過剰間隙水排水構造の構成方法、過剰間隙水排水構造及び濾過器
【課題】周囲の地盤を凍結することなく過剰間隙水排水構造を構成できる過剰間隙水排水構造の構成方法を提供する。
【解決手段】まず、インバートコンクリート25を貫通する支持孔を形成する。次に、コアカッターが差し込まれた状態の鞘管67をマンホール本体7内に配置する。鞘管67の下端部を支持孔33内に差し込んで固定しておく。そして、鞘管67内に水を入れたら、カッターヘッドにより、支持孔の下側に、底版ブロック5を貫通する取付孔35を形成する。底版ブロック5に取付孔35を形成したら、コアカッターを鞘管67から引き抜く。そして、鞘管67内に濾過器37を入れ、濾過器本体37を取付孔35内に圧入する。
【解決手段】まず、インバートコンクリート25を貫通する支持孔を形成する。次に、コアカッターが差し込まれた状態の鞘管67をマンホール本体7内に配置する。鞘管67の下端部を支持孔33内に差し込んで固定しておく。そして、鞘管67内に水を入れたら、カッターヘッドにより、支持孔の下側に、底版ブロック5を貫通する取付孔35を形成する。底版ブロック5に取付孔35を形成したら、コアカッターを鞘管67から引き抜く。そして、鞘管67内に濾過器37を入れ、濾過器本体37を取付孔35内に圧入する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震対策としてマンホール構造物周囲の地盤を締め固める際に、あるいは、地震の際に、マンホール構造物周囲の地盤に発生する過剰間隙水を排水するための過剰間隙水排水構造、この過剰間隙水排水構造の構成方法及び過剰間隙水排水構造に用いるのに適した濾過器に関する。
【背景技術】
【0002】
地震により地盤が激しく振動すると地盤が液状化し、内部が空洞で比重が小さいマンホール構造物は、液状化した地盤からの浮力を受けて浮き上がるおそれがある。マンホール構造物が浮き上がると、マンホール構造物の上端側が道路の路面などから突出し、例えば、この突出したマンホール構造物の上端側に車両が衝突して大きな事故が引き起こされてしまう。
【0003】
地震の際のこのようなマンホール構造物の浮き上がりは、例えば特許文献1に記載されているように、地震によって液状化する地盤の過剰間隙水を排水する排水構造をマンホール構造物に設けることにより効果的に防止することができる。地震の際のマンホール構造物の浮き上がりは、また、例えば特許文献2に記載されているように、マンホール構造物周囲の地盤に振動を与えるとともに、マンホール構造物に設けた過剰間隙水の排水構造を介して、振動によって発生する過剰間隙水を排水し、マンホール周囲の地盤を締め固めることによっても効果的に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−63967号公報
【特許文献2】特開2009−263871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1や特許文献2の過剰間隙水排水構造では、マンホール構造物の周囲の地盤に発生した過剰間隙水は、マンホール構造物内に導かれ、マンホール構造物に接続されている下水管内に流されて排水されている。したがって、過剰間隙水のマンホール構造物内への入り口部分に、土砂などの流入を阻止する濾過器を設置するのが得策であるが、この濾過器は、下水管口部位置でマンホール側壁に配置されているので、濾過器を配置するに先立って、例えば周囲の地盤を凍結し、地下水のマンホール構造物内への浸入を防止する対策を施しておく必要がある。
【0006】
そこで本発明は、周囲の地盤を凍結することなく過剰間隙水排水構造を構成できる過剰間隙水排水構造の構成方法及び周囲の地盤を凍結することなく構成できる過剰間隙水排水構造の提供を目的とする。また、本発明は、過剰間隙水排水構造に用いるのに適した濾過器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するための本発明の過剰間隙水排水構造の構成方法は、マンホール構造物の周囲の地盤に発生した過剰間隙水を排水する過剰間隙水排水構造の構成方法であって、マンホール構造物の底部に、この底部の内面(あるいは上面)から上下方向中間位置に至る上下方向の(例えば垂直又はほぼ垂直の)支持孔をあける第1の工程と、下端部が前記支持孔内に密封的に差し込まれて上方に延びる(例えば垂直上方又はほぼ垂直上方に延びる)鞘管を、前記マンホール構造物内に設ける第2の工程と、前記鞘管内に液体を注入し、前記支持孔の底面部(あるいは下面部)に水圧をかける第3の工程と、前記鞘管内に入れられているドリルを駆動して、前記支持孔の底面部から前記底部の外面(下面)まで貫通する上下方向の(例えば垂直又はほぼ垂直の)取付孔をあける第4の工程と、前記ドリルを前記鞘管から取り出し、液体が収容されている前記鞘管内に濾過器を入れ、この濾過器を前記取付孔内に取り付ける第5の工程と、前記鞘管を前記支持孔から取り外し、前記濾過器に、上方に延びる排水管を取り付ける第6の工程と、を備えるものである。マンホール構造物の底部とは、マンホール構造物の底に位置し、流体通過性を有していない部分である。本発明では、マンホール構造物の底部に、濾過器を取り付けるための貫通孔を形成しても、鞘管内に注入された液体により、地下水がこの貫通孔からマンホール構造物内に流れ込むことはない。したがって、濾過器を取り付けるに際して、地下水のマンホール構造物内への流れ込みを防止するために、地盤を凍結させるといった工法は不必要となる。ドリルは、鞘管をマンホール構造物内に設ける際に鞘管内に入れることができる。あるいは、ドリルは、鞘管をマンホール構造物内に設けてから鞘管内に入れることができる。液体は、鞘管内にドリルを入れてから鞘管内に注入することができる。あるいは、液体は、鞘管内にドリルを入れる前に鞘管内に注入することができる。排水管は、マンホール構造物の内側に配置されることとなる。
【0008】
支持孔は取付孔よりも大径であるのが得策である。取付孔の形成が容易となる。
【0009】
第5の工程で、濾過器を、取付孔内にきつく押し込むことにより、取付孔内に取り付けることとすれば、濾過器の配置が簡単となる。
【0010】
排水管が、濾過器からマンホール構造物の内周面の近くまで延びる引き出し部と、この引き出し部の先端から内周面に沿って上方に延びる本体部と、を有していて、第6の工程が、引き出し部を底部の内面の下側に埋め込む工程を有していれば、過剰間隙水排水構造の構成後のマンホール構造物の内側形状が複雑とはならない。
【0011】
支持孔の上端開口部を底部蓋体で開放可能に閉塞する工程を備えていれば、マンホール構造物の底部内面形状がフラットなものとなる。
【0012】
排水管の先端開口部に、過剰間隙水の水圧により開放方向に揺動してこの先端開口部を開放する先端部蓋体を揺動自在に設けておけば、簡単な構成で、下水が地中に逆流するのを効果的に防止できる。
【0013】
濾過器は、下面に流入孔を有する濾過器本体と、この濾過器本体から上方に延びる、止水バルブが設けられた接続パイプ部と、を有し、この濾過器本体が取付孔内にきつく押し込まれることにより、取付孔内に取り付けられるものとすることができる。ここでは、濾過器本体の外周にシール部材を設けておき、このシール部材が、濾過器本体と取付孔との間で圧縮されるように、濾過器本体が取付孔内にきつく押し込まれるといったように構成できる。排水管は、接続パイプ部の先端側に接続される。止水バルブは、接続パイプ部の流水路を開閉する。
【0014】
シール部材の底面は、上方に傾斜しながら外側に延びるように形成されていることが好ましい。このように構成すれば、シール部材の外側への突出量を大きくしても、濾過器本体を取付孔内に押し込む際に押し込み抵抗が過大となることはない。
【0015】
濾過器本体の内部には濾過構造が形成されるが、この濾過構造は、流入孔位置に設けられた濾過網と、この濾過網の上に配置された、粗骨材(例えばメサライト)と、を有しているのが好ましい。濾過網で大きめの固形物が取り除かれ、メサライト等の粗骨材で小さな汚れを取り除く。
【0016】
濾過網を樹脂製とし、この濾過網の下側にパンチングプレートを敷いておくのが好ましい。樹脂製の濾過網は、網目を小さくできるが、強度が不足する。下側にパンチングプレートを敷いておけば、大きな固形物はパンチングプレートで取り除かれる。
【0017】
