説明

過給機付き内燃機関

【課題】十分な量のEGRガスを供給でき、且つ、過給機による内燃機関本体に対する効果が損なわれることを可及的に防止しつつ排気ガス後処理装置に堆積した粒子状物質を除去し得る過給機付き内燃機関を提供する。
【解決手段】過給機付き内燃機関1Aは、内燃機関本体10と、吸気ライン20と、排気ライン30と、タービン41及びコンプレッサ42を含む過給機40と、EGRライン50と、排気ガス後処理装置60と、EGR制御弁80と、放出ライン90と、第1制御弁81とを備える。排気ガス後処理装置60はEGR50ラインに介挿される。放出ライン90は、一端部がEGRライン50のうち排気ガス流れ方向に関し排気ガス後処理装置60とEGR制御弁80との間に接続され、他端部が排気ライン30のうちタービン41よりも排気ガス流れ方向下流側に接続される。第1制御弁81は放出ライン70の開口幅を変更可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過給機付き内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンにおいては、排気ラインに介挿されるタービン及び前記タービンによって駆動される状態で吸気ラインに介挿されるコンプレッサを含む過給機を備え、排気エネルギーを過給に利用することが広く利用されている。
【0003】
また、ディーゼルエンジンにおいては、排気ラインの排気ガスの少なくとも一部を吸気ラインへ戻すためのEGRラインを設け、前記EGRラインを介して前記排気ラインから前記吸気ラインへ戻される排気ガス(EGRガス)によって内燃機関本体における燃焼温度を下げて窒素酸化物(NOx)の低減を図るとともに、着火までの時間を遅延させて燃料及び空気の混合時間を稼ぐEGR(排気ガス再循環)も広く利用されている。
【0004】
前記EGRラインを備える場合には、前記排気ラインから前記吸気ラインへ戻される排気ガス(EGRガス)中に含まれるカーボン等の粒子状物質(パーティキュレートマター:PM)を除去して、前記粒子状物質によって前記コンプレッサのブレード等が損傷することを防止するために、前記EGRラインにディーゼルパティキュレートフィルタ等の排気ガス後処理装置が介挿される。
【0005】
前記排気ガス後処理装置を備える場合には、前記排気ガス後処理装置に堆積した粒子状物質を除去する必要がある。
【0006】
例えば、下記特許文献1には、排気ラインに介挿されたタービン及び前記タービンに駆動される状態で吸気ラインに介挿されたコンプレッサを有する過給機と、一端部が前記排気ラインに接続され且つ他端部が前記吸気ラインに接続されたEGRラインと、前記EGRラインに介挿された排気ガス後処理装置とを備えた内燃機関であって、前記EGRラインの他端部を前記吸気ラインのうち前記コンプレッサより上流側又は下流側に選択的に連通させる弁手段を設け、EGR停止領域の所定の運転条件下において前記弁手段によって前記EGRラインの他端部を前記吸気ラインのうち前記コンプレッサより下流側に連通させ、前記コンプレッサから送られてくる圧縮空気を前記排気ガス後処理装置に逆流させて前記排気ガス後処理装置に堆積した粒子状物質を除去し得るように構成された内燃機関が開示されている。
【0007】
前記特許文献1に記載の内燃機関は、前記排気ガス後処理装置に堆積した粒子状物質の除去という観点においては有効であるものの、前記コンプレッサによって圧縮した空気の一部を用いて前記排気ガス後処理装置から粒子状物質の除去を行うため、粒子状物質の除去処理中においては、前記過給機による前記内燃機関の性能向上が十分には発揮できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4−148012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、吸気用の過給機とEGRラインと前記EGRラインに介挿された排気ガス後処理装置とを備えた過給機付き内燃機関であって、十分な量のEGRガスを供給でき、且つ、前記過給機による内燃機関本体に対する効果が損なわれることを可及的に防止しつつ過給機付き内燃機関を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、過給機付き内燃機関は、内燃機関本体と、吸気ラインと、排気ラインと、過給機と、EGRラインと、排気ガス後処理装置と、EGR制御弁と、放出ラインと、第1制御弁と、制御装置とを備える。吸気ラインは、前記内燃機関本体の燃焼室に吸入空気を導くためのものである。排気ラインは、前記燃焼室から排出される排気ガスの通路となるものである。過給機は、前記排気ラインに介挿されたタービン、及びこのタービンによって駆動される状態で前記吸気ラインに介挿されたコンプレッサを含む。