説明

過剰増殖および関連疾患に関連するオンコキナーゼ融合ポリペプチド、これをコードする核酸、ならびにこれを検出する方法および同定する方法

過剰増殖性障害に関連するオンコキナーゼ融合ポリペプチドおよびこのような融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、提供される。融合ポリペプチドは、通常はC末端チロシンキナーゼドメインに融合しないN末端ドメインに融合したC末端チロシンキナーゼドメインを有し、これらは、構成的に活性化されたチロシンキナーゼ活性を保有する。この融合ポリペプチドおよびポリヌクレオチドを検出しそして同定するための方法、ならびにこの融合ポリペプチドおよびポリヌクレオチドに関連する疾患状態を診断する方法もまた、提供される。さらに、このような融合ポリペプチドおよびポリヌクレオチドに関連する疾患状態を処置するために有用な薬剤を同定するためのスクリーニングアッセイが、提供される。その上、この融合ポリペプチドの存在に関連する疾患状態を処置するための方法が、提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、過剰増殖疾患に関連する新規のオンコキナーゼ融合ポリペプチド、およびこのような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドに関する。本発明はまた、このような融合ポリペプチドおよびポリヌクレオチドを同定する方法ならびに特徴付ける方法;このような融合ポリペプチドおよびポリヌクレオチドに関連する疾患状態を診断する方法;ならびにこのような融合ポリペプチドおよびポリヌクレオチドに関連する疾患状態を処置するために有用な薬剤を同定するためのスクリーニングアッセイに関する。
【背景技術】
【0002】
(現行技術)
遺伝子変異の蓄積が、過剰増殖障害(例えば、癌)の発生および進行の根底にあり、その挙動、生化学、遺伝学、および顕微的な外観において正常細胞と異なる細胞を生じる。重要なタンパク質の発現レベルにおける変化を引き起こすか、またはタンパク質の構造および生物学的活性における変化を引き起こす、DNAにおける変異は、癌の中心になると考えられる。例えば、細胞増殖および細胞生存の調節において重要な役割を果たす遺伝子が、その過剰発現および/または活性化を導く変異を受ける場合、癌が誘発され得る。このような「オンコジーン」は、癌において起こる増殖調節不全に関連する。
【0003】
キナーゼおよびホスファターゼは、リン酸化および脱リン酸化に関わる酵素であり、多くの細胞活性(特に、細胞の細胞周期を開始するかまたは他の機能を調節する、細胞膜から核へのシグナル伝達)の調節を助ける。例えば、リン酸化は、増殖因子またはホルモンのような細胞外生物学的シグナルを介してレセプターによって媒介されるシグナル伝達において重要である。多くのオンコジーンは、キナーゼまたはホスファターゼ(すなわち、タンパク質リン酸化反応またはタンパク質脱リン酸化反応を触媒する酵素)である。キナーゼおよびホスファターゼは、リン酸化によってそれ自体が特異的に調節され得る。キナーゼまたはホスファターゼは、1つ以上の異なるキナーゼまたはホスファターゼによってその活性を調節され、特異的なシグナル伝達カスケードを生じ得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
種々の疾患状態に関連する細胞を調節するための方法を理解しそして発見することが長年にわたって必要とされているにも関わらず、シグナル伝達経路の複雑さは、このような調節のための産物およびプロセスの開発の障壁になっている。従って、シグナル伝達および細胞周期調節に関連する遺伝子の活性を検出および調節するための改善された方法、ならびに癌および異常なリン酸化活性(例えば、キナーゼ活性)から生じる関連疾患状態に関連する疾患を処置するための改善された方法が、当該分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
過剰増殖障害に関連するオンコキナーゼ(特にチロシンキナーゼ)融合ポリペプチド、およびこれをコードする核酸が、提供される。本発明の融合ポリペプチドの特徴は、これらが、通常はC末端チロシンキナーゼドメインに融合しないN末端ドメインに融合するC末端チロシンキナーゼドメインを含むことであり、ここで、本発明の融合ポリペプチドは、構成的に活性化されたチロシンキナーゼ活性を有する;すなわち、これらは、外因性の因子(例えば、その触媒活性を発現する増殖因子)の存在を必要としない。本発明の融合ポリペプチドは、少なくとも1つの以下の特徴を含むことによりさらに特徴付けられる:(a)C末端ドメインは、第4染色体チロシンキナーゼ由来であること;(b)N末端ドメインは、第4染色体がコードするタンパク質由来である(例えば、これはNM_030917ドメインである)こと;および(c)融合タンパク質は、転座事象から生じたものではないこと(すなわち、異なった染色体間のDNAの交換によって生じない);特定の実施形態において、これらの3つ全てを含む2つ以上の特徴が、本発明の融合ポリペプチドに存在する。本発明の融合ポリペプチドを同定する方法および特徴付ける方法もまた、提供される。本発明のポリペプチド/ポリヌクレオチドの存在を検出すること、および/または本発明のポリペプチド/ポリヌクレオチドを生じる染色体欠失事象に起因する1つ以上のゲノム配列の欠失を検出することにより、疾患状態を診断する方法もまた、提供される。さらに、本発明の融合ポリペプチドの存在に関連する疾患状態の処置において用途を見出す薬剤を同定するためのスクリーニングアッセイが、提供される。その上、本発明の融合ポリペプチドの存在に関連する疾患状態を処置する方法が、提供される。
【0006】
(発明の詳細な説明)
過剰増殖障害に関連するオンコキナーゼ(特にチロシンキナーゼ)融合ポリペプチド、およびこれをコードする核酸、ならびにこれを検出する方法および同定する方法が、提供される。本発明の融合ポリペプチドの特徴は、これらが、通常はC末端チロシンキナーゼドメインに融合しないN末端ドメインに融合するC末端チロシンキナーゼドメインを含むことであり、ここで、本発明の融合ポリペプチドは、構成的に活性化されたチロシンキナーゼ活性を有する。本発明の融合ポリペプチドは、少なくとも1つの以下の特徴を含むことによりさらに特徴付けられる:(a)C末端ドメインは、第4染色体チロシンキナーゼ由来であること;(b)N末端ドメインは、第4染色体がコードするタンパク質由来である(例えば、NM_030917ドメイン)こと;および(c)融合タンパク質は、転座事象から生じたものではないこと(すなわち、異なった染色体間のDNAの交換によって生じない);特定の実施形態において、これらの3つ全てを含む2つ以上の特徴が、本発明の融合ポリペプチドに存在する。本発明の融合タンパク質を同定する方法および特徴付ける方法もまた、提供される。本発明のポリペプチド/ポリヌクレオチドの存在を検出すること、および/または本発明のポリペプチド/ポリヌクレオチドを生じる染色体欠失事象に起因する1つ以上のゲノム配列の欠失を検出することにより、疾患状態を診断する方法もまた、提供される。さらに、本発明の融合ポリペプチドの存在に関連する疾患状態の処置において用途を見出す薬剤を同定するためのスクリーニングアッセイが、提供される。その上、本発明の融合ポリペプチドの存在に関連する疾患状態を処置する方法が、提供される。
【0007】
本発明をさらに説明する前に、本発明が以下で説明する本発明の特定の実施形態に限定されず、特定の実施形態の変更は、添付の特許請求の範囲内で行われ得ることが、理解されるべきである。使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的で使用され、限定を意図しないこともまた、理解されるべきである。その代わり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって確立される。
【0008】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」および「the」は、明らかにそれ以外を指示する文脈でない限り、複数の言及を包含する。他に定義しない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者に一般に理解される意味と同一の意味を有する。本発明の実施または試験において、本明細書中で記載されるものと類似または等価の全ての方法、デバイスおよび材料が使用され得るが、好ましい方法、デバイスおよび材料を、ここで記載する。
【0009】
値の範囲が提供される場合、各仲介値、明らかにそれ以外を指示する文脈でない限り下限の1/10まで、その範囲の上限と下限との間、および所定の範囲内の任意の他の所定値または仲介値が、本発明に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、独立して小さな範囲に含まれ、そしてまた、本発明の範囲内に含まれ、所定の範囲における限度の任意の特別な除外に従う。所定の範囲が、1つの限度または両方の限度を含む場合、これらの含まれた限度のどちらかまたは両方を除外する範囲がまた、本発明に含まれる。
【0010】
本明細書中で述べられた全ての刊行物は、目下記載されている発明に関して使用され得る刊行物で記載される要素を記載しそして開示する目的で本明細書中で参考として援用される。
【0011】
本発明のさらなる記載において、まず本発明のオンコキナーゼ融合ポリペプチドおよび核酸組成物が、非常に詳細に記載され、次に本発明の抗体、診断、スクリーニングおよび治療物の実施形態がより詳細に総説される。
【0012】
(オンコキナーゼ融合ポリペプチド組成物)
上で要約したように、本発明は、構成的チロシンキナーゼ活性を示すオンコキナーゼ(特にチロシンキナーゼ)融合タンパク質(すなわち、構成的活性キナーゼ融合ポリペプチド)を提供する。構成的に活性なキナーゼ活性とは、Scienceら,(1998)279:577−580に記載のアッセイを用いて決定されるように、細胞内条件下で「常にオンである」キナーゼ活性を意味する。
【0013】
本発明の融合タンパク質の多くの実施形態の特徴は、これらが存在する細胞に対して不死化かつしばしば過剰増殖性の表現型を与えるものである。換言すると、本発明の融合タンパク質を発現する細胞は、不死化かつしばしば過剰増殖性の表現型を有するものである。「不死化」とは、細胞が不死であることを意味し、Lab.Invest.(2002)82:323−333に記載のアッセイを使用して決定される。「過剰増殖性」とは、細胞が通常を上回る速度で分裂することを意味し、Cancer Cell.(2002)1:421−432に記載のアッセイを使用して決定される。
【0014】
本発明の融合タンパク質は、直接または連結ドメインを介して異なったタンパク質由来の(すなわち、C末端チロシンキナーゼを得たタンパク質と同じタンパク質由来ではない)N末端ドメインに融合する、C末端チロシンキナーゼドメインを有することによって特徴付けられる。特定の実施形態において、N末端ドメインのC末端チロシンキナーゼドメインへの融合により、上述のように構成的に活性なキナーゼドメインが生じるかまたは提供される。
【0015】
本発明の融合ポリペプチドのさらなる特徴は、これらが、少なくとも1つの以下の特徴を有することである:
(1)これらが、C末端第4染色体チロシンキナーゼドメイン(すなわち、第4染色体上に見出されるコード配列によってコードされる、第4染色体がコードするチロシンキナーゼ)を有すること;
(2)これらが、第4染色体タンパク質のN末端ドメイン(すなわち、第4染色体上に見出されるコード配列によってコードされる、第4染色体がコードするタンパク質)(例えば、NM_030917)を有すること;および
(3)これらが、異なった染色体間の遺伝情報の交換に関する転座事象から生じないこと。特定の実施形態において、融合ポリペプチドは、上記の特徴の少なくとも2つを含み、そしてこれらの特定の実施形態において、融合ペプチドは、上記の特徴の3つ全てを含む(例えば、C末端ドメインおよびN末端ドメインの両方が、第4染色体がコードするタンパク質に由来する)。
【0016】
第4染色体チロシンキナーゼとは、そのゲノムコード配列がヒト第4染色体に位置する、チロシンキナーゼを意味する。本発明の融合タンパク質の第4染色体チロシンキナーゼドメインは、多くの異なった第4染色体チロシンキナーゼのドメインまたは部分を含み得、ここで、目的の第4染色体キナーゼの代表例としては、以下が挙げられる:PDGFRα、c−KitおよびVEGFR−2。多くの実施形態において、第4染色体チロシンキナーゼは、PDGFRαである。
【0017】
本発明の融合ポリペプチドは、代表的に、第4染色体チロシンキナーゼの一部のみを含み、従って、第4染色体チロシンキナーゼのコード配列全体を含まない。この部分は、代表的に、第4染色体チロシンキナーゼのC末端の部分またはドメインであり、この部分またはドメインは、キナーゼ活性を示す。本発明の融合ポリペプチドに存在する部分またはドメインの長さは、代表的に、この部分の元の全長第4染色体チロシンキナーゼより、少なくとも約30%短く、通常は少なくとも約40%短く、そしてより通常は少なくとも約50%短い(残基数に関して)。多くの実施形態において、本発明の融合ポリペプチドにおいて見出されるC末端第4染色体チロシンキナーゼドメインは、少なくとも約400残基であり、通常は少なくとも約450残基であり、より通常は少なくとも約500残基であり、ここで、このC末端ドメインの長さは、多くの実施形態において代表的に、約400〜約1500残基、通常は約500〜約1200残基、そしてより通常は、約500〜約1000残基である。
【0018】
上で要約したように、本発明の融合ポリペプチドは、本発明の融合タンパク質内に存在する場合にC末端キナーゼドメインの構成的な活性をもたらす、タンパク質のN末端ドメインを含む。従って、N末端ドメインは、キナーゼ活性化ドメインと考えられ得る。多くの実施形態において、N末端ドメインは、第4染色体タンパク質のドメインであり、ここで第4染色体タンパク質は、代表的に、融合タンパク質のC末端が由来する第4染色体チロシンキナーゼに近い範囲内に染色体上で位置する。N末端第4染色体タンパク質は、チロシンキナーゼのゲノムコード配列から離れたそのゲノムコード配列の距離が、代表的に約1000万塩基対を超えず、通常は約500万塩基対を超えず、より通常は300万塩基対を超えない近さに位置する。
【0019】
特定の実施形態において、本発明の融合ポリペプチドのN末端ドメインは、第4染色体タンパク質のドメインまたは一部であり、これは、Genbank登録番号NM_030917の遺伝子によってコードされる(すなわち、「NM_030917タンパク質」である)。幾つかの先行する刊行物において、NM_030917遺伝子は、Genbank登録番号BC017724により識別された。この遺伝子は、近年、Fip1L1と名付けられている(Coolsら,N.Eng.J.Med.(2003)348:1201−1214を参照のこと);そしてまた、Rheとも名付けられている(Griffinら,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA(2003)100:7830−7835を参照のこと)。
【0020】
本発明の融合ポリペプチドは、代表的に、第4染色体活性化部位の一部のみを含み、従って、これらはこのタンパク質のアミノ酸配列全体を含まない。この部分は、代表的にN末端の部分またはドメインであり、融合タンパク質においてC末端キナーゼドメインに融合する場合、融合タンパク質のキナーゼドメインの構成的活性化をもたらす。本発明の融合ポリペプチドに存在するこの部分またはドメインの長さは、代表的に、この部分の元の全長第4染色体タンパク質より、少なくとも約1%短く、通常少なくとも約5%短く、より通常は少なくとも約10%短い(残基数に関して)。多くの実施形態において、本発明の融合ポリペプチドにおいて見出されるN末端第4染色体キナーゼ活性化ドメインは、少なくとも約50残基であり、通常は少なくとも約100残基であり、より通常は少なくとも約200残基であり、ここで、このN末端ドメインの長さは、多くの実施形態において代表的に、約50〜約350残基、通常は約200〜約350残基、そしてより通常は、約300〜約350残基である。
【0021】
本発明の融合タンパク質は、約500〜約2000アミノ酸残基、通常は約700〜1500アミノ酸残基、より通常は約800〜約1200アミノ酸残基の範囲の長さであり、そして本発明のタンパク質の予測される分子量は、単にタンパク質中のアミノ酸残基の数に基づき、約55〜約220kDa、通常は約77〜約165kDa、より通常は約88〜約132kDaの範囲である。本発明の融合タンパク質が改変され得る(例えば、リン酸化され得るかまたは代替の方法で改変される)場合、これらのタンパク質の実際の分子量は、上記の予測分子量より実質的に高くてもよく、代表的に、予測分子量より約1.1〜約2.0倍高い範囲である。
【0022】
特定の実施形態において特に興味深いのは、以下で配列番号01、配列番号02、配列番号03または配列番号04として示す配列と実質的に同じであるかまたは同一であるアミノ酸配列を有する融合タンパク質である。
【0023】
「実質的に同じ」とは、BLAST 2配列比較プログラム(BLAST compare two sequences program)(NCBIウェブサイト(このウェブサイトは、「ncbi.nlm.nih」の前に「www.」を、後ろに「.gov」を置くことにより構成されるアドレスを有する)より入手可能)により初期設定を用いて測定した場合(タンパク質の全長にわたって測定した場合)、前述の配列に対して少なくとも約50%、通常は少なくとも約60%、より通常は少なくとも約75%、多くの実施形態においては少なくとも約80%、通常は少なくとも約90%、より通常は少なくとも約95%、約96%、約97%、約98%または約99%の配列同一性を有するタンパク質を意味する。
【0024】
上述の特定の融合タンパク質に加えて、他の種(すなわち、他の動物種)由来のホモログもしくはタンパク質(またはこれらのフラグメント)もまた提供され、ここで、このようなホモログまたはタンパク質は、種々の異なった型の種由来であり得、通常は哺乳動物(例えば、マウス、ラットのようなげっ歯類;ウマ、ウシ、イヌ、ネコのような家畜(domestic animal);サル、ヒヒ、ヒトのような霊長類など)由来である。上述のように同定した場合、ホモログとは、特定のヒト融合タンパク質に対して少なくとも約35%、通常は少なくとも約40%、より通常は少なくとも約60%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質を意味し、配列同一性は、上述のアルゴリズムを用いて決定される。
【0025】
特定の実施形態において、本発明の融合タンパク質は、天然に存在しない環境に存在する(例えば、その天然に存在する環境から隔離されている)。特定の実施形態において、本発明のタンパク質は、組成物中に存在し、この組成物は、天然に存在する環境における本発明のタンパク質と比較して、本発明のタンパク質について濃縮されている。このように、本発明に従って精製融合タンパク質が提供され、ここで、精製とは、このタンパク質が本発明の非融合タンパク質を実質的に含まない組成物中に存在することを意味し、ここで、実質的に含まないとは、組成物の90%未満、通常は60%未満、より通常は50%未満が、本発明の非融合タンパク質で構成されることを意味する。
【0026】
目的の特定の実施形態において、この融合タンパク質は、その天然に存在する環境に存在する構成成分を実質的に含まない組成物中に存在する。例えば、この実施形態における本発明に従う組成物を含むヒト融合タンパク質は、完全ではない場合は実質的に、これらの他の生物学的構成成分(例えば、その天然の環境に存在するタンパク質、炭水化物、脂質など)を含まない。このように、これらの実施形態のタンパク質組成物は、天然に存在する供給源からタンパク質を精製することによって調製されたタンパク質組成物とは必然的に異なる。ここで、タンパク質の天然に存在する供給源の少なくとも微量の構成物資または他の成分が、天然に存在する供給源から調製された組成物中になお存在する。
【0027】
本発明の融合タンパク質はまた、単離されて存在し得、これは、このタンパク質が、非融合タンパク質および他の天然に存在する生物学的分子(例えば、オリゴ糖類、ポリヌクレオチドおよびそれらのフラグメントなど)を実質的に含まないことを意味する。この場合、実質的に含まないとは、単離された融合タンパク質を含む組成物の約70%未満、通常は60%未満、より通常は50%未満(乾燥重量で)が、非融合タンパク質および天然に存在する生物学的分子であることを意味する。特定の実施形態において、融合タンパク質は、実質的に純粋な形態で存在し、ここで、実質的に純粋な形態とは、少なくとも95%、通常少なくとも97%、より通常は少なくとも99%純粋である。
【0028】
天然に存在するタンパク質に加えて、天然に存在するタンパク質と異なるポリペプチドがまた、提供される。ポリペプチドとは、以下に記載される融合タンパク質コード配列のオープンリーディングフレーム(ORF)によってコードされるアミノ酸配列を有するタンパク質を意味する。これは、全長タンパク質およびそのフラグメント、特に生物学的に活性なフラグメントおよび/または機能ドメインに相当するフラグメントを含み、そして本発明の融合タンパク質のなおさらなるタンパク質またはその一部(例えば、免疫グロブリンドメイン、ペプチド性(peptididic)タグ、;など)への融合体を含む。目的のフラグメントは、代表的に、少なくとも約10aa長であり、通常は少なくとも約50aa長であり、そして300aa長以上であり得るが、通常約1000aa長を超えない。
【0029】
(核酸組成物)
本発明の融合ポリペプチドおよび(上述のように)そのフラグメントなどをコードする核酸組成物もまた、提供される。特に、本発明のポリペプチドおよびそのフラグメントまたはホモログをコードする核酸組成物が、提供される。「核酸組成物」とは、本発明に従い、融合ポリペプチドをコードするヌクレオチド塩基の配列を含む組成物(すなわち、本発明の融合ポリペプチドをコードするmRNAに転写されることが可能なゲノムDNAの領域、本発明の融合タンパク質をコードしその合成に導くmRNA、mRNAの逆転写に由来するcDNAなど)を意味する。特定の目的の核酸としては、本明細書中で配列番号05;配列番号06;配列番号07および配列番号08として同定された核酸が挙げられる。また、この用語には、本明細書中で具体的に開示された核酸(例えば、配列番号05;配列番号06;配列番号07および配列番号08)に相同であるか、実質的に類似するかまたは同一である核酸を包含し、ここで配列類似性は、BRAST機能性比較(National Center for Biotechnologyからオンラインで提供される)を用いて決定される(初期設定を用いる)。
【0030】
上述の核酸に対して(少なくともそのコード領域に関して)相同な核酸もまた、提供される。上に具体的に列挙した相同な核酸の供給源は、任意の哺乳動物種(例えば、霊長類(特にヒト);ラットおよびマウスのようなげっ歯類、イヌ、ネコ、ウシ、ウマなど)ならびに非哺乳動物種(例えば、酵母、線虫など)であり得る。ホモログは、哺乳動物種間(例えば、ヒトとマウスとの間)で、代表的に、ヌクレオチド配列間で実質的な配列類似性(例えば、少なくとも約75%の配列同一性、通常は少なくとも約90%の配列同一性、より通常は少なくとも約95%の配列同一性)を有する。
【0031】
配列類似性は、参考配列に基づいて算出される。この参考配列は、より大きな配列の部分集合(例えば、保存的モチーフ、コード領域、隣接領域など)であり得る。参考配列は、通常少なくとも約18nt長であり、より通常は少なくとも約30nt長であり、比較される完全な配列に達し得る。配列分析のためのアルゴリズムは当該分野で公知である(例えば、Altschulら(1990),J.Mol.Biol.215:403−10に記載されるBLAST)(初期設定(すなわち、パラメーターw=4、パラメーターT=17)を用いる)。他で示されない限り、本明細書中で報告される配列類似性の値は、上に参照されるBLASTプログラムを初期設定を用いて使用して決定されるものである。特定の実施形態において特に興味深いことは、上で同定された特定の核酸と実質的に類似の配列を含む核酸であり、ここで、実質的に類似とは、この配列に対して、少なくとも約90%、通常は少なくとも約95%、より通常は少なくとも約99%同一な配列を有することを意味する。
【0032】
ストリンジェント条件下で上述の核酸にハイブリダイズする核酸もまた、提供される。ストリンジェントハイブリダイゼーション条件の例は、50%ホルムアミド、5×SSC(750mM NaCl、75mM クエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×Denhardt’s溶液、10%硫酸デキストラン、および20μg/ml変性剪断サケ精子DNAの溶液中42℃で一晩のインキュベーションの後、0.1×SSC中約65℃でのフィルターの洗浄である。ストリンジェントハイブリダイゼーション条件は、上の代表的な条件と少なくとも同等にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件である。他のストリンジェントハイブリダイゼーション条件は、当該分野で公知であり、そして本発明のこの特定の実施形態の核酸を同定するために使用され得る。
【0033】
本発明のタンパク質およびポリペプチドをコードする核酸は、cDNAまたはゲノムDNAおよびそれらのフラグメントであり得る。核酸はまた、例えば、本発明のタンパク質およびポリペプチドをコードする(すなわち、これに翻訳される)ゲノムDNAから転写されたmRNAであり得る。本発明のタンパク質をコードする遺伝子もまた提供され、ここで用語「遺伝子」とは、特定のタンパク質またはポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームおよびオープンリーディングフレーム内に存在するイントロン、ならびに隣接する5’および3’の非コードヌクレオチド配列を意味し、この非コードヌクレオチド配列は、発現の制御に関わり(例えば、非翻訳領域、プロモーターまたは他の調節エレメントなど)、コード領域から約20kbまで離れているが、どちらかの方向により遠くてもよい。この遺伝子は、染色体外維持に適切であるかまたは宿主ゲノムへの組み込みに適切なベクターに導入され得る。
【0034】
本明細書中で使用される用語「cDNA」は、ネイティブの成熟mRNAの種類(species)またはその相補配列において見出される配列エレメントの配置を共有する全ての核酸を含むことを意図し、ここで配列エレメントは、少なくともエキソンを含む。通常、mRNAの種類は、介在するイントロン(存在する場合)に隣接するエキソンを有し、このイントロンは、RNAスプライシングにより除去されて、本発明に従うオンコキナーゼ融合タンパク質をコードする連続したオープンリーディングフレームを形成する。
【0035】
目的のゲノム配列は、配列リストにおいて規定されるように、開始コドンと終止コドンとの間に存在する核酸を含み、通常はネイティブな染色体に存在する全てのイントロンを含む。これは、特定の転写調節配列および翻訳調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)をさらに含み、これは約1kb(しかしもっと長くてもよい)の5’末端または3’末端の転写領域のどちらかにおいて隣接ゲノムDNAを含み得る。ゲノムDNAは、100kbp以下のフラグメントとして単離され得る:そして、隣接する染色体配列を、実質的に含まない。3’もしくは5’のどちらかのコード領域に隣接するゲノムDNA、または時々イントロンにおいて見出される内部調節配列は、適切な組織および特定の発現段階に必要とされる配列を含む。
【0036】
本発明の核酸組成物は、上でより詳しく説明したように、本発明のタンパク質およびポリペプチドの全てまたは一部をコードし得る。2本鎖フラグメントまたは1本鎖フラグメントは、従来の方法に従い、オリゴヌクレオチドの化学的な合成、制限酵素消化、PCR増幅などにより、DNA配列から得られ得る。ほとんどの場合、DNAフラグメントは、少なくとも15nt、通常は少なくとも18ntまたは25ntであり、そして少なくとも約50ntであり得る。
【0037】
本発明の核酸は、一般にインタクトな染色体以外として、実質的に純粋に単離され、得られる。通常、DNAは、融合タンパク質配列またはそのフラグメントを含まない他の核酸配列を実質的に含まずに得られ、一般的に少なくとも約50%、通常少なくとも約90%純粋であり、代表的に「組換え体」である(すなわち、天然に存在する染色体において通常関連しない1つ以上のヌクレオチドによって隣接される)。
【0038】
以下の段落でより詳細に説明される多くの使用に加え、上述のように、本核酸組成物は、本発明のポリペプチドの全てまたは一部の調製における使用を見出す。
【0039】
以下でより詳細に記載されるように、上述の核酸配列を含む核酸プローブおよび構築物(例えば、ベクター、発現系など)もまた提供される。本発明のプローブは、一般に、所定の核酸のフラグメントである。プローブは、大きなフラグメントまたは小さなフラグメントであり得、一般に、約10〜100nt、通常は約15〜50ntの長さの範囲である。本プローブを使用して、低ストリンジェンシー条件下のハイブリダイゼーション(例えば、50℃および6×SSC(0.9M塩化ナトリウム/0.09Mクエン酸ナトリウム)(または類似の条件))によって、配列類似性を有する核酸が検出され、そしてより高いストリンジェンシー条件での洗浄(1×SSC(0.15M塩化ナトリウム/0.015Mクエン酸ナトリウム)中55℃(または類似の条件))に供した場合に結合し続ける。配列同一性は、ストリンジェント条件下のハイブリダイゼーション(例えば、50℃以上、0.1×SSC(15mM塩化ナトリウム/0.15mMクエン酸ナトリウム)(または類似の条件))によって決定され得る。所定の核酸配列と実質的に同一な領域を有する核酸は、ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で所定の配列に結合する。プローブ(特にDNA配列の標識プローブ)を用いることにより、相同な配列または関連する配列を単離し得る。
【0040】
本核酸は、任意の簡便なプロトコールを利用して産生され得る。このプロトコールとしては、合成プロトコール(例えば、連続的な単量体アプローチ(例えば、ホスホラミダイト化学を介する)によって核酸が合成されるプロトコール)が挙げられる;ここで、この核酸の部分部位は、合成され、次いで、集合されるかまたはコンカテマー化され、最終的核酸などになる。目的の核酸が天然に存在する配列を有する場合、従来の分子生物学プロトコールを用いて天然の供給源から核酸を回収し、単離し、増幅させるなどし得る。
【0041】
本核酸組成物を含む構築物(例えば、ベクターに挿入された融合タンパク質コード配列を含む構築物)もまた提供され、このような構築物は、多くの異なった適用(以下に詳細に説明するように、例えば、増殖、スクリーニング、ゲノム改変など)において使用され得る。所望の場合、ウイルスベクター配列および非ウイルスベクター配列からなる構築物(プラスミドを含む)を、調製し得、使用し得る。ベクターの選択は、核酸が使用される特定の適用に依存する。特定のベクターは、大量の所望のDNA配列を増幅し、作製するために有用である。他のベクターは、培養物中の細胞における発現(例えば、スクリーニングアッセイにおける使用)のために適する。なお他のベクターは、動物全体における細胞内の送達および発現に適する(例えば、過剰増殖疾患の動物モデルの作製において)。適切なベクターの選択は、当業者の能力の範囲内である。このようなベクターの多くは、市販されている。構築物を調製するために、部分的な核酸または全長核酸を、代表的にベクター内の切断された制限酵素部位へのDNAリガーゼ結合の手段によって、ベクター内に挿入する。あるいは、所望のヌクレオチド配列は、インビボでの相同的組換えによって挿入され得る。代表的に、相同的組換えは、所望のヌクレオチド配列の隣接部位において、相同な領域をベクターに接触させることにより達成される。相同な領域を、例えば、オリゴヌクレオチドのライゲーションによって、または相同な領域と所望のヌクレオチド配列の一部との両方を含むプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応によって付加する。核酸を適切なベクターに挿入するためのなお別の手段は、ますます使用されているリコンビナーゼベースの方法の1つを使用してベクター内の核酸を送達することである(例えば、ClontechからのCreatorTM system;Invitrogenからのthe GatewayTM system)。
【0042】
コード配列を含む発現カセットもまた、提供される。発現カセットとは、プロモーター配列に作動可能に連結した本発明のポリペプチドまたはタンパク質をコードする配列を含む核酸を意味し、ここで、作動可能に連結したとは、コード配列の発現が、プロモーター配列の制御下であることを意味する。
【0043】
(本発明に従うポリペプチドの調製)
本発明の融合タンパク質は、任意の簡便なプロトコールを使用して得られ得る。このように、これらは、天然に存在する供給源から得られ得るか、または組換え的に産生され得る。本発明のタンパク質の天然に存在する供給源としては、組織および部分/画分が挙げられ、細胞、細胞株およびその画分(例えば、抽出物、ホモジネートなど)を含み、これは所望のタンパク質が発現する細胞を含む。
【0044】
本発明のタンパク質はまた、所望の構成的に活性なキナーゼ活性を有する融合タンパク質の発現を提供する様式で翻訳後改変が起こるために十分な条件下で、合成プロトコールから(例えば、上述のポリヌクレオチド組成物のような本発明のタンパク質をコードする組換え体遺伝子の発現によって)得られ得る。発現のために、発現カセットが使用され得る。発現カセットまたはベクターは、誘導性または構成的な転写開始領域および翻訳開始領域を提供し、ここで、コード領域は、翻訳開始領域の転写制御下、翻訳開始領域の翻訳制御下ならびに転写終結領域の転写制御下および翻訳終結領域の翻訳制御下に、作動可能に連結する。これらの制御領域は、本発明の遺伝子に対してネイティブであり得るか、または外来性供給源由来であり得る。
【0045】
発現カセットは、転写開始領域、核酸コード配列またはそのフラグメント、および転写終結領域を含むように作製され得る。特に興味深いことは、機能的エピトープまたはドメインを発現させる配列の使用である。この配列は、通常少なくとも約8アミノ酸長であり、より通常は少なくとも約15アミノ酸長であり、約25アミノ酸まで、およびコード配列の完全なオープンリーディングフレームまでである。DNAの導入後、構築物を含む細胞を、選択的マーカーの手段によって選択し、細胞を増殖した後に、発現のために使用し得る。
【0046】
本発明のタンパク質およびポリぺプチドは、発現の目的に依存して、従来方法に従って原核生物および真核生物において発現され得る。タンパク質の大規模な産生のために、発現宿主細胞として、単細胞生物(例えば、E.coli、B.subtilis、S.cerevisiae)、バキュロウイルスベクターと組み合わせた昆虫細胞、または高等生物の細胞(例えば脊椎動物、特に哺乳動物)(例えば、COS 7細胞)が使用され得る。幾つかの状況において、コードされるタンパク質がネイティブの折りたたみおよび翻訳後改変から恩恵を受ける場合、真核細胞内で遺伝子を発現することが望ましい。低分子ペプチドがまた、研究室において合成され得る。完全な配列の部分集合であるポリペプチドは、タンパク質の部分を同定し、機能に重要なタンパク質の部分を調査するために使用され得る。
【0047】
目的の特異的発現系としては、発現系に由来する細菌、酵母、昆虫細胞および哺乳動物細胞が挙げられる。これらの範疇のそれぞれからの代表的な系を、以下に提供する:
(i)細菌
細菌における発現系としては、
【0048】
【数1】

