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過熱診断システムおよび過熱診断プログラム
説明

過熱診断システムおよび過熱診断プログラム

【課題】 設備の過熱異常の原因を推定することを可能にする過熱診断システムを提供する。
【解決手段】 診断対象物Fmの熱画像P1を撮影するサーモカメラ2と、センタサーバ3とが通信可能に接続されている。センタサーバ3に、診断対象物Fmの温度分布パターンごとに、診断対象物Fmの温度分布が当該温度分布パターンになる温度分布要因を記憶したパターンデータベース31と、熱画像P1上の温度分布と、パターンデータベース31に記憶されている温度分布パターンとに基づいて、診断対象物Fmの温度分布が熱画像P1上の温度分布になる温度分布要因を推定する要因推定タスク32と、熱画像P1上で診断対象物Fmの許容温度を超える過熱部を検索する過熱部検索タスク33とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力ケーブルや遮断器などの診断対象物の熱画像を撮影して、過熱異常を診断するための過熱診断システムおよび過熱診断プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力ケーブルや遮断器などの設備が過熱(異常温度上昇)すると、当該設備が損傷するばかりでなく、他の設備などに熱影響を与えるおそれがあるため、各種設備の温度を定期的あるいは必要に応じて測定し、設備の過熱異常を監視、診断する必要がある。そして、設備の各部の温度を、設備の温度分布を示す熱画像から一目で把握できるという利点から、温度測定に赤外線サーモグラフなどの熱画像装置が使用される場合がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−37276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、熱画像によって設備の過熱異常が確認されたとしても、過熱異常の原因がわからなければ、過熱異常に対する適切な措置を採ることができない。しかしながら、従来、過熱異常の原因は、診断者の経験や知識などに基づいて判断されるため、時間を要するばかりでなく、原因の特定が不正確になる、あるいは判断にバラツキが生じるおそれがあった。
【0004】
そこで本発明は、設備の過熱異常の原因を推定することを可能にする過熱診断システムおよび過熱診断プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、診断対象物の温度分布を熱画像として撮影して、前記診断対象物の過熱異常を診断するための過熱診断システムであって、前記診断対象物の熱画像を撮影する熱画像撮影手段と、前記診断対象物の温度分布パターンごとに、前記診断対象物の温度分布が当該温度分布パターンになる温度分布要因を記憶したパターン記憶手段と、前記熱画像撮影手段によって撮影された熱画像上の温度分布と、前記パターン記憶手段に記憶されている温度分布パターンとに基づいて、前記診断対象物の温度分布が前記熱画像上の温度分布になる温度分布要因を推定する要因推定手段と、を備えたことを特徴としている。
(作用)
例えば、熱画像撮影手段によって撮影された熱画像が要因推定手段に入力されると、熱画像上の温度分布に近い温度分布パターンがパターン記憶手段から検索され、当該温度分布パターンの温度分布要因が、熱画像上の診断対象物の温度分布の温度分布要因として推定される。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の過熱診断システムにおいて、前記熱画像撮影手段によって撮影された熱画像上で、診断対象物の許容温度を超える過熱部を検索する過熱部検索手段を備えたことを特徴としている。
(作用)
熱画像撮影手段によって診断対象物の熱画像が撮影されると、過熱部検索手段によって、熱画像上で診断対象物の許容温度を超える過熱部が検索される。
【0007】
請求項3に記載の発明は、診断対象物の温度分布を熱画像として撮影して、前記診断対象物の過熱異常を診断するための過熱診断システムであって、前記診断対象物の熱画像を撮影する熱画像撮影手段と、前記診断対象物の温度上昇の要因である温度上昇要因の大きさを示す上昇要因量と、前記診断対象物の温度との関係を示す温度特性を記憶した温度特性記憶手段と、前記熱画像撮影手段によって撮影された熱画像上の測定温度と、前記温度特性記憶手段に記憶されている温度特性とに基づいて、前記診断対象物の温度が前記熱画像上の測定温度になる上昇要因量を推定する要因量推定手段と、を備えたことを特徴としている。
