説明

運転支援装置、方法およびプログラム

【課題】運転者が登録位置に到達するために充電施設における充電が必要であるか否かを判断し、また、充電が必要である場合に、運転者が自身の時間的制約内で登録位置に到達可能であるか否かを判断するための情報を提供すること。
【解決手段】車両の位置を示す情報を取得し、予め登録された登録位置を示す情報を取得し、前記車両の位置から所定距離以下の範囲に存在する充電施設の位置と充電能力とを示す情報を取得し、前記車両の位置における、前記車両に搭載されたバッテリの残電力量を示す情報を取得し、前記車両の位置と前記登録位置と前記充電施設の位置と充電能力と前記バッテリの残電力量とに基づいて、前記車両の位置から前記登録位置までの経路を前記バッテリの電力によって走行するために必要な前記充電施設における充電所要期間を示す情報を案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリの電力を利用して走行する車両における運転支援装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリの電力を利用して走行する車両において、バッテリの電力を使い切ることを防止するための技術が知られている。例えば、特許文献1においては、自宅に到達するために必要な必要電力量に対してバッテリの残電力量が第1の割合以下となった場合に充電を促すアドバイスを行い、また、第2の割合以下となった場合に自宅に向かうためのナビゲーション処理を開始する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−89756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術においては、充電を促すアドバイスが行われるが、このアドバイスにおいては自宅等の登録位置に到達する以前にバッテリに対する充電を行うための方法が具体的に示されない。従って、自宅等の登録位置に到達する以前に充電可能な充電施設が存在したとしても、運転者が当該充電施設の位置を熟知していない限り当該充電施設で充電を行うことはできない。このため、充電を促すアドバイスがなされたとしても自宅以外で充電を行うことは事実上不可能であり、運転者がバッテリ切れの不安を感じることなく運転を続けるためには充電のアドバイス後に登録位置に直行せざるを得ない。
【0005】
さらに、運転者が時間的な制約の全く無い状態で車両を走行させることは希であり、制約の強弱があるとしても、通常は何らかの時間的制約がある中で走行を行うことになる。近年、設置が検討されている充電施設には複数の種類が存在し、単位期間における充電量に大きな差があるため、適切な充電施設で充電を行えば運転者の時間的制約内で登録位置に到達できるが充電に長期間を必要とする充電施設で充電を行えば運転者の時間的制約内で登録位置に到達できないということが発生し得る。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、運転者が登録位置に到達するために充電施設における充電が必要であるか否かを判断し、また、充電が必要である場合に、運転者が自身の時間的制約内で登録位置に到達可能であるか否かを判断するための情報を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明においては、車両の位置から登録位置までの経路をバッテリの電力によって走行するために必要な、充電施設における充電所要期間を示す情報を案内する。すなわち、充電所要期間を示すことによって、車両の位置から登録位置までの経路をバッテリの電力によって走行するために充電が必要であるか否か、また、充電が必要である場合に充電施設によって充電に必要とされている期間を、運転者に案内する構成としている。従って、運転者は、当該充電所要期間に基づいて、充電の要否を判断することができる。また、充電が必要である場合に、運転者が自身の時間的制約内で登録位置に到達可能であるか否かを判断することが可能になる。
【0007】
ここで、車両位置情報取得手段は、登録位置までの経路の起点となる車両の位置を取得することができればよい。従って、車両の位置は、車両の現在位置であっても良いし、現在より後の時点で到達し得る位置であっても良い。登録位置取得手段は、車両の位置を起点とした経路の終点として予め登録された登録位置を取得することができればよい。従って、登録位置は、予め設定された目的地であっても良いし、経路の終点となり得る位置として予め設定された自宅等の位置であっても良い。
【0008】
充電施設情報取得手段は、車両の位置から所定距離以下の範囲に存在する充電施設の位置と充電能力とを示す情報を取得することができればよい。すなわち、車両の位置の周囲において運転者が利用する候補となる充電施設の位置を示す情報を取得することができればよい。また、充電施設において必要な充電所要期間を特定するために単位期間あたりの充電量などの充電能力を示す情報を取得することができればよい。
【0009】
残電力量情報取得手段は、上述の車両の位置におけるバッテリの残電力量を示す情報を取得することができればよい。すなわち、車両が、上述の車両の位置に存在する時点で利用可能な電力量を示す情報(SOC等)を取得することができればよい。従って、車両の位置が車両の現在位置である場合には、バッテリの現在の残電力量を示す情報を取得する構成となり、車両の位置が現在より後の時点で到達し得る位置である場合、バッテリの現在の残電力量から当該現在より後の時点で到達し得る位置まで走行した場合の消費電力量を減じた値が上述の車両の位置におけるバッテリの残電力量となる。
【0010】
案内手段は、車両の位置と登録位置と充電施設の位置および充電能力と上述の車両の位置におけるバッテリの残電力量とに基づいて、車両の位置から登録位置までの経路をバッテリの電力によって走行するために必要な充電施設における充電所要期間を特定し、当該充電所要期間を示す情報を案内することができればよい。車両の位置から登録位置までの経路は各種の経路を想定可能であり、例えば、車両の位置から登録位置まで直行する最短距離での経路や、充電施設や他の施設を経由する経路を想定可能である。
