説明

運賃表生成装置、制御方法、及びプログラム

【課題】公共交通機関の路線図における複数の各乗降所名の表示に、当該乗降所までの運賃の表示を付した運賃表を生成すること。
【解決手段】広範囲の路線図における複数の乗降所のうち、基準とする乗降所から指定された範囲内の乗降所のみを表す路線図における乗降所名の表示に、当該乗降所までの運賃の表示を付した運賃表を生成する運賃表生成部150を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運賃表生成装置、制御方法、及びプログラムに関する。特に本発明は、公共交通機関の路線図における複数の各乗降所名の表示に、当該乗降所までの運賃の表示を付した運賃表を生成する運賃表生成装置、当該運賃表生成装置を制御する制御方法、並びに当該運賃表生成装置用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道等の交通システムにおける各駅にある券売所等において、運賃を表示するために用いる運賃表には、五十音順の到着駅名と運賃とを一覧にして表示するものや、路線図の各駅の位置に対応させて運賃を文字によって表示するようにしたもの等がある。これらのうち、路線図を用いる運賃表は、グラフィックス描画アプリケーションソフトを用いて作成されている。
【0003】
ところで、運賃表の内容は、出発駅毎に異なるだけでなく、同一の駅でも改札口毎に異なる場合がある。また、運賃表は、設置場所によって、大きさや形状が異なるものが必要となる場合がある。一方、各駅の運賃表は、駅が改良されて運賃表の大きさを変更しなければならなかったり、新駅が開業したりする度に作成し直される。したがって、運賃表の作成作業は、限られた期間に集中することになり、作業の効率化が求められる。
【0004】
このような事情に鑑みて成された技術としては、様々なものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の技術は、交通システム等において用いられる運賃表を、コンピュータを用いて作成する際に用いる運賃表作成支援システムである。このシステムは、路線図を表す図形データファイルを、その路線図を用いて作成する運賃表の運賃計算起点に対応付けて登録する。そして、このシステムは、図形データファイルに含まれる運賃表示位置を示す複数の所定の文字列データの過不足を検査する。そして、このシステムは、図形データファイルに含まれる複数の所定の文字列データを、運賃を表す文字列データに置き換える。このようにして、このシステムによっては、より効率的に運賃表を作成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3795450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、運賃表には、基準とする乗降所から指定された範囲内の乗降所のみが表される。そのために、運賃表を作成する作業者は、特許文献1に記載のシステム等を利用して運賃表を作成するにあたり、運賃が反映された広範囲の路線図から、指定された範囲内の路線図を切り取って、指定された範囲内の乗降所のみが表された運賃表を作成している。
【0007】
しかしながら、路線図を切り取る作業は、グラフィックス描画アプリケーションソフト等を利用して行われており、非効率なだけでなく、人為的な作業によるため、運賃表の作成後に、人為的なミスがないかの確認も欠かすことができない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によると、公共交通機関の路線図における複数の各乗降所名の表示に、当該乗降所までの運賃の表示を付した運賃表を生成する運賃表生成装置であって、広範囲の路線図における複数の乗降所のうち、基準とする乗降所から指定された範囲内の乗降所のみを表す路線図における乗降所名の表示に、当該乗降所までの運賃の表示を付した運賃表を生成する運賃表生成部を備える。
【0009】
広範囲の路線図に属する複数の乗降所同士の関係を示すデータに基づいて、基準とする乗降所から指定された範囲内の乗降所を特定する乗降所特定部を更に備え、運賃表生成部は、広範囲の路線図における複数の乗降所のうち、乗降所特定部が特定した乗降所のみを表す路線図における乗降所名の表示に、当該乗降所までの運賃の表示を付した運賃表を生成する。
【0010】
運賃表の路線図において路線を表す線の形状が変更された場合に、当該変更された線上の乗降所名と当該乗降所までの運賃の表示位置を、予め定められた条件に従って変更する表示位置変更部を更に備える。
