説明

運転支援システム、情報生成方法、運転支援プログラム、及び生成プログラム

【課題】車両の現在位置に適した交通監視情報を運転者に提供することによって、運転者の運転を支援する運転支援システム等を提供する。
【解決手段】運転支援システムは、区画領域の位置を特定することが可能な第一DB、及び、各都道府県警察署から公表される、監視活動に関する情報を格納した第三DBを参照する。運転支援システムは、自車両が位置する区画領域を、自車両位置に基づいて第一DBを参照することによって特定する。運転支援システムは、自車両位置の近くで実施されている監視活動に関する情報を、第三DBを参照することによって特定する。自車両位置は、地図画像に重ねてメイン表示領域21に表示する。特定した区画領域は、第一サブ表示領域22に表示する。特定された監視活動に関する情報は、第二サブ表示領域23にスクロール表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の現在位置に適した交通監視情報を運転者に提供することによって、運転者の運転を支援する運転支援システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
検出対象となる目標物の位置情報を記憶し、GPSにより検出した車両の位置と、その記憶した目標物の位置とが所定の関係になった場合に、運転者に対して警報を発する運転支援システムが知られている。目標物として、例えば、車両速度を測定する装置や取締・検問エリアなどが挙げられる。例えば特許文献1には、目標物と車両との間の距離が設定された距離に至った場合、目標物を特定する情報等をディスプレイ上に表示したり、音声による警報を出力したりできる運転支援システムが提案されている。目標物は、交通事故の発生し易い危険な場所に設置される場合が多い。従って運転支援システムは、目標物への接近を運転者に知らせることで、交通事故の発生しやすい場所において運転者に安全運転を促すことができる。このように、目標物への接近を運転者に知らせることは、運転者の安全運転に寄与するものである。
【0003】
安全運転を推進するための監視活動は、不特定の場所で不定期に行われる。該当する監視活動の一例として、警察が行う取締や検問がある。監視活動は、過去の交通事故の発生現場等、交通事故の発生し易い危険な場所で行われる場合が多い。従って、過去に監視活動が行われた場所を目標物として記憶しておき、その場所に車両が近づいた場合に、監視活動に関する情報を運転者に対して提供することで、交通事故の発生し易い場所において運転者に安全運転を促すことができる。以下、安全運転を推進するための監視活動に関する情報を、交通監視情報ともいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−22161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、目標物として記憶される場所は、過去に監視活動が行われた場所であるから、今後も監視活動が行われる可能性は高いものの、運転者がその場所を通過した際に、監視活動が実施されているとは限らない。そこで、これらの機能に加え、各都道府県警察が公表する公開取締情報を報知する装置がある。このような公開取締情報は、所定の地域・時間帯・取締の内容の少なくともいずれか1つが指定されて公表される場合が多い。例えば、監視活動が行われる所定の地域として、県、市区町村、警察の所轄単位、路線等が指定されて公表される。ここで従来の運転支援システムの場合、公開取締情報は各都道府県警察が発表するものであるから、都道府県ごとに交通取締情報を記憶しておき、予めどの都道府県の交通取締情報を報知するかを設定しておいて、エンジン始動等によって装置に電源が入った際に、その設定された都道府県の公開取締情報を報知する。通常、自宅のある県が、どの都道府県の交通取締情報を報知するかの設定情報として予め登録される。そのため従来の運転支援システムは、自宅の位置として設定した都道府県の範囲の公開取締情報が報知されるため、実際には自宅から相当離れた場所にいる場合であっても、自宅の位置を含む都道府県内全体の公開取締情報が報知されることとなる。また、監視活動が行われる所定の地域が自宅から相当離れた場所であっても、自宅と同一の都道府県内であれば、その公開取締情報はすべて報知されることとなる。そのため、運転者にとっては、関係のない離れた場所の情報が報知されてしまうという問題があった。しかも、このような多くの情報の中に、自宅の近くの公開取締情報がまぎれてしまい、本当に必要な自宅近くの公開取締情報を見逃す可能性があった。都道府県の範囲は、自宅からは相当な距離がある範囲(通常、通勤等によって移動する範囲を大きく超えた範囲)をも含んでしまうからである。
【0006】
また従来の運転支援システムでは、各都道府県が公開取締情報を発表することから、都道府県ごとに情報を報知すればよいという単純な思想に基づいて、高速道路の路線上に、県境を特定するための位置情報を目標物として記憶しておき、この位置に接近した場合または通過した場合に、その都道府県の公開取締情報を報知するものがあった。この構成では、車両が高速道路上を走行している場合には、県境の位置を検出することができるので、監視活動が行われている都道府県に車両が近づいたことを検出し、運転者にその都道府県の交通監視情報を通知することができる。ところが、車両が一般道を走行している場合には、従来の運転支援システムでは、交通監視情報運転者に通知することができないという問題点がある。また、高速道路を走行していて、その都道府県の公開取締情報が報知された場合でも、実際にはその監視活動が行われる場所が、その県境からは相当離れた場所である可能性がある。そのため、運転者にとっては、関係のない離れた場所の交通取締情報が報知されてしまうという問題があった。しかも、このような多くの情報の中に、その県境の近くの公開取締情報がまぎれてしまい、本当に必要な近くの公開取締情報を見逃す可能性があった。
【0007】
本発明の目的は、従来のように単純に都道府県単位で交通監視情報を報知するのではなく、車両の現在位置に適した交通監視情報を運転者に提供することができる運転支援システム等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一態様に係る運転支援システムは、土地が区画されることで形成される領域である区画領域を識別するための領域識別情報と、前記区画領域の位置を特定するための領域位置情報とが対応付けられて記憶された第一記憶手段の記憶内容に基づいて、車両の位置を含む前記区画領域の前記領域識別情報を取得する第一取得手段と、交通の監視活動に関する情報である交通監視情報であって、前記監視活動が実施される地域を含む前記区画領域の前記領域識別情報が対応付けられた交通監視情報が記憶された第二記憶手段の記憶内容に基づいて、前記第一取得手段によって取得された前記領域識別情報が対応付けられた前記交通監視情報を取得する第二取得手段と、前記第二取得手段によって取得された前記交通監視情報に基づく表示情報を表示手段に表示するための制御を行う第一制御手段とを備えている。
【0009】
第一態様によれば、運転支援システムは、車両が位置する区画領域を、第一記憶手段に記憶された記憶内容に基づいて特定できる。また運転支援システムは、監視活動が実施される場所を含む区画領域を、第二記憶手段に記憶された内容に基づいて特定できる。例えば運転支援システムは、第一記憶手段に記憶された記憶内容を参照することによって、車両が位置する区画領域を特定し、第二記憶手段に記憶された記憶内容を参照することによって、監視活動が実施される場所を含む区画領域を特定する。これらによって運転支援システムは、車両が位置する区画領域において監視活動が実施されているか否かを特定できる。従って運転支援システムは、車両が位置する区画領域に対応する交通監視情報に基づき表示情報を作成し、運転者に報知することができる。このため運転者は、従来のように、自宅の属する都道府県を運転支援システムに設定しておく必要がない。また運転支援システムは、高速道路でない一般道路上を走行中であっても、その車両が位置する区画領域に対応する交通監視情報を報知することができる。
【0010】
例えば運転支援システムは、監視活動が実施される場所として所定の地域が指定され公表される場合であっても、所定の地域を少なくとも含む区画領域に車両が進入したか否かを特定することができる。所定の地域として、例えば、県、市区町村、警察の所轄単位、路線等が挙げられる。このため運転支援システムは、車両の位置に適した交通監視情報を取得して表示情報を作成し、運転者に提供することができる。運転者は、車両の現在位置の近くで実施されている監視活動を容易に把握することができる。監視活動は、交通事故が発生し易い場所で実施される場合が多い。従って運転者は、現在位置が交通事故の発生し易い危険な場所であることを認識することによって、安全に留意して運転を行うことができる。このようにして運転支援システムは、交通事故の発生を未然に防止することができる。
【0011】