(作用)
例えば、熱画像撮影手段によって撮影された熱画像上の測定温度が要因量推定手段に入力されると、「上昇要因量vs.温度 曲線」などの温度特性に基づいて、診断対象物の温度が当該測定温度になる上昇要因量が推定される。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の過熱診断システムにおいて、前記要因量推定手段によって推定された上昇要因量が、前記診断対象物の許容量を超えるか否かを判定する許容量判定手段を備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載の発明は、診断対象物の温度分布を示す熱画像に基づいて、前記診断対象物の過熱異常を診断するための過熱診断プログラムであって、コンピュータを、前記診断対象物の温度分布パターンごとに、前記診断対象物の温度分布が当該温度分布パターンになる温度分布要因を記憶したパターン記憶手段と、前記熱画像上の温度分布と、前記パターン記憶手段に記憶されている温度分布パターンとに基づいて、前記診断対象物の温度分布が前記熱画像上の温度分布になる温度分布要因を推定する要因推定手段として機能させるための過熱診断プログラムである。
【0010】
請求項6に記載の発明は、診断対象物の温度分布を示す熱画像に基づいて、前記診断対象物の過熱異常を診断するための過熱診断プログラムであって、コンピュータを、前記診断対象物の温度上昇の要因である温度上昇要因の大きさを示す上昇要因量と、前記診断対象物の温度との関係を示す温度特性を記憶した温度特性記憶手段と、前記熱画像上の測定温度と、前記温度特性記憶手段に記憶されている温度特性とに基づいて、前記診断対象物の温度が前記熱画像上の測定温度になる上昇要因量を推定する要因量推定手段として機能させるための過熱診断プログラムである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1および5に記載の発明によれば、診断対象物が熱画像上の温度分布になる温度分布要因が推定されるため、診断対象物の過熱異常の原因を推定することが可能となる。すなわち、例えば、診断対象物である電力ケーブルの端子周辺のみが高温である温度分布の温度分布要因が、端子の接続不良によるものであると推定され、その端子周辺の温度が電力ケーブルの許容温度を超える過熱異常の場合には、過熱異常の原因が端子の接続不良によるものであると推定することが可能となる。このように、人の経験などによらずに、過熱異常の原因を正確かつ安定して推定することが可能となり、これにより、過熱異常に対して原因に応じた適切な措置を採ることが可能となる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、熱画像上で診断対象物の許容温度を超える過熱部、つまり過熱異常の箇所が検索されるため、過熱異常という事象とその箇所を正確かつ迅速に知得(把握)することができる。そして、過熱異常という事象とその箇所と、要因推定手段によって推定された温度分布要因とに基づいて、過熱異常の原因をより正確に推定することが可能となる。
【0013】
請求項3および6に記載の発明によれば、診断対象物が熱画像上の測定温度になる上昇要因量が推定されるため、診断対象物の過熱異常の原因を推定することが可能となる。すなわち、例えば、診断対象物である電力ケーブルの温度上昇要因が電流である場合に、電流値(上昇要因量)と電力ケーブルの温度との関係を示す温度特性と、熱画像上の測定温度とに基づいて電流値が推定される。そして、電力ケーブルの温度(熱画像上の測定温度)が許容温度を超える過熱異常であり、推定された電流値が許容電流値を超える場合には、電流値オーバーが過熱異常の原因であると推定することが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、許容量判定手段によって、推定された上昇要因量が診断対象物の許容量を超えるか否かが判定されるため、上昇要因量が許容量を超えることを迅速に、または事前に知得することができる。そして、上昇要因量が許容量を超えることにより診断対象物の温度が許容温度を超えること、つまり過熱異常の発生を迅速に、または事前に知得することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、この実施の形態に係る過熱診断システム1の概略構成図である。この過熱診断システム1は、診断対象物Fmの温度分布を熱画像P1として撮影して、診断対象物Fmの過熱異常を診断するためのシステムであって、主として、サーモカメラ(熱画像撮影手段)2とセンタサーバ3とを備え、サーモカメラ2とセンタサーバ3とは通信網Nを介して通信可能に接続されている。
