運転状態評価システム及びプログラム
【課題】状況に応じた分析・評価がより正しく行える運転状態評価システムを提供する
【解決手段】 車両の走行中に定期的に測定した加速度センサの出力値が閾値以上の回数を集計して安全運転の評価を行う運転状態評価システムである。出力値の大きさと異なる単位である時間的連続性に着目して単発で閾値を超えた回数と連続で閾値を超えている回数をそれぞれ別々に集計する。別々に集計した値は、危険運転内訳表示領域R5cに表示し、最終的にそれらを合計して求めた危険運転回数は危険運転回数の表示領域R5aに表示する。危険運転回数が少ないものほど安全運転の指標が高い。単独/連続で分けて計数してそれらを表示することで、運転者は自己の運転傾向をより詳しく知ることができる。
【解決手段】 車両の走行中に定期的に測定した加速度センサの出力値が閾値以上の回数を集計して安全運転の評価を行う運転状態評価システムである。出力値の大きさと異なる単位である時間的連続性に着目して単発で閾値を超えた回数と連続で閾値を超えている回数をそれぞれ別々に集計する。別々に集計した値は、危険運転内訳表示領域R5cに表示し、最終的にそれらを合計して求めた危険運転回数は危険運転回数の表示領域R5aに表示する。危険運転回数が少ないものほど安全運転の指標が高い。単独/連続で分けて計数してそれらを表示することで、運転者は自己の運転傾向をより詳しく知ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行中に測定・収集したログ情報等に基づいて運転状態等を分析する運転状態評価システム及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
走行中に記録した車両の走行に関する情報を収集・分析して運転者の運転の状態を管理する管理装置がある。特許文献1に開示された運行管理装置は、単位時間内の速度差が閾値以上の時の事象を検出して計数するに際し、当該事象が連続して発生している場合にはその連続した複数の速度変化の事象を1つの速度変化として計数する。そして、計数する対象となる事象が、危険運転となる。
【0003】
これにより、単発で閾値以上の速度差があった場合には1回とカウントし、連続して閾値以上の速度差が生じている場合には連続した一連の状態をまとめて1回とカウントする。カウントした数の合計が、危険運転を行った回数としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−40766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1は、その段落[0007]において、3回連続して閾値を超える事象が発生している場合に3回と数えることの問題として、「2秒間で時速10kmから20km、20kmから30kmと速度をあげる加速の仕方をする運転者と、1秒間で時速10kmから30kmと速度をあげる加速の仕方をする運転者」の例を挙げ、前者を2回、後者を1回と数えることの安全運転の評価の不公平と記載している。そして、かかる不公平さを解消するため危険運転の回数の数え方の改善として、上述したように、両方とも1回と数えるようにしている。
【0006】
しかしながら、例えば、「2秒間で時速10kmから20km、20kmから30kmと速度をあげる加速の仕方をする運転者と、1秒間で時速10kmから20kmと速度をあげる加速の仕方をする運転者」の場合、両者とも急加速の回数は1回とカウントされてしまい、安全運転の評価としてはどちらも同じ程度となる。しかし、実際には、2秒間加速し続けている方が危険であり、この場合には、前者は2回で後者は1回と数える方が好ましい。よつて、特許文献1に開示された評価方法は適切でない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明に係る運転状態評価システムは、(1)車両の走行中に定期的に車両の状態を測定して得られた測定結果に基づく車両の状態情報に対して所定の評価基準を測定内容が満たす回数を集計する運転状態評価システムであって、1つの測定内容の項目について、第一評価基準を満たす回数を、前記第一評価基準とは異なる単位の第二評価基準ごとに集計するようにした。すなわち、評価対象となる測定内容の項目に対して、第一評価基準を満たす回数を一度にまとめて計数するのではなく、第一評価基準を満たすものを第二評価基準によって複数のグルーブに分け、そのグループごとに第一評価基準を満たす回数を求め、それらを集計するようにした。
【0008】
測定結果に基づく車両の状態情報とは、測定結果そのものでも良いし、測定結果に対して演算処理等して求めたものでも良い。実施形態では、運転状態評価システムは、車両走行データ収集装置が収集周期(1秒)内で測定した複数回分の加速度センサの出力値(測定結果)をそのまま取得するのではなく、加速度センサ側で当該複数回分の出力値に対して平均等の演算処理をして得られた測定結果に基づく車両の状態情報に対して判定評価している。すなわち、実施形態では、車両走行データ収集装置は、単位時間(例えば1秒)ごとに車両の状態に関する情報(加速度センサの出力値,位置情報等)を記録しているが、その記録する情報は、単位時間ごとに1回測定・収集した情報そのものを用いてもよいし、その間に収集した複数回の情報(測定結果)に基づいて演算処理等して求めたものでも良い。また、実施形態では、運転状態評価システムは、車両走行データ収集装置から取得した情報に対してそのまま評価基準に基づいて判定し、集計している。しかし本発明はこれに限ることはなく、車両走行データ収集装置側で測定結果に対して演算処理等をしているか否かにかかわらず、運転状態評価システム側で取得した情報をさらに適宜加工して求めた測定結果に基づく車両の状態情報に対して判定しても良い。
【0009】
単純に1つの評価基準(第一評価基準)を満たす回数を計数するのではなく、別の第二評価基準に従って分けたグループごとに第一評価基準を満たす回数をカウントし、それを集計する。よって、状況に応じた分析・評価が行える。
【0010】
(2)前記第一評価基準は前記測定内容の大きさに関するものであり、前記第二評価基準は前記測定内容の時間的連続性に関するものとするとよい。時間的連続性は、測定したときの並びで連続n回以上か否かで分けることができる。その場合例えば、nを2とすると、単発で発生しているものと連続して発生しているものを分けてそれぞれ計数することになる。もちろん、nを3以上にすることで、単発とn回未満の連続を1つのグループ、n回以上の連続をもう1つのグルーブと分けても良い。また、実施形態では、単発と連続のように2つのグループに分けて計数したが、3つ以上に場合分けしてそれぞれを計数するのを妨げない。
【0011】
単発或いは短い期間において第一評価基準のある大きさを超えているケースと、連続して長い期間において第一評価基準のある大きさを超えているケースでは、発生原因が異なることがある。かかる場合、それらを分けて計数することで、各グループでの発生数などを知ることができ、運転の挙動等を認識し、安全運転をするために注意をすべき事項も理解しやすい。発生原因が異なるとは、例えば、運転者が無意識に行う運転に伴うものと意識的に行う運転に伴うものがある。すなわち、例えば、第一評価基準が加速・減速の大きさであるとき、短い期間において第一評価基準のある大きさを超える場合、運転者がアクセルペダル或いはブレーキペダルを無意識のもとで踏んだ後、離す(無意識のため踏んでいる時間が短い)ことが原因であることがあるが、長い期間連続して第一評価基準のある大きさを超える場合、意識してアクセルペダル或いはブレーキペダルを踏み続けていることことが原因であることがある。第一評価基準を超えるケースが、無意識に伴うものが多い場合、運転者は自己の運転の挙動・癖を自覚していないため、それを認識させることができる。また、別の発生要因としては、車両外部の交通状態(他の車両の走行状態)に基づくものがある。例えば、前を走行する車両が急ブレーキを掛けて車間距離が近づいた場合、前方車両のブレーキランプが点灯した場合、車両前方への人・物体の飛び出しが合った場合等、危険回避のために自分もブレーキを踏んだり、ハンドルを切って進路を変更したりすることがある。この危険運転回避のためのブレーキ操作やハンドル操作は、比較的短期間で終わることが多い。そして、このような原因に伴い発生する事象(第一評価基準を超えること)は、ある程度許容できる。一方、道路が空いていて前方に車両がいなかったり、遠い前方に車両が存在していたりする場合には、長い期間連続して第一評価基準のある大きさを超えることが可能である。しかし、仮に、外部の交通事情等から可能であったとしても、実際に長い期間連続して第一評価基準のある大きさを超えるような運転を継続することは、危険運転であるの好ましくなく、運転者に係る運転の挙動があることを認識させ、安全運転のためにそのような長い期間連続して第一評価基準のある大きさを超えることがないように運転を改めさせるのがよい。
【0012】
さらに別の発生原因としては、例えば、走行した道路の状態がある。例えば、市街地等の平坦で交差点もT字路や十字路のように曲がり角も90度前後の箇所が多い場合、安全運転を心がけることで、長い期間連続して第一評価基準のある大きさを超えることは少ない。これに対し、山道など上り下りや、急なカーブが続く道路を走行する場合、必然的に加速・減速をすると前後方向の加速が継続してかかり、ハンドルを大きく切ることで横方向の加速度が継続してかかることがある。このように道路の状態に基づく場合、長い期間連続して第一評価基準のある大きさを超えることが、そのまま危険運転をしていることに直接つながるわけではないが、やはり、そのような道路を走行するとハンドル操作を誤ったり、ブレーキ操作を誤ったりすることで事故につながるおそれが市街地等を走行する場合に比べて高くなる。従って、安全運転のために、目的地までの走行ルートを決める際に、そのような危険な道路を避けるようにすることができる。
【0013】
また、第一評価基準がある大きさを超えたのが危険運転の状態(イベント発生)とすると、連続して一定期間において第一評価基準のある大きさを超えているケースと、瞬間的(単発)に一回だけ第一評価基準のある大きさを超えているケースを比較した場合、危険な状態が長く続いている後者の方がより危険であるといえる。本発明では、時間的連続性に基づいて分けて計数するが、連続して長くある大きさを超えている場合には、その分カウントされる回数も多くなり、危険度が高いという分析を行うことができる。
【0014】
また、前記第一評価基準を前記測定内容の時間的連続性に関するものとし、前記第二評価基準を前記測定内容の大きさに関するものとしてもよいし、時間的連続性や測定内容の大きさ以外の評価基準値を用いても良い。
【0015】
(3)前記第二評価基準ごとに集計した回数をさらに合計した合計値を出力するとよい。第二評価基準ごとに分けて集計することで、運転の挙動の傾向をより詳しく分析することができる。そして、それぞれ集計した回数をさらに合計することで、運転全体に対する総合的な評価が行える。特に、前記第二評価基準ごとに集計した回数と前記合計値とは同一画面上に同時に表示するなど、同時に視認可能に表示するとよい。
【0016】
(4)前記第二評価基準ごとに集計した値を当該第二評価基準別に出力するとよい。第二評価基準ごとに集計した値を別々に分けて出力することで、第二評価基準で分けた何処に危険運転等の問題があるかを容易に理解できる。
【0017】
(5)前記第一評価基準は複数の評価基準値に基づいて設定されるとよい。第一評価基準という同種の評価基準の中で複数の評価基準値を設定することで、より詳細な分析・評価が行える。実施形態では、0.1Gごとに分け、区分ごとの発生回数を計数していることに対応する。この複数の評価基準値を設けた場合、第二評価基準ごとの集計は、少なくとも1つの評価基準値に対して行えばよい。また、第二評価基準も同様に複数の評価基準値を設けてもよい。
【0018】
(6)前記測定内容の項目が複数存在し、その複数の測定内容の項目についての前記第一評価基準を満たす回数の合計値を出力するとよい。測定内容の項目を複数設定することで、詳細な分析・評価が行える。実施形態では、複数軸の加速度センサの出力に基づき、加速・減速・ハンドル(方向変換)の3種類の項目についてそれぞれ求めている。また、加速と減速については、加速度の加わる方向が逆向きであり、車両の進行方向に沿って前後方向に加わるので、1つのセンサ出力(実施形態では、X軸)に基づいてその出力の正の値と負の値からそれぞれ求められる。このように、1つの測定結果(実施形態では加速度センサのX軸の出力値)に対して異なる項目(実施形態では「加速」と「減速」)で計数する場合と、測定結果自体が異なる(実施形態では、X軸とY軸のセンサ出力値に基づく)項目について計数する場合の両方がある。
【0019】
(7)前記第一評価基準,前記第二評価基準に基づいて求めた評価結果を、日付単位,指定された期間,運転単位の少なくとも1つを集計範囲として出力する機能を備えるとよい。特に運転の場合、一日単位での日報などとして管理することが多く、それに合わせることで、例えば、その日の体調・気分など加味しながら運転者は自己の運転の挙動を鑑み、安全運転をするためにどうすればよいかの契機付けになりやすい。また、指定された期間は、例えば、一日の内のある時間帯であったり、逆に複数の日にまたがったり、月単位など各種の設定ができる。その期間での挙動を確認するのに適する。また、運転単位は、例えばエンジンを始動してから、停止するまでの1回の走行単位である。運転単位ごとに結果を出力することで、例えば、道路状況その他の外部の要因等を加味し、各運転について評価できる。
【0020】
(8)測定する前記車両の状態として加速度を備え、前記測定内容の項目は、車両の進行方向の加速度から求める加速,車両の進行方向の加速度から求める減速,車両の進行方向と交差する方向の加速度から求める進行方向の変更の少なくとも1つとするとよい。大きな加速度を受けた場合には、危険の度合いが高い。よって、安全運転か否かの評価がしやすくなる。この場合に、複数の項目を測定内容の項目にすることでより詳細な分析・評価ができて好ましい。
【0021】
(9)道路地図を表示する機能を備え、前記車両の状態の測定の際に位置情報も取得し、測定結果と位置情報を関連付けて記録した情報に基づき、前記第一評価基準を満たす測定結果が得られた位置に対応する前記道路地図上の位置を示す位置表示機能を備えるとよい。道路地図は、システム自体が記憶保持していたものを表示しても良いし、インターネット等を介して外部のデータベースにアクセスし取得したものを表示しても良い。このようにすると、道路上のどの位置で危険な運転等のイベント発生があったかを後で確認でき、その原因が道路の形状(坂、カーブ等)によるものか、他の走行する車両の挙動(割り込み・急ブレーキ等)に追従したものか、自己の不注意によるものかなどをより詳しく思い出して分析できる。
【0022】
(10)(9)の発明を前提とし、前記位置表示機能で表示された前記道路地図上の位置の付近に、その位置における測定結果に関する情報を重ねて表示する機能を備えるとよい。実施形態では、吹き出し方式で表示している。このように付加情報を表示することで、自己の記憶とともに客観的にそのときの運転の挙動を把握できるのでよい。
【0023】
(11)上記の(1)〜(10)のいずれかに記載の運転状態評価システムとしての機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、単純に1つの評価基準(第一評価基準)を満たす回数を計数するのではなく、別の第二評価基準に従って分けたグループごとに第一評価基準を満たす回数をカウントし、それを集計するため、状況に応じた分析・評価がより正しく行える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】車両走行データ収集装置の一例を示す図である。
【図2】OBD2コネクタの設置位置等を示す図である。
【図3】SDメモリカード内のファイル構造の一例を示す図である。
【図4】本発明にかかる運転状態評価システムの一実施形態を示す図である。
【図5】運転状態評価システムの演算処理部の機能を説明するフローチャートである。
【図6】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図7】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図8】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図9】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図10】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図11】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図12】収集したログ情報の一例である。
【図13】重力加速度を単位とする加速度の区分けを説明する図である。
【図14】運転状態評価システムの演算処理部の機能を説明するフローチャートである。
【図15】演算処理部の機能を説明するバッファメモリ構造の一例を示す図である。
【図16】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図17】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図18】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図19】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図20】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図21】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図22】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図23】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図24】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図25】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図26】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図27】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図28】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図29】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[車両走行データ収集装置]
図1は、本発明の解析対象のデータを収集する車両走行データ収集装置の一例を示している。同図に示すように、この車両走行データ収集装置1は、装置本体2と、車両接続用アダプタ3と、GPSモジュール4とを備えている。装置本体2と車両接続用アダプタ3は、接続ケーブル5にて接続される。装置本体2とGPSモジュール4は、接続ケーブル6にて接続される。接続ケーブル5,6は、その一端がそれぞれ車両用接続用アダプタ3,GPSモジュール4に一体に接続され、その他端の先端に雄型のコネクタ端子を備えている。このコネクタ端子が、装置本体2の背面に設けた雌型のコネクタ端子に接続される。
【0027】
車両接続用アダプタ3は、車両に実装されているOBD−II(IIはローマ数字の「2」であり、以下「OBD−II」を「OBD2」と記す)コネクタに着脱自在に装着する。OBD2コネクタは、故障診断コネクタとも称され、車両のECUに接続され、各種の車両情報が出力される。そこで、車両接続用アダプタ3と車両本体側のOBD2コネクタとを連結することで、車両走行データ収集装置1は、各種の車両情報を定期的に取得する。取得する車両情報は、車両の速度,エンジン回転数,MAF値(mass air flow:空気量),インジェクション開時間,スロットル開度等がある。OBD2コネクタは、車両側のバッテリーにも接続されており、イグニッションスイッチのONにともないOBD2コネクタの所定の端子から電力供給可能となる。そこで、車両走行データ収集装置1は、車両側のバッテリーから電源供給も受ける。
【0028】
GPSモジュール4は、GPSアンテナ及び受信回路を内蔵し、GPS(Global Positioning System )信号を受信し、現在位置(経度・緯度)に加え、時刻・高度(3D測位モード)等も検知し、接続ケーブル6を経由して装置本体2側に送る。なお、GPSモジュール4の動作電源は、OBD2コネクタからの車両のバッテリー電源を用いる。
【0029】
装置本体2は、矩形状の筐体からなるケース本体2aと、ケース本体2aの前面に設けたSDメモリカード用スロット2bと、動作状態を報知するLED2cと、ケース本体2aの背面に形成した2つの雌型のコネクタ端子及びモード指令スイッチ2dとを備える。さらにケース本体2aの内部には、CPUを含む演算処理その他の処理を行う制御部と、3軸の加速度センサと、ブザーと、外部機器と接続するインタフェースを備えている。
【0030】
制御部は、CPU,ROM,RAM,不揮発性メモリ、I/O等を備えるマイコンであり、上記の各種の入力機器(SDメモリカード用スロット2b,加速度センサ,車両接続用アダプタ3,GPSモジュール4)から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、上記の各種の出力機器(SDメモリカード用スロット2b,LED2c,ブザー)を利用して所定の警報や情報を出力する。
【0031】
LED2cは、エンジン始動に伴い点灯し、エンジン停止に伴い消灯する。点灯するLED2cは、通常時は一定間隔(例えば1秒)に点滅し、異常時には当該一定間隔よりも短い周期で点滅する。エンジンの始動/停止判定は電源ラインの重畳ノイズを検知することで判定する。これらの判定並びに点滅制御は、制御部が行う。これにより、ユーザ(運転者)は、LED2cの点滅を見ることで正常に動作していること並びに異常があったことを確認できる。ここで異常は、例えば、危険運転をした場合がある。
【0032】
加速度センサは、車の挙動を検出するもので、X軸が進行方向にかかる加速度、Y軸が横方向にかかる加速度、Z軸が上下方向にかかる加速度を検出する。これにより、X軸は急加速・急減速、Y軸は急ハンドル、Z軸は段差の乗り上げや窪みへの落ち込みといった車両の所定の挙動をそれぞれ検出する。本実施形態では、X軸とY軸の出力に基づいて危険運転を検出する。
【0033】
ブザーは、ケース本体2aの天面に設けたスピーカ口2eの直下に配置される。制御部は、加速度センサの出力が、設定された閾値以上の場合に警報ブザー音を出力する。警報ブザー音の鳴動パターンは、危険運転の種類(急加速、急減速、急ハンドル)とレベル(センサ出力の大きさ)によりそれぞれ異ならせている。
【0034】
制御部は、SDメモリカード用スロット2bに装着したSDメモリカード7にアクセスし、データの読み書きを行う。すなわち、制御部は、SDメモリカード7に記録されているファイルを読み出して各種の設定を行ったり、動作中に定期的に収集した車両の走行に関するデータ(ログ情報)や位置情報等をSDメモリカード7に記録したりする。
以下、車両走行データ収集装置1の設置から実際の使用時の動作を説明しつつ、制御部の機能を説明する。
【0035】
*設置
図2(a)は、OBD2コネクタの設置位置の一例を示し、図2(b)はOBD2コネクタの正面図を示している。図2(a)に示すように、設置位置は車種により様々であり、たとえは、(1)アクセルペダル脇,(2)運転席足元右側,(3)運転席足元中央,(4)運転席足元左側,(5)センターコンソール右脇,(6)助手席足元右側,(7)ステアリング右脇パネル裏側,(8)助手席足元左側,(9)センターコンソール左脇,(10)センターコンソール下などがある。いずれにしても、OBD2コネクタは、ハンドルの周囲に存在している。
【0036】
そこで、ユーザは、まず車両接続用アダプタ3を車両のOBD2コネクタに接続する。このとき、車両接続用アダプタ3と装置本体2は、接続ケーブル5により接続されている。装置本体2は、運転の妨げにならないように、センターコンソールやインパネなどに固定する。固定は、両面接着テープ等を用いる。
【0037】
*初期設定
車両情報の通信プロトコルは、自動車メーカさらには車種によって相違する。従って、使用に先立ち、車両走行データ収集装置1(制御部)に対してどの車両に設置しているかを認識させる必要がある。本実施形態は、SDメモリカード7内に記録した初期設定用ファイルを用いて初期設定をして設置した車両の車種等の設定を行う。
【0038】
すなわち、図3に示すように、SDメモリカード7は、設定用のファイルと、データ記録用のファイルが格納される。設定用のファイルは、初期設定用ファイルと通常設定用ファイルの2つが用意されている。初期設定用ファイルには、車両のメーカ名と車種名を含む車種情報が記録されている。この車種情報は、後述するように、運転状態評価システムによってSDメモリカード7に記録される。
【0039】
