説明

過熱蒸気調理器具

【課題】調理時の加熱の温度ムラがなく、外部熱源の調節により比較的低温でも水分残りが少ない過熱蒸気が得られる過熱蒸気調理器具を提供する。
【解決手段】過熱蒸気調理器具10は、内鍋20と外鍋30の間に過熱蒸気室96を備え、上部が耐熱性の蓋26で覆われる。外鍋30の内側底面には、中央ボイラ室72の周囲に蒸気通路76,78,リング状ボイラ室80,蒸気通路82,84を配置した過熱蒸気生成ユニット70が設けられる。リング状ボイラ室80は中央ボイラ室72との間で、水及び蒸気が連通している。中央ボイラ室72とリング状ボイラ室80で生成した水蒸気は、蒸気通路76で加熱されて過熱蒸気となり、リング状ボイラ室80と隣接する蒸気通路78,82で冷却されて大きい蒸気粒が除去される。そして、蒸気通路84で再加熱されて過熱蒸気室96へ送られ、内鍋20の吹出口22から内部に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過熱蒸気を利用した過熱蒸気調理器具に関し、更に具体的には、調理時の加熱の温度ムラの解消と、過熱蒸気粒子の微細化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
過熱蒸気は、空気を汚さないため環境に好ましく、対流のみならず放射によっても熱を伝達する作用があるために熱容量が非常に大きいという特徴があり、従来にない加熱媒体として各方面から注目されている。過熱蒸気を調理に利用した例としては、例えば、下記特許文献1に示す調理器がある。該特許文献1には、水を供給する水タンクと、前記水タンクから供給された水を加熱する蒸気発生手段と、前記蒸気発生手段からの蒸気をさらに高温に加熱する蒸気過熱手段と、調理容器と、蓋とにより構成され、前記蒸気過熱手段からの過熱蒸気は、調理容器の上部及び下部から供給できることが開示されている。
【0003】
また、下記特許文献2には、食品加熱装置として利用できる加熱処理装置が開示されている。該特許文献2の加熱処理装置では、過熱処理室を形成するハウジングの下部に配設される金属製加熱板が、該加熱板の下部に配設される加熱手段によって加熱され、該加熱板内を通流する流体が水から過熱蒸気まで一気に加熱される構造となっている。前記加熱板の内部には、渦巻形状の流体用通路が形成され、この流体用通路の気液2相流領域では、通路幅を漸次拡径した構造とし、その後は拡径した通路幅のまま僅かに大きい幅としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−265317号公報
【特許文献2】特開2006−317103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術では、前記水タンク,蒸気発生手段,蒸気過熱手段が筐体内に設けられているため、調理器全体が大型化,重量化するという課題があった。また、過熱蒸気の供給口を調理容器の上部と下部に設けているが、容器の温度を高めて結露を少なくするためには、同文献公報の第4図に示すように、調理容器の底部に別途ヒータ等を設ける必要がある。次に、前記特許文献2に記載の技術では、水から水蒸気になる部分(ボイラ部)と、水蒸気から過熱蒸気になる部分(過熱蒸気生成部)とでは、ボイラ部の温度が110℃程度、過熱蒸気部の温度が300℃程度となり、温度差がある。従って、加熱板の上部に配設される過熱処理室の底面温度にムラが生じ、調理対象物が均等に加熱されない。更に、特許文献2のように、電磁誘導加熱を行う場合、IHヒータの温度調節をして過熱蒸気が200℃以下になると、水分が残ってしまうという課題があった。
【0006】
本発明は、以上のような点に着目したもので、調理時の加熱の温度ムラがなく、かつ、外部熱源の調節により比較的低温(200℃以下)にしても、水分残りが少なく微細な過熱蒸気が得られる過熱蒸気調理器具を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の過熱蒸気調理器具は、過熱蒸気の吹出口が上方に複数設けられており、調理対象が入れられる内鍋と、該内鍋の外側に配置される外鍋と、前記内鍋及び外鍋の上部開口を覆う耐熱性の蓋と、前記外鍋の内側底面に設けられており、外部の熱源上に前記外鍋が置かれたときに、該熱源によって加熱され、過熱蒸気を生成する過熱蒸気生成ユニットと、前記内鍋と外鍋の間に形成されており、前記過熱蒸気生成ユニットによって生成した過熱蒸気が供給されるとともに、前記内鍋の吹出口に続く過熱蒸気室と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
主要な形態の一つは、前記過熱蒸気生成ユニットは、水を加熱して過熱蒸気を生成する過熱蒸気生成機構と、該過熱蒸気生成機構によって生成した過熱蒸気を冷却する冷却機構と、該冷却機構によって冷却された過熱蒸気を、再度加熱する再加熱機構と、を含むことを特徴とする。