また、本発明の過剰間隙水排水構造は、マンホール構造物の周囲の地盤に発生した過剰間隙水を排水する過剰間隙水排水構造であって、マンホール構造物の底部に、この底部の内面から上下方向中間位置に至るようにあけられた上下方向の(例えば垂直又はほぼ垂直の)第1の孔と、前記第1の孔の底面部から前記底部の外面まで貫通するようにあけられた、前記第1の孔よりも小径の上下方向の(例えば垂直又はほぼ垂直の)第2の孔と、前記第2の孔内に圧入された濾過器と、前記濾過器に取り付けられた、上方に延びる排水管と、を備えたものである。この過剰間隙水排水構造は、例えば、周囲の地盤の凍結を行なうことなく、既設の構造物に簡単に構成することができる。
【0018】
同様に、濾過器は、下面に流入口を有する濾過器本体と、この濾過器本体から上方に延びる、止水バルブが設けられた接続パイプ部と、前記濾過器本体の外周に設けられたシール部材と、を備えたものとすることができる。シール部材が、濾過器本体と第2の孔との間で圧縮されるように、この濾過器本体を第2の孔内に圧入する。同様に、止水バルブは、接続パイプ部の流水路を開閉する。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明の過剰間隙水排水構造の構成方法を用いれば、既設のマンホール構造物に簡単に過剰間隙水排水構造を構成できる。また、本発明の過剰間隙水排水構造は、例えば、周囲の地盤の凍結を行なうことなく、既設の構造物に簡単に構成することができるものである。そして、本発明の濾過器は、本発明の過剰間隙水排水構造の構成方法や本発明の過剰間隙水排水構造に用いるのに適したものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る過剰間隙水排水構造を備えたマンホール構造物の構成又は本発明に係る過剰間隙水排水構造の構成方法が実施されたマンホール構造物の構成を示す図である。
【図2】濾過器部分の詳細を示す図である。
【図3】過剰間隙水排水構造の構成方法を示すフローである。
【図4】底部削孔工程を示す図であり、支持孔の形成を説明する図である。
【図5】底部削孔工程を示す図であり、コアカッターを鞘管内に配置した状態を説明する図である。
【図6】底部削孔工程を示す図であり、鞘管内に水を入れた状態を説明する図である。
【図7】底部削孔工程を示す図であり、取付孔の形成を説明する図である。
【図8】濾過器等設置工程を示す図であり、濾過器の取付孔内への取り付けを説明する図である。
【図9】濾過器等設置工程を示す図であり、インバートコンクリートの内面に形成されたガイド溝を説明する図である。
【図10】濾過器等設置工程を示す図であり、ガイドパイプをガイド溝内に納め、ガイド溝をコンクリートで塞いだ状態を説明する図である。
【図11】濾過器の構造を示す断面図である。
【図12】濾過器の別の取付態様を示す図である。
【図13】濾過器のさらに別の取付態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る過剰間隙水排水構造を備えたマンホール構造物の構成又は本発明に係る過剰間隙水排水構造の構成方法が実施されたマンホール構造物の構成を示す図、図2は濾過器部分の詳細を示す図である。
【0023】
マンホール構造物1は、基礎砕石3の上に底版ブロック5を載せ、この底版ブロック5上にマンホール本体7を設置して構成されていて、マンホール本体7は、底版ブロック5上に載せられた、下水管9が接続されている環状の管取付壁部11と、この管取付壁部11上に載せられた環状の直壁部13と、大径の下端開口部及び小径の上端開口部を有し、周方向一個所15が垂直に立ち上がるように形成された、直壁部13上に載せられている環状の斜壁部17と、この斜壁部17上に載せられた調整リング19と、この調整リング19上に載せられた鉄製の蓋受け枠21と、この蓋受け枠21に取り付けられたマンホール蓋23と、を有している。管取付壁部11内には、底版ブロック5上に載るように、インバートコンクリート25が収容され、このインバートコンクリート25には、上流側の下水管9に連なる上流側開口27から下流側の下水管9に連なる下流側開口29まで延びるように、断面半円形の流水溝31が設けられていて、この流水溝31は、上流側開口27及び下流側開口29の下側半分と一致するように形成されている。
【0024】
インバートコンクリート25には、流水溝31を挟んで一方側に、上面(内面)から底面(外面又は外側底面)まで貫通する大径(例えば直径約180mm)の操作孔33が形成され、底版ブロック5には、この操作孔(第1の孔)33の下側に、上面から底面まで貫通する小径(例えば直径約130mm)の取付孔(第2の孔)35が形成されている。操作孔33及び取付孔35内には濾過器37が配置されていて、取付孔35及び操作孔33を通過してマンホール本体7内に導かれる地下水は、この濾過器37を通る際に濾過されることとなる。濾過器37は、下面に流入口38(図11参照)を有する濾過器本体39と、この濾過器本体39に上方へ突出するように設けられた接続パイプ部41と、接続パイプ部41の流水路42(図11参照)を開閉できるように、この接続パイプ部41に設けられた、開閉操作をするための操作部(操作回転ハンドル)43を有する止水バルブ44と、濾過器本体39の外周に設けられた環状のシールリング(シール部材)45と、を備えていて、濾過器本体39が取付孔35内に固定され、接続パイプ部41が操作孔33内に位置するように、操作孔33及び取付孔35内に配置されている。濾過器本体39は、シールリング45により取付孔35との間が密封されるように、取付孔35内に押し込まれて固定され、接続パイプ部41の上端は、操作孔33の上端開口部46よりも下側に位置している。
【0025】
接続パイプ部41には、曲がり部を有するガイドパイプ(引き出し部)47が接続され、このガイドパイプ47は、接続パイプ部41から管取付壁部11内周面又は内周面近くに至り、あるいは、インバートコンクリート25外周面又は外周面近くに至り、そして、管取付壁部11内周面に沿って立ち上がるように曲げられていて、ガイドパイプ47の先端部49は、インバートコンクリート25の内面(上面)から突出しているが、ガイドパイプ47のその他の部分はインバートコンクリート25内に位置している。ガイドパイプ47の先端部49には誘導パイプ(本体部)51が接続され、この誘導パイプ51は、管取付壁部11内周面及び直壁部13内周面に沿って垂直上方に延びていて、誘導パイプ51の上端部は地下水位よりも上方に位置している。誘導パイプ51の上端部は水平方向を向くように屈曲し、誘導パイプ51の先端開口部53は、誘導パイプ51にヒンジ55を介して揺動可能に取り付けられた排水蓋(先端部蓋体)57により閉塞されているが、この排水蓋57は、誘導パイプ51内の水圧の上昇により揺動して誘導パイプ51の先端開口部53を開放する。なお、誘導パイプ51内の水圧が下がっても、排水蓋57は開放位置に保持されるように構成されていて、排水蓋57を閉塞位置に戻すには、排水蓋57を閉塞方向に回転させる必要がある。ヒンジ55としては、誘導パイプ51に設けられた一対のブラケットで、排水蓋57に設けられた支持ピンを回転可能に支持する構成のものを採用できる。
【0026】
インバートコンクリート25の操作孔33の上端開口部46は、嵌め込み蓋(底部蓋体)59で開放可能に塞がれていて、この嵌め込み蓋59はインバートコンクリート25の上面を形成している。
【0027】
このような構成のマンホール構造物1では、取付孔35及び操作孔33内に配置された濾過器37と、この濾過器37に接続されたガイドパイプ47と、このガイドパイプ47に接続された誘導パイプ51と、が過剰間隙水排水構造
61を構成しているが、地震によりマンホール構造物1の周囲の地盤が振動し、地盤に過剰間隙水が発生しても、過剰間隙水は、通水性を有する基礎砕石3を通過して濾過器37内を通り、濾過された状態で誘導パイプ51内を上昇し、排水蓋57を開放させてマンホール本体7内に放水され、下水管9内に流れ込む(矢印参照)。したがって、マンホール構造物1の周囲の地盤から過剰間隙水が排水されるので、地盤の液状化が阻止される。また、例えばマンホール構造物1自体を振動させることにより、マンホール構造物1の周囲の地盤を振動させて締め固める場合にも、地盤の振動により発生した過剰間隙水は、地震の際と同様に排水されるので、地盤の効果的な締め固めが達成され、地震の際の地盤の液状化が防止される。
【0028】
図3は過剰間隙水排水構造61の構成方法を示すフローである。
【0029】
