説明

過増殖性細胞疾患を治療する方法

【課題】
【解決手段】 過増殖性疾患に侵された被験者を治療する方法であって、これら被験者に特異的なレチノイドの組合せ治療薬、および場合により増殖因子受容体阻害剤を投与することから成る方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のレチノイド、ならびに場合により癌のアポトーシスおよび分化を誘導する、および望ましくない増殖を阻害するのに有用な増殖因子アンタゴニストを含む組成物に関する。本発明はまた、癌等の異常な細胞分化および/または細胞増殖を特徴とする病気および状態の治療への上記組成物の使用方法に関する。
【0002】
増殖因子経路阻害剤
病状が進行した段階で、多くの悪性腫瘍が細胞毒性化学療法により治療されている。細胞毒性剤(例えば代謝拮抗剤、アルキル化剤)は、DNAに直接損傷を与えて、細胞死をもたらす。しかしながら、多くのこの種の薬剤は毒性が強く、しばしば脱毛症、骨髄抑制、ならびに悪心および嘔吐を引き起こす。これに加えて、症状の改善を伴った、細胞毒性剤に対する臨床的に意義のある反応は、期待に反し低いことが多い。癌の生物学的理解が増すことによって、より高い選択性を持ち、より高い毒性対効果治療比を達成する新種の抗癌剤が研究されてきた。癌細胞受容体、およびそれらの分裂促進信号経路の理解が深まるにつれ、信号伝達阻害剤の開発に大きな関心が集まってきている。
【0003】
上皮増殖因子(EGFR)は、増殖因子阻害剤の1型チロシンキナーゼファミリーの1メンバーであり、細胞増殖、分化および生存に重要な役割を果たしている。これら受容体の活性化は、典型的には特異的なリガンド結合を介して起こり、受容体ファミリーメンバー間でヘテロまたはホモダイマーを形成し、続いてチロシンキナーゼドメインの自己リン酸化をもたらす。この活性化は、細胞増殖(ras/raf/MAPキナーゼ経路)および生存(PI3キナーゼ/Akt経路)の両方に関係する細胞内信号経路のカスケードを始動する。このファミリーのメンバーは、EGFRおよびHer2を含めて、細胞の形質転換に直接関係している。
【0004】
多くのヒト悪性腫瘍が、EGFRの異常な過剰発現および/またはその特異的リガンド(例えば形質転換増殖因子α)の過剰発現と関連している。EGFR過剰発現は、非小細胞肺癌を含む多くのヒトの癌における予後不良と関連している。いくつかの例では、腫瘍EGFRの過剰発現が化学療法耐性および予後不良と関係している。これらの観察は、EGFR受容体の活性化および、それに続く下流の信号伝達を効率的に阻害する薬剤は、様々なヒトの癌で臨床活性を有するであろうことを示唆している。
【0005】
ここ数年の間に、標的分子によって選択的に遮断できる、特異的な、連続する酵素段階を利用した、これら信号伝達経路の阻害剤が開発されてきた。これら阻害剤は、一般的に2つのクラス、1)経路の第1段階、増殖リガンドと正常に相互作用する細胞表面受容体に対する抗体、および2)細胞表面から、増殖信号が処理される核に向かう下流の酵素段階を破壊するように特にデザインされた小分子、に分けられる。
【0006】
増殖因子経路阻害剤は現在、数年にわたって、ヒトを対象とした臨床試験にかけられているが、そのほとんどは反応率おおよそ10%であり、その反応期間も数ヶ月しか持続しない。これら標的治療は「標的化」し過ぎており、多くの悪性腫瘍については、細胞を休止および死滅させるには、多くの経路を遮断する必要があるだろう。増殖因子阻害剤と化学療法との組合せはより有望であり、反応率も15から25%と高いものの、その有効期間は短く、通常は数ヶ月に過ぎない。これら薬剤を使用し続けても、腫瘍は短期間で再び増殖し始め、その後宿主は短期で死に至る。これら化学療法剤の持つ重大な毒性のため、化学療法剤への依存度を下げ、同時に増殖因子遮断に対する反応率および反応の持続性を上げる、より効果的な併用治療が望まれている。
【0007】
現在、ヒト固形悪性腫瘍に関して承認されている増殖因子阻害剤は2種類ある:1)乳癌の必須増殖経路受容体であるHer2/neuに対する標的抗体であるハーセプチン(Herceptin)、および2)肺癌、頭頚部癌、結腸癌、ならびに前立腺癌に必須な経路であるEGF受容体のチロシンキナーゼ酵素部分(Her1)を阻害する小分子であるIRESSA(登録商標)(日本および欧州で承認されており、米国において承認待ちである)。ハーセプチンは、乳癌(反応率16%)において単独薬として、ならびに化学療法との併用において(30から50%)臨床的に活性であることが示されている。IRESSA(登録商標)は、抵抗性/進行性肺癌において単独薬として、全体で10から15%の範囲の反応率を有している。
【0008】
レチノイド
レチノール(ビタミンA)ならびにその天然および合成誘導体は、レチノイドとして知られている。これらの信号伝達分子は、多くのタイプの細胞が、細胞分化および細胞増殖停止の制御といったプロセスについて適正に機能するのに必要とされる(Gudas他、1994年に概説されている)。レチノイドは癌予防剤としても機能し、現在数種類の癌の治療に用いられ、成功を納めている(Moon他、1994年;Hong他、1994年、Warrell他、1991年に概説)。レチノイドの生物学的効果、および転写効果は、一般的には、それらとRARおよびRXRとの相互作用によって仲介されている(Mangelsdorf他、1994年およびKastner他、1994年に概説されている)。RARおよびRXRはヘテロダイマーを形成し、様々な標的遺伝子内にあるDNA応答エレメントに結合できる(Gudas他、1994年、Mangelsdorf他、1994年およびKastner他、1994年に概説されている)。
【0009】
RARおよびRXRに関するリガンドは、一般的にレチノールの酸誘導体と考えられている。レチノイン酸はRARと高い親和性で結合し、そして9−シス−レチノイン酸はRXRとRARの両方に結合して活性化する(Mangelsdorf他、1994年およびKastner他、1994年に概説されている)。レチノールは、各種培養細胞および各種組織でレチノイン酸に代謝されることが示されている(Blaner他、1994年およびKurlandsky他、1994年)。しかしながら、レチノールがこのように多様な化合物に代謝され(Randolph他、1993年;Siegenthaler他、1990年およびTorma他、1995年)、そのうちの幾つかは最近になって初めて同定された(Derguini他、1995年;Buck他、1993年;Derguini他、1994年a;およびDerguini他、1994年b)という事実は、レチノールのその他代謝物が、受容体活性化に関して生物学的に活性であってもよいことを暗示している。
【0010】
新規レチノイドの合成経路が、分化中の胚性マウス奇形癌腫細胞F9細胞で同定されており、その結果レチノール(ビタミンA)から4−オキソレチノールが細胞内で生産される(Achkar他、1996年)。培養液中の全レチノールの約10から15%が、オールトランスレチノイン酸処理を受けた分化中のF9細胞によって、18時間かけて4−ヒドロキシレチノール、続いて4−オキソレチノールに代謝されるが、しかしこれらの細胞ではオールトランスレチノールからオールトランスレチノイン酸または9−シスーレチノイン酸への代謝は検知されなかった(Achkar他、1996年)。
【0011】
