説明

運転アドバイス報知システムおよび運転アドバイス報知方法並びにプログラム

【課題】自車両の運転をより適正に改善可能とする。
【解決手段】他車両からのクレーム発生を示すクレーム情報を取得し、取得されたクレーム情報が示すクレーム発生時の自車両の状況や、クレーム発生時の自車両と他車両との相対位置関係に基づいて自車両の運転シーンを特定し、特定された運転シーンの発生回数を積算し、積算された運転シーンの発生回数に基づいて、自車両の運転に対してアドバイスする情報である運転アドバイス情報を報知すべき情報として設定する。即ち、他車両からのクレーム発生時の自車両の状況や他車両との相対位置関係により特定される運転シーンの発生回数という統計データに基づいて、報知すべき運転アドバイス情報を設定し、設定した情報を報知する。これにより、自車両の運転をより適正に改善可能とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転アドバイス報知システムおよび運転アドバイス報知方法並びにプログラムに関し、詳しくは、自車両の運転に対してアドバイスする情報を報知する運転アドバイス報知システムおよび運転アドバイス報知方法並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の運転アドバイス報知システムに関する技術としては、自車両周辺の音を集音する4つの集音部と、複数のカメラを持ち立体画像データを得ることができる撮影部と、を備える車載された運転支援装置において、集音部からの音響信号に基づいて警告音(クラクション)の音源の自車両からの距離と方角とを算出し、撮影部により撮影した音源の方角の画像に基づいて周辺車両の自車両からの距離と方角とを算出し、自車両の位置と周辺車両の位置と警告音の音源位置とを文字や音で提示するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、これにより、自車両の近くで警告音が鳴ったときに、警告音がどの車両から発せられたかや、自車両に向けて発せられたものかを容易に素早く知ることができるものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−282235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の技術では、自車両の運転を改善することが難しい。警告音を鳴らした他車両と自車両との相対的な位置関係を運転者が把握したとしても、その相対位置関係に至るまでに自車両がどのように走行したり停車したかなどによって、警告音の原因は異なるために、運転者は警告音の原因までは容易に特定することができず、自車両の運転を直ちに改善することはできない。また、他車両から警告音が鳴らされたとしても、自車両の運転にはさほど問題がない場合もあるため、他車両から警告音が鳴らされる度に情報が提示されると、運転者は自車両の運転を改善しようとしなくなることも考えられる。
【0005】
本発明の運転アドバイス報知システムおよび運転アドバイス報知方法並びにプログラムは、自車両の運転をより適正に改善可能とすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の運転アドバイス報知システムおよび運転アドバイス報知方法並びにプログラムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の運転アドバイス報知システムは、
自車両の運転に対してアドバイスする情報を報知する運転アドバイス報知システムであって、
他車両からのクレーム発生を示すクレーム情報を取得するクレーム情報取得手段と、
前記取得されたクレーム情報が示すクレーム発生時の自車両の状況と、該クレーム発生時の自車両と他車両との相対位置関係とに基づいて自車両の運転シーンを特定する運転シーン特定手段と、
前記特定された運転シーンの発生回数を積算する運転シーン発生回数積算手段と、
前記積算された運転シーンの発生回数に基づいて、自車両の運転に対してアドバイスする情報である運転アドバイス情報を報知すべき情報として設定する報知情報設定手段と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の運転アドバイス報知システムでは、他車両からのクレーム発生を示すクレーム情報を取得し、取得されたクレーム情報が示すクレーム発生時の自車両の状況と、クレーム発生時の自車両と他車両との相対位置関係とに基づいて自車両の運転シーンを特定し、特定された運転シーンの発生回数を積算し、積算された運転シーンの発生回数に基づいて、自車両の運転に対してアドバイスする情報である運転アドバイス情報を報知すべき情報として設定する。即ち、他車両からのクレーム発生時の自車両の状況や他車両との相対位置関係により特定される運転シーンの発生回数という統計データに基づいて、報知すべき運転アドバイス情報を設定し、設定した情報を報知するのである。これにより、他車両からクレームの内容(意図)を直接取得することなく、他車両からのクレームに対応するアドバイスを行なうことができる。しかも、他車両との相対位置関係以外にクレーム発生時の自車両の状況に基づいて自車両の運転シーンを特定するから、クレーム発生時の自車両の運転シーンをより適正に特定することができる。さらに、運転シーンの発生回数という統計データに基づいて報知すべき情報を設定するから、より適正にアドバイスすることができる。この結果、自車両の運転をより適正に改善可能とすることができる。ここで、前記運転シーン発生回数積算手段は、予め定められた複数の運転シーンのうち前記特定された自車両の運転シーンに合致する運転シーンの発生回数を積算する手段である、ものとすることもできる。また、前記報知情報設定手段は、予め定められた複数の前記運転アドバイス情報のうち少なくとも1つを報知すべき情報として設定する手段である、ものとすることもできる。
【0009】
こうした本発明の運転アドバイス報知システムにおいて、前記運転シーン特定手段は、加速時か減速時か,前方車両の有無,停車状態か否か,方向指示器の点滅の種類,車線変更したか否かの少なくともいずれかにより区分される前記クレーム発生時の自車両の状況と、自車両に対して他車両が前方か後方か,左側方か右側方かの少なくともいずれかにより区分される前記クレーム発生時の自車両と他車両との相対位置関係と、に基づいて自車両の運転シーンを特定する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、クレーム発生時の自車両の運転シーンをより確実に特定することができる。
