説明

過剰噴霧塗料を分離する装置及び方法

過剰噴霧粒子を含む原ガスの流れから過剰噴霧塗料を分離する装置であって、少なくとも二つの濾過装置を備え、その各々がそれを通って原ガスの部分流がそれぞれの濾過装置に入る取り込み開口を有し、かつ各々が過剰噴霧塗料を分離するための少なくともひとつのフィルタ要素を備え、フィルタ要素から除去された濾過助剤と過剰噴霧塗料から成る混合物の流動性を濾過助剤容器において簡単で効率的な仕方で維持することができる装置を提供するために、装置は複数の濾過装置のフィルタ要素から除去された物質を受け入れるための少なくともひとつの容器と、複数の濾過装置から除去された物質を機械的に混合するための攪拌装置を備えることが提案される。
図2

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過剰噴霧粒子を含む原ガス(crude gas)の流れから過剰噴霧塗料を分離する装置であって、少なくとも二つの濾過装置を備え、それらの各装置がそれぞれの濾過装置に原ガスの部分流が入る取り込み開口と、その原ガスの部分流から過剰噴霧塗料を分離するための少なくともひとつのフィルタ要素を備えている装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既知のその種の装置では、“プレコート”と呼ばれる流動的な粒子状の濾過助剤(filter aid material)を原ガスの流れに加えた後に過剰噴霧塗料をそれぞれの原ガスの流れから分離する乾式プロセスが実行される。
【0003】
この濾過助剤は、フィルタ要素の表面に沈着するバリア層として働き、それらの表面に過剰噴霧粒子が付着することによってフィルタ要素の表面の付着(sticking)を防止する。フィルタ要素を定期的にクリーニングすることによって、フィルタ要素からの濾過助剤と過剰噴霧塗料から成る混合物が最終的に濾過助剤容器に移り、そこで吸引されて処分されるか、又は濾過助剤として再使用される。さらに、濾過助剤容器にある濾過助剤と過剰噴霧塗料の混合物は、フィルタ要素の方に向かって濾過助剤容器から上昇するように、圧縮空気吹き出し部(lance)から出る圧縮空気パルスによって流動化される。
【0004】
過剰噴霧塗料を分離するためのこのような装置を用いるとき、プロセスの信頼性という点で重要なポイントは、濾過助剤と過剰噴霧塗料から成る混合物の流動性である。流動性が十分でなくなると、濾過助剤容器では物質の交換が行われない。濾過助剤容器内の物質は取り出し開口へ流れてゆくことができず、容器が満たされている高さが吸引プロセスを終止させる値を超えている状態が続く。この場合、塗装プロセスを中断して、濾過助剤容器内の物質を手作業でゆるくして、流動性を回復させ、吸引できるようにしなければならない。
【0005】
濾過助剤容器に焼結された合成物質から成る板の形の流体ベース(fluid base)が備えられ、圧縮空気をそれに供給することによって濾過助剤容器内に収容された物質を流動化することができるとしても、所望の流動性を再確立するのに十分なほど中の物質をゆるやかにすることは保証されない。すなわち、濾過助剤と過剰噴霧塗料から成る混合物の粒子の粘着性が圧縮空気の流れによって生ずる力よりも実質的に大きな作用を及ぼして、物質が形成した層が全体として持ち上げられるか、物質中に通路が形成されて圧縮空気がそれを通って上へ流れてしまう。さらに、この物質を流動化させるプロセスは、濾過助剤の粒子の粒径分布が大きく拡がっている(約2μmから約100μmまでの範囲)ためにさらに困難になる。直径2μmの粒子の充填物(fill)を約0.85という空隙率まで流動化させるためには、0.00016m/sという流量で十分である。直径100μmの粒子の充填物を流動化させるためには、0.34m/sという流量が必要であり、これは直径2μmの粒子の場合の約2,000倍という高い流量である。したがって、流れによって生ずる力が粘着力を上回っていても、単に圧縮空気を送り込むだけでは一様な流動化状態を実現することはできない。むしろ、ある種の分別過程が起こり、細かい成分は運ばれてゆき、粗い成分は濾過助剤容器の底に動かないままにとどまる。濾過助剤容器の上方に流動化装置を配置して圧縮空気の破壊で濾過助剤をかき回してもこの分別作用が生ずる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述のようなタイプの過剰噴霧塗料を分離する装置であって、濾過助剤容器において濾過助剤とフィルタ要素から除去された過剰噴霧塗料から成る混合物の流動性を簡単で効率的な仕方で維持することを可能にする装置を生み出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、請求項1の第1の部分に記載されている特徴を備えた過剰噴霧塗料を分離する装置の場合、装置が複数の異なる濾過装置のフィルタ要素から除去された物質を受け入れる少なくともひとつの容器と、複数の異なる濾過装置から除去された物質を機械的に攪拌する攪拌装置を備えることで達成される。
【0008】
本発明による解決の根底にある考え方は、それぞれ原ガスのある部分流が流れる複数の濾過装置から除去された物質をひとつの同じ容器に受け入れ、その容器内で攪拌装置によって機械的に攪拌して、除去された物質の粒子間の付着を機械的に破壊し、除去された物質による容器への“付着”を阻止し、異なる濾過装置から除去された物質を混合するプロセスによって容器内に存在する物質の均一性を最大に高めるということである。
【0009】
それによってより信頼性の高いプロセスが達成され、容器内の物質を濃縮して、濾過助剤と過剰噴霧塗料から成る混合物の流動性を損なうことなく高濃度に濃縮された過剰噴霧塗料を容器内に生成することができる。
【0010】
他方、しかし、各濾過装置が別々にそれと関係する独自の濾過助剤容器を有する場合、非常に多数のこのような濾過助剤容器のための設備を設けて、その物質組成を絶えず精密にチェックしなければならない。これは、過剰噴霧塗料によるいろいろな濾過装置の異なる負荷により、過剰噴霧塗料が原ガスの流れに入る塗装領域に対する特定の濾過装置の場所に依存し、濃度因子、すなわち、濾過助剤容器に存在する物質総量に対するそれぞれの過剰噴霧塗料の比率は、濾過助剤容器毎に大きく異なるであろう。濃縮された濾過助剤/塗料の流動性もそれに応じて異なる。抽出工程が濾過助剤容器のひとつに対して正しく実施されていない場合、それはプロセスの中断につながり、人手による介入が必要になる。物質の交換の時間は、それぞれの濾過助剤容器毎に個別に設定されなければならず、それは過剰噴霧塗料の濃度がその決定的な範囲よりも確実に高くなるように選ぶ必要がある。このことは、新しい濾過助剤と、過剰噴霧塗料が負荷された濾過助剤に関しても物質の高い消費につながり、濾過助剤の貯蔵と輸送のための費用もそれに応じて高くなることを意味する。