4−オキソレチノールおよび4−ヒドロキシレチノールのレチノイド受容体サブタイプ結合親和性は、オールトランスレチノイン酸との競合から決定されている。いずれの化合物も、オールトランスレチノイン酸と効率的に置換することはなかったが、オールトランスレチノイン酸を置換する能力で測定したところ、4−オキソレチノールはモノメリックマウスRARa(IC50 330nM)およびb(IC50 420nM)と特異的に結合するが、RARγ(IC50 3200nM)とは結合しなかった。これらのデータは、4−オキソレチノールがRARγと結合できないこと、またはそれがオールトランスレチノイン酸とは異なる部位でRARγに結合するという解釈と一致する。
【0012】
4−オキソレチノールは、RAR上にあるその結合部位からオールトランスレチノイン酸を置換することに関して相対的に無力であるのに対し、それはヒトRARα−のトランス活性化を強力に誘導するものの、RXRα−介在転写活性化は誘導しない。4−オキソレチノールの特異性は、RARα−、β−およびγ−リガンド結合ドメインがGAL4DNA結合ドメインに融合しているキメラリポーター構造体を利用して、さらに詳細に分析された。CV−1細胞形質移入体では、4−オキソレチノールは、RARgのリガンド結合ドメインを含むキメラに最も高い活性を誘導した。この系では、4−オキソレチノールは、オールトランスレチノイン酸に比べ、より高いRARg活性化誘導能力を示す。4−オキソレチノールがオールトランスレチノイン酸を置換できないことを考え合わせると、これらのデータは、4−オキソレチノールおよびオールトランスレチノイン酸が、9−シスレチノイン酸およびオールトランスレチノイン酸のRARへの結合部位の違いと類似して、RARγと別の部位で結合することを示唆している(Levin他、1996年)。
【0013】
さらなる研究から、4−オキソレチノールの生物学的役割が提案された。いくつかの生物系では、4−オキソレチノールは、オールトランスレチノイン酸に類似している。例えば、オールトランスレチノイン酸に類似して、4−オキソレチノールはF9細胞の分化、ホメオボックス遺伝子Hoxa−1の転写、およびラミニンB1合成を誘導する。しかしながら、4−オキソレチノールは、アフリカツメガエル系では、オールトランスレチノイン酸に比べ催奇性は実質的に低い(4−オキソレチノールのED50が300から400nM対オールトランスレチノイン酸のED50が100nM)。
【0014】
4−オキソレチノールの生産および代謝もまた研究されている。4−オキソレチノールのF9細胞での半減期(15時間以上)は、レチノールまたはオールトランスレチノイン酸より遙かに長いが、それは4−オキソレチノールがレチノイン酸のような極性代謝物に変換されないことに一部拠っている。レチノールの代謝は、正常ヒト乳腺上皮細胞ならびに幾つかのエストロゲンレセプター陽性(ER+)およびエストロゲンレセプター陰性(ER−)ヒト乳癌細胞株で研究されている(Chen他、1997年)。分析された細胞株の数はまだ僅かであるが、これまでに調べられた腫瘍では、ER+乳癌細胞株MCF−7およびT47Dがレチノールから4−オキソレチノールを生産するが、ER−乳癌細胞株MDA−MB−231、MDA−MB−468およびBT20はこれを生産しないことが見出されている。ER発現との相関性にも関わらず、4−オキソレチノールは調べた全てのER+またはER−腫瘍細胞株において増殖抑制的である。4−オキソレチノール(オールトランスレチノイン酸またはN−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド)の産正を増強する薬剤は、それを生産できる腫瘍に対し増殖抑制的であるが、しかし4−オキソレチノールを生産しない腫瘍に対しては増殖抑制作用を欠いている。要約すると、これまでに実施された分析からは、4−オキソレチノールは、他の活性化レチノイドと比較したとき、固有の生物学的活性を有することが示唆されている。
【0015】
ビタミンDおよび他レチノイドとの相乗効果
ビタミンDの生物活性体、1α,25−ジヒドロキシビタミンD(VD)、および4−オキソレチノール、オールトランスおよび9−シスレチノイン酸(RA)のような各種ビタミンA誘導体の分子構造には、関連性はない。しかしながら、VD(VDR)およびレチノイド(RARおよびRXR)に対する核受容体は、同一スーパーファミリーであるリガンド活性化転写因子のメンバーである。安定したVDR−RXRおよびVDR−RARヘテロダイマーを溶液内で形成し、様々なタイプの応答エレメントに対し転写活性を有する。両ヘテロダイマー複合体は、VDによって活性化されるが、核受容体の相対発現に応じて、レチノイドは共刺激または抑制効果のどちらか一方を持つことができる。これは、VDおよびレチノイド信号伝達が遺伝子制御のレベルで連結していることを示しており、また細胞増殖および分化に対して、両ホルモンが類似する効果を有することを説明している。
【0016】
2種類のリガンド誘導性核ホルモン受容体によるヘテロダイマー形成は、2種類のリガンドによる転写活性化の可能性をもたらす。VDおよび各レチノイド両方によるVDR−RXRまたはVDR−RARヘテロダイマーの共刺激は、両特異的リガンドの付加的、または相乗的効果を生む(Schrader他、1993年、1994年、1995年)。このことは、ヘテロダイマー形成が、単に個別の核受容体複合体の数を増やすというだけでなく、異なるホルモンの核信号伝達経路とも結び付くことを示している。
【0017】
ある実験観察は、生物系においてこのような相乗効果が起こることを示している。例えば、VDおよびオールトランスレチノイン酸は協働して、インビトロでのHL60細胞から単球への分化を促進する(Brown他、1994年)。別の例では、VD類似体およびオールトランスレチノイン酸は、HL60細胞での細胞増殖およびDNA合成の阻害、c−myc発現の低下について付加的活性を、または相乗的活性をも示すことがある(Dore他、1993年)。さらに別の例では、作用の低い合成レチノイドであるCBS−211Aは、単独ではU937細胞の増殖および分化に影響しないが、VDの活性を増大させる(Taimi他、1993年)。最後に、マウスに全身投与すると、VDおよびオールトランスレチノイン酸、13−シスレチノイン酸または9−シスレチノイン酸は、腫瘍細胞誘導血管新生を相乗的に阻害した(Majewski他、1993年)。
【0018】
幾つかの付加的効果がヒトで起こる可能性を示唆する、極めて予備的な臨床観察もある。Majewski他(1994年)は、13−シスレチノイン酸とVDで経口治療された4名の患者で、多発性紫外線角化症および扁平上皮または基底細胞癌での反応を観察した。French他(1994年)は、芳香族レチノイドアシトレチンおよびVD類似体のカルシトリオール(MC903)で経口治療された単独患者での皮膚T−細胞リンパ腫の完治を報告した。しかしながら、このような相乗効果は常に観察されるものでなく、特にインビボではそうであり、観察される場合でも臨床的に大きな意義を持たない。
【0019】
本発明の概要
本発明は、各種癌および、異常な細胞増殖および/または細胞分化を特徴とするその他疾病の治療に関し有用である、特定のビタミンレチノイド化合物を含む組成物を提供する。場合によって、本発明の組成物は、増殖因子経路阻害剤および/またはビタミンD類似体をさらに含む。
【0020】
具体的には、本発明は、レチノイドを含む組成物であって、レチノイドは、アルコールCHOH末端側鎖を持つレチノイドD、エステル結合を有するレチノイドDのエステル、エーテル結合を有するレチノイドDのエーテル、アルコールCHOH末端側鎖がアルデヒドCHO末端側鎖で置換されたレチノイドD、末端側鎖にカルボン酸を有するレチノイドDの群より選択され、各エステル結合およびエーテル結合は、レチノイドDの末端側鎖にある酸素と形成され、アルコールCHOH末端側鎖を有するレチノイドは、次の構造を持つ:


