説明

過流量阻止弁の作動検査システム及び作動検査方法、並びにこれに用いる排水装置

【課題】過流量阻止弁の上流側圧力の高低に拘わらず、過流量阻止弁の作動検査を行うことができる過流量阻止弁の作動検査システム及び作動検査方法、並びにこれに用いる排水装置を提供する。
【解決手段】原子炉格納容器1に付設されたペネトレーション3の下流側の計装配管9に設けた過流量阻止弁13の作動検査を行う過流量阻止弁の作動検査システムにおいて、計装配管9における過流量阻止弁13の下流側に設けた検査用接続口24と、この検査用接続口24に接続する接続配管25と、これら検査用接続口24及び接続配管25を介し計装配管9に接続され、減圧調整して計装配管9から水を排水する排水装置26とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉格納容器に付設されたペネトレーションの下流側の計装配管に設けた過流量阻止弁に係わり、さらに詳しくは、過流量阻止弁が正常に作動するか否かを確認する作動検査を行う過流量阻止弁の作動検査システム及び作動検査方法、並びにこれに用いる排水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉格納容器に付設されたペネトレーションの下流側(言い換えれば、原子炉格納容器の外側)の計装配管には、隔離弁として元弁及び過流量阻止弁が設けられ、その下流側に圧力計及び差圧計等の計器が接続されている。過流量阻止弁は、例えば、ケーシングの弁室内に配置された弁体と、この弁体が弁座から離間する方向の弾性付勢力を付与するバネと、弁体が弁座に近接する方向の磁性付勢力を付与する磁体とを備えており、バネの弾性付勢力、磁体の磁性付勢力、及び流れる水の圧力の釣り合いによって弁体が移動するようになっている。そして、過流量阻止弁は、流れる水の圧力(言い換えれば、水が流れるための過流量阻止弁の前後差圧)が所定の設定圧力(例えば数十kPa程度)以上になると、弁体が弁座に着座して計装配管を遮断するようになっている。これにより、例えば計装配管及び計器等に漏洩事故が生じた場合、原子炉圧力容器及び原子炉格納容器内の配管からの水が外部に流出するのを防止するようになっている。
【0003】
また過流量阻止弁は、上述した作動時の漏洩量が厳しく規定されており、特にケーシングの弁室壁と弁体との隙間が非常に狭い構造となっているので、異物等が隙間に挟まって動作不良を起こす可能性がある。そこで、過流量阻止弁が正常に作動するか否かを確認する作動検査が定期的に行われている。この過流量阻止弁の作動検査は、過流量阻止弁の作動条件である上記差圧が十分に確保できるように、例えば過流量阻止弁の上流側に十分な水頭圧力を得ることができる原子炉圧力容器の耐圧試験時に行われていた。一般に原子炉圧力容器の耐圧試験は設備定期点検の終了間際に実施されており、過流量阻止弁の作動検査の実施時期も設備定期点検の終了間際に制約される。そのため、過流量阻止弁の動作不良を発見した場合、過流量阻止弁の分解点検等を行うために設備検査期間を延長しなければならない可能性があった。
【0004】
そこでこれに対応するため、ペネトレーション下流側の計装配管に設けた試験用元弁と、この試験用元弁に接続ホース等を介し接続され、計装配管内に給水して過流量阻止弁を開放させるとともに、計装配管内から水を排水して過流量阻止弁を閉鎖させる試験装置(給排水装置)とを備えた構成が提唱されている(例えば、特許文献1参照)。この試験装置は、前記接続ホースに切替弁を介し接続されたシリンダと、このシリンダ内を往復動するピストンと、このピストンの背面に連結されたピストンロッドと、モータと、このモータの回転動力を直線運動に変換してピストンロッドに伝達するクラッチ機構及びラックアンドピニオンと、ピストンを復動するための弾性付勢力を付与するバネと、シリンダ内に水を注水する配管及びこの配管に設けられた注水弁とを備えている。
【0005】