【0011】
なお、ある経路において、車両の位置から登録位置まで走行するための電力量が上述の車両の位置におけるバッテリの残電力量以下である場合には、充電施設における充電は不要であるため充電所要期間は0とされる。一方、ある経路において、車両の位置から登録位置まで走行するための電力量が上述の車両の位置におけるバッテリの残電力量より大きい場合、充電施設における充電が必要になる。そこで、この場合は、車両の位置から充電施設まで走行し、さらに充電施設から登録位置まで走行する経路を特定するとともに当該経路を走行するために必要な電力量を特定する。そして、当該必要な電力量と上述の車両の位置におけるバッテリの残電力量とを比較して必要充電電力量を特定し、充電能力に基づいて当該必要充電電力量を充電するための充電所要期間を特定すればよい。
【0012】
なお、充電所要期間は直接的に案内されても良いし、間接的に案内されても良い。すなわち、充電所要期間自体を直接示してもよいし、充電所要期間を運転者に認識させる記号や音声等を案内しても良い。
【0013】
また、充電所要期間を間接的に案内する構成の例として、充電所要期間を複数の段階に分類し、当該段階を示す構成を採用しても良い。例えば、充電所要期間が0である状態と、0より長く所定期間以下である状態と、所定期間より長い状態とを異なる段階として案内する構成を採用可能である。この構成によれば、運転者に対して単純かつ理解容易な状態で充電所要期間の長短を案内することが可能である。
【0014】
むろん、段階はより詳細に分類しても良い。例えば、上述の車両の位置におけるバッテリの残電力量から、車両の位置から登録位置まで走行するために必要な電力量を減じた差分が、当該必要な電力量の所定割合以上である状態(例えば差分が10%以上である状態)と、所定割合よりも少ない状態(例えば、差分が0%〜10%である状態)とを異なる段階に分類しても良い。この構成によれば、運転者に対して運転を続けた場合に、近い将来に充電所要期間が0である状態から充電所要期間が0より長くなる状態に移行することを明示することが可能になる。
【0015】
さらに、所定期間は、運転者の時間的制約と比較されることによって経路選択の自由度が高まる期間として設定されていれば良く、種々の期間を採用可能である。例えば、多くの運転者が充電施設での充電期間として許容範囲であると考える期間を所定期間(例えば、30分)とする構成を採用可能である。また、急速充電が可能な充電施設によってバッテリの残電力量を所定割合以上になるまで充電する場合に必要な期間を所定期間としても良いし、車両の位置から登録位置まで直行した場合に要する期間の所定割合を所定期間としても良い。さらに、運転者によって所定期間を設定可能に構成してもよいし、充電施設に併設された施設における平均滞在期間を所定期間としても良い。
【0016】
さらに、充電所要期間が所定期間以下である状態を案内する構成においては、当該充電所要期間が所定期間以下であることの案内とともに、充電施設の位置を示す情報を案内することが好ましい。当該案内によれば、運転者はバッテリの電力を使い切ることなく運転するために充電することが必要な充電施設を容易に特定することが可能になる。
【0017】
さらに、複数の経路について経路毎の充電所要期間を特定し、経路に充電所要期間を対応付けて案内する構成を採用しても良い。この構成によれば、各経路を走行する場合に必要な充電所要期間を明示することが可能であるため、運転者所望の充電所要期間となる経路を選択可能に案内することができる。なお、この構成を採用する場合、各経路において経由すべき充電施設の位置を案内することが好ましい。
【0018】
さらに、車両の位置から登録位置までの経路としては、任意の経路を採用可能であるが、車両の位置から見た登録位置の方向と逆側に存在する充電施設を経由する経路が含まれるように構成することが好ましい。この構成によれば、車両の位置から登録位置まで直行せず、車両の位置よりも先まで運転を継続する場合に必要とされる充電所要期間を示す情報を案内することが可能であり、経路選択の自由度を高めることが可能になる。なお、車両の位置から見た登録位置の方向と逆側に存在する充電施設は、例えば、車両の位置と登録位置とを結ぶ直線に対して垂直であるとともに車両の位置を通る直線によって分割された各領域のうち、登録位置が存在しない領域に存在する充電施設として定義可能である。
【0019】
さらに、車両の位置と登録位置と充電施設との相対的な位置関係を充電所要期間とともに明示する構成としても良い。例えば、充電所要期間が同等の期間であっても、当該充電所要期間での充電を行うことによって登録位置に到達可能な充電施設が車両の位置から見た登録位置の方向と同じ側に存在する場合と、車両の位置から見た登録位置の方向と逆側に存在する場合とのいずれであるのかが運転者に明示されるように構成してもよい。この構成によれば、運転者は、車両の位置よりもさらに先まで運転可能であるか否かや、運転を継続することが可能な進行方向を容易に認識することが可能になる。
【0020】
さらに、充電所要期間を取得するための構成は、種々の構成を採用可能である。例えば、車両の位置から登録位置までの経路の距離とバッテリにおける単位距離あたりの消費電力量とに基づいて経路を走行するために必要な総電力量を取得し、総電力量と上述の車両の位置におけるバッテリの残電力量とに基づいてバッテリに充電すべき必要電力量を取得し、充電能力に基づいて必要電力量を充電するために必要とされる充電所要期間を取得する構成を採用しても良い。すなわち、充電施設を経由する経路の距離を特定すれば、単位距離あたりの消費電力に基づいて経路を走行するために必要な総電力量を取得可能になる。そこで、充電を行って、上述の車両の位置におけるバッテリの残電力量に充電電力を加えることによって総電力量を確保するとみなせば、充電施設での充電能力に基づいて当該充電を行うために必要とされる充電所要期間を取得することが可能になる。むろん、車両の位置から登録位置までの経路を走行するために必要な総電力量は、距離以外の要素を含めて取得しても良い。例えば、経路内を構成する道路の勾配やカーブ区間の形状、予想停止回数、天候など、各種の情報に基づいて総電力量を特定する構成を採用可能である。
