場合、休息期間は労働基準法を遵守していると判定し、休息期間が継続4時間未満である場合、休息期間は労働基準法を遵守していないと判定し、「休息期間の警告8」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示して休息期間の判定を終了する。
【0064】
運転者がフェリーに乗船した場合、労働基準法遵守判定装置9は運転者の休息期間が4時間からフェリー休息期間を減じた時間以上であるか判定する。休息期間が4時間からフェリー休息期間を減じた時間未満である場合、休息期間は労働基準法を遵守していないと判定し、「休息期間の警告9」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示する。休息期間が20時間からフェリー休息期間を減じた時間以上である場合、休息期間は労働基準法を遵守していると判定し、休息期間の判定を終了する。
【0065】
休日取得の判定フロー
労働基準法遵守判定装置9は図11に示すように、休日時間が30時間以上であるか判定する。算出された時間が30時間以上である場合、休日取得と判定する。算出された時間が30時間以上でない場合、休日を取得していないと判定する。次に労働基準法遵守判定装置9は、運転者が2週間に1回休日を取得しているか判定する。運転者が2週間に1回休日を取得している場合、休日取得は労働基準法を遵守していると判定し、2週間に1回休日を取得していない場合には、労働基準法遵守判定装置9は「休日取得の警告3」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示し、休日取得は労働基準法を遵守していないと判定する。
【0066】
なお、判定日が前回の休日から6日目の場合、労働基準法遵守判定装置9は「休日取得の警告1」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示して、運転者に休日を取得するよう促す。また、判定日が前回の休日から11日目の場合、労働基準法遵守判定装置9は「休日取得の警告2」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示して、運転者に休日を取得するよう促す。
【0067】
警告の内容は図12に示すように、「労働基準法の定める2週間に1回休日を取得していないため、労働基準法を遵守していません。帰庫後この事を運行管理者に報告して下さい。」等と表示される。
【0068】
拘束時間の判定フロー
図13に示すように、労働基準法遵守判定装置9は、昨日の拘束時間および本日の拘束時間について判定する。昨日の拘束時間とは、昨出庫時刻から24時間の拘束時間であり、本日の拘束時間とは、本日出庫ボタン24が押された時刻からの拘束時間である。ただし、これらは図15に示すように労働状態により変わってくる。そのため、労働状態監視制御装置44は労働状態算出装置にこの算出をさせ、その算出データを受け取り、それらを労働基準法遵守判定装置9に送り、判定させる。
【0069】
労働基準法遵守判定装置9は最初に運転者が隔日勤務であるか、1人乗務であるかの判定を行う。なお、隔日勤務の場合の拘束時間の判定は後述する。次に、1日の拘束時間について判定する。1人乗務である場合、1日の拘束時間が13時間未満の場合、警告は表示されず月単位の判定に移行する。1日の拘束時間が13時間以上である場合、「拘束時間の警告1」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示して、次に運転者の1日の拘束時間が15時間未満であるか判定する。
【0070】
この結果、運転者の1日の拘束時間が15時間未満であれば警告は表示されず月単位の判定に移行し、運転者の1日の拘束時間が15時間以上であれば、「拘束時間の警告2」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示して、15時間以上の拘束時間が1週間のうちに何日あるかを判定する。この結果、拘束時間が15時間以上である日が週2回を超えていれば、「拘束時間の警告3」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示して拘束時間が労働基準法を遵守していないと判定する。拘束時間が15時間以上である日が週2回以内であれば、拘束時間が16時間以上であるかを判定し、拘束時間が16時間未満であれば月単位の判定に移行し、拘束時間が16時間以上であれば、「拘束時間の警告4」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示して拘束時間が労働基準法を遵守していないと判定する。