そして、上記試験装置を用いて過流量阻止弁の作動検査を行う場合、まず計装配管の試験用元弁に接続ホースを介し試験装置を接続し、この試験装置の切替弁を閉じ状態、ピストンを復動(後退)した状態としてシリンダ内に水を注水する。そして、シリンダ内が例えば満水となってから切替弁を開き状態とし、クラッチ機構を繋ぎピストンを往動(前進)することによりシリンダ内の水を計装配管内に注水し、これによって計装配管内の過流量阻止弁近傍の水をきれいな水に置換するようになっている。その後、クラッチ機構を開放すると、バネの弾性付勢力によってシリンダ内のピストンが急速に復動し、計装配管内の水がシリンダ内に吸引される。この吸引作用により過流量阻止弁の前後に差圧が生じ、その差圧が過流量阻止弁の作動条件である所定の設定圧力以上となるときに、過流量阻止弁が遮断状態に作動したか否かを開閉表示器等によって確認して検査するようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開平8−247899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術には以下のような改善の余地があった。
すなわち、上記試験装置においては、クラッチ機構を開放したときのバネの弾性付勢力によってピストンが急速に復動し、このとき生じる吸水力(言い換えれば、シリンダ内に生じる減圧)によって計装配管内の水を吸引するようになっている。そして、過流量阻止弁の前後には、その上流側圧力及び試験装置による吸水力に応じた差圧が生じるようになっていた。ここで、過流量阻止弁の上流側圧力は、過流量阻止弁の上流側水位及び計装配管の設置位置等に応じて変わるものの、上記試験装置による吸水力は、バネの弾性付勢力によって固定されている。そのため、上記従来技術では、例えば過流量阻止弁の上流側圧力が低い場合、試験装置による吸水力が不十分なために過流量阻止弁の前後差圧が作動条件の所定の設定圧力に達しない可能性があり、そのような場合には過流量阻止弁の上流側圧力が高くなる時期に上記作動検査を実施するか、若しくは過流量阻止弁を分解点検するしかなかった。かといって、過流量阻止弁の上流側圧力が低い場合でも上記作動検査が行えるように試験装置による吸水力を大きくすると、例えば過流量阻止弁の上流側圧力が高い場合等に必要以上の圧力が計装配管等に加わることとなり、計装配管の弁類等のシートリーク発生を心配しなければならなかった。
【0008】
本発明の目的は、過流量阻止弁の上流側圧力の高低に拘わらず、過流量阻止弁の作動検査を行うことができる過流量阻止弁の作動検査システム及び作動検査方法、並びにこれに用いる排水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するために、原子炉格納容器に付設されたペネトレーションの下流側の計装配管に設けた過流量阻止弁の作動検査を行う過流量阻止弁の作動検査システムにおいて、前記計装配管における前記過流量阻止弁の下流側に設けた接続手段と、この接続手段を介し前記計装配管に接続され、減圧調整して前記計装配管から水を排水する排水手段とを備える。
【0010】
本発明においては、計装配管における過流量阻止弁の下流側に接続手段を設け、この接続手段を介し計装配管に排水手段を接続する。排水手段は、例えば、接続手段を介し計装配管に接続したタンクと、このタンクに接続した真空ポンプと、計装配管からタンクへの管路を連通・遮断する開閉弁とを備える。そして、検査者が開閉弁を閉じ状態として真空ポンプによりタンク内を所望の圧力まで減圧調整し、開閉弁を開き状態に切り換えると、計装配管から接続手段及び開閉弁を介しタンク内に水が排水されるとともに、過流量阻止弁の前後にはその上流側圧力(例えば水頭圧力等)及びタンク内の減圧圧力に応じた差圧が生じる。このとき、検査者は、過流量阻止弁の前後に生じる差圧が作動条件である所定の設定圧力に達するように、過流量阻止弁の上流側圧力に応じてタンク内を減圧調整することができる。これにより、例えば過流量阻止弁の上流側圧力が低い場合は、そのぶんだげタンク内圧力が低くなるように減圧調整するので、過流量阻止弁の作動条件である上記差圧を確実に生じさせることができ、その際に過流量阻止弁が作動したか否かを開閉表示器等によって確認して検査することができる。また、例えば過流量阻止弁の上流側圧力が高い場合でも、過流量阻止弁に生じる差圧を上記所定の設定圧力程度とすることができ、必要以上の圧力が計装配管等に加わらず、計装配管の弁類等のシートリーク発生を低減することができる。以上のようにして本発明においては、過流量阻止弁の上流側圧力の高低に拘わらず、過流量阻止弁の作動検査を行うことができる。
