説明

運転支援装置

【課題】ドアの開放による自車の外形輪郭の変化にも対応可能で、運転者からの死角領域の発生も抑制される、俯瞰画像表示タイプの運転支援装置を提供する。
【解決手段】車両の周辺領域を撮影する車載カメラによって取得された撮影画像を上方仮想視点で射影変換することで撮影俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成部と、車体を示す車体俯瞰画像を出力する車体画像出力部と、開放状態のドアを示すドア俯瞰画像における外側輪郭部以外の領域を透明化または半透明化した透明ドア俯瞰画像を出力するドア画像出力部と、撮影俯瞰画像と車体俯瞰画像と透明ドア俯瞰画像とが画像合成された運転支援画像をモニタ表示画像として生成する画像合成部とが備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周辺領域を撮影する車載カメラによって取得された撮影画像を上方仮想視点で射影変換することで生成される俯瞰画像を運転支援画像としてモニタ表示する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の運転支援装置における俯瞰画像は、車載カメラによって取得された撮影画像を路面に平行な投影面に投影する射影変換、特には仮想視点を鉛直上方に位置させた射影変換により真上からの俯瞰画像が生成される。その際、自車の平面視での写真画像またはイラスト画像が予め用意されており、この自車画像が俯瞰画像における自車の位置に合成されている。この俯瞰画像をモニタに表示させることで、運転者は車両周辺の路面状況を鳥瞰的に把握することができる。しかしながら、乗用車などの車両では、ドア、特に水平軸回りに上方揺動するバックドアなどを開放することで、車両の外形輪郭がかなり変化する。このような、車両の外形輪郭変化を考慮することは、荷の積み降ろしを伴う駐車走行時には重要である。
【0003】
特許文献1には、車両に取付けられ、該車両に取付けられた対象ドアの開閉範囲を示す画像を撮像するカメラと、前記車両に搭載され、前記カメラで撮像された画像に対して前記対象ドアの車幅方向の開閉範囲を示す画像を合成して表示する表示装置とを備えた周辺監視モニタリングシステムが記載されている。さらに、前記表示装置に表示される前記対象ドアの開閉範囲を示す画像を、真上から撮影した画像に変換することや、前記対象ドアの開閉する軌跡を求め、前記表示装置に表示される前記対象ドアの開閉範囲を示す画像に該軌跡を重畳させることも記載されている。これにより、運転者は、俯瞰画像の形でドアの開閉範囲を開閉軌跡線で確認することができるが、撮影画像に重畳される形で小さなモニタ画面に表示される開閉軌跡線からドアの開放による車両の外形変化を直感的に把握することは容易ではない。
【0004】
また、特許文献2には、車両周囲を撮像する撮像部と、前記撮像部で撮像された映像を変換する映像変換部と、車両状態を検出する車両状態検出部と、車両のイラスト画像を記憶する記憶部と、前記映像変換部が出力する映像に前記記憶部に記憶された前記車両のイラスト画像を重畳する重畳処理部と、前記重畳処理部の出力する映像を表示する表示部と、を備え、前記重畳処理部は、前記車両状態検出部で検出した前記車両状態に応じて、前記車両のイラスト画像を変更して重畳する車両情報表示装置が記載されている。例えば、この車両情報表示装置では、ドア開放状態の車両イラストを用いることで、開放されたドアによる車両の外形輪郭の変化に追従することができる。しかしながら、このような表示形態では、開放されたドアによって、そのドアによって隠れた撮影領域が運転者にとって死角となってしまう不都合が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007‐118762号公報(段落番号〔0005−0010〕、図1)