初期設定は、SDメモリカード7をSDメモリカード用スロット2bに装着した状態でモード指令スイッチ2dを押下することで行う。制御部は、モード指令スイッチ2dの押下を検出すると、SDメモリカード7内の初期設定用ファイルを読み出して車種情報を取得し、車両走行データ収集装置1(ケース本体2)内の不揮発性メモリに書き込む。車種情報は、不揮発性メモリに登録されて記憶保持されるため、初期設定で設置時に1回行えばよい。
【0040】
*通常設定
通常設定は、SDメモリカードのカード番号と、センサレベルと、GPSモジュールの接続の有無等のオプション情報等を車両走行データ収集装置1に覚え込ませるものである。センサレベル(衝撃感度レベル)は、加速度センサの検出感度を決定するもので、5段階にレベル分けされた中のいずれかが設定される。レベル(数値)が小さいものほど感度が低く(大きな衝撃がないと警報ブザーが鳴らない)、レベル(数値)が大きいものほど感度が高い(小さい衝撃でも警報ブザーが鳴る)設定としている。そして、実際の車両の走行中の動作では、加速度センサの出力が、設定されたレベルを超えた場合に警報ブザー音を報知する。5段階のレベル分けは、具体的にはレベル1は0.5G以上で鳴動,レベル2は0.4G以上で鳴動,レベル3は0.3G以上で鳴動,レベル4は0.2G以上で鳴動,レベル5は0.1G以上で鳴動する設定としている。
【0041】
この通常設定は、SDメモリカード7をSDメモリカード用スロット2bに装着する都度行う。つまり、制御部は、SDメモリカード7が装着されことを検知すると、SDメモリカード7内の通常設定用ファイルを読み出して取得した情報をRAMに書き込む。
【0042】
*設置モード
ケース本体2には、3軸の加速度センサが内蔵されている。ケース本体2を車両の所定位置に固定設置した状態で車両の進行方向を教え込み、X軸(進行方向)、Y軸(横方向)、Z軸(天地方向)を正しく認識し、所望の方向に係る加速度を検出できるようにする。具体的には、まず、SDメモリカードを未装着の状態でモード指令スイッチ2dを長押し(例えば、5秒以上)、その後、ユーザは、車両を前方に走行する。制御部は、係る状態を検知すると、設置モードに切り替え、その時の加速度のかかる方向から進行方向(X軸)を決定し、当該方向と直交する方向を横方向(Y軸)に決定する。
【0043】
*通常動作
ユーザは、SDメモリカード7を入れた状態でエンジンを始動する。制御部は、エンジンの始動とSDメモリカード7の装着の両方の条件を満たした場合、1秒ごとに収集した車両の走行に関する情報(ログ情報)をSDメモリカード7に記録する。車両の走行に関する情報は、現在日時情報,現在位置情報(緯度・経度・高さ等),加速度センサ出力(X軸,Y軸,Z軸),車両情報(車速等)がある。制御部は、エンジン始動から停止までを1つのデータ収集期間とし、そのデータ収集期間ごとに1つのファイルを作成する。このファイルは、先頭に運転者等の端末情報を記録し、以後、1秒ごとに収集したログ情報を逐次記録する構成を採る。この端末情報は、後述するように運転状態評価システムを実行してSDメモリカードに登録してある。
【0044】
加速度センサ出力(X、Y、Zの加速度)を1秒あたりそれぞれ100個(10ms周期)取得した制御部が、各100個の値を20個単位の5グループに分け、各グループで平均値を求め、さらにそれらの最大値をSDメモリカードに記録する。加速度センサの出力値の単位は、重力加速度(G)(1G=9.8m/sec^2)としている。このように平均値を求めるのは、加速度センサの出力に誤差・ばらつきを含むため、かかる誤差・ばらつき等による影響を少なくするためである。また、複数(ここでは5つ)のグループに分け、その中の最大値を求めるのは、以下の理由による。本実施形態では、データを収集する単位が1秒ごとであるが、運転の挙動が当該1秒の間同じであるとは限らない。そして、1秒間の中のある期間(比較的短い期間)で大きな加速度がかかる運転をし、それ以外の期間では加速度が小さい運転をしたような場合、瞬間的に大きな加速度がかかる運転をしたことは危険運転であることに変わりがないが、全区間でサンプリングした100個の全体の平均を求めることで、求めた加速度が低くなり危険運転でないと判断されることがある。そこで、複数のグループに分け、グループ間での最大値を加速度として記録することで、かかる1秒間の中のある期間に発生した大きな加速度が他の期間で発生している小さい加速度で埋もれてしまうことを抑制している。
【0045】
制御部は、加速度センサの各軸のうちの少なくとも1つの出力値(SDメモリカードに記録する演算して求めた値)が上記の通常設定で設定されたセンサレベル以上の場合、警報ブザーを出力する。警報ブザーの音量は、本実施形態では、固定レベルとしている。
【0046】
制御部は、X軸のセンサ出力値に基づいて、車両の急加速/急減速を判定する。つまり、本実施形態では、進行方向前方に走行している際に速度が加速している場合、X軸のセンサ出力値は正の値を示し、進行方向前方に走行している際に速度が減速している場合、X軸のセンサ出力値は負の値を示す設定としている。そこで、制御部は、X軸のセンサ出力値の絶対値が設定されたセンサレベル以上であって出力値が正の場合には急加速の状態と判定し、X軸のセンサ出力値の絶対値が設定されたセンサレベル以上であって出力値が負の場合は急減速の状態と判定する。
【0047】
Y軸のセンサ出力値は、横方向にかかる加速度であるため、ハンドルを切った際に運転者にかかる横Gである。センサ出力値の正負は、ハンドルを切った方向が右であるか左であるかにより変わる。運転の挙動が事故につながる危険運転となるのは、急ハンドルを切って大きな横Gがかかった場合であり、その大きさの絶対値が同じであれば左右のいずれの方向にハンドルを切ったとしても危険度は変わらない。そこで、制御部は、Y軸のセンサ出力値の絶対値が設定されたセンサレベル以上の場合には急ハンドルの状態と判定する。
【0048】
そして、制御部は、上記の判定結果にともない、危険運転の種類に応じた警報ブザーの鳴動やLEDの点滅制御を行う。なお、Z軸のセンサ出力値は、記録はするが警報等には利用しない。
【0049】
ユーザは、エンジン停止後降車する際に、SDメモリカード用スロット2bからSDメモリカード7を取り出し、パソコンで構成される運転状態評価システムにセットし、走行中に記録した車両の走行に関する情報をかかる運転状態評価システムに吸い上げる。
【0050】
<運転状態評価システムの基本構成>
運転状態評価システムは、パーソナルコンピュータにより構成する。従って、図4(a)に示すように、運転状態評価システムのハードウエア構成は、演算処理部11,記憶部12,入力部13,表示部14並びにカードリーダ15を備える。記憶部12は、演算処理部11が実行するアプリケーションプログラムを格納する不揮発性メモリや、演算処理部11が演算実行中に使用するワークメモリや、運転状態評価を行うために特定すべき管理者・運転者・車両・SDメモリカード等の管理用情報を記録するファイル(登録者ファイル,車両情報ファイル,端末情報ファイル)や、走行中に記録した車両の状態情報を記録する内部或いは外部の記憶装置(ハードディスク)がある(図4(b)参照)。入力部13は、マウス等のポインティングデバイスやキーボードである。カードリーダ15は、装着したSDメモリカード7に対してデータの読み書きをする装置である。
【0051】
この運転状態評価システムは、上述した車両走行データ収集装置が収集した車両の走行に関する情報を分析し、運転者の挙動、より具体的には安全運転について評価し、その結果を出力する機能を備える。本実施形態では、加速度センサ出力が、所定の閾値を超えた場合に危険運転があったとし、その危険運転のあった回数をカウントして出力する。つまり、危険運転の発生回数が多いほど安全運転の指標は低くなり、危険運転の発生回数が0であれば安全運転であると言える。このように、安全運転の指標を危険運転の発生回数に基づいて評価するようにした。
【0052】
車両走行データ収集装置1が本実施形態のようにGPSモジュール4を備えたものの場合、走行履歴も合わせて記録する。よって、運転状態評価システムは、走行履歴データと加速度センサ出力とをリンクさせ、どの位置で加速度センサの出力値が閾値を超える危険運転があったかなどの情報も合わせて提供する。以下、具体的な処理手順を説明しつつ、演算処理部11の機能を説明する。
【0053】
*起動処理
記憶部12にインストールされているアプリケーションプログラム(本実施形態では、「PCビューア」と称する)を起動することで、パーソナルコンピュータが運転状態評価システムとして動作する。
【0054】
図5に示すように、パーソナルコンピュータの通常のプログラムの起動処理(ショートカットキーのクリック,プログラムメニューリスト内のメニュー項目のクリック等)に従いPCビューアを起動させる(S1)と、演算処理部11は、図6(a)に示すPCビューア起動画面を表示部13に表示し、お試しモードの利用か通常モードの利用かの選択を待つ(S2)。ユーザは、入力部14であるポインティングデバイスを操作し、PCビューア起動画面中に設けられた「通常モード起動」,「お試しモード起動」の2つの入力ボタンのいずれかをクリックする。演算処理部11は、2つの入力ボタンのどちらがクリックされたかを検知し、対応するモードを起動する。
【0055】
「通常モード起動」が選択された場合(S2はNo)、演算処理部11は、管理者ユーザが未登録か否かを判断する(S3)。つまり、演算処理部11は、記憶部12の登録者ファイルにアクセスし、少なくとも1名の管理者ユーザが登録されているか否かを判断し、未登録の場合、図6(b)に示す注意メッセージを表示部13に表示し(S4)、「OK」ボタンのクリックを待ち、管理者ユーザ登録処理を実行する(S5)。演算処理部11は、図6(c)に示す管理者ユーザの新規登録画面を表示部13に表示する。ユーザは、入力部14を操作し、新規登録画面中の各テキスト入力ボックス内に管理者名、アカウント名、パスワードを入力し、「登録」ボタンをクリックする。そこで、演算処理部11は、入力された情報に基づきそれらを関連付けたテーブル構造の管理者ユーザ情報を作成し登録者ファイルに格納する。
【0056】
ここで管理者ユーザは、後述する登録者情報/車両情報/端末情報の登録・削除・変更をする権限を持ち、全てのユーザのSDカード設定、SDカードデータ取り込み、運行データ閲覧をする権限を持つ。管理者名は、ユーザの画面表示名であり後で変更も可能である。アカウント名は、ログイン時のアカウントであり変更できない。また、パスワードは、ログイン時のパスワードであり、後で変更も可能である。
【0057】
次いで、演算処理部11は、ログイン処理を実行する(S6)。すなわち、演算処理部11は、図7(a)に示すログイン画面を表示する。ユーザは、入力部14を操作し、ログイン画面中の各テキスト入力ボックス内にユーザアカウントとパスワードを入力し、ログインボタンをクリックする。演算処理部11は、入力されたユーザアカウントとパスワードの組み合わせが、登録者ファイルに格納されたものと一致するか否かを判断し、一致した場合には、PCビューアのメイン画面(図7(b)参照)を表示する。
【0058】
なお、すでに管理者ユーザが登録済みの場合(S3でYes)、処理ステップS6に飛び、演算処理部11は、ログイン画面を表示しログイン処理を実行する。また、後述するように管理者ユーザが登録されている場合、当該管理者ユーザは、管理対象の運転者に関する情報も登録する。そこで、運転者についてユーザアカウントとパスワードを登録することで、運転者も本システムにログインしてPCビューア画面を見ることができる。なお、この運転者についてのユーザアカウント並びに新たな管理者のユーザアカウントの追加は、登録済みの管理者ユーザが行う。
【0059】
図7(b)に示すPCビューアのメイン画面は、新規の管理者ユーザ登録をした後の一連の処理ステップの実行に伴い表示したものである。つまり、車両の走行に関する情報が未登録であるため、各結果表示領域は空欄の状態となる。
【0060】
また、図7(b)に示すように、メイン画面上部(長円で囲んだ部分)に用意されたメニューをクリックすると対応する各機能が実行されてデータ収集,分析に伴う結果表示や,各種の設定等が行える。ここでメニュー項目は、左から順に「運行データ一覧」,「運行データ終日管理」,「運行データ期間集計」,「帳票」,「データ取り込み」,「端末SDカード設定」,「管理」,「パスワード変更」,「ユーザ切替」,「バージョン情報」となっている。
【0061】
「お試しモード起動」が選択された場合、S2の分岐判断はYesとなるので、演算処理部11は、記憶部12に登録されているサンプルデータを利用して分析し、その分析結果をPCビューアのメイン画面の結果表示領域に出力する。このお試しモードの動作は通常モードと同じで、新たな車両の走行に関する情報やユーザアカウントの追加登録をしたり、登録済みデータの変更や削除をしたりすることができる。これらの処理・作業は、通常モードと同じにしているため、ユーザはお試しモードを利用して操作性や分析結果等の確認が実際の通常モードを想定して正しくできる。但し、お試しモードで起動した場合のデータの登録/変更/削除は一時的な変更のみになり、アプリケーション終了でデータ変更分は保存しない。
【0062】
*初期設定処理
PCビューアを起動後、実際にSDメモリカードを利用して車両の走行に関する情報の収集並びに分析・結果表示等の運用を行うに先立ち、運用で利用する「運転者」,「車両」,「端末」の情報を設定登録する必要がある。また、この初期設定により、記憶部12を構成するハードディスク等の不揮発性の記憶エリアに、各情報が登録されたファイルが生成される。このファイルに登録された情報は、その後も追加・更新が可能である。
【0063】
*運転者情報等管理
管理者ユーザは、利用する運転者情報が未登録の場合、運転者登録処理を実行する。具体的には、管理者ユーザは、メイン画面上部のメニューの「管理」をクリックする。演算処理部11は、かかる「管理」がクリックされたことを検知すると、「車両一覧」,「端末一覧」,「登録者一覧」の3つのメニュー項目を有するプルダウンメニューを表示する。そして、演算処理部11は、「登録者一覧」がクリックされたことを検知すると、記憶部12の登録者ファイルにアクセスし、登録されている管理者ユーザと運転者の情報を取得し、図8(a)に示す登録者一覧画面を表示する。
【0064】
そして、演算処理部11は、登録者一覧画面の「運転者新規登録」ボタンがクリックされたことを検知すると、図8(b)に示す運転者の新規登録画面を表示部13に表示する。この新規登録画面は、実際には、登録者一覧画面の上に重ねて表示する。管理者ユーザは、入力部14を操作し、新規登録画面中の各テキスト入力ボックス内に運転者名,アカウント名,パスワードを入力し、「登録」ボタンをクリックする。そこで、演算処理部11は、入力された情報に基づきそれらを関連付けたテーブル構造の運転者情報を作成し登録者ファイルに格納する。管理する運転者が複数存在する場合、上記の処理を繰り返し実行する。
【0065】
運転者情報で規定される運転者ユーザは、ログインしたユーザのSDカード設定、SDカード取り込み、運行データ閲覧が可能であり、他の運転者ユーザのSDカード設定、SDカード取り込み、運行データ閲覧はできない。そして、運転者名は、ユーザの画面表示名であり、後で変更も可能である。アカウント名は、ログイン時のアカウントであり、変更できない。また、パスワードは、ログイン時のパスワードであり、後で変更も可能である。
【0066】
また、新たな管理者ユーザを追加したい場合、図8(a)に示す登録者一覧画面中の「管理者新規登録」ボタンをクリックすることで行える。演算処理部11は、かかる「管理者新規登録」ボタンがクリックされると、図6(c)に示す管理者ユーザの新規登録画面を表示する。そして、管理者ユーザは、入力部14を操作し、新規登録画面中の各テキスト入力ボックス内に管理者名、アカウント名、パスワードを入力し、登録ボタンをクリックする。演算処理部11は、入力された情報に基づきそれらを関連付けたテーブル構造の管理者ユーザ情報を作成し登録者ファイルに格納する。
【0067】
さらに、上述した処理を実行してすでに登録された管理者ユーザや運転者情報を修正・削除といった更新処理をする場合、管理者ユーザは、図8(a)に示す登録者一覧画面における更新処理対象の管理ユーザ或いは運転者情報の欄の「変更」ボタンB1或いは「削除」ボタンB2をクリックする。かかるクリックを検知した演算処理部11は、更新処理を実行する。具体的には、演算処理部11は、「変更」ボタンB1のクリックを検知すると図8(b)や図6(c)に示した新規登録画面の各テキスト入力ボックス内に登録済みの情報を表示し、その後「登録」ボタンのクリックを検知するとその時の各テキスト入力ボックス内の情報に更新する。また、演算処理部11は、「削除」ボタンB2のクリックを検知すると、削除して良いかの確認メッセージと「Yes」ボタン・「No」ボタンを用意した確認画面を表示し、「Yes」ボタンがクリックされたことを検知すると、該当する運転者・管理者ユーザを登録者ファイルから削除する。もちろん演算処理部11は、「No」ボタンがクリックされたことを検知すると削除しない。なお、少なくとも一人の管理者ユーザが必要なため管理者ユーザの登録数が「1」のときに当該管理者ユーザに対して「削除」ボタンがクリックされた場合、演算処理部11は、削除できない旨のメッセージと「OK」ボタンを有する確認画面を表示し、「OK」ボタンのクリックを検知すると当該確認メッセージを消去する。このように、これらの管理ユーザや運転者情報の追加・修正・削除は、管理者ユーザのみが行える。
【0068】
*車両情報管理
管理者ユーザは、利用する車両情報が未登録の場合、車両情報登録処理を実行する。具体的には、まず、メイン画面上部のメニューの「管理」をクリックする。演算処理部11は、かかる「管理」がクリックされたことを検知すると、「車両一覧」,「端末一覧」,「登録者一覧」の3つのメニュー項目を有するプルダウンメニューを表示する。そして、演算処理部11は、「車両一覧」がクリックされたことを検知すると、記憶部12の車両情報ファイルにアクセスし、登録されている車両情報の情報を取得し、図9(a)に示す車両一覧画面を表示する。図示するように、車両情報が未登録の場合、演算処理部11は、項目名(車両メーカ名,車種名,車両番号,基準燃費値)のみを表示し、各項目内のデータは空欄とする。
【0069】
そして、演算処理部11は、車両一覧画面の「車両新規登録」ボタンがクリックされたことを検知すると、図9(b)に示す車両情報の新規登録画面を表示部13に表示する。この新規登録画面は、実際には、車両一覧画面の上に重ねて表示する。管理者ユーザは、入力部14を操作し、新規登録画面中の各テキスト入力ボックス内に車両メーカ名,車種名,車両番号,基準燃費値を入力し、登録ボタンをクリックする。そこで、演算処理部11は、入力された情報に基づきそれらを関連付けたテーブル構造の車両情報を作成し登録者ファイルに格納するとともに、車両一覧画面に表示する。管理する車両が複数存在する場合、上記の処理を繰り返し実行する。
【0070】
もちろん、演算処理部11は、車両一覧画面に表示される登録済み車両情報の欄の「修正」ボタンがクリックされたことを検知すると、図9(b)に示した新規登録画面の各テキスト入力ボックス内に登録済みの情報を表示し、その後「登録」ボタンのクリックを検知するとその時の各テキスト入力ボックス内の情報に更新する。これにより登録済みの車両情報の修正が行える。また、演算処理部11は、車両一覧画面に表示される登録済み車両情報の欄の「削除」ボタンのクリックを検知すると、削除して良いかの確認メッセージと「Yes」ボタン・「No」ボタンを用意した確認画面を表示し、「Yes」ボタンがクリックされたことを検知すると、該当する車両情報を車両情報ファイルから削除する。これに伴い、車両一覧画面から該当する車両情報が消去される。
【0071】
*端末情報管理
管理者ユーザは、利用する端末(上記の車両走行データ収集装置)についての端末情報が未登録の場合、端末情報登録処理を実行する。具体的には、まず、メイン画面上部のメニューの「管理」をクリックする。演算処理部11は、かかる「管理」がクリックされたことを検知すると、「車両一覧」,「端末一覧」,「登録者一覧」の3つのメニュー項目を有するプルダウンメニューを表示する。そして、演算処理部11は、「端末一覧」がクリックされたことを検知すると、記憶部12の端末情報ファイルにアクセスし、登録されている端末情報の情報を取得し、図10(a)に示す端末一覧画面を表示する。
【0072】
演算処理部11は、端末一覧画面の「DMR端末新規登録」ボタンがクリックされるのを検知すると、図10(b)に示す端末の新規登録画面を表示部13に表示する。この新規登録画面は、実際には、登録端末一覧画面の上に重ねて表示する。ここで「DMR」は、「Drive Monitoring Recorder」の略であり、本実施形態との関係で言うと、車両走行データ収集装置のことを指す。管理者ユーザは、入力部14を操作し、新規登録画面中の各入力ボックス内に端末ID、取付車両、製品モデル設定、GPS設定、加速度センサーレンジを入力し、「登録」ボタンをクリックする。そこで、演算処理部11は、入力された情報に基づきそれらを関連付けたテーブル構造の運転者情報を作成し端末情報ファイルに格納する。管理する端末が複数存在する場合、上記の処理を繰り返し実行する。
【0073】
端末IDは、1〜9999の中で他の端末と重複しない値を設定する。演算処理部11は、デフォルトで「1」を表示し、入力ボックスの右端の上下のキーボタンをクリックされたことを検知すると数値を1ずつ昇降する。もちろん、入力ボックスに直接数値を入力しても良い。演算処理部11は、指定可能な車両情報をプルダウンメニュー方式でリストアップするので、ユーザは、該当する車両を選択する。つまり、演算処理部11は、車両情報ファイルをアクセスし、登録されている車両情報を取得すると共に車種名と車両ナンバーを対にし、そのうちの1つの車両を取付車両の入力ボックスに表示する。演算処理部11は、入力ボックスがクリックされたことを検知すると、取得した登録済みの車両情報(車種名+車両ナンバー)をプルダウンメニュー方式で表示する。管理者ユーザは、入力部(ポインティングデバイス)13を用いてリストアップされた車両情報の中から1つをクリックして選択する。演算処理部11は、かかるクリックされた車両情報を取付車両の入力ボックス内に表示する。なお、端末(車両走行データ収集装置)を設置する車両が未登録の場合、「車両新規登録」ボタンをクリックし、先に車両情報の登録を行う。
【0074】
GPS設定は、端末(車両走行データ収集装置)がGPSモジュールつきの装置か否かを設定するものである。上述した図1に示した実施形態では、GPSモジュール4が接続されているため、管理者ユーザは、「GPSあり」のラジオボタンをクリックして指定する。加速度レンジ設定は、端末に搭載されている加速度センサのレンジを指定するもので、±2G,±4G,±8G,±16Gの中から選択する。
【0075】
*端末SDカード設定
管理者ユーザは、上述した運転者情報,車両情報,端末情報の登録が完了すると、次に、日々の運転・運用時に使用するSDメモリカードの設定を行う。このSDメモリカードへの設定処理は、上述した車両走行データ収集装置に対する初期設定時に使用する初期設定用ファイルや、通常設定時に使用する通常設定用ファイル等を作成するものである。実際の設定処理は、以下のように行う。
【0076】
まず、管理者ユーザは、SDメモリカード用のカードリーダ15に、設定対象のSDメモリカードを装着する。パーソナルコンピュータの機能により、演算処理部11は、SDメモリカードを認識する。また、管理者ユーザは、メイン画面上部のメニューの「端末SDカード設定」をクリックする。演算処理部11は、かかる「端末SDカード設定」がクリックされたことを検知すると、図11(a)に示すDMR端末SDカード設定画面を表示する。このDMR端末SDカード設定画面は、実際には、メイン画面の上に重ねて表示する。演算処理部11は、このとき登録端末ファイルにアクセスし、登録済みの端末IDを取得すると共に、デフォルト条件に一致する端末IDの端末情報を取得し、図11(a)に示す各入力ボックス内にデフォルト情報としてその最小端末IDについての各情報を表示する。また、衝撃感度は、レベル3を表示する。さらに初期設定時の設定日時は、メニューの「端末SDカード設定」がクリックされたときのパーソナルコンピュータの内部時計の日時情報をデフォルト値として表示する。デフォルト条件は、例えば、端末IDが最小/最大のものとしても良いし、最後に登録したものとしても良い。特に最後に登録したものは、その直後にSDメモリカードに対する設定処理を行う可能性が高いので、デフォルト情報として表示するとのそのまま選択・実行することができることが多くなるので好ましい。
【0077】
演算処理部11は、登録済みの端末IDを取得しているので、DMR端末SDカード設定画面の端末IDの入力ボックスがクリックされたことを検知すると、取得した全ての端末IDをプルダウンメニュー方式で表示する。そして、そのリストの中からいずれかの端末IDが選択されると、対応する端末情報を読み出し該当する入力ボックス内に表示する。
【0078】
演算処理部11は、DMR端末SDカード設定画面の「設定」ボタンがクリックされたことを検知すると、その時のDMR端末SDカード設定画面の入力ボックスに表示されている各情報をSDメモリカードに登録する。このとき演算処理部11は、各情報をそれぞれ初期設定用ファイルと通常設定用ファイルに分けてファイルを作成し、SDメモリカードに格納する。