【0011】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記排水手段は、前記接続手段を介し前記計装配管に接続したタンクと、このタンクに接続した真空ポンプと、前記計装配管から前記タンクへの管路を連通・遮断する開閉弁とを備える。
【0012】
(3)上記(2)において、好ましくは、前記タンク内の圧力を表示する圧力計を設ける。
【0013】
(4)上記目的を達成するために、また本発明は、原子炉格納容器に付設されたペネトレーションの下流側の計装配管に設けた過流量阻止弁の作動検査を行う過流量阻止弁の作動検査方法において、前記計装配管における前記過流量阻止弁の下流側に接続手段を介し排水手段を接続し、この排水手段で減圧調整して前記計装配管から水を排水し、その際に前記過流量阻止弁が作動したか否かを確認する。
【0014】
(5)上記目的を達成するために、また本発明は、原子炉格納容器に付設されたペネトレーションの下流側の計装配管における過流量阻止弁の下流側に接続手段を介し接続可能な排水装置であって、前記接続手段を介し前記計装配管に接続されるタンクと、このタンクに接続した真空ポンプと、前記計装配管から前記タンクへの管路を連通・遮断する開閉弁とを備える。
【0015】
(6)上記(5)において、好ましくは、前記タンク内の圧力を表示する圧力計を設ける。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、計装配管における過流量阻止弁の下流側に接続手段を介し接続された排水手段は、過流量阻止弁の上流側圧力に応じて減圧調整して計装配管から水を排水することができる。これにより、過流量阻止弁の上流側圧力の高低に拘わらず、過流量阻止弁の作動検査を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の過流量阻止弁作動検査システムの一実施形態を計装配管の全体構成とともに表す概略図である。なお、以降、図中に示す塗りつぶしの弁は閉じ状態を表し、白抜きの弁は開き状態を表すものとする。
【0018】
この図1において、原子炉格納容器1及び原子炉格納容器遮蔽体2を貫通するように付設されたペネトレーション3と、原子炉圧力容器4からペネトレーション3の上流側(図1中左側)に接続された計装配管5と、計装ラック6内に配設された例えば圧力計及び差圧計等の計器7と、ペネトレーション3の下流側(図1中右側)から計装ラック6内の計器7及びドレンヘッダ8に接続された計装配管9とが設けられている。
【0019】
計装配管9は、ペネトレーション4からドレンヘッダ8に接続された管路10と、この管路10から分岐され計器7に接続された計測用管路11とで構成されている。管路10には、元弁12、過流量阻止弁13、ラック入口弁14、ブロー弁15,16が下流側に向かってその順序で設けられており、計測用管路11は、管路10におけるラック入口弁14とブロー弁15との間で分岐されている。計測用管路11には、計器入口弁17が設けられ、この計器入口弁17と計器7との間には、計器校正用の計器テスト弁18が分岐接続されている。
【0020】
ドレンヘッダ8の一方側(図1中左側)には、ドレン弁19及びドレン配管20を介しドレン受口21が接続され、ドレンヘッダ8の他方側(図1中右側)には、水張り弁22及び水張り配管23を介し水張り装置(図示せず)が接続されている。
【0021】
