説明

過敏性腸症候群を処置するための末梢オピオイドアンタゴニスト、特にメチルナルトレキソンの使用

過敏性腸症候群を末梢オピオイドアンタゴニスト、例えばメチルナルトレキソンなどで処置する方法を提供する。末梢オピオイドアンタゴニスト、例えばメチルナルトレキソンなどと、過敏性腸症候群治療剤とを含む製剤も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、過敏性腸症候群を処置する分野に関する。特に、本発明は、過敏性腸症候群が、末梢オピオイドアンタゴニスト、例えばメチルナルトレキソンを投与することにより処置可能であるという知見に関する。
【0002】
発明の背景
過敏性腸症候群(IBS)は、典型的には検出可能な構造異常の不存在下において、変化した排便習慣および腹痛により特徴づけられる胃腸障害である。IBSは、最も一般的な状態の1つであるが、臨床実践において最も良好に理解されていないものの1つである。IBSの定義は、その臨床所見に基づいている。その理由は、明確な診断的マーカーがIBSについて存在しないからである。IBSは、しばしば、炎症性腸疾患(IBD)、大腸炎、粘液性大腸炎、痙攣性結腸または痙攣性腸と混同される。ローマ基準を用いて、IBSを診断し、他の疾患を除外することができる。ローマ基準は、排便に伴って緩和される腹痛および/または不快感および/または少なくとも3カ月にわたる排便回数の変化および/または便の硬さの変化並びに、少なくとも3カ月間の少なくとも25%の時間の排便回数の変化、硬さの変化、困難な便の通過、不完全な排出の感覚および便中の粘液の存在の2つまたは3つ以上を含む(Harrison's Principals of Internal Medicine; Braunwald, E., et al.編;McGraw-Hill: New York 2001を参照、参照により本明細書中に組み込む)。最近になって、医師は、一般的に、IBSは、精神的ストレスの身体上の徴候というよりむしろ疾患であると考えている。IBSの病因の一層良好な理解に向けて前進がなされているが、現在満足な処置が利用可能ではないため、改善された処置の方法が必要である。
【0003】
IBSは、米国における成人人口の約20%に存在する。IBSは、若い集団において一般的であり、最も新しい症例では、45歳前に存在する。しかし、いくらかの年長の患者が、小児と同様に、IBSの症状により悩まされている。女性は、男性と比較して2〜3倍の頻度でIBSを有すると診断されており、重篤なIBSを有すると診断された集団の80%を構成する。IBSは、生命を脅かすものではないが、これは、苦痛であり、社会的に衰弱させるものであり得る。
【0004】
IBS患者は、典型的に、2つの広範囲な臨床群に分類される。ほとんどのIBS患者は、第1の群に分類され、当該患者は、便秘、下痢または交代性の便秘および下痢を含む、変化した排便習慣を伴う腹痛を有する。第2の群のIBS患者は、無痛性の下痢を有する患者を含む。ほとんどのIBS患者は、いくつかのIBS症状、例えば腹痛、変化した排便習慣、ガス、鼓腸、上部消化管症状、例えば消化不良、胸焼け、悪心、嘔吐を経験する。多くの患者はまた、IBSの間接的な結果として、うつ病に罹患する。
【0005】
IBSの病因はよく理解されていない;腸の異常な運動性および感覚性の活動、中枢神経機能障害、精神的障害、ストレスおよび腸管の要因が、各々関与することが提案されている。
【0006】
一般的に、中枢神経系の役割が、IBSの病因において重要であると考えられている。この役割は、情緒障害とIBS症状の悪化との臨床的関連、ストレスとIBS症状の悪化との臨床的関連および脳皮質部位に対して作用するIBS療法への治療応答により、強力に示唆される。さらに、ポジトロン放出断層撮影により、IBS患者の、健康な個体と比した局所的な脳血流の変化が示されている。例えば、健康な個体においては、直腸の膨張により、前側帯状皮質、即ちオピエートレセプターが豊富な領域における血流が増大する。活性化された際に、これらの中枢のオピエートレセプターは、感覚性入力が減少するのを助け得る。しかし、IBS患者は、前側帯状皮質における増大した血流を示さず、直腸活性化に応答して、または直腸膨張の予測に応答して、前頭前野の活性化を示す。
【0007】
前頭葉の活性化は、覚醒を増強する脳内の覚醒回路(vigilance network)を活性化すると考えられる。前側帯状皮質および前頭前野は、相互的な阻害関係を有すると考えられる。IBS患者において、前側帯状皮質の活性化を伴わない前頭前野葉の優先的な活性化は、内臓痛の増大した知覚をもたらす脳機能障害の一形態であると考えられる。IBSを有する患者は、しばしば、種々の刺激に対する、結腸および小腸の増大した運動反応性、ならびに、比較的低い感覚閾値に関連する変化した内臓感覚を示し、これは、中枢神経系の失調の結果であると考えられる。
【0008】
腸運動性における変化が、IBSにおいて検出されている。例えば、便秘が優勢なIBSを有する患者は、食後に比較的少ない推進性収縮を有する(Talley, N.J., and Spiller, R., Lancet 2002;360:555-564)。下痢が優勢なIBSを有する患者は、便秘を有する患者よりも短い小腸および結腸通過時間を有し得る。IBSを有する患者における腸組織における変化した運動応答は、部分的に、脳−腸失調に関連する刺激に対する悪化した応答のためであり得る。腸領域に限局した変化が、顕著な役割を演ずるか否かは知られていない。
【0009】
オピオイドは、腸運動性の制御に関与し得る。外因性オピオイド、例えばモルヒネは、腸の推進運動を、中枢および末梢成分の両方を含む機序により阻害する(Manara, L., and Bianchetti, A., Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 1985;25:249-273)。疼痛に苦しむ患者における鎮痛を誘発する目的のための外因性オピオイドの投与により、しばしば、胃腸副作用、例えば胃および腸の運動性低下がもたらされ、これが次に、乏しい消化、便秘および不快感に寄与することは十分知られている。腸に対するオピオイドの直接の作用は、確立されている。例えば、内因性オピオイドが腸において見出されている。これらは、オピオイドペプチドであるエンケファリン、ダイノルフィンおよびエンドルフィンを含む。内因性オピオイドペプチドにより、腸における分節運動が誘発され、蠕動が阻害される(Kromer, W., Dig. Dis. 1990;8:361-373)。さらに、腸におけるオピオイドは、平滑筋の緊張を増大させ、電解質吸収を変化させ、腸壁の分泌機能を変化させる潜在力を有する。
【0010】
腸において、内因性オピオイドは、腸神経系、即ち腸壁中の輪状平滑筋および縦走平滑筋の層の間に位置するニューロン系中にあり、これは、特に、腸筋層間神経叢および粘膜下神経叢中に集中している。ミュー、カッパおよびデルタオピオイドレセプターは、これらの細胞で同定されている(Hedner, T., and Cassuto, J., Scand. J. Gastroenterol. Suppl. 1987;130:27-46)。内因性および外因性オピオイドは、原則的に、腸中のアセチルコリン含有神経に対するオピオイドレセプターに結合することにより作用し、細胞を過分極させ、シナプス前神経終末からのアセチルコリンの放出を阻害すると見られる。減少したアセチルコリン放出は、腸機能を減速するかまたは他の方法でこの正常な分節/推進のシーケンスを乱す、即時のエフェクター機構であり得る。鎮痛のための外因性オピオイドの使用に伴う腸運動性低下を含む副作用は、この器官における正常なオピオイド機能に対する過剰応答であり得る。
【0011】
中枢作用性のオピオイドアンタゴニストによるIBSの処置の成功は例証されていない。中枢で利用可能なオピオイドアンタゴニストであるナロキソンは、小規模な試験でテストされたが成功しなかった。Hawkes, et al.は、無作為二重盲検プラシーボ対照試験を、IBSについてローマ基準を満たし、便秘優勢型および交代型のIBSを示す25人の対象において行った(Hawkes, N.D., et al., Aliment. Pharmacol. Ther. 2002;16:1649-1654)。対象に、8週間にわたる毎日2回のプラシーボまたは1mgのナロキソンからなる処置レジメンを施与した。「適切な症状緩和」の主要な終点が試験された際に、ナロキソンで処置された群における結果は、プラシーボで処置された群における結果と、統計的に有意に異なってはいなかった。
【0012】
主観的な評価、例えば重篤度の評価および疼痛の点数における、若干の、しかし統計的に有意ではない改善が記録された;しかし、オピオイドアンタゴニストの特異的な胃腸効果に関するこれらの知見の解釈は、ナロキソンがまた中枢神経系に進入するという可能性により、複雑になっている。別個の研究において、ナロキソン0.4mgまたはプラシーボが、IBSで来院した連続50人の患者に静脈内投与された。筋肉痙攣の程度および疼痛の相対的強度は、S字結腸鏡検査の間の空気注入により決定された。ナロキソンでの処置は、有利な効果のいかなる客観的または主観的証拠とも関連していなかった(Fielding, J.F., and O'Malley, K., Ir. J. Med. Sci., 1981;150:41-2)。
【0013】
他の試験において、オピオイドレセプターアンタゴニストであるナルメフェンの誘導体、即ちナルメフェングルクロニドが、便秘が優勢なIBSを有する8人の患者において研究された(Chalmi, T.N., et al., Am. J. Gastroenterol. 1993;88:1568 [要約])。8週間の期間にわたり、患者に、16mgのナルメフェングルクロニドを、1週間に3回投与した。患者は、腸通過時間が減少し、排便回数が増加したと報告した;しかし、当該化合物によっては、腹痛または膨満は低減されず、便の硬さは改善されなかった。
【0014】
米国特許第6,395,705号には、「興奮性」オピオイドアンタゴニストを用いてIBSを処置することが記載されている。'705特許には、極めて低い用量のこのようなアンタゴニスト、即ち慣例的にオピオイド処置の副作用(例えば腸運動性低下)を相殺するのに用いられる用量よりも低い用量を用いることが教示されている。列挙されている「興奮性」アンタゴニストは、中枢作用性であり、中枢および末梢オピオイドレセプターの両方に対して作用する。
【0015】
体全体にわたって、中枢神経系内の細胞のカルシウムチャネルは、エンドルフィン媒介性の病態、例えばIBSの病因に関与すると考えられている。これらの病態は、参照により本明細書中に組み込まれる米国特許第5,811,451号中に記載されているように、遊離の、および結合したエンドルフィンの上昇したレベルにより特徴づけられる。米国特許第5,811,451号では、これらの増大したエンドルフィンの組織および循環レベルが、カルシウム代謝に影響することが推測されている。エンドルフィンがある生理学的限界を超えて増大すると、細胞カルシウムイオンの流れが障害され、カルシウム血症の増大を伴う「細胞内および組織内」カルシウムの不足がもたらされる。この結果、増大した細胞内カルシウム要求シグナリングにより、損傷された組織への外部カルシウムの動員が生じ、これによりエンドルフィンの蓄積が生じると考えられた。
【0016】
神経系レセプターに結合したエンドルフィンの存在は、あるレベルにおいては正常であるが、カルシウム不足により生じた結合したエンドルフィンの増大により、大量の神経調節物質が蓄積して「エンドルフィンの雲(endorphin cloud)」の形成が生じる。エンドルフィンの雲により、神経系の細胞およびエンドルフィンレセプターを有する他の細胞における膜電位および透過性が変化する。カルシウム不足により生じた細胞透過性の変化は、カルシウムチャネルの活性および機能性並びに関連する結果として生じる活性および機能性に影響する。カルシウムは、オピエートアンタゴニストと同時に投与されて、細胞からのカルシウム流出を防止し、これにより、細胞損傷の悪化を防止し、エンドルフィン媒介性の病態、例えばIBSを処置する。
【0017】
カルシウム塩と組み合わせてのオピオイドアンタゴニストは、米国特許第5,811,451号に記載されている。カルシウムのオピオイドアンタゴニストと同時の投与は、細胞がすでにカルシウムイオン不足により障害されているため、細胞から血流中へのさらなるカルシウムの流出を防止するのに極めて重要であると考えられていた。
【0018】
カルシウムの投与は、エンドルフィン媒介性の病態、例えばIBSなどの処置において有益であるが、例えば、多くの人々が、血中カルシウムの過剰な量である高カルシウム血症に罹患しているため、カルシウムを投与することはしばしば望ましくない。
【0019】
副甲状腺ホルモン(PTH)およびビタミンDは、体内のカルシウムバランスを調節する。しばしば一次的な副甲状腺機能亢進症により生じた、上昇したレベルのPTHは、高カルシウム血症の最も一般的な原因である。また、上昇したPTHレベルにより、家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症を有する患者において見出される高カルシウム血症が生じる。高カルシウム血症を有する多くの癌患者は正常なレベルのPTHを有するが、これは、悪性の腫瘍が、同じく血中カルシウムレベルを上昇させるPTH関連タンパク質(PTHrP)をしばしば生成するためである。
【0020】
高カルシウム血症の他の一般的な原因は、食物または疾患、例えば肉芽腫症の結果としての過剰のビタミンDである。高カルシウム血症はまた、腎不全、副腎不全、甲状腺機能亢進症、長期の運動抑制、治療剤、例えばチアジド類の使用および大量のカルシウムの摂取または投与から生じ得る。
【0021】
高カルシウム血症の種々の症状があり、これは、腹部症状、骨症状、例えば骨痛、腎症状、例えば側腹部痛および腎臓結石、精神症状、例えばうつ病および興奮性、並びに筋症状、例えば筋萎縮を含む。
【0022】
高カルシウム血症の腹部症状には、腹痛、悪心、嘔吐、食欲不振および便秘が含まれる。IBS患者は、典型的にはこれらの症状も患っているため、これらの患者に外因性のカルシウムを投与するのは望ましくない。その理由は、カルシウムにより、潜在的に当該患者の症状が悪化し得るからである。
【0023】
発明の概要
過敏性腸症候群における変化した腸運動性に寄与する基礎的な病態生理学的原因の1つは、正常な蠕動の障害と、それに結果する分節運動の優勢であり得る。正常な蠕動がないと、腸内容物の移動は減速されるかまたは停止する。これらは、例えば症状が便秘または便秘/疼痛の範囲である過敏性腸症候群を有する患者における、便秘および疼痛の臨床的な症状に対する寄与要因であり得る。内因性オピオイドが、IBSにおいて障害される腸分節運動および蠕動の制御における可能なメディエータであることから、本発明者らは、末梢作用性のオピオイドアンタゴニスト、例えばメチルナルトレキソンが、過敏性腸症候群の処置において有益であると考えた。
【0024】
本発明は、部分的に、カルシウムの不存在における末梢オピオイドアンタゴニスト、例えばノルオキシモルホンの第四級誘導体の投与を、過敏性腸症候群(IBS)の処置に用いることができるという驚異的な知見に基づく。過敏性腸症候群の機構の不確実性、中枢神経系の役割の強力な証拠、およびエンドルフィン媒介性の病態、例えばIBSを処置するためのカルシウムイオン投与の既知の重要性のため、カルシウムの不存在下において中枢神経系効果を有しない末梢オピオイドアンタゴニスト、例えばノルオキシモルホンの第四級誘導体が、過敏性腸症候群を処置するための有効な治療剤であることは、予期不能であり、予測されなかった。
【0025】
本発明の1つの観点において、過敏性腸症候群を処置する方法を提供する。この方法は、このような処置を必要としている患者に、末梢オピオイドアンタゴニストを含み、生物が利用可能なカルシウムおよびその塩を含まない、有効量の医薬製剤を投与して、過敏性腸症候群の少なくとも1つの症状を改善することを含む。いくつかの態様において、医薬製剤は、非経口的に投与される。他の態様において、医薬製剤は、静脈内に、皮下に、筋肉内に、無針注射により、および注入により投与される。他の態様において、医薬製剤は、直腸内に、鼻腔内に、および経皮的に投与される。いくつかの態様において、医薬製剤は、溶液として製剤される。他の態様において、医薬製剤は、座剤として製剤される。他の態様において、医薬製剤は、浣腸剤、錠剤、カプセルまたは経皮製剤として製剤される。好ましい末梢オピオイドアンタゴニストは、ミューオピオイドアンタゴニスト、例えばノルオキシモルホンの第四級誘導体、ピペリジン−N−アルキルカルボキシレート類、アヘンアルカロイド誘導体および第四級ベンゾモルファンである。最も好ましいアンタゴニストは、メチルナルトレキソン、即ちノルオキシモルホンの第四級誘導体である。
【0026】
