過熱検知ユニットおよび酸素濃縮装置
【課題】温度検出センサに対する電流供給量を削減して、酸素濃縮装置に装着してより長い期間動作させることができる過熱検知ユニットおよび酸素濃縮装置を提供する。
【解決手段】温度検出センサ453から得られる酸素出口部の温度が予め定めた温度以上であると、閉塞構造部を動作させて酸素の供給を遮断させる制御部450を有し、この制御部450は、温度検出センサ453からの温度検出信号をA/D変換する動作時に温度検出センサ453に電流を供給するためにオン状態になり、A/D変換する動作以外の時には温度検出センサには電流を供給しないようにオフ状態になるスイッチ702を有する。
【解決手段】温度検出センサ453から得られる酸素出口部の温度が予め定めた温度以上であると、閉塞構造部を動作させて酸素の供給を遮断させる制御部450を有し、この制御部450は、温度検出センサ453からの温度検出信号をA/D変換する動作時に温度検出センサ453に電流を供給するためにオン状態になり、A/D変換する動作以外の時には温度検出センサには電流を供給しないようにオフ状態になるスイッチ702を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素濃縮装置とカニューラとの間に装着することで、火災等の異常な高温環境下にさらされた時に、酸素濃縮装置への延焼やこの装置自体の火災等を防止する過熱検知ユニットおよび酸素濃縮装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酸素濃縮装置には、取り込んだ原料空気をコンプレッサで圧縮して圧縮空気を発生して、吸着剤を内蔵した吸着筒に対してこの圧縮空気を供給することで該吸着剤に窒素を吸着させ酸素を生成する吸着型酸素濃縮装置や酸素透過係数が窒素透過係数よりも大きい高分子膜である酸素選択透過膜を用いた膜分離型酸素濃縮装置がある。吸着型酸素濃縮装置では主に窒素を吸着する吸着剤の一例として、ゼオライトが用いられる。
【0003】
また、酸素選択透過性膜型では、例えば、ポリジメチルシロキサン−ポリカーボネート共重合体、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリフェニレンオキサイド、ポルフィリン錯体含有膜などが用いられる。そして、90%以上に濃縮された酸素はタンクに貯めておき、減圧弁や流量設定器を介してタンクから所定流量の酸素を供給可能な状態にすることで、使用者は鼻カニューラ等の器具を用いて酸素吸入ができる。この酸素濃縮装置は、AC電源(商用交流電源)の利用できる場所に設置しておけば、例えば肺機能が低下した在宅酸素療法使用者が、就寝中でも安全に酸素を吸うことができるようになり安眠できる。
【0004】
また、慢性気管支炎等の呼吸器疾患の使用者の治療法として有効となる長期酸素吸入療法に使用される酸素濃縮装置は、一般的には可搬型ではなく、使用者が外出先に持ち出るようには構成されていない。
また、鼻カニューラに感温センサを設けて、50℃になれば濃縮酸素の発生を停止する酸素濃縮装置も提案されている(特許文献1を参照)。
これにより、例えば、タバコの火が鼻カニューラに着火することを原因として、火災事故につながる危険等を未然に防止しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−183544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の酸素濃縮装置では、鼻カニューラの途中に温度感知センサを配置して、その検出信号により酸素の供給を止めるというだけの構成であるが、該文献に記載の摂氏50度付近で酸素供給を停止するというきわめて単純な仕組みでは、例えば酸素濃縮装置を使用している室内に暖房機があり、その輻射熱が当たっただけで酸素供給を遮断してしまったり、夏季の密室等において、酸素濃縮装置が置かれた環境温度が上昇すると、それだけで酸素濃縮装置が動作しない恐れがあり、使い勝手に乏しく実用性が低い。このため、本発明者らは、酸素濃縮装置とカニューラとの間に後付けで過熱検知ユニットを装着することを提案している。この過熱検知ユニットは、使用者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に、火災や異常な高温環境にさらされた場合に、確実に高温環境を検知して酸素の供給を遮断できるので、安全性を確保することができる。
【0007】
ところが、後付けの過熱検知ユニットは、周囲温度を検出するための温度検出センサと内蔵電池を有しており、内蔵電池は温度検出センサに対して、常時電流供給する必要がある。このため、内蔵電池がこの温度検出センサに常時電流供給を行うと、温度検出センサにはわずかな電流を流してずっと消費続けるので、大きな電流容量が必要となってしまう。この内蔵電池は、温度検出センサの他に動作確認用のランプの点灯等にも電流供給する必要があるので、温度検出センサに対する電流供給量をできるだけ少なくしたいという要望がある。また、後付けの過熱検知ユニットは、酸素濃縮装置に対して装着したままで内蔵電池の交換をせずにできる限り長い期間動作させたいという要望もある。
そこで、本発明は、温度検出センサに対する電流供給量を削減して、酸素濃縮装置に装着してより長い期間動作させることができる過熱検知ユニットおよび酸素濃縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の過熱検知ユニットは、原料空気から濃縮酸素を生成し、前記濃縮酸素を取り出す酸素出口を有する酸素濃縮装置の前記酸素出口とカプラソケットを有する鼻カニューラとの間もしくは前記酸素出口と前記鼻カニューラと接続されるチューブの一端に設けられたカプラソケットとの間に配置されて、過熱状態を検知する過熱検知ユニットであって、前記酸素出口に接続される連結部材と、前記カプラソケットに接続されるカプラソケット用の酸素出口部を有する本体部と、前記本体部を覆う筐体とを備え、前記本体部は、前記酸素出口部の温度を検出する温度検出センサと、前記連結部材と前記カプラソケット用の酸素出口部との通路を閉塞して酸素の供給を遮断する閉塞構造部と、前記温度検出センサから得られる前記酸素出口部の温度が予め定めた温度以上であると、前記閉塞構造部を動作させて前記酸素の供給を遮断させる制御部とを有し、前記制御部は、前記温度検出センサからの電圧をA/D変換する動作時に前記温度検出センサに電流を供給するためにオン状態になり、前記A/D変換する動作以外の時には前記温度検出センサには電流を供給しないようにオフ状態になるスイッチを有することを特徴とする。
上記構成によれば、制御部は、温度検出センサからの温度検出信号をA/D変換する動作時に温度検出センサに電流を供給するためにスイッチをオン状態にし、A/D変換する動作以外の時には温度検出センサには電流を供給しないようスイッチをオフ状態にすることができるので、温度検出センサに対して常時通電する必要が無くなり、温度検出センサに対する電流供給量を削減して、酸素濃縮装置に装着してより長い期間動作させることができる。
【0009】
好ましくは、前記温度検出センサは前記カプラソケット用の酸素出口部に配置され、前記温度検出センサと直列に接続された直列抵抗を有し、前記制御部では、前記直列抵抗による分圧電圧を測定して前記温度検出センサの抵抗値から前記酸素出口部の温度を割り出すことを特徴とする。
上記構成によれば、A/D変換する動作以外の時には、温度検出センサだけでなく直列抵抗にも電流を供給する必要が無いので、電流供給量を削減できる。
【0010】
好ましくは、前記温度検出センサは、サーミスタであることを特徴とする。
上記構成によれば、価格の安いサーミスタを用いる場合でも、A/D変換する動作以外の時には、サーミスタだけでなく直列抵抗にも電流を供給する必要が無いので、電流供給量を削減できる。
【0011】
好ましくは、前記閉塞構造部は、前記連結部材と前記カプラソケット用の酸素出口部の間を接続している弾性変形するチューブを押すことで酸素の供給を遮断する閉塞部材を有することを特徴とする。
上記構成によれば、閉塞部材は、チューブを押すだけで酸素の供給を確実に遮断できる。
【0012】
本発明の酸素濃縮装置は、原料空気を圧縮して圧縮空気を発生する圧縮空気発生部と、前記圧縮空気から得られる酸素を取り出す酸素出口を有する前記過熱検知ユニットを備える。
上記構成によれば、制御部は、温度検出センサからの温度検出信号をA/D変換する動作時に温度検出センサに電流を供給するためにスイッチをオン状態にし、A/D変換する動作以外の時には温度検出センサには電流を供給しないようスイッチをオフ状態にすることができるので、温度検出センサに対して常時通電する必要が無くなり、温度検出センサに対する電流供給量を削減して酸素濃縮装置に装着して、より長い期間動作させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、温度検出センサに対する電流供給量を削減して、酸素濃縮装置に装着してより長い期間動作させることができる過熱検知ユニットおよび酸素濃縮装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の酸素濃縮装置の好ましい実施形態を示す外観斜視図。
【図2】図1の酸素濃縮装置の操作パネルを示す平面図。
【図3】酸素濃縮装置の内部構成を示すために背面側から見た立体分解図。
【図4】酸素濃縮装置の系統図。
【図5】酸素濃縮装置の操作パネルと、過熱検知ユニットを示す斜視図。
【図6】図6(A)は、操作パネルを示す斜視図であり、図6(B)は、操作パネルを示す平面図。
【図7】過熱検知ユニットを示す斜視図。
【図8】図6(B)に示す過熱検知ユニットと操作パネルのC−C線における断面図。
【図9】本体部を示す斜視図。
【図10】過熱検知ユニットを示す図。
【図11】保護カバーの構造と電池の交換構造を示す斜視図。
【図12】チューブ閉塞構造部を含む本体部を示す図。
【図13】本体部のチューブがカムにより押されておらず開放されている状態を示す図。
【図14】本体部のチューブがカムにより押されて閉塞されている状態を示す図。
【図15】電池の電気接点とサーミスタの設定位置を示す図。
【図16】電気回路を示す図。
【図17】図16に示すサーミスタを含む過熱検知ユニットの温度測定ブロックを、さらに詳しく示している図。
【図18】図16と図17に示す制御部内部の全体動作例を示すフローチャートを示す図。
【図19】制御部内部の全体動作のタイムチャートを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0016】
図1は、本発明の酸素濃縮装置の好ましい実施形態を示す外観斜視図であり、図2は、図1の酸素濃縮装置の操作パネルを示す平面図である。
図1に示す酸素濃縮装置10は、圧力スイング吸着型酸素濃縮装置の例であり、たとえば、上端に取っ手となるハンドル12を設けた縦長の本体ケース11を備えている。本体ケース11の上端付近には、操作パネル13がやや前方に傾斜して設けられている。操作パネル13には、左から順に、ダイヤル式の電源スイッチ14と、酸素出口15と、酸素流量設定スイッチ16と、例えば、LEDまたは液晶表示等によりセグメント数字で表示を行う酸素流量表示部18が配置されている。
【0017】
図1と図2に示すように、操作パネル13の中央位置には、段差部分15Dが形成されている。この段差部分15Dは円形状の窪み部分であり、段差部分15Dは、平坦な円形状の底部15Fと、内周部分15Cを有している。段差部分15Dの表面側の直径は底部15F側の直径より大きくなっている。この酸素出口15は、段差部分15Dの底部15Fの中央位置において、底部15Fに対して垂直に向けて突出して設けられている。酸素出口15は、例えば熱伝導率の高いさびにくい金属材料、好ましくは銅合金やアルミニウム合金等により作られている。
このように段差部分15Dが操作パネル13に形成されていることにより、酸素出口15が、操作パネル13の表面部から突出して設けられているのに比べて、酸素出口15を段差部分15D内に位置させることができるとともに、図1に示す過熱検知ユニット300の一部分を正確に位置決めしてはめ込むようにして着脱可能に取り付けることができる。過熱検知ユニット300は、過熱検知アダプタと呼ぶことができる。
【0018】
図1に示す過熱検知ユニット300は、酸素濃縮装置10の酸素出口15と、接続部を構成するカプラソケット23をその一端に有している鼻カニューラ22との間に着脱可能に接続し、装着することで、使用者が鼻カニューラ22を用いて酸素を吸入している際に、火災や異常な高温環境にさらされた場合に、確実に高温環境を検知して、安全性を確保することができるようにするために用いられる。
図1では、この過熱検知ユニット300は、酸素出口15の上方に離して示されている。この過熱検知ユニット300の一部分である保護カバー303(図6,図7等参照)が、段差部分15D内にはめ込まれて、段差部分15Dの内周部分15Cと底部15Fに密着するように、着脱可能に取り付けられるようになっている。後で説明するが、このように保護カバー303が、段差部分15D内がはめ込まれて固定された状態では、過熱検知ユニット300は、酸素濃縮装置10の酸素出口15と鼻カニューラ22のカプラソケット23の開口部とを連通するようにして、酸素出口15とカプラソケット23に対して接続できる。
【0019】
図1に示す本体ケース11の底蓋26には、4つのゴム足27が四隅に固定されており、床面上に設置して使用するときに横滑りを防止している。外出時等の移動時に使用するキャリア25が、2本の固定ネジで底蓋26に対して固定できる。このキャリア25には、上記の各ゴム足27を収容できる孔部が対応位置に穿設されるとともに、四隅に樹脂製の自在キャスタが配置されている。
【0020】
図2は、図1に示す操作パネル13を拡大して示している。
図2に示す電源スイッチ14は、図示のオフ位置と約90度分時計周りに回転したオン位置との間で操作される。この電源スイッチ14のオン位置に相当する位置には、緑と赤に点灯する例えば発光LED等を内蔵した運転状態ランプ14Rが設けられている。また、この運転状態ランプの上にはバッテリ残量モニタ14Aが設けられている。
中央の酸素出口15の上には「点検」の文字またはこれに相当するキャラクター表示等を横に印刷した警報表示部15Aが配置され、この警報表示部15Aの下方には緑と赤と黄色とに点灯する例えば発光LEDを内蔵した酸素ランプ15Lが設けられている。この酸素ランプ15Lは、酸素出口15から酸素が出ていることを点灯表示するものであり、図2の例では、段差部分15Dに沿ってほぼ扇状に形成されている。
【0021】
図2に示す酸素流量設定スイッチ16は、上下矢印を印刷したフラットスイッチ16a,16bとして設けられている。この酸素流量設定スイッチ16は、90%程度以上に濃縮された酸素を、例えば毎分当たり0.25L(リットル)から最大で5Lまで0.25L段階または0.5L段階で押圧操作する度に酸素流量が設定できるように構成されており、上方の酸素流量表示部18で、その時の流量設定値を表示することにより、酸素生成能力を変えることが可能である。同調ランプ19は、濃縮酸素を呼吸同調により断続供給状態で運転中であることを点灯または点滅表示により使用者に知らせるために設けられている。
【0022】
図3は、酸素濃縮装置10の内部構成を示すために、背面側から見た立体分解図である。図3に示すように、樹脂製の底蓋26には、下方より上記のゴム足27が四隅に固定されている。底蓋26は、樹脂製のベース体40の底面に対して複数の固定ネジを用いて固定されている。
このベース体40は、四面から下方に向けて連続形成された壁面を一体成形した箱状に成形されており、裏面の壁面上には、各コネクタ131、130が固定されている。図1のケース本体11に設けた図示しない裏面カバーの各排気口に対向するとともに内部の電源室に連通する排気口40c、40cが図3に示すように穿設されており、これらの排気口40cを介して最終的な外部排気が行われる。このベース体40の上面は、図示のように平らに形成されるとともに、ベース体40の上面には、二段式防音室34の左右面と裏面の三方側から固定ネジで固定するための孔部を穿設した起立部40fが3方から一体成形されている。また、ベース体40の上面には、電源室に連通した排気用開口部40bをさらに穿設している。
【0023】
図3に示す二段式防音室34は、図面の手前側の側方から出し入れ可能な上段部材36上に2個の送風ファン104を固定し、同じく側方から出し入れ可能な下段部材37上に設けた圧縮空気発生部としてのコンプレッサ105を防振状態で配設した密閉箱35として軽量金属板から構成されている。
この二段式防音室34は、図示のように手前側に示した防音室蓋39と奥側に示した防音室蓋38を、図示のように複数の固定ネジで固定するようにしている。この二段式防音室34の内部には防音材51が敷設される。また、外周面には制振部材であって、合成ゴムと特殊樹脂材料を混合した素材をシート状のものが敷設されており、アルミの薄板製である二段式防音室34自体が共鳴などで振動しない。
【0024】
図3に示す二段式防音室34の上段部材36の上方の左右の側壁面には、実線で図示の第1開口部35a(破線図示)が穿設されており、外気を内部に導入するように構成されている。この上段部材36には、図4で説明する配管24を、ラバーブッシュを介して固定するための複数の固定孔36hが穿設されており、配管24を支持するとともに振動防振機能をラバーブッシュと協働して行うように構成されている。
また、各送風ファン104は、例えば、インバータ制御のシロッコファンを用いることができる。各送風ファン104は、それぞれの送風口が下方に向くようにしてブラケットを用いて上段部材36に固定されている。この各送風ファン104の間には、図4に示す三方向切換弁109a,109b等が配置されている。各送風ファン104には、ファン回転検出部126が設けられている。
図3に示す二段式防音室34の左側の側壁面には、筒状の吸着筒体108a、108bが、吸気用バッファタンク101と並べて配置されており、側壁面に固定された固定具49kにバンド49を通過後にバンド49を締め上げることで固定されている。このとき、吸着筒体108a、108bは、ベース体40の上面に載るが、全長の長いバッファタンク101は開口部40d中に一部が挿入されて固定される。
【0025】
図3に示す製品タンク111は、ブロー成形されるポリプロピレン樹脂製であって図示のように長手方向に横たえて上方に配置される。遮蔽板32も軽量化のために樹脂製であり、スピーカ23と外部コネクタ133を設けており、二段式防音室34の上方の外壁面に対して固定ネジを用いて固定される補強を兼ねた取り付け部を一体成形している。また、二段式防音室34の上方の壁面には、放熱部材52、53が固定ネジで固定されるとともに、酸素濃縮装置10の全動作行程において各種判断を行なう判断手段及び全動作行程を制御する制御部としての機能を有する中央制御部200(後述するCPUを含む基板)、モータ制御部を含む基板201他が起立状態で固定されており、放熱効果を高めている。二段式防音室34の右側の側壁面には、酸素センサ114と比例開度弁115と圧力調整器112と流量センサ116とデマンド弁117と回路基板202と温度センサ125が固定されている。
【0026】
図4は、酸素濃縮装置10の系統図(配管図)である。