過流量阻止弁13は、この種のものとして公知のものであり、例えば流れる水の圧力(言い換えれば、水が流れるための前後差圧)が所定の設定圧力(例えば数十kPa程度)以上になると、計装配管9の管路10を遮断するようになっている。なお、通常、元弁12、ラック入口弁14、計器入口弁17、及びドレン弁19は開き状態、計器テスト弁18、ブロー弁15,16、及び水張り弁22は閉じ状態である(後述の図2参照)。
【0022】
ここで本実施形態の大きな特徴として、例えば計装配管9の管路10における計測用管路11の分岐部とブロー弁15の間には、T字継手等によって検査用接続口24が設けられており、この検査用接続口24に接続配管25(例えば接続ホース等)を介し排水装置26が接続されるようになっている。なお、通常、計装配管9の検査用接続口24には、接続配管25に代えて、閉止プラグ27(後述の図2参照)が取り付けられるようになっている。
【0023】
排水装置26は、接続配管25が接続可能な接続ポート28と、この接続ポート28に管路29を介し接続されたタンク30と、管路29を連通・遮断する装置入口弁(開閉弁)31と、タンク30に管路32及びポンプ用仕切弁33を介し接続された真空ポンプ34と、管路32から分岐した管路35及び圧力計用仕切弁36を介し接続され、タンク30内の圧力を表示する圧力計37と、タンク30の下方側に接続された排出管路38と、このドレン管路38に設けた排出弁39とを備えている。
【0024】
そして、装置入口弁31及び排出弁39を閉じ状態、ポンプ用仕切弁33及び圧力計用仕切弁36を開き状態として、真空ポンプ34を駆動することにより、タンク30内の圧力が減圧されるようになっている。このとき、検査者は圧力計37でタンク30内の圧力を確認しながら真空ポンプ34を駆動・停止することにより、タンク30内が所望の圧力となるように減圧調整するようになっている。また、ポンプ用仕切弁33、圧力計用仕切弁36、及び排出弁39を閉じ状態、装置入口弁31を開き状態とすることにより、計装配管9内の水が検査用接続口24、接続配管25、接続ポート28、管路29、及び装置入口弁31を介しタンク30内に排水されるようになっている。その後、装置入口弁31、ポンプ用仕切弁33、及び圧力計用仕切弁36を閉じ状態、排出弁39を開き状態とすることにより、タンク30内の水が排出管路38及び排出弁39を介し回収容器等(図示せず)に排出されるようになっている。
【0025】
なお、上記において、検査用接続口24及び接続配管25は、特許請求の範囲記載の計装配管における過流量阻止弁の下流側に設けた接続手段を構成し、排水装置26は、接続手段を介し計装配管に接続され、減圧調整して計装配管から排水する排水手段を構成する。
【0026】
次に、本実施形態における過流量阻止弁の作動検査方法を図2及び図3、前述の図1により説明する。
【0027】
まず通常、計装配管9の検査用接続口24には閉止プラグ27が取り付けられており、計装配管9の元弁12、ラック入口弁14、計器入口弁17、及びドレン弁19が開き状態、計器テスト弁18、ブロー弁15,16、及び水張り弁22が閉じ状態となっている(図2参照)。そして、過流量阻止弁13の作動検査を行うことを目的として、検査者は計装配管9の検査用接続口24から閉止プラグ27を取り外し、検査用接続口24に接続配管25を介し排水装置26を接続する(図1参照)。このとき、排水装置26におけるポンプ用仕切弁33及び圧力計用仕切弁36は開き状態、装置入口弁31及び排出弁39は閉じ状態である。また、計器7を保護するために、検査者は計装配管9の計器入口弁17を閉じ状態、計器テスト弁18を開き状態に切り換える。
【0028】
そして、検査者は排水装置26の装置入口弁31を閉じ状態としたまま、真空ポンプ34を駆動してタンク30内を減圧する。その後、検査者はタンク30内が所望の圧力となるのを圧力計37で確認したら真空ポンプ34を停止し、ポンプ用仕切弁33及び圧力計用仕切弁36を閉じ状態に切り換える。そして、また、検査者は排水装置26のポンプ用仕切弁33及び圧力計用仕切弁36を閉じ状態に切り換え、さらに装置入口弁31を開き状態に切り換えると(図3参照)、計装配管9からの水が接続配管25及び装置入口弁31等を介しタンク30内に排水されるとともに、過流量阻止弁13の前後にはその上流側圧力(例えば水頭圧力等)及びタンク30内の減圧圧力に応じた差圧が生じる。その際に、検査者は過流量阻止弁13が遮断状態に作動したか否かを開閉表示器等(図示せず)によって確認して検査する。