EGRラインは、一端部が前記排気ラインのうち前記タービンよりも排気ガス流れ方向上流側に接続され、他端部が前記吸気ラインのうち前記コンプレッサよりも吸入空気流れ方向上流側に接続される。排気ガス後処理装置は、前記EGRラインに介挿される。EGR制御弁は、前記排気ガス後処理装置よりも排気ガス流れ方向下流側において前記EGRラインの開口幅を変更可能なものである。放出ラインは、一端部が前記EGRラインのうち排気ガス流れ方向に関し前記排気ガス後処理装置と前記EGR制御弁との間に接続され、他端部が前記排気ラインのうち前記タービンよりも排気ガス流れ方向下流側に接続される。第1制御弁は、前記放出ラインの開口幅を変更可能なものである。制御装置は、前記EGR制御弁及び前記第1制御弁の作動制御を司るためのものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、吸気用の過給機とEGRラインと前記EGRラインに介挿された排気ガス後処理装置とを備えた過給機付き内燃機関であって、十分な量のEGRガスを供給でき、且つ、前記過給機による内燃機関本体に対する効果が損なわれることを可及的に防止しつつ前記排気ガス後処理装置に堆積した粒子状物質を除去し得る過給機付き内燃機関を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態に係る過給機付き内燃機関の概略構成を示す図。
【図2】第2実施形態に係る過給機付き内燃機関の概略構成を示す図。
【図3】第3実施形態に係る過給機付き内燃機関の概略構成を示す図。
【図4】第4実施形態に係る過給機付き内燃機関の概略構成を示す図。
【図5】第5実施形態に係る過給機付き内燃機関の概略構成を示す図。
【図6】第6実施形態に係る過給機付き内燃機関の概略構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を、添付図面を参照しつつ説明する。添付図面において、同一の引用符号は、対応する又は同一の要素を示す。
【0014】
[実施形態1]
本発明の第1実施形態に係る過給機付き内燃機関1Aについて図1を参照しつつ説明する。
【0015】
図1に示すように、内燃機関1Aは、内燃機関本体10と、吸気ライン20と、排気ライン30と、過給機40と、EGRライン50と、排気ガス後処理装置60と、放出ライン70と、制御装置100とを備えている。
【0016】
内燃機関本体10は、燃料を圧縮空気に供給して燃焼させ、この燃焼による膨張エネルギーから回転動力を得るように構成されている。
【0017】
内燃機関本体10は、シリンダ及びピストンを含むシリンダブロックと、前記シリンダの開口を塞ぐように前記シリンダブロックに連結されるシリンダヘッドとを備えている。内燃機関本体10には、前記シリンダ、前記ピストン及び前記シリンダヘッドによって前記燃焼室が画されている。
【0018】
前記シリンダヘッドには、前記燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射弁が設けられている。前記燃料噴射弁は前記燃焼室の数と同数だけ設けられ、それぞれの燃焼噴射弁から対応する燃焼室へ燃料が供給されるようになっている。前記燃料噴射弁による燃料噴射の回数及びタイミングを制御することによって、前記内燃機関本体の出力回転数及びトルクが変更される。
【0019】
吸気ライン20は、内燃機関本体10の燃焼室に吸入空気を導くための部材である。吸気ライン20は、吸気マニホールド21及び吸気管22を備えている。
【0020】
吸気マニホールド21は、吸入空気を複数の燃焼室に均等に配分するための部材であり、前記シリンダヘッドに固定されている。吸気マニホールド21の一端部は吸気管22に接続されている。吸気マニホールド21の他端部は、前記燃焼室と同数に分岐され、その分岐部分で各燃焼室に接続されている。
【0021】
吸気管22は、吸入空気を吸気マニホールド21を介して前記燃焼室へ流すための部材であり、吸入空気流れ方向上流側端部及び下流側端部を有している。吸気管22は、その吸入空気流れ方向下流側端部を吸気マニホールド21の一端部に接続させて、吸入空気を当該吸気管22の上流側端部から下流側端部へ流すことができるように構成されている。
【0022】
吸気ライン20(吸気管22)には、エアクリーナ(図示せず)、過給機40のコンプレッサ42、及びインタークーラ25が介挿されている。
【0023】
前記エアクリーナは、内燃機関本体10の燃焼室へ吸気ライン20を介して導入される吸入空気を浄化するためのものである。このエアクリーナは、吸気ライン20のうち過給機40のコンプレッサ42よりも吸入空気流れ方向上流側に設けられている。