過剰間隙水排水構造61の構成方法は、既存のマンホール構造物1に過剰間隙水排水構造61を構成する方法であり、まず、既存のマンホール構造物1の周囲の路面に必要なスペースを確保し、作業帯を設置したり、警備員を配置したりする(保安設備工程A)。次に、マンホール本体7内の堆積物や付着物を高圧水を吹き付けて除去する(マンホール洗浄工程B)。そして、マンホール構造物1のインバートコンクリート25及び底版ブロック5に支持孔(操作孔)33及び取付孔35をあける(底部削孔工程C)。最後に、濾過器37や誘導パイプ51などを設置する(濾過器等設置工程D)。なお、過剰間隙水排水構造61が完成したら、マンホール本体7に起振器を用いて振動を加えて周囲の地盤を締め固め(起振工程E)、その後、マンホール本体7の周壁から地盤内に注入材(例えばモルタル)を注入して周辺地盤の空隙を塞ぎ(空隙充填工程F)、マンホール構造物1又はマンホール本体7の浮き上がり対策を完了する。
【0030】
図4乃至図7は底部削孔工呈A(第1の工程乃至第4の工程)を示す図である。
【0031】
底部削孔工程Aでは、まず、支持孔33をインバートコンクリート25のどの位置に設けるかを決定する。支持孔33を設ける位置は、例えば、当該位置から鞘管を斜壁部19の上端開口部に当たらないように垂直に立てることができるような位置とする。支持孔33を設ける位置が決まったら、削孔機63をマンホール本体7内に設置し、予め定められた位置を削孔し、インバートコンクリート25を貫通する支持孔33を形成する(図4)。支持孔33を形成したら、削孔機63を取り外し、マンホール本体7内に、コアカッター65が差し込まれた状態の鞘管67を配置する。鞘管67は、例えば支持孔33の直径とほぼ等しい約180mmの外径と、約160mmの内径を有する複数の管部材を垂直に積み上げることにより構成され、最も下側の管部材(鋼管)は支持孔33内に差し込まれて固定され、最も上側の管部材は、マンホール本体7の上端開口から突出している。最も下側の管部材と支持孔33との間は密封されている。また、コアカッター65は、外径が約130mmのカッターヘッド69に延長ロッド71を接続したものであり、延長ロッド71は、ロッド部材を垂直に又は長さ方向に複数接続することにより構成され、最も上側のロッド部材は最も上側の管部材よりも上方に延びている。鞘管67内にコアカッター65を配置するには、例えば、最も下側の管部材を支持孔33内に固定したら、この管部材内にカッターヘッド69を入れ、このカッターヘッド69にロッド部材を1つ接続し、以後、管部材の積み上げに対応してロッド部材を接続していくといった方法を採用できる。そして、コアカッター65を有する鞘管67を配置できたら、コアカッター65の延長ロッド71の上端部を、地上に配置されたカッター駆動部73に接続する(図5)。次に、鞘管67内に水Wを入れる。水Wは、底版ブロック5に取付孔33をあけたときに地下水が流れ込み、取付孔33内に土砂等が入り込まないように、水面が地下水位よりも高くなるまで鞘管67内に注入される(図6)。鞘管67内に水Wを入れたら、カッター駆動部73を作動させてカッターヘッド69により、支持孔35の下側に、底版ブロック5を貫通する取付孔35を形成する(図7)。カッターヘッド69は鞘管67よりも小径である。
【0032】
図8乃至図10は濾過器等設置工程D(第5工程及び第6工程)を示す図である。
【0033】
底版ブロック5に取り付け孔35を形成したら、カッター駆動部73を延長ロッド71から取り外し、カッターヘッド69とともに延長ロッド71を鞘管67から引き抜く。そして、延長ロッド71に、カッターヘッド69に換えて濾過器37を接続し、延長ロッド71を、濾過器37側から鞘管67内に差し込む。このとき、濾過器37の止水バルブ44は閉状態としておく。延長ロッド71と濾過器37との接続は、適当な濾過器圧入ジョイントを用いることにより行われる。そして、延長ロッド71で濾過器37を押し、濾過器本体39を、外周のシールリング45が潰れて変形するように、取付孔35内に圧入する(図8)。濾過器37を取付孔35内に固定したら、ガイドパイプ47の引き出し方向に沿って、支持孔33から外周面に至るまで、インバートコンクリート25の内面(表面)を削ってガイド溝75を形成する(図9)。そして、ガイドパイプ47の一端部を濾過器37の接続パイプ部41に接続し、ガイドパイプ47がガイド溝75内を通ってインバートコンクリート25の外周に至り、ガイドパイプ41の先端部がインバートコンクリート25又はガイド溝75から上方に突出するように、ガイドパイプ47を配置する。ガイドパイプ47をガイド溝75内に配置したら、ガイド溝75を、コンクリートを流し込んで固めることにより塞ぐ(図10)。そして、インバートコンクリート25から上方に突出しているガイドパイプ47の先端部に誘導パイプ51を接続するとともに、操作孔33内に指又は回転用具を入れて操作部43を回転させ、止水バルブ44を通水状態又は開状態とし、支持孔(操作孔)33を、取り外し可能な嵌め込み蓋59で塞いでおく。
【0034】
図11は濾過器37の構造を示す断面図である。
【0035】
濾過器37の濾過器本体39は、上下両端開口の短い塩化ビニル製筒状体77と、この筒状体77の上端に配置された、中央に固定孔79が形成されている塩化ビニル製環状補強プレート81と、筒状体77の上側に、環状補強プレート81を覆うように被せられた、中央に固定孔79よりも大きい連通孔83が形成されている塩化ビニル製キャップ85と、筒状体77の下側に取り付けられた環状の塩化ビニル製集水部87と、筒状体77の外周に、キャップ85と集水部87との間で位置決めされて嵌め付けられた環状の水膨張ゴム製シールリング45と、を備えていて、集水部87は、筒状体77の下側に嵌め付けられた上側リング部89と、この上側リング部89の下端に一体的に形成され、筒状体77よりも下側で、縮径しながら下方に向かって延びる集水リング部91と、を有している。集水リング部91には、例えば周方向等間隔で、下端から上部に至る集水スリット93が形成されている。集水部87の集水リング部91及び筒状体77の下端開口は流入口38を構成している。シールリング45は、外周側に突出する3本の環状リップ部95を上側に有していて、それぞれの環状リップ部95の底面97は、上側に傾斜しながら外側に延び又は拡径している。なお、図中99は、キャップ85の外周に嵌め付けられたストッパリングであり、このストッパリング99の外径は取付孔35の内径よりも大きい。そして、濾過器37は、このストッパリング99が底版プレート5の内面又は上面に当接するまで取付孔35内に押し込まれる。
【0036】
集水部87の集水リング部91の上端内側には、環状の固定面101が内側に突出するように形成されていて、SUS製パンチングプレート103と、このパンチングプレート103の上面に重ねられたポリプロピレン製樹脂網105とが、外周部をこの固定面101と筒状体77の下端とで挟み付けられて、流入口38に配置されている。樹脂網105は網目ピッチが1.8mm×1.8mmであり、パンチングプレート103は穴径5mm、開口率50%以上に形成されている。
【0037】
接続パイプ部41は、筒状の本体部107と、この本体部107の下側内周に嵌め付けられた筒状の連通部109と、本体部107の上端部外周にねじ付けられたナット111と、を有している。本体部107の下端は、キャップ85の連通孔83内に位置して補強プレート81の固定孔79周囲に当接し、本体部107よりも下側に突出する連通部109の下端部は、補強プレート81の固定孔79を貫通してこの補強プレート81に固定されている。補強プレート81から下側に突出する連通部109の下端開口部には、ポリプロピレン製樹脂網105と同様の樹脂網113が被せられている。接続パイプ部41には止水ボールバルブ(止水バルブ)115が設けられていて、この止水ボールバルブ115は、連結部109よりも上側の流水路42内に配置されたボール117と、このボール117を回転させて、ボール117の貫通流路119を流水路42に一致させたり、流水路42をボール117で遮ったりする操作ハンドル121と、を有している。図11は、ボール117の貫通流路119と流水路42とが一致し、止水ボールバルブ115が開状態の場合を示している。
【0038】
濾過器本体39の筒状体77内には、下側の樹脂網105と上側の樹脂膜113との間でメサライト123が充填されている。
【0039】
