説明

過敏性腸症候群診断用の新規なゲノムバイオマーカー

本発明は、IBSを診断し、予後診断し、及び細分類する、新規なバイオマーカー、キット、及び方法を提供する。1つの側面において、本発明は、IBSを診断し、分類し、予後診断を提供し、及びIBS治療を割り当てる必要のある被験者においてそれらを行うための新規なゲノムバイオマーカーを提供する。別の側面において、本発明はIBSの診断及び予後診断に対する新規なアルゴリズムを提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
過敏性腸症候群(IBS)の診断を必要とする被験者においてIBSを診断する方法であって、以下の工程:
(a)被験者から採取された生物学的試料からRNAを単離及び/又は増幅する工程と;(b)検出試薬を該検出試薬とIBSのRNAバイオマーカーとを含む複合体に変換するのに適した条件下に、前記単離及び/又は増幅されたRNAを前記検出試薬と接触させる工程と;
(c)前記複合体のレベルを検出する工程と;及び
(d)前記複合体のレベルがIBSと関連する第一の参照レベル又はIBSの非存在と関連する第二の参照レベルとより密接に類似しているか否かを決定し、それによって被験者におけるIBSを診断する工程と、
を含み、前記バイオマーカーが表4に見出される遺伝子からなる群から選択される遺伝子、例えば、CCDC147など、由来のRNAである、前記方法。
【請求項2】
前記方法が表4に見出されるIBSバイオマーカーからなる群から選択される少なくとも2種のIBSバイオマーカー、例えば、CCDC147及びVIPR1など、のレベルを検出する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が表4に見出されるIBSマーカーからなる群から選択される少なくとも5種のIBSバイオマーカーのレベルを検出する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記バイオマーカーがCCDC147、VIPR1、LPAR5、CCDC144A、及びGNG3である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記バイオマーカーが表1に見出されるバイオマーカーから選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記バイオマーカーがCCDC147、VIPR1、LPAR5、CCDC144A、GNG3、ACSS2、ZNF33B、PMS2L2、RUSC1、ARHGE、ASIP、OR2L8、PI4K2A、及びFOXD3からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記バイオマーカーがCCDC147である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記バイオマーカーがVIPR1である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記バイオマーカーがLPAR5である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記バイオマーカーがCCDC144Aである、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記バイオマーカーがGNG3である、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記バイオマーカーが配列番号:1〜75及び154〜162のいずれか1つのアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするmRNA分子である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記バイオマーカーが配列番号:76〜162のいずれか1つの核酸配列を含むRNA分子である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記検出試薬がオリゴヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記複合体のレベルを検出する工程がオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法がマイクロアレイ又はビーズをベースとするハイブリダイゼーションを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複合体のレベルを検出する工程が核酸増幅を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記方法がqPCR又は質量分析を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記複合体のレベルを検出する工程が複数のバイオマーカーのレベルを定量化し、それによってバイオマーカープロファイルを決定する工程を含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項20】
前記複合体のレベルが第一又は第二の参照レベルとより密接に類似しているか否かを決定する工程が、アルゴリズムを用いて前記バイオマーカープロファイルがIBSと関連する第一の参照レベル又はIBSの非存在と関連する第二の参照レベルとより密接に類似しているか否かを決定する工程を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記アルゴリズムが学習統計的分類子システムを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記学習統計的分類子システムがランダムフォレスト、分類及び回帰木、ブースト型の木、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシーン、一般的なカイ二乗による相互作用の自動検出モデル、相互作用型の木、多変量適応回帰スプライン、機械学習分類子、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記統計的アルゴリズムが単一の学習統計的分類子システムを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記統計的アルゴリズムが少なくとも2つの学習統計的分類子システムの組み合わせを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記生物学的試料が血清、血漿、全血、又は便からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記方法がさらに、サイトカイン、成長因子、抗好中球抗体