説明

運転曲線作成装置および運転曲線作成方法

【課題】熟練者以外であっても運転曲線の手動編集を容易に行える運転曲線作成装置を提供する。
【解決手段】先ず、列車の走行区間における地上設備情報および速度制限情報、並びに列車の走行速度と距離程との関係を表す運転曲線情報に基づいて既存の運転曲線を運転曲線作成画面上に表示する。次に、運転曲線作成画面に表示された既存の運転曲線上でマウス操作によって仮運転曲線の作成開始点を指定する。次に、列車の運転時に選択可能な運転操作を定義した列車特性情報、地上設備情報、速度制限情報、および運転曲線情報に基づいて作成開始点において選択可能な全ての運転操作について仮運転曲線を作成し、運転曲線作成画面上で選択可能に表示する。次に、運転曲線作成画面上で運転操作を指定する。そして、選択された運転操作に係る仮運転曲線と既存の運転曲線に基づいて新たな運転曲線を作成し、表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、運転曲線作成装置および運転曲線作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄道会社では列車の効率的な運転を計画するために、運転曲線を作成し、グラフ化することが行われている。この運転曲線の作成においては、列車特性情報や地上設備情報および様々な速度制限などの制約条件下において、任意の距離程および速度からの運転操作を定めることで行われる。運転曲線の作成方法の具体例は、非特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3329482号公報
【特許文献2】特許第4011864号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】社団法人日本鉄道運転協会発行「運転理論」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の技術においては、運転曲線を自動的に作成できるが、この方法では最短の所要時間となる運転曲線が作成されるため、乗り心地や省エネルギーを考慮した運転曲線および所要時間に余裕のある運転曲線の作成を行うためには、手動操作によって編集を行う必要がある。このため、手動操作によって編集を行う方法も各種考案されているが、これらは手動操作によってどのような運転曲線が作成されるのかを事前に分かっていなければならず、熟練者以外では操作できないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題に鑑み、熟練者以外であっても運転曲線の手動編集を容易に行える運転曲線作成装置および運転曲線作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る運転曲線作成装置は、第1の運転曲線表示手段、作成開始点指定手段、仮運転曲線作成手段、運転操作指定手段および第2の運転曲線表示手段を備える。
【0008】
第1の運転曲線表示手段は、列車の走行区間における地上設備情報および速度制限情報、並びに列車の走行速度と距離程との関係を表す運転曲線情報に基づいて既存の運転曲線を運転曲線作成画面上に表示する。作成開始点指定手段は、運転曲線作成画面に表示された既存の運転曲線上でマウス操作によって仮運転曲線の作成開始点を指定する。
【0009】
仮運転曲線作成手段は、列車の運転時に選択可能な運転操作を定義した列車特性情報、地上設備情報、速度制限情報、および運転曲線情報に基づいて作成開始点において選択可能な全ての運転操作について仮運転曲線を作成し、運転曲線作成画面上で選択可能に表示する。運転操作指定手段は、運転曲線作成画面上で運転操作を指定する。第2の運転曲線表示手段は、運転曲線作成画面上で選択された運転操作に係る仮運転曲線と既存の運転曲線に基づいて新たな運転曲線を作成し、表示する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る運転曲線作成装置の全体構成例を示すブロック図。
【図2】図1に示す運転曲線作成装置のハードウェア構成例を示す図。
【図3】図1に示す地上設備情報テーブルを参照して表示された運転曲線作成画面の表示例を示す図。
【図4】図3に示した運転曲線作成画面で運転曲線を作成した場合の表示例を示す図。
【図5】図4に示した運転曲線作成画面の運転曲線上で作成開始点を指定した際の表示例を示す図。
【図6】図5に示した運転曲線作成画面で作成方向を順方向に指定した際の表示例を示す図。
【図7】図5に示した運転曲線作成画面で作成方向を逆方向に指定した際の表示例を示す図。
【図8】図7に示した運転曲線作成画面で運転操作を惰行に指定して作成された新たな運転曲線の表示例を示す図。