に記載の発現系が挙げられる。
【0049】
(ii)酵母
酵母における発現系としては、
【0050】
【数2】

に記載の発現系が挙げられる。
【0051】
(iii)昆虫細胞
昆虫における異種遺伝子の発現は、
【0052】
【数3】

に記載のように達成される。多くのバキュロウイルス系統および改変体、ならびに宿主からの対応する許容性昆虫宿主細胞は、
【0053】
【数4】

に記載される。
【0054】
(iv)哺乳動物細胞
哺乳動物発現は、
【0055】
【数5】

に記載のように達成される。哺乳動物発現の他の特徴は、
【0056】
【数6】

に記載のように促進される。
【0057】
上記の任意の宿主細胞または他の適切な宿主細胞もしくは宿主生物が、本発明のポリヌクレオチドまたは核酸を複製し、そしてまたは発現するために使用される場合、生じる複製された核酸、RNA、発現されたタンパク質またはポリペプチドは、宿主細胞または宿主生物の産物として、本発明の範囲内である。
【0058】
一旦、タンパク質の供給源が同定され、そして/または作製されると(例えば、タンパク質を発現するトランスフェクトされた宿主が作製されると)、タンパク質は精製され、組成物を含む所望の融合タンパク質を生成する。任意の簡便なタンパク質精製手順が使用され得、ここで、適切なタンパク質精製方法論は、Guide to Protein Purification,(Deuthser編)(Academic Press,1990)において記載される。例えば、溶解物は、その起源(例えば、本発明の融合タンパク質を発現する天然に存在する細胞もしくは組織または本発明の融合タンパク質を発現する発現宿主)から調製され得、そしてHPLC、排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、アフィニティクロマトグラフィーなどを使用して精製される。
【0059】
(オンコ−チロシンキナーゼ融合タンパク質の同定/特徴づけの方法)
本発明により、サンプル(例えば、細胞、組織または目的の他のサンプル)においてオンコ−チロシンキナーゼ融合タンパク質を同定および特徴付ける方法もまた、提供される。このような方法において、オンコ−チロシンキナーゼ融合タンパク質は、目的のサンプルの第1スクリーニングによって同定され、サンプル中に何らかのオンコ−チロシンキナーゼ融合タンパク質が存在するか否かが決定される。サンプルをスクリーニングするために、チロシン−リン酸化タンパク質が、代表的にこのサンプルの残りの構成成分から最初に分離され、サンプル誘導化チロシンリン酸化タンパク質の集団を生成する。同サンプルにおける残りの構成成分からのチロシン−キナーゼ融合タンパク質の分離または単離は、任意の簡便なプロトコール(例えば、抗ホスホチロシン抗体を用いた免疫沈降)を用いて達成され得る。次に、得られたサンプル誘導化チロシンリン酸化タンパク質の集団の構成メンバーを、2つ以上の異なったタンパク質由来のドメインの存在について評価する。言い換えれば、単離されたチロシンリン酸化タンパク質の集団における1つ以上の異なったタンパク質が評価され、これが2つ以上の異なったタンパク質由来のドメインを含むか否かを決定される。この評価工程は、任意の簡便なプロトコールを用いて達成され得る。1つの代表的な実施形態において、チロシンリン酸化タンパク質の集団は、SDS−PAGE、2次元IE/PAGE、高性能液体クロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動などを用いて、分離されるか、またはその構成タンパク質に分画される。次に、構成タンパク質は、例えばトリプシンのようなエンドプロテイナーゼを用いたタンパク質溶解に供することにより、小さなサイズのペプチドに切断される。次いで、生じたペプチドは、例えばミクロボア(microbore)キャピラリー電気泳動、高性能液体クロマトグラフィー、または質量分析を用いて分離または分画される。次いで、単離したかまたは分画した、生じたペプチドを、例えば、自動化Edman分解または質量分析を用いて配列決定する。次いで、生じた配列を、観察されたペプチドの配列と公知のペプチド配列またはサンプルが得られた生物において発現されるタンパク質から予測されたペプチド配列とで比較する。次に、構成タンパク質が2つの異なったタンパク質由来のタンパク質溶解ペプチド(例えば、遺伝子NM_030917によってコードされるタンパク質のN末端ドメイン由来のペプチドおよびPDGFRαのC末端ドメイン由来のペプチド)を提供するように、決定を行う。この様式において、オンコ−チロシンキナーゼ融合タンパク質について目的のサンプルをスクリーニングする。
【0060】
任意の同定されたオンコ−チロシンキナーゼ融合タンパク質は、さらに特徴付けられ、以下の1つ以上を同定する:(a)全長アミノ酸配列;(b)コードする核酸(例えば、融合タンパク質をコードするmRNA)の配列;(c)融合タンパク質をコードする遺伝子またはゲノムDNAの配列など。例えば、同定された融合タンパク質の観察されたペプチド配列を使用し、融合タンパク質をコードするmRNAの全てまたは一部(例えば、融合タンパク質結合部を含むmRNAの領域)の増幅を可能にするPCRプライマーを設計し得る。生じた、融合タンパク質の全てまたは一部をコードする増幅されたcDNAを、直接配列決定し得るか、または最初にクローン化され得、そして融合タンパク質の全てまたは一部をコードするクローン化cDNAの配列は、例えば自動化ジデオキシDNA配列決定法を用いて決定され得る。生じた配列を使用してcDNA配列を決定し、融合タンパク質内の融合結合部を含む新規のタンパク質溶解ペプチドの配列を予測し得る。次いで、融合結合部を含む新規のタンパク質溶解ペプチドの存在を、例えば質量分析または自動化Edaman分解によって決定し得る。決定されたcDNA配列はまた、融合結合部を含むゲノムDNAの増幅のためのプライマーを設計するために使用され得る。次いで、例えば自動化ジデオキシDNA配列決定を使用して、融合結合部を有する生じた増幅したゲノムDNA配列を、直接配列決定し得るかまたは最初にクローン化し、そしてクローン化したゲノムDNAの配列を決定し得る。この方法で、同定された融合タンパク質を、さらに特徴付ける。
【0061】
(抗体)
本発明の融合タンパク質およびそのホモログに結合する抗体もまた、提供される。適切な抗体は、宿主動物をこの融合タンパク質の全てまたは一部を含むペプチドで免疫化することにより、得られる。適切な宿主動物としては、ラット、ヒツジ、ヤギ、ハムスター、ウサギなどが挙げられる。タンパク質免疫原の起源は、マウス、ラット、サルなどであり得るが、多くの実施形態において、ヒトである。宿主動物は、一般に、免疫原と異なった種である(例えば、ウサギを免疫化するためにヒトタンパク質を用いるなど)。
【0062】
免疫原としては、完全なタンパク質またはそのフラグメントもしくは誘導体が挙げられ得る:例えば、N末端ドメインとC末端ドメインとの融合の部位で見出される独自の配列を含むフラグメント。特定の実施形態において使用される免疫原は、本発明の融合タンパク質の全てまたは一部を含み、これらの残基は、ネイティブの標的タンパク質に見出される任意の翻訳後修飾(例えば、グリコシル化)を含む。この融合タンパク質を含む免疫原は、当該分野で公知の種々の方法(例えば、従来の組換え方法を用いたクローン化した遺伝子の発現、HECからの単離など)で生成される。
【0063】
ポリクローナル抗体の調製について、第1の工程は、標的タンパク質による宿主動物の免疫化であり、ここで、この標的タンパク質は、好ましくは、実質的に純粋な形態であり、約1%未満の夾雑物を含む。免疫原としては、完全な標的タンパク質、そのフラグメントまたはその誘導体が挙げられ得る。宿主動物の免疫応答を増大するため、標的タンパク質を、アジュバントと混合し得る。ここで、適切なアジュバントとしては、ミョウバン、デキストラン、硫酸塩、大型のポリマーアニオン、油および水のエマルジョン(例えば、Freundアジュバント、Freund完全アジュバントなど)が挙げられる。標的タンパク質はまた、合成キャリアタンパク質または合成抗原と結合され得る。種々の宿主は、免疫化されてポリクローナル抗体を産生し得る。このような宿主としては、ウサギ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギなどが挙げられる。標的タンパク質は、通常、最初の投薬量で宿主に皮内に投与され、続いて1回以上(通常少なくとも2回)のさらなるブースター量で投与される。免疫化後、宿主からの血液を収集し、その後、血球から血清を分離する。生じた抗血清中に存在するIgは、公知の方法(例えば、アンモニウム塩分画、DEAEクロマトグラフィーなど)を用いてさらに分画され得る。
【0064】
本発明のモノクローナル抗体が、従来の技術によって産生され得る。一般に、免疫化宿主動物の脾臓および/またはリンパ節はプラズマ細胞の供給源を提供する。プラズマ細胞は、骨髄腫細胞との融合によって不死化され、ハイブリドーマ細胞を産生する。個々のハイブリドーマからの培養上清を、標準技術を用いてスクリーニングし、所望の特異性を有する抗体を産生するハイブリドーマを同定する。ヒトタンパク質に対するモノクローナル抗体の産生に適切な動物としては、マウス、ラット、ハムスターなどが挙げられる。ヒトタンパク質に対して抗体を惹起させるため、動物は、通常、ハムスター、モルモット、ウサギなどである。抗体は、従来技術(例えば、不溶支持体に結合するMPTS(プロテインAセファロースなど)を使用するアフィニティクロマトグラフィー)によってハイブリドーマ細胞上清または腹水から精製され得る。
【0065】
抗体は、通常のマルチマー構造でなく一本鎖として産生され得る。一本鎖抗体は、Jostら(1994)J.Biol.Chem.269:26267−73などに記載される。重鎖の可変領域および軽鎖の可変領域をコードするDNA配列は、少なくとも約4アミノ酸の低分子中性アミノ酸(グリシンおよび/またはセリンが挙げられる)をコードするスペーサーに結合する。この融合によってコードされるタンパク質は、元の抗体に対する特異性およびアフィニティを維持する機能的可変領域のアセンブリを可能にする。
【0066】
(診断適用)
融合タンパク質活性(またはその非存在にさえ)関連する疾患状態(例えば、下記に列挙される疾患状態)を、例えば、目的の生物学的サンプル中の融合タンパク質レベルまたは遺伝子/コード配列の存在および/もしくは発現レベルを検出/観察することに基づいて、診断する方法、ならびに/あるいは目的のサンプル中の1つ以上の核酸(好ましくはゲノム)配列の欠失を検出する方法もまた、提供され、この欠失は、本ポリペプチド/ポリヌクレオチドを生じる染色体欠失事象から生じる。
【0067】
本明細書中で使用されるサンプルとしては、生物学的流体(例えば、血液、脳脊髄液、涙、唾液、リンパ液、透析液など);器官もしくは組織培養物に由来する流体;および生理学的組織から抽出された流体が挙げられる。この用語中には、そのような流体の誘導体および画分もまた包含される。サンプルはまた、細胞も包含し得、この細胞は、単独であり得るか、または固体組織の場合には解離される必要があり得る。あるいは、組織切片が、分析され得るか、または細胞溶解物が、調製され得る。
【0068】
複数の方法が、特定のサンプル中の遺伝子またはタンパク質の存在および/または発現レベルを決定するために利用可能である。例えば、診断は、患者サンプル中の融合タンパク質の非存在もしくは存在または変化した量を決定するための複数の方法によって、実施され得る。例えば、検出は、標識抗体で細胞または組織学的切片の染色を利用し得、これは、従来の方法に従って実施され得る。細胞は、細胞内分子を染色するために透過性処理される。目的の抗体が、細胞サンプルに添加され、そしてエピトープに結合するために十分な時間(通常は少なくとも約10分間)、インキュベートされる。この抗体は、直接検出のための放射性同位体、酵素、発蛍光団、化学発光団、または他の標識で標識され得る。あるいは、第2段階の抗体または試薬が、シグナルを増幅するために使用される。そのような試薬は、当該分野で周知である。例えば、一次抗体が、ビオチンに結合体化され得、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体化アビジンが、第2段階試薬として添加される。最終検出は、このペルオキシダーゼの存在下において色が変化する基質を使用する。あるいは、この二次抗体は、蛍光化合物(例えば、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッドなど)に結合体化される。抗体結合の非存在または存在は、種々の方法(解離した細胞のフローサイトメトリー、顕微鏡法、ラジオグラフィー、シンチレーション計数などが挙げられる)によって、決定され得る。
【0069】
あるいは、融合タンパク質をコードする遺伝子の存在および/または融合タンパク質の発現に重点を置き得る。複数の方法が、特定の配列(例えば、本融合タンパク質のコード配列)の存在について核酸を分析するために利用可能である。多量のDNAが利用可能である場合、ゲノムDNAが直接使用される。あるいは、目的の領域は、適切なベクター中にクローニングされ、そして分析のために十分な量で増殖される。上記融合タンパク質を発現する細胞は、mRNAの供給源として使用され得、このmRNAは、直接アッセイされ得るか、または分析のためにcDNAへと逆転写され得る。この核酸は、分析のために十分な量を提供するために、従来技術(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))によって増幅され得る。ポリメラーゼ連鎖反応の使用は、Saikiら(1985)Science 239:487に記載され、そして技術の概説は、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,CSH Press 1989,pp.14.2〜14.33において見出され得る。あるいは、多型を検出する手段としてオリゴヌクレオチドライゲーションを使用する種々の方法が、当該分野で公知である。例えば、Rileyら(1990)Nucl.Acids Res.18:2887〜2890;およびDelahuntyら(1996)Am.J.Hum.Genet.58:1239〜1246を参照する。
【0070】
検出可能な標識が、増幅反応に含まれ得る。適切な標識としては、発蛍光団(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、テキサスレッド、フィコエリトリン、アロフィコシアニン、6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)、2’、7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(JOE)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシ−2’,4’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、5−カルボキシフルオレセイン(5−FAM)またはN,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA))、放射性標識(例えば32P、35S、Hなど)が挙げられる。この標識は、2段階システムであり得、増幅されたDNAは、高い親和性結合パートナー(例えば、アビジン、特異的抗体など)を有するビオチン、ハプテンなどに結合体化され、この結合パートナーは、検出可能な標識に結合体化される。この標識は、プライマーのうちの一方または両方に結合体化され得る。あるいは、増幅において使用されるヌクレオチドのプールが、標識を増幅産物中に組み込むために標識される。
【0071】
サンプル核酸(例えば、増幅されたフラグメントまたはクローン化フラグメント)が、本明細書中に提供される具体的に提供される「野生型」配列からの変化形について、当該分野で公知の複数の方法のうちの1つによって分析され得る。この核酸は、ジデオキシ方法または他の方法によって配列決定され得、そして塩基配列が、野生型配列と比較される。改変体配列とのハイブリダイゼーションはまた、サザンブロット、ドットブロットなどによって、その存在を決定するために使用され得る。米国特許第5,445,934号またはWO 95/35505に記載されるような、固体支持体上に固定されたオリゴヌクレオチドプローブのアレイに対するコントロール配列および改変体配列のハイブリダイゼーションパターンもまた、改変体配列の存在を検出する手段として使用され得る。一本鎖コンフォメーション多型(SSCP)分析、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、およびゲルマトリックス中のヘテロ二重鎖分析が、DNA配列変化により生じるコンフォメーション変化を電気泳動移動度の変化として検出するために使用される。あるいは、多型が制限エンドヌクレアーゼ認識部位を生成するかまたは破壊する場合、サンプルが、そのエンドヌクレアーゼを用いて消化され、そしてその産物サイズは、そのフラグメントが消化されたか否か決定するために分画される。分画は、ゲル電気泳動またはキャピラリー電気泳動(特に、アクリルアミドゲルまたはアガロースゲル)によって実施される。
【0072】
改変体または変異体についてのスクリーニングは、タンパク質の機能的特徴または抗原性特徴に基き得る。タンパク質短縮アッセイが、タンパク質の生物学的活性に影響を与え得る欠失を検出する際に有用である。タンパク質中の多型を検出するために設計された種々のイムノアッセイが、スクリーニングにおいて使用され得る。複数の多岐にわたる遺伝子変異が特定の疾患表現型をもたらす場合、機能的タンパク質アッセイは、有効なスクリーニングツールであることが、証明された。コードされたタンパク質の活性(例えば、キナーゼ機能)は、野生型タンパク質との比較によって、決定され得る。
【0073】
発現レベルが興味の対象となる本発明の診断方法は、代表的には、目的のサンプルの核酸量をコントロールの値と比較してあらゆる相対的差異を決定することを包含し、この差異は、定性的および/または定量的に測定され得、その後、この差異は、異常な発現パターンの存在または非存在に関連付けられる。サンプル中の核酸量を決定するための種々の異なる方法が、当業者にとって公知であり、これらの方法において、目的とする特定の方法としては、Pietuら、Genome Res.(June 1996)6:492−503;Zhaoら、Gene(April 24,1995)156:207〜213;Soares,Curr.Opin.Biotechnol.(October 1997)8:542〜546;Raval,J.Pharmacol Toxicol Methods(November 1994)32:125〜127;Chalifourら、Anal.Biochem(February 1,1994)216:299−304;StolzおよびTuan,Mol.Biotechnol.(December 1996 6:225〜230;Hongら、Bioscience Reports(1982)2:907;ならびにMcGraw,Anal.Biochem.(1984)143:298に記載される方法が挙げられる。また、興味の対象となるのは、WO97/27317に開示される方法であり、このWO97/27317の開示は、参考として本明細書中に援用される。
【0074】
特定の実施形態において、診断適用は、融合タンパク質特徴付け工程をさらに包含し得、この工程において、目的とする融合タンパク質の存在が見出される。例えば、当業者は、融合タンパク質の特定の融合点をさらに特徴付け得、その特定の融合点の知見は、例えば、下記に記載されるような、合理的処置プロトコルを開発する際に、有用である。当業者はまた、その融合タンパク質が企図される特定のあらゆる治療剤に対して抵抗性であるか否かを決定するために、その融合タンパク質をさらに特徴付け得る。例えば、その融合タンパク質は、特定の薬剤に対する抵抗性を付与する「野生型」配列と比較して、変異または変動を含み得る。そのような変異または変化の具体的な代表的実施形態は、下記の実験の節においてより詳細に記載されるような、NM_030917−PDGFRα融合タンパク質中のT674I変異である。
【0075】
特定の実施形態において、上記のように、本融合タンパク質および/またはその融合タンパク質をコードする核酸の存在を検出することに代わり(またはそれに加えて)、1種以上の核酸(例えば、ゲノム配列)の非存在が検出され、その1種以上の核酸の非存在は、本融合タンパク質の存在を生じる染色体欠失事象が原因で生じ、従って、本融合タンパク質の存在を決定するために使用され得る。
【0076】
具体的には、本発明の本融合キナーゼは、染色体欠失事象から生じるので、当業者は、NM_030917とPDGFRαとの間に位置するが染色体欠失事象が生じた場合には存在しない、1つ以上の特定の遺伝子座の存在について、スクリーニングまたはアッセイすることによって本融合キナーゼの存在を決定し得る。本方法のこれらの実施形態においてアッセイされ得る代表的ゲノム配列としては、NM_030917とPDGFRαとの間に位置する遺伝子中で見出される配列(遺伝子LNX、RPL21、CHIC2、MORF4またはGSH2など)が挙げられる。あるいは、当業者はまた、遺伝子をコードしない4q12にある配列についてアッセイし得、その配列は、4q12に特異的である。なお他の実施形態において、当業者は、NM_030917のまさに3’末端またはPDGFRαの5’末端にある配列(PDGFRαの細胞外ドメインをコードする配列を含むが、PDGFRαの膜貫通ドメインをコードする配列も細胞内ドメインもコードする配列も含まない)についてスクリーニングし得る。
【0077】
これらの実施形態において、上記のような標的配列の存在または非存在は、従来の任意のプロトコルを使用してアッセイされ得る。例えば、特定の遺伝子座の検出は、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)を使用することによって、達成され得る。この技術において、蛍光標識されたオリゴヌクレオチドが、個々の染色体上のその相補配列と(その相補配列が存在する場合には)ハイブリダイズするプローブとして使用され、そのハイブリダイゼーションは、その後、蛍光顕微鏡法によって検出され得る。この状況において、4q12遺伝子座が各細胞の遺伝物質中に2回存在することを考慮すると、その領域に由来するプローブのハイブリダイゼーションは、2つの別個のハイブリダイゼーション事象を生じ、従って、染色体欠失が生じなかった場合には、正常な核1つ当たり2つの蛍光シグナルを生じる。使用され得る代表的なプローブとしては、(a)NM_030917とPDGFRαとの間に位置する遺伝子(例えば、遺伝子LNX、RPL21、CHIC2、MORF4またはGSH2)に由来するプローブ;(b)遺伝子をコードしない4q12にある配列に由来するプローブ;および(c)NM_030917のまさに3’末端またはPDGFRαの5’末端にある配列(PDGFRαの細胞外ドメインをコードする配列を含む)に由来するプローブが挙げられるが、これらに限定されない。4q12遺伝子座において欠失が生じた場合、核1つ当たり唯一のハイブリダイゼーションシグナルが検出される。患者の骨髄または末梢血に由来する有意な数(例えば、少なくとも約100個、例えば、約200個以上)の造血細胞中の1つの核について唯一のハイブリダイゼーションシグナルの存在は、融合遺伝子の形成をもたらし得た欠失を強く示し、従って、診断マーカーとして使用され得る。
【0078】
(スクリーニングアッセイ)
本発明によってまた提供されるのは、本融合タンパク質の活性を調節(例えば、阻害または増強)する薬剤を同定するためのスクリーニングプロトコルおよびアッセイである。従って、このスクリーニングアッセイは、本融合タンパク質のキナーゼ活性を調節(例えば、阻害または増強)する薬剤の同定を提供するアッセイである。
【0079】
このスクリーニング方法は、代表的には、融合タンパク質キナーゼ活性の(例えば、融合タンパク質がドナーからアクセプターへのホスホリル基の転移を触媒する能力の)定性的測定/定量的測定を提供するアッセイであり得る。例えば、このアッセイは、候補インヒビター薬剤の存在下および非存在下で本発明の融合タンパク質のキナーゼ活性を測定するアッセイであり得る。このスクリーニング方法は、インビトロ形式またはインビボ形式であり得、両方の形式は、当業者によって容易に発展される。換言すると、このようなアッセイは、哺乳動物細胞、非哺乳動物細胞、酵母、細菌などにおいて、インビボまたはインビトロで実施され得る。
【0080】
(A.融合タンパク質機能のインビトロモデル)