図4において、二重線は、空気、酸素、窒素ガスの流路であり概ね配管24a〜24gで示されている。また、細い実線は電源供給または電気信号の配線を示している。
以下の説明では、コンプレッサ105として圧縮手段(圧縮空気発生部)と減圧手段(負圧発生部)を一体化構成したものを用いる場合について述べる。しかしながら、この構成に限定されず圧縮空気発生部と負圧発生部を個別に構成しても良いことは言うまでもない。吸気口を介して内部に外気を導入し、排気口2cを介して外部に排出する表面カバーと裏面カバー(ケース本体11の一部)は、密閉容器として図4では破線で図示されている。
【0027】
図4において、導入空気の流れに沿って順次述べる。
空気(外気)が、フィルタ交換用蓋体に内蔵された外気導入用フィルタ20を通過して酸素濃縮装置10の内部に矢印F方向に導入される。この空気は、一対の送風ファン104、104による送風により二段式防音室34内に入る。上述したように、二段式防音室34では、上段部材上に送風ファン104、104を配設し、下段部材にコンプレッサ105を防振状態で配設した二段式防音室34(破線図示の)側面に穿設された開口部を介して二段式防音室34内に空気が入る。この空気の一部をコンプレッサ105の圧縮手段105aに対して原料空気として供給するために、配管24aの開口部が二段式防音室34内に設けられており、配管24aの途中には二次濾過を行う吸気フィルタ101と大容量の吸気マフラ102とが設けられている。このように構成することで、原料空気の吸気音が二段式防音室34内に留まるようにして吸気音を低減している。
【0028】
図4に示す二段式防音室34の内部には、原料空気を圧縮して圧縮空気を発生する圧縮手段105aと、減圧手段105bとを好ましくは一体構成したコンプレッサ105が防振状態で固定されている。このコンプレッサ105に近接して、温度的環境がほぼ同一の箇所に温度センサ125が配置されている(あわせて図3参照)。
次に、濾過された原料空気は、コンプレッサ105の圧縮手段105aで加圧されて圧縮空気となるが、この時に圧縮空気は温度上昇した状態で配管24cに送り出されるので、この配管24cを放熱効果に優れた軽量の金属パイプとし、送風ファン104からの送風で冷却すると良い。このように圧縮空気を冷却することで高温では機能低下する吸着剤であるゼオライトが窒素の吸着により酸素を生成するための吸着剤として、十分に酸素を90%程度以上に濃縮できる。
【0029】
圧縮空気は、配管24cを介して吸着部としての第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bに対して交互に供給される。このため切換弁(三方向切換弁)109a、109bが図示のように接続されている。これらの切換弁109a、109bと、さらに第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bの不要ガスを脱離させるため(パージ(浄化)を行うため)に、減圧手段105bに連通する配管24fには、負圧破壊第1弁120と負圧破壊第2弁(圧調整弁)121が直列に複数(少なくとも2つ)配置されている。これらの負圧破壊第1弁120と負圧破壊第2弁(圧調整弁)121を開くことで、配管24f内の圧力を均圧工程時には大気圧付近まで、所定流量以下では圧力コントロールすることでコンプレッサの振動抑制と低電量化を図っている。
【0030】
図4に示す第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内に夫々貯蔵されている触媒吸着剤の一例としては、ゼオライトが用いられている。
一方、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bの上方の出口側には逆止弁と、絞り弁と開閉弁とからなる均等圧弁107が分岐接続されている。また、均等圧弁107の下流側は合流するように配管24dが成されており、分離生成された90%程度以上の濃度の酸素を貯蔵するための容器となる製品タンク111が図示のように配管されている。また、各第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内の圧力を検出する圧力センサ208が図示のように配管される。
【0031】
図4に示す製品タンク111の下流側の配管24eには、出口側の酸素の圧力を一定に自動調整する圧力調整器112が配管されている。この圧力調整器112の下流側には、ジルコニア式あるいは超音波式の酸素(濃度)センサ114が接続されており、酸素濃度の検出を間欠(10〜30分毎)または連続で行うようにしている。この下流側には、上記の酸素流量設定スイッチ16に連動して開閉する比例開度弁115が接続されており、その下流側には酸素流量センサ116が接続されている。このセンサ116の下流には、呼吸同調制御のための負圧回路基板を介してデマンド弁117が接続されており、滅菌フィルタ119を経て、酸素濃縮装置10の酸素出口15に対して接続されている。
以上の構成により、使用者は、過熱検知ユニット300と鼻カニューレ22等を経て、最大流量5L/分で約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能になる。
【0032】
次に、図4に示す電源系統を説明する。
図4に示すAC電源のコネクタ130は、AC(商用交流)電源を所定直流電圧に整流するスイッチングレギュレータ式のACユニット19に接続される。電源系統は、装置本体に内蔵される内蔵バッテリ228と、コネクタ131を介して着脱自在可能に設けられる外部バッテリ227と、電源制御回路226から構成されている。
内蔵バッテリ228および外部バッテリ227は繰り返し充電可能な2次電池であり、内蔵バッテリ228は電源制御回路226からの電力供給を受けて充電される。なお、少なくとも内蔵バッテリ228は、少なくとも500回(数100回程度)程度の繰り返し充放電が可能で、バッテリ残量、使用充放電サイクル数、劣化程度、出力電圧等のマネジメント機能を有するものが使用され、バッテリ残量、残充電容量、充放電回数を外部の携帯端末などで確認可能なマネジメント機能を有するものが好ましい。
【0033】
外部バッテリ227は、コネクタ131を介する接続状態において、電源制御回路226からの電力供給を受けて充電することもできるが、通常は別途準備されるバッテリチャージャーを用いて繰り返し充電される。または、専用設計されたバッテリチャージャーを一体化した外部バッテリ227として準備しても良い。
以上の電源系統の構成において、酸素濃縮装置10は,ACユニット19からの電力供給を受けて作動する第1電力供給状態と、内蔵バッテリ228からの電力供給を受けて作動する第2電力供給状態と、外部バッテリ227からの電力供給を受けて作動する第3電力供給状態との3系統の電力供給状態の内の一つに自動切換えされて使用される。
この自動切換えのための優先順位は,上記の第1電力供給状態、第3電力供給状態、第2電力供給状態の順序で自動決定するように中央制御部200により電源制御回路226が制御される。
【0034】
ACユニット19は,周波数の違いの影響および電圧の変動を受けずに所定直流電圧を発生することが可能であり、かつまた小型軽量に構成できるスイッチングレギュレータ式が良いが、通常のトランス式でも良い。
また、酸素濃縮装置100の中央制御部200は、生成する酸素量に応じた、最適な動作モードに切り替える機能を備えており、自動的にコンプレッサ105、送風ファン104を、多くの酸素生成をする場合は高速に、少ない酸素生成時において低速に回転駆動する制御を行うことで特に、内蔵バッテリ228を温存させるようにしている。この結果、外部バッテリ227を充電し忘れた場合であっても突然の外出時や停電時等の対応が可能になるように配慮されている。
【0035】
中央制御部200には,コンプレッサ105の直流モータおよび送風ファン104のモータの駆動制御を夫々行うモータ制御部201および上記のスピーカ23Sに接続されることで音声内容を発生する音声制御部203が接続されている。
中央制御部200には、所定動作プログラムを記憶したROMが内蔵されるとともに、記憶装置210と揮発メモリ205と一時記憶装置206とリアルタイムクロック207とがさらに接続されており、酸素濃縮装置100全体を制御するものであり、中央制御部200は外部コネクタ133を介して通信回線などと接続することで記憶内容へのアクセスが可能となる。
【0036】
流量制御部202が、中央制御部200に接続されている。流量制御部202は、上記の三方向切換弁109a、109bと均等圧弁107と、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内の不要ガスを脱離させるための負圧発生部105bと配管24f内の圧力を制御するための負圧破壊第1弁120と負圧破壊第2弁121と酸素濃度センサ114と比例開度弁115と、流量センサ116とデマンド弁117を駆動制御する。
【0037】
可変速度制御手段である可変速度制御器をモータ制御部201に備えることにより、使用者の活動レベル、環境条件に基づいてコンプレッサ105の速度を自在に変化させることができる。この結果、使用者が座ったり、寝たりしている等、使用者の酸素要求が比較的低いことがデマンド弁117によって呼吸同調により判断されると、コンプレッサ105の駆動回転速度を自動的に落とすことができる。また、使用者が立ったり、活動的であったり、酸素濃度の低い高地にいるときなど、使用者の酸素要求が比較的高く、酸素要求量が高まったと判断されると速度を自動的に高めることができる。
【0038】
以上のモータ制御によって酸素濃縮装置10全体の消費電力が低減され、充電式バッテリでの駆動時の寿命を延ばすことが可能になるとともに、充電式バッテリの重量と大きさを軽減し、コンプレッサ105の摩耗度を低めて寿命を延ばすことで信頼性を向上できる。このコンプレッサ105は、上記のように圧縮空気発生と負圧発生の両方の機能を備えるものであり、取り出される酸素流量に応じて回転数が自動制御される。
【0039】
ここで、冷却ファンである送風ファン104を駆動するファンモータは、例えばパルス幅変調(PWM)により電圧を制御して所望の回転数制御を行う。これにより、ファンモータの回転数制御を容易に行うことができる。
【0040】
次に、図5と図6を参照して、酸素濃縮装置10の操作パネル13と、この操作パネル13に対して着脱可能に後付けされる過熱検知ユニット300について説明する。
図5は、酸素濃縮装置10の操作パネル13と、過熱検知ユニット300を示す斜視図である。図6(A)は、操作パネル13を示す斜視図であり、図6(B)は、操作パネル13を示す平面図である。
図2に示す操作パネル13の段差部分15Dには、過熱検知ユニット300は装着されていないが、図5と図6では、操作パネル13の段差部分15Dに過熱検知ユニット300が装着されている様子を示している。
図5と図6に示すように、過熱検知ユニット300の下部である保護カバー303は、段差部分15Dにはめ込まれている。過熱検知ユニット300の保護カバー303は、図2に示す段差部分15Dの底部15Fと周囲部分15Cに対して密着して保持されている。過熱検知ユニット300は、酸素濃縮装置10の酸素出口15と鼻カニューラ22のカプラソケット23の開口部とを連通するように酸素出口15とカプラソケット23に対してそれぞれ着脱可能に接続でき、しかも過熱検知ユニット300は、使用者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に、火災や異常な高温環境にさらされた場合に、確実に高温環境を検知し、使用時の安全性を確保することができる役割を有している。
【0041】
図7(A)は、過熱検知ユニット300の左側前面から見た斜視図であり、図7(B)は、過熱検知ユニット300の右側前面から見た斜視図であり、そして図7(C)は、過熱検知ユニット300の分解斜視図である。
図7に示すように、過熱検知ユニット300は、筐体301と、この筐体301内に収容される本体部302と、本体部302の下部を覆う保護カバー303を有している。筐体301は本体部302に保持され、保護カバー303は、筐体301の底部を構成し、本体部302を覆う。
また、この筐体301を構成する第1カバーとしてのフロントカバー304と、第2カバーとしてのリアカバー305は、本体部302の側面周囲を覆う外装筐体である。
なお、図7(C)の過熱検知ユニット300の分解斜視図では、保護カバー303の図示を省略している。
【0042】
図7(C)に示す筐体301のフロントカバー304とリアカバー305は、プラスチック、例えば熱可塑性樹脂であるポリカーボネートとABSにより作られている。
フロントカバー304は、湾曲した前面部304Aと窪んだ上面部304Bを有し、下部は開口部304Cとなっているとともに、リアカバー305は、湾曲した後面部305Aと窪んだ上面部305Bを有し、下部は開口部305Cとなっている。フロントカバー304とリアカバー305は、上方側が狭く下方側に広くなっている先細り形状を有しており、開口部304C、305Cは、保護カバー303により閉鎖される。
フロントカバー304とリアカバー305は、本体部302の周囲部分を覆うための内部空間を有しており、上面部304B、305Bは、ほぼ円形状の第1開口部300Hを形成している。この第1開口部300Hからは、本体部302の酸素出口部310が外部に露出している。本体部302の下部は、開口部304C、305Cから露出している。この接続部としての機能を有する酸素出口部310は、例えば図2に示す酸素濃縮装置10側の、接続部としての機能を有する酸素出口15と同様な構造を有しており、図1のカプラソケット23に接続されるカプラソケット用の酸素出口部である。
【0043】
図7(A)に示すように、フロントカバー304の前面部304Aの左側部分の下部とリアカバー305の後面部305Aの左側部分の下部には、取外しボタン311が配置されている。
図7(C)に示すように、本体部302は、酸素出口部310と、ギヤードモータMと、取外しボタン311と、ブザー313と、制御基板314と、可撓性樹脂チューブ、例えば、塩化ビニル樹脂製で、外径5〜6mm,内径4〜6mm、肉厚0.8〜1.2mmのチューブ(内蔵チューブともいう)315と、カム316と、電池317等を有している。チューブ315は、外径が6mmを越えると閉塞構造部400が大きく、重くなり、その結果、過熱検知ユニット300全体が大きく、重くなる。外径が5mm未満では、濃縮酸素に対する流量抵抗が大きくなる。また、内径が4mm未満でも濃縮酸素に対する流量抵抗が大きくなる。また、肉厚が1.2mmを越えると閉塞構造部400を駆動してチューブ315を閉塞させるための駆動力が大きくなる。
図7(C)に示すように、ギヤードモータMは、減速機GMを有しており、減速機GMはギヤードモータMの回転を減速する。制御基板314は、本体部302のフレーム318側に引っ掛けることで固定されている。この制御基板314には、テストモードボタン320と、緑色のLED321G、黄色のLED321Y、そして赤色のLED321R等が搭載されている。
【0044】
図7(C)に示すように、テストモードボタン320は、フロントカバー304の凹部304Eに一体的に設けられた弾性体312V、凹部304Eにはめ込まれた表示部312のボタン操作部312Bに対応しており、緑色のLED、黄色のLED321Y、そして赤色のLED321Rは、表示部312のLED表示部分312Cに対応して配置されている。これにより、使用者が指でボタン操作部312Bを押すことにより、弾性体312Vを介してテストモードボタン320を押すことができる。また、緑色のLED321G、黄色のLED321Y、そして赤色のLED321Rは、表示部312のLED表示部分312Cを通じて、それぞれ緑色光、黄色光、そして赤色光を拡散して発光させることができる。フロントカバー304の前面部304Aの正面側には、表示部312が配置されている。表示部312には、LED表示部312Cに拡散インクが塗布されていることにより、本体部302側のLED(発光ダイオード)がフロントカバー304の開口部304Fを介して発光する際の光の指向性を小さくするために、LEDの発光を拡散させることができる。この表示部312は、3色のLED(緑色のLED321G、黄色のLED321Y、そして赤色のLED321R)の発光を用いて、過熱検知ユニット300が正常動作している状態(緑色のLED321Gを点灯または点滅)、過熱検知された時の酸素の遮断状態、そして電池交換状態を、それぞれ発光色を変えて使用者に対して視覚的に知らせることができる。ブザー313は、例えば圧電ブザーである。
【0045】
図8は、図6(B)に示す過熱検知ユニット300と操作パネル13のC−C線における断面を示している。
図8では、操作パネル13の段差部分15D(図2を参照)と、操作パネル13の酸素出口15と、リアカバー305と、取外しボタン311と、チューブ315と、酸素出口部310等を示しているが、ギヤードモータM等は図示されていない。酸素出口部310は、例えば金属により形成される酸素出口金具である。
操作パネル13の段差部分15D内には、保護カバー303がはめ込んで保持されており、段差部分15D内には筒状に酸素出口15が突出している。
酸素出口15は、本体部302の連結部材330に対して着脱可能に連結されている。この連結部材330は、チューブ315の一端部315Aに対して着脱可能に接続されている。このチューブ315の他端部315Bは、酸素出口部310の内端部310Nに対して着脱可能に接続されている。酸素出口部310の外端部310Mは、図1に示す鼻カニューラ22のカプラソケット23に対して着脱可能に接続されている。酸素出口15と連結部材330とチューブ315と酸素出口部310は、軸方向Lに沿って配列されている。
【0046】
図9(A)は、本体部302を示す斜視図であり、図9(B)は、本体部302の取外しボタン311を分解して示す斜視図である。
図8と図9(B)に示すように、取外しボタン311は、L字型のアーム部311Rと、爪部分311Tと、ボス部311Sを有している。ボス部311Sは、フレーム333に取り付けられている。この状態では、図8に示すように、爪部分311Tは連結部材330の孔部330Hを通って酸素出口15の溝部分15Hに対して、適度な荷重がかかってはまり込むことで、過熱検知ユニット300を酸素出口15に対して固定している。このため、過熱検知ユニット300は、段差部分15Dにはめ込まれた状態で外れることが無い。
過熱検知ユニット300は段差部分15Dから取り外す場合には、使用者が指でこの取外しボタン311をPS方向に押すことで、ボス部311Sを中心にして撓み部分311Vが撓むことにより、爪部分311Tを酸素出口15の溝部分15Hから外すことができるので、過熱検知ユニット300は段差部分15Dから容易に取り外すことができる。これにより、過熱検知ユニット30の取り付けと取外しが容易に行える。
【0047】
図10(A)は、過熱検知ユニット300の平面図であり、図10(B)は、図10(A)の過熱検知ユニット300のA−A線における断面図であり、図10(C)は、保護カバー303を取り除いた過熱検知ユニット300の底面図である。
図10(B)に示すように、酸素出口部310は、フロントカバー304とリアカバー305とフレーム318とにより挟み込むようにして固定されている。すなわち、フロントカバー304の爪部304Sとリアカバー305の爪部305Sは、それぞれフレーム318の凹部318R、318Sにはまり込むことで、フロントカバー304とリアカバー305とフレーム318とにより挟み込んでいる。