本体部107の上端には割りリング125が配置されている。この割りリング125はテーパ状の外周面127を有し、このテーパ状の外周面127が、締め込まれるナット111の内周面129に押されて縮径し、割りリング125の内周に設けられた係合歯131が内側に移動するように構成されている。したがって、ナット111を緩めておき、ガイドパイプ47を、本体部107内にナット111を貫通させて差し込み、それから、ナット111を締め込むと、係合歯131がガイドパイプ47と係合し、ガイドパイプ47を抜け止めすることとなる(図11の状態)。なお、図中133は、ガイドパイプ47と本体部107との間を密封するパッキン、135は、このパッキン133とナット111との間に配置されたすべりリングである。
【0040】
図12乃至図13は濾過器37の別の取付態様を示す図である。
【0041】
支持孔をインバートコンクリートに垂直に形成すると、鞘管67が斜壁部19の上端開口部に当たってしまう場合などには、支持孔を垂直ではなく傾斜して形成することが必要となる。支持孔を傾斜して形成すれば、支持孔内に設けられた鞘管67も傾斜し、鞘管67の上端側をマンホール開口から支障なく突出させることができる場合も少なくない。図12では、支持孔137(33)をインバートコンクリート25の内面から垂直方向に対して傾斜して形成した場合(流水溝31を挟んで反対側に傾斜しながら上方に延びるように形成した場合)を示し、図13では、支持孔139(33)をインバートコンクリート141の流水溝143(31)側から垂直方向に対して傾斜して形成した場合(流水溝143の幅方向中央を挟んで反対側に傾斜しながら上方に延びるように形成した場合)を示している。図13では流水溝143の径はかなり大きい。ここでは、濾過器37を取付孔145(35)内に固定し、ガイド溝147(75)を形成し、ガイドパイプ149(47)を濾過器37に接続したら、止水ボールバルブ115を開操作し、支持孔139及びガイド溝147をコンクリートで埋めてしまう。したがって、過剰間隙水の流込路を閉じる必要がある場合に備えて、ガイドパイプ149の先端側に止水ボールバルブ115と同様の止水ボールバルブ151を設けている。なお、図12では、ガイドパイプ153をガイド溝内に埋め込むが、図1の場合と同様に、支持孔137は蓋で塞ぐだけとしておく。コアカッター65のカッターヘッド69は、自由に揺動できるように又はユニバーサルジョイントを介して接続ロッド部(カッターヘッド69から短く突出しているロッド部分)に取り付けられているので、延長ロッド71に対して垂直に近い傾斜状態に揺動して取付孔155(35)、145をあけていくこととなる。したがって、取付孔155、145の垂直方向からの傾きは、支持孔137、139の垂直方向からの傾きよりも小さくなっている。また、嵌め込み蓋59に代えて、蓋受け枠157と、この蓋受け枠157に嵌めj込まれる蓋159と、を有するものを、支持孔137の上端開口に配置し、支持孔137の上端開口を開閉できるようにしてもよい。
【0042】
なお、図1に示すものと同一の構成又は実質的に同一の構成のものには同一の符号を付すことを基本としているが、形状等が若干異なるものについては異なる符号を付している。図12及び図13で新たな符合が付された部分は、図1での対応する部分についての説明を参酌することによってより明確に理解できる。対応する部分の符号は基本的に括弧内に記載されている。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の過剰間隙水排水構造や濾過器及び過剰間隙水排水構造の構成方法は、地震発生時の地盤の液状化により浮き上がるおそれのあるマンホール構造物に適用できる。
【符号の説明】
【0044】
1 マンホール構造物
5 底版ブロック(底部)
25、141 インバートコンクリート(底部)
33、137、139 支持孔
35、145、155 取付孔
37 濾過器
47、149、153 ガイドパイプ(排水管)
51 誘導パイプ(排水管)
71 鞘管
W 水
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震対策としてマンホール構造物周囲の地盤を締め固める際に、あるいは、地震の際に、マンホール構造物周囲の地盤に発生する過剰間隙水を排水するための過剰間隙水排水構造、この過剰間隙水排水構造の構成方法及び過剰間隙水排水構造に用いるのに適した濾過器に関する。
【背景技術】
【0002】
地震により地盤が激しく振動すると地盤が液状化し、内部が空洞で比重が小さいマンホール構造物は、液状化した地盤からの浮力を受けて浮き上がるおそれがある。マンホール構造物が浮き上がると、マンホール構造物の上端側が道路の路面などから突出し、例えば、この突出したマンホール構造物の上端側に車両が衝突して大きな事故が引き起こされてしまう。
【0003】
地震の際のこのようなマンホール構造物の浮き上がりは、例えば特許文献1に記載されているように、地震によって液状化する地盤の過剰間隙水を排水する排水構造をマンホール構造物に設けることにより効果的に防止することができる。地震の際のマンホール構造物の浮き上がりは、また、例えば特許文献2に記載されているように、マンホール構造物周囲の地盤に振動を与えるとともに、マンホール構造物に設けた過剰間隙水の排水構造を介して、振動によって発生する過剰間隙水を排水し、マンホール周囲の地盤を締め固めることによっても効果的に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−63967号公報
【特許文献2】特開2009−263871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1や特許文献2の過剰間隙水排水構造では、マンホール構造物の周囲の地盤に発生した過剰間隙水は、マンホール構造物内に導かれ、マンホール構造物に接続されている下水管内に流されて排水されている。したがって、過剰間隙水のマンホール構造物内への入り口部分に、土砂などの流入を阻止する濾過器を設置するのが得策であるが、この濾過器は、下水管口部位置でマンホール側壁に配置されているので、濾過器を配置するに先立って、例えば周囲の地盤を凍結し、地下水のマンホール構造物内への浸入を防止する対策を施しておく必要がある。
【0006】
そこで本発明は、周囲の地盤を凍結することなく過剰間隙水排水構造を構成できる過剰間隙水排水構造の構成方法及び周囲の地盤を凍結することなく構成できる過剰間隙水排水構造の提供を目的とする。また、本発明は、過剰間隙水排水構造に用いるのに適した濾過器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するための本発明の過剰間隙水排水構造の構成方法は、マンホール構造物の周囲の地盤に発生した過剰間隙水を排水する過剰間隙水排水構造の構成方法であって、マンホール構造物の底部に、この底部の内面(あるいは上面)から上下方向中間位置に至る上下方向の(例えば垂直又はほぼ垂直の)支持孔をあける第1の工程と、下端部が前記支持孔内に密封的に差し込まれて上方に延びる(例えば垂直上方又はほぼ垂直上方に延びる)鞘管を、前記マンホール構造物内に設ける第2の工程と、前記鞘管内に液体を注入し、前記支持孔の底面部(あるいは下面部)に水圧をかける第3の工程と、前記鞘管内に入れられているドリルを駆動して、前記支持孔の底面部から前記底部の外面(下面)まで貫通する上下方向の(例えば垂直又はほぼ垂直の)取付孔をあける第4の工程と、前記ドリルを前記鞘管から取り出し、液体が収容されている前記鞘管内に濾過器を入れ、この濾過器を前記取付孔内に取り付ける第5の工程と、前記鞘管を前記支持孔から取り外し、前記濾過器に、上方に延びる排水管を取り付ける第6の工程と、を備えるものである。マンホール構造物の底部とは、マンホール構造物の底に位置し、流体通過性を有していない部分である。本発明では、マンホール構造物の底部に、濾過器を取り付けるための貫通孔を形成しても、鞘管内に注入された液体により、地下水がこの貫通孔からマンホール構造物内に流れ込むことはない。したがって、濾過器を取り付けるに際して、地下水のマンホール構造物内への流れ込みを防止するために、地盤を凍結させるといった工法は不必要となる。ドリルは、鞘管をマンホール構造物内に設ける際に鞘管内に入れることができる。あるいは、ドリルは、鞘管をマンホール構造物内に設けてから鞘管内に入れることができる。液体は、鞘管内にドリルを入れてから鞘管内に注入することができる。あるいは、液体は、鞘管内にドリルを入れる前に鞘管内に注入することができる。排水管は、マンホール構造物の内側に配置されることとなる。