第二記憶手段には、監視活動が実施されている地域を含む交通監視情報が記憶されている。従って運転支援システムは、車両の近くで実際に実施されている監視活動に関する交通監視情報を、車両の位置から容易に特定することができる。運転支援システムは、車両の近くで実施されている監視活動に関する情報を短時間で且つ正確に取得し、運転者に提供することができる。特に、第二記憶手段に記憶する交通監視情報には各都道府県警察によって発表される監視活動の実施地域の情報を含み、第二取得手段によって取得する交通監視情報にはこの各都道府県警察によって発表される監視活動の実施地域の情報を含んでおり、交通監視情報に基づく表示情報としてこの監視活動の実施地域の情報を表示するとよい。このようにすれば、運転者は、直接、各都道府県警察によって発表された監視活動の実施地域を、その監視活動が行なわれる区画領域で知ることができる。
【0012】
また第一態様において、前記区画領域によって特定される領域は、都道府県よりも小さくてもよい。これによって運転支援システムは、都道府県よりも小さい単位の領域、例えば市区町村等を区画領域とすることができる。これによって運転支援システムは、市区町村単位で車両の位置を特定し、車両の近くで実施されている監視活動に関する交通監視情報を取得することができる。このように運転支援システムは、車両の位置を詳細に特定することができるので、車両のより近くで実施されている監視活動に関する情報を報知することができる。
【0013】
また第一態様において前記交通監視情報に対応付けられる前記領域識別情報によって識別される前記区画領域は、前記交通監視情報の基となる情報である基情報が発表される場合に指定される前記監視活動の実施地域とは異なっていてもよい。これによって運転支援システムは、公表される監視活動の実施地域の指定方法(都道府県、市区町村、管轄、路線等)に関わらず、共通の領域識別情報が対応付けられた交通監視情報を参照することができる。これによって運転支援システムは、車両の近くで実施されている監視活動を確実に特定することができる。
【0014】
また第一態様において、前記基情報は、複数の都道府県の警察によって発表され、且つ、前記基情報が発表される場合に指定される前記監視活動の実施地域の単位は、前記基情報毎に異なっており、前記区画領域は、行政区画の単位で領域を特定しており、複数の都道府県の警察によって発表された複数の前記基情報に基づいて作成された複数の交通監視情報は、前記領域識別情報が対応付けられていてもよい。これによって運転支援システムは、発表される監視活動の実施地域の特定方法(都道府県、市区町村、管轄、路線等)が多岐にわたっている場合でも、共通の区画領域に基づいて、車両の近くで実施されている監視活動を特定することができる。従って運転支援システムは、車両の近くで実施されている監視活動を容易に特定することができる。
【0015】
また第一態様において、時刻を特定する第一特定手段を備え、前記交通監視情報には、前記監視活動が実施される期間、及び前記領域識別情報が対応付けられており、前記第二取得手段は、前記第一取得手段によって取得された前記領域識別情報が対応付けられ、且つ、前記第一特定手段によって特定された前記時刻との関係が所定の関係を満たす前記期間が対応付けられた前記交通監視情報を取得してもよい。これによって運転支援システムは、現時点で実際に実施されている監視活動や、近々に実施される監視活動に関する情報を、運転者に提供することができる。運転支援システムは、運転者にとってより有用な情報を即座に認識し、提供することができるので、運転者は、交通事故が発生し易い場所での運転をより安全に行うことができる。
【0016】
また第一態様において、前記表示情報は、テキスト情報によって構成され、前記第一制御手段は、前記表示情報をスクロール表示させるための制御を行ってもよい。
【0017】
運転者が運転中に表示手段を視認する場合、短い間隔で繰り返し視線を表示手段に向けることになる。運転者は、運転中に表示手段を長時間連続して視認することができない。このため、表示手段に表示される情報のデータ量が多い場合、表示手段に情報が一度に表示されると、運転者は情報を正確に認識できない可能性がある。これに対して運転支援システムは、テキスト情報をスクロール表示させることによって、表示手段に一度に表示される情報のデータ量を少なくすることができる。これによって運転者は、短い間隔で繰り返し表示手段を視認する場合でも、表示される情報を正確に認識することができる。
【0018】
また第一態様において、前記第一制御手段は、スクロール表示によって前記表示情報がすべて表示された場合、前記表示情報を最初から繰り返しスクロール表示させるための制御を行ってもよい。これによって表示情報のスクロール表示は、複数回にわたって繰り返し実行されることになる。これによって運転者は、監視活動に関する情報を一旦見逃してしまった場合でも、再度表示される情報を認識することができる。
【0019】
また第一態様において前記交通監視情報は、カテゴリを含んでおり、前記第一制御手段は、前記第二取得手段によって前記交通監視情報が複数取得された場合、取得された前記複数の交通監視情報に基づく前記表示情報を前記カテゴリ毎にまとめて表示するための制御を行ってもよい。これによって、監視活動に関する情報が複数ある場合、各情報はカテゴリごとに分類されて表示される。カテゴリとして、取締情報、検問等がある。運転者は、監視活動に関する情報をカテゴリ毎に区別して認識することが容易に可能となる。
【0020】
また第一態様において、前記車両の走行速度を特定する第二特定手段を備え、前記第一制御手段は、前記第二特定手段によって特定された前記車両の走行速度に応じて、前記表示情報がスクロールする場合の表示速度が変化するように表示するための制御を行ってもよい。
【0021】
例えば車両の走行速度が速い場合、運転者は、長時間連続して表示手段に視線を向けることができないことが想定される。このような場合に運転支援システムは、スクロール表示される場合の表示速度を遅くする。これによって運転者は、短い時間内で、表示された情報を確実に認識することができる。一方、例えば車両の走行速度が遅い場合、運転者は、長時間連続して表示手段に視線を向けることが可能となることが想定される。このような場合に運転支援システムは、スクロール表示される場合の表示速度を速くする。これによって運転者は、大量の情報を正確に認識することができる。
【0022】
また第一態様において、前記第一制御手段は、前記第一取得手段によって取得された前記領域識別情報によって識別される前記区画領域を特定するための情報を、前記表示情報と同時に表示するための制御を行ってもよい。これによって運転者は、車両の現在位置を、監視活動に関する情報と同時に認識することができる。例えば運転者は、監視活動が広域にわたって実施される場合、車両の現在位置が、監視活動が実施される地域のうちどの部分に属しているかを確認することができる。これによって運転者は、安全運転に特に留意するべき場所を把握し、運転を行うことができる。
【0023】
また第一態様において、前記車両の位置が変化し、前記第一取得手段によって取得される前記領域識別情報が、前記車両の位置が変更されたことに伴い更新され、前記第二取得手段によって、前記第一取得手段によって取得された前記領域識別情報が更新されたことに伴い新たな前記交通監視情報が取得された場合に、音を出力するための制御を行う第二制御手段を備えていてもよい。これによって運転者は、音によって通知が行われた場合に表示手段を視認することで、更新された表示情報を確実に認識することができる。このようにして運転支援システムは、監視活動に関する情報を運転者が見落としてしまうことを防止できる。
【0024】
例えば運転支援システムは、所定の時間間隔(例えば1秒間隔)で車両の位置が特定されてもよいし、車両の移動距離が所定距離以上となった場合に車両の位置が特定されてもよい。そして、このようにして繰り返し特定される車両の位置に基づき、区画領域及び区画領域に対応する交通監視情報が繰り返し特定されてもよい。そして、特定された交通監視情報が新しくなった場合に、音が出力されるように制御してもよい。
【0025】
また第一態様において、前記車両の位置を含む周辺の地図を、前記交通監視情報と同時に表示するための制御を行う第三制御手段を備えていてもよい。これによって運転者は、車両の現在位置の周辺の地理の情報を認識することができる。例えば運転者は、周辺の道路環境を認識することによって、事前に走行速度を減速させたり、事前に周囲の環境に十分注意したりすることができる。このように運転支援システムは、運転者の安全運転のために必要な情報を、交通監視情報と共に運転者に提供することができる。
【0026】
また第一態様において、前記監視活動が実施される地域は、複数の前記区画領域にわたり、前記交通監視情報には、複数の前記領域識別情報が対応付けられていてもよい。これによって運転支援システムは、監視活動が広域にわたって実施されている場合でも、車両の近くで実施されている監視活動に関する情報を正確に特定することができる。
【0027】
例えば区画領域として、市区町村が第一記憶手段に記憶される場合を仮定する。監視活動が実施される地域として、「〜署管内」「〜方面」「〜号線沿線」等が公表されたとする。このように、公表される地域の単位が区画領域の単位よりも大きい場合であっても、公表される地域の単位よりも細かい単位の区画領域を統一的に交通監視情報に含めることができる。これによって運転支援システムは、車両が位置する区画領域における監視活動に関する情報を、正確且つ容易に特定し、運転者に通知することができる。また運転支援システムは、監視活動が実施される地域が具体的に公表されない場合でも、車両の近くで実施されている監視活動に関する情報を正確に特定し、運転者に提供することができる。
