説明

運転支援装置

【課題】自車両の後方を表示するための電子的な表示システムに障害が発生した場合であっても、自車両の後方を視認可能とすることができる、運転支援装置を提供すること。
【解決手段】運転支援装置1は、車両後方の映像を表示するモニタ10と、モニタ10の少なくとも一部を車両の内部と外部との間で移動させる移動部20と、移動部20によって車両の外部に移動されたモニタ10の少なくとも一部によって支持されるもので、車両後方を車両の内部において視認可能とするミラー31とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者が自車両の後方を視認するための手段として、電動格納式のドアミラーが用いられている。さらに、このドアミラーのミラーアセンブリ内に、当該ミラーアセンブリを格納状態にした場合に自車両の後方を撮影するカメラを内蔵し、当該カメラが撮影した映像を車内のモニタに出力させる自動車用後方視認装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】実開平6−953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、デザイン性の向上や車両の空気抵抗低減の観点からは、ドアミラーを省略することが好ましい場合がある。このため、カメラで撮影した自車両の後方の画像を、車内のモニタに常に表示させることとし、ドアミラーを省略することも考えられる。しかし、このような画像表示システムでは、カメラやモニタ等の電子的な表示システムに障害が発生した場合には、自車両の後方を確認できる手段がなくなり、運転に支障が生じることも考えられる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、自車両の後方を表示するための電子的な表示システムに障害が発生した場合であっても、自車両の後方を視認可能とすることができる運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の運転支援装置は、車両後方の映像を表示する表示手段と、前記表示手段の少なくとも一部を前記車両の内部と外部との間で移動させる移動手段と、前記移動手段によって前記車両の外部に移動された前記表示手段の少なくとも一部によって支持されるもので、前記車両後方を前記車両の内部において視認可能とする反射手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の運転支援装置は、請求項1に記載の運転支援装置において、前記表示手段は、前記映像を表示する表示部と、前記表示部を支持する支持部とを備え、前記移動手段によって、前記表示部及び支持部の両方を、前記車両の外部に移動可能としたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の運転支援装置は、請求項1に記載の運転支援装置において、前記表示手段は、前記映像を表示する表示部と、前記表示部を支持する支持部とを備え、前記移動手段によって、前記支持部を、前記車両の外部に移動可能としたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の運転支援装置は、請求項1から3のいずれか一項に記載の運転支援装置において、前記移動手段は、前記表示手段の少なくとも一部を、前記車両のピラーの内部を介して移動させ、前記反射手段を、前記ピラーの内部に収容可能としたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に記載の運転支援装置は、請求項1から4のいずれか一項に記載の運転支援装置において、前記反射手段を、可撓性シートとして形成し、前記車両の外部への前記表示手段の少なくとも一部の移動に伴って前記可撓性シートを巻出す巻出手段を設け、前記巻出手段から巻出した前記可撓性シートを、前記移動手段によって前記車両の外部に移動された前記表示手段の少なくとも一部に張設可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の運転支援装置によれば、表示手段の少なくとも一部を車両の内部と外部との間で移動させ、車両の外部に移動された表示手段の一部によって反射手段を支持し、当該反射手段により車両後方を車両の内部において視認可能としたので、表示手段の故障時等においても、車両外部に露出させた表示手段に支持された反射手段を用いて車両後方を視認可能とすることができる。
【0012】
また、請求項2に記載の運転支援装置によれば、表示部と支持部の両方を車両の外部に移動可能としたので、表示手段や移動手段の構造を単純化することができ、コストの低減を図ることができる。
【0013】
また、請求項3に記載の運転支援装置によれば、移動手段によって支持部を車両の外部に移動可能としたので、車両の後方を視認可能とするために反射手段を車両の外部に配置する場合において、表示部を車両の内部に保持することができる。従って、表示部を車両の外部に露出させることに伴う風雨等による損耗を防止することができる。