本発明の他の観点において、末梢オピオイドアンタゴニストを含み、生物が利用可能なカルシウムおよびその塩を含まない医薬製剤を、このような処置を必要としている患者に、有効量で経口投与することにより、IBSを処置する方法を提供する。好ましいオピオイドアンタゴニストを含む重要な態様は、上記した通りである。
【0027】
本発明の方法により改善することができるIBS症状には、腹痛、腹部膨張、異常な便の硬さ、異常な排便回数、変化した排便習慣、膨満(例えば腹部膨満)、便秘、下痢、交代性の下痢および便秘、皷腸、ガス、便中の粘液、並びに消化不良、胸焼け、悪心および嘔吐を含む上部消化管症状が含まれる。いくつかの態様においては、1つの症状が改善される。他の態様においては、2つまたは3つ以上の症状が改善される。改善される症状は、前述の症状の任意の1つ、2つもしくは3つ以上の任意の組み合わせ、またはそのすべてであり得る。このような組み合わせの各々は、本明細書中で特定的に列挙されたものとして含まれることとする。
【0028】
本発明のいくつかの態様においては、患者に抗生物質も投与する。本発明のいくつかの態様においては、患者に過敏性腸症候群治療剤も投与する。IBSの少なくとも1つの症状を改善するために患者に投与することができる過敏性腸症候群治療剤には、鎮痙薬、抗ムスカリン薬、止痢薬、抗炎症剤、運動促進(pro-motility)剤、5HTアゴニスト、5HTアンタゴニスト、5HTアンタゴニスト、5HTアゴニスト、胆汁酸塩捕捉剤、膨張剤、膨張性緩下薬、瀉下性緩下薬、ジフェニルメタン緩下薬、浸透圧性緩下薬、塩類緩下薬、他の緩下薬、便軟化剤、アルファ2−アドレナリン作用薬、鉱油、抗うつ薬および生薬が含まれる。
【0029】
本明細書中に記載したすべての方法および剤形についてのノルオキシモルホンの好ましい第四級誘導体は、メチルナルトレキソンおよびその塩である。
【0030】
末梢オピオイドアンタゴニストは、すべての商業的な投与様式、または当業者に知られているすべての投与様式を用いて投与することができる。オピオイドアンタゴニストは、経腸的に、または非経腸的に投与することができる。これらの投与様式には、静脈内、皮下、経口、経皮、経粘膜、局所および直腸内投与が含まれるが、これらには限定されない。さらに、末梢オピオイドアンタゴニストは、腸溶錠剤またはカプセルとして投与することができる。いくつかの態様においては、オピオイドアンタゴニストを、注入法(例えばゆっくりとした注入法)により、または徐放的な方法により投与する。他の態様においては、オピオイドアンタゴニストを、座剤または浣腸剤として投与する。
【0031】
上記した本発明の観点および態様のすべてにおいて、末梢オピオイドアンタゴニストは、典型的に、1日あたり0.01〜1000mgの範囲内の量で投与する。
【0032】
末梢オピオイドアンタゴニストを非経腸的に、例えば静脈内に、または皮下に投与する際には、投与量は、典型的に、0.001〜5.0mg/患者の体重1kgの範囲内とすることができる。いくつかの態様においては、投与量は、0.001〜0.45mg/患者の体重1kgの範囲内とすることができる。他の態様においては、投与量は、0.1〜0.3mg/患者の体重1kgの範囲内とすることができる。皮下投与については、0.5〜1.5ccの容量を患者に投与して、疼痛を回避するのが好ましい。
【0033】
いくつかの態様においては、末梢オピオイドアンタゴニストを、10〜750mg/日の範囲内の量で、経口的に投与する。他の態様においては、量は、50〜250mg/日の範囲内である。特定の態様においては、量は、75mgである。他の特定の態様においては、量は、225mgである。投与量は、用いられる剤形に依存し、例えば、腸溶コーティングを有する経口用量は、典型的に、腸溶コーティングされていない経口用量よりも低い量で投与する。好適な投薬単位は、当業者が容易に決定することができる。
【0034】
いくつかの態様においては、本明細書中に記載した本発明の方法により、末梢オピオイドアンタゴニストの1400mg/mlまたはこれ未満の平均ピーク血漿濃度が得られる。いくつかの態様においては、平均ピーク血漿濃度は、1200mg/mlまたはこれ未満である。他の態様においては、平均ピーク濃度は、1000mg/mlまたはこれ未満である。
【0035】
本発明のいくつかの態様においては、末梢オピオイドアンタゴニストの患者の血漿レベルは、1000ng/mlを超えない。末梢オピオイドアンタゴニストを、第四級誘導体の患者の平均ピーク血漿レベルが、2000、1500、750、500、400、300、250、200、150、100、50またはさらに20ng/mlを超えないような有効量で投与することができる。他の態様においては、末梢オピオイドアンタゴニストを、1400ng/mlまたはこれ未満;1200ng/mlまたはこれ未満;1000、500、400、300、200、100またはさらに20ng/mlの、患者の平均ピーク血漿レベルを維持する量で投与する。患者の薬剤血漿レベルは、当業者に知られている定法のHPLC法を用いて測定することができる。
【0036】
本発明のいくつかの態様において、医薬製剤は、腸溶製剤にて経口投与する。他の態様において、医薬製剤は、ゆっくりとした放出の製剤として投与する。他の態様において、医薬製剤は、腸溶持続放出製剤として投与する。さらに他の態様においては、第四級誘導体を、結腸部位特異的製剤にて投与する。
【0037】
いくつかの態様において、本発明の方法により処置可能な患者は成人である。他の態様において、患者は小児である。本発明のいくつかの態様において、本発明の方法により処置可能な患者は女性である。他の態様において、患者は男性である。いくつかの態様において、患者は、60歳よりも若く、他の態様において、患者は、60歳を超えている。
【0038】
本発明のいくつかの態様において、末梢オピオイドアンタゴニストは、患者に、IBSの少なくとも1つの症状を改善するのに有効な量で投与する。他の態様においては、2つまたは3つ以上の症状を改善する。
【0039】
本発明のいくつかの態様において、患者には、外因性オピオイドが投与されず、即ち、患者は、外因性オピオイド処置を受けない。他の態様において、患者に、例えば疼痛についての療法として外因性オピオイドが投与され、即ち、患者は、オピオイド処置を受ける。これらの態様のいくつかにおいて、患者に、オピオイドを慢性的に、即ち1週間にわたり、またはこれを超えて投与する。いくつかの態様において、オピオイドは、アルフェンタニル(alfentanil)、アニレリジン(anileridine)、アシマドリン(asimadoline)、ブレマゾチン(bremazocine)、ブプレノルフィン、ブトルファノール(butorphanol)、コデイン(codeine)、デゾシン(dezocine)、ジアセチルモルヒネ(ヘロイン)、ジヒドロコデイン(dihydrocodeine)、ジフェノキシレート、フェドトジン(fedotozine)、フェンタニル(fentanyl)、フナルトレキサミン(funaltrexamine)、ヒドロコドン(hydrocodone)、ヒドロモルホン(hydromorphone)、レバロルファン(levallorphan)、レボメタジルアセテート(levomethadyl acetate)、レボルファノール(levorphanol)、ロペラミド(loperamide)、メペリジン(meperidine)(ペチジン(pethidine))、メタドン(methadone)、モルヒネ、モルヒネ−6−グルクロニド、ナルブフィン(nalbuphine)、ナロルフィン(nalorphine)、アヘン、オキシコドン(oxycodone)、オキシモルホン(oxymorphone)、ペンタゾシン(pentazocine)、プロピラム(propiram)、プロポキシフェン(propoxyphene)、レミフェンタニル(remifentanyl)、スフェンタニル(sufentanil)、チリジン(tilidine)、トリメブチン(trimebutine)およびトラマドール(tramadol)である。特定の態様において、オピオイドは、ロペラミドである。他の態様において、オピオイドは、混合アゴニスト、例えばブトルファノールである。いくつかの態様においては、患者に、1種よりも多いオピオイド、例えばモルヒネおよびヘロインまたはメタドンおよびヘロインを投与する。
【0040】
本発明の他の観点において、末梢オピオイドアンタゴニストおよび過敏性腸症候群治療剤を含む組成物を提供する。本発明のさらに他の観点において、末梢オピオイドアンタゴニストと抗生物質とを含む組成物を提供する。好ましい末梢オピオイドアンタゴニストは、上記した通りである。上記した組成物は、さらに、オピオイドアゴニストを含むことができる。組成物は、さらに、薬学的に許容し得る担体を含んでもよく、また医薬製剤であってもよい。
【0041】
いくつかの態様においては、医薬製剤を、経口投与用に製剤する。経口投与のための剤形には、カプセル(例えば固体充填カプセル)、散剤、顆粒、結晶、錠剤、溶液、抽出物、懸濁液、スープ、シロップ、エリキシル剤、茶、液体充填カプセル、油、咀嚼錠、咀嚼片、腸溶錠剤、持続放出、部位特異的放出投薬形態および腸溶持続放出錠剤またはカプセルが含まれる。
【0042】
いくつかの態様においては、医薬製剤を、直腸内投与用に製剤する。直腸内投与のための剤形には、懸濁液、溶液、座剤、油および浣腸剤が含まれる。
【0043】
他の態様においては、医薬製剤を、舌下、鼻腔内、経皮的、皮内、筋肉内、皮下、注射および注入投与用に製剤する。
【0044】
本発明の他の観点において、キットを提供する。このキットは、末梢オピオイドアンタゴニストの製剤および抗生物質および/またはIBS治療剤の製剤を含むパッケージである。キットは、随意に、アンタゴニストおよび抗生物質および/またはIBS治療剤を対象に投与するための指示を含むことができる。末梢オピオイドアンタゴニストおよび抗生物質および/またはIBS治療剤は、同一であるかまたは異なる剤形であってもよい。このキットは、上記した、または本明細書中に記載した剤形のいずれをも含むことができる。このキットはまた、製剤の1種または2種以上を投与するための投与デバイスを含むことができる。投与デバイスは、キットにおける製剤の1種を投与するのに有用な任意の手段、例えばシリンジ、浣腸器、手袋、注入セット、吸入器、スプレーデバイス、チューブなどであってもよい。
【0045】
本発明の他の観点において、製造方法を提供する。この方法は、末梢オピオイドアンタゴニストを抗生物質および/またはIBS治療剤と組み合わせて、本発明の製剤を提供することを含む。この方法はさらに、薬学的に許容し得る担体および/またはオピオイドおよび抗生物質、および/または治療剤を、アンタゴニストと組み合わせて、アンタゴニスト、抗生物質および/またはIBS治療剤(および随意にオピオイド)および担体を含有する製剤を提供することを含むことができる。
【0046】
詳細な説明
本発明は、過敏性腸症候群(IBS)を処置する方法であって、有効な量の末梢オピオイドアンタゴニストを投与して、IBSの少なくとも1つの症状を改善することを含む、前記方法を提供する。
【0047】
末梢オピオイドアンタゴニストは、当該技術分野において十分知られている。本明細書中で用いる、末梢オピオイドアンタゴニストは、血液−脳関門を中枢神経系内へ有効に横断しないオピオイドアンタゴニストを意味する。現在知られているオピオイドアンタゴニストの大部分は、中枢性および末梢性の両方で作用し、中枢媒介性の不所望な副作用の可能性を有する。ナロキソンおよびナルトレキソンがその例である。本発明は、末梢オピオイドアンタゴニストとして知られている、当該技術分野において認識されている群の化合物を含む。
【0048】
好ましい形態において、本発明の方法は、患者に、末梢ミューオピオイドアンタゴニスト化合物である化合物を投与することを含む。末梢の用語は、化合物が、主に生理的システムに対して、および中枢神経系外の成分に対して作用すること、即ち、化合物が、血液−脳関門を容易に横断しないことを示す。本発明の方法において用いられる末梢ミューオピオイドアンタゴニスト化合物は、典型的に、胃腸組織に関して高いレベルの活性を示す一方、減少した中枢神経系(CNS)活性を示し、そして好ましくは中枢神経系(CNS)活性を実質的に示さない。本明細書中で用いる用語「CNS活性が実質的にない」は、本方法において用いられる末梢ミューオピオイドアンタゴニスト化合物の薬理学的活性の約20%未満が、CNSにおいて示されることを意味する。好ましい態様において、本方法において用いられる末梢ミューオピオイドアンタゴニスト化合物は、CNSにおいてこれらの薬理学的活性の約5%未満を示し、約1%またはこれ未満(即ちCNS活性を示さない)が、尚一層好ましい。
【0049】
末梢オピオイドアンタゴニストは、例えば、米国特許第5,250,542号;第5,434,171号;第5,159,081号;第5,270,328号;および第6,469,030号に記載されているようなピペリジン−N−アルキルカルボキシレートであってもよい。これはまた、米国特許第4,730,048号;第4,806,556号;および第6,469,030号に記載されているようなアヘンアルカロイド誘導体であってもよい。他の末梢オピオイドアンタゴニストには、米国特許第3,723,440号および第6,469,030号に記載されているような第四級ベンゾモルファン化合物が含まれる。好ましいアンタゴニストは、米国特許第4,176,186号および第5,972,954号に記載されているノルオキシモルホンの第四級誘導体、例えばメチルナルトレキソンである。ノルオキシモルホンの第四級誘導体の他の例には、メチルナロキソンおよびメチルナロルフィンが含まれる。上記の特許のすべてを、これらの全体において参照により本明細書中に組み込む。
【0050】
ノルオキシモルホンの特に好ましい第四級誘導体は、最初にGoldberg, et al.により記載された、メチルナルトレキソンおよびその誘導体である。メチルナルトレキソンはまた、米国特許第4,719,215号;第4,861,781号;第5,102,887号;第6,274,591号;米国特許出願第2002/0028825号および第2003/0022909号;並びにPCT公開WO 99/22737およびWO 98/25613に記載されており、各々を、参照により本明細書中に組み込む。本明細書において用いる「メチルナルトレキソン」には、N−メチルナルトレキソンおよびその塩が含まれる。
【0051】
メチルナルトレキソンは、水に易溶性の白色結晶粉末として提供される。その融点は、254〜256℃である。メチルナルトレキソンは、Mallinckrodt Pharmaceuticals, St. Louis, MOから粉末形態で入手できる。提供される化合物は、逆相HPLCにより99.4%の純度であり、0.011%より低い第四級化されていない同一の方法によるナルトレキソンを含む。メチルナルトレキソンはまた、臭化N−メチルナルトレキソン、N−メチルナルトレキソン、MNTX、SC−37359、MRZ−2663−BR、ナルトレキソンメトブロミドおよびN−シクロプロピルメチルノルオキシ−モルヒネ−メトブロミドとして同定されている。
【0052】
本発明の1つの観点において、IBSを処置する方法は、末梢オピオイドアンタゴニストと、オピオイドアゴニストまたは末梢オピオイドアンタゴニストではない少なくとも1種のIBS治療剤とを、IBSに罹患している患者に投与することを含む。IBS治療剤には、ベンゾジアゼピン化合物、鎮痙薬、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、コレシストキニン(CCK)レセプターアンタゴニスト、モチリンレセプターアゴニストまたはアンタゴニスト、ナチュラルキラー(NK)レセプターアンタゴニスト、コルチコトロピン放出因子(CRF)レセプターアゴニストまたはアンタゴニスト、ソマトスタチンレセプターアゴニスト、制酸剤、GI弛緩薬、抗ガス化合物、ビスマス含有製剤、ペントサンポリサルフェート、制吐ドーパミンD2アンタゴニスト、プロスタグランジンE類似体、ゴナドトロピン放出ホルモン類似体(ロイプロリド)、コルチコトロピン−1アンタゴニスト、ニューロキニン2レセプターアンタゴニスト、コレシストキニン−1アンタゴニスト、ベータブロッカー、食道逆流防止剤、抗ムスカリン薬、止痢薬、抗炎症剤、運動促進剤、5HTアゴニスト、5HTアンタゴニスト、5HTアンタゴニスト、5HTアゴニスト、胆汁酸塩捕捉剤、膨張剤、膨張性緩下薬、瀉下性緩下薬、ジフェニルメタン緩下薬、浸透圧性緩下薬、塩類緩下薬、他の緩下薬、便軟化剤、アルファ−アドレナリン作用薬、鉱油、抗うつ薬、生薬、ジュース、果実、野菜、並びにハーブおよび野菜ジュースが含まれるが、これらには限定されない。他の態様においては、末梢オピオイドアンタゴニストを、末梢オピオイドアンタゴニストと抗生物質とを含む製剤で投与する。本明細書中で用いる場合、IBS治療剤は、末梢オピオイドアンタゴニストおよびオピオイドアゴニストを特定的に除外する。
【0053】