【0011】
それと対照的に、それぞれを通る原ガスの部分流があるいくつかの濾過装置で過剰噴霧塗料を分離する本発明による装置の場合、その中の物質のレベルと濃度因子をチェックしなければならない容器はひとつだけである。さらに、複数の異なる濾過装置から除去された物質が機械的に混合されるので、特定の濾過装置から除去された物質の過剰噴霧塗料の濃度が特に高い場合でも、他の濾過装置から除去された過剰噴霧塗料の負荷がもっと低い物質と混合することでそれを補償できる。したがって、大きな容器の物質を濃縮して過剰噴霧塗料の濃度を高めても、濾過助剤と過剰噴霧塗料から成る混合物の流動性が損なわれることがない。
【0012】
さらに、ひとつの大きな容器を建造する費用は、それぞれがただひとつの濾過装置と関係した多数の小さな濾過助剤容器を建造するのに要する費用よりも小さい。
【0013】
複数の濾過装置と関係した容器の内側には大きなスペースがあるので、容器の内部に適当な攪拌装置を設置することもずっと簡単である。
【0014】
容器は、第一の濾過装置の垂直方向で下にある領域から第二の濾過装置の垂直方向で下にある領域へ延びる槽の形をしており、原理的には、望むだけの数の濾過装置を第一の濾過装置と第二の濾過装置の間にさらに配置できるようになっていることが好ましい。
【0015】
本発明のある好ましい実施形態では、容器が少なくとも三つの異なる濾過装置から除去された物質を受け入れるような容器が提供されている。
【0016】
攪拌装置は、少なくともひとつの実質的に水平方向の軸のまわりで回転できる攪拌器具を備えていることが好ましい。それによって達成される効果は、容器内に収容された物質が回転軸に沿った方向で十分に混合されて容器内の物質濃度の差がなくなるということである。
【0017】
多数の濾過装置から除去される物質を収容するために長い容器が用いられる場合であっても十分な混合が達成できるようにするために、攪拌装置が実質的に水平方向の回転軸のまわりで回転できる少なくとも二つの回転軸を備え、回転軸方向で互いに前後に配置されるようにすることができる。
【0018】
攪拌器具を取り付けるのにただひとつの長い回転軸ではなく、複数の短いシャフトを用いることによって、攪拌器具の回転運動を生ずるために必要な駆動パワーを減らすことができる。
【0019】
容器内の物質の粒子間結合力を壊すために適当な任意の攪拌器具を攪拌装置に備えることができる。
【0020】
特に、攪拌器具は少なくともひとつのパドル、少なくともひとつのすき刃、及び/又は少なくともひとつのらせん羽根、スクリュー、又はスパイラルを備えるようにすることができる。
【0021】
容器内にある物質を十分に混合するために攪拌装置は少なくとも二つの回転方向が反対になっているらせん羽根を備えることが便利である。
【0022】
物質のうち細かい部分が容器から除去される分別効果は、容器内の物質を攪拌しているプロセスの間は起こらないので、本発明による装置における濾過助剤の粒径分布は、過剰噴霧塗料粒子を埋め込んで付着をなくすためにできるだけ大きな表面積が得られるように選ぶことができる。
【0023】
特に、少なくとも20重量パーセントの粒子が粒子サイズ2μm未満であるような濾過助剤を用いることができる。
【0024】
用いる濾過助剤、例えばストーンダスト(stone dust)の密度は、例えば約2.75g/cm3であってもよい。
【0025】
本発明による装置では、バルクの物質特性が粘着性と記載されるような濾過助剤を用いることもできる。
【0026】
過剰噴霧塗料が負荷された濾過助剤を容器から放出するための物質出口開口を容器が備えている場合、攪拌装置は物質を物質出口開口を通して放出するプロセスを助ける攪拌器具を備えていると好都合である。
【0027】
さらに、容器は新たな濾過助剤を供給して容器内の物質の過剰噴霧塗料の濃度を下げるために、新たな濾過助剤のための入口を備えることができる。
【0028】
好ましくは、新たな濾過助剤のための入口は、容器の第一端領域に配置され、容器は第一端領域の反対側にある容器の第二端領域に配置される物質出口開口を備える。
【0029】
容器に収容された物質の特に十分な攪拌は、完全な一回転の間に攪拌装置が攪拌領域を掃引し、容器がその攪拌領域の外側輪郭に適合する内側輪郭を有する攪拌部を備える場合に得られる。
【0030】
容器が攪拌部を含み、完全な一回転の間に攪拌装置が容器の攪拌部の実質的に全体を掃引するときわめて好適である。
【0031】
その場合、容器が収容する実質的にすべての物質が通常の装置の動作で容器の攪拌部に配置されるような手段が講じられる。
【0032】
容器の攪拌部は、特に、実質的に円筒状又は円筒のある部分(a section)の形であってよい。
【0033】
さらに、本発明は、過剰噴霧粒子を含む原ガスの流れから過剰噴霧塗料を分離する方法に関する。
【0034】
本発明の別の目的は、過剰噴霧塗料の分離のためのこのような方法であって、濾過助剤とフィルタ要素から除去された過剰噴霧塗料から成る混合物の流動性を濾過助剤容器において簡単で効率的な仕方で維持することを可能にする方法を提供することである。
【0035】
本発明によれば、この目的は過剰噴霧粒子を含む原ガスの流れから過剰噴霧塗料を分離するための次のような工程ステップを含む方法によって達成される。すなわち、
原ガスの流れを、異なる取り込み開口を通って少なくとも二つの異なる濾過装置に入る少なくとも二つの原ガスの部分流に分割するステップであって、前記濾過装置はそれぞれの原ガス部分流から過剰噴霧塗料を分離するための少なくともひとつのフィルタ要素を有する、ステップと、
フィルタ要素によって原ガス部分流から過剰噴霧塗料を分離するステップと、
複数の異なる濾過装置のフィルタ要素から物質を除去するステップと、
複数の異なる濾過装置から除去された物質を同じ容器に集めるステップと、
