説明

運転支援装置

【課題】自車両の進行方向を対象とする矢印信号に従った運転支援を的確に行うことができる運転支援装置を提供する。
【解決手段】路車間通信用路側機10から取得された車線情報及び信号情報に基づいて、自車両が進行可能な方向及びこの方向を対象とする矢印信号の点灯有無を特定し、当該矢印信号が点灯している場合に、運転支援として当該矢印信号を画面上に拡大表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両が走行する道路の情報を運転者に知らせて運転支援する運転支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
VICS(Vehicle Information and Communication System;道路交通情報通信システム)(登録商標;以下記載を省略する)は、車両の進行方向における道路の混雑度合いを示す渋滞情報を車両側に配信し、車両の車載器が、当該情報の内容をナビゲーション画面等に表示して運転者へ提供する。また、走行路に関する情報を車両へ配信する通信手段としては、2.4GHzの電波ビーコン、光ビーコン、FM電波等がある。
なお、VICSでは、車両側の車載器で渋滞情報を受信して表示する用途が主であったが、近年では、運転者の安全運転支援を目的として、交差点やカーブの先の地点における渋滞情報や信号の点灯情報等を運転者に知らせるシステムも提案され始めている。
また、ETC(Electronic Toll Collection System;ノンストップ自動料金支払いシステム)(登録商標;以下記載を省略する)の通信媒体である5.8GHzの電波を使ったDSRC(Dedicated Short Range Communications;狭域通信)が、走行路に関する情報を車両側へ配信する通信手段として実用化が検討されている。
【0003】
安全運転を支援する従来の運転支援装置としては、例えばDSRCによる路車間通信を介して路側通信機から取得した信号情報に基づいて、信号の点灯状態(青信号、赤信号、黄信号、矢印信号)及び信号の残存点灯時間をナビゲーション画面上に表示する車載装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献2には、路車間通信で取得した信号情報を利用して、自車両が停止線を通過したとき、赤信号又は黄信号(一定周期で赤信号に遷移する場合に限る)が点灯していると予測されると、音声で通知する車載装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−171459号公報
【特許文献2】特開2009−245326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に代表される従来の装置では、車両の走行車線を考慮せず、受信した信号情報における点灯状態をそのまま表示する。このため、自車両が進行不可な方向にある信号情報が提供されても随時その点灯状態が表示されるので、運転者に不要な情報が提供される煩わしい装置となる可能性がある。
また、特許文献2に代表される車載装置は、信号機が矢印式信号機である場合を考慮していないため、左矢印信号の点灯時に、自車両が左方向に進行しているにもかかわらず、停車を促す注意喚起が提供されると運転者を困惑させる可能性がある。この場合、運転者が注意喚起に従って停車すると、渋滞や追突を誘発することも考えられる。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、自車両の進行方向を対象とする矢印信号に従った運転支援を的確に行うことができる運転支援装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る運転支援装置は、路上に設置された路側機との間で通信を行う路車間通信手段と、路車間通信手段による通信で路側機から取得した、車両の走行車線と当該車線での車両の通行許可方向を示す車線情報、及び当該通行許可方向を対象とする矢印信号の点灯有無を示す信号情報に基づいて、自車両が進行可能な方向を特定し、当該進行可能な方向を対象とする矢印信号の点灯有無から当該矢印信号に従う運転支援の可否を判定する運転支援可否判定手段と、運転支援可否判定手段からの要求により当該矢印信号を画面上に強調表示する運転支援表示手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、自車両の進行方向を対象とする矢印信号に従った運転支援を的確に行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明による路車間通信システムの構成を示す図である。
【図2】実施の形態1による運転支援装置、及び路車間通信用路側機の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1の運転支援装置による運転支援可否を判断する動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】矢印信号の拡大表示の一例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態2による運転支援装置、及び路車間通信用路側機の構成を示すブロック図である。
【図6】実施の形態2の運転支援装置による運転支援可否を判断する動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態3による運転支援装置、及び路車間通信用路側機の構成を示すブロック図である。
【図8】実施の形態3の運転支援装置による運転支援可否を判断する動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態4による運転支援装置、及び路車間通信用路側機の構成を示すブロック図である。
【図10】実施の形態4の運転支援装置による運転支援可否を判断する動作の一例を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態5による運転支援装置、及び路車間通信用路側機の構成を示すブロック図である。
【図12】実施の形態5の運転支援装置による運転支援判断の動作概要を説明するための状態遷移図である。
【図13】実施の形態5の運転支援装置によるサービスが有効であるか否かを判断する動作の一例を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態5の運転支援装置による運転支援可否を判断する動作の一例を示すフローチャートである。
【図15】実施の形態5の運転支援装置による運転支援可否を判断する動作の一例を示すフローチャートである。
【図16】この発明の実施の形態6による運転支援装置、及び路車間通信用路側機の構成を示すブロック図である。
【図17】実施の形態6の運転支援装置による運転支援可否を判断する動作の一例を示すフローチャートである。
【図18】この発明の実施の形態7による運転支援装置、及び路車間通信用路側機の構成を示すブロック図である。
【図19】実施の形態7の運転支援装置によるサービスが有効であるか否かを判断する動作の一例を示すフローチャートである。
【図20】実施の形態7の運転支援装置による運転支援可否を判断する動作の一例を示すフローチャートである。
【図21】実施の形態7の運転支援装置による運転支援可否を判断する動作の一例を示すフローチャートである。
【図22】この発明の実施の形態8による路車間通信システムの構成を示す図である。
【図23】実施の形態8による運転支援装置、及び路車間通信用路側機の構成を示すブロック図である。
【図24】実施の形態8の運転支援装置によるサービスが有効であるか否かを判断する動作の一例を示すフローチャートである。
【図25】実施の形態8の運転支援装置による運転支援可否を判断する動作の一例を示すフローチャートである。
【図26】実施の形態8の運転支援装置による運転支援可否を判断する動作の一例を示すフローチャートである。
【図27】この発明の実施の形態9による運転支援装置、及び路車間通信用路側機の構成を示すブロック図である。
【図28】実施の形態9の運転支援装置による運転支援可否を判断する動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明による路車間通信システムの構成を示す図であり、実施の形態1による運転支援装置を用いた路車間通信システムを模式的に示している。図1の例では、左側の車線を走行する車両4に対して左矢印信号の情報を提供することで、左折の運転支援が行われる。信号制御装置1は、交差点等に設けられた信号機の点灯表示を制御する装置であり、路車間通信用路側機(路側機)10に対して、青、赤、黄、又は右左折矢印等の点灯表示している信号を示す信号情報を通知する。
路側通信装置(路側機)2は、自身が設置された道路の各車線を覆う程度(幅が約3.5m)の範囲の通信エリア2aを有し、通信エリア2a内に進入した車両に搭載された車載装置との間で、光ビーコン又は近赤外線通信を行う装置である。なお、車両4は、実施の形態1による運転支援装置20を、車載装置として搭載している。
【0011】
路車間通信用路側機10は、信号制御装置1と路側通信装置2と接続されており、自身が保有する任意のデータを所定の形式にエンコードして、路側通信装置2を介して車両4へ送信する通信装置である。路車間通信用路側機10が保有する任意のデータとしては、例えば、交差点や停止線から路側通信装置2までの距離、車線毎の通行許可方向を示す情報等が挙げられる。また、路車間通信用路側機10は、車両4の運転支援装置20からアップリンク情報を受信すると、車両4の走行車線に係る情報を取得して提供する。
【0012】
図2は、実施の形態1による運転支援装置、及び路車間通信用路側機の構成を示すブロック図である。車両4に対する運転支援システムは、道路上に設置された路車間通信用路側機10と、車両4に搭載される運転支援装置20から構成される。
路車間通信用路側機10は、図1に示したように、信号制御装置1に対向する車線の交差点近辺の地点に設置された装置であり、信号取得部11、車線取得部12、及び通信部13を備え、信号取得部11に取得された交差点の点灯信号を示す信号情報及び車線取得部12に取得された車両の走行車線及びその通行許可方向を示す車線情報を、通信部13を用いた通信で運転支援装置20へ送信する。
【0013】
信号取得部11は、交差点の信号機で点灯状態の信号(矢印信号を含む)を車線毎に示す信号情報を信号制御装置1から取得する構成部である。信号取得部11は、信号制御装置1との有線通信又は無線通信を介して現在の点灯信号を示す信号情報を取得する。
車線取得部12は、運転支援装置20を搭載する車両4の走行車線及びその通行許可方向を示す車線情報を取得する構成部である。なお、車線取得部12は、運転支援装置20が搭載された車両4の走行車線を、運転支援装置20と通信を行った路側通信装置2が、どの車線の直上位置に設置されたものであるかを確認することによって特定する。