【0024】
インタークーラ25は、コンプレッサ42からの吸入空気を冷却するためのものである。インタークーラ25は、吸気ライン20うちコンプレッサ42よりも吸入空気流れ方向下流側に設けられている。
【0025】
排気ライン30は、内燃機関本体10の燃焼室から排出される排気ガスの通路となるものである。排気ライン30は、排気マニホールド31及び排気管32を備えている。
【0026】
排気マニホールド31は、前記燃焼室から排出される排気ガスを集合させる部材であり、前記シリンダヘッドに固定されている。排気マニホールド31の一端部は、前記燃焼室と同数に分岐されて、その分岐部分で各燃焼室に接続されている。排気マニホールド31の他端部は排気管32に接続されている。
【0027】
排気管32は、前記燃焼室から排気マニホールド31を介して排出される排気ガスを流すための部材であり、排気ガス流れ方向上流側端部及び下流側端部を有している。排気管32は、その上流側端部を排気マニホールド31の他端部に接続させて、前記燃焼室から排気マニホールド31を介して排出された排気ガスを当該排気管32の排気ガス流れ方向上流側端部から下流側端部へ流すことができるように構成されている。
【0028】
過給機40は、内燃機関本体10へ吸入空気を強制的に送り込むためのものである。過給機40は、タービン41と、コンプレッサ42とを備えている。
【0029】
タービン41は、内燃機関本体10の燃焼室から排出される排気ガスのエネルギーによって回転されるように、排気ライン30(排気管32)に介挿されている。コンプレッサ42は、タービン41によって駆動される状態で、吸気ライン20(吸気管22)に介挿されている。
【0030】
EGRライン50は、排気ライン30中の排気ガスの一部を過給機40のタービン41に至る前にEGRガスとして吸気ライン20へ供給するためのものである。EGRライン50は、EGR管52を備えている。
【0031】
EGRライン50(EGR管52)の一端部は、排気ライン30のうちタービン41よりも排気ガス流れ方向上流側に接続されている。EGRライン50(EGR管52)の他端部は、吸気ライン20のうちコンプレッサ42よりも吸入空気流れ方向上流側に接続されている。
【0032】
EGRライン50は、内燃機関本体10から排出され且つタービン41に流入される前の高圧な排気ガスのうちその一部をEGRガスとして排気ライン30から取り込み、このEGRガスを当該EGRライン50の一端部から他端部へ流して、吸気ライン20のうちコンプレッサ42よりも吸入空気流れ方向上流側の低圧領域に供給することができるように構成されている。
【0033】
EGRライン50には、排気ガス後処理装置60、EGRクーラ53、及びEGR制御弁80が介挿されている。
【0034】
排気ガス後処理装置60は、排気ガス中のカーボン等の粒子状物質(PM)を捕捉することによって排気ガス(EGRガス)を浄化するようになっている。排気ガス後処理装置60は、前記粒子状物質がEGRガスとともに吸気ライン20に供給されて過給機40のコンプレッサ42のブレード等を損傷することを有効に防止するために設けられている。
【0035】
排気ガス後処理装置60は、酸化触媒と、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)65とを備えている。酸化触媒としては、例えば白金が利用される。DPF65は、排気ガスがその内部を通過する際、排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕捉することができるように構成されている。
【0036】
EGRクーラ53は、EGRガスをEGRライン60から吸気ライン20へ供給される前に冷却することができるように構成されている。EGRクーラ53は、EGRライン60のうち排気ガス後処理装置60よりも排気ガス流れ方向下流側に設けられている。
【0037】
EGR制御弁80は、EGRガスの吸気ライン20への供給量を調整するためのものである。EGR制御弁80は、EGRライン60において排気ガス後処理装置60よりも排気ガス流れ方向下流側に設けられている。
【0038】
本実施形態において、EGR制御弁80は、EGRライン60のうち排気ガス流れ方向に関し排気ガス後処理装置60とEGRクーラ53との間に設けられている。ただし、EGR制御弁80は、EGRライン60うちEGRクーラ53よりも排気ガス流れ方向下流側に設けてもよい。
【0039】
EGR制御弁80は、排気ガス後処理装置60よりも排気ガス流れ方向下流側においてEGRライン50の開口幅(EGR管52の流路面積)を変更可能なように構成されている。このEGR制御弁80によりEGRライン50の開口幅が変更されることによって、EGRライン60から吸気ライン20へ供給されるEGRガスの供給量が調整される。