【0021】
さらに、本発明のように、車両の位置から登録位置までの経路をバッテリの電力によって走行するために必要な充電施設における充電所要期間を示す情報を案内する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のような装置、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような装置を備えたナビゲーション装置や方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】運転支援装置を含むナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】運転支援処理を示すフローチャートである。
【図3】道路上を走行する車両の位置の例と各位置において案内されるレベルの例を示す図である。
【図4】ユーザI/F部における案内の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション装置の構成:
(2)運転支援処理:
(3)他の実施形態:
【0024】
(1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、本発明にかかる運転支援装置を含むナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20、記録媒体30を備えており、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムとして運転支援プログラム21を実行可能である。運転支援プログラム21は、現在位置から登録位置までの経路を走行するために必要な充電施設における充電所要期間を示す情報を案内する機能を備えており、当該運転支援プログラム21は、図示しないナビゲーションプログラムとともに実行される。
【0025】
記録媒体30には、予め地図情報30aが記録されている。地図情報30aは、経路の探索や車両の位置の特定、充電施設の位置や充電能力の特定に利用される情報であり、車両が走行する道路上に設定されたノードを示すノードデータ,ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点データ,ノード同士の連結を示すリンクデータ,道路やその周辺に存在する地物の位置等を示すデータ等を含んでいる。本実施形態においては、地物の一種として充電施設が含まれており、充電施設としての地物を示すデータには当該充電施設の位置と充電能力(単位期間あたりに充電可能な電力量)を示す情報が対応付けられている。さらに、本実施形態においては、自宅や頻繁に訪れる施設の位置など、運転者所望の位置を示すデータを地図情報30aの一部として登録することが可能である。ここでは、登録された位置を登録位置と呼ぶ。
【0026】
本実施形態におけるナビゲーション装置10が搭載された車両は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とモータ44とバッテリ45とユーザI/F部46とを備えている。GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための情報を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の現在位置を取得する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車両の速度を取得する。ジャイロセンサ43は、車両に作用する角速度に対応した信号を出力する。制御部20は図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車両の走行方向を取得する。車速センサ42およびジャイロセンサ43等は、GPS受信部41の出力信号から特定される車両の現在位置を補正するなどのために利用される。また、車両の現在位置は、当該車両の走行軌跡に基づいて適宜補正される。
【0027】
本実施形態の車両は、バッテリ45を動力源とするモータ44を備えた電気自動車である。モータ44は図示しない動力伝達機構に連結されており、当該動力伝達機構により回転駆動力を車両の推進力に変換することによって車両を前進、あるいは後進させる。モータ44は、図示しない駆動制御ECUに制御され、当該駆動制御ECUは、図示しないスロットルペダルの操作に応じてモータ44に対して制御信号を出力可能であり、モータ44に対して制御信号を出力してモータ44が回転駆動力を発生させるように制御する。
【0028】
さらに、本実施形態においてバッテリ45は、図示しないインタフェースを介して制御部20と接続されており、制御部20が制御信号を出力すると、バッテリ45は当該制御信号に応じて残電力量を示す情報を出力する。制御部20は、当該残電力量を示す情報に基づいてバッテリ45の残電力量を特定する。
【0029】
ユーザI/F部46は、運転者の指示を入力し、また、運転者に各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しないタッチパネルディスプレイやスイッチ、スピーカ等を備えている。
【0030】
以上のように、本実施形態にかかる車両はバッテリ45を動力源とした電気自動車であり、充電施設においてバッテリ45に対して充電を行うことによって走行継続可能距離および走行継続可能期間を延ばすことが可能である。そこで、本実施形態においては、運転支援プログラム21の処理により、運転者の時間的制約に合わせて運転者自身が経路を選択するための情報を提供する構成となっている。
【0031】
この処理を行うため、運転支援プログラム21は、車両位置情報取得部21aと登録位置情報取得部21bと充電施設情報取得部21cと残電力量情報取得部21dと案内部21eとを備えている。車両位置情報取得部21aは、車両の現在位置を示す情報を取得する機能を制御部20に実現させるモジュールである。すなわち、制御部20はGPS受信部41,車速センサ42,ジャイロセンサ43の出力信号および地図情報30aに基づいて車両の現在位置を示す情報を取得する。