【0011】
運賃表生成部は、既成の運賃表の路線図のレイアウトをテンプレートにして、広範囲の路線図における複数の乗降所のうち、テンプレートのレイアウトの路線図における乗降所名の表示に、当該乗降所までの運賃の表示を付した運賃表を生成する。
【0012】
運賃表の路線図のレイアウトが、予め定められた条件を満たしているか否かを判定するレイアウト判定部を更に有する。
【0013】
本発明の第2の形態によると、公共交通機関の路線図における複数の各乗降所名の表示に、当該乗降所までの運賃の表示を付した運賃表を生成する運賃表生成装置を制御する制御方法であって、広範囲の路線図における複数の乗降所のうち、基準とする乗降所から指定された範囲内の乗降所のみを表す路線図における乗降所名の表示に、当該乗降所までの運賃の表示を付した運賃表を生成する運賃表生成段階を備える。
【0014】
本発明の第3の形態によると、公共交通機関の路線図における複数の各乗降所名の表示に、当該乗降所までの運賃の表示を付した運賃表を生成する運賃表生成装置用のプログラムであって、運賃表生成装置を、広範囲の路線図における複数の乗降所のうち、基準とする乗降所から指定された範囲内の乗降所のみを表す路線図における乗降所名の表示に、当該乗降所までの運賃の表示を付した運賃表を生成する運賃表生成部として機能させる。
【0015】
なおまた、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【発明の効果】
【0016】
以上の説明から明らかなように、この発明によれば、人為的な作業を伴うことなく、指定された範囲内の運賃表が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一実施形態に係る運賃表生成装置100のブロック構成の一例を示す図である。
【図2】表示情報格納部180に格納される情報の一例をテーブル形式で示す図である。
【図3】レイアウト情報格納部190に格納されている情報の一例をテーブル形式で示す図である。
【図4】広範囲の路線図に属する複数の駅同士の関係を示すデータの一例を示す図である。
【図5】基準とする駅から指定された範囲内の駅同士の関係を示すデータの一例を示す図である。
【図6】広範囲の路線図のレイアウトの一例を示す図である。
【図7】運賃表生成部150が生成する運賃表の路線図のレイアウトの一例を示す図である。
【図8】レイアウトの変更処理が行われた後の運賃表の路線図のレイアウトの一例を示す図である。
【図9】表示位置変更部160の処理の一例を示す図である。
【図10】既成の運賃表の路線図のレイアウトの一例を示す図である。
【図11】図10に示すレイアウトをテンプレートにして、運賃表生成部150が生成する運賃表の路線図のレイアウトの一例を示す図である。
【図12】運賃表生成装置100の動作フローの一例を示す図である。
【図13】運賃表生成装置110をコンピュータ等の電子情報処理装置で構成した場合のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0019】
図1は、一実施形態に係る運賃表生成装置100のブロック構成の一例を示す。運賃表生成装置100は、鉄道の路線図における複数の各駅名の表示に、その駅までの運賃の表示を付した運賃表を生成する装置である。なおまた、鉄道は、この発明における「公共交通機関」の一例であってよい。また、駅は、この発明における「乗降所」の一例であってよい。
【0020】
運賃表生成装置100は、関係データ取得部110、乗降所特定部120、路線図データ取得部130、運賃表データ取得部140、運賃表生成部150、表示位置変更部160、レイアウト判定部170、表示情報格納部180、及びレイアウト情報格納部190を備える。以下、各構成要素の機能及び動作を説明する。
【0021】
関係データ取得部110は、広範囲の路線図に属する複数の駅同士の関係を示すデータを取得する。
【0022】
乗降所特定部120は、広範囲の路線図に属する複数の駅同士の関係を示すデータに基づいて、基準とする駅から指定された範囲内の駅を特定する。
【0023】
路線図データ取得部130は、広範囲の路線図を示すデータを取得する。
【0024】
運賃表データ取得部140は、既成の運賃表を示すデータを取得する。
【0025】
