説明

過圧の解消が可能な噴射容器及びそのバルブアセンブリ

【課題】動作信頼度に優れた過圧解消メカニズムと組立信頼度が向上した密封メカニズムを実現する。
【解決手段】噴射容器は、内容物の収容空間を形成するハウジングと、中央に形成される突出部122を備え、ハウジングの上端に結合されるマウンティングカップ120と、これに係止され、内部に収容空間に連通する中空部222が形成されるステムハウジング220と、摺動により中空部222に選択的に連通するバルブステム210と、突出部122の下端とステムハウジング220の外周面間を密封する下端シール部270と、これの上側に位置し、突出部122の内側面を貫通する貫通孔124と、一端は中空部222に連結され、他端はハウジングの側面に向かい、収容空間の圧力により開閉される過圧防止バルブ250と、これの開放により、過圧防止バルブ250の一端と貫通孔124とを連通して内容物を排出する排出流路部260と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マウンティングカップとバルブアセンブリの密封メカニズム、及び噴射容器の過圧解消メカニズムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、噴射容器とは、噴射する内容物(流体またはガス)をハウジングの内部に密封した状態で、内圧を利用して内容物を外部に噴射できるようにした容器をいう。このような噴射容器の代表的な例としては、携帯用ガス容器、殺虫スプレー、ヘアスプレー、携帯用エアゾール消火器、ガスライター容器などがある。
通常、噴射容器は、内容物を充填するためのハウジング(缶)と、前記ハウジングの上端に固定されるマウンティングカップと、前記マウンティングカップの中央突出部に固定されるバルブアセンブリとを含む形態となっている。前記バルブアセンブリは、前記噴射容器の未使用時は密閉された状態を維持し、使用時にのみ内容物が流出するようにする。
【0003】
前記噴射容器は、使用中または保管中、熱的、機械的、または化学的な理由で過圧状態に至ることがあり、前記バルブアセンブリの密封メカニズムに関連して、過圧による誤動作や爆発などが発生する前に過圧を解消する手法が考えられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、従来とは異なる形態の密封メカニズム及び過圧解消メカニズムを備える噴射容器及びそのバルブアセンブリを提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、より動作信頼度に優れ、噴射容器の作動を維持しつつ過圧を解消することのできる過圧解消メカニズムを提供することにある。
【0005】
本発明のさらに他の目的は、マウンティングカップに固定されるバルブアセンブリの密封構造を改善することにより、バルブアセンブリの組立信頼度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様による噴射容器は、内容物の収容空間を形成するハウジングと、中央に形成される突出部、及び前記突出部の内側面から突出する係止突起を備え、前記ハウジングの上端に結合されるマウンティングカップと、少なくとも一部が前記係止突起に係止され、内部に前記収容空間に連通する中空部が形成されるステムハウジングと、前記中空部に摺動可能に配置され、前記摺動により前記中空部に選択的に連通するオリフィスを備えるバルブステムと、前記係止突起の下側に位置し、前記突出部の下端と前記ステムハウジングの外周面間を密封する下端シール部と、前記下端シール部の上側に位置し、前記突出部の内側面を貫通する少なくとも1つの貫通孔と、一端は前記中空部に連結され、他端は前記ハウジングの側面に向かい、前記収容空間の圧力により開閉される過圧防止バルブと、前記過圧防止バルブが開放されると前記内容物を排出するように、前記過圧防止バルブの一端と前記貫通孔とを連通する排出流路部とを含む。
【0007】
本発明に係る一例によれば、前記噴射容器は、開閉部材及びマウント部材を含む。前記開閉部材は、前記中空部に配置され、前記バルブステムの摺動と連動して前記オリフィスを開閉するように弾性変形する。前記マウント部材は、前記排出流路部が形成されるように前記中空部で前記バルブステムを囲み、一端部が前記突出部の上端を支持して他端部が前記開閉部材を支持するように形成される。
【0008】
本発明に係る他の一例によれば、排出される内容物が前記貫通孔へ流動するように、前記マウント部材の一端部には、前記突出部の内側面に向かって突出する流動ガイドが形成される。前記流動ガイド及び前記貫通孔は、それぞれ複数備えられ、前記マウント部材の外周及び前記突出部の外周に沿って特定の間隔で配置される。