【特許文献2】特開2009‐023471号公報(段落番号〔0006−0022〕、図1、図10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記実情に鑑み、ドアの開放による自車の外形輪郭の変化にも対応可能で、運転者からの死角領域の発生が抑制される、俯瞰画像表示タイプの運転支援装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による、車体外方に開放するドアを有する車両の運転支援装置の特徴は、車両の周辺領域を撮影する車載カメラによって取得された撮影画像を上方仮想視点で射影変換することで撮影俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成部と、前記車体を示す車体俯瞰画像を出力する車体画像出力部と、開放状態の前記ドアを示すドア俯瞰画像における外側輪郭部以外の領域を透明化または半透明化した透明ドア俯瞰画像を出力するドア画像出力部と、前記撮影俯瞰画像と、前記車体俯瞰画像と、前記透明ドア俯瞰画像とが画像合成された運転支援画像をモニタ表示画像として生成する画像合成部とを備えた点にある。
【0008】
この構成によると、車両周辺の俯瞰画像をモニタに表示する際に、開放状態のドアを示す画像を付加することができ、その際に、ドアの外側輪郭部だけは明確に表示されるが、ドアの外側輪郭部以外の領域、つまりドアの内側部分は透明化ないしは半透明化されている。これにより、俯瞰画像においてドアの内側部分によって路面上の障害物などの物体が覆い隠されることがない。例えば、荷捌きのための後進駐車時において、後部ドアが全開時に車体外方にどの程度飛び出すかどうかを、運転者はモニタ画面で直感的に把握することができる。しかも、その際に、明示されたドアの外側輪郭の内側は透けているのでドアの下方の路面等を視覚的に確認することができる。
【0009】
開放状態のドアの外側輪郭はできるだけ明確に表示する必要があるが、あまりその外側輪郭を幅広にすると覆い隠される部分が増えるという不都合が生じる。この相反する関係を適切にするために、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記透明ドア俯瞰画像は外側から内部中心にかけて透明度が強くなる透明グラデーションが施されている。この構成では、不透明な外側輪郭部を幅狭にしても、そこから内側にかけて透明度がグラデーション的に強くなっているので、輪郭の把握は容易であるとともに、当該ドアによって覆い隠される領域(死角)をできるだけ小さくするという目的が達成される。
【0010】
開放状態のドアの輪郭部によって、車両周辺の俯瞰画像が明確に上書きされると、元の俯瞰画像の連続性が上書きされた部分で失われ、見づらくなる場合がある。このような不都合を考慮するなら、前記透明ドア俯瞰画像の外側輪郭部にも当該外側輪郭部以外の領域の透明度よりも弱い透明化を施すとよい。つまり、外側輪郭部も弱く透明化することで、俯瞰画像と透明ドア俯瞰画像との合成調和性を確保するのである。
【0011】
また、本発明の別な好適実施形態の1つでは、前記透明ドア俯瞰画像における透明度が所定時間間隔で変化するように構成されている。この構成によれば、開放状態で示されるドア全体が透明度を変化させながらモニタに表示されるので、ドア全体の寸法形状が明確に示される表示形態や実質的にドアが見えなくなって当該ドアに邪魔されない車両周辺が示される表示形態が繰り返されるので、運転者は、解放されたドアが空間に占める様子と車両周辺の様子の両方を所定時間の間に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】周辺撮影画像から生成される俯瞰画像に、開放状態のドア画像を合成する本発明の基本構想を説明する模式図である。
【図2】本発明による運転支援装置を搭載した車両の運転電子系の一部を示す機能ブロック図である。
【図3】運転支援装置を構成する画像処理モジュールの機能ブロック図である。
【図4】俯瞰画像にドア画像を合成する過程を図解した模式図である。
【図5】俯瞰画像表示ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】通常の表示俯瞰画像から開放状態のドアを付加した表示俯瞰画像への移行を示すモニタ画面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の具体的な実施形態を説明する前に、その基本構想を図1の模式図を用いて説明する。車両の全周囲を撮影するために車両前後左右1a〜1dにカメラが搭載されている。車両周辺監視画面としての俯瞰画像をモニタ表示するためには、まずカメラによって自車の周辺領域の撮影画像が取得される(#1)。なお、車両前後左右に4つのカメラ1a〜1dを車両の全周囲をカバーするように配置し、これらのカメラから撮影画像に基づいて俯瞰画像を生成すると、その俯瞰画像は自車を中心とする全周囲俯瞰画像となり、自車の全周囲を一瞥することができる。しかしながら、本発明はそのような全周囲俯瞰画像の生成に限定しているわけでなく、特定方向の撮影画像に基づいて生成される特定方向俯瞰画像も発明の対象となっている。