【0014】
通信部13は、各車線の直上位置に取り付けた路側通信装置2を用いた通信によって、各車線を通過する車両の運転支援装置20に対して情報を提供する構成部である。
例えば、カーナビゲーションシステムのVICS情報の提供に使用される光ビーコンによる路車間通信を介して、信号取得部11で取得された点灯信号を示す信号情報、車線取得部12で取得された走行車線及びその通行許可方向を示す車線情報を運転支援装置20へ送信する。
なお、図2の例では、通信部13が路側通信装置2とは別筐体の構成部である場合を示しているが、交差点に設置されるETCの通信機又はDSRCによる通信機を利用して、通信部13を路車間通信用路側機10に同梱しても構わない。
【0015】
運転支援装置20は、車両4を運転する運転者に運転支援に関する情報を提供する装置であり、通信部(路車間通信手段)21、運転支援判断部(運転支援可否判定手段)22及び運転支援表示部(運転支援表示手段)23を備える。なお、図2では、各構成部を一体化した場合を示したが、各構成部が別筐体に分離していても構わない。特に、運転支援表示部23は、既存のカーナビゲーションシステムの表示装置を利用することが容易に考えられる。
【0016】
通信部21は、道路上に設置された路車間通信用路側機10との通信を介して情報を取得する構成部であり、運転支援に関する情報として交差点の点灯信号を示す信号情報及び自車両(車両4)の走行車線及びその通行許可方向を示す車線情報を取得する。
運転支援判断部22は、通信部21で取得された情報に基づいて、運転者に運転支援を実施するか否かを判断する構成部である。例えば、通信部21に取得された情報のうち、車両4が走行する左車線に該当する通行許可方向(直進と左折)と合致する、左矢印信号の点灯有無を示す信号情報を抽出し、当該信号情報が左矢印信号の点灯を示している場合には車両4が注意喚起の対象であると判断して、運転支援表示部23へ左矢印信号の拡大表示の要求を実施する。
【0017】
運転支援表示部23は、運転支援判断部22からの要求に従って、矢印信号の拡大表示を実施する構成部である。なお、運転支援表示部23が、矢印信号の拡大表示を行う表示時間を管理してもよい。また、矢印信号を拡大表示する時間は、ユーザが設定するようにしても構わない。既存のカーナビゲーションシステムの表示装置を運転支援表示部23として利用する場合には、例えば、地図上の交差点位置に矢印信号を拡大表示することで、運転者に対して矢印信号が示す右左折運転の支援を行うようにしてもよい。
【0018】
次に動作について説明する。
図3は、実施の形態1の運転支援装置による運転支援可否を判断する動作の一例を示すフローチャートである。以降では、運転支援装置20が、路車間通信用路側機10から路車間通信で取得した情報に基づいて、自車の通行可能方向に点灯する矢印信号が存在するか否かを判定し、存在する場合に当該矢印信号を拡大表示する処理を説明する。
先ず、路車間通信用路側機10から通信部21が路車間通信で情報を取得すると、運転支援判断部22は、通信部21が取得した情報のうち、運転支援可否の判断に用いる情報が存在するか否かを確認する(ステップST301)。
実施の形態1では、運転支援可否の判断に用いる情報は、走行車線及び当該車線の通行許可方向を示す車線情報、及び矢印信号の点灯有無を示す信号情報が該当する。
ここで、運転支援可否の判断に用いる情報が存在しない場合(ステップST301;NO)、運転支援可否の判断処理を終了する。すなわち、通信部21が次回の情報を取得するまで、運転支援可否の判断処理を行わない。
一方、運転支援可否の判断に用いる情報が存在する場合(ステップST301;YES)には、ステップST302の処理へ移行する。
【0019】
ステップST302において、運転支援判断部22は、車線情報を利用して、車両4の進行可能方向を特定する。具体的には、通信部21に取得された車線情報から、車両4の走行車線と、当該走行車線の通行許可方向から車両4が進行可能な方向とを特定する。
運転支援判断部22は、自車の進行可能方向を特定すると、通信部21によって取得された信号情報から、自車の進行可能な方向の矢印信号が点灯しているか否かを確認する(ステップST303)。ここで、自車の進行可能な方向の矢印信号が点灯していなければ(ステップST303;NO)、運転支援可否の判断処理を終了する。すなわち、通信部21が次回の情報を取得するまで、運転支援可否の判断処理を行わない。
一方、自車の進行可能な方向の矢印信号が点灯している場合(ステップST303;YES)、運転支援判断部22は、当該矢印信号の拡大表示要求を運転支援表示部23へ出力する(ステップST304)。この要求を受けると、運転支援表示部23は、当該矢印信号を表示画面に拡大表示する。
【0020】
図4は、矢印信号の拡大表示の一例を示す図である。図4に示す例は、運転支援表示部23が、カーナビゲーションシステムの表示装置を利用して矢印信号を拡大表示した場合を示している。画面23Aを画面23A−1,23A−2の二画面とし、画面23A−1には、自車が通行する交差点の地図を表示し、もう一方の画面23A−2は、自車の進行可能方向に対応する矢印信号(図示の例では左折)画像25bが画面全体に表示される。
また、運転支援判断部22からの要求に応じて運転支援音25cを出力する音声出力部を設けても構わない。例えば、注意喚起音や、「この先左折です。左矢印信号が出ています。」等の矢印信号に関する案内音声をメモリに予め記憶しておき、音声出力部が、運転支援判断部22からの要求に対応する音声をメモリから読み出して出力する。
なお、運転支援表示部23は、矢印信号の拡大表示から一定時間経過後に当該表示を消去するものとする。
矢印信号を地図画面とは別の画面に拡大表示したが、地図画面上で拡大表示してもよく、あるいは、拡大の代わりに目立つ色で表示させる、又は点滅させる、拡大して目立つ色で表示する、又は点滅させる等のようにしてもよい。矢印信号を強調表示するものであれば、表示方法はどのようなものでもよい。
【0021】
以上のように、この実施の形態1によれば、路車間通信用路側機10から取得された車線情報及び信号情報に基づいて、自車両が進行可能な方向及びこの方向を対象とする矢印信号の点灯有無を特定し、当該矢印信号が点灯している場合に、運転支援として当該矢印信号を画面上に拡大表示する。このように、路車間通信で取得した情報を利用して自車両が進行可能な方向を特定した上で、当該方向に合致する矢印信号が点灯する場合のみ拡大表示による運転支援を行う。このようにすることで、自車両の走行車線では通行不可能な矢印信号の情報については拡大表示されず、運転者に不要な支援情報を与える煩わしさを軽減することができる。
【0022】
実施の形態2.
実施の形態2では、図2に示した上記実施の形態1の構成に加えて、自車両のターンシグナル情報を取得する構成部を設けた運転支援装置について説明する。なお、実施の形態2の運転支援装置を用いる路車間通信システム自体は、実施の形態1で図1を用いて説明した構成と同様であるため、説明を省略する。
【0023】
図5は、この発明の実施の形態2による運転支援装置、及び路車間通信用路側機の構成を示すブロック図である。図5において、図2と同一の符号を付した構成部は、同一又はこれに相当する構成部であるので、重複した説明は省略する。運転支援装置20Aは、ウィンカー検出部(方向指示検出手段)24を有する。ウィンカー検出部24は、車両4の左又は右ウィンカーが点灯しているか否かの状態を検出し、当該検出結果(ウィンカー情報)を運転支援判断部22Aへ通知する構成部である。
【0024】
次に動作について説明する。
図6は、実施の形態2の運転支援装置による運転支援可否を判断する動作の一例を示すフローチャートである。以降では、運転支援装置20Aが、路車間通信用路側機10から路車間通信で取得した情報に基づいて、自車の進行方向で点灯する矢印信号が存在するか否かを判定し、存在する場合に当該矢印信号を拡大表示する処理を説明する。
先ず、路車間通信用路側機10から通信部21が路車間通信で情報を取得すると、運転支援判断部22Aは、通信部21が取得した情報のうち、運転支援可否の判断に用いる情報が存在するか否かを確認する(ステップST601)。
実施の形態2では、運転支援可否の判断に用いる情報は、走行車線及び当該車線の通行許可方向を示す車線情報、及び矢印信号の点灯有無を示す信号情報が該当する。
ここで、運転支援可否の判断に用いる情報が存在しない場合(ステップST601;NO)、運転支援可否の判断処理を終了する。すなわち、通信部21が次回の情報を取得するまで、運転支援可否の判断処理を行わない。
一方、運転支援可否の判断に用いる情報が存在する場合(ステップST601;YES)には、ステップST602の処理へ移行する。
【0025】
ステップST602において、運転支援判断部22Aは、ウインカー情報を利用して、自車の進行方向を特定する。具体的には、通信部21に取得された車線情報から、車両4の走行車線と、当該走行車線の通行許可方向から車両4が進行可能な方向とを推定し、ウィンカー情報が示すウィンカーの点灯状態から、自車の進行方向を特定する。
運転支援判断部22Aは、自車の進行方向を特定すると、通信部21によって取得された信号情報から、自車の進行方向の矢印信号が点灯しているか否かを確認する(ステップST603)。ここで、自車の進行方向の矢印信号が点灯していなければ(ステップST603;NO)、運転支援可否の判断処理を終了する。すなわち、通信部21が次回の情報を取得するまで、運転支援可否の判断処理を行わない。
一方、自車の進行方向の矢印信号が点灯している場合(ステップST603;YES)、運転支援判断部22Aは、当該矢印信号の拡大表示要求を運転支援表示部23へ出力する(ステップST604)。これにより、運転支援表示部23は、運転支援判断部22Aからの要求に従って、矢印信号の拡大表示を実施する。なお、運転支援表示部23は、拡大表示から一定時間経過後に表示情報を消去するものとする。
【0026】
以上のように、この実施の形態2によれば、路車間通信用路側機10から取得した車線情報、信号情報、及びウィンカー検出部24で検出されたウィンカー情報に基づいて、自車両の進行方向を特定し、当該進行方向を対象とする矢印信号の点灯有無から、当該矢印信号に従う運転支援の可否を判定し、自車両が進行方向を対象とする矢印信号が点灯していると、当該矢印信号を画面上に拡大表示する。このように、路車間通信で取得した情報とウィンカー情報とを利用して自車両の進行方向を特定し、当該方向に合致する矢印信号が点灯する場合にのみ、矢印信号を拡大表示して運転支援する。これにより、自車両の進行方向を対象とする矢印信号のみの情報を提供することができ、運転者に不要な情報を与える煩わしさを軽減することができる。
【0027】
実施の形態3.