複数の異なる濾過装置から除去された物質を容器内で攪拌装置によって機械的に攪拌するステップ。
【0036】
容器は、除去された物質を容器が受け取る濾過装置の垂直方向で真下に配置されることが好ましい。
【0037】
さらに、原ガスの部分流が少なくとも部分的に容器に通されて容器から濾過助剤を吸収するようにする手段が講じられる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明のその他の特徴と利点が、実施形態についての以下の説明と図の主題を成す。
【0039】
【図1】塗装ブースの概略垂直断面図を示し、その下に配置された過剰噴霧粒子を含む原ガスの流れから過剰噴霧塗料を分離する装置を含み、装置は塗装ブースの下に配置された流れ室と、流れ室の両側に配置された複数の濾過モジュールを含んでいる。
【図2】図1に示されたプラントの概略垂直断面図を示し、図1と対応しているが、原ガス、濾過モジュールから出る排気、及び横方向の空気カーテンを生成するために流れ室に送られる空気供給のそれぞれの方向が矢印で示されている。
【図3】図1と2に示されたプラントの上からの概略平面図を示す。
【図4】二つの隣接する別の濾過モジュールの間に配置しようとしている個別濾過モジュールを示す概略斜視図である。
【図5】図4に示された濾過モジュールを示す概略正面図である。
【図6】濾過モジュールとその下に配置された攪拌装置を含む容器を示す概略断面図である。
【図7】プラントの長手方向で引き続く三つの濾過モジュールと、濾過モジュールの下に配置された攪拌装置を含む容器を示す概略長手方向断面図である。
【図8】回転方向が反対で、水平な回転軸のまわりで回転できる二つのらせん羽根(helix)を備える攪拌装置を示す概略側面図である。
【図9】それぞれが4つの濾過モジュールを含む二つのグループを示す概略側面図であり、各グループの濾過モジュールにはそれぞれのグループの濾過モジュールから除去された物質を混合する攪拌装置を含む容器が関係している。
【図10】4つの濾過モジュールのグループを示す概略側面図であり、この濾過モジュールの大きなグループにはひとつの長い容器が関係しており、その攪拌装置は実質的に水平方向の回転軸のまわりで回転できる二つの回転軸を備え、回転軸の方向で前後に配置される攪拌器具を取り付けるために用いられる。
【0040】
同様の又は機能的に等価な要素は、各図面で同じ参照記号で表される。
【発明を実施するための形態】
【0041】
車体102にスプレー塗装するための全体が参照記号100で表される図1から7までに示される設備は、概略図で示されるコンベヤー装置104を含み、車体102は全体が参照記号110で表される塗装ブースにおける塗装エリア108を通って搬送方向106に移動される。
【0042】
輸送方向106と直角に水平に延びる横方向112、これは塗装ブース110の長手方向に対応する方向であり、塗装エリア108は、その方向のコンベヤー装置104の各側でそれぞれブース壁114によって限られる塗装ブース110の内側である。
【0043】
例えば塗装ロボットの形であるスプレー装置116が、塗装ブース110でコンベヤー装置104の両側に配置されている。
【0044】
空気の流れが、図2に矢印118で示されるように実質的に垂直方向で上から下向きに塗装エリア108を通る(部分的にしか示されていない)空気循環ループによって生成される。
【0045】
この空気流が塗装エリア108で過剰噴霧粒子の形の過剰噴霧塗料をピックアップする。ここで“粒子”という用語は固体粒子と液体粒子の両方を含み、特に液滴を含む。
【0046】
湿式塗装プロセスを用いる場合、過剰噴霧塗料は塗料液滴から成る。過剰噴霧粒子の大部分は、最大寸法は約1μmから約100μm間での範囲にある。
【0047】
塗装エリア108からの過剰噴霧粒子を負荷された排気の空気の流れが以下で原ガスの流れと呼ばれる。原ガスの流れの流れ方向は、図2から6までにおいて矢印120で表されている。
【0048】
原ガスの流れは塗装ブース110を下向きの方向に出て、塗装エリア108の下に配置された原ガスの流れから過剰噴霧塗料を分離するための全体が参照記号126で表される装置に入る。
【0049】
装置126は、輸送方向106で塗装ブース110の全長にわたって延び、横方向112で塗装ブース110の側方ブース壁114と実質的に同一平面になっている垂直な側壁130によって限られる実質的に直方体の形の流れ室128を含み、したがって流れ室128は塗装ブース110と同じ水平方向断面積を有し、実質的に全体が塗装ブース110の表面部分の垂直突部の内側に配置される。
【0050】
図7で最もよく見られるように、複数の、例えば三つの、濾過モジュール132が流れ室128の各側面に配置され、二列のモジュール136となって過剰噴霧塗料を分離する装置126の長手方向(輸送方向106と一致する)に延びている。
【0051】
モジュール列136の各々は、モジュール列の一端を成す二つのコーナーモジュール138と、二つの隣接する濾過モジュール132の間に配置された少なくともひとつの中央モジュール140を含む。
【0052】
各濾過モジュール132は、それが設置される塗装設備の位置から離れた地点で製造された予め組み立てられたユニットの形であって、塗装設備における取り付け場所へユニットとして運ばれる。その取り付け場所で、予め組み立てられたユニット154が計画された作業位置に配置され、ひとつ以上の隣接する予め組み立てられたユニット154及び塗装エリア108の支持構造と結合される。
【0053】
以下の説明では、濾過モジュール132の構成が中央モジュールを例にとって図4と5を参照して記述される。
【0054】
このモジュールは、二つの垂直な後方支持部158と二つの垂直な前方支持部160から成り、前方支持部はそれぞれ上端で水平の連結バー162によって後方支持部158のそれぞれと結合される支持構造156を含む(図4)。
【0055】
さらに、前方支持部160はその上端で別の連結バー(図示されない)によってひとつに結合される。
【0056】
さらに、後方支持部158は連結バー(図示されない)又は結合枠組み(図示されない)によってひとつに結合される。
【0057】
支持構造156の上端における連結バーは水平の被覆壁164を担持する。
【0058】
濾過モジュール132の垂直な前方壁166は前方支持部160の前面に保持される。
【0059】