【0071】
1人乗務でない場合、1日の拘束時間が20時間未満の場合、警告は表示されず月単位の判定に移行する。1日の拘束時間が20時間以上である場合、「拘束時間の警告9」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示して拘束時間が労働基準法を遵守していないと判定する。
【0072】
労働基準法遵守判定装置9は、次に月単位の拘束時間について判定する。1ヵ月の拘束時間が293時間未満の場合、年単位の判定へ移行する。1か月の拘束時間が293時間以上である場合、「拘束時間の警告5」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示して、1か月の拘束時間が320時間未満であるかを判定する。この結果、1か月の拘束時間が320時間以上であれば、「拘束時間の警告6」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示して拘束時間が労働基準法を遵守していないと判定する。
【0073】
1か月の拘束時間が320時間未満である場合、1か月の拘束時間が293時間以上320時間未満である月が年6回未満であるかを判定する。この結果、1か月の拘束時間が293時間以上320時間未満である月が年6回未満である場合、拘束時間は労働基準法を遵守していると判定する。1か月の拘束時間が293時間以上320時間未満である月が年6回以上である場合、「拘束時間の警告7」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示して、年単位の判定に移行する。
【0074】
労働基準法遵守判定装置9は、次に年単位の拘束時間について判定する。1年間の拘束時間が3516時間未満である場合、拘束時間は労働基準法を遵守していると判定し、1年間の拘束時間が3516時間以上である場合は、「拘束時間の警告8」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示して拘束時間は労働基準法を遵守していないと判定し、拘束時間の判定を終了する。
【0075】
警告の内容は図16に示すように、「拘束時間は労働基準法の定める1日当たり13時間未満を超えました。今後拘束時間を2時間以内に抑えるように心掛けて下さい」等と表示される。
【0076】
帰庫時、運転者は労働情報入力装置6により帰庫情報を入力することにより、内部時計18により帰庫時刻が送信される。
【0077】
隔日勤務時の拘束時間の判定フロー
労働基準法遵守判定装置9は図14に示すように、最初に運転者の拘束時間は21時間/2暦日以内であるかについて判定する。拘束時間が21時間/2暦日以内である場合には、拘束時間は労働基準法を遵守していると判定し、2週単位の判定に移行する。拘束時間が21時間/2暦日以内ではない場合には、伝達装置7に「拘束時間の警告10」をデジタルタコグラフ本体5に送信し表示して、夜間に仮眠を4時間以上取得したかどうかについて判定する。夜間に仮眠を4時間以上取得していない場合、「拘束時間の警告11」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示して拘束時間は労働基準法を遵守していないと判定する。夜間に仮眠を4時間以上取得している場合には、拘束時間は24時間/2暦日以内であるかについて判定する。
【0078】
拘束時間は24時間/2暦日以内ではない場合には、「拘束時間の警告12」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示して、2週間に3回以内であるかどうかについて判定する。拘束時間は24時間/2暦日以内である場合は、「拘束時間の警告12」を送信せず、2週間に3回以内であるかどうかについて判定する。2週間に3回以内である場合、拘束時間は労働基準法を遵守していると判定し、週単位の判定に移行し、2週間に3回以内ではない場合、「拘束時間の警告13」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示して、拘束時間は労働基準法を遵守していないと判定する。次に労働基準法遵守判定装置9は2週単位の拘束時間について判定する。運転者の拘束時間が2週間で126時間以内である場合、拘束時間は労働基準法を遵守していると判定し、拘束時間が2週間で126時間以内ではない場合、「拘束時間の警告14」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示して拘束時間は労働基準法を遵守していないと判定し、隔日勤務の拘束時間の判定を終了する。
