説明

運転支援用の通信タグ及び運転支援システム

【課題】バッテリーの消費を抑制できるようにした運転支援用の通信タグ及び運転支援システムを提供する。
【解決手段】短距離無線通信部11と、GPSモジュール15と、中距離無線通信部13と、制御部50と、を備える。また、制御部50は、通信タグ検出部53と、送信周期調整部55とを備える。短距離無線通信部11は、短距離無線通信を送受信する。GPSモジュール15は、当該通信タグ10(自己)の位置情報を取得する。中距離無線通信部13は、GPSモジュール15によって取得された自己の位置情報を、中距離無線通信で送信する。通信タグ検出部53は、短距離無線通信部11を介して、自己と同一機能を有する他の通信タグを検出する。送信周期調整部55は、他の通信タグの検出結果に基づいて、中距離無線通信の送信周期を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーの消費を抑制できるようにした運転支援用の通信タグ及び運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として、例えば特許文献1に記載の技術がある。この技術では、歩行者は接近警告装置を携帯すると共に、車両にはデータキャリアが取り付けられている。接近警告装置とデータキャリアは、RFID(Radio Frequency IDentification)により通信することが可能である。歩行者が道路を通行している間、この歩行者が携帯する接近警告装置は質問電波を所定のゾーン(範囲)に送出する。このゾーンに車両が入るとデータキャリアは質問電波を受信し、この質問電波に対する応答電波を返信する。接近警告装置は、この応答電波を受信することにより、車両の接近を検出して歩行者へ通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−173499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の特許文献1に記載の技術にあって、歩行者が携帯する接近警告装置は、車両の接近に備えて質問電波を繰り返し送信する必要がある。この質問電波が到達するゾーンの大きさは、歩行者に対する車両の接近速度などを考慮すると、例えば、数十〜数百メーター程度に設定する必要がある。このため、接近警告装置は、質問電波を上記の距離まで届くように高出力で送信する必要がある。また、接近警告装置は、車両から返信されてくる応答電波を検知するために、応答電波を監視する機能を常に(又は、高い頻度で)駆動させておく必要がある。このため、接近警告装置のバッテリーの消費が大きいという課題があった。
【0005】
本発明は、上記のような点に着目したもので、バッテリーの消費を抑制できるようにした運転支援用の通信タグ及び運転支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、第2の無線通信手段と、通信タグ検出手段と、送信周期調整手段とを備える。第2の無線通信手段は、当該通信タグの位置情報を第1の無線通信方式よりも通信距離が長い第2の無線通信方式で送信する。通信タグ検出手段は、当該通信タグと同一機能を有する他の通信タグを検出する。送信周期調整手段は、他の通信タグの検出結果に基づいて、第2の無線通信方式の送信周期を調整する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、当該通信タグと同一機能を有する他の通信タグ(即ち、同一型タグ)が検出された場合には、第1の無線通信方式よりも通信距離が長い第2の無線通信方式の送信処理を同一型タグと分担することができる。これにより、第2の無線通信方式の送信周期を長くすることができるので、通信タグのバッテリーの消費を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態に係る運転支援システム100の構成例を示す概要図である。
【図2】通信タグ10の構成例を示す図である。
【図3】制御部50の構成例を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る通信タグ10の処理を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態に係る通信タグ10のステップ(S)15の処理内容を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態に係る通信タグ10のステップ(S)17の処理内容を示すフローチャートである。
【図7】中距離無線通信の送信周期Ts、Ts´及び受信周期Tr、Tr´の一例を示す図である。
【図8】車両3に搭載されているモニター画面7の一例を示す図である。
【図9】HMI端末30の一例を示す図である。
【図10】中距離無線通信の送信周期Ts´と受信周期Tr(待機時の通信周期)の一例を示す図である。
【図11】運転支援システム100であって、短距離無線通信エリア内の歩行者が4人の場合を示す概要図である。
【図12】第2実施形態に係る通信タグ10のステップ(S)15の処理内容を示すフローチャートである。
【図13】第3実施形態に係る通信タグ10の処理を示すフローチャートである。
【図14】第4実施形態に係る通信タグ10のステップ(S)15の処理内容を示すフローチャート(その1)である。
【図15】第4実施形態に係る通信タグ10のステップ(S)15の処理内容を示すフローチャート(その2)である。
【図16】第5実施形態に係る短距離無線通信での情報の交換方法を模式的に示す図(その1)である。
【図17】第5実施形態に係る短距離無線通信での情報の交換方法を模式的に示す図(その2)である。
【図18】第5実施形態に係る短距離無線通信での情報の交換方法を模式的に示す図(その3)である。
【図19】交換情報の記録様式の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
次に、本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1は、第1実施形態に係る運転支援システム100の構成例を示す概要図である。この運転支援システム100は、通信タグを携帯している歩行者の存在を車両の運転者に通知するためのシステムである。この運転支援システム100は、例えば、通信タグ10と、通信タグ10とペアリングされている(即ち、接続設定されている)HMI(Human Machine Interface)端末30と、車載送受信機5とを備える。HMI端末30は、例えば、表示機能を有する携帯電話などの携帯端末である。
【0010】
図1では、歩行者1aが携帯している通信タグ10(以下、通信タグ10a)と、通信タグ10aとペアリングされているHMI端末30(以下、HMI端末30a)とを携帯している場合を例示している。この例では、歩行者1aの周囲に他の歩行者1bが存在する。この歩行者1bは、歩行者1bが携帯している通信タグ10(以下、10b)と、通信タグ10bとペアリングされているHMI端末30(以下、HMI端末30b)とを携帯している。また、図1では、歩行者1aから百メートル〜数百メートル離れた場所を車両3が走行している場合を例示している。車両3には、車載送受信機5などが搭載されている。まず、通信タグ10の構成例について説明する。
【0011】
図2は、通信タグ10の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、この通信タグ10は、端末間短距離無線通信部(以下、短距離無線通信部という。)11と、中距離無線通信部(即ち、タグ通信部)13と、GPS(Global Positioning System)モジュール15と、制御部50と、記憶部17と、カウント部19と、電源制御回路21と、バッテリー23と、充放電制御回路25と、インジケータ27と、メイン電源スイッチ29と、を有する。
【0012】
短距離無線通信部11は、例えばBluetooth、Zigbeeなどの端末間短距離無線通信方式(以下、短距離無線通信という。)でデータの送受信を行う。短距離無線通信部11には、アンテナ12が接続されている。短距離無線通信部11の通信可能な範囲(即ち、通信距離)は、例えば、数メートル〜数十メートルである。この短距離無線通信部11は、当該通信タグ(即ち、自己)と同一の機能を有する他の通信タグ(以下、同一型タグともいう。)とBluetooth、Zigbeeなどの短距離無線通信で接続することができる。また、この短距離無線通信部11は、例えばHMI端末30とBluetooth、Zigbeeなどの短距離無線通信で接続することができる。
【0013】