【0014】
各カメラ1a〜1dからの撮影画像が取得されると、ここでは、投影面を路面に平行な面とする射影変換、つまり真上に仮想視点を設定した視点変換が予め設定されたマッピングテーブルを用いて行われる(#2)。この射影変換処理(マッピング)を通じて各撮影画像から得られた俯瞰画像用画像セグメントを、互いに重複する領域を重ね合わせるように組み合わせることで、車両周辺を車両の真上からみた全周囲撮影俯瞰画像(以下単に撮影俯瞰画像を称する)が得られる(#3)。図示された撮影俯瞰画像には、この撮影俯瞰画像を前方画像領域と左右側方画像領域、後方画像領域に区分ける境界線が描画されている。また、図1では、説明を分かり易くするために、撮影画像毎にマッピングテーブルが用意された形態となっているが、生成される撮影俯瞰画像に対応させた単一のマッピングテーブルを用いるのが一般的である。このマッピングテーブルには、カメラの取り付け誤差等を考慮した上で、撮影俯瞰画像を構成する各画素に対してどの撮影画像のどの画素が適用されるかが記述されている。
【0015】
この撮影俯瞰画像には自車を表す車体俯瞰画像(以下単に車体画像と称する)が組み込まれるので、組み込まれるべき車体画像が車体画像格納部から読み出される(#4)。この車体画像格納部としては、単なるROMでもよいが、複数の車体画像が格納されている場合には、所定の抽出条件に基づいて抽出されるような構造を有する格納部が用いられる。
【0016】
また、開放状態において車体の外方に突き出すドア(例えば後部ドア)の開放状態の俯瞰画像であるドア俯瞰画像が、必要に応じて車体俯瞰画像の対応する位置に組み込まれるので、ドア俯瞰画像が予めドア画像格納部に格納されている。このドア俯瞰画像は、単に開放された状態のドアの俯瞰画像ではなく、少なくともその外側輪郭部以外の領域は透明化された透明ドア俯瞰画像である。但し、この透明ドア俯瞰画像は、特別に付記する必要がない限り、以下単にドア俯瞰画像と称することにする。つまり、車両周辺を映している撮影俯瞰画像にはみ出すようにこのドア俯瞰画像を組み込んでも、その輪郭部以外の内側部分では撮影俯瞰画像が透けてみえるので、ドア俯瞰画像によって覆い隠される撮影俯瞰画像部分は僅かである。外側輪郭部以外の領域を種々の透明度で生成したドア俯瞰画像を予め作成してドア画像格納部に格納しておいてもよいし、透明度が調整できるような形態でのドア俯瞰画像をドア画像格納部に格納しておいてもよい。また、全開放形態のドアのみならず、部分開放形態のドアのドア俯瞰画像や、異なる視点でのドア俯瞰画像を用意しておき、選択利用できるようにしてもよい。また、外側輪郭部もある程度の透明度を有するように作成したドア俯瞰画像を用意しておいてもよい。
いずれにせよ、ドア俯瞰画像を付加することが要求された場合には、ドア画像格納部から適切なドア俯瞰画像が読み出される(#5)。
【0017】
次に、読み出された車体俯瞰画像とドア俯瞰画像は、撮影画像から生成された撮影俯瞰画像に合成される(#6)。あるいは、車体俯瞰画像が配置されているテンプレートに撮影俯瞰画像とドア俯瞰画像が合成される。いずれにせよ、撮影俯瞰画像の中心にドア俯瞰画像付きまたはドア俯瞰画像なしの車体俯瞰画像を配置した画像がモニタ表示画像としてモニタに転送されることで、モニタ画面に、透明化されたドア俯瞰画像を取り付けた車体俯瞰画像とともに撮影俯瞰画像が表示される(#7)。
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図2は、本発明による運転支援装置を搭載した車両の運転電子系の一部を示す機能ブロック図である。