式中の位置7、9、11および13の二重結合の配置は独立したZまたはEであり、Rは、次の群から選択され、


式中、位置4のケト基は遊離または保護されているか、あるいは遊離または保護されている、またはC1〜6アルキリデン基によって置換されているチオケトン基によって置換され、


式中、Xは、水素およびC1〜6−アルキルの群から選択され、Yは、C1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アシルオキシ、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択され、位置4の絶対配置は、独立したRまたはSであり、


式中X、Yは、独立して水素、C1〜6−アルキル、ヒドロキシル、C1〜6−アルコキシル、C1〜6−アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル(sulfhydryl)、アミンおよびC1〜6−アルキル置換アミノの群から選択され、ZはC1〜6−アルキル、ヒドロキシル、C1〜6−アルコキシル、C1〜6−アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6−アルキル置換アミノの群から選択され、


式中、Xは、水素、C1〜6−アルキル、ヒドロキシル、C1〜6−アルコキシル、C1〜6−アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6−アルキル置換アミノの群から選択され、ZはC1〜6−アルキル、ヒドロキシル、C1〜6−アルコキシル、C1〜6−アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6−アルキル置換アミノの群から選択され、


式中、XおよびYは、XおよびYが共に水素でない限りにおいて、独立して水素、C1〜6−アルキル、ヒドロキシル、C1〜6−アルコキシル、C1〜6−アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6−アルキル置換アミノの群から選択される。
【0021】
本発明はまた、レチノイドのレチノイン酸受容体またはRXRへの結合、および/または転写活性化を提供する。
【0022】
発明の詳細な説明
本発明によって、ある特定のタイプのレチノイドのみを含む組成体が、癌または腫瘍増殖、ならびに異常な細胞増殖および/または細胞分化を特徴とするその他疾患に侵された被験者の治療に有用であるという驚くべき発見がなされた。
【0023】
さらに、本発明のレチノイドを用いて癌を治療する際に、増殖因子受容体経路阻害剤および/またはビタミンD類似体を付加することで、反応の持続性および反応率を高めることも解明されている。
【0024】
「腫瘍」は新生物であり、固形および非固形腫瘍(血液悪性腫瘍等)の両方を含む。「過増殖性疾患」は、細胞の異常な増殖を特徴とする病気であり、一般的には、乾癬等の皮膚病、ならびに全臓器系の良性および悪性腫瘍を含む。「分化」とは、細胞がより特殊化して、生物学的機能を実行できるようになるプロセスを表し、分化は悪性の形質転換を経た細胞により、全て、または一部が失われる特性である。
【0025】
「治療有効投与量」は、感受性被験者の病気の進行を阻止する、または退行させるのに十分な用量、または悪性疾患に伴う発熱、疼痛、食欲低下またはカヘキシー等の病気により引き起こされる症状を軽減することができる用量である。
【0026】
本発明により治療される癌は、メラノーマ、皮膚の表面扁平上皮癌、角化棘細胞腫、頭頚部癌、甲状腺癌、非小細胞および小細胞肺癌、胸腺腫、奇形癌、肝細胞癌、胃、脳、食道、膵臓、胆管癌、膨大部癌(ampullary carcinoma)、カルチノイド、小腸癌、結腸、虫垂、直腸、肛門、卵巣、乳房、子宮または子宮内膜、卵管、膣、頸部、陰茎、精巣、前立腺、腎細胞または腎臓、リンパ腫、急性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、骨肉腫、肉腫、神経膠腫、多発性骨髄腫、星状細胞腫、多形性神経膠芽腫または上衣細胞腫のいずれか、または全てのタイプを含むが、これらに限定されない。
【0027】
本発明の目的に関して、本発明の組成物を用いた被験者の治療は、本発明の組成物に規定されるビタミンD類似体およびレチノイドの双方を、被験者に、併用または別個に投与、または塗布することを意味する。それ故に、ビタミンD類似体およびレチノイドの投与または塗布形態は、同一でも異なってもよく、併用または別個に投与または塗布してもよい。
【0028】
インビボ投与に関しては、投与は当業者公知の方法によって行われ、これに限定されないが、経口、静脈および局所を含む非経口投与を含み、そして投与は、患者体内の組成物量が恩典を得るのに効果的であるように、連続的または間歇的に行うことができる。
【0029】
レチノイド
特に、本発明のレチノイドは、レチノイン酸受容体(RAR)またはRXRを結合および/または転写活性化できる。このような生理学的または合成物であるレチノイドの例としてはレチノイン酸、レチンアミド、ベキサロテン、およびタザロテンが挙げられるが、これに限定されない。レチノイン酸が選択されたレチノイドである場合は、これに限定されないが、オールトランス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸および13−シス−レチノイン酸を含む任意の異性体でよい。
【0030】
好適には、レチノイドは、RARα、RARβ、RARγ、RXRα、RXRβおよびRXRγの群から選択されるRARまたはRXRに優先的に結合または転写活性化する。
【0031】
さらに好適には、本発明のレチノイドは、アルコールCHOH末端側鎖を持つレチノイドD、エステル結合を有するレチノイドDのエステル、エーテル結合を有するレチノイドDのエーテル、アルコールCHOH末端がアルデヒドCHO末端側鎖で置換されたレチノイドD、末端側鎖にカルボン酸を持つレチノイドDの群から選択されるレチノイドであって、各エステル結合およびエーテル結合は、レチノイドDの末端側鎖にある酸素と形成され、アルコールCHOH末端側鎖を持つレチノイドは次の構造を有し:

構造中、位置7、9、11および13の二重結合の配置は、独立したZまたはEであり、Rは、次の群から選択され、

式中、位置4のケト基は、遊離または保護されているか、または遊離もしくは保護されているチオケトン基によって置換されているか、またはC1〜6アルキリデン基によって置換されており、

式中、Xは、水素およびC1〜6アルキルの群から選択され、Yは、C1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択され、位置4の絶対配置は、独立したRまたはSであり;

式中、X、Yは、独立に水素、C1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC〜C−アルキル置換アミノの群から選択され、Zは、C1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択され;

式中、Xは、水素、C1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択され、Zは、C1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択され;