【0048】
また、図10(C)に示すように、フロントカバー304とリアカバー305は、フレーム318に対して爪部分を引っ掛けることにより、ネジ、ボルト・ナットを用いることなく固定されている。すなわち、フロントカバー304は、爪部分304Vと304Wを有しており、爪部分304Vと304Wは、それぞれフレーム318に対してはまり込むことにより固定されている。同様にして、リアカバー305は、爪部分305Vと305Wを有しており、爪部分305Vと305Wは、それぞれフレーム318に対してはまり込むことによりネジ、ボルト・ナットを用いることなく固定されている。これにより、フロントカバー304とリアカバー305は、本体部302のフレーム318を用いて、互いに外れないように着脱可能に組み立てられている。
【0049】
図11は、保護カバー303の構造と電池317の交換構造を示す斜視図であり、図11(A)は、保護カバー303の内側形状を示し、図11(B)は、保護カバー303の外側形状を示している。
保護カバー303は、1本のネジ329のみを保護カバー303のネジ穴303Kから挿入して本体部302のメネジ部分302Fにねじ込むことにより、本体部302に対して固定することができる。
図11(A)に示すように、保護カバー303の内面部340側は、細い溝部分303Eを有しており、これらの細い溝部分303Eには、フロントカバー304の底側縁部304Wとリアカバー305の底側縁部305Wがはめ込まれることにより、保護カバー303とフロントカバー304とリアカバー305が一体的に組み立てることができる。これにより、保護カバー303は、フロントカバー304とリアカバー305の底部を閉じるとともに、本体部302を保護している。
使用者は、電池317を新たに装着したり、電池317を交換する場合には、この1本のネジ329を取り外して保護カバー303とフロントカバー304とリアカバー305から取り外すだけで、簡単に電池交換作業が行える。電池317としては例えばリチウム電池を使用することができる。
【0050】
ここで、図11を参照して、保護カバー303の構造について説明する。
図11に示すように、保護カバー303は、本体部302を覆って保護する役割と、図8に示すように操作パネル13の段差部分15D内にはめ込んで保持する役割と、そして光を導くためのレンズの役割を果たす。
保護カバー303は、透明樹脂、例えばアクリルやポリカーボネート等により成形されている。図11(A)と図11(B)に示すように、保護カバー303は内面部340と外面部341を有している。内面部340には、すでに説明した細い溝部分303Eと、凸状のはめ込み用部分342と、電気接点343を有している。この凸状のはめ込み用部分342には、図11(B)に示すように円形の第2開口部344が形成されており、連結部材330の端部がこの第2開口部344にはめ込まれており、連結部材330の端部は、酸素出口15側に連結するために保護カバー303の外側に露出している。
【0051】
図11(A)と図11(B)に示すように、保護カバー303は、周囲部分345とランプ光を導くためのレンズ部350を有している。周囲部分345は、フロントカバー304の底側縁部304Wとリアカバー305の底側縁部305Wの一部に対応する部分に形成されているが、レンズ部350は、リアカバー305の底側縁部305Wの残部に対応する部分に形成されている。このリアカバー305の底側縁部305Wの残部は、図2に示す酸素ランプ15Lに対応する部分である。
図11に示すレンズ部350は、第1光取り入れ部351と第2光取り入れ部352と、第1導光部353と第2導光部354を有している。図6に示すように保護カバー303を操作パネル13の段差部分15D内にはめ込んで保持すると、レンズ部350は、図6と図2に示す酸素ランプ15Lに対応して配置されるようにほぼ扇型に形成されている。
【0052】
図11(A)に示すように、酸素ランプ15Lが発生する光LTは、図11(B)に示す第1光取り入れ部351と第2光取り入れ部352からレンズ部350内に取り込まれて、第1導光部353と第2導光部354において外部に導くことができる。このため、図8に示すように、保護カバー303を操作パネル13の段差部分15D内にはめ込んで保持した状態では、図11(A)に示す酸素ランプ15Lが発生する光LTを、左右位置の第1導光部353と第2導光部354を用いて、目視で容易に確認することができる。すなわち酸素濃縮装置10の操作パネル13の酸素ランプ15Lの光を、第2カバーであるリアカバー305の外周囲の複数個所に導くことができるので、使用者は延長チューブ(不図示)を使用することで酸素濃縮装置100から数m程度まで離れていても、酸素ランプ15Lの光を目視で容易に確認することができる。
【0053】
次に、図8に示すチューブ315の途中部分を閉塞させるための閉塞構造部400について、図12〜図14を参照して説明する。
図12(A)は、閉塞構造部400を含む本体部302を示す斜視図であり、図12(B)は、本体部302のD−D線における断面図である。
閉塞構造部400は、通路の一例であるチューブ315を押し付けてチューブ内を閉塞するために用いられる。閉塞構造部400は、駆動部の一例である電動モータとしてのギヤードモータMと、動作部材の一例であるカム401と、閉塞部材402を有している。
このギヤードモータMは、例えば、減速機GMを備えるDCモータであり、例えば、回転数はおおよそ60〜120rpmに減速される。チューブ315は、例えばプラスチック材料、例えばPVC(塩化ビニル樹脂)やシリコン樹脂等の柔軟性を有し、弾性変形可能な材料により形成されている。
カム401と閉塞部材402は、プラスチック材料、例えばABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)またPOM(ポリアセタール)等により形成されている。カム401と閉塞部材402は、チューブ315の付近に配置されており、閉塞部材402、カム401、ギヤードモータMの順番に、軸方向Lに平行に並べて配置されている。
【0054】
図13(A)は、本体部302のチューブ315がカム401により押されておらず開放されている、すなわち酸素がチューブ315内を通る通常状態を示している。図13(B)は、本体部302の閉塞構造部400とチューブ315のG−G線における断面図である。
また、図14(A)は、本体部302のチューブ315がカム401により押されて閉塞されている、すなわち酸素出口部310において過熱異常を検知して、酸素がチューブ315内を通れない状態を示している。図14(B)は、図14(A)は、本体部302の閉塞構造部400とチューブ315のJ−J線における断面図である。
【0055】
図13と図14を参照して、カム401の好ましい形状例を説明する。
カム401の一端部側は、回転軸404を有している。回転軸404はフレーム318に対してR方向に回転可能になっている。カム401の回転軸404は、ギヤードモータMの出力軸に連結されており、ギヤードモータMの出力軸が正転することで、図13(B)に示すようにカム401はR方向に回転可能であり、ギヤードモータMの出力軸が逆転することで、図14(B)に示すようにカム401はR方向とは逆のR1方向に回転可能である。
カム401の他端部側(回転端部側)は、カム401の回転角度を規制するカムストッパーピン405が取り付けられている。カム401は、曲面状のカム倣い面406を有しているが、カム倣い面406の反対側には凸状の曲面のカム倣い面は不要であるので、ほぼ平坦に形成された平坦面または除去部分407となっている。
【0056】
このように、カム401の一方の側だけ曲面状のカム倣い面406が必要であるが、カム倣い面406とは反対側には曲面状のカム倣い面が不要であることから、好ましくは除去部分407が確保されている。このため、除去部分407を有するカム401は、カムの全周囲に凸状の曲面のカム倣い面が形成されている場合に比べて、カム401の小型化と軽量化が可能であり、しかもカム401を回転させるためのギヤードモータMのトルクを小さく設定できるので、ギヤードモータMの小型化も図れる。
図13(B)に示すように、カム401の先端部には、別の平坦面408が形成されている。このように別の平坦面408を形成しているのは、図14(A)に示すカム401がR方向に180度回転した状態で、図14(B)に示すように、別の平坦面408がアーム402の閉塞部材470を押させた状態を維持するためである。すなわち、別の平坦面408がアーム402の閉塞具470とほぼ平行になるような形状になっているので、チューブ315の途中部分を閉塞後に、もしもギヤードモータMに対する電池317からの電源供給が切れてしまっても、カム401がR1方向に逆転しないようにして、チューブ315の閉塞状態を確実に保持して、チューブ315において酸素を遮断できるようになっている。
【0057】
次に、図13(B)と図14(B)を参照して、閉塞部材402の形状を説明する。
閉塞部材402は、カムの回転角度規制部471と、閉塞具470を有している。カムの回転角度規制部471は、カム401に隣接しており、カムの回転角度規制部471の内面には突起472が突出して設けられている。この突起472は、図13(B)に示すチューブ開放状態では、カム401側のカムストッパーピン405を受ける部分である。これに対して、カムの回転角度規制部471の内面の一部分473は、図14(B)に示すチューブ閉塞状態では、カムストッパーピン405を受ける部分である。これにより、カム401は、図13(B)に示すチューブ開放状態から図14(B)に示すチューブ閉塞状態までの間の角度180度の範囲だけで、回転可能になっている。
【0058】
閉塞具470は、カムの回転角度規制部471と一体成形されており、閉塞具470の一端部471はU方向に下がる可動端部であり、閉塞具470の他端部476は回転中心軸479に取り付けられている。
閉塞具470は、チューブ315に押し付けて潰すための押し潰し部475を有しており、この押し潰し部475はフレーム318の固定部474に対面している。閉塞具470の押し潰し部475と、固定部474との間には、チューブ315が配置されている。これにより、閉塞具470が図13(B)に示すチューブ開放状態から図14(B)に示すようにチューブ閉塞状態までU方向に下がると、チューブ315を押し潰して閉塞し、酸素を通さないようにすることができる。押し潰し部475と、固定部474との間隔tは、例えば1.3mmである。
なお、図13(B)に示すように、押し潰し部475の先端部は、チューブ315を潰し易いようにするために、例えば尖った形状であったり、半円形状であっても良い。
【0059】
図15(A)に示すように電池317の電気端子343は、図11(A)に示すように保護カバー303の内部に配置されている。電池317の他方の電気端子370は、フレーム318に固定されている。
図15(B)に示すように、酸素出口部310における温度を検出するための温度センサとしてのサーミスタ453は、酸素出口部310にフランジ310Fの下部の穴310J内に配置されている。
【0060】
図16は、過熱検知ユニット300の電気回路を示している。
この電気回路は、図7(C)に示す制御基板314に搭載されており、制御部(中央処理部、CPU)450は、過熱検知ユニット300全体を制御するものであり、コンデンサC1、C2と、基準周波数発生部451と、ブザー313と、モータドライバ452と、温度検出センサとしてのサーミスタ453と、LEDドライバ454と、テストモードスイッチ320に、電気的に接続されている。電池317の電力は、モータドライバ452とLEDドライバ454とブザー313に供給される。テストモードスイッチ320はテストスイッチともいい、使用者が過熱検知ユニット300を酸素濃縮装置10の操作パネル13に装着後に、過熱検知動作をテストするために押すようになっている。
図16と図15(B)のサーミスタ453は、過熱検知ユニット300の温度を検知する。図16のモータドライバ452は、ギヤードモータMを正転駆動と逆転駆動をする。図16のLEDドライバ454は、緑色のLED321G、黄色のLED321Y、赤色のLED321Rをそれぞれ駆動する。
【0061】
図16の緑色のLED321Gは、図11の表示部312を通じて緑色を発光することで、過熱検知ユニット300が正常動作していることを知らせ、図16の赤色のLED321Rは、図11の表示部312を通じて赤色を発光することで、過熱検知された時の酸素の遮断状態を知らせ、そして図16の黄色のLED321Yは、図11の表示部312を通じて黄色を発光することで、過熱検知ユニット300電池交換状態を知らせることでき、使用者に対してそれぞれ発光色を変えて異なる状態を知らせることができる。これにより、使用者は各状態を色分けで容易に視認できる。
この場合に、緑色のLED321G、赤色のLED321Y、黄色のLED321Yが点灯すると、図7(A)に示すフロントカバー304の側面部304Aの正面側にある表示部312から各光が拡散されて表示される。すなわち、表示部312には、拡散インクが塗布されていることにより、LED(発光ダイオード)の発光の指向性を拡散してLEDの発光を拡散させることができるようになっている。これにより、LEDが点滅発光しているときでも良好な視認性を得られることができる。
【0062】
図17は、図16に示す過熱検知ユニット300に用いられている温度検出センサとしてのサーミスタ453を含む温度測定ブロック700を、さらに詳しく示している。
図17に示す温度測定ブロック700は、サーミスタ453と、直列抵抗701と、スイッチ702と、A/Dコンバータ703と、レギュレータ704を含んでいる。サーミスタ453と直列抵抗701は、スイッチ702の第1端子707と接地708間に直列に接続され、サーミスタ453と直列抵抗701の接続部分705は、A/Dコンバータ703に接続されている。A/Dコンバータ703は、A/D値入力端子706を有している。スイッチ702の第2端子709は、1.5Vのレギュレータ704に接続されており、このスイッチ702はスイッチ制御信号710により、オンオフ制御される。
【0063】
直列抵抗701の抵抗値R1は例えば27キロオームであり、サーミスタ453は例えば37℃で抵抗値R2が29.937キロオームである。温度測定をするために、このサーミスタ453は、直列抵抗701によりプルアップした状態にして、分圧電圧DRを測定することにより、サーミスタ453の抵抗値から温度を割り出している。この温度測定の際には、レギュレータ704からの参照用の電圧(VREF)1.5Vは、直列抵抗701のプルアップに対して接続したままの状態で、すなわちスイッチ702を閉じた状態では、常に直列抵抗701とサーミスタ453において電力損失を続けてしまうことになる。
【0064】
そこで、スイッチ702がレギュレータ704と直列抵抗701の間に設けている。このため、制御部450は、スイッチ制御信号710を供給して、電圧測定の「A/D変換」の時だけスイッチ702をオンにすることで、レギュレータ704から直列抵抗701とサーミスタ453へ電流供給をし、電圧測定の「A/D変換」以外の時は、スイッチをオフにすることで、レギュレータ704から直列抵抗701とサーミスタ453へ電流供給を遮断することができるようになっている。
これにより、サーミスタ453を用いた温度検出測定でも、電圧測定の「A/D変換」以外の時は、レギュレータ704から直列抵抗701とサーミスタ453への電流供給をカットできるので、極めて消費電流を少なくした温度検出測定が行えるメリットがある。
【0065】
図18は、図16と図17に示す制御部450内部の全体動作例を示すフローチャートを示している。
図18に示すステップST1〜ST6は、制御部450内部の全体動作の初期動作800を示し、図18に示すステップST7〜ST18は、制御部450内部の全体動作のメインループ801を示す。このメインループ801は例えば0.5秒毎に実施される。
初期処理801のステップST1では、ウォッチドッグタイマ(コンピュータのハードウェア時間計測器)をクリアし、ステップST2では、CPU初期化(RAM(ランダムアクセスメモリ)、SFR(Special-Function Register (特別機能レジスタ))の初期化)をし、ステップSST3では、プログラムバージョン番号をセットする。ステップST4では、UART((Universal Asynchronous Receiver Transmitter) :調歩同期方式によるシリアル信号をパラレル信号に変換したり、その逆方向の変換を行うための集積回路)の初期処理をし、ステップST5では、リセット動作の設定処理をする。そして、ステップST6では、リセット動作時の図16に示すブザー313のオン時間のセットをする。
【0066】
図18のメインループ801のステップST7では、A/Dコンバータ703をオンし、ステップST8では、ウォッチドッグタイマをクリアし、ステップST9では、ポート初期化をする。ステップST10では、テストモード判定をし、ステップST11では、A/D変換(3)の動作をする。ステップST12では、図17の温度検出センサであるサーミスタ453の動作判定をし、ステップST13では、シーケンス動作をする。ステップST14では、作動カウントをし、ステップST15では、図16に示す電池317の電圧のモニタ動作をする。ステップST16では、図16のギャードモータMの固着防止時間のカウント動作をし、ステップST17では、図16のブザー313を動作させ、ステップST18では、省電力モード設定を、0.5秒の間隔で行う。
【0067】
ここで、図18に示すメインループ801のステップST7〜ST10までの処理(1)は、1mA以下の使用電流量であり、処理時間は最大で50μ秒である。ステップST12〜ST17までの処理(2)は、1mA以下の使用電流量であり、処理時間は最大で100μ秒である。ステップST11のA/D変換(3)の動作は、1mA以下の使用電流量であり、処理時間は最大で50μ秒である。ステップST18の省電力モード設定では、制御部450が1μA以下の使用電流量のスリープ状態であり、スリープ時間はほぼ0.5秒(500m秒)である。
【0068】
図19は、制御部450内部の全体動作例のタイムチャートである。
図19に示すタイムチャートでは、制御部(CPU)450の使用電流量が1μA以下であるスリープ状態の期間SLPと、そして図18に示す処理(1)と処理(2)とA/D変換(3)とを合計した200μ秒の期間HPを示している。そして、図19では、図18に示す処理(1)と処理(2)とA/D変換(3)を合計した200μ秒の期間HPとその前後を拡大して示している。処理(1)の処理時間TP1は最大で50μ秒であり、A/D変換(3)の処理時間TP3は最大で50μ秒であり、処理(1)の処理時間TP3は最大で100μ秒であることを例示している。従って、制御部450における処理(1)と処理(2)とA/D変換(3)を合計した200μ秒の期間HPの合計時間は、最大で200μ秒である。
【0069】
次に、上述した過熱検知ユニット300の使用例について説明する。
<電池取付け時>