【0079】
さらに、DMR端末SDカード設定画面に表示されたデータは、端末ID以外は変更可能であり、変更した状態で「設定」ボタンをクリックすると、上記の通りSDメモリカードへ両ファイルが格納される共に、記憶部12内の記憶内容も更新する。
【0080】
*端末SDカード読み取り
上述した端末SDカード設定を実行して端末情報が格納されたSDメモリカードは、カードリーダ15から取り外され運転者に渡される。そして、運転者は、当該SDメモリカードを用いて、自己が運転する車両に搭載された車両走行データ収集装置に装着し、必要に応じて所定の設定処理を行った後、通常の運転を行う。そして、運転終了後は、SDメモリカードを車両走行データ収集装置から取り外して、カードリーダ15にセットし、当該メモリカードに記録された情報を読み取り、運転状態評価システムにデータを取り込む。かかる読み取り処理は、実際には以下のように行う。
【0081】
管理者ユーザは、SDメモリカード用のカードリーダ15に、SDメモリカードを装着する。パーソナルコンピュータの機能により、演算処理部11は、SDメモリカードを認識する。また、管理者ユーザは、メイン画面上部のメニューの「データ取り込み」をクリックする。演算処理部11は、かかる「データ取り込み」がクリックされたことを検知すると、図11(b)に示すSDカードデータ取り込み画面を表示する。このSDカードデータ取り込み画面は、実際には、メイン画面の上に重ねて表示する。
【0082】
管理者ユーザは、読み込みドライブ指定の入力ボックスから、SDメモリカードのドライブ,製品モデル(ここでは、DMR),運転者並びに車両を指定し、「実行」ボタンをクリックする。演算処理部11は、実行ボタンがクリックされたことを検知すると、SDメモリカードの走行データ記録用ファイルを読み込み、記憶部12内のデータベースに格納する。このデータベースには、エンジンを掛けてから切るまでを1つの単位とし、当該単位ごとにファイル化され登録される。
【0083】
図12は、記憶部12内の車両の状態情報を格納するデータベースのデータ構造の一例を示している。図示するように、時刻情報(実際には日付も含まれる),位置情報(緯度・経度),加速度センサ出力値(X軸,Y軸,Z軸),車両情報を、時系列に記録したテーブル構造となっている。もちろん、車両走行データ収集装置1が1秒ごとに収集した他のログ情報も併せて記録する。エンジンを始動してから停止するまでの1回の走行を1つの単位として上記のデータ構造のファイルが作成されデータベースに登録される。
【0084】
演算処理部11は、端末SDカード読み取り処理が完了すると、「完了しました」というメッセージと「OK」ボタンを用意した完了確認画面を表示し、「OK」ボタンがクリックされたことを検知すると、当該完了確認画面を消去する。
【0085】
*分析処理
演算処理部11は、上記のようにしてデータベースに登録された車両の走行に関する情報を読み出し、各種の分析を行い、結果を出力する。具体的には、以下の各種の処理を行う。この分析処理は、後述する分析結果を出力する際に、その都度データベースにアクセスして対象となる車両の走行に関する情報を取得して行う。
【0086】
**危険運転(安全運転指標)の分析
本実施形態では、加速度センサの各軸の出力の単位は重力加速度(1G=9.8m/sec^2))とし、重力加速度を指標として危険運転の有無を判断する。具体的には、図13に示すように0.1G刻みでレベル区分けしている。各区間はいずれも下限値を含み上限値を含まない。人間(運転者)が運転中に加速度を感じる場合、その感じた方向に対する速度変化が大きく、その程度が大きいほど危険の度合いが高いといえる。そして、加速度センサの検出誤差の範囲(0から0.1G)や、センサのみで検出できるが人間が感じない程度の微小な加速度(0.1〜0.2G)の場合、運転に影響もなく安全である。一方、経験上、加速度が0.2G以上0.3G未満となると、時々弱いGを感じることがあり、加速度が0.3G以上0.4G未満となると、弱いGを感じる。弱いながらもGを感じる場合、注意して運転をした方が良い。そこで、時々弱いGを感じる0.2G以上0.3G未満の範囲では、やや注意が必要な状態といえ、常に弱いGを感じる0.3G以上0.4G未満の範囲では、注意が必要な状態といえる。そして、0.4G以上となると、運転中に強いGを感じる危険な状態となる。
【0087】
そこで、本実施形態では、0.4Gを閾値に設定し、0.4G以上の加速度の場合に危険運転があったと判定する。前述した車両走行データ収集装置1は、加速度センサの出力値が、ユーザにより設定されたレベルを超えた場合に警報ブザー音を鳴動させるようになっている。そして、鳴動する基準となるレベルは、可変であり、危険運転と判定する0.4Gよりも低い加速度でも警報ブザー音が鳴動するようにすることもできる。これに対し、本実施形態で危険運転と判定するのは、車両走行データ収集装置1が1秒ごとに記録したX軸,Y軸,Z軸の加速度を用いる。そして、危険運転があったと判定する閾値は、0.4Gで固定とし、さらに、以下に示すように1回の走行データ単位で分析し、評価するようにしている。
【0088】
そこで演算制御部11は、分析対象のファイル(1回分の走行単位)に格納されたX軸とY軸の加速度に対しそれぞれ時系列でサーチし、閾値である0.4G以上の値を抽出してカウントする。このとき、単発で1回閾値超えをしている(前後は閾値未満)の単発危険運転の発生回数と、2回以上連続して閾値を超えている連続危険運転の発生回数とを別々にカウントする。さらに、連続危険運転については、連続したひとかたまりを1回とカウントするのではなく、連続して発生している回数をそのままカウントする。つまり、3回連続(3秒間連続)して閾値を超えている場合には、連続危険運転の発生回数は3回となる。すなわち、連続して発生している場合も、単発で発生している場合も、個々の発生に対してはいずれも1回とカウントするが、単発危険運転と、連続危険運転のいずれに属するかを分けてカウントするようにしている。
【0089】
さらに、本実施形態では、判定する危険運転の種類として、急加速,急減速,急ハンドルの3つを用意した。各種類の危険運転について、上述した単発と連続の区別があるので、結果として、連続急加速回数,連続急減速回数,連続急ハンドル回数,単発急加速回数,単発急減速回数,単発急ハンドル回数の6種類に分けてそれぞれのイベントの発生回数を個別にカウントする。
【0090】
車両走行データ収集装置1の構成でも説明したように、当該車両走行データ収集装置1に搭載される加速度センサは、進行方向前方に走行している際に速度が加速している場合にX軸のセンサ出力値は正の値を示し、進行方向前方に走行している際に速度が減速している場合にX軸のセンサ出力値は負の値を示す設定としている。
【0091】
よって、演算処理部11は、X軸のセンサ出力値の絶対値が設定された閾値である0.4G以上であって出力値が正の場合には急加速の状態と判定し、単発急加速回数或いは連続急加速回数のいずれかのカウント値を1インクリメントする。また、演算処理部11は、X軸のセンサ出力値の絶対値が設定された閾値である0.4G以上であって出力値が負の場合には急減速の状態と判定し、単発急減速回数或いは連続急減速回数のいずれかのカウント値を1インクリメントする。さらに演算処理部11は、Y軸のセンサ出力値の絶対値が設定された閾値である0.4G以上の場合には急ハンドルの状態と判定し、単発急ハンドル回数或いは連続急ハンドル回数のいずれかのカウント値を1インクリメントする。
【0092】
そして演算処理部11は、上記のように6種類のイベントの発生回数を合計して危険運転回数を求める。この危険運転回数は、各イベントの発生回数を重み付けすることなく単純に加算して求める。すなわち、単発急加速が1秒ずつ別々の場所で2回発生した場合と、連続急加速が2秒間連続して発生した場合は、単発急加速回数と連続急加速回数はいずれも2回となるので、それらを合計した4回が危険運転回数となる。また、例えば急ハンドルを切りながら急加速をするような運転の挙動が1秒間あった場合、単発急ハンドルの回数と、単発急加速の回数のそれぞれに1回ずつ加算されるため、危険運転回数は2回となり、より大きな危険運転であると評価される。
【0093】
この単発と連続のそれぞれの危険運転のイベントの発生回数のカウント処理は、具体的には、演算処理部11が、図14に示すフローチャートを実行することで実現している。単発の発生回数をカウントするカウンタAと、連続の発生回数をカウントするカウンタBを備える。時系列で記録されたi番目の加速度センサのX軸の出力値をGx(i)、加速度センサの出力値が危険と判定される閾値ThresX(0.4G)、取得データ数をiMaxとする。
【0094】
演算処理部11は、i=1にセットし、カウンタA,Bを0にリセットする(S11)。次いで演算処理部は、i番目の加速度センサのX軸の出力値Gx(i)が閾値ThresX以上か否かを判断する(S12)。Gx(i)がThresX未満の場合、処理ステップS12の分岐判断はNoとなり、処理ステップS22に飛び、iをインクリメントする。演算処理部11は、iが取得データ数(iMax)を超えたか否かを判断し(S23)、取得データ数を超えていなければ処理ステップS12に戻り、インクリメントしたi番目の加速度センサの出力値に対して閾値以上か否かを判断する。
【0095】
図12にも示すように、一般的に、エンジン始動当初は、アイドリングなどをしており、1秒以内に発進することはあまりないため、i=1から何回かはGx(i)がThresX未満の場合が続くため、上記のルーチンを繰り返し実行することとなる場合が多い。
【0096】
一方、S12でGx(i)がThresX以上の場合、演算処理部11は、連続発生回数用のカウンタBをインクリメントし(S13)、加速度センサの1秒後の出力値(Gx(i+1))が閾値以上か否かを判断する(S14)。このGx(i+1)が閾値未満の場合(S14がNo)には、単発発生回数用のカウンタAをインクリメントすると共に、カウンタBをデクリメントする(S21)。
【0097】
なお、現在処理対象のGx(i)が最終のデータ(i=iMax)とすると、Gx(i+1)のデータは存在しない。係る場合、演算処理部11は、Gx(i+1)=0として、S14の分岐判断を行う。すなわち、通常の走行においてエンジンを停止する場合には、一旦停車をし、間をおいてからエンジンを切るので、少なくともエンジンを停止する直前の1秒以上は、加速度センサの出力値は閾値未満となり、走行データの最後の出力値Gx(iMax)が閾値以上となることはほとんど無いといえる。よって、通常の走行データに対する分析処理では、S14でのGx(i+1)は実際のデータが存在しているが、例えば、何かしらの原因でデータファイルが途中で切れていて、たまたまその最終のiMaxの出力値が閾値以上であったり、急ブレーキを掛けて停止するとともにエンジンを切ったり、事故などで最終のiMaxの出力値が閾値以上のときでも、係る場合のGx(i+1)は0となるので、S14はNoとなる。
【0098】
S12の分岐判断をする場合、前回の処理で、S12でNoの場合と、S14でNoの場合と、S17でNoの場合である。まず、あるi番目の出力値Gx(i)が閾値未満とすると、S12でNoとなる。このときの出力値を便宜上T1とする。S22によりiが1つインクリメントされることから、その次にS12で分岐判断する際のGx(i−1)は、上記T1であるためGx(i−1)は閾値未満となる。このようにS12の分岐判断がNoの場合、その次の処理対象の出力値Gx(i)にとってのGx(i−1)は、前回S12でNoと判定された出力値であるので、必ずGx(i−1)は閾値未満となる。そして、Gx(i)が閾値以上になるまで(S23でiがiMaxを超えた場合を除く)、S12→S22→S23→S12……のループを繰り返し実行する。
【0099】
また、S14でNoの場合、現在処理対象の出力値Gx(i)の1つ後の出力値(Gx(i+1))が閾値未満であり、その時の出力値をT2とする。S14でNoとなり、S22でiが1インクリメントされるため、次の処理対象の出力値は、上記のT2であるためS12はNoとなる。
【0100】
また、S17がNoの場合、上記のS12の場合と同様、S17でNoと判断された出力値が、その次のS12で分岐判断する際のGx(i−1)となるため、そのGx(i−1)は閾値未満となる。そして、それ以降は、Gx(i)が閾値以上になるまで(S23でiがiMaxを超えた場合を除く)、S12→S22→S23→S12……のループを繰り返し実行する。そして、Gx(i)が閾値以上の場合、上述したように、S12→S13→S14と順次処理が進む。
【0101】
S12で分岐判断がYesとなるには、前回の処理で、S12でNoあるいはS17でNoの場合であるため、Gx(i−1)が閾値未満でGx(i)が閾値以上の場合である。つまり、このS12でYesとなった出力値Gx(i)は、単発か或いは連続発生した場合の先頭となる。
【0102】
従って、S12の分岐判断をしてYesとなる場合、Gx(i−1)は閾値未満であるので、Gx(i+1)も閾値未満とすると、S12でYesと判断した閾値以上の出力値は単発であるため、S13でカウンタBをインクリメントした値を元に戻すと共に、単発発生用カウンタAをインクリメントする。
【0103】
そして、演算処理部11は、iをインクリメントし(S22)、iが取得データ数(iMax)を超えたか否かを判断し(S23)、取得データ数を超えていなければ処理ステップS12に戻り、インクリメントしたi番目の加速度センサの出力値に対して閾値以上か否かを判断する。
【0104】
一方、処理ステップS14の分岐判断でYesの場合、今回処理対象の出力値Gx(i)と、次の出力値Gx(i+1)がともに閾値以上であるので、連続発生をしていることになり、その場合の出力値Gx(i)は連続発生の先頭となる。このS14におけるGx(i+1)は連続発生している2番目となる。このように、Gx(i)は連続発生の先頭であるので、演算処理部11は、iをインクリメントし(S15)、インクリメントしたi番目の加速度センサの出力値に対して閾値以上か否かを判断する。
【0105】
そしてGx(i)がThresX以上の場合、演算処理部11は、連続発生回数用のカウンタBをインクリメントし(S18)、iをインクリメントした(S19)後、iが取得データ数(iMax)を超えたか否かを判断し(S20)、取得データ数を超えていなければ処理ステップS17に飛び、インクリメントしたi番目の加速度センサの出力値に対して閾値以上か否かを判断する。上述したごとく、S15を経てS17の分岐判断を行ったセンサの出力は、連続発生している2番目の出力値であり、それ以降、出力値が連続して閾値以上の場合、S17→S18→S19→S20→S17……のループを繰り返し実行する。
【0106】
また、処理ステップS17でNoの場合には、S22に飛び、以降先に述べたS22以降の処理を実行する。また、S20,S23の分岐判断を実行し、iが取得データ数を超えていた場合には、そのファイルの全てのデータをサーチしたため、処理を終了する。
【0107】
図12に示すデータを例にとって説明する。この図12において、記載を省略している部分におけるX軸の出力値は、閾値(0.4G)未満である。i=1〜4,さらにはn,n+1では、X軸の出力値は0.4G未満となるので、S12→S21→S22→S23を経てS11に戻る。i=n+2のとき、加速度センサのX軸の出力値は0.428Gとなり、閾値以上となるので、S13を実行してカウンタBの値をインクリメントする。これによりカウンタBの値は1になる。そして(i+1)すなわち(n+3)の加速度センサのX軸の出力値Gx(n+3)も閾値を超えているため、S15→S17と進み、Gx(n+3)も閾値以上のため、カウンタBをインクリメントし、カウンタB値は2になる。Gx(n+4)は閾値未満のため、S17でNoとなりS22に飛ぶ。よって、ここまでの処理でカウンタBの値は2になり、連続回数が2回となる。
【0108】
また、i=m+1のセンサ出力値であるGx(m+1)は閾値未満となるので、S22からS23を経てS12に至る。そして、Gx(m+2)は閾値以上であるため一旦カウンタBの値をインクリメントするが、Gx(m+3)が閾値未満となるので、S21によりカウンタAをインクリメントするとともにカウンタBをデクリメントする。よって、この状態では、カウンタAの値が1でカウンタBの値が2となる。i=m+5の場合も同様でありカウンタAをインクリメントし、最終的にカウンタA,Bの値は共に2となる。
【0109】
上述したのはX軸のセンサ出力値に基づく単発/連続急加速のイベント発生回数のカウント処理であるが、単発/連続急減速のイベント発生回数のカウント処理や、単発/連続急ハンドルのイベント発生回数のカウント処理も同様に行うことができる。すなわち、単発/連続急減速は、X軸のセンサ出力を使用するが、出力値の符号は負である。そして、危険運転は、絶対値で0.4G以上の場合であるため、数式の大小で言うと、Gx(i)が−0.4G以下のときが単発/連続急減速のイベント発生回数をカウントアップする。よって、ThresX=−0.4Gとし、S12,S17の分岐判断は
Gx(i)=<ThresX
S17の分岐判断は
Gx(i+1)=<ThresX
とする。また、Y軸のセンサ出力値に基づく単発/連続急ハンドルについては、センサ出力値の絶対値を用いて、図14に示すフローチャートを実行する。
【0110】
*その他の運転の挙動の分析
さらに本実施形態では、演算制御部11は、加速度センサの出力値をサーチし、0.1G以上の加速度について0.1G刻みの10段階の区分けごとに、急加速・急減速・急ハンドルの発生回数もカウントする。すなわち、センサの出力値が0.1G未満の場合、誤差を含んでいるため、運転の挙動を分析する際の有効な情報とならないので、それらのデータはカウントしないようにした。また、ここでの急加速・急減速・急ハンドルは、上述した危険運転のイベントのように、単発と連続を分けることなく合わせてカウントする。つまり、例えば図15に示すような10段階の区分けと、3つのイベント(加速・減速・ハンドル)とを関連付けたバッファメモリを用意する。各バッファメモリの初期値は0とする。演算制御部11は、X軸のセンサ出力値を時系列に順に抽出し、該当する欄の値を1インクリメントする。X軸のセンサ出力値からは絶対値が0.1以上の場合加速イベントと減速イベントのいずれかの欄の値がインクリメントされ、Y軸のセンサ出力値からは絶対値が0.1以上の場合ハンドルのイベントのいずれかの欄の値がインクリメントされる。
【0111】
*出力処理
図16は、上述した分析結果の出力の一例を示している。この図は、出力画面の一つである「運行データ終日集計」の表示画面の一例を示している。この「運行データ終日集計」の表示画面は、表示条件入力領域R1と、地図表示領域R2と、運行ファイル一覧リスト表示領域R3と、集計表示領域R4と、分析結果表示領域R5を備えている。
【0112】
表示条件入力領域R1は、上部に分析対象の車両の走行に関する情報を特定するための運転者並びに運行日の入力ボックスが配置され、その下にイベント抽出レベル指定ボックス、経路地図表示モード指定ボタン、地図ウインドウ表示箇所指定ボタンが配置されるレイアウトとなる。
【0113】
運転者入力ボックスは、分析対象の運転者を指定する領域である。演算処理部11は、入力部14であるポインティングデバイスにて当該ボックスがクリックされたことを検知すると、データベースに登録済みの運転者一覧をプルダウンメニュー方式で表示し、その表示した運転者のいずれかが指定されたことを検知すると、当該運転者名を運転者入力ボックス内に表示する。図では、「管理者」が指定されている。
【0114】
運行日入力ボックスは、分析対象の走行した日を指定する領域である。演算処理部11は、入力部14であるポインティングデバイスにて当該ボックスがクリックされたことを検知すると、カレンダー方式の日付入力画面を表示し、その表示した日付入力画面の中からいずれかの日付が指定されたことを検知すると、当該指定された日付を運行日入力ボックス内に表示する。また、この運行日入力ボックスは、デフォルト値として本日の日付を表示する。そこで、表示された年月日の各値を直接テキスト入力して変更して指定する機能も備える。図では、「2010年11月14日」が指定されている。
【0115】
運行日入力ボックスの右下に「運行ファイル表示」ボタンが用意されている。演算処理部11は、当該ボタンがクリックされたことを検知すると、指定された運転者と運行日の条件を満たす車両の走行に関する情報のファイルを探す。演算処理部11は、該当するファイルが存在したならば、当該ファイルに格納された車両の走行に関する情報を読み出すとともに上記の分析を行う。また、同日に複数のファイルが存在する場合、演算処理部11は、その複数のファイルを全て分析処理する。
【0116】
演算処理部11は、この分析結果を運行ファイル一覧リスト表示領域R3と、集計表示領域R4と、分析結果表示領域R5の各領域に、結果をそれぞれの表示領域に出力する。
【0117】
運行ファイル一覧リスト表示領域R3は、表示条件で指定された該当の運行データを一覧で表示する領域である。指定された日付に複数のファイルが存在する場合、その複数のファイルを全て表示する。図は、条件に合致する5つのファイルが存在していた例を示している。
【0118】
この運行ファイル一覧リスト表示領域R3は、始動時刻表示欄,停止時刻表示欄,Map表示チェック欄,表示色選択ボタンを備える。始動時刻表示欄及び停止時刻表示欄には、それぞれ1回の走行に伴う車両の始動時刻と停止時刻を表示する。これは、演算処理部11が分析対象のファイルに時系列で記録された車両の走行に関する情報の最初と最後の日時データを読み取り、それを表示することで行う。Map表示チェック欄は、ON/OFFすることで地図ウインドウ表示領域R2に表示される地図上の走行経路の表示/非表示を切り替えるものである。演算処理部11は、チェックされたファイルの走行経路を地図ウインドウ表示領域R2に表示する。表示色列のボタンをクリックすると色選択が行える。つまり、演算処理部11は、その表示色列のボタンがクリックされたことを検知すると、選択された色で走行経路を表示する。
【0119】
また、運行ファイル一覧リスト表示領域R3に表示されたファイル一覧リストの内、分析結果表示領域R5に分析結果を表示する際の集計対象になっているものを網掛け/色付けなどにより示すようにしている。本実施形態では、日にち単位で管理するため、デフォルトは終日集計、すなわち、同一の日付に複数のファイルが存在する場合には、全てについて分析をし、各分析結果をそれぞれ合算し、集計結果を出力する。つまり、同日に複数の走行データのファイルがあると、演算処理部11は、個々の走行データについて分析をし、その結果を演算処理部11が管理するバッファメモリ等に走行データのファイルごとに各イベント回数等を記録する。そして、演算処理部11は、それら複数の走行データについて、同一の項目についてそれぞれ合算し、分析結果表示領域R5の所定箇所に表示する。そして、このように全てのファイルが選択されて集計対象となっているため、図16では、No1からNo5の全ての項目の背景部分が所定の色(例えば青色)で塗られた状態となる。
【0120】
分析結果表示領域R5は、各種の分析結果を表示するための領域である。演算処理部11は、分析結果領域R5の上端に複数のタブを突出するように表示し、ポインティングデバイスによりクリックされたタブを検知し、そのタブに関連付く分析結果領域を表示する。ここでは、本発明と関係する「安全運転指標」タブがクリックされて選択された状態を示している。この安全運転指標用の分析結果表示領域R5は、左側に上から順に安全運転指標を表す危険運転回数の表示領域R5a,加速度レベルごとのイベント発生回数表示領域R5b,危険運転内訳表示領域R5cが設けられ、右側には加速度レベルごとのイベント発生グラフ表示領域R5dが設けられる。
【0121】
分析結果表示領域R5の左側の各領域R5a,R5b,R5cは、それぞれの分析結果を数値として表示する領域である。そして、集計対象となっているファイルが複数存在する場合、演算処理部11は、各ファイルの分析結果のそれぞれの合計値を表示する。すなわち、例えば図16においてイベント発生回数表示領域R5bの0.3Gの加速イベンドの発生回数は5回であるが、これは、運行ファイル一覧で示された5つのファイルのそれぞれの0.3G以上0.4G未満の加速イベンドの発生回数を求め、その合計値が5回であることを意味する。他の項目も同様である。また、このイベント発生回数表示領域R5bでは、注意が必要とされる0.3G以上0.4G未満の区分の発生回数が1以上ある場合、その欄の背景部分を黄色で表示する。これにより、当該区分のイベント発生回数が0の場合には、白地のままとなるので、ユーザは、黄色の欄の有無により注意を有する運転があった否かをすぐに理解できる。同様に、危険運転となる0.4G以上の区分の発生回数が1以上ある場合、その欄の背景部分を赤色で表示する。これにより、当該区分のイベント発生回数が0の場合には、白地のままとなるので、ユーザは、赤色の欄の有無により危険運転があった否かをすぐに理解できる。
【0122】
そして、この例では、0.4G以上の危険運転となるイベント発生が一回もなかったため、危険運転内訳表示領域R5cで表示される6つの危険運転の種類のイベントはいずれも0回となり、安全運転指標となる危険運転回数も0回となっている。よって、これを見たユーザは、分析した運転者は安全運転をしていることが確認できる。
【0123】