【0017】
サーモカメラ2は、診断対象物Fmの熱画像P1を撮影する赤外線サーモグラフ(熱画像装置)であり、診断対象物Fmから放出される赤外線放射エネルギーを検出して温度に変換し、診断対象物Fmの温度分布を表す図2〜4に示すような熱画像P1を撮影(形成)するものである。また、熱画像P1を撮影するには、温度変化を色変化(グラデーション)で表す温度色レベルP2を予め設定する必要がある。例えば、診断対象物Fmの高温部分(過熱部分)が赤系色となり、低温部分が青系色になるように、温度と色との関係を設定する。この温度色レベルP2と熱画像P1とは、サーモカメラ2のモニタ上に表示される。また、このサーモカメラ2は無線通信ユニットを備え、後述するように、画像データなどを通信網Nを介してセンタサーバ3に送信できるようになっている。さらに、入力キーを備え、後述するように、診断対象施設Fの識別情報や診断対象物Fmの種類情報などを入力できるようになっている。
【0018】
ここで、図2の熱画像P1は、電力ケーブルの端子周辺のみが高温である温度分布を示し、図3の熱画像P1は、電力ケーブル全体が高温である温度分布を示し、図4の熱画像P1は、蓄電池の端子周辺のみが高温である温度分布を示すものである。
【0019】
センタサーバ3は、この実施の形態では、過熱診断を行う診断会社Cに設置され、後述するようにWebサーバとしての機能を備えるとともに、パターンデータベース(パターン記憶手段)31と、要因推定タスク(要因推定手段)32と、過熱部検索タスク(過熱部検索手段)33と、診断データベース34とを備えている。
【0020】
パターンデータベース31は、診断対象物Fmの温度分布パターンごとに、診断対象物Fmの温度分布が当該温度分布パターンになる温度分布要因を記憶したデータベースであり、図5に示すようなデータ構成となっている。まず、第1のデータレイヤ311には、電力ケーブル、変圧器、遮断器など診断対象物Fmの種類が記憶され、さらに種類ごとの許容温度が記憶されている。第2のデータレイヤ312には、診断対象物Fmの種類ごとの温度分布パターン1〜nが記憶されている。すなわち、例えば、診断対象物Fmが電力ケーブルである場合には、電力ケーブルの端子周辺のみが高温である温度分布パターン、電力ケーブル全体が高温である温度分布パターン、あるいは電力ケーブルの中間部(端子間部)が高温である温度分布パターンなどが記憶されている。
【0021】
第3のデータレイヤ313には、各温度分布パターン1〜nに対して診断対象物Fmの温度分布が当該温度分布パターンになる温度分布要因が記憶されている。また、複数の温度分布要因がある場合には、そのすべてが記憶されている。例えば、上記の電力ケーブルの端子周辺のみが高温である温度分布パターンに対しては、「端子の接続不良」が記憶され、電力ケーブル全体が高温である温度分布パターンに対しては、「電流(過電流)」が記憶され、電力ケーブルの中間部が高温である温度分布パターンに対しては、「断線」および「被覆劣化」が記憶されている。ところで、このような温度分布パターンと温度分布要因との関係は、診断会社Cによる経験やノウハウ、あるいは実験などに基づくものであり、新たな関係が確認された時点でパターンデータベース31がアップデートされるようになっている。
【0022】
要因推定タスク32は、サーモカメラ2によって撮影された熱画像P1上の診断対象物Fmの温度分布と、パターンデータベース31に記憶されている温度分布パターンとに基づいて、診断対象物Fmの温度分布が熱画像P1上の温度分布になる温度分布要因を推定するタスク(プログラム)である。この要因推定タスク32は、診断対象物Fmの種類と熱画像P1とをパラメータとして起動され、図6に示すフローチャートに基づいている。まず、診断対象物Fmの種類に対応した最初の温度分布パターン1をパターンデータベース31の第2のデータレイヤ312から取得し(ステップS1)、熱画像P1上の温度分布が当該温度分布パターン1になっているか否かを判断する(ステップS2)。そして、当該温度分布パターン1になっている場合には、当該温度分布パターン1の第3のデータレイヤ313に記憶された温度分布要因をバッファに記憶する(ステップS3)。次に、すべての温度分布パターン1〜nに対する処理(一致確認)が終了したか否かを判断し(ステップS4)、終了していない場合には、次の温度分布パターン2〜nを取得して(ステップS5)、終了するまで同様の処理(ステップS2〜S5)を繰り返すものである。このように、この実施の形態では、1つの温度分布パターンの温度分布要因のみではなく、該当するすべての温度分布パターンの温度分布要因が割り出されるようになっている。