式中、XおよびYは、XおよびYが共に水素でない限りにおいて、独立に、水素、C1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択されるレチノイドである。
【0032】
エステル体は、一度投与されると体内でアルコールに変換されるエステル基を含むか、またはこのような変換のない活性化合物を提供し、このエステル基は通常、酢酸塩またはパルミチン酸塩等の飽和した状態の場合は、1から16個の炭素原子を、または不飽和の状態の場合は、最大20個の炭素原子を、またはグルクロニド等の修飾糖を含む。エーテル体はC1〜6アルキルエーテルである。
【0033】
本発明における使用に好適な本発明のレチノイドのレチニルエステルは、レチノールのC1〜30エステル、好適にはC2〜20エステル、また最適には、C、CおよびCエステルであるが、それはそれらが一般的に入手可能であるためであり、これに限定されない。レチニルエステルの例としては、これに限定されないが:パルミチン酸レチニル、蟻酸レチニル、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、酪酸レチニル、吉草酸レチニル、イソ吉草酸レチニル、ヘキサン酸レチニル、ヘプタン酸レチニル、オクタン酸レチニル、ノナン酸レチニル、デカン酸レチニル、ウンデカン酸レチニル、ラウリン酸レチニル、トリデカン酸レチニル、ミリスチン酸レチニル、ペンタデカン酸レチニル、ヘプタデカン酸レチニル、ステアリン酸レチニル、イソステアリン酸レチニル、ノナデカン酸レチニル、アラキドン酸レチニル、ベヘン酸レチニル、リノール酸レチニル、およびオレイン酸レチニルを挙げることができる。
【0034】
本発明における使用に好適なレチニルエステルは、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニルおよびリノール酸レチニルである。より好適なレチニンエステルは、パルミチン酸レチニルおよび酢酸レチニルであり、最適なレチニルエステルは、パルミチン酸レチニルである。
【0035】
レチノイドDは、好適には4−オキソ−レチノイド酸、4−オキソ−レチノール、および4−オキソ−レチナール、4−ヒドロキシ−レチノール、4−ヒドロキシ−レチナール、4−オキソ−レチニルエステル、ならびに4−ヒドロキシ−レチニルエステルである。最適なレチノイドは、4−オキソ−レチノールである。
【0036】
薬学的に純粋な4−オキソ−レチノールおよび4−ヒドロキシ−レチノールは、アメリカンタイプカルチャーコレクションより登録番号ATCC CRL 1720で入手できるマウス腫瘍由来の、広く用いられている樹立株であるF9マウス奇形癌幹細胞に、レチン酸を使って分化を誘導し、内因性レチノール(ビタミンA)は、分化細胞内の4−オキソ−レチノールおよび4−ヒドロキシ−レチノールを含む多くの誘導体に代謝され、4−オキソ−レチノールおよび4−ヒドロキシ−レチノールを薬学的に純粋な形に単離することにより容易に得られる。これは、F9幹細胞をレチン酸(分化を誘導する)およびレチノール(内因性レチノールが誘導体に変換される際に、内因性レチノールを置換する)存在下に培養すること、およびMcClean S.W.他(1982年)の方法を使用して抽出し、薬学的に純粋な4−オキソ−レチノールおよび4−ヒドロキシ−レチノールを、HPLCを用いて抽出物より単離することで実施できる。
【0037】
化合物4−オキソ−レチノールは、次のようないくつかの公知の方法により調製できる。第1の方法は、4−ヒドロキシ−レチノールのMnO置換2の酸化により得られる、4−オキソ−レチノールの選択的NaBH還元を含む(BoehmM.F.他1990年を参照)。4−ヒドロキシ−レチノールは、市販のオールトランス−レチノールから調製できる(Henbest H.B.他1957年;Reedy A.J.1967年;Sunmatis J.D.1967年;およびRenk G.他1981年を参照)。第2の方法は、MnOを用いたレチノールまたはレチナールの直接酸化による4−オキソ−レチナールの合成を含む(Henbest H.B.他1957年、およびWilliams T.C.他1991年を参照)。第3の方法は、市販の酢酸レチニルから調製される4−オキソ−レチニルの加水分解を含む(Henbest H.B.他1957年を参照)。
【0038】
オールトランス(4S)−4−ヒドロキシ−レチノールは、Haag A.他(1980年)の記載に従って得られる(4S)−4−ヒドロキシ−β−イオノンから開始して調製できる。側鎖の延長は、HaagA.他(1982年)およびKatsuta Y.他(1994年)の記載のように、一般的なホーナーエモンズ(Horner−Emmons)反応と、それに続くHPLC精製によって達成できる。
【0039】
オールトランス(4R)−4−ヒドロキシ−レチノールは、同様に、Haag A.他(1980年)の記載に従い得られる(4R)−4−ヒドロキシ−.β.−イオノンから開始しても得られる。
【0040】
ラセミ−オールトランス−4−ヒドロキシ−レチノールは、Henbest H.B.他(1957年);ReedyA.J.他(1967年);Surmatis J.D.(1967年);Renk G.他(1981年);およびWilliams T.C.他(1991年)の記載にあるようにして得た4−ヒドロキシ基、または4−オキソ−レチナールをNaBH還元することよって合成できる。
【0041】
本明細書の他のレチノイドは、当業者に公知のレチノイド合成法に従って調製される。例えば、参照によりここに組込まれるDawson M.I.他(1990年)を参照。
【0042】
本明細書のレチノイドは、インビボで容易に投与でき、場合によっては薬学的に許容されるキャリア中に活性化合物を含む組成物として、上記の他の活性成分と共に投与できる。本明細書で使用する用語「薬学的に許容されるキャリア」は、リン酸緩衝化生理食塩水、水、および油/水エマルジョン等のエマルジョン、各種湿潤剤を含む、任意の標準的な薬学的キャリアを含む。本発明の好適な態様において、薬学的に許容されるキャリアは、特異的結合タンパク質も含む、アルブミン、レチノール結合タンパク質(RBP)、トランスサイレチン(TTR)、およびRBPとTTRにより形成される複合体でよいが、これに限定されない。
【0043】
本明細書のレチノイドは、インビボ投与のために、キャリアと容易に調合できる。経口投与用の組成物は、例えば、カプセルまたはピルの形でよく、治療有効量の本明細書のレチノイド、および、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトースまたはタルクの等の不活性希釈剤等の薬学的に許容される賦形剤を含んでもよい。本明細書のレチノイドの局所投与用の組成物は、例えばローション、クリーム、軟膏またはゲルの形態でよく、治療有効量の本明細書のレチノイドおよび、例えばポリピレングリコール、ミネラルオイル、ワセリン、モノステアリン酸グリセリル等の薬学的に許容されるキャリアを含んでもよい。本明細書のレチノイドの非経口投与用の組成物は、治療有効量の本明細書のレチノイドおよび滅菌水または生理食塩水等の薬学的に許容されるキャリアを含み、リポソームデリバリーシステムを用いて、溶解性の不足を補うことができる。
【0044】
一般的には、インビボ投与の用量は、経口投与の場合は、体表面積1平方メートルあたり本明細書のレチノイドを5〜5000mg/日(体重1kgあたり0.01〜100mg/日)であり、好適には、体表面積1平方メートルあたり本明細書のレチノイドを50〜200mg/日であり;非経口投与の場合は、体表面積1平方メートルあたり本明細書のレチノイドを5〜5000mg/日、好適には、体表面積1平方メートルあたり本明細書のレチノイドを20〜200mg/日であり;局所投与の場合は、1平方インチあたり本明細書のレチノイドを1〜500mg/日、好適には、1平方インチあたり本明細書のレチノイドを2〜50mg/日である。より具体的には、ベキサロテン(タルグレチン)の用量範囲は、1平方メートルあたり約10〜100mg/日、好適には約100〜400mg/日、より好適には約400mg/日である。