また、分析結果表示領域R5の右側のイベント発生グラフ表示領域R5dは、イベント発生回数表示領域R5bにて表形式(数値)で表示した分析結果を、グラフ(ここでは棒グラフ)を用いて表示する。しかも、加速・減速・ハンドルの3種類のイベントに対応するグラフの要素を、色を変えて表示している。一例を示すと、加速イベントは青色、減速イベントは緑色、ハンドルイベントは赤色とする。このように色を変えつつグラフ表示することで、それを見たユーザは、どの種類のイベントが、加速度のレベル(区分け)で発生しているのかが、直感的に理解できる。
【0124】
上述したように、本実施形態では、日にち単位で管理するため、デフォルトは終日集計を行う。よって、上述したように指定された日付に複数の走行データのファイルが存在する場合、全てのファイルについて分析をし、その結果を表示する。集計表示領域R4は、「終日集計」「運行ファイル選択」「瞬間データ表示」の3つのタブにより表示内容を切り替える。図16は、デフォルトの「終日集計」を表示している。この「終日集計」では、1日の総運行データの各項目について集計した結果を表示する。
【0125】
また、本実施形態では、同日に複数のファイルが存在場合、個々のファイルに対する分析結果も表示できる。具体的には、集計表示領域R4の「運行ファイル選択」タブがクリックされたことを演算処理部11が認識すると、図17に示す「運行ファイル選択」を表示する。この「運行ファイル選択」は、上方に「運行ファイル選択指定ボックス」を有する。この「運行ファイル選択指定ボックス」は、画面の切替とともに運行ファイル一覧のNo1のファイルが指定された状態となる。それに伴い、当該No1のファイルについて分析を行い、その結果を分析結果表示領域R5のそれぞれの領域に表示する。また、このように1つのファイルが指定されている場合、運行ファイル一覧リスト表示領域R3は、当該1つ(ここではNo1)の欄のみ、色(例えば青色)が塗られた状態となる。
【0126】
また、他のファイルについて表示を行う場合、運行ファイル選択指定ボックスにて他のファイルを指定することで行う。具体的には、演算処理部11は、入力部14であるポインティングデバイスにて当該運行ファイル選択指定ボックスがクリックされたことを検知すると、図18に示すように、表示可能なデータリスト(ここでは、No1からNo5と全部指定する「範囲選択」)をプルダウンメニュー方式で表示する。そして、演算処理部11は、そのメニュー項目のいずれか選択された(図18では、No4が反転表示されて選択されている)ことを検知すると、当該検知されたファイルについて分析を行い、その結果を分析結果表示領域R5のそれぞれの領域に表示する。
【0127】
さらにこの「運行ファイル選択」の画面では、運行ファイル選択指示ボックスの下に集計期間の入力ボックスが用意されている。この集計期間の入力ボックスは、集計開始時刻と集計終了時刻を登録するようになっており、まず演算処理部11は、指定されたファイルの開始時刻と終了時刻を抽出しそれぞれ表示する。そして、ユーザは、集計開始時刻と集計終了時刻に適用な値を入力すると指定されたファイルに登録されているデータの内、集計開始時刻から集計終了時刻の範囲内にあるもののみ抽出し、分析処理を行う。このように集計期間の時刻を変更することで集計範囲の変更が可能となる。これにより、何時(昼頃,夕方頃)位に危険運転をしているか、運転開始当初と中間地点と終了付近といったどの当たりで危険運転をしているかといった傾向を見つけやすくなる。
【0128】
表示条件入力領域R1のイベント抽出レベル指定ボックスは、加速度センサの値より抽出するイベントの抽出レベルを指定する。この指定は、イベントの種類ごとに個別に設定でき、演算処理部11は、結果を右側に回数表示する。この抽出レベルの指定は、0.1G刻みで行う。実際には、演算処理部11は、入力部14であるポインティングデバイスにて抽出レベル指定ボックスがクリックされたことを検知すると、0.1G刻みで区分けをした10個のメニュー項目をプルダウンメニュー方式で表示する。そして、演算処理部11は、そのメニュー項目のいずれか選択されたことを検知すると、当該検知された抽出レベルのイベント発生回数を、分析結果(走行データのファイルごとに各イベント回数等)を一時的に記録しているバッファメモリから取得し、その値をイベント抽出レベル指定ボックスの右隣に数値として表示する。
【0129】
表示条件入力領域R1の経路地図表示モード指定ボタンは、「通常表示」,「マーカー表示」,「イベント表示」の3つモードがあり、各タイトルの左に配置されたラジオボタンをクリックすることで指定する。これらの3つのモードは、地図表示領域R2に表示する地図に重ねて走行経路を表示する際の表示態様を決定するものである。すなわち、演算処理部11は、集計対象のファイルが存在する場合、当該ファイルに格納された位置情報から、周辺の地図を地図表示領域R2に表示する。この表示する地図は、インターネットを経由して取得する。すなわち、演算処理部11は、インターネットを利用して当該地図を提供しているサイトにアクセスし、少なくともファイルに登録されている全ての位置情報を含む地図データを取得し地図表示領域R2に表示する。
【0130】
通常表示は、マーカー表示なしで経路表示を行う。つまり、演算処理部11は、運行ファイル一覧リスト表示領域R3に表示されたファイルの中で、集計対象になっているファイル(背景色が青色で表示)についての位置情報の履歴を抽出して走行経路を求め、地図表示領域R2に表示される地図上の対応する位置に重ねて表示する。その走行経路は、連続した前後の位置を結ぶ線であり、その色は、運行ファイル一覧リスト表示領域R3で指定された表示色とする。
【0131】
マーカー表示モードは、車両の走行に関する情報に格納された時系列で記録したデータが記録された位置に対応する走行経路上の該当する位置にマーカーを表示し、表示されたマーカーにポインタを当てると、該当地点での時刻、緯度、経度、速度といった詳細データを表示するモードである。図19に示すように、演算処理部11は、「マーカー表示」のラジオボタンがチェックされている場合、車両の走行に関する情報に格納された時系列で記録したデータの位置情報を取得し、その位置情報に対応するマーカーについて走行経路上の該当する位置に青色の円からなるマーカーMを表示する。図20に示すように、演算処理部11は、ポインタがマーカーMの上に位置していることを検出すると、そのマーカーMで示す位置についての時刻、緯度、経度、速度を書き込んだ吹き出しFを表示する。
【0132】
イベントモードは、イベント抽出レベルで選択した加速度が発生した箇所を所定のイベント発生箇所表示マークで示し、マーカーMと同様に表示されたイベント発生箇所表示マークにポインタを当てると、該当地点での時刻、緯度、経度、速度、進行方向加速度、横方向加速度と発生イベントの種類といった詳細データを表示するモードである。
【0133】
図21に示すように、演算処理部11は、「イベント表示」のラジオボタンがチェックされている場合、イベント抽出レベル指定ボックスで指定されたイベントの種類ごとの抽出レベルを取得し、分析対象のファイルから条件を満たすイベントを抽出し、抽出したイベントが発生した位置情報から表示している地図の走行経路上の該当箇所にベント発生箇所表示マークPを重ねて表示する。さらにこのイベント発生箇所表示マークPは、イベントの発生内容によって色を変えている。すなわち、例えばハンドルイベント発生箇所表示マーク(横方向加速度)は紫の円とし、加速もしくは減速発生箇所表示マーク(縦方向加速度)は黄色の円とし、ハンドルおよび加速/減速発生箇所表示マーク(縦横方向加速度)は赤色の円とする。これにより、マークの色を見るだけでイベントの種類を確認できる。
【0134】
さらに図22に示すように、演算処理部11は、ポインタがイベント発生箇所表示マークPの上に位置していることを検出すると、そのイベント発生箇所表示マークPで示す位置についての該当地点での時刻、緯度、経度、速度、進行方向加速度、横方向加速度と発生イベントの種類を書き込んだ吹き出しFを表示する。
【0135】
さらに、表示条件入力領域R1の地図ウインドウ表示箇所指定ボタンは、経路マップの表示位置を指定するもので、図示するように表示位置が固定された固定画面表示と、経路マップが固定位置から飛び出した別画面で表示するフローティング表示画面の2種類を切り替える。固定画面表示のときには「フローティング表示」ボタンを表示しているので、そのボタンがクリックされたのを演算処理部11が検知すると、図23に示すように、経路マップを固定画面の表示領域から外した状態の別領域に表示する。別領域に表示しているため、その領域の大きさはメイン画面とは独立して変更できる(図23は、領域を拡大した後の状態を示している)。また、このようにフローティング表示している場合、固定画面の表示領域は、空欄の状態となっている。また、演算処理部11は、フローティング表示している場合には、表示条件入力領域R1に「固定表示」ボタンを表示する。よって、この「固定表示」ボタンのクリック或いはフローティング表示画面を固定画面の表示領域に移動することで、固定表示に切り替わる。
【0136】
図24は、別のファイルに基づく分析した結果を示す。この例では、連続急加速と、単発急加速の両方のイベントが発生している。また、注意が必要な0.3以上0.4G未満のイベントも発生している。そこで、分析結果表示領域R5の加速度レベルごとのイベント発生回数表示領域R5bでは、0.4G以上の加速のイベントの欄が「4」となり、背景色が赤色となる。また、危険運転内訳表示領域R5cには、連続急加速が2回で、単発の急加速が2回あったことが表示される。この場合、0.4G以上の加速度のイベントは、上記の2つ以外無いので、危険運転回数はそれらの合計の4回となり危険運転回数の表示領域R5aには、4回と表示される。
【0137】
このように分析結果を出力することで、運転者は、自分の運転の状態を運転後に客観的に確認することができる。よって、運転者は、これまでの運転方法を改善して評価が高くなるように運転するようになり、車両の事故率低減を図ることができる。
【0138】
ユーザは、かかる4回の発生内訳が、危険運転内訳表示領域R5cを見ることで、連続急加速と単発の急加速の両方あることを容易に確認でき、自己の運転傾向が、加速時にアクセルを踏みすぎて危険な状態になる傾向があり、しかも、かかる加速の傾向は単発と連続の両方あることを理解できる。よって、運転者は、アクセルの踏み込みを抑え気味に注意することで、安全運転ができるようになる。
【0139】
また、危険運転や注意を促される運転をした場合に、イベント表示モードを利用して走行経路を確認すると、坂道・カーブなど地形上大きなGがかかりやすいか否かも容易に判断できる。これにより、地形との関係でも運転傾向を知ることができる。このように、重力加速度を単位とした加速度を指標とすることで、危険レベルの判定・判断が人間にとってわかりやすく、しかも、区分けを0.1G単位としたので、各区分は、重力加速度(1G)に対する「10分のいくつ」となり、かかった加速度の大きさを感覚的に理解しやすくなり、その結果、危険運転の有無について素直に反省し安全運転をするように運転の仕方を改善しようとする契機付けになりやすいので好ましい。
【0140】
図25以降は、帳票出力の工程を説明する表示画面の一例を示している。本実施形態では、各種の日報,月報や、期間集計,安全運転指標など各種の視点で纏めた帳票を作成することができる。具体的には、演算処理部11は、メイン画面上部のメニューの「帳票」がクリックされたことを検知すると、帳票作成管理画面に切り替える。図25は、帳票作成管理画面において、さらに、日報が選択されて、作成する日報の種類をプルダウンメニュー方式で表示した状態を示している。
【0141】
この状態で、演算処理部11は、安全運転日報がクリックされたことを検出すると、図26に示すように、日報を作成する運行日と運転者を指定する条件指定画面を現在表示している画面上に重ねて表示する。運行日は、デフォルトはパソコンが持つ内部時計に従い、本日の日付を表示する。このようにすると、ユーザは、SDメモリカードの読み込みを行った直後に帳票を見ると、運行日の入力することなくそのまま「作成」ボタンをクリックするだけで登録した当日走行した運転についての日報を見ることができる。
【0142】
別の日の日報を見る場合、ユーザは、運行日の入力ボックスに該当する日付を入力する。すなわち、演算処理部11は、運行日の入力ボックスがクリックされたことを検知すると、カレンダー方式の入力画面を表示し、その表示した日付入力画面の中からいずれかの日付が指定されたことを検知すると、当該指定された日付を運行日入力ボックス内に表示する。また、表示された年月日の各値を直接テキスト入力して変更して指定する機能も備える。
【0143】
演算処理部11は、条件指定画面の運転者入力ボックスがクリックされたことを検知すると、データベースに登録済みの運転者一覧をプルダウンメニュー方式で表示し、その表示した運転者のいずれかが指定されたことを検知すると、当該運転者名を運転者入力ボックス内に表示する。図では、「管理者」が指定されている。
【0144】
条件指定画面には、運転者入力ボックスの下に「作成」ボタンと「キャンセル」ボタンが用意されている。演算処理部11は、「キャンセル」ボタンがクリックされたことを検知すると、条件指定画面の表示を終了する。また、演算処理部11は、「作成」ボタンがクリックされたことを検知すると、指定された運転者と運行日の条件を満たす車両の走行に関する情報のファイルを探し、当該ファイルに格納された車両の走行に関する情報を読み出すとともに上述した安全運転の分析を行い、分析結果に基づいて図27に示す安全運転日報を表示する。
【0145】
この安全運転日報は、上方の領域に運転者名と走行した日付とともに、各日報で共通の走行に関する集計情報を表示し、中央の左側に急加速・急減速・急ハンドルの3つの危険運転に関する分析結果をグラフ表示する領域を設け、中央の右側に分析結果を表形式で各危険運転のイベントの発生回数並びに合計数を表示する領域を設ける。さらに、下方の領域には一日単位で速度グラフを表示する領域を設ける。
【0146】
演算処理部11は、左側のグラフ表示する領域に急加速,急減速,急ハンドルの各軸を120度間隔で配置し、各イベントの発生回数を対応する軸状にプロットするとともに、隣接する軸のプロットした点同士を結ぶことで三角形のグラフを表示する。図27の三角形の形状を見ることで、運転の傾向を直感的に理解できる。また、各軸にプロットするイベントの発生回数は、単発と連続を別々に行う。そして、単発のイベント発生回数をプロットした点同士、連続のイベント発生回数をプロットした点同士をそれぞれ接続する。これにより、単発用の三角形と、連続用の三角形の2つを表示する。よって、ユーザは、2つの三角形のそれぞれの形状を比較することで、危険運転をしている場合に、単発のものが多いのか連続のものが多いのか、3種類のイベントと単発/連続の組み合わせでどのケースに気をつければよいかなどが一目でわかる。
【0147】
図28(a)は、帳票作成管理画面において、さらに、安全運転が選択されて、作成する安全運転に関する帳票の種類をプルダウンメニュー方式で表示した状態を示している。図示するように「安全運転日報」,「安全運転月報」,「安全運転指標」,「安全運転指標(全運転者)」の4つのメニュー項目がある。このメニュー項目から明らかなように、上述した安全運転日報を出力する場合、この「安全運転日報」をクリックしても行える。
【0148】
演算処理部11は、「安全運転指標」がクリックされたことを検知すると、図28(b)に示す集計期間と運転者を指定する条件指定画面を表示する。この条件指定画面は、現在表示している画面上に重ねて表示する。集計期間の入力ボックスは、デフォルトとして始期は1ヶ月前の日付を表示し、終期は本日の日付を表示する。この入力ボックスもカレンダー方式や直接テキスト入力する方式により、任意の日付を指定できる。運転者の入力の仕方も上述した各例と同様である。
【0149】
演算処理部11は、「作成」ボタンがクリックされたことを検知すると、指定された集計期間と運転者の条件を満たす車両の走行に関する情報のファイルを探し、当該ファイルに格納された車両の走行に関する情報を読み出すとともに上述した安全運転の分析を行い、分析結果に基づいて図29に示す安全運転指標を表示する。
【0150】
この安全運転指標は、上から順に「運転者名と集計期間」,「期間合計数」,「詳細情報」を表示する。「期間合計数」の欄は、集計期間中の「危険運転回数」,「連続急加速回数」「連続急減速回数」「連続急ハンドル回数」「単独急加速回数」「単独急減速回数」「単独急ハンドル回数」の各値の合計数をそれぞれ表形式で示す。「詳細情報」は、それらの各イベントの発生回数について、日付ごとに分けて表示する。これにより、指定した期間における運転の挙動を数値にて客観的に認識できるとともに、詳細情報見ることで、運転の挙動が改善されている否かを確認できる。
【0151】
[その他]
危険運転と判断する閾値は、経験則に基づき0.4Gとしたが異なる数値でも良い。また、危険運転に該当するイベントとして、急加速・急減速・急ハンドルの3種類としたが、いずれか1つ或いは2つとしても良いし、他のファクタを追加しても良い。さらに、3つのイベントに対して危険運転と判断する閾値を全て同じにしたが、異ならせても良い。
【0152】
GPSユニットはなくても良い。GPSユニットが無い場合や、GPSユニット付きでも位置情報が補足できなかった場合には、走行履歴が求められず、地図上での危険運転等のイベントの発生位置を確認できないが、その場合でも、危険運転回数並びに単独/連続のそれぞれのイベントの発生回数を計数し、出力することができる。よって、かかる数値から安全運転の状態を確認できる。
【0153】
上述した実施形態では、危険運転となる閾値(0.4G)以上のものについては、単独と連続のように分けて集計し、最終的にそれらを合算して危険運転回数を求め、閾値未満のものについて、通常の0.1G刻みのレベル分けのいずれの区分に属するかを加速/還俗/ハンドルの3種類のイベントごとに計数するようにした。本発明では、この0.1G刻みのレベル分けの区分の計数についても、単独と連続のように時間的連続性に着目した複数に分けて計数してもよい。その場合に、ヒストグラムのグラフ表示は、それぞれ(例えば6種類)を別々に表しても良いし、単独と連続は1本の棒として表し、色分け/パターン分けなどで区別するようにしても良い。例えば0.3G以上などの危険運転につながるおそれのある注意を要するイベントについても、単独と連続のいずれの発生ケースが多いかを確認し、運転の特徴からどのような運転を心がければよいかがわかる。
【0154】
走行中のログ情報を1秒ごとに記録し、それに基づいて分析をしたが、データ収集周期は1秒に限ることはなく、より短くして詳細にデータを収集し分析をすると良い。
【0155】
実施形態では、車両走行データ収集装置1は、1秒あたりそれぞれ100個の加速度センサの出力をサンプリングし、それに対して所定の演算処理をして求めた値を1秒ごとの加速度センサの出力値として記録した。本発明はそれに限ることはなく、車両走行データ収集装置は、演算処理すると無くサンプリングしたデータをそのまま全て記録し、運転状態評価システム側で適宜演算処理をして評価するようにしても良い。
【0156】
また、上述した実施形態では、加速度センサの出力値が閾値を超えるイベントの発生の回数を単独と連続の2種類に分けて計数し、最終的にそれらを合計して最終的な危険運転回数を求めるようにした。このように、収集するデータの時間的連続性において、2つのグループに分けてが、本発明はこれに限ることはなく、連続回数をさらに複数に分け、3つ以上のグルーブに分けて計数してもよい。また、時間的連続性において2つのグループに分ける場合でも、単独と連続のようにその区分けの基準を連続2回以上か否かとするのではなく、N回以上(Nは3以上)連続するか否かというようにして、いずれのグループも連続が含まれるようにしても良い。特にデータの収集周期が短くなると、単独と連続で分ける意義が薄れてくる(単独のイベント発生が起こらなくなる)可能性もあるので、データの収集周期も加味してNを適宜の値に設定すると良い。
【0157】
上述した実施形態では、車両の状態の測定を、加速度センサを用いその加速度センサの出力値に基づいて各イベントの発生回数を求めて分析・評価するようにしたが、本発明はそれに限ることはなく、単位時間当たりの移動距離・速度変化を求め、それに基づいて分析等するものでも良い。単位時間当たりの移動距離や速度変化が大きい場合ほど危険運転といえるため、求めた値を閾値と比較し、閾値以上のイベント発生回数をカウントする。そして、そのとき上述他実施形態と同様に、単発に発生しているものと連続して発生しているものを分けてそれぞれ計数する。
【0158】
運転状態評価システムは、単体のパソコンを用いスタンドアローンで実現しているが、データベースや一部の演算処理をネットワークで接続されたサーバやホストコンピュータ等で実行するネットワークシステムにより実現しても良い。
【0159】
[変形例]
車両の走行中に測定した加速度に基づき、加わった加速度(単位は重力加速度)を指標に安全運転の評価を行う運転状態評価システムとするとよい。重力加速度を単位とする加速度を指標とすることで、危険レベルの判定・判断が人間にわかりやすい。
【0160】
その場合、加速度を0.1G刻みの区分に分け、各区分での発生回数を計数すると良い。0.1G刻みとすることで、各区分の属するイベント発生時に自己に加わる力(G)は、重力加速度(1G)に対する10分のnということになり、イメージしやすい。このようにイメージしやすくすることで、ユーザにその運転では確かに危険であると納得させやすい。
【0161】
車両の走行中に定期的に測定した加速度に基づき安全運転の評価を行う運転状態評価システムにおいて、加速度センサは、検出方向が少なくとも2軸(前後と横)であり、進行方向に沿った加速度から急加速及びまたは急減速のイベントを検出し、進行方向と交差する方向の加速度から方向変換(急ハンドル)のイベントする機能を備え、各イベントの発生回数をそれぞれ求めるとともにそれら合計値から評価をすると良い。
【0162】
これにより、特に、急加速(急減速)をしながら急ハンドル等した場合に、加速・減速に基づくカウントと急ハンドルに基づくカウントのダブルで加算でき、より危険と判定することができる。
【符号の説明】
【0163】
1 車両走行データ収集装置
2 装置本体
3 車両接続用アダプタ3
4 GPSモジュール
5 接続ケーブル
6 接続ケーブル
7 SDメモリカード
11 演算処理部
12 記憶部
13 入力部
14 表示部
15 カードリーダ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行中に測定・収集したログ情報等に基づいて運転状態等を分析する運転状態評価システム及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
走行中に記録した車両の走行に関する情報を収集・分析して運転者の運転の状態を管理する管理装置がある。特許文献1に開示された運行管理装置は、単位時間内の速度差が閾値以上の時の事象を検出して計数するに際し、当該事象が連続して発生している場合にはその連続した複数の速度変化の事象を1つの速度変化として計数する。そして、計数する対象となる事象が、危険運転となる。
【0003】
これにより、単発で閾値以上の速度差があった場合には1回とカウントし、連続して閾値以上の速度差が生じている場合には連続した一連の状態をまとめて1回とカウントする。カウントした数の合計が、危険運転を行った回数としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−40766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1は、その段落[0007]において、3回連続して閾値を超える事象が発生している場合に3回と数えることの問題として、「2秒間で時速10kmから20km、20kmから30kmと速度をあげる加速の仕方をする運転者と、1秒間で時速10kmから30kmと速度をあげる加速の仕方をする運転者」の例を挙げ、前者を2回、後者を1回と数えることの安全運転の評価の不公平と記載している。そして、かかる不公平さを解消するため危険運転の回数の数え方の改善として、上述したように、両方とも1回と数えるようにしている。
【0006】
しかしながら、例えば、「2秒間で時速10kmから20km、20kmから30kmと速度をあげる加速の仕方をする運転者と、1秒間で時速10kmから20kmと速度をあげる加速の仕方をする運転者」の場合、両者とも急加速の回数は1回とカウントされてしまい、安全運転の評価としてはどちらも同じ程度となる。しかし、実際には、2秒間加速し続けている方が危険であり、この場合には、前者は2回で後者は1回と数える方が好ましい。よつて、特許文献1に開示された評価方法は適切でない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明に係る運転状態評価システムは、(1)車両の走行中に定期的に車両の状態を測定して得られた測定結果に基づく車両の状態情報に対して所定の評価基準を測定内容が満たす回数を集計する運転状態評価システムであって、1つの測定内容の項目について、第一評価基準を満たす回数を、前記第一評価基準とは異なる単位の第二評価基準ごとに集計するようにした。すなわち、評価対象となる測定内容の項目に対して、第一評価基準を満たす回数を一度にまとめて計数するのではなく、第一評価基準を満たすものを第二評価基準によって複数のグルーブに分け、そのグループごとに第一評価基準を満たす回数を求め、それらを集計するようにした。