【0029】
過流量阻止弁13の作動検査の終了後、検査者は排水装置26の装置入口弁31及び計装配管9のラック入口弁14を閉じ状態に切り換え、計装配管9の検査用接続口24から接続配管25を取り外し、検査用接続口24に閉止プラグ27を取り付ける。そして、計装配管9の水張りを行うことを意図して、まず検査者は計器テスト弁18を閉じ状態、計器入口弁17及びラック入口弁14を開き状態に切り換える。その後、検査者はドレン弁19を閉じ状態に切り換え、さらに水張り弁22及びブロー弁15,16を開き状態に切り換えて、水張り装置により計装配管9の水張りを行う。計装配管9の水張り終了後、検査者は水張り弁22及びブロー弁15,16を閉じ状態に切り換え、さらにドレン弁19を開き状態に切り換える(図2に示す状態に戻る)。
【0030】
以上のように本実施形態においては、排水装置26の装置入口弁31を開き状態に切り換えたとき、過流量阻止弁13の前後に生じる差圧が作動条件である所定の設定圧力に達するように、過流量阻止弁13の上流側圧力に応じて排水装置26のタンク30内を減圧調整することができる。これにより、例えば過流量阻止弁13の上流側圧力が低い場合は、そのぶんだげタンク30内圧力が低くなるように減圧調整するので、過流量阻止弁13の作動条件である上記差圧を確実に生じさせることができ、その際に過流量阻止弁13が作動したか否かを確認して検査することができる。また、例えば過流量阻止弁13の上流側圧力が高い場合でも、過流量阻止弁13の前後差圧を上記所定の設定圧力程度とすることができ、必要以上の圧力が計装配管9等に加わらず、計装配管9の弁類等(例えば元弁12、ラック入口弁14、計器入口弁17、ブロー弁15等)のシートリーク発生を低減することができる。したがって、本実施形態においては、過流量阻止弁13の上流側圧力の高低に拘わらず、過流量阻止弁13の作動検査を行うことができる。したがって、過流量阻止弁13の作動検査を任意の時期に行うことができる。
【0031】
ところで、過流量阻止弁13の作動検査の開始前に計装配管9内の過流量阻止弁13近傍の水をきれいな水に置換することを目的として、例えば、給水タンクと、この給水タンクに注水する注水手段と、給水タンク内の水を計装配管9に給水する給水手段とを設ける場合を想定する。このような場合は、様々な計装配管9の容量に対応するために給水タンクの容量を比較的大きくする必要が生じ、給水タンク等を備えた装置全体が大型化して、その持ち運び労力が増大することが容易に思科される。特に、過流量阻止弁13の設置数は、各発電設備の出力によって異なるものの、平均約80台以上と膨大な数である。本実施形態の排水装置26においては、上述の給水タンク等を設けず、また計装配管9からの水が流入するタンク30の容量は過流量阻止弁13の作動応答を考慮した大きさで十分に足りるため、排水装置26全体を小型化することができ、その持ち運び労力を軽減することができる。なお、実際として、計器7の校正作業後は計装配管9内の水がきれいな水に置換されるので、その後に上述した過流量阻止弁13の作動検査を行うのであれば十分である。また、本実施形態の排水装置26は、タンク30及び真空ポンプ34等の既製部品で構成することが可能であり、低コスト化を図ることもできる。
【0032】
なお、上記一実施形態においては、排水装置26は、タンク30内の圧力を検査者が圧力計37で確認しながら真空ポンプ34を駆動・停止するような構成を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち例えば、タンク30内の所望の圧力を設定入力する入力手段と、タンク30内の圧力を検出する圧力センサと、設定入力手段からの入力信号及び圧力センサからの検出信号に応じて真空ポンプを駆動制御するコントローラとを備えた構成としてもよい。このような場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【0033】