【0010】
また、本発明の運転アドバイス報知システムにおいて、前記報知情報設定手段は、複数の運転シーン毎且つ複数の前記運転アドバイス情報毎に予め定められた係数を前記積算された運転シーン毎の発生回数に乗じて得られる前記複数の運転アドバイス情報毎のポイントが高い方の前記運転アドバイス情報から順に報知すべき情報として設定する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、報知すべき運転アドバイス情報をより適正に設定することができる。
【0011】
さらに、本発明の運転アドバイス報知システムにおいて、前記報知情報設定手段は、前記積算された運転シーンの発生回数が多いほど大きくなる傾向に該運転シーン毎の倍率を設定し、複数の運転シーン毎且つ複数の前記運転アドバイス情報毎に予め定められた係数を前記設定された運転シーン毎の倍率に乗じて得られる前記複数の運転アドバイス情報毎のポイントが高い方の前記運転アドバイス情報から順に報知すべき情報として設定する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、報知すべき運転アドバイス情報をより適正に設定することができる。
【0012】
あるいは、本発明の運転アドバイス報知システムにおいて、前記報知情報設定手段は、前記積算された運転シーンの発生回数の1回を1ポイントとして該ポイントが高い方の運転シーンを示す前記運転アドバイス情報から順に報知すべき情報として設定する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、報知すべき運転アドバイス情報をより適正に設定することができる。
【0013】
こうしたポイントが高い方の情報から順に報知すべき情報として設定する態様の本発明の運転アドバイス報知システムにおいて、前記報知情報設定手段は、前記ポイントが高い方の情報から所定順位までの情報または前記ポイントが所定ポイント以上の情報を報知すべき情報として設定する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、より適正に運転アドバイス情報を1つ以上報知したり報知しないものとしたりすることができる。
【0014】
本発明の運転アドバイス報知システムにおいて、前記運転シーン特定手段は、前記クレーム発生時の自車両の走行路の道路形状として直進路かカーブ路か,交差点か否か,細街路か否かの少なくともいずれかにより区分される道路形状と、前記クレーム発生時の自車両の状況と、前記クレーム発生時の自車両と他車両との相対位置関係とに基づいて自車両の運転シーンを特定する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、クレーム発生時の自車両の運転シーンをより適正に特定することができる。
【0015】
また、本発明の運転アドバイス報知システムにおいて、ユーザから要求されたとき、システムが起動されたとき、運転シーンの発生回数の積算が開始されてから所定時間が経過しているとき、運転シーンの発生回数の総積算回数が所定回数以上のとき、の少なくともいずれかのときに、前記設定された報知すべき情報を文字表示および音声出力の少なくとも一方によって報知手段により報知させる報知処理手段を備える、ものとすることもできる。
【0016】
本発明の運転アドバイス報知方法は、
自車両の運転に対してアドバイスする情報を報知する運転アドバイス報知方法であって、
(a)他車両からのクレーム発生を示すクレーム情報を取得するステップと、
(b)前記取得されたクレーム情報が示すクレーム発生時の自車両の状況と、該クレーム発生時の自車両と他車両との相対位置関係とに基づいて自車両の運転シーンを特定するステップと、
(c)前記特定された自車両の運転シーンの発生回数を積算するステップと、
(d)前記積算された運転シーンの発生回数に基づいて、自車両の運転に対してアドバイスする情報である運転アドバイス情報を報知すべき情報として設定するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0017】
この本発明の運転アドバイス報知方法では、他車両からのクレーム発生時の自車両の状況や他車両との相対位置関係により特定される運転シーンの発生回数という統計データに基づいて、報知すべき運転アドバイス情報を設定し、設定した情報を報知するのである。これにより、他車両からクレームの内容(意図)を直接取得することなく、他車両からのクレームに対応するアドバイスを行なうことができる。この結果、自車両の運転をより適正に改善可能とすることができる。ここで、前記ステップ(c)は、予め定められた複数の運転シーンのうち前記特定された自車両の運転シーンに合致する運転シーンの発生回数を積算するステップである、とすることもできる。また、前記ステップ(d)は、予め定められた複数の前記運転アドバイス情報のうち少なくとも1つを報知すべき情報として設定するステップである、とすることもできる。
【0018】
本発明のプログラムは、上述した運転アドバイス報知方法の各ステップを1以上のコンピュータに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを一つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに分担して実行させれば、上述した運転アドバイス報知方法の各ステップが実現されるため、その運転アドバイス報知方法と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例である運転アドバイス報知システムとしてのナビゲーション装置20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】電子制御ユニット30のアドバイス処理部68により実行される運転シーン特定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図3】電子制御ユニット30のアドバイス処理部68により実行される運転アドバイス情報報知処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】クレーム発生時の自車両の状況を区分する様子を示す説明図である。
【図5】クレーム発生時の自車両の区分された状況を示す説明図である。