【0079】
運転時間および休憩時間の判定フロー
図17に示すように労働基準法遵守判定装置9は車速0km/h以上および車速0km/hの状態が10分未満である時間を連続運転時間と判定し記録する。連続運転時間が3時間以上となったとき、労働基準法遵守判定装置9は「運転時間の警告1」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示する。「運転時間の警告1」を表示した場合、労働基準法遵守判定装置9は連続運転時間が4時間未満であるか判定する。
【0080】
連続運転時間が4時間以上であった場合、労働基準法遵守判定装置9は「運転時間の警告2」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示して運転時間は労働基準法を遵守していないと判定する。連続運転時間が4時間未満である場合、2日間の平均運転時間が9時間未満であるか判定する。2日間の平均運転時間が9時間未満である場合、運転時間は労働基準法を遵守していると判定する。2日間の平均運転時間が9時間以上である場合、労働基準法遵守判定装置9は「運転時間の警告3」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示して、1週間の累計運転時間が44時間未満であるか判定する。1週間の累計運転時間が44時間未満である場合、運転時間は労働基準法を遵守していると判定し、1週間の累計運転時間が44時間以上である場合、「運転時間の警告4」をデジタルタコグラフ本体5に送信し伝達装置7に表示して運転時間は労働基準法を遵守していないと判定し、運転時間および休憩時間の判定を終了する。これらの判定は逐次行われる。
【0081】
車の速度が継続して10分以上0km/hになった場合、労働基準法遵守判定装置9は休憩時間と判定し、0km/hの時間を記憶装置10に記録する。1回の休憩時間が継続して10分以上で、かつ、累計30分以上の場合、運転者が労働情報入力装置6により休憩の開始/終了を入力した場合、または運転者が労働情報入力装置6によりフェリー乗船の開始/終了を入力した場合等には連続運転時間がリセットされ0時間となる。ただし、休憩の開始/終了を入力した場合であっても内部時計18の休憩の継続時間が10分以上で、かつ、累計30分以上でない場合は、連続運転時間はリセットされない。
【0082】
警告の内容は図18に示すように、「連続運転時間は労働基準法の定める4時間未満を超え、労働基準法を遵守していません。帰庫後この事を運行管理者に報告して下さい」等と表示される。
【0083】
前記労働情報入力装置6は図4に示すように、例えば通常勤務ボタン20、隔日勤務ボタン21、1人乗務ボタン22、2人乗務ボタン23、出庫ボタン24、帰庫ボタン25、分割休息開始ボタン26、分割休息終了ボタン27、休憩開始ボタン28、休憩終了ボタン29、仮眠開始ボタン30、仮眠終了ボタン31、フェリー乗船開始ボタン32、フェリー乗船終了ボタン33、待機開始ボタン34、待機終了ボタン35、荷積み開始ボタン36、荷積み終了ボタン37、荷卸開始ボタン38、荷卸終了ボタン39、洗車・整備・給油開始ボタン40、洗車・整備・給油終了ボタン41、時間外労働ボタン42、休日労働ボタン43、遵守状況確認ボタン45が備えられている。これらの情報も送受信部47を介して運行管理装置本体46に送信される。
【0084】
図32の労働基準法の定める運転者の労働状態を運転者が入力するのが労働情報入力装置6である。入力項目は前記の通り29項目あり、これは図32の労働基準法の定める運手者の労働状態をすべてカバーしている。
【0085】
この入力情報から前記の労働状態監視制御装置44は、図32の定める休息、休日、拘束、運転などの状態を自動的に検知でき、かつ、労働状態算出装置8から算出された時間データから、休息期間、休日時間、拘束時間、運転時間を入手でき、それらが労働基準法の定める時間・期間を遵守しているかの判定を労働基準法遵守判定装置9に実行させることができる。
【0086】
労働情報入力装置6によりこれらのボタンを押す操作が行われるとデジタルタコグラフ本体5に内蔵されている内部時計18によりその時刻および運転者の状態が運行管理装置本体46に出力される。内部時計18はGPS衛星時計で随時時刻の補正が行われる。