本発明に係るさらに他の一例によれば、前記下端シール部は、突出枠部及びOリングを含む。前記突出枠部は、前記ステムハウジングから半径方向に突出形成され、前記Oリングは、前記突出部の下端と前記突出枠部との間に圧縮された状態で固定される。前記突出枠部は、前記過圧防止バルブと連結され、前記突出枠部の上面には、前記Oリングが載置されるように湾曲面が形成される。
【0009】
本発明に係るさらに他の一例によれば、前記過圧防止バルブは、第1ボディ、第2ボディ、及び弾性部材を含む。前記第1ボディは、前記ステムハウジングから前記バルブステムの摺動方向に対して垂直に突出し、前記中空部に連通する内部空間を備える。前記第2ボディは、前記第1ボディに結合されて前記第1ボディの突出方向に延び、前記収容空間に連通する開口を備える。前記弾性部材は、前記開口を閉塞する閉塞部材を付勢する。
【0010】
本発明に係るさらに他の一例によれば、前記噴射容器は調節部を含む。前記調節部は、前記第1ボディと前記第2ボディの少なくとも一方に配置され、前記弾性部材の初期弾性力を調節する。前記調節部は、収容部及び螺合部を含む。前記収容部は、前記第2ボディに形成され、前記第1ボディの少なくとも一部を収容するか、または前記第1ボディの内部空間に挿入される。前記螺合部は、前記第2ボディが回転すると前記第2ボディが前記第1ボディに沿って移動するように、前記収容部と前記第1ボディを螺合する。
【0011】
本発明に係るさらに他の一例によれば、前記第1ボディには、外周に沿って溝が形成され、前記第2ボディには、前記溝に係止されるようにフックが備えられ、前記溝と前記フックとの間には、前記第1ボディと前記第2ボディとの間が密封されるように密封部材が装着される。
本発明に係るさらに他の一例によれば、前記ステムハウジングは、前記バルブステムと平行に形成される垂直設置部と、前記垂直設置部から前記ハウジングの側面に向けて折曲されて延びる水平延長部とを含む。前記過圧防止バルブは、前記ステムハウジングから前記バルブステムの摺動方向に対して垂直に突出する第1ボディと、前記第1ボディに結合されて前記第1ボディの突出方向に延びる第2ボディとを含み、前記第1ボディと前記水平延長部との間には、前記第2ボディの少なくとも一部が挿入される挿入溝が形成される。
【0012】
本発明に係るさらに他の一例によれば、前記過圧防止バルブは、ボディ、弾性部材、及び支持部材を含む。前記ボディは、前記中空部に連通する内部空間と、前記内部空間の一端に形成される開口とを備え、前記水平延長部の外周面に形成され、前記垂直延長部から突出している。前記弾性部材は、前記内部空間に収容され、前記開口を閉塞する閉塞部材を付勢する。前記支持部材は、前記内部空間に収容され、前記閉塞部材を支持するように前記開口に装着され、前記内部空間と前記収容空間とを連通するように貫通孔を備える。
【0013】
本発明に係るさらに他の一例によれば、前記ステムハウジングは、長手方向に延びるように形成され、前記内容物の排出をガイドするように、前記ステムハウジングの一端には、前記長手方向に沿って凹んで前記中空部から前記突出部の内側面に向かって貫通するガイド溝が形成される。前記ステムハウジングの他端が前記過圧防止バルブの他端と同一方向を向くように、前記ステムハウジングは、少なくとも一部が前記長手方向に対して垂直に折曲される。
【0014】
また、上記目的を達成するために、本発明は、ハウジングの上端に固定されて中央に突出部が形成されたマウンティングカップの前記突出部の内部に支持される、噴射容器のバルブアセンブリを提供する。前記バルブアセンブリは、前記突出部の内側面から突出する係止突起に係止され、内部に前記ハウジングの収容空間に連通する中空部が形成されるステムハウジングと、前記中空部に摺動可能に配置され、前記摺動により前記中空部に選択的に連通するオリフィスを備えるバルブステムと、前記係止突起の下側に位置し、前記突出部の下端と前記ステムハウジングの外周面間を密封する下端シール部と、前記下端シール部の上側に位置し、前記突出部の内側面を貫通する少なくとも1つの貫通孔と、一端は前記中空部に連結され、他端は前記ハウジングの側面に向かい、前記収容空間の圧力により開閉される過圧防止バルブと、前記過圧防止バルブが開放されると前記内容物を排出するように、前記過圧防止バルブの一端と前記貫通孔とを連通する排出流路部とを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る噴射容器及びそのバルブアセンブリによれば、シール部がステムハウジングの下側に位置して、突出部の下端とステムハウジングの外周面間を密閉する。このような下端密封構造は、組立過程でシール部の取付が容易であるだけでなく、強固な密閉力を提供する。
また、このような下端密封構造により、突出部の上下端間が大気圧状態となり、過圧を解消するための内容物の排出がマウンティングカップの半径方向に行われる。
【0016】