【0028】
また第一態様において、前記表示情報は、前記監視活動の種別、前記監視活動が実施される期間、及び、前記監視活動が実施される地域のうち少なくともいずれかを含んでいてもよい。これによって運転者は、例えば監視活動の種別として、取締りの重点項目を認識することができる。取締りの重点項目として、速度超過、過積載、シートベルト、飲酒運転、信号無視等が挙げられる。又運転者は、例えば監視活動が実施される地域として、警察管轄、路線、市区町村等を認識することができる。これらによって運転者は、監視活動に関する情報を詳細に把握し、これらの点に特に留意して運転を行うことによって、交通安全に配慮した運転を行うことができる。
【0029】
また第一態様において、前記第一制御手段は、前記種別、前記期間、及び前記地域を、異なる色で表示するための制御を行ってもよい。これによって運転者は、監視活動の種別、期間、及び地域を容易に区別して認識することができる。
【0030】
本発明の第二態様に係る情報生成方法は、第一態様に係る運転支援システムによって参照される前記第二記憶手段に記憶される情報を生成する情報生成方法であって、公表された情報に対応する前記監視活動が実施される地域を少なくとも含む複数の前記区画領域を識別するための領域識別情報を抽出し、抽出された前記領域識別情報が対応付けられた前記交通監視情報を前記第二記憶手段に記憶することを特徴とする。第二態様によれば、公表される監視活動に関する情報のうち地域のカテゴリが、公表される情報毎に異なる場合であっても、共通のカテゴリである領域識別情報が対応付けられた交通監視情報を第二記憶手段に記憶することができる。
【0031】
公表される地域そのものを識別する領域識別情報が交通監視情報に対応付けられた場合を仮定する。この場合、監視活動が実施される地域を正確に特定できるためより好ましい。しかしながら、公表される地域のカテゴリ(「〜署管内」「〜方面」「〜号線沿線」等)は、公表される情報毎に相違する可能性がある。カテゴリが相違する場合、車両の現在位置において実施されている監視活動に関する情報を特定するためには、第一記憶手段に記憶された領域識別情報によって識別される区画領域のカテゴリを併せて変更する必要があり、煩わしい。また、カテゴリによっては、監視活動が実施される地域を具体的に特定できない場合もある。これに対して第二態様によれば、交通監視情報に対応付けられる領域識別情報のカテゴリは統一されるので、公表される地域のカテゴリが変更された場合であっても、第一記憶手段に記憶された領域識別情報を変更する必要がない。
【0032】
また第二態様において、前記抽出は、前記公表された情報に対応する前記監視活動が実施される地域と、前記地域を少なくとも含む前記複数の区画領域の前記領域識別情報とが対応付けて記憶された第三記憶手段を参照することによって、前記複数の区画領域を識別するための領域識別情報を抽出してもよい。これによって、公表された交通監視情報に対応する領域識別情報を容易に特定し、交通監視情報に対応付けることができる。
【0033】
本発明の第三態様に係る運転支援プログラムは、本発明の第一態様に係る運転支援システムの各処理手段をコンピュータに実行させる。これによって、第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0034】
本発明の第四態様に係る生成プログラムは、本発明の第一態様に係る運転支援システムによって参照される前記第二記憶手段に記憶される情報を生成するための生成プログラムであって、公表された情報に対応する前記監視活動が実施される地域を少なくとも含む複数の前記区画領域を識別するための領域識別情報を抽出し、抽出された前記領域識別情報が対応付けられた前記交通監視情報を前記第二記憶手段に記憶することをコンピュータに実行させることができる。
【0035】
なお本発明は、第一態様に係る運転支援システムと、前記第二記憶手段に記憶される情報を生成する情報生成装置とを備えたシステムであってもよい。情報生成装置は、公表された情報に対応する前記監視活動が実施される地域を少なくとも含む複数の前記区画領域を識別するための領域識別情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された複数の前記領域識別情報が対応付けられた前記交通監視情報を、前記第二記憶手段に記憶する記憶制御手段とを備えていてもよい。また前記抽出手段は、前記公表された情報に対応する前記監視活動が実施される地域と、前記地域を少なくとも含む前記複数の区画領域を識別するための領域識別情報とが対応付けて記憶された第三記憶手段を参照することによって、前記複数の領域識別情報を抽出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】運転支援システム1の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】第三DBに記憶される交通監視情報を示す模式図である。
【図3】表示部14に表示される表示画面20の一例を示す図である。
【図4】メッセージ41の構成を示す模式図である。
【図5】メッセージの一例を示す図である。
【図6】メイン処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係る運転支援システムの一実施形態である運転支援システム1について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。運転支援システム1の具体例としては、例えばレーダ探知システム、カーナビゲーションシステム等が挙げられる。なお運転支援システム1は、単一の機器によって実現されてもよいし、複数の機器によって実現されても良い。図1に示すように、運転支援システム1は、制御全体を司る制御部11を備えている。制御部11は、CPU、ROM、RAM、I/O、周辺回路等を含むマイコン等で構成され、無線受信部12、GPS受信部13、表示部14、スピーカ15、記憶部16、及びカードリーダ17と電気的に接続している。ROMには、制御部11のプログラムが少なくとも記憶される。これらのハードウェア構成は従来と同様のものを用いることができる。
【0038】
無線受信部12は、無線信号を受信するための無線モジュールである。無線受信部12において受信される無線信号の具体例として、速度測定装置から出力されるレーダ信号、取締り連絡用無線機から送信される無線信号、各警察本部と移動局との間で送受信されるデジタル無線信号、警察専用の自動車携帯電話システムにおいて使用される無線信号、及び、緊急車両から送信される無線信号等が挙げられる。無線受信部12は、複数の周波数の無線信号を区別して受信するために、複数の無線モジュールを備えていてもよい。無線受信部12は、無線信号を受信した場合、受信した無線信号の信号レベルを検出し、Received Signal Strength Indication(RSSI)として出力する。制御部11は、無線受信部12から出力されたRSSIの電圧レベルに基づいて、受信された無線信号の信号レベルを認識し、無線信号を送信した対象物と自車両との間の距離を予測することができる。
【0039】
GPS受信部13は、GPS衛星から送信される無線信号を受信するための無線モジュールである。GPS受信部13は、受信した無線信号に基づいて自車両の位置情報を検出し、出力する。位置情報は、自車両位置の緯度及び経度である。制御部11は、GPS受信部13から出力された位置情報に基づいて、自車両位置を特定する。
【0040】
表示部14は、例えば液晶ディスプレイ、及びELディスプレイ等である。制御部11は、表示部14を制御して所望の画像を表示させることができる。また制御部11は、スピーカ15を制御して所望の音を出力させることができる。カードリーダ17は、SDカード171にアクセスするためのインタフェースである。制御部11は、カードリーダ17を介して、SDカード171に記憶された情報を読み出すことができる。
【0041】
記憶部16は、各種情報を記憶する不揮発性記憶素子である。記憶部16は、例えばEEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等である。記憶部16には、地図データ、表示部14に表示される画像のデータ、スピーカ15から出力される音のデータ、及び各種データベースが記憶されている。各種データベースには、第一DB、及び第二DBが少なくとも含まれる。
【0042】
第一DBには、位置情報に基づいて行政区画を特定することができるポリゴンデータが記憶されている。行政区画は市区町村毎に定められている。以下、行政区画によって表される領域を、区画領域ともいう。ポリゴンデータには、区画領域を識別するための領域識別情報が対応付けられている。制御部11は、GPS受信部13から出力される位置情報に基づいて第一DBを参照することによって、自車両が位置する区画領域を識別するための領域識別情報を、都道府県単位よりも小さい市区町村単位で特定することができる。なお本発明における区画領域によって表される領域は、市区町村に限定されず、他の領域を表すものであってもよい。
【0043】