融合タンパク質機能のインビトロモデルが、提供される。このインビトロモデルは、無細胞モデルであっても、細胞を使用してもよい。特に興味深いのは、融合タンパク質キナーゼ活性のモデルである。
【0081】
無細胞モデルは、代表的には、融合タンパク質ポリペプチド、および候補調節薬剤(例えば、コンペティター薬剤/コンペティター分子またはインヒビター薬剤/インヒビター分子)を含み、このモデルは、代表的には、アクセプター分子へと転移されるべきホスホリル基(代表的には、ATP)を含むドナー分子、およびそのドナーによって転移されるホルホリル基を受容するアクセプター分子のうちの少なくとも一方をさらに含む。
【0082】
上記コンペティターは、融合タンパク質を特異的に阻害する能力を有する化合物であるかまたはその化合物であると推定される、任意の化合物であり得る。特定のモデルに依存して、上記の特定の成分のうちの1つ以上(通常は1つ)が、標識され得る。ここで、標識によって、その成分は、検出可能な部分(例えば、蛍光タグもしくは放射性タグ)またはシグナル生成系のメンバー(例えば、酵素が基質を発色生成物へと転換可能である酵素−ストレプトアビジン結合体に対する結合のためのビオチン)を含むことが、意味される。
【0083】
上記の無細胞インビトロモデルは、複数の異なる様式で設計され得、当該分野で公知であるような、種々のアッセイ構成およびプロトコルが、使用され得る。例えば、上記の成分のうちの1つは、固体支持体に結合され得、残りの成分は、その支持体に結合した成分と接触され得る。この方法の上記の成分は、実質的に同時にかまたは異なる時間に合わされ得る。例えば、可溶性融合タンパク質とコンペティターリガンドとが、まず合わされ得、その後、生じた混合物が、結合したアクセプター分子と合わされ得る。上記の接触工程の後、本方法は、一般的には、未結合成分を除去するための洗浄工程をさらに包含するが、かならずしもその必要はない。そのような洗浄工程は、一般的には、検出の間にバックグラウンドシグナルを生じる標識(例えば、放射性標識または蛍光標識された、非特異的結合成分)を除去する必要がある場合に、使用される。この必要に応じた洗浄工程の後、結合した融合タンパク質の存在が、検出される。
【0084】
代替的なインビトロモデルにおいて、上記の成分は、あらゆるインヒビターが存在しない場合に融合タンパク質がキナーゼ活性を示す無細胞環境中に、存在し得る。その後、このキナーゼ活性は、候補調節薬剤の存在下および非存在下でモニターされる。キナーゼ活性は、従来の任意のアッセイ(例えば、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA(2002)97:2419〜2424に記載されるキナーゼ活性アッセイ)を使用して、決定され得る。
【0085】
また興味の対象となるのは、細胞が使用されるインビトロモデルである。本明細書中に記載される目的のために当業者によって容易に適合され得る細胞含有インビトロアッセイが、複数存在する。例えば、インヒビターまたは本オンコキナーゼ融合ポリペプチドの活性は、オンコジーンを発現する細胞を使用して、生化学的に評価され得る。これらの細胞は、癌細胞株であり得るか、またはこれらの細胞は、融合キナーゼcDNAのトランスフェクションから生じた細胞株であり得る。その構成的活性の反映として、融合キナーゼポリペプチドは、自己リン酸化する。細胞がインヒビターとともにインキュベートされる場合、キナーゼ阻害のレベルは、融合ポリペプチドを免疫沈降すること、その後、ブロッティング抗体がホスホチロシン残基について選択的であるウェスタンブロット分析を実施することによって、評価され得る。キナーゼ阻害のレベルは、融合キナーゼポリペプチドのチロシンリン酸化の減少において反映される。
【0086】
別の実施形態において、インヒビターによるこの融合キナーゼポリペプチドの阻害は、個々の原発性癌細胞中、および融合キナーゼポリペプチドcDNAのトランスフェクションから誘導された癌細胞株または適切な細胞株中で、細胞応答をもたらす。この細胞応答としては、減少した増殖、分化、またはアポトーシスが挙げられ得る。増殖の阻害は、複数のアッセイ(単純な細胞計数、およびDNA中へのBrdU組み込みとその後のELISAが挙げられる)によって評価され得る。アポトーシスの誘導は、フローサイトメトリーを使用するアネキシン染色、ミトコンドリアの機能的完全性についてのアッセイ(MTTアッセイ)、およびカスパーゼ活性化またはDNA断片化をモニターするためのアッセイによって、評価され得る。
【0087】
(B.融合タンパク質機能のインビボモデル)
融合タンパク質機能の種々の異なるインビボモデルがまた、本発明により提供され、これは、本発明のスクリーニングアッセイに用いられ得る。目的のインビボモデルは、目的の融合タンパク質をコードする発現カセットを含む遺伝子操作した細胞を含む。多細胞インビボモデル(例えば、以下に記載するトランスジェニック動物)もまた、本発明のスクリーニングアッセイの目的である。
【0088】
本発明の核酸を用いて、細胞株において、トランスジェニック、非ヒト動物または部位特異的遺伝子改変を作製し得る。トランスジェニック動物は、相同組換えにより作製され得、ここで、正常な遺伝子座が変更される。あるいは、核酸構築物がゲノムにランダムに挿入される。適切な挿入のためのベクターとしては、プラスミド、レトロウイルスおよび他の動物ウイルス、YACなどが挙げられる。
【0089】
改変した細胞または動物は、融合タンパク質の機能および制御の研究に有用である。目的の特定の構築物は、発現、ドミナントネガティブな変異の発現、および、融合タンパク質遺伝子の過剰発現をブロックする、アンチセンスを含む。配列が導入される場所では、導入された配列は、宿主動物に対して外因性である遺伝子の完全配列または部分配列(例えば、ヒト配列)のいずれかであり得る。検出可能なマーカー(例えば、LacZ)は、発現のアップレギュレーションが表現型において容易に検出される変化を生じる遺伝子座に導入され得る。
【0090】
また、細胞または組織に、遺伝子またはその改変体の、このような細胞または組織において通常は存在しないレベルでの発現、または、異常な発生回数での発現を提供し得、ここで、この遺伝子またはその改変体は、通常は発現されない(例えば、哺乳動物、非哺乳動物、酵母、細菌などの細胞)。相同組換えのためのDNA構築物は、宿主動物の種に対してネイティブな遺伝子の少なくとも部分を含み、ここで、この遺伝子は、所望の遺伝的改変を有し、そして、標的遺伝子座に対する相同性領域を含む。ランダム挿入のためのDNA構築物は、組換えを媒介するための相同性領域を含む必要はない。都合よく、ポジティブ選択およびネガティブ選択のためのマーカーが含まれる。相同組換えにより標的化された遺伝子改変を有する細胞を作製する方法は、当該分野で公知である。哺乳動物細胞をトランスフェクトするための種々の技術については、Keownら(1990),Meth.Enzymol.185:527−537を参照のこと。
【0091】
胚性幹(ES)細胞について、ES細胞株が用いられ得るか、または、胚細胞は、宿主(例えば、マウス、ラット、モルモットなど)から新たに取得され得る。このような細胞は、適切な線維芽細胞−フィーダー層上にて増殖させられるか、または、白血病抑制薬剤(LIF)の存在下で増殖させられる。ES細胞または胚細胞が形質転換されている場合、これらを用いて、トランスジェニック動物を産生し得る。トランスフォーメーション後、細胞は適切な培地中で、フィーダー層上に播種される。構築物を含む細胞は、選択培地を用いて、検出され得る。十分な時間コロニーを増殖させた後、これらがピックアップされ、相同組換えまたは構築物の挿入の存在について分析される。次いで、ポジティブなこれらのコロニーは、胚操作および胚盤胞注入のために用いられ得る。胚盤胞は、4〜6週齢の過排卵処置した雌から得られる。ES細胞はトリプシン処理され、改変した細胞が、胚盤胞の胞胚腔に注入される。注入後、胚盤胞は、偽妊娠の雌の各子宮角に戻される。次いで、雌を出産させ、得られた子孫を、構築物についてスクリーニングした。異なる表現型の胚盤胞および遺伝的に改変された細胞を提供することにより、キメラの子孫が容易に検出され得る。
【0092】
キメラ動物は、改変された遺伝子の存在についてスクリーニングされ、改変を有する雄および雌を交配させて、ホモ接合性の子孫を産生する。遺伝子の変更が、発生のある点において致死を生じる場合、組織または器官は、異種遺伝子または類遺伝子性の移植片もしくは移植組織、または、インビトロ培養物として維持され得る。トランスジェニック動物は、任意の非ヒト哺乳動物(例えば、実験動物、家畜動物など)であり得る。トランスジェニック動物は、例えば、候補薬物の融合タンパク質活性に対する効果を決定するために、機能研究、薬物スクリーニングなどに用いられ得る。
【0093】
過増殖細胞および細胞株の免疫無防備状態の宿主動物(例えば、マウス)への異種移植(ここで、細胞(例えば、腫瘍)の増殖が、スクリーニングされる候補薬剤による、融合タンパク質の阻害の読出し(readout)として同定される)に関するアッセイもまた、目的である。
【0094】
固形腫瘍についての代表的なインビボ癌モデルは、一片の原発性のヒト腫瘍、または、より頻繁には、ヒト腫瘍細胞株由来の細胞の、ヌードマウス、SCIDマウスまたはNOD/SCIDマウスのような免疫無防備状態のマウスへの移植を含む。ヒト腫瘍細胞は、皮下または標的器官内のいずれかで移植する。移植が皮下で行われる場合、腫瘍の増殖がサイズに基づいて追跡および記録され得る。抗癌化合物の活性を示すために、移植されたマウスは、この化合物で処置され、腫瘍サイズの減少が記録され、そして/または、マウスの生存の延長が追跡される。
【0095】
流体または液体の腫瘍(例えば、白血病)についての目的のアッセイとしては、以下が挙げられる:
1)液体腫瘍細胞株の、免疫無防備状態の宿主動物(例えば、NOD/SCIDマウス)への皮下注射。液体腫瘍であるが、腫瘍細胞は、免疫無防備状態の宿主において、皮下に固形腫瘍を形成し得る。一旦固形腫瘍が一定のサイズに達すると、候補薬剤の投与を開始し、候補薬剤の活性が、腫瘍サイズの減少および生存において測定される。
【0096】
2)融合キナーゼを発現する細胞株(例えば、BaF3ベース)の、宿主動物(例えば、適切な同系マウス(Balb c)の尾静脈)への注射。注射された細胞は、動物の血中で増殖し、脾臓に蓄積し、最終的には、器官の損傷により宿主動物を殺傷する。所定の候補薬剤の投与後の、脾臓の重量および生存時間は、癌に影響を与える治療の成功についての指標として機能する。
【0097】
3)変異体キナーゼの発現を生じる、レトロウイルスを用いた、骨髄幹細胞の形質導入。造血幹細胞における変異体キナーゼの発現の結果として、細胞は、無秩序な様式で増殖し、最終的には、それが存在している、宿主動物(例えば、マウス)を殺傷する。形質導入された活性化キナーゼを阻害し、宿主動物の生存を延長する候補薬剤は、標的融合オンコキナーゼポリペプチドに対する活性を示すものである。
【0098】
形式がインビボであれ、インビトロであれ、用いられるモデルは、候補薬剤と組み合せられ、候補薬剤のモデルに対する効果が観察され、そして、試験される薬剤の調節活性に関連付けられる。例えば、抑制性薬剤のスクリーニングについて、モデルは、候補薬剤の不在下においてキナーゼ活性が観察される環境にて、候補薬剤と組み合せられる。水性培地中で種々の必要とされる成分を合わせることによって、条件がインビトロで設定され得るか、または、アッセイは、インビボなどで実施され得る。
【0099】
種々の異なる候補薬剤が、上記の方法によりスクリーニングされ得る。候補薬剤は、多数の化学分類を包含するが、代表的には、これらは、有機分子であり、好ましくは、50ダルトンより多く、約2,500ダルトンより少ない分子量を有する低分子有機化合物である。候補薬剤は、タンパク質との構造相互作用(特に、水素結合)に必須の官能基を含み、代表的には、少なくとも1つのアミン基、カルボニル基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を含み、好ましくは、少なくとも2つの官能化学基を含む。候補薬剤はしばしば、1つ以上の上記の官能基で置換された、環状炭素もしくは複素環状構造および/またはっ芳香族もしくはポリ芳香族構造を含む。候補薬剤の好ましい分類としては、融合タンパク質により触媒される、ホスホリル転位反応のための補基質であるATPを模倣するものが挙げられる。候補薬剤はまた、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造的アナログまたはこれらの組み合わせを含む、生体分子の中から見出される。
【0100】
候補薬剤は、合成または天然の化合物のライブラリーを含む、広範種々の供給源から入手される。例えば、多数の手段が、広範種々の有機化合物および生体分子のランダム合成および指向性合成(ランダム化されたオリゴヌクレオチドおよびオリゴペプチドの発現を含む)のために、利用可能である。あるいは、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形の天然化合物のライブラリーが、利用可能であるか、または、容易に産生される。さらに、天然または合成的に産生されたライブラリーおよび化合物は、従来の化学的手段、物理的手段および生化学的手段により容易に改変され、そして、コンビナトリアルライブラリーを産生するのに使用され得る。公知の薬理学的薬剤が、指向されたか、またはランダムな化学改変(例えば、アクリル化、アルキル化、エステル化、アミド化など)に供され、構造アナログを生じ得る。
【0101】
上記のスクリーニングアッセイにおいて同定された、本発明の融合タンパク質の活性を阻害する薬剤は、種々の方法における用途を見出す。ここで、代表的な方法が以下に記載される。
【0102】
(融合タンパク質活性を制御する方法)
本発明の融合タンパク質の活性を、調節(増強および抑制を含む)する方法がまた、本発明により提供される。従って、融合タンパク質のキナーゼ活性の増加および減少の両方の方法が提供される。多くの実施形態において、このような方法は、融合タンパク質のキナーゼ活性を阻害する方法である。
【0103】
融合タンパク質の活性を阻害する、1つの代表的な方法は、融合タンパク質活性を阻害する低分子を用いることである。天然に存在するか、または合成の、目的の低分子化合物は、多数の化学分類を含むが、代表的には、これらは、有機分子(好ましくは、50ダルトンより多く、約2,500ダルトンより少ない分子量を有する低分子有機化合物)である。候補薬剤は、タンパク質との構造的相互作用(特に、水素結合)に必須の官能基を含み、代表的には、少なくとも1つのアミン基、カルボニル基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基を含み、好ましくは、少なくとも2つの官能化学基を含む。候補薬剤はしばしば、1つ以上の上記官能基で置換された、環状炭素もしくは複素環状構造および/または芳香族もしくはポリ芳香族構造を含む。候補薬剤はまた、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造アナログ(特にATPの)またはこれらの組み合わせを含む生体分子の中から見出される。このような分子は、他の方法の中から上記のスクリーニングプロトコールを用いることにより同定され得る。
【0104】
なお他の実施形態において、標的融合タンパク質の発現が阻害される。標的融合タンパク質の発現の阻害は、任意の従来の手段(標的融合タンパク質発現を阻害する薬剤(例えば、アンチセンス薬剤)の投与、例えば、組換え技術によるコードする遺伝子の不活性化などを含む)を用いて達成され得る。
【0105】
アンチセンス分子を用いて、細胞における標的タンパク質の発現をダウンレギュレートし得る。アンチセンス試薬は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ODN)、特に、このようなアンチセンス分子をRNAとして発現する、ネイティブな核酸または核酸構築物からの化学修飾を有する合成ODNであり得る。アンチセンス配列は、標的遺伝子のmRNAに対して相補的であり、標的遺伝子産物の発現を阻害する。アンチセンス分子は、例えば、翻訳に利用可能なmRNAの量を減少することによって種々の機構を介して、RNAse Hの活性化もしくは立体障害を介して、遺伝子の発現を阻害する。アンチセンス分子の1つまたは組み合わせが投与され得、ここで、組み合わせは、複数の異なった配列を含み得る。
【0106】
アンチセンス分子は、適切なベクター中に標的遺伝子配列の全てまたは部分を発現させることにより産生され得、この転写開始は、アンチセンス鎖が、RNA分子として産生されるように方向付けられる。あるいは、アンチセンス分子は、合成オリゴヌクレオチドである。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、一般に、少なくとも約7ヌクレオチド長、通常は、少なくとも約12ヌクレオチド長、より通常は、少なくとも約20ヌクレオチド長であり、かつ、約500ヌクレオチド長より少なく、通常は、約50ヌクレオチド長より少なく、より通常は、約35ヌクレオチド長より少なく、そして、この長さは、交差反応性の不在などを含む、阻害効率、特異性により支配されている。7〜8塩基長の短いオリゴヌクレオチドが、遺伝子発現の強力かつ選択的なインヒビターであり得ることが見出されている(Wagnerら(1996),Nature Biotechnol.14:840−844を参照のこと)。
【0107】
内因性センス鎖mRNA配列の特異的領域は、アンチセンス配列により補完されるように選択される。オリゴヌクレオチドに対する特異的配列の選択は、実験による方法を使用し得、いくつかの候補配列が、インビトロでか、または動物モデルにおける標的遺伝子の発現の阻害についてアッセイされる。配列の組み合わせもまた用いられ得、ここで、mRNA配列のいくつかの領域っが、アンチセンス相補性について選択される。
【0108】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、当該分野で公知の方法により、化学的に合成され得る(Wagnerら(1993),前出、およびMilliganら,前出を参照のこと)。好ましいオリゴヌクレオチドは、その細胞内安定性および結合親和性を増加させるために、ネイティブのホスホジエステル構造から化学修飾される。このような多数の修飾は、文献に記載されており、これは、骨格、糖または複素環塩基の化学を変更する。
【0109】
骨格化学においてとりわけ有用な変更は、ホスホロチオエート;ホスホロジチオエート(両方の非架橋酸素が、硫黄で置換されている);ホスホロアミダイト;アルキルホスホトリエステルおよびリン酸ボランである。アキラルなホスフェート誘導体としては、3’−O’−5’−S−ホスホロチオエート、3’−S−5’−O−ホスホロチオエート、3’−CH−5’−O−ホスホネートおよび3’−NH−5’−O−ホスホロアミデートが挙げられる。ペプチド核酸は、ペプチド結合により全リボースホスホジエステル骨格を置き換える。糖修飾もまた、安定性および親和性を増強するために用いられる。デオキシリボースのα−アノマーが用いられ得、ここでは、塩基は、天然のβ−アノマーに関して反転されている。リボース糖の2’−OHは、2’−O−メチル糖または2’−O−アリル糖を形成するように変更され得、これは、親和性を含まない分解に対する抵抗性を提供する。複素環塩基の修飾は、適切な塩基対を維持する必要がある。いくつかの有用な置換基としては、デオキシチミジンに対するデオキシウリジン;デオキシシチジンに対する5−メチル−2’−デオキシシチジンおよび5−ブロモ−2’−デオキシシチジンが挙げられる。5−プロピニル−2’−デオキシウリジンおよび5−プロピニル−2’−デオキシシチジンが、それぞれ、デオキシチミジンおよびデオキシシチジンを置換する場合に、親和性および生物活性を増強することが示されている。
【0110】
アンチセンスインヒビターに対する代替として、触媒性核酸化合物(例えば、リボザイム、アンチセンス結合体など)を用いて、遺伝子の発現を阻害し得る。リボザイムは、インビトロで合成されて、患者に投与され得るか、または、発現ベクター上にコードされ得、この発現ベクターから、リボザイムは、標的細胞において合成される(例えば、国際特許出願WO 95/23225およびBeigelmanら(1995),Nucl.Acids Res.23:4434−42を参照のこと)。触媒活性を有するオリゴヌクレオチドの例は、WO 95/06764に記載される。金属錯体を有するアンチセンスODNの結合体(例えば、mRNAの加水分解を媒介し得るターピリジルCu(II))は、Bashkinら(1995),Appl.Biochem.Biotechnol.54:43−56に記載される。
【0111】
別の実施形態において、標的タンパク質遺伝子が不活性化され、その結果、標的タンパク質遺伝子は、もはや標的融合タンパク質を発現しない。「不活性化される」とは、例えば、コード配列および/またはその調節性エレメントが遺伝的に改変され、その結果、もはや、タンパク質、または少なくとも機能的タンパク質を発現しない遺伝子を意味する。変更または変異は、例えば、融合タンパク質領域における1つ以上のヌクレオチド残基の欠失、融合タンパク質領域における1つ以上のヌクレオチド残基の交換などにより、多数の種々の形態を取り得る。コード配列にこのような変更を作製する1つの手段は、相同組換えによるものである。相同組換えにより標的遺伝子の修飾を作製するための方法は、当該分野で公知であり、これらとしては、米国特許第6,074,853号;同5,998,209号;同5,998,144号;同5,948,653号;同5,925,544号;5,830,698号;同5,780,296号;同5,776,744号;同5,721,367号;同5,614,396号;同5,612,205号(これらの開示は、本明細書中に参考として援用される)に記載されているものが挙げられる。
【0112】
融合タンパク質活性を阻害する上記の方法は、多数の異なる適用における用途を見出す。多くの適用において、本発明の方法および組成物は、標的融合タンパク質に対するコード配列を内因的に含む細胞における融合タンパク質活性を阻害するために用いられる。標的遺伝子の発現は、上記の説明と一貫して、発現が、コントロール(例えば、そうでなければ、本発明の方法に供されない同一の細胞)と比較して、少なくとも約2倍、通常、少なくとも約5倍、そして頻繁に、少なくとも約25倍、約50倍、約100倍またはそれ以上減少される場合に、阻害されるとみなされる。
【0113】
本発明の方法が用途を見出す、より具体的な適用は、細胞の増殖能力(proliferative capacity)を減少させることである。本明細書中で使用される場合、用語「増殖能力」は、細胞が起こし得る分裂の数、そして、好ましくは、標的細胞の分裂し続ける能力をいう。本発明の方法は、代表的には、コントロールと比較して、少なくとも約1.2〜2倍、通常は、少なくとも約5倍、そして、頻繁に、少なくとも約10倍、約20倍、約50倍またはなおそれ以上の増殖能力の減少を生じる。
【0114】
本発明の方法が用途を見出す、別の具体的な適用は、細胞においてアポトーシスすなわちプログラムされた細胞死を誘導することである。本発明の方法は、代表的には、少なくとも20%、通常は、少なくとも50%、そして、頻繁に、少なくとも90%またはなおそれ以上の生存細胞数の減少を生じる。
【0115】
(融合タンパク質の活性調節の治療適用)
この方法はまた、標的細胞または細胞のコレクションにおける融合プロテインキナーゼ活性を調節する(例えば、上昇または低下させる、代表的には低下させる)ことが所望される種々の治療適用において用途を見出し、ここで、細胞のコレクションは、動物全体またはその一部(例えば、組織、器官など)であり得る。このように、標的細胞は、宿主動物またはその一部であり得る。このような方法において、融合タンパク質の活性を調節する(例えば、オンコキナーゼ活性を所望に応じて増強するかまたは低下させる)活性薬剤の有効量は、例えば、これらの細胞をこれらの薬剤と接触させること、この薬剤をこの動物に投与すること、などにより、標的細胞に投与される。有効量とは、所望に応じて、標的細胞内の融合タンパク質の活性を調節するために充分な投薬量を意味する。
【0116】
上記の代表的な型の候補薬剤(例えば、低分子薬剤、核酸薬剤、ポリペプチド薬剤など)を含め、種々の様々な型の薬剤が用いられ得る。
【0117】
特定の実施形態では、この薬剤は、米国特許第5,521,184号に記載される通りのピリミジン誘導体である。米国特許第5,521,184号の開示は、本明細書中に参考として援用される。これらの実施形態では、目的のものは、以下の式(I)のN−フェニル−2−ピリミジン−アミン誘導体である:
【0118】
【化1】