さらに、本発明においては、過圧防止バルブがステムハウジングに対して垂直に配置されることにより、気体状態の内容物を排出することができる。これに加えて、収容空間、過圧防止バルブ、排出流路部、及び貫通孔とつながる独自の排出経路により、排出量の調節が可能であり、過圧の解消がより短時間で行われる。
さらに、本発明においては、調節部により、過圧防止バルブの圧力範囲の調節が可能になる。従って、より動作信頼度に優れた過圧解消メカニズムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態による噴射容器の縦断面図である。
【図2】図1のバルブアセンブリの拡大断面図である。
【図3】図1の噴射容器から内容物が噴射される状態を説明するための縦断面図である。
【図4】図3のバルブアセンブリの拡大断面図である。
【図5】図1の噴射容器の内部における過圧解消メカニズムの作動を示す断面図である。
【図6】図5のバルブアセンブリの拡大断面図である。
【図7】図5のマウント部材及びステムハウジングを示す斜視図である。
【図8】本発明の他の実施形態によるバルブアセンブリの拡大断面図である。
【図9】本発明のさらに他の実施形態によるバルブアセンブリの拡大断面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施形態によるバルブアセンブリの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態による噴射容器及びそのバルブアセンブリについて、添付図面を参照して詳細に説明する。本明細書においては、異なる実施形態であっても同一または類似の構成要素には同一または類似の符号を付し、その説明は最初の説明を援用する。本明細書で用いられる単数の表現は、特に断らない限り、複数の表現を含む。
図1は本発明の一実施形態による噴射容器の縦断面図であり、図2は図1のバルブアセンブリの拡大断面図である。
【0019】
同図を参照すると、噴射容器100は、ハウジング110及びバルブアセンブリ200を含む。
ハウジング110は、内容物及び噴射ガスが収容される収容空間Sを有するように形成される。前記内容物は、例えば流体またはガスなどである。
ハウジング110は、収容空間Sが形成された胴体111と、胴体111の両端部をそれぞれ密封する下部密封キャップ112及び上部密封キャップ113とを含む。下部密封キャップ112は、収容空間Sに所定レベルの過圧がかかった場合、収容空間Sの体積を拡大させるように変形する。このために、下部密封キャップ112は、収容空間Sに向かって湾曲した形状を有する。
【0020】
胴体111は、所定の内圧に耐える金属缶などの形に形成され、高圧の気体または液体状態の燃料などが充填される。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、胴体111には殺虫剤、芳香剤、美容剤などを充填してもよい。
図に示すように、上部密封キャップ113の上端には、バルブアセンブリ200を支持するためのマウンティングカップ120が結合される。
【0021】
マウンティングカップ120は、例えばガスレンジなどの燃料取付機器への取り付けのための係合形状部121を含み、バルブアセンブリ200を固定できるように、中央に突出部122が設けられている。場合によっては、係合形状部121は存在しなくてもよい(美容剤や殺虫剤などが充填される場合、噴射のための押圧ボタンを有するキャップが装着される。)。また、係合形状部121は同図とは異なる形状に形成してもよい。
【0022】
バルブアセンブリ200は、一端部が収容空間Sに配置されて他端部はハウジング110の外部に露出したままマウンティングカップ120に設置され、押圧により収容空間Sに充填された内容物を外部に噴射させる。
より具体的には、マウンティングカップ120の突出部122の上端からは、バルブアセンブリ200を構成するバルブステム210の一部が貫通して外部に露出している。バルブステム210は、垂直方向に押圧可能に設置されており、その押圧により収容空間Sの内容物が噴射され、その押圧が解除されると内容物の噴射が中断される。
【0023】
図2を参照すると、突出部122の内側面には係止突起123が突出している。係止突起123は、マウンティングカップ120の外面のクランプなどにより断面積を縮小することにより形成することができる。
係止突起123にはステムハウジング220が固定される。ステムハウジング220は、少なくとも一部が係止突起123に係止されるようになっている。
【0024】
例えば、ステムハウジング220の外周面には周溝221が形成されており、突出部122の係止突起123が周溝221に向かって変形することにより、ステムハウジング220がマウンティングカップ120の突出部122に固定される。