【0008】
測定結果に基づく車両の状態情報とは、測定結果そのものでも良いし、測定結果に対して演算処理等して求めたものでも良い。実施形態では、運転状態評価システムは、車両走行データ収集装置が収集周期(1秒)内で測定した複数回分の加速度センサの出力値(測定結果)をそのまま取得するのではなく、加速度センサ側で当該複数回分の出力値に対して平均等の演算処理をして得られた測定結果に基づく車両の状態情報に対して判定評価している。すなわち、実施形態では、車両走行データ収集装置は、単位時間(例えば1秒)ごとに車両の状態に関する情報(加速度センサの出力値,位置情報等)を記録しているが、その記録する情報は、単位時間ごとに1回測定・収集した情報そのものを用いてもよいし、その間に収集した複数回の情報(測定結果)に基づいて演算処理等して求めたものでも良い。また、実施形態では、運転状態評価システムは、車両走行データ収集装置から取得した情報に対してそのまま評価基準に基づいて判定し、集計している。しかし本発明はこれに限ることはなく、車両走行データ収集装置側で測定結果に対して演算処理等をしているか否かにかかわらず、運転状態評価システム側で取得した情報をさらに適宜加工して求めた測定結果に基づく車両の状態情報に対して判定しても良い。
【0009】
単純に1つの評価基準(第一評価基準)を満たす回数を計数するのではなく、別の第二評価基準に従って分けたグループごとに第一評価基準を満たす回数をカウントし、それを集計する。よって、状況に応じた分析・評価が行える。
【0010】
(2)前記第一評価基準は前記測定内容の大きさに関するものであり、前記第二評価基準は前記測定内容の時間的連続性に関するものとするとよい。時間的連続性は、測定したときの並びで連続n回以上か否かで分けることができる。その場合例えば、nを2とすると、単発で発生しているものと連続して発生しているものを分けてそれぞれ計数することになる。もちろん、nを3以上にすることで、単発とn回未満の連続を1つのグループ、n回以上の連続をもう1つのグルーブと分けても良い。また、実施形態では、単発と連続のように2つのグループに分けて計数したが、3つ以上に場合分けしてそれぞれを計数するのを妨げない。
【0011】
単発或いは短い期間において第一評価基準のある大きさを超えているケースと、連続して長い期間において第一評価基準のある大きさを超えているケースでは、発生原因が異なることがある。かかる場合、それらを分けて計数することで、各グループでの発生数などを知ることができ、運転の挙動等を認識し、安全運転をするために注意をすべき事項も理解しやすい。発生原因が異なるとは、例えば、運転者が無意識に行う運転に伴うものと意識的に行う運転に伴うものがある。すなわち、例えば、第一評価基準が加速・減速の大きさであるとき、短い期間において第一評価基準のある大きさを超える場合、運転者がアクセルペダル或いはブレーキペダルを無意識のもとで踏んだ後、離す(無意識のため踏んでいる時間が短い)ことが原因であることがあるが、長い期間連続して第一評価基準のある大きさを超える場合、意識してアクセルペダル或いはブレーキペダルを踏み続けていることことが原因であることがある。第一評価基準を超えるケースが、無意識に伴うものが多い場合、運転者は自己の運転の挙動・癖を自覚していないため、それを認識させることができる。また、別の発生要因としては、車両外部の交通状態(他の車両の走行状態)に基づくものがある。例えば、前を走行する車両が急ブレーキを掛けて車間距離が近づいた場合、前方車両のブレーキランプが点灯した場合、車両前方への人・物体の飛び出しが合った場合等、危険回避のために自分もブレーキを踏んだり、ハンドルを切って進路を変更したりすることがある。この危険運転回避のためのブレーキ操作やハンドル操作は、比較的短期間で終わることが多い。そして、このような原因に伴い発生する事象(第一評価基準を超えること)は、ある程度許容できる。一方、道路が空いていて前方に車両がいなかったり、遠い前方に車両が存在していたりする場合には、長い期間連続して第一評価基準のある大きさを超えることが可能である。しかし、仮に、外部の交通事情等から可能であったとしても、実際に長い期間連続して第一評価基準のある大きさを超えるような運転を継続することは、危険運転であるの好ましくなく、運転者に係る運転の挙動があることを認識させ、安全運転のためにそのような長い期間連続して第一評価基準のある大きさを超えることがないように運転を改めさせるのがよい。
【0012】
さらに別の発生原因としては、例えば、走行した道路の状態がある。例えば、市街地等の平坦で交差点もT字路や十字路のように曲がり角も90度前後の箇所が多い場合、安全運転を心がけることで、長い期間連続して第一評価基準のある大きさを超えることは少ない。これに対し、山道など上り下りや、急なカーブが続く道路を走行する場合、必然的に加速・減速をすると前後方向の加速が継続してかかり、ハンドルを大きく切ることで横方向の加速度が継続してかかることがある。このように道路の状態に基づく場合、長い期間連続して第一評価基準のある大きさを超えることが、そのまま危険運転をしていることに直接つながるわけではないが、やはり、そのような道路を走行するとハンドル操作を誤ったり、ブレーキ操作を誤ったりすることで事故につながるおそれが市街地等を走行する場合に比べて高くなる。従って、安全運転のために、目的地までの走行ルートを決める際に、そのような危険な道路を避けるようにすることができる。
【0013】
また、第一評価基準がある大きさを超えたのが危険運転の状態(イベント発生)とすると、連続して一定期間において第一評価基準のある大きさを超えているケースと、瞬間的(単発)に一回だけ第一評価基準のある大きさを超えているケースを比較した場合、危険な状態が長く続いている後者の方がより危険であるといえる。本発明では、時間的連続性に基づいて分けて計数するが、連続して長くある大きさを超えている場合には、その分カウントされる回数も多くなり、危険度が高いという分析を行うことができる。
【0014】
また、前記第一評価基準を前記測定内容の時間的連続性に関するものとし、前記第二評価基準を前記測定内容の大きさに関するものとしてもよいし、時間的連続性や測定内容の大きさ以外の評価基準値を用いても良い。
【0015】
(3)前記第二評価基準ごとに集計した回数をさらに合計した合計値を出力するとよい。第二評価基準ごとに分けて集計することで、運転の挙動の傾向をより詳しく分析することができる。そして、それぞれ集計した回数をさらに合計することで、運転全体に対する総合的な評価が行える。特に、前記第二評価基準ごとに集計した回数と前記合計値とは同一画面上に同時に表示するなど、同時に視認可能に表示するとよい。
【0016】
(4)前記第二評価基準ごとに集計した値を当該第二評価基準別に出力するとよい。第二評価基準ごとに集計した値を別々に分けて出力することで、第二評価基準で分けた何処に危険運転等の問題があるかを容易に理解できる。
【0017】
(5)前記第一評価基準は複数の評価基準値に基づいて設定されるとよい。第一評価基準という同種の評価基準の中で複数の評価基準値を設定することで、より詳細な分析・評価が行える。実施形態では、0.1Gごとに分け、区分ごとの発生回数を計数していることに対応する。この複数の評価基準値を設けた場合、第二評価基準ごとの集計は、少なくとも1つの評価基準値に対して行えばよい。また、第二評価基準も同様に複数の評価基準値を設けてもよい。
【0018】
(6)前記測定内容の項目が複数存在し、その複数の測定内容の項目についての前記第一評価基準を満たす回数の合計値を出力するとよい。測定内容の項目を複数設定することで、詳細な分析・評価が行える。実施形態では、複数軸の加速度センサの出力に基づき、加速・減速・ハンドル(方向変換)の3種類の項目についてそれぞれ求めている。また、加速と減速については、加速度の加わる方向が逆向きであり、車両の進行方向に沿って前後方向に加わるので、1つのセンサ出力(実施形態では、X軸)に基づいてその出力の正の値と負の値からそれぞれ求められる。このように、1つの測定結果(実施形態では加速度センサのX軸の出力値)に対して異なる項目(実施形態では「加速」と「減速」)で計数する場合と、測定結果自体が異なる(実施形態では、X軸とY軸のセンサ出力値に基づく)項目について計数する場合の両方がある。
【0019】
(7)前記第一評価基準,前記第二評価基準に基づいて求めた評価結果を、日付単位,指定された期間,運転単位の少なくとも1つを集計範囲として出力する機能を備えるとよい。特に運転の場合、一日単位での日報などとして管理することが多く、それに合わせることで、例えば、その日の体調・気分など加味しながら運転者は自己の運転の挙動を鑑み、安全運転をするためにどうすればよいかの契機付けになりやすい。また、指定された期間は、例えば、一日の内のある時間帯であったり、逆に複数の日にまたがったり、月単位など各種の設定ができる。その期間での挙動を確認するのに適する。また、運転単位は、例えばエンジンを始動してから、停止するまでの1回の走行単位である。運転単位ごとに結果を出力することで、例えば、道路状況その他の外部の要因等を加味し、各運転について評価できる。
【0020】
(8)測定する前記車両の状態として加速度を備え、前記測定内容の項目は、車両の進行方向の加速度から求める加速,車両の進行方向の加速度から求める減速,車両の進行方向と交差する方向の加速度から求める進行方向の変更の少なくとも1つとするとよい。大きな加速度を受けた場合には、危険の度合いが高い。よって、安全運転か否かの評価がしやすくなる。この場合に、複数の項目を測定内容の項目にすることでより詳細な分析・評価ができて好ましい。
【0021】
(9)道路地図を表示する機能を備え、前記車両の状態の測定の際に位置情報も取得し、測定結果と位置情報を関連付けて記録した情報に基づき、前記第一評価基準を満たす測定結果が得られた位置に対応する前記道路地図上の位置を示す位置表示機能を備えるとよい。道路地図は、システム自体が記憶保持していたものを表示しても良いし、インターネット等を介して外部のデータベースにアクセスし取得したものを表示しても良い。このようにすると、道路上のどの位置で危険な運転等のイベント発生があったかを後で確認でき、その原因が道路の形状(坂、カーブ等)によるものか、他の走行する車両の挙動(割り込み・急ブレーキ等)に追従したものか、自己の不注意によるものかなどをより詳しく思い出して分析できる。
【0022】
(10)(9)の発明を前提とし、前記位置表示機能で表示された前記道路地図上の位置の付近に、その位置における測定結果に関する情報を重ねて表示する機能を備えるとよい。実施形態では、吹き出し方式で表示している。このように付加情報を表示することで、自己の記憶とともに客観的にそのときの運転の挙動を把握できるのでよい。
【0023】
(11)上記の(1)〜(10)のいずれかに記載の運転状態評価システムとしての機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、単純に1つの評価基準(第一評価基準)を満たす回数を計数するのではなく、別の第二評価基準に従って分けたグループごとに第一評価基準を満たす回数をカウントし、それを集計するため、状況に応じた分析・評価がより正しく行える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】車両走行データ収集装置の一例を示す図である。
【図2】OBD2コネクタの設置位置等を示す図である。
【図3】SDメモリカード内のファイル構造の一例を示す図である。
【図4】本発明にかかる運転状態評価システムの一実施形態を示す図である。
【図5】運転状態評価システムの演算処理部の機能を説明するフローチャートである。
【図6】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図7】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図8】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図9】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図10】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図11】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図12】収集したログ情報の一例である。
【図13】重力加速度を単位とする加速度の区分けを説明する図である。
【図14】運転状態評価システムの演算処理部の機能を説明するフローチャートである。
【図15】演算処理部の機能を説明するバッファメモリ構造の一例を示す図である。
【図16】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図17】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図18】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図19】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図20】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図21】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図22】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図23】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図24】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図25】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図26】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図27】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図28】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【図29】演算処理部の機能を説明する表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[車両走行データ収集装置]
図1は、本発明の解析対象のデータを収集する車両走行データ収集装置の一例を示している。同図に示すように、この車両走行データ収集装置1は、装置本体2と、車両接続用アダプタ3と、GPSモジュール4とを備えている。装置本体2と車両接続用アダプタ3は、接続ケーブル5にて接続される。装置本体2とGPSモジュール4は、接続ケーブル6にて接続される。接続ケーブル5,6は、その一端がそれぞれ車両用接続用アダプタ3,GPSモジュール4に一体に接続され、その他端の先端に雄型のコネクタ端子を備えている。このコネクタ端子が、装置本体2の背面に設けた雌型のコネクタ端子に接続される。
【0027】
車両接続用アダプタ3は、車両に実装されているOBD−II(IIはローマ数字の「2」であり、以下「OBD−II」を「OBD2」と記す)コネクタに着脱自在に装着する。OBD2コネクタは、故障診断コネクタとも称され、車両のECUに接続され、各種の車両情報が出力される。そこで、車両接続用アダプタ3と車両本体側のOBD2コネクタとを連結することで、車両走行データ収集装置1は、各種の車両情報を定期的に取得する。取得する車両情報は、車両の速度,エンジン回転数,MAF値(mass air flow:空気量),インジェクション開時間,スロットル開度等がある。OBD2コネクタは、車両側のバッテリーにも接続されており、イグニッションスイッチのONにともないOBD2コネクタの所定の端子から電力供給可能となる。そこで、車両走行データ収集装置1は、車両側のバッテリーから電源供給も受ける。
【0028】
GPSモジュール4は、GPSアンテナ及び受信回路を内蔵し、GPS(Global Positioning System )信号を受信し、現在位置(経度・緯度)に加え、時刻・高度(3D測位モード)等も検知し、接続ケーブル6を経由して装置本体2側に送る。なお、GPSモジュール4の動作電源は、OBD2コネクタからの車両のバッテリー電源を用いる。
【0029】
装置本体2は、矩形状の筐体からなるケース本体2aと、ケース本体2aの前面に設けたSDメモリカード用スロット2bと、動作状態を報知するLED2cと、ケース本体2aの背面に形成した2つの雌型のコネクタ端子及びモード指令スイッチ2dとを備える。さらにケース本体2aの内部には、CPUを含む演算処理その他の処理を行う制御部と、3軸の加速度センサと、ブザーと、外部機器と接続するインタフェースを備えている。
【0030】
制御部は、CPU,ROM,RAM,不揮発性メモリ、I/O等を備えるマイコンであり、上記の各種の入力機器(SDメモリカード用スロット2b,加速度センサ,車両接続用アダプタ3,GPSモジュール4)から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、上記の各種の出力機器(SDメモリカード用スロット2b,LED2c,ブザー)を利用して所定の警報や情報を出力する。
【0031】
LED2cは、エンジン始動に伴い点灯し、エンジン停止に伴い消灯する。点灯するLED2cは、通常時は一定間隔(例えば1秒)に点滅し、異常時には当該一定間隔よりも短い周期で点滅する。エンジンの始動/停止判定は電源ラインの重畳ノイズを検知することで判定する。これらの判定並びに点滅制御は、制御部が行う。これにより、ユーザ(運転者)は、LED2cの点滅を見ることで正常に動作していること並びに異常があったことを確認できる。ここで異常は、例えば、危険運転をした場合がある。
【0032】
加速度センサは、車の挙動を検出するもので、X軸が進行方向にかかる加速度、Y軸が横方向にかかる加速度、Z軸が上下方向にかかる加速度を検出する。これにより、X軸は急加速・急減速、Y軸は急ハンドル、Z軸は段差の乗り上げや窪みへの落ち込みといった車両の所定の挙動をそれぞれ検出する。本実施形態では、X軸とY軸の出力に基づいて危険運転を検出する。
【0033】
ブザーは、ケース本体2aの天面に設けたスピーカ口2eの直下に配置される。制御部は、加速度センサの出力が、設定された閾値以上の場合に警報ブザー音を出力する。警報ブザー音の鳴動パターンは、危険運転の種類(急加速、急減速、急ハンドル)とレベル(センサ出力の大きさ)によりそれぞれ異ならせている。
【0034】
制御部は、SDメモリカード用スロット2bに装着したSDメモリカード7にアクセスし、データの読み書きを行う。すなわち、制御部は、SDメモリカード7に記録されているファイルを読み出して各種の設定を行ったり、動作中に定期的に収集した車両の走行に関するデータ(ログ情報)や位置情報等をSDメモリカード7に記録したりする。
以下、車両走行データ収集装置1の設置から実際の使用時の動作を説明しつつ、制御部の機能を説明する。
【0035】
*設置
図2(a)は、OBD2コネクタの設置位置の一例を示し、図2(b)はOBD2コネクタの正面図を示している。図2(a)に示すように、設置位置は車種により様々であり、たとえは、(1)アクセルペダル脇,(2)運転席足元右側,(3)運転席足元中央,(4)運転席足元左側,(5)センターコンソール右脇,(6)助手席足元右側,(7)ステアリング右脇パネル裏側,(8)助手席足元左側,(9)センターコンソール左脇,(10)センターコンソール下などがある。いずれにしても、OBD2コネクタは、ハンドルの周囲に存在している。
【0036】
そこで、ユーザは、まず車両接続用アダプタ3を車両のOBD2コネクタに接続する。このとき、車両接続用アダプタ3と装置本体2は、接続ケーブル5により接続されている。装置本体2は、運転の妨げにならないように、センターコンソールやインパネなどに固定する。固定は、両面接着テープ等を用いる。
【0037】
*初期設定
車両情報の通信プロトコルは、自動車メーカさらには車種によって相違する。従って、使用に先立ち、車両走行データ収集装置1(制御部)に対してどの車両に設置しているかを認識させる必要がある。本実施形態は、SDメモリカード7内に記録した初期設定用ファイルを用いて初期設定をして設置した車両の車種等の設定を行う。
【0038】
すなわち、図3に示すように、SDメモリカード7は、設定用のファイルと、データ記録用のファイルが格納される。設定用のファイルは、初期設定用ファイルと通常設定用ファイルの2つが用意されている。初期設定用ファイルには、車両のメーカ名と車種名を含む車種情報が記録されている。この車種情報は、後述するように、運転状態評価システムによってSDメモリカード7に記録される。
【0039】
初期設定は、SDメモリカード7をSDメモリカード用スロット2bに装着した状態でモード指令スイッチ2dを押下することで行う。制御部は、モード指令スイッチ2dの押下を検出すると、SDメモリカード7内の初期設定用ファイルを読み出して車種情報を取得し、車両走行データ収集装置1(ケース本体2)内の不揮発性メモリに書き込む。車種情報は、不揮発性メモリに登録されて記憶保持されるため、初期設定で設置時に1回行えばよい。
【0040】
*通常設定
通常設定は、SDメモリカードのカード番号と、センサレベルと、GPSモジュールの接続の有無等のオプション情報等を車両走行データ収集装置1に覚え込ませるものである。センサレベル(衝撃感度レベル)は、加速度センサの検出感度を決定するもので、5段階にレベル分けされた中のいずれかが設定される。レベル(数値)が小さいものほど感度が低く(大きな衝撃がないと警報ブザーが鳴らない)、レベル(数値)が大きいものほど感度が高い(小さい衝撃でも警報ブザーが鳴る)設定としている。そして、実際の車両の走行中の動作では、加速度センサの出力が、設定されたレベルを超えた場合に警報ブザー音を報知する。5段階のレベル分けは、具体的にはレベル1は0.5G以上で鳴動,レベル2は0.4G以上で鳴動,レベル3は0.3G以上で鳴動,レベル4は0.2G以上で鳴動,レベル5は0.1G以上で鳴動する設定としている。
【0041】
この通常設定は、SDメモリカード7をSDメモリカード用スロット2bに装着する都度行う。つまり、制御部は、SDメモリカード7が装着されことを検知すると、SDメモリカード7内の通常設定用ファイルを読み出して取得した情報をRAMに書き込む。
【0042】
*設置モード
ケース本体2には、3軸の加速度センサが内蔵されている。ケース本体2を車両の所定位置に固定設置した状態で車両の進行方向を教え込み、X軸(進行方向)、Y軸(横方向)、Z軸(天地方向)を正しく認識し、所望の方向に係る加速度を検出できるようにする。具体的には、まず、SDメモリカードを未装着の状態でモード指令スイッチ2dを長押し(例えば、5秒以上)、その後、ユーザは、車両を前方に走行する。制御部は、係る状態を検知すると、設置モードに切り替え、その時の加速度のかかる方向から進行方向(X軸)を決定し、当該方向と直交する方向を横方向(Y軸)に決定する。
【0043】
*通常動作
ユーザは、SDメモリカード7を入れた状態でエンジンを始動する。制御部は、エンジンの始動とSDメモリカード7の装着の両方の条件を満たした場合、1秒ごとに収集した車両の走行に関する情報(ログ情報)をSDメモリカード7に記録する。車両の走行に関する情報は、現在日時情報,現在位置情報(緯度・経度・高さ等),加速度センサ出力(X軸,Y軸,Z軸),車両情報(車速等)がある。制御部は、エンジン始動から停止までを1つのデータ収集期間とし、そのデータ収集期間ごとに1つのファイルを作成する。このファイルは、先頭に運転者等の端末情報を記録し、以後、1秒ごとに収集したログ情報を逐次記録する構成を採る。この端末情報は、後述するように運転状態評価システムを実行してSDメモリカードに登録してある。
【0044】
加速度センサ出力(X、Y、Zの加速度)を1秒あたりそれぞれ100個(10ms周期)取得した制御部が、各100個の値を20個単位の5グループに分け、各グループで平均値を求め、さらにそれらの最大値をSDメモリカードに記録する。加速度センサの出力値の単位は、重力加速度(G)(1G=9.8m/sec^2)としている。このように平均値を求めるのは、加速度センサの出力に誤差・ばらつきを含むため、かかる誤差・ばらつき等による影響を少なくするためである。また、複数(ここでは5つ)のグループに分け、その中の最大値を求めるのは、以下の理由による。本実施形態では、データを収集する単位が1秒ごとであるが、運転の挙動が当該1秒の間同じであるとは限らない。そして、1秒間の中のある期間(比較的短い期間)で大きな加速度がかかる運転をし、それ以外の期間では加速度が小さい運転をしたような場合、瞬間的に大きな加速度がかかる運転をしたことは危険運転であることに変わりがないが、全区間でサンプリングした100個の全体の平均を求めることで、求めた加速度が低くなり危険運転でないと判断されることがある。そこで、複数のグループに分け、グループ間での最大値を加速度として記録することで、かかる1秒間の中のある期間に発生した大きな加速度が他の期間で発生している小さい加速度で埋もれてしまうことを抑制している。