【図9】図1に示す運転曲線作成装置における手動編集処理の具体例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る運転曲線作成装置1の全体構成例を示すブロック図である。同図に示されるように、運転曲線作成装置1は、データベース部11、運転操作変化点計算部12、運転曲線作成画面表示部13、入力部14、仮運転曲線作成部15、運転曲線情報登録・更新部16および運転曲線自動作成部17を備えている。
【0012】
データベース部11は、列車特性情報テーブル11A、地上設備情報テーブル11B、速度制限情報テーブル11Cおよび運転曲線情報テーブル11Dを有する記憶装置である。列車特性情報テーブル11Aは、列車の運転時に選択可能な運転操作と各運転操作に基づく走行速度の情報を含む列車特性情報を記憶するテーブルである。
【0013】
地上設備情報テーブル11Bは、列車の走行区間における地上設備情報を記憶するテーブルである。地上設備の具体例としては、駅、信号機の他、勾配やカーブなども含むものとする。地上設備情報には、これら地上設備毎に位置や距離などが記録されている。例えば、地上設備情報の一つである駅情報は、駅名、番線名、停止位置(距離程)などが項目として含まれている。駅情報の具体例を表1に示す。
【表1】

【0014】
速度制限情報テーブル11Cは、列車の走行区間における速度制限情報を記憶するテーブルである。速度制限情報の項目としては、開始距離程、終了距離程、制限速度および制限事由などが挙げられる。速度制限情報の具体例を表2に示す。
【表2】

【0015】
運転曲線情報テーブル11Dは、列車の走行速度と距離程との関係を表す運転曲線情報を記憶するテーブルである。運転曲線情報の項目としては、距離程、速度および運転操作などが挙げられる。運転曲線情報の具体例を表3に示す。
【表3】

【0016】
運転操作変化点計算部12は、地上設備情報および速度制限情報に基づいて運転曲線情報を解析し、運転曲線上で運転操作の変更が可能な運転操作変化点を計算するプログラムである。
運転曲線作成画面表示部13は、運転操作変化点、地上設備情報、速度制限情報、および運転曲線情報に基づいて列車の速度と距離程を座標軸として運転曲線を表示し、編集を行う運転曲線作成画面を表示するプログラムである。入力部14は、運転曲線作成画面においてマウス操作によって指定入力を行うプログラムである。
【0017】
仮運転曲線作成部15は、運転曲線作成画面に表示された運転曲線上の運転操作変化点の中から入力部14で指定された座標点を仮運転曲線の作成開始点とすると共に、列車特性情報、地上設備情報、速度制限情報、および運転曲線情報に基づいて作成開始点において選択可能な全ての運転操作について仮運転曲線を作成し、運転曲線作成画面上で選択可能に仮表示するプログラムである。
運転曲線情報登録・更新部16は、運転曲線作成画面上で選択された仮運転曲線および既存の運転曲線情報に基づいて新たな運転曲線情報を作成し、データベース部11(運転曲線情報テーブル11D)への登録・更新を行うプログラムである。
【0018】
運転曲線自動作成部17は、地上設備情報、速度制限情報および運転曲線情報に基づいて所要時間が最短となる運転曲線を自動作成し、データベース部11(運転曲線情報テーブル11D)への登録・更新を行うプログラムである。尚、本実施形態では、運転曲線自動作成部17は、社団法人日本鉄道運転協会発行「運転理論」に記載された方法で運転曲線を作成するものとする。
【0019】
図2は、図1に示す運転曲線作成装置1のハードウェア構成例を示す図である。同図に示されるように、運転曲線作成装置1に適用されるコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、入出力インターフェース104、システムバス105、入力装置106、表示装置107、補助記憶装置108および通信装置109から構成される。
【0020】
CPU101は、ROM102やRAM103に格納されたプログラムやデータなどを用いて各種の演算処理を実行する処理装置である。ROM102は、コンピュータを機能させるための基本プログラムや環境ファイルなどを記憶する読み取り専用の記憶装置である。RAM103は、CPU101が実行するプログラムおよび各プログラムの実行に必要なデータを記憶する記憶装置であり、高速な読み出しと書き込みが可能である。入出力インターフェース104は、各種のハードウェアとシステムバス105との接続を仲介する装置およびプログラムである。システムバス105は、CPU101、ROM102、RAM103および入出力インターフェース104で共有される情報伝達路である。
【0021】
また、入出力インターフェース104には、入力装置106、表示装置107、補助記憶装置108、および通信装置109などのハードウェアが接続されている。入力装置106は、ユーザからの入力を処理する装置であり、例えばキーボードやマウスなどである。表示装置107は、ユーザに対して演算結果や作成画面などを表示する装置であり、例えばCRT、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどである。補助記憶装置108は、運転曲線作成処理に関する各種のプログラムやデータを蓄積する大容量の記憶装置であり、例えばハードディスク装置などである。