【0009】
他の形態は、前記過熱蒸気生成ユニットは、貯留された水を前記外部熱源により加熱して水蒸気を生成する中央ボイラ室と、該中央ボイラ室の外周側に略同心円状に形成された複数の流体通路とによって構成されており、前記複数の流体通路のうち、前記中央ボイラ室に隣接しない通路を、底面側で中央ボイラ室と連結して水を通し、水面より上方において中央ボイラ室と連結して蒸気を通すことでリング状ボイラ室とし、前記中央ボイラ室とリング状ボイラ室の間,及び、前記リング状ボイラ室の外周側のそれぞれに、一周以上の蒸気通路を設けるとともに、前記中央ボイラ室と隣接する蒸気通路の間,前記リング状ボイラ室を挟んで隣接する蒸気通路の間,蒸気通路同士が隣接する場合のこれら隣接する蒸気通路の間,最外周の蒸気通路と前記過熱蒸気室の間のそれぞれに、内周側から外周側へ蒸気を送る蒸気送り口,を設けたことを特徴とする。
【0010】
更に他の形態は、前記過熱蒸気生成ユニットは、前記外鍋の底面側から前記中央ボイラ室の底部を開閉可能としたことを特徴とする。更に他の形態は、前記外鍋又は内鍋に一体に設けられた取手の内部に形成された貯水室,該貯水室から前記中央ボイラ室又は前記リング状ボイラ室に水を供給する給水路,前記貯水室と給水路間の開閉を行うシャッタ手段,を備えたことを特徴とする。更に他の形態は、前記蓋に付着した水滴を回収し、前記中央ボイラ室又は前記リング状ボイラ室へ送る回収手段,を設けたことを特徴とする。
【0011】
更に他の形態は、前記過熱蒸気生成ユニットは、前記外鍋に対して着脱可能であることを特徴とする。更に他の形態は、前記過熱蒸気生成ユニットは、上部が着脱可能な蓋形状に形成されていることを特徴とする。更に他の形態は、前記内鍋が前記外鍋に対して着脱可能であることを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、内鍋と外鍋の間に過熱蒸気室を設け、これら内鍋と外鍋の上部開口には耐熱性の蓋を設ける。そして、前記過熱蒸気室へ送る過熱蒸気を、前記外鍋の底面に設けた過熱蒸気生成ユニットにより生成し、前記内鍋に設けた複数の吹出口から前記過熱蒸気室の過熱蒸気を内鍋の内側に供給することとした。このため、内鍋全体が過熱蒸気室の過熱蒸気により高温状態を維持し、内鍋内に供給された過熱蒸気の熱量の損失を抑制して、効率よく短時間で調理を行うことが可能となる。また、内鍋の温度ムラを防止して、調理対象物への熱の通り方を均等にすることができる。更に、前記過熱蒸気生成ユニットでは、水を加熱して生成した過熱蒸気を少なくとも一度冷却することによって粒の大きい蒸気を除去する。そして、粒の細かい過熱蒸気のみを再加熱し、過熱蒸気室へ送ることとしたので、外部熱源の調節により過熱蒸気の温度が低下しても、水分残りが少ない微細な過熱蒸気の粒子によって調理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例の過熱蒸気調理器具を示す断面図である。
【図2】前記図1の過熱蒸気生成ユニットを矢印F1方向から見た平面図である。
【図3】本発明の実施例2の過熱蒸気調理器具を示す断面図である。
【図4】前記実施例2の内鍋を外鍋に取り付ける様子を示す平面図である。
【図5】本発明の実施例3の過熱蒸気調理器具を示す断面図である。
【図6】本発明の実施例4の過熱蒸気調理器具を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
最初に、図1及び図2を参照しながら本発明の実施例1を説明する。図1は、本実施例の過熱蒸気調理器具(以下「調理器具」とする)の全体構成を示す断面図である。図2は、本実施例の過熱蒸気生成ユニットの平面図であり、前記図1を矢印F1方向から見た図に相当する。本実施例の調理器具10は、内鍋20と、外鍋30と、蓋26と、給水用の取手40と、過熱蒸気生成ユニット70により構成されている。本実施例の調理器具10は、前記内鍋20と外鍋30が一体型に構成された例である。前記蓋26は、前記内鍋20及び外鍋30の上部開口を覆って密閉状態を保つものであって、例えば、公知の耐熱性ガラス等によって形成され、上部には蓋26を開け閉めするためのつまみ28が設けられている。なお、以下の説明において、単に「蒸気」というときは、「水蒸気」と「過熱蒸気」の双方を含むものとする。
【0016】
前記内鍋20は、内側に過熱蒸気98を供給して、調理対象14の調理を行うものである。該内鍋20の上縁20Aには、外側に向けて低くなるようにテーパ24が形成されており、蓋26の内側に付着して液化した水分が、内鍋20内に戻らず、後述する溝56から回収できる構成となっている。前記内鍋20の側面20Cの上方(図示の例では、前記上縁20Aの直下)には、複数の吹出口22が設けられている。該吹出口22を小径にすると、過熱蒸気98の吹出圧力が高まり、調理対象14が水ものであっても十分に加熱調理することができる。前記吹出口22の径は、必要に応じて適宜設定される。該吹出口22は、略等間隔で、例えば、10箇所程度形成される。