【0032】
登録位置情報取得部21bは、登録位置を示す情報を取得する機能を制御部20に実現させるモジュールであり、制御部20は、地図情報30aを参照して上述の登録位置を示す情報を取得する。
【0033】
充電施設情報取得部21cは、現在位置から所定距離以下の範囲に存在する充電施設の位置と充電電力とを示す情報を取得する機能を制御部20に実現させるモジュールである。すなわち、制御部20は上述のようにして特定された車両の現在位置を示す情報を取得し、地図情報30aを参照して当該現在位置から所定距離以下の範囲に存在する充電施設を特定する。そして、その位置および充電能力を示す情報を取得する。なお、所定距離は、バッテリ45の残電力量で走行可能な距離等によって定義することができる。
【0034】
残電力量情報取得部21dは、バッテリ45の残電力量を示す情報を取得する機能を制御部20に実現させるモジュールである。すなわち、制御部20は、バッテリ45に対して制御信号を出力し、当該制御信号に応じてバッテリ45から出力される残電力量を示す情報を取得して、現在におけるバッテリ45の残電力量を特定する。
【0035】
案内部21eは、現在位置から登録位置までの経路をバッテリの電力によって走行するために必要な充電施設における充電所要期間を示す情報を案内する機能を制御部20に実現させるモジュールである。すなわち、制御部20は、現在位置と登録位置と充電施設の位置と充電能力とバッテリの残電力量とに基づいて、充電所要期間を取得する。具体的には、現在位置から登録位置までの経路の距離とバッテリにおける単位距離あたりの消費電力量とに基づいて当該経路を走行するために必要な総電力量を取得する。また、当該総電力量とバッテリの残電力量とに基づいてバッテリに充電すべき必要電力量を取得する。さらに、充電施設の充電能力に基づいて必要電力量を充電するために必要とされる充電所要期間を取得する。そして、制御部20は、ユーザI/F部46に対して制御信号を出力し、当該充電所要期間を示す情報を表示させる。本実施形態において制御部20は、車両の現在位置をユーザI/F部46に表示している状態において、当該現在位置と充電所要期間とを対応付けて表示させる。
【0036】
以上の構成により、運転者は、車両の現在位置から登録位置まで到達するために必要な充電所要期間を把握し続けることが可能である。すなわち、運転者は、充電所要期間が0あるいは0以上であることを把握することによって、現在位置から登録位置までの経路をバッテリの電力によって走行するために充電が必要であるか否かを判断することができる。また、充電が必要である場合に、運転者が自身の時間的制約内で登録位置に到達可能であるか否かを判断することが可能になる。
【0037】
(2)運転支援処理:
次に、運転支援プログラム21による運転支援処理を説明する。運転支援プログラム21は、所定の期間(例えば、100ms)毎に実行される。図2は運転支援プログラム21が実行する運転支援処理を示すフローチャートである。運転支援プログラム21の処理が開始されると、制御部20は、バッテリ45における単位距離あたりの消費電力量を示す情報を取得する(ステップS100)。当該単位距離あたりの消費電力量を示す情報は予め記録媒体30に記録しておく構成としても良いし、バッテリ45の消費電力量の消費履歴および車両の走行履歴から演算して取得しても良い。
【0038】
次に、制御部20は、車両位置情報取得部21aと登録位置情報取得部21bと案内部21eの処理により、現在位置から登録位置まで直行する経路の距離を取得する(ステップS105)。すなわち、制御部20は、車両位置情報取得部21aの処理により車両の現在位置を示す情報を取得し、登録位置情報取得部21bの処理により登録位置を示す情報を取得する。そして、制御部20は、案内部21eの処理により地図情報30aを参照し、各リンクに対応付けられたコストに基づいて公知の経路探索アルゴリズムによって現在位置から登録位置までの経路を探索する。このとき、現在位置から登録位置までの経路のなかから最もコストが小さくなる経路を現在位置から登録位置まで直行する経路とみなす。さらに、制御部20は、地図情報30aを参照し、当該経路の距離を特定する。
【0039】
次に、制御部20は、案内部21eの処理により、ステップS105にて取得された経路を走行するために必要な総電力量を取得する(ステップS110)。すなわち、ステップS105にて取得された経路の距離に対し、ステップS100にて取得された単位距離あたりの消費電力量を乗じることによって総電力量を取得する。
【0040】
次に、制御部20は、案内部21eの処理により、経路を走行するために必要な総電力量がバッテリ45の残電力量より小さいか否かを判定する(ステップS115)。すなわち、制御部20は、バッテリ45に対して制御信号を出力することによってバッテリ45が出力する残電力量を示す情報を取得し、ステップS110にて取得された総電力量とバッテリ45の残電力量とを比較する。
【0041】
ステップS115にて、経路を走行するために必要な総電力量がバッテリ45の残電力量より小さいと判定されない場合、すなわち、バッテリ45の残電力量が現在位置から登録位置まで直行するための電力量に満たない場合、制御部20は、充電施設情報取得部21cの処理により、地図情報30aを参照し、車両の現在位置から所定距離以下の範囲に存在する充電施設の位置を特定する(ステップS118)。次に、制御部20は、案内部21eの処理により、ステップS118にて特定された充電施設のうち、一つの充電施設を処理対象として、現在位置から充電施設を経由して登録位置に到達する経路の距離を取得する(ステップS120)。
【0042】