被覆壁164と前方壁166は、濾過モジュール132内に配置されたフィルタ要素を収容する収容室170を濾過モジュール132の外側にある流れ室128の領域から隔てる仕切壁168を成す。
【0060】
モジュール列136において互いに隣接して配置された二つのモジュール132を簡単で安定した仕方で結合すること、又は濾過モジュール132を隣接する流れ室128の境界壁と結合することを可能にするために、各濾過モジュール132の支持構造156は少なくともひとつの後方支持部158を備え、それは垂直方向で横方向112に向いた実質的に平坦な接触表面242を有し、それを隣接する濾過モジュール132の対応する接触表面242に、又は隣接する境界壁に載置することができる。
【0061】
隣接する濾過モジュール132との結合に用いられる後方支持部158は、ほぼU字形の輪郭を有することが好ましい。
【0062】
図4から見られるように、各中央モジュール140はU字形の輪郭を有する二つの後方支持部158を備え、その開いた側が互いに向かい合っており、中央モジュール140は両側で隣接する別の濾過モジュール132と結合することができる。
【0063】
しかし、それと対照的に、各コーナーモジュール138はU字形の輪郭を有する後方支持部158をひとつしか備えていない。隣接する濾過モジュール132と結合する必要がない反対側の後方支持部158は、機械的な堅さを高めるためにU字形の輪郭ではなくI字形の輪郭を有する。
【0064】
他のすべての点で、コーナーモジュール138は、その構成と機能に関して、上で詳しく説明した中央モジュール140と対応する。
【0065】
濾過モジュール132のフィルタ要素を収容する収容室170には、複数の、例えば10個のフィルタ要素172が上下に2列で配置され、それが後方支持部158の背面に保持された共通の基体174から水平方向に突出している。
【0066】
フィルタ要素172は、例えば、焼結されたポリエチレンから成る平板で構成され、それらの外側表面にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の膜が設けられている。
【0067】
PTFEのコーティングはフィルタ要素172のフィルタークラス(filter class)を上げる(すなわち、その透過性を低下させる)働きをし、さらに原ガスの流れから分離された過剰噴霧塗料の恒久的な付着を防止する働きをする。
【0068】
フィルタ要素172のベース物質もその上のPTFEコーティングも多孔性を示し、原ガスはその孔を通ってそれぞれのフィルタ要素172の内部に入り込むことができる。
【0069】
さらに、フィルタ表面を付着から防止するために、原ガスの流れに添加される濾過助剤から成るバリア層が表面に設けられる。この濾過助剤は好ましくは粒状であり、“プレコート”物質とも呼ばれる。
【0070】
装置126が動作しているときに、バリア層は、フィルタ表面上で原ガスの流れ120によって供給されるが濾過助剤の沈着によって形成され、過剰噴霧塗料が表面に付着する結果として、フィルタ表面に対する付着を防止する。
【0071】
原ガスの流れ120からの濾過助剤は、また、濾過モジュール132の被覆壁164と前方壁166の内側表面にも沈着し、同様に過剰噴霧塗料が底に付着することを防止する。
【0072】
原理的には、過剰噴霧塗料の流体成分として吸着されることが可能などんな媒質も濾過助剤として用いることができる。
【0073】
特に例えば、チョーク、ストーンダスト、珪酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、コーティングパウダー、などが濾過助剤として考慮される。
【0074】
その代わりに、またはそれに加えて、キャビティ状の構造を有し外側寸法に比べて内側表面積が大きな粒子、例えばゼオライトやその他の中空な、例えばポリマー、ガラス、又は珪酸アルミニウム、及び/又は天然又は人工の繊維、なども過剰噴霧塗料による吸着及び/又は過剰噴霧塗料との結合によって濾過助剤として用いることができる。
【0075】
その代わりに、またはそれに加えて、過剰噴霧塗料と化学的に反応する粒子、例えばアミン、エポキシ、カルボキシル、ヒドロキシル、又はイソシアネート基からの化学的に反応性の粒子、酸化アルムニウムから成りオクチルシラン、又は固体又は液体のモノマー、オリゴマー、又はポリマー、シラン、シラノイル、又はシロキサンなどで後処理された化学的に反応性の粒子なども、過剰噴霧塗料による吸着及び/又は過剰噴霧塗料との結合によって濾過助剤として用いることができる。
【0076】
濾過助剤は、平均直径が例えば約10μmから約100μm間での範囲にある多数の粒状濾過助剤から成ることが好ましい。
【0077】
濾過助剤が塗装設備100の塗装エリア108に到達する危険なしに、濾過助剤を原ガスの流れに供給できるようにするため、及びフィルタ要素172から過剰噴霧塗料と共に除去された濾過助剤を集めることができるようにするために、複数の、例えば三つの、濾過モジュールの各グループに共通の容器176が関係し、それが装置126の長手方向134、例えば、三つの、濾過モジュール132の全長にわたって延びている。(図7参照)。
【0078】
容器176は実質的に槽の形をしており、上方の取り込み部178と、取り込み部178にその下端で隣接する攪拌部180を有する。
【0079】
取り込み部178は、長手方向134に対して直角に延びる二つの端壁182と、一方の端壁182から他方の端壁182まで延び、垂直に対して少なくとも約30゜の角度で傾斜している互いに対向する二つの側壁184とによって仕切られている。
【0080】
取り込み部178の下端に隣接する攪拌部180は、実質的に円筒状であり、円筒の一部の形で、例えば約270゜の周縁角にわたって延びる外壁186を含み、外壁の上方エッジは容器176の取り込み部178の側壁184の下方エッジに隣接するので、攪拌部180は取り込み部178に上向きに開口している。
【0081】
容器176の取り込み部178の側壁184のひとつに保持されている流動化手段198は、その下にあって容器176に収容されている物質に圧縮空気のパルスを送り込んでこの物質をかき回し、それに含まれている濾過助剤も含めてこの物質を容器176の取り込み部178に通されている原ガスの流れに導入する働きをする。
【0082】