【0017】
前記外鍋30は、前記内鍋20の外側に一体的に形成され、かつ、前記内鍋20との間に過熱蒸気98を満たすための過熱蒸気室96を形成している。そして、前記外鍋30の内側の底面30Bには、前記過熱蒸気98を生成するための過熱蒸気生成ユニット70が設けられている。本実施例では、図1に示す通り、過熱蒸気生成ユニット70は、前記外鍋底面70Bと一体的に形成されている。また、前記外鍋30の上縁30Aには、前記蓋26を受ける受け部32が形成されている。該受け部32と前記内鍋20の上縁20Aとの間には、図2に示すように、前記蓋26の内側に付着して液化した水分を回収するための溝56が、全周にわたって形成されている。前記溝56に溜まった水は、回収口58から回収管60を介して、過熱蒸気生成ユニット70に送られ、過熱蒸気の生成の際に再利用される。
【0018】
次に、前記外鍋30の上方には、前記過熱蒸気生成ユニット70に水を供給するための給水手段を兼ねた一対の取手40が、対向する位置に設けられている。前記取手40の内側は、水90を貯留できる貯水室42として形成されている。該貯水室42には、取手の上部に設けられた開口44から水が供給され、水の供給又は排出の時以外は、前記開口44にはキャップ46が設けられる。一方、前記外鍋上縁30Aには、前記貯水室42の水を過熱蒸気生成ユニット70へ送るための給水管54に接続した給水路34が形成されている。前記貯水室42の給水口48と前記給水路34の間には、開閉可能なシャッタ50が設けられている。該シャッタ50は、図2に示すように、取手40の上部に設けられた保持部52により、スライド可能となるように上端側が保持されている。更に、本実施例では、前記取手40の上部には、給水のタイミングを知らせるランプ47が設けられている。以上のような構成の外鍋30は、外部の熱源12上に置かれて使用される。なお、熱源12としては、公知のガスコンロであってもよいし、IHヒータであってもよい。
【0019】
次に、過熱蒸気生成ユニット70について説明する。該過熱蒸気生成ユニット70は、前記外鍋30の底面30Bが外部の熱源12上に置かれたときに、該熱源12によって加熱され、過熱蒸気98を生成するものである。生成された過熱蒸気98は、前記過熱蒸気室96へ送られ、更に、内鍋20に設けられた吹出口22から内鍋20の内部に供給される。前記過熱蒸気生成ユニット70は、水を加熱して過熱蒸気を生成する過熱蒸気生成機構と、生成した過熱蒸気を冷却する冷却機構と、冷却された過熱蒸気を、再度加熱する再加熱機構を備えたものであればよい。生成した過熱蒸気を冷却することで、蒸気粒の大きい過熱蒸気を除去することができ、その後の蒸気粒の細かい過熱蒸気のみを再加熱することで、水分残りの少ない過熱蒸気が得られる。これは、熱源12(例えばIHヒータ)の温度調節をし、生成する過熱蒸気の温度が200℃以下となるような場合に好適である。
【0020】
本実施例では、前記過熱蒸気生成ユニット70として、図1及び図2に示す構造のものを利用している。具体的には、過熱蒸気生成ユニット70は、中央ボイラ室72と、その外周側に略同心円状に設けられた複数の隔壁74A〜74Fにより形成される複数の流体通路により構成されている。前記中央ボイラ室72は、外鍋底面30Bの略中央部に形成されており、貯留された水90を前記熱源12により加熱することで水蒸気を生成するものである。本実施例では、前記中央ボイラ室72の底面72Aのみが、ネジ部71により取り外し可能となっており、スケールがたまった場合の清掃を容易に行うことができる。更に、前記中央ボイラ室72には、レベル計86が設けられており、水90が所定の水位以下になったことを検知し、上述した取手40に設けたランプ47を点灯させることができる。前記複数の流体通路は、前記中央ボイラ室72に隣接する側から、蒸気通路76,78,リング状ボイラ室80,蒸気通路82,84の順に割り当てられている。
【0021】
前記リング状ボイラ室80は、前記蒸気通路76,78を挟むことで、前記中央ボイラ室72に直接隣接してはいない。しかしながら、前記蒸気通路76,78を貫通するように底面側に設けられた導水路88により水90が連通可能である。また、水面よりも高い位置に設けられた蒸気通路94Dにより、蒸気の連通が可能である。本実施例では、前記取手40から給水管54を介して供給された水90は、前記リング状ボイラ室80に供給される。また、内鍋20と外鍋30の上縁に形成された溝56から回収口58及び回収管58を介して回収された水も、前記リング状ボイラ室80へ送られ再利用される。該リング状ボイラ室80の底面も、熱源12により加熱されるため水蒸気を発生するが、該水蒸気は、前記蒸気通路94Dによって中央ボイラ室72へ送られる。