【0040】
放出ライン70は、排気ガス後処理装置60通過後のEGRガスをEGRライン50から排気ライン30へ放出可能とするものである。放出ライン70は、放出管72を備えている。
【0041】
放出ライン70(放出管72)の一端部は、EGRライン50のうち排気ガス流れ方向に関し排気ガス後処理装置60とEGR制御弁80との間に接続されている。放出ライン70(放出管72)の他端部は、排気ライン30のうち過給機40のタービン41よりも排気ガス流れ方向下流側に接続されている。
【0042】
放出ライン70は、排気ガス後処理装置60通過後の排気ガスをEGRライン50から取り込み、このEGRガスを当該放出ライン70の一端部から他端部へ流して、排気ライン30のうちタービン41よりも排気ガス流れ方向下流側に放出することができるように構成されている。
【0043】
放出ライン70には、第1制御弁81が介挿されている。第1制御弁81は、EGRライン50から放出ライン70を介して排気ライン30へ放出されるEGRガスの放出量を調整するためのものである。
【0044】
第1制御弁81は、放出ライン70の開口幅(放出管72の流路面積)を変更可能なように構成されている。この第1制御弁81により放出ライン70の開口幅が変更されることによって、放出ライン70から排気ライン30へ放出されるEGRガスの放出量が調整される。
【0045】
制御装置100は、演算装置(CPU)と記憶装置とを備えている。記憶装置は、例えば、制御プログラムや制御データ等を記憶するROM、設定値等を電源を切っても失われない状態で保存し且つ前記設定値等が書き換え可能とされたEEPROM、及び前記演算部による演算中に生成されるデータを一時的に保持するRAM等を含む記憶部を有する。
【0046】
制御装置100は、EGR制御弁80と第1制御弁81とにそれぞれ電気的に接続され、これらの制御弁の作動制御を司るように構成されている。また、制御装置100は、過給機40(タービン41)の回転数を検出するための回転数検出装置151と電気的に接続され、この回転数検出装置151よって検出された検出値に基づいてタービン41の回転数を取得することができるように構成されている。
【0047】
斯かる構成を備えた本実施形態に係る内燃機関1Aによれば、EGRライン50に排気ガス後処理装置60を介挿させることによる効果、即ち、EGRガス中の粒子状物質が過給機40のコンプレッサ42に衝突することを防止しながらEGRガスを吸気ライン20に供給することができるという効果を得つつ、排気ガス後処理装置60によって捕捉された粒子状物質の除去(即ち、排気ガス後処理装置60の再生処理)が必要な場合には前記粒子状物質を燃焼によって効率的に除去することができる。
【0048】
即ち、排気ガス後処理装置60の再生処理が必要な場合、制御装置100によって、EGRライン50を遮断するようにEGR制御弁80を作動制御しつつ、過給機40のタービン41の回転数が所定回転数以下になるように第1制御弁81を作動制御する。これによって、排気ガスの温度を300度程度まで上昇させることができ、この昇温した排気ガスを利用して排気ガス後処理装置60に捕捉され堆積している粒子状物質を燃焼除去することができる。
【0049】
より詳しくは、排気ガス後処理装置60の再生処理が行われない非再生時(内燃機関本体10の通常運転時)においては、EGRガスがEGRライン50を介して吸気ライン20に供給される。この際、EGR制御弁80が制御装置100により作動制御されて、吸気ライン20へのEGRガスの供給量が調整され、必要に応じた十分な量のEGRガスが吸気ライン20へ供給される。
【0050】
この状態で、EGRライン50が放出ライン70との第1接続部57よりも排気ガス流れ方向下流側でEGR制御弁80によって遮断されると、EGRガスが吸気ライン20へ供給されなくなり、EGRガスが吸気ライン20へ供給されているときに比べて、内燃機関本体10の燃焼温度が上昇する。そのため、燃焼効率が向上して、燃費が改善される。その結果、排気ガスの圧力(排気ガスエネルギー)は低下する。
【0051】
EGRライン50がEGR制御弁80によって遮断されていない場合には、内燃機関本体10の燃焼室から排出された排気ガスの一部がEGRガスとしてEGRライン50から吸気ライン20へ供給されることから、排気ガスエネルギーはその一部をEGRライン50を介して失う。そのため、排気ガスエネルギーの全てが過給機40のタービン41に供給されない。
【0052】