設備100が機能しているとき、流動化手段198は断続的に、例えば毎分4回、各回に約5秒間動作する。
【0083】
流動化手段198は、圧縮空気の供給のための複数の、例えば濾過モジュールあたり少なくとも二つの、出口ノズル200を備え、ノズルは円錐状ジェットの形で、それぞれが容器176の攪拌部180に向かって下向きに広がる圧縮空気を円錐状に発生できる。
【0084】
出口ノズル200は、容器176の取り込み部178の側壁184のひとつを通って容器176の外側にある圧縮空気の源202につながっている圧縮空気パイプライン196に配置される。
【0085】
容器176の攪拌部180には、いろいろな濾過モジュール132のフィルタ要素172から除去され、攪拌部180をレベル206まで満たす物質を十分に機械的に混合するための攪拌装置204が配置される。
【0086】
図7に最もよく見られるように、攪拌装置204は、装置126の長手方向134と平行に延び、容器176の端壁182に長手方向134と平行に延びる水平な回転軸212のまわりで回転できるようにベアリング210によって取り付けられる回転軸208を備える。
【0087】
回転軸208の一端は、容器176の端壁182のひとつに流体を漏らさないように通され、容器176の外側にある回転駆動手段214(例えば、電動モータ)に結合される。
【0088】
攪拌装置204の回転軸208は、例えば約20mになる塗装ブース118の全長にわたって延びることができる。
【0089】
容器176の攪拌部180を満たすのに必要な物質の体積は、例えば少なくとも750リットル(750×10-33)に達することがある。
【0090】
例えばパドル又はすき刃の形の複数の攪拌器具216が回転軸208にいっしょに回転するように取り付けられる。
【0091】
容器176の攪拌部180の内側輪郭は、攪拌装置204の回転軸208がその回転軸212のまわりに完全に一回転する間に、攪拌器具216が混合領域220を掃引するように、攪拌装置204の攪拌器具216の外側輪郭に適合し、混合領域220の外側輪郭は実質的に容器176の攪拌部180の内側輪郭に対応している。
【0092】
好ましくは、攪拌装置204は、その回転軸212のまわりで完全に一回転する間に容器176の攪拌部180の全体を実質的に掃引する。
【0093】
攪拌装置204が回転駆動手段214によって駆動されて攪拌運動することによって、容器176内の物質を構成する粒子の結合力が壊され、回転軸208の長手方向で混合が行われ、容器176内で濃度の差がなくなり、特に一方において新しい濾過助剤の、他方においてフィルタ要素から洗除去された濾過助剤及び過剰噴霧塗料に対する比率が容器176内のいたるところで等しくなる。
【0094】
容器176に新しい濾過助剤を供給できるようにするために、新しい濾過助剤の源(図示されない)と結合された新しい濾過助剤のための入口222が容器176のひとつの端壁182に設けられる。
【0095】
新しい濾過助剤のための入口222に向かい合う端壁182に、物質出口開口224が設けられ、円筒状の攪拌部180の下方の丸い部分に近い攪拌部180の下方領域に配置される。
【0096】
過剰噴霧塗料を多く含むようになった濾過助剤はこの物質出口224を通して容器176から排出して、入口222を通して新しい濾過助剤が供給されても容器176を満たしているレベル206を一定に維持することができる。
【0097】
物質出口224を通して物質を放出するプロセスを助ける攪拌器具216´が物質出口224に近い回転軸208に配置され、この攪拌器具216´は回転軸208から径方向に、又は軸方向で端壁の方へ、突出する。
【0098】
回転軸208から突出するひとつのパドルを備える代わりに、攪拌装置204の攪拌器具216が、攪拌装置204の回転軸212と同軸であるらせん羽根226の形であってもよい。
【0099】
特に、攪拌装置204に、回転方向が互いに逆の二つのらせん羽根(helix)226,226´を備えることができる。
【0100】
これらのらせん羽根は、ピッチが同じで半径が異なっていてもよい。
【0101】
二つのらせん羽根226,226´の回転方向が逆であるため、攪拌部180にある物質の特に十分な混合が達成される。
【0102】
さらに、攪拌装置204の作用によって、容器176内の物質は表面がなめらかに成り、容器176内での掘り返す(undermining)プロセスの結果として形成される架橋が、分解される。
【0103】
流れ室128から濾過モジュール132に入る原ガスの流れをそれぞれの濾過モジュール132に関係した原ガスの部分流228に細分し、それらの原ガスの部分流228をそれぞれの容器176の取り込み部178に適切に導き、流れ室182からの原ガスの流れがフィルタ要素172に直接アクセスすることを防止するために、各濾過モジュール132にはスリット状の取り込み開口230が設けられるが、それは取り込み通路232として流れ断面が原ガスの流れ228の流れ方向に細い断面234の方へ狭まってゆく形になる。
【0104】
その代わりに、又はそれに加えて、取り込み通路232は、流れ断面が原ガスの流れ方向に細い断面240から広がるようにすることもできる。
【0105】
取り込み通路232は、下方で傾斜する取り込み部材236によって仕切られ、それは支持構造156の前方支持部160から上へ傾斜する方向に延び、例えば水平に対して約40゜から約65゜までの角度で傾斜する。
【0106】
取り込み部材236は、流れ室128の長手方向134に、例えば約1mから約2mという取り込み開口230の実質的に全長にわたって延び、これは長手方向134での全濾過モジュール132の広がりにほぼ対応する。
【0107】
上向き方向で、取り込み開口230は、前方壁166の下方エッジ及び前方壁166の下方エッジから濾過モジュール132の内部へ下向きに傾斜している上方ガイドプレート238によって境界を付けられている。
【0108】
上方ガイドプレート238は、水平に対して、例えば約55゜から約70゜までの角度で傾斜し、長手方向134に、例えば約1m又は約2mという取り込み開口の幅の実質的に全体にわたって延びる。
【0109】
原ガスの部分流228のためのこの上方ガイドプレート238によって、原ガスの流れが濾過モジュール132の前方壁166で砕けることなく、容器176の中へ直接曲げられる(図6参照)。
【0110】