図11(B)に示すように、保護カバー303から1本のネジ329を取り外すだけで、保護カバー303は、フロントカバー304とリアカバー305と本体部302から簡単に取り外すことができる。そして、図15(A)に示すように、本体部302に対して電池317を装着する。その後、図11(B)に示す1本のネジ329のみを用いて、保護カバー303を本体部302に対して固定することで、フロントカバー304とリアカバー305の底部分を閉鎖して、本体部302は、フロントカバー304とリアカバー305と保護カバー303により覆うことができ、図7(A)に示すように過熱検知ユニット300は組み立てた状態になる。
このように、1本のネジ329のみを用いるだけで、保護カバー303をフロントカバー304とリアカバー305から外したり、組み立てることができ、使用者は分解組み立て動作が簡単であり、新たな電池317の装着や、古い電池317を新しい電池317に交換する作業が容易にできる。
【0070】
上述のようにして電池317を本体部302に取り付けると、図15に示す制御部450がシステムを起動して、まずこの電池317が消耗しているかどうかを判定する。電池の消耗の判定には、モータドライバ452がギヤードモータMを起動して、測定された電圧が予め定めた所定電圧よりも低ければ、制御部450は、電池317が消耗していると判定して、図16のLEDドライバ454は、黄色のLED321Yを点滅させて、使用者に対して電池交換を視覚的に促す。
この場合に、黄色のLED321Yが点灯すると、図7(A)に示すフロントカバー304の側面部304Aの正面側にある表示部312から黄色の光が拡散されて表示される。すなわち、表示部312には、拡散インクが塗布されていることにより、LED(発光ダイオード)の発光の指向性を拡散してLEDの発光を拡散させることができるようになっている。これにより、LEDが点滅発光しているときでも良好な視認性を得られることができる。
【0071】
<過熱検知モード>
新しい電池が、消耗した電池に代えて取り付けられると、図16の制御部450は「過熱検知モード」を実行する。この「過熱検知モード」の定常動作の例では、制御部450は、所定秒、例えば、0.5秒毎に、図15(B)に示す温度センサとしてのサーミスタ453を用いて酸素出口部310の温度を確認し、0.5秒毎に図16の電池317の電圧を確認する。しかも、図16の制御部450は、0.5秒毎に起動後の過熱検知ユニット300の稼働日数を確認し、3秒に一度25mSの間緑色のLED321Gを点灯させる。
この緑色のLED321Gが点灯すると、図7(A)に示すフロントカバー304の側面部304Aの正面側にある表示部312から緑色の光が拡散されて表示される。すなわち、表示部312には、拡散インクが塗布されていることにより、LED(発光ダイオード)の発光の指向性を拡散してLEDの発光を拡散させることができるようになっている。これにより、LEDが点滅発光しているときでも良好な視認性を得られることができる。制御部450は上述した定常動作を繰り返す。このような「過熱検知モード」の定常動作以外の時間は、制御部450をスリープ状態にして電池317の消耗を防ぎ、過熱検知を確実に行なうことができる。
【0072】
次に、図8に示すように、電池317を備える過熱検知ユニット300の保護カバー303が、操作パネル13の段差部分15D内にはめ込んで保持される。この場合に、酸素出口15は、本体部302の連結部材330に対して着脱可能に連結される。この場合に、図8と図9に示すように、爪部分311Tは、連結部材330の孔部330Hを通って酸素出口15の溝部分15Hに対して、適度な荷重がかかってはまり込むことで、過熱検知ユニット300を酸素出口15に対して固定している。このため、過熱検知ユニット300は段差部分15Dにはめ込まれた状態で不用意に外れることが無い。このように、過熱検知ユニット300の保護カバー303は、操作パネル13の段差部分15D内にはめ込むだけで、簡単に段差部分15Dに対して固定することができる。
一方、酸素出口部310の外端部310Mは、図1に示す鼻カニューラ22のカプラソケット23に対して着脱可能に接続される。
【0073】
<過熱検知時>
過熱検知ユニット300が上述した過熱検知モードにおいて、図15(B)に示すサーミスタ453が酸素出口部310の温度を検出した結果、この温度が所定温度、例えば40℃を越えたら、図15に示す制御部450は、0.5秒毎に、酸素出口部310の温度を測定する。酸素出口部310の温度が所定温度、例えば、70℃を越えたら、即座に図13(B)から図14(B)に示すようにチューブ315の一部分を押してチューブ314内を閉塞することで、チューブ315における酸素の供給を遮断する。
また、図16に示す制御部450は、酸素出口部310の温度が所定温度、例えば、40℃以上でかつ温度上昇率が所定の上昇率、例えば、1.0℃/秒で5秒間越えたら、即座に図13から図14に示すようにチューブ315を閉塞することで、酸素を遮断する動作を行う。図15に示す制御部450は、酸素出口部310の温度が所定温度、例えば、40℃以上で、かつ温度上昇率が所定の上昇率1.0℃/秒で5秒間以下である場合には、上述した通常の「過熱検知モード」に移行する。こうすることで、夏季等において室内に入射する太陽光や、冬季において暖房機器による熱輻射による誤作動を防止することができる。
【0074】
<酸素遮断動作>
上述した過熱検知時に酸素を遮断する場合には、図13(B)から図14(B)に示すようにチューブ315を開放状態から閉塞状態にする。すなわち、図13(B)において、カム回転規制部471の突起472は、図13(B)に示すチューブ開放状態では、カムストッパーピン405を受けており、カム401が回転軸404を中心にしてR方向(反時計方向)に回転すると、図13(B)から図14(B)に示すように閉塞部材470の一端部470LはU方向に下がり、閉塞部材470の押し潰し部475は、チューブ315に押し付けて潰す。しかも、カム401のカムストッパーピン405は、カム回転規制部471の内面の一部分473に突き当たっているので、これ以上カム401がR方向に回転するのを防止している。これにより、チューブ315は閉塞されることで、酸素を遮断することができる。
【0075】
図14(B)に示す酸素の遮断状態では、カム401の平坦面408が形成されているので、平坦面408がアーム402の閉塞部材470を押させた状態を維持する。すなわち、平坦面408がアーム402の閉塞部材470とほぼ平行になるような形状になっている。このため、チューブ315の途中部分を閉塞後に、仮にギヤードモータMに対する電池317からの電源供給が切れてしまって、チューブ315の弾性復帰力が閉塞部材470に対して加わっても、カム401がその弾性復帰力により押されてR1方向に逆転しないようにして、チューブ315の閉塞状態を確実に保持して、酸素を遮断できるようになっている。
このように、酸素の遮断状態は、カム401には平坦面408があることにより、電池の残容量が無くなったとしてもそのまま継続できるので、酸素の遮断状態が終了することは無く酸素の遮断状態を確実に保持でき、酸素出口部310から酸素が漏れるのを防いで安全性を確保できる。
【0076】
酸素を遮断すると、図16のRAM,フラッシュROM,マイクロコンピータを含み、過熱検知ユニット300の全体の動作を制御する制御部450が赤色のLED321Rを連続して赤色点灯させることで、使用者に対して酸素が遮断されていることを視覚的に知らせる。しかも、図15の制御部450がブザー313を鳴らす。ただし、使用者が図16のテストモードボタン320を押したら、このブザー320の動作を停止させることができる。
図14(B)において、図16の制御部450がギヤードモータMをR1方向(時計方向)に回転させると、図13(B)に示すようにカム401の平坦面408がアーム402の閉塞部材470を押している状態を解除できるので、チューブ315は弾性復帰力により復帰した状態に戻すことができる。
【0077】
<電池警報>
ところで、図16の電池317の電圧が低下したり、過熱検知ユニット300の起動日数が1年を超えたら、該過熱検知ユニットの動作を確認できるような報知部として、この実施形態では、例えば動作ランプを設けている。この実施形態では、動作ランプである黄色のLED321Yを黄色点滅させる。ただし、この電池警報が一度作動すると、電池317を本体部302から抜かない限り電池警報が解除されず、警報解除はしない。新しい電池317を古い電池317に代えて取り付けることにより、電池警報がリセットされて、通常状態に復帰する。
【0078】
<固着防止>
ところで、酸素濃縮装置10に対して取り付けられた過熱検知ユニット300が、ギヤードモータMを長時間動作させていない場合には、ギヤードモータMのロータがステータに対して固着してしまう現象、いわゆる「しぶり現象」が生じるおそれがある。このようにロータがステータに対して固着してしまう現象を防止するために、例えばギヤードモータMの出力軸を正方向に0.2秒間回転して、図14(B)に示すようにカム401を用いてチューブ315を少し潰して、0.3秒間ギヤードモータMをブレーキ(端子間短絡)する。その後、チューブ315が閉塞しないように、0.5秒間ギヤードモータMの出力軸を逆方向に回転させる。この固着防止動作は、制御部450のマイクロコンピュータにより、予め定めた時間間隔、例えば30日ごとに実行される。またこの固着防止動作は、使用者にはわからないようにするため、LED点灯やブザー313を鳴らさない。これにより、ギヤードモータMのロータがステータに対して固着してしまう現象を防いで、ギヤードモータMがいつでも確実に駆動できるようにすることで、過熱検知ユニット300が過熱状態を検知した場合に、必ずギヤードモータMを作動させて酸素の遮断を行うことできるので、過熱検知ユニット300の動作信頼性を確保することができる。
【0079】
<テストモードボタン>
上述した過熱検知の定常動作中に、図16のテストモードボタン320が押されると、過熱検知状態を所定秒、例えば、15秒間再現するために、中央制御部450は制御以下の動作を行う
ギヤードモータMの出力軸を正方向に回転し、カム401でチューブ315を潰す。動作ランプである赤色のLED321Rに赤色点灯して、ブザー313を鳴らす。ただし、ブザー313の鳴動は最初の5秒間だけになる。
15秒経過後には、ギヤードモータMの出力軸を逆方向に回転し、図13(B)に示すようにカム401を回転してチューブ315の閉塞を解除して、チューブ315を通じて酸素供給を再開する。赤色のLED321Rを消灯して、ブザー313の鳴動を停止して、元の定常動作へ復帰する。
過熱検知ユニット300が酸素濃縮装置10の操作パネル13の段差部分15Dに後付けで取り付けられるのであるが、取り付けた際には過熱検知ユニット300の動作のテスト確認が必要であることから、使用者が過熱検知ユニット300の動作を確認するために、このテストモードボタン320は用意されている。なお、電池317の代わりに、過熱検知ユニット300と酸素濃縮装置100双方に電磁誘導コイルを設け、酸素濃縮装置100から過熱検知ユニット300に電源供給するようにしてもよい。
【0080】
上述したように過熱検知ユニット300が動作するのであるが、図18に示すように、メインループ801は、例えば0.5秒毎に繰り返す構成になっている。このメインループ801において、制御部450が処理をするための動作時間は、わずかに図19に示す処理(1)の動作と処理(2)の動作とA/D変換(3)の動作を合計した200μ秒前後の期間HPである。
この200μ秒前後の期間HPでは、図16に示す制御部450の周辺の要素(サーミスタ453による温度検出動作時の電流や、赤色のLED321R、黄色のLED321Y、緑色のLED321Gの点灯動作の電流や、ギヤードモータMの動作時の電流を除く)の消費電流だけでも、500μA以上を消費する。しかし、200μ秒前後の期間HP以外の制御部450のスリープ状態の期間SLPでは、制御部450はスリープ状態であるので制御部450の周辺の消費電流は、1μA以下になる。 制御部450動作中の消費電流が例えばXμAを連続200μ秒間消費するとした場合、1サイクル0.5秒間での平均値に換算すると、XμA×200μ秒/0.5秒=XμA/2500であって、すなわち制御部450動作中の消費電流は、平均値としては2500分の1になる。
この結果、制御部450周辺部の平均消費電流値としては、スリープ状態の消費電流と制御450動作中の消費電流の2500の1分の合算値程度にする事ができる。
【0081】
図19に示す電圧測定を行う「A/D変換(3)」の時だけ、制御部450のスイッチ制御信号710に従って、スイッチ702はオフ状態からオン状態に切り替えられ、スイッチ702をオン状態にすることで、図17のレギュレータ704から直列抵抗701とサーミスタ453へ電流供給を行う。これにより、制御部450は、図17に示すA/Dコンバータ703のA/D値入力端子706を通じて A/D値入力708を得て、温度検出を行える。
一方、図16に示す内蔵の電池317の消耗をできる限り少なくするために、図19に示す電圧測定を行う「A/D変換(3)」の時以外の期間、すなわち制御部(CPU)450のスリープ状態の期間SLPと処理(1)と処理(2)の期間では、制御部450は、図17に示すA/Dコンバータ703のA/D値入力端子706を通じてA/D値入力708を得る必要が無いので、制御部450は、図17に示すスイッチ702にスイッチ制御信号710を送り、スイッチ702をオフ状態にする。
これにより、過熱検知ユニット300では、サーミスタ453を用いた温度検出測定を行っても、電圧測定の「A/D変換(3)」以外の時は、レギュレータ704から直列抵抗701とサーミスタ453への電流供給をカットできるので、過熱検知ユニット300において、消費電流を少なくした温度検出測定が行える。過熱検知ユニット300は、温度検出センサであるサーミスタ453に対する電流供給量を削減できるので、酸素濃縮装置1に対して装着してより長い期間動作させることができる。
【0082】
図16に示す過熱検知ユニット300では、電源として内蔵の電池317を用いており、図17に示す制御部450のレギュレータ704はこの電池317から得ているので、電池317の寿命が、例えば設計上では1年以上、好ましくは設計目標としては2年程度持続する必要がある。
すでに説明したように、図17の制御部450は、温度検出センサを用いて最低でも1秒毎に、実際には好ましくは500m秒毎の間隔で過熱検知ユニット1における温度のチェックをしなければならない。温度検出センサとしては、好ましくはサーミスタ453を用いているので、直列抵抗701を用いて抵抗分圧による分圧電圧DRを測定することにより、サーミスタ453の抵抗値から温度を算出する必要があり、制御部450のレギュレータ704が直列抵抗701とサーミスタ453に対して、わずかな電流であってもずっと通電し続けると、大きな電流容量が必要となり、電池317の寿命が短くなってしまう。
【0083】
例えば、使用されているサーミスタが25℃の時の抵抗は50キロオームであり、3Vの電池に接続した場合には、サーミスタだけでも消費電流が60μAになる。電池は、このサーミスタに通電するだけではなく、ギャードモータMの駆動や、赤色のLED321R、黄色のLED321Y、緑色のLED321Gの点灯動作等も行うのではあるが、過熱検知ユニット300では、できる限りサーミスタ453に対する通電電流量を減らすことができるので、過熱検知ユニット300は電池317の寿命を伸ばすことで、長い期間酸素濃縮装置1に装着して使用することができる。
制御部450は、温度検出センサであるサーミスタ453からの温度検出信号をA/D変換する動作時に温度検出センサに電流を供給するためにスイッチ702をオン状態にし、A/D変換する動作以外の時には温度検出センサであるサーミスタには電流を供給しないようスイッチ702をオフ状態にすることができる。このため、温度検出センサであるサーミスタ453に対して常時通電する必要が無くなり、過熱検知ユニット300は、温度検出センサに対する電流供給量を削減して酸素濃縮装置に装着して長期間動作させることができる。
【0084】
本発明は、上述の各実施形態に限定されず、酸素選択透過膜を用いた膜分離型酸素濃縮装置にも適用できる。また、過熱検知ユニットを、酸素ボンベを用いた酸素供給装置にも適用できる。上記実施形態に記載された事項は、その一部を省略してもよいし、上記で説明しない他の構成と組み合わせることによっても本発明の範囲を逸脱するものではない。
温度検出センサとしては、サーミスタ以外に他の種類のセンサを用いることもできる。過熱検知ユニットは、酸素濃縮装置の酸素出口とカプラソケットを有する鼻カニューラとの間、もしくは酸素出口と鼻カニューラと接続されるチューブの一端に設けられたカプラソケットとの間に配置できる。
【符号の説明】
【0085】
10・・・酸素濃縮装置、15・・・酸素出口、300・・・過熱検知ユニット、301・・・筐体、302・・・本体部、303・・・保護カバー、304…フロントカバー、305・・・リアカバー、310・・・酸素出口部、315・・・チューブ(通路の一例)、450・・・制御部、453・・・温度検出センサとしてのサーミスタ、700・・・温度測定ブロック、701・・・直列抵抗、702・・・スイッチ、703・・・A/Dコンバータ、704・・・レギュレータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素濃縮装置とカニューラとの間に装着することで、火災等の異常な高温環境下にさらされた時に、酸素濃縮装置への延焼やこの装置自体の火災等を防止する過熱検知ユニットおよび酸素濃縮装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酸素濃縮装置には、取り込んだ原料空気をコンプレッサで圧縮して圧縮空気を発生して、吸着剤を内蔵した吸着筒に対してこの圧縮空気を供給することで該吸着剤に窒素を吸着させ酸素を生成する吸着型酸素濃縮装置や酸素透過係数が窒素透過係数よりも大きい高分子膜である酸素選択透過膜を用いた膜分離型酸素濃縮装置がある。吸着型酸素濃縮装置では主に窒素を吸着する吸着剤の一例として、ゼオライトが用いられる。
【0003】
また、酸素選択透過性膜型では、例えば、ポリジメチルシロキサン−ポリカーボネート共重合体、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリフェニレンオキサイド、ポルフィリン錯体含有膜などが用いられる。そして、90%以上に濃縮された酸素はタンクに貯めておき、減圧弁や流量設定器を介してタンクから所定流量の酸素を供給可能な状態にすることで、使用者は鼻カニューラ等の器具を用いて酸素吸入ができる。この酸素濃縮装置は、AC電源(商用交流電源)の利用できる場所に設置しておけば、例えば肺機能が低下した在宅酸素療法使用者が、就寝中でも安全に酸素を吸うことができるようになり安眠できる。
【0004】
また、慢性気管支炎等の呼吸器疾患の使用者の治療法として有効となる長期酸素吸入療法に使用される酸素濃縮装置は、一般的には可搬型ではなく、使用者が外出先に持ち出るようには構成されていない。
また、鼻カニューラに感温センサを設けて、50℃になれば濃縮酸素の発生を停止する酸素濃縮装置も提案されている(特許文献1を参照)。