【0022】
以下、上記のように構成された運転曲線作成装置1における画面表示の変化を図面に基づいて説明する。図3は、図1に示す地上設備情報テーブル11Bを参照して表示された運転曲線作成画面の表示例を示す図である。同図に示されるように、運転曲線を表現する運転曲線図は、列車の走行速度を縦軸、基準駅からの距離程を横軸として表されたグラフである。地上設備である駅Xや駅Yまでの距離はテーブル上で記録されており、この駅間内にある各種の速度制限や勾配等の地形情報も図形によって表現されている。また、縦軸に駅間の所要時間や電力消費量も併せて表示することで、時間−距離の所要時間曲線と電力消費量−距離の電力消費量曲線が表現されている。
【0023】
また、図4は、図3に示した運転曲線作成画面で運転曲線を作成した場合の表示例を示す図である。ここでは、上述の「運転理論」に従って所要時間を最短とする運転曲線を作成した場合が示されている。尚、運転曲線は手動で作成してもよいが、運転曲線自動作成部17によって自動的に作成され、データベース部11(運転曲線情報テーブル11D)に記憶されていた運転曲線情報を読み出したものとする。図4において運転曲線は実線で表されている。また、所要時間曲線は破線で表されており、この所要時間曲線により駅Xから駅Yまで145秒必要であることが分かる。また、電力消費量曲線は一点鎖線で表されており、この電力消費量曲線により駅Xから駅Yまで走行することで45kw/hの電力が必要であることが分かる。
【0024】
しかし、図4の結果のままでは、速度制限Bと速度制限Cの間に短時間で加速と減速を行っている箇所があり、ここは乗り心地の観点や省エネルギーの観点からよい運転曲線とはいえない。
【0025】
そこで、以下のように、速度制限Bの終了点から力行している運転操作を変更する場合を考える。ユーザが、速度制限Bの終了点近傍にマウスカーソルを移動すると、画面上では運転操作の変更が可能な点が選択可能に識別表示がされる。この運転操作の変更が可能性な点とは、速度制限の開始終了点、駅の停止点、現在作成済みの運転操作の変化点などのことをいう。そして、識別表示された座標でマウスクリックすることで、仮運転曲線の開始点を決定する。図5は、図4に示した運転曲線作成画面の運転曲線上で作成開始点を指定した際の表示例を示す図である。同図に示されるように、仮運転曲線の作成開始点が決定されると、作成開始点上には仮運転曲線の作成方向を選択するための矢印(順方向/逆方向)が表示される。ユーザが、作成方向を指定すると、作成開始点において選択可能な運転操作の一覧と共に、各運転操作に対応した仮運転曲線が表示される。
【0026】
図6は、図5に示した運転曲線作成画面で作成方向を順方向に指定した際の表示例を示す図である。ここでは、運転操作の一覧に対応して作成された仮運転曲線が点線でそれぞれ表示されている。ユーザは表示されている運転操作の一覧の中からマウス操作によって任意に運転操作を指定する。ユーザがマウス操作で一覧の中から運転操作を指定すると、運転曲線作成画面上では仮運転曲線と既存の運転曲線に基づいて作成された新たな運転曲線へ表示が切り替わる。
【0027】
また、上記図6では速度制限Bの終了点から惰行運転操作を行うことを検討するため当該操作を行ったが、この区間は急な下り勾配があることで、惰行運転を行っても速度が上昇することが分かった場合、この点からの順方向作成はやめ、速度制限Cの開始点から逆方向での仮運転曲線の作成を再度行えばよい。この場合、速度制限Cの開始点近傍にマウスカーソルを移動し、速度制限Cの開始点を識別表示する。この座標で上記と同様にマウス操作を行い、作成方向指示として逆方向を選択することで、全ての運転操作による仮運転曲線を再度表示する。図7は、図5に示した運転曲線作成画面で作成方向を逆方向に指定した際の表示例を示す図である。この結果から、速度制限Cの開始点から逆方向で惰行運転を作成することが最も期待する運転曲線であると評価した場合には、この運転操作に決定し、運転曲線の手動操作による編集を完了する。図8は、図7に示した運転曲線作成画面で運転操作を惰行に指定して作成された新たな運転曲線の表示例を示す図である。
【0028】
図9は、図1に示す運転曲線作成装置1における手動編集処理の具体例を示すフローチャートである。ここでは、上記の図4のように既存の運転曲線が運転曲線作成画面上に表示されている場合を例として説明する。
【0029】
S901においては、現在のマウスカーソル位置が駅の存在する距離程であって速度が0km/hの点近傍か否かを判定する。尚、駅距離程か否かは地上設備情報テーブル11Bに記憶されている地上設備情報の一つである駅情報を参照して判定する。ここで、駅が存在する距離程であって速度が0km/hの点近傍と判定された場合(S901:Yes)は、運転曲線作成画面表示部13は駅点を識別表示し(S902)、S903へ進む。これに対し、駅が存在する距離程でない、あるいは、速度が0km/hの点近傍ではないと判定された場合(S901:No)は、S903へ進む。