第二DBには、運転者に報知する目標物に関する情報が記憶されている。目標物として例えば、速度測定装置(レーダのようにレーダ波(マイクロ波)を発する速度測定装置や、ループコイルのように、レーダ波を発しない速度測定装置を含む)、制限速度切替りポイント、取締エリア、検問エリア、駐禁監視エリア、Nシステム、交通監視システム、交差点監視ポイント、信号無視抑止システム、警察署、事故多発エリア、車上狙い多発エリア、急/連続カーブ(高速道)、分岐/合流ポイント(高速道)、ETCレーン事前案内(高速道)、サービスエリア(高速道)、パーキングエリア(高速道)、パーキングエリア(高速道)、ハイウェイオアシス(高速道)、スマートインターチェンジ(高速道)、PA/SA内ガソリンスタンド(高速道)、トンネル(高速道)、ハイウェイラジオ受信エリア(高速道)、県境告知、道の駅、ビューポイントパーキング等がある。以下、運転者に報知する目標物を、報知対象物ともいう。第二DBには、報知対象物の種別を示す情報、報知対象物の位置を示す緯度及び経度の情報、表示部14に表示する模式図または写真のデータ、及び、スピーカ15から出力する音のデータが対応付けられて記憶されている。制御部11は、GPS受信部13から出力される位置情報に基づいて第二DBを参照することによって、自車両の近くにある報知対象物を特定することができる。
【0044】
第一DB及び第二DBは、運転支援システム1の出荷時に記憶部16に記憶される。また第一DB及び第二DBは、周知の手法によって更新することが可能である。例えば第一DB及び第二DBは、SDカード171に記憶されてもよい。カードリーダ17を介してSDカード171から読み出された第一DB及び第二DBが、記憶部16に記憶されることによって、第一DB及び第二DBが更新されてもよい。また例えば運転支援システム1は、赤外線通信機能を備えていてもよい。外部機器と赤外線通信が行われて第一DB及び第二DBが取得され、記憶部16に記憶されることによって、第一DB及び第二DBが更新されてもよい。
【0045】
SDカード171には、交通監視情報が複数格納された第三DBが記憶されている。交通監視活動は、安全運転を推進するための監視活動に関する情報である。監視活動の一例として、警察が行う取締りや検問がある。監視活動は、不特定の場所で不定期に行われる。制御部11は、第三DBを参照することによって、自車両の近くで実施されている監視活動の詳細を特定することができる。
【0046】
図2を参照し、第三DBの詳細について説明する。インデックス1〜15に格納されている其々の情報のうち、下段に格納された情報が、交通監視情報に相当する。交通監視情報には、監視活動が実施される「都道府県」、「開始日」、「開始時間」、「終了日」、「終了時間」、監視活動を行う「管轄」警察署、及び「実施場所」が対応付けられている。例えば、図2のうちインデックス2の情報(「開始日:20110307」「開始時間:12h00m」「終了日:20110307」「終了時間:18h00m」「管轄:岩手県警」「実施場所:葛巻町:302」、「交通監視情報:[取締り]午後 岩手県警〜」)は、2011年3月7日 12時00分から18時00分までの間、岩手県警の管轄で、葛巻町内のいずれかの地域において取締りが行われることを意味している。「実施場所」のうち302は、市区町村を特定するための領域識別情報である。
【0047】
交通監視情報として、監視活動に関するテキスト情報が格納される。交通監視情報として格納されたテキスト情報は、表示部14に表示されるメッセージとしてそのまま使用される。テキスト情報のうち[]で囲まれた部分には、監視活動のカテゴリが格納される。交通監視情報として格納されたテキスト情報の文言は、運転者が運転しなから(チラ見しながら)でも内容を把握することができるように、「なにを」「いつ」「どこで」の構成が単文でつづられている。「なにを」の情報は、例えば「速度違反」「飲酒」「一時停止」などの取締りの内容を示す。「いつ」の情報は、監視活動が実施される時間帯や日付を示す。「どこで」の情報は、例えば、監視活動が実施される住所や路線を示す。
【0048】
交通監視情報は、全国の各都道府県警察のホームページ(以下、HPという。)を介して公表される情報が、所定のフォーマットに基づいてデータ化されたものである。制御部11は、交通監視情報に基づくメッセージを、その内容に沿った場所及び時間で、表示部14にテロップ表示する。運転者は、テロップ表示されたメッセージに気付くことで、安全運転に心がけるようになる。交通監視情報には、監視活動の種別(「なにを」)、監視活動が実施される期間(「いつ」)、及び、監視活動が実施される地域(「どこで」)が含まれている。このため、交通監視情報に基づいてメッセージが作成され、運転者に通知された場合、運転者は、例えば監視活動の種別として、取締りの重点項目を認識することができる。取締りの重点項目として、例えば、速度超過、過積載、シートベルト、飲酒運転、信号無視等が挙げられる。又例えば運転者は、監視活動が実施される地域として、警察管轄、路線、市区町村等を認識することができる。これらによって運転者は、交通監視情報を詳細に把握し、これらの点に特に留意して運転を行うことによって、交通安全に配慮した運転を行うことができる。以下、監視活動に関する情報であって全国の各都道府県警察のHPを介して公表される情報を総称し、公開取締情報ともいう。
【0049】
第三DBに格納される情報は、全国の各都道府県警察のHPを介して公表されている取締り情報を、オペレータがデータ化することによって作成される。図2に示すように、公表された公開取締情報から、実施日、時間帯、場所、種別等をなるべく同じ文言で抽出してデータ化し、交通監視情報に対応付けてある。公開取締情報は、各都道府県警察のHPを介して公表されるため、図2に示すように、其々の交通監視情報は都道府県毎にまとめられている。また其々の情報は、日付、時間帯、管轄、市区町村、もしくは取締り種別毎に1件分とされている。交通監視情報は、SDカード171の記憶容量に制限があるため、短めに且つ解りやすくまとめられている。なお、公表される公開取締情報によっては、第三DBに格納される情報のうち特定の項目について公表されない場合がある。このような場合、オペレータは、公表されなかった項目に対応する情報をデータ化しない。このためこのような場合、公表されなかった項目には情報は格納されない。
【0050】
なお交通監視情報に対応付けられる項目は、上述に限定されない。オペレータが第三DBに格納される情報を作成する場合の効率が改善されるように、其々の項目はまとめられてもよい。
【0051】
交通監視情報に対応付けられる「実施場所」には、市区町村単位で区画領域を識別するための領域識別情報が格納される。このため例えば、監視活動が実施される場所として公表された情報が「県道」等のように、複数の市区町村にまたがるような場合、該当する市区町村を識別する領域識別情報は、すべて「実施場所」とされる。例えば図2の第三DBのうちインデックス5の情報では、「県道」において監視活動が実行される場合に、「実施場所」として、領域識別情報「302(葛巻町)」「501(軽米町」」及び「209(一関市)」が、交通監視情報に対応付けられている。このように、監視活動が広域にわたって公開されている場合、複数の領域識別情報が共通の交通監視情報に対応付けられる。これによって、監視活動が実施される地域を明確化している。
【0052】
ここで前述したように、第一DBには、市区町村単位で領域識別情報を特定可能なポリゴンデータが記憶されているので、自車両の位置する区画領域の領域識別情報は、市区町村単位で特定される。自車両の位置する区画領域の領域識別情報と、交通監視情報に「実施場所」として対応付けられている領域識別情報は、何れも市区町村単位であり同一である。このため、自車両が位置している区画領域と同一の地域を、交通監視情報における「実施場所」から画一的に検索することができるので、自車両の近くで実施されている監視活動の交通監視情報を容易に特定することができる。
【0053】
例えば、監視活動が実施される地域が、A県警では「〜署管内」、B県警では「〜方面」、C県警では「〜号線沿線」のように、地域の単位で公開取締情報が公表されたとする。このように、公開取締情報は、公表元の都道府県警察毎に、監視活動が実施される地域の単位が異なっている。このような場合でも、すべての都道府県警の発表する公開取締情報において、市区町村単位の区画領域を識別する領域識別情報を交通監視情報に対応付け、「実施場所」として統一的に利用する。各都道府県警によって公表される地域と、交通監視情報に対応する区画領域とは、単位が異なることになる。これによって運転支援システム1は、車両が位置する区画領域にて実施されている監視活動に関する交通監視情報を、統一的、正確、且つ容易に特定することができる。従って上述のように、監視活動が実施される地域が具体的に特定できない状態で公表された場合でも、運転支援システム1は、車両の近くで実施されている監視活動に関する情報を正確に特定することができる。
【0054】
公開取締情報がデータ化されることによって作成された交通監視情報を含む第三DBは、ユーザ側で専用HPからダウンロードすることが可能である。ダウンロードされた第三DBは、SDカード171に記憶される。制御部11は、GPS受信部13から出力される位置情報に基づき、初めて自車両位置が特定された場合、及び、自車両位置が含まれる区画領域に変化があった場合、運転支援システム1にセットされたSDカード171にアクセスする。自車両が位置する区画領域が確定すると、最寄りの地域で実施されている監視活動に関する交通監視情報を、SDカード171に記憶された第三DBから読み込む。読み出した交通監視情報に基づき、表示を行う。なお、交通監視情報に基づいて作成されたメッセージが表示部14に表示される場合の処理の詳細は後述する。