【0014】
また、請求項4に記載の運転支援装置によれば、表示手段の少なくとも一部を車両のピラーの内部を介して移動させるので、ダッシュボード上に配置された表示手段を最小限の移動距離で車両の外部まで移動させることができる。また、反射手段をピラーの内部に収容可能としたので、表示手段に反射手段を収容する必要が無く、表示手段の小型化やデザイン性の向上を実現できる。
【0015】
また、請求項5に記載の運転支援装置によれば、反射手段を可撓性シートとして形成したので、反射手段をコンパクトに収容することができる。また、車両の外部への表示手段の少なくとも一部の移動に伴って巻出手段から巻出した反射手段を、当該表示手段の少なくとも一部に張設可能としたので、表示手段の移動と反射手段の張設とを同時に行うことができ、迅速に反射手段の使用を可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る運転支援装置の各実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
〔実施の形態1〕
最初に、実施の形態1について説明する。この形態は、車両後方の映像を表示する表示部と、表示部を支持する支持部との両方を、車両の外部に移動可能とした形態である。
【0018】
(構成)
まず、運転支援装置の構成を説明する。図1は、実施の形態1に係る運転支援装置の外観を示した斜視図、図2は運転支援装置の動作の前後の状態を表した斜視図、図3は運転支援装置の動作の前後の状態を表した断面図(図3(a)は図2(a)のA−A断面図、図3(b)は図2(b)のA’−A’断面図)である。なお、図2においては、運転支援装置を除く車両の構成要素(例えば、ダッシュボード等)を二点鎖線、運転支援装置のうち運転者が視認可能に露出している部分を実線、運転支援装置のうち運転者が視認不可能に遮蔽されている部分を破線で示している。この運転支援装置1は、車両に搭載される装置であって、モニタ10、移動部20、ミラーユニット30、及びカメラ40を備えている。
【0019】
(構成−モニタ)
モニタ10は、車両後方の映像を表示する表示手段であり、車両の内部において運転者が視認可能な位置、例えば図1に示したように、車両のフロントウィンドウ2を支持するフロントピラー3に隣接してダッシュボード4上に設置される。このモニタ10は、表示部11及び支持部12を備えている。表示部11は、所定の表示制御手段を介して入力された映像情報を表示するためのものであり、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイ等を使用することができる。支持部12は、表示部11を支持するためのものであり、表示部11を構成する電子部品を外囲するケースとしての機能も有する。この支持部12は、例えば、表示部11の表示面を外部から視認可能に覆うための枠体12a、及び表示部11がネジや接着剤等を介して固定される筐体12bを備えている。また、支持部12の一部はモニタ挿通孔3aに挿通されている。このモニタ挿通孔3aは、車両の内部と外部とを連通するようにフロントピラー3に設けられている。また、モニタ挿通孔3aと支持部12との間隙は、例えばゴムパッキンやOリングの如き公知の密閉手段によって密閉され、車両の内部と外部との間の空気や雨水の漏洩を防止している。なお、支持部12を構成する枠体12aや筐体12bについては、複数部品を組合わせて構成してもよく、あるいは射出成型等の公知の成型技術を用いて一体に構成してもよい。
【0020】
(構成−移動部)
移動部20は、モニタ10の少なくとも一部を車両の内部と外部との間で移動させる移動手段である。この移動部20は、例えば図2に示したように、モータ21、ラック22、及びギア23を備えている。モータ21はモニタ10を移動させるための動力を発生するものであり、ダッシュボード4の内部に固定されている。このモータ21には、例えば車両の電力系統から電力が供給される。また、操作スイッチ等を介した操作入力や、表示部11の故障等の所定の制御条件に基づき、公知の制御手段(図示省略)によってモータ21の動作が制御される。ラック22は、モニタ10の支持部12下面において当該モニタ10と接合されている。ギア23は、モータ21からラック22に動力を伝達するためのものであり、モータ21とラック22との間に配置される。なお、図2では1枚のギア23を図示しているが、複数のギアを組合わせたギアボックスをモータ21とラック22との間に配置してもよい。さらに、例えばモニタ10及び移動部20の全体を保持するベース部(図示省略)を設け、このベース部を例えば球ジョイント等の保持手段(図示省略)を介して回動自在にフロントピラー3の内部等に設置することにより、モニタ10の角度を調整可能とすることができる。