これにより、例えば、タバコの火が鼻カニューラに着火することを原因として、火災事故につながる危険等を未然に防止しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−183544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の酸素濃縮装置では、鼻カニューラの途中に温度感知センサを配置して、その検出信号により酸素の供給を止めるというだけの構成であるが、該文献に記載の摂氏50度付近で酸素供給を停止するというきわめて単純な仕組みでは、例えば酸素濃縮装置を使用している室内に暖房機があり、その輻射熱が当たっただけで酸素供給を遮断してしまったり、夏季の密室等において、酸素濃縮装置が置かれた環境温度が上昇すると、それだけで酸素濃縮装置が動作しない恐れがあり、使い勝手に乏しく実用性が低い。このため、本発明者らは、酸素濃縮装置とカニューラとの間に後付けで過熱検知ユニットを装着することを提案している。この過熱検知ユニットは、使用者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に、火災や異常な高温環境にさらされた場合に、確実に高温環境を検知して酸素の供給を遮断できるので、安全性を確保することができる。
【0007】
ところが、後付けの過熱検知ユニットは、周囲温度を検出するための温度検出センサと内蔵電池を有しており、内蔵電池は温度検出センサに対して、常時電流供給する必要がある。このため、内蔵電池がこの温度検出センサに常時電流供給を行うと、温度検出センサにはわずかな電流を流してずっと消費続けるので、大きな電流容量が必要となってしまう。この内蔵電池は、温度検出センサの他に動作確認用のランプの点灯等にも電流供給する必要があるので、温度検出センサに対する電流供給量をできるだけ少なくしたいという要望がある。また、後付けの過熱検知ユニットは、酸素濃縮装置に対して装着したままで内蔵電池の交換をせずにできる限り長い期間動作させたいという要望もある。
そこで、本発明は、温度検出センサに対する電流供給量を削減して、酸素濃縮装置に装着してより長い期間動作させることができる過熱検知ユニットおよび酸素濃縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の過熱検知ユニットは、原料空気から濃縮酸素を生成し、前記濃縮酸素を取り出す酸素出口を有する酸素濃縮装置の前記酸素出口とカプラソケットを有する鼻カニューラとの間もしくは前記酸素出口と前記鼻カニューラと接続されるチューブの一端に設けられたカプラソケットとの間に配置されて、過熱状態を検知する過熱検知ユニットであって、前記酸素出口に接続される連結部材と、前記カプラソケットに接続されるカプラソケット用の酸素出口部を有する本体部と、前記本体部を覆う筐体とを備え、前記本体部は、前記酸素出口部の温度を検出する温度検出センサと、前記連結部材と前記カプラソケット用の酸素出口部との通路を閉塞して酸素の供給を遮断する閉塞構造部と、前記温度検出センサから得られる前記酸素出口部の温度が予め定めた温度以上であると、前記閉塞構造部を動作させて前記酸素の供給を遮断させる制御部とを有し、前記制御部は、前記温度検出センサからの電圧をA/D変換する動作時に前記温度検出センサに電流を供給するためにオン状態になり、前記A/D変換する動作以外の時には前記温度検出センサには電流を供給しないようにオフ状態になるスイッチを有することを特徴とする。
上記構成によれば、制御部は、温度検出センサからの温度検出信号をA/D変換する動作時に温度検出センサに電流を供給するためにスイッチをオン状態にし、A/D変換する動作以外の時には温度検出センサには電流を供給しないようスイッチをオフ状態にすることができるので、温度検出センサに対して常時通電する必要が無くなり、温度検出センサに対する電流供給量を削減して、酸素濃縮装置に装着してより長い期間動作させることができる。
【0009】
好ましくは、前記温度検出センサは前記カプラソケット用の酸素出口部に配置され、前記温度検出センサと直列に接続された直列抵抗を有し、前記制御部では、前記直列抵抗による分圧電圧を測定して前記温度検出センサの抵抗値から前記酸素出口部の温度を割り出すことを特徴とする。
上記構成によれば、A/D変換する動作以外の時には、温度検出センサだけでなく直列抵抗にも電流を供給する必要が無いので、電流供給量を削減できる。
【0010】
好ましくは、前記温度検出センサは、サーミスタであることを特徴とする。
上記構成によれば、価格の安いサーミスタを用いる場合でも、A/D変換する動作以外の時には、サーミスタだけでなく直列抵抗にも電流を供給する必要が無いので、電流供給量を削減できる。
【0011】
好ましくは、前記閉塞構造部は、前記連結部材と前記カプラソケット用の酸素出口部の間を接続している弾性変形するチューブを押すことで酸素の供給を遮断する閉塞部材を有することを特徴とする。
上記構成によれば、閉塞部材は、チューブを押すだけで酸素の供給を確実に遮断できる。
【0012】
本発明の酸素濃縮装置は、原料空気を圧縮して圧縮空気を発生する圧縮空気発生部と、前記圧縮空気から得られる酸素を取り出す酸素出口を有する前記過熱検知ユニットを備える。
上記構成によれば、制御部は、温度検出センサからの温度検出信号をA/D変換する動作時に温度検出センサに電流を供給するためにスイッチをオン状態にし、A/D変換する動作以外の時には温度検出センサには電流を供給しないようスイッチをオフ状態にすることができるので、温度検出センサに対して常時通電する必要が無くなり、温度検出センサに対する電流供給量を削減して酸素濃縮装置に装着して、より長い期間動作させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、温度検出センサに対する電流供給量を削減して、酸素濃縮装置に装着してより長い期間動作させることができる過熱検知ユニットおよび酸素濃縮装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の酸素濃縮装置の好ましい実施形態を示す外観斜視図。
【図2】図1の酸素濃縮装置の操作パネルを示す平面図。
【図3】酸素濃縮装置の内部構成を示すために背面側から見た立体分解図。
【図4】酸素濃縮装置の系統図。
【図5】酸素濃縮装置の操作パネルと、過熱検知ユニットを示す斜視図。
【図6】図6(A)は、操作パネルを示す斜視図であり、図6(B)は、操作パネルを示す平面図。
【図7】過熱検知ユニットを示す斜視図。
【図8】図6(B)に示す過熱検知ユニットと操作パネルのC−C線における断面図。
【図9】本体部を示す斜視図。
【図10】過熱検知ユニットを示す図。
【図11】保護カバーの構造と電池の交換構造を示す斜視図。
【図12】チューブ閉塞構造部を含む本体部を示す図。
【図13】本体部のチューブがカムにより押されておらず開放されている状態を示す図。
【図14】本体部のチューブがカムにより押されて閉塞されている状態を示す図。
【図15】電池の電気接点とサーミスタの設定位置を示す図。
【図16】電気回路を示す図。
【図17】図16に示すサーミスタを含む過熱検知ユニットの温度測定ブロックを、さらに詳しく示している図。
【図18】図16と図17に示す制御部内部の全体動作例を示すフローチャートを示す図。
【図19】制御部内部の全体動作のタイムチャートを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0016】
図1は、本発明の酸素濃縮装置の好ましい実施形態を示す外観斜視図であり、図2は、図1の酸素濃縮装置の操作パネルを示す平面図である。
図1に示す酸素濃縮装置10は、圧力スイング吸着型酸素濃縮装置の例であり、たとえば、上端に取っ手となるハンドル12を設けた縦長の本体ケース11を備えている。本体ケース11の上端付近には、操作パネル13がやや前方に傾斜して設けられている。操作パネル13には、左から順に、ダイヤル式の電源スイッチ14と、酸素出口15と、酸素流量設定スイッチ16と、例えば、LEDまたは液晶表示等によりセグメント数字で表示を行う酸素流量表示部18が配置されている。
【0017】
図1と図2に示すように、操作パネル13の中央位置には、段差部分15Dが形成されている。この段差部分15Dは円形状の窪み部分であり、段差部分15Dは、平坦な円形状の底部15Fと、内周部分15Cを有している。段差部分15Dの表面側の直径は底部15F側の直径より大きくなっている。この酸素出口15は、段差部分15Dの底部15Fの中央位置において、底部15Fに対して垂直に向けて突出して設けられている。酸素出口15は、例えば熱伝導率の高いさびにくい金属材料、好ましくは銅合金やアルミニウム合金等により作られている。
このように段差部分15Dが操作パネル13に形成されていることにより、酸素出口15が、操作パネル13の表面部から突出して設けられているのに比べて、酸素出口15を段差部分15D内に位置させることができるとともに、図1に示す過熱検知ユニット300の一部分を正確に位置決めしてはめ込むようにして着脱可能に取り付けることができる。過熱検知ユニット300は、過熱検知アダプタと呼ぶことができる。
【0018】
図1に示す過熱検知ユニット300は、酸素濃縮装置10の酸素出口15と、接続部を構成するカプラソケット23をその一端に有している鼻カニューラ22との間に着脱可能に接続し、装着することで、使用者が鼻カニューラ22を用いて酸素を吸入している際に、火災や異常な高温環境にさらされた場合に、確実に高温環境を検知して、安全性を確保することができるようにするために用いられる。
図1では、この過熱検知ユニット300は、酸素出口15の上方に離して示されている。この過熱検知ユニット300の一部分である保護カバー303(図6,図7等参照)が、段差部分15D内にはめ込まれて、段差部分15Dの内周部分15Cと底部15Fに密着するように、着脱可能に取り付けられるようになっている。後で説明するが、このように保護カバー303が、段差部分15D内がはめ込まれて固定された状態では、過熱検知ユニット300は、酸素濃縮装置10の酸素出口15と鼻カニューラ22のカプラソケット23の開口部とを連通するようにして、酸素出口15とカプラソケット23に対して接続できる。
【0019】
図1に示す本体ケース11の底蓋26には、4つのゴム足27が四隅に固定されており、床面上に設置して使用するときに横滑りを防止している。外出時等の移動時に使用するキャリア25が、2本の固定ネジで底蓋26に対して固定できる。このキャリア25には、上記の各ゴム足27を収容できる孔部が対応位置に穿設されるとともに、四隅に樹脂製の自在キャスタが配置されている。
【0020】
図2は、図1に示す操作パネル13を拡大して示している。
図2に示す電源スイッチ14は、図示のオフ位置と約90度分時計周りに回転したオン位置との間で操作される。この電源スイッチ14のオン位置に相当する位置には、緑と赤に点灯する例えば発光LED等を内蔵した運転状態ランプ14Rが設けられている。また、この運転状態ランプの上にはバッテリ残量モニタ14Aが設けられている。
中央の酸素出口15の上には「点検」の文字またはこれに相当するキャラクター表示等を横に印刷した警報表示部15Aが配置され、この警報表示部15Aの下方には緑と赤と黄色とに点灯する例えば発光LEDを内蔵した酸素ランプ15Lが設けられている。この酸素ランプ15Lは、酸素出口15から酸素が出ていることを点灯表示するものであり、図2の例では、段差部分15Dに沿ってほぼ扇状に形成されている。
【0021】
図2に示す酸素流量設定スイッチ16は、上下矢印を印刷したフラットスイッチ16a,16bとして設けられている。この酸素流量設定スイッチ16は、90%程度以上に濃縮された酸素を、例えば毎分当たり0.25L(リットル)から最大で5Lまで0.25L段階または0.5L段階で押圧操作する度に酸素流量が設定できるように構成されており、上方の酸素流量表示部18で、その時の流量設定値を表示することにより、酸素生成能力を変えることが可能である。同調ランプ19は、濃縮酸素を呼吸同調により断続供給状態で運転中であることを点灯または点滅表示により使用者に知らせるために設けられている。
【0022】
図3は、酸素濃縮装置10の内部構成を示すために、背面側から見た立体分解図である。図3に示すように、樹脂製の底蓋26には、下方より上記のゴム足27が四隅に固定されている。底蓋26は、樹脂製のベース体40の底面に対して複数の固定ネジを用いて固定されている。
このベース体40は、四面から下方に向けて連続形成された壁面を一体成形した箱状に成形されており、裏面の壁面上には、各コネクタ131、130が固定されている。図1のケース本体11に設けた図示しない裏面カバーの各排気口に対向するとともに内部の電源室に連通する排気口40c、40cが図3に示すように穿設されており、これらの排気口40cを介して最終的な外部排気が行われる。このベース体40の上面は、図示のように平らに形成されるとともに、ベース体40の上面には、二段式防音室34の左右面と裏面の三方側から固定ネジで固定するための孔部を穿設した起立部40fが3方から一体成形されている。また、ベース体40の上面には、電源室に連通した排気用開口部40bをさらに穿設している。
【0023】
図3に示す二段式防音室34は、図面の手前側の側方から出し入れ可能な上段部材36上に2個の送風ファン104を固定し、同じく側方から出し入れ可能な下段部材37上に設けた圧縮空気発生部としてのコンプレッサ105を防振状態で配設した密閉箱35として軽量金属板から構成されている。
この二段式防音室34は、図示のように手前側に示した防音室蓋39と奥側に示した防音室蓋38を、図示のように複数の固定ネジで固定するようにしている。この二段式防音室34の内部には防音材51が敷設される。また、外周面には制振部材であって、合成ゴムと特殊樹脂材料を混合した素材をシート状のものが敷設されており、アルミの薄板製である二段式防音室34自体が共鳴などで振動しない。
【0024】
図3に示す二段式防音室34の上段部材36の上方の左右の側壁面には、実線で図示の第1開口部35a(破線図示)が穿設されており、外気を内部に導入するように構成されている。この上段部材36には、図4で説明する配管24を、ラバーブッシュを介して固定するための複数の固定孔36hが穿設されており、配管24を支持するとともに振動防振機能をラバーブッシュと協働して行うように構成されている。
また、各送風ファン104は、例えば、インバータ制御のシロッコファンを用いることができる。各送風ファン104は、それぞれの送風口が下方に向くようにしてブラケットを用いて上段部材36に固定されている。この各送風ファン104の間には、図4に示す三方向切換弁109a,109b等が配置されている。各送風ファン104には、ファン回転検出部126が設けられている。
図3に示す二段式防音室34の左側の側壁面には、筒状の吸着筒体108a、108bが、吸気用バッファタンク101と並べて配置されており、側壁面に固定された固定具49kにバンド49を通過後にバンド49を締め上げることで固定されている。このとき、吸着筒体108a、108bは、ベース体40の上面に載るが、全長の長いバッファタンク101は開口部40d中に一部が挿入されて固定される。
【0025】
図3に示す製品タンク111は、ブロー成形されるポリプロピレン樹脂製であって図示のように長手方向に横たえて上方に配置される。遮蔽板32も軽量化のために樹脂製であり、スピーカ23と外部コネクタ133を設けており、二段式防音室34の上方の外壁面に対して固定ネジを用いて固定される補強を兼ねた取り付け部を一体成形している。また、二段式防音室34の上方の壁面には、放熱部材52、53が固定ネジで固定されるとともに、酸素濃縮装置10の全動作行程において各種判断を行なう判断手段及び全動作行程を制御する制御部としての機能を有する中央制御部200(後述するCPUを含む基板)、モータ制御部を含む基板201他が起立状態で固定されており、放熱効果を高めている。二段式防音室34の右側の側壁面には、酸素センサ114と比例開度弁115と圧力調整器112と流量センサ116とデマンド弁117と回路基板202と温度センサ125が固定されている。
【0026】
図4は、酸素濃縮装置10の系統図(配管図)である。
図4において、二重線は、空気、酸素、窒素ガスの流路であり概ね配管24a〜24gで示されている。また、細い実線は電源供給または電気信号の配線を示している。
以下の説明では、コンプレッサ105として圧縮手段(圧縮空気発生部)と減圧手段(負圧発生部)を一体化構成したものを用いる場合について述べる。しかしながら、この構成に限定されず圧縮空気発生部と負圧発生部を個別に構成しても良いことは言うまでもない。吸気口を介して内部に外気を導入し、排気口2cを介して外部に排出する表面カバーと裏面カバー(ケース本体11の一部)は、密閉容器として図4では破線で図示されている。
【0027】
図4において、導入空気の流れに沿って順次述べる。
空気(外気)が、フィルタ交換用蓋体に内蔵された外気導入用フィルタ20を通過して酸素濃縮装置10の内部に矢印F方向に導入される。この空気は、一対の送風ファン104、104による送風により二段式防音室34内に入る。上述したように、二段式防音室34では、上段部材上に送風ファン104、104を配設し、下段部材にコンプレッサ105を防振状態で配設した二段式防音室34(破線図示の)側面に穿設された開口部を介して二段式防音室34内に空気が入る。この空気の一部をコンプレッサ105の圧縮手段105aに対して原料空気として供給するために、配管24aの開口部が二段式防音室34内に設けられており、配管24aの途中には二次濾過を行う吸気フィルタ101と大容量の吸気マフラ102とが設けられている。このように構成することで、原料空気の吸気音が二段式防音室34内に留まるようにして吸気音を低減している。
【0028】
図4に示す二段式防音室34の内部には、原料空気を圧縮して圧縮空気を発生する圧縮手段105aと、減圧手段105bとを好ましくは一体構成したコンプレッサ105が防振状態で固定されている。このコンプレッサ105に近接して、温度的環境がほぼ同一の箇所に温度センサ125が配置されている(あわせて図3参照)。
次に、濾過された原料空気は、コンプレッサ105の圧縮手段105aで加圧されて圧縮空気となるが、この時に圧縮空気は温度上昇した状態で配管24cに送り出されるので、この配管24cを放熱効果に優れた軽量の金属パイプとし、送風ファン104からの送風で冷却すると良い。このように圧縮空気を冷却することで高温では機能低下する吸着剤であるゼオライトが窒素の吸着により酸素を生成するための吸着剤として、十分に酸素を90%程度以上に濃縮できる。
【0029】
圧縮空気は、配管24cを介して吸着部としての第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bに対して交互に供給される。このため切換弁(三方向切換弁)109a、109bが図示のように接続されている。これらの切換弁109a、109bと、さらに第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bの不要ガスを脱離させるため(パージ(浄化)を行うため)に、減圧手段105bに連通する配管24fには、負圧破壊第1弁120と負圧破壊第2弁(圧調整弁)121が直列に複数(少なくとも2つ)配置されている。これらの負圧破壊第1弁120と負圧破壊第2弁(圧調整弁)121を開くことで、配管24f内の圧力を均圧工程時には大気圧付近まで、所定流量以下では圧力コントロールすることでコンプレッサの振動抑制と低電量化を図っている。