【図6】クレーム発生時の自車両の走行路の区分された道路形状を示す説明図である。
【図7】クレーム発生時の自車両と他車両との区分された相対位置関係を示す説明図である。
【図8】運転シーンA〜Zの発生回数を積算した様子の一例を示す説明図である。
【図9】重み付け係数テーブルの一例を示す説明図である。
【図10】図9の重み付け係数テーブルを用いた運転アドバイス情報1〜n毎のポイントの計算を行なう様子を示す説明図である。
【図11】変形例における図9の重み付け係数テーブルを用いた運転アドバイス情報1〜n毎のポイントの計算を行なう様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0021】
図1は、本発明の一実施例である運転アドバイス報知システムとしてのナビゲーション装置20の構成の概略を示す構成図である。実施例のナビゲーション装置20は、他の車載機器12と共に図示しない自動車に搭載されており、文字や画像を表示する矩形状の画面を有する例えば液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどとして構成されたディスプレイ22と、ディスプレイ22の画面に取り付けられた例えば抵抗膜方式や静電容量方式などによるタッチパネル24と、操作者(ユーザ)により押下可能な複数のボタン25と、装置全体をコントロールする電子制御ユニット30と、各種アプリケーションソフトウェアや地図データなどを記憶する大容量メモリとしてのハードディスクドライブ(以下、HDDという)40とを備え、図示しない車載バッテリからの電力供給を受けて作動する。
【0022】
電子制御ユニット30は、CPU32を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU32の他に各種処理プログラムを記憶するROM34と、データを一時的に記憶するRAM36と、記憶したデータを保持する不揮発性のフラッシュメモリ38と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。電子制御ユニット30には、操作者(ユーザ)のタッチ位置を検出するタッチパネル24からの信号や複数のボタン25からの信号,HDD40から読み出したデータなどが入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット30からは、ディスプレイ22への表示信号やアンプを内蔵したスピーカ26への音声信号,HDD40に書き込むデータなどが出力ポートを介して出力されている。また、電子制御ユニット30は、車載機器12からの各種信号を受信したりナビゲーション装置20の状態に関するデータを車両側に送信するために通信ポートを介して車内ネットワークと接続されている。車載機器12からの信号としては、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号をGPSアンテナを介して受信するGPS受信機50からの信号,車両の駆動軸や車輪が一定量回転する毎にパルス信号を出力する車速センサ52からの信号,車両の加速度を検出する加速度センサ53からの信号,車両の進行方位やその変化を検出する例えばジャイロセンサにより構成された方位センサ54からの信号,車両のハンドルの基準位置(進行方向に相当する位置)からの回転量(回転角)をハンドル操舵量として検出する操舵量センサ55からの信号,車両前部に設置されて車両前方の風景画像を撮影可能なカメラ56からの信号(撮影画像),車両前部に設置されて車両前方の物体の自車両に対する相対距離や相対速度を検出する例えばミリ波レーダにより構成された物体センサ57からの信号などがある。さらに、電子制御ユニット30は、自車両に搭載されたものと同種のナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置20Bとする)および通信装置(以下、通信装置58Bとする)を搭載する他車両と自車両との車々間で車両の状態に関するデータを送受信(いわゆる車々間通信)可能とする通信装置58と通信ポートを介して接続されている。
【0023】
通信装置58は、図示しないエンコーダやデコーダを有する。車々間通信により送受信するデータとしては、自車位置(緯度及び経度)やクレーム(苦情)などがある。クレームは、実施例では、運転者が周辺車両に対して警告したいときに、クラクション(警笛)に代えて又は加えて、ナビゲーション装置20のタッチパネル24やボタン25を操作することによって発生するものとし、こうした操作がなされたときにクレーム発生を示すクレーム情報がクレーム発生時の自車位置と共に通信装置58を介して他車両に送信されるものとした。したがって、他車両の運転者がナビゲーション装置20Bを操作することにより通信装置58Bを介して送信されたクレーム情報が、他車両の位置(他車両における自車位置)と共に、自車両の通信装置58Bを介して電子制御ユニット30に入力されることになる。また、実施例では、ナビゲーション装置20Bと通信装置58Bとを搭載する他車両は数多く存在し、車々間通信によるデータのやりとりがある程度頻繁に行なわれているものとした。
【0024】
実施例のナビゲーション装置20では、電子制御ユニット30は、HDD40から必要なアプリケーションソフトウェアや地図データを読み出して各種処理を実行する。例えば、ハードウェア又はソフトウェア或いはその組み合わせにより実現される機能を表す図1の機能ブロックに示すように、電子制御ユニット30は、GPS受信機50からの信号や方位センサ54からの信号などに基づいて車両の現在位置である自車位置を判定するロケーション処理部60によるロケーション処理や、地図データを用いてディスプレイ22に地図を表示する地図表示処理部62による地図表示処理、判定された自車位置から目的地への走行ルートを探索して地図表示処理部62による地図表示やスピーカ26からの音声出力によりルート案内を行なうナビゲーション処理部64によるナビゲーション処理、自車両の運転に対してアドバイスする情報を報知するアドバイス処理部68によるアドバイス処理などを実行する。ここで、ロケーション処理では、GPS受信機50からのGPS信号に基づいていわゆるGPS航法により自車位置を算出したり、GPS信号を受信できない場合などに車速センサ52からの車速パルス信号や加速度センサ53からの車両の加速度,方位センサ54からの車両の方位に基づいていわゆる自律航法により自車位置を算出したり、算出された自車位置が地図の道路上から外れた場合などに地図データを用いて自車位置を道路上の位置に補正するいわゆるマップマッチングを行なったりして、他の処理を実行するのに十分な正確さをもって自車位置を推定する。なお、地図データは、HDD40の地図データ用データベース(以下、地図データDBという)42に記憶されていおり、地図データDB42には、道路情報や施設情報などが含まれる。道路情報には、例えば各道路(各リンク)の両端のノードが示す地図上の位置(緯度及び経度),各道路の距離,各道路の道路形状,地域(市街地,郊外),種別(一般道路,高速道路)などがある。道路形状は、直進路かカーブ路か、交差点か否か、細街路か否かなどにより区分されている。