また、上記一実施形態においては、計装配管9の検査用接続口24は、管路10における計測用管路11の分岐部とブロー弁15との間に設けた場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、計装配管9の検査用接続口24は、圧力損失の観点から過流量阻止弁13に近づけて設けるほうが好ましく、例えば管路10におけるラック入口弁14の上流側に設けてもよい。この場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の過流量阻止弁作動検査システムの一実施形態を計装配管の全体構成とともに表す概略図である。
【図2】本発明の過流量阻止弁の作動検査方法の一実施形態を説明するための概略図であり、計装配管に排水装置が接続されていない状態を表す。
【図3】本発明の過流量阻止弁の作動検査方法の一実施形態を説明するための概略図であり、計装配管からの水が排水装置に排水される状態を表す。
【符号の説明】
【0035】
1 原子炉格納容器
3 ペネトレーション
9 計装配管
13 過流量阻止弁
24 検査用接続口(接続手段)
25 接続配管(接続手段)
26 排水装置(排水手段)
30 タンク
31 装置入口弁(開閉弁)
34 真空ポンプ
37 圧力計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉格納容器に付設されたペネトレーションの下流側の計装配管に設けた過流量阻止弁の作動検査を行う過流量阻止弁の作動検査システムにおいて、
前記計装配管における前記過流量阻止弁の下流側に設けた接続手段と、
この接続手段を介し前記計装配管に接続され、減圧調整して前記計装配管から水を排水する排水手段とを備えたことを特徴とする過流量阻止弁の作動検査システム。
【請求項2】
請求項1記載の過流量阻止弁の作動検査システムにおいて、前記排水手段は、前記接続手段を介し前記計装配管に接続したタンクと、このタンクに接続した真空ポンプと、前記計装配管から前記タンクへの管路を連通・遮断する開閉弁とを備えたことを特徴とする過流量阻止弁の作動検査システム。
【請求項3】
請求項2記載の過流量阻止弁の作動検査システムにおいて、前記タンク内の圧力を表示する圧力計を設けたことを特徴とする過流量阻止弁の作動検査システム。
【請求項4】
原子炉格納容器に付設されたペネトレーションの下流側の計装配管に設けた過流量阻止弁の作動検査を行う過流量阻止弁の作動検査方法において、
前記計装配管における前記過流量阻止弁の下流側に接続手段を介し排水手段を接続し、この排水手段で減圧調整して前記計装配管から水を排水し、その際に前記過流量阻止弁が作動したか否かを確認することを特徴とする過流量阻止弁の作動検査方法。
【請求項5】
原子炉格納容器に付設されたペネトレーションの下流側の計装配管における過流量阻止弁の下流側に接続手段を介し接続可能な排水装置であって、
前記接続手段を介し前記計装配管に接続されるタンクと、このタンクに接続した真空ポンプと、前記計装配管から前記タンクへの管路を連通・遮断する開閉弁とを備えたことを特徴とする排水装置。
【請求項6】
請求項5記載の排水装置において、前記タンク内の圧力を表示する圧力計を設けたことを特徴とする排水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−226947(P2006−226947A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−43837(P2005−43837)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】