【0045】
増殖因子受容体経路阻害剤
本発明の目的に関して、用語「増殖因子受容体経路阻害剤」は、増殖因子受容体がその天然リガンドへ結合するのを遮断すること、または増殖因子受容体介した信号伝達を阻害することができる任意の薬剤として定義される。このように、用語「増殖因子受容体経路阻害剤」は、増殖因子受容体に対する抗体、ならびに増殖因子の導入経路を阻害する任意の薬剤または分子を含むが、これに限定されない。抗体は、動物、キメラ、ヒトまたはヒト化抗体でよい。
【0046】
好適には、増殖因子受容体は上皮増殖因子(EGF)受容体である。従って、好適な「増殖因子受容体経路阻害剤」は抗EGF受容体抗体(例えばC225、キメラ抗体)、その断片、単鎖抗体であり、より好適にはモノクローナル抗体であり、最適には非ヒト可変域および/または超可変域とヒト定常領域を含むヒト化されたもの(ヒト:マウスキメラ抗体またはヒト化抗体)である。抗体は、完全なヒト抗体でもよい。単鎖、ヒト化およびキメラ抗EGF受容体抗体の製法は、当分野では公知である(米国特許第5,558,864号および第5,844,093号)。
【0047】
または、治療に用いられる薬剤は、IRESSA(登録商標)等のEGF受容体を介したチロシンキナーゼ活性の阻害剤、またはEGF受容体がその天然リガンド(即ちEGFおよびTGF−α)へ結合するのを阻害する任意の薬剤または化合物でよい。例えば、EGF受容体の細胞外ドメインを有する可溶性のEGF受容体は、EGFおよびTGF−αとの結合に関してEGF受容体と競合でき、その結果EGF受容体の活性化に対する阻害剤として作用する。
【0048】
また、好適には、増殖因子受容体は、別の必須増殖因子受容体であるHer2/neuである。従って、好ましい「増殖因子受容体経路阻害剤」はHer2/neuに対する標的抗体であるハーセプチンである。
【0049】
投薬量および治療頻度は、患者個々の耐性および使用する各遮断または阻害剤の薬学的特性および薬物動態特性に応じて変動することを、当業者が理解できることは、特筆すべきである。理想的には、使用する薬剤について、飽和可能な薬物動態を達成することが望まれる。抗体を本発明の遮断剤または阻害剤として使用する場合、患者に対して、当業者に公知の任意の従来方法よって投与できる。例えば、薬学的組成物内のC225等の抗体は、静脈内投与することができる。負荷用量(即ち初期用量)は、例えば約10〜1000mg/m、好ましくは約200〜400mg/mの範囲でよい。これに続いてさらに、例えば、1日用量または1週用量で約200〜400mg/mの範囲を数回追加する。患者を、皮膚毒性等の副作用についてつぶさに監視し、このような副作用が重篤な場合は、治療を中止する。
【0050】
癌患者、特に肺癌患者、さらに具体的には非小細胞肺癌患者に使用できる、好適用量の増殖因子阻害剤および/またはその他の薬剤の例としては、IRESSA(登録商標)(ゲフィチニブ)(約250〜500mg/日の単剤投与)、IRESSA(登録商標)(ゲフィチニブ)と、カルボプラチン(AUC5−6、通常用量400〜1000)にパクリタキセル(約175〜225mg/m)を加えたものとの組合せ、またはゲムシタビン(約800〜1250mg/m)にシスプラチン(75〜100mg/m)を加えたものの組合せ、またはドセタキセル(75mg/m)との組合せ;エルロチニブ(OSI−774、TARCEVA(登録商標)150mg/日;セタキシマブ400mg/mを第1週に静脈注射し、その後毎週250mg/mを単独またはドセタキセル(75mg/m)またはパクリタキセル(175〜225mg/m)にカルボプラチン(AUC 5‐6または通常用量400〜1000mg)を加えたものとの組合せ投与;ハーセプチン(トラスツズマブ)(第1週に4mg/kgを、続いて2mg/kgを毎週静脈注射)にパクリタキセル(約225mg/mを3週間毎)とカルボプラチン(濃度X時間曲線を基にした面積[AUC]の用量);グリベック(イマチニブ)(300〜600mg、好適には600mgを毎日経口投与(小細胞肺癌);および海棲生物フサコケムシ(Bugula nerutina)から単離され、PKC Aの制御ドメインを阻害するマクロライドラクトンであるブリオスタチン等があるが、これに限定されない。
【0051】
本発明のレチノイドと組合わせて使用できるその他の薬剤としては、
1)PKCに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド:Affinitak(ISIS 3521、LY90003としても知られている);
2)ras/MAPK経路を標的とする薬剤:ras/MAPK経路は、細胞増殖およびアポトーシスの阻害に関与している。MAPK経路の、たとえばrasによる、不適切な腫瘍形成活性は、NSCLCを含む多くの新生物の特徴である。このような薬剤の例としては、アンチセンス分子(例えばISIS 2503)、ティピファニブおよびロナファミブを含むファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(FTIs);ならびに
3)Rafキナーゼ阻害剤:アンチセンス分子(例えばISIS 5132)およびraf−1キナーゼ阻害剤BAY 43−9006を挙げることができる。
【0052】
ビタミンD類似体
また、本発明の目的に関して、用語「ビタミンD類似体」は、ビタミンD受容体を結合できる化合物、またはビタミンD受容体を結合できる化合物にインビボで変換される化合物として定義される。用語「ビタミンD類似体」は、コレカルシフェノール、カルシフェジオール、カルシトリオール、カルシポトリオール、エルゴステロール、エルゴカルシフェロール、ジヒドロタキステロール、1,25−ジヒドロキシ−エルゴカルシフェロール、25−ヒドロキシ−ジヒドロタキステロール等のビタミンDおよびビタミンD誘導体、ならびに米国特許第4,866,048号に開示されているビタミンD類似体を含むが、これに限定されない。好適な類似体は、コレカルシフェノール、カルシフェジオール、カルシトリオール、カルシポトリオールおよび米国特許第4,866,048号に開示されているビタミンD類似体である。さらに好適な類似体は、コレカルシフェノール、カルシフェジオール、MC903、カルシトリオールおよびカルシポトリオールである。最も好適な類似体は、MC903、カルシトリオールおよびカルシポトリオールである。
【0053】
好適には、投与されるビタミンD類似体の用量は、約0.01〜10mcg/日の範囲、より好適には約0.25〜1.0mcg/日の範囲で変動する。
【0054】
毎日投薬に代わり、ビタミンD類似体は、1,25−ジヒドロキシビタミンDが間歇的に超生理学的レベル(例えば0.25nM以上)に達するように投与してもよく、それは哺乳動物の癌の成長およびその他増殖性疾患を阻害するのに十分であると考えられている。この方法によって、治療に起因する医原性カルシウム血症により病的状態に陥る重大なリスクなしに、ビタミンD治療の治療上の恩恵を受けることができる。
【0055】
カルシトリオールは、短時間型の1,25−ジヒドロキシビタミンD製剤であり、そのため、1,25−ジヒドロキシビタミンDの血清レベルを、短期間高くすることを目的とする間歇的治療の機会を提供する。このレジメンは、驚くべき抗腫瘍活性を発揮する一方で、高カルシウム血症等の毒性が最小限に抑えられる。カルシトリオールは、主に置換治療として慢性投与する場合の研究が行われてきたが、その場合の通常用量は0.25〜1.0mcg/日である。血清濃度のピークには、2時間で達し、血清半減期は3〜6時間である。カルシウムの腸吸収は、投与2時間後から増加し始める。高カルシウム血症の影響は、10時間目に最大であり、3〜5日間持続する。
【0056】