【0025】
次に、こうして構成された実施例のナビゲーション装置20の動作、特に他車両からのクレームが生じるような自車両の運転に対してアドバイスする情報(以下、運転アドバイス情報という)を報知する際の動作について説明する。図2は、電子制御ユニット30のアドバイス処理部68により実行される運転シーン特定処理ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図3は、同じく電子制御ユニット30のアドバイス処理部68により実行される運転アドバイス情報報知処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。これらのルーチンは、車両がイグニッションオンされてナビゲーション装置20の電源がオンされたときに所定時間毎(例えば、数十msec毎)に繰り返し実行される。以下、運転シーン特定処理、運転アドバイス情報報知処理の順に説明する。
【0026】
図2の運転シーン特定処理ルーチンが実行されると、電子制御ユニット30のCPU32は、まず、通信装置58を介して他車両からクレーム情報が入力されたか否かを判定し(ステップS100)、クレーム情報が入力されていないときには、クレーム情報が入力されるのを待つ。クレーム情報が入力されたときには、そのクレーム情報と共に他車両の位置を取得し(ステップS110)、他車両からのクレーム発生時の自車両の状況を入力する(ステップS120)。ここで、クレーム発生時の自車両の状況は、例えば、自車両の状況を特定するのに必要な車両の状態に関するデータを、状況特定用に予め定められた第1所定時間(例えば、数秒など)に亘ってフラッシュメモリ38に記憶し蓄積しておき、蓄積したデータに基づいてクレーム発生時と想定されるタイミング(例えば、第1所定時間より短い第2所定時間だけ現在時刻から遡ったタイミング)の自車両の状況として推定されたものを入力することができる。
【0027】
図4は、クレーム発生時の自車両の状況を区分する様子を示す説明図であり、図5は、クレーム発生時の自車両の区分された状況を示す説明図である。図4に示すように、クレーム発生時の自車両の状況は、車線変更したか否か,加速時か減速時か,停車状態か否か,前方車両の有無,方向指示器の点滅の種類等により区分される。具体的には、クレーム発生時の自車両の状況は、まず、車線変更したか否かにより区分され、車線変更していない場合には、車速変化の区分により加速時か減速時か若しくは車速変化がなかったかのいずれかに区分され、減速時の場合には、前方車両が有りか無しかに区分される。また、車線変更がなく車速変化がなかった場合、低速走行していたか又は高速走行していたか若しくは停車状態であったかのいずれかに区分され、低速走行していた場合には、前方車両が有りか無しかに区分され、停車状態であった場合には、方向指示器の点滅の種類の区分により左側の方向指示器(左ウィンカ)が点滅している一時停止状態か,右側の方向指示器(右ウィンカ)が点滅している一時停止状態か,方向指示器が点滅していない停車状態であるか,両側の方向指示器が点滅(ハザードランプが点滅)している停車状態かのいずれかに区分される。さらに、車線変更した場合、その変更が左側の車線への移動であったか右側の車線への移動であったかにより区分される。
【0028】
こうして区分されたクレーム発生時の自車両の状況のうち、実施例では、図4および図5に示すように、減速時に前方車両がない状況を自車両状況1とし、減速時に前方車両がある状況を自車両状況2とし、低速走行時に前方車両がない状況を自車両状況3とし、低速走行時に前方車両がある状況を自車両状況4とし、左ウィンカが点滅している一時停止の状態を自車両状況5とし、右ウィンカが点滅している一時停止の状態を自車両状況6とし、方向指示器が点滅していない停車の状態を自車両状況7とし、ハザードランプが点滅している停車の状態を自車両状況8とし、左側に車線変更した状況を自車両状況9とし、右側に車線変更した状況を自車両状況10として予め定めた。そして、クレーム発生時の自車両の状況は、こうして予め定めた自車両状況1〜10のうちいずれかが入力されるものとした。ここで、車線変更したか否かは、例えば、カメラ56により撮影された車両前方の風景画像に所定の画像認識処理を施して得られる走行車線位置の変化や操舵量センサ55からの信号の変化に基づいて判定し区分することができる。加速時か減速時か車速変化なしかは、車速センサ52や加速度センサ53からの信号に基づいて判定し区分することができる。前方車両の有無は、物体センサ57からの信号に基づいて自車両から前方に予め定められた距離内に物体が有るか否かを判定することによって区分することができる。低速走行か高速走行か停車状態かは、車速センサ52からの信号に基づいて車速が予め定められた低速走行範囲か高速走行範囲か停車速度範囲かのいずれに属するかを判定することによって区分することができる。なお、実施例では、自車両の状況が区分された結果、車線変更がなく車速変化がない加速時であると区分された場合や、車線変更がなく車速変化がない高速走行時の状況であると区分された場合には、予め定めた自車両状況1〜10のいずれにも該当しないため、ステップS120の処理としては、自車両の状況は入力されないものとした。
【0029】
続いて、他車両からのクレーム発生時の自車両の走行路の道路形状を入力する(ステップS130)。クレーム発生時の自車両の走行路の道路形状は、自車両の走行路の道路形状を地図データDB42の道路情報を用いて前述の第1所定時間に亘ってフラッシュメモリ38に記憶し蓄積しておき、クレーム発生時と想定されるタイミングの道路形状をフラッシュメモリ38から読み出すことによって入力することができる。図6は、クレーム発生時の自車両の走行路の区分された道路形状を示す説明図である。実施例の道路形状は、まず、交差点であるか否かと細街路であるか否かにより区分され、いずれにも該当しない場合には、直進路かカーブ路かによって区分されて、図示するように、直進路の場合には道路形状1、カーブ路の場合には道路形状2、交差点の場合には道路形状3、細街路の場合には道路形状4と区分されるものとした。