一方、EGRライン50がEGR制御弁80により遮断されている場合には、放出ライン70が第1制御弁81により遮断されている状態であれば、EGRガスがEGRライン50から吸気ライン20へ供給されないことから、排気ガスエネルギーはその一部をEGRライン50を介して失わない。そのため、排気ガスエネルギーの全てが過給機40のタービン41に供給される。
【0053】
したがって、EGRライン50がEGR制御弁80により遮断されている場合、EGRライン50がEGR制御弁80によって遮断されていない場合に比べて、過給機40のタービン41の回転数が上昇する。このタービン41の回転数上昇に伴ってコンプレッサ42によって圧縮される空気量が増加し、内燃機関本体10からの排気ガスエネルギーが増加する。
【0054】
この状態で、第1制御弁81が制御装置100により作動制御されて、第1制御弁81による放出ライン70の遮断状態が解除されると、排気ガスエネルギーの一部がEGRライン50及び放出ライン70を介して逃げて、タービン41に供給される排気ガスエネルギーが減少し、これによりタービン41の回転数が減少する。タービン41の回転数が減少すると、コンプレッサ42の回転数が低下して、内燃機関本体10の燃焼室に吸入される空気量が減少する。
【0055】
この際には、タービン41の回転数が所定回転数以下となるように、放出ライン70の開口幅が第1制御弁81により調整される。その結果、酸素量低減によって燃焼温度が上昇し、排気ガスの温度が300度程度まで上昇する。したがって、昇温した排気ガスのうちその一部が放出ライン70に至る前に、EGRライン50上の排気ガス後処理装置60を通過するとき、DPF65に堆積している粒子状物質が当該昇温した排気ガスによって燃焼除去されることになる。
【0056】
以上のように、第1実施形態に係る内燃機関1Aは、内燃機関本体10と、吸気ライン20と、排気ライン30と、過給機40と、EGRライン50と、排気ガス後処理装置60と、EGR制御弁80と、放出ライン70と、第1制御弁81と、制御装置100とを備えている。吸気ライン20は、内燃機関本体10の燃焼室に吸入空気を導くためのものである。排気ライン30は、前記燃焼室から排出される排気ガスの通路となるものである。過給機40は、排気ライン30に介挿されたタービン41、及びこのタービン41によって駆動される状態で吸気ライン20に介挿されたコンプレッサ42を含む。EGRライン50は、一端部が排気ライン30のうちタービン41よりも排気ガス流れ方向上流側に接続され、他端部が吸気ライン20のうちコンプレッサ42よりも吸入空気流れ方向上流側に接続されている。排気ガス後処理装置60は、EGRライン50に介挿されている。EGR制御弁80は、排気ガス後処理装置60よりも排気ガス流れ方向下流側においてEGRライン50の開口幅を変更可能なものである。放出ライン70は、一端部がEGRライン50のうち排気ガス流れ方向に関し排気ガス後処理装置60とEGR制御弁80との間に接続され、他端部が排気ライン30のうちタービン41よりも排気ガス流れ方向下流側に接続されている。第1制御弁81は、放出ライン70の開口幅を変更可能なものである。制御装置100は、EGR制御弁80及び第1制御弁81の作動制御を司るものである。
【0057】
この内燃機関1Aによれば、過給機40による内燃機関本体10に対する効果が損なわれることを可及的に防止しつつ、内燃機関1Aの運転状況に応じたEGR率を制御することが可能となる。
【0058】
また、EGRライン50においてその両端部間の差圧を大きくして、十分な量のEGRガスを吸気ライン20にEGRライン50を介して供給することが可能となる。したがって、排気ガス中の窒素酸化物の大幅な低減を図ることができる。
【0059】
さらに、排気ガス後処理装置60(DPF65)に堆積した粒子状物質を除去して、粒子状物質を除去されたEGRガスをEGRライン50から吸気ライン20に供給することが可能となる。そのため、粒子状物質によってコンプレッサ42のブレード等が損傷することを防止することができる。したがって、過給機40のコンプレッサ42及び内燃機関本体10の耐久性の向上を図ることができる。
【0060】
好ましくは、内燃機関1Aは、排気ガス後処理装置60の再生処理を自動的に行うように構成される。
【0061】
即ち、図1に示すように、内燃機関1は、さらに情報提供装置152を備える。
【0062】
情報提供装置152は、排気ガス後処理装置60の再生処理の要否を判定するための情報を提供可能なものである。本実施形態においては、情報提供装置152は、排気ガス後処理装置60の排気ガス流れ方向上流側及び下流側の圧力差を検出するための差圧センサとされている。
【0063】
なお、情報提供装置152は、内燃機関本体10から排出される排気ガスの圧力を検出する排圧センサ又はタイマーセンサとされ得る。
【0064】