運賃表生成部150は、広範囲の路線図における複数の駅のうち、基準とする駅から指定された範囲内の駅のみを表す路線図における駅名の表示に、その駅までの運賃の表示を付した運賃表を生成する。より具体的に説明すると、運賃表生成部150は、広範囲の路線図における複数の駅のうち、乗降所特定部120が特定した駅のみを表す路線図における駅名の表示に、その駅までの運賃の表示を付した運賃表を生成する。また、運賃表生成部150は、既成の運賃表の路線図のレイアウトをテンプレートにして、広範囲の路線図における複数の駅のうち、テンプレートのレイアウトの路線図における駅名の表示に、その駅までの運賃の表示を付した運賃表を生成する。
【0026】
表示位置変更部160は、運賃表の路線図において路線を表す線の形状が変更された場合に、その変更された線上の駅名とその駅までの運賃の表示位置を、予め定められた条件に従って変更する。
【0027】
レイアウト判定部170は、運賃表の路線図のレイアウトが、予め定められた条件を満たしているか否かを判定する。
【0028】
図2は、表示情報格納部180に格納される情報の一例をテーブル形式で示す。表示情報格納部180には、路線、区間、駅名の表示位置、及び運賃の表示位置の各情報が対応付けられて格納される。区間の情報には、自駅、及び至駅の各情報が対応付けられて格納される。
【0029】
路線の情報は、鉄道の路線を示す情報である。自駅の情報は、路線の情報によって示される路線の複数の駅の中で、所定区間の起点の駅を示す情報である。至駅の情報は、路線の情報によって示される路線の複数の駅の中で、所定区間の到達点の駅を示す情報である。駅名の表示位置の情報は、路線の情報によって示される路線における、自駅の情報によって示される駅から、至駅の情報によって示される駅までの区間の、各駅名を表示させる位置を示す情報である。運賃の表示位置の情報は、路線の情報によって示される路線における、自駅の情報によって示される駅から、至駅の情報によって示される駅までの区間の、各駅までの運賃を表示させる位置を示す情報である。
【0030】
図3は、レイアウト情報格納部190に格納されている情報の一例をテーブル形式で示す。レイアウト情報格納部190には、線の間隔の許容値(cm)、線の基準角度(°)、及び駅名の間隔の許容値(cm)等の情報が格納されている。
【0031】
線の間隔の許容値(cm)の情報は、路線を示す線同士の間隔として許容される値を示す情報である。線の基準角度(°)の情報は、運賃表の横線を0(°)とした場合に、路線を示す線が成すべき角度を示す情報である。駅名の間隔の許容値(cm)の情報は、駅名同士の間隔として許容される値を示す情報である。
【0032】
図4は、広範囲の路線図に属する複数の駅同士の関係を示すデータの一例を示す。より具体的に説明すると、この例のデータは、一の発駅「東京」から他の着駅までの運賃(円)を示すデータである。
【0033】
図5は、基準とする駅から指定された範囲内の駅同士の関係を示すデータの一例を示す。より具体的に説明すると、この例のデータは、基準とする駅「東京」から1620円以内で移動し得る範囲内の、一の発駅「東京」から他の着駅までの運賃(円)を示すデータである。
【0034】
図12は、運賃表生成装置100の動作フローの一例を示す。この動作フローの説明においては、図1から図9を共に参照する。図6は、広範囲の路線図のレイアウトの一例を示す。図7は、運賃表生成部150が生成する運賃表の路線図のレイアウトの一例を示す。図8は、レイアウトの変更処理が行われた後の運賃表の路線図のレイアウトの一例を示す。図9は、表示位置変更部160の処理の一例を示す。図10は、既成の運賃表の路線図のレイアウトの一例を示す。図11は、図10に示すレイアウトをテンプレートにして、運賃表生成部150が生成する運賃表の路線図のレイアウトの一例を示す。
【0035】
運賃表を作成する作業者は、運賃表を作成するにあたり、広範囲の路線図に属する複数の駅同士の関係を示すデータを指定する。ここで、作業者により指定されるデータは、例えば、発着駅間の運賃の関係を示すデータや、発着駅間の距離を示すデータや、発着駅間の駅数を示すデータ等とすることができる。図4に示すデータは、発着駅間の運賃の関係の一例を示すものである。このようなデータは、ハードディスクやフレキシブルディスク等の外部記憶装置に記憶されていてもよいし、ネットワーク上の外部の装置に記憶されていてもよい。
【0036】
運賃表生成装置100の関係データ取得部110は、作業者により指定されたデータを取得すると(S101)、そのデータを、乗降所特定部120へ送る。
【0037】