本発明のいくつかの態様においては、オピオイドアンタゴニストを、末梢オピオイドアンタゴニストと、1種または2種以上のIBS治療剤とを含む製剤で投与する。これらの剤形は、非経口または経口、例えば各々参照により本明細書中に組み込む、米国特許第6,277,384号;第6,261,599号;第5,958,452号およびPCT公開WO 98/25613に記載されている剤形であってもよい。含まれるのは、固体、半固体、液体、制御放出および他のこのような剤形である。
【0054】
本発明のIBS治療剤の例には、以下のものが含まれるが、これらには限定されない:
A型のγ−アミノ酪酸(GABA)レセプター(GABA)との相互作用によりてんかん発作を抑制するよう作用するベンゾジアゾピン化合物および類似体、例えばDIASTAT(登録商標)およびVALIUM(登録商標);LIBRIUM(登録商標);およびZANAX(登録商標)。
SSRI、例えばフルボキサミン(fluvoxamine);フルオキセチン(fluoxetine);パロキセチン(paroxetine);セルトラリン(sertraline);シタロプラム(citalopram);ベンラファキシン(venlafaxine);セリクラミン(cericlamine);デュロキセチン(duloxetine);ミルナシプラン(milnacipran);ネファゾドン(nefazodone);およびシアノドチエピン(cyanodothiepin)(Prous J.R.によるThe Year Drugs News, 1995年版、pp. 47-48およびWO 97/29739を参照)。
【0055】
CCKレセプターアンタゴニスト、例えばデバゼピド(devazepide);ロルグルミド(lorglumide);デキシオキシグルミド(dexioxiglumide);ロキシグルミド(loxiglumide)、D'Amato, M. et al., Br. J. Pharmacol. Vol. 102(2), pp. 391-395 (1991);Cl 988;L364,718;L3637260;L740,093およびLY288,513;米国特許第5,220,017号、Bruley-Des-Varannes, S, et al. Gastroenterol. Clin. Biol. Vol.15.(10)9 pp. 744-757 (1991)、およびWorker C: EUPHAR'99- Second European Congress of Pharmacology (Part IV) Budapest, Hungary Iddb Meeting Report、1999年7月3〜7日に開示されているCCKレセプターアンタゴニスト。
【0056】
例えばモチリンアゴニストABT−269、(エリスロマイシン、8,9−ジデヒドロ−N−ジメチルデオキソ−4”,6,12−トリデオキシ−6,9−エポキシ−N−エチル)、デ(Nメチル−N−エチル−8,9−アンヒドロエリスロマイシンA)およびデ(N−メチル)−N−イソプロプ−8,9アンヒドロエリスロマイシンA)、Sunazika T. et al., Chem. Pharm. Bull., Vol. 37(10), pp. 2687-2700 (1989);A-173508 (Abbot Laboratories);モチリンアンタゴニスト(Phe3、Leu−13)ブタモチリン、214th American Chemical Society (ACS) Meeting (Part V)、Highlights from Medicinal Chemistry Poster Session, 9月10日、水曜日、Las Vegas, Nevada, (1997), Iddb Meeting Report、9月7〜11日(1997);およびANQ-1 1 125, Peeters T.L., et al., Biochern. Biophys. Res. Commun., Vol. 198(2), pp. 411-416 (1994)を含む、モチリンレセプターアゴニストまたはアンタゴニスト。
【0057】
例えばFK 888(藤沢);GR 205171 (Glaxo Wellcome);LY 303870 (Lilly);MK 869 (Merck);GR82334 (Glaxo Wellcome);L758298 (Merck);L 733060 (Merck);L 741671 (Merck);L 742694 (Merck);PD 154075 (Parke-Davis);S1 8523 (Servier);S1 9752 (Servier);OT 7100(大塚);WIN 51708 (Sterling Winthrop);NKP-608A;TKA457;DNK333;CP-96345;CP-99994;CP122721;L-733060;L-741671;L742694;L-758298;L-754030;GR-203040;GR-205171;RP-67580;RPR-100893 (dapitant);RPR-107880;RPR-111905;SDZ-NKT-343;MEN-10930;MEN-11149;S-18523;S-19752;PD-154075 (CAM-4261);SR-140333;LY-303870 (lanepitant);EP-00652218;EP00585913;L-737488;CGP-49823;WIN-51708;SR-48968 (saredutant);SR-144190;YM383336;ZD-7944;MEN-10627;GR-159897;RPR-106145;PD-147714 (CAM-2291);ZM253270;FK-224;MDL-1 05212A;MDL-105172A;L-743986;L-743986類似体;S-16474;SR-1 42801 (osanetant);PD-161182;SB-223412;およびSB-222200を含むNKレセプターアンタゴニスト。
【0058】
例えばWO 99/40089に開示されているCRFレセプターアゴニストまたはアンタゴニスト、AXC 2219、アンタラルミン(Antalarmin)、NGD 1、CRA 0165、CRA 1000、CRA 1001。
ソマトスタチンレセプターアゴニスト、例えばオクトレオチド(octreotide)、バプレオチド(vapreotide)、ランレオチド(lanreotide)。
【0059】
抗炎症化合物、特に免疫調節タイプのもの、例えばNSAIDS;腫瘍壊死因子(TNF, TNFα)阻害剤;バシリキシマブ(basiliximab)(例えばSIMULECT(登録商標));ダクリズマブ(daclizumab)(例えばZENAPAX(登録商標));インフリキシマブ(infliximab)(例えばREMICADE(登録商標));マイコフェノレートモフェチル(mycophenolate mofetil)(例えばCELLCEPT(登録商標));アザチオプリン(azathioprine)(例えばIMURAN(登録商標));タクロリムス(tacrolimus)(例えばPROGRAF(登録商標));ステロイド類;およびGI抗炎症剤、例えばスルファサラジン(sulfasalazine)(例えばAZULFIDINE(登録商標));オルサラジン(olsalazine)(例えばDIPENTUM(登録商標));およびメサラミン(mesalamine)(例えばASACOL(登録商標)、PENTASA(登録商標)、ROWASA(登録商標))。
【0060】
制酸剤、例えばアルミニウムおよびマグネシウム制酸剤;並びに水酸化カルシウム、例えばMAALOX(登録商標)。
GI弛緩薬、例えばLOCHOLEST(登録商標)およびQUESTRAN(登録商標)の商品名で販売されているコレスチラミン樹脂。
抗ガス化合物、例えばMYLANTA(登録商標)およびMYLICON(登録商標)の商品名で販売されているシメチコン(simethicone);並びにPHAZYME(登録商標)およびBEANO(登録商標)を含む酵素製剤。
【0061】
ビスマス含有製剤、例えばPEPTO-BISMOL(登録商標)としても知られているサブサリチル酸ビスマス(bismuth subsalicylate)。
ペントサンポリサルフェート、即ちグリコサミノグリカンと化学的に、および構造的に類似するヘパリン様巨大分子炭水化物誘導体、ELMIRON(登録商標)の商品名で販売されているもの。
【0062】
例えばドンペリドンを含む制吐ドーパミンD2アンタゴニスト。
プロスタグランジンE類似体、ゴナドトロピン放出ホルモン類似体(ロイプロリド)、コルチコトロピン−1アンタゴニスト、ニューロキニン2レセプターアンタゴニスト、コレシストキニン−1アンタゴニスト、ベータブロッカー。
【0063】
食道逆流防止剤は、PRILOSEC(登録商標)を包含するが、これには限定されない。
鎮痙薬および抗ムスカリン薬には、ジシクロミン(dicyclomine)、オキシブチニン(oxybutynin)(例えば塩化オキシブチニン)、トルテロジン(tolterodine)(例えば酒石酸トルテロジン)、アルベリン(alverine)、アニソトロピン(anisotropine)、アトロピン(atropine)(例えば硫酸アトロピン)、ベラドンナ(belladonna)、ホマトロピン(homatropine)、ホマトロピンメトブロミド(homatropine methobromide)、ヒヨスシアミン(hyoscyamine)(例えば硫酸ヒヨスシアミン)、メトスコポラミン(methscopolamine)、スコポラミン(scopolamine)(例えばスコポラミン塩酸塩)、クリジニウム(clidinium)、シメトロピウム(cimetropium)、ヘキソシクリウム(hexocyclium)、ピナベリウム(pinaverium)、オチロニウム(otilonium)、グリコピロレート(glycopyrrolate)およびメベベリン(mebeverine)が含まれるが、これらには限定されない。
【0064】
止痢薬には、イプラトロピウム(ipratropium)、イソプロパミド(isopropamide)、メペンゾレート(mepenzolate)、プロパンテリン(propantheline)、オキシフェンシルシミン(oxyphencylcimine)、ピレンゼピン(pirenzepine)、ジフェノキシレート(例えばジフェノキシレート塩酸塩)、硫酸アトロピン、アロセトロン塩酸塩(alosetron hydrochloride)、ジフェノキシン塩酸塩(difenoxin hydrochloride)、サブサリチル酸ビスマス、アシドフィルス菌、トリメブチン(trimebutine)、アシマドリン(asimadoline)および酢酸オクトレオチド(octreotide acetate)が含まれるが、これらには限定されない。
抗炎症剤には、メサラミン(mesalamine)、スルファサラジン(sulfasalazine)、バルサラジド二ナトリウム(balsalazide disodium)、ヒドロコルチゾン(hydrocortisone)およびオルサラジンナトリウム(olsalazine sodium)が含まれるが、これらには限定されない。
運動促進剤には、メトクロプラミドおよびシサプリドが含まれるが、これらには限定されない。
【0065】
5HTアゴニストには、ブスピロン(buspirone)が含まれるが、これには限定されない。
5HTアンタゴニストには、オンダンセトロン(ondansetron)、シランセトロン(cilansetron)およびアロセトロン(alosetron)が含まれるが、これらには限定されない。
5HTアンタゴニストには、ピポスクロド(piposcrod)が含まれるが、これには限定されない。
5HTアゴニストには、テガセロド(tegaserod)(例えばマレイン酸テガセロド)およびポブカロプリド(povcalopride)が含まれるが、これらには限定されない。
【0066】
胆汁酸塩捕捉剤には、コレスチラミン(cholestyramine)が含まれるが、これには限定されない。
膨張剤および膨張性緩下薬には、オオバコ、メチルセルロース、オオバコ殻並びにPlantago属の種の関連する調製物および抽出物、車前子親水性粘漿薬を包含するシャゼンソウ親水コロイド、オートムギ外皮繊維、オートムギ、センナ、カッシアの莢の繊維、センノシド、カルボキシメチルセルロース、カラヤ並びにSterculiaまたはCochlospermum属の種からの関連する調製物並びにモルトスープ抽出物が含まれるが、これらには限定されない。
【0067】
瀉下性緩下薬には、アロエ並びにAloe属の種からの関連する調製物および抽出物、カスカラサグラダ並びにRhamnus purshiana種の関連する調製物および抽出物、例えばカサントラノール(casanthranol)、フランギュラ(frangula)並びにRhamnus frangula種の関連する調製物および抽出物、センナ並びにCassia属の種からの関連する調製物および抽出物、センノシドAおよびB並びにこれらの組み合わせ並びに上記のものの組み合わせが含まれるが、これらには限定されない。
【0068】
ジフェニルメタン緩下薬には、ビサコジル(bisacodyl)、ビサコジルタンネックス(bisacodyl tannex)、フェノールフタレイン、デフェニルメタン誘導体、上記のもののマグネシウム塩、例えばクエン酸マグネシウムとの組み合わせおよび上記のもののリン酸ナトリウムバッファーとの組み合わせが含まれるが、これらには限定されない。
浸透圧性緩下薬には、ラクツロース、ソルビトール、(d−グルシトール)、ポリエチレングリコール溶液およびグリセリン(グリセロール)が含まれるが、これらには限定されない。
【0069】
塩類緩下薬には、クエン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸ナトリウム、一および二塩基リン酸ナトリウム、重酒石酸カリウム、重炭酸ナトリウム並びに二酸化炭素放出剤が含まれるが、これらには限定されない。
【0070】
他の緩下薬には、センノイド(sennoid)、カサンタノール(casanthanol)、ドキュセートナトリウム(docusate sodium)、ビサコジル(bisacodyl)、ラクツロース、合成二糖類、緩下を促進する結腸酸性化剤、ポリエチレングリコール類、ポリエチレングリコール3350、ギアフェンシン(guiafensin)、ポロキサマー(poloxamer)188(約4:2:4の重量比でのポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレンオキシド)からなるコポリマー)、1,8−ジヒドロキシアントラキノン、薬草湯、ポリカルボフィル、豆乳、カフェイン、ベントナイト粘土、ヒマシ油、デヒドロコール酸および食物繊維が含まれるが、これらには限定されない。
【0071】
便軟化剤には、ドキュセート、例えばドキュセートカルシウム(スルホコハク酸ジオクチルカルシウム)、ドキュセートカリウム(スルホコハク酸ジオクチルカリウム)およびドキュセートナトリウムが含まれるが、これらには限定されない。
アルファ−アドレナリン作用薬には、クロニジン(clonidine)が含まれるが、これには限定されない。
【0072】
鉱油には、重質液体ペトロラタム、重質鉱油、流動パラフィンおよび白色鉱油が含まれるが、これらには限定されない。他の油には、バージンココナッツ油が含まれるが、これには限定されない。
抗うつ薬には、デシプリミン(desiprimine)、アミトリプチリン(amitryptiline)、イミプリミン(imiprimine)、フルオキセチン(fluoxetine)およびパロキセチン(paroxetine)が含まれるが、これらには限定されない。
【0073】
生薬、ジュース、果実、野菜並びにハーブおよび野菜ジュースには、以下のものが含まれるが、これらには限定されない:
アロエ(aloe、各種)、ホップ(Bryonia alba)、クロウメモドキ(Rhamnus catharticus)、カスカラサグラダ(Rhamnus purshianus)、クランプバーク(crampbark)(Viburnum opulus)、タンポポ根(Taraxacum officinale)、コロハ(Trigonella foenum-graecum)、亜麻(Linum usitatissumum)、フランギュラ(frangula)(Frangula alnus)、生姜(Zingiber officinale)、ヒドラスチス(Hydrastis canadensis)、昆布(Fucus種)、甘草(Glycyrrhiza glabra)、マチン(Strychnos nux-vomica)、石松子(Lycopodium種)、プラチナオオバコまたはイスパグラ(ispaghula)(Plantago種)、大黄(Rheum種)、センナ(Cassia senna)、アカニレ(Ulmus rubra)、セイヨウオトギリソウ(Hypericum perforatum)、イエロードック(yellow dock)(Rumex crispus)、