【0008】
支持孔は取付孔よりも大径であるのが得策である。取付孔の形成が容易となる。
【0009】
第5の工程で、濾過器を、取付孔内にきつく押し込むことにより、取付孔内に取り付けることとすれば、濾過器の配置が簡単となる。
【0010】
排水管が、濾過器からマンホール構造物の内周面の近くまで延びる引き出し部と、この引き出し部の先端から内周面に沿って上方に延びる本体部と、を有していて、第6の工程が、引き出し部を底部の内面の下側に埋め込む工程を有していれば、過剰間隙水排水構造の構成後のマンホール構造物の内側形状が複雑とはならない。
【0011】
支持孔の上端開口部を底部蓋体で開放可能に閉塞する工程を備えていれば、マンホール構造物の底部内面形状がフラットなものとなる。
【0012】
排水管の先端開口部に、過剰間隙水の水圧により開放方向に揺動してこの先端開口部を開放する先端部蓋体を揺動自在に設けておけば、簡単な構成で、下水が地中に逆流するのを効果的に防止できる。
【0013】
濾過器は、下面に流入孔を有する濾過器本体と、この濾過器本体から上方に延びる、止水バルブが設けられた接続パイプ部と、を有し、この濾過器本体が取付孔内にきつく押し込まれることにより、取付孔内に取り付けられるものとすることができる。ここでは、濾過器本体の外周にシール部材を設けておき、このシール部材が、濾過器本体と取付孔との間で圧縮されるように、濾過器本体が取付孔内にきつく押し込まれるといったように構成できる。排水管は、接続パイプ部の先端側に接続される。止水バルブは、接続パイプ部の流水路を開閉する。
【0014】
シール部材の底面は、上方に傾斜しながら外側に延びるように形成されていることが好ましい。このように構成すれば、シール部材の外側への突出量を大きくしても、濾過器本体を取付孔内に押し込む際に押し込み抵抗が過大となることはない。
【0015】
濾過器本体の内部には濾過構造が形成されるが、この濾過構造は、流入孔位置に設けられた濾過網と、この濾過網の上に配置された、粗骨材(例えばメサライト)と、を有しているのが好ましい。濾過網で大きめの固形物が取り除かれ、メサライト等の粗骨材で小さな汚れを取り除く。
【0016】
濾過網を樹脂製とし、この濾過網の下側にパンチングプレートを敷いておくのが好ましい。樹脂製の濾過網は、網目を小さくできるが、強度が不足する。下側にパンチングプレートを敷いておけば、大きな固形物はパンチングプレートで取り除かれる。
【0017】
また、本発明の過剰間隙水排水構造は、マンホール構造物の周囲の地盤に発生した過剰間隙水を排水する過剰間隙水排水構造であって、マンホール構造物の底部に、この底部の内面から上下方向中間位置に至るようにあけられた上下方向の(例えば垂直又はほぼ垂直の)第1の孔と、前記第1の孔の底面部から前記底部の外面まで貫通するようにあけられた、前記第1の孔よりも小径の上下方向の(例えば垂直又はほぼ垂直の)第2の孔と、前記第2の孔内に圧入された濾過器と、前記濾過器に取り付けられた、上方に延びる排水管と、を備えたものである。この過剰間隙水排水構造は、例えば、周囲の地盤の凍結を行なうことなく、既設の構造物に簡単に構成することができる。
【0018】
同様に、濾過器は、下面に流入口を有する濾過器本体と、この濾過器本体から上方に延びる、止水バルブが設けられた接続パイプ部と、前記濾過器本体の外周に設けられたシール部材と、を備えたものとすることができる。シール部材が、濾過器本体と第2の孔との間で圧縮されるように、この濾過器本体を第2の孔内に圧入する。同様に、止水バルブは、接続パイプ部の流水路を開閉する。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明の過剰間隙水排水構造の構成方法を用いれば、既設のマンホール構造物に簡単に過剰間隙水排水構造を構成できる。また、本発明の過剰間隙水排水構造は、例えば、周囲の地盤の凍結を行なうことなく、既設の構造物に簡単に構成することができるものである。そして、本発明の濾過器は、本発明の過剰間隙水排水構造の構成方法や本発明の過剰間隙水排水構造に用いるのに適したものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る過剰間隙水排水構造を備えたマンホール構造物の構成又は本発明に係る過剰間隙水排水構造の構成方法が実施されたマンホール構造物の構成を示す図である。
【図2】濾過器部分の詳細を示す図である。
【図3】過剰間隙水排水構造の構成方法を示すフローである。
【図4】底部削孔工程を示す図であり、支持孔の形成を説明する図である。
【図5】底部削孔工程を示す図であり、コアカッターを鞘管内に配置した状態を説明する図である。
【図6】底部削孔工程を示す図であり、鞘管内に水を入れた状態を説明する図である。
【図7】底部削孔工程を示す図であり、取付孔の形成を説明する図である。
【図8】濾過器等設置工程を示す図であり、濾過器の取付孔内への取り付けを説明する図である。
【図9】濾過器等設置工程を示す図であり、インバートコンクリートの内面に形成されたガイド溝を説明する図である。
【図10】濾過器等設置工程を示す図であり、ガイドパイプをガイド溝内に納め、ガイド溝をコンクリートで塞いだ状態を説明する図である。
【図11】濾過器の構造を示す断面図である。
【図12】濾過器の別の取付態様を示す図である。
【図13】濾過器のさらに別の取付態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る過剰間隙水排水構造を備えたマンホール構造物の構成又は本発明に係る過剰間隙水排水構造の構成方法が実施されたマンホール構造物の構成を示す図、図2は濾過器部分の詳細を示す図である。
【0023】
マンホール構造物1は、基礎砕石3の上に底版ブロック5を載せ、この底版ブロック5上にマンホール本体7を設置して構成されていて、マンホール本体7は、底版ブロック5上に載せられた、下水管9が接続されている環状の管取付壁部11と、この管取付壁部11上に載せられた環状の直壁部13と、大径の下端開口部及び小径の上端開口部を有し、周方向一個所15が垂直に立ち上がるように形成された、直壁部13上に載せられている環状の斜壁部17と、この斜壁部17上に載せられた調整リング19と、この調整リング19上に載せられた鉄製の蓋受け枠21と、この蓋受け枠21に取り付けられたマンホール蓋23と、を有している。管取付壁部11内には、底版ブロック5上に載るように、インバートコンクリート25が収容され、このインバートコンクリート25には、上流側の下水管9に連なる上流側開口27から下流側の下水管9に連なる下流側開口29まで延びるように、断面半円形の流水溝31が設けられていて、この流水溝31は、上流側開口27及び下流側開口29の下側半分と一致するように形成されている。
【0024】
インバートコンクリート25には、流水溝31を挟んで一方側に、上面(内面)から底面(外面又は外側底面)まで貫通する大径(例えば直径約180mm)の操作孔33が形成され、底版ブロック5には、この操作孔(第1の孔)33の下側に、上面から底面まで貫通する小径(例えば直径約130mm)の取付孔(第2の孔)35が形成されている。操作孔33及び取付孔35内には濾過器37が配置されていて、取付孔35及び操作孔33を通過してマンホール本体7内に導かれる地下水は、この濾過器37を通る際に濾過されることとなる。濾過器37は、下面に流入口38(図11参照)を有する濾過器本体39と、この濾過器本体39に上方へ突出するように設けられた接続パイプ部41と、接続パイプ部41の流水路42(図11参照)を開閉できるように、この接続パイプ部41に設けられた、開閉操作をするための操作部(操作回転ハンドル)43を有する止水バルブ44と、濾過器本体39の外周に設けられた環状のシールリング(シール部材)45と、を備えていて、濾過器本体39が取付孔35内に固定され、接続パイプ部41が操作孔33内に位置するように、操作孔33及び取付孔35内に配置されている。濾過器本体39は、シールリング45により取付孔35との間が密封されるように、取付孔35内に押し込まれて固定され、接続パイプ部41の上端は、操作孔33の上端開口部46よりも下側に位置している。
【0025】