実施の形態3では、図2に示した上記実施の形態1の構成に加えて、自車両の走行経路情報を取得する構成部を設けた運転支援装置について説明する。なお、実施の形態3の運転支援装置を用いる路車間通信システム自体は、実施の形態1で図1を用いて説明した構成と同様であるため、説明を省略する。
【0028】
図7は、この発明の実施の形態3による運転支援装置、及び路車間通信用路側機の構成を示すブロック図である。図7において、図2と同一の符号を付した構成部は、同一又はこれに相当する構成部であるので、重複した説明は省略する。運転支援装置20Bは、経路情報取得部(経路情報取得手段)25を有する。経路情報取得部25は、ナビゲーションシステム25Aから、自車に設定された走行経路に関する情報を取得して、この走行経路に関する情報に基づいて、直近の交差点における自車の進行方向を予測して運転支援判断部22Bへ通知する構成部である。
【0029】
次に動作について説明する。
図8は、実施の形態3の運転支援装置による運転支援可否を判断する動作の一例を示すフローチャートである。以降では、運転支援装置20Bが、路車間通信用路側機10から路車間通信で取得した情報に基づいて、自車の進行方向で点灯する矢印信号が存在するか否かを判定し、存在する場合に当該矢印信号を拡大表示する処理を説明する。
先ず、路車間通信用路側機10から通信部21が路車間通信で情報を取得すると、運転支援判断部22Bは、通信部21が取得した情報のうち、運転支援可否の判断に用いる情報が存在するか否かを確認する(ステップST801)。
実施の形態3では、運転支援可否の判断に用いる情報は、走行車線及び当該車線の通行許可方向を示す車線情報、及び矢印信号の点灯有無を示す信号情報が該当する。
ここで、運転支援可否の判断に用いる情報が存在しない場合(ステップST801;NO)、運転支援可否の判断処理を終了する。すなわち、通信部21が次回の情報を取得するまで、運転支援可否の判断処理を行わない。
一方、運転支援可否の判断に用いる情報が存在する場合(ステップST801;YES)には、ステップST802の処理へ移行する。
【0030】
ステップST802において、運転支援判断部22Bは、走行経路情報を利用して、自車の進行方向を特定する。具体的には、通信部21に取得された車線情報から、車両4の走行車線と、当該走行車線の通行許可方向から車両4が進行可能な方向とを推定し、経路情報取得部25に取得された走行経路情報に基づく交差点での自車の予測進行方向から、自車の進行方向を特定する。
運転支援判断部22Bは、自車の進行方向を特定すると、通信部21によって取得された信号情報から、自車の進行方向の矢印信号が点灯しているか否かを確認する(ステップST803)。ここで、自車の進行方向の矢印信号が点灯していなければ(ステップST803;NO)、運転支援可否の判断処理を終了する。すなわち、通信部21が次回の情報を取得するまで、運転支援可否の判断処理を行わない。
自車の進行方向の矢印信号が点灯している場合(ステップST803;YES)、運転支援判断部22Bは、当該矢印信号の拡大表示要求を運転支援表示部23へ出力する(ステップST804)。これにより、運転支援表示部23は、運転支援判断部22Bからの要求に従って、矢印信号の拡大表示を実施する。なお、運転支援表示部23は、拡大表示から一定時間経過後に表示情報を消去するものとする。
【0031】
以上のように、この実施の形態3によれば、路車間通信用路側機10から取得した車線情報、信号情報、及び経路情報取得部25で取得された自車両に設定された走行経路に関する情報に基づいて、自車両の進行方向を特定し、当該進行方向を対象とする矢印信号の点灯有無から、当該矢印信号に従う運転支援の可否を判定し、自車両が進行方向を対象とする矢印信号が点灯していると当該矢印信号を画面上に拡大表示する。このように、自車両の走行経路が設定されていた場合には、路車間通信で取得した情報と走行経路情報とを利用して自車両の進行方向を特定し、当該方向に合致する矢印信号が点灯する場合にのみ矢印信号を拡大表示して運転支援を行う。これにより、自車両の進行方向を対象とする矢印信号のみの情報を提供することができ、運転者に不要な情報を与える煩わしさを軽減することができる。
【0032】
実施の形態4.
実施の形態4では、図2に示した上記実施の形態1の構成に加えて、自車両の時刻情報及び方位情報を取得する構成部を設けた運転支援装置について説明する。なお、実施の形態4の運転支援装置を用いる路車間通信システム自体は、実施の形態1で図1を用いて説明した構成と同様であるため、説明を省略する。
【0033】
図9は、この発明の実施の形態4による運転支援装置、及び路車間通信用路側機の構成を示すブロック図である。図9において、図2と同一の符号を付した構成部は、同一又はこれに相当する構成部であるので重複した説明は省略する。運転支援装置20Cは、時刻情報取得部(時刻情報取得手段)26と方位情報取得部(方位情報取得手段)27を有する。時刻情報取得部26は、現在の時刻情報を取得して運転支援判断部22Cへ提供する構成部である。また、方位情報取得部27は、車両4の進行方向の情報を取得して運転支援判断部22Cへ提供する構成部である。GPS(Global Positioning System)衛星から時刻情報及び方位情報を取得するGPS受信機能をに設けることで、時刻情報取得部26及び方位情報取得部27を実現することができる。なお、図9において、時刻情報取得部26及び方位情報取得部27が、運転支援装置20Cの一部として記載したが、運転支援装置20Cとは別筐体の構成であっても構わない。
【0034】
次に動作について説明する。
図10は、実施の形態4の運転支援装置による運転支援可否を判断する動作の一例を示すフローチャートである。以降では、運転支援装置20Cが、太陽光の入射方向と車両の走行方位が同一又は対向する場合に運転者が矢印信号を視認しづらいと推定して、点灯する全ての矢印信号を拡大表示する処理を説明する。なお、太陽光の入射方向と車両の走行方位(進行方向)が同一又は対向する場合とは、太陽光の入射方向を水平面に投影した方位と車両の走行方位との間の角度差が所定値(例えば、10度)以下である場合のことである。
先ず、路車間通信用路側機10から通信部21が路車間通信で情報を取得すると、運転支援判断部22Cは、通信部21が取得した情報のうち、運転支援可否の判断に用いる情報が存在するか否かを確認する(ステップST1001)。
実施の形態4では、運転支援可否の判断に用いる情報は、走行車線及び当該車線の通行許可方向を示す車線情報、及び矢印信号の点灯有無を示す信号情報が該当する。
ここで、運転支援可否の判断に用いる情報が存在しない場合(ステップST1001;NO)、運転支援可否の判断処理を終了する。すなわち、通信部21が次回の情報を取得するまで、運転支援可否の判断処理を行わない。
一方、運転支援可否の判断に用いる情報が存在する場合(ステップST1001;YES)には、ステップST1002の処理へ移行する。
【0035】
ステップST1002において、運転支援判断部22Cは、自車の進行方向と太陽光の入射方向とが対向するか、又は、自車の進行方向と太陽光の入射方向とが同一で、太陽光が信号機に反射する方向であるか否かを判断する。具体的には、運転支援判断部22Cは、時刻情報取得部26によって取得された時刻情報から太陽光に入射方向を特定し、方位情報取得部27によって取得された自車の走行方位情報と対向するか、又は同一の方向であるかを判断する。
ここで、太陽光の入射方向と走行方向が対向又は同一である場合(ステップST1002;YES)、運転支援判断部22Cは、信号機の灯器信号が太陽光によって視認しづらい状況にあると判断し、ステップST1003へ遷移する。
一方、太陽光の入射方向と走行方向が対向又は同一でない場合(ステップST1002;NO)には、ステップST1004の処理へ移行する。
【0036】
ステップST1003において、運転支援判断部22Cは、通信部21によって取得された信号情報から、自車の進行方向の矢印信号が点灯しているか否かを確認する。ここで、自車の進行方向の矢印信号が点灯していなければ(ステップST1003;NO)、運転支援可否の判断処理を終了する。すなわち、通信部21が次回の情報を取得するまで、運転支援可否の判断処理を行わない。
自車の進行方向の矢印信号が点灯している場合(ステップST1003;YES)、運転支援判断部22Cは、ステップST1006の処理へ移行する。
【0037】
ステップST1004において、運転支援判断部22Cは、車線情報を利用して、車両4の進行可能方向を特定する。具体的には、通信部21に取得された車線情報から、車両4の走行車線と当該走行車線の通行許可方向から車両4が進行可能な方向とを特定する。
運転支援判断部22Cは、自車の進行可能方向を特定すると、通信部21によって取得された信号情報から、自車の進行可能な方向の矢印信号が点灯しているか否かを確認する(ステップST1005)。ここで、自車の進行可能な方向の矢印信号が点灯していなければ(ステップST1005;NO)、運転支援可否の判断処理を終了する。すなわち、通信部21が次回の情報を取得するまで、運転支援可否の判断処理を行わない。
一方、自車の進行可能な方向の矢印信号が点灯している場合(ステップST1005;YES)、運転支援判断部22Cは、ステップST1006の処理へ移行する。
【0038】
自車の進行方向の矢印信号が点灯している(ステップST1003;YES)若しくは自車の進行可能な方向の矢印信号が点灯している場合(ステップST1005;YES)に、運転支援判断部22Cは、当該矢印信号の拡大表示要求を運転支援表示部23へ出力する(ステップST1006)。これにより、運転支援表示部23は、運転支援判断部22Cからの要求に従って、矢印信号の拡大表示を実施する。なお、運転支援表示部23は、拡大表示から一定時間経過後に表示情報を消去するものとする。
【0039】
以上のように、この実施の形態4によれば、時刻情報から太陽光の入射方向を特定し、自車両の走行方位から自車両の進行方向を特定して、自車両の進行方向が太陽光の入射方向と同一又は対向する場合、自車両の進行方向を対象とする矢印信号の点灯有無から、当該矢印信号に従う運転支援の可否を判定し、車両の進行方向が太陽光の入射方向と同一又は対向しない場合は、路車間通信用路側機10から取得した車線情報及び信号情報に基づいて自車両が進行可能な方向を特定し、当該進行可能な方向を対象とする矢印信号の点灯有無から、当該矢印信号に従う運転支援の可否を判定し、太陽光の入射方向と同一又は対向する自車両の進行方向を対象とする矢印信号若しくは自車両が進行可能な方向を対象とする矢印信号が点灯していると、当該矢印信号を画面上に拡大表示する。
このように、時刻情報や自車両の走行方向が取得できる場合には、路車間通信で取得した情報に加え、時刻情報及び方位情報を利用して、太陽光の入射方向と自車の走行方位が対向する、もしくは同一であると判断した場合には、点灯する全ての矢印信号を拡大表示して運転支援を行う。これにより、太陽光で信号機の灯器信号が眩しくて視認しにくいと考えられる状況下であっても、運転者に不要な情報を与える煩わしさを軽減しつつ、矢印信号に従った運転を的確に支援することができる。
【0040】
実施の形態5.