【0074】
リンゴジュース、アスパラガスジュース、葛芋ジュース、セイヨウナシジュース、ジャガイモジュース、スモモジュース、アーモンド、リンゴ、イチジク、マンゴー、パパイヤ、パセリ、柿、パイナップル、スモモ、ルタバガ、大豆、タマリンド、カブ、クルミ、オランダガラシ、
【0075】
トリカブト(Aconitum napellus)、キンミズヒキ(Agrimonia eupatoria)、バエル(bael)(Aegle marmelos)、ビストート(Polygonum bistorta)、ベラドンナ(Atropa belladonna)、黒色アセンヤクノキ(black catechu)(Acacia catechu)、ブリオニア根(Bryonia alba)、イナゴマメ(Ceratonia siliqua)、カモミール(Chamomilla recutitaまたはChamaemelum nobile)、コロシント(Colocynth cucumis)、ヒレハリソウ(Symphytum officinale)、エキナシア(Echinacea種)、コロハ(Trigonella foenum-graecum)、ヒヨス属(Hyoscyamus種)、トコン(Cephaelis ipecacuanha)、オーク(Quercus、各種)、ペパーミントまたはミント(Mentha種)、オオバコ(Plantago種)、マシュマロ根(Athaea officinalis)、オキナグサ(アネモネ植物)、セージ(Salvia officinalis)、ウルシ(Rhus種)、茶(Camellia sinensis)、カノコソウ(Valerianna oficinalis)、シュロソウ(Veratrum viride)、自然薯(Dioscorea villosa)、リンゴ(Malus domestica)、ヤマモモ(Myrica cerifera)、ビルベリーまたはブルーベリー(Vaccinium種)、ブラックベリーおよびラズベリー(Rubus種)、ニンジン(Daucus carota)、ザクロ(Punica granatum)、
【0076】
yin chen(毛細管状ヨモギ属葉)、bai zhu(アトラシロード(atracylodes)根)、wu wei zi(シサンドラ(schisandra)果実)、yi yi ren (ジョブズティアズシード(Job's tears seed))、dang shen(コドノプシス(codonopsis)根)、huo xiang(アガスタシェ(agastache)葉)、chai hu(中国ヒヨドリバナ根)、qin pi(フラキシヌスチネンシス(fraxinus chinensis)樹皮)、fu ling(ウォルフポリアココス(wolfporia cocos))、che qian zi(アジアオオバコ種)、huang bai(オウバク)、zhi gan cao (甘草根)、pao jiang(生姜根)、huo po(モクレン樹皮)、fang feng(ファンフェン(fang feng)根)、chen pi(タンジェリン皮)、bai shao(白色シャクヤク)、mu xiang(コスタス(costus)根)、huang lian(中国黄蓮根)並びにbai zhi(芳香性アンゼリカ根)。
【0077】
他のIBS治療剤には、デクスロキシグルミド(dexloxiglumide)、TAK−637、タルネタント(talnetant)、SB 223412、AU 244、ニューロトロフィン(neurotrophin)−3、GT 160−246、免疫グロブリン(IgG)、ラモプラニン(ramoplanin)、リサクスミン(risaxmin)、リメチコン(rimethicone)、ダリフェナシン(darifenacine)、ザミフェナシン(zamifenacin)、ロキシグルミド(loxiglumide)、ミソプロスチル(misoprostil)、ロイプロリド(leuprolide)、ドンペリドン(domperidone)、ソマトスタチン類似体、フェニトイン(phenytoin)、NBI−34041、サレデュタント(saredutant)およびデクスロキシグルミド(dexloxiglumide)が含まれる。
【0078】
抗生物質には、テトラサイクリン系抗生物質、例えばクロルテトラサイクリン(chlortetracycline)、オキシテトラサイクリン(oxytetracycline)、テトラサイクリン、デメチルクロルテトラサイクリン(demethylchlortetracycline)、メタサイクリン(metacycline)、ドキシサイクリン(doxycycline)、ミノサイクリン(minocycline)およびロリテトラサイクリン(rolitetracycline);アミノグリコシド系抗生物質、例えばカナマイシン(kanamycin)、アミカシン(amikacin)、ゲンタマイシン(gentamicin)C1a、C、C2bまたはC、シソマイシン(sisomicin)、ネチルマイシン(netilmicin)、スペクチノマイシン(spectinomycin)、ストレプトマイシン、トブラマイシン(tobramycin)、ネオマイシンB、ジベカシン(dibekacin)およびカネンドマイシン(kanendomycin);マクロライド類、例えばマリドマイシン(maridomycin)およびエリスロマイシン;リンコマイシン類、例えばクリンダマイシン(clindamycine)およびリンコマイシン;発酵的に、半合成的に、または完全に合成的に得られる6β−アシルアミノペニシラン(acylaminopenicillanic)酸または7β−アシルアミノセファロスポラン(acylaminocephalosporanic)酸誘導体中に存在する、それぞれ6β−または7β−アシルアミノ基を有するペニシラン酸(6−APA)−およびセファロスポラン酸(7−ACA)−誘導体、および/または3位において修飾されている7β−アシルアミノセファロスポラン酸誘導体、例えばペニシリンGまたはVの名称の下で既知となったペニシラン酸誘導体、例えばフェネチシリン(phenethicillin)、プロピシリン(propicillin)、ナフシリン(nafcillin)、オキシシリン(oxycillin)、クロキサシリン(cloxacillin)、ジクロキサシリン(dicloxacillin)、フルクロキサシリン(flucloxacillin)、シクラシリン(cyclacillin)、エピシリン(epicillin)、メチリナム(mecillinam)、メチシリン(methicillin)、アズロシリン(azlocillin)、スルベニシリン(sulbenicillin)、チカルシリン(ticarcillin)、メズロシリン(mezlocillin)、ピペラシリン(piperacillin)、カリンダシリン(carindacillin)、アジドシリン(azidocillin)またはシクラシリン(ciclacillin)、並びにセファクロル(cefaclor)、セフロキシム(cefuroxime)、セファズルア(cefazlur)、セファセトリル(cephacetrile)、セファゾリン(cefazolin)、セファレキシン(cephalexin)、セファドロキシル(cefadroxil)、セファログリシン(cephaloglycin)、セホキシチン(cefoxitin)、セファロリジン(cephaloridine)、セフスロジン(cefsulodin)、セフォチアム(cefotiam)、セフタジジン(ceftazidine)、セホニシド(cefonicid)、セホタキシム(cefotaxime)、セフメノキシム(cefmenoxime)、セフチゾキシム(ceftizoxime)、セファロチン(cephalothin)、セフラジン(cephradine)、セファマンドール(cefamandol)、セファノン(cephanone)、セファピリン(cephapirin)、セフロキサジン(cefroxadin)、セファトリジン(cefatrizine)、セファゼドン(cefazedone)、セフトリキソン(ceftrixon)およびセフォラニド(ceforanid)の名称の下で既知となったセファロスポリン誘導体;並びにクラバム(clavam)、ペネム(penem)およびカルバペネン(carbapenen)タイプの他のβ−ラクタム抗生物質、例えばモキサラクタム(moxalactam)、クラブラン酸(clavulanic acid)、ノカルジシン(nocardicine)A、スルバクタム(sulbactam)、アズトレオナム(aztreonam)およびチエナマイシン(thienamycin);並びにビコザマイシン(bicozamycin)、ノボビオシン(novobiocin)、クロラムフェニコール(chloramphenicol)またはチアンフェニコール(thiamphenicol)、リファンピシン(rifampicin)、ホスホマイシン(fosfomycin)、コリスチン(colistin)およびバンコマイシン(vancomycin)を含む他の抗生物質が含まれるが、これらには限定されない。
【0079】
末梢オピオイドアンタゴニストはまた、止痢薬であるオピオイドアゴニストであるロペラミドと共に投与することができる。それは、アルフェンタニル、アニレリジン、アシマドリン、ブレマゾチン、ブルプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、デゾシン、ジアセチルモルヒネ(ヘロイン)、ジヒドロコデイン、ジフェノキシレート、フェドトジン、フェンタニル、フナルトレキサミン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レバロルファン、レボメタジルアセテート、レボルファノール、ロペラミド、メペリジン(ペチジン)、メタドン、モルヒネ、モルヒネ−6−グルクロニド、ナルブフィン、ナロルフィン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロピラム、プロポキシフェン、レミフェンタニル、スフェンタニル、チリジン、トリメブチンおよびトラマドールが含まれるが、これらには限定されない他のオピオイドアゴニストと投与することができる。
【0080】
本明細書中で用いる、IBSを処置するのに有効な量は、IBSの発症を遅延させ、その進行を阻害し、その発症を全面的に停止し、その進行を全面的に停止し、またはその少なくとも1つまたは2つ以上の症状を改善するのに必要な量を意味する。「症状の少なくとも1つを改善する」とは、IBSの1つもしくは2つ以上の症状の患者に知覚される、および/または臨床的に測定可能な改善、1つもしくは2つ以上の症状の重篤度の低下またはIBSの1つもしくは2つ以上の症状を一層耐容可能にすることを意味する。
【0081】
一般的に、ノルオキシモルホンの第四級誘導体の経口用量は、1日あたり約0.25〜約5.0mg/体重1kgである。0.5〜5.0mg/体重1kgの範囲内の経口用量により、所望の結果が得られると予測される。一般的に、静脈内および皮下投与を含む非経口投与は、約0.001〜1.0mg/体重1kgである。0.001〜0.45mg/体重1kgの範囲内の用量により、所望の結果が得られると予測され、0.1〜0.3の用量が好ましい。0.001〜1mg/体重1kgの範囲内の注入用量により、所望の結果が得られると予測される。
【0082】
投与量を、適切に調整して、投与様式に依存して、局所的または全身的な所望の薬剤レベルを達成することができる。例えば、腸溶製剤におけるオピオイドアンタゴニストの経口投与のための投与量は、コーティングされていない経口用量の10〜30%であると予測される。患者における応答が、このような用量において不十分である場合には、さらに高い用量(または異なる一層局所的な送達経路による、事実上一層高い投与量)を、患者の耐容性が許容する範囲で用いることができる。経口投与はまた、結腸部位特異的放出製剤を含むことができる。1日あたりの複数の用量が、化合物の適切な全身レベルを達成するために意図される。適切な全身レベルは、例えば、薬剤の患者のピークまたは持続された血漿レベルの測定により決定することができる。「用量」および「投与量」は、本明細書中では同義的に用いる。
【0083】
製剤は、平均ピーク血漿レベルを生じるように構成し、用意することができる。平均ピーク血漿濃度は、当業者に知られているように、HPLC手法を用いて測定することができる。平均ピーク(即ち定常状態)は、薬剤利用能の速度が、循環からの薬剤除去の速度と等しい際に達成される。典型的な治療設定において、ノルオキシモルホンの第四級誘導体は、患者に、定期的な投与レジメンにおいて、または定常的な注入レジメンを用いて投与する。血漿中の薬剤の濃度は、投与の開始の直後に上昇する傾向があり、薬剤が、細胞および組織中への分布により、代謝により、または排泄により循環から除去されるに従って、時間経過と共に低下する傾向がある。平均ピークは、平均薬剤濃度が時間経過と共に一定に維持される際に得られる。
【0084】
間欠的な投薬の場合において、薬剤濃度サイクルのパターンは、投与間の各々の期間において同一に繰り返され、平均濃度は一定に維持される。定常的な注入の場合において、平均薬剤濃度は、周期的変動をほとんど伴わずに、一定に維持される。定常状態の達成は、血漿中の薬剤の濃度を投薬の少なくとも1つのサイクルにわたり測定することにより決定され、これにより、サイクルが、投薬ごとに同一に繰り返されることを立証することができる。典型的に、間欠的な投薬レジメンにおいて、定常状態の維持は、他の用量の投与の直前の、サイクルの連続的なトラフ値における薬剤濃度を決定することにより、検証することができる。濃度における周期的変動が低い定常的な注入レジメンにおいては、定常状態を、薬剤濃度の任意の2つの連続的な測定により検証することができる。「平均ピーク」および「定常状態」は、本明細書中では同義的に用いる。
【0085】
種々の投与経路が利用可能である。選択される特定の様式は、当然、選択される薬剤の特定の組み合わせ、処置されるかまたは予防されるIBSの重篤度、患者の状態および治療効果に必要な投与量に依存する。本発明の方法は、一般的に、医学的に許容し得る任意の投与様式、すなわち、臨床的に許容し得ない悪影響を生じずに活性化合物の有効なレベルを生じるすべての様式を用いて行うことができる。かかる投与様式には、経口、直腸内、局所、舌下、経皮、静脈内注入、肺、筋肉内、腔内、エアゾール、耳(例えば点耳剤により)、鼻腔内、吸入、無針注射または皮下送達が含まれる。直接的な注射はまた、局所送達に好ましい場合がある。連続的な注入のために、PCAデバイスを用いることができる。経口または皮下投与が、患者の便宜および投薬スケジュールのために、予防的なまたは長期的な処置のために重要であり得る。好ましい直腸内送達様式には、座剤または浣腸洗浄剤としての投与が含まれる。経皮投与のために、イオン泳動デバイスを用いて、活性薬剤の皮膚を介した透過を増強することができる。イオン泳動流により補助される経皮投与において有用なこのようなデバイスおよび方法には、米国特許第4,141,359号;第5,499,967号;および第6,391,015号に記載されたものが含まれる。
【0086】
医薬製剤は、単位投薬形態で好都合に提供され得、薬学の技術分野において十分知られている任意の方法により製造することができる。すべての方法は、本発明の化合物を、1種または2種以上の補助成分を構成する担体と混合する段階を含む。一般的に、組成物は、本発明の化合物を液体担体、微細な固体担体またはこの両方と、均一に、かつ密に混合し、次に所要に応じて製品を成形することにより製造する。
【0087】
投与される場合、本発明の医薬製剤は、薬学的に許容し得る組成物にて用いられる。このような製剤は、塩、緩衝剤、保存剤、適合性担体、潤滑剤および随意に他の治療成分を定法どおり含むことができる。医薬において用いる際には、塩は、薬学的に許容し得るものでなければならないが、薬学的に許容し得ない塩を都合よく用いて、その薬学的に許容し得る塩を調製することができ、これは、本発明の範囲から排除されない。このような薬理学的に、および薬学的に許容し得る塩には、以下の酸から調製されるものが含まれるが、これらには限定されない:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、コハク酸、ナフタレン−2−スルホン酸、パモン酸、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸およびベンゼンスルホン酸。
【0088】
本発明の医薬製剤は、薬学的に許容し得る担体を含むかまたはこの中に希釈され得る。本明細書中で用いる用語「薬学的に許容し得る担体」は、ヒトまたは他の哺乳類、例えばイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジもしくはヤギに投与するのに適する1種または2種以上の適合性固体または液体充填剤、希釈剤または封入物質を意味する。用語「担体」は、天然または合成の、有機または無機成分を示し、これと、活性成分とが組み合わされて、適用が容易になる。担体は、本発明の製剤と、そして互いに、所望の薬学的効能または安定性を顕著に損なう相互作用がないように、混合することができる。経口投与、座剤および非経口投与などに適する担体製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pa中に見出すことができる。