ステムハウジング220の内部には、ハウジング110の収容空間Sに連通する中空部222が形成され、バルブステム210が中空部222に摺動可能に配置される。
【0025】
以下、バルブアセンブリ200の作動について、図3及び図4を参照してより詳細に説明する。図3は図1の噴射容器から内容物が噴射される状態を説明するための縦断面図であり、図4は図3のバルブアセンブリの拡大断面図である。
同図を参照すると、ステムハウジング220は、ステムハウジング220の長手方向に延びる垂直設置部220aと、ハウジング110の側面に向けて折曲されて延びる水平延長部220bとを含む。垂直設置部220aはバルブステム210の開閉のための部分であり、水平延長部220bは内容物の流入のための部分である。
【0026】
バルブステム210には、バルブステム210の摺動により中空部222のうち垂直設置部220aに対応する部分に選択的に連通するオリフィス211が形成される。バルブステム210の内部には通路212が備えられ、オリフィス211は通路212と中空部222とを連通する。
中空部222には開閉部材231が配置される。開閉部材231は、バルブステム210の摺動と連動してオリフィス211を開閉するように弾性変形する。より具体的には、ステムハウジング220の垂直設置部220aには、開閉部材231が収容されるように断面積が縮小された段差223が形成される。
【0027】
同図を参照すると、中空部222にはマウント部材240が挿入される。マウント部材240は、バルブステム210を囲み、一端部(図7の符号241を参照)がマウンティングカップ120の突出部122の上端を支持し、他端部(図7の符号242を参照)が開閉部材231を支持するように形成される。すなわち、開閉部材231はマウント部材240により加圧固定される。
【0028】
押圧Fによりバルブステム210が摺動すると、開閉部材231が撓んで弾性変形して、ステムハウジング220の中空部222とバルブステム210の通路212とが連通することによって、内容物が噴射される。
逆に、バルブステム210を押圧していた力が除去されると、バルブステム210の下端を支持するスプリング232の弾性力により復元変形する。その結果、開閉部材231がバルブステム210に密着してオリフィス211を閉塞し、ガスの流出が遮断される。
【0029】
以上のような噴射容器100は密封メカニズム及び過圧解消メカニズムを備える。以下、噴射容器100の密封メカニズム及び過圧解消メカニズムについて、図5〜図7を参照してより詳細に説明する。
図5は図1の噴射容器の内部における過圧解消メカニズムの作動を示す断面図であり、図6は図5のバルブアセンブリの拡大断面図であり、図7は図5のマウント部材及びステムハウジングを示す斜視図である。
【0030】
同図を参照すると、ガスレンジなどの燃料取付機器に取り付けられる噴射容器100は、横にした状態で配置され、所定時間の動作によって収容空間S内の内容物は2相の形で存在する。図5の上側は気体状態となり、下側は液体状態となる。
収容空間Sが過圧状態となると気体状態の内容物を排出するように、過圧防止バルブ250がバルブステム210に対して垂直に配置される。すなわち、過圧防止バルブ250は、一端がステムハウジング220の中空部222に連結され、他端はハウジング110の側面に向かうようになっている。また、ステムハウジング220の他端(開口が形成された部分)が過圧防止バルブ250の他端と同一方向を向くように、ステムハウジング220は、少なくとも一部が長手方向に対して垂直に折曲されて形成された水平延長部220bを有する。このような構造により、気体状態の内容物をバルブステム210または過圧防止バルブ250から排出することができる。
【0031】
過圧防止バルブ250は、収容空間Sの圧力により開閉されるように形成され、第1ボディ251、第2ボディ252、及び弾性部材253を含む。
第1ボディ251は、ステムハウジング220からバルブステム210の摺動方向に対して垂直に突出し、ステムハウジング220の中空部222に連通する内部空間を備える。第1ボディ251に結合される第2ボディ252は、第1ボディ251の突出方向に延び、収容空間Sに連通する開口を備える。
【0032】
弾性部材253は、前記開口を閉塞する閉塞部材254を付勢する。例えば、閉塞部材254は、軟質に形成されて開口を直接閉塞する閉塞材254aと、硬質に形成されて一側は閉塞材254aを収容して他側は弾性部材253により支持される収容材254bとを含む。弾性部材253は、両端が第1ボディ251の一側と収容材254bにそれぞれ支持されるスプリングであってもよい。
【0033】
第1ボディ251と第2ボディ252とはフック結合してもよい。例えば、第1ボディ251には、外周に沿って溝251aが形成され、第2ボディ252には、溝251aに係止されるようにフック252aが備えられ、溝251aとフック252aとの間には、第1ボディ251と第2ボディ252との間が密封されるように密封部材255が装着される。