運賃表生成装置100の乗降所特定部120は、関係データ取得部110から送られたデータを受け取ると、そのデータに基づいて、基準とする駅から指定された範囲内の駅を特定する(S102)。ここで、基準とする駅から指定される範囲は、所定運賃内の範囲や、所定距離内の範囲や、所定駅数内の範囲等とすることができる。通常、この範囲の設定は、運賃表生成装置100による運賃表の生成処理を行う前に行われる。例えば、基準とする駅から指定された範囲は、運賃が1620(円)以内の範囲であったとする。その場合、乗降所特定部120は、例えば、図4に示すようなデータを関係データ取得部110から受け取ると、発駅「東京」から運賃「1620(円)」以内の駅を特定する。そして、乗降所特定部120は、関係データ取得部110から受け取ったデータによって示される情報のうち、発駅「東京」から運賃「1620(円)」以内の駅の運賃を示すデータ(図5参照。)を、運賃表生成部150へ送る。
【0038】
一方、運賃表を作成する作業者は、運賃表のベースとなる、図6に示すような広範囲の路線図を示すデータを指定する。ここで、このようなデータは、ハードディスクやフレキシブルディスク等の外部記憶装置に記憶されていてもよいし、ネットワーク上の外部の装置に記憶されていてもよい。
【0039】
運賃表生成装置100の路線図データ取得部130は、作業者により指定されたデータを取得すると(S103)、そのデータを、運賃表生成部150へ送る。
【0040】
運賃表生成装置100の運賃表生成部150は、乗降所特定部120、及び路線図データ取得部130から送られたデータをそれぞれ受け取ると、路線図データ取得部130から受け取ったデータによって示される広範囲の路線図における複数の駅のうち、乗降所特定部120から受け取ったデータによって示される駅のみを表す路線図における駅名の表示に、その駅までの運賃の表示を付した運賃表を生成する(S104)。例えば、運賃表生成部150は、図5に示すようなデータを乗降所特定部120から受け取り、図6に示すような広範囲の路線図のデータを路線図データ取得部130から受け取ると、図6に示される広範囲の路線図をベースとして、図5に示される東京駅から運賃が1620円以内の駅のみを表す路線図における駅名の表示に、図5に示されるその駅までの運賃の表示を付した、図7に示すような運賃表を生成する。
【0041】
このようにして、運賃表を作成する作業者は、広範囲の路線図における複数の駅のうち、基準とする駅から指定された範囲内の駅のみを表す路線図における駅名の表示に、その駅までの運賃の表示を付した運賃表を得ることができる。
【0042】
しかしながら、このようにして得られた運賃表は、図7に示すように、路線を示す線同士の間隔が近過ぎたり、駅名が重なっていたりして、視認し難い場合がある。そのような場合、運賃表を作成する作業者は、このようにして得られた運賃表をベースにして、その運賃表の路線図のレイアウトを修正する必要がある。例えば、作業者は、表示装置に表示された運賃表の路線図のレイアウトを確認しながら、入力装置を利用して、図9に示すように、武蔵野線の新座駅から武蔵浦和駅までの路線を示す線を、反時計回りに45°移動させたとする。
【0043】
このような操作がなされると、運賃表生成装置100の表示位置変更部160は、変更された線上の駅名とその駅までの運賃の表示位置を、表示情報格納部180に格納されている条件に従って変更する。例えば、路線「武蔵野線」、自駅「北朝霞」、至駅「西浦和」、駅名の表示位置「右下」、及び運賃の表示位置「左上」の各情報が表示情報格納部180に格納されていた場合、表示位置変更部160は、変更された線上の駅名「北朝霞」、及び駅名「西浦和」の表示を、変更された線上の右下に位置するように変更し、北朝霞駅までの運賃「540」、及び西浦和駅までの運賃「450」の表示を、変更された線上の左上に位置するように変更する。ここで、表示情報格納部180に格納される情報は、予め格納されていてもよいし、変更作業の際に設定されて格納されてもよい。
【0044】
このようにして、運賃表を作成する作業者は、路線を示す線の角度等を変更するにあたり、その線上の駅名や運賃の表示を個別に変更する操作を伴うことなく、所望の位置に駅名や運賃を表示させることができる。
【0045】
ところで、異なる駅を発駅とする各運賃表の中には、運賃表の路線図のレイアウトを大幅に変更することなく流用し得る場合がある。そのような場合、運賃表を作成する作業者は、新たな運賃表を作成するにあたり、その運賃表の路線図のレイアウトに流用するテンプレートとなる既成の運賃表を示すデータを指定する。ここで、このようなデータは、ハードディスクやフレキシブルディスク等の外部記憶装置に記憶されていてもよいし、ネットワーク上の外部の装置に記憶されていてもよい。