【0089】
本発明の医薬製剤およびIBSを処置するために投与される医薬製剤は、生物が利用可能なカルシウムおよび生物が利用可能なカルシウム塩を含まない。本明細書中で用いる「カルシウムを含まない」は、イオンを含むカルシウムが、医薬製剤中に、1%またはこれ未満の濃度で存在することを意味する。いくつかの態様においては、0.5%、0.1%、0.01%、0.001%およびさらに0.0001%より低くてもよい。好ましくは、検出可能なレベルのカルシウムは存在しない。特に、本発明の医薬製剤は、外因性に、または意図的に加えられた生物が利用可能なカルシウムおよび生物が利用可能なカルシウム塩、例えばアスコルビン酸塩、グルコン酸塩、グルコヘプタン酸塩、ドベシル酸塩、グルコビオン酸塩(glucobionate)、レブリン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、パントテン酸塩、ケトグルタル酸塩、ボログルコン酸塩(borogluconate)などを包含する可溶性カルシウム塩を含まない。
【0090】
水性製剤は、1種または2種以上のキレート剤、緩衝剤、酸化防止剤、等張化剤および保存剤を含むことができる。ノルオキシモルホンの第四級アミン誘導体の場合においては、キレート剤を加えることができ、pHを3.0〜3.5の間に調整することができる。オートクレーブ処理および長期間の保存に対して安定である、好ましいこのような製剤は、本出願と同一日に出願された、「医薬製剤(Pharmaceutical Formulation)」なる名称の同時係属出願第60/461,611号中に記載されており、この開示内容を、参照により本明細書中に組み込む。
【0091】
キレート剤には、以下のものが含まれる:エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびその誘導体、クエン酸およびその誘導体、ニコチンアミドおよびその誘導体、デソキシコール酸ナトリウムおよびその誘導体。
【0092】
緩衝剤には、以下のものが含まれる:クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸、リン酸ナトリウムおよびリン酸、アスコルビン酸ナトリウム、酒石酸、マレイン酸、グリシン、乳酸ナトリウム、乳酸、アスコルビン酸、イミダゾール、重炭酸ナトリウムおよび炭酸、コハク酸ナトリウムおよびコハク酸、ヒスチジン、並びに安息香酸ナトリウムおよび安息香酸、並びにこれらの組み合わせ。
【0093】
酸化防止剤には、以下のものが含まれる:アスコルビン酸誘導体、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、没食子酸アルキル、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド、トコフェロールおよびその誘導体、モノチオグリセロール、並びに亜硫酸ナトリウムからなる群から選択されるもの。好ましい酸化防止剤は、モノチオグリセロールである。
【0094】
等張化剤には、以下のものが含まれる:塩化ナトリウム、マンニトール、ラクトース、デキストロース、グリセロールおよびソルビトールからなる群から選択されるもの。
【0095】
本発明の組成物と共に用いることができる保存剤には、ベンジルアルコール、パラベン、チメロサール、クロロブタノールおよび塩化ベンザルコニウムが含まれ、好ましくは塩化ベンザルコニウムを用いる。典型的には、保存剤は、組成物中に、約2重量%までの濃度で存在する。しかし、保存剤の正確な濃度は、意図される使用に依存して変化し、当業者が容易に確認することができる。
【0096】
対象を、末梢オピオイドアンタゴニストおよび1種または2種以上のIBS治療剤および/またはオピオイドの組み合わせで処置することができる。これらの状況において、オピオイドアンタゴニストおよび1種または2種以上の他の治療剤を、時間的に十分近接させて投与して、両方の剤の同時の利益を有するようにする。いくつかの態様において、オピオイドアンタゴニストは、時間的に最初に、いくつかの態様においては時間的に2番目に、およびさらにいくつかの態様においては、同時に送達される。末梢オピオイドアンタゴニストおよび1種または2種以上のIBS治療剤および/またはオピオイドは、同一の、または異なる投与経路により投与することができる。以下に一層詳細に記載するように、本発明は、剤が同一の医薬製剤中に含まれる、医薬製剤を意図する。
【0097】
末梢オピオイドアンタゴニストおよびIBS治療剤(および/またはオピオイド)を含む製品を、経口製剤として構成することができる。経口製剤は、液体、半固体または固体であってもよい。経口製剤は、オピオイドアンタゴニストを、緩下薬または便軟化剤と共に含むことができる。オピオイドは、随意に、経口製剤中に含まれていてもよい。経口製剤を、緩下薬または便軟化剤(および/またはオピオイド)より前に、後に、またはそれと同時に末梢オピオイドアンタゴニストを放出するように構成することができる。経口製剤を、末梢オピオイドアンタゴニストおよび他の剤が、胃中で完全に放出され、胃中で部分的におよび腸中で部分的に放出され、または腸中でのみ放出されるように構成することができる。経口製剤を、また、末梢オピオイドアンタゴニストの放出が、胃または腸に限局され、一方他の活性剤の放出が、このように限局されず、または末梢オピオイドアンタゴニストとは異なって限局されるように構成することができる。
【0098】
例えば、末梢オピオイドアンタゴニストは、1種または2種以上の他の薬剤を最初に放出し、末梢オピオイドアンタゴニストを、末梢オピオイドアンタゴニストが胃を通って腸中に通過した後にのみ放出するピルまたはカプセル内に含まれる、腸溶性のコアまたはペレット中にあってもよい。末梢オピオイドアンタゴニストはまた、持続放出物質中に存在することもでき、これにより末梢オピオイドアンタゴニストが消化管全体に放出され、1種または2種以上の他の剤が、同一の、または異なるスケジュールにて放出される。末梢オピオイドアンタゴニストの放出についての同一の目的を、腸溶オピオイドアンタゴニストと組み合わされた末梢オピオイドアンタゴニストの即時放出により達成することができる。これらの例において、1種または2種以上の他の剤を、胃中に、消化管全体に、または腸中にのみ直ちに放出することができる。
【0099】
これらの異なる放出プロファイルを達成するのに有用な物質は、当業者に十分知られている。即時放出は、胃中で溶解するバインダーを有する慣用の錠剤により得られる。胃のpHにおいて溶解するか、または上昇した温度において溶解するコーティングは、同一の目的を達成する。腸中のみでの放出は、慣用の腸溶コーティング、例えば腸(しかし胃ではない)のpH環境において溶解するpH感受性コーティングまたは長期にわたり溶解するコーティングを用いて達成される。消化管全体への放出は、持続放出物質および/または即時放出システムおよび持続および/または遅延された意図的な放出システム(例えば異なるpHにおいて溶解するペレット)の組み合わせを用いることにより達成される。
【0100】
末梢オピオイドアンタゴニストおよびIBS治療剤を共に含む製品はまた、座剤として構成することができる。末梢オピオイドアンタゴニストを、座剤内または座剤上の任意の箇所に配置して、オピオイドアンタゴニストの相対的な放出に好ましい影響を与えることができる。放出の性質は、所望により0次、1次またはシグモイド状であってもよい。
【0101】
末梢オピオイドアンタゴニストを最初に放出するのが望ましい場合においては、末梢オピオイドアンタゴニストを座剤の表面上にコーティングしてもよく、ここでは、末梢オピオイドアンタゴニストは、このようなコーティングに適し、かつ末梢オピオイドアンタゴニストの放出を可能にするのに適する任意の薬学的に許容し得る担体中、例えば座剤のために日常的に用いられる感温性の薬学的に許容し得る担体中にある。体腔中に配置された際に溶解する他のコーティングは、当業者に十分知られている。
【0102】
末梢オピオイドアンタゴニストを、座剤全体に混合し、これにより、それが、1種または2種以上の他の剤より前に、後に、またはこれと同時に放出されるようにすることもできる。末梢オピオイドアンタゴニストは、遊離であってもよく、即ち、座剤の材料内で可溶化されてもよい。末梢オピオイドアンタゴニストはまた、小胞、例えば座剤の材料全体に分散されたろうで被覆されたマイクロペレット(micropellet)の形態であってもよい。被覆されたペレットは、末梢オピオイドアンタゴニストを温度、pHなどに基づいて直ちに放出するように構築することができる。また、ペレットを、末梢オピオイドアンタゴニストの放出を遅延させ、末梢オピオイドアンタゴニストがその効果を奏する前に、1種または2種以上の他の剤が、一定期間作用できるように構成することができる。また、末梢オピオイドアンタゴニストペレットを、末梢オピオイドアンタゴニストが、1次放出動態またはシグモイド状の放出動態を示すパターンを含む、事実上任意の持続放出パターンで放出されるように、当業者に十分知られている従来技術の材料を用いて構成することができる。
【0103】
末梢オピオイドアンタゴニストはまた、座剤中の核内に含有させることもできる。この核は、ペレットに関して上記した特性の任意の1つ、または任意の組み合わせを有することができる。末梢オピオイドアンタゴニストは、例えば、材料で被覆された核中にあるか、材料全体に分散されているか、材料上に被覆されているか、または材料中もしくはその全体に吸着されていてもよい。
【0104】
ペレットまたは核は、事実上任意のタイプであってもよいと理解されるべきである。これらは、放出材料で被覆された薬剤、材料全体に分散された薬剤、材料中に吸着された薬剤などであってもよい。材料は、浸食性であるかまたは非浸食性であってもよい。
【0105】
経口製品または座剤は、随意に、オピオイドを含むことができる。オピオイドは、末梢オピオイドアンタゴニストに関連して上記した形態の任意のものであってもよいが、末梢オピオイドアンタゴニストとは別個である。オピオイドはまた、末梢オピオイドアンタゴニストと一緒に混合され、末梢オピオイドアンタゴニストに関連して上記した形態の任意のもので提供されてもよい。
【0106】
活性剤(即ち成分)の任意のものを、粒子にて提供することができる。本明細書中で用いる粒子は、全体的に、または部分的に、本明細書中に記載した末梢オピオイドアンタゴニストまたは1種もしくは2種以上の他の治療成分からなる、ナノもしくはマイクロ粒子(またはいくつかの場合において一層大きい)を意味する。粒子は、腸溶コーティングを包含するがこれには限定されないコーティングにより包囲された核中に、活性成分を含むことができる。活性成分はまた、粒子全体に分散されていてもよい。活性成分はまた、粒子中に吸着されていてもよい。粒子は、0次放出、1次放出、2次放出、遅延放出、持続放出、即時放出、およびこれらの任意の組み合わせなどを含む、任意の次数の放出動態であってもよい。粒子は、活性成分に加えて、浸食性、非浸食性、生分解性もしくは非生分解性材料またはこれらの組み合わせを含むがこれらには限定されない、薬学および医学の技術分野において日常的に用いられている任意の材料を含むことができる。粒子は、溶液または半固体状態にあるアンタゴニストを含むマイクロカプセルであってもよい。粒子は、事実上任意の形状であってもよい。
【0107】
非生分解性および生分解性ポリマー材料のいずれも、1種または2種以上の治療剤を送達するための粒子の製造において用いることができる。このようなポリマーは、天然または合成ポリマーであってもよい。ポリマーは、放出が望まれる期間に基づいて選択される。特別に興味深い生体接着性(bioadhesive)ポリマーには、H.S. Sawhney, C.P. PathakおよびJ.A. HubellによりMacromolecules, (1993) 26:581-587中に記載されている生体内分解性ヒドロゲルが含まれ、これらの教示を、本明細書中に組み込む。これらには、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルチン、ポリ無水物、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、キトサン、ポリ(メチルメタクリレート)類、ポリ(エチルメタクリレート)類、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)およびポリ(オクタデシルアクリレート)が含まれる。
【0108】
1種または2種以上の治療剤を、制御放出システム中に含有させることができる。用語「制御放出」は、製剤からの薬剤放出の方式およびプロファイルが制御されている、すべての薬剤含有製剤を意味することを意図する。これは、即時、および非即時放出製剤を意味し、非即時放出製剤には、持続放出および遅延放出製剤が含まれるが、これらには限定されない。用語「持続放出」(また「延長された放出」とも呼ぶ)は、この慣用の意味において、長期間にわたる薬剤の漸次的な放出を提供し、好ましくは、しかし必ずではないが、薬剤の実質的に一定の血液レベルを長期間にわたりもたらす薬剤製剤を意味するために用いられる。用語「遅延放出」は、この慣用の意味において、製剤の投与とこれからの薬剤の放出との間に時間的な遅延がある薬剤製剤を意味するために用いる。「遅延放出」は、長期間にわたる薬剤の漸次的な放出を含んでも含まなくてもよく、従って「持続放出」であってもなくてもよい。
【0109】
消化管に特異的な送達システムは、大まかに3つのタイプに分けられる:第1のものは、例えばpHまたは温度の変化に応答して薬剤を放出するように設計された遅延放出システムであり;第2のものは、所定の時間の後に薬剤を放出するように設計された徐放システムであり;第3のものは、消化管の下部において豊富な腸内細菌を用いるミクロフローラ酵素システムである。
【0110】
遅延放出システムの例は、例えばアクリル系またはセルロース系コーティング材料を用いた、pH変化の際に溶解するものである。製造が容易であるために、このような「腸溶コーティング」に関する多くの報告がなされている。一般的に、腸溶コーティングは、胃中で顕著な量の薬剤を放出せずに胃を通過し(即ち胃中での10%未満の放出、5%未満の放出およびさらに1%未満の放出)、腸管中で十分に崩壊して(ほぼ中性の、またはアルカリ性の腸液と接触することにより)、活性剤の腸管の壁を介した輸送(能動的または受動的)を可能にするものである。
【0111】
コーティングが腸溶コーティングとして分類されるか否かを決定するための種々のインビトロ試験が、種々の国の薬局方において公開されている。人工胃液、例えば36〜38℃でpH1のHClと接触させて少なくとも2時間不変のままであり、その後人工腸液、例えばpH6.8のKHPO緩衝溶液中で30分以内に崩壊するコーティングが、1つの例である。1つのこのような十分知られているシステムは、Behringer, Manchester University, Saale Co.から商業的に入手でき、同社により報告されているEUDRAGIT材料などである。腸溶コーティングは、以下にさらに記載する。
【0112】
徐放システムは、藤沢薬品工業による時間制御破裂システム(TES)およびR. P. SchererによるPulsincapにより代表される。これらのシステムにおいて、薬剤放出の部位は、消化管中の製剤の通過の時間により決定される。消化管中の製剤の通過が、胃排出時間により大きく影響されるため、一部の徐放システムはまた、腸溶コーティングされている。
【0113】
腸内細菌を用いるシステムは、オハイオ大学のグループ(M. Saffran et al., Science, Vol. 233: 1081 (1986))およびユタ大学のグループ(J. Kopecek et al., Pharmaceutical Research, 9(12), 1540-1545 (1992))により報告された、腸内細菌が産生するアゾ還元酵素によるアゾ芳香族ポリマーの分解を用いるもの;並びにヘブライ大学のグループ(PCT出願に基づく特開平5-508631号公報)およびフライベルク大学のグループ(K. H. Bauer et al., Pharmaceutical Research, 10(10), S218 (1993))により報告された、腸内細菌のベータ−ガラクトシダーゼによる多糖類の分解を用いるものに分類することができる。さらに、帝国製薬株式会社(特開平4-217924号公報および特開平4-225922号公報)によるキトサナーゼ(chitosanase)により分解可能なキトサンを用いたシステムもまた、含まれる。