【0023】
過熱部検索タスク33は、サーモカメラ2によって撮影された熱画像P1上の診断対象物Fmにおいて、診断対象物Fmの許容温度を超える過熱部を検索するタスク(プログラム)である。この要因推定タスク32は、診断対象物Fmの種類と熱画像P1とをパラメータとして起動され、図7に示すフローチャートに基づいている。まず、診断対象物Fmの種類に対応した許容温度をパターンデータベース31から取得し(ステップS11)、熱画像P1上で当該許容温度を超える温度エリアを検索する(ステップS12)。そして、該当する温度エリアがない場合(ステップS13で「N」の場合)には、該当なしを意味する「NULL」をバッファに記憶する(ステップS14)。一方、該当する温度エリアがある場合(ステップS13で「Y」の場合)には、該当する温度エリア(過熱部)の熱画像P1上のアドレス(位置)をバッファに記憶する(ステップS15)。さらに、図2、4に示すように、熱画像P1上で当該温度エリアを丸印「○」で囲ってマーキングする(ステップS16)ものである。
【0024】
このように、この実施の形態では、診断対象物Fmの種類ごとに定められた許容温度に基づいて過熱部を検索しているが、例えば、次のようにしてもよい。すなわち、許容温度を診断対象物Fmの型式ごとに定め、熱画像P1上の診断対象物Fmの型式の許容温度に基づいて過熱部を検索したり、任意に入力された許容温度に基づいて過熱部を検索したりするようにしてもよい。
【0025】
診断データベース34は、診断対象物Fmを有する診断対象施設Fごとに後述する画像データやコメントR1、R2などを記憶するデータベースータであり、サーモカメラ2から画像データなどを受信すると、診断対象施設Fの識別情報に基づいてデータが更新(アップデート)されるものである。
【0026】
次に、このような構成の過熱診断システム1の処理動作などを、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。ここで、この実施の形態では、電力ケーブル、変圧器、遮断器や分電盤などの診断対象物Fmが診断対象施設Fに配設され、診断対象施設Fを所有する診断対象会社と、過熱診断を行う診断会社Cとは、別会社であるとする。
【0027】
まず、診断会社Cの診断者Mが診断対象施設Fに行き、診断対象物Fmをサーモカメラ2によって撮影する(ステップS21)。次に、撮影した熱画像P1と温度色レベルP2とを画像データとし、診断対象施設Fの識別情報や診断対象物Fmの種類情報などを入力して、これらをセンタサーバ3に送信する(ステップS22)。センタサーバ3が画像データなどを受信すると、過熱部検索タスク33が起動され(ステップS23)、上記のようにして過熱部が検索されるとともに、過熱部がある場合には当該過熱部がマーキングされる。続いて、要因推定タスク32が起動され(ステップS24)、上記のようにして診断対象物Fmの温度分布の温度分布要因が推定される。
【0028】
次に、図9に示すように、過熱部検索タスク33による検索結果に基づく過熱診断コメントR1と、要因推定タスク32による推定結果に基づく推定要因コメントR2とが作成される(ステップS25)。ここで、過熱診断コメントR1には、過熱異常の有無や過熱異常の箇所(位置)などが記され、推定要因コメントR2には、過熱異常の推定原因などが記される。そして、これらの画像データやコメントR1、R2などが診断データベース34に記憶、更新される(ステップS26)。一方、診断対象会社などは、クライアントコンピュータなどを使用して、通信網N(インターネット)を介してセンタサーバ3にアクセスすることで、上記のような画像データやコメントR1、R2などを閲覧できるものである。
【0029】
以上のように、この過熱診断システム1によれば、診断対象物Fmの温度分布が熱画像P1上の温度分布になる温度分布要因が推定されるため、診断対象物Fmの状態を知ることができる。すなわち、上記のように温度分布要因が「端子の接続不良」である場合には、端子が接続不良である可能性を知ることができ、「電流」である場合には、電力ケーブル自体に不具合がない(電流が均一に流れている)可能性を知ることができ、「断線」である場合には、電力ケーブルが断線している可能性を知ることができる。一方、診断対象物Fmの許容温度を超える過熱部が検索されるため、診断対象物Fmの過熱異常とその箇所を正確かつ迅速に知得することができる。
【0030】