実施の形態5では、図2に示した上記実施の形態1の構成に加えて、路車間通信で信号遷移情報、路側通信装置2から交差点までの距離、さらに自車両の車速情報を取得する構成部を設けた運転支援装置について説明する。なお、実施の形態5の運転支援装置を用いる路車間通信システム自体は、実施の形態1で図1を用いて説明した構成と同様であるため、説明を省略する。
【0041】
図11は、この発明の実施の形態5による運転支援装置、及び路車間通信用路側機の構成を示すブロック図である。図11において、図2と同一の符号を付した構成部は、同一又はこれに相当する構成部であるので重複した説明は省略する。路車間通信用路側機10Aは、交差点距離取得部15も有する。運転支援装置20Dは、車速検出部(速度情報取得手段)28も有する。
信号遷移取得部14は、路車間通信用路側機10Aに設けられ、現在の信号現示情報のみならず、一定時間経過後における信号の点灯状態の遷移を示す情報を通信部13へ提供する構成部である。例えば、現在の信号灯器は青色が点灯していて、20秒経過後に黄色へ、さらに5秒経過後に赤色と左矢印点灯に遷移するといった情報を通信部13へ与える。
交差点距離取得部15は、路車間通信用路側機10Aに設けられ、路側通信装置2から交差点までの距離を取得して通信部13へ提供する構成部である。
【0042】
また、車速検出部(速度情報取得手段)28は、運転支援装置20Dに設けられ、車両4の車速を検出して運転支援判断部22Dへ提供する構成部である。例えば、車速検出部28が、車速情報として、車速パルスを検出した後、車速検出部28自身若しくは運転支援判断部22Dが、当該車速パルスから車速を求める計算処理を行う。
【0043】
図12は、運転支援装置による動作の概略を示す状態遷移図である。State1は、運転支援判断部22Dによる運転支援可否の判断に用いる情報が、通信部21を介した路車間通信で取得できていない、若しくは、運転支援サービスを提供する対象の交差点を自車が通過している等、運転支援サービスの提供が不可能な状態を示している。State2は、運転支援サービスの提供が可能な状態を示している。State3は、State2のサブ状態であり、運転支援サービスの提供要件を満たさず、注意喚起されていない状態を示している。State4は、State2のサブ状態であり、運転支援サービスの提供要件を満たし、注意喚起されている状態を示している。
【0044】
次に動作について説明する。
図13は、実施の形態5の運転支援装置による運転支援可否を判断する動作の一例を示すフローチャートであり、図12に示したState1における動作を示している。
先ず、路車間通信用路側機10から通信部21が路車間通信で情報を取得すると、運転支援判断部22Dは、通信部21が取得した情報のうち、運転支援可否の判断に用いる情報が存在するか否かを確認する(ステップST1301)。
実施の形態5では、運転支援可否の判断に用いる情報は、走行車線及び当該車線の通行許可方向を示す車線情報、路側通信装置2から交差点までの距離、及び信号(矢印信号を含む)の点灯状態の遷移を示す信号遷移情報が該当する。
ここで、運転支援可否の判断に用いる情報が存在しない場合(ステップST1301;NO)、運転支援可否の判断処理を終了する。すなわち、通信部21が次回の情報を取得するまで、運転支援可否の判断処理を行わない。
一方、運転支援可否の判断に用いる情報が存在する場合(ステップST1301;YES)には、ステップST1302の処理へ移行する。
【0045】
ステップST1302において、運転支援判断部22Dは、車両4の交差点の予測到達時に、車両4の走行車線から進行可能な方向の矢印信号が点灯しているか否かを確認する。具体的には、運転支援判断部22Dは、車速検出部28によって取得された車速情報と、通信部21によって取得された路側通信装置2から交差点までの距離とを用いて、車両4の交差点到達所要時間を算出し、車両4の交差点への到達時刻を予測する。
また、運転支援判断部22Dは、車線情報を利用して車両4の進行可能方向を特定する。つまり、通信部21に取得された車線情報から車両4の走行車線を特定し、当該走行車線の通行許可方向から車両4が進行可能な方向を特定する。
【0046】
続いて、運転支援判断部22Dは、通信部21に取得された信号遷移情報から、交差点所要時間の経過後に、車両4の進行可能方向における矢印信号が点灯しているか否か判断する。ここで、自車の進行可能方向の矢印信号が点灯していなければ(ステップST1302;NO)、State3へ移行する。
自車の進行可能方向の矢印信号が点灯していれば(ステップST1302;YES)、運転支援判断部22Dは、当該矢印信号の拡大表示要求を運転支援表示部23へ出力する(ステップST1303)。この要求を受けると、運転支援表示部23は、当該矢印信号を表示画面に拡大表示する。この後、State4へ移行する。
【0047】
図14及び図15は、実施の形態5の運転支援装置による動作の流れを示すフローチャートであって、図12に示したState3,4における動作をそれぞれ示している。
なお、State3,4における各動作は、一定周期毎に行われる。先ず、図14のState3における動作について説明する。
運転支援判断部22Dは、車両4が交差点を通過しているか否かを確認する(ステップST1401)。具体的には、運転支援判断部22Dが、通信部21を介して取得された路側通信装置2から交差点までの距離と、路側通信装置2と路車間通信した時点からの経過時間及び車速検出部28が検出した車速を用いて算出した車両4の走行距離とを比較して、当該走行距離が大きい場合に、車両4が交差点を通過していると判断する。
【0048】
ここで、車両4が交差点を通過していた場合(ステップST1401;YES)には、運転支援判断部22Dは、サービス終了と判断して、State1に移行する。
一方、交差点を通過していない場合(ステップST1401;NO)、運転支援判断部22Dは、ステップST1402へ移行する。ステップST1402の処理は、図13で示したステップST1302の処理と同様であるので、説明を省略する。ステップST1402において、自車の進行可能方向の矢印信号が点灯していなければ(ステップST1402;NO)、何もしない。自車の進行可能方向の矢印信号が点灯していれば(ステップST1402;YES)、運転支援判断部22Dは、当該矢印信号の拡大表示要求を運転支援表示部23へ出力する(ステップST1403)。この要求を受けると、運転支援表示部23は、当該矢印信号を表示画面に拡大表示する。この後、State4へ移行する。
【0049】
図15に示すState4における動作を説明する。
運転支援判断部22Dは、車両4が交差点を通過しているか否かを確認する(ステップST1501)。ここでは、ステップST1401と同様に、運転支援判断部22Dが、通信部21を介して取得された路側通信装置2から交差点までの距離と、当該路側通信装置2と路車間通信した時点からの経過時間及び車速検出部28が検出した車速を用いて算出した車両4の走行距離とを比較して、当該走行距離が大きい場合に、車両4が交差点を通過していると判断する。
【0050】
車両4が交差点を通過していた場合(ステップST1501;YES)には、運転支援判断部22Dは、サービス終了と判断して、運転支援表示部23へ点灯する矢印信号の消去要求を出力し(ステップST1504)、State1に移行する。
ステップST1502において、運転支援判断部22Dは、車両4の交差点の予測到達時に、車両4の走行車線から進行可能な方向の矢印信号が点灯しているか否かを確認する。
具体的には、運転支援判断部22Dは、車速検出部28によって取得された車速情報と、通信部21によって取得された路側通信装置2から交差点までの距離とを用いて、車両4の交差点到達所要時間を算出し、車両4の交差点への到達時刻を予測する。
次に、運転支援判断部22Dは、車線情報を利用して車両4の進行可能方向を特定する。つまり、通信部21が取得した車線情報から車両4の走行車線を特定し、当該走行車線の通行許可方向から車両4が進行可能な方向を特定する。続いて、運転支援判断部22Dは、通信部21に取得された信号遷移情報から、交差点所要時間の経過後に、車両4の進行可能方向における矢印信号が点灯しているか否か判断する。
【0051】
自車の進行可能方向の矢印信号が点灯していなければ(ステップST1502;NO)、運転支援判断部22Dは、当該矢印信号の拡大表示要求を運転支援表示部23へ出力する(ステップST1503)。この要求を受けると、運転支援表示部23は、当該矢印信号を表示画面に拡大表示する。この後、State3へ移行する。
一方、自車の進行可能方向の矢印信号が点灯していれば(ステップST1502;YES)、運転支援判断部22Dは、何もしない。
【0052】
以上のように、この実施の形態5によれば、路車間通信用路側機10Aから、車線情報、路側通信装置2から交差点までの距離及び時間経過に伴った矢印信号の点灯状態の遷移を示す信号遷移情報を取得すると、車線情報を基に自車両が進行可能な方向を特定し、路側通信装置2から交差点までの距離及び車速検出部28が取得した自車両の走行速度を用いて、一定周期毎に自車両が交差点に到達する予測時刻を算出し、信号遷移情報に基づいて特定した予測時刻における自車両の進行可能な方向を対象とする矢印信号の点灯有無から、当該矢印信号に従う運転支援の可否を判定し、自車両が進行可能な方向を対象とする矢印信号が点灯していると、当該矢印信号を画面上に拡大表示する。
このように、信号の時間遷移情報、交差点までの距離情報が取得できる場合には、自車両の車速から交差点到達までの所要時間を算出して、交差点の予測到達時に点灯している矢印信号を拡大表示して運転支援を行う。これにより、自車の加減速や渋滞の有無によらず、矢印信号を適切な状況下で拡大表示することができる。
【0053】
また、上記実施の形態5及び後述する実施の形態において、運転支援判断部22Dからの要求に応じて、運転支援音を出力する音声出力部を設けても構わない。例えば、注意喚起音や、「まもなく、左矢印信号が出ます。」等の矢印信号に関する案内音声を予めメモリに記憶しておき、音声出力部が、運転支援判断部22Dの要求に対応する音声をメモリから読み出して出力する。
【0054】
実施の形態6.