【0034】
収容空間Sが過圧となると、閉塞部材254に加えられる圧力が弾性部材253を弾性変形させることにより、閉塞部材254が前記開口を開放する方向に移動する。前記開口が開放されると、内容物が第1及び第2ボディ251、252の内部空間を介してステムハウジング220の中空部222に流入する。
図6に示すように、バルブアセンブリ200は、排出流路部260及び下端シール部270を含む。
【0035】
排出流路部260は、過圧防止バルブ250が開放されると収容空間S内の内容物を排出するように、過圧防止バルブ250の一端とマウンティングカップ120の貫通孔124とを連通する。より具体的には、ステムハウジング220の中空部222の内面とマウント部材240の外周面との間に流路261が形成され、流路261は、第1ボディ251の内部空間に連通する連通孔262と貫通孔124にそれぞれ連結される。
【0036】
図6を参照すると、貫通孔124は下端シール部270の上側に位置する。より具体的には、貫通孔124は、係止突起123と突出部122の上端との間に配置される。しかし、これに限定されるものではなく、貫通孔124は、係止突起123と下端シール部270との間に配置されてもよい。貫通孔124は、マウンティングカップ120の突出部122の内側面を貫通するように形成される。すなわち、貫通孔124は、マウンティングカップ120からハウジング110の側面に向かうように形成される。貫通孔124は、複数備えられ、突出部122の外周に沿って特定の間隔で配置される。
【0037】
図7を参照すると、流路261からの内容物が貫通孔124へ流動するように、マウント部材240の一端部241には、マウンティングカップ120の突出部122の内側面に向かって突出する流動ガイド243が形成される。
流動ガイド243は、例えばマウント部材240の長手方向への内容物の流動を制限するように、マウント部材240の外周面から突出している。流動ガイド243は段差を有するように形成され、前記段差を有する部分はステムハウジング220の一端に支持される。このために、マウント部材240は、少なくとも一部(とりわけ、一端部241)がステムハウジング220の中空部222から外部に突出している。同図に示すように、流動ガイド243は、複数備えられ、マウント部材240の外周に沿って特定の間隔で配置される。
【0038】
マウント部材240の他端部242には、外周に沿って周突起244が形成される。周突起244により、マウント部材240の外周面と中空部222の内面との間隔を十分に確保するとともに、開閉部材231をより広い面積で支持することができる。
ステムハウジング220の一端には、ステムハウジング220の長手方向に沿って凹んでステムハウジング220の中空部222からマウンティングカップ120の突出部122の内側面に向かって貫通するガイド溝224が形成される。ガイド溝224は、流路261に沿って流動する内容物がハウジング110の側面方向に排出されるように、内容物をガイドする。
【0039】
図6をさらに参照すると、ガイド溝224及び流動ガイド243により貫通孔124にガイドされた内容物は外部に排出される。これに加えて、突出部122の上端におけるバルブステム210が貫通する部分とバルブステム210との隙間からも内容物の排出が可能である。前記隙間は、貫通孔124より非常に小さいため、過圧状態の内容物が貫通孔124から十分に排出されない場合に内容物の排出を助ける役割を果たす。
【0040】
もし、内容物の排出をバルブステム210の長手方向にのみ行わせると、過圧状態の内容物がガスレンジなどの燃料取付機器の注入口に向けて排出されるはずである。本発明の過圧解消メカニズムによれば、内容物の排出がマウンティングカップ120の半径方向に行われるため、より安全な過圧の解消が可能になる。
図5及び図6をさらに参照すると、下端シール部270は、マウンティングカップ120の半径方向に過圧状態の内容物を排出するように形成されている。下端シール部270は、突出部122の上下端間が大気圧状態となるように、係止突起123の下側に位置する。すなわち、ハウジング110の幅方向における突出部122の内側面とマウント部材240間は大気に直接さらされる。もし、このような密封メカニズムをマウンティングカップ120の上端に位置させると、突出部122の内側面とマウント部材240間は大気圧状態とならないはずである。
【0041】
より具体的には、下端シール部270は、突出部122の下端とステムハウジング220の外周面間を密封するように形成される。
図6に示すように、下端シール部270は、ステムハウジング220から半径方向に突出形成される突出枠部271と、突出部122の下端と突出枠部271との間に圧縮された状態で固定されるOリング272とを含む。