濾過モジュール132が機能しているとき、上方ガイドプレート238に濾過助剤のコーティングが施され、上方ガイドプレート238は容易にクリーニングされ、過剰噴霧塗料は上方ガイドプレート238に直接付着しない。
【0111】
上述のような取り込み開口230の幾何形態の結果、取り込み開口230には狭い部分234があり、そこで取り込み開口230の流れ断面が最小になり、したがって原ガスの速度が最大になる。
【0112】
好ましくは、狭い部分における原ガスの速度は約2 m/sから約8 m/sであり、特に約3 m/sから約5 m/sである。
【0113】
このようにして、濾過助剤は、流れ室128に入ることが効果的に防止され、そこから塗装エリア108に、閉じたボックスを形成する濾過モジュール132の内部から、入ることが防止される。したがって、容器176における濾過助剤の流動化、及びフィルタ要素172の洗浄はどの時点でも行うことができ、濾過モジュール132への原ガスの供給を中断する必要はなく、塗装エリア108におけるペイントスプレー装置の作動を中断する必要もない。
【0114】
さらに、原ガスの部分流228は容器176に向けられたそれぞれの取り込み開口230から発生しているので、原ガスの部分流228の方向変更は容器176の取り込み部178で確実に起こる。したがって、容器176における物質を流動化するプロセスで生成される十分な量の濾過助剤が原ガスの部分流228によって運ばれる。
【0115】
流れ室128から取り込み開口230を通って濾過モジュール132への原ガスの流れが図6の概略図に示されている。これから、濾過モジュール132の内部に水平に延びる軸を有する回転ドラム状の流れが形成されることがはっきりと見られる。
【0116】
取り込み開口230と反対側の容器176の側面で、原ガスの流れが今度は濾過助剤を負荷されて助剤容器176の取り込み部178から流れ出し、その後フィルタ要素収容室170の全体積にわたって分布され、フィルタ要素172のまわりに乱流が発生し、狭い部分234で原ガスの流れ228に付与される大きな力によって個別フィルタ要素172への濾過助剤の均一な分配が保証される。
【0117】
各濾過モジュール132の動作の間、それぞれの濾過モジュール132に入る原ガスの部分流228はフィルタ要素172のフィルタ表面を掃くように流れ、それによって一緒に運ばれる濾過助剤、及びやはり一緒に運ばれる過剰噴霧塗料がフィルタ表面に沈着し、濾過された原ガスはフィルタの多孔性表面を通って排気の流れとしてフィルタ要素172の内部に到達する。この内部はフィルタ要素172がそこから突出している基体174内の空洞に結合している。この空洞から、洗浄された排気の流れがそれぞれの排気パイプ248に入り、排気パイプ248は各濾過モジュール132のフィルタ要素172の基体174から流れ室128の長手方向134と平行に延び、ほぼ中央で流れ室128の下に配置された排気ダクト250につながっている(特に、図1と2参照)。
【0118】
排気流の流れの方向は図2に矢印252で示されている。
【0119】
過剰噴霧塗料が除去された排気は(図示されない)、排気ダクト250から排気ファンに達し、そこから排気は(図示されない)冷却スタックと(図示されない)供給ラインを通って、塗装エリア108の上に配置された(図示されない)空気室、いわゆるプレナム、に供給される。
【0120】
この空気室から、排気が塗装エリア108にフィルタカバーを通して戻される。
【0121】
排気ライン(図示されない)を通して浄化された排気の流れの一部が環境に(例えば煙突によって)出され、この排気ラインが供給ラインから枝分かれしている。
【0122】
排気の流れのうち環境へ出された部分は、それぞれの空気供給ライン256によって空気供給システム(図示されない)に結合された二つのエアーカーテン生成装置254により流れ室128に送り込まれる新しい空気によって置き換えられる(図1と2)。
【0123】
各エアーカーテン生成装置254はそれぞれのエアーカーテンを生成し、それはそれぞれに関係したエアーカーテン生成装置254から実質的に水平方向に、濾過モジュール132の被覆壁164のトップ側面に沿って、互いに向かい合うモジュール列136の上方エッジの間の狭い部分262に向けられる。それによって塗装エリア108からの過剰噴霧塗料が負荷された原ガスの流れ120が濾過モジュール132の上方表面に達して、原ガスの流れ120からの過剰噴霧塗料を濾過モジュール132の上方表面に沈着させることを阻止する。
【0124】
エアーカーテン生成装置254によって濾過モジュール132の上方表面に生成される横向きのエアーカーテンにおける空気の流れの平均方向が図2に矢印264で示されている。
【0125】
塗装エリア108に通される空気の大部分は、このように塗装エリア108、流れ室128,濾過モジュール132,排気パイプ248,排気ダクト250,排気ファン、並びに塗装エリア108の上の供給ラインと空気室を含む空気循環ループのまわりに再循環され、それによって空気循環ループのまわりで送られる空気がエアーカーテン生成装置254による新しい空気の流入によって絶えず加熱されることを防ぐ。
【0126】
フィルタ要素172による原ガスの部分流228からの過剰噴霧塗料の分離はドライプロセスで行われるので、すなわちクリーニング流体によって洗浄除去されないので、連続する空気ループを回って送られる空気は過剰噴霧塗料を分離する過程で湿ることがなく、空気循環ループで送られる空気を除湿する装置は何も必要ない。
【0127】
さらに、そのような洗浄−クリーニング流体から過剰噴霧塗料を分離する装置も必要ない。
【0128】
濾過モジュール132のフィルタ要素172は、過剰噴霧塗料及び濾過助剤によるフィルタ要素172の負荷が予め定められたレベルに達したとき圧縮空気のパルスで定められた時間間隔で洗浄される。
【0129】
この洗浄プロセスは、(フィルタ要素172の圧力低下の上昇に応じて)例えば8時間の作業交替あたり1回から6回、すなわちほぼ1−8時間毎に行われる。
【0130】
必要な圧縮空気のパルスは、各濾過モジュール132のフィルタ要素172の基体174に配置されたパルス発生装置によって発生し、パルス発生装置は、パルス発生装置からフィルタ要素の内部につながる基体174内を通っている圧縮空気管に圧縮空気のパルスを送り出すことができる。
【0131】