この運転支援装置を搭載した車両には、4つの車載カメラ1、つまり、フロントカメラ1a、バックカメラ1d、左サイドカメラ1b、右サイドカメラ1cが装備されている。これらの車載カメラ1からの撮影画像から全周囲俯瞰画像が作成される。以下の説明において、適宜、これらの車載カメラ1a、1b、1c、1dを単にカメラ1と総称する場合がある。車両周辺監視制御が動作する際には、カメラ1による撮影画像ないしは当該撮影画像を用いて生成される俯瞰画像がモニタ表示される。カメラ1は車両周辺を時系列に撮影して得られて撮影画像をデジタル変換してリアルタイムに出力するデジタルカメラである。カメラ1は、広角レンズまたは魚眼レンズを備えている。
【0019】
運転電子系の処理モジュール23には、運転操作や車両走行の状態を検出する車両状態検出センサ群と接続されており、車両状態検出センサ群からの信号入力をそのまま、あるいは評価して出力する。車両状態検出センサ群には、図示していないが、ステアリング操作方向(操舵方向)と操作量(操舵量)とを計測するステアリングセンサ、シフトレバーのシフト位置を判別するシフト位置センサ、アクセルペダルの操作量を計測するアクセルセンサ、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキセンサ、自車の走行距離を検出する距離センサなどが含まれる。
【0020】
図2に示すように、運転支援装置の中核をなす運転支援画像処理ユニット20には、ハードウエア又はソフトウエアあるいはその両方の形態で構築される種々の機能部が含まれるが、本発明に特に関係する機能部としては、画像処理モジュール50、通信インターフェース70、表示モジュール71、音声処理モジュール72などが備えられている。通信インターフェース70は車載LANのための入出力インターフェースとして用いられており、処理モジュール23、タッチパネル21T、パワーステアリングユニットPS、変速機構T、ブレーキ装置BKなどの制御ユニットとデータ伝送可能に接続されている。その他、視覚情報の出力デバイスとしてモニタ21、音声情報の出力デバイスとしてスピーカ22も搭載されている。画像処理モジュール50で生成されたモニタ表示画像は表示制御部71でビデオ信号に変換されてモニタ21に送られる。音声処理モジュール72で生成された音声ガイドや緊急時の警告音などはスピーカ22で鳴らされる。
【0021】
図3に、運転支援画像処理ユニット20の画像処理モジュール50の機能ブロック図が示されている。画像処理モジュール50は、自車周辺を撮影するカメラ1によって取得された撮影画像から射影変換によって変換された俯瞰画像等の画像を生成する機能を有している。
【0022】
画像処理モジュール50は、撮影画像メモリ51、前処理部52、画像生成部53、画像合成部54、フレームメモリ56を含んでいる。カメラ1によって取得された撮影画像は撮影画像メモリ51に展開され、前処理部52はカメラ1によって個々に取得された撮影画像間の輝度バランスやカラーバランス等を調整する。
【0023】
画像生成部53は、通常画像生成部60、俯瞰画像生成部61、マッピングテーブル62、自車画像出力部64、を含んでいる。
通常画像生成部60は、撮影画像をそのまま車両周辺画像としてモニタ表示するために適した画質に調整する。モニタ表示される車両周辺画像としては、フロントカメラ1a、左・右サイドカメラ1b,1c、バックカメラ1dによる撮影画像から運転者によって選択された1つでもよいし、複数撮影画像の組み合わせでもよい。
【0024】
俯瞰画像生成部61は、撮影画像メモリ51に展開されている、特定の1つのカメラ1からの撮影画像又は全てのカメラ1から撮影画像を上方仮想視点で射影変換することで俯瞰画像を生成する機能を有する。具体的には、マッピングテーブル62を用いたマッピングによって、撮影画像から俯瞰画像を生成する。マッピングテーブル62には、ここで使用される射影変換のための種々のマップ(マッピングデータ群)が選択可能に予め格納されるか、あるいは必要に応じて演算される。マッピングテーブル62に格納されるか、または演算される各マップは種々の形態で構築することができるが、ここでは、カメラ別の撮影画像の画素データと射影変換画像(通常は俯瞰画像)の画素データとの対応関係が記述されたマップとして構築されている。俯瞰画像生成部61は、外部コマンドまたは内部コマンドに基づいて適切なマップをマッピングテーブル62から選択する機能も有する。