ここで、
は、4−ピラジニル、1−メチル−1H−ピロリル、アミノ置換フェニルもしくはアミノ−低級アルキル置換フェニル(ここで、このアミノ基は、各場合において、遊離であるか、アルキル化もしくはアシル化されている)、5員環炭素原子に結合した1H−インドリルもしくは1H−イミダゾリル、または環炭素原子に結合し、かつ窒素原子が置換されていないかもしくは酸素によって窒素原子が置換されている、非置換ピリジルもしくは低級アルキル置換ピリジルである。
【0119】
およびRは、他とは各々独立して、水素または低級アルキルであり、ラジカルR、ラジカルR、ラジカルR、ラジカルRおよびラジカルRのうちの1または2は、各々、ニトロ、フルオロ置換低級アルコキシまたは以下の式(II)のラジカルである:
−N(R)−C(=X)−(Y)−R10(II)
ここで、
は、水素または低級アルキルであり、
Xは、オキソ(O)、チオ(S)、イミノ(NH)、N−低級アルキル−イミノ、ヒドロキシイミノ(hydroximino)またはO−低級アルキル−ヒドロキシイミノであり、
Yは、酸素または基NHであり、
kは、0または1であり、そして
10は、少なくとも5個の炭素原子を有する脂肪族ラジカル、または芳香族ラジカル、芳香族−脂肪族ラジカル、脂環式ラジカル、脂環式−脂肪族ラジカル、複素環式ラジカルもしくは複素環式−脂肪族ラジカルであり、
そして残りのラジカルR、R、R、RおよびRは、他とは各々独立して、水素、置換されていないかもしくは遊離アミノもしくはアルキル化アミノ、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニルもしくはモルホリニルによって置換された低級アルキル、または低級アルカノイル、トリフルオロメチル、遊離の、エーテル化もしくはエステル化されたヒドロキシ、遊離の、アルキル化もしくはアシル化されたアミノ、または遊離のもしくはエステル化されたカルボキシ、および少なくとも1つの塩形成基を有するこのような化合物の塩ある。
【0120】
これらの実施形態では:
1−メチル−1H−ピロリルは、好ましくは、1−メチル−1H−ピロール−2−イルまたは1−メチル−1H−ピロール−3−イルである。
【0121】
アミノ置換フェニルまたはアミノ−低級アルキル置換フェニルR(ここで、このアミノ基は、各々の場合、遊離であるか、アルキル化もしくはアシル化されており、任意の所望の位置(オルト、メタまたはパラ)でフェニル置換されており、ここで、アルキル化アミノ基は、好ましくは、モノ−低級アルキルアミノまたはジ−低級アルキルアミノ(例えば、ジメチルアミノ)であり、そしてアミノ−低級アルキルの低級アルキル部分は、好ましくは、直鎖状C−Cアルキル(例えば、特に、メチルまたはエチル)である。
【0122】
5員環の炭素原子に結合した1H−インドリルは、1H−インドール−2−イルまたは1H−インドール−3−イルである。
【0123】
環炭素原子に結合した、置換されていないかまたは低級アルキルで置換されたピリジルは、低級アルキルで置換されているかまたは好ましくは、置換されていない、2−ピリジルまたは好ましくは、3−ピリジルもしくは4−ピリジル(例えば、3−ピリジル、2−メチル−3−ピリジル、4−メチル−3−ピリジルまたは4−ピリジル)である。酸素によって窒素原子が置換されたピリジルは、ピリジンN−オキシド由来のラジカル(すなわち、N−オキシド−ピリジル、例えば、N−オキシド−4−ピリジル)である。
【0124】
フルオロ置換された低級アルコキシは、少なくとも1つであるが好ましくはいくつかの、フルオロ置換基を保有する低級アルコキシ(特に、トリフルオロメトキシまたは好ましくは、1,1,2,2−テトラフルオロ−エトキシ)である。
【0125】
Xがオキソ、チオ、イミノ、N−低級アルキル−イミノ、ヒドロキシイミノまたはO−低級アルキル−ヒドロキシイミノである場合、基C=Xは、上記の順番で、それぞれ、ラジカルC=O、C=S、C=N−H、C=N−低級アルキル、C=N−OHまたはCN−O−低級アルキルである。Xは、好ましくは、オキソである。
【0126】
kは、好ましくは、0である、すなわち、基Yは存在しない。
【0127】
Yが存在する場合、好ましくは、基NHである。
【0128】
用語「低級」は、本文の範囲内では、7以下の(好ましくは4以下の)炭素原子を有するラジカルを示す。
【0129】
低級アルキルR、R、RおよびRは、好ましくはメチルまたはエチルである。
【0130】
少なくとも5個の炭素原子を有する脂肪族ラジカルR10は、好ましくは22個以下の炭素原子(一般的に10個以下の炭素原子)を有し、このような置換されたかまたは好ましくは置換されていない脂肪族炭化水素ラジカルであり、すなわち、このような置換されたかまたは好ましくは置換されていない、アルキニルラジカル、アルケニルラジカルまたは好ましくはアルキルラジカル(例えば、C〜Cアルキル、例えば、n−ペンチル)である。芳香族ラジカルR10は、20個までの炭素原子を有し、そして置換されていないかまたは置換されており、例えば、各々の場合、置換されていないかまたは置換された、ナフチル(例えば、特に、2−ナフチル)または好ましくはフェニルであり、この置換基は好ましくは、シアノ、置換されていないか、またはヒドロキシ置換されたか、アミノ置換されたかもしくは4−メチル−ピペラジニル置換された低級アルキル(例えば、特に、メチル、トリフルオロメチル、遊離か、エーテル化もしくはエステル化されたヒドロキシ、遊離か、アルキル化もしくはアシル化されたアミノおよび遊離かもしくはエステル化されたカルボキシから選択される。芳香族−脂肪族ラジカルR10では、この芳香族部分は上記の通りであり、そしてこの脂肪族部分は好ましくは、置換されているかまたは好ましくは置換されていない、低級アルキル(例えば、特に、C〜Cアルキル)(例えば、ベンジル)である。脂環式ラジカルR10は、特に30個まで、より特に20個まで、最も特に10個までの炭素原子を有し、単環式または多環式であり、そして置換されているかまたは好ましくは置換されていない(例えば、このようなシクロアルキルラジカル、特にこのような5員または6員のシクロアルキルラジカル(例えば、好ましくは、シクロヘキシル))。脂環式−脂肪族ラジカルR10では、この脂環式部分は、上記の通りに定義され、そしてこの脂肪族部分は、好ましくは、置換されているかまたは好ましくは置換されていない、低級アルキル(例えば、特に、C〜Cアルキル)である。複素環式ラジカルR10は、特に、20個までの炭素原子を含み、そして好ましくは、5個または6個の環のメンバーおよび1〜3個のヘテロ原子(これは、好ましくは、窒素、酸素および硫黄から選択される)を有する、飽和または不飽和の単環式ラジカル(特に、例えば、チエニルまたは2−ピリジル、3−ピリジルもしくは4−ピリジル)、または二環式もしくは三環式のラジカルであり、ここで、例えば、1個または2個のベンゼンラジカルは、言及した単環式ラジカルに環化(縮合)されている。複素環式−脂肪族ラジカルR10では、この複素環式部分は、上記で定義した通りであり、そしてこの脂肪族部分は好ましくは、置換されているかまたは好ましくは置換されていない、低級アルキル(例えば、特に、C〜Cアルキル)である。
【0131】
エーテル化ヒドロキシは好ましくは、低級アルコキシである。エステル化ヒドロキシは好ましくは、有機カルボン酸(例えば、低級アルカン酸)または鉱酸(例えば、ハロゲン化水素酸(hydrohalic acid)(例えば、低級アルカノイルオキシ)または特に、ハロゲン(例えば、ヨウ素、臭素または特に、フッ素もしくは塩素)によってエステル化されたヒドロキシである。
【0132】
アルキル化アミノは、例えば、低級アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ)またはジ−低級アルキルアミノ(例えば、ジメチルアミノ)である。アシル化アミノは、例えば、低級アルカノイルアミノまたはベンゾイルアミノである。
【0133】
エステル化カルボキシは、例えば、低級アルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル)である。
【0134】
置換されたフェニルラジカルは、5個までの置換基(例えば、フッ素)を保有し得るが、特に、比較的大きな置換基の場合、一般に、ほんの1〜3個の置換基によって置換される。特別の言及がされ得る置換されたフェニルの例は、4−クロロ−フェニル、ペンタフルオロ−フェニル、2−カルボキシ−フェニル、2−メトキシ−フェニル、4−フルオロフェニル、4−シアノ−フェニルおよび4−メチル−フェニルである。
【0135】
式(I)の化合物における塩形成基は、塩基性または酸性の特性を有する、基またはラジカルである。少なくとも1個の塩基性基または少なくとも1個の塩基性ラジカル(例えば、遊離アミノ基、ピラジニルラジカルまたはピリジルラジカル)を有する化合物は、例えば、無機酸(例えば、塩酸、硫酸またはリン酸)と、または適切な有機カルボン酸もしくはスルホン酸(例えば、脂肪族モノカルボン酸もしくは脂肪族ジカルボン酸(例えば、トリフルオロ酢酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、ヒドロキシマレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸またはシュウ酸)、またはアミノ酸(例えば、アルギニンまたはリジン)、芳香族カルボン酸(例えば、安息香酸、2−フェノキシ−安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸)、芳香族−脂肪族カルボン酸(例えば、マンデル酸またはケイ皮酸)、ヘテロ芳香族カルボン酸(例えば、ニコチン酸またはイソニコチン酸)、脂肪族スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸または2−ヒドロキシエタンスルホン酸)、または芳香族スルホン酸(例えば、ベンゼン−スルホン酸、p−トルエン−スルホン酸またはナフタレン−2−スルホン酸)との酸付加塩を形成し得る。いくつかの塩基性基が存在する場合、モノ酸付加塩またはポリ酸付加塩が形成され得る。
【0136】
ラジカルR10において酸性基(例えば、遊離カルボキシ基)を有する式(I)の化合物は、金属塩またはアンモニウム塩(例えば、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩もしくはカルシウム塩)またはアンモニアもしくは適切な有機アミン(例えば、3級モノアミン(例えば、トリエチルアミンまたはトリ−(2−ヒドロキシエチル)−アミン))、または複素環式塩基(例えば、N−エチルピペリジンまたはN,N’−ジメチル−ピペラジン)とのアンモニウム塩を形成し得る。
【0137】
酸性基および塩基性基の両方を有する式(I)の化合物は、内部塩を形成し得る。
【0138】
これらの実施形態において特に興味深いのは、Rが3−ピリジルであり、R、R、R、RおよびRが各々水素であり、Rがメチルであり、そしてRは、Rが水素であり、Xがオキソであり、kが0であり、そしてR10が4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]フェニルである式(II)の基である、本特許において記載されるピリミジン誘導体である。化学名4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル]−N−[4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ−フェニル]ベンズアミドメタンスルホン酸塩を有するこの化合物のメシレート塩は、イマチニブメシレート(imatinib mesylate)として一般に公知であり、商品名GleevecTMで販売されている。
【0139】
目的のなお他の実施形態では、この薬剤は、イマチニブメシレートではない。
【0140】
また目的であるのは、式(III)のフタラジン化合物である:
【0141】
【化2】