接続パイプ部41には、曲がり部を有するガイドパイプ(引き出し部)47が接続され、このガイドパイプ47は、接続パイプ部41から管取付壁部11内周面又は内周面近くに至り、あるいは、インバートコンクリート25外周面又は外周面近くに至り、そして、管取付壁部11内周面に沿って立ち上がるように曲げられていて、ガイドパイプ47の先端部49は、インバートコンクリート25の内面(上面)から突出しているが、ガイドパイプ47のその他の部分はインバートコンクリート25内に位置している。ガイドパイプ47の先端部49には誘導パイプ(本体部)51が接続され、この誘導パイプ51は、管取付壁部11内周面及び直壁部13内周面に沿って垂直上方に延びていて、誘導パイプ51の上端部は地下水位よりも上方に位置している。誘導パイプ51の上端部は水平方向を向くように屈曲し、誘導パイプ51の先端開口部53は、誘導パイプ51にヒンジ55を介して揺動可能に取り付けられた排水蓋(先端部蓋体)57により閉塞されているが、この排水蓋57は、誘導パイプ51内の水圧の上昇により揺動して誘導パイプ51の先端開口部53を開放する。なお、誘導パイプ51内の水圧が下がっても、排水蓋57は開放位置に保持されるように構成されていて、排水蓋57を閉塞位置に戻すには、排水蓋57を閉塞方向に回転させる必要がある。ヒンジ55としては、誘導パイプ51に設けられた一対のブラケットで、排水蓋57に設けられた支持ピンを回転可能に支持する構成のものを採用できる。
【0026】
インバートコンクリート25の操作孔33の上端開口部46は、嵌め込み蓋(底部蓋体)59で開放可能に塞がれていて、この嵌め込み蓋59はインバートコンクリート25の上面を形成している。
【0027】
このような構成のマンホール構造物1では、取付孔35及び操作孔33内に配置された濾過器37と、この濾過器37に接続されたガイドパイプ47と、このガイドパイプ47に接続された誘導パイプ51と、が過剰間隙水排水構造
61を構成しているが、地震によりマンホール構造物1の周囲の地盤が振動し、地盤に過剰間隙水が発生しても、過剰間隙水は、通水性を有する基礎砕石3を通過して濾過器37内を通り、濾過された状態で誘導パイプ51内を上昇し、排水蓋57を開放させてマンホール本体7内に放水され、下水管9内に流れ込む(矢印参照)。したがって、マンホール構造物1の周囲の地盤から過剰間隙水が排水されるので、地盤の液状化が阻止される。また、例えばマンホール構造物1自体を振動させることにより、マンホール構造物1の周囲の地盤を振動させて締め固める場合にも、地盤の振動により発生した過剰間隙水は、地震の際と同様に排水されるので、地盤の効果的な締め固めが達成され、地震の際の地盤の液状化が防止される。
【0028】
図3は過剰間隙水排水構造61の構成方法を示すフローである。
【0029】
過剰間隙水排水構造61の構成方法は、既存のマンホール構造物1に過剰間隙水排水構造61を構成する方法であり、まず、既存のマンホール構造物1の周囲の路面に必要なスペースを確保し、作業帯を設置したり、警備員を配置したりする(保安設備工程A)。次に、マンホール本体7内の堆積物や付着物を高圧水を吹き付けて除去する(マンホール洗浄工程B)。そして、マンホール構造物1のインバートコンクリート25及び底版ブロック5に支持孔(操作孔)33及び取付孔35をあける(底部削孔工程C)。最後に、濾過器37や誘導パイプ51などを設置する(濾過器等設置工程D)。なお、過剰間隙水排水構造61が完成したら、マンホール本体7に起振器を用いて振動を加えて周囲の地盤を締め固め(起振工程E)、その後、マンホール本体7の周壁から地盤内に注入材(例えばモルタル)を注入して周辺地盤の空隙を塞ぎ(空隙充填工程F)、マンホール構造物1又はマンホール本体7の浮き上がり対策を完了する。
【0030】
図4乃至図7は底部削孔工呈A(第1の工程乃至第4の工程)を示す図である。
【0031】
底部削孔工程Aでは、まず、支持孔33をインバートコンクリート25のどの位置に設けるかを決定する。支持孔33を設ける位置は、例えば、当該位置から鞘管を斜壁部19の上端開口部に当たらないように垂直に立てることができるような位置とする。支持孔33を設ける位置が決まったら、削孔機63をマンホール本体7内に設置し、予め定められた位置を削孔し、インバートコンクリート25を貫通する支持孔33を形成する(図4)。支持孔33を形成したら、削孔機63を取り外し、マンホール本体7内に、コアカッター65が差し込まれた状態の鞘管67を配置する。鞘管67は、例えば支持孔33の直径とほぼ等しい約180mmの外径と、約160mmの内径を有する複数の管部材を垂直に積み上げることにより構成され、最も下側の管部材(鋼管)は支持孔33内に差し込まれて固定され、最も上側の管部材は、マンホール本体7の上端開口から突出している。最も下側の管部材と支持孔33との間は密封されている。また、コアカッター65は、外径が約130mmのカッターヘッド69に延長ロッド71を接続したものであり、延長ロッド71は、ロッド部材を垂直に又は長さ方向に複数接続することにより構成され、最も上側のロッド部材は最も上側の管部材よりも上方に延びている。鞘管67内にコアカッター65を配置するには、例えば、最も下側の管部材を支持孔33内に固定したら、この管部材内にカッターヘッド69を入れ、このカッターヘッド69にロッド部材を1つ接続し、以後、管部材の積み上げに対応してロッド部材を接続していくといった方法を採用できる。そして、コアカッター65を有する鞘管67を配置できたら、コアカッター65の延長ロッド71の上端部を、地上に配置されたカッター駆動部73に接続する(図5)。次に、鞘管67内に水Wを入れる。水Wは、底版ブロック5に取付孔33をあけたときに地下水が流れ込み、取付孔33内に土砂等が入り込まないように、水面が地下水位よりも高くなるまで鞘管67内に注入される(図6)。鞘管67内に水Wを入れたら、カッター駆動部73を作動させてカッターヘッド69により、支持孔35の下側に、底版ブロック5を貫通する取付孔35を形成する(図7)。カッターヘッド69は鞘管67よりも小径である。
【0032】
図8乃至図10は濾過器等設置工程D(第5工程及び第6工程)を示す図である。
【0033】
底版ブロック5に取り付け孔35を形成したら、カッター駆動部73を延長ロッド71から取り外し、カッターヘッド69とともに延長ロッド71を鞘管67から引き抜く。そして、延長ロッド71に、カッターヘッド69に換えて濾過器37を接続し、延長ロッド71を、濾過器37側から鞘管67内に差し込む。このとき、濾過器37の止水バルブ44は閉状態としておく。延長ロッド71と濾過器37との接続は、適当な濾過器圧入ジョイントを用いることにより行われる。そして、延長ロッド71で濾過器37を押し、濾過器本体39を、外周のシールリング45が潰れて変形するように、取付孔35内に圧入する(図8)。濾過器37を取付孔35内に固定したら、ガイドパイプ47の引き出し方向に沿って、支持孔33から外周面に至るまで、インバートコンクリート25の内面(表面)を削ってガイド溝75を形成する(図9)。そして、ガイドパイプ47の一端部を濾過器37の接続パイプ部41に接続し、ガイドパイプ47がガイド溝75内を通ってインバートコンクリート25の外周に至り、ガイドパイプ41の先端部がインバートコンクリート25又はガイド溝75から上方に突出するように、ガイドパイプ47を配置する。ガイドパイプ47をガイド溝75内に配置したら、ガイド溝75を、コンクリートを流し込んで固めることにより塞ぐ(図10)。そして、インバートコンクリート25から上方に突出しているガイドパイプ47の先端部に誘導パイプ51を接続するとともに、操作孔33内に指又は回転用具を入れて操作部43を回転させ、止水バルブ44を通水状態又は開状態とし、支持孔(操作孔)33を、取り外し可能な嵌め込み蓋59で塞いでおく。
【0034】
図11は濾過器37の構造を示す断面図である。
【0035】
濾過器37の濾過器本体39は、上下両端開口の短い塩化ビニル製筒状体77と、この筒状体77の上端に配置された、中央に固定孔79が形成されている塩化ビニル製環状補強プレート81と、筒状体77の上側に、環状補強プレート81を覆うように被せられた、中央に固定孔79よりも大きい連通孔83が形成されている塩化ビニル製キャップ85と、筒状体77の下側に取り付けられた環状の塩化ビニル製集水部87と、筒状体77の外周に、キャップ85と集水部87との間で位置決めされて嵌め付けられた環状の水膨張ゴム製シールリング45と、を備えていて、集水部87は、筒状体77の下側に嵌め付けられた上側リング部89と、この上側リング部89の下端に一体的に形成され、筒状体77よりも下側で、縮径しながら下方に向かって延びる集水リング部91と、を有している。集水リング部91には、例えば周方向等間隔で、下端から上部に至る集水スリット93が形成されている。集水部87の集水リング部91及び筒状体77の下端開口は流入口38を構成している。シールリング45は、外周側に突出する3本の環状リップ部95を上側に有していて、それぞれの環状リップ部95の底面97は、上側に傾斜しながら外側に延び又は拡径している。なお、図中99は、キャップ85の外周に嵌め付けられたストッパリングであり、このストッパリング99の外径は取付孔35の内径よりも大きい。そして、濾過器37は、このストッパリング99が底版プレート5の内面又は上面に当接するまで取付孔35内に押し込まれる。