【0045】
制御部は、加速度センサの各軸のうちの少なくとも1つの出力値(SDメモリカードに記録する演算して求めた値)が上記の通常設定で設定されたセンサレベル以上の場合、警報ブザーを出力する。警報ブザーの音量は、本実施形態では、固定レベルとしている。
【0046】
制御部は、X軸のセンサ出力値に基づいて、車両の急加速/急減速を判定する。つまり、本実施形態では、進行方向前方に走行している際に速度が加速している場合、X軸のセンサ出力値は正の値を示し、進行方向前方に走行している際に速度が減速している場合、X軸のセンサ出力値は負の値を示す設定としている。そこで、制御部は、X軸のセンサ出力値の絶対値が設定されたセンサレベル以上であって出力値が正の場合には急加速の状態と判定し、X軸のセンサ出力値の絶対値が設定されたセンサレベル以上であって出力値が負の場合は急減速の状態と判定する。
【0047】
Y軸のセンサ出力値は、横方向にかかる加速度であるため、ハンドルを切った際に運転者にかかる横Gである。センサ出力値の正負は、ハンドルを切った方向が右であるか左であるかにより変わる。運転の挙動が事故につながる危険運転となるのは、急ハンドルを切って大きな横Gがかかった場合であり、その大きさの絶対値が同じであれば左右のいずれの方向にハンドルを切ったとしても危険度は変わらない。そこで、制御部は、Y軸のセンサ出力値の絶対値が設定されたセンサレベル以上の場合には急ハンドルの状態と判定する。
【0048】
そして、制御部は、上記の判定結果にともない、危険運転の種類に応じた警報ブザーの鳴動やLEDの点滅制御を行う。なお、Z軸のセンサ出力値は、記録はするが警報等には利用しない。
【0049】
ユーザは、エンジン停止後降車する際に、SDメモリカード用スロット2bからSDメモリカード7を取り出し、パソコンで構成される運転状態評価システムにセットし、走行中に記録した車両の走行に関する情報をかかる運転状態評価システムに吸い上げる。
【0050】
<運転状態評価システムの基本構成>
運転状態評価システムは、パーソナルコンピュータにより構成する。従って、図4(a)に示すように、運転状態評価システムのハードウエア構成は、演算処理部11,記憶部12,入力部13,表示部14並びにカードリーダ15を備える。記憶部12は、演算処理部11が実行するアプリケーションプログラムを格納する不揮発性メモリや、演算処理部11が演算実行中に使用するワークメモリや、運転状態評価を行うために特定すべき管理者・運転者・車両・SDメモリカード等の管理用情報を記録するファイル(登録者ファイル,車両情報ファイル,端末情報ファイル)や、走行中に記録した車両の状態情報を記録する内部或いは外部の記憶装置(ハードディスク)がある(図4(b)参照)。入力部13は、マウス等のポインティングデバイスやキーボードである。カードリーダ15は、装着したSDメモリカード7に対してデータの読み書きをする装置である。
【0051】
この運転状態評価システムは、上述した車両走行データ収集装置が収集した車両の走行に関する情報を分析し、運転者の挙動、より具体的には安全運転について評価し、その結果を出力する機能を備える。本実施形態では、加速度センサ出力が、所定の閾値を超えた場合に危険運転があったとし、その危険運転のあった回数をカウントして出力する。つまり、危険運転の発生回数が多いほど安全運転の指標は低くなり、危険運転の発生回数が0であれば安全運転であると言える。このように、安全運転の指標を危険運転の発生回数に基づいて評価するようにした。
【0052】
車両走行データ収集装置1が本実施形態のようにGPSモジュール4を備えたものの場合、走行履歴も合わせて記録する。よって、運転状態評価システムは、走行履歴データと加速度センサ出力とをリンクさせ、どの位置で加速度センサの出力値が閾値を超える危険運転があったかなどの情報も合わせて提供する。以下、具体的な処理手順を説明しつつ、演算処理部11の機能を説明する。
【0053】
*起動処理
記憶部12にインストールされているアプリケーションプログラム(本実施形態では、「PCビューア」と称する)を起動することで、パーソナルコンピュータが運転状態評価システムとして動作する。
【0054】
図5に示すように、パーソナルコンピュータの通常のプログラムの起動処理(ショートカットキーのクリック,プログラムメニューリスト内のメニュー項目のクリック等)に従いPCビューアを起動させる(S1)と、演算処理部11は、図6(a)に示すPCビューア起動画面を表示部13に表示し、お試しモードの利用か通常モードの利用かの選択を待つ(S2)。ユーザは、入力部14であるポインティングデバイスを操作し、PCビューア起動画面中に設けられた「通常モード起動」,「お試しモード起動」の2つの入力ボタンのいずれかをクリックする。演算処理部11は、2つの入力ボタンのどちらがクリックされたかを検知し、対応するモードを起動する。
【0055】
「通常モード起動」が選択された場合(S2はNo)、演算処理部11は、管理者ユーザが未登録か否かを判断する(S3)。つまり、演算処理部11は、記憶部12の登録者ファイルにアクセスし、少なくとも1名の管理者ユーザが登録されているか否かを判断し、未登録の場合、図6(b)に示す注意メッセージを表示部13に表示し(S4)、「OK」ボタンのクリックを待ち、管理者ユーザ登録処理を実行する(S5)。演算処理部11は、図6(c)に示す管理者ユーザの新規登録画面を表示部13に表示する。ユーザは、入力部14を操作し、新規登録画面中の各テキスト入力ボックス内に管理者名、アカウント名、パスワードを入力し、「登録」ボタンをクリックする。そこで、演算処理部11は、入力された情報に基づきそれらを関連付けたテーブル構造の管理者ユーザ情報を作成し登録者ファイルに格納する。
【0056】
ここで管理者ユーザは、後述する登録者情報/車両情報/端末情報の登録・削除・変更をする権限を持ち、全てのユーザのSDカード設定、SDカードデータ取り込み、運行データ閲覧をする権限を持つ。管理者名は、ユーザの画面表示名であり後で変更も可能である。アカウント名は、ログイン時のアカウントであり変更できない。また、パスワードは、ログイン時のパスワードであり、後で変更も可能である。
【0057】
次いで、演算処理部11は、ログイン処理を実行する(S6)。すなわち、演算処理部11は、図7(a)に示すログイン画面を表示する。ユーザは、入力部14を操作し、ログイン画面中の各テキスト入力ボックス内にユーザアカウントとパスワードを入力し、ログインボタンをクリックする。演算処理部11は、入力されたユーザアカウントとパスワードの組み合わせが、登録者ファイルに格納されたものと一致するか否かを判断し、一致した場合には、PCビューアのメイン画面(図7(b)参照)を表示する。
【0058】
なお、すでに管理者ユーザが登録済みの場合(S3でYes)、処理ステップS6に飛び、演算処理部11は、ログイン画面を表示しログイン処理を実行する。また、後述するように管理者ユーザが登録されている場合、当該管理者ユーザは、管理対象の運転者に関する情報も登録する。そこで、運転者についてユーザアカウントとパスワードを登録することで、運転者も本システムにログインしてPCビューア画面を見ることができる。なお、この運転者についてのユーザアカウント並びに新たな管理者のユーザアカウントの追加は、登録済みの管理者ユーザが行う。
【0059】
図7(b)に示すPCビューアのメイン画面は、新規の管理者ユーザ登録をした後の一連の処理ステップの実行に伴い表示したものである。つまり、車両の走行に関する情報が未登録であるため、各結果表示領域は空欄の状態となる。
【0060】
また、図7(b)に示すように、メイン画面上部(長円で囲んだ部分)に用意されたメニューをクリックすると対応する各機能が実行されてデータ収集,分析に伴う結果表示や,各種の設定等が行える。ここでメニュー項目は、左から順に「運行データ一覧」,「運行データ終日管理」,「運行データ期間集計」,「帳票」,「データ取り込み」,「端末SDカード設定」,「管理」,「パスワード変更」,「ユーザ切替」,「バージョン情報」となっている。
【0061】
「お試しモード起動」が選択された場合、S2の分岐判断はYesとなるので、演算処理部11は、記憶部12に登録されているサンプルデータを利用して分析し、その分析結果をPCビューアのメイン画面の結果表示領域に出力する。このお試しモードの動作は通常モードと同じで、新たな車両の走行に関する情報やユーザアカウントの追加登録をしたり、登録済みデータの変更や削除をしたりすることができる。これらの処理・作業は、通常モードと同じにしているため、ユーザはお試しモードを利用して操作性や分析結果等の確認が実際の通常モードを想定して正しくできる。但し、お試しモードで起動した場合のデータの登録/変更/削除は一時的な変更のみになり、アプリケーション終了でデータ変更分は保存しない。
【0062】
*初期設定処理
PCビューアを起動後、実際にSDメモリカードを利用して車両の走行に関する情報の収集並びに分析・結果表示等の運用を行うに先立ち、運用で利用する「運転者」,「車両」,「端末」の情報を設定登録する必要がある。また、この初期設定により、記憶部12を構成するハードディスク等の不揮発性の記憶エリアに、各情報が登録されたファイルが生成される。このファイルに登録された情報は、その後も追加・更新が可能である。
【0063】
*運転者情報等管理
管理者ユーザは、利用する運転者情報が未登録の場合、運転者登録処理を実行する。具体的には、管理者ユーザは、メイン画面上部のメニューの「管理」をクリックする。演算処理部11は、かかる「管理」がクリックされたことを検知すると、「車両一覧」,「端末一覧」,「登録者一覧」の3つのメニュー項目を有するプルダウンメニューを表示する。そして、演算処理部11は、「登録者一覧」がクリックされたことを検知すると、記憶部12の登録者ファイルにアクセスし、登録されている管理者ユーザと運転者の情報を取得し、図8(a)に示す登録者一覧画面を表示する。
【0064】
そして、演算処理部11は、登録者一覧画面の「運転者新規登録」ボタンがクリックされたことを検知すると、図8(b)に示す運転者の新規登録画面を表示部13に表示する。この新規登録画面は、実際には、登録者一覧画面の上に重ねて表示する。管理者ユーザは、入力部14を操作し、新規登録画面中の各テキスト入力ボックス内に運転者名,アカウント名,パスワードを入力し、「登録」ボタンをクリックする。そこで、演算処理部11は、入力された情報に基づきそれらを関連付けたテーブル構造の運転者情報を作成し登録者ファイルに格納する。管理する運転者が複数存在する場合、上記の処理を繰り返し実行する。
【0065】
運転者情報で規定される運転者ユーザは、ログインしたユーザのSDカード設定、SDカード取り込み、運行データ閲覧が可能であり、他の運転者ユーザのSDカード設定、SDカード取り込み、運行データ閲覧はできない。そして、運転者名は、ユーザの画面表示名であり、後で変更も可能である。アカウント名は、ログイン時のアカウントであり、変更できない。また、パスワードは、ログイン時のパスワードであり、後で変更も可能である。
【0066】
また、新たな管理者ユーザを追加したい場合、図8(a)に示す登録者一覧画面中の「管理者新規登録」ボタンをクリックすることで行える。演算処理部11は、かかる「管理者新規登録」ボタンがクリックされると、図6(c)に示す管理者ユーザの新規登録画面を表示する。そして、管理者ユーザは、入力部14を操作し、新規登録画面中の各テキスト入力ボックス内に管理者名、アカウント名、パスワードを入力し、登録ボタンをクリックする。演算処理部11は、入力された情報に基づきそれらを関連付けたテーブル構造の管理者ユーザ情報を作成し登録者ファイルに格納する。
【0067】
さらに、上述した処理を実行してすでに登録された管理者ユーザや運転者情報を修正・削除といった更新処理をする場合、管理者ユーザは、図8(a)に示す登録者一覧画面における更新処理対象の管理ユーザ或いは運転者情報の欄の「変更」ボタンB1或いは「削除」ボタンB2をクリックする。かかるクリックを検知した演算処理部11は、更新処理を実行する。具体的には、演算処理部11は、「変更」ボタンB1のクリックを検知すると図8(b)や図6(c)に示した新規登録画面の各テキスト入力ボックス内に登録済みの情報を表示し、その後「登録」ボタンのクリックを検知するとその時の各テキスト入力ボックス内の情報に更新する。また、演算処理部11は、「削除」ボタンB2のクリックを検知すると、削除して良いかの確認メッセージと「Yes」ボタン・「No」ボタンを用意した確認画面を表示し、「Yes」ボタンがクリックされたことを検知すると、該当する運転者・管理者ユーザを登録者ファイルから削除する。もちろん演算処理部11は、「No」ボタンがクリックされたことを検知すると削除しない。なお、少なくとも一人の管理者ユーザが必要なため管理者ユーザの登録数が「1」のときに当該管理者ユーザに対して「削除」ボタンがクリックされた場合、演算処理部11は、削除できない旨のメッセージと「OK」ボタンを有する確認画面を表示し、「OK」ボタンのクリックを検知すると当該確認メッセージを消去する。このように、これらの管理ユーザや運転者情報の追加・修正・削除は、管理者ユーザのみが行える。
【0068】
*車両情報管理
管理者ユーザは、利用する車両情報が未登録の場合、車両情報登録処理を実行する。具体的には、まず、メイン画面上部のメニューの「管理」をクリックする。演算処理部11は、かかる「管理」がクリックされたことを検知すると、「車両一覧」,「端末一覧」,「登録者一覧」の3つのメニュー項目を有するプルダウンメニューを表示する。そして、演算処理部11は、「車両一覧」がクリックされたことを検知すると、記憶部12の車両情報ファイルにアクセスし、登録されている車両情報の情報を取得し、図9(a)に示す車両一覧画面を表示する。図示するように、車両情報が未登録の場合、演算処理部11は、項目名(車両メーカ名,車種名,車両番号,基準燃費値)のみを表示し、各項目内のデータは空欄とする。
【0069】
そして、演算処理部11は、車両一覧画面の「車両新規登録」ボタンがクリックされたことを検知すると、図9(b)に示す車両情報の新規登録画面を表示部13に表示する。この新規登録画面は、実際には、車両一覧画面の上に重ねて表示する。管理者ユーザは、入力部14を操作し、新規登録画面中の各テキスト入力ボックス内に車両メーカ名,車種名,車両番号,基準燃費値を入力し、登録ボタンをクリックする。そこで、演算処理部11は、入力された情報に基づきそれらを関連付けたテーブル構造の車両情報を作成し登録者ファイルに格納するとともに、車両一覧画面に表示する。管理する車両が複数存在する場合、上記の処理を繰り返し実行する。
【0070】
もちろん、演算処理部11は、車両一覧画面に表示される登録済み車両情報の欄の「修正」ボタンがクリックされたことを検知すると、図9(b)に示した新規登録画面の各テキスト入力ボックス内に登録済みの情報を表示し、その後「登録」ボタンのクリックを検知するとその時の各テキスト入力ボックス内の情報に更新する。これにより登録済みの車両情報の修正が行える。また、演算処理部11は、車両一覧画面に表示される登録済み車両情報の欄の「削除」ボタンのクリックを検知すると、削除して良いかの確認メッセージと「Yes」ボタン・「No」ボタンを用意した確認画面を表示し、「Yes」ボタンがクリックされたことを検知すると、該当する車両情報を車両情報ファイルから削除する。これに伴い、車両一覧画面から該当する車両情報が消去される。
【0071】
*端末情報管理
管理者ユーザは、利用する端末(上記の車両走行データ収集装置)についての端末情報が未登録の場合、端末情報登録処理を実行する。具体的には、まず、メイン画面上部のメニューの「管理」をクリックする。演算処理部11は、かかる「管理」がクリックされたことを検知すると、「車両一覧」,「端末一覧」,「登録者一覧」の3つのメニュー項目を有するプルダウンメニューを表示する。そして、演算処理部11は、「端末一覧」がクリックされたことを検知すると、記憶部12の端末情報ファイルにアクセスし、登録されている端末情報の情報を取得し、図10(a)に示す端末一覧画面を表示する。
【0072】
演算処理部11は、端末一覧画面の「DMR端末新規登録」ボタンがクリックされるのを検知すると、図10(b)に示す端末の新規登録画面を表示部13に表示する。この新規登録画面は、実際には、登録端末一覧画面の上に重ねて表示する。ここで「DMR」は、「Drive Monitoring Recorder」の略であり、本実施形態との関係で言うと、車両走行データ収集装置のことを指す。管理者ユーザは、入力部14を操作し、新規登録画面中の各入力ボックス内に端末ID、取付車両、製品モデル設定、GPS設定、加速度センサーレンジを入力し、「登録」ボタンをクリックする。そこで、演算処理部11は、入力された情報に基づきそれらを関連付けたテーブル構造の運転者情報を作成し端末情報ファイルに格納する。管理する端末が複数存在する場合、上記の処理を繰り返し実行する。
【0073】
端末IDは、1〜9999の中で他の端末と重複しない値を設定する。演算処理部11は、デフォルトで「1」を表示し、入力ボックスの右端の上下のキーボタンをクリックされたことを検知すると数値を1ずつ昇降する。もちろん、入力ボックスに直接数値を入力しても良い。演算処理部11は、指定可能な車両情報をプルダウンメニュー方式でリストアップするので、ユーザは、該当する車両を選択する。つまり、演算処理部11は、車両情報ファイルをアクセスし、登録されている車両情報を取得すると共に車種名と車両ナンバーを対にし、そのうちの1つの車両を取付車両の入力ボックスに表示する。演算処理部11は、入力ボックスがクリックされたことを検知すると、取得した登録済みの車両情報(車種名+車両ナンバー)をプルダウンメニュー方式で表示する。管理者ユーザは、入力部(ポインティングデバイス)13を用いてリストアップされた車両情報の中から1つをクリックして選択する。演算処理部11は、かかるクリックされた車両情報を取付車両の入力ボックス内に表示する。なお、端末(車両走行データ収集装置)を設置する車両が未登録の場合、「車両新規登録」ボタンをクリックし、先に車両情報の登録を行う。
【0074】
GPS設定は、端末(車両走行データ収集装置)がGPSモジュールつきの装置か否かを設定するものである。上述した図1に示した実施形態では、GPSモジュール4が接続されているため、管理者ユーザは、「GPSあり」のラジオボタンをクリックして指定する。加速度レンジ設定は、端末に搭載されている加速度センサのレンジを指定するもので、±2G,±4G,±8G,±16Gの中から選択する。
【0075】
*端末SDカード設定
管理者ユーザは、上述した運転者情報,車両情報,端末情報の登録が完了すると、次に、日々の運転・運用時に使用するSDメモリカードの設定を行う。このSDメモリカードへの設定処理は、上述した車両走行データ収集装置に対する初期設定時に使用する初期設定用ファイルや、通常設定時に使用する通常設定用ファイル等を作成するものである。実際の設定処理は、以下のように行う。
【0076】
まず、管理者ユーザは、SDメモリカード用のカードリーダ15に、設定対象のSDメモリカードを装着する。パーソナルコンピュータの機能により、演算処理部11は、SDメモリカードを認識する。また、管理者ユーザは、メイン画面上部のメニューの「端末SDカード設定」をクリックする。演算処理部11は、かかる「端末SDカード設定」がクリックされたことを検知すると、図11(a)に示すDMR端末SDカード設定画面を表示する。このDMR端末SDカード設定画面は、実際には、メイン画面の上に重ねて表示する。演算処理部11は、このとき登録端末ファイルにアクセスし、登録済みの端末IDを取得すると共に、デフォルト条件に一致する端末IDの端末情報を取得し、図11(a)に示す各入力ボックス内にデフォルト情報としてその最小端末IDについての各情報を表示する。また、衝撃感度は、レベル3を表示する。さらに初期設定時の設定日時は、メニューの「端末SDカード設定」がクリックされたときのパーソナルコンピュータの内部時計の日時情報をデフォルト値として表示する。デフォルト条件は、例えば、端末IDが最小/最大のものとしても良いし、最後に登録したものとしても良い。特に最後に登録したものは、その直後にSDメモリカードに対する設定処理を行う可能性が高いので、デフォルト情報として表示するとのそのまま選択・実行することができることが多くなるので好ましい。
【0077】
演算処理部11は、登録済みの端末IDを取得しているので、DMR端末SDカード設定画面の端末IDの入力ボックスがクリックされたことを検知すると、取得した全ての端末IDをプルダウンメニュー方式で表示する。そして、そのリストの中からいずれかの端末IDが選択されると、対応する端末情報を読み出し該当する入力ボックス内に表示する。
【0078】
演算処理部11は、DMR端末SDカード設定画面の「設定」ボタンがクリックされたことを検知すると、その時のDMR端末SDカード設定画面の入力ボックスに表示されている各情報をSDメモリカードに登録する。このとき演算処理部11は、各情報をそれぞれ初期設定用ファイルと通常設定用ファイルに分けてファイルを作成し、SDメモリカードに格納する。
【0079】
さらに、DMR端末SDカード設定画面に表示されたデータは、端末ID以外は変更可能であり、変更した状態で「設定」ボタンをクリックすると、上記の通りSDメモリカードへ両ファイルが格納される共に、記憶部12内の記憶内容も更新する。
【0080】
*端末SDカード読み取り
上述した端末SDカード設定を実行して端末情報が格納されたSDメモリカードは、カードリーダ15から取り外され運転者に渡される。そして、運転者は、当該SDメモリカードを用いて、自己が運転する車両に搭載された車両走行データ収集装置に装着し、必要に応じて所定の設定処理を行った後、通常の運転を行う。そして、運転終了後は、SDメモリカードを車両走行データ収集装置から取り外して、カードリーダ15にセットし、当該メモリカードに記録された情報を読み取り、運転状態評価システムにデータを取り込む。かかる読み取り処理は、実際には以下のように行う。
【0081】
管理者ユーザは、SDメモリカード用のカードリーダ15に、SDメモリカードを装着する。パーソナルコンピュータの機能により、演算処理部11は、SDメモリカードを認識する。また、管理者ユーザは、メイン画面上部のメニューの「データ取り込み」をクリックする。演算処理部11は、かかる「データ取り込み」がクリックされたことを検知すると、図11(b)に示すSDカードデータ取り込み画面を表示する。このSDカードデータ取り込み画面は、実際には、メイン画面の上に重ねて表示する。
【0082】
管理者ユーザは、読み込みドライブ指定の入力ボックスから、SDメモリカードのドライブ,製品モデル(ここでは、DMR),運転者並びに車両を指定し、「実行」ボタンをクリックする。演算処理部11は、実行ボタンがクリックされたことを検知すると、SDメモリカードの走行データ記録用ファイルを読み込み、記憶部12内のデータベースに格納する。このデータベースには、エンジンを掛けてから切るまでを1つの単位とし、当該単位ごとにファイル化され登録される。
【0083】
図12は、記憶部12内の車両の状態情報を格納するデータベースのデータ構造の一例を示している。図示するように、時刻情報(実際には日付も含まれる),位置情報(緯度・経度),加速度センサ出力値(X軸,Y軸,Z軸),車両情報を、時系列に記録したテーブル構造となっている。もちろん、車両走行データ収集装置1が1秒ごとに収集した他のログ情報も併せて記録する。エンジンを始動してから停止するまでの1回の走行を1つの単位として上記のデータ構造のファイルが作成されデータベースに登録される。
【0084】
演算処理部11は、端末SDカード読み取り処理が完了すると、「完了しました」というメッセージと「OK」ボタンを用意した完了確認画面を表示し、「OK」ボタンがクリックされたことを検知すると、当該完了確認画面を消去する。
【0085】
*分析処理
演算処理部11は、上記のようにしてデータベースに登録された車両の走行に関する情報を読み出し、各種の分析を行い、結果を出力する。具体的には、以下の各種の処理を行う。この分析処理は、後述する分析結果を出力する際に、その都度データベースにアクセスして対象となる車両の走行に関する情報を取得して行う。
【0086】
**危険運転(安全運転指標)の分析
本実施形態では、加速度センサの各軸の出力の単位は重力加速度(1G=9.8m/sec^2))とし、重力加速度を指標として危険運転の有無を判断する。具体的には、図13に示すように0.1G刻みでレベル区分けしている。各区間はいずれも下限値を含み上限値を含まない。人間(運転者)が運転中に加速度を感じる場合、その感じた方向に対する速度変化が大きく、その程度が大きいほど危険の度合いが高いといえる。そして、加速度センサの検出誤差の範囲(0から0.1G)や、センサのみで検出できるが人間が感じない程度の微小な加速度(0.1〜0.2G)の場合、運転に影響もなく安全である。一方、経験上、加速度が0.2G以上0.3G未満となると、時々弱いGを感じることがあり、加速度が0.3G以上0.4G未満となると、弱いGを感じる。弱いながらもGを感じる場合、注意して運転をした方が良い。そこで、時々弱いGを感じる0.2G以上0.3G未満の範囲では、やや注意が必要な状態といえ、常に弱いGを感じる0.3G以上0.4G未満の範囲では、注意が必要な状態といえる。そして、0.4G以上となると、運転中に強いGを感じる危険な状態となる。