ここで、rは0〜2であり、nは0〜2であり;mは0〜4であり;R11およびR12は、(i)各々の場合、低級アルキルであるか、または(ii)部分式(III)における架橋を一緒に形成するか
【0142】
【化3】

または(iii)部分式(III**)における架橋を一緒に形成する:
【0143】
【化4】

ここで、環のメンバーT、T、T、およびTのうちの1個または2個は窒素であり、残りは、各場合、CHであり;A、B、D、およびEは、 NまたはCHであり、ここでこれらのラジカルのうちの2個以下が、Nであり;Gは、低級アルキレン、アシルオキシ−低級アルキレンまたはヒドロキシ−低級アルキレン、−CH−O−、−CH−S−、−CH−NH−、オキサ、チア、またはイミノであり;Qは、低級アルキル(特に、メチル)であり;Rは、Hまたは低級アルキルであり;Xは、イミノ、オキサ、またはチアであり;Yは、アリール、ピリジル、または置換された(置換されていない)シクロアルキルであり;そしてZは、独立して、モノ置換またはジ置換のアミノ、ハロゲン、アルキル、置換されたアルキル、ヒドロキシ、エーテル化またはエステル化されたヒドロキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、エステル化カルボキシ、アルカノイル、カルバモイル、N−モノ−またはN,N−ジ置換カルバモイル、アミジノ、グアニジノ、メルカプト、スルホ、フェニルチオ、フェニル−低級アルキルチオ、アルキルフェニルチオ、フェニルスルフィニル、フェニル−低級アルキルスルフィニル、アルキルフェニルスルフィニル、フェニルスルホニル、フェニル−低級アルキルスルホニル、またはアルキルフェニルスルホニルであり;そしてここで、点線は、任意の二重結合を独立して表すか;またはYがピリジルであるかまたは置換されていないシクロアルキルであり、Xがイミノであり、そして残りのラジカルが定義された通りであるならば、Gが、低級アルキレン、−CH−O−、−CH−S−、オキサおよびチアを含む群より選択されるという条件のこの化合物のN−オキシド;またはそれらの塩。このような化合物(例えば、PTK787(Vatalanibとしても公知)は、WO 98/35958、米国特許出願第09/859858号および米国特許第6,258,812 B1号にさらに記載される;後者の開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0144】
特定の実施形態では、また目的であるのは、式(IV)のプロテインチロシンキナーゼインヒビターまたは薬学的に受容可能なその塩である:
【0145】
【化5】

ここで:
(i)R13は、水素原子またはC1−4アルキル基を表し;そしてR14は、式−A−NR1718の基を表し、ここで、R17およびR18の各々は、独立して、水素原子またはC1−4アルキル基を表し、そしてAは、(CHm’、(CHn’−A−(CHp’または(CHCHO)q’CHCHを表し、ここで、m’は、2〜10の整数であり、n’およびp’の各々は、1〜6の整数であり、Aは、CH=CH、フェニレン、ビフェニレン、シクロヘキシレンまたはピペラジニレンであり、そしてq’は、1、2または3であるか;
(ii)R13およびR14は、−A−NR19−A−を一緒になって表し、ここで、AおよびAの各々が、独立して、(CHr’または(CHCHO)s’CHCHを表し、ここで、rは、2〜6の整数であり、s’は、1、2または3であり、そしてR19は、水素原子またはC1−4アルキル基を表すか;
(iii)R13およびR14は、結合している窒素原子と一緒になって、ピペリジニル基を表し、このピペリジニル基は、4位に式−A−R20の置換基を保有し、ここで、Aは、C1−4アルキレンを表し、そしてR20は、ピペリジン−4−イルを表すか;または
(iv)R13およびR14は、結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジニル基、ピペリジニル基またはモルホリノ基を表し;そして
15およびR16は各々、独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、置換されていないかまたはハロゲン原子、C1−4アルキル基およびC1−4アルコキシ基から独立して選択される1個もしくは2個の置換基によって置換されているフェニル基、式R21S(O)NR22−の基、式R23N(R24)S(O)−の基、式R25C(O)N(R26)−の基または式R27N(R28)C(O)−の基を表し、ここで、R21、R23、R25およびR27の各々は、独立して、C1−4アルキル基またはフェニル基(これは、置換されていないかまたはハロゲン原子、C1−4アルキル基およびC1−4アルコキシ基から独立して選択される1個もしくは2個の置換基によって置換されている)を表し、R22、R24、R26およびR28の各々は、独立して、水素原子またはC1−4アルキル基を表す。
【0146】
THRX−165724として同定される、特に目的の式(IV)のインヒビターは、R13およびR14ならびにこれらに結合した窒素が、ピペラジニル環を形成し、そしてR15およびR16が両方とも水素であるインヒビターである。式(IV)の化合物は、本明細書中に参考として援用される、米国特許出願第60/343,746号、同第60/343,813号、および同第10/327,385号に記載される。
【0147】
特定の実施形態における目的の化合物の別の群は、式(V)化合物ならびにそれらの薬学的に受容可能な異性体、塩、水和物、溶媒和物、およびプロドラッグ誘導体である:
【0148】
【化6】

ここで:
29は、−CN、−X、−CX、−R33、−CO33、−SO33、直鎖または分枝鎖である−O−C1−8アルキル、−O−フェニル、−O−ナフチル、−O−インドリル、および−O−イソキノリニルからなる群より選択され、ここで、Xは、ハロゲンであり、そしてR33は、水素または直鎖もしくは分枝鎖であるC1−8アルキルであり、
30およびR32は、各々、独立して、−O−CH、−O−CH−CH、−O−CH−CH=CH、−O−CH−C≡CH、−O(CH)−SO−R33、−O−CH−CH(R34)CH−R31および−O(−CHn”−R31からなる群より選択され、ここで、R34は、−OH、−X、または直鎖もしくは分枝鎖であるC1−8アルキルであり、n”は、2または3であり、そして
31は、−OH、−O−CH、−O−CH−CH、−NH、−N(−CH、−NH−CH−フェニル、−NH−フェニル、−CN、−C(=NH)−NH、−NH−C(=NH)−NH、チアゾリル、オキサゾリル、ピロリジニル、4,4−ジフルオロピペリジニル、3,3−ジフルオロピペリジニル、3,3−ジフルオロピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル、イミダゾリル、1,2,3−トリアゾリル、メチルピペリジニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキシド−チオモルホリニル、−O−4−ピリジニル、1H−テトラゾリル、ピペラジニル、および4−メチルピペラジニルからなる群より選択される。
【0149】
式(V)の化合物の中でも、特に目的であるのは、R29が−O−イソプロピルであり、R30が−O−(CH−ピペリジン−1−イルであり、そしてR32が−OCHである、MLN518として同定される化合物である。式(V)の化合物は、本明細書中に参考として援用されるWO 02/16351にさらに記載される。
【0150】
特定の実施形態では、目的の化合物のなお別の群は、式(VI)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩である:
【0151】
【化7】

ここで:
35は、水素、ハロ、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ヒドロキシ、アルコキシ、−C(O)R48、−NR4647、−(CHr*49および−C(O)NR4243からなる群より選択され;
36は、水素、ハロ、アルキル、トリハロメチル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、−NR4647、−NR46C(O)R47、−C(O)R48、アリール、ヘテロアリール、および−S(O)NR4647からなる群より選択され;
37は、水素、ハロ、アルキル、トリハロメチル、ヒドロキシ、アルコキシ、−C(O)R48、−NR4647、アリール、ヘテロアリール、−NR46S(O)47、−S(O)NR4647、−NR46C(O)R47、−NR46C(O)OR47、および−S(O)53からなる群より選択され、ここで、R53は、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアラルキルであり;
38は、水素、ハロ、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、および−NR4647からなる群より選択され;
39は、水素、アルキルおよび−C(O)R40からなる群より選択され;
41は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、−C(O)R50および−C(O)R40からなる群より選択され;
42およびR43は、水素、アルキルおよびアリールからなる群より独立して選択され;
40は、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、−N(R44)(CHn*45、および−NR4647からなる群より選択され;
44は、水素およびアルキルからなる群より選択され;
45は、−NR4647、ヒドロキシ、−C(O)R48、アリール、ヘテロアリール、−N(O)R4647、−N(OH)R46、および−NHC(O)Rからなる群より選択され、ここで、Rは、置換されていないアルキル、ハロアルキルまたはアラルキルであり;
46およびR47は、水素、アルキル、ならびにヒドロキシアルキルアミノ、シアノアルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールで置換された低級アルキルからなる群より独立して選択されるか;または
46およびR47は結合して、ヘテロシクロ基を形成し得;
48は、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、およびアリールオキシからなる群より選択され;
49は、ヒドロキシ、−C(O)R48、−NR4647および−C(O)NR4647からなる群より選択され;
50は、アルキル、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択され;そして
およびrは、独立して、1、2、3、または4である。
【0152】
SU11248として同定される特に目的の式(VI)の化合物は、R36がフルオロであり、R35、R37、およびR38が各々水素であり、R39およびR41が各々メチルであり、そしてR40が−N(H)(CHN(Cである化合物である。式(VI)の化合物は、本明細書中に参考として援用されるWO 01/60814に記載されている。
【0153】
1つの実施形態では、本発明の方法において用いられる薬剤は、以下からなる群より選択される:
【0154】
【化8】