【0046】
運賃表生成装置100の運賃表データ取得部140は、作業者により指定されたデータを取得すると、そのデータを、運賃表生成部150へ送る。
【0047】
運賃表生成部150は、運賃表データ取得部140から送られたデータを受け取ると、そのデータによって示される既成の運賃表の路線図のレイアウトをテンプレートにして、広範囲の路線図における複数の駅のうち、テンプレートのレイアウトの路線図における駅名の表示に、その駅までの運賃の表示を付した運賃表を生成する。例えば、運賃表データ取得部140は、図10に示すような東京駅を発駅とする運賃表を示すデータを、運賃表データ取得部140から受け取ったとする。その場合、運賃表生成部150は、例えば、品川駅を発駅とする運賃表を生成すると、図11に示すように、東京駅を発駅とする運賃表の路線図のレイアウトを流用して、品川駅を発駅とした場合の運賃を示す運賃表を生成する。
【0048】
このようにして、運賃表を作成する作業者は、例えば、近隣の各駅の運賃表を作成するような場合に、一から作成することなく、所望のレイアウトの運賃表を得ることができる。
【0049】
このようにして、運賃表が作成されると、運賃表を作成する作業者は、入力装置を利用して、運賃表の路線図のレイアウトが、予め定められた条件を満たしているか否かを判定させる旨の入力指示を、運賃表生成装置100に対して行う。
【0050】
このような操作がなされると、運賃表生成装置100のレイアウト判定部170は、運賃表の路線図のレイアウトが、レイアウト情報格納部190に格納されている情報によって示される、予め定められた条件を満たしているか否かを判定する。予め定められた条件を満たしていない場合、レイアウト判定部170は、例えば、満たされていない条件を通知する旨のメッセージを、表示装置に表示する。
【0051】
このようにして、運賃表を作成する作業者は、運賃表の隅々まで目視による確認を行うことなく、機械的に運賃表の路線図のレイアウトのチェックを行うことができる。
【0052】
以上説明したように、運賃表生成装置110によれば、運賃表を作成する作業者は、人為的な作業を伴うことなく、指定された範囲内の運賃表が得られる。
【0053】
なおまた、上述した実施形態においては、表示位置変更部160は、表示情報格納部180に格納されている各路線の区間毎に定められた表示位置の情報に従って、変更された路線を示す線上の駅名や運賃の表示位置を変更することとした。しかるに、表示位置変更部160は、表示情報格納部180に格納されている情報を参照することなく、変更された路線を示す線上の駅名や運賃の表示位置を変更することもできる。その場合、例えば、路線を示す線上に駅名や運賃の表示に対応付けてマーカーを設けておき、表示位置変更部160は、路線を示す線の位置が変更された場合に、そのマーカーの位置の変更に伴って、マーカーに対応付けられた駅名や運賃の表示位置を、マーカーの近傍に移動させるといった方法も考えられる。
【0054】
また、上述した実施形態においては、レイアウト判定部170は、路線を示す線同士の間隔や駅名同士の間隔が予め定められた許容値以上の間隔になっているか否かを判定することとした。しかるに、レイアウト判定部170は、路線同士の関係や、駅名同士の関係が適正であるか否かを、他の方法によって判定することもできる。例えば、レイアウト判定部170は、路線を示す2以上の線の重なりや、2以上の駅名の表示の重なりがないか判定するようにしてもよい。
【0055】
また、上述した実施形態においては、関係データ取得部110は、基準とする駅から指定された範囲内の駅同士の関係を示すデータとして、一の発駅から他の着駅までの運賃を示すデータを取得することとした。しかるに、このデータには、他の情報を含めることもできる。例えば、このデータには、一の発駅から他の着駅までの運賃の情報の他に、経由駅の情報や、発駅及び着駅が存する路線の情報等が含まれていてもよい。その場合、乗降所特定部は、基準とする駅から指定された範囲内の駅同士の関係を示すデータとして、上記のような情報を含むデータを、運賃表生成部150へ送るようにしてもよい。
【0056】