中距離無線通信部13は、例えばRFID(Radio Frequency IDentification)などの中距離無線通信方式(以下、中距離無線通信という。)でデータの送受信を行う。中距離無線通信はタグ通信ともいう。中距離無線通信部13には、アンテナ14が接続されている。この中距離無線通信部13の通信距離は、例えば、百メートル〜数百メートルである。中距離無線通信部13は、例えば車両3に搭載されている車載送受信機5と中距離無線通信で接続することができる。
【0014】
上記の短距離無線通信部11及び中距離無線通信部13は、データの送受信に要する電力は誘導起電力ではなく、バッテリー23から得る。これにより、短距離無線通信部11及び中距離無線通信部13は、外部の磁界環境に依存することなく、安定してデータの送受信を行うことができる。また、中距離無線通信部13は、バッテリーから電力の供給を受けることにより、百メートル〜数百メートルという、タグ通信の中では比較的に中〜長距離の通信距離を実現することができる。なお、中距離無線通信部13による中距離無線通信は、短距離無線通信部11による短距離無線通信と比較して通信距離が長い。このため、中距離無線通信部13は、短距離無線通信部11と比較して通信処理に多くのエネルギー(電力)を消費する。
【0015】
GPSモジュール15は、衛星測位システムを利用して自己の現在位置を定期的に検出する。また、GPSモジュール15は、自己が移動している場合は、その移動速度や、移動方向も定期的に検出する。このGPSモジュール15にはアンテナ16が接続されており、衛星から送信されてくる信号を受信する。
制御部50は、短距離無線通信部11、中距離無線通信部13、GPSモジュール15、記憶部17、カウント部19、インジケータ27、電源制御回路21、充放電制御回路25にそれぞれ接続されている。制御部50は、短距離無線通信部11、中距離無線通信部13、GPSモジュール15、充放電制御回路25などから各種の情報を取得する。そして、この取得した情報に基づいて、制御部50は各種の処理を実行する。この各種の処理を実行するために、制御部50は、図3に示すように、例えば、移動状態検出部51と、通信タグ検出部53と、送信周期調整部55と、受信周期調整部57と、車両検出部59と、車両接近判定部61と、情報交換部63と、を有する。制御部50は、例えばCPUなどのロジック回路で構成されている。
【0016】
記憶部17は、制御部50が取得した情報を記憶(格納)する。記憶部17は、例えばフラッシュメモリなどで構成されている。カウント部19は、時間を計測する。カウント部19は、例えば、フリップフロップを多段に接続した回路で構成されている。
電源制御回路21は、短距離無線通信部11や中距離無線通信部13、GPSモジュール15に電力を供給する。バッテリー23は、通信タグ10の電源である。このバッテリー23は、充放電制御回路25を介して外部電源から充電される。充放電制御回路25は、バッテリー23の蓄電量(電圧)を予め設定された上限値と下限値との間に維持し、その過充電や過放電を防止する。インジケータ27は、自己の通信状態やバッテリーの残量を外部に表示する。メイン電源スイッチ29は、歩行者(ユーザー)の操作により、オン、オフされるスイッチである。このメイン電源スイッチ29をオンにすることにより、充放電制御回路25が動作し、バッテリー23から電源制御回路21に所定の電力が供給される。
【0017】
次に、第1実施形態に係る通信タグ10の処理を、図4〜図6を参照して説明する。
図4は、第1実施形態に係る通信タグ10の処理を示すフローチャート(メインルーチン)である。ここでは、通信タグ10aが実行する処理を説明する。
図4のステップ(S)11では、GPSモジュール15が、衛星から送信されてくる信号に基づいて自己の現在位置を取得する。また、GPSモジュール15は、自己が移動している場合(即ち、現在位置が時間と共に変化する場合)には、現在位置と共に、移動速度及び移動方向を取得する。ステップ(S)12では、ステップ(S)11で測定された位置に関する情報(即ち、測位情報)がGPSモジュール15から出力される。出力された測位情報は記憶部17に格納される。
【0018】
ステップ(S)13では、図3に示した移動状態検出部51が、記憶部17に格納されている測位情報を読み出す。そして、移動状態検出部51は、この読み出した測位情報に基づいて、予め設定された時間(例えば、1分)当たりの移動量を算出する。
ステップ(S)14では、移動状態検出部51は、この算出された移動量に基づいて、通信タグ10aを携帯している歩行者1aが歩行状態にあるか否かを判定する。一例を挙げると、移動状態検出部51は、ステップ(S)13で算出された移動量が毎分20メートル〜200メートルの範囲内である場合は、歩行状態と判定する。また、移動状態検出部51は、ステップ(S)13で算出された移動量が毎分20メートル〜200メートルの範囲外である場合には、歩行状態でない(即ち、非歩行状態)と判定する。
【0019】
ステップ(S)14で歩行状態と判定された場合はステップ(S)15へ進む。ステップ(S)14で非歩行状態と判定された場合はステップ(S)19へ進む。ステップ(S)16では、短距離無線通信部11を介した同一型タグの検索と、この検索結果に基づく中距離無線通信の設定処理が行われる。
図5は、ステップ(S)15の処理内容を示すフローチャート(サブルーチン)である。図5のステップ(S)31では、カウント部19が時間の計測をゼロ(0)から開始する。ステップ(S)32では、短距離無線通信部11は、例えばBluetooth、Zigbeeなどの短距離無線通信を開始する。ステップ(S)33では、通信タグ検出部53が、短距離無線通信部11を介して同一型タグを検索する。即ち、通信タグ検出部53の制御下で、短距離無線通信部11は、同一型タグから送信されてくる短距離無線通信の受信を試みる。一例を挙げると、通信タグ10aの周囲(例えば、数メートルから数十メートルの範囲内)に同一型タグ10bが存在する場合には、この同一型タグ10bから送信されてくるBluetooth、Zigbeeなどの短距離無線通信が通信タグ10aの短距離無線通信部11で受信される。
【0020】
ステップ(S)34では、通信タグ検出部53が、同一型タグの有無を判定する。一例を挙げると、通信タグ検出部53は、同一型タグ10bから送信されてくる短距離無線通信が、予め設定された時間(例えば、1分)の間受信された場合に、同一型タグ10bが周囲に存在すると判定する。また、通信タグ検出部53は、同一型タグ10bから送信されてくる短距離無線通信が受信されない、又は、受信される場合でもその期間が予め設定された時間(例えば、1分)よりも短い場合には、同一型タグ10bは周囲に存在しないと判定する。
【0021】
同一型タグが周囲に存在すると判定された場合はステップ(S)35へ進み、存在しないと判定された場合はステップ(S)38へ進む。なお、同一型タグが存在すると判定された場合は、その同一型タグの個数に関する情報が記憶部17に格納される。一例を挙げると、通信タグ検出部が同一型タグ10bのみを検出した場合には、この同一型タグ10bの個数「1」が記憶部17に格納される。
【0022】
ステップ(S)35では、送信周期調整部55は、記憶部17から同一型タグの個数に関する情報を読み出す。そして、送信周期調整部55は、この読み出した情報に基づいて、中距離無線通信部13による中距離無線通信の送信周期を調整する。この調整は、例えば下記の式(1)に基づいて行うことができる。
n<Ts´≦n×Ts…(1)
Tsは同一型タグを検出していないとき(以下、通常時ともいう)の送信周期、Ts´は調整後の送信周期、nは検出された同一型タグの個数に自己を加えた個数、である。図1に示した例では、n=2(通信タグ10a、10b)であるから、送信周期Ts´は最大でTsの2倍となる(後述の図7(a)及び(b)を参照。)。
【0023】
また、このステップ(S)35では、中距離無線通信部13による中距離無線通信の受信周期を調整する。即ち、受信周期調整部57は、記憶部17から同一型タグの個数に関する情報を読み出す。そして、受信周期調整部57は、この読み出した情報に基づいて、中距離無線通信部13による中距離無線通信の受信周期を調整する。この調整は、例えば下記の式(2)に基づいて行うことができる。
Tr<Tr´≦n×Tr…(2)
Trは通常時の受信周期、Tr´は調整後の受信周期、nは検出された同一型タグの個数に自己を加えた個数、である。図1に示した例では、n=2(通信タグ10a、10b)であるから、受信周期Tr´は最大でTrの2倍となる(後述の図7(a)及び(b)を参照。)。
【0024】
ステップ(S)36では、中距離無線通信部13は、調整後の通信周期(送信周期、受信周期)Ts´、Tr´で中距離無線通信を開始する。ステップ(S)37では、カウント部19が時間の計測を停止する。カウント部19のカウント値はゼロに戻される。ステップ(S)37の後は、図4へ戻る。なお、ステップ(S)38では、中距離無線通信部13は、通常時の通信周期Ts、Trで中距離無線通信を開始する。