そして、過熱異常という事象とその箇所と、推定された温度分布要因とに基づいて、過熱異常の原因を正確に推定することが可能となる。すなわち、例えば、過熱部が電力ケーブルの端子周辺のみであり、温度分布要因が「端子の接続不良」である場合には、端子の接続不良が過熱異常の原因であると推定することが可能となる。また、過熱部が電力ケーブルの全体にわたり、温度分布要因が「電流」である場合には、過電流が過熱異常の原因であると推定することが可能となる。このように、人の経験などによらずに、過熱異常の原因を正確かつ安定して推定することが可能となり、これにより、過熱異常に対して原因に応じた適切な措置を採ることが可能となる。
【0031】
(実施の形態2)
図10は、この実施の形態に係る過熱診断システム11の概略構成図である。この実施の形態では、センタサーバ3に温度特性データベース(温度特性記憶手段)35と、要因量推定タスク(要因量推定手段)36と、許容量判定タスク(許容量判定手段)37とを備える点で、実施の形態1と構成が異なり、同一の構成要素については同一符号を付して説明する。
【0032】
温度特性データベース35は、診断対象物Fmの温度上昇(温度変化)の要因である温度上昇要因の大きさを示す上昇要因量と、診断対象物Fmの温度との関係を示す温度特性を記憶したデータベースである。具体的には、診断対象物Fmが電力ケーブルや蓄電池などの電気機器の場合に、電流(温度上昇要因)の大きさを示す電流値(上昇要因量)と、診断対象物Fmの温度との関係を示す図11に示すような「電流値vs.温度 曲線」(温度特性)などが記憶されている。
【0033】
要因量推定タスク36は、サーモカメラ2によって撮影された熱画像P1上の診断対象物Fmの測定温度と、温度特性データベース35に記憶されている温度特性とに基づいて、診断対象物Fmの温度が熱画像P1上の測定温度になる上昇要因量を推定するタスク(プログラム)である。この要因量推定タスク36は、診断対象物Fmの種類と熱画像P1とをパラメータとして起動され、まず、診断対象物Fmの種類に対応した温度特性を温度特性データベース35から取得する。次に、熱画像P1上の診断対象物Fmの測定温度のなかから最も高い温度Tmを取得し、温度特性に基づいて、当該温度Tmになるのに必要な電流値などの上昇要因量を算出、推定するものである。このように、この実施の形態では、診断対象物Fmの測定温度のなかで最も高い温度Tmに基づいて上昇要因量を推定しているが、指定された箇所の測定温度や、熱画像P1上の診断対象物Fmの平均温度などに基づいて、上昇要因量を推定するようにしてもよい。
【0034】
許容量判定タスク37は、要因量推定タスク36によって推定された上昇要因量が、診断対象物Fmの許容量を超えるか否かを判定するタスク(プログラム)である。すなわち、予め診断対象物Fmの種類ごとに記憶された許容量よりも、推定された上昇要因量が大きいか否かを判定するものである。なお、許容量を診断対象物Fmの型式ごとに記憶し、指定された診断対象物Fmの型式の許容量に基づいて判定するようにしてもよい。
【0035】
次に、このような構成の過熱診断システム11の処理動作などを、図12に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0036】
まず、診断会社Cの診断者Mが診断対象施設Fに行き、診断対象物Fmをサーモカメラ2によって撮影する(ステップS31)。次に、撮影した熱画像P1と温度色レベルP2とを画像データとし、診断対象施設Fの識別情報や診断対象物Fmの種類情報などを入力して、これらをセンタサーバ3に送信する(ステップS32)。センタサーバ3が画像データなどを受信すると、要因量推定タスク36が起動され(ステップS33)、上記のようにして上昇要因量が推定される。続いて、許容量判定タスク37が起動され(ステップS34)、上記のようにして上昇要因量が診断対象物Fmの許容量を超えるか否かが判定される。
【0037】
次に、図13に示すように、要因量推定タスク36による推定結果に基づく推定要因量コメントR3と、許容量判定タスク37による判定結果に基づく判定コメントR4とが作成される(ステップS35)。ここで、推定要因量コメントR3には、推定された上昇要因量などが記され、判定コメントR4には、推定された上昇要因量が許容量を超えるか否かなどが記される。そして、これらの画像データやコメントR3、R4などが診断データベース34に記憶、更新される(ステップS36)。一方、診断対象会社などは、クライアントコンピュータなどを使用して、通信網Nを介してセンタサーバ3にアクセスすることで、上記のような画像データやコメントR3、R4などを閲覧できるものである。