図13は、運賃表生成装置110をコンピュータ等の電子情報処理装置で構成した場合のハードウェア構成の一例を示す。運賃表生成装置110は、CPU(Central Processing Unit)周辺部と、入出力部と、レガシー入出力部とを備える。CPU周辺部は、ホスト・コントローラ801により相互に接続されるCPU802、RAM(Random Access Memory)803、及びグラフィック・コントローラ804を有する。入出力部は、入出力コントローラ806によりホスト・コントローラ801に接続される通信インターフェース807、ハードディスクドライブ808、及びCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ809を有する。レガシー入出力部は、入出力コントローラ806に接続されるROM(Read Only Memory)810、フレキシブルディスク・ドライブ811、及び入出力チップ812を有する。
【0057】
ホスト・コントローラ801は、RAM803と、高い転送レートでRAM803をアクセスするCPU802、及びグラフィック・コントローラ804とを接続する。CPU802は、ROM810、及びRAM803に格納されたプログラムに基づいて動作して、各部の制御をする。グラフィック・コントローラ804は、CPU802等がRAM803内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得して、表示装置894上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ804は、CPU802等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0058】
入出力コントローラ806は、ホスト・コントローラ801と、比較的高速な入出力装置であるハードディスクドライブ808、通信インターフェース807、CD−ROMドライブ809を接続する。ハードディスクドライブ808は、CPU802が使用するプログラム、及びデータを格納する。通信インターフェース807は、ネットワーク通信装置891に接続してプログラム又はデータを送受信する。CD−ROMドライブ809は、CD−ROM892からプログラム又はデータを読み取り、RAM803を介してハードディスクドライブ808、及び通信インターフェース807に提供する。
【0059】
入出力コントローラ806には、ROM810と、フレキシブルディスク・ドライブ811、及び入出力チップ812の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM810は、運賃表生成装置110が起動時に実行するブート・プログラム、あるいは運賃表生成装置110のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ811は、フレキシブルディスク893からプログラム又はデータを読み取り、RAM803を介してハードディスクドライブ808、及び通信インターフェース807に提供する。入出力チップ812は、フレキシブルディスク・ドライブ811、あるいはパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を接続する。
【0060】
CPU802が実行するプログラムは、フレキシブルディスク893、CD−ROM892、又はIC(Integrated Circuit)カード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。記録媒体に格納されたプログラムは圧縮されていても非圧縮であってもよい。プログラムは、記録媒体からハードディスクドライブ808にインストールされ、RAM803に読み出されてCPU802により実行される。CPU802により実行されるプログラムは、運賃表生成装置110を、図1から図12に関連して説明した関係データ取得部110、乗降所特定部120、路線図データ取得部130、運賃表データ取得部140、運賃表生成部150、表示位置変更部160、レイアウト判定部170、表示情報格納部180、及びレイアウト情報格納部190として機能させる。
【0061】
以上に示したプログラムは、外部の記憶媒体に格納されてもよい。記憶媒体としては、フレキシブルディスク893、CD−ROM892の他に、DVD(Digital Versatile Disk)又はPD(Phase Disk)等の光学記録媒体、MD(MiniDisk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークあるいはインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスク又はRAM等の記憶媒体を記録媒体として使用して、ネットワークを介したプログラムとして提供してもよい。
