説明

過熱水蒸気による電子基板の分解

【課題】
従来は、燃焼させるか高温の還元性雰囲気で加熱して金属を分離していたためガスやタールの発生が多く、その処理に手間がかかっていた。
【解決手段】
過熱水蒸気を加熱源に用いるため、凝縮熱が利用でき温度を低く抑えることや加熱時間を短くすることによりガスの発生やタールの発生を少なく抑えることが可能となった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃電子基板の基板および積層基板を、樹脂と金属に分解する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガラス積層基板から金属を回収する方法は、高温の炉内で樹脂を燃焼させ金属を回収する方法が一般的である。
【0003】
また、500℃〜1000℃の還元性雰囲気下で乾留し、炭化し、残留物を冷却し粉砕後粉砕物から銅などの金属と、ガラスなどを分別回収することが提案されている。掃き込み側端縁近傍箇所に、該底板の幅方向に延びる複数の条の凹講を形成したちりとりが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−256863
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1は温度が高く設備の断熱が難しいこと、還元性雰囲気を実現するために特殊なガスを使用すること、温度が下がる際に酸素濃度管理を厳重にしないとハロゲン系のダイオキシンが発生すること、高温の温度で処理するために大量のハロゲンやタールが発生するなどの欠点があり、実用化になっていない。
本発明は、上記のような課題に鑑み、その課題を解決すべく創案されたものであって、その目的とするところは、温度を下げることにより装置を簡単にし、ダイオキシンの発生を抑え、かつ安全な環境下で処理できる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、過熱水蒸気でプリント基板を加熱することにより酸素濃度の低い環境を形成することができ、酸化しないで加熱することが可能となる。過熱水蒸気の凝縮熱を利用するため、加熱時間が短くなり、ガスの発生を抑えることに有効である。さらに加熱することで積層基板を接着していた接着剤が軟化、または蒸発することにより金属と樹脂の積層材を分離することを特長とした分離方法である。このことにより発生ガスや分離した金属を酸化させることなく回収することが可能となるため、金属のリサイクルが簡単になる等の効果がある。
【0007】
請求項2の発明は、過熱水蒸気中の酸素濃度の低い環境で基板を加熱することにより、基板を炭化することが可能となる。このあと機械的な力を加えることにより金属を簡単に分離し回収することが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1、2の記載の発明によれば、過熱水蒸気で加熱することにより、安全かつ効率よくプリント基板から金属を回収することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の1例として、プリント基板から過熱水蒸気を用いて金属を回収する方法について説明する。プリント基板を密閉容器の中に設置し、過熱水蒸気を流しながら内部の空気を追い出し、プリント基板を加熱する。温度は250℃〜1000℃とし、酸素濃度は0.1%〜20%との範囲とする。
【0010】
本発明のもう一つの例として、プリント基板から過熱水蒸気を用いて金属を回収する方法について説明する。プリント基板を連続式のコンベアの中に設置し、過熱水蒸気を流しながら内部の空気を追い出し、プリント基板を加熱する。温度は250℃〜1000℃とし、酸素濃度は0.1%〜20%との範囲とする。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板を過熱水蒸気で加熱し、酸化物の発生を抑制し、金属と樹脂部を分離する方法。
【請求項2】
プリント基板を過熱水蒸気で加熱し、炭化する方法。


【公開番号】特開2011−47017(P2011−47017A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197864(P2009−197864)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(594073129)新熱工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】