【0030】
次に、他車両からのクレーム発生時の自車両と他車両との相対位置関係を入力する(ステップS140)。クレーム発生時の自車両と他車両との相対位置関係は、クレーム情報と共に通信装置58を介して取得された他車両の位置に基づいて推定されたものを入力することができる。図7は、クレーム発生時の自車両と他車両との区分された相対位置関係を示す説明図である。図示するように、実施例の相対位置関係は、自車両に対して他車両が前方か後方か左側か右側かのいずれかに区分されるものとした。
【0031】
こうしてクレーム発生時の自車両の状況,自車両の走行路の道路形状,自車両と他車両との相対位置関係を入力すると、入力したこれらのデータに基づいてクレーム発生時の自車両の運転シーンを特定する(ステップS150)。クレーム発生時の自車両の運転シーンの特定は、実施例では、自車両状況1〜10と道路形状1〜4と4種類の相対位置関係との組み合わせによって区分される合計160種類の運転シーンのうち、運転アドバイス情報を報知するのに適した運転シーンを予め26種類だけ運転シーンA〜Zとして選択しておき、入力したデータの組み合わせが26種類の運転シーンA〜Zのいずれに属するかを特定するものとした。したがって、入力したデータの組み合わせが、運転シーンA〜Zのいずれにも該当しない場合には、運転シーンの特定は行なわれないものとした。
【0032】
こうしてクレーム発生時の自車両の運転シーンを特定すると、特定した運転シーンの発生回数を積算(インクリメント)してフラッシュメモリ38に記憶し(ステップS160)、運転シーン特定処理ルーチンを終了する。運転シーンA〜Zの発生回数を積算した様子の一例を図8に示す。以上、運転シーン特定処理について説明した。次に、運転アドバイス情報報知処理について説明する。
【0033】
図3の運転アドバイス情報報知処理ルーチンが実行されると、電子制御ユニット30のCPU32は、まず、例えばタッチパネル24の所定の操作やボタン25の操作があったか否かを判定するなどにより、ユーザから運転アドバイス情報報知の要求があるか否かを判定し(ステップS200)、クレーム発生時の自車両の運転シーンA〜Zの発生回数を積算開始してから所定時間(例えば、数日や数週間など)が経過したか否かを判定すると共に(ステップS210)、クレーム発生時の自車両の運転シーンA〜Zの総積算回数(積算回数の合計値)が所定回数(例えば、10回や20回,30回など)以上であるか否かを判定する(ステップS220)。所定時間と所定回数は、運転アドバイス情報を正しく報知するのに必要な時間と回数として予め実験などにより定められた時間と回数である。したがって、ユーザからの要求があるか否かの判定を含めて、ステップS200〜S220の処理は、運転アドバイス情報を報知するための報知条件が成立しているか否かを判定する処理となる。よって、運転シーンA〜Zの積算開始から所定時間が経過していないときや、運転シーンA〜Zの総積算回数が所定回数未満のときには、運転アドバイス情報をユーザに報知することなく、運転アドバイス情報報知処理ルーチンを終了する。このとき、運転シーンの積算が十分でない旨を示す情報(例えば、「運転シーンの蓄積が十分ではないため、まだお知らせするアドバイスはありません。」など)をディスプレイ22に文字表示したりスピーカ26から音声出力したりしてもよい。
【0034】
運転シーンA〜Zの積算開始から所定時間が経過しており運転シーンA〜Zの総積算回数が所定回数以上のときには、積算された運転シーンA〜Zの発生回数と重み付け係数テーブルとに基づいて、予め定められた複数の運転アドバイス情報1〜n毎のポイントを計算する(ステップS230)。重み付け係数テーブルの一例を図9に示す。図示するように、実施例の重み付け係数テーブルは、複数の運転シーンA〜Z毎かつ複数の運転アドバイス情報1〜n毎に重み付け係数を定めたテーブルである。また、重み付け係数は、クレーム発生時の自車両の運転シーンA〜Zに対して運転者にアドバイスするのに適した1以上の運転アドバイス情報を運転アドバイス情報1〜nから予め選択しておき、選択した運転アドバイス情報毎に運転シーンとの関連性の高さに応じた重み付けをした係数(正の整数)である。例えば、図9の例では、直進路,減速時前方車両なし,他車両が後方の運転シーンAに対して、急ブレーキに関してアドバイスする運転アドバイス情報1に重み付け係数として値2が付与され、速度低下に関してアドバイスする運転アドバイス情報4に重み付け係数として値1が付与されている。図9の重み付け係数テーブルを用いた運転アドバイス情報1〜n毎のポイントの計算を行なう様子を図10に示す。図示するように、運転アドバイス情報1〜n毎のポイントは、運転シーンA〜Zの各発生回数に、重み付け係数テーブルの対応する係数を乗じることによって得ることができる。具体的には、運転シーンAの発生回数(3回)に、重み付け係数テーブルにおける運転シーンAに対応する運転アドバイス情報1の重み付け係数(値2)と運転アドバイス情報4の重み付け係数(値1)とをそれぞれ乗じることにより、運転シーンAの発生回数に応じた運転アドバイス情報1〜n毎のポイントを計算し、こうして運転シーンA〜Z毎に計算した運転アドバイス情報1〜n毎のポイントを運転アドバイス情報1〜n毎に加算することによって、運転アドバイス情報1〜n毎のポイントの合計値を計算することができる。
【0035】
こうして複数の運転アドバイス情報1〜n毎のポイントを計算すると、計算したポイントが最も高い運転アドバイス情報を運転者に報知すべき報知情報として設定し(ステップS240)、設定した報知情報をディスプレイ22に文字表示すると共にスピーカ26から音声出力して(ステップS250)、運転アドバイス情報報知処理ルーチンを終了する。図10の例では、急ブレーキに関して運転者にアドバイスする運転アドバイス情報1(「急ブレーキの傾向があります。早めのブレーキを心がけてください。」)が文字として表示されると共に音声により出力される。
【0036】