さらには、情報提供装置152は、吸入空気の温度を検出するための吸入空気温度検出装置、吸入空気量を検出するための吸入空気量検出装置、ブースト(過給圧)を検出するための測定するブースト検出装置、内燃機関本体10の冷却水温度検出装置、及び/又は内燃機関本体10の潤滑オイル温度検出装置からの情報によって粒子状物質の体積量を演算する演算手段とされ得る。
【0065】
制御装置100は、情報提供装置152と電気的に接続され、この情報提供装置(差圧センサ)152よって検出された検出値に基づいて排気ガス後処理装置60の再生処理の要否を判定するための情報を取得することができるように構成されている。具体的には、制御装置100は、情報提供装置152よって検出された検出値に基づいて、前記情報として排気ガス後処理装置60のDPF65に堆積している粒子状物質の堆積量を演算し取得する。
【0066】
制御装置100は、演算結果に基づいて排気ガス後処理装置60の再生処理の要否を判定する、即ち演算で得られた堆積量が設定値を超えているか否かを判定する。制御装置100は、演算で得られた堆積量が設定値を超えたとき、排気ガス後処理装置60の再生処理が必要と判定し、演算で得られた堆積量が設定値を超えないとき、排気ガス後処理装置60の再生処理が不用と判定する。この設定値は適宜設定され得る。
【0067】
このような構成において、制御装置100は、再生処理が必要と判定した場合、排気ガス後処理装置60の再生処理を行うために、EGRライン50を遮断するようにEGR制御弁80を作動させ、且つ過給機40(タービン41)の回転数が所定回転数以下となるように第1制御弁81を作動させる。制御装置100は、排気ガス後処理装置60の再生処理を行っている間、各制御弁の前記作動状態を維持する。
【0068】
これにより、内燃機関本体10の燃焼室から排出された排気ガスのうち、一部の排気ガスは、過給機40のタービン41を迂回するように、EGRライン50を経て放出ライン70に至り、つづいて放出ライン70から排気ライン30に放出される。この際、前述のように排気ガスの温度が上昇していることから、昇温した排気ガスがEGRライン50上の排気ガス後処理装置60を通過することによって再生処理が行われる。
【0069】
一方、内燃機関本体10の燃焼室から排出された排気ガスのうち、残りの排気ガスは、排気ライン30を介してタービン41に供給される。この際、制御装置100は、第1制御弁81の作動制御を行って、放出ライン70から排気ライン30へ放出される排気ガスの放出量を変化させる。この放出量の変化によって、排気ガスのタービン41への供給量が過給機40の回転数が所定回転数以下となるように調整される。
【0070】
そして、制御装置100は、そのタイマー機能を利用して、排気ガス後処理装置60の再生処理の開始から所定時間経過後に前記作動状態を解除するようにEGR制御弁80及び第1制御弁81を作動させ、これにより再生処理を終了させる。ただし、再生処理を終了させるための構成は特に限定するものではなく、例えば制御装置100が再生処理の開始から所定時間ごとにDPF65に堆積している粒子状物質の堆積量を演算し、その演算結果に応じて前記作動状態を解除するように構成してもよい。
【0071】
以上のように、第1実施形態に係る内燃機関1Aは、情報提供装置152を備え得る。この場合、情報提供装置152は、排気ガス後処理装置60のDPF65に捕捉した粒子状物質を燃焼除去する再生処理の要否を判定するための情報を提供するように構成される。制御装置100は、情報提供装置152によって提供された情報に基づいて再生処理の要否を判定し、再生処理が必要と判定した場合には、EGRライン50を遮断するようにEGR制御弁80を作動させ、且つタービン41(過給機40)の回転数が所定回転数以下となるように第1制御弁81を作動させる。
【0072】
この構成によれば、排気ガス後処理装置60の再生処理を必要な場合に自動的に行うことが可能となる。したがって、排気ガス後処理装置60の再生処理を効率よく行うことができる。
【0073】
[実施形態2]
本発明の第2実施形態に係る過給機付き内燃機関1Bについて図2を参照しつつ説明する。
【0074】
図2に示すように、内燃機関1Bは、第1実施形態に係る過給機付き内燃機関1Aと同様に構成されている。そのうえで、内燃機関1Bは、接続ライン90を更に備えている。
【0075】
なお、内燃機関1Bに情報提供装置152を備え、この内燃機関1Bを、第1実施形態に係る内燃機関1Aと同様に、排気ガス後処理装置60の再生処理を自動的に行うように構成することも可能である。
【0076】
接続ライン90は、排気ガスを放出ライン70から排気ライン30のうち過給機40のタービン41よりも上流側に流すためのものである。接続ライン90は、接続管92を備えている。
【0077】