【0042】
突出枠部271は、過圧防止バルブ250と連結される。例えば、突出枠部271は、ステムハウジング220の外周に沿って形成され、かつ過圧防止バルブ250(とりわけ、第1ボディ251のケース)と直接連結されるようになっている。これにより、過圧防止バルブ250は、下端シール部270と隣接し、開口が上部密封キャップ113に対向するように配置される。従って、過圧時、下端シール部270または上部密封キャップ113が変形する前に、マウンティングカップ120または上部密封キャップ113を加圧する内容物を迅速に排出する。一般に、上部密封キャップ113は加圧力に弱いが、過圧防止バルブ250が上部密封キャップ113に隣接する部分の気体を流入することによって、噴射容器が変形する前に過圧を解消することができる。
【0043】
同図に示すように、突出枠部271の上面には、Oリング272が載置されるように、湾曲面271aが形成される。また、突出枠部271の外径は、突出部122の下端の内径より大きく形成されている。Oリング272は、クランプなどにより突出部122の係止突起123が形成されるときに発生する加圧力により、突出部122の内面と突出枠部271との間に圧縮された状態で固定される。特に、Oリング272は、突出枠部271の湾曲面271aに載置された状態でステムハウジング220が固定されると自動的に密閉作用をし、突出部122に内挿した後にステムハウジング220を固定する従来例に比べて、組立信頼度が改善される。
【0044】
図8〜図10は本発明の他の実施形態によるバルブアセンブリの拡大断面図である。本実施形態においては、図6を参照して説明した上記実施形態と同一または類似の構成に関する説明は上記説明を援用する。
図8を参照すると、バルブアセンブリ300は調節部380を含む。
調節部380は、過圧防止バルブ350の第1ボディ351と第2ボディ352の少なくとも一方に配置され、弾性部材353の初期弾性力を調節する。より具体的には、調節部380は、第1ボディ351及び第2ボディ352の長さを調節するか、または第2ボディ352の内部空間の長さを調節するように形成される。従って、バルブアセンブリ300の組立時、作業者が弾性部材353の可変量を調節することができる。
【0045】
調節部380は、例えば収容部381及び螺合部382を含む。
収容部381は、第2ボディ352に形成され、第1ボディ351の少なくとも一部を収容するか、または第1ボディ351の内部空間に挿入される。図8は収容部381に第1ボディ351の端部が収容された場合を示す。
螺合部382は、第2ボディ352が回転すると第2ボディ352が第1ボディ351に沿って移動するように、収容部381と第1ボディ351を螺合する部分である。例えば、第1ボディ351の外周面は、収容部381が移動可能な長さとし、密封部材355は、収容部381の移動によって圧縮量が調節されるようにする。第2ボディ352の収容部381と第1ボディ351の外周面とには、対応するネジ山が形成され、従って、第2ボディ352の回転程度によって第1及び第2ボディ351、352の長さを調節することができる。
【0046】
このように、調節部380は、過圧防止バルブ350の圧力範囲を調節する機能を提供する。従って、より動作信頼度に優れた過圧解消メカニズムが実現される。
図9を参照すると、過圧防止バルブ450の第1及び第2ボディ451、452は、ステムハウジング420の水平延長部420b側に近接して形成される。よって、第1ボディ451と水平延長部420bとの間には、第2ボディ452の少なくとも一部が挿入される挿入溝491が形成される。
【0047】
挿入溝491には、第1ボディ451の外周に挿入される密封部材455の半径方向の一部が挿入される。これにより、密封部材455の装着がより容易になる。また、挿入溝491に第2ボディ452の端部が挿入されることにより、第1ボディ451と第2ボディ452の結合がより強固になる。
図10を参照すると、過圧防止バルブ550は、ボディ551、弾性部材553、閉塞部材554、及び支持部材555を含む。
【0048】
ボディ551は、ステムハウジング520の中空部522に連通する内部空間と、前記内部空間の一端に形成される開口とを備える。ボディ551は、1つのボディからなり、ステムハウジング520の水平延長部520bと一体に形成される。より具体的には、ボディ551は、水平延長部520bの外周面に形成され、ステムハウジング520の垂直延長部520aから突出している。従って、過圧防止バルブ550はより強固になる。
【0049】
ボディ551の内部空間には弾性部材553が収容される。弾性部材553は、ボディ551の開口を閉塞する閉塞部材554を付勢する。弾性部材553は、両端がボディ551と閉塞部材554にそれぞれ支持されるスプリングであってもよい。