【0022】
前記中央ボイラ室72と蒸気通路76の間の隔壁74Aには、図2に示すように、水90の加熱により発生した水蒸気を蒸気通路76に送るための蒸気送り口94Aが上方に形成されている。また、蒸気通路76と蒸気通路78の間の隔壁74Bには、前記蒸気通路76で加熱されて生成した過熱蒸気を蒸気通路78に送るための蒸気送り口94Bが形成されている。次に、前記リング状ボイラ室80を挟んで隣接する蒸気通路78と蒸気通路82は、前記リング状ボイラ室80を貫通する蒸気送り口94Cによって連結され、前記蒸気通路78の蒸気が、蒸気通路82へ送られる。更に、蒸気通路82と蒸気通路84の間の隔壁74Eには、蒸気通路82を通過した蒸気を蒸気通路84へ送るための蒸気送り口94Eが形成されている。そして、最外周の蒸気通路84と過熱蒸気室96を隔てる隔壁74Fには、過熱蒸気98を過熱蒸気室96へ送るための蒸気送り口94Fが形成されている。
【0023】
次に、本実施例の作用を説明する。予め取手40から所定の水位まで中央ボイラ室72に水を供給した上で、調理器具10を外部熱源12の上に載せる。中央ボイラ室72とリング状ボイラ室80は、導水路88により接続されているため、その水位は同程度となっている。なお、調理途中で蓋26を開けて圧力が低下したり、高温の蒸気に触れたりすることがないように、調理対象14はあらかじめ内鍋20内に入れておき、蓋26をしておくほうがよい。水90が貯留されている中央ボイラ室72及びリング状ボイラ室80では、熱源12により加熱され、水蒸気を生成する。リング状ボイラ室80で生成した水蒸気は、他に出口がないため、蒸気通路94Dを介して中央ボイラ室72へ送られる。中央ボイラ室72の水蒸気は、蒸気送り口94Aから隣接する蒸気通路76へ送られる。該蒸気通路76において、水蒸気は更に加熱されて過熱蒸気となる。そして生成した過熱蒸気は、蒸気送り口94Bを介して隣接する蒸気通路78へ送られる。
【0024】
該蒸気通路78内の過熱蒸気は、熱源12により加熱されると同時に、外周側で隣接するリング状ボイラ室80の水90及び水蒸気により冷却される。該蒸気通路78を通過した過熱蒸気は、前記リング状ボイラ室80を貫通する蒸気送り口94Cを介して蒸気通路82へ送られる。該蒸気通路82内の過熱蒸気も、熱源12により加熱されると同時に、内周側で隣接するリング状ボイラ室80の水90及び水蒸気により冷却される。前記蒸気通路78及び82を通過させることにより、蒸気通路76で生成した過熱蒸気が冷却され、微細な蒸気粒子のみを分離し、粒の粗い蒸気粒は除去される。
【0025】
これは、過熱蒸気は、特に熱伝達が良い反面、冷却する度合いも大きく、隔壁74C,74Dを隔てて水90及び水蒸気で冷却することにより、蒸気の大きい粒が液化して除去することができるためである。例えば、蒸気送り口94Bから蒸気通路78に入った時点の過熱蒸気は、粒の粗いものから細かいものまでが含まれているが、蒸気通路78,82を通過することにより気水分離の効果が得られ、微細な蒸気粒のみが最外周の蒸気通路84へ送られる。このような気水分離機能を有する蒸気通路を経由することにより、熱源12を調節して過熱蒸気の温度が低下するような場合(例えば、120℃〜200℃程度)であっても、水分残りの少ない微細な過熱蒸気を得ることができる。
【0026】
そして、蒸気通路82で温度が低下した過熱蒸気は、蒸気送り口94Eから最外周の蒸気通路84へ送られ、該蒸気通路84において熱源12により再加熱された上で、蒸気送り口94Fから過熱蒸気室96へ送られる。過熱蒸気室96へ送られた過熱蒸気は、熱源12としてガスコンロを使用している場合は更に加熱される。また、熱源12としてIHヒータを用いている場合は加熱に加えて加圧もされる。このようにして過熱蒸気室96で更に加熱された過熱蒸気98は、例えば、φ1mm程度の微細な吹出口22から内鍋20の内部に供給され、調理対象14を加熱する。このとき、内鍋20の外側全体が、前記過熱蒸気室96に満たされた過熱蒸気98によって加熱されているため、内鍋20の温度ムラがなくなり、調理対象14に均等に熱が入る。また、内鍋20の内部に供給した過熱蒸気98の温度が急激に低下することがないため、過熱蒸気98の熱量の損失を抑制し、効率良く短時間で調理を行うことができる。
【0027】
なお、以上のような調理作業中、蓋26の内側に付着した蒸気は液化し、蓋26の内面に沿って前記溝56に集められる。溝56に集められた水は、回収口58及び回収管60を介して、過熱蒸気生成ユニット70のリング状ボイラ室80へ送られ、過熱蒸気の生成に再利用される。なお、再利用の水分だけでは、調理が終わるまでに水分が不足することもありえる。その場合には、中央ボイラ室72に設けたレベル計86により、所定の水位以下となったことを検出し、前記取手40に設けたランプ47を点灯させる。ランプ47の点灯を確認した調理人は、シャッタ50の開閉により、取手40の内側の貯水室42から、給水管54を介して水90を補給する。なお、前記過熱蒸気生成ユニット70の中央ボイラ室72は、底面72Aがネジ部71により開閉可能となっているため、スケール除去のために、定期的にクリーニングを行う。