【0021】
(構成−ミラーユニット)
ミラーユニット30は、ミラー31及び巻出部32を有している。ミラー31は、移動部20によって車両の外部に移動されたモニタ10の少なくとも一部によって支持されるもので、車両後方を車両の内部において視認可能とする反射手段である。具体的には、ミラー31は可撓性シートとして形成された反射体であり、例えばアルミニウムを蒸着したポリエステルフィルム等を用いて形成することができる。このミラー31は、車両の外部に移動されたモニタ10の表示部11及び支持部12の表面に張設される(図2(b)及び図3(b)の状態)。ミラー31の裏面(張設時にモニタ10の表示部11及び支持部12と対向する面)には、例えばアクリル系粘着剤等の接着剤が予め塗布されており、巻出部32から巻出されたミラー31が表示部11及び支持部12の表面に圧接されることにより、当該表示部11及び支持部12にミラー31を粘着可能となっている。また、剥離及び再接着が可能な接着剤を用いることにより、ミラー31の張設及び収容を繰り返し行うことができる。あるいは、ミラー31を公知の帯電手段によって帯電させて、静電気によって表示部11及び支持部12に密着させてもよい。
【0022】
巻出部32は、車両の外部へのモニタ10の移動に伴ってミラー31を巻出す巻出手段であり、例えば図2に示したように、シャフト320、及びギアボックス(図示省略)を備えている。シャフト320は、その周囲にミラー31を巻回するためのものであり、長軸方向がモニタ10の移動方向と直交し、且つ表示部11の表示面と平行となるように、フロントピラー3の内部に設けられた軸受3bを介して固定されている。また、図3(a)に例示したように、ミラー31を巻回している状態においてミラー31の端部が支持部12に接するように、シャフト320がモニタ10に隣接して配置されている。ギアボックスは、移動部20のモータ21からシャフト320に動力を伝達するためのものであり、移動部20の動作と巻出部32の動作とを連動させる。
【0023】
(構成−カメラ)
カメラ40は、車両後方を撮影する撮影手段である。このカメラ40は、図2や図3に示したように、例えばモニタ挿通孔3aを介して車両の外部に露出している支持部12の端部において、車両の後方を撮影可能な方向に配置されている。あるいは、例えば支持部12とは別体に、車両の外部にカメラ40を配置してもよい。このカメラ40が取得した映像情報は、所定の表示制御手段を介して表示部11に入力され、表示される。なお、カメラ40の具体的な構成は任意で、例えばCMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の公知の撮像素子、及び魚眼レンズやプリズム等の公知の光学系部品を用いて構成されている。
【0024】
(運転支援装置の動作)
次に、上述のように構成される運転支援装置1の動作について説明する。モニタ10が車両の内部に配置されている場合(図2(a)及び図3(a))の場合)、フロントピラー3のモニタ挿通孔3aを介して車両の外部に露出しているカメラ40が撮影し取得した車両後方の映像情報が、所定の表示制御手段を介して表示部11に入力される。表示部11は運転者から視認可能な領域に位置しているので、入力された車両後方の映像情報を表示することで、車両の内部において車両後方を視認可能となる。このとき、ミラー31はフロントピラー3の内部においてシャフト320に巻回された状態で収容されている。
【0025】
操作スイッチ等を介した操作入力や、表示部11の故障等の所定の制御条件に基づき、制御手段によって移動部20のモータ21が動作されると、モータ21の動力がギア23を介してラック22に伝達され、ラック22と一体に接合されているモニタ10がラック22と共に並進移動する。これにより、モニタ10の表示部11及び支持部12は、モニタ挿通孔3aを介して車両の内部から外部へと移動する。また、ギアボックスを介してモータ21の動力がシャフト320に伝達される。これにより、移動部20による表示部11及び支持部12の移動に伴って、ミラー31がシャフト320から巻出され、表示部11及び支持部12の表面に張設される(図2(b)及び図3(b)の状態)。モニタ10が予め設定されている所定の位置(例えば、フロントピラー3から露出したモニタ10の長さが150mmとなる位置)まで移動すると、公知のラッチ機構等によりモニタ10の移動が停止される。さらに、モニタ10の角度をベース部を介して調整することで、車両後方を車両の内部において視認可能となるようにミラー31の角度を調整することができる。
【0026】
(効果)
このように実施の形態1によれば、モニタ10の少なくとも一部を車両の内部と外部との間で移動させ、車両の外部に移動されたモニタ10の一部によってミラー31を支持し、当該ミラー31により車両後方を車両の内部において視認可能としたので、モニタ10の表示部11の故障時等においても、車両外部に露出させたモニタ10に支持されたミラー31を用いて車両後方を視認可能とすることができる。