さらに、制御部20は、案内部21eの処理により、地図情報30aを参照して現在位置から充電施設を経由して登録位置まで到達する経路を探索する。すなわち、制御部20は、各リンクに対応付けられたコストに基づいて公知の経路探索アルゴリズムによって現在位置から所定距離以下の範囲に存在する充電施設の位置までの経路であって、コストが最小化される経路を探索する。さらに、制御部20は、現在位置から所定距離以下の範囲に存在する充電施設の位置から登録位置までの経路であって、コストが最小化される経路を探索する。そして、探索された経路を接続し、所定距離以下の範囲に存在する充電施設を経由して現在位置から登録位置に到達する経路とする。さらに、制御部20は、地図情報30aを参照し、当該経路の距離を特定する。
【0043】
次に、制御部20は、案内部21eの処理により、ステップS120にて取得された経路を走行するために必要な総電力量を取得する(ステップS125)。すなわち、ステップS120にて取得された経路の距離に対し、ステップS125にて取得された単位距離あたりの消費電力量を乗じることによって総電力量を取得する。
【0044】
次に、制御部20は、案内部21eの処理により、現在位置から所定距離以下の範囲に存在する充電施設において充電すべき必要電力量を取得する(ステップS130)。すなわち、制御部20は、総電力量からバッテリ45の残電力量を減じて必要電力量とする。次に、制御部20は、案内部21eの処理により、必要電力量を充電するために必要とされる充電所要期間を取得する(ステップS135)。すなわち、制御部20は、地図情報30aを参照し、現在位置から所定距離以下の範囲に存在する充電施設の充電能力(単位期間あたりの充電量)を特定し、必要電力量を単位期間あたりの充電量で除することにより、充電所要期間を取得する。次に、制御部20は、ステップS118にて特定された全ての充電施設を処理対象として充電所要期間を取得する処理を行ったか否かを判定し(ステップS138)、ステップS138にて、全ての充電施設を処理対象として充電所要期間を取得する処理を行ったと判定されない場合には、未処理の充電施設を新たな処理対象に設定してステップS120以降の処理を繰り返す。
【0045】
一方、ステップS138にて、全ての充電施設を処理対象として充電所要期間を取得する処理を行ったと判定された場合、制御部20は、案内部21eの処理により、充電所要期間が所定期間以下となる充電施設が存在するか否かを判定する(ステップS140)。すなわち、ステップS118にて特定された充電施設のなかの少なくとも一つの充電施設における充電所要期間が所定期間以下である場合、制御部20は、充電所要期間が所定期間以下となる充電施設が存在すると判定する。一方、ステップS118にて特定された全ての充電施設における充電所要期間が所定期間より長い場合と、ステップS118にて一つも充電施設が特定されない場合とにおいて、制御部20は、充電所要期間が所定期間以下となる充電施設が存在すると判定しない。
【0046】
なお、ここで、所定期間は、運転者の時間的制約と比較されることによって経路選択の自由度が高まる期間として設定される期間であり、本実施形態においては、多くの運転者が充電施設での充電期間として許容範囲であると考える期間(例えば、30分)を所定期間としてある。ステップS140にて、充電所要期間が所定期間以下であると判定された場合、制御部20は、充電所要期間を示すレベルをレベル1に設定する。ステップS140にて、充電所要期間が所定期間以下であると判定されない場合、制御部20は、充電所要期間を示すレベルをレベル0に設定する。すなわち、本実施形態においては、充電所要期間を複数の段階に分類しており、レベル1は充電所要期間が0より長く所定期間以下である状態を示している。また、レベル0は充電所要期間が所定期間より長い状態を示している。
【0047】
一方、上述のステップS115にて、経路を走行するために必要な総電力量がバッテリ45の残電力量より小さいと判定された場合、すなわち、バッテリ45の残電力量を利用して現在位置から登録位置まで直行可能である場合、制御部20は、案内部21eの処理により、バッテリ45の残電力量から経路を走行するために必要な総電力量を減じた差分が経路を走行するために必要な総電力量の1割以上であるか否かを判定する(ステップS160)。すなわち、(残電力量−総電力量)/総電力量が0.1以上であるか否かを判定する。
【0048】
そして、ステップS160にて、差分が総電力量の1割以上であると判定されない場合、制御部20はレベル2を選択し(ステップS165)、差分が総電力量の1割以上であると判定された場合、制御部20はレベル3を選択する(ステップS170)。なお、レベル2およびレベル3は双方とも充電所要期間が0の場合(すなわち、登録位置に直行すれば充電を行うことなく到達可能である場合)に対応したレベルであり、充電所要期間が0の場合についてレベルを細分化していることになる。すなわち、本実施形態においては、バッテリ45の残電力量が経路を走行するために必要な総電力量に対して1割以上余裕がある場合と余裕が1割より少ない場合とで異なるレベルとなるように設定している。
【0049】
以上のステップS145,S150,S165,S170のいずれかによってレベルを選択すると、制御部20は、案内部21eの処理により、運転者に対して車両の現在位置におけるレベルを案内する(ステップS175)。なお、レベル1の場合、制御部20は、当該レベルを案内するとともに充電施設の位置を示す情報として充電施設を経由する経路を示す情報を案内する。すなわち、制御部20は、ステップS140において、充電所要期間が所定期間以下となると判定された充電施設のうち、車両の現在位置から最も近い位置に存在する充電施設を特定する。そして、制御部20は、ユーザI/F部46に対して制御信号を出力し、当該ユーザI/F部46に表示中の地図上において当該最も近い位置に存在する充電施設を経由して登録位置まで到達するための経路を表示させる。この結果、運転者に対してレベルという単純かつ理解容易な状態で充電所要期間の長短を案内することが可能である。さらに、所定期間以下で登録位置に到達可能な電力を充電可能な充電施設が存在する場合、当該充電施設を経由して登録位置まで到達するための経路を運転者に対して明示することが可能である。
【0050】