【0087】
そこで、本実施形態では、0.4Gを閾値に設定し、0.4G以上の加速度の場合に危険運転があったと判定する。前述した車両走行データ収集装置1は、加速度センサの出力値が、ユーザにより設定されたレベルを超えた場合に警報ブザー音を鳴動させるようになっている。そして、鳴動する基準となるレベルは、可変であり、危険運転と判定する0.4Gよりも低い加速度でも警報ブザー音が鳴動するようにすることもできる。これに対し、本実施形態で危険運転と判定するのは、車両走行データ収集装置1が1秒ごとに記録したX軸,Y軸,Z軸の加速度を用いる。そして、危険運転があったと判定する閾値は、0.4Gで固定とし、さらに、以下に示すように1回の走行データ単位で分析し、評価するようにしている。
【0088】
そこで演算制御部11は、分析対象のファイル(1回分の走行単位)に格納されたX軸とY軸の加速度に対しそれぞれ時系列でサーチし、閾値である0.4G以上の値を抽出してカウントする。このとき、単発で1回閾値超えをしている(前後は閾値未満)の単発危険運転の発生回数と、2回以上連続して閾値を超えている連続危険運転の発生回数とを別々にカウントする。さらに、連続危険運転については、連続したひとかたまりを1回とカウントするのではなく、連続して発生している回数をそのままカウントする。つまり、3回連続(3秒間連続)して閾値を超えている場合には、連続危険運転の発生回数は3回となる。すなわち、連続して発生している場合も、単発で発生している場合も、個々の発生に対してはいずれも1回とカウントするが、単発危険運転と、連続危険運転のいずれに属するかを分けてカウントするようにしている。
【0089】
さらに、本実施形態では、判定する危険運転の種類として、急加速,急減速,急ハンドルの3つを用意した。各種類の危険運転について、上述した単発と連続の区別があるので、結果として、連続急加速回数,連続急減速回数,連続急ハンドル回数,単発急加速回数,単発急減速回数,単発急ハンドル回数の6種類に分けてそれぞれのイベントの発生回数を個別にカウントする。
【0090】
車両走行データ収集装置1の構成でも説明したように、当該車両走行データ収集装置1に搭載される加速度センサは、進行方向前方に走行している際に速度が加速している場合にX軸のセンサ出力値は正の値を示し、進行方向前方に走行している際に速度が減速している場合にX軸のセンサ出力値は負の値を示す設定としている。
【0091】
よって、演算処理部11は、X軸のセンサ出力値の絶対値が設定された閾値である0.4G以上であって出力値が正の場合には急加速の状態と判定し、単発急加速回数或いは連続急加速回数のいずれかのカウント値を1インクリメントする。また、演算処理部11は、X軸のセンサ出力値の絶対値が設定された閾値である0.4G以上であって出力値が負の場合には急減速の状態と判定し、単発急減速回数或いは連続急減速回数のいずれかのカウント値を1インクリメントする。さらに演算処理部11は、Y軸のセンサ出力値の絶対値が設定された閾値である0.4G以上の場合には急ハンドルの状態と判定し、単発急ハンドル回数或いは連続急ハンドル回数のいずれかのカウント値を1インクリメントする。
【0092】
そして演算処理部11は、上記のように6種類のイベントの発生回数を合計して危険運転回数を求める。この危険運転回数は、各イベントの発生回数を重み付けすることなく単純に加算して求める。すなわち、単発急加速が1秒ずつ別々の場所で2回発生した場合と、連続急加速が2秒間連続して発生した場合は、単発急加速回数と連続急加速回数はいずれも2回となるので、それらを合計した4回が危険運転回数となる。また、例えば急ハンドルを切りながら急加速をするような運転の挙動が1秒間あった場合、単発急ハンドルの回数と、単発急加速の回数のそれぞれに1回ずつ加算されるため、危険運転回数は2回となり、より大きな危険運転であると評価される。
【0093】
この単発と連続のそれぞれの危険運転のイベントの発生回数のカウント処理は、具体的には、演算処理部11が、図14に示すフローチャートを実行することで実現している。単発の発生回数をカウントするカウンタAと、連続の発生回数をカウントするカウンタBを備える。時系列で記録されたi番目の加速度センサのX軸の出力値をGx(i)、加速度センサの出力値が危険と判定される閾値ThresX(0.4G)、取得データ数をiMaxとする。
【0094】
演算処理部11は、i=1にセットし、カウンタA,Bを0にリセットする(S11)。次いで演算処理部は、i番目の加速度センサのX軸の出力値Gx(i)が閾値ThresX以上か否かを判断する(S12)。Gx(i)がThresX未満の場合、処理ステップS12の分岐判断はNoとなり、処理ステップS22に飛び、iをインクリメントする。演算処理部11は、iが取得データ数(iMax)を超えたか否かを判断し(S23)、取得データ数を超えていなければ処理ステップS12に戻り、インクリメントしたi番目の加速度センサの出力値に対して閾値以上か否かを判断する。
【0095】
図12にも示すように、一般的に、エンジン始動当初は、アイドリングなどをしており、1秒以内に発進することはあまりないため、i=1から何回かはGx(i)がThresX未満の場合が続くため、上記のルーチンを繰り返し実行することとなる場合が多い。
【0096】
一方、S12でGx(i)がThresX以上の場合、演算処理部11は、連続発生回数用のカウンタBをインクリメントし(S13)、加速度センサの1秒後の出力値(Gx(i+1))が閾値以上か否かを判断する(S14)。このGx(i+1)が閾値未満の場合(S14がNo)には、単発発生回数用のカウンタAをインクリメントすると共に、カウンタBをデクリメントする(S21)。
【0097】
なお、現在処理対象のGx(i)が最終のデータ(i=iMax)とすると、Gx(i+1)のデータは存在しない。係る場合、演算処理部11は、Gx(i+1)=0として、S14の分岐判断を行う。すなわち、通常の走行においてエンジンを停止する場合には、一旦停車をし、間をおいてからエンジンを切るので、少なくともエンジンを停止する直前の1秒以上は、加速度センサの出力値は閾値未満となり、走行データの最後の出力値Gx(iMax)が閾値以上となることはほとんど無いといえる。よって、通常の走行データに対する分析処理では、S14でのGx(i+1)は実際のデータが存在しているが、例えば、何かしらの原因でデータファイルが途中で切れていて、たまたまその最終のiMaxの出力値が閾値以上であったり、急ブレーキを掛けて停止するとともにエンジンを切ったり、事故などで最終のiMaxの出力値が閾値以上のときでも、係る場合のGx(i+1)は0となるので、S14はNoとなる。
【0098】
S12の分岐判断をする場合、前回の処理で、S12でNoの場合と、S14でNoの場合と、S17でNoの場合である。まず、あるi番目の出力値Gx(i)が閾値未満とすると、S12でNoとなる。このときの出力値を便宜上T1とする。S22によりiが1つインクリメントされることから、その次にS12で分岐判断する際のGx(i−1)は、上記T1であるためGx(i−1)は閾値未満となる。このようにS12の分岐判断がNoの場合、その次の処理対象の出力値Gx(i)にとってのGx(i−1)は、前回S12でNoと判定された出力値であるので、必ずGx(i−1)は閾値未満となる。そして、Gx(i)が閾値以上になるまで(S23でiがiMaxを超えた場合を除く)、S12→S22→S23→S12……のループを繰り返し実行する。
【0099】
また、S14でNoの場合、現在処理対象の出力値Gx(i)の1つ後の出力値(Gx(i+1))が閾値未満であり、その時の出力値をT2とする。S14でNoとなり、S22でiが1インクリメントされるため、次の処理対象の出力値は、上記のT2であるためS12はNoとなる。
【0100】
また、S17がNoの場合、上記のS12の場合と同様、S17でNoと判断された出力値が、その次のS12で分岐判断する際のGx(i−1)となるため、そのGx(i−1)は閾値未満となる。そして、それ以降は、Gx(i)が閾値以上になるまで(S23でiがiMaxを超えた場合を除く)、S12→S22→S23→S12……のループを繰り返し実行する。そして、Gx(i)が閾値以上の場合、上述したように、S12→S13→S14と順次処理が進む。
【0101】
S12で分岐判断がYesとなるには、前回の処理で、S12でNoあるいはS17でNoの場合であるため、Gx(i−1)が閾値未満でGx(i)が閾値以上の場合である。つまり、このS12でYesとなった出力値Gx(i)は、単発か或いは連続発生した場合の先頭となる。
【0102】
従って、S12の分岐判断をしてYesとなる場合、Gx(i−1)は閾値未満であるので、Gx(i+1)も閾値未満とすると、S12でYesと判断した閾値以上の出力値は単発であるため、S13でカウンタBをインクリメントした値を元に戻すと共に、単発発生用カウンタAをインクリメントする。
【0103】
そして、演算処理部11は、iをインクリメントし(S22)、iが取得データ数(iMax)を超えたか否かを判断し(S23)、取得データ数を超えていなければ処理ステップS12に戻り、インクリメントしたi番目の加速度センサの出力値に対して閾値以上か否かを判断する。
【0104】
一方、処理ステップS14の分岐判断でYesの場合、今回処理対象の出力値Gx(i)と、次の出力値Gx(i+1)がともに閾値以上であるので、連続発生をしていることになり、その場合の出力値Gx(i)は連続発生の先頭となる。このS14におけるGx(i+1)は連続発生している2番目となる。このように、Gx(i)は連続発生の先頭であるので、演算処理部11は、iをインクリメントし(S15)、インクリメントしたi番目の加速度センサの出力値に対して閾値以上か否かを判断する。
【0105】
そしてGx(i)がThresX以上の場合、演算処理部11は、連続発生回数用のカウンタBをインクリメントし(S18)、iをインクリメントした(S19)後、iが取得データ数(iMax)を超えたか否かを判断し(S20)、取得データ数を超えていなければ処理ステップS17に飛び、インクリメントしたi番目の加速度センサの出力値に対して閾値以上か否かを判断する。上述したごとく、S15を経てS17の分岐判断を行ったセンサの出力は、連続発生している2番目の出力値であり、それ以降、出力値が連続して閾値以上の場合、S17→S18→S19→S20→S17……のループを繰り返し実行する。
【0106】
また、処理ステップS17でNoの場合には、S22に飛び、以降先に述べたS22以降の処理を実行する。また、S20,S23の分岐判断を実行し、iが取得データ数を超えていた場合には、そのファイルの全てのデータをサーチしたため、処理を終了する。
【0107】
図12に示すデータを例にとって説明する。この図12において、記載を省略している部分におけるX軸の出力値は、閾値(0.4G)未満である。i=1〜4,さらにはn,n+1では、X軸の出力値は0.4G未満となるので、S12→S21→S22→S23を経てS11に戻る。i=n+2のとき、加速度センサのX軸の出力値は0.428Gとなり、閾値以上となるので、S13を実行してカウンタBの値をインクリメントする。これによりカウンタBの値は1になる。そして(i+1)すなわち(n+3)の加速度センサのX軸の出力値Gx(n+3)も閾値を超えているため、S15→S17と進み、Gx(n+3)も閾値以上のため、カウンタBをインクリメントし、カウンタB値は2になる。Gx(n+4)は閾値未満のため、S17でNoとなりS22に飛ぶ。よって、ここまでの処理でカウンタBの値は2になり、連続回数が2回となる。
【0108】
また、i=m+1のセンサ出力値であるGx(m+1)は閾値未満となるので、S22からS23を経てS12に至る。そして、Gx(m+2)は閾値以上であるため一旦カウンタBの値をインクリメントするが、Gx(m+3)が閾値未満となるので、S21によりカウンタAをインクリメントするとともにカウンタBをデクリメントする。よって、この状態では、カウンタAの値が1でカウンタBの値が2となる。i=m+5の場合も同様でありカウンタAをインクリメントし、最終的にカウンタA,Bの値は共に2となる。
【0109】
上述したのはX軸のセンサ出力値に基づく単発/連続急加速のイベント発生回数のカウント処理であるが、単発/連続急減速のイベント発生回数のカウント処理や、単発/連続急ハンドルのイベント発生回数のカウント処理も同様に行うことができる。すなわち、単発/連続急減速は、X軸のセンサ出力を使用するが、出力値の符号は負である。そして、危険運転は、絶対値で0.4G以上の場合であるため、数式の大小で言うと、Gx(i)が−0.4G以下のときが単発/連続急減速のイベント発生回数をカウントアップする。よって、ThresX=−0.4Gとし、S12,S17の分岐判断は
Gx(i)=<ThresX
S17の分岐判断は
Gx(i+1)=<ThresX
とする。また、Y軸のセンサ出力値に基づく単発/連続急ハンドルについては、センサ出力値の絶対値を用いて、図14に示すフローチャートを実行する。
【0110】
*その他の運転の挙動の分析
さらに本実施形態では、演算制御部11は、加速度センサの出力値をサーチし、0.1G以上の加速度について0.1G刻みの10段階の区分けごとに、急加速・急減速・急ハンドルの発生回数もカウントする。すなわち、センサの出力値が0.1G未満の場合、誤差を含んでいるため、運転の挙動を分析する際の有効な情報とならないので、それらのデータはカウントしないようにした。また、ここでの急加速・急減速・急ハンドルは、上述した危険運転のイベントのように、単発と連続を分けることなく合わせてカウントする。つまり、例えば図15に示すような10段階の区分けと、3つのイベント(加速・減速・ハンドル)とを関連付けたバッファメモリを用意する。各バッファメモリの初期値は0とする。演算制御部11は、X軸のセンサ出力値を時系列に順に抽出し、該当する欄の値を1インクリメントする。X軸のセンサ出力値からは絶対値が0.1以上の場合加速イベントと減速イベントのいずれかの欄の値がインクリメントされ、Y軸のセンサ出力値からは絶対値が0.1以上の場合ハンドルのイベントのいずれかの欄の値がインクリメントされる。
【0111】
*出力処理
図16は、上述した分析結果の出力の一例を示している。この図は、出力画面の一つである「運行データ終日集計」の表示画面の一例を示している。この「運行データ終日集計」の表示画面は、表示条件入力領域R1と、地図表示領域R2と、運行ファイル一覧リスト表示領域R3と、集計表示領域R4と、分析結果表示領域R5を備えている。
【0112】
表示条件入力領域R1は、上部に分析対象の車両の走行に関する情報を特定するための運転者並びに運行日の入力ボックスが配置され、その下にイベント抽出レベル指定ボックス、経路地図表示モード指定ボタン、地図ウインドウ表示箇所指定ボタンが配置されるレイアウトとなる。
【0113】
運転者入力ボックスは、分析対象の運転者を指定する領域である。演算処理部11は、入力部14であるポインティングデバイスにて当該ボックスがクリックされたことを検知すると、データベースに登録済みの運転者一覧をプルダウンメニュー方式で表示し、その表示した運転者のいずれかが指定されたことを検知すると、当該運転者名を運転者入力ボックス内に表示する。図では、「管理者」が指定されている。
【0114】
運行日入力ボックスは、分析対象の走行した日を指定する領域である。演算処理部11は、入力部14であるポインティングデバイスにて当該ボックスがクリックされたことを検知すると、カレンダー方式の日付入力画面を表示し、その表示した日付入力画面の中からいずれかの日付が指定されたことを検知すると、当該指定された日付を運行日入力ボックス内に表示する。また、この運行日入力ボックスは、デフォルト値として本日の日付を表示する。そこで、表示された年月日の各値を直接テキスト入力して変更して指定する機能も備える。図では、「2010年11月14日」が指定されている。
【0115】
運行日入力ボックスの右下に「運行ファイル表示」ボタンが用意されている。演算処理部11は、当該ボタンがクリックされたことを検知すると、指定された運転者と運行日の条件を満たす車両の走行に関する情報のファイルを探す。演算処理部11は、該当するファイルが存在したならば、当該ファイルに格納された車両の走行に関する情報を読み出すとともに上記の分析を行う。また、同日に複数のファイルが存在する場合、演算処理部11は、その複数のファイルを全て分析処理する。
【0116】
演算処理部11は、この分析結果を運行ファイル一覧リスト表示領域R3と、集計表示領域R4と、分析結果表示領域R5の各領域に、結果をそれぞれの表示領域に出力する。
【0117】
運行ファイル一覧リスト表示領域R3は、表示条件で指定された該当の運行データを一覧で表示する領域である。指定された日付に複数のファイルが存在する場合、その複数のファイルを全て表示する。図は、条件に合致する5つのファイルが存在していた例を示している。
【0118】
この運行ファイル一覧リスト表示領域R3は、始動時刻表示欄,停止時刻表示欄,Map表示チェック欄,表示色選択ボタンを備える。始動時刻表示欄及び停止時刻表示欄には、それぞれ1回の走行に伴う車両の始動時刻と停止時刻を表示する。これは、演算処理部11が分析対象のファイルに時系列で記録された車両の走行に関する情報の最初と最後の日時データを読み取り、それを表示することで行う。Map表示チェック欄は、ON/OFFすることで地図ウインドウ表示領域R2に表示される地図上の走行経路の表示/非表示を切り替えるものである。演算処理部11は、チェックされたファイルの走行経路を地図ウインドウ表示領域R2に表示する。表示色列のボタンをクリックすると色選択が行える。つまり、演算処理部11は、その表示色列のボタンがクリックされたことを検知すると、選択された色で走行経路を表示する。
【0119】
また、運行ファイル一覧リスト表示領域R3に表示されたファイル一覧リストの内、分析結果表示領域R5に分析結果を表示する際の集計対象になっているものを網掛け/色付けなどにより示すようにしている。本実施形態では、日にち単位で管理するため、デフォルトは終日集計、すなわち、同一の日付に複数のファイルが存在する場合には、全てについて分析をし、各分析結果をそれぞれ合算し、集計結果を出力する。つまり、同日に複数の走行データのファイルがあると、演算処理部11は、個々の走行データについて分析をし、その結果を演算処理部11が管理するバッファメモリ等に走行データのファイルごとに各イベント回数等を記録する。そして、演算処理部11は、それら複数の走行データについて、同一の項目についてそれぞれ合算し、分析結果表示領域R5の所定箇所に表示する。そして、このように全てのファイルが選択されて集計対象となっているため、図16では、No1からNo5の全ての項目の背景部分が所定の色(例えば青色)で塗られた状態となる。
【0120】
分析結果表示領域R5は、各種の分析結果を表示するための領域である。演算処理部11は、分析結果領域R5の上端に複数のタブを突出するように表示し、ポインティングデバイスによりクリックされたタブを検知し、そのタブに関連付く分析結果領域を表示する。ここでは、本発明と関係する「安全運転指標」タブがクリックされて選択された状態を示している。この安全運転指標用の分析結果表示領域R5は、左側に上から順に安全運転指標を表す危険運転回数の表示領域R5a,加速度レベルごとのイベント発生回数表示領域R5b,危険運転内訳表示領域R5cが設けられ、右側には加速度レベルごとのイベント発生グラフ表示領域R5dが設けられる。
【0121】
分析結果表示領域R5の左側の各領域R5a,R5b,R5cは、それぞれの分析結果を数値として表示する領域である。そして、集計対象となっているファイルが複数存在する場合、演算処理部11は、各ファイルの分析結果のそれぞれの合計値を表示する。すなわち、例えば図16においてイベント発生回数表示領域R5bの0.3Gの加速イベンドの発生回数は5回であるが、これは、運行ファイル一覧で示された5つのファイルのそれぞれの0.3G以上0.4G未満の加速イベンドの発生回数を求め、その合計値が5回であることを意味する。他の項目も同様である。また、このイベント発生回数表示領域R5bでは、注意が必要とされる0.3G以上0.4G未満の区分の発生回数が1以上ある場合、その欄の背景部分を黄色で表示する。これにより、当該区分のイベント発生回数が0の場合には、白地のままとなるので、ユーザは、黄色の欄の有無により注意を有する運転があった否かをすぐに理解できる。同様に、危険運転となる0.4G以上の区分の発生回数が1以上ある場合、その欄の背景部分を赤色で表示する。これにより、当該区分のイベント発生回数が0の場合には、白地のままとなるので、ユーザは、赤色の欄の有無により危険運転があった否かをすぐに理解できる。
【0122】
そして、この例では、0.4G以上の危険運転となるイベント発生が一回もなかったため、危険運転内訳表示領域R5cで表示される6つの危険運転の種類のイベントはいずれも0回となり、安全運転指標となる危険運転回数も0回となっている。よって、これを見たユーザは、分析した運転者は安全運転をしていることが確認できる。
【0123】
また、分析結果表示領域R5の右側のイベント発生グラフ表示領域R5dは、イベント発生回数表示領域R5bにて表形式(数値)で表示した分析結果を、グラフ(ここでは棒グラフ)を用いて表示する。しかも、加速・減速・ハンドルの3種類のイベントに対応するグラフの要素を、色を変えて表示している。一例を示すと、加速イベントは青色、減速イベントは緑色、ハンドルイベントは赤色とする。このように色を変えつつグラフ表示することで、それを見たユーザは、どの種類のイベントが、加速度のレベル(区分け)で発生しているのかが、直感的に理解できる。
【0124】
上述したように、本実施形態では、日にち単位で管理するため、デフォルトは終日集計を行う。よって、上述したように指定された日付に複数の走行データのファイルが存在する場合、全てのファイルについて分析をし、その結果を表示する。集計表示領域R4は、「終日集計」「運行ファイル選択」「瞬間データ表示」の3つのタブにより表示内容を切り替える。図16は、デフォルトの「終日集計」を表示している。この「終日集計」では、1日の総運行データの各項目について集計した結果を表示する。
【0125】
また、本実施形態では、同日に複数のファイルが存在場合、個々のファイルに対する分析結果も表示できる。具体的には、集計表示領域R4の「運行ファイル選択」タブがクリックされたことを演算処理部11が認識すると、図17に示す「運行ファイル選択」を表示する。この「運行ファイル選択」は、上方に「運行ファイル選択指定ボックス」を有する。この「運行ファイル選択指定ボックス」は、画面の切替とともに運行ファイル一覧のNo1のファイルが指定された状態となる。それに伴い、当該No1のファイルについて分析を行い、その結果を分析結果表示領域R5のそれぞれの領域に表示する。また、このように1つのファイルが指定されている場合、運行ファイル一覧リスト表示領域R3は、当該1つ(ここではNo1)の欄のみ、色(例えば青色)が塗られた状態となる。
【0126】
また、他のファイルについて表示を行う場合、運行ファイル選択指定ボックスにて他のファイルを指定することで行う。具体的には、演算処理部11は、入力部14であるポインティングデバイスにて当該運行ファイル選択指定ボックスがクリックされたことを検知すると、図18に示すように、表示可能なデータリスト(ここでは、No1からNo5と全部指定する「範囲選択」)をプルダウンメニュー方式で表示する。そして、演算処理部11は、そのメニュー項目のいずれか選択された(図18では、No4が反転表示されて選択されている)ことを検知すると、当該検知されたファイルについて分析を行い、その結果を分析結果表示領域R5のそれぞれの領域に表示する。
【0127】
さらにこの「運行ファイル選択」の画面では、運行ファイル選択指示ボックスの下に集計期間の入力ボックスが用意されている。この集計期間の入力ボックスは、集計開始時刻と集計終了時刻を登録するようになっており、まず演算処理部11は、指定されたファイルの開始時刻と終了時刻を抽出しそれぞれ表示する。そして、ユーザは、集計開始時刻と集計終了時刻に適用な値を入力すると指定されたファイルに登録されているデータの内、集計開始時刻から集計終了時刻の範囲内にあるもののみ抽出し、分析処理を行う。このように集計期間の時刻を変更することで集計範囲の変更が可能となる。これにより、何時(昼頃,夕方頃)位に危険運転をしているか、運転開始当初と中間地点と終了付近といったどの当たりで危険運転をしているかといった傾向を見つけやすくなる。
【0128】
表示条件入力領域R1のイベント抽出レベル指定ボックスは、加速度センサの値より抽出するイベントの抽出レベルを指定する。この指定は、イベントの種類ごとに個別に設定でき、演算処理部11は、結果を右側に回数表示する。この抽出レベルの指定は、0.1G刻みで行う。実際には、演算処理部11は、入力部14であるポインティングデバイスにて抽出レベル指定ボックスがクリックされたことを検知すると、0.1G刻みで区分けをした10個のメニュー項目をプルダウンメニュー方式で表示する。そして、演算処理部11は、そのメニュー項目のいずれか選択されたことを検知すると、当該検知された抽出レベルのイベント発生回数を、分析結果(走行データのファイルごとに各イベント回数等)を一時的に記録しているバッファメモリから取得し、その値をイベント抽出レベル指定ボックスの右隣に数値として表示する。