【0027】
また、表示部11と支持部12の両方を車両の外部に移動可能としたので、モニタ10や移動部20の構造を単純化することができ、コストの低減を図ることができる。
【0028】
また、モニタ10の少なくとも一部を車両のフロントピラー3の内部を介して移動させるので、ダッシュボード4上に配置されたモニタ10を最小限の移動距離で車両の外部まで移動させることができる。また、ミラー31をフロントピラー3の内部に収容可能としたので、モニタ10にミラー31を収容する必要が無く、モニタ10の小型化やデザイン性の向上を実現できる。
【0029】
また、ミラー31を可撓性シートとして形成したので、ミラー31をコンパクトにフロントピラー3の内部に収容することができる。また、車両の外部へのモニタ10の少なくとも一部の移動に伴って巻出部32から巻出したミラー31を、当該モニタ10の少なくとも一部に張設可能としたので、モニタ10の移動とミラー31の張設とを同時に行うことができ、迅速にミラー31の使用を可能にすることができる。
【0030】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、ミラー31をモニタ10の内部に収容した形態である。なお、実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0031】
(構成−ミラーユニット)
実施の形態2に係るミラーユニット30について説明する。図4は実施の形態2に係る運転支援装置1の動作の前後の状態を表した斜視図、図5は実施の形態2に係る運転支援装置1の動作の前後の状態を表した断面図(図5(a)は図4(a)のB−B断面図、図5(b)は図4(b)のB’−B’断面図)である。
【0032】
図4及び図5に示したように、ミラーユニット30はモニタ10の支持部12の内部に配置されている。巻出部32は、シャフトP323a、シャフトQ323b、及びギアボックス(図示省略)を備えている。シャフトP323a及びシャフトQ323bは、それぞれ軸受を介して支持部12の内部に保持され、表示部11を挟んで相互に平行に配置される。ギアボックスは、移動部20のモータ21からシャフトP323a又はシャフトQ323bの少なくとも一方に動力を伝達するためのものであり、移動部20の動作と巻出部32の動作とを連動させる。
【0033】
ミラー31は、モニタ10が車両の内部に配置されている場合は、シャフトP323a又はシャフトQ323bの一方(図4及び5ではシャフトP323a)に巻回されて収容される。この収容されている状態のミラー31の端部には、シャフトP323aの両端部に隣接する位置にてミラー31巻出用のベルト326が接続されており、当該ベルト326はミラー31が巻回されていないシャフトQ323bの両端部まで延設され、当該両端部に固定されている。さらに、ミラー31が表示部11と支持部12との間隙に滑らかに巻出されるようにするため、支持部12の内部において表示部11の上下端に隣接する位置にスリット状のガイド(図示省略)を設け、当該ガイドに沿ってミラー31が巻出されるようにすることができる。
【0034】
(運転支援装置の動作)
操作スイッチ等を介した操作入力や、表示部11の故障等の所定の制御条件に基づき、制御手段によって移動部20のモータ21が動作されると、モニタ10がモニタ挿通孔3aを介して車両の内部から外部へと移動する。また、ギアボックスを介してモータ21の動力がシャフトP323aやシャフトQ323bに伝達される。これにより、シャフトQ323bが回転することにより当該シャフトQ323bにベルト326が巻取られ、当該ベルト326に接続されているミラー31がシャフトP323aから巻出される(図4(b)及び図5(b)の状態)。巻出されたミラー31は、支持部12の内部に設けられたガイドに沿って、支持部12と表示部11との間隙に巻出される。ミラー31によって表示部11の全体が覆われる位置までミラー31が巻出されると、モータ21は停止する。
【0035】
(効果)
このように実施の形態2によれば、上述の実施の形態1における基本的な効果に加えて、ミラー31をモニタ10の内部に収容したので、フロントピラー3内部の構造を単純化することができる。また、ミラー31を確実にモニタ10に張設することができる。
【0036】
〔実施の形態3〕
最後に、実施の形態3について説明する。この形態は、移動部20がモニタ10を回動させることで当該モニタ10の少なくとも一部を車両の内部と外部との間で移動させる形態である。
【0037】
(構成−移動部)
実施の形態3に係る移動部20について説明する。図6は実施の形態3に係る運転支援装置1の動作の前後の状態を表した斜視図である。図6に示したように、移動部20は、モータ24及び回動軸25を備えている。回動軸25は、モニタ10の支持部12下面において、当該回動軸25の長軸方向が表示部11の表示面と略直交するように接合され、当該回動軸25とモニタ10とが一体に回動可能となっている。なお、図6においてはモータ24と回動軸25とが直接連結されているが、モータ24と回動軸25との間にギアボックスを配置し、モータ24から当該ギアボックスを介して回動軸25に動力が伝達されるようにしてもよい。