圧縮空気のパルスはフィルタ要素172の内部から多孔性のフィルタ表面を通ってフィルタ要素収容室170へ送られ、それによってフィルタ表面に形成された濾過助剤とそれに沈着した過剰噴霧塗料から成るバリア層がフィルタ表面から除去され、そのフィルタ表面は最初のクリーンな状態に戻る。
【0132】
上述した過剰噴霧塗料を分離する装置126において、濾過助剤は個々の容器176で濾過助剤を流動化するプロセスによって原ガス228の部分流に加えられる。
【0133】
容器176に蓄積した過剰噴霧塗料と混合する濾過助剤を除去し、処分することができるように、装置126は容器176の物質排出開口224に取り付けられた(図示されない)濾過助剤分離装置、容器176から物質を取り出すための吸引ファンを備える。
【0134】
濾過助剤を過剰噴霧粒子と共に含む容器176から取り出された物質は、処分するか、又は―再処理した後―塗装プラントで少なくとも一部再使用する事ができる。
【0135】
図9にモジュール列136の概略側面図の形で示された過剰噴霧塗料を分離する装置126の第二の実施形態は、前述した装置126と次の点で異なっている。すなわち、モジュール列136の全長にわたって延びるひとつの容器176が、装置126の長手方向134で前後に次々に配置されているモジュール列136のすべての濾過モジュール132と関係するのでない。つまり、各モジュール列136が複数の、例えば二つのモジュールグループ266a、266bに区分され、各グループは複数の、例えば4つの濾過モジュール132を含み、各モジュールグループ266a、266bにそれぞれの容器176a、176bが関係し、モジュールグループ266a、266bの濾過モジュール132のフィルタ要素172から除去された物質(濾過助剤と過剰噴霧塗料)を受け入れるようになっている。
【0136】
このように、過剰噴霧塗料を分離する装置126のこの実施形態では、少なくとも二つの容器176a、176bが長手方向134に順次配置され、しかし各容器176a、176bが複数の濾過モジュール132から除去された物質を受け入れる。
【0137】
さらに、容器176a、176bは各々が攪拌装置204を備え、それによって異なる濾過モジュール132から生じてそれぞれの容器176a、176bに捕らえられた物質が混合されるようになっている。
【0138】
この実施形態では、容器176a、176bの端壁182は垂直方向に連続しておらず、前面の取り込み部178の境界となる垂直に対して傾斜した上方の傾斜端壁部分268を含み、傾斜端壁部分268はそれらに関係した容器176a、176bの攪拌部180を超えて長手方向134へ突出する。
【0139】
したがって、各攪拌装置204のための回転駆動手段214を収容するのに十分なスペースを、長手方向134で続いている容器176a、176bの傾斜端壁部分268の下、及びこの容器176a、176bの攪拌部180の端壁の間に生みだすことができる。
【0140】
さらに、排気パイプ248と容器176a、176bの間に各攪拌装置204の回転軸208を設置するのに十分なスペースが利用できるようにするために注意を払わなければならない。
【0141】
装置126の長手方向134で前後に配置されたモジュールグループ266a、266bは、異なる塗装ブースと関係づけられることも、同じ塗装ブースの異なる塗装設備と関係づけられることも、例えば一方では車体102の内部の塗装作業のための塗装部と、他方では車体102の外側仕上げのための塗装設備と関係づけられることもある。
【0142】
それに代わる形で、モジュールグループ266a、266bが関連した異なる塗装設備で、車体102に異なるタイプのペイントが塗装される、例えば一方では下塗剤が塗装され、他方では透明なラッカーが塗装されるようにすることもできる。
【0143】
モジュールグループ266a、266bの間で上に位置する塗装設備のエリアではペイントは車体102に塗装されない。
【0144】
他のすべての点で、図9に示された過剰噴霧塗料を分離するための装置126の第二の実施形態は、その構成と機能に関して、図1から8までに示された第一の実施形態に対応しており、それに関しては前の記述が参照される。
【0145】
図10にモジュール列136の概略側面図の形で示されている過剰噴霧塗料を分離するための装置126の第三の実施形態は、図1から8までに示された第一の実施形態と次の点で異なる、すなわち、同じ容器176と関係している濾過モジュール132の数がもっと多く(例えば8つの濾過モジュール132)、そのため容器176は装置126の長手方向134に非常に長く延びている(例えば16m以上)。
【0146】
容器176がこのように長いので、攪拌器具216に設けられて容器176の全長にわたって延びる回転軸208を動かすためには非常に高いパワーの回転駆動手段214を用いることが必要であろう。
【0147】
したがって、図10に示された第三の実施形態の場合、攪拌装置204が長手方向134及び共通の回転軸212の方向で続く二つの回転軸208a,208bを備え、それぞれが自身の回転駆動手段214a,214bによって駆動されるようにし、それらの駆動手段がそれぞれ回転可能な仕方で容器176の前方端壁182aと後方端壁182b、及び容器176の中央のベアリング272に取り付けられるようにする。
【0148】
回転軸208a,208bの各々にはひとつ以上の攪拌器具、例えばらせん羽根226が容器176に収容される物質を攪拌するために設けられる。
【0149】
二つの別々に取り付けられ独立に駆動される回転軸208a,208bの間で攪拌器具226が共有されるため、攪拌器具226の回転運動を生ずるために必要な回転駆動手段214a,214bの駆動パワーを減らすことができる。
【0150】
この第三の実施形態でも、容器176の端壁182a,182bは垂直方向で連続でなく、前面で取り込み部178の境界となる上方の傾斜端壁部分268を備え、この傾斜端壁268が容器176の攪拌部180を長手方向134で超えて突出するようになっている。
【0151】
したがって、攪拌器具204のためのそれぞれの回転駆動手段214a,214bを収容するための十分なスペースを傾斜端壁268の下に生みだすことができる。
【0152】