【0025】
図4のステップ(S)16では、中距離無線通信部13は、ステップ(S)15で設定された送信周期Ts´で、GPSモジュール15により取得された最新の測位情報と、自己のID情報とを送信する。この情報は、中距離無線通信部13での通信可能な範囲内を走行している車両3の車載送受信機5で受信することができる。ステップ(S)17では、中距離無線通信部13での受信処理と、短距離無線通信部11での送受信処理が行われる。
【0026】
図6は、ステップ(S)17の処理内容を示すフローチャート(サブルーチン)である。図6のステップ(S)51では、車両検出部59が、中距離無線通信部13を介して車両3のID情報及び、車両3のGPS情報(即ち、車両に搭載されたGPSモジュールにより測位された、車両3の位置情報)を受信したか否かを判定する。車両3のID情報及びGPS情報を受信したと判定された場合はステップ(S)52へ進み、受信していないと判定された場合はステップ(S)56へ進む。なお、車両3のID情報及びGPS情報を受信したと判定された場合は、それらの情報は記憶部17に格納される。
【0027】
ステップ(S)52では、車両接近判定部61が、自己の測位情報と車両3のGPS情報とから、車両3が自己に接近中か否かを判定する。車両3が自己に接近中であると判定した場合はステップ(S)53へ進み、接近中でないと判定した場合はステップ(S)56へ進む。
ステップ(S)53では、車両接近判定部61が、車両3が自己に到達するまでの到達予想時間が、予め設定された時間(例えば、10秒)以下であるか否かを判定する。或いは、車両接近判定部61は、車両と自己との間の距離が、予め設定された距離(例えば、100メートル)以下であるか否かを判定する。上記の時間や距離が、例えば10秒又は100メートル以下であると判定された場合はステップ(S)54へ進み、10秒又は100メートルを超えた値であると判定された場合はステップ(S)56へ進む。
【0028】
ステップ(S)54では、情報交換部63が、短距離無線通信部11を介して、周囲に存在する同一型タグ10bに車両3の接近情報を提供する。ステップ(S)55では、短距離無線通信部11は、通信タグ10aとペアリングされている(即ち、接続設定されている)HMI端末30aを通して、歩行者1aに車両3の接近を通知する。ステップ(S)55の後は、図4へ戻る。
【0029】
なお、ステップ(S)56では、車両接近判定部61が、短距離無線通信部11を介して、周囲の同一型タグから車両3の接近情報を受信したか否かを判定する。受信したと判定された場合はステップ(S)55へ進む。また、受信されていないと判定された場合は、図4へ戻る。
図4のステップ(S)18では、メイン電源スイッチ29のオン、オフが判断される。
メイン電源スイッチ29がオンのまま維持される場合はステップ(S)11へ戻る。また、歩行者1aの操作等により、メイン電源スイッチ29がオフにされる場合は、図4に示した通信タグ10の処理を終了する。
【0030】
図7(a)〜(c)は、中距離無線通信の送信周期Ts、Ts´及び受信周期Tr、Tr´の一例を示す図である。図7に示すように、中距離無線通信の送信周期TsをTs´に調整したり、中距離無線通信の受信周期TrをTr´に調整したりすることにより、中距離無線通信部13での消費電力量を低減することができる。
【0031】
(動作)
次に、第1実施形態の動作例について説明する。ここでは、動作例を分かり易く説明するために、図1に示した場合を想定する。即ち、歩行者1aは、通信タグ10aとHMI端末30aとを携帯している。また、歩行者1aの周囲に他の歩行者1bが存在する。さらに、車載送受信機5を搭載した車両3が、歩行者1a、1bから百メートル〜数百メートル離れた場所を走行している場合を想定する。
まず、通信タグ10aのGPSモジュール15は、自己の現在位置を一定の時間をおいて繰り返し取得する。この現在位置に関する情報は、記憶部17を介して制御部50に読み出される。制御部50は、この読み出した情報に基づいて、自己の移動状態が歩行状態に相当するか否かを判定する。
【0032】
自己の移動状態が歩行状態に相当するとき、制御部50は、短距離無線通信部11を介して、同一型タグの検索を一定の時間を置いて繰り返し行う。この検索により、同一型タグを検出したときには、中距離無線通信部13による中距離無線通信の送信周期及び受信周期の調整を行う。例えば、検出された同一型タグが通信タグ10bのみの場合は、検出個数が1つであるため、図7(a)及び(b)に示すように、送信周期Ts及び受信周期Trを、それぞれ2倍の周期に相当するTs´及びTr´に調整する。なお、中距離無線通信部13において、送信モードの長さ(即ち、1回当たりの送信時間)と、受信モードの長さ(即ち、1回当たりの受信時間)は、調整の前後でそれぞれ同じ値に維持されるものとする。また、受信モードの長さは、送信モードの長さよりも十分に長いものとする。
このように、中距離無線通信の通信周期が調整された後で、中距離無線通信部13は、自己のID情報と測位情報を送信する。送信された通信タグ10aのID情報と測位情報は、車両3の搭載されている車載送受信機5で受信される。
【0033】
図8は、車両3に搭載されているモニター画面7の一例を示す図である。図8に示すモニター画面7は、例えば、車両3に搭載されているカーナビゲーションシステムの一部であり、マップと共に歩行者1aの位置を表示する。また、このカーナビゲーションシステムは、モニター画面7での表示と併せて(或いは、モニター画面7での表示とは別に)、歩行者の存在をスピーカーから音声で運転者に通知してもよい。通知内容は、例えば、車両3が歩行者1aに到達するまでの到達予測時間、歩行者1aと車両3との間の距離などが挙げられる。これにより、車両3の運転者は、車両3の進行方向(例えば、直進の場合や直進方向、右折の場合は右折方向、左折の場合は左折方向など。)に歩行者1aが存在することを知ることができる。
【0034】
一方で、中距離無線通信部13は、車載送受信機5から送信されてくる車両3のID情報と、車両3のGPS情報とを取得する。制御部50は、この車両3のGPS情報と、自己のGPS情報とに基づいて、車両3が自己に接近中か否かを判断する。
車両3が接近中の場合は、さらに車両3が自己に到達するまでの到達予想時間(又は、車両3と自己との間の距離)を算出する。この時間(又は、距離)が予め設定された値以下の場合には、短距離無線通信部11が周囲に存在する同一型タグ10bに車両3の接近情報を送信する。また、短距離無線通信部11は、通信タグ10aとペアリングされているHMI端末30aを通して、歩行者1aに車両3の接近を通知する。通知内容は、例えば、車両3が歩行者1aに到達するまでの到達予測時間、歩行者1aと車両3との間の距離などが挙げられる。
【0035】
車両3の接近情報が通知された同一型タグ10bは、この同一型タグ10bとペアリングされているHMI端末30bを通して、歩行者1bに車両3の接近を通知する。
図9は、HMI端末30の一例を示す図である。図9に示すように、HMI端末30は、車両3がどの方向から接近してくるかを画面に表示してもよい。さらに、HMI端末30は、車両3の接近に応じて、内蔵スピーカーからブザーを鳴らしたり、端末自体を振動させたり、LED(light emitting diode)等のインジケータを点滅させたりしてもよい。この場合、HMI端末30aは、車両3との距離や到達予想時間に応じて、音量を徐々に高めたり、徐々に強く振動したり、点滅の間隔を徐々に短くしたりしてもよい。これにより、歩行者1aは、かりに車両3が後方から近づいてくるような場合でも、HMI端末30aを介して車両3の接近を知ることができる。
【0036】
この第1実施形態及び、後述の第2〜第5実施形態では、短距離無線通信が第1の無線通信方式に対応し、短距離無線通信部11が第1の無線通信手段に対応している。GPSモジュール15が位置情報取得手段に対応している。中距離無線通信が第2の無線通信方式に対応し、中距離無線通信部13が第2の無線通信手段に対応している。また、通信タグ検出部53が通信タグ検出手段に対応している。送信周期調整部55が送信周期調整手段に対応している。受信周期調整部57が受信周期調整手段に対応している。車両検出部59が車両検出手段に対応している。車両接近判定部61が車両接近判定手段に対応している。情報交換部63が情報交換手段に対応している。さらに、車載送受信機5が車載機器の受信手段に対応している。モニター画面7が車載機器の表示手段に対応している。また、送信周期Tsが第1の送信周期に対応し、調整後の送信周期Ts´が第2の送信周期に対応している。受信周期Trが第1の受信周期に対応し、調整後の受信周期Tr´が第2の受信周期に対応している。