【0087】
また、これらのボタンが押され状態遷移の条件を満たしていると、図5に示すように運転者の状態は変化し、労働状態監視制御装置44によって現在の状態が労働状態算出装置8に通知され、その状態における労働状態データが労働状態算出装置8によって算出される。例えば、フェリー乗船開始ボタン32が押された場合、運転者の状態は「フェリー乗船」に遷移し、労働状態算出装置8はフェリー乗船開始ボタン32が押された時刻から2時間が経過するまでの時間を拘束時間として算出する。2時間が経過すると、「フェリー休息」の状態に遷移し、労働状態算出装置8はフェリー乗船終了ボタン33が押されるまでの時間を分割休息期間として算出する。その後フェリー乗船終了ボタン33が押されると、「拘束」の状態に遷移する。
【0088】
運転者が労働情報入力装置6の操作をしても、条件を満たしていない場合には運転者の状態は遷移しない。これを監視制御するのが状態監視制御装置44である。例えば、分割休息開始/終了ボタン26、27および仮眠開始/終了ボタン30、31が押した際に、まず「休憩」に状態が遷移し休憩時間として算出され、休憩時間が4時間以上となった場合には「分割休息」に状態が遷移し、分割休息期間として算出される。
【0089】
なお、前記労働情報入力装置6はシュミレーション機能を備えるものでもよい。例えばシュミレーション機能をONにした状態で、分割休息開始ボタン26を押すと、仮に今現在分割休息を取得した場合の今後の運行計画がどのように変化するか労働状態算出装置8、労働基準法遵守判定装置9により算出判定を行い運転者に表示する機能である。シュミレーション機能の対象としては、分割休息だけではなく、帰庫した場合、休息期間を取得した場合、休憩を取得した場合、分割休息を取得する予定のところ運転を続行する場合、翌出庫時刻を変更した場合等である。このような機能を備えることで、運転者は労働基準法に基づいたシュミレーションを容易に行うことができるので、運行計画の詳細を運転者が運行状況に応じて変更したとしても、労働基準法を遵守しつつ運行計画を無理なく遂行することができる。
【0090】
前記伝達装置7は図19に示すように、労働基準法遵守判定装置9で算出された拘束時間、拘束時間残余、休息期間、休息期間残余、運転時間、運転時間残余、連続運転時間、連続運転時間残余、休憩時間、休憩時間残余、累積休憩時間、運転中断に必要な休憩時間残余、時間外労働時間、時間外労働時間残余、休日労働、休日労働残余等の判定結果のうち少なくとも1項目が運行管理装置本体46より受信され、労働基準法に違反する前に警告として自動で表示される、本実施の形態では全ての項目が表示されるモニター11と、電子音や音声で知らせる音声表示器12とで構成されている。労働基準法に違反する前に警告する内容としては、「拘束時間警告1」や「運転時間警告1」のような任意に設定した時間を経過した際に運行管理装置本体46から送信され、伝達装置7に警告が表示されるものでもよいし、一定時間毎にこれらの項目を表示してもよい。
【0091】
また、前記伝達装置7のモニター11および音声表示器12は、運転者の労働状態入力装置6の遵守状況確認ボタン45の操作によりリアルタイムで現在の遵守状況、すなわち拘束時間、拘束時間残余、休息期間、休息期間残余、運転時間、運転時間残余、連続運転時間、連続運転時間残余、休憩時間、休憩時間残余、累積休憩時間、運転中断に必要な休憩時間残余、時間外労働時間、時間外労働時間残余、休日労働、休日労働残余等の判定結果の少なくとも1項目を受信し表示することができるので、運転者は自分が現在何時間連続で運転していて、あと何時間連続で運転することができるのか、休息期間はあと何時間取得しなければならないのか、拘束時間は何時間残っているか等も容易に知ることができる。
【0092】
ここで、拘束時間残余として表示されるものは、1日の拘束時間である13時間まであと何時間で達するか、15時間まであと何時間で達するか、16時間まであと何時間で達するか等である。休息期間残余としては、あと何時間休息期間を取得しなければならないか等である。なお、分割休息の場合であって、分割休息取得後、休息時間残余4時間未満で運転を再開した場合、分割休息は継続して4時間以上取得しなければならないので(休息期間の特例)、休息期間残余は4時間と表示される。
【0093】