以上説明した実施例の運転アドバイス報知システムとしてのナビゲーション装置20では、他車両からのクレーム発生を示すクレーム情報を取得し、取得されたクレーム情報が示すクレーム発生時の自車両の状況や、クレーム発生時の自車両と他車両との相対位置関係に基づいて自車両の運転シーンを特定し、特定された運転シーンの発生回数を積算し、積算された運転シーンの発生回数に基づいて、自車両の運転に対してアドバイスする情報である運転アドバイス情報を報知すべき情報として設定する。即ち、他車両からのクレーム発生時の自車両の状況や他車両との相対位置関係により特定される運転シーンの発生回数という統計データに基づいて、報知すべき運転アドバイス情報を設定し、設定した情報を報知する。これにより、他車両からクレームの内容(意図)を直接取得することなく、他車両からのクレームに対応するアドバイスを行なうことができる。しかも、他車両との相対位置関係だけでなくクレーム発生時の自車両の状況や走行路の道路形状により自車両の運転シーンを特定するから、クレーム発生時の自車両の運転シーンをより適正に特定することができる。さらに、運転シーンの発生回数という統計データに基づいて報知すべき情報を設定するから、運転者により対して適正にアドバイスすることができる。この結果、自車両の運転をより適正に改善可能とすることができる。
【0037】
実施例のナビゲーション装置20では、運転アドバイス情報1〜n毎のポイントは、積算された運転シーンA〜Zの各発生回数に重み付け係数テーブルの対応する係数を乗じることによって計算するものとしたが、積算された運転シーンA〜Zの発生回数が多いほど大きくなる傾向に運転シーンA〜Z毎の倍率を設定し、重み付け係数テーブルの各係数を運転シーンA〜Z毎の倍率に乗じることによって運転アドバイス情報1〜n毎のポイントを計算するものとしてもよい。この変形例における図9の重み付け係数テーブルを用いた運転アドバイス情報1〜n毎のポイントの計算を行なう様子を図11に示す。図11に示すように、まず、積算された運転シーンA〜Zの発生回数が多いほど大きくなる傾向に運転シーンA〜Z毎の倍率が設定される(図中、破線で囲んだ部分参照)。図11の例では、発生回数が5回で1位の運転シーンAに対して10倍の倍率が設定され、発生回数が4回で2位の運転シーンZに対しては5倍の倍率が設定され、発生回数が3回で3位の運転シーンAに対しては3倍の倍率が設定され、発生回数が2回で4位の運転シーンBに対しては2倍の倍率が設定され、発生回数が1回で5位の運転シーンCと発生回数が5位以下の他の運転シーンに対しては1倍の倍率が設定される。そして、運転シーンAの倍率(3回)に、重み付け係数テーブルにおける運転シーンAに対応する運転アドバイス情報1の重み付け係数(値2)と運転アドバイス情報4の重み付け係数(値1)とをそれぞれ乗じることにより、運転シーンAの倍率に応じた運転アドバイス情報1〜n毎のポイントを計算し、こうして運転シーンA〜Z毎に計算した運転アドバイス情報1〜n毎のポイントを運転アドバイス情報1〜n毎に加算することによって、運転アドバイス情報1〜n毎のポイントの合計値を計算することができる。この図11の例では、右折待ち位置に関して運転者にアドバイスする運転アドバイス情報2(「交差点右折時の停止位置を注意してください。」)が文字として表示されると共に音声により出力される。こうして運転シーンに応じた倍率を用いることにより、発生回数の多い運転シーンを特に優先してアドバイスしたり、発生回数が上位の運転シーンを同等に扱ってアドバイスしたりすることなどができる。
【0038】
実施例のナビゲーション装置20では、運転アドバイス情報1〜n毎のポイントは、積算された運転シーンA〜Zの各発生回数に重み付け係数テーブルの対応する係数を乗じることによって計算するものとしたが、積算された運転シーンA〜Zの発生回数の1回を1ポイントとしてそのポイントが最も高い運転シーンを示す情報を報知すべき運転アドバイス情報として設定するものとしてもよい。例えば、図8の例では、発生回数が最も多い、細街路,ハザード停車,他車両が前方の運転シーンZ自体を示す運転アドバイス情報(例えば、「細街路でハザードを点滅して停車中に前方に他車両がいる運転シーンでは、クレーム(クラクション)を受けることが多いので注意してください。」など)を報知するものとしてもよい。
【0039】
実施例のナビゲーション装置20では、他車両からのクレーム情報が車々間通信によって電子制御ユニット30に入力されるものとしたが、これに代えて、他車両の運転者が周辺車両に対してクラクションを鳴らしたときにこのクラクションの音をクレーム発生を示すクレーム情報として検出することによって電子制御ユニット30に入力するものとしてもよい。クラクションの音の検出は、自車両の周辺の音を検出可能な複数のマイクを車両に取り付けることによって行なうことができる。この場合、クレーム情報と共に入力する他車両の位置(他車両における自車位置)は、複数のマイクにより特定される音源位置を用いるものとしてもよいし、車々間通信によって入力したり、道路上に適当な間隔で設置された車両感知器(いわゆる光ビーコン)を用いた通信方式(いわゆる路車間通信)によって入力したりしてもよい。
【0040】
実施例のナビゲーション装置20では、クレーム情報が示すクレーム発生時の自車両の状況と、クレーム発生時の自車両の走行路の道路形状と、クレーム発生時の自車両と他車両との相対位置関係と、に基づいて自車両の運転シーンを特定するものとしたが、クレーム発生時の自車両の走行路の道路形状には基づくことなく、クレーム発生時の自車両の状況と他車両との相対位置関係とに基づいて自車両の運転シーンを特定するものとしてもよいし、クレーム発生時の他の要素(例えば、昼間か夜間かなどにより区分される時間帯や、雨天時か晴天時かなどにより区分される天気など)と、クレーム発生時の自車両の状況と走行路の道路形状と他車両との相対位置関係とに基づいて自車両の運転シーンを特定するものとしてもよい。
【0041】
実施例のナビゲーション装置20では、クレーム発生時の自車両の走行路の道路形状は、直進路かカーブ路か交差点か細街路かに区分されるものとしたが、交差点か否かについては考慮せずに直進路かカーブ路か細街路かに区分される(即ち、直進路かカーブ路かと細街路か否かとにより区分される)ものとしてもよいし、細街路か否かについては考慮せずに直進路かカーブ路か交差点かに区分される(即ち、直進路かカーブ路かと交差点か否かとにより区分される)ものとしてもよいし、直進路かカーブ路かについては考慮せずに交差点か細街路かそれ以外かに区分される(即ち、交差点か否かと細街路か否かとにより区分される)ものとしてもよい。また、クレーム発生時の自車両の走行路の道路形状は、直進路かカーブ路か,交差点か否か,細街路か否かの区分に加えて、より広い概念の道路形状の要素(例えば、一般道路か高速道路かなどにより区分される道路種別,平坦路か登坂路か降坂路かなどにより区分される道路勾配の種類など)により区分されるものとしてもよい。