【0030】
図4に示す第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内に夫々貯蔵されている触媒吸着剤の一例としては、ゼオライトが用いられている。
一方、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108bの上方の出口側には逆止弁と、絞り弁と開閉弁とからなる均等圧弁107が分岐接続されている。また、均等圧弁107の下流側は合流するように配管24dが成されており、分離生成された90%程度以上の濃度の酸素を貯蔵するための容器となる製品タンク111が図示のように配管されている。また、各第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内の圧力を検出する圧力センサ208が図示のように配管される。
【0031】
図4に示す製品タンク111の下流側の配管24eには、出口側の酸素の圧力を一定に自動調整する圧力調整器112が配管されている。この圧力調整器112の下流側には、ジルコニア式あるいは超音波式の酸素(濃度)センサ114が接続されており、酸素濃度の検出を間欠(10〜30分毎)または連続で行うようにしている。この下流側には、上記の酸素流量設定スイッチ16に連動して開閉する比例開度弁115が接続されており、その下流側には酸素流量センサ116が接続されている。このセンサ116の下流には、呼吸同調制御のための負圧回路基板を介してデマンド弁117が接続されており、滅菌フィルタ119を経て、酸素濃縮装置10の酸素出口15に対して接続されている。
以上の構成により、使用者は、過熱検知ユニット300と鼻カニューレ22等を経て、最大流量5L/分で約90%程度以上に濃縮された酸素の吸入が可能になる。
【0032】
次に、図4に示す電源系統を説明する。
図4に示すAC電源のコネクタ130は、AC(商用交流)電源を所定直流電圧に整流するスイッチングレギュレータ式のACユニット19に接続される。電源系統は、装置本体に内蔵される内蔵バッテリ228と、コネクタ131を介して着脱自在可能に設けられる外部バッテリ227と、電源制御回路226から構成されている。
内蔵バッテリ228および外部バッテリ227は繰り返し充電可能な2次電池であり、内蔵バッテリ228は電源制御回路226からの電力供給を受けて充電される。なお、少なくとも内蔵バッテリ228は、少なくとも500回(数100回程度)程度の繰り返し充放電が可能で、バッテリ残量、使用充放電サイクル数、劣化程度、出力電圧等のマネジメント機能を有するものが使用され、バッテリ残量、残充電容量、充放電回数を外部の携帯端末などで確認可能なマネジメント機能を有するものが好ましい。
【0033】
外部バッテリ227は、コネクタ131を介する接続状態において、電源制御回路226からの電力供給を受けて充電することもできるが、通常は別途準備されるバッテリチャージャーを用いて繰り返し充電される。または、専用設計されたバッテリチャージャーを一体化した外部バッテリ227として準備しても良い。
以上の電源系統の構成において、酸素濃縮装置10は,ACユニット19からの電力供給を受けて作動する第1電力供給状態と、内蔵バッテリ228からの電力供給を受けて作動する第2電力供給状態と、外部バッテリ227からの電力供給を受けて作動する第3電力供給状態との3系統の電力供給状態の内の一つに自動切換えされて使用される。
この自動切換えのための優先順位は,上記の第1電力供給状態、第3電力供給状態、第2電力供給状態の順序で自動決定するように中央制御部200により電源制御回路226が制御される。
【0034】
ACユニット19は,周波数の違いの影響および電圧の変動を受けずに所定直流電圧を発生することが可能であり、かつまた小型軽量に構成できるスイッチングレギュレータ式が良いが、通常のトランス式でも良い。
また、酸素濃縮装置100の中央制御部200は、生成する酸素量に応じた、最適な動作モードに切り替える機能を備えており、自動的にコンプレッサ105、送風ファン104を、多くの酸素生成をする場合は高速に、少ない酸素生成時において低速に回転駆動する制御を行うことで特に、内蔵バッテリ228を温存させるようにしている。この結果、外部バッテリ227を充電し忘れた場合であっても突然の外出時や停電時等の対応が可能になるように配慮されている。
【0035】
中央制御部200には,コンプレッサ105の直流モータおよび送風ファン104のモータの駆動制御を夫々行うモータ制御部201および上記のスピーカ23Sに接続されることで音声内容を発生する音声制御部203が接続されている。
中央制御部200には、所定動作プログラムを記憶したROMが内蔵されるとともに、記憶装置210と揮発メモリ205と一時記憶装置206とリアルタイムクロック207とがさらに接続されており、酸素濃縮装置100全体を制御するものであり、中央制御部200は外部コネクタ133を介して通信回線などと接続することで記憶内容へのアクセスが可能となる。
【0036】
流量制御部202が、中央制御部200に接続されている。流量制御部202は、上記の三方向切換弁109a、109bと均等圧弁107と、第1吸着筒体108aと第2吸着筒体108b内の不要ガスを脱離させるための負圧発生部105bと配管24f内の圧力を制御するための負圧破壊第1弁120と負圧破壊第2弁121と酸素濃度センサ114と比例開度弁115と、流量センサ116とデマンド弁117を駆動制御する。
【0037】
可変速度制御手段である可変速度制御器をモータ制御部201に備えることにより、使用者の活動レベル、環境条件に基づいてコンプレッサ105の速度を自在に変化させることができる。この結果、使用者が座ったり、寝たりしている等、使用者の酸素要求が比較的低いことがデマンド弁117によって呼吸同調により判断されると、コンプレッサ105の駆動回転速度を自動的に落とすことができる。また、使用者が立ったり、活動的であったり、酸素濃度の低い高地にいるときなど、使用者の酸素要求が比較的高く、酸素要求量が高まったと判断されると速度を自動的に高めることができる。
【0038】
以上のモータ制御によって酸素濃縮装置10全体の消費電力が低減され、充電式バッテリでの駆動時の寿命を延ばすことが可能になるとともに、充電式バッテリの重量と大きさを軽減し、コンプレッサ105の摩耗度を低めて寿命を延ばすことで信頼性を向上できる。このコンプレッサ105は、上記のように圧縮空気発生と負圧発生の両方の機能を備えるものであり、取り出される酸素流量に応じて回転数が自動制御される。
【0039】
ここで、冷却ファンである送風ファン104を駆動するファンモータは、例えばパルス幅変調(PWM)により電圧を制御して所望の回転数制御を行う。これにより、ファンモータの回転数制御を容易に行うことができる。
【0040】
次に、図5と図6を参照して、酸素濃縮装置10の操作パネル13と、この操作パネル13に対して着脱可能に後付けされる過熱検知ユニット300について説明する。
図5は、酸素濃縮装置10の操作パネル13と、過熱検知ユニット300を示す斜視図である。図6(A)は、操作パネル13を示す斜視図であり、図6(B)は、操作パネル13を示す平面図である。
図2に示す操作パネル13の段差部分15Dには、過熱検知ユニット300は装着されていないが、図5と図6では、操作パネル13の段差部分15Dに過熱検知ユニット300が装着されている様子を示している。
図5と図6に示すように、過熱検知ユニット300の下部である保護カバー303は、段差部分15Dにはめ込まれている。過熱検知ユニット300の保護カバー303は、図2に示す段差部分15Dの底部15Fと周囲部分15Cに対して密着して保持されている。過熱検知ユニット300は、酸素濃縮装置10の酸素出口15と鼻カニューラ22のカプラソケット23の開口部とを連通するように酸素出口15とカプラソケット23に対してそれぞれ着脱可能に接続でき、しかも過熱検知ユニット300は、使用者がカニューラを用いて酸素を吸入している際に、火災や異常な高温環境にさらされた場合に、確実に高温環境を検知し、使用時の安全性を確保することができる役割を有している。
【0041】
図7(A)は、過熱検知ユニット300の左側前面から見た斜視図であり、図7(B)は、過熱検知ユニット300の右側前面から見た斜視図であり、そして図7(C)は、過熱検知ユニット300の分解斜視図である。
図7に示すように、過熱検知ユニット300は、筐体301と、この筐体301内に収容される本体部302と、本体部302の下部を覆う保護カバー303を有している。筐体301は本体部302に保持され、保護カバー303は、筐体301の底部を構成し、本体部302を覆う。
また、この筐体301を構成する第1カバーとしてのフロントカバー304と、第2カバーとしてのリアカバー305は、本体部302の側面周囲を覆う外装筐体である。
なお、図7(C)の過熱検知ユニット300の分解斜視図では、保護カバー303の図示を省略している。
【0042】
図7(C)に示す筐体301のフロントカバー304とリアカバー305は、プラスチック、例えば熱可塑性樹脂であるポリカーボネートとABSにより作られている。
フロントカバー304は、湾曲した前面部304Aと窪んだ上面部304Bを有し、下部は開口部304Cとなっているとともに、リアカバー305は、湾曲した後面部305Aと窪んだ上面部305Bを有し、下部は開口部305Cとなっている。フロントカバー304とリアカバー305は、上方側が狭く下方側に広くなっている先細り形状を有しており、開口部304C、305Cは、保護カバー303により閉鎖される。
フロントカバー304とリアカバー305は、本体部302の周囲部分を覆うための内部空間を有しており、上面部304B、305Bは、ほぼ円形状の第1開口部300Hを形成している。この第1開口部300Hからは、本体部302の酸素出口部310が外部に露出している。本体部302の下部は、開口部304C、305Cから露出している。この接続部としての機能を有する酸素出口部310は、例えば図2に示す酸素濃縮装置10側の、接続部としての機能を有する酸素出口15と同様な構造を有しており、図1のカプラソケット23に接続されるカプラソケット用の酸素出口部である。
【0043】
図7(A)に示すように、フロントカバー304の前面部304Aの左側部分の下部とリアカバー305の後面部305Aの左側部分の下部には、取外しボタン311が配置されている。
図7(C)に示すように、本体部302は、酸素出口部310と、ギヤードモータMと、取外しボタン311と、ブザー313と、制御基板314と、可撓性樹脂チューブ、例えば、塩化ビニル樹脂製で、外径5〜6mm,内径4〜6mm、肉厚0.8〜1.2mmのチューブ(内蔵チューブともいう)315と、カム316と、電池317等を有している。チューブ315は、外径が6mmを越えると閉塞構造部400が大きく、重くなり、その結果、過熱検知ユニット300全体が大きく、重くなる。外径が5mm未満では、濃縮酸素に対する流量抵抗が大きくなる。また、内径が4mm未満でも濃縮酸素に対する流量抵抗が大きくなる。また、肉厚が1.2mmを越えると閉塞構造部400を駆動してチューブ315を閉塞させるための駆動力が大きくなる。
図7(C)に示すように、ギヤードモータMは、減速機GMを有しており、減速機GMはギヤードモータMの回転を減速する。制御基板314は、本体部302のフレーム318側に引っ掛けることで固定されている。この制御基板314には、テストモードボタン320と、緑色のLED321G、黄色のLED321Y、そして赤色のLED321R等が搭載されている。
【0044】
図7(C)に示すように、テストモードボタン320は、フロントカバー304の凹部304Eに一体的に設けられた弾性体312V、凹部304Eにはめ込まれた表示部312のボタン操作部312Bに対応しており、緑色のLED、黄色のLED321Y、そして赤色のLED321Rは、表示部312のLED表示部分312Cに対応して配置されている。これにより、使用者が指でボタン操作部312Bを押すことにより、弾性体312Vを介してテストモードボタン320を押すことができる。また、緑色のLED321G、黄色のLED321Y、そして赤色のLED321Rは、表示部312のLED表示部分312Cを通じて、それぞれ緑色光、黄色光、そして赤色光を拡散して発光させることができる。フロントカバー304の前面部304Aの正面側には、表示部312が配置されている。表示部312には、LED表示部312Cに拡散インクが塗布されていることにより、本体部302側のLED(発光ダイオード)がフロントカバー304の開口部304Fを介して発光する際の光の指向性を小さくするために、LEDの発光を拡散させることができる。この表示部312は、3色のLED(緑色のLED321G、黄色のLED321Y、そして赤色のLED321R)の発光を用いて、過熱検知ユニット300が正常動作している状態(緑色のLED321Gを点灯または点滅)、過熱検知された時の酸素の遮断状態、そして電池交換状態を、それぞれ発光色を変えて使用者に対して視覚的に知らせることができる。ブザー313は、例えば圧電ブザーである。
【0045】
図8は、図6(B)に示す過熱検知ユニット300と操作パネル13のC−C線における断面を示している。
図8では、操作パネル13の段差部分15D(図2を参照)と、操作パネル13の酸素出口15と、リアカバー305と、取外しボタン311と、チューブ315と、酸素出口部310等を示しているが、ギヤードモータM等は図示されていない。酸素出口部310は、例えば金属により形成される酸素出口金具である。
操作パネル13の段差部分15D内には、保護カバー303がはめ込んで保持されており、段差部分15D内には筒状に酸素出口15が突出している。
酸素出口15は、本体部302の連結部材330に対して着脱可能に連結されている。この連結部材330は、チューブ315の一端部315Aに対して着脱可能に接続されている。このチューブ315の他端部315Bは、酸素出口部310の内端部310Nに対して着脱可能に接続されている。酸素出口部310の外端部310Mは、図1に示す鼻カニューラ22のカプラソケット23に対して着脱可能に接続されている。酸素出口15と連結部材330とチューブ315と酸素出口部310は、軸方向Lに沿って配列されている。
【0046】
図9(A)は、本体部302を示す斜視図であり、図9(B)は、本体部302の取外しボタン311を分解して示す斜視図である。
図8と図9(B)に示すように、取外しボタン311は、L字型のアーム部311Rと、爪部分311Tと、ボス部311Sを有している。ボス部311Sは、フレーム333に取り付けられている。この状態では、図8に示すように、爪部分311Tは連結部材330の孔部330Hを通って酸素出口15の溝部分15Hに対して、適度な荷重がかかってはまり込むことで、過熱検知ユニット300を酸素出口15に対して固定している。このため、過熱検知ユニット300は、段差部分15Dにはめ込まれた状態で外れることが無い。
過熱検知ユニット300は段差部分15Dから取り外す場合には、使用者が指でこの取外しボタン311をPS方向に押すことで、ボス部311Sを中心にして撓み部分311Vが撓むことにより、爪部分311Tを酸素出口15の溝部分15Hから外すことができるので、過熱検知ユニット300は段差部分15Dから容易に取り外すことができる。これにより、過熱検知ユニット30の取り付けと取外しが容易に行える。
【0047】
図10(A)は、過熱検知ユニット300の平面図であり、図10(B)は、図10(A)の過熱検知ユニット300のA−A線における断面図であり、図10(C)は、保護カバー303を取り除いた過熱検知ユニット300の底面図である。
図10(B)に示すように、酸素出口部310は、フロントカバー304とリアカバー305とフレーム318とにより挟み込むようにして固定されている。すなわち、フロントカバー304の爪部304Sとリアカバー305の爪部305Sは、それぞれフレーム318の凹部318R、318Sにはまり込むことで、フロントカバー304とリアカバー305とフレーム318とにより挟み込んでいる。
【0048】
また、図10(C)に示すように、フロントカバー304とリアカバー305は、フレーム318に対して爪部分を引っ掛けることにより、ネジ、ボルト・ナットを用いることなく固定されている。すなわち、フロントカバー304は、爪部分304Vと304Wを有しており、爪部分304Vと304Wは、それぞれフレーム318に対してはまり込むことにより固定されている。同様にして、リアカバー305は、爪部分305Vと305Wを有しており、爪部分305Vと305Wは、それぞれフレーム318に対してはまり込むことによりネジ、ボルト・ナットを用いることなく固定されている。これにより、フロントカバー304とリアカバー305は、本体部302のフレーム318を用いて、互いに外れないように着脱可能に組み立てられている。
【0049】
図11は、保護カバー303の構造と電池317の交換構造を示す斜視図であり、図11(A)は、保護カバー303の内側形状を示し、図11(B)は、保護カバー303の外側形状を示している。
保護カバー303は、1本のネジ329のみを保護カバー303のネジ穴303Kから挿入して本体部302のメネジ部分302Fにねじ込むことにより、本体部302に対して固定することができる。
図11(A)に示すように、保護カバー303の内面部340側は、細い溝部分303Eを有しており、これらの細い溝部分303Eには、フロントカバー304の底側縁部304Wとリアカバー305の底側縁部305Wがはめ込まれることにより、保護カバー303とフロントカバー304とリアカバー305が一体的に組み立てることができる。これにより、保護カバー303は、フロントカバー304とリアカバー305の底部を閉じるとともに、本体部302を保護している。
使用者は、電池317を新たに装着したり、電池317を交換する場合には、この1本のネジ329を取り外して保護カバー303とフロントカバー304とリアカバー305から取り外すだけで、簡単に電池交換作業が行える。電池317としては例えばリチウム電池を使用することができる。
【0050】
ここで、図11を参照して、保護カバー303の構造について説明する。
図11に示すように、保護カバー303は、本体部302を覆って保護する役割と、図8に示すように操作パネル13の段差部分15D内にはめ込んで保持する役割と、そして光を導くためのレンズの役割を果たす。
保護カバー303は、透明樹脂、例えばアクリルやポリカーボネート等により成形されている。図11(A)と図11(B)に示すように、保護カバー303は内面部340と外面部341を有している。内面部340には、すでに説明した細い溝部分303Eと、凸状のはめ込み用部分342と、電気接点343を有している。この凸状のはめ込み用部分342には、図11(B)に示すように円形の第2開口部344が形成されており、連結部材330の端部がこの第2開口部344にはめ込まれており、連結部材330の端部は、酸素出口15側に連結するために保護カバー303の外側に露出している。
【0051】
図11(A)と図11(B)に示すように、保護カバー303は、周囲部分345とランプ光を導くためのレンズ部350を有している。周囲部分345は、フロントカバー304の底側縁部304Wとリアカバー305の底側縁部305Wの一部に対応する部分に形成されているが、レンズ部350は、リアカバー305の底側縁部305Wの残部に対応する部分に形成されている。このリアカバー305の底側縁部305Wの残部は、図2に示す酸素ランプ15Lに対応する部分である。