発明の一態様においては、十分な用量のカルシトリオールを投与して血清の1,25−ヒドロキシビタミンDのレベルを、重篤な高カルシウム血症(例えば症状等級3または4の高カルシウム血症)を起こすことなく抗増殖効果を示すパルス用量に関する治療有効レベルにまで上昇する。カルシトリオールの場合、例えばこのような用量では、少なくとも2時間(例えば2〜5時間)、好適には6時間を超えない範囲で血清レベルを少なくとも約0.5nM、例えば約0.9nM以上(例えば1〜25nM、例えば5〜10nM)にする。具体的態様では、カルシトリオールのパルス用量は、症候性高カルシウム血症を引き起こす用量を超えず、または、より好適には、実験的高カルシウム血症を引き起こすパルス用量さえも超えない。
【0057】
ビタミンD類似体の「パルス」用量とは、血液または組織内のビタミンD薬剤レベルを、治療効果を挙げるのに十分な時間、超生理学的濃度まで上昇させるのに十分な量の薬剤投与量であり、同時に、薬剤の薬学的半減期、その体外排泄速度、およびそのカルシウム指数を考慮した場合に、投与間の間隔が、高カルシウム血症を回避するのに十分な薬剤投与量を指す。
【0058】
カルシトリオールの置換投薬(replacement dose)より高い短期効果に関する情報が入手でき、薬剤の効果を予測する上で役立つ。Papapoulus他、(1982年)は、カルシトリオール2mcgを健康なボランティアに単回経口投薬し、0.235および0.351nMの1,25−ジヒドロキシビタミンDのピーク血清濃度を得た。Mason他(1980年)は、カルシトリオール4mcgを健康ボランティアに単回経口投薬して、血清カルシウムの上昇なしに、0.42nMの1,25−ジヒドロキシビタミンDのピーク血清濃度を得た。Brickinan他(1974年)は、正常ボランティアに最大2.7mcg/日のカルシトリオール用量を7〜15日間処置した。カルシウムの吸収および排泄は増加したものの、血清カルシウムの有意な上昇は観察されなかった。Adams他(1982年)は、正常ボランティアに最大3mcg/日の用量でカルシトリオールを6〜12日間処置し、0.184〜0.235nMの安定した1,25−ジヒドロキシビタミンD血清レベルを得た。低カルシウム食の患者で、血清カルシウムが上昇したものはいなかった。Geusens他(1991年)は、27例の骨粗鬆症または変形性関節症の閉経後の女性に、4mcg/日のカルシトリオールを4日間与えた。被験者の尿中へのカルシウム排泄は増加を示したが、尿中へのヒドロキシプロリンの排泄の増加は見られなかった。27例の患者のうち4例で、血清カルシウムが10.8を超えたが、臨床的に有意な高カルシウム血症は観察されなかった。
【0059】
1,25−ジヒドロキシビタミンDの抗増殖レベルは、副作用を最小限に抑えて短期間達成できる。特に、短期間の1,25−ジヒドロキシビタミンD治療中の高カルシウム血症が、破骨細胞活性化(骨からカルシウムを急速に動員できる)ではなく、主に腸でのカルシウム吸収(より緩やかなカルシウム上昇)の増加を介したものである場合に達成できる。この薬剤を低カルシウム食と共に与え、でカルシウムの腸管吸収を最小限にとどめ、適切な水和によりカルシウムの排泄を最大にすると、より高い1,25−ジヒドロキシビタミンDレベルが達成できる。カルシトリオールの最大耐容用量は、間歇的に与える場合については規定されていないが、0.48mcg/kg程度の用量は、高カルシウム血症を引き起こさずに受け入れられる。
【0060】
治療上の抗増殖レベルを達成するのに十分な、より高用量のビタミンD製剤は、薬剤をパミドロネート等のビスホスホネート破骨細胞阻害剤と併用投与しても得られる。Selby他(1981年)は、ビタミンDとパミドロネートによる高カルシウム血症の治療例を報告した。骨化石症患者において破骨細胞を阻害し1,25−ジヒドロキシビタミンDの高い血清レベルを達成することは、32mcg/日の高いカルシトリオール用量を3ヶ月間用いることで可能であり(Key他1984年)、この場合1,25−ジヒドロキシビタミンDの安定した血清レベルは、2.32nMでピークに達し、高カルシウム血症は見られなかった。
【0061】
本発明の目的に関して、本発明の組成物による被験者の治療は、上に定義したレチノイド、場合により増殖因子受容体経路阻害剤および、さらに場合によってはビタミンD類似体のいずれか、または全てを一緒に、または個別に前記被験者に投与または塗布することを意味する。従って、これら薬物はそれぞれ、異なる投与および塗布手段または形態により、単独または一緒に、または個別に投与できる。
【0062】
その他の治療
放射線治療を行うことができ、および/または少なくとも1種類の薬学的に有効用量の化学療法剤を、本発明の組成物の投与前、投与間および/または投与後に、投与することができる。また好適には、化学療法剤は、IRITONECAN(登録商標)(CPT−11)、5−フルオロウラシル(5−FU)、CISPLATIN(登録商標)(CDDP)、OXALOPLATIN(登録商標)、LEUCOVORIN(登録商標)およびBRYOSTATIN(登録商標)の群から選択されるが、最適にはIRITONECAN(登録商標)である。
【0063】
上記のように、放射線または化学療法治療は、本発明のレチノイドおよび/または遮断剤または阻害剤を使用する前、使用間、使用後に実施してもよい。様々な放射線治療および/または化学療法剤を用いるプロトコルは、当業者に公知である(Rothenberg他、J.Clin.Onc., 14(4):1128〜1135、1996年)。好適には、使用する化学療法剤は、通常は特定の例に最も効果的なものである。例えば、IRITONECAN(登録商標)は、結腸直腸癌に対し有意な単剤活性を有することが確認されていることから、好適な薬剤である(Rosenberg他、1996年)。
【0064】
NSCLC(非小細胞肺癌)の化学療法治療としては、これに限定されないが、次のものが挙げられる:シスプラチン(75〜100mg/m)とエトポシド(100mg/m)とイフォスファミド(2m/m)との組合せ;マイトマイシン(10mg/m)とイフォスファミド(2g/m)とシスプラスチン(75〜100mg/m)との組合せ;シスプラチン(75〜100mg/m)とパクリタキセル(135mg/mまたは250mg/mのいずれか一方の用量で24時間注入)との組合せ;シスプラチン(3週毎に80mg/m)とパクリタキセル(3週毎に、3時間かけて175〜225mg/m)との組合せ;カルボプラチン(AUC5‐6の通常用量は400〜1200mg)とパクリタキセル(175〜225mg/m)との組合せ;ゲムシタビン(1日目および8日目に800〜1000mg/m)とパクリタキセル(1日目に3時間かけて175〜225mg/m、3週毎に両剤を投与)との組合せ;イリノテカン(125mg/m/週);ドセタキセル(1日目に100mg/m)とシスプラチン(2日目に80mg/m)との組合せ;ゲムシタビン(1日目および8日目に800〜1200mg/m)とシスプラチン(1日目に80mg/m)との組合せ;ゲムシタビン(1日目と8日目に800〜1200mg/m)とカルボプラチン(1日目にAUC5)との組合せ;ゲムシタビン(1日目と8日目に1000mg/m)とドセタキセル(1日目に100mg/m)との組合せ;ゲムシタビン(1日目と8日目に1000mg/m)とビノレルビン(1日目と8日目に25mg/m)との組合せ;ビノレルビン(21日周期の1日目と8日目に25〜30mg/m);ビノレルビン(1日目と8日目に25〜30mg/m)とシスプラチン(1日目に80〜100mg/m)との組合せ;パクリタキセル(90mg/m/週);ドセタキセル(3週毎に75〜100mg/m);ゲムシタビン(4週間周期の3週間につき毎週1回800〜1750mg/m);パクリタキセル(3時間かけて225mg/m);ドセタキセル(8週間周期の6週間につき毎週1回36mg/m);ドセタキセル(3週毎に1回、100または75mg/m);イフォスファミド(3週毎に3日間、2g/m/日);ペメトレキセド500mg/m(葉酸、ビタミンB12およびデキサメタゾンを補充);シスプラチン(1日目に100mg/m)とビンデシン(3mg/m)との組合せ;シクロホスファミドとドキソルビシンおよびシスプラチン(CAP)との組合せ;シスプラチン(75〜100mg/m)とビンブラスチン(2〜4mg/m)との組合せ;1日目にシスプラチン(120mg/m)とエトポシド(1〜3日目に100mg/m静脈注射)との組合せ;マイトマイシン(8〜10mg/m)とビンデシン(3mg/m)、およびシスプラチン(75〜100mg/m)との組合せ;イフォスファミド(2g/m)とシスプラチン(75〜100mg/m)との組合せ;シスプラチン(75〜100mg/m)とエトポシド(100mg/m)とイフォスファミド(2g/m)との組合せ;ならびにマイトマイシン(10mg/m)とイフォスファミド(2g/m)とシスプラチン(75〜100mg/m)との組合せを挙げることができる。