【0055】
表示部14に表示される表示画面の一例である表示画面20について、図3を参照して説明する。表示画面20には、メイン表示領域21、第一サブ表示領域22、及び第二サブ表示領域23を設けている。メイン表示領域21は、自車両と報知対象物との位置関係を示すための画像を表示する領域である。第一サブ表示領域22は、自車両が位置する区画領域の名称を表示するための領域である。第二サブ表示領域23は、監視活動に関するメッセージを表示するための領域である。以下、其々の領域の詳細について説明する。
【0056】
メイン表示領域21について説明する。メイン表示領域21には、地図画像を表示する領域211、報知対象物の種別及び報知対象物までの間の距離を表示する領域212、車両の走行速度を表示する領域213、表示モード及び現在時刻を表示する領域214等を設けている。
【0057】
地図画像は、自車両位置の周辺の地図データを記憶部16から読み出して生成する。メイン表示領域21のうち領域211に表示する地図画像の範囲は、運転者による設定に基づいて決定する。領域211に表示された地図画像上には、自車アイコン31、及びターゲットアイコン32を重ねて表示している。自車アイコン31は、地図画像に対して自車両がどの位置にあるかを示すためのものである。制御部11は、GPS受信部13から出力された位置情報に基づいて、自車両位置を特定し、地図画像のうち自車両位置に相当する部分に、自車アイコン31を重ねて表示する。
【0058】
ターゲットアイコン32は、地図画像に対して報知対象物がどの位置に設置されているかを示すためのものである。ターゲットアイコン32の内部に表示された図形は、報知対象物の種類を示している。制御部11は、第二DBに基づいて報知対象物の位置を特定し、地図画像のうち報知対象物の位置に相当する部分に、ターゲットアイコン32を重ねて表示する。またターゲットアイコン32の内部に、報知対象物の種類を示す図形を表示する。さらに、報知対象物の種別及び報知対象物までの間の距離を、領域212に表示する。
【0059】
また制御部11は、自車両と報知対象物との間の距離が所定距離よりも小さくなった場合、報知対象物の種類に応じて模式図または写真のデータを第二DBから読み出し、地図画像に重ねて表示する。また、報知対象物に応じた音声データを第二DBから読み出し、スピーカ15から出力する。例えば、速度測定装置が500m未満に接近した場合には、速度測定装置の模式図または写真のデータを第二DBから読み出して、地図画像に重ねて表示する。また、「500m先 速度測定装置です。スピード注意」という音声を第二DBから読み出し、スピーカ15から出力する。
【0060】
また制御部11は、無線受信部12から出力されるRSSIの電圧レベルに基づき、報知対象物が自車両の近くにあるか否かを判断する。RSSIの信号レベルは、無線受信部12において受信される無線信号の強度に比例して大きくなる。このため制御部11は、RSSIと所定閾値とを比較することによって、自車両と報知対象物との間の距離が所定距離よりも小さくなったか否かを判断することができる。制御部11は、自車両と報知対象物との間の距離が所定距離よりも小さくなったと判断した場合、報知対象物の種類に応じて模式図または写真のデータを第二DBから読み出し、地図画像に重ねて表示する。また、報知対象物に応じた音声データを第二DBから読み出し、スピーカ15から出力する。例えば、緊急車両が所定距離内に近付いてきた場合、緊急車両の模式図または写真のデータを第二DBから読み出して、地図画像に重ねて表示する。また、「緊急車両です。スピード注意」という音声を第二DBから読み出し、スピーカ15から出力する。
【0061】
以上のようにして運転支援システム1は、自車両の近くに報知対象物があることを運転者に通知することができる。運転者は、メイン表示領域21を視認することによって、自車両の近くに報知対象物があることを認識できる。報知対象物は、交通事故の発生し易い危険な場所に設置される場合が多い。従って運転支援システム1は、自車両が報知対象物に接近していることを、メイン表示領域21を介して運転者に知らせることで、交通事故の発生しやすい場所において運転者に安全運転を促している。
【0062】
またメイン表示領域21には地図画像が表示されるので、運転者は、自車両の周辺の地理の情報を認識することができる。例えば運転者は、周辺の道路環境を認識することによって、事前に走行速度を減速させたり、事前に周囲の環境に十分注意したりすることができる。このようにして運転支援システム1は、運転者の安全運転のために必要な情報を、交通監視情報と共に運転者に提供することができる。
【0063】
なお制御部11は、メイン表示領域21のうち領域211に表示する自車アイコン31及びターゲットアイコン32と地図画像との間で位置合わせをし、同期をとって表示をする。具体的には以下のとおりである。自車アイコン31の表示位置は、領域211の下方中央部位に固定する。車両の進行方向が上側になるように、地図画像を回転させる。つまり、自車両の進行方向が変わった(曲がった)場合、それに合わせて地図画像も回転させる。自車両が前進した場合、表示する地図画像を下方にスクロール移動させる(いわゆるヘディングアップ表示)。なおこのような表示の制御は、カーナビゲーションシステムにおける地図の表示制御、即ち、自車両の位置を画面中央に固定した状態で、地図画像を適宜スクロール等させる制御を利用することで実現することができる。
【0064】
第一サブ表示領域22について説明する。第一サブ表示領域22には、自車両が位置する区画領域の名称を表示する。制御部11は、GPS受信部13から出力された位置情報に基づき、第一DBを参照することによって、自車両が位置する区画領域の領域識別情報を特定する。特定された領域識別情報によって識別される区画領域の名称を、第一サブ表示領域22に表示する。運転者は、第一サブ表示領域22に表示された名称を視認することによって、自車両が位置する区画領域を認識することができる。
【0065】
第二サブ表示領域23について説明する。第二サブ表示領域23には、監視活動に関するメッセージを表示する。このメッセージは、SDカード171に記憶された第三DBに格納された交通監視情報に基づいて作成する。メッセージは、取締り実施日、時間、取締り種別、取締り場所(路線、管轄など)等の情報を含んでいる。なお、各都道府県警察から公表される公開取締情報の内容には相違があるために、表示される内容は都道府県よって異なる。メッセージに含まれる交通監視情報の数が2以上となった場合、メッセージの文字数が多くなるので、制御部11は、メッセージをテロップで流して第二サブ表示領域23に表示する。
【0066】
第二サブ表示領域23に表示するメッセージの具体例について、図4及び図5を参照して説明する。図4に示すように、メッセージ41は、交通監視情報のカテゴリ毎に区分された複数のフェーズ(第一フェーズ42、及び第二フェーズ43)を含んでいる。第一フェーズ42、及び第二フェーズ43には、交通監視情報が一以上含まれている。複数の交通監視情報が一つのフェーズに含まれる場合、これらは順に並べられる。図4のうち、「***情報」「+++情報」が、交通監視情報に相当する。其々のフェーズの先頭には、タイトルが付加される。タイトルは、其々のフェーズに含まれる交通監視情報の概要を示している。このようにメッセージは、運転者に報知される複数の交通監視情報がカテゴリごとに分類されて作成され、第二サブ表示領域23に表示される。運転者は、監視活動に関する情報をカテゴリ毎に区別して認識することが容易に可能となる。なお、1フェーズに登録できる文字数は、例えば、全角文字で128文字(バイト数換算で256バイト)までに制限される。これによって、運転者が運転しなからでも内容を把握することができるようにしている。1フェーズに登録できる文字数が128文字を超えた場合、交通監視情報は、更に詳細なカテゴリに区分される。
【0067】
例えば図5では、タイトルが「<<公開取締情報 愛知県警>>」である第一フェーズと、タイトルが「<<交通規制情報 愛知県警>>」である第二フェーズとに区分されている。第一フェーズには、「取締り」に関する情報(図2におけるインデックス2及び3の交通監視情報に相当する。)が格納されている。
【0068】
作成されたメッセージが第二サブ表示領域23に収まらない場合、メッセージはスクロール表示させる。運転者が運転中に表示部14を視認する場合、運転中に表示部14を長時間連続して見続けることができないので、多くのメッセージが表示部14に一度に表示されると、運転者はメッセージを正確に認識できない可能性があるためである。これに対して運転支援システム1では、交通監視情報に基づいて作成されたテキストベースのメッセージをカテゴリ毎に区分し、第二サブ表示領域23にスクロール表示させることによって、第二サブ表示領域23に一度に表示されるメッセージの情報量を少なくするとともに、表示されるテキストの文字を大きくすることができる。これによって運転者は、運転中に短い間隔で繰り返し表示部14を視認する場合でも、第二サブ表示領域23に表示されるメッセージを正確に認識することができる。