実施の形態6では、図11に示した上記実施の形態5の構成に加えて、自車両のブレーキ情報を取得する構成部を設けた運転支援装置について説明する。なお、実施の形態6の運転支援装置を用いる路車間通信システム自体は、実施の形態1で図1を用いて説明した構成と同様であるため、説明を省略する。
【0055】
図16は、この発明の実施の形態6による運転支援装置、及び路車間通信用路側機の構成を示すブロック図である。運転支援装置20Eは、ブレーキ検出部29も有する。図16において、ブレーキ検出部29は、自車両のブレーキペダルが踏まれたか否かを示すブレーキ情報を検出して当該検出情報を運転支援判断部22Eへ提供する構成部である。なお、図16で、図11と同一の符号を付した構成部は、同一又はこれに相当する構成部であるので重複した説明は省略する。
【0056】
次に動作について説明する。
図17は、実施の形態6の運転支援装置による運転支援可否を判断する動作の一例を示すフローチャートであり、この図17に沿って動作の詳細を説明する。
先ず、路車間通信用路側機10Aから通信部21が路車間通信で情報を取得すると、運転支援判断部22Eは、通信部21が取得した情報のうち、運転支援可否の判断に用いる情報が存在するか否かを確認する(ステップST1701)。
実施の形態6では、運転支援可否の判断に用いる情報は、走行車線及び当該車線の通行許可方向を示す車線情報、路側通信装置2から交差点までの距離、及び信号(矢印信号を含む)の点灯状態の遷移を示す信号遷移情報が該当する。
ここで、運転支援可否の判断に用いる情報が存在しない場合(ステップST1701;NO)、運転支援可否の判断処理を終了する。すなわち、通信部21が次回の情報を取得するまで、運転支援可否の判断処理を行わない。
一方、運転支援可否の判断に用いる情報が存在する場合(ステップST1701;YES)には、ステップST1702の処理へ移行する。
【0057】
ステップST1702において、運転支援判断部22Eは、当該路側通信装置2と路車間通信した時点からの経過時間及び車速検出部28が検出した車速を用いて算出した車両4の走行距離と、通信部21が路車間通信で取得した路側通信装置2から交差点までの距離とを比較して、車両4が交差点を通過したか否かを判定する(ステップST1702)。車両4の走行距離が、通信部21が路車間通信で取得した路側通信装置2から交差点までの距離よりも大きい場合に、交差点を通過したと判断する。
ここで、車両4が交差点を未通過であると判断した場合(ステップST1702;NO)には、ステップST1703へ遷移する。また、交差点を通過済みであると判断した場合(ステップST1702;YES)には、ステップST1707へ遷移する。
【0058】
ステップST1703において、運転支援判断部22Eは、車両4の走行車線から、進行可能な方向の矢印信号が点灯しているか否かを確認する。すなわち、運転支援判断部22Eは、通信部21によって取得された車線情報から、車両4の走行車線を特定し、この走行車線で進行可能な方向を特定して、通信部21に取得された、信号制御装置1が提示する信号遷移情報のうち、特定した車両4が進行可能な方向を対象とする信号の遷移情報を取得し、この遷移情報から車両4の進行可能な方向への矢印信号が点灯しているか否かを確認する。車両4の進行可能な方向への矢印信号が点灯していなければ(ステップST1703;NO)、ステップ1707へ遷移する。
【0059】
車両4の進行可能な方向への矢印信号が点灯している場合(ステップST1703;YES)、運転支援判断部22Eは、車両4が交差点から一定距離以内で信号待ち状態であるか否かを確認する(ステップST1704)。ここで、交差点から一定距離以内とは、自車が信号待ちの先頭車両である場合に相当する距離である。自車が先頭車両でない場合は、矢印信号を表示しない。これは、前方車のために自車が矢印信号に従って進行できない場合があるためである。具体的には、運転支援判断部22Eは、路側通信装置2と路車間通信した時点からの経過時間及び車速検出部28が検出した車速を用いて算出した車両4の走行距離と、通信部21が取得した路側通信装置2から交差点までの距離とを用いて、車両4から交差点までの距離を算出し、車両4が交差点から一定距離内にいるか否かを判断する。車両4が交差点から一定距離内にいる場合に、運転支援判断部22Eは、ブレーキ検出部29が取得したブレーキ情報に基づき、車両4の車速が車間調整を行う程度の徐行速度以下であり、かつブレーキを踏んでいることを確認する。これにより、車両4が交差点から一定距離以内で信号待ち状態であるか否かを確認する。
【0060】
車両4が信号待ち状態である場合(ステップST1704;YES)、運転支援判断部22Eは、車両4の進行可能な方向の矢印信号が点灯しており、かつ車両4が交差点付近で信号待ちしている状態で、運転者が、車両4の進行可能方向の矢印信号が点灯に遷移したことを見落としていると判断し、運転支援表示部23で当該矢印信号を拡大表示しているか否かを判定する(ステップST1705)。ここで、既に矢印信号を拡大表示していれば(ステップST1705;YES)、運転支援判断部22Eは、処理を終了する。
矢印信号を拡大表示していない場合(ステップST1705;NO)、運転支援判断部22Eは、当該矢印信号の拡大表示要求を運転支援表示部23へ出力する(ステップST1706)。この要求を受けると、運転支援表示部23は、当該矢印信号を表示画面に拡大表示する。これにより、運転者に対して、自車の進行可能な方向における矢印信号が既に点灯していることを強調して報知することができる。
【0061】
一方、車両4が信号待ち状態でなかった場合(ステップST1704;NO)、運転支援判断部22Eは、前方車があるために運転支援をしないと判断し、運転支援表示部23で当該矢印信号を拡大表示しているか否かを判定する(ステップST1707)。ここで、矢印信号が拡大表示されていなれば(ステップST1707;NO)、運転支援判断部22Eは、処理を終了する。
矢印信号を拡大表示していた場合(ステップST1707;YES)、運転支援判断部22Eは、当該矢印信号の拡大表示の消去要求を運転支援表示部23へ出力する(ステップST1708)。この要求を受けると、運転支援表示部23は、当該矢印信号の拡大表示を表示画面から消去して処理を終了する。
【0062】
なお、実施の形態6における運転支援装置20Eでは、初回動作時は、図17に示すフローチャート通りに確認作業を実行するが、二回目以降の動作時には、路車間通信用路側機10から、運転支援可否の判断に必要な情報を既に取得済みであるため、ステップST1702からステップST1705までの処理のみを実行する。
【0063】
以上のように、この実施の形態6によれば、路車間通信用路側機10Aから、車線情報、路側通信装置2から交差点までの距離及び時間経過に伴った矢印信号の点灯状態の遷移を示す信号遷移情報を取得すると、車線情報を基に自車両が進行可能な方向を特定し、路側通信装置2から交差点までの距離及び車速検出部28が取得した自車両の走行速度を用いて、一定周期毎に自車両が交差点に到達する予測時刻を算出し、信号遷移情報に基づいて特定した予測時刻における自車両の進行可能な方向を対象とする矢印信号の点灯有無から、当該矢印信号に従う運転支援の可否を判定し、自車両が進行可能な方向を対象とする矢印信号が点灯しており、かつブレーキ検出部29が交差点付近で自車両が停車していることを検出すると、当該矢印信号を画面上に拡大表示する。
このように、信号の時間遷移情報、交差点までの距離情報が取得できる場合には、自車両の車速とブレーキ情報から、自車両の進行可能な方向を対象とする矢印信号が点灯し、かつ運転者が信号待ち状態である場合には、自車両の進行可能な方向を対象とする矢印信号を拡大表示して運転支援を行う。これにより、信号待ちで運転者が現示の信号遷移を見落としていると考えられる状況下であっても、信号の点灯状態が遷移して自車両の進行可能方向の矢印信号が点灯したことを運転支援として提供することで、矢印信号の見落としで発生する渋滞などを緩和することができる。
【0064】
実施の形態7.
実施の形態7では、図11に示した上記実施の形態5の構成に加えて、自車両の前方を走行する車両を検出する構成部を設けた運転支援装置について説明する。なお、実施の形態7の運転支援装置を用いる路車間通信システム自体は、実施の形態1で図1を用いて説明した構成と同様であるため、説明を省略する。
【0065】
図18は、この発明の実施の形態7による運転支援装置、及び路車間通信用路側機の構成を示すブロック図である。運転支援装置20Fは、前方車検出部(前方物体検出手段)30も有する。図18において、前方車検出部30は、車両4の前方を走行する車両の存在を検出して当該検出情報を運転支援判断部22Fへ提供する構成部である。前方車検出部30は、例えば、車両4に搭載した前方車両を検出するミリ波レーダ等のセンサ類で実現することができるが、路車間通信用路側機10Aから路車間通信で提供される障害物の情報を利用して前方車を特定してもよい。後者の場合は、路上に設置された画像センサ等から検出された障害物情報を路車間通信を介して通信部21から取得することになる。なお、図18で、図11と同一の符号を付した構成部は、同一又はこれに相当する構成部であるので重複した説明は省略する。
【0066】
次に動作について説明する。
図19は、実施の形態7の運転支援装置による運転支援可否を判断する動作の一例を示すフローチャートであり、上記実施の形態5の図12に示したState1における動作を示している。
先ず、路車間通信用路側機10Aから通信部21が路車間通信で情報を取得すると、運転支援判断部22Fは、通信部21及び前方車検出部30が取得した各情報のうち、運転支援可否の判断に用いる情報が存在するか否かを確認する(ステップST1901)。
実施の形態7では、運転支援可否の判断に用いる情報は、走行車線及び当該車線の通行許可方向を示す車線情報、路側通信装置2から交差点までの距離、信号(矢印信号を含む)の点灯状態の遷移を示す信号遷移情報、及び前方車両の有無を示す情報が該当する。
ここで、運転支援可否の判断に用いる情報が存在しない場合(ステップST1901;NO)、運転支援可否の判断処理を終了する。すなわち、通信部21が次回の情報を取得するまで、運転支援可否の判断処理を行わない。