【0036】
集水部87の集水リング部91の上端内側には、環状の固定面101が内側に突出するように形成されていて、SUS製パンチングプレート103と、このパンチングプレート103の上面に重ねられたポリプロピレン製樹脂網105とが、外周部をこの固定面101と筒状体77の下端とで挟み付けられて、流入口38に配置されている。樹脂網105は網目ピッチが1.8mm×1.8mmであり、パンチングプレート103は穴径5mm、開口率50%以上に形成されている。
【0037】
接続パイプ部41は、筒状の本体部107と、この本体部107の下側内周に嵌め付けられた筒状の連通部109と、本体部107の上端部外周にねじ付けられたナット111と、を有している。本体部107の下端は、キャップ85の連通孔83内に位置して補強プレート81の固定孔79周囲に当接し、本体部107よりも下側に突出する連通部109の下端部は、補強プレート81の固定孔79を貫通してこの補強プレート81に固定されている。補強プレート81から下側に突出する連通部109の下端開口部には、ポリプロピレン製樹脂網105と同様の樹脂網113が被せられている。接続パイプ部41には止水ボールバルブ(止水バルブ)115が設けられていて、この止水ボールバルブ115は、連結部109よりも上側の流水路42内に配置されたボール117と、このボール117を回転させて、ボール117の貫通流路119を流水路42に一致させたり、流水路42をボール117で遮ったりする操作ハンドル121と、を有している。図11は、ボール117の貫通流路119と流水路42とが一致し、止水ボールバルブ115が開状態の場合を示している。
【0038】
濾過器本体39の筒状体77内には、下側の樹脂網105と上側の樹脂膜113との間でメサライト123が充填されている。
【0039】
本体部107の上端には割りリング125が配置されている。この割りリング125はテーパ状の外周面127を有し、このテーパ状の外周面127が、締め込まれるナット111の内周面129に押されて縮径し、割りリング125の内周に設けられた係合歯131が内側に移動するように構成されている。したがって、ナット111を緩めておき、ガイドパイプ47を、本体部107内にナット111を貫通させて差し込み、それから、ナット111を締め込むと、係合歯131がガイドパイプ47と係合し、ガイドパイプ47を抜け止めすることとなる(図11の状態)。なお、図中133は、ガイドパイプ47と本体部107との間を密封するパッキン、135は、このパッキン133とナット111との間に配置されたすべりリングである。
【0040】
図12乃至図13は濾過器37の別の取付態様を示す図である。
【0041】
支持孔をインバートコンクリートに垂直に形成すると、鞘管67が斜壁部19の上端開口部に当たってしまう場合などには、支持孔を垂直ではなく傾斜して形成することが必要となる。支持孔を傾斜して形成すれば、支持孔内に設けられた鞘管67も傾斜し、鞘管67の上端側をマンホール開口から支障なく突出させることができる場合も少なくない。図12では、支持孔137(33)をインバートコンクリート25の内面から垂直方向に対して傾斜して形成した場合(流水溝31を挟んで反対側に傾斜しながら上方に延びるように形成した場合)を示し、図13では、支持孔139(33)をインバートコンクリート141の流水溝143(31)側から垂直方向に対して傾斜して形成した場合(流水溝143の幅方向中央を挟んで反対側に傾斜しながら上方に延びるように形成した場合)を示している。図13では流水溝143の径はかなり大きい。ここでは、濾過器37を取付孔145(35)内に固定し、ガイド溝147(75)を形成し、ガイドパイプ149(47)を濾過器37に接続したら、止水ボールバルブ115を開操作し、支持孔139及びガイド溝147をコンクリートで埋めてしまう。したがって、過剰間隙水の流込路を閉じる必要がある場合に備えて、ガイドパイプ149の先端側に止水ボールバルブ115と同様の止水ボールバルブ151を設けている。なお、図12では、ガイドパイプ153をガイド溝内に埋め込むが、図1の場合と同様に、支持孔137は蓋で塞ぐだけとしておく。コアカッター65のカッターヘッド69は、自由に揺動できるように又はユニバーサルジョイントを介して接続ロッド部(カッターヘッド69から短く突出しているロッド部分)に取り付けられているので、延長ロッド71に対して垂直に近い傾斜状態に揺動して取付孔155(35)、145をあけていくこととなる。したがって、取付孔155、145の垂直方向からの傾きは、支持孔137、139の垂直方向からの傾きよりも小さくなっている。また、嵌め込み蓋59に代えて、蓋受け枠157と、この蓋受け枠157に嵌めj込まれる蓋159と、を有するものを、支持孔137の上端開口に配置し、支持孔137の上端開口を開閉できるようにしてもよい。
【0042】
なお、図1に示すものと同一の構成又は実質的に同一の構成のものには同一の符号を付すことを基本としているが、形状等が若干異なるものについては異なる符号を付している。図12及び図13で新たな符合が付された部分は、図1での対応する部分についての説明を参酌することによってより明確に理解できる。対応する部分の符号は基本的に括弧内に記載されている。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の過剰間隙水排水構造や濾過器及び過剰間隙水排水構造の構成方法は、地震発生時の地盤の液状化により浮き上がるおそれのあるマンホール構造物に適用できる。
【符号の説明】
【0044】
1 マンホール構造物
5 底版ブロック(底部)
25、141 インバートコンクリート(底部)
33、137、139 支持孔
35、145、155 取付孔
37 濾過器
47、149、153 ガイドパイプ(排水管)
51 誘導パイプ(排水管)
71 鞘管
W 水
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホール構造物の周囲の地盤に発生した過剰間隙水を排水する過剰間隙水排水構造の構成方法であって、
マンホール構造物の底部に、この底部の内面から上下方向中間位置に至る上下方向の支持孔をあける第1の工程と、
下端部が前記支持孔内に密封的に差し込まれて上方に延びる鞘管を、前記マンホール構造物内に設ける第2の工程と、
前記鞘管内に液体を注入し、前記支持孔の底面部に水圧をかける第3の工程と、
前記鞘管内に入れられているドリルを駆動して、前記支持孔の底面部から前記底部の外面まで貫通する上下方向の取付孔をあける第4の工程と、
前記ドリルを前記鞘管から取り出し、液体が収容されている前記鞘管内に濾過器を入れ、この濾過器を前記取付孔内に取り付ける第5の工程と、
前記鞘管を前記支持孔から取り外し、前記濾過器に、上方に延びる排水管を取り付ける第6の工程と、を備えることを特徴とする過剰間隙水排水構造の構成方法。
【請求項2】
前記支持孔は前記取付孔よりも大径である、ことを特徴とする請求項1記載の過剰間隙水排水構造の構成方法。
【請求項3】
前記第5の工程では、前記濾過器を、前記取付孔内にきつく押し込むことにより、前記取付孔内に取り付ける、ことを特徴とする請求項1又は2記載の過剰間隙水排水構造の構成方法。
【請求項4】
前記排水管は、前記濾過器から前記マンホール構造物の内周面の近くまで延びる引き出し部と、この引き出し部の先端から前記内周面に沿って上方に延びる本体部と、を有していて、
前記第6の工程は、前記引き出し部を前記底部の前記内面の下側に埋め込む工程を有している、ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の過剰間隙水排水構造の構成方法。
【請求項5】