支持部材555は、ボディ551の内部空間に収容され、閉塞部材554を支持するようにボディ551の開口に装着される。支持部材555には、ボディ551の内部空間と収容空間S(図5を参照)とを連通するように、貫通孔555aが形成される。
【0050】
支持部材555は、ボディ551の内部にフック結合してもよい。ボディ551に弾性部材553と閉塞部材554を配置した後に支持部材555を挿入して過圧防止バルブ550を製造することにより、組立工程がより簡単になる。
同図に示すように、水平延長部520bの外周面には、端部に隣接して支持部材555が挿入される方向に凹溝592が形成される。これにより、支持部材555の組立が容易になり、過圧防止バルブ550のボディ551が水平延長部520bより短くなる。
【0051】
しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば支持部材555とボディ551の内部を螺合してもよい。螺合により支持部材555がボディ551の内部に挿入される程度を調節することができ、これにより、図8を参照して説明した調節部を実現することができる。
本発明による噴射容器及びそのバルブアセンブリは、前記実施形態の構成と作動方式に限定されるものではない。本発明においては、前記各実施形態の全部又は一部を選択的に組み合わせて様々な変形を加えることで様々な実施形態を構成することができる。
【符号の説明】
【0052】
S 収容空間
110 ハウジング
120 マウンティングカップ
122 突出部
123 係止突起
124 貫通孔
200、300 バルブアセンブリ
210 バルブステム
211 オリフィス
220、420、520 ステムハウジング
220a 垂直設置部
220b、420b、520b 水平延長部
222、522 中空部
224 ガイド溝
231 開閉部材
240 マウント部材
243 流動ガイド
250、350、450、550 過圧防止バルブ
251、351、451 第1ボディ
251a 溝
252、352、452 第2ボディ
252a フック
253、353、553 弾性部材
254、554 閉塞部材
255、355、455 密封部材
260 排出流路部
270 下端シール部
271 突出枠部
271a 湾曲面
272 Oリング
380 調節部
381 収容部
382 螺合部
491 挿入溝
520a 垂直延長部
551 ボディ
555 支持部材
555a 貫通孔
592 凹溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物の収容空間を形成するハウジングと、
中央に形成される突出部、及び前記突出部の内側面から突出する係止突起を備え、前記ハウジングの上端に結合されるマウンティングカップと、
少なくとも一部が前記係止突起に係止され、内部に前記収容空間に連通する中空部が形成されるステムハウジングと、
前記中空部に摺動可能に配置され、前記摺動により前記中空部に選択的に連通するオリフィスを備えるバルブステムと、
前記係止突起の下側に位置し、前記突出部の下端と前記ステムハウジングの外周面間を密封する下端シール部と、
前記下端シール部の上側に位置し、前記突出部の内側面を貫通する少なくとも1つの貫通孔と、
一端は前記中空部に連結され、他端は前記ハウジングの側面に向かい、前記収容空間の圧力により開閉される過圧防止バルブと、
前記過圧防止バルブが開放されると前記内容物を排出するように、前記過圧防止バルブの一端と前記貫通孔とを連通する排出流路部と、
を含むことを特徴とする噴射容器。
【請求項2】
前記中空部に配置され、前記バルブステムの摺動と連動して前記オリフィスを開閉するように弾性変形する開閉部材と、
前記排出流路部が形成されるように前記中空部で前記バルブステムを囲み、一端部が前記突出部の上端を支持して他端部が前記開閉部材を支持するように形成されるマウント部材と、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の噴射容器。
【請求項3】
排出される内容物が前記貫通孔へ流動するように、前記マウント部材の一端部には、前記突出部の内側面に向かって突出する流動ガイドが形成されることを特徴とする請求項2に記載の噴射容器。
【請求項4】
前記流動ガイド及び前記貫通孔は、それぞれ複数備えられ、前記マウント部材の外周及び前記突出部の外周に沿って特定の間隔で配置されることを特徴とする請求項3に記載の噴射容器。
【請求項5】
前記下端シール部は、
前記ステムハウジングから半径方向に突出形成される突出枠部と、
前記突出部の下端と前記突出枠部との間に圧縮された状態で固定されるOリングと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の噴射容器。