【0114】
腸溶コーティングは、典型的に、しかし必ずではないが、ポリマー材料である。好ましい腸溶コーティング材料は、生体内分解性の、漸次的に加水分解可能な、および/または漸次的に水溶性のポリマーを含む。「コーティング重量」またはカプセルあたりのコーティング材料の相対的な量は、一般的に、摂取と薬剤放出との間の時間間隔に影響する。すべてのコーティングは、コーティング全体が、約5よりも低いpHにおいては胃腸液に溶解しないが、約5またはこれより高いpHにおいて溶解するように、十分厚く設けなければならない。pH依存性の溶解プロファイルを示す任意の陰イオン性ポリマーを、本発明を実践する場合における腸溶コーティングとして用いることができることが予測される。具体的な腸溶コーティング材料の選択は、以下の特性に依存する:胃での溶解および崩壊に対する耐性;胃にある間の胃液および薬剤/担体/酵素に対する不透過性;標的の腸部位において迅速に溶解または崩壊する能力;貯蔵の間の物理的および化学的安定性;無毒性;コーティングとしての適用の容易さ(基材親和性);並びに経済的実用性。
【0115】
好適な腸溶コーティング材料には、以下のものが含まれるが、これらには限定されない:セルロースポリマー類、例えば酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム;アクリル酸ポリマー類およびコポリマー類、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メチルアクリル酸アンモニウム、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルおよび/またはメタクリル酸エチルから形成したもの(例えば商品名「EUDRAGIT」の下で販売されているコポリマー類);ビニルポリマー類およびコポリマー類、例えばポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、フタル酸ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニルクロトン酸コポリマーおよびエチレン−酢酸ビニルコポリマー類;並びにセラック(精製されたラック)。
【0116】
種々のコーティング材料の組み合わせを用いることもできる。ここで用いるために十分知られている腸溶コーティング材料は、Rohm Pharma (Germany)からEUDRAGITの商品名の下で入手可能なアクリル酸ポリマー類およびコポリマー類である。EUDRAGITシリーズE、L、S、RL、RSおよびNEコポリマー類は、有機溶媒中で可溶化されているものとして、水性分散体として、または乾燥粉末として入手できる。EUDRAGITシリーズRL、NEおよびRSコポリマー類は、消化管中で不溶性であるが、透過性であり、主に長期間の放出のために用いられる。EUDRAGITシリーズEコポリマー類は、胃中で溶解する。EUDRAGITシリーズL、L−30DおよびSコポリマー類は、胃中で不溶性であり、腸中で溶解し、従ってここでは最も好ましい。
【0117】
特定のメタクリル系コポリマーは、EUDRAGIT L、特にL-30DおよびEUDRAGIT L100-55である。EUDRAGIT L-30Dにおいて、遊離カルボキシル基対エステル基の比率は、約1:1である。さらに、該コポリマー類は、5.5よりも低い、一般的に1.5〜5.5のpH、即ち上部消化管の液中に一般的に存在するpHを有する胃腸液に不溶性であるが、5.5よりも高いpH、即ち下部消化管の液中に一般的に存在するpHにおいて易溶性であるか、または部分的に溶解性であることが知られている。他の特定のメタクリル酸ポリマー類は、遊離カルボキシル基対エステル基の比率が約1:2である点でEUDRAGIT L-30Dと異なるEUDRAGIT Sである。EUDRAGIT Sは、5.5よりも低いpHにおいて不溶性であるが、EUDRAGIT L-30Dとは異なり、例えば小腸中の5.5〜7.0の範囲内のpHを有する胃腸液において難溶性である。
【0118】
このコポリマーは、pH7.0およびこれを超えるpH、即ち結腸において一般的に見出されているpHにおいて可溶性である。EUDRAGIT Sは、単独で、大腸における薬剤送達を提供するためのコーティングとして用いることができる。あるいはまた、活性剤を、腸管の種々の区域に送達するように製剤することができる遅延放出組成物を提供するために、pH7よりも低い腸液に難溶性のEUDRAGIT Sを、pH5.5よりも高い腸液に可溶であるEUDRAGIT L-30Dと組み合わせて用いることができる。EUDRAGIT L-30Dを一層多量に用いるに従って、一層近位の放出および送達が開始され、EUDRAGIT Sを一層多量に用いるに従って、一層遠位の放出および送達が開始される。EUDRAGIT L-30DおよびEUDRAGIT Sのいずれをも、同様のpH溶解特性を有する他の薬学的に許容し得るポリマー類で交換できることは、当業者に理解されている。
【0119】
本発明のある態様において、好ましい腸溶コーティングは、ACRYL-EZE(登録商標)(メタクリル酸コポリマー、タイプC;Colorcon)である。
【0120】
腸溶コーティングは、薬剤放出を、ある一般的に予測可能な位置において達成することができるように、活性剤の制御された放出をもたらす。腸溶コーティングはまた、治療剤および担体の、口腔、咽頭、食道および胃の上皮および粘膜組織への、並びにこれらの組織に関連する酵素への曝露を防止する。従って、腸溶コーティングは、活性剤、担体および患者の内部組織を、送達の所望の部位における薬剤放出の前に、すべての不所望な事象から保護するのを補助する。さらに、本発明の被覆された材料により、薬剤吸収、活性剤保護および安全性の最適化が可能になる。消化管中の種々の領域において活性剤を放出することを目的とする多重の腸溶コーティングにより、消化管全体にわたるさらに一層有効な、持続性の改善された送達が可能になる。
【0121】
コーティングは、胃液の浸透を可能にする孔および亀裂の形成を防止するための可塑剤を含むことができ、そして通常これを含む。好適な可塑剤には、クエン酸トリエチル(Citroflex 2)、トリアセチン(三酢酸グリセリル)、クエン酸アセチルトリエチル(Citroflex A2)、Carbowax 400(ポリエチレングリコール400)、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチル、アセチル化モノグリセリド類、グリセロール、脂肪酸エステル類、プロピレングリコールおよびフタル酸ジブチルが含まれるが、これらには限定されない。特に、陰イオン性カルボン酸アクリル系ポリマーから構成されているコーティングは、通常、約10重量%〜25重量%の可塑剤、特にフタル酸ジブチル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチルおよびトリアセチンを含む。コーティングはまた、コーティング材料を可溶化または分散させるための、並びにコーティング性能および被覆された製品を改善するための、他のコーティング添加剤、例えば粘着防止剤、消泡剤、潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム)および安定剤(例えばヒドロキシプロピルセルロース、酸および塩基)を含むことができる。
【0122】
コーティングを、1種または2種以上の治療剤の粒子、1種または2種以上の治療剤の錠剤、1種または2種以上の治療剤を含むカプセルなどに、慣用のコーティング方法および装置を用いて設けることができる。例えば、腸溶コーティングを、カプセルに、コーティングパン、エアレススプレー手法、流動床コーティング装置などを用いて設けることができる。被覆された投薬形態を製造するための材料、装置および方法に関する詳細な情報は、Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Lieberman, et al.編(New York: Marcel Dekker, Inc., 1989)およびAnsel, et al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,第6版(Media, PA: Williams & Wilkins, 1995)中に見出すことができる。上記したコーティングの厚さは、経口投薬形態が、下部腸管における所望の局所送達部位に達するまで確実に無傷であるために十分なものでなければならない。
【0123】
他の態様においては、本発明の製剤を収容する腸溶コーティングされた、浸透圧作動性デバイスを含む薬剤投薬形態を提供する。この態様においては、薬剤含有製剤を、小さいオリフィスを備えた半透性の膜または仕切りの中に封入する。いわゆる「浸透ポンプ」薬剤送達システムに関して当該技術分野において知られているように、半透膜は、水のいずれの方向への通過をも可能にするが、薬剤のそれは可能にしない。従って、デバイスを水性流体に曝露した際には、水は、デバイスの内部と外部との間の浸透圧差のために、デバイス中に流入する。水がデバイス中に流入するに従って、内部における薬剤含有製剤は、オリフィスを通って「ポンプ輸送」される。薬剤放出の速度は、水の流入速度と薬剤濃度との積に等しい。
【0124】
半透膜に適する材料には、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、半透性ポリエチレングリコール類、半透性ポリウレタン類、半透性ポリアミド類、半透性スルホン化ポリスチレン類およびポリスチレン誘導体;半透性ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)、半透性ポリ(塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウム)並びにセルロース系ポリマー類、例えば酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、三吉草酸セルロース、セルローストリルメート(trilmate)、三パルミチン酸セルロース、三オクタン酸セルロース、三プロピオン酸セルロース、二コハク酸セルロース、二パルミチン酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、プロピオン酸コハク酸セルロース、酢酸オクタン酸セルロース、吉草酸パルミチン酸セルロース、酢酸ヘプタン酸セルロース、アセトアルデヒドジメチル酢酸セルロース、酢酸エチルカルバミン酸セルロース、酢酸メチルカルバミン酸セルロース、ジメチルアミノ酢酸セルロースおよびエチルセルロースが含まれるが、これらには限定されない。
【0125】
腸溶コーティングされた、浸透圧作動性デバイスは、慣用の材料、方法および装置を用いて製造することができる。例えば、浸透圧作動性デバイスは、薬学的に許容し得る柔軟なカプセル中に、前に記載した液体または半固体製剤を最初に封入することにより製造することができる。次に、この内部カプセルを、半透膜組成物(例えば、塩化メチレン−メタノール混合物などの好適な溶媒中の、酢酸セルロースおよびポリエチレングリコール4000を含む)で、例えばエアサスペンションマシンを用いて、十分厚い、例えばおよそ0.05mmの積層が形成されるまで被覆する。次に、半透性積層カプセルを、慣用の手法を用いて乾燥する。
【0126】
次に、所望の直径(例えば約0.99mm)を有するオリフィスを、例えば機械的穿孔、レーザー穿孔、機械的破断またはゼラチンプラグなどの浸食性要素の浸食により、半透性積層カプセル壁を貫通して設ける。次に、浸透圧作動性デバイスを、前に記載したように腸溶コーティングすることができる。液体または半固体担体よりむしろ固体担体を含む浸透圧作動性デバイスにおいては、内部カプセルは随意である;即ち、半透膜を、担体−薬剤組成物の周囲に直接形成することができる。しかし、浸透圧作動性デバイスの薬剤含有製剤において用いるのに好ましい担体は、溶液、懸濁液、液体、不混和性液体、エマルジョン、ゾル、コロイドおよび油である。特に好ましい担体には、液体または半固体薬剤製剤を含む腸溶カプセルが含まれるが、これには限定されない。
【0127】
他の態様において、本発明の製剤を収容する持続放出被覆デバイスを含む薬剤投薬形態を提供する。この態様においては、薬剤含有製剤を、持続放出膜中に封入する。膜は、上記したように半透性であってもよい。半透膜により、水が被覆されたデバイスの内側に進入し、次に薬剤を溶解することが可能になる。次に、溶解した薬剤溶液は、半透膜全体から拡散する。従って、薬剤放出の速度は、被覆されたフィルムの厚さに依存し、薬剤の放出は、GI管の任意の部分において開始し得る。好適な膜材料には、エチルセルロースが含まれる。
【0128】
他の態様において、本発明の製剤を収容する持続放出デバイスを含む薬剤投薬形態を提供する。この態様においては、薬剤含有製剤を、持続放出ポリマーと均一に混合する。これらの持続放出ポリマーは、水に接触した際に膨潤し、水が内側に拡散し、薬剤を溶解するためのチャネルを形成することができる、高分子量水溶性ポリマーであってもよい。ポリマーが膨潤し、水に溶解する際に、一層多量の薬剤が、溶解するために水に曝露される。このようなシステムは、一般的に、持続放出マトリックスと呼ばれる。このようなシステムに適する材料には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロースが含まれる。
【0129】
他の態様において、本発明の持続放出製剤を収容する腸溶デバイスを含む薬剤投薬形態を提供する。この態様においては、上記した薬剤含有製品を、腸溶ポリマーで被覆する。このようなデバイスは、胃中でいかなる薬剤をも放出しない。デバイスが腸に達した際に、腸溶ポリマーは、溶解および薬剤の放出を開始する。薬剤放出は、持続放出性に起こり得る。
【0130】
セルロースコーティングには、酢酸フタル酸およびトリメリット酸セルロースのもの;メタクリル酸コポリマー類、例えば少なくとも40%のメチルアクリル酸を含む、メチルアクリル酸およびそのエステルから誘導されたコポリマー類;並びに特にフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。メチルアクリレート類には、例えば、約1:1の比率でのメチルアクリレートおよびメチルアクリル酸メチルまたはエチルに基づく、100,000ダルトンよりも大きい分子量を有するものが含まれる。典型的な製品には、Rohm GmbH, Darmstadt, Germanyにより市販されているEUDRAGIT L、例えばL 100-55が含まれる。典型的な酢酸フタル酸セルロース類は、17〜26%のアセチル含量および30〜40%のフタレート含量を有し、粘度は、約45〜90cPである。典型的な酢酸トリメリット酸セルロース類は、17〜26%のアセチル含量、25〜35%のトリメリチル含量を有し、粘度は、約15〜20cPである。酢酸トリメリット酸セルロース類の例は、市販されている製品CAT(Eastman Kodak Company, USA)である。
【0131】
フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース類は、典型的に、20,000〜130,000ダルトンの分子量、5〜10%のヒドロキシプロピル含量、18〜24%のメトキシ含量および21〜35%のフタリル含量を有する。酢酸フタル酸セルロースの例は、市販されている製品CAP(Eastman Kodak, Rochester N.Y., USA)である。フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースの例は、6〜10%のヒドロキシプロピル含量、20〜24%のメトキシ含量、21〜27%のフタリル含量、約84,000ダルトンの分子量を有し、登録商標HP50の下で知られており、信越化学工業、日本国東京から入手できる市販されている製品、並びにそれぞれ5〜9%、18〜22%および27〜35%のヒドロキシプロピル含量、メトキシ含量およびフタリル含量並びに78,000ダルトンの分子量を有し、同一の供給者から入手できる登録商標HP55の下で知られている市販されている製品である。
【0132】
治療剤は、被覆したかまたは被覆していないカプセルで提供することができる。カプセル材料は、硬質または軟質のいずれであってもよく、当業者に理解されているように、典型的には、無味の、容易に投与される、水溶性の化合物、例えばゼラチン、デンプンまたはセルロース系材料を含む。カプセルは、好ましくは、例えばゼラチンバンドなどで密封されている。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 第19版(Easton, Pa.: Mack Publishing Co., 1995)を参照。これには、カプセル封入された医薬を製造するための材料および方法が記載されている。
【0133】