また目的であるのは、他のプロテインチロシンキナーゼインヒビターである。このようなインヒビターとしては、2002年8月9日出願の出願番号60/402,330号および2003年1月16日に出願の同第60/440,491号を有する優先権の仮出願の付録Aに現れるチロシンキナーゼインヒビターが挙げられるがこれらに限定されない;これらの開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0155】
本発明の方法では、活性な薬剤は、融合タンパク質の活性の所望の調節をもたらし得る任意の便利な手段を用いて標的細胞に投与され得る。従って、この薬剤は、治療投与のための種々の処方物中に組み込まれ得る。より詳細には、本発明の薬剤は、適切な、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤との組み合わせで、薬学的組成物中に処方され得、そして固体形態、半固体形態、液体形態または気体形態(例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏、液剤、坐剤、注射剤、吸入剤およびエアロゾル)で調製物に処方され得る。このように、薬剤の投与は、経口投与、頬投与、直腸投与、非経口投与、腹腔内投与、皮内投与、経皮投与、気管内投与などを含めた種々の方法で達成され得る。
【0156】
薬学的投薬形態では、この薬剤は、それらの薬学的に受容可能な塩の形態で投与されてもよく、またはこれらはまた、単独で、もしくは他の薬学的に活性な化合物と適切に関連してならびに他の薬学的に活性な化合物との組み合わせで用いられてもよい。以下の方法および賦形剤は、単なる例示であり、決して限定しない。
【0157】
経口調製物について、この薬剤は、錠剤、散剤、顆粒剤またはカプセル剤を作製するために、単独で、または適切な添加剤(例えば、従来の添加剤(例えば、ラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプンまたはバレイショデンプン);結合剤(例えば、結晶セルロース、セルロース誘導体、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチン);崩壊剤(例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプンまたはナトリウムカルボキシメチルセルロース);滑沢剤(例えば、滑石またはステアリン酸マグネシウム);および所望の場合、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤および矯味矯臭剤を用いて)との組み合わせで用いられ得る。
【0158】
この薬剤は、水性または非水性の溶媒(例えば、植物油または他の同様の油、合成脂肪族酸グリセリド、高級脂肪酸エステルまたはプロピレングリコール)の中に;および所望の場合、可溶化剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤および保存剤のような従来の添加剤とともにこれらを溶解、懸濁または乳化することにより、注射用調製物へと処方され得る。
【0159】
この薬剤は、吸入を介して投与されるべきエアロゾル処方物において利用され得る。本発明の化合物は、加圧された受容可能なプロペラント(例えば、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素など)中に処方され得る。
【0160】
さらに、この薬剤は、種々の基剤(例えば、乳化基剤または水溶性基剤)と混合することにより、坐剤中に作製され得る。本発明の化合物は、坐剤を介して直腸に投与され得る。この坐剤は、体温で融解するが室温では凝固する、ビヒクル(例えば、カカオ脂、カーボワックスおよびポリエチレングリコール)を含み得る。
【0161】
経口投与用または直腸投与用の単位投薬形態(例えば、シロップ剤、エリキシル剤、および坐剤)が提供され得、ここで、各投薬単位(例えば、ティースプーンフル、テーブルスプーンフル、錠剤または坐剤)は、1以上のインヒビターを含む所定量の組成物を含む。同様に、注射用または静脈内投与用の単位投薬量形態は、このインヒビターを、滅菌水、正常生理食塩水または別の薬学的に受容可能なキャリア中での溶液としての組成物中にを含み得る。
【0162】
用語「単位投薬量形態」とは、本明細書中で用いられる場合、ヒト被験体および動物被験体への単位投薬量として適切な、物理的に別個の単位であって、各単位が、薬学的に受容可能な希釈剤、キャリアまたはビヒクルと関連して、所望の効果を生じるに充分な量に計算された所定量の本発明の化合物を含む、単位をいう。本発明の新規の単位投薬量形態についての詳細は、用いられる特定の化合物および達成されるべき効果、ならびに宿主中での各化合物に関連した薬力学に依存する。
【0163】
目的の薬剤がイマチニブメシレートである場合、特定の実施形態において用いられる投与量は、慢性骨髄性白血病(CML)の処置においてイマチニブメシレートの使用のために用いられる投与量よりも実質的に少ない。実質的に少ないとは、CMLの処置において用いられる投与量よりも少なくとも約2倍、通常少なくとも約3倍、そしてより通常は少なくとも約4倍少ないことを意味し、ここで、本発明の方法において用いられるイマチニブメシレートの代表的投与量は、約30mg/日〜約300mg/日、通常約50mg/日〜約200mg/日の範囲にわたり得る。なお他の実施形態では、用いられる投薬量は、CMLの処置において用いられる投薬量と同じであるかまたはより多い。薬学的に受容可能な賦形剤(例えば、ビヒクル、補助剤、キャリアまたは希釈剤)は、公に容易に入手可能である。さらに、薬学的に受容可能な補助物質(例えば、pH調節剤および緩衝剤、張度調整剤、安定剤、湿潤剤など)は、公に容易に入手可能である。
【0164】
さらに、本発明は、薬学的に受容可能なキャリアと、本発明のオンコキナーゼ融合ポリペプチドの活性を阻害する薬剤とを含有する、薬学的組成物を生成するためのプロセスを提供する。このプロセスは、薬学的に受容可能なキャリアと薬剤とを混合する工程を包含し、ここで、この薬剤は、(1)本発明のオンコキナーゼ融合ポリペプチドを試験薬剤と接触させ、そして、もしある場合には、その融合ポリペプチドの活性に対する試験薬剤の効果を決定する工程;または(2)本発明の融合ポリペプチドのコード配列と試験薬剤を接触させ、そして、もしある場合には、そのコード配列からの融合ポリペプチドの発現に対する試験薬剤の効果を決定する工程、を包含するスクリーニング方法によって同定される。
【0165】
薬剤が、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、そのアナログもしくは模倣物(例えば、アンチセンス分子)である場合、薬剤は、かなり多くの経路(ウイルス感染、マイクロインジェクション、または小胞の融合を含む)によって、組織または宿主細胞中に導入され得る。ジェット式注射もまた、Furthら(1992)、Anal Biochem 205:365−368によって記載されるように、筋肉内投与のために使用され得る。DNAは、金微粒子上にコートされ得、そして微粒子銃デバイス、または文献(例えば、Tangら(1992)、Nature 356:152−154を参照のこと)に記載されるような「遺伝子銃」によって皮内的に送達され、金微粒子がDNAでコートされている場合には、皮膚細胞中に衝突される。核酸治療剤について、多くの異なる送達ビヒクルが用途(当該分野で公知のようなウイルスベクター系および非ウイルスベクター系を含む)を見出す。
【0166】
当業者は、用量レベルが、特定の化合物、送達ビヒクルの性質などの関数として変化し得ることを容易に理解する。所定の化合物についての好ましい投薬量は、種々の手段によって当業者により容易に決定可能である。
【0167】
本方法は、宿主において本オンコキナーゼ融合タンパク質活性の調節が所望される、種々の異なる状態の処置における用途を見出す。処置によって、宿主を苦しめている状態に関連する症状の少なくとも改善を達成することが意味され、ここで、改善とは、広い意味において使用されて、少なくとも処置される状態に関連するパラメータ(例えば、症状)の大きさの減少をいう。従って、処置はまた、病的な状態、または少なくともそれらに関連する症状が完全に抑制され(例えば、発生を予防するか、または停止させる(例えば、終結させる))、結果的に宿主がもはやこの状態、または少なくともこの状態を特徴付ける症状に苦しめられない状況を含む。
【0168】
種々の宿主が、本方法に従って処置可能である。一般的には、このような宿主は「哺乳動物」または「哺乳類」であり、これらの用語は、広義に使用されて、哺乳綱(食肉目(例えば、イヌおよびネコ)、げっ歯目(例えば、マウス、モルモット、およびラット)、および霊長目(例えば、ヒト、チンパンジー、およびサル)を含む)に属する生物を記載する。多くの実施形態において、宿主はヒトである。
【0169】
本発明に従う融合タンパク質活性を阻害するための方法は、数ある適用の中でも、細胞増殖性疾患状態(腫瘍性疾患状態(すなわち、癌)を含む)の処置における用途を見出す。このような適用において、有効量の活性剤(例えば、融合タンパク質活性を阻害する薬剤)が、それらを必要とする被験体に投与される。処置は、上記で定義したように広義に使用されて、例えば、上記疾患の症状のうちの少なくとも1つ以上における改善、ならびにそれらの完全な休止、ならびに疾患状態の逆転および/または完全な除去(例えば、治癒)を含む。
【0170】
細胞増殖の調節不全に関連する多くの障害(すなわち、細胞過剰増殖性障害)が存在する。目的の状態としては以下の状態が挙げられるが、これらに限定されない。
【0171】
本方法は、種々の状態の処置において使用され得、これらの状態では、平滑筋細胞および/または炎症細胞の増殖、ならびに/あるいは平滑筋細胞および/または炎症細胞の血管の内膜層への移動が存在し、結果として、この血管通る制限された血流(すなわち、新内膜閉塞性病変)が生じる。目的の閉塞性血管状態としては、アテローム性動脈硬化、移植後の移植片冠状血管疾患、静脈移植片狭窄、吻合周囲の人口移植片狭窄、血管形成後またはステント留置後の再狭窄などが挙げられる。
【0172】
生殖組織の過剰増殖および組織再構築もしくは修復(例えば、子宮癌、精巣癌および卵巣癌、子宮内膜症、子宮頸部の扁平上皮癌および腺上皮癌など)が存在する疾患は、本化合物の投与によって細胞数が減少される。
【0173】
処置について目的とする腫瘍としては、癌(例えば、結腸癌、十二指腸癌、前立腺癌、乳癌、黒色腫、腺管癌、肝臓癌、膵臓癌、腎臓癌、子宮内膜癌、胃癌、異形成口腔粘膜癌、ポリープ症、浸潤性口腔癌、非小細胞肺癌、泌尿器の移行上皮癌および扁平上皮癌など)、神経悪性腫瘍(例えば、神経芽細胞腫、神経膠腫など)、血液性悪性腫瘍(例えば、小児急性白血病、急性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、悪性皮膚T細胞性リンパ腫、菌状息肉腫、非MF皮膚T細胞性リンパ腫、リンパ腫様丘疹症、T細胞リッチな皮膚リンパ球増殖症、水疱性類天疱瘡、円板状エリテマトーデス、扁平苔癬など)などが挙げられる。
【0174】
特に目的とするいくつかの癌としては、主として腺癌のサブタイプである乳癌が挙げられる。インサイチュ腺管癌(DCIS)は、非侵襲性乳癌の最も多く見られる型である。DCISにおいて、悪性細胞は、腺管の壁を通って乳房の脂肪組織中に転移されていない。浸潤性(または侵襲性)腺管癌(IDC)は、腺管の壁を通って転移され、そして乳房の脂肪組織を浸潤する。浸潤性(または侵襲性)小葉癌(ILC)は、ILCが体内の他の場所に転移する可能性を有するということにおいて、IDCと類似する。約10%〜15%の侵襲性乳癌が、侵襲性小葉癌である。
【0175】
非小細胞小葉癌もまた、目的の癌である。非小細胞小葉癌(NSCLC)は、肺癌の3つの一般的なサブタイプから構成される。類表皮癌(扁平上皮細胞癌とも呼ばれる)は、通常は、より大きな気管支のうちの1つの中で始まり、そして比較的ゆっくりと増殖する。これらの腫瘍のサイズは、ごく小さなものからかなり大きなものにまで及び得る。腺癌は、肺の外層近くで増殖が始まり、そしてサイズと増殖速度とのいずれにおいても変化し得る。いくつかの低速増殖性腺癌は、肺胞細胞癌として記載される。大細胞癌は、肺の表面近くで始まり、急速に増殖し、そして診断される場合、その増殖は通常はかなり大きい。肺癌の他のまれな形態は、カルチノイド、円柱腫、粘液性類上皮癌、および悪性中皮腫である。
【0176】
黒色腫は、メラニン細胞の悪性腫瘍である。ほとんどの黒色腫は皮膚中に生じるが、黒色腫はまた、粘膜表面から生じ得るか、または神経堤細胞が移動する他の部位にて生じ得る。黒色腫は、主に成体に発生し、半数より多い事例が、見た目は正常な皮膚の領域で生じる。予後は、臨床的因子および組織学的因子によって、ならびに病変の解剖学的位置によって影響を受ける。黒色腫の浸潤の厚さおよび/またはレベル、有糸分裂指数、腫瘍浸潤リンパ球、および一次部位(primary site)での潰瘍化もしくは出血が、予後に影響を及ぼす。臨床病期は、腫瘍が局所リンパ節または遠隔部位まで広がっている否かに基づく。臨床的に一次部位に限定される疾患について、黒色腫の局所浸潤の厚さおよび深さが大きくなるほど、リンパ節転移の機会が高くなりおよび予後が悪くなる。黒色腫は、局所的伸展(リンパ管を介する)によって、および/または遠隔部位への血行性経路によって広がり得る。任意の器官が、転移によって関与され得るが、肺および肝臓は共通する部位である。
【0177】
目的とする他の過剰増殖性疾患は、上皮過剰増殖、組織再構築および組織修復に関する。例えば、乾癬の慢性皮膚炎症は、増殖性上皮ケラチノサイトならびに浸潤単核細胞(CD4+記憶T細胞、好中球およびマクロファージを含む)と関連付けられる。
【0178】
免疫細胞の増殖は、多くの自己免疫障害およびリンパ増殖性障害と関連付けられる。目的の疾患としては、多発性硬化症、慢性関節リウマチおよびインスリン依存性糖尿病が挙げられる。証拠は、アポトーシスにおける異常が、全身性エリトマトーデス(SLE)の病原において部分的に役割を果たすことを示唆する。他のリンパ増殖性状態としては、自己免疫リンパ増殖性症候群であるリンパ球アポトーシスの遺伝障害、ならびに多くの白血病およびリンパ腫が挙げられる。環境要因および食物要因に対するアレルギーの症状、ならびに炎症性腸疾患もまた、本発明の化合物によって軽減され得る。
【0179】
特に目的とする1つの過剰増殖性障害は、好酸球増多性障害(例えば、好酸球増多性症候群もしくはHES)である。好酸球増多性症候群(HES)を有する患者は、持続性の高い好酸性細胞数を示す。疾患の最中に、多くの場合、急性骨髄好酸球性白血病が発症する。HESについて根底に存在する原因は、知られていない。この疾患は、有意な終末器損傷のため、高度に致死性である。この目的の特定の疾患の概説について、Bainら、Curr.Opin.Hematol.(2000)7:21−25を参照のこと。
【0180】
特定の目的の他の障害は、全身性肥満細胞疾患(SMCD)(例えば、Pardananiら、Blood(2003年7月3日)[印刷に先んじて電子公開]を参照のこと);およびM4E0サブクラスの急性骨髄性白血病(AML)である。
【0181】
本方法によって、薬理ゲノム治療方法もまた提供される。これらの薬理ゲノム適用または薬理ゲノム方法において、被験体/宿主/患者は、まず、本融合タンパク質またはそのコード配列の存在または非存在について、例えば、診断プロトコル(例えば、上記の診断プロトコル)を使用して、診断される。次いで、被験体は、薬理学的プロトコルを使用して処置され、特定の被験体/患者についてのこのプロトコルの適合性は、診断工程の結果を使用して決定される。従って、本発明は、合理的な治療プロトコルの決定方法を提供する。
【0182】
例えば、この診断によって、その宿主が、本融合タンパク質の存在によって特徴付けられる疾患状態に罹患しているという決定がなされた場合、適切な薬理学的処置プロトコル(例えば、イマチニブメシレートを使用するプロトコル)が、その患者を処置するために使用される。あるいは、患者が、本融合タンパク質を有していないと診断されたか、またはその患者が、その融合タンパク質を有しているが、特定の活性剤に対する抵抗性に関連する融合タンパク質の改変体(例えば、T674I変異)も含む場合、他のプロトコルが使用される。
【0183】
(さらなる有用性)
本ポリペプチド組成物および核酸は、種々のさらなる適用における用途を見出す。本ポリペプチド組成物および核酸が用途を見出す適用としては、(a)ホモログの同定;(b)発現調節因子の同定;(c)ハイブリダイゼーション適用(例えば、PCR)におけるプローブおよびプライマーとしての用途;(d)生物学的検体における発現パターンの同定、などが挙げられる。
【0184】
(A.ホモログの同定)
ホモログは、多くの方法のうちのいずれかによって同定される。提供されるcDNAのフラグメントは、目的の標的生物からのcDNAライブラリーに対するハイブリダイゼーションプローブとして使用され得、ここで、低ストリンジェンシー条件が使用される。このプローブは、長いフラグメントであり得るか、または1以上の短い縮重プライマーであり得る。配列類似性を有する核酸は、低ストリージェンシー条件(例えば、50℃で、6×SSC(0.9M塩化ナトリウム/0.09Mクエン酸ナトリウム))下のハイブリダイゼーションによって検出され、そして、1×SSC(0.15M塩化ナトリウム/0.015クエン酸ナトリウム)で55℃にて洗浄に供した場合は結合したままである。配列同一性は、ストリンジェントな条件((例えば、50℃以上、かつ、0.1×SSC(15mM塩化ナトリウム/01.5Mクエン酸ナトリウム))下でのハイブリダイゼーションによって決定され得る。提供された配列に対して実質的な同一性をもつ領域を有する核酸(例えば、対立遺伝子改変体、その遺伝子の遺伝子操作による改変体など)は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、その提供された配列に結合する。DNA配列についてのプローブ(特に標識されたプローブ)を使用することによって、相同性遺伝子または関連する遺伝子を単離し得る。
【0185】
(B.発現調節因子の同定)
あるいは、実験的に規定した系における発現を変化させる効果を決定するために、変異は、プロモーター領域に導入され得る。転写因子の結合に関与する特定のDNAモチーフを同定する方法(例えば、公知の結合モチーフに対する配列類似性、ゲル遅延研究など)は、当該分野で公知である。例えば、Blackwellら(1995)、Mol.Med.1:194〜205;Mortlockら(1996)、Genome Res.6:327〜33ならびにJoulinおよびRichard−Foy(1995)、Eur.J.Biochem.232:620〜626を参照のこと。
【0186】
調節配列は、特に、異なる組織または異なる発生段階における遺伝子発現の転写調節または翻訳調節に必要なcis作用性配列を同定するために、ならびに遺伝子発現を調節するかまたは媒介するcis作用性配列およびtrans作用性因子を同定するために、使用され得る。このような転写制御領域または翻訳制御領域は、培養細胞、胚組織、胎児組織または成体組織における、野生型または改変されたか、もしくは目的の他のタンパク質の発現を促進するために、および遺伝子治療のために、融合タンパク質遺伝子に作動可能に結合され得る。
【0187】
(C.プローブおよびプライマー)
小さなDNAフラグメントは、PCRのプライマーとして、ハイブリダーゼーションスクリーニングプローブとして、などで有用である。より大きなDNAフラグメント(すなわち、100ntより大きい)は、前の節で記載されるとおりコードされるポリペプチドの産生のために有用である。増幅反応(例えば、PCR)での使用のために、一対のプライマーが使用される。プライマー配列の正確な組成は、本発明に対して重要ではないが、大部分の適用について、プライマーは、当該分野で公知であるように、ストリンジェントな条件下で対象の配列にハイブリダイズする。少なくとも約50ntの増幅産物、好ましくは少なくとも約100ntの増幅産物を産生する一対のプライマーを選択することが好ましい。プライマー配列の選択のためのアルゴリズムは、一般的に公知であり、そして、市販のソフトウェアパッケージにおいて利用可能である。増幅プライマーは、DNAの相補鎖にハイブリダイズし、相互に対して伸長を開始する。
【0188】
(D.生物学的標本における発現パターンの同定)
DNAはまた、生物学的標本における遺伝子の発現を同定するために使用され得る。特定のヌクレオチド配列(ゲノムDNAまたはRNAなど)の存在に対して、細胞をプローブする様式が、文献中でよく確立されている。簡単にいうと、DNAまたはmRNAは、細胞サンプルから単離される。mRNAは、相補的なDNA鎖を形成するための逆転写酵素を使用して、RT−PCRによって増幅され得、その後、対象のDNA配列に特異的なプライマーを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応増幅が行われ得る。あるいは、mRNAサンプルは、ゲル電気泳動により分離され、適切な支持体(例えば、ニトロセルロース、ナイロンなど)に移され、次いで、プローブとしての対象DNAのフラグメントでプローブされる。他の技術(例えば、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、インサイチュハイブリダイゼーションおよび固体チップ上に配列されたDNAプローブへのハイブリダイゼーション)もまた、用途を見出し得る。対象の配列へハイブリダイズするmRNAのの検出は、サンプル中の遺伝子発現を示す。
【0189】
(E.変異体の調製)
遺伝子配列(隣接プロモーター領域およびコード領域を含む)は、当該分野で公知の種々の方法で変異されて、プロモーターの強度、コードされるタンパク質の配列などにおける目的とする変化を生じ得る。このような変異のDNA配列またはタンパク質産物は、通常、本明細書に提供される配列に実質的に類似している。すなわち、それぞれ、少なくとも1個のヌクレオチドもしくはアミノ酸が異なり、そして、少なくとも2個以上(例えば、5個、10個、20個またはそれより多い)ヌクレオチドもしくはアミノ酸が異なり得る。配列の変化は、置換、挿入、欠失またはこれらの組合せであり得る。欠失はさらに、より大きな変化(例えば、ドメインまたはエキソンの欠失)を含み得る。他の目的とする改変としては、(例えば、FLAGシステム、HAなどを用いた)エピトープタグ化が挙げられる。細胞内局在化の研究については、グリーン蛍光タンパク質(GFP)との融合タンパク質も使用され得る。
【0190】
クローン化遺伝子のインビトロ変異誘発技術は、公知である。部位特異的変異誘発のためのプロトコルの例は、Gustinら(1993)、Biotechniques 14:22;Barany(1985)、Gene 37:111〜23;Colicelliら(1985)、Mol.Gen.Genet.199:537〜9;およびPrentkiら(1984)、Gene 29:303〜13中に見出され得る。部位特異的変異誘発の方法は、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、CSH Press 1989、pp.15.3〜15.108;Weinerら(1993)、Gene 126:35〜41;Sayersら(1992)、Biotechniques 13:592〜6;JonesおよびWinistorfer(1992)、Biotechniques 12:528〜30;Bartonら(1990)、Nucleic Acids Res 18:7349〜55;MarottiおよびTomich(1989)、Gene Anal.Tech.6:67〜70;およびZhu(1989)、Anal Biochem 177:120〜4中に見出され得る。このように変異された遺伝子は、構造−機能関係を研究するために使用され得るか、またはタンパク質の機能または調節に影響するその特性を改変するために使用され得る。
【0191】
以下の実施例は、例示する目的で提供し、限定する目的ではない。
【実施例】
【0192】
(材料および方法)
(A.化合物)
イマチニブメシレートを、Geevec(登録商標)のカプセルから抽出した。バタラニブを、公開された手順に従って調製した(Boldら、J.Med.Chem.(2000)43:2310〜2323)。THRX−165724は、米国特許出願番号10/327,385号の実施例1aに記載されるように、ピペラジンをSU6668(Sunら、J.Med.Chem.(1999)42:5120〜5130)のカルボキシル基に結合させることによって調製した。
【0193】
(B.cDNAクローニング、プラスミドおよびオリゴ)
RNeasyキット(Qiagen)を使用して、5×10個のEOL−1細胞から総RNAを単離した。PDGFRαの3’非翻訳領域(5’−tccgcattgcaataaagtgg−3’(配列番号13(塩基3478〜3459;登録番号M22734由来)))において開始する逆オリゴヌクレオチドおよびThermoscript RT−PCR System(Gibco−BRL)を使用して、20μlの容積で、100ngの総RNAを用いてcDNAを作製した。2μlのcDNA溶液は、100μLのPCR反応溶液中で、全長NM_030917−PDGFRα(前方向オリゴ:5’−gttgcgctcggggcggccat−3’(配列番号14)(塩基150〜169由来;登録番号NM_030917)、逆方向オリゴ:5’−ttctgaacgggatccagagg−3’(配列番号15)(塩基3456〜3437由来;登録番号M22734))を増幅するためのテンプレートとしての役目を果たした。PCRフラグメントを、アガロースゲル電気泳動によって単離し、TOPO−PCRベクター(Invitrogen)中にクローニングし、配列決定した。2つの観察された選択的スプライシングをされたエキソンを欠く、スプライス改変体の誤りのない配列を、哺乳動物の発現ベクターpcDNA3.1(+)(Invitrogen)にクローニングした。ランダム六量体または特定のPDGFRαプライマー5’−ggatgtcggaatatttagaa−3’(配列番号16)および5’−gcagaaaggtactgcctttc−3’(配列番号17)を使用して、患者のcDNAを上記のように産生した。患者のcDNAを、NM_030917−PDGFRα融合転写物に関して分析するために、以下のプライマー対を使用した:NM_030917前方向:5’−aattatgggtttaatgaag−3’(配列番号18)(塩基651〜699由来;登録番号NM_030917)、PDGFRα逆方向:5’−aactttcatgacaggttgg−3’(配列番号19)(塩基2000〜1982由来;登録番号M22734)。EOL−1におけるゲノム融合点ならびに2人の患者のPCR分析については、PDGFRαエキソン12の3’を開始するオリゴヌクレオチドを、逆向きで、特定の前方向プライマー:PDGFRαゲノム逆方向:5’−ttcttactaagcacaagctcagatc−3’(配列番号20)(塩基13912〜13888由来;登録番号AC098587);EOL−1および患者3のゲノム前方向:5’−aagcatctaattaggtgaaactg−3’(配列番号20)(塩基48554〜48576由来;登録番号NT_022853)と組み合わせた。患者1のゲノム前方向:5’−cagggaagaactggaaactc−3’(配列番号22)(塩基22466〜22485;登録番号NT_022853)。
【0194】
(C.細胞および細胞株)
EOL−1細胞株およびBaF3細胞株を、DSMZ(Braunschweig、Germany)から入手した。EOL−1細胞株およびBaF3細胞株のための基本培養培地は、10%FBS、100U/mlペニシリンおよび100U/mlストレプトマイシンを補充したRPMI1640(Gibco−BRL)であった。BaF3細胞のための培地はまた、1ng/ml IL−3(Biosource International)が補充された。NM_030917−PDGFRαを発現するBaF3細胞株を、300mV/960μFで、BaF3細胞のエレクトロポレーションによって作製した。エレクトロポレーション後、BaF3細胞を、IL−3を含有する培地に48時間維持し、1mg/ml G418を添加したIL−3含有培地で10日間選択し、その後、限界希釈によってサブクローニングした。
【0195】
(D.細胞生存率アッセイ)
細胞の生存率を、MTTアッセイ(Roche)を使用するテトラゾリウム塩還元によって評価した。96ウェルプレート中で、化合物の連続希釈物の存在下で、5×10細胞/ウェルをプレートした。MTT基質を添加する前に、細胞を72時間インキュベートした。
【0196】
(E.免疫沈降およびウエスタンブロッティング)
PDGFRα/βに対する抗体およびホスホチロシンに対する抗体(4G10)をUpstate Biotechnologyから購入した。各免疫沈降については、1×10個の細胞を、0.75mlの改変RIPA緩衝液(50mM Tris−HCl pH7.4、1% NP−40、150mM NaCl、1mM EDTA、1mM NaVO、プロテアーゼインヒビター混液(Roche))に溶解させた。溶解物を、適切な抗体およびプロテインGビーズ(Sigma)とともに、一晩4℃でインキュベートした。免疫複合体を遠心分離により回収し、RIPA緩衝液で洗浄し、サンプル緩衝液中で煮沸し、SDS−PAGEにより分解した。タンパク質をPVDF膜(Invitrogen)に移し、PBS/0.1% Tween/3% BSAでブロックし、その後、室温で3時間、特定の抗体でプローブした。その後、ブロットをPBS/0.1% Tweenで洗浄した。特異的抗体結合を、二次抗体を結合した西洋ワサビペルオキシダーゼで検出し、その後、増強した化学発光ECL(Amersham)を行い、フィルムに曝露した。第二の抗体でブロットを再プローブするために、一次抗体を代表的に、ImmunoPure IgG Elution Buffer(Pierce)でストリップした。
【0197】
(F.リン酸化阻害アッセイ)
細胞(1×10個)を、示した濃度の薬物を含有する3mlの培地中で、1時間インキュベートした。その後、細胞を溶解し、適切な抗体で免疫沈降した。その後、SDS−PAGEに続いて、抗ホスホチロシン抗体4G10を用いた免疫ブロッティングを行なった。
【0198】
(G.タンパク質消化およびペプチド分析)
この研究は、Proteomic Research Services,Inc.(RPS、Ann Arbor、MI)によって行なわれた。1×10個のEOL−1細胞由来のチロシンリンタンパク質を、抗体4G10によって結合したプロテインG免疫親和性樹脂50μlの形態で、サンプルをPRSに提供した。タンパク質をSDS−PAGEにより分画し、SYPROルビーで染色することにより可視化した。4G10を使用するウエスタンブロッティングにより可視化した対のレーンのオーバーレイとともに、SYPRO染色レーンのオーバーレイに基づいて、切り出しのためにプラグを選択した。プラグを、トリプシン(ProGest)を用いたゲル内消化に供し、その上清の一部を、マトリックス支援レーザー脱着イオン化質量分析(MALDI/MS)による分析に使用した。MALDI/MSデータを、Applied Biosystems Voyager DE−STR機器によって取得し、観察されたm/z値を、NCBInrデータベースを照会するソフトウェアパッケージProFound(Proteometrics製)によるペプチド質量フィンガープリントについての検索に提示した。MALDI/MS分析が結論に到達しない場合、サンプルを、ナノ液体クロマトグラフィーにより分析し、その後、Micromass Q−Tof2機器により2次元質量分析(LC/MS/MS)を行なった。MS/MSデータを、Matrix Science製の検索エンジンMascot(www.matrixscience.com)を使用して検索した。
【0199】
(実施例1:好酸球増加症候群(hypereosinophilic syndrome)における新規のオンコキナーゼの発見)
イマチニブメシレート(STI−571/NovartisまたはGleevecTM)(本明細書これ以降「イマチニブ」)を、種々のCML細胞株およびAML細胞株について試験した。驚くべきことに、イマチニブが、EOL−1細胞において強力なアポトーシス誘導因子であったことが発見された。EOL−1細胞株は、好酸球増加症候群に続く急性骨髄性(好酸性)白血病を有する33歳男性の末梢血から1984年に樹立された。上記の発見は、4人のHES患者がイマチニブ治療に十分応答したという報告によってその後確認された。Schallerら、Med.Gen.Med.(2001年9月7日)3:9;およびLancet(2002年5月4日);359(9317):1577−8を参照のこと。
【0200】
96ウェルプレートにおいて、MV4−11細胞、BV173細胞およびEOL−1細胞を、漸増濃度のイマチニブとともに、72時間インキュベートした。次いで、MTTアッセイを用いて、細胞の生存度を評価した。550nMの吸光度を、生存度の尺度である。これらの結果は、図1に図示的に提供される。
【0201】
図1において理解され得るように、イマチニブは、EOL−1細胞(IC50:約100pM)の生存度を強力に調節する。特に、イマチニブは、好酸性細胞株EOL−1の非常に強力なインヒビターである。CML細胞株BV173はまた、イマチニブの存在下で生存度の低下を示すが、この薬物は、この細胞株に対してほとんど有効ではない(IC50:250nM)。10μMでさえ、イマチニブは、MV4−11細胞の生存度について非常にわずかな効力しかもたない。MV4−11細胞株は、急性骨髄性(骨髄単球性)白血病細胞である。
【0202】
イマチニブは、CML細胞株BV173の生存度を減少させることが予測された。なぜなら、これらの細胞はBcr−Ablを発現するからである。MV4−11細胞は、Bcr−Ablを発現せず、結果として、この薬物に感受性ではない。EOL−1細胞のイマチニブに対する高い感受性は、驚くべきことであり、予測されていなかった。HES患者由来のほとんどの細胞と同様に、EOL−1細胞は、染色体転座を有さないことが知られている。従って、これらの細胞の、イマチニブに対する感受性は、Bcr−Ablの阻害に基づき得ない。さらに、イマチニブは、BV173に対してよりもEOL−1に対して100倍より強力である。他のCML細胞株を、イマチニブについて試験し、そしてこれらの全てがBV173について得られたIC50に類似することを示した。典型的なCMLの染色体転座の欠如およびイマチニブに対するEOL−1の驚くべき感受性は、イマチニブがこれらの細胞における1つ以上の新規の標的を阻害することを示す。
【0203】
EOL−1における新規のイマチニブ標的を同定するために、EOL−1細胞のリンタンパク質プロフィールを最初に観察した。EOL−1細胞を、未処理のままにするか、または漸増濃度のイマチニブを用いて2時間処理した。次いで、これらの細胞を溶解し、そしてホスホチロシンに対する抗体(4G10,Upstate Biotechnology製)を用いて免疫沈降した。次いで、ウエスタンブロット分析を、同じ抗ホスホチロシン抗体を用いて実施した。
【0204】
これらの結果は、EOL−1において、分子量110kDaの顕著なリンタンパク質が存在することを実証した。この110kDaのリンタンパク質は、イマチニブの存在下(約100nM)ではリン酸化されてない。
【0205】
110kDaのリンタンパク質は、イマチニブによって阻害される活性化キナーゼであることが予測された。このタンパク質をさらに特徴付けるために、110kDaの分子量領域を含むスライスを、免疫沈降したEOL−1リンタンパク質を含むゲルから切り出した。このゲルスライス中のタンパク質を、タンパク質分解酵素のトリプシンで消化し、そしてトリプシンペプチドフラグメントの同一性を質量分析法を用いて決定した。3つのタンパク質が同定された:
1.ヌクレオリン。ヌクレオリンは、豊富に存在し、リボソームのアセンブリに関与する105kDaのリンタンパク質である。これらの既知の特徴に基づいて、ヌクレオリンは、おそらくイマチニブにとって標的ではないことが決定された。
【0206】
2.NM_030917遺伝子産物。この遺伝子は、多くの組織において発現されるが、その機能は未知である。しかし、これはキナーゼではなく、従って、イマチニブにとって直接的な標的ではないようである。全てのNM_030917遺伝子産物ペプチドは、このタンパク質のN末端にマッピングされた。
【0207】
3.PDGFRα。PDGFRαは、レセプターチロシンキナーゼである。イマチニブは、300〜1000nMのIC50で、密接に関連したPDGFRβを阻害することが知られている。従って、PDGFRαは、EOL−1におけるイマチニブ標的にとっての強力な候補として同定された。驚くべきことに、全てのPDGFRαペプチドは、このタンパク質のC末端にマッピングされることが確認された。このC末端は、レセプターのキナーゼドメインを含む。
【0208】
従って、以下の実験は、110kDaのリンタンパク質がPDGFRαレセプターのC末端を含むことを立証するために実施した。
【0209】
EOL−1細胞を、未処理のままか、または漸増濃度のイマチニブを用いて2時間処理した。これらの細胞を溶解し、そしてその溶解物を、このレセプターのC末端におけるエピトープを認識する抗PDGFRα抗体で免疫沈降した。次いで、ウェスタンブロット分析を、抗ホスホチロシン抗体を用いて実施した。
【0210】
抗ホスホチロシン抗体が、110kDaのリンタンパク質を免疫沈降したことを見出した。このホスホタンパク質を、イマチニブの存在下で脱リン酸化した。IC50は、約30nMであった。このデータにより、EOL−1における110kDaリンタンパク質が、PDGFRαのC末端を含むことが示唆された。
【0211】
PDGFRαは、この野生型形態の185kDaの分子量を有するレセプターである。PDGFRαのC末端が110kDaリンタンパク質に明らかに存在したという事実は、このレセプターが変異されたことを意味した。このような変異はまた、レセプターのキナーゼドメインがどのように構成的に活性化されたのかを説明し得る。活性化チロシンキナーゼは、多くの癌において機能する。しばしば、この活性化は、キナーゼにおける変異の結果である。チロシンキナーゼが変異によって活性化されることが見出される、主要な2つのメカニズムのセットが存在する。第1のメカニズムは、このキナーゼをコードする遺伝子における点変異、欠失、または小さな重複を含む。第2のメカニズムは、通常、染色体転座の結果として生じるBcr−Abl様の融合タンパク質の形成を含む。
【0212】
上記の知見は、PDGFRαキナーゼドメインとBcr−Ablに類似する第2のタンパク質との間に融合が存在したという結論を支持した。EOL−1細胞において全染色体の異常は存在しないことは公知である。第9染色体には小さな欠失が存在するが、第4染色体のPDGFRα残基は、存在しない。PDGFRαが別の遺伝子に融合される場合、この遺伝子は、細胞遺伝学的に自明ではないが、第4染色体上の近隣に存在しなければならない。PDGFRαのような小さなゲルスライス上に存在することが発見された遺伝子産物NM_030917は、第4染色体上のPDGFRαに密接に位置する。従って、第4染色体上の小さな再配列は、これらの2つの遺伝子の融合を導く。
【0213】
この可能性を試験するために、EOL−1細胞由来のRNAを単離し、PDGFRα遺伝子の非コード3’領域においてプライムするプライマーを用いてcDNAを生成するために使用した。このcDNAを、PDGFRαの3’末端と、NM_030917の5’末端でプライミングするプライマー対を用いたPCR反応のためのテンプレートとして使用した。PCRは、クローニングされた約2.5kbのフラグメントを生じた。種々のクローンの配列決定を以下に示す:
1.NM_030917およびPDGFRαは、PDGFRαのキナーゼドメインを含む細胞内ドメインがNM_030917のN末端に融合される融合転写物を形成する。
【0214】
2.この融合物は、834アミノ酸に対応する2502塩基対を含むオープンリーディング配列に生じるフレームに存在する。
【0215】
3.NM_030917フラグメントは、選択的にスプライシングされ、1つまたは2つのエキソンの任意の付加を生じる。
【0216】
4.予測されたNM_030917とPDGFRαとの融合点からのアミノ酸配列を含むトリプシンペプチド(tryptic peptide)は、EOL−1 110kDaのリン酸タンパク質ゲルスライスにおいて同定された。従って、この融合タンパク質は、EOL−1細胞において発現される。
【0217】
NM_030917−PDGFRα融合遺伝子についてのコード配列は、以下の通りである:
【0218】
【数7】

