説明

運転支援装置

【課題】 進路に応じた適切な運転支援を行うことを可能とした運転支援装置を提供する。
【解決手段】 運転支援ECU12は、路側通信機20−路車間通信機10により自車両進路方向の交差点の通行に関する情報を取得し、これとウィンカースイッチ17、舵角センサ18の出力等から判定した自車両の進路から、判定した進路の先に分岐点が存在している場合、当該分岐点より先に存在する交差点の通行情報に基づいた運転支援を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて運転者の運転操作を支援するための運転支援装置に関し、特に、進路情報に基づいた支援を行う運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周囲の交通状況情報を路車間通信等によって取得し、これに基づいて運転支援を行う運転支援装置が知られている。特許文献1に記載されている技術は、そうした技術の一例であって赤信号の交差点に進入しようとする際に、運転者に停止を促す報知手段を備える運転支援装置を開示している。
【特許文献1】特開2004−252718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この特許文献1の技術は、交差点進入時の支援に限られており、支援可能な範囲が限られている。一方で、直前の交差点以外の情報をも用いて運転支援を行おうとすると、進路が特定していない場合には、どのルートの情報を提供すべきか正確に判定することができず、適切な情報提供が行えない。
【0004】
そこで本発明は、進路に応じた適切な運転支援を行うことを可能とした運転支援装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る運転支援装置は、自車両進路方向の交差点の通行に関する情報を取得し、当該情報に基づいて運転支援を行う運転支援装置において、自車両進路を判定する手段を備え、判定した進路の先に分岐点が存在している場合、当該分岐点より先に存在する交差点の通行情報に基づいた運転支援を抑制することを特徴とする。
【0006】
ただし、分岐点より先の道路について危険情報を取得した場合は、当該危険を報知する支援を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
自車両の進路を判定し、判定した進路の通行情報のみを利用して運転支援を行うことにより、進行しない可能性のある道路の情報を提供することがないので、運転者が煩わしいと感じることがなく、進路に応じた適切な運転支援を行うことができる。
【0008】
分岐点より先の道路について危険情報を取得した場合には、運転者が進路を選択するための貴重な情報となるからこれを注意喚起することで適切な運転支援を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の参照番号を附し、重複する説明は省略する。
【0010】
本発明に係る運転支援装置の構成を図1にブロック図として示す。本運転支援装置は、車両に搭載され、インフラとして整備される道路交通情報システムと連携して、運転者に対する運転支援を行うものである。インフラ側の設備としては、路側等に配置される路側通信機20とこれに接続された送受信用のアンテナ21、各路側通信機20を制御する管制システム22を備える。
【0011】
一方、車両に搭載される運転支援装置は、路側通信機20と相互通信を行う路車間通信機10とこれに接続された送受信用のアンテナ11、支援装置を制御する運転支援ECU12のほか、ナビゲーション装置13を備えており、ナビゲーション装置13には、入力手段14、ディスプレイ15、スピーカー16が接続されており、運転支援ECU12には、路側通信機20、ナビゲーション装置13が接続されるほか、ウィンカースイッチ17と、舵角センサ18の出力が入力されている。
【0012】
運転支援ECU12は、CPU、ROM、RAM等によって構成されるものであり、専用のハードウェアにより実現されてもよいが、他の車両のECUとハードウェアの一部または全部を共有し、ソフトウェア的に実現されていてもよい。また、ナビゲーション装置13とそのハードウェアの一部または全部を共有していてもよい。ナビゲーション装置13は、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)や慣性航法装置を用いて車両の現在位置を把握する装置であり、さらに地図情報を用いて車両の経路案内を行う機能を有していることが好ましい。
【0013】
ディスプレイ15、スピーカー16としては、ナビゲーションシステム専用である必要はなく、例えば、AVシステムと共用するとよい。入力手段14は、専用のキーボードや十字キー等の入力手段のほか、ディスプレイ15としてタッチパネル式ディスプレイを用いて共用してもよい。
【0014】
次に、この運転支援装置による運転支援の動作を図1〜図6を参照して説明する。図2は、図1の運転支援装置による運転支援が適用される交通状況を説明する図であり、図3は、運転支援の動作を示すフローチャートである。図4〜図6は、それぞれディスプレイ15に表示されるナビゲーション画面例である。
【0015】
図3に示されるフローチャートの動作は、運転支援装置による支援動作が運転者によって許可されてから禁止されるまでの間、所定のタイミングで繰り返し実行される。まず、路車間通信機10が路側通信機20から送信された道路交通情報を受信する(ステップS1)。この道路交通情報は、管制システム22から各路側通信機20を通じて配信されるものであり、周維の信号機の状況や工事や事故、時間規制等による通行規制情報、渋滞情報等が含まれる。
【0016】
次に、対象交差点の数を調べる(ステップS3)。この対象交差点とは、自車の進路方向に存在する交差点である。この交差点の数、位置情報は、路車間通信により受信してもよいし、路車間通信により受信した情報をナビゲーション装置によって把握した自車の位置情報や地図情報と比較することで把握してもよい。例えば、図2に示される例では、車両100〜102については、信号301、302の位置する交差点や標識303の位置する交差点を含む複数の交差点が対象交差点となる。この対象交差点は、車両の現在位置から所定の距離内に位置する交差点または当該交差点への目標到達時間が所定時間内である交差点が対象となる。この所定の距離や到達時間は、道路の種別や地域に応じて異ならせてもよい。