運転時間残余1日の運転時間の上限である2日平均で9時間にあと何時間で到達するか、2週間平均で44時間にあと何時間で到達するか等である。連続運転時間残余として表示されるものは、連続運転時間の上限である4時間まで何時間で到達するか等である。休憩時間残余として表示されるものは、あと何分休憩を取得すれば1回の休憩取得として算出される10分になるか等である。運転中断に必要な休憩時間残余として表示されるものは、連続運転時間がリセットされる30分の休憩時間を取得するにはあと何分必要か等である。
【0094】
時間外労働時間残余として表示されるものは、1日の時間外労働時間の上限である2時間まであと何時間で達するか、1ヶ月あるいは1年の時間外労働時間の上限まであと何時間で達するか等である。休日労働残余として表示されるものは、あと何回休日労働をすることができるか等である。これらの項目を表示することによって運転者は容易に自己の労働状態を容易に把握することができ、労働基準法遵守を促進することができる。
【0095】
拘束時間、休息期間、運転時間、連続運転時間、休憩時間、累積休憩時間、時間外労働時間、及びこれらの残余時間は現在の情報がリアルタイムに表示されるものである。表示方法としては図19に示すように拘束時間、休息期間、運転時間、連続運転時間、休憩時間、累積休憩時間、時間外労働時間に関してはカウントアップ方式で表示し、残余時間に関しては規定の時間からカウントダウン方式で残余を表示する方法や、残余時間を図19の翌出庫可能時刻のように具体的な時刻で表示するや「○時○分までに帰庫してください」、「○時○分までに休息期間を取得してください」、「拘束時間の限度は○時○分までです」、「○時○分までに休憩を○分以上取得し、運転を中断してください」、「○時○分まで連続運転可能です」等の表示をするものもよい。
【0096】
また、これらの時刻の説明、例えば、拘束時間の限度に到達する時刻であること、連続運転時間の限度に到達する時刻であること、連続運転時間がリセットされる時刻であること等の説明を表示するものであってもよい。具体的には「連続運転時間が3時間を超過しました。58分以内(10時18分まで)に継続して休憩を10分以上取得し、運転を中断してください。10時18分に連続運転時間の上限である4時間に到達します。連続運転時間は1回連続10分以上、かつ、合計30分以上の休憩時間を取得することでリセットされます。」等である。
【0097】
この場合、その警告内容が解消されるまで継続して表示し、残余時間の表示(前述の例では58分)はリアルタイムに減少するものであっても、その警告内容が解消されるまで所定時間毎(例えば30分毎)に表示するものであってもよい。これらの表示を組み合わせたものであってもよいし、労働基準法に規定された基準に違反しないような警告や表示であればよい。なお、このように労働時間、残余時間、時刻、時刻の説明等を表示することにより、運転者が労働基準法の知識を有していない場合でも、労働基準法を遵守することができる。
【0098】
休憩開始ボタン28等の運転者の状態が遷移するボタンを押した場合、あるいは休憩開始ボタン28を押していなくても10分以上0km/hの状態が継続した場合には状態が遷移し休憩時間や休息期間が表示されるので、運転者は確実に休憩や休息を取得することができる。また、翌出庫時刻も表示されるので、運転者は現在帰庫した場合には、何時から始業できるかを容易に知ることができる。なお、遵守状況確認ボタン45を押すと、翌出庫時刻等の現在の運転者の状態、運転者情報が伝達装置7に表示されるようにしてもよい。また、表示する情報を運転者が選択できるようにしてもよい。
【0099】
このように構成された運行管理装置1は労働基準法で定める条件を満たす、拘束時間、休息期間の確保、運転時間の限度等が伝達装置7に自動的に表示される。
【0100】
このため、出庫後の交通渋滞等で逐次変化する運行予定を運転者が伝達装置7により知ることができ、労働基準法で定める条件の計算が不要で、運転者に負担をかけることなく労働基準法を守った運転をさせることができる。
【0101】
なお、労働状態監視制御装置44は運転者の状態を監視し、運転者の状態を労働状態算出装置8や労働基準法遵守判定装置9に送るだけでなく、労働状態監視制御装置44自らが分割休息期間やフェリー休息期間等の労働特例データを作成し、労働基準法遵守判定装置9にその特例データを送ってもよい。このように労働状態監視制御装置44が特例等の数値データを統括できるように構成すれば、法改正等により管理項目の増減や管理置の変更等があった場合でも、労働状態監視制御装置を修正するだけで容易に変更することができる。