【0037】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態は、次のような効果を奏する。
(1)通信タグ10の送信周期調整部55は、自己と同一機能を有する他の通信タグ(即ち、同一型タグ)の検出結果に基づいて、中距離無線通信の送信周期を調整する(ステップ(S)35)。通信タグ10aが同一型タグを検出した場合、通信タグ10aの送信周期Tsはより長周期のTs´に調整される。このため、通信タグ10aは、バッテリーの消費を抑えることができる。
(2)通信タグ10の受信周期調整部57は、同一型タグの検出結果に基づいて、中距離無線通信の受信周期を調整する(ステップ(S)35)。通信タグ10aが同一型タグを検出した場合、通信タグ10aの受信周期Trはより長周期のTr´に調整される。このため、通信タグ10aは、バッテリーの消費を抑えることができる。
(3)図7(b)及び(c)に示したように、通信タグ10aが自己の位置情報を中距離無線通信で送信するときは、同一型タグである通信タグ10bも自己の位置情報を中距離無線通信で送信する。
ここで、通信タグ10a、10bが互いに短距離無線通信を行うことが可能な狭い範囲(数メートル〜数十メートル)に存在しているとき、これらの通信タグ10a、10bから遠く離れた車両3の運転者から見ると、通信タグ10a、10bはほぼ同じ位置に存在するようにみえる。従って、通信タグ10a、10bは、車両に対する位置情報の送信処理を分担して行うことができる。通信タグ10a、10bは、互いにバッテリーの消費を抑えるように、中距離無線通信の送信処理を分担することができる。
【0038】
(4)中距離無線通信部13は、例えば、百メートル〜数百メートル先を走行している車両3の位置情報を取得する(ステップ(S)51)。車両検出部59は、この車両3の位置情報と自己の位置情報とに基づいて、車両3が自己に接近しているか否かを判定する(ステップ(S)52)。そして、車両3が接近していると判定された場合に、短距離無線通信部11は、車両3の接近情報をBluetooth、Zigbeeなどの短距離無線通信で送信する(ステップ(S)54)。また、通信タグ10は、同一型タグから、車両3の接近情報を短距離無線通信で受信することもできる(ステップ(S)56)。
例えば、通信タグ10aと同一型タグ10bとの間で、車両3の接近情報を短距離無線通信でお互いに提供することができる。このため、車両3のID情報及びGPS情報を取得するための中距離無線通信の受信処理を、通信タグ10aと同一型タグ10bとで分担することができる。
【0039】
(5)送信周期調整部55及び受信周期調整部57は、同一型タグを所定時間の間検出した場合に、中距離無線通信の送信周期及び受信周期を調整する(ステップ(S)14、15)。これにより、通信タグ10は、自己から一定の距離範囲(例えば、数十メートルの範囲内)に所定時間以上留まっている同一型タグと、中距離無線通信の送信処理及び受信処理を分担することができる。
(6)送信周期調整部55及び受信周期調整部57は、通信タグ検出部53によって検出された同一型タグの個数に基づいて、中距離無線通信の送信周期及び受信周期をそれぞれ調整する(ステップ(S)35)。同一型タグの検出個数が多いほど、中距離無線通信の送信処理及び受信処理を広く浅く分担することができる。これにより、通信タグ10はバッテリーの消費をさらに抑えることができる。
【0040】
(7)移動状態検出部51は、GPSモジュール15によって取得された自己の測位情報に基づいて、自己の移動状態を検出する(ステップ(S)13、14)。中距離無線通信部13は、検出された自己の移動状態が歩行状態に相当しない場合は中距離無線通信を停止する(ステップ(S)19)。つまり、通信タグ10は、歩行者が歩行していないと推測されるときは、中距離無線通信を停止する。これにより、バッテリーの消費をさらに抑えることができる。
(8)中距離無線通信部13は、中距離無線通信を停止した後で、自己の移動状態が歩行状態に相当するようになった場合は、中距離無線通信を開始する(ステップ(S)14)。つまり、通信タグ10は、歩行者が歩行を再開したと推測されるときは、中距離無線通信を再開する。これにより、通信タグ10は、車両3の運転者に対して歩行者の存在を再び通知することが可能となる。
【0041】
(変形例)
(1)上記の第1実施形態では、図7(a)及び(b)に示したように、中距離無線通信の送信周期と受信周期とをそれぞれ調整する場合を例示した。しかしながら、本実施形態では、中距離無線通信の中でも、バッテリーの消費が比較的に大きい、送信処理の周期のみを調整するようにしてもよい。
即ち、図5のステップ(S)35では、中距離無線通信の送信周期のみを調整してもよい。例えば、図10に示すように、受信周期Trを変更することなく、送信周期TsのみTs´に変更する。このような場合であっても、通信タグ10は、中距離無線通信の送信処理を同一型タグと分担することができ、バッテリーの消費を抑えることができる。
【0042】
(2)上記の第1実施形態では、図1に示したように、通信タグ10aの短距離無線通信エリアに、同一型タグとして通信タグ10bが存在する場合を例示した。しかしながら、本実施形態において、上記の短距離無線通信エリアに存在する同一型タグは通信タグ10bに限定されるものではない。例えば、図11に示すように、上記の短距離無線通信エリアには、同一型タグとして、同一型タグ10b〜10dが存在していてもよい。
即ち、歩行者1aの周囲に他の歩行者1b〜1dが存在していてもよい。これらの歩行者1b〜1dは、同一型タグ10b〜10dと、同一型タグ10b〜10dとそれぞれペアリングされたHMI端末30b〜30dとを携帯していてもよい。このような場合は、上記の式(1)においてn=4となる。このため、通信タグ10aの調整後の送信周期Ts´を、通常時の送信周期Tsの最大で4倍の長さに設定することができる。また、通信タグ10aの調整後の受信周期Tr´を、通常時の受信周期Trの最大で4倍の長さに設定することができる。
【0043】
(3)また、上記の通信タグ10aは、同一型タグ10b〜10dが情報を発信していないタイミングを自己の受信モードで探るようにしてもよい。そして、通信タグ10aは、同一型タグ10b〜10dが情報を発信していないタイミングで、自己の位置情報を中距離無線通信で送信するようにしてもよい。例えば、CSMA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Detection)方式で、通信タグ10a〜10dは、各々の位置情報を中距離無線通信で送信するようにしてもよい。
これにより、通信タグ10a〜10dは、お互いに送信データの衝突、混信を防ぎつつ、自己の位置情報を中距離無線通信で送信することができる。
【0044】
(4)或いは、通信タグ10a〜10dは、送信モードの長さ又は受信モードの長さを、任意のタイミングで一時的に延長する(又は、短縮する)ようにしてもよい。例えば、通常の長さが10秒である受信モードを、任意のタイミングで一時的に15秒に延長する。これにより、送信モードのタイミングがランダムにずれるので、通信タグ10a〜10d間で送信データの衝突、混信が繰り返されることを防ぐことができる。
(5)また、上記の第1実施形態では、歩行者が通信タグ10を携帯し、この通信タグ10を介して歩行者の存在が車両に通知される場合の例示した。しかしながら、本実施形態において、通信タグ10は、歩行者に携帯されることに限定されるものではない。例えば、通信タグ10は、道路上の障害物や荷物等に取り付けられていてもよい。このような場合は、通信タグ10を介して、道路上の障害物や荷物等の存在が車両に通知される。
【0045】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、この第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成を有する部分には同一の符号を付して説明する。第1実施形態では、同一型タグの検出個数に基づいて中距離無線通信の通信周期が調整される場合の例を説明した。第2実施形態では、バッテリーの残量値に関する情報(即ち、バッテリー残量情報)に基づいて、中距離無線通信の通信周期が調整される場合の例を説明する。
(構成)
図12は、第2実施形態に係る通信タグ10のステップ(S)15の処理内容を示すフローチャート(サブルーチン)である。第2実施形態では、第1実施形態と比較して、ステップ(S)15の処理内容の一部が異なる。それ以外の構成は、第1実施形態と第2実施形態とで同じである。従って、ここでは、ステップ(S)15の処理内容について説明する。
【0046】