以上の運転支援処理は、ナビゲーション装置10において100ms等の所定の期間毎に実行されるため、運転者の運転に応じて車両の現在位置が変わると当該現在位置に対応したレベルが逐次表示されるように案内がなされる。図3は、道路上を走行する車両の位置の例と各位置において案内されるレベルの例を示す図である。同図3においては、細い曲線によって道路を示しており、円形内に三角形を示すマークによって車両の位置を示すとともに位置C1〜C4のそれぞれを車両が走行している際のレベルをマークに付記して示している。さらに、同図3においては、円形内に文字Rを示すマークによって登録位置を示し(登録位置Rと呼ぶ)、円形内に文字Cを示すマークによって充電施設の位置を示している(充電施設Cと呼ぶ)。
【0051】
この例においては、登録位置Rにおいてバッテリ45の残電力量が所定量以上である状態で運転者が運転を開始したことを想定している。また、登録位置R以後、車両が図3の上方に向かって走行し、太い実線で示す区間を走行している間においては、バッテリ45の残電力量から経路を走行するために必要な総電力量を減じた差分が経路を走行するために必要な総電力量の1割以上であることを想定している。さらに、車両が太い破線で示す区間を走行している間においては、バッテリ45の残電力量から経路を走行するために必要な総電力量を減じた差分が経路を走行するために必要な総電力量の1割未満であることを想定している。
【0052】
さらに、太い破線で示す区間よりも登録位置Rから遠い区間であって、充電施設Cにおいて所定期間以下の充電を行うことによって登録位置Rに到達できる区間を太い一点鎖線で示している。さらに、太い破線で示す区間よりも登録位置Rから遠い区間であって、所定期間以下の充電を行うことによって登録位置Rに到達できる充電施設が所定距離以内の範囲に存在しない区間を太い二点鎖線で示している。
【0053】
この例において、登録位置Rにおいてバッテリ45の残電力量が所定量以上である状態で運転者が図3の上方に向かって走行を開始した場合、位置C1など、車両が太い実線で示す区間を走行している過程においては、車両の現在位置がレベル3であることが案内され続ける。そして、車両が太い破線で示す区間に移行すると車両の現在位置がレベル2であることが案内され、位置C2など、車両が太い破線で示す区間を走行している過程においては、車両の現在位置がレベル2であることが案内され続ける。このため、走行を続けた場合、近い将来に、充電所要期間が0である状態から充電所要期間が0より長くなる状態に移行することを明示することが可能になる。
【0054】
さらに、車両が太い破線で示す区間から太い一点鎖線で示す区間に移行すると車両の現在位置がレベル1であることが案内され、位置C3など、車両が太い破線で示す区間を走行している過程においては、車両の現在位置がレベル1であることが案内され続ける。また、このとき、充電施設を経由して登録位置まで到達するための経路も案内される。さらに、車両が太い破線で示す区間から太い二点鎖線で示す区間に移行すると車両の現在位置がレベル0であることが案内され、バッテリ45に対する充電が行われるまではレベル0であることが案内され続ける。以上のように、本実施形態によれば、運転者は、登録位置に直行する経路を走行するためにバッテリ45に対する充電が必要であるか否かを常に把握することができる。また、バッテリ45の残電力量が、登録位置に直行する経路を走行するための電力に満たなくなった場合、所定期間以内の充電で登録位置に到達可能であれば充電所要期間が所定期間以下であることを示すレベルとともに、充電施設を経由して登録位置まで到達するための経路も案内される。従って、バッテリ45に対する充電が必要になった場合であっても、運転者には充電することなく登録位置に到達することの代替として、充電施設で充電を行うための経路が案内されることになる。
【0055】
運転者は、運転を続けることによってレベルが3,2,1あるいは3,2,0のように遷移することを予め認識しながら運転を行うため、レベル3が案内された状態で、バッテリ45の残電力量を消費させながらレベル2が案内される状態まで運転を続けるか否かを判断することができる。また、レベル2の状態で、さらにバッテリ45の残電力量を消費させて充電施設における充電が必要になるレベル1あるいはレベル0の状態になるまで運転を続けるか否かを判断することができる。すなわち、運転者は、レベル3あるいはレベル2であれば登録位置に到達するための充電が不要であると判断することができる。また、運転者は、レベル1であれば充電施設で所定期間以下の充電所要期間の充電をすることによって登録位置に到達可能であると判断することができる。さらに、運転者は、レベル0であれば充電施設で所定期間より長い充電所要期間の充電をすることによって登録位置に到達可能であるか、あるいは、充電可能な充電施設が存在しないと判断することができる。従って、運転者は、自身の時間的制約内で登録位置に到達可能であるか否かを判断することが可能である。
【0056】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、車両の位置から登録位置までの経路をバッテリの電力によって走行するために必要な充電施設における充電所要期間を示す情報を案内する限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、車両の位置は登録位置までの経路の起点であればよく、現在より後の時点で到達し得る位置を車両の位置として設定する構成であっても良い。この場合、バッテリ45の残電力量は、バッテリの現在の残電力量から当該現在より後の時点で到達し得る位置まで走行した場合の消費電力量を減じた値が上述の車両の位置におけるバッテリの残電力量となる。なお、現在より後の時点で到達し得る位置は、運転者が入力するように構成してもよいし、車両の周囲の所定距離内の地点から自動で選択されていても良い。また、登録位置は車両の位置を起点とした経路の終点となればよく、登録位置は車両の走行開始までに登録されていればよい。従って、登録位置は、予め設定された目的地であっても良い。
【0057】