【0102】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図20ないし図34に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0103】
図20ないし図22に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、労働情報入力装置6Aに伝達装置7Aのモニター11を設けるとともに、労働状態監視制御装置44および労働基準法遵守判定装置9を内蔵した労働状態算出装置8Aを用いた運行管理装置46Aにした点で、このように構成した運行管理装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0104】
図23および図24に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、労働状態算出装置8にタイマー19を連携させ、労働状態データを5分〜15分くらいの所定時間毎にデジタルタコグラフ本体5より運行データおよび労働状態を取得し、算出した労働状態データを労働基準法遵守判定装置9へ供給できるようにして、所定時間毎に労働基準法で定める条件を満たすための条件を算出できるようにした点で、このように構成した運行管理装置1Bにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0105】
図25ないし図27に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、伝達装置7Bとして携帯電話、PDA、タブレットPC、UMPC等のネットワーク通信機能を有した携帯情報端末49を使用した点で、このように構成したデジタルタコグラフ1Cにしても前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られるとともに、タコグラフの設置が義務付けされた運送業者の2から離れても携帯情報端末49により自己の労働状態等を知ることができる。
【0106】
なお、本実施の形態の携帯情報端末49に加え、モニター11、音声表示器12も使用する伝達装置にしてもよい。
図28および図29に示す本発明を実施するための第5の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、運行管理者が運転者毎に労働基準法に定められた範囲内で労働条件を設定することができる労働基準法遵守判定装置9Aにした点で、このように構成した運行管理装置1Dにしても前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られるとともに、例えば事故が多い運転者に対しては、連続運転時間の上限を2時間に設定する等個別の運行管理を行うことができる。
【0107】
図30および図31に示す本発明を実施するための第6の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、労働状態監視制御装置44を用いずに労働状態の算出および判定を行う点で、このように構成した運行管理装置1Eにしても累積時間等の単純な算出データから運転者の労働状態を判定することができる。なお、労働状態算出装置8や労働基準法遵守判定装置9に労働状態監視制御装置44の状態監視機能を備えた運行管理装置にすれば、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0108】
なお、本願発明の実施の形態では、伝達装置7としてモニター11および音声表示器12を用いたものについて説明したが、本願発明はこれに限らず、モニター11と音声表示器12のどちらか一方のみを用いた伝達装置7としてもよい。また、拘束時間、拘束時間残余、休息期間、休息期間残余、運転時間、運転時間残余、連続運転時間、連続運転時間残余、休憩時間、休憩時間残余、累積休憩時間、運転中断に必要な休憩時間残余、時間外労働時間、時間外労働時間残余の全ての項目を表示することとして説明したが、これらを選択的に表示できるようにしたものでもよいし、1つの項目のみ表示するものでもよい。自動で表示される項目は拘束時間残余、運転者が遵守状況確認ボタン45を押した際には連続運転時間残余を表示する等、異なった項目を表示するものでもよい。
【0109】
また、本願発明の実施の形態では労働情報入力装置6の遵守状況確認ボタン45を操作することによりこれらの項目を表示したが、労働情報入力装置6とは別にこれらの項目を表示するリモコンや操作パネル等を用いてもよい。
【0110】