図5のステップ(S)31〜34までは、第1実施形態と同じである。ステップ(S)34において、同一型タグが周囲に存在すると判定された場合はステップ(S)41へ進む。
ステップ(S)41では、情報交換部63は、短距離無線通信部11を介して同一型タグとバッテリー残量情報を交換する。即ち、情報交換部63は、短距離無線通信部11を介して同一型タグの残量情報を取得する。また、情報交換部63は、短距離無線通信部11を介して当該通信タグ10(自己)のバッテリー残量情報を提供する。通信タグ検出部53によって取得された同一型タグの残量情報と、自己のバッテリー情報は、記憶部17に格納される。
【0047】
ステップ(S)42では、送信周期調整部55は、記憶部17からバッテリーの残量情報を読み出す。そして、送信周期調整部55は、この読み出した情報に基づいて、中距離無線通信部13による中距離無線通信の送信周期を調整する。この調整は、例えば下記の式(3)に基づいて行うことができる。
Ts<Ts´≦(Qa+ΣQn)/Qa×Ts…(3)
Qaは通信タグ10aのバッテリー残量値、ΣQnは検出された同一型タグのバッテリー残量値の和、である。
【0048】
図1に示した例では、通信タグ10aの周囲に存在する同一型タグは、通信タグ10bのみである。このため、図1に示した例では、式(3)は式(3)´で示される。
Ts<Ts´≦(Qa+Qb)/Qa×Ts…(3)´
Qbは同一型タグ10bのバッテリー残量値である。一例として、同一型タグ10bのバッテリー残量値Qbが、自己のバッテリー残量値Qaの2倍である場合、式(3)´は下記のように計算される。
Ts´≦(Qa+Qb)/Qa×Ts
≦(Qa+2Qa)/Qa×Ts
≦3×Ts
つまり、調整後の送信周期Ts´は、調整前の送信周期Tsの最大で3倍となる。
【0049】
同様に、受信周期調整部57は、記憶部17からバッテリーの残量情報を読み出す。そして、受信周期調整部57は、この読み出した情報に基づいて、中距離無線通信部13による中距離無線通信の受信周期を調整する。この調整は、例えば下記の式(4)に基づいて行うことができる。
Tr<Tr´≦(Qa+ΣQn)/Qa×Tr…(4)
Qaは通信タグ10aのバッテリー残量値、ΣQnは検出された同一型タグのバッテリー残量値の和、である。
【0050】
図1に示した例では、通信タグ10aの周囲に存在する同一型タグは、通信タグ10bのみである。このため、図1に示した例では、式(4)は式(4)´で示される。
Tr<Tr´≦(Qa+Qb)/Qa×Tr…(4)´
Qbは同一型タグ10bのバッテリー残量値である。一例として、同一型タグ10bのバッテリー残量値Qbが、自己のバッテリー残量値Qaの2倍である場合、式(4)´は下記のように計算される。
Tr´≦(Qa+Qb)/Qa×Tr
≦(Qa+2Qa)/Qa×Tr
≦3×Tr
つまり、調整後の受信周期Tr´は、調整前の受信周期Trの最大で3倍となる。
これ以降の処理は、第1実施形態と同じである。即ち、ステップ(S)36では、中距離無線通信部13は、調整後の通信周期Ts´、Tr´で中距離無線通信を開始する。ステップ(S)37では、カウント部19が時間の計測を停止する。その後は、図4へ戻る。なお、その他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0051】
(動作)
次に、第2実施形態の動作例を説明する。第1実施形態と同様、動作例を分かり易く説明するために、図1に示した場合を想定する。
まず、通信タグ10aのGPSモジュール15は自己の現在位置を一定の時間を置いて繰り返し取得する。この現在位置に関する情報は、記憶部17を介して制御部50に読み出される。制御部50は、この読み出した情報に基づいて、自己の移動状態が歩行状態に相当するか否かを判定する。
【0052】
自己の移動状態が歩行状態に相当するとき、制御部50は、短距離無線通信部11を介して、同一型タグの検索を一定の時間を置いて繰り返し行う。この検索により、同一型タグを検出したときには、中距離無線通信部13による中距離無線通信の送信周期及び受信周期の調整を行う。
検出された同一型タグが通信タグ10bのみの場合は、この同一型タグ10bとの間でバッテリー情報を交換する。そして、式(3)´、式(4)´で示したように、自己のバッテリー残量値Qaと、同一型タグ10bのバッテリー残量値Qbの比に基づいて、自己の送信周期Ts及び受信周期Trを調整する。例えば、Qa:Qb=1:2の場合は、上記で計算したように、送信周期Ts及び受信周期Trを、それぞれ3倍の周期に相当するTs´及びTr´に調整する。これ以降の動作は、第1実施形態と同じである。
【0053】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態は、第1実施形態の効果に加えて、次のような効果を奏する。
送信周期調整部55及び受信周期調整部57は、通信タグ検出部53によって検出された同一型タグのバッテリー残量情報に基づいて、中距離無線通信の送信周期及び受信周期をそれぞれ調整する(ステップ(S)41、42)。バッテリー残量が少ないほど、送信周期及び受信周期を長くすることができ、通信処理の負担を抑えることができる。これにより、通信タグ10は、充電前にバッテリー切れとなる可能性を低減することができる。
【0054】
(変形例)
第2実施形態においても、例えば図11に示したように、通信タグ10aの短距離無線通信エリアに、より多くの同一型タグ10b〜10dが存在していてもよい。通信タグ10aの短距離無線通信エリアで同一型タグ10b〜10dが検出された場合、上記の式(3)は式(3)´´で示される。
Ts<Ts´≦(Qa+Qb+Qc+Qd)/Qa×Ts…(3)´´
Qcは通信タグ10cのバッテリー残量値であり、Qdは通信タグ10dのバッテリー残量値であり、Qeは通信タグ10eのバッテリー残量値である。一例として、通信タグ10bのバッテリー残量値Qbが自己のバッテリー残量値Qaの2倍であり、通信タグ10cのバッテリー残量値Qcが自己のバッテリー残量値Qaの0.5倍であり、通信タグ10dのバッテリー残量値Qdが自己のバッテリー残量値Qaの1.5倍である場合、式(3)´は下記のように計算される。
Ts´≦(Qa+Qb+Qc+Qd)/Qa×Ts
≦(Qa+2Qa+0.5Qa+1.5Qa)/Qa×Ts
≦5×Tr
つまり、受信周期Tr´は、受信周期Trの最大で5倍とすることができる。
【0055】
同様に、上記の式(4)は式(4)´´で示される。
Tr<Tr´≦(Qa+Qb+Qc+Qd)/Qa×Tr…(4)´´
Qaと比較して、Qbが2倍、Qcが0.5倍、Qdが1.5倍ある場合、式(4)´´は下記のように計算される。
Tr´≦(Qa+Qb+Qc+Qd)/Qa×Tr
≦(Qa+2Qa+0.5Qa+1.5Qa)/Qa×Tr
≦5×Tr
つまり、受信周期Tr´は、受信周期Trの最大で5倍とすることができる。
【0056】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、この第3実施形態において、上記の各実施形態と同様の構成を有する部分には同一の符号を付して説明する。
第1実施形態では、移動状態検出部51は、GPSモジュール15による測位情報に基づいて、通信タグ10aを携帯している歩行者1aが歩行状態にあるか否かを判定する場合について説明した(ステップ(S)14)。第3実施形態では、このステップ(S)14の後で、移動状態検出部51が、通信タグ10aを携帯している歩行者1aが車両内に居るか否かを判定する場合の例を説明する。
【0057】
(構成)
図13は、第3実施形態に係る通信タグ10の処理を示すフローチャート(メインルーチン)である。第3実施形態では、第1実施形態と比較して、ステップ(S)14とステップ(S)15との間に新たにステップ(S)21が設けられている。それ以外の構成は、第1実施形態で説明した図4と同じである。従って、ここでは、ステップ(S)21の処理内容について説明する。
図13のステップ(S)21では、移動状態検出部51は、車載機器から出力される短距離無線通信(例えば、車載Bluetooth機器からの信号)を検出しているか否かを判定する。この検出は、短距離無線通信部11を介して、予め設定された時間(例えば、1分)の間行われる。なお、検出したBluetooth信号が車載機器から出力された信号であるか否かの判定は、この信号に含まれるプロファイル情報に基づいて行うことができる。例えば、検出したBluetooth信号のプロファイルがHFPであれば、この信号は車載機器から出力された信号であると判定することができる。
【0058】