【0038】
以上のように、この過熱診断システム11によれば、診断対象物Fmが熱画像P1上の測定温度になる上昇要因量が推定され、診断対象物Fmの許容量を超えるか否かが判定される。このため、診断対象物Fmの上昇要因量が許容量を超えることを迅速に、または事前に知得することができ、上昇要因量が許容量を超えることにより診断対象物Fmの温度が許容温度を超えること、つまり過熱異常の発生を迅速に、または事前に知得することが可能となる。そして、推定された上昇要因量が許容量を超え、診断対象物Fmが過熱異常である場合には、上昇要因量の許容量オーバーが過熱異常の原因であると推定することが可能となる。また、上昇要因量が推定されることにより、診断対象物Fmの負荷状況などを把握して、適切な保守、運用を行うことが可能となる。
【0039】
以上、この発明の実施の形態1、2について説明したが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、実施の形態1において、サーモカメラ2に、パターンデータベース31と、要因推定タスク32と、過熱部検索タスク33とを備え、サーモカメラ2単独で、温度分布要因を推定したり、過熱部を検索したりするようにしてもよい。同様に、実施の形態2において、サーモカメラ2に、温度特性データベース35と、要因量推定タスク36と、許容量判定タスク37とを備え、サーモカメラ2単独で、上昇要因量を推定したり、上昇要因量が許容量を超えるか否かを判定したりするようにしてもよい。
【0040】
また、実施の形態1の過熱診断システム1と実施の形態2の過熱診断システム11とを合わせた過熱診断システムであってもよい。すなわち、センタサーバ3に、パターンデータベース31と、要因推定タスク32と、過熱部検索タスク33と、さらに温度特性データベース35と、要因量推定タスク36と、許容量判定タスク37とを備えるようにしてもよい。なお、電力ケーブルや変圧器などの電気機器以外の診断対象物Fmにも適用できることは勿論である。
【0041】
ところで、汎用のコンピュータなどに、上記のようなタスク32、33などを備えるようにしてもよい。すなわち、コンピュータを、温度分布要因を記憶したパターン記憶手段(パターンデータベース31)と、温度分布要因を推定する要因推定手段(要因推定タスク32)と、過熱部を検索する過熱部検索手段(過熱部検索タスク33)として機能させるための過熱診断プログラムをコンピュータにインストールするようにしてもよい。同様に、コンピュータを、温度特性を記憶した温度特性記憶手段(温度特性データベース35)と、上昇要因量を推定する要因量推定手段(要因量推定タスク36)と、上昇要因量が許容量を超えるか否かを判定する許容量判定手段(許容量判定タスク37)として機能させるための過熱診断プログラムをコンピュータにインストールするようにしてもよい。これにより、診断対象物Fmが設置等されている現場にて、熱画像P1を撮影して過熱異常の確認およびその原因の推定など(過熱診断)を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の実施の形態1に係る過熱診断システムの概略構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1において、診断対象物としての電力ケーブルの端子周辺のみが高温である温度分布の熱画像と温度色レベルの一例を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1において、診断対象物としての電力ケーブルの全体が高温である温度分布の熱画像と温度色レベルの一例を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1において、診断対象物としての蓄電池の端子周辺のみが高温である温度分布の熱画像と温度色レベルの一例を示す図である。
【図5】図1の過熱診断システムにおけるパターンデータベースのデータ構成を示す図である。
【図6】図1の過熱診断システムにおける要因推定タスクのフローチャートである。
【図7】図1の過熱診断システムにおける過熱部検索タスクのフローチャートである。
【図8】図1の過熱診断システムの処理動作などを示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態1における過熱診断コメントと、推定要因コメントとの一例を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態2に係る過熱診断システムの概略構成図である。