【実施例1】
【0065】
39歳の男性が、急性リンパ芽球性白血病と診断され、以下の構成によるHyper−CAVDの8サイクルの化学療法導入レジメンを受けた:シクロホスファミド300mg/mを1日目から3日目に12時間毎、6回、3時間かけて静脈注射(IV)、さらにシクロホスファミドと同一の総用量のメスナ(mesna)を連続注入により、シクロホスファミドと同時に開始して、最終投与から6時間後に終了するように投与;4日目および11日目にビンブラスチン2mgを静脈注射;4日目にドキソルビシン50mg/mをIV;ならびに1〜4日目および11〜14日目に、毎日デキサメタゾン40mg。これに加えて、高用量のメトトレキセート−シタラビン(ara−c)を次のように使用した:1日目にMTX(メトトレキセート)200mg/mを2時間かけて静脈注射した後、続けて24時間かけて800mg/mを静脈注射;MTX注入終了後24時間目から6時間毎に8回シトロボルム因子レスキューを15mgで開始し、注入終了時にMTXレベルが20μμmol/Lより高い場合、24時間後MTXレベルが1μμmol/Lより高いか、またはMTX注入終了48時間後に0.1μμmol/Lより高い場合には、レベルが0.1μμMより低くなるまで、6時間毎、50mgに増量する;2日目および3日目に12時間毎4回、ara−C(シタラビン)g/mを2時間かけて投与;および1〜3日目に、1日2回、メチルプレドニゾロン50mgを静脈注射。
【0066】
導入レジメンを経て、患者は完全寛解した。約1年後、血液および骨髄の中に癌細胞が認められ再発した。その後その患者は、次の用量でFLAG(フルダラビン、ara−CおよびG−CSF)のサルベージ化学療法レジメンを受けた:フルダラビン30mg/m/日を5日間;ara−C(シタラビン)2g/m/日を5日間(FLAG);およびG−CSF(ニューポゲン(neupogen)または顆粒球コロニー刺激因子)400マイクログラム/m/日。患者は、このサルベージ治療には反応せず、リンパ節の腫脹を示し始めた。そこで患者には、同一サルベージレジメンに加えて、4−オキソ−レチノを1日あたり150mg/日を28日間経口投薬した。患者は、これに反応し完全寛解(血液および骨髄中)を示し、リンパ節も正常な大きさまで縮小した。この寛解は、再発まで1ヶ月間持続した。
【0067】
同一のサルベージレジメンを、4−オキソ−レチノール(75mg/日を18日間)の経口投与に、カルシトリオール(50mcg/日、4−オキソ−レチノールとの同時投与)の毎日投薬を加えて、繰り返した。患者は再度完全に寛解し、骨髄移植の準備に入った。
【実施例2】
【0068】
非小細胞肺癌に罹った患者を、IRESSA(登録商標)(250mg/日)で2ヶ月間治療した。治療中も病状は進行したため、患者にIRESSA(登録商標)(250mg/日)の投与を継続しながら、2ヶ月間4−オキソ−レチノール(75mg/日)を毎日投与した。病状は安定化し、患者は4−オキソ−レチノールなしに、さらに4ヶ月間IRESSA(登録商標)を摂り続け、病状も安定した。
【実施例3】
【0069】
様々なタイプのヒトメラノーマ、乳癌および前立腺癌細胞を、標準的な手順に従って培養する。これらの細胞を、各種濃度の4−オキソ−レチノール、増殖因子受容体阻害剤(EGF受容体抗体またはチロシンキナーゼ阻害剤)、カルシトリオール、またはその組合せと共にインキュベーションする。これらの細胞の少なくともいくつかの種類の細胞増殖は、4−オキソ−レチノールおよび増殖因子受容体阻害剤の存在では、上記化合物なしでインキュベーションした細胞、または上記各化合物が単独で存在した状態でインキュベーションした細胞に比べて、有意に阻害されることが示される。
【実施例4】
【0070】
4−オキソ−レチノールまたは4−ヒドロキシ−レチノール(100mg/平方メートル)の経口投薬とIRESSA(登録商標)の経口投薬との組合せによる治療を受けている、乳癌、前立腺癌または白血病、特に急性前骨髄球性白血病患者は、IRESSA(登録商標)単独で治療された患者に比べ、全身腫瘍組織量が減少し、長期間の寛解を得るか、または完治する。
【実施例5】
【0071】
現行の全身化学療法レジメンは、進行した頭頚部癌患者を長期生存させることはできない。4−オキソ−レチノールまたは4−ヒドロキシ−レチノール(100mg/平方メートル)の経口投薬およびIRESSA(登録商標)の経口投薬、またはC−225の静脈内投薬の組合せ治療を受けた患者は、IRESSA(登録商標)またはC−225の単独治療を受けた患者に比べより良好な生存率を得る、および/またはこの治療が行われている期間の全身腫瘍組織量が減少する。
【実施例6】
【0072】
4−オキソ−レチノールまたは4−ヒドロキシ−レチノール(100mg/平方メートル)の経口投薬およびIRESSA(登録商標)の経口投薬の組合せにより治療を受けている肺癌患者は、IRESSA(登録商標)単独で治療される患者に比べて全身腫瘍組織量が減少し、長期間の寛解を得るか、または完治する。
【実施例7】
【0073】
IRESSA(登録商標)単独の治療で病状の進行を示した肺癌患者は、そのIRESSA(登録商標)治療に、4−オキソ−レチノールまたは4−ヒドロキシ−レチノール(100mg/平方メートル)の経口投薬、および場合によりカルシトリオール(0.1〜1mcg/日)の経口投薬を補充すると、全身腫瘍組織量が減少し、長期の寛解を得るか、または完治する。
【実施例8】
【0074】
IRESSA(登録商標)(約250〜500mg/日)単独の治療で病状の進行を示した小細胞肺癌患者は、そのIRESSA(登録商標)治療にベキサロテン(約100〜500mg/日、好適には約400mg/日)の経口投薬を補充すると、病状は安定化するか、または全身腫瘍組織量が減少し、長期の寛解を得るか、または完治する。
【0075】
本発明は、その好適な態様について記載されているが、当業者によって理解されるように、それはより広範囲に応用できるものである。従って、本発明の範囲は、以下の特許請求項の範囲によってのみ限定される。
【0076】
参考文献
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常な細胞増殖および/または細胞分化を特徴とする疾患に侵された被験者を治療する方法であって、かかる治療が必要な被験者に薬学的に有効な投薬量の増殖因子受容体阻害剤およびレチノイドを投与することを含み:
前記レチノイドは、アルコールCHOH末端側鎖を持つレチノイドD、エステル結合を有するレチノイドDのエステル、エーテル結合を有するレチノイドDのエーテル、アルコールCHOH末端側鎖がアルデヒドCHO末端側鎖で置換されたレチノイドD、末端側鎖にカルボン酸を持つレチノイドDの群より選択され、その際各エステル結合およびエーテル結合は、レチノイドDの末端側鎖にある酸素と形成され、アルコールCHOH末端側鎖を持つレチノイドは次の構造を持ち:


式中、位置7、9、11および13の二重結合の配置は、独立にZまたはEであり、Rは、次の群から選択され、


式中、位置4のケト基は、遊離もしくは保護されているか、または遊離もしくは保護されているチオケトン基によって置換され、またはC1〜6アルキリデン基により置換されており;


式中、Xは、水素およびC1〜6アルキルの群から選択され、Yは、C1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択され、位置4の絶対配置は、独立にRまたはSであり;


式中、X、Yは独立に、水素、C1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択され、Zは、C1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択され;


式中、Xは、水素、C1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択され、ZはC1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択され;


式中、XおよびYは、XおよびYが共に水素でない限りにおいて、独立に、水素、C1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択されることを特徴とする前記治療方法。
【請求項2】
アルコールCHOH末端側鎖を持つレチノイドDは、次の構造を有する請求項1に記載の方法であって:


構造中、位置7、9、11および13の二重結合の配置は、独立にZまたはEであり、Rは、次の群から選択され:


式中、位置4のケト基は、遊離または保護されており;


式中、Xは、水素およびC1〜6アルキルの群から選択され、Yは、ヒドロキシおよびC1〜6アルコキシルの群から選択され、位置4の絶対配置は、独立にRまたはSである群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レチノイドは、アルコールCHOH末端側鎖を持つレチノイドDであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記レチノイドは、4−オキソ−レチノール、4−オキソレチノイン酸、4−オキソ−レチナールおよび4−オキソレチニルエステルの群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記レチノイドは、オールトランス4−オキソ−レチノールまたはその異性体であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記レチノイドは、4−ヒドロキシ−レチノールであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記レチノイドは、4−メトキシ−レチノールであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記増殖因子受容体は、EGF受容体であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記EGF受容体阻害剤は、EGF受容体抗体であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記抗体は、C−225であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記EGF受容体阻害剤は、EGF受容体が介在するチロシンキナーゼ活性の阻害剤であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記EGF受容体阻害剤は、IRESSA(登録商標)であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記増殖因子受容体は、TGF−αであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ビタミンD類似体を被験者に投与することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ビタミンD類似体は、コレカルシフェノール、カルシフェジオール、カルシトリオール、カルシポトリオール、エルゴカルシフェロール、ジヒドロタキステロール、1,25−ジヒドロキシエルゴカルシフェロールおよび25−ヒドロキシジヒドロタキステロールの群から選択されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ビタミンD類似体は、カルシトリオールであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ビタミンD類似体は、カルシポトリオールであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記被験者に少なくとも1つの化学療法剤を投与することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記被験者に放射線照射を用いて治療することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記疾患は、癌であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記癌が、メラノーマ、皮膚の表面扁平上皮癌、角化棘細胞腫、頭頚部癌、甲状腺癌、非小細胞および小細胞肺癌、胸腺腫、奇形癌腫、肝細胞癌、胃、脳、食道、膵臓、胆管癌、膨大部癌(ampullary carcinoma)、カルチノイド、小腸癌、結腸、虫垂、直腸、肛門、卵巣、乳房、子宮または子宮内膜、卵管、膣、頸部、陰茎、精巣、前立腺、腎細胞または腎臓、リンパ腫、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、骨肉腫、肉腫、神経膠腫、星状細胞腫、多発性骨髄腫、多形性神経膠芽腫、および上衣細胞腫の群から選択されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
異常な細胞増殖および/または細胞分化を特徴とする疾患に侵されている被験者を治療する方法であって、かかる治療が必要な被験者に、薬学的に有効な投与量の増殖因子受容体阻害剤およびレチノイン酸受容体またはRXRを結合、および/または転写活性化するレチノイドを投与することを含む方法。
【請求項23】
前記レチノイドは、レチノイン酸、レチンアミド、ベキサロテンおよびタザロテンの群から選択されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記レチノイド酸受容体(RAR)は、RARα、RARβおよびRARγの群から選択されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記RXRは、RXRα、RXRβおよびRXRγの群から選択されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記レチノイン酸は、オールトランス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸および13−シス−レチノイン酸の異性体の群から選択されることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記レチノイドは、ベキサロテンであり、疾患は非小細胞肺癌であり、増殖因子受容体阻害剤は、IRESSA(登録商標)であることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項28】
癌に侵されている被験者を治療する方法であって、かかる治療が必要な被験者に薬学的に有効な投薬量のレチノイドを投与することを含み:
前記レチノイドは、アルコールCHOH末端側鎖を持つレチノイドD、エステル結合を有するレチノイドDのエステル、エーテル結合を有するレチノイドDのエーテル、アルコールCHOH末端側鎖がアルデヒドCHO末端側鎖で置換されたレチノイドD、末端側鎖にカルボン酸を有するレチノイドDの群より選択され、その際各エステル結合およびエーテル結合は、レチノイドDの末端側鎖にある酸素と形成され、アルコールCHOH末端側鎖を持つレチノイドは、次の構造を持ち:


式中、位置7、9、11および13の二重結合の配置は、独立にZまたはEであり、Rは、次の群から選択され、


式中、位置4のケト基は遊離もしくは保護されているか、または遊離もしくは保護されているチオケトン基によって置換され、またはC1〜6アルキリデン基によって置換されており;


式中、Xは、水素およびC1〜6アルキルの群から選択され、Yは、C1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アシルオキシ、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択され、位置4の絶対配置は、独立にRまたはSであり;


式中、X、Yは、独立に、水素、C1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択され、ZはC1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択され;


式中、Xは、水素、C1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択され、Zは、C1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択され;


式中、XおよびYは、XおよびYが共に水素でない限りにおいて、独立に、水素、C1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択され;
前記癌は、メラノーマ、皮膚の表面扁平上皮癌、角化棘細胞腫、頭頚部癌、甲状腺癌、非小細胞および小細胞肺癌、胸腺腫、奇形癌腫、肝細胞癌、胃、脳、食道、膵臓、胆管癌、膨大部癌(ampullary carcinoma)、カルチノイド、小腸癌、結腸、虫垂、直腸、肛門、卵巣、子宮または子宮内膜、卵管、膣、頸部、陰茎、精巣、前立腺、腎細胞または腎臓、リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、骨肉腫、肉腫、神経膠腫、星状細胞腫、多発性骨髄腫、多形性神経膠芽腫および上衣細胞腫の群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項29】
前記被験者にビタミンD類似体を投与することをさらに含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ビタミンD類似体は、コレカルシフェノール、カルシフェジオール、カルシトリオール、カルシポトリオール、エルゴカルシフェロール、ジヒドロタキステロール、1,25−ジヒドロキシエルゴカルシフェロールおよび25−ヒドロキシジヒドロタキステロールの群から選択されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ビタミンD類似体は、カルシトリオールであることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ビタミンD類似体は、カルシポトリオールであることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記被験者に、少なくとも1つの化学療法剤を投与することをさらに含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記被験者を、放射線照射を用いて治療することをさらに含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記癌は、急性リンパ芽球性白血病であることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記癌は、非小細胞性肺癌であることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項37】
薬学的に有効な投薬量の増殖因子受容体阻害剤およびレチノイドを含む、薬学的組成物であって、
前記レチノイドは、アルコールCHOH末端側鎖を持つレチノイドD、エステル結合を有するレチノイドDのエステル、エーテル結合を有するレチノイドDのエーテル、アルコールCHOH末端側鎖がアルデヒドCHO末端側鎖で置換されたレチノイドD、末端側鎖にカルボン酸を有するレチノイドDの群より選択され、その際各エステル結合およびエーテル結合は、レチノイドDの末端側鎖にある酸素と形成され、アルコールCHOH末端側鎖を持つレチノイドは、次の構造を持ち:


式中、位置7、9、11および13の二重結合の配置は、独立にZまたはEであり、Rは、次の群から選択され、


式中、位置4のケト基は遊離もしくは保護されているか、または遊離もしくは保護されているチオケトン基によって置換され、またはC1〜6アルキリデン基によって置換されており;


式中、Xは、水素およびC1〜6アルキルの群から選択され、YはC1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択され、位置4の絶対配置は、独立にRまたはSであり;


式中、X、Yは、独立に、水素、C1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択され、Zは、C1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択され;


式中、Xは、水素、C1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択され、Zは、C1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択され;


式中、XおよびYは、XおよびYが共に水素でない限りにおいて、独立に、水素、C1〜6アルキル、ヒドロキシル、C1〜6アルコキシル、C1〜6アシルオキシル、ハロゲン化物、アジド、スルフヒドリル、アミンおよびC1〜6アルキル置換アミノの群から選択されることを特徴とする薬学的組成物。
【請求項38】
前記レチノイドは、4−オキソ−レチノール、4−オキソ−レチノイン酸、4−オキソレチナール、および4−オキソ−レチニルエステルの群から選択されることを特徴とする請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記レチノイドは、オールトランス−4−オキソ−レチノールおよびその異性体であることを特徴とする請求項37に記載の組成物。
【請求項40】
前記レチノイドは、4−ヒドロキシ−レチノールであることを特徴とする請求項37に記載の組成物。
【請求項41】
前記レチノイドは、4−メトキシ−レチノールであることを特徴とする請求項37に記載の組成物。
【請求項42】
前記増殖因子受容体は、EGF受容体であることを特徴とする請求項37に記載の組成物。
【請求項43】
前記EGF受容体阻害剤は、EGF受容体抗体であることを特徴とする請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
前記抗体は、C−225であることを特徴とする請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記EGF受容体阻害剤は、EGF受容体が介在するチロシンキナーゼ活性の阻害剤であることを特徴とする請求項42に記載の組成物。
【請求項46】
前記EGF受容体阻害剤は、IRESSA(登録商標)であることを特徴とする請求項42に記載の組成物。
【請求項47】
前記増殖因子受容体は、TGF−αであることを特徴とする請求項37に記載の組成物。

【公表番号】特表2006−526662(P2006−526662A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515215(P2006−515215)
【出願日】平成16年6月7日(2004.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/017831
【国際公開番号】WO2005/000230
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(505435305)
【出願人】(505435316)
【Fターム(参考)】