治療剤は、座剤で提供することができる。座剤は、直腸を介した投与が意図された医薬の固体投薬形態である。座剤は、体腔において(約98.6°F)溶融、軟化または溶解し、これによりこの中に含まれる医薬を放出するように配合される。座剤基剤は、安定であり、非刺激性であり、化学的に不活性であり、生理学的に不活性でなければならない。多くの商業的に入手できる座剤は、しばしば室温で溶融または変形し、冷却貯蔵または他の貯蔵制限を必要とする、油性の、または脂肪性の基剤材料、例えばココアバター、ココナッツ油、パーム核油およびパーム油を含む。Tanaka, et al.の米国特許第4,837,214号には、1〜20重量%の脂肪酸(エルカ酸がこの例である)のジグリセリド類と組み合わせた、20またはこれより小さいヒドロキシル価を有し、8〜18個の炭素原子を有する脂肪酸のグリセリド類を含む、80〜99重量%のラウリンタイプの脂肪から構成された座剤基剤が記載されている。これらのタイプの座剤の保存寿命は、崩壊のために制限される。他の座剤基剤は、融点を上昇させるが、また薬剤の乏しい吸収および局所的な粘膜の刺激による副作用をもたらし得るアルコール類、界面活性剤などを含む(例えばHartelendy et al.による米国特許第6,099,853号、Ahmad, et al.による米国特許第4,999,342号およびAbidi, et al.による米国特許第4,765,978号を参照)。
【0134】
本発明の薬学的な座剤組成物において用いる基剤には、一般的に、主成分としてトリグリセリド類を含む油脂、例えばカカオバター、パーム脂肪、パーム核油、ココナッツ油、ヤシ油、ラードおよびWITEPSOL(登録商標)、ろう、例えばラノリンおよび還元ラノリン;炭化水素類、例えばVASELINE(登録商標)、スクアレン、スクアランおよび流動パラフィン;長鎖ないし中鎖脂肪酸類、例えばカプリル酸、ラウリン酸、ステアリン酸およびオレイン酸;高級アルコール類、例えばラウリルアルコール、セタノールおよびステアリルアルコール;脂肪酸エステル類、例えばステアリン酸ブチルおよびマロン酸ジラウリル;グリセリンの中鎖ないし長鎖カルボン酸エステル類、例えばトリオレインおよびトリステアリン;グリセリン置換カルボン酸エステル類、例えばアセト酢酸グリセリン;並びにポリエチレングリコール類およびその誘導体、例えばマクロゴールおよびセトマクロゴールが含まれる。これらを、単独で、または2種もしくは3種以上の組み合わせで用いることができる。所望により、本発明の組成物は、さらに、座剤において普通に用いられる界面活性剤、着色剤などを含むことができる。
【0135】
本発明の医薬組成物を、所定の量の活性成分、吸収助剤および随意に基剤などを、スターラーまたは粉砕ミル中で、所要に応じて高温で均一に混合することにより、製造することができる。得られた組成物は、例えば混合物を型中に流し込むことにより、またはこれをゼラチンカプセルに、カプセル充填機を用いて成形することにより、単位投薬形態の座剤に成形することができる。
【0136】
本発明の組成物はまた、鼻腔用スプレー、点鼻薬、懸濁液、ゲル、軟膏、クリームまたは散剤として投与することができる。組成物の投与はまた、本発明の組成物を含む鼻腔用タンポンまたは鼻腔用スポンジを用いることを含むことができる。
【0137】
本発明について用いることができる鼻腔内送達システムは、水性製剤、非水性製剤およびこれらの組み合わせを含む種々の形態をとることができる。水性製剤には、例えば、水性ゲル、水性懸濁液、水性リポソーム分散体、水性エマルジョン、水性マイクロエマルジョンおよびこれらの組み合わせが含まれる。非水性製剤には、例えば、非水性ゲル、非水性懸濁液、非水性リポソーム分散体、非水性エマルジョン、非水性マイクロエマルジョンおよびこれらの組み合わせが含まれる。鼻腔内送達システムの種々の形態は、pHを維持するためのバッファー、薬学的に許容し得る増粘剤および保湿剤を含むことができる。バッファーのpHは、1種または2種以上の治療剤の鼻粘膜を介しての吸収を最適にするように選択することができる。
【0138】
非水性鼻腔用製剤に関して、緩衝剤の好適な形態は、製剤が哺乳類の鼻腔中に送達される際に、選択されたpH範囲が、そこで、例えば鼻粘膜との接触により達成されるように、選択することができる。本発明においては、組成物のpHを、約2.0〜約6.0に維持すべきである。組成物のpHが、投与の際の受容者の鼻粘膜への顕著な刺激を生じないpHであることが望ましい。
【0139】
本発明の組成物の粘度を、所望のレベルに、薬学的に許容し得る増粘剤を用いて維持することができる。本発明において用いることができる増粘剤には、メチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩類、アカシア、キトサン類およびこれらの組み合わせが含まれる。増粘剤の濃度は、選択された剤および所望の粘度に依存する。このような剤はまた、上記したように、散剤製剤において用いることができる。
【0140】
本発明の組成物はまた、粘膜の乾燥を低減させるかまたは防止し、その刺激を防止するための保湿剤を含むことができる。本発明において用いることができる好適な保湿剤には、ソルビトール、鉱油、植物油およびグリセロール;緩和剤;膜コンディショナー;甘味剤;およびこれらの組み合わせが含まれる。本発明の組成物中の保湿剤の濃度は、選択された剤に依存して変化する。
【0141】
1種または2種以上のIBS治療剤および/またはオピオイドを、鼻腔内送達システムまたは本明細書中に記載したすべての他の送達システム中に導入することができる。
【0142】
本発明のいくつかの観点において、キットを提供する。図1を参照すると、キット10が記載されている。キット10は、医薬製剤バイアル12、医薬製剤希釈剤バイアル14、随意のバイアル16および随意の希釈剤バイアル18を含む。キットはまた、指示20を含む。医薬製剤のための希釈剤を含むバイアル14は、随意である。バイアル14は、希釈剤、例えばバイアル12中に含まれているメチルナルトレキソンの濃縮溶液または凍結乾燥された製剤であってもよいものを希釈するための生理的食塩水などを含む。指示は、特定の量の希釈剤を特定の量の濃縮された医薬製剤と混合し、これにより注射または注入用の最終的な製剤を製造するための指示を含むことができる。
【0143】
指示は、PCAデバイスにおいて用いるための指示を含むことができる。同様に、キットは、随意に、バイアル16中に、抗生物質および/またはIBS治療剤を含み、これはまた、随意に、濃縮された形態であってもよい。随意のバイアル18は、濃縮された抗生物質および/またはIBS治療剤のための希釈剤を含む。指示はまた、抗生物質および/またはIBS治療剤を医薬製剤と混合し、かつ/またはオピオイドを、オピオイド希釈バイアル18中に含まれる抗生物質および/またはIBS治療剤希釈剤で希釈するための指示を含むことができる。従って、指示は、希釈剤および抗生物質および/またはIBS治療剤の存在または不存在に依存して、種々の形態をとる。
【0144】
指示20は、患者を有効量のメチルナルトレキソンで処置するための指示を含むことができる。容器が瓶、セプタム付バイアル、セプタム付アンプル、輸液バッグなどであるか否かにかかわらず、医薬製剤を含む容器は、証印、例えば医薬製剤をオートクレーブ処理するかまたは他の方法で滅菌した際に色が変化する慣用のマーキングを含むことができることが理解される。
【0145】
本明細書中に列挙した特許、特許出願および参考文献はすべて、これらの全体を参照により組み込む。
【0146】

以下の例は、本発明の観点を例証することを意図するものであり、本発明に対する限定として考慮するべきではない。
【0147】
例1:メチルナルトレキソンのオピオイドを施与されていない個体における投与
施設内倫理委員会からの承認により、12人の正常対象(8人は男性および4人は妊娠中でない女性)が、対照試験に参加した。平均年齢は、29.3±5.8歳であった(平均+/−標準偏差[SD])。対象のいずれも、試験の間に、薬剤乱用による障害を有しておらず、またはいかなるオピオイドをも施与されていなかった。対象に、12の連続的なメチルナルトレキソンの用量を、0.3mg/kgの投与率で、6時間おきに、静脈内注射により投与した。メチルナルトレキソンは、この研究において投与するために、等張生理食塩水に溶解した。他の添加剤は、投与された溶液中に存在しなかった。口−盲腸通過時間を、最初の投薬の前、および3日間にわたる繰り返された投薬の後の最後の投薬の後に、ラクツロース水素呼気試験(Yuan, C.S., et al., Clin. Pharmacol. Ther. 1996;59:469-475)により測定した。可能なオピオイドアゴニスト効果についての主観的な評価試験も用いた(Yuan, C.S., et al., Drug Alcohol Dependence 1998;52:161-165)。
【0148】
顕著な悪影響は、試験期間中観察されなかった。口−盲腸通過時間試験の結果は、通過時間が、メチルナルトレキソンの最初の投薬の前の101.3±29.4分のベースライン平均から、処置の3日後の82.5±20.7に減少したことを示した。平均値の減少は、対応のあるt検定およびウイルコクソンの符号付き順位検定により、P<0.05の水準で統計的に有意であった。全体的なオピオイド主観的評価は、処置の3日の間は減少傾向を示していたが、減少は、統計的に有意となるには至らなかった。これらの結果は、カルシウムイオンの不存在下におけるメチルナルトレキソンが、外因性オピオイドを施与されていない正常対象において、腸通過時間の統計的に有意な減少を生じることを例証するものである。全体的な主観的オピオイド評価において統計的に有意な変化が存在しないことは、メチルナルトレキソンの中枢神経系中への進入がないことと整合する。これらのデータは、内因性オピオイド作用が、ヒト腸運動性の調節に関与すること並びに、末梢オピオイドアンタゴニストを用いて、腸分節運動および蠕動に好ましい影響を与え、これによりIBSを処置することができることを示唆するものである。
【0149】
例2:メチルナルトレキソン225mg錠剤についての製造の詳細(非腸溶性)
用いた成分(商品名) 錠剤あたりmg
メチルナルトレキソン 225
微晶質セルロース(Avicel PH 101) 80
ポリビニルピロリドン(Povidone K30) 10.50
クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol SD-711) 8
二塩基リン酸カルシウム(Emcompress) 25
Avicel PH 200は用いなかった
ステアリン酸マグネシウム(Hyqual) 1.7
Opadry II Clear 7.00
水 所要に応じて
【0150】
用いた装置
Key KG-5グラニュレーター 顆粒を製造するため・・・一種の生地製造機(dough maker)
Glatt WSG-1, Uniglatt 顆粒を乾燥するため
Quadro Comill 顆粒粒子を所望の大きさに破砕するため
直交流ブレンダー 物を一緒に混合するため
Manesty beta-press 粉末を錠剤に圧縮するため
O'Hara Labcoat II-X 錠剤を任意のフィルムで被覆するため。
その他の装置、例えば天秤、蠕動ポンプ、プロペラミキサーおよびスパチュラなど。
【0151】
製造工程:
1.メチルナルトレキソン、Avicel 101およびAc-Di-Sol(この一部)を、20メッシュの篩を通過させ、グラニュレーターに加える。
2.前述の混合物を、Povidoneを水に溶解した溶液を用いて顆粒化する。
3.顆粒が形成した後に、材料をUniglattに移送し、混合物を乾燥する。
4.工程1〜3を、さらに8回繰り返し、混合物を混ぜ合わせる。これは、装置容量が合計重量の1/9であるために行った。
5.工程#4における混合物を、Comillを通過させる。
6.Avicel 101、Emcompressおよび残りのAc-Di-Solを、20メッシュの篩により篩別し、これをブレンダーに加える。
7.工程#5からの材料を、工程#6における材料に加え、10分間混合する。
8.ステアリン酸マグネシウムをブレンダーに加え、3分間混合する。
9.材料を、Manesty Beta-pressに移送し、錠剤を圧縮する。
10.錠剤を、Opadry II Clearを水に溶解した溶液で、O'Hara Labcoatを用いて被覆する。
【0152】
例3:腸溶コーティング錠のための製造の詳細(75および225mgの両方)
前の例からの工程#9の後に:
11.錠剤を、Eudragit Lを水に懸濁させた懸濁液で被覆する。
12.工程#11における材料を、Opadry whiteで被覆する。
【0153】
本発明者らが腸溶部分のために用いるポリマーは、以下の1つである:
Eudragit L DegussaまたはRohm Pharmaから
Eudragit L 50D DegussaまたはRohm Pharmaから
Acryl-eze (メタクリル酸コポリマータイプC) Colorconから
Sureteric (ポリ酢酸フタル酸ビニル) Colorconから
【0154】
例4:経口腸溶持続放出錠剤のための製造の詳細
用いた成分:
メチルナルトレキソン 250g
ドキュセートナトリウム 100g
ラクトース 20g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(1000cps) 120g
ポリビニルピロリドン 10g
二塩基リン酸カルシウム 50g
ステアリン酸マグネシウム 3g
酢酸フタル酸セルロース 50g
水 所要に応じて
【0155】
製造工程:
1.250gのメチルナルトレキソンを、100gのドキュセートナトリウムと、高剪断ブレンダー中で混合する。
2.20gのラクトースおよび120gのヒドロキシプロピルメチルセルロースを、ブレンダーに加え、十分に混合する。
3.前述の混合物を、ポリビニルピロリドンを水に溶解した溶液(10gを100mlに)を用いて顆粒化する。
4.顆粒が形成した後に、材料を流動床乾燥機に移送し、混合物を乾燥する。
5.工程4からの混合物を、ミルを通過させて、顆粒の粒子の大きさを減少させて、これを一層均一にする。
6.工程5からの材料を、タンブルブレンダーに加え、50gの二塩基リン酸カルシウムを加え、10分間十分に混合する。
7.3gのステアリン酸マグネシウムをブレンダーに加え、3〜5分間混合する。
8.材料を、錠剤プレスに移送し、錠剤あたり553mgの目的の重量を有する錠剤に圧縮する。
9.工程8からの錠剤を、穴あきパン中、酢酸フタル酸セルロースで、603mgの錠剤の重量に被覆する。
【0156】
例5:座剤のための製造の詳細:
用いた成分:
メチルナルトレキソン 250g
グリセリン 500g
ポリエチレングリコール1000 100g
ポリエチレングリコール4000 800g
【0157】
製造工程:
1.ジャケット付きポット中に、250gのメチルナルトレキソンおよび500gのグリセリンを加え、混合を開始する。
2.100gのポリエチレングリコール1000および800gのポリエチレングリコール4000を、工程1における材料に加え、混合を継続する。
3.工程2からの材料を、ジャケットを介して加熱して、流動可能で、注入可能な混合物とする。
4.混合物を、座剤を製造するための容器中に注入し、室温に放冷する。
5.次に、固化した座剤を、容器から回収する。各々の座剤は、1650mgの重量である。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明のキットを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過敏性腸症候群を処置する方法であって、このような処置を必要としている患者に、過敏性腸症候群の少なくとも1つの症状を改善するのに有効な、末梢オピオイドアンタゴニストを含む医薬製剤の量を投与することを含み、ここで、医薬製剤は、生物が利用可能なカルシウムまたはその塩を含まない、前記方法。
【請求項2】
医薬製剤を、非経口的に投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
医薬製剤を、静脈内、皮下、無針注射および注入からなる群から選択された経路から投与する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
医薬製剤を、静脈内に投与する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
医薬製剤を、皮下に投与する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
医薬製剤を、無針注射により投与する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
医薬製剤を、注入により投与する、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