【0030】
S903においては、現在のマウスカーソル位置が速度制限の開始距離程近傍であって速度が制限速度近傍である場合、または速度制限の終了距離程近傍であって速度が制限速度近傍である場合に該当するか否かを判定する。尚、速度制限の開始距離程、終了距離程、および速度制限値は速度制限情報テーブル11Cに記憶されている速度制限情報を参照して判定する。ここで、現在のマウスカーソル位置が上記二つの条件のいずれかに該当すると判定された場合(S903:Yes)は、運転曲線作成画面表示部13は速度制限開始点または終了点を識別表示させ(S904)、S905へ進む。これに対し、現在のマウスカーソル位置が上記二つの条件のいずれにも該当しないと判定された場合(S903:No)は、S905へ進む。
【0031】
S905においては、現在のマウスカーソルの位置が既存の運転曲線の開始点または終了点近傍か否かを判定する。尚、運転曲線情報は距離程・速度・運転操作の組み合わせデータであり、データを距離程順に並べた際の同一の運転操作が連続するデータ群の開始点と終了点が識別表示対象である。ここで、現在のマウスカーソルの位置が既存の運転曲線の開始点または終了点近傍と判定された場合(S905:Yes)は、当該点を識別表示し(S906)、S907へ進む。これに対し、現在のマウスカーソルの位置が既存の運転曲線の開始点、終了点近傍のいずれでもないと判定された場合(S905:No)は、S907へ進む。
【0032】
S907においては、ユーザが識別表示されている位置若しくは任意の座標位置を作成開始点としてマウス操作で指定すると、その指定情報は入力部14から仮運転曲線作成部15へ出力される。
【0033】
S908においては、作成開始点を基準として仮運転曲線の作成方向を順方向・逆方向より指定可能に表示する。ユーザがマウス操作で作成方向を指定すると、その指定情報は入力部14から仮運転曲線作成部15へ出力される。
【0034】
S909においては、マウス操作で指定された作成方向が順方向か否かを判定する。ここで、順方向指定と判定された場合(S909:Yes)は、指定された座標位置および順方向について選択可能な全ての運転操作に対して仮運転曲線を作成し(S910)、S912へ進む。これに対し、逆方向指定と判定された場合(S909:No)は、逆方向について選択可能な全ての運転操作に対して仮運転曲線を作成し(S911)、S912へ進む。尚、仮運転曲線は速度が0km/hになる点(距離程の表示軸との交点)、制限速度の最高速度になる点、または速度制限や既存の運転曲線と交差する点を終了点として計算することで作成する。
【0035】
S912においては、作成開始点を基準として全ての運転操作に対応して作成された仮運転曲線を運転曲線作成画面上に候補として図6または図7のように表示する。
S913においては、ユーザは表示されている運転操作の一覧の中からマウス操作によって任意に運転操作を指定する。ユーザがマウス操作で運転操作を指定すると、その指定情報は入力部14から仮運転曲線作成部15へ出力され、運転曲線作成画面上では指定された運転操作に係る仮運転曲線と既存の運転曲線に基づいて作成された新たな運転曲線へ表示が切り替わる。
【0036】
S914においては、運転曲線の編集が完了したか否かを判定する。具体的には、運転曲線作成画面においてユーザから完了ボタン(図示省略する)の押下が有ったか否かによって判定される。ここで、編集が完了したと判定された場合は、S915へ進む。これに対し、編集が完了していないと判定された場合には、S901へ戻り、完了するまでS901〜S914の処理が繰り返される。
【0037】
S915においては、運転曲線作成画面上で図8のように表示されている新たな運転曲線に基づく運転曲線情報でデータベース部11(運転曲線情報テーブル11D)を更新し、処理を終了する。
【0038】
このように、本実施形態によれば、運転曲線の手動作成の際に複雑な運転曲線計算を操作者が事前に計算することを必要とせず、(1)作成開始点の指定、(2)作成方向の指定、(3)運転操作(仮運転曲線)の指定の3ステップを繰り返すだけで、短時間での運転曲線作成が可能となる効果を奏する。すなわち、作成開始点からの全ての運転操作を仮表示することで、どの運転操作を指定することで期待する運転曲線が作成できるのかを判別することができる。また、手動編集時における仮運転曲線の作成開始点、作成方向および運転操作の指定を支援することで熟練者でなくとも運転曲線の作成を容易にすることができる。また、運転操作上にマウスカーソルを移動すれば、その運転操作により作成されている仮運転曲線を強調表示し、より判別し易くすると好適である。
【0039】