本願発明の実施の形態では、本願出願時の自動車運転者の労働時間等の改善のための基準に基づいて説明しているが、本願発明はこの基準が改正された場合には新基準に基づいて労働条件を設定できるものであり、トラックだけでなく、バス、タクシー等の車両に用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明はバスやトラック、タクシー等に設置して使用する運行管理装置の製造産業で利用される。
【符号の説明】
【0112】
1、1A、1B、1C、1D、1E:運行管理装置、
2:タコグラフの設置が義務付けされた運送業者の車両、
3:運転席、 4:コンソールパネル、
5:デジタルタコグラフ本体、 6、6A:労働情報入力装置、
7、7A:伝達装置、 8、8A:労働状態算出装置、
9、9A:労働基準法遵守判定装置、11:モニター、
12:音声表示器、 13:ネットワーク、
15:記憶装置接続部、 17:記録部、
18:内部時計、 19:タイマー、
20:通常勤務ボタン、 21:隔日勤務ボタン、
22:1人乗務ボタン、 23:2人乗務ボタン、
24:出庫ボタン、 25:帰庫ボタン、
26:分割休息開始ボタン、 27:分割休息終了ボタン、
28:休憩開始ボタン、 29:休憩終了ボタン、
30:仮眠開始ボタン、 31:仮眠終了ボタン、
32:フェリー乗船開始ボタン、 33:フェリー乗船終了ボタン、
34:待機開始ボタン、 35:待機終了ボタン、
36:荷積み開始ボタン、 37:荷積み終了ボタン、
38:荷卸開始ボタン、 39:荷卸終了ボタン、
40:洗車・整備・給油開始ボタン、41:洗車・整備・給油終了ボタン、
42:時間外労働ボタン、 43:休日労働ボタン、
44:労働状態監視制御装置、 45:遵守状況確認ボタン、
46、46A:運行管理装置本体、 47:送受信部、
48:送受信部、 49:携帯情報端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タコグラフの設置が義務付けされた運送業者の車両に取付けられたデジタルタコグラフ本体と、このデジタルタコグラフ本体とネットワークを介して接続された運行管理装置本体と、この運行管理装置本体に備えられた前記デジタルタコグラフ本体からネットワークを介して取得した運行データより労働状態データを算出することができる労働状態算出装置と、この労働状態算出装置に接続された前記労働状態算出装置で算出した労働状態データより運送業者の車両の運転者の労働条件が労働基準法で定める拘束時間、拘束時間残余、休息期間、休息期間残余、運転時間、運転時間残余、連続運転時間、連続運転時間残余、休憩時間、休憩時間残余、累積休憩時間、運転中断に必要な休憩時間残余、時間外労働時間、時間外労働時間残余、休日取得、休日取得の期限のうち少なくとも1項目以上の条件を満たしているか判定する労働基準法遵守判定装置と、この労働基準法遵守判定装置により判定された判定結果を前記運行管理装置本体より取得し労働基準法に違反する前に表示し運転者に知らせることができる伝達装置とからなることを特徴とする運行管理装置。
【請求項2】
運送業者の車両の運転者の労働基準法で定める条件を満たすための条件の算出は逐次行なうことを特徴とする請求項1記載の運行管理装置。
【請求項3】
運送業者の車両の運転者の労働基準法で定める条件を満たすための条件の算出は所定時間毎に行なうことを特徴とする請求項1記載の運行管理装置。
【請求項4】
伝達装置は画面表示することができる携帯情報端末、モニター、電子音や音声で表示することができる音声表示器のいずれか1つあるいは複数個の組み合わせで構成されていることを特徴とする請求項1記載の運行管理装置。
【請求項5】
前記労働基準法遵守判定装置は、運送業者の車両の運転者毎に労働基準法に定められた範囲内で労働条件を設定することができることを特徴とする請求項1記載の運行管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2012−22526(P2012−22526A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159937(P2010−159937)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【特許番号】特許第4685964号(P4685964)
【特許公報発行日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(510000725)菱木運送株式会社 (5)
【Fターム(参考)】