【0129】
表示条件入力領域R1の経路地図表示モード指定ボタンは、「通常表示」,「マーカー表示」,「イベント表示」の3つモードがあり、各タイトルの左に配置されたラジオボタンをクリックすることで指定する。これらの3つのモードは、地図表示領域R2に表示する地図に重ねて走行経路を表示する際の表示態様を決定するものである。すなわち、演算処理部11は、集計対象のファイルが存在する場合、当該ファイルに格納された位置情報から、周辺の地図を地図表示領域R2に表示する。この表示する地図は、インターネットを経由して取得する。すなわち、演算処理部11は、インターネットを利用して当該地図を提供しているサイトにアクセスし、少なくともファイルに登録されている全ての位置情報を含む地図データを取得し地図表示領域R2に表示する。
【0130】
通常表示は、マーカー表示なしで経路表示を行う。つまり、演算処理部11は、運行ファイル一覧リスト表示領域R3に表示されたファイルの中で、集計対象になっているファイル(背景色が青色で表示)についての位置情報の履歴を抽出して走行経路を求め、地図表示領域R2に表示される地図上の対応する位置に重ねて表示する。その走行経路は、連続した前後の位置を結ぶ線であり、その色は、運行ファイル一覧リスト表示領域R3で指定された表示色とする。
【0131】
マーカー表示モードは、車両の走行に関する情報に格納された時系列で記録したデータが記録された位置に対応する走行経路上の該当する位置にマーカーを表示し、表示されたマーカーにポインタを当てると、該当地点での時刻、緯度、経度、速度といった詳細データを表示するモードである。図19に示すように、演算処理部11は、「マーカー表示」のラジオボタンがチェックされている場合、車両の走行に関する情報に格納された時系列で記録したデータの位置情報を取得し、その位置情報に対応するマーカーについて走行経路上の該当する位置に青色の円からなるマーカーMを表示する。図20に示すように、演算処理部11は、ポインタがマーカーMの上に位置していることを検出すると、そのマーカーMで示す位置についての時刻、緯度、経度、速度を書き込んだ吹き出しFを表示する。
【0132】
イベントモードは、イベント抽出レベルで選択した加速度が発生した箇所を所定のイベント発生箇所表示マークで示し、マーカーMと同様に表示されたイベント発生箇所表示マークにポインタを当てると、該当地点での時刻、緯度、経度、速度、進行方向加速度、横方向加速度と発生イベントの種類といった詳細データを表示するモードである。
【0133】
図21に示すように、演算処理部11は、「イベント表示」のラジオボタンがチェックされている場合、イベント抽出レベル指定ボックスで指定されたイベントの種類ごとの抽出レベルを取得し、分析対象のファイルから条件を満たすイベントを抽出し、抽出したイベントが発生した位置情報から表示している地図の走行経路上の該当箇所にベント発生箇所表示マークPを重ねて表示する。さらにこのイベント発生箇所表示マークPは、イベントの発生内容によって色を変えている。すなわち、例えばハンドルイベント発生箇所表示マーク(横方向加速度)は紫の円とし、加速もしくは減速発生箇所表示マーク(縦方向加速度)は黄色の円とし、ハンドルおよび加速/減速発生箇所表示マーク(縦横方向加速度)は赤色の円とする。これにより、マークの色を見るだけでイベントの種類を確認できる。
【0134】
さらに図22に示すように、演算処理部11は、ポインタがイベント発生箇所表示マークPの上に位置していることを検出すると、そのイベント発生箇所表示マークPで示す位置についての該当地点での時刻、緯度、経度、速度、進行方向加速度、横方向加速度と発生イベントの種類を書き込んだ吹き出しFを表示する。
【0135】
さらに、表示条件入力領域R1の地図ウインドウ表示箇所指定ボタンは、経路マップの表示位置を指定するもので、図示するように表示位置が固定された固定画面表示と、経路マップが固定位置から飛び出した別画面で表示するフローティング表示画面の2種類を切り替える。固定画面表示のときには「フローティング表示」ボタンを表示しているので、そのボタンがクリックされたのを演算処理部11が検知すると、図23に示すように、経路マップを固定画面の表示領域から外した状態の別領域に表示する。別領域に表示しているため、その領域の大きさはメイン画面とは独立して変更できる(図23は、領域を拡大した後の状態を示している)。また、このようにフローティング表示している場合、固定画面の表示領域は、空欄の状態となっている。また、演算処理部11は、フローティング表示している場合には、表示条件入力領域R1に「固定表示」ボタンを表示する。よって、この「固定表示」ボタンのクリック或いはフローティング表示画面を固定画面の表示領域に移動することで、固定表示に切り替わる。
【0136】
図24は、別のファイルに基づく分析した結果を示す。この例では、連続急加速と、単発急加速の両方のイベントが発生している。また、注意が必要な0.3以上0.4G未満のイベントも発生している。そこで、分析結果表示領域R5の加速度レベルごとのイベント発生回数表示領域R5bでは、0.4G以上の加速のイベントの欄が「4」となり、背景色が赤色となる。また、危険運転内訳表示領域R5cには、連続急加速が2回で、単発の急加速が2回あったことが表示される。この場合、0.4G以上の加速度のイベントは、上記の2つ以外無いので、危険運転回数はそれらの合計の4回となり危険運転回数の表示領域R5aには、4回と表示される。
【0137】
このように分析結果を出力することで、運転者は、自分の運転の状態を運転後に客観的に確認することができる。よって、運転者は、これまでの運転方法を改善して評価が高くなるように運転するようになり、車両の事故率低減を図ることができる。
【0138】
ユーザは、かかる4回の発生内訳が、危険運転内訳表示領域R5cを見ることで、連続急加速と単発の急加速の両方あることを容易に確認でき、自己の運転傾向が、加速時にアクセルを踏みすぎて危険な状態になる傾向があり、しかも、かかる加速の傾向は単発と連続の両方あることを理解できる。よって、運転者は、アクセルの踏み込みを抑え気味に注意することで、安全運転ができるようになる。
【0139】
また、危険運転や注意を促される運転をした場合に、イベント表示モードを利用して走行経路を確認すると、坂道・カーブなど地形上大きなGがかかりやすいか否かも容易に判断できる。これにより、地形との関係でも運転傾向を知ることができる。このように、重力加速度を単位とした加速度を指標とすることで、危険レベルの判定・判断が人間にとってわかりやすく、しかも、区分けを0.1G単位としたので、各区分は、重力加速度(1G)に対する「10分のいくつ」となり、かかった加速度の大きさを感覚的に理解しやすくなり、その結果、危険運転の有無について素直に反省し安全運転をするように運転の仕方を改善しようとする契機付けになりやすいので好ましい。
【0140】
図25以降は、帳票出力の工程を説明する表示画面の一例を示している。本実施形態では、各種の日報,月報や、期間集計,安全運転指標など各種の視点で纏めた帳票を作成することができる。具体的には、演算処理部11は、メイン画面上部のメニューの「帳票」がクリックされたことを検知すると、帳票作成管理画面に切り替える。図25は、帳票作成管理画面において、さらに、日報が選択されて、作成する日報の種類をプルダウンメニュー方式で表示した状態を示している。
【0141】
この状態で、演算処理部11は、安全運転日報がクリックされたことを検出すると、図26に示すように、日報を作成する運行日と運転者を指定する条件指定画面を現在表示している画面上に重ねて表示する。運行日は、デフォルトはパソコンが持つ内部時計に従い、本日の日付を表示する。このようにすると、ユーザは、SDメモリカードの読み込みを行った直後に帳票を見ると、運行日の入力することなくそのまま「作成」ボタンをクリックするだけで登録した当日走行した運転についての日報を見ることができる。
【0142】
別の日の日報を見る場合、ユーザは、運行日の入力ボックスに該当する日付を入力する。すなわち、演算処理部11は、運行日の入力ボックスがクリックされたことを検知すると、カレンダー方式の入力画面を表示し、その表示した日付入力画面の中からいずれかの日付が指定されたことを検知すると、当該指定された日付を運行日入力ボックス内に表示する。また、表示された年月日の各値を直接テキスト入力して変更して指定する機能も備える。
【0143】
演算処理部11は、条件指定画面の運転者入力ボックスがクリックされたことを検知すると、データベースに登録済みの運転者一覧をプルダウンメニュー方式で表示し、その表示した運転者のいずれかが指定されたことを検知すると、当該運転者名を運転者入力ボックス内に表示する。図では、「管理者」が指定されている。
【0144】
条件指定画面には、運転者入力ボックスの下に「作成」ボタンと「キャンセル」ボタンが用意されている。演算処理部11は、「キャンセル」ボタンがクリックされたことを検知すると、条件指定画面の表示を終了する。また、演算処理部11は、「作成」ボタンがクリックされたことを検知すると、指定された運転者と運行日の条件を満たす車両の走行に関する情報のファイルを探し、当該ファイルに格納された車両の走行に関する情報を読み出すとともに上述した安全運転の分析を行い、分析結果に基づいて図27に示す安全運転日報を表示する。
【0145】
この安全運転日報は、上方の領域に運転者名と走行した日付とともに、各日報で共通の走行に関する集計情報を表示し、中央の左側に急加速・急減速・急ハンドルの3つの危険運転に関する分析結果をグラフ表示する領域を設け、中央の右側に分析結果を表形式で各危険運転のイベントの発生回数並びに合計数を表示する領域を設ける。さらに、下方の領域には一日単位で速度グラフを表示する領域を設ける。
【0146】
演算処理部11は、左側のグラフ表示する領域に急加速,急減速,急ハンドルの各軸を120度間隔で配置し、各イベントの発生回数を対応する軸状にプロットするとともに、隣接する軸のプロットした点同士を結ぶことで三角形のグラフを表示する。図27の三角形の形状を見ることで、運転の傾向を直感的に理解できる。また、各軸にプロットするイベントの発生回数は、単発と連続を別々に行う。そして、単発のイベント発生回数をプロットした点同士、連続のイベント発生回数をプロットした点同士をそれぞれ接続する。これにより、単発用の三角形と、連続用の三角形の2つを表示する。よって、ユーザは、2つの三角形のそれぞれの形状を比較することで、危険運転をしている場合に、単発のものが多いのか連続のものが多いのか、3種類のイベントと単発/連続の組み合わせでどのケースに気をつければよいかなどが一目でわかる。
【0147】
図28(a)は、帳票作成管理画面において、さらに、安全運転が選択されて、作成する安全運転に関する帳票の種類をプルダウンメニュー方式で表示した状態を示している。図示するように「安全運転日報」,「安全運転月報」,「安全運転指標」,「安全運転指標(全運転者)」の4つのメニュー項目がある。このメニュー項目から明らかなように、上述した安全運転日報を出力する場合、この「安全運転日報」をクリックしても行える。
【0148】
演算処理部11は、「安全運転指標」がクリックされたことを検知すると、図28(b)に示す集計期間と運転者を指定する条件指定画面を表示する。この条件指定画面は、現在表示している画面上に重ねて表示する。集計期間の入力ボックスは、デフォルトとして始期は1ヶ月前の日付を表示し、終期は本日の日付を表示する。この入力ボックスもカレンダー方式や直接テキスト入力する方式により、任意の日付を指定できる。運転者の入力の仕方も上述した各例と同様である。
【0149】
演算処理部11は、「作成」ボタンがクリックされたことを検知すると、指定された集計期間と運転者の条件を満たす車両の走行に関する情報のファイルを探し、当該ファイルに格納された車両の走行に関する情報を読み出すとともに上述した安全運転の分析を行い、分析結果に基づいて図29に示す安全運転指標を表示する。
【0150】
この安全運転指標は、上から順に「運転者名と集計期間」,「期間合計数」,「詳細情報」を表示する。「期間合計数」の欄は、集計期間中の「危険運転回数」,「連続急加速回数」「連続急減速回数」「連続急ハンドル回数」「単独急加速回数」「単独急減速回数」「単独急ハンドル回数」の各値の合計数をそれぞれ表形式で示す。「詳細情報」は、それらの各イベントの発生回数について、日付ごとに分けて表示する。これにより、指定した期間における運転の挙動を数値にて客観的に認識できるとともに、詳細情報見ることで、運転の挙動が改善されている否かを確認できる。
【0151】
[その他]
危険運転と判断する閾値は、経験則に基づき0.4Gとしたが異なる数値でも良い。また、危険運転に該当するイベントとして、急加速・急減速・急ハンドルの3種類としたが、いずれか1つ或いは2つとしても良いし、他のファクタを追加しても良い。さらに、3つのイベントに対して危険運転と判断する閾値を全て同じにしたが、異ならせても良い。
【0152】
GPSユニットはなくても良い。GPSユニットが無い場合や、GPSユニット付きでも位置情報が補足できなかった場合には、走行履歴が求められず、地図上での危険運転等のイベントの発生位置を確認できないが、その場合でも、危険運転回数並びに単独/連続のそれぞれのイベントの発生回数を計数し、出力することができる。よって、かかる数値から安全運転の状態を確認できる。
【0153】
上述した実施形態では、危険運転となる閾値(0.4G)以上のものについては、単独と連続のように分けて集計し、最終的にそれらを合算して危険運転回数を求め、閾値未満のものについて、通常の0.1G刻みのレベル分けのいずれの区分に属するかを加速/還俗/ハンドルの3種類のイベントごとに計数するようにした。本発明では、この0.1G刻みのレベル分けの区分の計数についても、単独と連続のように時間的連続性に着目した複数に分けて計数してもよい。その場合に、ヒストグラムのグラフ表示は、それぞれ(例えば6種類)を別々に表しても良いし、単独と連続は1本の棒として表し、色分け/パターン分けなどで区別するようにしても良い。例えば0.3G以上などの危険運転につながるおそれのある注意を要するイベントについても、単独と連続のいずれの発生ケースが多いかを確認し、運転の特徴からどのような運転を心がければよいかがわかる。
【0154】
走行中のログ情報を1秒ごとに記録し、それに基づいて分析をしたが、データ収集周期は1秒に限ることはなく、より短くして詳細にデータを収集し分析をすると良い。
【0155】
実施形態では、車両走行データ収集装置1は、1秒あたりそれぞれ100個の加速度センサの出力をサンプリングし、それに対して所定の演算処理をして求めた値を1秒ごとの加速度センサの出力値として記録した。本発明はそれに限ることはなく、車両走行データ収集装置は、演算処理すると無くサンプリングしたデータをそのまま全て記録し、運転状態評価システム側で適宜演算処理をして評価するようにしても良い。
【0156】
また、上述した実施形態では、加速度センサの出力値が閾値を超えるイベントの発生の回数を単独と連続の2種類に分けて計数し、最終的にそれらを合計して最終的な危険運転回数を求めるようにした。このように、収集するデータの時間的連続性において、2つのグループに分けてが、本発明はこれに限ることはなく、連続回数をさらに複数に分け、3つ以上のグルーブに分けて計数してもよい。また、時間的連続性において2つのグループに分ける場合でも、単独と連続のようにその区分けの基準を連続2回以上か否かとするのではなく、N回以上(Nは3以上)連続するか否かというようにして、いずれのグループも連続が含まれるようにしても良い。特にデータの収集周期が短くなると、単独と連続で分ける意義が薄れてくる(単独のイベント発生が起こらなくなる)可能性もあるので、データの収集周期も加味してNを適宜の値に設定すると良い。
【0157】
上述した実施形態では、車両の状態の測定を、加速度センサを用いその加速度センサの出力値に基づいて各イベントの発生回数を求めて分析・評価するようにしたが、本発明はそれに限ることはなく、単位時間当たりの移動距離・速度変化を求め、それに基づいて分析等するものでも良い。単位時間当たりの移動距離や速度変化が大きい場合ほど危険運転といえるため、求めた値を閾値と比較し、閾値以上のイベント発生回数をカウントする。そして、そのとき上述他実施形態と同様に、単発に発生しているものと連続して発生しているものを分けてそれぞれ計数する。
【0158】
運転状態評価システムは、単体のパソコンを用いスタンドアローンで実現しているが、データベースや一部の演算処理をネットワークで接続されたサーバやホストコンピュータ等で実行するネットワークシステムにより実現しても良い。
【0159】
[変形例]
車両の走行中に測定した加速度に基づき、加わった加速度(単位は重力加速度)を指標に安全運転の評価を行う運転状態評価システムとするとよい。重力加速度を単位とする加速度を指標とすることで、危険レベルの判定・判断が人間にわかりやすい。
【0160】
その場合、加速度を0.1G刻みの区分に分け、各区分での発生回数を計数すると良い。0.1G刻みとすることで、各区分の属するイベント発生時に自己に加わる力(G)は、重力加速度(1G)に対する10分のnということになり、イメージしやすい。このようにイメージしやすくすることで、ユーザにその運転では確かに危険であると納得させやすい。
【0161】
車両の走行中に定期的に測定した加速度に基づき安全運転の評価を行う運転状態評価システムにおいて、加速度センサは、検出方向が少なくとも2軸(前後と横)であり、進行方向に沿った加速度から急加速及びまたは急減速のイベントを検出し、進行方向と交差する方向の加速度から方向変換(急ハンドル)のイベントする機能を備え、各イベントの発生回数をそれぞれ求めるとともにそれら合計値から評価をすると良い。
【0162】
これにより、特に、急加速(急減速)をしながら急ハンドル等した場合に、加速・減速に基づくカウントと急ハンドルに基づくカウントのダブルで加算でき、より危険と判定することができる。
【符号の説明】
【0163】
1 車両走行データ収集装置
2 装置本体
3 車両接続用アダプタ3
4 GPSモジュール
5 接続ケーブル
6 接続ケーブル
7 SDメモリカード
11 演算処理部
12 記憶部
13 入力部
14 表示部
15 カードリーダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行中に定期的に車両の状態を測定して得られた測定結果に基づく車両の状態情報に対して所定の評価基準を測定内容が満たす回数を集計する運転状態評価システムであって、
1つの測定内容の項目について、第一評価基準を満たす回数を、前記第一評価基準とは異なる単位の第二評価基準ごとに集計すること
を特徴とする運転状態評価システム。
【請求項2】
前記第一評価基準は前記測定内容の大きさに関するものであり、
前記第二評価基準は前記測定内容の時間的連続性に関するものであることを特徴とする請求項1に記載の運転状態評価システム。
【請求項3】
前記第二評価基準ごとに集計した回数をさらに合計した合計値を出力することを特徴とする請求項1または2に記載の運転状態評価システム。
【請求項4】
前記第二評価基準ごとに集計した値を当該第二評価基準別に出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の運転状態評価システム。
【請求項5】
前記第一評価基準は複数の評価基準値に基づいて設定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の運転状態評価システム。
【請求項6】
前記測定内容の項目が複数存在し、その複数の測定内容の項目についての前記第一評価基準を満たす回数の合計値を出力することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の運転状態評価システム。
【請求項7】
前記第一評価基準,前記第二評価基準に基づいて求めた評価結果を、日付単位,指定された期間,運転単位の少なくとも1つを集計範囲として出力する機能を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の運転状態評価システム。
【請求項8】
測定する前記車両の状態として加速度を備え、
前記測定内容の項目は、車両の進行方向の加速度から求める加速,車両の進行方向の加速度から求める減速,車両の進行方向と交差する方向の加速度から求める進行方向の変更の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の運転状態評価システム。
【請求項9】
道路地図を表示する機能を備え、
前記車両の状態の測定の際に位置情報も取得し、測定結果と位置情報を関連付けて記録した情報に基づき、前記第一評価基準を満たす測定結果が得られた位置に対応する前記道路地図上の位置を示す位置表示機能を備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の運転状態評価システム。
【請求項10】
前記位置表示機能で表示された前記道路地図上の位置の付近に、その位置における測定結果に関する情報を重ねて表示する機能を備えたことを特徴とする請求項9に記載の運転状態評価システム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の運転状態評価システムにおける機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項1】
車両の走行中に定期的に車両の状態を測定して得られた測定結果に基づく車両の状態情報に対して所定の評価基準を測定内容が満たす回数を集計する運転状態評価システムであって、
1つの測定内容の項目について、第一評価基準を満たす回数を、前記第一評価基準とは異なる単位の第二評価基準ごとに集計すること
を特徴とする運転状態評価システム。
【請求項2】
前記第一評価基準は前記測定内容の大きさに関するものであり、
前記第二評価基準は前記測定内容の時間的連続性に関するものであることを特徴とする請求項1に記載の運転状態評価システム。
【請求項3】
前記第二評価基準ごとに集計した回数をさらに合計した合計値を出力することを特徴とする請求項1または2に記載の運転状態評価システム。
【請求項4】
前記第二評価基準ごとに集計した値を当該第二評価基準別に出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の運転状態評価システム。
【請求項5】
前記第一評価基準は複数の評価基準値に基づいて設定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の運転状態評価システム。
【請求項6】
前記測定内容の項目が複数存在し、その複数の測定内容の項目についての前記第一評価基準を満たす回数の合計値を出力することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の運転状態評価システム。
【請求項7】
前記第一評価基準,前記第二評価基準に基づいて求めた評価結果を、日付単位,指定された期間,運転単位の少なくとも1つを集計範囲として出力する機能を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の運転状態評価システム。
【請求項8】
測定する前記車両の状態として加速度を備え、
前記測定内容の項目は、車両の進行方向の加速度から求める加速,車両の進行方向の加速度から求める減速,車両の進行方向と交差する方向の加速度から求める進行方向の変更の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の運転状態評価システム。
【請求項9】
道路地図を表示する機能を備え、
前記車両の状態の測定の際に位置情報も取得し、測定結果と位置情報を関連付けて記録した情報に基づき、前記第一評価基準を満たす測定結果が得られた位置に対応する前記道路地図上の位置を示す位置表示機能を備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の運転状態評価システム。
【請求項10】
前記位置表示機能で表示された前記道路地図上の位置の付近に、その位置における測定結果に関する情報を重ねて表示する機能を備えたことを特徴とする請求項9に記載の運転状態評価システム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の運転状態評価システムにおける機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図13】
【図14】
【図15】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図13】
【図14】
【図15】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2012−226548(P2012−226548A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93505(P2011−93505)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】
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