さらに、充電所要期間は経路や充電施設の位置によって異なり得るため、車両の位置から登録位置までの経路として各種の経路を想定し、複数の経路について充電所要期間を案内する構成としても良い。例えば、車両の位置から登録位置まで直行する最短距離での経路と、充電施設や他の施設を経由する経路とのそれぞれについて充電所要期間を案内する構成としても良い。このような構成によれば、各経路を走行する場合に必要な充電所要期間を明示することが可能であるため、運転者所望の充電所要期間となる経路を選択可能に案内することができる。なお、この構成を採用する場合、各経路において経由すべき充電施設の位置を案内することが好ましい。
【0058】
図4Aは、複数の経路のそれぞれについて充電所要期間を案内する場合にユーザI/F部46に表示される案内の例を示している。同図4Aにおいては、矩形の枠で示すディスプレイ上に細い線で示す道路が表示され、当該道路上での車両の位置Pを円形内の三角形によって示している。また、円形内の文字Cによって充電施設を示している。そして、本例においては、現在位置から登録位置に直行した場合の経路と、車両の前方の交差点を越えて進む経路のそれぞれを矢印で示すとともに、各矢印に対して充電所要期間に対応するレベルを付記して示している。
【0059】
従って、運転者は、車両の現在位置から後方に向かって登録位置に直行する経路を走行した場合、充電を行うことなく登録位置まで到達できることを認識することができる。また、運転者は、車両の現在位置の前方の交差点を右折して充電施設Cで充電を行えば、所定期間以下の充電によって登録位置まで到達することが可能であることを認識することができる。さらに、運転者は、車両の現在位置の前方の交差点を直進した場合と左折した場合とにおいては、所定期間以下の充電によって登録位置まで到達することが可能な充電施設が存在しないことを認識することができる。このように、本例においては、車両の現在位置から登録位置まで直行する経路のレベルとともに、現在位置よりもさらに進むことを仮定した場合の経路のレベルが示されているため、運転者は運転者が自身の時間的制約内で登録位置に到達可能であるか否かを予測しながら経路を選択することが可能になる。なお、図4Aで示す例においては、車両の前方の交差点を右折しない場合、レベル0になり、交差点において選択可能なレベル1の経路は交差点を右折する経路のみとなる。そこで、このように、レベル1の経路が一個のみになった場合には、当該レベル1の経路のみを案内する構成としても良い。
【0060】
さらに、現在位置よりもさらに進むことを仮定した場合の経路に関する充電所要期間を案内するための構成例は種々の例を採用可能である。図4Bは、充電が不要な範囲と、所定期間以下の充電を行うことによって登録位置に到達可能な範囲とをユーザI/F部46に表示することによって充電所要期間に対応するレベルを案内する例を示している。同図4Bにおいても、矩形の枠で示すディスプレイ上に細い線で道路を表示し、当該道路上での車両の位置Pを円形内の三角形によって示している。また、円形内の文字Cによって充電施設を示している。
【0061】
そして、本例においては、現在位置から登録位置に直行した場合にバッテリ45の残電力量から経路を走行するために必要な総電力量を減じた差分が経路を走行するために必要な総電力量の1割以上である範囲を太い実線で示すとともに、レベル3であることを付記して示している。また、現在位置から登録位置に直行した場合にバッテリ45の残電力量から経路を走行するために必要な総電力量を減じた差分が経路を走行するために必要な総電力量の1割未満である範囲を太い破線で示すとともに、レベル2であることを付記して示している。さらに、充電施設Cにおいて所定期間以下の充電を行って登録位置に到達可能な範囲を太い一点鎖線によって示すとともに、レベル1であることを付記して示している。これらの範囲の外は、所定期間以下の充電によって登録位置まで到達することが可能な充電施設が存在しないレベル0である。以上のような範囲の表示は車両の位置が変動することによって逐次変動する。このような案内によれば、運転者は、充電を行うことなく登録位置に到達可能な範囲とともに、所定期間以下の充電によって登録位置まで到達することが可能な範囲を認識することができるため、運転者は運転者が自身の時間的制約内で登録位置に到達可能であるか否かを予測しながら経路を選択することが可能になる。
【0062】
さらに、充電所要期間は段階的な案内に限定されず、記号や音声等を利用した案内を行っても良いし、充電所要期間が直接的に案内される構成であっても良い。
【0063】
さらに、所定期間は、運転者の時間的制約と比較されることによって経路選択の自由度が高まる期間として設定されていれば良く、例えば、急速充電が可能な充電施設によってバッテリの残電力量を所定割合以上になるまで充電する場合に必要な期間を所定期間としても良いし、車両の位置から登録位置まで直行した場合に要する期間の所定割合を所定期間としても良い。さらに、運転者によって所定期間を設定可能に構成してもよいし、充電施設に併設された施設における平均滞在期間を所定期間としても良い。
【0064】
さらに、車両の位置から登録位置までの経路としては、任意の経路を採用可能であるが、車両の位置と登録位置と充電施設との相対的な位置関係を充電所要期間とともに明示する構成としても良い。例えば、充電所要期間が同等の期間であっても、当該充電所要期間での充電を行うことによって登録位置に到達可能な充電施設が車両の位置から見た登録位置の方向と同じ側に存在する場合と、車両の位置から見た登録位置の方向と逆側に存在する場合とのいずれであるのかが運転者に明示されるように構成してもよい。この構成によれば、運転者は、車両の位置よりもさらに先まで運転可能であるか否かを容易に認識することが可能になる。
【0065】
さらに、車両の位置から登録位置までの経路を走行するために必要な総電力量は、距離以外の要素を含めて取得しても良い。例えば、経路内を構成する道路の勾配やカーブ区間の形状、予想停止回数、天候など、各種の情報に基づいて総電力量を特定する構成を採用可能である。
【0066】
さらに、上述の実施形態にかかる車両は電気自動車であったが、ハイブリット自動車やプラグインハイブリッド自動車に対して本発明を適用しても良い。すなわち、ハイブリット自動車やプラグインハイブリッド自動車において、バッテリのみを利用して走行を継続する場合の充電所要期間を経路とともに案内する構成を採用しても良い。