図11に示すレンズ部350は、第1光取り入れ部351と第2光取り入れ部352と、第1導光部353と第2導光部354を有している。図6に示すように保護カバー303を操作パネル13の段差部分15D内にはめ込んで保持すると、レンズ部350は、図6と図2に示す酸素ランプ15Lに対応して配置されるようにほぼ扇型に形成されている。
【0052】
図11(A)に示すように、酸素ランプ15Lが発生する光LTは、図11(B)に示す第1光取り入れ部351と第2光取り入れ部352からレンズ部350内に取り込まれて、第1導光部353と第2導光部354において外部に導くことができる。このため、図8に示すように、保護カバー303を操作パネル13の段差部分15D内にはめ込んで保持した状態では、図11(A)に示す酸素ランプ15Lが発生する光LTを、左右位置の第1導光部353と第2導光部354を用いて、目視で容易に確認することができる。すなわち酸素濃縮装置10の操作パネル13の酸素ランプ15Lの光を、第2カバーであるリアカバー305の外周囲の複数個所に導くことができるので、使用者は延長チューブ(不図示)を使用することで酸素濃縮装置100から数m程度まで離れていても、酸素ランプ15Lの光を目視で容易に確認することができる。
【0053】
次に、図8に示すチューブ315の途中部分を閉塞させるための閉塞構造部400について、図12〜図14を参照して説明する。
図12(A)は、閉塞構造部400を含む本体部302を示す斜視図であり、図12(B)は、本体部302のD−D線における断面図である。
閉塞構造部400は、通路の一例であるチューブ315を押し付けてチューブ内を閉塞するために用いられる。閉塞構造部400は、駆動部の一例である電動モータとしてのギヤードモータMと、動作部材の一例であるカム401と、閉塞部材402を有している。
このギヤードモータMは、例えば、減速機GMを備えるDCモータであり、例えば、回転数はおおよそ60〜120rpmに減速される。チューブ315は、例えばプラスチック材料、例えばPVC(塩化ビニル樹脂)やシリコン樹脂等の柔軟性を有し、弾性変形可能な材料により形成されている。
カム401と閉塞部材402は、プラスチック材料、例えばABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)またPOM(ポリアセタール)等により形成されている。カム401と閉塞部材402は、チューブ315の付近に配置されており、閉塞部材402、カム401、ギヤードモータMの順番に、軸方向Lに平行に並べて配置されている。
【0054】
図13(A)は、本体部302のチューブ315がカム401により押されておらず開放されている、すなわち酸素がチューブ315内を通る通常状態を示している。図13(B)は、本体部302の閉塞構造部400とチューブ315のG−G線における断面図である。
また、図14(A)は、本体部302のチューブ315がカム401により押されて閉塞されている、すなわち酸素出口部310において過熱異常を検知して、酸素がチューブ315内を通れない状態を示している。図14(B)は、図14(A)は、本体部302の閉塞構造部400とチューブ315のJ−J線における断面図である。
【0055】
図13と図14を参照して、カム401の好ましい形状例を説明する。
カム401の一端部側は、回転軸404を有している。回転軸404はフレーム318に対してR方向に回転可能になっている。カム401の回転軸404は、ギヤードモータMの出力軸に連結されており、ギヤードモータMの出力軸が正転することで、図13(B)に示すようにカム401はR方向に回転可能であり、ギヤードモータMの出力軸が逆転することで、図14(B)に示すようにカム401はR方向とは逆のR1方向に回転可能である。
カム401の他端部側(回転端部側)は、カム401の回転角度を規制するカムストッパーピン405が取り付けられている。カム401は、曲面状のカム倣い面406を有しているが、カム倣い面406の反対側には凸状の曲面のカム倣い面は不要であるので、ほぼ平坦に形成された平坦面または除去部分407となっている。
【0056】
このように、カム401の一方の側だけ曲面状のカム倣い面406が必要であるが、カム倣い面406とは反対側には曲面状のカム倣い面が不要であることから、好ましくは除去部分407が確保されている。このため、除去部分407を有するカム401は、カムの全周囲に凸状の曲面のカム倣い面が形成されている場合に比べて、カム401の小型化と軽量化が可能であり、しかもカム401を回転させるためのギヤードモータMのトルクを小さく設定できるので、ギヤードモータMの小型化も図れる。
図13(B)に示すように、カム401の先端部には、別の平坦面408が形成されている。このように別の平坦面408を形成しているのは、図14(A)に示すカム401がR方向に180度回転した状態で、図14(B)に示すように、別の平坦面408がアーム402の閉塞部材470を押させた状態を維持するためである。すなわち、別の平坦面408がアーム402の閉塞具470とほぼ平行になるような形状になっているので、チューブ315の途中部分を閉塞後に、もしもギヤードモータMに対する電池317からの電源供給が切れてしまっても、カム401がR1方向に逆転しないようにして、チューブ315の閉塞状態を確実に保持して、チューブ315において酸素を遮断できるようになっている。
【0057】
次に、図13(B)と図14(B)を参照して、閉塞部材402の形状を説明する。
閉塞部材402は、カムの回転角度規制部471と、閉塞具470を有している。カムの回転角度規制部471は、カム401に隣接しており、カムの回転角度規制部471の内面には突起472が突出して設けられている。この突起472は、図13(B)に示すチューブ開放状態では、カム401側のカムストッパーピン405を受ける部分である。これに対して、カムの回転角度規制部471の内面の一部分473は、図14(B)に示すチューブ閉塞状態では、カムストッパーピン405を受ける部分である。これにより、カム401は、図13(B)に示すチューブ開放状態から図14(B)に示すチューブ閉塞状態までの間の角度180度の範囲だけで、回転可能になっている。
【0058】
閉塞具470は、カムの回転角度規制部471と一体成形されており、閉塞具470の一端部471はU方向に下がる可動端部であり、閉塞具470の他端部476は回転中心軸479に取り付けられている。
閉塞具470は、チューブ315に押し付けて潰すための押し潰し部475を有しており、この押し潰し部475はフレーム318の固定部474に対面している。閉塞具470の押し潰し部475と、固定部474との間には、チューブ315が配置されている。これにより、閉塞具470が図13(B)に示すチューブ開放状態から図14(B)に示すようにチューブ閉塞状態までU方向に下がると、チューブ315を押し潰して閉塞し、酸素を通さないようにすることができる。押し潰し部475と、固定部474との間隔tは、例えば1.3mmである。
なお、図13(B)に示すように、押し潰し部475の先端部は、チューブ315を潰し易いようにするために、例えば尖った形状であったり、半円形状であっても良い。
【0059】
図15(A)に示すように電池317の電気端子343は、図11(A)に示すように保護カバー303の内部に配置されている。電池317の他方の電気端子370は、フレーム318に固定されている。
図15(B)に示すように、酸素出口部310における温度を検出するための温度センサとしてのサーミスタ453は、酸素出口部310にフランジ310Fの下部の穴310J内に配置されている。
【0060】
図16は、過熱検知ユニット300の電気回路を示している。
この電気回路は、図7(C)に示す制御基板314に搭載されており、制御部(中央処理部、CPU)450は、過熱検知ユニット300全体を制御するものであり、コンデンサC1、C2と、基準周波数発生部451と、ブザー313と、モータドライバ452と、温度検出センサとしてのサーミスタ453と、LEDドライバ454と、テストモードスイッチ320に、電気的に接続されている。電池317の電力は、モータドライバ452とLEDドライバ454とブザー313に供給される。テストモードスイッチ320はテストスイッチともいい、使用者が過熱検知ユニット300を酸素濃縮装置10の操作パネル13に装着後に、過熱検知動作をテストするために押すようになっている。
図16と図15(B)のサーミスタ453は、過熱検知ユニット300の温度を検知する。図16のモータドライバ452は、ギヤードモータMを正転駆動と逆転駆動をする。図16のLEDドライバ454は、緑色のLED321G、黄色のLED321Y、赤色のLED321Rをそれぞれ駆動する。
【0061】
図16の緑色のLED321Gは、図11の表示部312を通じて緑色を発光することで、過熱検知ユニット300が正常動作していることを知らせ、図16の赤色のLED321Rは、図11の表示部312を通じて赤色を発光することで、過熱検知された時の酸素の遮断状態を知らせ、そして図16の黄色のLED321Yは、図11の表示部312を通じて黄色を発光することで、過熱検知ユニット300電池交換状態を知らせることでき、使用者に対してそれぞれ発光色を変えて異なる状態を知らせることができる。これにより、使用者は各状態を色分けで容易に視認できる。
この場合に、緑色のLED321G、赤色のLED321Y、黄色のLED321Yが点灯すると、図7(A)に示すフロントカバー304の側面部304Aの正面側にある表示部312から各光が拡散されて表示される。すなわち、表示部312には、拡散インクが塗布されていることにより、LED(発光ダイオード)の発光の指向性を拡散してLEDの発光を拡散させることができるようになっている。これにより、LEDが点滅発光しているときでも良好な視認性を得られることができる。
【0062】
図17は、図16に示す過熱検知ユニット300に用いられている温度検出センサとしてのサーミスタ453を含む温度測定ブロック700を、さらに詳しく示している。
図17に示す温度測定ブロック700は、サーミスタ453と、直列抵抗701と、スイッチ702と、A/Dコンバータ703と、レギュレータ704を含んでいる。サーミスタ453と直列抵抗701は、スイッチ702の第1端子707と接地708間に直列に接続され、サーミスタ453と直列抵抗701の接続部分705は、A/Dコンバータ703に接続されている。A/Dコンバータ703は、A/D値入力端子706を有している。スイッチ702の第2端子709は、1.5Vのレギュレータ704に接続されており、このスイッチ702はスイッチ制御信号710により、オンオフ制御される。
【0063】
直列抵抗701の抵抗値R1は例えば27キロオームであり、サーミスタ453は例えば37℃で抵抗値R2が29.937キロオームである。温度測定をするために、このサーミスタ453は、直列抵抗701によりプルアップした状態にして、分圧電圧DRを測定することにより、サーミスタ453の抵抗値から温度を割り出している。この温度測定の際には、レギュレータ704からの参照用の電圧(VREF)1.5Vは、直列抵抗701のプルアップに対して接続したままの状態で、すなわちスイッチ702を閉じた状態では、常に直列抵抗701とサーミスタ453において電力損失を続けてしまうことになる。
【0064】
そこで、スイッチ702がレギュレータ704と直列抵抗701の間に設けている。このため、制御部450は、スイッチ制御信号710を供給して、電圧測定の「A/D変換」の時だけスイッチ702をオンにすることで、レギュレータ704から直列抵抗701とサーミスタ453へ電流供給をし、電圧測定の「A/D変換」以外の時は、スイッチをオフにすることで、レギュレータ704から直列抵抗701とサーミスタ453へ電流供給を遮断することができるようになっている。
これにより、サーミスタ453を用いた温度検出測定でも、電圧測定の「A/D変換」以外の時は、レギュレータ704から直列抵抗701とサーミスタ453への電流供給をカットできるので、極めて消費電流を少なくした温度検出測定が行えるメリットがある。
【0065】
図18は、図16と図17に示す制御部450内部の全体動作例を示すフローチャートを示している。
図18に示すステップST1〜ST6は、制御部450内部の全体動作の初期動作800を示し、図18に示すステップST7〜ST18は、制御部450内部の全体動作のメインループ801を示す。このメインループ801は例えば0.5秒毎に実施される。
初期処理801のステップST1では、ウォッチドッグタイマ(コンピュータのハードウェア時間計測器)をクリアし、ステップST2では、CPU初期化(RAM(ランダムアクセスメモリ)、SFR(Special-Function Register (特別機能レジスタ))の初期化)をし、ステップSST3では、プログラムバージョン番号をセットする。ステップST4では、UART((Universal Asynchronous Receiver Transmitter) :調歩同期方式によるシリアル信号をパラレル信号に変換したり、その逆方向の変換を行うための集積回路)の初期処理をし、ステップST5では、リセット動作の設定処理をする。そして、ステップST6では、リセット動作時の図16に示すブザー313のオン時間のセットをする。
【0066】
図18のメインループ801のステップST7では、A/Dコンバータ703をオンし、ステップST8では、ウォッチドッグタイマをクリアし、ステップST9では、ポート初期化をする。ステップST10では、テストモード判定をし、ステップST11では、A/D変換(3)の動作をする。ステップST12では、図17の温度検出センサであるサーミスタ453の動作判定をし、ステップST13では、シーケンス動作をする。ステップST14では、作動カウントをし、ステップST15では、図16に示す電池317の電圧のモニタ動作をする。ステップST16では、図16のギャードモータMの固着防止時間のカウント動作をし、ステップST17では、図16のブザー313を動作させ、ステップST18では、省電力モード設定を、0.5秒の間隔で行う。
【0067】
ここで、図18に示すメインループ801のステップST7〜ST10までの処理(1)は、1mA以下の使用電流量であり、処理時間は最大で50μ秒である。ステップST12〜ST17までの処理(2)は、1mA以下の使用電流量であり、処理時間は最大で100μ秒である。ステップST11のA/D変換(3)の動作は、1mA以下の使用電流量であり、処理時間は最大で50μ秒である。ステップST18の省電力モード設定では、制御部450が1μA以下の使用電流量のスリープ状態であり、スリープ時間はほぼ0.5秒(500m秒)である。
【0068】
図19は、制御部450内部の全体動作例のタイムチャートである。
図19に示すタイムチャートでは、制御部(CPU)450の使用電流量が1μA以下であるスリープ状態の期間SLPと、そして図18に示す処理(1)と処理(2)とA/D変換(3)とを合計した200μ秒の期間HPを示している。そして、図19では、図18に示す処理(1)と処理(2)とA/D変換(3)を合計した200μ秒の期間HPとその前後を拡大して示している。処理(1)の処理時間TP1は最大で50μ秒であり、A/D変換(3)の処理時間TP3は最大で50μ秒であり、処理(1)の処理時間TP3は最大で100μ秒であることを例示している。従って、制御部450における処理(1)と処理(2)とA/D変換(3)を合計した200μ秒の期間HPの合計時間は、最大で200μ秒である。
【0069】
次に、上述した過熱検知ユニット300の使用例について説明する。
<電池取付け時>
図11(B)に示すように、保護カバー303から1本のネジ329を取り外すだけで、保護カバー303は、フロントカバー304とリアカバー305と本体部302から簡単に取り外すことができる。そして、図15(A)に示すように、本体部302に対して電池317を装着する。その後、図11(B)に示す1本のネジ329のみを用いて、保護カバー303を本体部302に対して固定することで、フロントカバー304とリアカバー305の底部分を閉鎖して、本体部302は、フロントカバー304とリアカバー305と保護カバー303により覆うことができ、図7(A)に示すように過熱検知ユニット300は組み立てた状態になる。
このように、1本のネジ329のみを用いるだけで、保護カバー303をフロントカバー304とリアカバー305から外したり、組み立てることができ、使用者は分解組み立て動作が簡単であり、新たな電池317の装着や、古い電池317を新しい電池317に交換する作業が容易にできる。
【0070】
上述のようにして電池317を本体部302に取り付けると、図15に示す制御部450がシステムを起動して、まずこの電池317が消耗しているかどうかを判定する。電池の消耗の判定には、モータドライバ452がギヤードモータMを起動して、測定された電圧が予め定めた所定電圧よりも低ければ、制御部450は、電池317が消耗していると判定して、図16のLEDドライバ454は、黄色のLED321Yを点滅させて、使用者に対して電池交換を視覚的に促す。
この場合に、黄色のLED321Yが点灯すると、図7(A)に示すフロントカバー304の側面部304Aの正面側にある表示部312から黄色の光が拡散されて表示される。すなわち、表示部312には、拡散インクが塗布されていることにより、LED(発光ダイオード)の発光の指向性を拡散してLEDの発光を拡散させることができるようになっている。これにより、LEDが点滅発光しているときでも良好な視認性を得られることができる。
【0071】
<過熱検知モード>
新しい電池が、消耗した電池に代えて取り付けられると、図16の制御部450は「過熱検知モード」を実行する。この「過熱検知モード」の定常動作の例では、制御部450は、所定秒、例えば、0.5秒毎に、図15(B)に示す温度センサとしてのサーミスタ453を用いて酸素出口部310の温度を確認し、0.5秒毎に図16の電池317の電圧を確認する。しかも、図16の制御部450は、0.5秒毎に起動後の過熱検知ユニット300の稼働日数を確認し、3秒に一度25mSの間緑色のLED321Gを点灯させる。
この緑色のLED321Gが点灯すると、図7(A)に示すフロントカバー304の側面部304Aの正面側にある表示部312から緑色の光が拡散されて表示される。すなわち、表示部312には、拡散インクが塗布されていることにより、LED(発光ダイオード)の発光の指向性を拡散してLEDの発光を拡散させることができるようになっている。これにより、LEDが点滅発光しているときでも良好な視認性を得られることができる。制御部450は上述した定常動作を繰り返す。このような「過熱検知モード」の定常動作以外の時間は、制御部450をスリープ状態にして電池317の消耗を防ぎ、過熱検知を確実に行なうことができる。
【0072】