接続ライン90(接続管92)の一端部は放出ライン70のうち第1制御弁81よりも排気ガス流れ方向下流側に接続されている。接続ライン90(接続管92)の他端部は、排気ライン30のうち排気ガス流れ方向に関し、排気ライン30がEGRライン50と接続する第2接続部35と、タービン41との間に接続されている。
【0078】
放出ライン70のうち当該放出ライン70が接続ライン90と接続する第3接続部79よりも排気ガス流れ方向下流側に、第2制御弁82が介挿されている。第2制御弁82は、放出ライン70から排気ライン30のうちタービン41よりも排気ガス流れ方向下流側へ放出される排気ガスの放出量を調整するためのものである。
【0079】
第2制御弁82は、放出ライン70のうち第3接続部79よりも排気ガス流れ方向下流側において放出ライン70の開口幅(放出管72の流路面積)を変更可能なように構成されている。この第2制御弁82により放出ライン70の開口幅が変更されることで、放出ライン70から排気ライン30のうちタービン41よりも排気ガス流れ方向下流側へ放出される排気ガスの放出量が調整される。
【0080】
接続ライン90には、第3制御弁83が介挿されている。第3制御弁83は、接続ライン90から排気ライン30のうち排気ガス流れ方向に関し第2接続部35とタービン41との間へ排出される排気ガスの排出量を調整するためのものである。
【0081】
第3制御弁83は、接続ライン90の開口幅(接続管92の流路面積)を変更可能なように構成されている。この第3制御弁83により接続ライン90の開口幅が変更されることで、接続ライン90から排気ライン30のうち第2接続部35よりも排気ガス流れ方向下流側、且つタービン41よりも排気ガス流れ方向上流側へ供給される排気ガスの供給量が調整される。
【0082】
排気ライン30には、第4制御弁84が介挿されている。第4制御弁84は、三方弁で構成されている。
【0083】
第4制御弁84は、内燃機関本体10の燃焼室から排気ライン30のみを介したタービン41への排気ガスの流れを遮断し且つ接続ライン90から前記タービン41への排気ガスの流れを許容する第1状態、又は燃焼室から排気ライン30のみを介したタービン41への排気ガスの流れを許容し且つ接続ライン90からタービン41への排気ガスの流れを遮断する第2状態に切替可能に構成されている。
【0084】
制御装置100は、第2制御弁82と、第3制御弁83と、第4制御弁84とのそれぞれに電気的に接続されて、これらの制御弁の作動制御を司るように構成されている。
【0085】
また、本実施形態において、内燃機関1Bは、排気ガスの温度を上昇させるための排気ガス昇温手段(図示せず)を備えている。排気ガス昇温手段は、排気ガス後処理装置60のDPF65に捕捉され堆積している粒子状物質を強制的に燃焼除去する強制再生処理を行うために、排気ガス後処理装置60通過時の排気ガスの温度を約600度以上に上昇させることができるように構成されている。
【0086】
排気ガス昇温手段としては、例えば、ポスト噴射、EGRライン50のうち排気ガス後処理装置60よりも排気ガス流れ方向上流側への燃料噴射、内燃機関1Bの吸気スロットル及び/又は排気スロットルの開度変更が利用される。排気ガス昇温手段は特に限定するものではなく、一般的に知られている排気ガス昇温手段のうち内燃機関1Bに応じて適切なものが利用される。
【0087】
このような構成において、排気ガス後処理装置60の強制再生処理が行われるとき、排気ガスの昇温を図るため、制御装置100が排気ガス昇温手段を作動させる。同時に、制御装置100は、排気ガスがEGRライン50から放出ライン70へ流れるように第1制御弁81を作動させるとともに、放出ライン70の排気ガスが接続ライン90へ流れるように第2制御弁82及び第3制御弁83を作動させる。
【0088】
ここで、制御装置100は、タービン41(過給機40)の回転数が所定回転数以下となるように、第3制御弁83により接続ライン90の開口幅を変更する。こうして、排気ライン30のうち第2接続部35よりも排気ガス流れ方向下流側、且つタービン41よりも排気ガス流れ方向上流側へ供給される排気ガスの供給量が調整される。
【0089】
同時に、制御装置100は、内燃機関本体10の燃焼室から排気ライン30のみを介した過給機40のタービン41への排気ガスの流れを遮断し、且つ接続ライン90からタービン41への排気ガスの流れを許容する第1状態となるように第4制御弁84を作動させる。制御装置100は、排気ガス後処理装置60の強制再生処理を行っている間、各制御弁の作動状態を維持する。強制再生処理は、例えば、外部操作に応じて、又は設定時間毎に行われる。
【0090】