【0067】
さらに、充電所要期間とともに経路を走行するための旅行時間を案内しても良い。この構成によれば、運転者が自身の時間的制約内で登録位置に到達可能であるか否かを判断することが容易になる。
【0068】
さらに、充電施設における充電所要期間は、充電に費やされる期間と待ち時間との和であっても良い。例えば、充電施設の予約状況や使用状況を通信等によって取得し、当該予約状況や使用状況に応じた待ち時間を取得し、上述の実施形態において充電能力に基づいて取得した充電所要期間との和を取得して充電施設における充電所要期間とみなす構成としても良い。
【0069】
さらに、所定期間以下の充電で登録位置に到達できない場合についてより詳細に分類を行って案内をしてもよい。例えば、所定期間より長期間の充電を行えば登録位置に到達することができる場合と、充電可能な充電施設が存在しない場合を異なる段階として案内する構成としても良い。
さらに、充電所要期間を示す情報は充電施設ごとに特定可能であるため、車両の位置と各充電施設における充電所要期間とを対応づけつつ、複数の充電施設についての充電所要期間を案内するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0070】
10…ナビゲーション装置、20…制御部、21…運転支援プログラム、21a…車両位置情報取得部、21b…登録位置情報取得部、21c…充電施設情報取得部、21d…残電力量情報取得部、21e…案内部、30…記録媒体、30a…地図情報、41…GPS受信部、42…車速センサ、43…ジャイロセンサ、44…モータ、45…バッテリ、46…ユーザI/F部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置を示す情報を取得する車両位置情報取得手段と、
予め登録された登録位置を示す情報を取得する登録位置情報取得手段と、
前記車両の位置から所定距離以下の範囲に存在する充電施設の位置と充電能力とを示す情報を取得する充電施設情報取得手段と、
前記車両の位置における、前記車両に搭載されたバッテリの残電力量を示す情報を取得する残電力量情報取得手段と、
前記車両の位置と前記登録位置と前記充電施設の位置と充電能力と前記バッテリの残電力量とに基づいて、前記車両の位置から前記登録位置までの経路を前記バッテリの電力によって走行するために必要な前記充電施設における充電所要期間を示す情報を案内する案内手段と、
を備える運転支援装置。
【請求項2】
前記案内手段は、前記充電所要期間が0である状態と、0より長く所定期間以下である状態と、所定期間より長い状態とを異なる段階として案内する、
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記案内手段は、前記充電所要期間が0より長く前記所定期間以下である場合に、前記充電施設の位置を示す情報を案内する、
請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記案内手段は、複数の前記経路について当該経路毎の前記充電所要期間を特定し、前記経路に前記充電所要期間を対応付けて案内する、
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記車両の位置から前記登録位置までの経路には、前記車両の位置から見た前記登録位置の方向と逆側に存在する前記充電施設を経由する経路が含まれる、
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記案内手段は、前記車両の位置から前記登録位置までの経路の距離と前記バッテリにおける単位距離あたりの消費電力量とに基づいて前記経路を走行するために必要な総電力量を取得し、前記総電力量と前記バッテリの残電力量とに基づいて前記バッテリに充電すべき必要電力量を取得し、前記充電能力に基づいて前記必要電力量を充電するために必要とされる前記充電所要期間を取得する、
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の運転支援装置。
【請求項7】
車両の位置を示す情報を取得する車両位置情報取得工程と、
予め登録された登録位置を示す情報を取得する登録位置情報取得工程と、
前記車両の位置から所定距離以下の範囲に存在する充電施設の位置と充電能力とを示す情報を取得する充電施設情報取得工程と、
前記車両の位置における、前記車両に搭載されたバッテリの残電力量を示す情報を取得する残電力量情報取得工程と、
前記車両の位置と前記登録位置と前記充電施設の位置と充電能力と前記バッテリの残電力量とに基づいて、前記車両の位置から前記登録位置までの経路を前記バッテリの電力によって走行するために必要な前記充電施設における充電所要期間を示す情報を案内する案内工程と、
を含む運転支援方法。
【請求項8】
車両の位置を示す情報を取得する車両位置情報取得機能と、
予め登録された登録位置を示す情報を取得する登録位置情報取得機能と、
前記車両の位置から所定距離以下の範囲に存在する充電施設の位置と充電能力とを示す情報を取得する充電施設情報取得機能と、
前記車両の位置における、前記車両に搭載されたバッテリの残電力量を示す情報を取得する残電力量情報取得機能と、
前記車両の位置と前記登録位置と前記充電施設の位置と充電能力と前記バッテリの残電力量とに基づいて、前記車両の位置から前記登録位置までの経路を前記バッテリの電力によって走行するために必要な前記充電施設における充電所要期間を示す情報を案内する案内機能と、
をコンピュータに実現させる運転支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−196834(P2011−196834A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64127(P2010−64127)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】