【0028】
このように、実施例1によれば、次のような効果がある。
(1)内鍋20と外鍋30の間に過熱蒸気室96を設け、これら内鍋20と外鍋30の上部開口を耐熱性の蓋26で覆う。そして、過熱蒸気室96へ送る蒸気を、外鍋底面30Bに設けた過熱蒸気生成ユニット70により生成し、前記内鍋20に設けた複数の吹出口22から過熱蒸気室96の過熱蒸気98を内鍋20の内側に供給することとした。このため、内鍋20の全体が過熱蒸気室96の過熱蒸気98により高温状態を維持するため、内鍋20内に供給された過熱蒸気98の熱量の損失を抑制し、効率良く短時間で調理を行うことができる。また、内鍋20の温度ムラを防止して、調理対象14への熱の通り方を均等にすることができる。
【0029】
(2)前記過熱蒸気生成ユニット70を、中央ボイラ室72と、その周りに略同心円状に設けた蒸気通路76,78,リング状ボイラ室80,蒸気通路82,84により構成し、中央ボイラ室72とリング状ボイラ室80間では、水90と水蒸気の連通が可能とした。そして、中央ボイラ室72で生成した水蒸気を、蒸気通路76で加熱して過熱蒸気を生成したのち、リング状ボイラ室80に隣接する蒸気通路78及び82を通過させ、熱源12による加熱と同時に冷却も行う。この冷却により大きい蒸気粒が除去された過熱蒸気を、最外周の蒸気通路84及び過熱蒸気室96で再度加熱することとした。このため、粒の細かい過熱蒸気のみで調理を行うことができる。また、熱源12の調節により温度を低下させて200℃以下とした場合でも、過熱蒸気を得ることができる。
【0030】
(3)外鍋30に設けた取手40の内部を貯水室42として利用することで、過熱蒸気生成ユニット70への水の供給・補給が容易となる。
(4)蓋26の内側に付着した水滴を溝56に回収し、回収口58及び回収管60を介して過熱蒸気生成ユニット70へ送ることとしたので、過熱蒸気の生成に再利用でき、取手40からの水の補給頻度を減らすことができる。
(5)中央ボイラ室72にレベル計86を設け、所定の水位以下になったときに、取手40に設けたランプ47を点灯させて水の補給を促すこととしたので、空焚きを防止することができる。
(6)中央ボイラ室72の底面72Aをネジ式にして開閉可能としたので、スケール除去などのクリーニングが容易である。
(7)内鍋20と外鍋30を一体構造としているため、これらの間からの過熱蒸気98の漏れが少ない。
【実施例2】
【0031】
次に、図3及び図4を参照しながら本発明の実施例2を説明する。なお、上述した実施例1と同一ないし対応する構成要素には同一の符号を用いることとする(以下の実施例についても同様)。図3は、本実施例の調理器具を示す断面図,図4は、本実施例の内鍋を外鍋に取り付ける様子を示す平面図である。本実施例の調理器具100も、内鍋110と外鍋120から構成され、これらの間に過熱蒸気室96が形成され、外鍋120の底面に過熱蒸気生成ユニット70が配置される点では、上述した実施例1と同様である。しかし、前記実施例1では、内鍋20と外鍋30が一体形成されているのに対し、本実施例は、内鍋110が外鍋120に対して着脱可能な点で構造が異なる。
【0032】
図3及び図4(B)に示すように、本実施例の内鍋110は、上縁110Aに、径方向外側へ突出した複数(図示の例では3つ)の係合縁112が形成されている。該係合縁112には、過熱蒸気98の導入路114が形成されている。該導入路114の一方の端部114Aは、内鍋側面110Cの上方に通じ、他方の端部114Bは、係合縁112の上面に通じている。また前記内鍋110には、着脱可能な取手116が設けられている。
【0033】
一方、外鍋120は、図3及び図4(A)に示すように、上縁120Aに、径方向内側へ突出した複数(図示の例では3つ)の係合縁122が形成されている。該係合縁122の下側には、図3の断面に示すように、前記内鍋110の係合縁112を嵌めるスリット126が形成された保持部124が形成されている。また、前記保持部124の上方には、過熱蒸気室96の過熱蒸気98を、前記内鍋110の導入路114に導くための蒸気通路128と開口部134が形成されている。更に、外鍋120の上縁120Aには、蓋26を受ける受け部130が形成され、該受け部130の内周側には、蓋26に付着した水分を回収するための溝132が全周にわたって形成されている。前記溝132の適宜位置には、回収口135が設けられ、該回収口135は、外鍋側面120Cの内側に設けられた回収管136によって、過熱蒸気生成ユニット70のリング状ボイラ部80に接続される。
【0034】