【0025】
自車画像出力部64は、車体画像出力部64aと、ドア画像格納部64bと、ドア画像出力部64cと、自車画像生成部64dとを含む。車体画像出力部64aは、上方視点からの車体を示す車体俯瞰画像を自車画像生成部64dに出力する。この車体俯瞰画像は写真でもよいし、イラストなどでもよい。また、一種類でもよいし、複数種類用意して選択できるようにしてもよい。組み合わされる撮影俯瞰画像として特定の1つのカメラ1からの撮影画像からの撮影俯瞰画像も採用されている場合には、その撮影俯瞰画像に適合するような車体画像、例えば、車体後部だけの画像などを用意しておくと好都合である。
【0026】
ドア画像格納部64bには、この車両に装備されているドアの開放状態を上方視点からみたドア俯瞰画像が格納されている。このドア俯瞰画像は、その外側輪郭部以外の領域が透明化または半透明化されている透明ドア俯瞰画像である。その透明化度は、任意に設定可能であるが、複数の異なる透明化度で作成された透明ドア俯瞰画像を格納しておき、選択自在としてもよい。また、透明ドア俯瞰画像を外側輪郭部以外の領域の透明化度が任意に設定できるような画像ファイル構造としてドア画像格納部64bに格納しておき、ドア画像出力部64cが指定された透明化度で透明化された透明ドア俯瞰画像を生成して、出力するようにしてもよい。図4に例示されているが、単に透明化度を変更するだけではなく、外側から内部中心にかけて透明度が強くなる透明グラデーションを施した透明ドア俯瞰画像を生成してもよいし、外側輪郭部にもある程度の透明化を施してもよい。いずれにせよ、ドア画像出力部64cは、ドア画像格納部64bから読み出された透明ドア俯瞰画像を、必要の場合には、画像姿勢や画像サイズを調整して自車画像生成部64dに出力する。
【0027】
自車画像生成部64dは、図4で図解されているように、ドア画像出力部64cから出力された透明ドア俯瞰画像を車体画像出力部64aから出力された車体俯瞰画像における対応するドア部分に合成して、開放状態のドアを付加した自車俯瞰画像を生成する。自車画像生成部64dで生成された自車俯瞰画像は、画像合成部54で、俯瞰画像生成部61で生成された撮影俯瞰画像と合成される。合成された俯瞰画像は、所定の表示テンプレートにはめ込まれ、車両運転支援用のモニタ表示画像としてフレームメモリ56に転送される。フレームメモリ56に転送された、モニタ表示画像は表示制御部71を介してモニタ21に表示される。
【0028】
次に、上述のように構成された運転支援装置による運転支援用俯瞰画像表示の流れを図5のフローチャートを用いて説明する。
この車両周辺監視目的の俯瞰画像表示ルーチンがスタートすると、まずは、俯瞰画像の表示種別が運転者の希望によってマニュアルで設定されるか又は自動設定される(#01)。ここでの俯瞰画像の表示種別とは、車両周辺の俯瞰画像を生成する際に用いる撮影画像や仮想視点位置、生成された俯瞰画像のモニタ画面上のレイアウトなどを規定するものである。読み込まれた俯瞰画像の表示種別に応じて俯瞰画像生成部61で用いられる射影変換のためのマッピングテーブルの設定(マップ設定)が行われる(#02)。ここでは、全周囲俯瞰画像表示が選択されているとすれば、4台の車載カメラ1から取得される全ての撮影画像が処理対象となる(#03)。設定されたマッピングテーブルを用いて各撮影画像を用いて車両周辺の全周囲撮影俯瞰画像が生成される(#04)。全周囲撮影俯瞰画像の中央に配置される車体俯瞰画像が読み出される(#05)
【0029】
ここで、開放状態のドア画像、つまり透明ドア俯瞰画像が車体俯瞰画像に付加することが要求されているかどうかチェックされる(#06)。この透明ドア俯瞰画像の付加は、運転者の要求によるマニュアル操作で決定してもよいし、装置側で自動的に決定してもよいし、その両方を採用してもよい。装置側での自動決定に関しては、後進時には後部ドアのための透明ドア俯瞰画像の付加を決定することや、図示されていない障害物検出モジュールからの障害物検出情報に基づいて障害物側のドアのための透明ドア俯瞰画像の付加を決定することが好適である。
【0030】