【0042】
実施例のナビゲーション装置20では、クレーム発生時の自車両と他車両との相対位置関係は、自車両に対して他車両が前方か後方か左側か右側かに区分されるものとしたが、左側が右側かについては考慮せずに前方か後方かに区分されるなどとしてもよいし、前方か後方か左側か右側かに区分するのみでなく、自車両に対して他車両が前後方向と左右方向と斜め方向とによる8方向のいずれかに区分されるなどとしてもよい。
【0043】
実施例のナビゲーション装置20では、クレーム発生時の自車両の状況は、加速時か減速時か,前方車両の有無,停車状態か否か,方向指示器の点滅の種類,車線変更したか否か等により自車両状況1〜10に区分されるものとしたが、加速時か減速時か,前方車両の有無,停車状態か否か,方向指示器の点滅の種類,車線変更したか否かの少なくともいずれかにより区分されるものとしてもよいし、これらに加えて、他の要素(例えば、前照灯(ヘッドライト)の点灯の有無や走行中の両方向指示器(ハザードランプ)の点滅の有無など)により区分されるものとしてもよい。
【0044】
実施例のナビゲーション装置20では、複数の運転アドバイス情報A〜Zのうちポイントが最も高い運転アドバイス情報を報知情報として設定するものとしたが、運転アドバイス情報A〜Zのうちポイントが高い方から順に所定順位まで(例えば、2番目や3番目など)の情報を報知情報として設定するものとしてもよいし、運転アドバイス情報A〜Zのうちポイントが所定ポイント以上(例えば、5ポイント以上や10ポイント以上など)の情報を報知情報として設定するものとしてもよい。後者の場合、ポイントが所定ポイント以上の運転アドバイス情報が存在しないときには報知情報は設定されず情報の報知は行なわれない。
【0045】
実施例のナビゲーション装置20では、ユーザから運転アドバイス情報の報知が要求されると共に運転シーンの発生回数の積算が開始されてから所定時間が経過しており且つ運転シーンの発生回数の総積算回数が所定回数以上のときに、報知条件が成立したとして、運転アドバイス情報A〜Z毎のポイントを計算して報知情報を設定し報知するものとしたが、例えば、ユーザから要求されたときに代えてナビゲーション装置20の電源がオンされたとき(運転アドバイス情報報知システムが起動されたとき)を用いるものとしてもよいし、運転シーンの発生回数は考慮しないものとしてもよいし、運転シーンの発生回数の積算開始からの時間は考慮しないものとしてもよい。即ち、報知条件としては、ユーザから要求されたとき、システムが起動されたとき、運転シーンA〜Zの発生回数の積算が開始されてから所定時間が経過しているとき、運転シーンA〜Zの発生回数の総積算回数が所定回数以上のとき、の少なくともいずれかのときに報知条件が成立したとして、運転アドバイス情報A〜Z毎のポイントを計算して報知情報を設定し報知するものとしてもよい。また、運転シーンの発生回数を積算する毎に報知するものとしてもよい。
【0046】
実施例のナビゲーション装置20では、ユーザから運転アドバイス情報の報知が要求されるなどの報知条件が成立したときに、運転アドバイス情報A〜Z毎のポイントを計算して報知情報を設定し報知するものとしたが、運転アドバイス情報A〜Z毎のポイントは運転シーンが特定されたときに計算しておき、報知条件が成立したときに運転アドバイス情報毎のポイントに対応する報知情報を設定して報知するものとしてもよいし、運転アドバイス情報A〜Z毎のポイントの計算と報知情報の設定は運転シーンが特定されたときに行なっておき、報知条件が成立したときに報知情報を報知するものとしてもよい。
【0047】
実施例のナビゲーション装置20では、設定された報知情報を文字表示と音声出力とにより報知するものとしたが、文字表示のみを行なったり、音声出力のみを行なったり、これらに代えて又は加えてディスプレイ22への画像表示によって報知するものとしてもよい。
【0048】
実施例では、本発明の運転アドバイス報知システムをディスプレイ22やスピーカ26を備えるナビゲーション装置20に適用して説明したが、例えば、ディスプレイやスピーカを備えるナビゲーション装置と通信可能に接続されたサーバに電子制御ユニット30のアドバイス処理部68の機能の全部または一部を実装して、このサーバを本発明の運転アドバイス報知システムとして機能させたり、このサーバとナビゲーション装置との組み合わせによって本発明の運転アドバイス報知システムを機能させるものとしてもよい。また、ナビゲーション装置20に代えて、携帯端末や他の車載装置を本発明の運転アドバイス報知システムとして機能させるものとしてもよい。
【0049】
また、実施例では、本発明を運転アドバイス報知システムの形態としたが、運転アドバイス報知方法の形態としてもよいし、こうした運転アドバイス報知方法の各ステップを1以上のコンピュータに実現させるためのプログラムの形態としてもよい。
【0050】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、他車両からのクレーム発生を示すクレーム情報が入力されたときにクレーム情報と他車両の位置を取得する図2の運転シーン特定処理ルーチンのステップS100,S110の処理を実行する電子制御ユニット30(アドバイス処理部68)が「クレーム情報取得手段」に相当し、クレーム発生時の自車両の状況や他車両との相対位置関係に基づいて自車両の運転シーンを特定する同ルーチンのステップS120〜S150の処理を実行する電子制御ユニット30(アドバイス処理部68)が「運転シーン特定手段」に相当し、運転シーンの発生回数を積算する同ルーチンのステップS160の処理を実行する電子制御ユニット30(アドバイス処理部68)が「運転シーン発生回数積算手段」に相当し、積算された運転シーンの発生回数に基づいて重み付け係数テーブルを用いて報知情報を設定する図3の運転アドバイス情報報知処理ルーチンのステップS230,S240の処理を実行する電子制御ユニット30(アドバイス処理部68)が「報知情報設定手段に相当する。また、設定された報知情報を文字表示や音声出力により報知する図3の運転アドバイス情報報知処理ルーチンのステップS250の処理を実行する電子制御ユニット30(アドバイス処理部68)が「報知処理手段」に相当する。