【0038】
(構成−ミラーユニット)
実施の形態3に係るミラーユニット30は、上述の実施の形態2に係るミラーユニット30と同様に構成されているため、その説明を省略する。
【0039】
(運転支援装置の動作)
操作スイッチ等を介した操作入力や、表示部11の故障等の所定の制御条件に基づき、制御手段によって移動部20のモータ24が動作されると、モータ24の動力が回動軸25に伝達され、回動軸25と一体に接合されているモニタ10が回動軸25と共に回動する。これにより、モニタ10の表示部11及び支持部12は、モニタ挿通孔3aを介して車両の内部から外部へと移動する(図6(b)の状態)。
【0040】
(効果)
このように実施の形態3によれば、上述の実施の形態1における基本的な効果に加えて、移動部20がモニタ10を回動させることで当該モニタ10の少なくとも一部を車両の内部と外部との間で移動させるので、移動部20の各構成要素をフロントピラー3の内部又はその近傍に集約することができる。
【0041】
〔各実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0042】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0043】
(モニタについて)
上記の各実施の形態では、モニタ10の表示部11及び支持部12が移動部20によって車両の外部に移動されると説明したが、支持部12のみを車両の外部に移動させてもよい。図7及び図8は、支持部12の一部が車両の外部に移動される場合の運転支援装置1の動作の前後の状態を表した斜視図である。
【0044】
図7に示した例では、表示部11の表示面と略平行な面を境界として、表示部11を含む部分(以下「表示面部」)12cと、表示部11を含まない部分(以下「背面部」)12dとに支持部12が分割されている。このうち、背面部12dのみが車両の外部に移動可能に移動部20のラック22と接合されている。また、この背面部12dにおける表示面部12cと対向する面には、予めミラー31が張設されている。
【0045】
このような構成においては、モニタ10が車両の内部に配置されている場合(図7(a)の場合)、表示部11は運転者から視認可能な領域に位置しているので、入力された車両後方の映像情報を表示することで、車両の内部において車両後方を視認可能となる。このとき、ミラー31は背面部12dと共に車両の内部に収容されている。また、制御手段によって移動部20のモータ21が動作されると、ラック22と一体に接合されている背面部12dのみがラック22と共に並進移動し、モニタ挿通孔3aを介して車両の内部から外部へと移動する。これと共に、背面部12dに張設されているミラー31が車両の外部に露出するので、車両後方を車両の内部において視認可能となる(図7(b)の状態)。
【0046】
また、図8に示した例では、表示部11の表示面と略平行な面を境界として、枠体12aと筐体12bとに支持部12が分割されている。このうち、枠体12aのみが車両の外部に移動可能に移動部20のラック22と接合されている。また、図8に示した変形例では、上述の実施の形態1で説明したのと同様のミラーユニット30がフロントピラー3の内部に配置されている。
【0047】
このような構成においては、モニタ10が車両の内部に配置されている場合(図8(a)の場合)、ミラー31はフロントピラー3の内部においてシャフト320に巻回された状態で収容されている。制御手段によって移動部20のモータ21が動作されると、ラック22と一体に接合されている枠体12aのみがラック22と共に並進移動し、モニタ挿通孔3aを介して車両の内部から外部へと移動する。これと共に、ミラー31がシャフト320から巻出され、枠体12aの表面に張設される(図8(b)の状態)。
【0048】
このように、移動部20によって支持部12を車両の外部に移動可能としたので、車両の後方を視認可能とするためにミラー31を車両の外部に配置する場合において、表示部11を車両の内部に保持することができる。従って、表示部11を車両の外部に露出させることに伴う風雨等による損耗を防止することができる。
【0049】
(移動部について)
上記の各実施の形態では、モニタ10及び移動部20の全体を保持するベース部を設け、このベース部を回動自在にフロントピラー3等の車両の構造に設置することにより、モニタ10の角度を調整可能とすると説明したが、例えば回転2自由度のアクチュエータを支持部12と表示部11との間に設け、このアクチュエータによって支持部12に対する表示部11の角度を調整可能としてもよい。
【0050】