ステップ(S)21で、車載Bluetooth信号を検出していると判定された場合は、歩行者1aは車両3内か、若しくは車両3以外の他の車両内に居ると判断される。この場合は、ステップ(S)19へ進み、中距離無線通信部13の動作が停止される。一方、ステップ(S)21で、車載Bluetooth機器からの信号を検出していないと判定された場合は、ステップ(S)15へ進む。なお、その他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0059】
(動作)
次に、第3実施形態の動作例を説明する。第1実施形態と同様、動作例を分かり易く説明するために、図1に示した場合を想定する。
まず、通信タグ10aのGPSモジュール15は自己の現在位置を一定の時間を置いて繰り返し取得する。この現在位置に関する情報は、記憶部17を介して制御部50に読み出される。制御部50は、この読み出した情報に基づいて、自己の移動状態が歩行状態に相当するか否かを判定する。
自己の移動状態が歩行状態に相当するとき、制御部50は、短距離無線通信部11を介して、車載Bluetooth信号の検出を試みる。車載Bluetooth信号を例えば1分間検出された場合は、歩行者1aは車両3内か、若しくは車両3以外の他の車両内に居ると判断される。その場合は、中距離無線通信部13の動作が停止される。一方、車載Bluetooth信号が検出されない、又は、検出されてもその期間が例えば1分未満の場合は、制御部50は、短距離無線通信部11を介して、同一型タグの検索を一定の時間を置いて繰り返し行う。これ以降の動作は、第1実施形態又は第2実施形態と同じである。
【0060】
(第3実施形態の効果)
この第3実施形態は、第1実施形態又は第2実施形態の効果に加えて、次のような効果を奏する。
(1)中距離無線通信部13は、予め設定された時間(例えば、1分)の間、車載Bluetooth信号が受信された場合は、中距離無線通信を停止する(ステップ(S)21、19)。車載Bluetooth信号が受信された場合は、通信タグ10aを携帯している歩行者1aが車両に搭乗していると推測される。このため、中距離無線通信部13は、その通信処理を停止してバッテリーの消費を抑えることができる。
(2)中距離無線通信部13は、車載Bluetooth信号の受信状況に応じて、停止した中距離無線通信を開始する。即ち、中距離無線通信部13は、中距離無線通信を停止した後で、車載Bluetooth信号が例えば1分間受信されなくなった場合は、中距離無線通信を開始する(ステップ(S)21、15、16)。車載Bluetooth信号が受信されなくなった場合は、通信タグ10aを携帯している歩行者1aが降車したと推測することができる。このため、中距離無線通信部13は、その通信処理を開始する。
【0061】
(変形例)
上記の第3実施形態では、移動状態検出部51が、車載Bluetooth信号に基づいて、歩行者1aが車両内に居るか否かを判定する場合を例示した。しかしながら、本実施形態において、移動状態検出部51は、車載Bluetooth信号に、GPSモジュール15で取得される自己の測位情報(例えば、高速移動を検出、或いは、信号を全く受信できないなど)を加味して、歩行者1aが車両内に居るか否かを判定してもよい。これにより、移動状態検出部51による判定精度をさらに高めることができる。
【0062】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、この第4実施形態において、上記の各実施形態と同様の構成を有する部分には同一の符号を付して説明する。
第1実施形態では、通信タグ10aは同一型タグを検出した後、その検出個数に基づいて中距離無線通信部13の通信周期Ts、Trを調整する場合の例を説明した(ステップ(S)35)。第4実施形態では、このステップ(S)35の後で、通信タグ検出部53が、通信タグ10aと同一型タグとのリンク(接続)が維持されているか否かを確認する場合の例を説明する。
【0063】
(構成)
図14は、第4実施形態に係る通信タグ10のステップ(S)15の処理内容を示すフローチャート(サブルーチン)である。第4実施形態では、第1実施形態と比較して、ステップ(S)35とステップ(S)36との間に、新たにステップ(S)43〜46が設けられている。それ以外の構成は、第1実施形態で説明した図5と同じである。従って、ここでは、ステップ(S)43〜46の処理内容について説明する。
図14のステップ(S)43では、通信タグ検出部53は、通信タグ10a(自己)と同一型タグとの間の短距離無線通信による接続が維持されているか否かを確認する。具体的には、短距離無線通信部11はサーチ(スキャン)信号を送信する。通信タグ検出部53は、このサーチ信号に対して同一型タグが応答信号を送信してくる否かを確認する。同一型タグから応答信号が送信されてきた場合は、接続が維持されているので、ステップ(S)36へ進む。
【0064】
一方、同一型タグから応答信号が送信されてこない場合は、接続が維持されていない。即ち、通信タグ10aと同一型タグとの間は、いわゆるリンク切れとなっている。この場合は、ステップ(S)44へ進む。ステップ(S)44では、中距離無線通信部13は、例えば図10に示したように、調整後の送信周期Ts´を維持しつつ、受信周期はTr´からTrに変更する。つまり、中距離無線通信部13は、送信周期については同一型タグとの分担を維持し、受信周期については同一型タグとの分担を解除して通常時に変更する。このように調整された待機時の通信周期Ts´、Trで、中距離無線通信部13は動作を開始する。これにより、通信タグ10aは、中距離無線通信部13での省電力を図りつつ、同一型タグとの再接続に備えることができる。
【0065】
ステップ45では、短距離無線通信部11は同一型タグとの再接続を試行する。この試行は、予め設定された時間(例えば、1分)の間、繰り返し行われる。ステップ46では、通信タグ検出部53は、同一型タグとの接続が回復されたか否かを確認する。接続が回復された場合はステップ36へ進み、接続が回復されていない場合はステップ(S)38へ進む。なお、その他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0066】
(動作)
次に、第4実施形態の動作例を説明する。第1実施形態と同様、動作例を分かり易く説明するために、図1に示した場合を想定する。
まず、通信タグ10aのGPSモジュール15は自己の現在位置を一定の時間を置いて繰り返し取得する。この現在位置に関する情報は、記憶部17を介して制御部50に読み出される。制御部50は、この読み出した情報に基づいて、自己の移動状態が歩行状態に相当するか否かを判定する。
自己の移動状態が歩行状態に相当するとき、制御部50は、短距離無線通信部11を介して、同一型タグの検索を一定の時間を置いて繰り返し行う。この検索により、同一型タグを検出したときには、中距離無線通信部13による中距離無線通信の送信周期及び受信周期の調整を行う。
【0067】
この調整の後、制御部50は、通信タグ10a(自己)と同一型タグとの間の短距離無線通信による接続が維持されているか否かを確認する。この接続が切断されている場合には、制御部50は中距離無線通信の送信周期を調整後の送信周期Ts´に維持しつつ、その受信周期を通常時の受信周期Trに変更する。中距離無線通信部13は、このように調整された待機時の通信周期Ts´、Trで動作を開始する。
その後、通信タグ10aと同一型タグとの間の接続が回復されないときは、制御部50は中距離無線通信の送信周期を、通常時の送信周期Tsに変更する。一方、通信タグ10aと同一型タグとの間の接続が回復されたときは、制御部50は中距離無線通信の受信周期を、調整後の受信周期Tr´に変更する。これ以降の動作は、第1実施形態と同じである。
【0068】
(第4実施形態の効果)
第4実施形態は、第1実施形態〜第3実施形態の効果に加えて、次のような効果を奏する。
同一型タグが検出されたときは、送信周期調整部55は、送信周期をTsからTs´に変更する。受信周期調整部57は、受信周期をTrからTr´に変更する。Ts<Ts´であり、Tr<Tr´である(ステップ(S)35)。
【0069】
次に、同一型タグが検出されなくなったときは、送信周期調整部55は送信周期をTs´に維持する。受信周期調整部57は受信周期をTr´からTrに変更する(ステップ(S)43、44)。この状態で、通信タグ検出部53は短距離無線通信部11を介して同一型タグの検出を試行する(ステップ(S)45)。この試行の結果、同一型タグが再び検出されたときは、受信周期調整部57は受信周期をTrからTr´に変更する(ステップ(S)46)。一方、この試行の結果、同一型タグが検出されないときは、送信周期調整部55は送信周期をTs´からTrに変更する(ステップ(S)46)。
これにより、同一型タグとの接続が一時的に途切れた場合でも、通信タグ10aは、中距離無線通信部13での省電力を図りつつ、同一型タグとの再接続に備えることができる。
【0070】
(変形例)