次に、図8に示すように、電池317を備える過熱検知ユニット300の保護カバー303が、操作パネル13の段差部分15D内にはめ込んで保持される。この場合に、酸素出口15は、本体部302の連結部材330に対して着脱可能に連結される。この場合に、図8と図9に示すように、爪部分311Tは、連結部材330の孔部330Hを通って酸素出口15の溝部分15Hに対して、適度な荷重がかかってはまり込むことで、過熱検知ユニット300を酸素出口15に対して固定している。このため、過熱検知ユニット300は段差部分15Dにはめ込まれた状態で不用意に外れることが無い。このように、過熱検知ユニット300の保護カバー303は、操作パネル13の段差部分15D内にはめ込むだけで、簡単に段差部分15Dに対して固定することができる。
一方、酸素出口部310の外端部310Mは、図1に示す鼻カニューラ22のカプラソケット23に対して着脱可能に接続される。
【0073】
<過熱検知時>
過熱検知ユニット300が上述した過熱検知モードにおいて、図15(B)に示すサーミスタ453が酸素出口部310の温度を検出した結果、この温度が所定温度、例えば40℃を越えたら、図15に示す制御部450は、0.5秒毎に、酸素出口部310の温度を測定する。酸素出口部310の温度が所定温度、例えば、70℃を越えたら、即座に図13(B)から図14(B)に示すようにチューブ315の一部分を押してチューブ314内を閉塞することで、チューブ315における酸素の供給を遮断する。
また、図16に示す制御部450は、酸素出口部310の温度が所定温度、例えば、40℃以上でかつ温度上昇率が所定の上昇率、例えば、1.0℃/秒で5秒間越えたら、即座に図13から図14に示すようにチューブ315を閉塞することで、酸素を遮断する動作を行う。図15に示す制御部450は、酸素出口部310の温度が所定温度、例えば、40℃以上で、かつ温度上昇率が所定の上昇率1.0℃/秒で5秒間以下である場合には、上述した通常の「過熱検知モード」に移行する。こうすることで、夏季等において室内に入射する太陽光や、冬季において暖房機器による熱輻射による誤作動を防止することができる。
【0074】
<酸素遮断動作>
上述した過熱検知時に酸素を遮断する場合には、図13(B)から図14(B)に示すようにチューブ315を開放状態から閉塞状態にする。すなわち、図13(B)において、カム回転規制部471の突起472は、図13(B)に示すチューブ開放状態では、カムストッパーピン405を受けており、カム401が回転軸404を中心にしてR方向(反時計方向)に回転すると、図13(B)から図14(B)に示すように閉塞部材470の一端部470LはU方向に下がり、閉塞部材470の押し潰し部475は、チューブ315に押し付けて潰す。しかも、カム401のカムストッパーピン405は、カム回転規制部471の内面の一部分473に突き当たっているので、これ以上カム401がR方向に回転するのを防止している。これにより、チューブ315は閉塞されることで、酸素を遮断することができる。
【0075】
図14(B)に示す酸素の遮断状態では、カム401の平坦面408が形成されているので、平坦面408がアーム402の閉塞部材470を押させた状態を維持する。すなわち、平坦面408がアーム402の閉塞部材470とほぼ平行になるような形状になっている。このため、チューブ315の途中部分を閉塞後に、仮にギヤードモータMに対する電池317からの電源供給が切れてしまって、チューブ315の弾性復帰力が閉塞部材470に対して加わっても、カム401がその弾性復帰力により押されてR1方向に逆転しないようにして、チューブ315の閉塞状態を確実に保持して、酸素を遮断できるようになっている。
このように、酸素の遮断状態は、カム401には平坦面408があることにより、電池の残容量が無くなったとしてもそのまま継続できるので、酸素の遮断状態が終了することは無く酸素の遮断状態を確実に保持でき、酸素出口部310から酸素が漏れるのを防いで安全性を確保できる。
【0076】
酸素を遮断すると、図16のRAM,フラッシュROM,マイクロコンピータを含み、過熱検知ユニット300の全体の動作を制御する制御部450が赤色のLED321Rを連続して赤色点灯させることで、使用者に対して酸素が遮断されていることを視覚的に知らせる。しかも、図15の制御部450がブザー313を鳴らす。ただし、使用者が図16のテストモードボタン320を押したら、このブザー320の動作を停止させることができる。
図14(B)において、図16の制御部450がギヤードモータMをR1方向(時計方向)に回転させると、図13(B)に示すようにカム401の平坦面408がアーム402の閉塞部材470を押している状態を解除できるので、チューブ315は弾性復帰力により復帰した状態に戻すことができる。
【0077】
<電池警報>
ところで、図16の電池317の電圧が低下したり、過熱検知ユニット300の起動日数が1年を超えたら、該過熱検知ユニットの動作を確認できるような報知部として、この実施形態では、例えば動作ランプを設けている。この実施形態では、動作ランプである黄色のLED321Yを黄色点滅させる。ただし、この電池警報が一度作動すると、電池317を本体部302から抜かない限り電池警報が解除されず、警報解除はしない。新しい電池317を古い電池317に代えて取り付けることにより、電池警報がリセットされて、通常状態に復帰する。
【0078】
<固着防止>
ところで、酸素濃縮装置10に対して取り付けられた過熱検知ユニット300が、ギヤードモータMを長時間動作させていない場合には、ギヤードモータMのロータがステータに対して固着してしまう現象、いわゆる「しぶり現象」が生じるおそれがある。このようにロータがステータに対して固着してしまう現象を防止するために、例えばギヤードモータMの出力軸を正方向に0.2秒間回転して、図14(B)に示すようにカム401を用いてチューブ315を少し潰して、0.3秒間ギヤードモータMをブレーキ(端子間短絡)する。その後、チューブ315が閉塞しないように、0.5秒間ギヤードモータMの出力軸を逆方向に回転させる。この固着防止動作は、制御部450のマイクロコンピュータにより、予め定めた時間間隔、例えば30日ごとに実行される。またこの固着防止動作は、使用者にはわからないようにするため、LED点灯やブザー313を鳴らさない。これにより、ギヤードモータMのロータがステータに対して固着してしまう現象を防いで、ギヤードモータMがいつでも確実に駆動できるようにすることで、過熱検知ユニット300が過熱状態を検知した場合に、必ずギヤードモータMを作動させて酸素の遮断を行うことできるので、過熱検知ユニット300の動作信頼性を確保することができる。
【0079】
<テストモードボタン>
上述した過熱検知の定常動作中に、図16のテストモードボタン320が押されると、過熱検知状態を所定秒、例えば、15秒間再現するために、中央制御部450は制御以下の動作を行う
ギヤードモータMの出力軸を正方向に回転し、カム401でチューブ315を潰す。動作ランプである赤色のLED321Rに赤色点灯して、ブザー313を鳴らす。ただし、ブザー313の鳴動は最初の5秒間だけになる。
15秒経過後には、ギヤードモータMの出力軸を逆方向に回転し、図13(B)に示すようにカム401を回転してチューブ315の閉塞を解除して、チューブ315を通じて酸素供給を再開する。赤色のLED321Rを消灯して、ブザー313の鳴動を停止して、元の定常動作へ復帰する。
過熱検知ユニット300が酸素濃縮装置10の操作パネル13の段差部分15Dに後付けで取り付けられるのであるが、取り付けた際には過熱検知ユニット300の動作のテスト確認が必要であることから、使用者が過熱検知ユニット300の動作を確認するために、このテストモードボタン320は用意されている。なお、電池317の代わりに、過熱検知ユニット300と酸素濃縮装置100双方に電磁誘導コイルを設け、酸素濃縮装置100から過熱検知ユニット300に電源供給するようにしてもよい。
【0080】
上述したように過熱検知ユニット300が動作するのであるが、図18に示すように、メインループ801は、例えば0.5秒毎に繰り返す構成になっている。このメインループ801において、制御部450が処理をするための動作時間は、わずかに図19に示す処理(1)の動作と処理(2)の動作とA/D変換(3)の動作を合計した200μ秒前後の期間HPである。
この200μ秒前後の期間HPでは、図16に示す制御部450の周辺の要素(サーミスタ453による温度検出動作時の電流や、赤色のLED321R、黄色のLED321Y、緑色のLED321Gの点灯動作の電流や、ギヤードモータMの動作時の電流を除く)の消費電流だけでも、500μA以上を消費する。しかし、200μ秒前後の期間HP以外の制御部450のスリープ状態の期間SLPでは、制御部450はスリープ状態であるので制御部450の周辺の消費電流は、1μA以下になる。 制御部450動作中の消費電流が例えばXμAを連続200μ秒間消費するとした場合、1サイクル0.5秒間での平均値に換算すると、XμA×200μ秒/0.5秒=XμA/2500であって、すなわち制御部450動作中の消費電流は、平均値としては2500分の1になる。
この結果、制御部450周辺部の平均消費電流値としては、スリープ状態の消費電流と制御450動作中の消費電流の2500の1分の合算値程度にする事ができる。
【0081】
図19に示す電圧測定を行う「A/D変換(3)」の時だけ、制御部450のスイッチ制御信号710に従って、スイッチ702はオフ状態からオン状態に切り替えられ、スイッチ702をオン状態にすることで、図17のレギュレータ704から直列抵抗701とサーミスタ453へ電流供給を行う。これにより、制御部450は、図17に示すA/Dコンバータ703のA/D値入力端子706を通じて A/D値入力708を得て、温度検出を行える。
一方、図16に示す内蔵の電池317の消耗をできる限り少なくするために、図19に示す電圧測定を行う「A/D変換(3)」の時以外の期間、すなわち制御部(CPU)450のスリープ状態の期間SLPと処理(1)と処理(2)の期間では、制御部450は、図17に示すA/Dコンバータ703のA/D値入力端子706を通じてA/D値入力708を得る必要が無いので、制御部450は、図17に示すスイッチ702にスイッチ制御信号710を送り、スイッチ702をオフ状態にする。
これにより、過熱検知ユニット300では、サーミスタ453を用いた温度検出測定を行っても、電圧測定の「A/D変換(3)」以外の時は、レギュレータ704から直列抵抗701とサーミスタ453への電流供給をカットできるので、過熱検知ユニット300において、消費電流を少なくした温度検出測定が行える。過熱検知ユニット300は、温度検出センサであるサーミスタ453に対する電流供給量を削減できるので、酸素濃縮装置1に対して装着してより長い期間動作させることができる。
【0082】
図16に示す過熱検知ユニット300では、電源として内蔵の電池317を用いており、図17に示す制御部450のレギュレータ704はこの電池317から得ているので、電池317の寿命が、例えば設計上では1年以上、好ましくは設計目標としては2年程度持続する必要がある。
すでに説明したように、図17の制御部450は、温度検出センサを用いて最低でも1秒毎に、実際には好ましくは500m秒毎の間隔で過熱検知ユニット1における温度のチェックをしなければならない。温度検出センサとしては、好ましくはサーミスタ453を用いているので、直列抵抗701を用いて抵抗分圧による分圧電圧DRを測定することにより、サーミスタ453の抵抗値から温度を算出する必要があり、制御部450のレギュレータ704が直列抵抗701とサーミスタ453に対して、わずかな電流であってもずっと通電し続けると、大きな電流容量が必要となり、電池317の寿命が短くなってしまう。
【0083】
例えば、使用されているサーミスタが25℃の時の抵抗は50キロオームであり、3Vの電池に接続した場合には、サーミスタだけでも消費電流が60μAになる。電池は、このサーミスタに通電するだけではなく、ギャードモータMの駆動や、赤色のLED321R、黄色のLED321Y、緑色のLED321Gの点灯動作等も行うのではあるが、過熱検知ユニット300では、できる限りサーミスタ453に対する通電電流量を減らすことができるので、過熱検知ユニット300は電池317の寿命を伸ばすことで、長い期間酸素濃縮装置1に装着して使用することができる。
制御部450は、温度検出センサであるサーミスタ453からの温度検出信号をA/D変換する動作時に温度検出センサに電流を供給するためにスイッチ702をオン状態にし、A/D変換する動作以外の時には温度検出センサであるサーミスタには電流を供給しないようスイッチ702をオフ状態にすることができる。このため、温度検出センサであるサーミスタ453に対して常時通電する必要が無くなり、過熱検知ユニット300は、温度検出センサに対する電流供給量を削減して酸素濃縮装置に装着して長期間動作させることができる。
【0084】
本発明は、上述の各実施形態に限定されず、酸素選択透過膜を用いた膜分離型酸素濃縮装置にも適用できる。また、過熱検知ユニットを、酸素ボンベを用いた酸素供給装置にも適用できる。上記実施形態に記載された事項は、その一部を省略してもよいし、上記で説明しない他の構成と組み合わせることによっても本発明の範囲を逸脱するものではない。
温度検出センサとしては、サーミスタ以外に他の種類のセンサを用いることもできる。過熱検知ユニットは、酸素濃縮装置の酸素出口とカプラソケットを有する鼻カニューラとの間、もしくは酸素出口と鼻カニューラと接続されるチューブの一端に設けられたカプラソケットとの間に配置できる。
【符号の説明】
【0085】
10・・・酸素濃縮装置、15・・・酸素出口、300・・・過熱検知ユニット、301・・・筐体、302・・・本体部、303・・・保護カバー、304…フロントカバー、305・・・リアカバー、310・・・酸素出口部、315・・・チューブ(通路の一例)、450・・・制御部、453・・・温度検出センサとしてのサーミスタ、700・・・温度測定ブロック、701・・・直列抵抗、702・・・スイッチ、703・・・A/Dコンバータ、704・・・レギュレータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料空気から濃縮酸素を生成し、前記濃縮酸素を取り出す酸素出口を有する酸素濃縮装置の前記酸素出口とカプラソケットを有する鼻カニューラとの間もしくは前記酸素出口と前記鼻カニューラと接続されるチューブの一端に設けられたカプラソケットとの間に配置されて、過熱状態を検知する過熱検知ユニットであって、
前記酸素出口に接続される連結部材と、前記カプラソケットに接続されるカプラソケット用の酸素出口部を有する本体部と、前記本体部を覆う筐体とを備え、
前記本体部は、
前記酸素出口部の温度を検出する温度検出センサと、
前記連結部材と前記カプラソケット用の酸素出口部との通路を閉塞して酸素の供給を遮断する閉塞構造部と、
前記温度検出センサから得られる前記酸素出口部の温度が予め定めた温度以上であると、前記閉塞構造部を動作させて前記酸素の供給を遮断させる制御部と
を有し、
前記制御部は、前記温度検出センサからの電圧をA/D変換する動作時に前記温度検出センサに電流を供給するためにオン状態になり、前記A/D変換する動作以外の時には前記温度検出センサには電流を供給しないようにオフ状態になるスイッチを有する
ことを特徴とする過熱検知ユニット。
【請求項2】
前記温度検出センサは前記カプラソケット用の酸素出口部に配置され、前記温度検出センサと直列に接続された直列抵抗を有し、前記制御部では、前記直列抵抗による分圧電圧を測定して前記温度検出センサの抵抗値から前記酸素出口部の温度を割り出すことを特徴とする請求項1に記載の過熱検知ユニット。
【請求項3】
前記温度検出センサは、サーミスタであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の過熱検知ユニット。
【請求項4】
前記閉塞構造部は、前記連結部材と前記カプラソケット用の酸素出口部の間を接続している弾性変形するチューブを押すことで酸素の供給を遮断する閉塞部材を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の過熱検知ユニット。
【請求項5】
原料空気を圧縮して圧縮空気を発生する圧縮空気発生部と、前記圧縮空気から得られる酸素を取り出す酸素出口を有し、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の前記過熱検知ユニットを備えることを特徴とする酸素濃縮装置。
【請求項1】
原料空気から濃縮酸素を生成し、前記濃縮酸素を取り出す酸素出口を有する酸素濃縮装置の前記酸素出口とカプラソケットを有する鼻カニューラとの間もしくは前記酸素出口と前記鼻カニューラと接続されるチューブの一端に設けられたカプラソケットとの間に配置されて、過熱状態を検知する過熱検知ユニットであって、
前記酸素出口に接続される連結部材と、前記カプラソケットに接続されるカプラソケット用の酸素出口部を有する本体部と、前記本体部を覆う筐体とを備え、
前記本体部は、
前記酸素出口部の温度を検出する温度検出センサと、
前記連結部材と前記カプラソケット用の酸素出口部との通路を閉塞して酸素の供給を遮断する閉塞構造部と、
前記温度検出センサから得られる前記酸素出口部の温度が予め定めた温度以上であると、前記閉塞構造部を動作させて前記酸素の供給を遮断させる制御部と
を有し、
前記制御部は、前記温度検出センサからの電圧をA/D変換する動作時に前記温度検出センサに電流を供給するためにオン状態になり、前記A/D変換する動作以外の時には前記温度検出センサには電流を供給しないようにオフ状態になるスイッチを有する
ことを特徴とする過熱検知ユニット。
【請求項2】
前記温度検出センサは前記カプラソケット用の酸素出口部に配置され、前記温度検出センサと直列に接続された直列抵抗を有し、前記制御部では、前記直列抵抗による分圧電圧を測定して前記温度検出センサの抵抗値から前記酸素出口部の温度を割り出すことを特徴とする請求項1に記載の過熱検知ユニット。
【請求項3】
前記温度検出センサは、サーミスタであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の過熱検知ユニット。
【請求項4】
前記閉塞構造部は、前記連結部材と前記カプラソケット用の酸素出口部の間を接続している弾性変形するチューブを押すことで酸素の供給を遮断する閉塞部材を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の過熱検知ユニット。
【請求項5】
原料空気を圧縮して圧縮空気を発生する圧縮空気発生部と、前記圧縮空気から得られる酸素を取り出す酸素出口を有し、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の前記過熱検知ユニットを備えることを特徴とする酸素濃縮装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−170780(P2012−170780A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38575(P2011−38575)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【出願人】(396007694)株式会社医器研 (57)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【出願人】(396007694)株式会社医器研 (57)
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