【請求項6】
前記突出枠部は、前記過圧防止バルブと連結され、前記突出枠部の上面には、前記Oリングが載置されるように湾曲面が形成されることを特徴とする請求項5に記載の噴射容器。
【請求項7】
前記過圧防止バルブは、
前記ステムハウジングから前記バルブステムの摺動方向に対して垂直に突出し、前記中空部に連通する内部空間を備える第1ボディと、
前記第1ボディに結合されて前記第1ボディの突出方向に延び、前記収容空間に連通する開口を備える第2ボディと、
前記開口を閉塞する閉塞部材を付勢する弾性部材と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の噴射容器。
【請求項8】
前記第1ボディと前記第2ボディの少なくとも一方に配置され、前記弾性部材の初期弾性力を調節する調節部をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の噴射容器。
【請求項9】
前記調節部は、
前記第2ボディに形成され、前記第1ボディの少なくとも一部を収容するか、または前記第1ボディの内部空間に挿入される収容部と、
前記第2ボディが回転すると前記第2ボディが前記第1ボディに沿って移動するように、前記収容部と前記第1ボディを螺合する螺合部と、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の噴射容器。
【請求項10】
前記第1ボディには、外周に沿って溝が形成され、前記第2ボディには、前記溝に係止されるようにフックが備えられ、前記溝と前記フックとの間には、前記第1ボディと前記第2ボディとの間が密封されるように密封部材が装着されることを特徴とする請求項7に記載の噴射容器。
【請求項11】
前記ステムハウジングは、
前記バルブステムと平行に形成される垂直設置部と、
前記垂直設置部から前記ハウジングの側面に向けて折曲されて延びる水平延長部と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の噴射容器。
【請求項12】
前記過圧防止バルブは、
前記ステムハウジングから前記バルブステムの摺動方向に対して垂直に突出する第1ボディと、
前記第1ボディに結合されて前記第1ボディの突出方向に延びる第2ボディと、
を含み、
前記第1ボディと前記水平延長部との間には、前記第2ボディの少なくとも一部が挿入される挿入溝が形成されることを特徴とする請求項11に記載の噴射容器。
【請求項13】
前記過圧防止バルブは、
前記中空部に連通する内部空間と、前記内部空間の一端に形成される開口とを備え、前記水平延長部の外周面に形成され、前記垂直延長部から突出するボディと、
前記内部空間に収容され、前記開口を閉塞する閉塞部材を付勢する弾性部材と、
前記内部空間に収容され、前記閉塞部材を支持するように前記開口に装着され、前記内部空間と前記収容空間とを連通するように貫通孔を備える支持部材と、
を含むことを特徴とする請求項11に記載の噴射容器。
【請求項14】
前記ステムハウジングは、長手方向に延びるように形成され、
前記内容物の排出をガイドするように、前記ステムハウジングの一端には、前記長手方向に沿って凹んで前記中空部から前記突出部の内側面に向かって貫通するガイド溝が形成されることを特徴とする請求項1に記載の噴射容器。
【請求項15】
ハウジングの上端に固定されて中央に突出部が形成されたマウンティングカップの前記突出部の内部に支持されるバルブアセンブリにおいて、
前記突出部の内側面から突出する係止突起に係止され、内部に前記ハウジングの収容空間に連通する中空部が形成されるステムハウジングと、
前記中空部に摺動可能に配置され、前記摺動により前記中空部に選択的に連通するオリフィスを備えるバルブステムと、
前記係止突起の下側に位置し、前記突出部の下端と前記ステムハウジングの外周面間を密封する下端シール部と、
前記下端シール部の上側に位置し、前記突出部の内側面を貫通する少なくとも1つの貫通孔と、
一端は前記中空部に連結され、他端は前記ハウジングの側面に向かい、前記収容空間の圧力により開閉される過圧防止バルブと、
前記過圧防止バルブが開放されると前記内容物を排出するように、前記過圧防止バルブの一端と前記貫通孔とを連通する排出流路部と、
を含むことを特徴とする噴射容器のバルブアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−240990(P2011−240990A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181251(P2010−181251)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【出願人】(510221489)株式會社勝一 (3)
【Fターム(参考)】