【0219】
【数8】

【0220】
【数9】

下線を引いた配列は、選択的にスプライシングた配列である。これらの配列は、所定の転写物に存在しても存在しなくてもよい。これらのさらなる選択物は、添付の配列表において配列番号06、07および08として提供される。
【0221】
上記コード配列は、以下のアミノ酸配列を有するNM_030917−PDGFRα融合タンパク質生成物をコードする:
【0222】
【数10】

下線を引いたペプチドは、選択的にスプライシングされる。これらの配列は、所定の融合タンパク質に存在しても存在しなくてもよい。これらの選択的配列は、添付の配列表において配列番号02、03および04として提供される。
【0223】
二重下線:NM_030917およびPDGFRα由来の配列を含むペプチドは、質量分析法によって同定された。(この融合は、Q(NM_030917)とL(PDGFRα)との間にある。)
正常な第4染色体上のNM_030917およびPDGFRαの融合エキソンに隣接するプライマー対を設計した。ゲノムDNAを用いて、EOL−1細胞ならびに他の白血病細胞株におけるエキソンを、PCRプロトコルにおいて設計されたプライマー対を用いて増幅した。融合NM_030917エキソンの5’プライマーが、融合PDGFRαエキソンの3’プライマーと結合された場合、試験した他の任意の細胞株ではなく、EOL−1ゲノムDNA由来の1100塩基対のフラグメントはPCRプロトコルにおいて得られた。このフラグメントは、ゲノム組換え点を含み、そして変異第4染色体に由来する。1100塩基対フラグメントを配列決定し、ゲノム組換え点を特徴付けた。以下の観察を行った:
1.組換え点は、第4染色体上の約100万塩基対が欠失している。これは、NM_030917におけるイントロンの、PDGFRαにおけるエキソン12の中央への融合を誘発する。
【0224】
2. NM_030917イントロンにおけるスプライシングドナージヌクレオチドGTは、スプライシングアクセプター部位としてPDGFRαエキソンにおいて第1AGジヌクレオチドを認識する。融合をもたらすスプライシング反応は、PDGFR遺伝子のリーディングフレームを維持する。
【0225】
1メガ塩基の欠失は、第4染色体上のNM_030917およびPDGFRαのエキソン12を融合する:
【0226】
【数11】