他のすべての点で、図10に示された過剰噴霧塗料を分離するための装置126の第三の実施形態は、その構成と機能に関して、図1から8までに示された第一の実施形態に対応しており、それに関しては前の記述が参照される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過剰噴霧粒子を含む原ガスの流れ(120)から過剰噴霧塗料を分離する装置であって、
少なくとも二つの濾過装置(132)を備え、
個々の濾過装置(132)が、それを通って原ガスの部分流(228)がそれぞれの濾過装置(132)に入る取り込み開口(230)と、
原ガスの部分流(228)から過剰噴霧塗料を分離する少なくともひとつのフィルタ要素(172)とを含み、
粒状の濾過助剤が原ガスの部分流に加えられ、フィルタ要素(172)の表面に沈着している、装置において、
複数の濾過装置(132)のフィルタ要素(172)から除去された濾過助剤と過剰噴霧塗料の混合物を受け入れる少なくともひとつの容器(176)と、
複数の濾過装置(132)から除去された濾過助剤と過剰噴霧塗料の混合物を機械的に混合するための攪拌装置(204)と、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
容器(176)が、第一の濾過装置(132)の垂直方向で下に位置する領域から第二の濾過装置(132)の垂直方向で下に位置する領域へ延びる槽の形であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
容器(176)が、過剰噴霧塗料が負荷された濾過助剤を容器(176)から取り出すために用いられる物質出口開口(224)を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
容器(176)が物質出口開口(224)を備え、攪拌装置(204)が物質出口開口(224)を通して物質を放出するプロセスを助ける攪拌器具(216´)を備えることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の装置。
【請求項5】
容器(176)が新しい濾過助剤のための入口(222)を備えることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の装置。
【請求項6】
新しい濾過助剤のための入口(222)が容器(176)の第一端領域に配置され、
容器(176)が、第一端領域と反対に位置する容器(176)の第二領域に配置された物質出口開口(224)を備えることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
攪拌装置(204)が実質的に水平方向に向いた回転軸(212)のまわりで回転可能な少なくともひとつの攪拌器具(216)を備え、攪拌装置(204)は回転方向が反対の少なくとも二つのらせん羽根を備えることを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の装置。
【請求項8】
濾過助剤が、中空構造及び/又は外側寸法に対して大きな内側表面積を有する粒子を含むことを特徴とする請求項1から7までのいずれかに記載の装置。
【請求項9】
濾過助剤が、過剰噴霧塗料と化学的に反応する粒子を含むことを特徴とする請求項1から8までのいずれかに記載の装置。
【請求項10】
濾過助剤は、平均直径が約10μmから約100μmの範囲にある多数の濾過助剤粒子から成ることを特徴とする請求項1から9までのいずれかに記載の装置。
【請求項11】
装置(126)は、圧縮空気のパルスによって容器(176)に収容された物質を巻き上げて原ガスの流れに入るようにする流動化手段(198)を備えることを特徴とする請求項1から10までのいずれかに記載の装置。
【請求項12】
完全な一回転の間に攪拌装置(204)が攪拌領域(220)を掃引し、容器(176)が攪拌領域(220)の外側輪郭に適合する内側輪郭を有する攪拌部(180)を含むことを特徴とする請求項1から11までのいずれかに記載の装置。
【請求項13】
容器(176)は攪拌部(180)を含み、攪拌装置(204)は完全な一回転の間に攪拌部(180)の実質的に全体を掃引することを特徴とする請求項1から12までのいずれかに記載の装置。
【請求項14】
過剰噴霧粒子を含む原ガスの流れ(120)から過剰噴霧塗料を分離する方法であって、
原ガスの流れ(120)を少なくとも二つの原ガスの部分流(228)に分割するステップであって、それらの部分流は少なくとも二つの異なる濾過装置(132)に異なる取り込み開口(230)を通して入り、濾過装置は各々の原ガスの部分流(228)から過剰噴霧塗料を分離するための少なくともひとつのフィルタ要素(172)を有する、ステップと、
フィルタ要素(172)によって原ガスの部分流(228)から過剰噴霧塗料を分離するステップと、
複数の異なる濾過装置(132)のフィルタ要素(172)から物質を除去するステップと、
複数の異なる濾過装置(132)から除去された物質を同じ容器(176)に集めるステップと、
複数の異なる濾過装置(132)から除去された物質を容器(176)において攪拌装置(204)によって機械的に混合するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
粒状の濾過助剤が原ガスの部分流(228)に加えられてフィルタ要素(172)の表面に沈着し、複数の異なる濾過装置(132)のフィルタ要素(172)から濾過助剤と過剰噴霧塗料から成る混合物が同じ容器(176)に集められ容器(176)内で攪拌装置(204)によって混合されることを特徴とする請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−514836(P2011−514836A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−547087(P2010−547087)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/000977
【国際公開番号】WO2009/103454
【国際公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(504389784)デュール システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (54)
【Fターム(参考)】