【0062】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0063】
100 運賃表生成装置
110 関係データ取得部
120 乗降所特定部
130 路線図データ取得部
140 運賃表データ取得部
150 運賃表生成部
160 表示位置変更部
170 レイアウト判定部
180 レイアウト情報格納部
190 表示情報格納部
801 ホスト・コントローラ
802 CPU
803 RAM
804 グラフィック・コントローラ
806 入出力コントローラ
807 通信インターフェース
808 ハードディスクドライブ
809 CD−ROMドライブ
810 ROM
811 フレキシブルディスク・ドライブ
812 入出力チップ
891 ネットワーク通信装置
892 CD−ROM
893 フレキシブルディスク
894 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公共交通機関の路線図における複数の各乗降所名の表示に、当該乗降所までの運賃の表示を付した運賃表を生成する運賃表生成装置であって、
広範囲の路線図における複数の乗降所のうち、基準とする乗降所から指定された範囲内の乗降所のみを表す路線図における乗降所名の表示に、当該乗降所までの運賃の表示を付した運賃表を生成する運賃表生成部
を備える運賃表生成装置。
【請求項2】
広範囲の路線図に属する複数の乗降所同士の関係を示すデータに基づいて、基準とする乗降所から指定された範囲内の乗降所を特定する乗降所特定部
を更に備え、
前記運賃表生成部は、広範囲の路線図における複数の乗降所のうち、前記乗降所特定部が特定した乗降所のみを表す路線図における乗降所名の表示に、当該乗降所までの運賃の表示を付した運賃表を生成する
請求項1に記載の運賃表生成装置。
【請求項3】
前記運賃表の路線図において路線を表す線の形状が変更された場合に、当該変更された線上の乗降所名と当該乗降所までの運賃の表示位置を、予め定められた条件に従って変更する表示位置変更部
を更に備える請求項1又は2に記載の運賃表生成装置。
【請求項4】
前記運賃表生成部は、既成の運賃表の路線図のレイアウトをテンプレートにして、広範囲の路線図における複数の乗降所のうち、前記テンプレートのレイアウトの路線図における乗降所名の表示に、当該乗降所までの運賃の表示を付した運賃表を生成する
請求項1から3のいずれか一項に記載の運賃表生成装置。
【請求項5】
前記運賃表の路線図のレイアウトが、予め定められた条件を満たしているか否かを判定するレイアウト判定部
を更に有する請求項1から4のいずれか一項に記載の運賃表生成装置。
【請求項6】
公共交通機関の路線図における複数の各乗降所名の表示に、当該乗降所までの運賃の表示を付した運賃表を生成する運賃表生成装置を制御する制御方法であって、
広範囲の路線図における複数の乗降所のうち、基準とする乗降所から指定された範囲内の乗降所のみを表す路線図における乗降所名の表示に、当該乗降所までの運賃の表示を付した運賃表を生成する運賃表生成段階
を備える制御方法。
【請求項7】
公共交通機関の路線図における複数の各乗降所名の表示に、当該乗降所までの運賃の表示を付した運賃表を生成する運賃表生成装置用のプログラムであって、前記運賃表生成装置を、
広範囲の路線図における複数の乗降所のうち、基準とする乗降所から指定された範囲内の乗降所のみを表す路線図における乗降所名の表示に、当該乗降所までの運賃の表示を付した運賃表を生成する運賃表生成部
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図12】
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【図13】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−92670(P2013−92670A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234990(P2011−234990)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(594128647)株式会社ジェイアール東日本建築設計事務所 (6)