(ミラーについて)
上記の実施の形態1では、ミラー31の裏面に塗布された粘着剤によってミラー31を表示部11及び支持部12に粘着させると説明したが、表示部11の表面に所定の電極を介して電圧を印加することで当該表示部11の表面とミラー31との間に静電気力を発生させ、その静電気力によってミラー31と表示部11とを密着させるようにしてもよい。
【0051】
(巻出部について)
上記の実施の形態1及び2では、ギアボックスによって移動部20の動作と巻出部32の動作とを連動させると説明したが、シャフト320又はシャフトP323a若しくはシャフトQ323bを回転させるための動力を発生するモータと、当該モータからシャフト320又はシャフトP323a若しくはシャフトQ323bに動力を伝達するためのギアとをフロントピラー3の内部やモニタ10の内部に設け、制御手段によって当該モータと移動部20のモータ21とを連動させることにより、移動部20の動作と巻出部32の動作とを連動させてもよい。
【0052】
上記の各実施の形態では、巻出手段がミラー31を巻出すと説明したが、ミラー31の巻取を行わせてもよい。例えば、移動部20によって車両の外部に移動させたモニタ10を再度車両の内部に収容させるとともに、ミラー31をモニタ10から巻出部32に巻取収容させるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施の形態1に係る運転支援装置の外観を示した斜視図である。
【図2】運転支援装置の動作の前後の状態を表した斜視図である。
【図3】運転支援装置の動作の前後の状態を表した断面図である。
【図4】実施の形態2に係る運転支援装置の動作の前後の状態を表した斜視図である。
【図5】実施の形態2に係る運転支援装置の動作の前後の状態を表した断面図である。
【図6】実施の形態3に係る運転支援装置の動作の前後の状態を表した斜視図である。
【図7】支持部の一部が車両の外部に移動される場合の運転支援装置の動作の前後の状態を表した斜視図である。
【図8】支持部の一部が車両の外部に移動される場合の運転支援装置の動作の前後の状態を表した斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
1 運転支援装置
2 フロントウィンドウ
3 フロントピラー
3a モニタ挿通孔
3b 軸受
4 ダッシュボード
10 モニタ
11 表示部
12 支持部
12a 枠体
12b 筐体
12c 表示面部
12d 背面部
20 移動部
21、24 モータ
22 ラック
23 ギア
25 回動軸
30 ミラーユニット
31 ミラー
32 巻出部
40 カメラ
320 シャフト
323a シャフトP
323b シャフトQ
326 ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後方の映像を表示する表示手段と、
前記表示手段の少なくとも一部を前記車両の内部と外部との間で移動させる移動手段と、
前記車両の外部に移動された前記表示手段の少なくとも一部によって支持されるもので、前記車両後方を前記車両の内部において視認可能とする反射手段と、
を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記表示手段は、前記映像を表示する表示部と、前記表示部を支持する支持部とを備え、
前記移動手段によって、前記表示部及び支持部の両方を、前記車両の外部に移動可能としたこと、
を特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記映像を表示する表示部と、前記表示部を支持する支持部とを備え、
前記移動手段によって、前記支持部を、前記車両の外部に移動可能としたこと、
を特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記移動手段は、前記表示手段の少なくとも一部を、前記車両のピラーの内部を介して移動させ、
前記反射手段を、前記ピラーの内部に収容可能としたこと、
を特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記反射手段を、可撓性シートとして形成し、
前記車両の外部への前記表示手段の少なくとも一部の移動に伴って前記可撓性シートを巻出す巻出手段を設け、
前記巻出手段から巻出した前記可撓性シートを、前記移動手段によって前記車両の外部に移動された前記表示手段の少なくとも一部に張設可能としたこと、
を特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−116125(P2010−116125A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292801(P2008−292801)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】