また、各運転操作により作成される全体の運転曲線において時間曲線や消費電力曲線を仮表示しているため、それぞれの運転操作を指定した場合にどの程度運転時間や消費電力に影響があるかを事前に知ることもできる。
【0040】
また、上記実施形態では、7種類(4ノッチ/3ノッチ/2ノッチ/定速/惰行/緩ブレーキ/急ブレーキ)の運転操作を考慮したが、指定できる運転操作は列車の運転台にあるマスターコンピュータから指定できる段と同一であり増減可能である。また、並び順においても、マスターコンピュータと同一の順番でもよいし、固定の順番や作成される曲線の傾きに合わせて任意に設計変更も可能である。
【0041】
更に、上記実施形態では作成方向の指定を行ったが、作成方向の指定を行わず両方向の仮運転曲線の作成を行っても良い。その場合、開始点の指定と仮運転曲線の選択の2ステップで運転曲線の手動作成が可能となる。
【0042】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1…運転曲線作成装置
11…データベース部
11A…列車特性情報テーブル
11B…地上設備情報テーブル
11C…速度制限情報テーブル
11D…運転曲線情報テーブル
12…運転操作変化点計算部
13…運転曲線作成画面表示部
14…入力部
15…仮運転曲線作成部
16…運転曲線情報登録・更新部
17…運転曲線自動作成部
101…CPU
102…ROM
103…RAM
104…入出力インターフェース
105…システムバス
106…入力装置
107…表示装置
108…補助記憶装置
109…通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の走行区間における地上設備情報および速度制限情報、並びに前記列車の走行速度と距離程との関係を表す運転曲線情報に基づいて既存の運転曲線を運転曲線作成画面上に表示する第1の運転曲線表示手段と、
前記運転曲線作成画面に表示された前記既存の運転曲線上でマウス操作によって仮運転曲線の作成開始点を指定する作成開始点指定手段と、
前記列車の運転時に選択可能な運転操作を定義した列車特性情報、前記地上設備情報、前記速度制限情報、および前記運転曲線情報に基づいて前記作成開始点において選択可能な全ての前記運転操作について前記仮運転曲線を作成し、前記運転曲線作成画面上で選択可能に表示する仮運転曲線作成手段と、
前記運転曲線作成画面上で前記運転操作を指定する運転操作指定手段と、
前記運転曲線作成画面上で選択された前記運転操作に係る前記仮運転曲線と前記既存の運転曲線に基づいて新たな運転曲線を作成し、表示する第2の運転曲線表示手段と、
を備えることを特徴とする運転曲線作成装置。
【請求項2】
前記仮運転曲線作成手段は、前記作成開始点の指定時に、前記作成開始点を基準として前記仮運転曲線の作成方向の選択肢を前記運転曲線作成画面上に表示し、前記運転曲線作成画面上で指定された前記作成方向についてのみ前記仮運転曲線を作成することを特徴とする請求項1記載の運転曲線作成装置。
【請求項3】
前記仮運転曲線作成手段は、前記既存の運転曲線または前記距離程の座標軸との交点を作成終了点とし、前記作成開始点から前記運転操作毎に前記仮運転曲線を作成することを特徴とする請求項1または請求項2記載の運転曲線作成装置。
【請求項4】
前記仮運転曲線作成手段は、前記運転曲線作成画面において前記マウス操作で指定された仮運転曲線に対応する所要時間曲線および消費電力曲線を前記運転曲線作成画面上に切り替えて表示することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の運転曲線作成装置。
【請求項5】
列車の走行区間における地上設備情報および速度制限情報、並びに前記列車の走行速度と距離程との関係を表す運転曲線情報に基づいて既存の運転曲線を運転曲線作成画面上に表示するステップと、
前記運転曲線作成画面に表示された前記既存の運転曲線上でマウス操作によって仮運転曲線の作成開始点を指定するステップと、
前記列車の運転時に選択可能な運転操作を定義した列車特性情報、前記地上設備情報、前記速度制限情報、および前記運転曲線情報に基づいて前記作成開始点において選択可能な全ての前記運転操作について前記仮運転曲線を作成し、前記運転曲線作成画面上で選択可能に表示するステップと、
前記運転曲線作成画面上で前記運転操作を指定するステップと、
前記運転曲線作成画面上で選択された前記運転操作に係る前記仮運転曲線と前記既存の運転曲線に基づいて新たな運転曲線を作成し、表示するステップと、
を有することを特徴とする運転曲線作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−224225(P2012−224225A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93986(P2011−93986)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】