以上のような構成の内鍋110を外鍋120に装着するときは、図4(C)に示すように、内鍋110の係合縁112が、外鍋120の係合縁122間の隙間123に嵌るように位置を合わせて内鍋110を外鍋120の内側に入れる。そして、図4(C)に矢印F4で示すように、取手116を持って内鍋110を回転させることで、内鍋110の係合縁112が、外鍋120の係合縁122のスリット126に嵌り、内鍋110が外鍋120に固定される。この状態では、外鍋120の蒸気通路128の端部の開口部134が、内鍋110の導入路114の一端114Bと位置が一致する。なお、本実施例では、内鍋110を外鍋120に装着した後も、外鍋120の係合縁122間の隙間123は塞がらないため、該隙間123ごと覆うように蓋26をする必要がある。そこで、内鍋110を外鍋120に装着した後は、取手116を取り外してから蓋26をかぶせる。
【0035】
また、本実施例では、前記過熱蒸気生成ユニット70の上部は、ネジ部142により開閉可能な蓋140により覆われている。そして、該蓋140の装着により、前記中央ボイラ室72,蒸気通路76,78,82,84と、リング状ボイラ室80と、蒸気通路94Dが形成されるようになっている。従って、内鍋110を外鍋120に取り付ける前に、蓋140を外して中央ボイラ室72に直接水を供給することができる。あるいは、外鍋120に、前記実施例1と同様の図示しない取手40のような給水手段を設けて、調理途中での水の補給を可能な構成としてもよい。なお、調理終了後に、内鍋110を取り外すときは、蓋26を開けてから取手116を内鍋110に取り付け、図4(C)に矢印F4で示す方向と反対に回すことにより、外鍋120との固定を解除して取り外すことが可能である。
【0036】
本実施例の基本的な作用効果は、上述した実施例1と同様であるが、本実施例では、内鍋110が外鍋120に対して着脱可能なため、外鍋120の内側の清掃等が容易である。また、内鍋110を取り外した状態で、過熱蒸気生成ユニット70の蓋140を取り外すことにより、中央ボイラ室72に直接水を供給することができる。更に、蓋140を取り外すことにより、過熱蒸気生成ユニット70の内部の清掃も容易となる。なお、本実施例では、内鍋110を外鍋120に取り付けた状態においても、前記係合縁122間の隙間123があるため、導入路114から供給する過熱蒸気98の圧力を実施例1のときほど高めることはできない。その代わり、過熱蒸気室96の過熱蒸気98が、前記隙間123から、内鍋110の上方にも充満することになるため、内鍋110内に入れる調理対象の高さがあるような場合に利用すると、調理対象の高さに関係なく均等に熱を加えることができる。
【実施例3】
【0037】
次に、図5を参照しながら本発明の実施例3を説明する。図5は、本実施例の調理器具の構成を示す断面図である。本実施例の調理器具200も、前記実施例2と同様に、外鍋220に対して内鍋210が着脱可能であるが、異なる着脱機構を採用した例である。図5に示す調理器具200の内鍋210は、上縁210Aが径方向外側へ向けて張り出しており、その内側には、蓋26を受ける受け部216が設けられている。更に、前記受け部216の内側には、蓋26に付着した水分を回収するための溝212が全周にわたって形成されている。該溝212には、前記上縁210Aを貫通する回収路214が接続されている。また、前記内鍋210の側面210Cの上方には、過熱蒸気98の吹出口218が複数形成されている。
【0038】
前記外鍋220は、上縁220Aが径方向外側へ向けて張り出しており、前記内鍋210の上縁210Aが重なる形状となっている。実際に重ねるときには、内鍋210の上縁210Aと外鍋220の上縁220Aの間には、密閉用のパッキン222を設け、更に、公知の固定金具224で内鍋210と外鍋220の取り付け状態を固定する。固定の際には、前記内鍋210の上縁210Aに設けられた回収路214と、外鍋220の側面220Cの内側に形成された回収管228の位置が合うようにする。また、前記外鍋220には、前記実施例1と同様の給水機能を備えた取手40が設けられており、給水管226を介して、前記取手40内に貯留された水90が、過熱蒸気生成ユニット70のリング状ボイラ室80へ送られる。該リング状ボイラ室80には、前記内鍋210の上縁210Aに設けられた回収路214から、回収管228を介して、蓋26に付着した水分も回収される。本実施例の基本的な作用・効果は、上述した実施例2と同様である。しかしながら、本実施例では、内鍋210と外鍋220の間の過熱蒸気が、内鍋210の上方に回り込むことはないため、吹出口218から内鍋210の内側へ供給した過熱蒸気98によって調理対象を加熱する点では、前記実施例1と同様である。
【実施例4】
【0039】