一方、運転支援可否の判断に用いる情報が存在する場合(ステップST1901;YES)には、ステップST1902の処理へ移行する。
【0067】
ステップST1902において、運転支援判断部22Fは、車両4の交差点の予測到達時に、車両4の走行車線から進行可能な方向の矢印信号が点灯しているか否かを確認する。
具体的には、運転支援判断部22Fは、車速検出部28によって取得された車速情報と、通信部21によって取得された路側通信装置2から交差点までの距離とを用いて、車両4の交差点到達所要時間を算出し、車両4の交差点への到達時刻を予測する。
また、運転支援判断部22Fは、車線情報を利用して車両4の進行可能方向を特定する。つまり、通信部21に取得された車線情報から車両4の走行車線を特定し、当該走行車線の通行許可方向から車両4が進行可能な方向を特定する。
【0068】
続いて、運転支援判断部22Fは、通信部21に取得された信号遷移情報から、交差点所要時間の経過後に、車両4の進行可能方向における矢印信号が点灯しているか否か判断する。ここで、自車の進行可能方向の矢印信号が点灯していなければ(ステップST1902;NO)、State3へ移行する。
自車の進行可能方向の矢印信号が点灯していれば(ステップST1902;YES)、運転支援判断部22Fは、前方車検出部30から取得した前方車両の有無を示す情報に基づいて、車両4(自車両)の前方を走行する車両が存在するか否かを判定する(ステップST1903)。前方車が存在する場合(ステップST1903;YES)、運転支援判断部22Fは、State3へ移行する。
前方車が存在しない場合(ステップST1903;NO)、運転支援判断部22Fは、当該矢印信号の拡大表示要求を運転支援表示部23へ出力する(ステップST1904)。この要求を受けると、運転支援表示部23は、当該矢印信号を表示画面に拡大表示する。この後、State4へ移行する。
【0069】
図20及び図21は、実施の形態7の運転支援装置による動作の流れを示すフローチャートであって、実施の形態7の運転支援装置による図12に示したState3,4における動作をそれぞれ示している。
なお、State3,4における各動作は、一定周期毎に行われる。先ず、図20のState3における動作について説明する。
運転支援判断部22Fは、車両4が交差点を通過しているか否かを確認する(ステップST2001)。具体的には、運転支援判断部22Fが、通信部21を介して取得された路側通信装置2から交差点までの距離と、路側通信装置2と路車間通信した時点からの経過時間及び車速検出部28が検出した車速を用いて算出した車両4の走行距離とを比較して、当該走行距離が大きい場合に、車両4が交差点を通過していると判断する。
【0070】
ここで、車両4が交差点を通過していた場合(ステップST2001;YES)には、運転支援判断部22Fは、サービス終了と判断して、State1に移行する。
一方、交差点を通過していない場合(ステップST2001;NO)、運転支援判断部22Fは、ステップST2002へ移行する。ステップST2002の処理は、上記実施の形態5で説明した図13のステップST1302と同様であるので、説明を省略する。
ステップST2002において、自車の進行可能方向の矢印信号が点灯していなければ(ステップST2002;NO)、何もしない。
自車の進行可能方向の矢印信号が点灯していれば(ステップST2002;YES)、運転支援判断部22Fは、前方車検出部30から取得した前方車両の有無を示す情報に基づいて、車両4(自車両)の前方を走行する車両が存在するか否かを判定する(ステップST2003)。ここで、前方車が存在する場合(ステップST2003;YES)、運転支援判断部22Fは、何もしない。
一方、前方車が存在しない場合(ステップST2003;NO)、運転支援判断部22Fは、当該矢印信号の拡大表示要求を運転支援表示部23へ出力する(ステップST2004)。この要求を受けると、運転支援表示部23は、当該矢印信号を表示画面に拡大表示する。この後、State4へ移行する。
【0071】
図21に示すState4における動作を説明する。
運転支援判断部22Fは、車両4が交差点を通過しているか否かを確認する(ステップST2101)。ここでは、運転支援判断部22Fが、通信部21を介して取得された路側通信装置2から交差点までの距離と、当該路側通信装置2と路車間通信した時点からの経過時間及び車速検出部28が検出した車速を用いて算出した車両4の走行距離とを比較し、当該走行距離が大きい場合に、車両4が交差点を通過していると判断する。
【0072】
車両4が交差点を通過していた場合(ステップST2101;YES)には、運転支援判断部22Fは、サービス終了と判断して、運転支援表示部23へ点灯する矢印信号の消去要求を出力する(ステップST2105)。この要求を受けると、運転支援表示部23は、当該矢印信号の拡大表示を表示画面から消去する。この後、State1に移行する。
【0073】
車両4が交差点を通過していない場合(ステップST2101;NO)、運転支援判断部22Fは、車両4の交差点の予測到達時に、車両4の走行車線から進行可能な方向の矢印信号が点灯しているか否かを確認する(ステップST2102)。
具体的には、運転支援判断部22Fは、車速検出部28によって取得された車速情報と、通信部21によって取得された路側通信装置2から交差点までの距離とを用いて、車両4の交差点到達所要時間を算出し、車両4の交差点への到達時刻を予測する。
次に、運転支援判断部22Fは、車線情報を利用して車両4の進行可能方向を特定する。つまり、通信部21が取得した車線情報から車両4の走行車線を特定し、当該走行車線の通行許可方向から車両4が進行可能な方向を特定する。続いて、運転支援判断部22Fは、通信部21に取得された信号遷移情報から、交差点所要時間の経過後に、車両4の進行可能方向における矢印信号が点灯しているか否か判断する。
【0074】
自車の進行可能方向の矢印信号が点灯していなければ(ステップST2102;NO)、運転支援判断部22Fは、当該矢印信号の拡大表示の消去要求を運転支援表示部23へ出力する(ステップST2104)。この要求を受けると、運転支援表示部23は、当該矢印信号の拡大表示を表示画面から消去し、State3へ移行する。
一方、自車の進行可能方向の矢印信号が点灯していれば(ステップST2102;YES)、運転支援判断部22Fは、前方車検出部30から取得した前方車両の有無を示す情報に基づいて、車両4(自車両)の前方を走行する車両が存在するか否かを判定する(ステップST2103)。
前方車が存在する場合(ステップST2103;YES)に、運転支援判断部22Fは、矢印信号の拡大消去要求を運転支援表示部23へ出力する(ステップST2104)。この要求を受けると、運転支援表示部23は、当該矢印信号の拡大表示を表示画面から消去し、State3へ移行する。
前方車が存在しなければ(ステップST2103;NO)、運転支援判断部22Fは、何もしない。
【0075】
以上のように、この実施の形態7によれば、自車両の前方に存在する車両を検出する前方車検出部30を備え、運転支援判断部22Fが、前方車検出部30が自車両の前方車を検出すると、運転支援表示部23に対して運転支援要求をしない。このように、自車両の前方に車両がいるか否か取得できる場合には、前方車両の挙動に走行が依存するため、自車両の交差点の予測到達時に点灯している矢印信号の拡大表示を行わない。これにより、前方車両の有無等の交通状態の変化に応じた適切な状況下で矢印信号を拡大表示することができる。
【0076】
実施の形態8.
実施の形態8では、図11に示した上記実施の形態5の構成に加えて、自車が走行する道路の対向車両の検出情報を取得する構成部を設けた運転支援装置について説明する。
図22は、この発明の実施の形態8による路車間通信システムの構成を示す図であり、右側の車線を走行する車両4に対して、右矢印信号の点灯に関する情報を提供することで運転支援を行うシステムを示している。なお、図22において、図1と同一又はこれに相当する構成要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0077】
路側通信装置(路側機)3は、交差点を覆う程度の広さの通信エリア3aを有し、当該通信エリア3a内に進入した車両に搭載された運転支援装置20との間で一定周期で狭域無線通信を行う装置である。例えば、DSRC路側機を用いて実現することができる。
なお、図22において、路側通信装置3は、路車間通信用路側機10Bが保有する任意のデータを所定の形式にエンコードし、通信エリア3a内の右側車線から交差点に進入する車両4に送信する。路車間通信用路側機10Bが保有する任意のデータとしては、例えば、後述する障害物検出装置5で検出された障害物の情報、信号制御装置1が取得した信号情報等が挙げられる。
【0078】
障害物検出装置(対向車検出手段)5は、例えば、設置用ポールを介して道路上に設置され、自身が設置された道路の直下の車線に検出エリア5aを有する検出装置であり、当該検出エリア5a内に進入した障害物(図22の例では、車両4の対向車両である車両6)を検出する。例えば、画像センサやレーザレーダ等を用いて実現される。
また、障害物の検出情報としては、障害物の個数や移動速度、位置(例えば、交差点からの距離等)が挙げられる。つまり、図22では、車両4の対向車両の個数や移動速度、位置が対向車両の検出情報として取得される。
対向車両(車両6)の検出情報(障害物の検出情報)は、障害物検出装置5から路車間通信用路側機10Bへ送信され、路車間通信用路側機10Bから路側通信装置2による路車間通信を介して車両4に搭載した運転支援装置20Gへ送信される。なお、路側通信装置2の通信エリア2a内では、運転支援装置20Gは、一定周期で逐次更新された障害物の検出情報等を取得することができる。
【0079】