【0051】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0052】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、運転アドバイス報知システムの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
12 車載機器、20,20B ナビゲーション装置、22 ディスプレイ、24 タッチパネル、25 ボタン、26 スピーカ、30 電子制御ユニット、32 CPU、34 ROM、36 RAM、38 フラッシュメモリ、40 ハードディスクドライブ(HDD)、42 地図データ用データベース(地図データDB)、50 GPS受信機、52 車速センサ、53 加速度センサ、54 方位センサ、55 操舵量センサ、56 カメラ、57 物体センサ、58,58B 通信装置、60 ロケーション処理部、62 地図表示処理部、64 ナビゲーション処理部、68 アドバイス処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の運転に対してアドバイスする情報を報知する運転アドバイス報知システムであって、
他車両からのクレーム発生を示すクレーム情報を取得するクレーム情報取得手段と、
前記取得されたクレーム情報が示すクレーム発生時の自車両の状況と、該クレーム発生時の自車両と他車両との相対位置関係とに基づいて自車両の運転シーンを特定する運転シーン特定手段と、
前記特定された運転シーンの発生回数を積算する運転シーン発生回数積算手段と、
前記積算された運転シーンの発生回数に基づいて、自車両の運転に対してアドバイスする情報である運転アドバイス情報を報知すべき情報として設定する報知情報設定手段と、
を備える運転アドバイス報知システム。
【請求項2】
請求項1記載の運転アドバイス報知システムであって、
前記運転シーン特定手段は、加速時か減速時か,前方車両の有無,停車状態か否か,方向指示器の点滅の種類,車線変更したか否かの少なくともいずれかにより区分される前記クレーム発生時の自車両の状況と、自車両に対して他車両が前方か後方か,左側方か右側方かの少なくともいずれかにより区分される前記クレーム発生時の自車両と他車両との相対位置関係と、に基づいて自車両の運転シーンを特定する手段である、
運転アドバイス報知システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の運転アドバイス報知システムであって、
前記報知情報設定手段は、複数の運転シーン毎且つ複数の前記運転アドバイス情報毎に予め定められた係数を前記積算された運転シーン毎の発生回数に乗じて得られる前記複数の運転アドバイス情報毎のポイントが高い方の前記運転アドバイス情報から順に報知すべき情報として設定する手段である、
運転アドバイス報知システム。
【請求項4】
請求項1または2記載の運転アドバイス報知システムであって、
前記報知情報設定手段は、前記積算された運転シーンの発生回数が多いほど大きくなる傾向に該運転シーン毎の倍率を設定し、複数の運転シーン毎且つ複数の前記運転アドバイス情報毎に予め定められた係数を前記設定された運転シーン毎の倍率に乗じて得られる前記複数の運転アドバイス情報毎のポイントが高い方の前記運転アドバイス情報から順に報知すべき情報として設定する手段である、
運転アドバイス報知システム。
【請求項5】
請求項1または2記載の運転アドバイス報知システムであって、
前記報知情報設定手段は、前記積算された運転シーンの発生回数の1回を1ポイントとして該ポイントが高い方の運転シーンを示す前記運転アドバイス情報から順に報知すべき情報として設定する手段である、
運転アドバイス報知システム。
【請求項6】
請求項3ないし5のいずれか1つの請求項に記載の運転アドバイス報知システムであって、
前記報知情報設定手段は、前記ポイントが高い方の情報から所定順位までの情報または前記ポイントが所定ポイント以上の情報を報知すべき情報として設定する手段である、
運転アドバイス報知システム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つの請求項に記載の運転アドバイス報知システムであって、
前記運転シーン特定手段は、前記クレーム発生時の自車両の走行路の道路形状として直進路かカーブ路か,交差点か否か,細街路か否かの少なくともいずれかにより区分される道路形状と、前記クレーム発生時の自車両の状況と、前記クレーム発生時の自車両と他車両との相対位置関係とに基づいて自車両の運転シーンを特定する手段である、
運転アドバイス報知システム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1つの請求項に記載の運転アドバイス報知システムであって、
ユーザから要求されたとき、システムが起動されたとき、運転シーンの発生回数の積算が開始されてから所定時間が経過しているとき、運転シーンの発生回数の総積算回数が所定回数以上のとき、の少なくともいずれかのときに、前記設定された報知すべき情報を文字表示および音声出力の少なくとも一方によって報知手段により報知させる報知処理手段
を備える運転アドバイス報知システム。
【請求項9】
自車両の運転に対してアドバイスする情報を報知する運転アドバイス報知方法であって、
(a)他車両からのクレーム発生を示すクレーム情報を取得するステップと、
(b)前記取得されたクレーム情報が示すクレーム発生時の自車両の状況と、該クレーム発生時の自車両と他車両との相対位置関係とに基づいて自車両の運転シーンを特定するステップと、
(c)前記特定された自車両の運転シーンの発生回数を積算するステップと、
(d)前記積算された運転シーンの発生回数に基づいて、自車両の運転に対してアドバイスする情報である運転アドバイス情報を報知すべき情報として設定するステップと、
を含む運転アドバイス報知方法。
【請求項10】
請求項9記載の運転アドバイス報知方法の各ステップを1以上のコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−114353(P2013−114353A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258202(P2011−258202)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】