前記支持孔の上端開口部を底部蓋体で開放可能に閉塞する工程を備えている、ことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の過剰間隙水排水構造の構成方法。
【請求項6】
前記排水管の先端開口部には、過剰間隙水の水圧により開放方向に揺動してこの先端開口部を開放する先端部蓋体が揺動自在に設けられている、ことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の過剰間隙水排水構造の構成方法。
【請求項7】
前記濾過器は、下面に流入孔を有する濾過器本体と、この濾過器本体から上方に延びる、止水バルブが設けられた接続パイプ部と、を有し、この濾過器本体が前記取付孔内にきつく押し込まれることにより、前記取付孔内に取り付けられていて、
前記排水管は、前記接続パイプ部の先端側に接続されている、ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の過剰間隙水排水構造の構成方法。
【請求項8】
前記濾過器本体の外周にはシール部材が設けられ、このシール部材が、前記濾過器本体と前記取付孔との間で圧縮されるように、前記濾過器本体を前記取付孔内にきつく押し込む、ことを特徴とする請求項7記載の過剰間隙水排水構造の構成方法。
【請求項9】
前記シール部材の底面は、上方に傾斜しながら外側に延びるように形成されている、ことを特徴とする請求項8記載の過剰間隙水排水構造の構成方法。
【請求項10】
前記濾過器本体の内部には、前記流入孔位置に濾過網が設けられ、この濾過網の上に粗骨材が配置されている、ことを特徴とする請求項7、8又は9記載の過剰間隙水排水構造の構成方法。
【請求項11】
前記濾過網は樹脂製であり、この濾過網の下側にパンチングプレートが敷かれている、ことを特徴とする請求項10記載の過剰間隙水排水構造の構成方法。
【請求項12】
マンホール構造物の周囲の地盤に発生した過剰間隙水を排水する過剰間隙水排水構造であって、
マンホール構造物の底部に、この底部の内面から上下方向中間位置に至るようにあけられた上下方向の第1の孔と、
前記第1の孔の底面部から前記底部の外面まで貫通するようにあけられた、前記第1の孔よりも小径の上下方向の第2の孔と、
前記第2の孔内に圧入された濾過器と、
前記濾過器に取り付けられた、上方に延びる排水管と、を備えたことを特徴とする過剰間隙水排水構造。
【請求項13】
請求項12記載の過剰間隙水排水構造に使用する濾過器であって、
下面に流入口を有する濾過器本体と、この濾過器本体から上方に延びる、止水バルブが設けられた接続パイプ部と、前記濾過器本体の外周に設けられたシール部材と、を備え、
前記シール部材が、前記濾過器本体と前記第2の孔との間で圧縮されるように、前記濾過器本体は、前記第2の孔内に圧入されるように構成されている、ことを特徴とする濾過器。
【請求項1】
マンホール構造物の周囲の地盤に発生した過剰間隙水を排水する過剰間隙水排水構造の構成方法であって、
マンホール構造物の底部に、この底部の内面から上下方向中間位置に至る上下方向の支持孔をあける第1の工程と、
下端部が前記支持孔内に密封的に差し込まれて上方に延びる鞘管を、前記マンホール構造物内に設ける第2の工程と、
前記鞘管内に液体を注入し、前記支持孔の底面部に水圧をかける第3の工程と、
前記鞘管内に入れられているドリルを駆動して、前記支持孔の底面部から前記底部の外面まで貫通する上下方向の取付孔をあける第4の工程と、
前記ドリルを前記鞘管から取り出し、液体が収容されている前記鞘管内に濾過器を入れ、この濾過器を前記取付孔内に取り付ける第5の工程と、
前記鞘管を前記支持孔から取り外し、前記濾過器に、上方に延びる排水管を取り付ける第6の工程と、を備えることを特徴とする過剰間隙水排水構造の構成方法。
【請求項2】
前記支持孔は前記取付孔よりも大径である、ことを特徴とする請求項1記載の過剰間隙水排水構造の構成方法。
【請求項3】
前記第5の工程では、前記濾過器を、前記取付孔内にきつく押し込むことにより、前記取付孔内に取り付ける、ことを特徴とする請求項1又は2記載の過剰間隙水排水構造の構成方法。
【請求項4】
前記排水管は、前記濾過器から前記マンホール構造物の内周面の近くまで延びる引き出し部と、この引き出し部の先端から前記内周面に沿って上方に延びる本体部と、を有していて、
前記第6の工程は、前記引き出し部を前記底部の前記内面の下側に埋め込む工程を有している、ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の過剰間隙水排水構造の構成方法。
【請求項5】
前記支持孔の上端開口部を底部蓋体で開放可能に閉塞する工程を備えている、ことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の過剰間隙水排水構造の構成方法。
【請求項6】
前記排水管の先端開口部には、過剰間隙水の水圧により開放方向に揺動してこの先端開口部を開放する先端部蓋体が揺動自在に設けられている、ことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の過剰間隙水排水構造の構成方法。
【請求項7】
前記濾過器は、下面に流入孔を有する濾過器本体と、この濾過器本体から上方に延びる、止水バルブが設けられた接続パイプ部と、を有し、この濾過器本体が前記取付孔内にきつく押し込まれることにより、前記取付孔内に取り付けられていて、
前記排水管は、前記接続パイプ部の先端側に接続されている、ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の過剰間隙水排水構造の構成方法。
【請求項8】
前記濾過器本体の外周にはシール部材が設けられ、このシール部材が、前記濾過器本体と前記取付孔との間で圧縮されるように、前記濾過器本体を前記取付孔内にきつく押し込む、ことを特徴とする請求項7記載の過剰間隙水排水構造の構成方法。
【請求項9】
前記シール部材の底面は、上方に傾斜しながら外側に延びるように形成されている、ことを特徴とする請求項8記載の過剰間隙水排水構造の構成方法。
【請求項10】
前記濾過器本体の内部には、前記流入孔位置に濾過網が設けられ、この濾過網の上に粗骨材が配置されている、ことを特徴とする請求項7、8又は9記載の過剰間隙水排水構造の構成方法。
【請求項11】
前記濾過網は樹脂製であり、この濾過網の下側にパンチングプレートが敷かれている、ことを特徴とする請求項10記載の過剰間隙水排水構造の構成方法。
【請求項12】
マンホール構造物の周囲の地盤に発生した過剰間隙水を排水する過剰間隙水排水構造であって、
マンホール構造物の底部に、この底部の内面から上下方向中間位置に至るようにあけられた上下方向の第1の孔と、
前記第1の孔の底面部から前記底部の外面まで貫通するようにあけられた、前記第1の孔よりも小径の上下方向の第2の孔と、
前記第2の孔内に圧入された濾過器と、
前記濾過器に取り付けられた、上方に延びる排水管と、を備えたことを特徴とする過剰間隙水排水構造。
【請求項13】
請求項12記載の過剰間隙水排水構造に使用する濾過器であって、
下面に流入口を有する濾過器本体と、この濾過器本体から上方に延びる、止水バルブが設けられた接続パイプ部と、前記濾過器本体の外周に設けられたシール部材と、を備え、
前記シール部材が、前記濾過器本体と前記第2の孔との間で圧縮されるように、前記濾過器本体は、前記第2の孔内に圧入されるように構成されている、ことを特徴とする濾過器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−246682(P2012−246682A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119574(P2011−119574)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(592185666)管清工業株式会社 (12)
【出願人】(000201582)前澤化成工業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(592185666)管清工業株式会社 (12)
【出願人】(000201582)前澤化成工業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
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