【0069】
例えば図4に示すメッセージ41を第二サブ表示領域23に表示させる場合、第一フェーズ42(タイトル、***情報(1件目)、***情報(2件目))を第二サブ表示領域23に順次スクロール表示させ、第一フェーズ42のスクロール表示がすべて完了したら、第二フェーズ43に突入する。残りのフェーズがなくなった場合、第一フェーズ42から順にスクロール表示を繰り返す。スクロール表示は複数回にわたって繰り返し実行されることになるので、運転者は、メッセージを一旦見逃してしまった場合でも、繰り返して表示されるメッセージを認識することができる。
【0070】
なお、メッセージのうち第一フェーズ42のタイトルをはじめに第二サブ表示領域23に表示させると同時に、スピーカ15からアラーム音(ピロリーン、ピロリーン)を出力させる。これによって運転者は、交通監視情報が第二サブ表示領域23に表示されていることを知ることができる。
【0071】
さらに、車両が走行することによって、車両の位置する区画領域が変化し、第二サブ表示領域23に表示するメッセージを更新した場合、同様に、スピーカ15からアラーム音を出力する。これによって運転者は、アラーム音によって通知が行われた場合に表示部14を視認することで、更新されたメッセージを確実に認識することができる。このようにして運転支援システム1は、更新されたメッセージを運転者が見落としてしまうことを防止できる。
【0072】
また制御部11は、メッセージを第二サブ表示領域23にスクロール表示する場合のスクロール速度を、車両の走行速度に応じて変化させる。例えば、車両の走行速度が速い場合、運転者は、長時間連続して表示部14に視線を向けることができないことが想定される。このような場合、運転者が単文でも理解できるように、メッセージをスクロール表示する場合の表示速度を遅くする。これによって運転者は、短い時間内で、表示されたメッセージを確実に認識することができる。一方、例えば車両の走行速度が遅い場合、運転者は、比較的長時間連続して表示部14に視線を向けることが可能となることが想定される。このような場合、メッセージをスクロール表示する場合の表示速度を速くする。これによって運転者は、大量のメッセージを正確に認識することができる。さらに、車両が停車している間は、他の公開取締情報も見ることができるように、メッセージをスクロール表示する場合の表示速度を更に速くする。
【0073】
また、第一サブ表示領域22には車両が位置する区画領域の名称が表示されるので、運転者は、第二サブ表示領域23に表示されるメッセージと区画領域とを併せて認識することができる。これによって、例えば運転者は、監視活動が広域にわたって実施される場合、自車両の位置が、監視活動が実施される地域全体のうちどの部分に相当するかを確認することができる。例えば、監視活動が実施される地域として、路線が公表された場合を仮定する。自車両が移動し、公表された路線が配置する区画領域に自車両が進入したとする。第一サブ表示領域22に、自車両が位置する区画領域の名称が表示される。第二サブ表示領域23に、公表された路線を含むメッセージが表示される。運転者は、メイン表示領域21に表示された地図画像を参照することによって、第一サブ表示領域22に表示された名称の区画領域内から、メッセージに含まれている路線の場所を容易に特定することができる。これによって運転者は、自車両と路線との位置関係を認識することができる。運転者は、自車両が路線に接近しているか否かを判断することによって、安全運転に特に留意するべき場所を把握し、運転を行うことができる。
【0074】
図6を参照し、制御部11において実行されるメイン処理について説明する。運転支援システム1に電源が投入された場合に、ROMに記憶されたプログラムを制御部11が実行することによって、メイン処理は実行される。メイン処理が開始されると、はじめに、GPS受信部13から出力される位置情報を取得する。取得した位置情報に基づき自車両位置の緯度及び経度を特定することによって、地図画像上における自車両位置を特定する(S10)。続いて、取得した位置情報に基づき、記憶部16に記憶された第一DBを参照することによって、自車両が位置する区画領域の領域識別情報を取得する(S11)。取得した領域識別情報をRAMに記憶する。
【0075】
自車両位置を含む周辺の地図画像を、記憶部16に記憶された地図データに基づいて生成する。生成した地図画像は、表示部14の画面のメイン表示領域21のうち領域211に表示する(S13)。領域211に表示する地図画像の大きさは、運転者によって予め設定された条件に基づいて調整する。続いて、表示した地図画像のうち、S10で特定した自車両位置に相当する部分に、自車アイコン31を重ねて表示する(S15)。運転者は、メイン表示領域21に表示された地図画像及び自車アイコン31を視認することによって、自車両の位置を含む周辺の地理の情報を認識することができるようになる。
【0076】
次に、S11で取得された領域識別情報に基づいて、自車両が位置する区画領域の名称を市区町村単位で特定する。なお区画領域の名称は、記憶部16に予め記憶された、領域識別情報と名称との対応表を参照することによって特定する。特定された区画領域の名称を、表示部14の画面のうち第一サブ表示領域22に表示する(S17)。これによって運転者は、第一サブ表示領域22に表示された名称を視認することによって、自車両が位置する区画領域を市区町村単位で認識することができる。続いて、現在日時、及び現在時刻を特定する(S19)。現在日時、及び現在時刻は、図示外のリアルタイムクロック(RTC)から取得する。続いて、SDカード171に記憶された第三DBを読み出し、第三DBに格納された交通監視情報を参照する(S21)。そして、第二サブ表示領域23に表示させるメッセージを、SDカード171から読み出した第三DBに格納された交通監視情報に基づいて、次のようにして作成する。
【0077】
SDカード171から読み出した第三DBに格納された交通監視情報のうち、S11で特定した領域識別情報と同一の領域識別情報が「実施場所」として対応付けられている交通監視情報を抽出する。次に、抽出された交通監視情報に対応付けられている「開始日」、「開始時間」、「終了日」、「終了時間」(図2参照)に基づき、監視活動が実施されている期間を特定する。そして特定された期間内に、S19で特定された現在日時、及び時刻が含まれるという条件を満たす交通監視情報を選択する。
【0078】
上述の方法によって選択した交通監視情報が一以上あるかを判断する(S23)。選択した交通監視情報が存在しない場合(S23:NO)、第二サブ表示領域23に表示するメッセージはないことになるので、処理はS10に戻る。一方、選択した交通監視情報が一以上存在する場合(S23:YES)、選択した交通監視情報に基づいて、第二サブ表示領域23に表示させるメッセージを以下のようにして作成する(S25)。
【0079】
選択した交通監視情報をカテゴリ毎に区分し並べる。カテゴリ毎に並べたテキスト情報の先頭に、各カテゴリの概要を示すタイトルを付加する。タイトルは、予め用意された複数のタイトルのうち最適なタイトルを選択して使用する。最適なタイトルの選択は、例えば次のようにして行う。タイトルとカテゴリとを対応付けたテーブルを、記憶部16に予め記憶しておく。テキスト情報をカテゴリ毎に区分して並べた場合、区分した其々のカテゴリに対応するタイトルを、記憶部16に記憶されたテーブルを参照することによって特定する。特定したタイトルを、カテゴリを示す最適なタイトルとして、並べた交通監視情報の先頭に付加する。これによって、メッセージを構成する各フェーズを作成する。作成したメッセージをRAMに記憶する。
【0080】
次に、車両の走行速度を特定する(S27)。走行速度は、図示外の加速度センサに基づいて特定してもよいし、車両側のOn-board diagnosticsコネクタを介して取得したOBDデータに基づいて特定しても良い。特定した走行速度に応じて、S25で作成したメッセージをスクロール表示させる場合の速度を決定する。取得した走行速度に反比例してスクロール表示させる場合の表示速度が遅くなるように、速度を決定する。決定した速度で、作成したメッセージを第二サブ表示領域23にスクロール表示する(S29)。これによって運転者は、車両の走行速度が速く、長時間連続して表示部14を視認できない場合でも、表示速度は遅くなるので、表示されたメッセージを短い時間内で確実に認識することができる。また運転者は、車両の走行速度が遅く、比較的長時間連続して表示部14を視認することができる場合には、表示速度は速くなるので、大量の交通監視情報を正確に認識することができる。なお、第二サブ表示領域23にメッセージをはじめてスクロール表示した場合、スピーカ15からアラーム音を出力する。
【0081】