路車間通信用路側機10Bは、信号制御装置1、路側通信装置2、及び路側通信装置3に接続されており、自身が保有する任意のデータを所定の形式にエンコードして、路側通信装置2を介して車両4へ送信する通信装置である。路車間通信用路側機10Bが保有する任意のデータとしては、例えば、交差点や停止線から路側通信装置2までの距離、車線毎の通行許可方向を示す情報、障害物の検出情報等が挙げられる。また、路車間通信用路側機10Bは、車両4の運転支援装置20Gからアップリンク情報を受信すると、車両4の走行車線に係る情報を取得して提供する。
【0080】
図23は、実施の形態8による運転支援装置、及び路車間通信用路側機の構成を示すブロック図である。路車間通信用路側機10Bは、障害物検出部(対向車検出手段)16も有する。図23において、障害物検出部(対向車検出手段)16は、車両4の対向車線を走行する車両6等の障害物を検出し、検出した障害物の移動速度や位置に関する情報を通信部13へ提供する構成部である。なお、障害物検出部16は、図22で示した障害物検出装置5に相当するものであり、図22に示すように、障害物検出装置5として路車間通信用路側機10Bとは別体に設けてもよく、図23に示すように路車間通信用路側機10Bに同梱してもよい。
【0081】
通信部13は、各車線の直上位置に取り付けた路側通信装置2,3を用いた通信によって、車両4に搭載した運転支援装置20Gに対して情報を提供する構成部である。つまり、通信部13は、路側通信装置2を用いて、例えばカーナビゲーションシステムのVICS情報の提供に使用される光ビーコンによる路車間通信を介して、車線取得部12で取得された車両4の走行車線を示す車線情報と、信号遷移取得部14で取得された信号の現示情報や遷移情報と、交差点距離取得部15で取得された交差点までの距離とを運転支援装置20Gへ送信する。さらに、通信部13は、路側通信装置3を用いて、例えば、ETC等の5.8GHz帯のDSRCによる路車間通信を介して、信号遷移取得部14で取得された信号の現示情報と、障害物検出部16で取得された障害物の台数や移動速度、位置を示す障害物検出情報とを運転支援装置20Gへ送信する。
なお、実施の形態8における通信部13は、上述のように2種類の通信メディアを利用しているため、図22に示した路側通信装置2,3のように、路車間通信用路側機10Bとそれぞれ別体として構成してもよく、図23に示すように路車間通信用路側機10Bに同梱してもよい。
【0082】
次に動作について説明する。
図24は、実施の形態8の運転支援装置による運転支援可否を判断する動作の一例を示すフローチャートであり、上記実施の形態5の図12に示したState1における動作を示している。
先ず、路車間通信用路側機10Bから通信部21が路車間通信で情報を取得すると、運転支援判断部22Gは、通信部21が取得した各情報のうち、運転支援可否の判断に用いる情報が存在するか否かを確認する(ステップST2401)。
実施の形態8では、運転支援可否の判断に用いる情報は、走行車線及び当該車線の通行許可方向を示す車線情報、路側通信装置2から交差点までの距離、信号(矢印信号を含む)の点灯状態の遷移を示す信号遷移情報、対向車両の検出情報が該当する。
ここで、運転支援可否の判断に用いる情報が存在しない場合(ステップST2401;NO)、運転支援可否の判断処理を終了する。すなわち、通信部21が次回の情報を取得するまで、運転支援可否の判断処理を行わない。
一方、運転支援可否の判断に用いる情報が存在する場合(ステップST2401;YES)には、ステップST2402の処理へ移行する。
【0083】
ステップST2402において、運転支援判断部22Gは、通信部21に取得された信号遷移情報から、交差点所要時間の経過後に、車両4の進行可能方向における矢印信号が点灯しているか否か判断する。ここで、自車の進行可能方向の矢印信号が点灯していなければ(ステップST2402;NO)、State3へ移行する。
自車の進行可能方向の矢印信号が点灯していれば(ステップST2402;YES)、運転支援判断部22Gは、路車間通信用路側機10Bから通信部21が路車間通信で取得した対向車両の検出情報に基づいて、車両4の対向車両(車両6)が存在するか否かを判定する(ステップST2403)。対向車両が存在する場合(ステップST2403;YES)、運転支援判断部22Gは、State3へ移行する。
対向車両が存在しない場合(ステップST2403;NO)、運転支援判断部22Gは、矢印信号の拡大表示要求を運転支援表示部23へ出力する(ステップST2404)。この要求を受けると、運転支援表示部23は、当該矢印信号を表示画面に拡大表示する。この後、State4へ移行する。
【0084】
図25及び図26は、実施の形態8の運転支援装置による動作の流れを示すフローチャートであって、実施の形態8の運転支援装置による図12に示したState3,4における動作をそれぞれ示している。
なお、State3,4における各動作は、一定周期毎に行われる。先ず、図25のState3における動作について説明する。
運転支援判断部22Gは、車両4が交差点を通過しているか否かを確認する(ステップST2501)。具体的には、運転支援判断部22Gが、通信部21を介して取得された路側通信装置2から交差点までの距離と、路側通信装置2と路車間通信した時点からの経過時間及び車速検出部28が検出した車速を用いて算出した車両4の走行距離とを比較して、当該走行距離が大きい場合に、車両4が交差点を通過していると判断する。
【0085】
ここで、車両4が交差点を通過していた場合(ステップST2501;YES)には、運転支援判断部22Gは、サービス終了と判断して、State1に移行する。
一方、交差点を通過していない場合(ステップST2501;NO)、運転支援判断部22Gは、ステップST2502へ移行する。ステップST2502の処理は、上記実施の形態5で説明した図13のステップST1302と同様であるので、説明を省略する。
ステップST2502において、自車の進行可能方向の矢印信号が点灯していなければ(ステップST2502;NO)、何もしない。
自車の進行可能方向の矢印信号が点灯していれば(ステップST2502;YES)、運転支援判断部22Gは、路車間通信用路側機10から通信部21が路車間通信で取得した対向車両の検出情報に基づいて、車両4の対向車両(車両6)が存在するか否かを判定する(ステップST2503)。ここで、対向車両が存在する場合(ステップST2503;YES)、運転支援判断部22Gは、何もしない。
一方、対向車両が存在しない場合(ステップST2503;NO)、運転支援判断部22Gは、当該矢印信号の拡大表示要求を運転支援表示部23へ出力する(ステップST2504)。この要求を受けると、運転支援表示部23は、当該矢印信号を表示画面に拡大表示する。この後、State4へ移行する。
【0086】
図26に示すState4における動作を説明する。
運転支援判断部22Gは、車両4が交差点を通過しているか否かを確認する(ステップST2601)。ここでは、運転支援判断部22Gが、通信部21を介して取得された路側通信装置2から交差点までの距離と、当該路側通信装置2と路車間通信した時点からの経過時間及び車速検出部28が検出した車速を用いて算出した車両4の走行距離とを比較し、当該走行距離が大きい場合に、車両4が交差点を通過していると判断する。
【0087】
車両4が交差点を通過していた場合(ステップST2601;YES)には、運転支援判断部22Gは、サービス終了と判断して、運転支援表示部23へ点灯する矢印信号の消去要求を出力する(ステップST2605)。この要求を受けると、運転支援表示部23は、当該矢印信号の拡大表示を表示画面から消去する。この後、State1に移行する。
【0088】
車両4が交差点を通過していない場合(ステップST2601;NO)、運転支援判断部22Gは、車両4の交差点の予測到達時に、車両4の走行車線から進行可能な方向の矢印信号が点灯しているか否かを確認する(ステップST2602)。
具体的には、運転支援判断部22Gは、車速検出部28によって取得された車速情報と、通信部21によって取得された路側通信装置2から交差点までの距離とを用いて、車両4の交差点到達所要時間を算出し、車両4の交差点への到達時刻を予測する。
次に、運転支援判断部22Gは、車線情報を利用して車両4の進行可能方向を特定する。つまり、通信部21が取得した車線情報から車両4の走行車線を特定し、当該走行車線の通行許可方向から車両4が進行可能な方向を特定する。続いて、運転支援判断部22Gは、通信部21に取得された信号遷移情報から、交差点所要時間の経過後に、車両4の進行可能方向における矢印信号が点灯しているか否か判断する。
【0089】
自車の進行可能方向の矢印信号が点灯していなければ(ステップST2602;NO)、運転支援判断部22Gは、当該矢印信号の拡大表示の消去要求を運転支援表示部23へ出力する(ステップST2604)。この要求を受けると、運転支援表示部23は、当該矢印信号の拡大表示を表示画面から消去し、State3へ移行する。
一方、自車の進行可能方向の矢印信号が点灯していれば(ステップST2602;YES)、運転支援判断部22Gは、路車間通信用路側機10Bから通信部21が路車間通信で取得した対向車両の検出情報に基づいて、車両4の対向車両(車両6)が存在するか否かを判定する(ステップST2603)。
対向車両が存在する場合(ステップST2603;YES)、運転支援判断部22Gは、矢印信号の拡大消去要求を運転支援表示部23へ出力する(ステップST2604)。この要求を受けると、運転支援表示部23は、当該矢印信号の拡大表示を表示画面から消去し、State3へ移行する。
対向車両が存在しなければ(ステップST2603;NO)、運転支援判断部22Gは、何もしない。
【0090】
以上のように、この実施の形態8によれば、自車両の対向車両を検出する障害物検出部16を備え、障害物検出部16が対向車両を検出すると、運転支援判断部22Gが、運転支援表示部23に対して運転支援要求をしない。このように、自車両の対向車線に車両がいるか否か取得できる場合には、自車両は対向車両の存在によって右折を行うことが不可能であるために、自車両の交差点の予測到達時に点灯している矢印信号を拡大表示しない。これにより、対向車両の有無等の交通状態の変化に応じた適切な状況下で矢印信号を拡大表示することができる。
【0091】
実施の形態9.