なお、この第4実施形態で説明した内容は、第2実施形態に応用してもよい。即ち、図15に示すように、ステップ(S)42の後に、ステップ(S)43〜46を追加してもよい。この場合も、通信タグ10aは中距離無線通信部13での省電力を図りつつ、同一型タグとの再接続に備えることができる。
【0071】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、この第5実施形態において、上記の各実施形態と同様の構成を有する部分には同一の符号を付して説明する。
本発明の実施形態では、通信タグ10aは、短距離無線通信を介して同一型タグとお互いに情報を交換してもよい。この交換情報として、通信タグのIDに関する情報、検出した通信タグの個数(台数)に関する情報、バッテリーの残量情報、通信周期に関する情報、送信モードの時間(タイミング)に関する情報、通信タグ間位置情報などが挙げられる。
【0072】
例えば、短距離無線通信の通信距離は通常時で10メートル程度である。しかしながら、周囲の環境(電波反射構造物や遮蔽物)の影響により、通信距離は必ずしも一定にはならず、予期せずに遠方まで(例えば、100メートル以上)電波が届いてしまう可能性がある。しかしながら、交換情報に通信タグ間位置情報が含まれていれば、通信タグ10aは、この交換情報に基づいて中距離無線通信の分担相手を例えば数十メートルの範囲内に存在する同一型タグに限定することができる。
【0073】
また、上記の他にも、交換情報として歩行者種別情報が挙げられる。例えば、通信タグに歩行者の種別、例えば“幼児”“児童(小学生)”“高齢者”“身障者(聴覚障害,視覚障害等)“などの情報を記録させておく。これにより、通信タグ10aは、自己の歩行者種別情報や、中距離無線通信の分担相手の歩行者種別情報を、中距離無線通信で車両3に送信することができる。車両3の運転者は、この送信されてきた歩行者種別情報を例えばモニター画面7やスピーカーからの音声で知ることができる。第5実施形態では、このような交換情報を通信タグ間で交換する手順について説明する。
【0074】
(構成)
図16〜図18(b)は、第5実施形態に係る短距離無線通信での情報の交換方法を模式的に示す図である。
図16に示すように、各々の通信タグは各々の時間軸で親通信期間Tmと子通信期間Tnとを繰り返している。親通信期間Tmは、サーチ期間Tm1と、接続確立期間Tm2と、情報交換期間Tm3とに分けられる。
サーチ期間Tm1では、通信タグは短距離無線通信でサーチ信号を送信する。例えば、親通信期間にある通信タグ10a、10gは、そのサーチ期間中にサーチ信号を少なくとも1回以上それぞれ送信する。図17(a)に示すように、通信タグ10aの短距離通信エリアに同一型タグ10b、10c、10dが存在する場合は、このサーチ信号に対して同一型タグ10b、10c、10dが応答信号を送信する。通信タグ10aはこの応答信号を受信することによって、自己の短距離通信エリアに同一型タグ10b、10c、10dが存在することを認識する。
【0075】
同様に、通信タグ10gの短距離通信エリアに同一型タグ10d、10e、10fが存在する場合は、通信タグ10gが送信したサーチ信号に対して同一型タグ10d、10e、10fが応答信号を送信する。通信タグ10gはこの応答信号を受信することによって、自己の短距離通信エリアに同一型タグ10d、10e、10fが存在することを認識する。
【0076】
接続確立期間Tm2では、通信タグは、応答信号を送信してきた同一型タグに対して、短距離無線通信で、接続を要求する信号を送信する。例えば、親通信期間にある通信タグ10a、10gは、そのサーチ期間中に接続要求信号を少なくとも1回以上それぞれ送信する。図17(b)に示すように、通信タグ10aは応答信号を送信してきた同一型タグ10b、10c、10dに接続要求信号を送信する。接続が成立すると情報交換期間Tm3となる。情報交換期間Tm3では、通信タグ10aと、同一型タグ10b、10cとの間で短距離無線通信による情報の交換(即ち、交換情報の送受信)が行われる。これにより、通信タグ10aと、同一型タグ10b、10cとの間で交換情報の共有が図られる。
【0077】
同様に、通信タグ10gは同一型タグ10d、10e、10fに接続要求信号を送信する。接続が成立すると情報交換期間Tm3となり、通信タグ10gと同一型タグ10d、10e、10fとの間で情報の交換が行われる。
また、図17(a)及び(b)に示す例では、通信タグ10dは、通信タグ10aの短距離無線通信エリアと、通信タグ10gの短距離無線通信エリアの境界付近に存在する。このような場合、通信タグ10dは、通信タグ10a、10gの両方に対してそれぞれ応答信号を送信する。また、通信タグ10dは、応答信号の送信先である通信タグ10a、10gの一方と接続して、情報の交換を行う。例えば、通信タグ10dは、通信タグ10aよりも通信タグ10gの方がより近くに存在すると認識した場合(又は、通信タグ10gと先に接続が成立した場合)は、通信タグ10gと接続して情報の交換を行う。
【0078】
なお、図16に示すように、子通信期間にある通信タグ10eが親通信期間にある通信タグ10gと接続した場合は、通信タグ10eは、親通信期間が始まる時間を遅らせる(シフトする)ようにしてもよい。即ち、通信タグ10gの親通信期間Tmが終了してから余裕時間(+α)が経過してから、通信タグ10eの親通信期間を開始するようにしてもよい。これにより、通信タグ10e、10gは親通信時間が重なることを防ぐことができる。
【0079】
通信タグ10gの親通信期間Tmが終わり、それから余裕時間(+α)が経過して、通信タグ10eの親通信期間が始まる。すると、図18(a)及び(b)に示すように、この通信タグ10eも、自己の短距離無線通信エリア内に存在する同一型タグ10d、10f、10hと情報の交換を行う。
図17(a)〜図18(b)に示した通信タグ10a〜10iにおいて、サーチ信号の送受信、接続要求信号の送受信、交換情報の送受信は、それぞれの情報交換部63がそれぞれの短距離無線通信部11を介して行う。そして、交換された情報はそれぞれの記憶部17に格納される。
【0080】
図19(a)〜(c)は、交換情報の記録様式の一例を示す図である。図19(a)は通信タグ10aの記憶部17に格納された交換記録である。図19(b)は通信タグ10bの記憶部17に格納された交換記録である。図19(c)は通信タグ10cの記憶部17に格納された交換記録である。図19(a)〜(c)に示すように、通信タグ10a〜10cの各記憶部17には、情報交換を行った通信タグのIDと、その情報交換を完了した時間、交換情報の内容が格納される。記憶部17に格納された情報は、情報を交換するたびに更新される。また、記憶部17に格納された情報は、通信タグのID毎に一定の期間、保持される。なお、その他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0081】
(動作)
次に、第5実施形態に係る動作例を説明する。第1実施形態と同様、動作例を分かり易く説明するために、図1に示した場合を想定する。
歩行者1aが携帯している通信タグ10aが親通信期間Tmになる。このとき、通信タグ10aは短距離無線通信でサーチ信号を送信する。通信タグ10aの短距離無線通信エリア内に同一型タグ10bが存在する場合、この同一型タグ10bは短距離無線通信で応答信号を送信する。この応答信号を受けて、通信タグ10aは同一型タグ10bに接続要求信号を送信する。これにより、通信タグ10aと同一型タグ10bは、各々が有する交換情報を短距離無線通信で互いに送受信する。その結果、通信タグ10aと同一型タグ10dとの間で、交換情報が共有される。
【0082】
共有された情報は、通信タグ10a、10bがそれぞれ、中距離無線通信で車両3に送信する。このときの中距離無線通信の送信周期は、例えば、通信タグ10a、10bの何れにおいても、調整後の送信周期Ts´である。つまり、共有された情報は、通信タグ10a、10bが送信周期を分担して車両3に送信する。なお、この共有された情報は、例えば図4のステップ(S)16で送信される。即ち、上記の共有された情報は、自己のID情報及びGPS測位情報と共に送信される。
【0083】
車載送受信機5は、この送信されてきた情報を受信する。車両3の運転者は、この受信した情報を例えばモニター画面7やスピーカーからの音声で知ることができる。車載送受信機5で受信した情報に、通信タグ10a、10bの歩行者種別情報が含まれている場合は、その情報、例えば“幼児”“児童”“高齢者”“身障者“などの情報が、歩行者1a、1bの情報として表示等される。
【0084】
(第5実施形態の効果)
第5実施形態は、第1実施形態〜第4実施形態の効果に加えて、次のような効果を奏する。
(1)情報交換部63は、短距離無線通信エリアに存在する同一型タグと、短距離無線通信部11を介して情報を交換する。これにより、短距離無線通信エリアに存在する複数の通信タグ間で、情報の共有を図ることができる。