自車両の移動に伴い、S11で取得した領域識別情報を変更したか否かを判断する。領域識別情報が変更したか否かは、RAMに前回記憶した領域識別情報と、今回記憶した領域識別情報とが相違するか否かによって判断する。領域識別情報を変更した場合、S25で作成したメッセージを新たに更新している可能性がある。S25で作成したメッセージが新たに更新したかを判断する(S31)。メッセージを更新したか否かは、RAMに前回記憶したメッセージと、今回記憶したメッセージとが相違するか否かによって判断する。S25で作成したメッセージを変更していない場合(S31:NO)、そのまま処理はS10に戻る。一方、メッセージを新たに更新している場合(S31:YES)、スピーカ15からアラーム音を出力する(S33)。これによって運転者は、アラーム音によって通知が行われた場合に表示部14の第二サブ表示領域23を視認することで、新たに更新されたメッセージを確実に認識することができる。このようにして運転支援システム1は、更新されたメッセージを運転者が見落としてしまうことを防止している。処理はS10に戻る。
【0082】
なおメイン処理では、例えば、S23、S31、及びS33の後、所定の時間(例えば1秒間)待機し、その後S10に戻る処理を行なうようにしてもよい。また例えばメイン処理では、S23、S31、及びS33の後、車両の走行距離が所定距離以上となった場合にS10に戻る処理を行うようにしてもよい。そして、S10において自車両位置を繰り返し特定し、特定した自車両位置に基づいて、メッセージを繰り返し作成してもよい。これによって、制御部11の処理負荷を軽減させつつ、監視活動に関するメッセージを的確に作成して表示し、ユーザに通知することができる。
【0083】
以上説明したように、運転支援システム1は、自車両が位置する区画領域を、記憶部16に記憶された第一DBに基づいて、市区町村単位で特定できる。これによって、高速道路上でのみ都道府県単位で自車両の位置を特定していた従来のシステムと比較して、一般道上であっても、自車両位置を市区町村単位でより詳細に特定することができる。
【0084】
また運転支援システム1は、監視活動が実施される地域をカバーする区画領域を、SDカード171に記憶された第三DBに基づいて特定することができる。第三DBには、領域識別情報が一以上対応付けられた交通監視情報が格納されている。自車両が位置する区画領域の領域識別情報と、交通監視情報に含まれる区画領域の領域識別情報とは、何れも市区町村単位で定められている。従って運転支援システム1は、自車両が位置する区画領域において監視活動が実施されているか否かを、第三DBに基づいて画一的に特定することができる。よって運転支援システム1は、自車両が実際に位置する場所の近くで実施されている監視活動に関する情報のメッセージを、容易かつ確実に特定して運転者に通知することができる。また運転支援システム1は、自車両が位置する場所から離れた地域で実施されている監視活動に関する情報のメッセージが表示されてしまうことを防止できる。表示部14には、運転者にとって必要なメッセージのみ表示されることになる。従って、不要なメッセージが多数表示されてしまうことによって、必要な情報を運転者が見落としてしまうことを防止することができる。
【0085】
運転支援システム1は、監視活動が実施される地域として「〜署管内」「〜方面」「〜号線沿線」等が公表された場合でも、公表された地域を少なくとも含む市区町村に車両が進入したか否かを特定することができる。第三DBに格納されている交通監視情報には、監視活動が実施される区画領域の領域識別情報が、市区町村単位で対応付けられるためである。このため運転支援システム1は、車両の位置に適したメッセージを交通監視情報に基づき作成し、運転者に提供することができる。運転者は、自車両位置の近くで実施されている監視活動に関する情報を容易に把握することができる。
【0086】
なお、S11の処理を行う制御部11等が本発明の「第一取得手段」に相当する。S21、S23の処理を行う制御部11等が本発明の「第二取得手段」に相当する。S29の処理を行う制御部11等が本発明の「第一制御手段」に相当する。S19の処理を行う制御部11等が本発明の「第一特定手段」に相当する。S27の処理を行う制御部11等が本発明の「第二特定手段」に相当する。
【0087】
なお本発明は、上述の実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば運転支援システム1は、無線受信部12を備えない構成であってもよい。運転支援システム1は、外部に取り付けられた無線受信部から出力されるRSSIの電圧レベルに基づいて、報知対象物と車両との間の距離を把握してもよい。また運転支援システム1は、GPS受信部13を備えない構成であってもよい。運転支援システム1は、外部に取り付けられたGPS受信部から出力される位置情報に基づいて、車両位置を把握してもよい。また運転支援システム1は、表示部14及びスピーカ15を備えない構成であってもよい。運転支援システム1は、外部のディスプレイを制御することによって、外部のディスプレイに所望の画像を表示させてもよい。外部のディスプレイは、例えば車両に取り付けられたカーナビゲーションシステムのディスプレイであってもよい。また運転支援システム1は、外部のスピーカを制御することによって、外部のスピーカから所望の音を出力させてもよい。外部のスピーカは、例えば、車両に取り付けられたスピーカであってもよい。
【0088】
運転者に通知されるメッセージの内容は、各都道府県警察署から公表された公開取締情報に限定されず、例えば、各地方整備局で公表されている情報(規制内容、路線、住所、月日時間など)であってもよい。
【0089】
オペレータは、公表された公開取締情報に基づき、次のようにして第三DBを作成してもよい。オペレータは、公表された公開取締り情報が、(1)且つ(3)の条件を満たすか、又は、(2)且つ(3)の条件を満たす場合、各種項目が対応付けられた交通監視情報を作成する。
(1)公開取締情報として、監視活動が実施される市区町村が公表されている場合。
(2)公開取締情報として、監視活動が実施される所轄や地域が公表されている場合。
(3)公開取締情報として、監視活動が実施される年月日及び時間が公表されている場合。
【0090】
上述では、公表された公開取締情報に基づき、オペレータが、交通監視情報を含む第三DBを作成していた。本発明はこれに限定されない。交通監視情報を含む第三DBは、公開取締情報に基づきサーバによって自動的に作成する処理を行うようにしてもよい。具体的には以下のようにして実施すると良い。
【0091】
各都道府県警察署のHPを介して公表された公開取締情報を、インターネットに接続されたサーバによって取得する。サーバは、例えば、予め記憶しているURLの各都道府県警察署のHPを周期的(例えば一日に一回)にチェックし、公開取締情報が更新されているか否かを判断する。公開取締情報が更新されている場合、そのURLのページの公開取締情報を取得する。取得した公開取締情報のページの中の複数の公開取締情報から、交通監視情報、及び交通監視情報に対応付ける各情報(「都道府県」、「開始日」、「開始時間」、「終了日」、「終了時間」、及び「管轄」)を抽出する。そのページ内の複数の情報を抽出し、交通監視情報に対応付けて、図2に示したような情報を作成する。作成した情報は、サーバの記憶部に記憶する。
【0092】
公開取締情報によって公表される、監視活動の実施地域は、例えば「都道府県」「所轄」「路線」等であり、交通監視情報に対応付けられる「実施場所」の単位である、市区町村毎に定められた区画領域の単位とは異なっている場合が多い。このような場合、サーバは以下のようにして、交通監視情報に対応付ける「実施場所」を特定する。
【0093】
サーバは、各都道府県警察毎に公開取締情報として公表される、監視活動が実施される地域(都道府県、所轄、路線等、以下「公開地域」という。)と、各都道府県警察間で共通の単位である市区町村の単位で特定された領域識別情報とが対応付けられた対応テーブルを、予め記憶部に記憶している。公開地域に対応付けられる領域識別情報は、監視活動が実際に実施される区画領域の領域識別情報を少なくとも含んでいる。例えば、一の公開地域に複数の領域識別情報が対応付けられる場合もある。サーバは、各都道府県警察署のHPから公開取締情報を取得した場合、取得した公開取締情報に含められている公開地域を抽出する。そして、記憶部に記憶された対応テーブルを参照し、抽出した公開地域に対応する領域識別情報を特定する。特定した領域識別情報を、「実施場所」として交通監視情報に対応付ける。交通監視情報に、公開取締情報から抽出した「都道府県」、「開始日」、「開始時間」、「終了日」、「終了時間」、及び「管轄」を対応付ける。各種情報を対応付けた交通監視情報を、記憶部に記憶する。なお、区画領域の特定方法は、上述の方法に限定されない。
【0094】
運転支援システム1では、現時点で実際に実施されている監視活動ばかりでなく、近々に実施される監視活動についての情報を、運転者に提供してもよい。例えば運転支援装置1は、現在時刻から一時間以内に開始される監視活動があるかを、交通監視情報に対応付けられた「開催日」「開催時間」に基づいて判断してもよい。そして、該当する「開催日」「開催時間」が対応付けられた交通監視情報がある場合、この交通監視情報に基づいてメッセージを作成し、表示部14に表示しても良い。これによって運転者は、自車両の位置の近くで実施されている監視活動ばかりでなく、近々に実施される可能性のある監視活動を即座に認識し、交通事故が発生し易い場所での運転を安全に行うことができる。
【0095】