実施の形態9では、図2に示した上記実施の形態1の構成に加えて、自車両走行位置に関するGPS位置情報、自車両の周辺環境に関する情報、及び地図情報を取得する構成部を設けた運転支援装置について説明する。なお、実施の形態9の運転支援装置を用いる路車間通信システム自体は、実施の形態1で図1を用いて説明した構成と同様であるため、説明を省略する。
【0092】
図27は、実施の形態9による運転支援装置、及び路車間通信用路側機の構成を示すブロック図である。図27において、図2と同一の符号を付した構成部は、同一又はこれに相当する構成部であるので重複した説明は省略する。運転支援装置20Hは、GPS位置情報取得部(位置情報取得手段)31、周辺環境検出部(撮像情報取得手段)32、地図情報記憶部(地図情報記憶手段)33も有する。GPS位置情報取得部31は、天体上の位置を示す座標情報である緯度、経度で構成されるGPS位置情報を取得して運転支援判断部22Hへ提供する構成部である。なお、GPS位置情報取得部31は、例えば、カーナビゲーションシステムのように、運転支援装置20Hと一体の構成に限らず、例えば、GPS受信機として別体であってもよい。
【0093】
周辺環境検出部32は、車両4の走行する周辺環境から、信号(矢印信号を含む)の点灯の有無を示す信号検出情報及び車両4の走行車線に関する車線検出情報を検出して、運転支援判断部22Hへ提供する構成部である。例えば、周辺環境検出部32は、車両4の前部に設けたカメラを備えて構成され、当該カメラで撮影した車両4の前方の映像データを画像解析して、信号機や道路上の白線を認識することで、信号検出情報及び車線検出情報を取得する。
なお、図27において、周辺環境検出部32を運転支援装置20Hと一体に構成した場合を示したが、別体に分離していても構わない。周辺環境検出部32で車両4の周辺環境の映像を取得するための機器としては、既存のカーナビゲーションシステムに利用されるカメラや、車両に搭載した画像センサ等を利用する。
【0094】
地図情報記憶部33は、道路の位置、主要交差点の形状、及び、車線毎の交差点通行許可方向等を示す地図情報を記憶する記憶部であり、運転支援判断部22Hによって所望の情報が適宜読み出されて、運転支援可否の判断に用いられる。
なお、GPS位置情報取得部31で取得された自車両の位置情報と、地図情報における車線情報とから、自車両が走行する車線を特定するようにしてもよい。
【0095】
次に動作について説明する。
図28は、実施の形態9の運転支援装置による運転支援可否を判断する動作の一例を示すフローチャートであり、この図28に沿って動作の詳細を説明する。
先ず、路車間通信用路側機10から通信部21が路車間通信で情報を取得すると、運転支援判断部22Hは、通信部21が取得した情報(通信部21の受信データ)が有効か否かを確認する(ステップST2801)。すなわち、運転支援判断部22Hが、路車間通信用路側機10が正常に稼動していない場合や、通信部21の受信データに異常のある場合等に該当するか否かを、通信部21の受信データ内容から確認する。
【0096】
ここで、通信部21が取得した情報が有効である場合(ステップST2801;YES)、ステップST2802の処理へ移行する。
一方、通信部21が取得した情報が有効でない場合(ステップST2801;NO)には、ステップST2805の処理へ移行する。
【0097】
ステップST2802において、運転支援判断部22Hは、通信部21が取得した情報のうち、運転支援可否の判断に用いる情報が存在するか否かを確認する。
ここで、運転支援可否の判断に用いる情報が存在しない場合(ステップST2802;NO)、運転支援可否の判断処理を終了する。すなわち、通信部21が次回の情報を取得するまで、運転支援可否の判断処理を行わない。
一方、運転支援可否の判断に用いる情報が存在する場合(ステップST2802;YES)には、ステップST2803の処理へ移行する。
【0098】
ステップST2803において、運転支援判断部22Hは、車線情報を利用して、車両4の進行可能方向を特定する。具体的には、通信部21に取得された車線情報から、車両4の走行車線と、当該走行車線の通行許可方向から車両4が進行可能な方向とを特定する。
運転支援判断部22Hは、自車の進行可能方向を特定すると、通信部21が取得した信号情報から、自車の進行可能な方向の矢印信号が点灯しているか否かを確認する(ステップST2804)。ここで、自車の進行可能な方向の矢印信号が点灯していなければ(ステップST2804;NO)、運転支援可否の判断処理を終了する。すなわち、通信部21が次回の情報を取得するまで、運転支援可否の判断処理を行わない。
一方、自車の進行可能な方向の矢印信号が点灯している場合(ステップST2804;YES)、運転支援判断部22Hは、当該矢印信号の拡大表示要求を運転支援表示部23へ出力して処理を終了する(ステップST2807)。この要求を受けると、運転支援表示部23は、当該矢印信号を表示画面に拡大表示する。なお、運転支援表示部23は、拡大表示から一定時間経過後に表示情報を消去するものとする。
【0099】
ステップST2805において、運転支援判断部22Hは、GPS位置情報取得部31と周辺環境検出部32によって取得された検出情報、及び、地図情報記憶部33から読み出した地図情報を利用して、車両4の進行可能方向を特定する。具体的には、運転支援判断部22Hが、GPS位置情報取得部31によって取得された車両4のGPS位置情報と、地図情報記憶部33から読み出した地図情報とを用いて、車両4の走行道路上の位置と走行方向から進入可能な交差点における車線毎の通行許可方向を特定し、さらに、当該特定した車線毎の通行許可方向を示す情報と、周辺環境検出部32が検出した車線検出情報とを用いて、車両4の進行可能方向を特定する。
【0100】
次に、運転支援判断部22Hは、周辺環境検出部32が検出した信号検出情報から、車両4の進行可能方向、すなわち車両4の前方に、点灯している矢印信号が存在するか否かを確認する(ステップST2806)。ここで、点灯する矢印信号が存在しない場合(ステップST2806;NO)には、処理を終了する。
一方、点灯する矢印信号が存在すれば(ステップST2806;YES)、運転支援判断部22Hは、上述したステップST2807の処理に移行する。
【0101】
以上のように、この実施の形態9によれば、運転支援判断部22Hが、路車間通信用路側機10から取得した車線情報及び信号情報が有効でない場合に、地図情報記憶部33から読み出した自車両の周辺の地図情報、GPS位置情報取得部31が取得した自車両の位置情報及び周辺環境検出部32が撮像した自車両の前方の撮像画像を画像解析した結果から、自車両が進行可能な方向及び当該進行可能な方向を対象とする矢印信号の点灯有無を特定し、当該進行可能な方向を対象とする矢印信号の点灯有無から当該矢印信号に従う運転支援の可否を判定する。このように、路車間通信で取得した情報が有効でない場合には、他の機器等から取得した情報を利用して自車両の通行許可方向を特定し、当該方向に合致する矢印信号が点灯する場合にのみ拡大表示して運転支援を行う。これにより、路車間通信で取得した情報の有効性によらず、運転者に対して自車両の通行可能な矢印信号を拡大表示することができる。
【0102】
なお、本発明は、その発明の精神の範囲内において各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは変形が可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 信号制御装置、2,3 路側通信装置(路側機)、2a,3a,5a 通信エリア、4,6 車両、5 障害物検出装置、10,10A,10B 路車間通信用路側機(路側機)、11 信号取得部、12 車線取得部、13,21 通信部(路車間通信手段)、20,20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G,20H 運転支援装置、22,22A,22B,22C,22D,22E,22F,22G,22H 運転支援判断部(運転支援可否判定手段)、23 運転支援表示部(運転支援表示手段)、23A,23A−1,23A−2 画面、24 ウィンカー検出部(方向指示検出手段)、25 経路情報取得部(経路情報取得手段)、25A ナビゲーションシステム、25b 画像、25c 運転支援音、26 時刻情報取得部(時刻情報取得手段)、27 方位情報取得部(方位情報取得手段)、28 車速検出部(速度情報取得手段)、29 ブレーキ検出部(停車検出手段)、30 前方車検出部(前方物体検出手段)、31 GPS位置情報取得部(位置情報取得手段)、32 周辺環境検出部(撮像情報取得手段)、33 地図情報記憶部(地図情報記憶手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路上に設置された路側機との間で通信を行う路車間通信手段と、
前記路車間通信手段による通信で前記路側機から取得した、車両の走行車線と当該車線での車両の通行許可方向を示す車線情報、及び当該通行許可方向を対象とする矢印信号の点灯有無を示す信号情報に基づいて、自車両が進行可能な方向を特定し、当該進行可能な方向を対象とする矢印信号の点灯有無から当該矢印信号に従う運転支援の可否を判定する運転支援可否判定手段と、
前記運転支援可否判定手段からの要求により当該矢印信号を画面上に強調表示する運転支援表示手段とを備えた運転支援装置。
【請求項2】
自車両に搭載された方向指示器の方向指示を検出する方向指示検出手段を備え、
前記運転支援可否判定手段は、さらに前記方向指示検出手段で検出された方向指示を示す情報にも基づいて自車両の進行方向を特定し、自車両が進行可能な方向の中で当該進行方向を対象とする矢印信号について当該矢印信号に従う運転支援の可否を判定することを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項3】
自車両に設定された走行経路に関する情報を取得する経路情報取得手段を備え、
前記運転支援可否判定手段は、さらに前記経路情報取得手段で取得された前記走行経路に関する情報にも基づいて自車両の進行方向を特定し、自車両が進行可能な方向の中で当該進行方向を対象とする矢印信号について当該矢印信号に従う運転支援の可否を判定することを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項4】
現在時刻を示す時刻情報を取得する時刻情報取得手段と、
自車両の走行方位を示す情報を取得する方位情報取得手段とを備え、
前記運転支援可否判定手段は、前記時刻情報取得手段に取得された時刻情報から太陽光の入射方向を特定し、前記方位情報取得手段に取得された走行方位から自車両の進行方向を特定して、自車両の進行方向と太陽光の入射方向との角度差が所定値以内かどうかを判断し、前記所定値以内の場合は、点灯する全ての矢印信号について当該矢印信号に従う運転支援の可否を判定することを特徴とする請求項1記載の運転支援装置。
【請求項5】
自車両の走行速度を示す情報を取得する速度情報取得手段を備え、
前記運転支援可否判定手段は、
前記路車間通信手段による通信で前記路側機から、前記車線情報、当該路側機から交差点までの距離及び時間経過に伴った矢印信号の点灯状態の遷移を示す信号遷移情報を取得すると、前記車線情報を基に自車両が進行可能な方向を特定し、
前記路側機から交差点までの距離及び前記速度情報取得手段が取得した自車両の走行速度を用いて、一定周期毎に自車両が交差点に到達する予測時刻を算出し、
前記信号遷移情報に基づいて特定した前記予測時刻における自車両の進行可能な方向を対象とする矢印信号の点灯有無から、当該矢印信号に従う運転支援の可否を判定し、前記予測時刻において自車両が進行可能な方向を対象とする矢印信号が点灯すると判定する場合に、前記運転支援表示手段に当該矢印信号を画面上に強調表示するように要求することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の運転支援装置。
【請求項6】
自車両の停車を検出する停車検出手段とを備え、
前記運転支援可否判定手段は、前記予測時刻において自車両が進行可能な方向を対象とする矢印信号が点灯すると判定されており、かつ前記停車検出手段が交差点付近で自車両の停車が検出される場合に、前記運転支援表示手段に当該矢印信号を画面上に強調表示するように要求することを特徴とする請求項5記載の運転支援装置。
【請求項7】
自車両の前方に存在する物体を検出する前方物体検出手段を備え、
前記運転支援可否判定手段は、
前記前方物体検出手段が自車両の前方に存在する物体を検出すると、前記運転支援表示手段に対して運転支援要求をしないことを特徴とする請求項1から請求項3または請求項5のうちのいずれか1項記載の運転支援装置。
【請求項8】
自車両の対向車両を検出する対向車検出手段を備え、
前記運転支援可否判定手段は、
前記対向車検出手段が自車両の対向車両を検出すると、前記運転支援表示手段に対して運転支援要求をしないことを特徴とする請求項1から請求項3または請求項5のうちのいずれか1項記載の運転支援装置。
【請求項9】
地図情報を格納する地図情報記憶手段と、
自車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
自車両の前方を撮像する撮像情報取得手段とを備え、
前記運転支援可否判定手段は、
前記路車間通信手段による通信で前記路側機から取得した前記車線情報及び前記信号情報が有効でない場合に、前記地図情報記憶手段から読み出した自車両の周辺の地図情報、前記位置情報取得手段が取得した自車両の位置情報及び前記撮像情報取得手段が撮像した自車両の前方の撮像画像を画像解析した結果から、自車両が進行可能な方向及び当該進行可能な方向を対象とする矢印信号の点灯有無を特定し、当該進行可能な方向を対象とする矢印信号の点灯有無から当該矢印信号に従う運転支援の可否を判定することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−48293(P2012−48293A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187188(P2010−187188)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】