【0017】
このように複数の対象交差点が存在する場合には、さらに、対象交差点の存在する方向が同一か違うかを判定する(ステップS5)。例えば、図2に示される車両100を例にとると、対象交差点のうち信号302が位置する交差点と、信号301や標識303の位置する交差点とは別の方向に存在しており、違う方向に存在すると判定する。
【0018】
対象交差点が違う方向に存在すると判定した場合には、さらに、分岐している交差点における進路が特定可能か否かを判定する(ステップS7)。例えば、図2に示される車両100においては、前方のY字交差点で右折して道路210へ進行するのか、左折して道路202へ進行するのかは不明であり、特定できない。この場合は、後述するステップS11の処理へ進む。一方、車両101、車両102については、それぞれ左折レーン、右折レーン上に位置していることから、それぞれ道路220、210方向へ進行すると特定可能である。ここで、進路の特定は、レーンにより判断する手法のほか、運転者のウィンカースイッチ17操作による方向指示や舵角センサ18で検出した操舵操作に基づいて判定してもよい。
【0019】
分岐路により道路が異なる方向に分岐していても、進路が特定できた場合には、ステップS9に移行し、特定した進路上の対象交差点の情報を提供する。例えば、車両101に対しては、路車間通信で受信した情報の中から信号301の情報を図4に示されるような形式で提供する。同様に、車両102に対しては、図5に示されるように信号302の情報を提供する。
【0020】
上記ステップS7において、進路の特定ができないと判定した場合は、分岐先以遠の情報は提供しない。ただし、分岐先以遠で運転者に対する注意喚起が必要な情報がある場合には、当該情報は提供する。例えば、工事・事故等による通行制限や渋滞情報等が挙げられる。
【0021】
一方、ステップS5において、対象交差点は同一方向にあると判定した場合には、ステップS13へと移行し、最も手前の対象に対して情報を提供するサービスを実施する。図2に示される例では、車両103が道路202において、信号301より手前(道路200側)に位置している場合には、図4に示されるような信号機情報を提供するが、信号301と標識303の間に位置している場合には、図6に示されるように標識303の情報のみを提供する。
【0022】
また、ステップS3において、対象交差点が一つしかないと判定された場合には、当該対象交差点の情報のみを提供する。例えば、図2に示される例では、車両103に対して標識303の情報を図6に示されるような形で提供する。
【0023】
以上のように、情報を提供することで、進行しない可能性のある道路情報を提供することがなくなり、運転者が煩わしさを感じることがなくなる。そして、進路に応じた適切な支援情報を提供することができるため、運転支援に対する信頼性が向上する。
【0024】
さらに、進行しない可能性のある道路の情報であっても危険情報、障害情報等のように運転者の進路選択に役立つ情報については、提供するので、運転者が適切な進路を進行するのに役立ち、利便性が向上する。
【0025】
本発明に係る運転支援装置の動作は、上述の説明の動作に限られるものではなく、様々な改変が可能である。例えば、判定順序を異ならせたり、複数の判定を同時並行して行ってもよい。また、道路交通情報の取得は、路車間通信に限られるものではなく、路側等に設置されたインフラ(図2に示されるインフラ30)から車両に対して、情報を送信し、車両側で受信のみを行うシステムを用いてもよいし、電話回線や無線を通じて情報センターから当該情報を取得するシステムを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は車両に搭載される運転支援装置やこれを搭載した車両に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る運転支援装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の運転支援装置による運転支援が適用される交通状況を説明する図である。
【図3】図1の運転支援装置による運転支援の動作を示すフローチャートである。
【図4】図1の運転支援装置によるナビゲーション画面の一例である。
【図5】図1の運転支援装置によるナビゲーション画面の別の例である。
【図6】図1の運転支援装置によるナビゲーション画面のさらに別の例である。
【符号の説明】
【0028】
10…路車間通信機、11…アンテナ、12…運転支援ECU、13…ナビゲーション装置、14…入力手段、15…ディスプレイ、16…スピーカー、17…ウィンカースイッチ、18…舵角センサ、20…路側通信機、21…アンテナ、22…管制システム、30…インフラ、100〜103…車両、200〜220…道路、301、302…信号、303…標識。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両進路方向の交差点の通行に関する情報を取得し、当該情報に基づいて運転支援を行う運転支援装置において、
自車両進路を判定する手段を備え、判定した進路の先に分岐点が存在している場合、当該分岐点より先に存在する交差点の通行情報に基づいた運転支援を抑制することを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記分岐点より先の道路について危険情報を取得した場合は、当該危険を報知する支援を行うことを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−151484(P2009−151484A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327856(P2007−327856)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】