、抗サッカロミセス・セレビシエ抗体(ASCA)、抗菌抗体、肥満細胞マーカー、ストレスマーカー、胃腸ホルモン、セロトニン代謝産物、セロトニン経路マーカー、炭水化物欠乏トランスフェリン(CDT)、ラクトフェリン、抗組織トランスグルタミナーゼ(tTG)抗体、リポカリン、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、リポカリンとMMPとの複合体、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤(TIMP)、グロブリン(例えば、アルファ−グロブリン)、アクチン切断タンパク質、S100タンパク質、フィブリノペプチド、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、タキキニン、グレリン、ニューロテンシン、コルチコトロピン放出ホルモン(CRH)、エラスターゼ、C−反応性タンパク質(CRP)、ラクトフェリン、抗ラクトフェリン抗体、カルプロテクチン、ヘモグロビン、NOD2/CARD15、セロトニン再取り込み輸送体(SERT)、トリプトファンヒドロキシラーゼ−1、5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)、ラクツロース、セリンプロテアーゼ、プロスタグランジン、ヒスタミン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるバイオマーカーの検出を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記サイトカインが、IL−8、IL−1β、TNF関連アポトーシス弱誘導因子(TWEAK)、レプチン、オステオプロテジェリン(OPG)、MIP−3β、GROα、CXCL4/PF−4、CXCL7/NAP−2、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記成長因子が、上皮成長因子(EGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、色素上皮由来因子(PEDF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、アンフィレグリン(SDGF)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記抗好中球抗体が、抗好中球細胞質抗体(ANCA)、核周囲抗好中球細胞質抗体(pANCA)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記ASCAが、ASCA−IgA、ASCA−IgG、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記抗菌抗体が、抗外膜タンパク質C(抗OmpC)抗体、抗フラジェリン抗体、抗I2抗体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記リポカリンが、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、NGAL/MMP−9複合体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記MMPがMMP−9である、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記TIMPがTIMP−1である、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記アルファ−グロブリンが、アルファ−2−マクログロブリン、ハプトグロビン、オロソムコイド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
前記アクチン切断タンパク質がゲルソリンである、請求項26に記載の方法。
【請求項37】
前記S100タンパク質がカルグラニュリンである、請求項26に記載の方法。
【請求項38】
前記フィブリノペプチドがフィブリノペプチドA(FIBA)である、請求項26に記載の方法。
【請求項39】
前記方法がさらに、症状プロファイルを決定する工程であって、前記症状プロファイルが前記個体における少なくとも1種の症状の存在又は重症度を同定することによって決定される工程と;及び前記診断マーカー及び前記症状プロファイルに基づきアルゴリズムを用いて前記試料をIBS試料又は非IBS試料と分類する工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1種の症状が、胸痛、胸部不快感、胸焼け、普通量の食事後の不快な膨満感、普通量の食事の完食不能、腹痛、腹部不快感、便秘、下痢、鼓張、腹部膨満、痛み又は不快感があることと関連づけられる消極的な思考又は感情、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1種の症状の存在又は重症度が質問票を用いて同定される、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記質問票が、前記個人に前記少なくとも1種の症状の存在又は重症度について尋ねる質問のセット、前記個人に痛み又は不快感があることと関連づけられる消極的な思考又は感情の存在又は重症度を尋ねる質問のセット、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記少なくとも1種の症状の存在又は重症度が、前記個人に目下何らかの症状があるか否かを前記個人に尋ねることによって同定される、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記症状プロファイルが、少なくとも2種、3種、4種、5種、又は6種の症状の存在又は重症度を同定することによって決定される、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記方法がさらに、被験者に該被験者がIBSに罹患している確率という形態の診断を提供する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
前記方法がさらに、試料をIBS−便秘型(IBS−C)、IBS−下痢型(IBS−D)、IBS−混合型(IBS−M)、IBS−交替型(IBS−A)、又は感染後型IBS(IBS−PI)試料と分類する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
前記方法がさらに、非IBS試料を正常試料、炎症性腸疾患(IBD)試料、又は非IBD試料と分類する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