【0227】
【数12】

非太字:イントロン
太字:エキソン
斜体の塩基は、1メガ塩基の欠失が生じた後の連続配列を記す。
【0228】
【数13】

下線を引いた塩基は、融合点を含むイントロンのスプライシングドナーおよびスプライシングアクセプター部位を記す。
【0229】
まとめると、患者における好酸球増加症の細胞は、イマチニブに曝露した場合にアポトーシスを起こすことを示している。好酸性AML細胞株のEOL−1は、イマチニブに対して類似の感受性を示し、従って、この疾患においてイマチニブに対する標的を同定する良好なモデルシステムを示す。EOL−1細胞は、特徴付けられていないタンパク質およびPDGFRαの細胞質ドメインからなる融合タンパク質の発現をもたらす、第4染色体上の染色体再配列を有することを発見した。この融合タンパク質は、EOL−1細胞において高リン酸化されており、PDGFRαキナーゼドメインの活性化状態の反響である。この融合タンパク質のリン酸化は、イマチニブで阻害され得る。IC50は、約30nMである。上記のデータは、融合タンパク質として発現されたPDGFRαのキナーゼドメインがEOL−1におけるイマチニブに対する標的であることを示す。
【0230】
従って、上記の結果は、CMLにおけるBcr−Ablに類似して、PDGFRα融合タンパク質が好酸球増加症候群および急性骨髄性(好酸性)白血病において重要な役割を果たすことを示す。この融合タンパク質は、NM_030917およびPDGFRαが再結合される、正確なゲノム位置において相違し得る。
【0231】
さらに、NM_030917との融合が、PDGFRαのキナーゼドメインを活性化し得るので、NM_030917タンパク質のN末端ドメインの融合は、特定の実施形態において他のキナーゼドメインを活性化する。例えば、第4染色体上のPDGFRαからまさに下流は、2つ以上のレセプターチロシンキナーゼ、すなわち、c−kitおよびVEGFR−2である。このように、他の好酸球増加性疾患において、NM_030917と、c−kitまたはVEGFR−2との融合が存在することが予測される。
【0232】
(実施例2:細胞性NM030917−PDGFRα自己リン酸化の阻害)
ウェスタンブロット分析を使用して、細胞性NM_030917−PDGFRα自己リン酸化を阻害する際のTHRX−165724(特許出願番号10/327,385の実施例1に記載される)およびバタラニブ(vatalanib)(PTK787)(米国特許第6,258,812 B1の実施例1〜4に記載される)の効力を、評価した。これらのキナーゼインヒビターの両方が、このアッセイにおいて活性を有することが見出された。並行して、両方のインヒビターを、EOL−1細胞においてアポトーシスを誘導するそれらの能力について試験した。2つのアッセイにおいて得られたIC50を、以下の表に列挙する。
【0233】
【表1】

THRX−165724およびバタラニブ(PTK787)についてのIC50は、2つのアッセイ間で十分に相関する。上記の結果は、10〜30nMおよび100〜300nMでTHRX−165724およびバタラニブ(PTK787)が、それぞれ、NM_030917−PDGFRαを阻害することによってアポトーシスを誘導することを示す。
【0234】
(実施例3:NM_030917−PDGFRαの細胞形質転換潜在性)
多くの癌において見出されるような変異的活性化チロシンキナーゼは、マウスミエロイド細胞株BaF3からインターロイキン3独立(independence)形質転換し得る。NM_030917−PDGFRαが、細胞を形質転換する能力を有するかどうかを決定するために、BaF3細胞株を確立した。EOL−1由来のNM_030917−PDGFRαを発現するBaF3細胞が、IL−3独立であることが見出された。これらの細胞の融合タンパク質は、恒常的にリン酸化され、そしてリン酸化は、30nMのIC50(EOL−1において観察されるのと同じ値)であるイマチニブによって阻害された。イミタニブ、バタラニブおよびTHRX−165724での阻害は、EOL−1における薬物の潜在性に類似するIC50を有するBaF3 NM_030917−PDGFRα細胞の生存度の減少をもたらした。インヒビターの効果は、IL−3の存在で克服された。融合遺伝子の発現が、EOL−1細胞の生存度を阻害したこれらと類似の濃度で、3つの薬物によって阻害されたBaF3細胞に、IL−3独立増殖をもたらしたので、NM_030917−PDGFRαはまた、EOL−1におけるイマチニブ、バタラニブおよびTHRX−165724についての標的であるようである。PDGFRαインヒビターの存在下でのこれらのBaF3細胞の生存度は、外来性IL−3によって維持され得た。
【0235】
(実施例4:HES患者細胞におけるNM_030917−PDGFRαの同定)
NM_030917−PDGFRα融合が、HES患者に存在したかどうかを決定するために、HESと診断を下された4人の患者から血液細胞を得た。患者1および2を、イマチニブで処置した。患者1は処置に応答したが、患者2は応答しなかった。完全な血液学的寛解を示した後、患者1は再発し、そして死亡した。この患者は、CELの診断の原因となる複数のクローナル細胞遺伝学的異常を有した。ゲノムDNAならびに総RNAおよび総cDNAを、患者1を除いて、全ての患者細胞から調製した(患者1はゲノムDNAのみをイマチニブ処置の前の細胞から得たが、RNAおよびcDNAは得られなかった)。cDNAサンプルを、EOL−1細胞において決定された融合点をスパニングするプライマー対を用いてPCRに供した。患者1および3からにサンプルにおいて、フラグメントが、NM_030917とPDGFRαとの間にインフレームで融合転写物を構成したcDNAから増幅され得た(図3A)。NM_030917−PDGFRα融合物は、患者2および4において検出されなかった。患者1において、融合転写物は、PDGFRαのエキソン12内でNM_030917のエキソン8を接続する。EOL−1についての類似の適用を使用して、ゲノム破壊点を同定した。患者1において、イントロンの破壊は、スプライスアクセプター部位として作用するAGジヌクレオチドであり、その結果、NM_030917中のエキソン8およびPDGFRα中のエキソン12の一部が、融合転写物においてインフレームで融合される(図3B)。患者1におけるNM_030917−PDGFRα融合物が、イマチニブ治療の開始の前および再発の時点で採取された細胞由来のゲノムDNA調製物において検出された。再発の時点で、NM_030917−PDGFRα cDNAの分析は、PDGFRαキナーゼドメインにおける点変異を明らかにした。この変異は、イソロイシンによるスレオニンの置換を生じるPDGFRαにおけるアミノ酸位674に影響する(T674I)。
【0236】
患者3において、融合転写物ならびにゲノム破壊は、EOL−1において見出される変異に対して同一である(図3Aおよび3B)。
【0237】
EOL−1細胞由来のゲノムDNAの増幅および配列決定は、ゲノムの破壊点の接合部が、NM_030917のエキソン11に続くイントロン内およびPDGFRαのエキソン12内で減少することを明らかにした。同じ変異が、患者3において観察され、そして類似の超顕微鏡的欠損が、患者1において発見された。患者1において、得られた転写物は、PDGFRαエキソン12において異なる部位にNM_030917遺伝子中の異なる部位を融合した。エキソン12は、PDGFRαの細胞質膜近傍領域、続いてキナーゼドメインを含む。
【0238】
患者1は、イマチニブに対する応答において、完全な寛解を始めに示した後、再発し、そして死亡した。再発時に、この患者は、PDGFRαキナーゼドメイン中のT674I変異を有した。PDGFRα中のT674は、c−Abl中のT315に対応する。イマチニブの誘導体に結合したc−Ablの細胞質ドメインの結晶構造に基づいて、T315は、イマチニブ結合ポケットの一部を形成し、そして薬物との水素結合を確立する(Schindlerら、Science(2000)289:1938−1942)。T3151変異は、Bcr−AbIに対してイマチニブのキナーゼ阻害活性を除去し、そしてこれは、薬物耐性であるCML患者において見出された最も一般的な変異の1つである。(Gorreら、Science(2001)293:876−880;Branfordら、Blood(2002)99:3472−3475)。上記は、T674I変異が、患者1の再発の根底にあることを示し、従って、NM_030917またはPDGFRαが、イマチニブの標的であるという証拠をさらに提供する。
【0239】
2つのレポートは、4q11−12で染色体転座を伴う好酸球増加症を有する骨髄増殖性障害を有する患者を記載する(Duellら、Cancer Genet.Cytogenet.(1997)94:91−94;Schoffskiら、Ann.Hematol.(2000)79: 95−98)。これらの転座は、融合タンパク質を促進する異なる疾患をもたらすNM_030917またはPDGFRαのいずれかに関与し得る。例えば、NM_030917は、Tel促進二量体化またはBcr促進二量体化によって働くもの類似する役割(従って、公知のオンコジーン融合キナーゼの活性化)を果し得る。同様にPDGFRα(c−Kit遺伝子)は、染色体4q12に位置する。超顕微鏡的欠損はまた、NM_030917−c−Kit融合物を生じ得る。NCBI ESTデータベースの検索は、NM_030917が、多くの組織において発現されることを明らかにし、そして器官が、NM_030917融合物キナーゼが、血液学的起源の細胞に制限され得ないことを示唆する。NM_030917によってコードされるタンパク質は、酵母タンパク質FIP1(ポリアデニル化の構成成分)と相同である(307残基にわたって26%)(Prekerら、Cell(1995)81:379−389)。
【0240】
PDGFRαは、PDGFRβと高い程度の相同性を共有する(Matsuiら、Science(1989)243:800−804)。PDGFRβは、慢性骨髄増殖性疾患における種々の染色体転座についての標的であり、この疾患は、融合キナーゼ(例えば、Tel−PDGFRβおよびRab5−PDGFRβ)の発現を生じる(Golubら、Cell(1994)77:307−316;Magnussonら、Blood(2001)98:2518−2525;Rossら、Blood(1998)91:4419−4426;Abeら、Blood(1997)90:4271−4277;Kulkarniら、CancerRes.(2000)60:3592−3598;Schwallerら、Blood(2001)97:3910−3918)。PDGFRβと同様に、PDGFRαは、融合遺伝子の一部として最近記載されている。Baxterら(Hum.Mol.Genet.(2002)11:1391−1397)は、Bcr−PDGFRα融合物を生じるt(4;22)(q12;q11)転座を有する2つの異型CML患者を同定した。NM_030917−PDGFRα融合物に類似して、発明者らは、Bcr−PDGFRα融合物の両方が、PDGFRαのエキソン12への転座に関与することを発見した。実際に、2つのBcr−PDGFRα融合物の1つは、発明者らがEOL−1細胞由来のNM_030917−PDGFRαにおいて観察したのと同じPDGFRαフラグメントを正確に産生する。
【0241】
要約すると、上記の実験は、新規のNM_030917−PDGFRαゲノム再配列(好酸性EOL−1細胞株において発見された)が、HESと診断された患者のサブセットにおいて存在することを示す。細胞生存度およびリン酸化データは、新規の融合遺伝子によってコードされたNM_030917−PDGFRαキナーゼが、これらのHES患者の疾患プロセスにおいて中心的な役割を果すことを示す。従って、NM_030917−PDGFRα融合物が検出されるHESは、慢性好酸球性白血病として記載され得る。
【0242】
本発明は、種々の疾患状態(癌のような増殖性疾患を含む)の処置についての重要な新しい標的を提供することが上記の結果および議論から明らかである。本発明の標的を提供することに加えて、本発明は、診断および処置の重要な新しい方法をさらに提供し、これらは、医療および関連分野に有意な利益を提供する。従って、本発明は、当該分野に有意な貢献を示す。
【0243】
本明細書に引用される全ての刊行物および特許は、各個々の出版物または特許が、参考として援用されることが詳細にかつ個々に示されているかのように、本明細書中で参考として援用される。任意の刊行物の引用が、出願日前のその開示のためであり、本発明が、それ以前の発明の公開よりも先になされていなかったことを承認するものとして解釈されるべきではない。
【0244】
上記の本発明は、理解の明確さの目的のための例示および例によっていくつか詳細に記載されるが、本発明の教示の権利において当業者は、特定の変更および改変が、添付の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることが、容易に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0245】
【図1】図1は、3つの白血病細胞株に対する、イマチニブメシレート(GleevecTM)を用いた生存度アッセイについてのデータを示す。
【図2】図2は、オンコジーンおよび本発明の融合ポリペプチドを生じる遺伝子再配列を説明する図である。
【図3】図3Aおよび図3Bは、2つの異なったEOS患者において見出される、NM_030917−PDGFRα融合タンパク質コード配列において見出される融合点の配列データを提供する。
【配列表】















【特許請求の範囲】
【請求項1】
C末端チロシンキナーゼドメインおよびN末端ドメインを含む融合ポリペプチドであって、該融合ポリペプチドは、構成的に活性化されたキナーゼ活性を有し、その天然に存在する環境以外で存在し、かつ、以下の特徴:
(a)該C末端ドメインは、第4染色体にコードされるタンパク質由来であること;
(b)該N末端ドメインは、第4染色体にコードされるタンパク質由来であること;および
(c)該融合タンパク質は、転座事象の産物ではないこと、
のうち少なくとも1つによってさらに特徴付けられる、融合ポリペプチド。
【請求項2】
前記C末端ドメインが、第4染色体にコードされるタンパク質由来である、請求項1に記載の融合ポリペプチド。
【請求項3】
前記N末端ドメインが、第4染色体にコードされるタンパク質由来である、請求項1に記載の融合ポリペプチド。
【請求項4】
前記融合タンパク質が、転座事象の産物ではない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項5】
前記第4染色体チロシンキナーゼドメインが、PDGFRα、c−KitおよびVEGFR−2から選択されるチロシンキナーゼのC末端ドメインを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項6】
前記チロシンキナーゼが、PDGFRαである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項7】
前記N末端ドメインが、NM_030917である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項8】
霊長類のポリペプチドである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項9】
前記霊長類のポリペプチドが、ヒトポリペプチドである、請求項8に記載の融合ポリペプチド。
【請求項10】
配列番号01、配列番号02、配列番号03および配列番号04から選択される配列と実質的に同じであるかまたは同一であるアミノ酸配列を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項11】
前記融合ポリペプチドが、実質的に純粋である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の融合ポリペプチドをコードする、その天然に存在する環境以外で存在するポリヌクレオチド。
【請求項13】
配列番号05、配列番号06、配列番号07および配列番号08から選択される配列と実質的に同じであるかまたは同一である残基の配列を有する、請求項12に記載のポリヌクレオチドならびにその相補体。
【請求項14】
請求項12に記載の融合ポリヌクレオチドを含む、発現カセット。
【請求項15】
請求項14に記載の発現カセットを含む細胞。
【請求項16】
請求項1に記載の融合ポリペプチドを産生する方法であって、該方法は、以下:
(a)請求項15に記載の細胞を増殖させ、該ポリペプチドを発現させる工程;および
(b)該ポリペプチドを回収する工程、
を包含する、方法。
【請求項17】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の融合ポリペプチドに特異的に結合する、抗体。
【請求項18】
ポリクローナル抗体である、請求項17に記載の抗体。
【請求項19】
モノクローナル抗体である、請求項17に記載の抗体。
【請求項20】
宿主が疾患状態を罹患するか否かを決定する方法であって、該方法は、以下:
(a)請求項1〜11のいずれか1項に記載の融合ポリペプチドまたはコード配列を含むヌクレオチドの存在について該宿主をアッセイし、それによりアッセイ結果を得る工程;および
(b)該アッセイ結果を使用して、該宿主が該疾患状態を罹患しているか否かを決定する工程、
を包含する、方法。
【請求項21】
前記疾患状態が、過剰増殖性疾患状態である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記宿主からサンプルを得る工程をさらに包含する、請求項20または請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記アッセイ工程が、請求項17、請求項18または請求項19に記載の抗体の使用を包含する、請求項20、請求項21または請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記アッセイ工程が、前記ポリヌクレオチドの存在について前記サンプルをスクリーニングする工程を包含する、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記アッセイ工程が、前記ポリヌクレオチドを産生する染色体欠損について前記サンプルをスクリーニングする工程を包含する、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の融合ポリペプチドの活性を阻害する薬剤を同定する方法であって、該方法は、以下:
該融合ポリペプチドを、試験薬剤と接触させる工程;および
該融合ポリペプチドの活性に対する該試験薬剤の効果があればこれを決定する工程、
を包含する、方法。
【請求項27】
インビボの方法である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
インビトロの方法である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の融合ポリペプチドの、コード配列からの発現を阻害する薬剤を同定する方法であって、該方法は、以下:
該コード配列を試験薬剤と接触させる工程;および
該コード配列からの該融合ポリペプチドの該発現に対する該試験薬剤の効果があればこれを決定する工程、
を包含する、方法。
【請求項30】
インビボの方法である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
インビトロの方法である、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の融合ポリペプチドの活性を低下させるインビトロの方法であって、該方法は、該融合ポリペプチドのチロシンキナーゼ活性を低下させる薬剤と、該融合ポリペプチドを接触させる工程を包含する、方法。
【請求項33】
宿主において請求項1〜11のいずれか1項に記載の融合ポリペプチドの活性を低減させる方法であって、該方法は、以下:
該宿主に該融合ポリペプチドのチロシンキナーゼ活性を低下させる薬剤の有効量を投与する工程であって、但し、該薬剤がイマチニブメシレートである場合、該薬剤は約300mg/日を超えない投薬量で該宿主に投与される工程、
を包含する、方法。
【請求項34】
前記薬剤が、イマチニブメシレートではない、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記薬剤が、PTK787、THRX−165724、MLN518、およびSU11248からなる群から選択される、請求項32または請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記薬剤が、イマチニブメシレートである、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
疾患状態を処置する方法である、請求項32〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記疾患状態が、過剰増殖性疾患状態である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
疾患状態を罹患する宿主を処置する方法であって、該方法は、以下:
(a)請求項20〜24のいずれか1項に記載の方法を使用して、該宿主が該疾患状態を罹患するか否かを診断し、診断結果を得る工程;および
(b)該診断結果に基づいて選択された処置プロトコールを使用して、該宿主を処置する工程、
を包含する、方法。
【請求項40】
前記処置プロトコールが、有効量のイマチニブメシレートを前記宿主に投与する工程を包含する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記処置プロトコールが、PTK787、THRX−165724、MLN518、およびSU11248からなる群から選択される有効量の薬剤を前記宿主に投与する工程を包含する、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
サンプルにおけるチロシンキナーゼ融合タンパク質の存在について該サンプルをスクリーニングする方法であって、該方法は、以下:
(a)該サンプルの残留する成分からチロシンリン酸化タンパク質を分離し、サンプル由来のチロシンリン酸化タンパク質集団を産生する工程;および
(b)該サンプル由来のチロシンリン酸化タンパク質集団の成分メンバーを、2つ以上の異なったタンパク質由来のドメインの存在について評価する工程、
を包含する、方法。
【請求項43】
前記評価工程(b)が、前記集団の少なくとも1つの成分メンバーの少なくとも2つの異なったドメインにおいて、配列決定する工程を包含する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記少なくとも2つの異なったドメインが、N末端ドメインおよびC末端ドメインである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
請求項42に記載のスクリーニングアッセイにおいて同定されたチロシンキナーゼ融合タンパク質を特徴付ける方法であって、該方法は、以下:
(a)該同定されたチロシンキナーゼ融合タンパク質をコードする核酸を、前記サンプルから得る工程;および
(b)該コード核酸の配列を決定する工程、
を、包含する、方法。
【請求項46】
前記コード核酸によってコードされる産物のアミノ酸配列を決定する工程をさらに包含する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記コード核酸に転写されるゲノムDNAの配列を決定する工程をさらに包含する、請求項45または46に記載の方法。
【請求項48】
前記サンプルが細胞である、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
請求項8に記載の融合タンパク質の、非ヒトホモログ。
【請求項50】
哺乳動物融合ポリペプチドである、請求項49に記載の融合ポリペプチド。
【請求項51】
前記哺乳動物融合ポリペプチドが、げっ歯類融合ポリペプチドである、請求項50に記載の融合ポリペプチド。
【請求項52】
組成物を調製するプロセスであって、該プロセスは、薬学的に受容可能なキャリアと、請求項1〜11のいずれか1項に記載の融合ポリペプチドの活性を阻害する薬剤とを混合する工程を包含し、ここで、該薬剤は請求項26〜31のいずれか1項に記載の方法によって同定される、プロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−515983(P2006−515983A)
【公表日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−527956(P2004−527956)
【出願日】平成15年8月8日(2003.8.8)
【国際出願番号】PCT/US2003/024992
【国際公開番号】WO2004/015082
【国際公開日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【出願人】(500154711)セラヴァンス インコーポレーテッド (129)
【Fターム(参考)】