次に、図6を参照して、本発明の実施例4について説明する。図6は、本実施例の主要断面図である。本実施例の調理器具300は、内鍋310と外鍋320が一体的に形成された構造という点では、上述した実施例1と同様である。そして前記内鍋310の上縁310Aはテーパ状に形成され、蓋26に付着した水分が回収管60を介して過熱蒸気生成ユニット70へ回収さる。一方、外鍋320の上部320Aは、蓋26の受け部となっており、底面320B側は、仕切り322A,322Bによって、2つの過熱蒸気室324A,324Bが形成されている。これら2つの過熱蒸気室324A,324Bには、それぞれ、上述した実施例1と同様の過熱蒸気生成ユニット70が設けられている。本実施例のように、外鍋320の内側を仕切って複数の過熱蒸気室を形成することで、例えば、複数の熱源ユニット12A,12BのON/OFFの切替が可能な業務用の調理台で用いるような場合も、必要な部分の熱源のみを使用して、無駄なく調理を行うことができる。
【0040】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した形状,寸法は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。例えば、内鍋や外鍋の底面形状は、円型であってもよいし角型であってもよい。
(2)前記実施例4では、熱源ユニットが2つの場合を示したが、更に多数の熱源ユニットを備え付けた調理台にも本発明は適用可能である。
(3)本発明の過熱蒸気調理器具は、業務用,家庭用のいずれの場合にも適用可能である。
(4)前記実施例1で示した取手40を利用した給水機構も一例であり、同様の効果を奏する範囲内で適宜設計変更可能である。
【0041】
(5)前記実施例では、熱源12としてガス又はIHヒータを例に挙げたが、本実施例は、いずれの場合でも効率よい加熱調理を行うことができる。
(6)前記実施例1〜4では、過熱蒸気生成ユニット70は、外鍋の底面に一体的に形成することとしたが、過熱蒸気生成ユニット70自体を、外鍋の底面から着脱可能な構成としてもよい。
(7)過熱蒸気生成ユニット70の蒸気通路78,82で除去された粒の大きい過熱蒸気については、冷却して水滴となったものを回収して、中央ボイラ室72又はリング状ボイラ室80へ送るような回収路を設けるようにしてもよい。
【0042】
(8)前記実施例では、レベル計86を用いて水位を検出することとしたが、バイメタルを利用して空焚き防止する機構としてもよい。
(9)過熱蒸気生成ユニット70の底面にステンレス製のタワシを置いたり、あるいは、底面の表面を凹凸に形成したりして面積を増やすことで、熱源12としてIHを用いた場合の誘導加熱面積を増やして加熱効率を上げてもよい。
(10)図2で示した中央ボイラ室72とリング状ボイラ室80の間に設ける蒸気通路の数や、リング状ボイラ室80の外周側に設ける蒸気通路数も一例であり、必要に応じて3つ以上の通路を設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によれば、内鍋と外鍋の間に過熱蒸気室を設け、これら内鍋と外鍋の上部開口には耐熱性の蓋を設ける。そして、前記過熱蒸気室へ送る過熱蒸気を、前記外鍋の底面に設けた過熱蒸気生成ユニットにより生成し、前記内鍋に設けた複数の吹出口から前記過熱蒸気室の過熱蒸気を内鍋の内側に供給することとした。これにより、内鍋全体が過熱蒸気室の過熱蒸気により高温状態を維持して内鍋内に供給された過熱蒸気の熱量の損失を抑制し、短時間での効率のよい調理が可能となる。また、内鍋の温度ムラがなくなり、調理対象物への熱の通りが均等となる。このため、過熱蒸気調理器具の用途に適用できる。更に、前記過熱蒸気生成ユニットでは、水を加熱して生成した過熱蒸気を少なくとも一度冷却することによって粒の大きい蒸気を除去する。そして、粒の細かい過熱蒸気のみを再加熱して過熱蒸気室へ送るため、外部熱源の調節により過熱蒸気の温度が低くなるような場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
10:過熱蒸気調理器具(調理器具)
12:熱源
12A,12B:熱源ユニット
14:調理対象
20:内鍋
20A:上縁
20B:底面
20C:側面
22:吹出口
24:テーパ
26:蓋
28:つまみ
30:外鍋
30A:上縁
30B:底面
32:受け部
34:給水路
40:取手
42:貯水室
44:開口
46:キャップ
47:ランプ
48:給水口
50:シャッタ
52:保持部
54:給水管
56:溝
58:回収口
60:回収管
70:過熱蒸気生成ユニット
70A:上部
70B:底面
71:ネジ部
72:中央ボイラ室
72A:底面
74A〜74F:隔壁
76,78,82,84:蒸気通路
80:リング状ボイラ室
86:レベル計
88:導水路
90:水
94A,94B,94C,94E,94F:蒸気送り口
94D:蒸気通路
96:過熱蒸気室
98:過熱蒸気
100:過熱蒸気調理器具(調理器具)
110:内鍋