【図11】図10の過熱診断システムにおける温度特性データベースに記憶されている温度特性の一例を示す図である。
【図12】図10の過熱診断システムの処理動作などを示すフローチャートである。
【図13】この発明の実施の形態2における推定要因量コメントと、判定コメントとの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
1、11 過熱診断システム
2 サーモカメラ(熱画像撮影手段)
3 センタサーバ
31 パターンデータベース(パターン記憶手段)
32 要因推定タスク(要因推定手段)
33 過熱部検索タスク(過熱部検索手段)
34 診断データベース
35 温度特性データベース(温度特性記憶手段)
36 要因量推定タスク(要因量推定手段)
37 許容量判定タスク(許容量判定手段)
P1 熱画像
P2 温度色レベル
C 診断会社
M 診断者
F 診断対象施設
Fm 診断対象物
N 通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断対象物の温度分布を熱画像として撮影して、前記診断対象物の過熱異常を診断するための過熱診断システムであって、
前記診断対象物の熱画像を撮影する熱画像撮影手段と、
前記診断対象物の温度分布パターンごとに、前記診断対象物の温度分布が当該温度分布パターンになる温度分布要因を記憶したパターン記憶手段と、
前記熱画像撮影手段によって撮影された熱画像上の温度分布と、前記パターン記憶手段に記憶されている温度分布パターンとに基づいて、前記診断対象物の温度分布が前記熱画像上の温度分布になる温度分布要因を推定する要因推定手段と、
を備えたことを特徴とする過熱診断システム。
【請求項2】
前記熱画像撮影手段によって撮影された熱画像上で、前記診断対象物の許容温度を超える過熱部を検索する過熱部検索手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の過熱診断システム。
【請求項3】
診断対象物の温度分布を熱画像として撮影して、前記診断対象物の過熱異常を診断するための過熱診断システムであって、
前記診断対象物の熱画像を撮影する熱画像撮影手段と、
前記診断対象物の温度上昇の要因である温度上昇要因の大きさを示す上昇要因量と、前記診断対象物の温度との関係を示す温度特性を記憶した温度特性記憶手段と、
前記熱画像撮影手段によって撮影された熱画像上の測定温度と、前記温度特性記憶手段に記憶されている温度特性とに基づいて、前記診断対象物の温度が前記熱画像上の測定温度になる上昇要因量を推定する要因量推定手段と、
を備えたことを特徴とする過熱診断システム。
【請求項4】
前記要因量推定手段によって推定された上昇要因量が、前記診断対象物の許容量を超えるか否かを判定する許容量判定手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の過熱診断システム。
【請求項5】
診断対象物の温度分布を示す熱画像に基づいて、前記診断対象物の過熱異常を診断するための過熱診断プログラムであって、コンピュータを、
前記診断対象物の温度分布パターンごとに、前記診断対象物の温度分布が当該温度分布パターンになる温度分布要因を記憶したパターン記憶手段と、
前記熱画像上の温度分布と、前記パターン記憶手段に記憶されている温度分布パターンとに基づいて、前記診断対象物の温度分布が前記熱画像上の温度分布になる温度分布要因を推定する要因推定手段として機能させるための過熱診断プログラム。
【請求項6】
診断対象物の温度分布を示す熱画像に基づいて、前記診断対象物の過熱異常を診断するための過熱診断プログラムであって、コンピュータを、
前記診断対象物の温度上昇の要因である温度上昇要因の大きさを示す上昇要因量と、前記診断対象物の温度との関係を示す温度特性を記憶した温度特性記憶手段と、
前記熱画像上の測定温度と、前記温度特性記憶手段に記憶されている温度特性とに基づいて、前記診断対象物の温度が前記熱画像上の測定温度になる上昇要因量を推定する要因量推定手段として機能させるための過熱診断プログラム。

【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−45889(P2008−45889A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219148(P2006−219148)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】