前記方法がさらに、腸炎を除外する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項49】
被験者における過敏性腸症候群(IBS)の進行又は退行をモニタリングする方法であって、以下の工程:
(a)第一の時点で被験者から採取された第一の生物学的試料から第一のバイオマーカープロファイルを決定する工程と;
(b)第二の時点で被験者から採取された第二の生物学的試料から第二のバイオマーカープロファイルを決定する工程と;及び
(c)前記第一のバイオマーカープロファイルと前記第二のバイオマーカープロファイルとを比較して、(i)いずれのバイオマーカープロファイルがIBSと関連する第一の参照プロファイルと最も多く類似しているか又は最も少なく類似しているかを決定し、(ii)いずれのバイオマーカープロファイルがIBSの非存在と関連する第二の参照プロファイルと最も少なく類似しているか又は最も多く類似しているかを決定し、又は(iii)前記類似性の少なくとも2つを決定する工程と、
を含み、前記バイオマーカープロファイルが表4に見出される少なくとも2種のバイオマーカーの発現についての情報を含んでおり、そのことによって、前記被験者におけるIBSの進行又は退行をモニタリングする、前記方法。
【請求項50】
前記バイオマーカーが、CCDC147、VIPR1、LPAR5、CCDC144A、GNG3、ACSS2、ZNF33B、PMS2L2、RUSC1、ARHGE、ASIP、OR2L8、PI4K2A、及びFOXD3からなる群から選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記バイオマーカーが、CCDC147、VIPR1、LPAR5、CCDC144A、及びGNG3である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記第一の生物学的試料が採取された時と前記第二の生物学的試料が採取された時との間の時間期間において前記被験者がIBSに対する治療を施される、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記治療が、セロトニン作動薬、抗うつ剤、塩化物チャネル活性化剤、グアニル酸シクラーゼアゴニスト、抗生物質、オピオイド、ニューロキニンアンタゴニスト、鎮痙薬又は抗コリン作動薬、ベラドンナアルカロイド、バルビツール酸塩、それらの遊離塩基、それらの薬剤学的に許容することのできる塩、それらの誘導体、それらのアナログ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される薬剤である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
IBS治療が必要な被験者に対してIBS治療を割り当てる方法であって、以下の工程:
(a)被験者から採取された生物学的試料からRNAを単離及び/又は増幅する工程と;(b)検出試薬を該検出試薬とIBSのRNAバイオマーカーとを含む複合体に変換するのに適した条件下に、前記単離及び/又は増幅されたRNAを前記検出試薬と接触させる工程と;
(c)前記複合体のレベルを検出する工程と;
(d)前記複合体のレベルがIBSと関連する第一の参照レベル又はIBSの非存在と関連する第二の参照レベルとより密接に類似しているか否かを決定する工程と;及び
(e)前記レベルがIBSと関連する前記第一の参照レベルとより密接に類似している場合はIBS治療を割り当て、ここで前記IBSのRNAバイオマーカーが表4に見出されるものからなる群から選択される工程と、
を含む、前記方法。
【請求項55】
前記方法が表4に見出されるIBSバイオマーカーからなる群から選択される少なくとも2種のIBSバイオマーカーのレベルを検出する工程を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記方法が表4に見出されるIBSマーカーからなる群から選択される少なくとも5種のIBSマーカーのレベルを検出する工程を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記バイオマーカーがCCDC147、VIPR1、LPAR5、CCDC144A、及びGNG3である、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記バイオマーカーが表1に見出されるものから選択される、請求項54〜56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記バイオマーカーがCCDC147、VIPR1、LPAR5、CCDC144A、GNG3、ACSS2、ZNF33B、PMS2L2、RUSC1、ARHGE、ASIP、OR2L8、PI4K2A、及びFOXD3からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項60】
前記バイオマーカーが配列番号:1〜75及び154〜162のいずれか1つのアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするmRNA分子である、請求項54に記載の方法。
【請求項61】
前記バイオマーカーが配列番号:76〜162のいずれか1つの核酸配列を含むRNA分子である、請求項54に記載の方法。
【請求項62】
前記方法がさらに、前記被験者にIBS治療を施す工程を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項63】
前記治療が、セロトニン作動薬、抗うつ剤、塩化物チャネル活性化剤、グアニル酸シクラーゼアゴニスト、抗生物質、オピオイド、ニューロキニンアンタゴニスト、鎮痙薬又は抗コリン作動薬、ベラドンナアルカロイド、バルビツール酸塩、それらの遊離塩基、それらの薬剤学的に許容することのできる塩、それらの誘導体、それらのアナログ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される薬剤の投与を含む、請求項62に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【公表番号】特表2013−511988(P2013−511988A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541207(P2012−541207)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/058099
【国際公開番号】WO2011/066458
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
2.ETHERNET
3.JAVA
4.JAVASCRIPT
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】