第二サブ表示領域23に表示するメッセージに、交通監視情報以外の情報、例えば、強化月間、旬感、習慣などのイベント等の情報、道路規制情報(工事規制、災害による交通規制)等を含めても良い。例えば道路規制情報を表示することによって、運転者は、規制されているルートを回避することができる。なお交通監視活動以外の情報は、第三DBと共にSDカード171に記憶されており、これらの情報を読み出して、メッセージに格納してもよい。
【0096】
第二サブ表示領域23に表示するメッセージ中の各フェーズに格納するタイトル及び交通監視情報は、連続して並べられスクロール表示された場合であってもわかりやすいように、監視活動の種別、監視活動が実施される期間、及び、監視活動が実施される地域毎に背景色や色文字で仕分けしたり、先頭にアイコンをつけたりしてもよい。また図4に示すように、メッセージ全体が把握できるように、タイトルに全件数を付加し、交通監視情報毎にページ件数を付加してもよい。
【0097】
運転支援装置1は、次のような場合にも、第二サブ表示領域23に表示するメッセージを作成してもよい。「実施場所」が対応付けられていない交通監視情報が第三DBに格納されていると仮定する。このような交通監視情報のうち、自車両が位置する都道府県と同一の都道府県が、「都道府県」として対応付けられている交通監視情報をすべて抽出する。抽出した交通監視情報に対応付けられている「開始日」、「開始時間」、「終了日」、「終了時間」(図2参照)に基づき、監視活動が実施される期間を特定する。特定された期間内に、S19で特定された現在日時、及び時刻が含まれる交通監視情報を選択する。選択した交通監視情報に基づいて、メッセージを作成する。運転支援装置1は、自車両が位置する都道府県内で実施されている監視活動に関する交通監視情報を選択し、メッセージを作成することになる。
【符号の説明】
【0098】
1 運転支援システム
11 制御部
13 GPS受信部
14 表示部
15 スピーカ
16 記憶部
17 カードリーダ
171 SDカード
41 メッセージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土地が区画されることで形成される領域である区画領域を識別するための領域識別情報と、前記区画領域の位置を特定するための領域位置情報とが対応付けられて記憶された第一記憶手段の記憶内容に基づいて、車両の位置を含む前記区画領域の前記領域識別情報を取得する第一取得手段と、
交通の監視活動に関する情報である交通監視情報であって、前記監視活動が実施される地域を含む前記区画領域の前記領域識別情報が対応付けられた交通監視情報が記憶された第二記憶手段の記憶内容に基づいて、前記第一取得手段によって取得された前記領域識別情報が対応付けられた前記交通監視情報を取得する第二取得手段と、
前記第二取得手段によって取得された前記交通監視情報に基づく表示情報を表示手段に表示するための制御を行う第一制御手段と
を備えたことを特徴とする運転支援システム。
【請求項2】
前記区画領域によって特定される領域は、都道府県よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の運転支援システム。
【請求項3】
前記交通監視情報に対応付けられる前記領域識別情報によって識別される前記区画領域は、前記交通監視情報の基となる情報である基情報が発表される場合に指定される前記監視活動の実施地域とは異なることを特徴とする請求項2に記載の運転支援システム。
【請求項4】
前記基情報は、複数の都道府県の警察によって発表され、且つ、前記基情報が発表される場合に指定される前記監視活動の実施地域の単位は、前記基情報毎に異なっており、
複数の都道府県の警察によって発表された複数の前記基情報に基づいて作成された複数の交通監視情報には、行政区画の単位で特定された前記区画領域を識別するための識別情報が対応付けられていることを特徴とする請求項3に記載の運転支援システム。
【請求項5】
時刻を特定する第一特定手段を備え、
前記交通監視情報には、前記監視活動が実施される期間、及び前記領域識別情報が対応付けられており、
前記第二取得手段は、
前記第一取得手段によって取得された前記領域識別情報が対応付けられ、且つ、前記第一特定手段によって特定された前記時刻との関係が所定の関係を満たす前記期間が対応付けられた前記交通監視情報を取得することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の運転支援システム。
【請求項6】
前記表示情報は、テキスト情報によって構成され、
前記第一制御手段は、
前記表示情報をスクロール表示させるための制御を行うことを特徴とする1から5のいずれかに記載の運転支援システム。
【請求項7】
前記第一制御手段は、
スクロール表示によって前記表示情報がすべて表示された場合、前記表示情報を最初から繰り返しスクロール表示させるための制御を行うことを特徴とする請求項6に記載の運転支援システム。
【請求項8】
前記交通監視情報は、カテゴリを含んでおり、
前記第一制御手段は、
前記第二取得手段によって前記交通監視情報が複数取得された場合、取得された前記複数の交通監視情報に基づく前記表示情報を前記カテゴリ毎にまとめて表示するための制御を行うことを特徴とする請求項6又は7に記載の運転支援システム。
【請求項9】
前記車両の走行速度を特定する第二特定手段を備え、
前記第一制御手段は、
前記第二特定手段によって特定された前記車両の走行速度に応じて、前記表示情報がスクロールする場合の表示速度が変化するように表示するための制御を行うことを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の運転支援システム。
【請求項10】
前記第一制御手段は、
前記第一取得手段によって取得された前記領域識別情報によって識別される前記区画領域を特定するための情報を、前記表示情報と同時に表示するための制御を行うことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の運転支援システム。
【請求項11】
前記車両の位置が変化し、前記第一取得手段によって取得される前記領域識別情報が、前記車両の位置が変更されたことに伴い更新され、
前記第二取得手段によって、前記第一取得手段によって取得された前記領域識別情報が更新されたことに伴い新たな前記交通監視情報が取得された場合に、音を出力するための制御を行う第二制御手段を備えたことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の運転支援システム。
【請求項12】
前記車両の位置を含む周辺の地図を、前記表示情報と同時に表示するための制御を行う第三制御手段を備えたことを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の運転支援システム。
【請求項13】
前記監視活動が実施される地域は、複数の前記区画領域にわたり、
前記交通監視情報には、複数の前記領域識別情報が対応付けられていることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の運転支援システム。
【請求項14】
前記表示情報は、
前記監視活動の種別、前記監視活動が実施される期間、及び、前記監視活動が実施される地域のうち少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の運転支援システム。
【請求項15】
前記第一制御手段は、
前記種別、前記期間、及び前記地域を、異なる色で表示するための制御を行うことを特徴とする請求項14に記載の運転支援システム。
【請求項16】
請求項1から15のいずれかに記載の運転支援システムによって参照される前記第二記憶手段に記憶される情報を生成する情報生成方法であって、
公表された情報に対応する前記監視活動が実施される地域を少なくとも含む複数の前記区画領域を識別するための領域識別情報を抽出し、
抽出された前記領域識別情報が対応付けられた前記交通監視情報を前記第二記憶手段に記憶することを特徴とする情報生成方法。
【請求項17】
前記抽出は、
前記公表された情報に対応する前記監視活動が実施される地域と、前記地域を少なくとも含む前記複数の区画領域の前記領域識別情報とが対応付けて記憶された第三記憶手段を参照することによって、前記複数の区画領域を識別するための領域識別情報を抽出することを特徴とする請求項16に記載の情報生成方法。
【請求項18】
請求項1から15のいずれかに記載の運転支援システムの各処理手段をコンピュータに実行させるための運転支援プログラム。
【請求項19】
請求項1から15のいずれかに記載の運転支援システムによって参照される前記第二記憶手段に記憶される情報を生成するための生成プログラムであって、
公表された情報に対応する前記監視活動が実施される地域を少なくとも含む複数の前記区画領域を識別するための領域識別情報を抽出し、
抽出された前記領域識別情報が対応付けられた前記交通監視情報を前記第二記憶手段に記憶することをコンピュータに実行させるための生成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−251934(P2012−251934A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126376(P2011−126376)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】