110A:上縁
110B:底面
110C:側面
112:係合縁
114:導入路
114A,114B:端部
116:取手
120:外鍋
120A:上縁
120B:底面
120C:側面
122:係合縁
123:隙間
124:保持部
126:スリット
128:蒸気通路
130:受け部
132:溝
134:開口部
135:回収口
136:回収管
140:蓋
142:ネジ部
200:過熱蒸気調理器具(調理器具)
210:内鍋
210A:上縁部
212:溝
214:回収路
216:受け部
218:吹出口
220:外鍋
220A:上縁部
220B:底面
220C:側面
222:パッキン
224:固定金具
226:給水管
228:回収管
300:過熱蒸気調理器具(調理器具)
310:内鍋
310A:上部
310B:底面
310C:側面
312:吹出口
320:外鍋
320A:上部
320B:底面
322A,322B:仕切り
324A,324B:過熱蒸気室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過熱蒸気の吹出口が上方に複数設けられており、調理対象が入れられる内鍋と、
該内鍋の外側に配置される外鍋と、
前記内鍋及び外鍋の上部開口を覆う耐熱性の蓋と、
前記外鍋の内側底面に設けられており、外部の熱源上に前記外鍋が置かれたときに、該熱源によって加熱され、過熱蒸気を生成する過熱蒸気生成ユニットと、
前記内鍋と外鍋の間に形成されており、前記過熱蒸気生成ユニットによって生成した過熱蒸気が供給されるとともに、前記内鍋の吹出口に続く過熱蒸気室と、
を備えたことを特徴とする過熱蒸気調理器具。
【請求項2】
前記過熱蒸気生成ユニットは、
水を加熱して過熱蒸気を生成する過熱蒸気生成機構と、
該過熱蒸気生成機構によって生成した過熱蒸気を冷却する冷却機構と、
該冷却機構によって冷却された過熱蒸気を、再度加熱する再加熱機構と、
を含むことを特徴とする請求項1記載の過熱蒸気調理器具。
【請求項3】
前記過熱蒸気生成ユニットは、
貯留された水を前記外部熱源により加熱して水蒸気を生成する中央ボイラ室と、該中央ボイラ室の外周側に略同心円状に形成された複数の流体通路とによって構成されており、
前記複数の流体通路のうち、前記中央ボイラ室に隣接しない通路を、底面側で中央ボイラ室と連結して水を通し、水面より上方において中央ボイラ室と連結して蒸気を通すことでリング状ボイラ室とし、
前記中央ボイラ室とリング状ボイラ室の間,及び、前記リング状ボイラ室の外周側のそれぞれに、一周以上の蒸気通路を設けるとともに、
前記中央ボイラ室と隣接する蒸気通路の間,前記リング状ボイラ室を挟んで隣接する蒸気通路の間,蒸気通路同士が隣接する場合のこれら隣接する蒸気通路の間,最外周の蒸気通路と前記過熱蒸気室の間のそれぞれに、内周側から外周側へ蒸気を送る蒸気送り口,
を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の過熱蒸気調理器具。
【請求項4】
前記過熱蒸気生成ユニットは、前記外鍋の底面側から前記中央ボイラ室の底部を開閉可能としたことを特徴とする請求項3記載の過熱蒸気調理器具。
【請求項5】
前記外鍋又は内鍋に一体に設けられた取手の内部に形成された貯水室,
該貯水室から前記中央ボイラ室又は前記リング状ボイラ室に水を供給する給水路,
前記貯水室と給水路間の開閉を行うシャッタ手段,
を備えたことを特徴とする請求項3又は4記載の過熱蒸気調理器具。
【請求項6】
前記蓋に付着した水滴を回収し、前記中央ボイラ室又は前記リング状ボイラ室へ送る回収手段,
を設けたことを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の過熱蒸気調理器具。
【請求項7】
前記過熱蒸気生成ユニットは、前記外鍋に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の過熱蒸気調理器具。
【請求項8】
前記過熱蒸気生成ユニットは、上部が着脱可能な蓋形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の過熱蒸気調理器具。
【請求項9】
前記内鍋が前記外鍋に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の過熱蒸気調理器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−111353(P2013−111353A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261703(P2011−261703)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(591275403)サーモ・エレクトロン株式会社 (6)
【Fターム(参考)】