(2)情報交換部63による情報の交換は、中距離無線通信部13ではなく、短距離無線通信部11を介して行う。これにより、バッテリーの消費を抑えることができる。
(3)中距離無線通信部13は、情報交換部63により得られた情報(即ち、交換情報)を、中距離無線通信で送信する。これにより、交換情報を車両3の運転者に提供することができる。例えば、交換情報には、通信タグ10a、10bの歩行者種別情報(例えば“幼児”“児童”“高齢者”“身障者“などの情報)が含まれていてもよい。この場合は、車両3の運転者は歩行者1a、1bの種別を知ることができる。歩行者1a、1bが幼児や児童である場合、歩行者1a、1bが突然走り出したり、車道に飛び出したりする可能性について、運転者は事前に留意することができる。
【符号の説明】
【0085】
1a〜1d 歩行者
3 車両
5 車載送受信機
7 モニター画面
10(10a〜10i) 通信タグ
11 短距離無線通信部
12、14、16 アンテナ
13 中距離無線通信部
15 GPSモジュール
17 記憶部
19 カウント部
21 電源制御回路
23 バッテリー
25 充放電制御回路
27 インジケータ
29 メイン電源スイッチ
30b〜30d HMI端末
50 制御部
51 移動状態検出部
51 移動状態検出部
53 通信タグ検出部
55 送信周期調整部
59 車両検出部
61 車両接近判定部
63 情報交換部
100 運転支援システム
Tm 親通信期間
Tm1 サーチ期間
Tm2 接続確立期間
Tm3 情報交換期間
Tn 子通信期間
Tr 受信周期
Tr´ 調整後の受信周期
Ts 送信周期
Ts´ 調整後の送信周期

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に自己の存在を通知するための運転支援用の通信タグであって、
第1の無線通信方式で通信する第1の無線通信手段と、
当該通信タグの位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段によって取得された当該通信タグの位置情報を、前記第1の無線通信方式よりも通信距離が長い第2の無線通信方式で送信する第2の無線通信手段と、
前記第1の無線通信手段を介して、当該通信タグと同一機能を有する他の通信タグを検出する通信タグ検出手段と、
前記他の通信タグの検出結果に基づいて、前記第2の無線通信方式の送信周期を調整する送信周期調整手段と、を備えることを特徴とする運転支援用の通信タグ。
【請求項2】
前記第2の無線通信手段を介して前記車両を検出する車両検出手段と、
前記車両検出手段によって検出された前記車両の位置情報と、前記位置情報取得手段によって取得された当該通信タグの位置情報とに基づいて、前記車両が当該通信タグに接近しているか否かを判定する車両接近判定手段、をさらに備え、
前記第1の無線通信手段は、
前記車両接近判定手段によって前記車両が接近していると判定された場合に、前記車両の接近情報を前記第1の無線通信方式で送信することを特徴とする請求項1に記載の運転支援用の通信タグ。
【請求項3】
前記送信周期調整手段は、
前記他の通信タグが検出されてから、予め設定された長さ以上の時間が経過した場合に、前記第2の無線通信方式の前記送信周期を調整することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の運転支援用の通信タグ。
【請求項4】
前記送信周期調整手段は、
前記通信タグ検出手段によって検出された前記他の通信タグの個数に基づいて、前記第2の無線通信方式の送信周期を調整することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の運転支援用の通信タグ。
【請求項5】
前記送信周期調整手段は、
当該通信タグのバッテリー残量情報と、前記通信タグ検出手段によって検出された前記他の通信タグのバッテリー残量情報とに基づいて、前記第2の無線通信方式の送信周期を調整することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の運転支援用の通信タグ。
【請求項6】
前記位置情報取得手段によって取得された当該通信タグの位置情報に基づいて、当該通信タグの時間当たりの移動量を検出する移動量検出手段、をさらに備え、
前記第2の無線通信手段は、
前記移動量が予め設定された数値範囲から外れた場合は、前記第2の無線通信方式を停止することを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の運転支援用の通信タグ。
【請求項7】
前記第2の無線通信手段は、
前記第2の無線通信方式を停止した後で、前記移動量が前記数値範囲内となった場合は、前記第2の無線通信方式を開始することを特徴とする請求項6に記載の運転支援用の通信タグ。
【請求項8】
前記第2の無線通信手段は、
予め設定された時間の間、車載用無線通信が前記第1の無線通信手段で受信された場合は、前記第2の無線通信方式を停止することを特徴とする請求項1から請求項5に記載の運転支援用の通信タグ。
【請求項9】
前記第2の無線通信手段は、
前記第2の無線通信方式を停止した後で、前記車載用無線通信が予め設定された時間の間受信されなくなった場合は、前記第2の無線通信方式を開始することを特徴とする請求項8に記載の運転支援用の通信タグ。
【請求項10】
前記他の通信タグの検出結果に基づいて、前記第2の無線通信方式の受信周期を調整する受信周期調整手段、をさらに備えることを特徴とする請求項1から9の何れか一項に記載の運転支援用の通信タグ。
【請求項11】
前記他の通信タグが検出されたときは、
前記送信周期調整手段は、前記送信周期を第1の送信周期から当該第1の送信周期よりも周期が長い第2の送信周期に変更すると共に、前記受信周期調整手段は、前記受信周期を第1の受信周期から当該第1の受信周期よりも周期が長い第2の送信周期に変更し、
前記送信周期が前記第2の送信周期に変更され、前記受信周期が前記第2の受信周期に変更された後で、前記他の通信タグが検出されなくなったときは、
前記送信周期調整手段は前記送信周期を前記第2の送信周期に維持しつつ、前記受信周期調整手段は前記受信周期を前記第2の受信周期から前記第1の受信周期に変更し、この状態で、前記通信タグ検出手段は前記第1の無線通信手段を介して前記他の通信タグの検出を試行し、
前記試行の結果、前記他の通信タグが再び検出されたときは、前記受信周期調整手段は前記受信周期を前記第1の受信周期から前記第2の受信周期に変更し、
一方、前記試行の結果、前記他の通信タグが検出されないときは、前記送信周期調整手段は前記送信周期を前記第2の送信周期から前記第1の送信周期に変更することを特徴とする請求項10に記載の運転支援用の通信タグ。
【請求項12】
前記通信タグ検出手段によって検出された前記他の通信タグと、前記第1の無線通信手段を介して情報を交換する情報交換手段、をさらに備え、
前記第2の無線通信手段は、前記情報交換手段によって交換された前記情報を前記第2の無線通信方式で送信することを特徴とする請求項1から請求項11の何れか一項に記載の運転支援用の通信タグ。
【請求項13】
車両に通信タグの存在を通知するための運転支援システムであって、
前記通信タグと、前記車両に搭載される車載機器と、を含み、
前記通信タグは、
第1の無線通信方式で通信する第1の無線通信手段と、
当該通信タグの位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段によって取得された当該通信タグの位置情報を、前記第1の無線通信方式よりも通信距離が長い第2の無線通信方式で送信する第2の無線通信手段と、
前記第1の無線通信手段を介して、当該通信タグと同一機能を有する他の通信タグを検出する通信タグ検出手段と、
前記他の通信タグの検出結果に基づいて、前記第2の無線通信方式の送信周期を調整する送信周期調整手段と、を備え、
前記車載機器は、
前記通信タグから前記第2の無線通信方式で送信されてくる前記通信タグの位置情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記通信タグの位置情報を音声又は画像の少なくとも一方で表示する表示手段と、を備えることを特徴とする運転支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−25526(P2013−25526A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158968(P2011−158968)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】