医薬製剤を、直腸内に投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
医薬製剤を、経皮的に投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
医薬製剤を、鼻腔内に投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
医薬製剤を、溶液として投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
医薬製剤を、座剤として投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
医薬製剤を、浣腸剤として投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
医薬製剤を、錠剤またはカプセルとして投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
患者が、外因性オピオイド処置を受けていない、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
患者が、女性である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
患者が、男性である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
患者が、小児である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
症状が、下痢である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
症状が、交代性の便秘および下痢である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
症状が、便秘である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
症状が、便秘および腹痛である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
症状が、腹部膨満である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
症状が、腹部膨張である、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
症状が、異常な排便回数である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
症状が、異常な便の硬さである、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
症状が、腹痛である、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
さらに、患者に、抗生物質を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
さらに、患者に、オピオイドアゴニストを投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
さらに、患者に、少なくとも1種の過敏性腸症候群治療剤を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
さらに、患者に、オピオイドアゴニストを投与することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
過敏性腸症候群治療剤が、鎮痙薬、抗ムスカリン薬、抗炎症剤、運動促進剤、5HTアゴニスト、5HTアンタゴニスト、5HTアンタゴニスト、5HTアゴニスト、胆汁酸塩捕捉剤、膨張剤、アルファ2アドレナリン作用薬、鉱油、抗うつ薬、生薬およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
過敏性腸症候群剤が、5HTアンタゴニスト、5HTアンタゴニストまたは5HTアゴニストではない、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
過敏性腸症候群治療剤が、止痢薬物である、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
過敏性腸症候群治療剤が、抗うつ薬である、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
過敏性腸症候群治療剤が、生薬である、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
過敏性腸症候群治療剤が、アルファアドレナリン作用剤である、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
剤が、5HTアゴニストである、請求項30に記載の方法。
【請求項39】
5HTアゴニストが、3−(5−メトキシ−1H−インドール−3−イル−メチレン)−N−ペンチルカルバジミダミドである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
剤が、ポリエチレングリコール3350である、請求項30に記載の方法。
【請求項41】
末梢オピオイドアンタゴニストが、ノルオキシモルホンの第四級誘導体である、請求項1〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
ノルオキシモルホンの第四級誘導体が、メチルナルトレキソンである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
ノルオキシモルホンの第四級誘導体の量が、1.0〜3.0mg/kgの範囲内である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
ノルオキシモルホンの第四級誘導体が、メチルナルトレキソンである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
末梢オピオイドアンタゴニストの量が、0.1〜0.45mg/kgの範囲内である、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
ノルオキシモルホンの第四級誘導体の量が、0.1〜0.45mg/kgの範囲内である、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
医薬製剤を、注入により投与する、請求項3に記載の方法。
【請求項48】
末梢オピオイドアンタゴニストの量が、1400ng/mlまたはこれ未満の末梢オピオイドアンタゴニストの平均ピーク血漿濃度を達成するのに有効である、請求項1〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
平均ピーク血漿濃度が、末梢オピオイドアンタゴニストの1200ng/mlまたはこれ未満である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
平均ピーク血漿濃度が、末梢オピオイドアンタゴニストの1000ng/mlまたはこれ未満である、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
過敏性腸症候群を処置する方法であって、このような処置を必要としている患者に、過敏性腸症候群の少なくとも1つの症状を改善するのに有効な、末梢オピオイドアンタゴニストを含む医薬製剤の量を経口的に投与することを含み、ここで、医薬製剤は、生物が利用可能なカルシウムまたはその塩を含まない、前記方法。
【請求項52】
医薬製剤を、腸溶製剤で投与する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
医薬製剤を、持続放出製剤で投与する、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
医薬製剤を、腸溶持続放出製剤で投与する、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
医薬製剤を、結腸部位特異的製剤で投与する、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
患者が、外因性オピオイド処置を受けていない、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
患者が、女性である、請求項51に記載の方法。
【請求項58】
患者が、男性である、請求項51に記載の方法。
【請求項59】
患者が、小児である、請求項51に記載の方法。
【請求項60】
症状が、便秘である、請求項51に記載の方法。
【請求項61】
症状が、便秘および腹痛である、請求項51に記載の方法。
【請求項62】
症状が、下痢である、請求項51に記載の方法。
【請求項63】
症状が、交代性の便秘および下痢である、請求項51に記載の方法。
【請求項64】
症状が、腹部膨満である、請求項51に記載の方法。
【請求項65】
症状が、腹部膨張である、請求項51に記載の方法。
【請求項66】
症状が、異常な排便回数である、請求項51に記載の方法。
【請求項67】
症状が、異常な便の硬さである、請求項51に記載の方法。
【請求項68】
症状が、腹痛である、請求項51に記載の方法。
【請求項69】
さらに、患者に、抗生物質を投与することを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項70】
さらに、少なくとも1種の過敏性腸症候群治療剤を投与することを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項71】
過敏性腸症候群治療剤が、抗うつ薬である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
過敏性腸症候群治療剤が、止痢薬物である、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
過敏性腸症候群治療剤が、生薬である、請求項70に記載の方法。
【請求項74】
過敏性腸症候群治療剤が、オピオイドアゴニストである、請求項70に記載の方法。
【請求項75】
過敏性腸症候群治療剤が、アルファアドレナリン作用剤である、請求項70に記載の方法。
【請求項76】
過敏性腸症候群治療剤が、5−HTアゴニストである、請求項70に記載の方法。
【請求項77】
5−HTアゴニストが、3−(5−メトキシ−1H−インドール−3−イル−メチレン)−N−ペンチルカルバジミダミドである、請求項65に記載の方法。
【請求項78】
過敏性腸症候群治療剤が、5−HTアンタゴニスト、5−HTアンタゴニストまたは5−HTアゴニストではない、請求項70に記載の方法。
【請求項79】
過敏性腸症候群治療剤が、ポリエチレングリコール3350である、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
末梢オピオイドアンタゴニストが、ノルオキシモルホンの第四級誘導体である、請求項51〜79のいずれかに記載の方法。
【請求項81】
ノルオキシモルホンの第四級誘導体が、メチルナルトレキソンである、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
量が、50〜750mg/日の範囲内である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
量が、75mgのノルオキシモルホンの第四級誘導体である、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
量が、225mgのノルオキシモルホンの第四級誘導体である、請求項81に記載の方法。
【請求項85】
ノルオキシモルホンの第四級誘導体と、過敏性腸症候群治療剤と、薬学的に許容し得る担体とを含む、医薬製剤。
【請求項86】
ノルオキシモルホンの第四級誘導体が、メチルナルトレキソンである、請求項85に記載の医薬製剤。
【請求項87】
医薬製剤が、生物が利用可能なカルシウムまたはその塩を含まない、請求項85または86に記載の医薬製剤。
【請求項88】
過敏性腸症候群治療剤が、鎮痙薬、抗ムスカリン薬、抗炎症剤、運動促進剤、5HTアゴニスト、5HTアンタゴニスト、5HTアンタゴニスト、5HTアゴニスト、胆汁酸塩捕捉剤、膨張剤、アルファ−アドレナリン作用薬、鉱油、抗うつ薬、生薬およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項85に記載の医薬製剤。
【請求項89】
過敏性腸症候群治療剤が、鎮痙薬である、請求項85に記載の医薬製剤。
【請求項90】
過敏性腸症候群治療剤が、抗ムスカリン薬である、請求項85に記載の医薬製剤。
【請求項91】
過敏性腸症候群治療剤が、抗炎症剤である、請求項85に記載の医薬製剤。
【請求項92】
過敏性腸症候群治療剤が、運動促進剤である、請求項85に記載の医薬製剤。
【請求項93】
過敏性腸症候群治療剤が、5HTアゴニスト、5HTアンタゴニストまたは5HTアゴニストである、請求項85に記載の医薬製剤。
【請求項94】
過敏性腸症候群治療剤が、5HTアンタゴニスト、5HTアンタゴニストまたは5HTアゴニストではない、請求項85に記載の医薬製剤。
【請求項95】
過敏性腸症候群治療剤が、5HTアゴニストである、請求項85に記載の医薬製剤。
【請求項96】
過敏性腸症候群治療剤が、3−(5−メトキシ−1H−インドール−3−イル−メチレン)−N−ペンチルカルバジミダミドである、請求項95に記載の医薬製剤。
【請求項97】
過敏性腸症候群治療剤が、胆汁酸塩捕捉剤である、請求項85に記載の医薬製剤。
【請求項98】
過敏性腸症候群治療剤が、膨張剤である、請求項85に記載の医薬製剤。
【請求項99】
過敏性腸症候群治療剤が、アルファ2−アドレナリン作用薬である、請求項85に記載の医薬製剤。
【請求項100】
過敏性腸症候群治療剤が、鉱油である、請求項85に記載の医薬製剤。
【請求項101】
過敏性腸症候群治療剤が、抗うつ薬である、請求項85に記載の医薬製剤。
【請求項102】
過敏性腸症候群治療剤が、生薬である、請求項85に記載の医薬製剤。
【請求項103】
医薬製剤が、経口投与用に製剤されている、請求項85〜101のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項104】
剤形が、カプセル、散剤、顆粒、結晶、錠剤、溶液、抽出物、懸濁液、スープ、シロップ、エリキシル剤、茶、液体充填カプセル、油、咀嚼錠、咀嚼片、腸溶錠剤、持続放出錠剤またはカプセルおよび腸溶持続放出錠剤からなる群から選択される、請求項103に記載の医薬製剤。
【請求項105】
医薬製剤が、直腸投与用に製剤されている、請求項85〜101のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項106】
剤形が、懸濁液、溶液、座剤、油および浣腸剤からなる群から選択される、請求項105に記載の医薬製剤。
【請求項107】
医薬製剤が、舌下、鼻腔内、経皮的、皮内、筋肉内、皮下、注射および注入からなる群から選択された投与経路用に製剤されている、請求項85〜101のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項108】
末梢オピオイドアンタゴニスト製剤を含むパッケージであって、該製剤が、生物が利用可能なカルシウムおよびその塩を含まないもの;および
前記製剤を用いて過敏性腸症候群を処置するための指示
を含む、キット。
【請求項109】
さらに抗生物質を含む、請求項108に記載のキット。
【請求項110】
さらに過敏性腸症候群治療剤を含む、請求項108に記載のキット。
【請求項111】
製剤が、請求項85〜107のいずれかに記載の医薬製剤である、請求項108に記載のキット。

【図1】
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【公表番号】特表2006−522817(P2006−522817A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509864(P2006−509864)
【出願日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/010996
【国際公開番号】WO2004/091622
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(505377108)プロジェニックス ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】