ドア画像が要求されている場合(#06Yes分岐)、適合する透明ドア俯瞰画像がドア画像生成部64cで生成され、出力される(#07)。さらに、車体俯瞰画像に透明ドア俯瞰画像が付加された自車画像が自車画像生成部64dで生成され、出力される(#08)。ドア画像が要求されていない場合(#06No分岐)、この透明ドア俯瞰画像を付加する処理は省かれ、自車画像生成部64dは車体俯瞰画像をそのまま自車画像として出力する。
【0031】
次に、設定された運転支援用俯瞰画像表示に用いられる表示テンプレートが抽出され(#09)、この表示テンプレートに撮影俯瞰画像と自車画像とをはめ込む画像合成処理が画像合成部54で行われる(#10)。この画像合成処理によって生成された運転支援用俯瞰画像であるモニタ表示画像がフレームメモリ56に転送され(#20)、モニタ21に表示される(#21)。
【0032】
この表示ルーチンの終了指令がない限り(#22No分岐)、再びステップ#01に戻って、このルーチンが繰り返される。なお、このルーチンの繰り返しにおいて、ドア画像が要求されているケースであっても、所定時間間隔で、透明ドア俯瞰画像の透明度を変えても良い。例えば、極端な例として、透明化されていないドア画像(透明度0%)と透明化されたドア画像を所定時間間隔で交互に表示してもよい。
【0033】
〔別実施の形態〕
(1)上述した実施形態の説明では、撮影俯瞰画像として、車両上方視点と路面と平行な射影面とを用いて撮影画像から射影変換されて得られる画像が用いられたが、本発明はこのような射影変換で得られる撮影俯瞰画像に限定されるものではない。例えば、射影面として凹曲面や屈曲面を用いた俯瞰画像を用いてもよい。
(2)上述した実施形態では、画像処理モジュール50に構築されている画像生成部53や画像合成部54は、説明を分かり易くするためにそれらが果たす機能がブロック化されているが、このブロック化の形態は任意に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、撮影俯瞰画像を用いて車両周辺の監視を行う全ての運転支援技術に利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1:カメラ
21:モニタ
50:画像処理モジュール
53:画像生成部
54:画像合成部
60:通常画像生成部
61: 俯瞰画像生成部
62:マッピングテーブル
64:自車画像出力部
64a:車体画像出力部
64b:ドア画像格納部
64c:ドア画像出力部
64d:自車画像生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体外方に開放するドアを有する車両の運転支援装置であって、
車両の周辺領域を撮影する車載カメラによって取得された撮影画像を上方仮想視点で射影変換することで撮影俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成部と、
前記車体を示す車体俯瞰画像を出力する車体画像出力部と、
開放状態の前記ドアを示すドア俯瞰画像における外側輪郭部以外の領域を透明化または半透明化した透明ドア俯瞰画像を出力するドア画像出力部と、
前記撮影俯瞰画像と、前記車体俯瞰画像と、前記透明ドア俯瞰画像とが画像合成された運転支援画像をモニタ表示画像として生成する画像合成部と、
を備えた運転支援装置。
【請求項2】
前記透明ドア俯瞰画像は外側から内部中心にかけて透明度が強くなる透明グラデーションが施されている請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記透明ドア俯瞰画像の外側輪郭部にも当該外側輪郭部以外の領域の透明度よりも弱い透明化が施されている請求項1または2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記透明ドア俯瞰画像における透明度が所定時間間隔で変化する請求項1から3のいずれか一項に記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−100057(P2013−100057A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245822(P2011−245822)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】