これにより、内燃機関本体10の燃焼室から排出された排気ガスは、EGRライン50へ流れて、その温度を排気温度昇温手段により600度以上まで上昇させつつ排気ガス後処理装置60を通過する。この際、DPF65に堆積している粒子状物質が昇温した排気ガスにより燃焼除去される。その後、排気ガスは第1制御弁81に流量を調整されながら放出ライン70を流れ、その少なくとも一部が接続ライン90に流れる。
【0091】
接続ライン90中の排気ガスは、排気ライン30のうち第2接続部35よりも下流側、且つタービン41よりも排気ガス流れ方向上流側へ流れて、過給機40のタービン41に供給される。こうして、排気ガス後処理装置60の強制再生処理が行われているときでも、タービン41の回転数が維持される。これにより、強制再生処理時における内燃機関1Bの性能の低下が抑制される。
【0092】
そして、制御装置100は、そのタイマー機能を利用して、排気ガス後処理装置60の強制再生処理の開始から所定時間経過後に前記作動状態を解除するようにEGR制御弁80、第1制御弁81、第2制御弁82、第3制御弁83、及び第4制御弁84を作動させ、これにより強制再生処理を終了させる。ただし、強制再生処理を終了させるための構成は特に限定するものではなく、例えば制御装置100が強制再生処理の開始から一定時間ごとに粒子状物質量を演算し、その演算結果に応じて作動状態を解除するように構成してもよい。
【0093】
以上のように、第2実施形態に係る内燃機関1Bは、接続ライン90と、第2制御弁82と、第3制御弁83と、第4制御弁84とを備えている。接続ライン90は、放出ライン70のうち第1制御弁81よりも下流側を、排気ライン30のうち排気ガス流れ方向に関し排気ライン30がEGRライン50と接続する第2接続部35と、タービン41との間に接続するためのものである。第2制御弁82は、放出ライン70のうち接続ライン90との第3接続部79よりも排気ガス流れ方向下流側において当該放出ライン70の開口幅を変更可能なものである。第3制御弁83は、接続ライン90の開口幅を変更可能なものである。第4制御弁84は、前記燃焼室からタービン41への排気ガスの流れを遮断し且つ接続ライン90からタービン41への排気ガスの流れを許容する第1状態、又は前記燃焼室からタービン41への排気ガスの流れを許容し且つ接続ライン90からタービン41への排気ガスの流れを遮断する第2状態を切替可能なものである。そして、制御装置100は、排気ガス後処理装置60のDPF65に捕捉した粒子状物質を強制的に燃焼除去する強制再生処理を行う場合、放出ライン70中の排気ガスが接続ライン90を流れるように第2制御弁82及び第3制御弁83を作動させ、燃焼室からタービン41への排気ガスの流れを遮断し且つ接続ライン90からタービン41への排気ガスの流れを許容するように第4制御弁84を作動させる。
【0094】
この内燃機関1Bによれば、第1実施形態に係る内燃機関1Aと同様の作用効果に加えて、次の作用効果を得ることができる。すなわち、排気ガス後処理装置60の強制再生処理を行う場合に、EGRライン50上の排気ガス後処理装置60を通過した排気ガスを利用して、タービン41を回転させ過給機40の必要な回転数を確保することが可能となる。したがって、過給機40による内燃機関1Bの性能向上を維持しつつ、排気ガス後処理装置60の強制再生処理を行うことができる。
【0095】
また、排気ガス後処理装置60の強制再生処理によって、排気ガス後処理装置60内の粒子状物質を完全に除去することが可能となる。そのため、排気ガス後処理装置60の再生処理を自動的に行うように構成している場合、例えば、強制再生処理を行う毎に、制御装置100に記憶している粒子状物質のDPF65への堆積量をゼロにすることによって、粒子状物質の堆積量の演算誤差を修正することができる。
【0096】
さらに、排気ガス後処理装置60の再生処理を自動的に行うように構成している場合、強制再生処理が例えば所定時間毎に行われるようにすれば、情報提供装置152の故障等で再生処理が行われないときでも、強制再生処理は行われるため、粒子状物質が堆積し続けることを回避することができる。
【0097】
[実施形態3]
本発明の第3実施形態に係る過給機付き内燃機関1Cについて図3を参照しつつ説明する。
【0098】
図3に示すように、内燃機関1Cは、第1実施形態に係る過給機付き内燃機関1Aと同様に構成されている。そのうえで、内燃機関1Cにおいては、排気ガス後処理装置60が電気ヒータ110を備えている。
【0099】
電気ヒータ110は、排気ガス後処理装置60のDPF65を加熱可能に構成されている。電気ヒータ110は、制御装置100と電気的に接続されている。制御装置100は、電気ヒータ110の作動制御を司り、電気ヒータ110をON又はOFFすることができるように構成されている。
【0100】
制御装置100は、外部操作に応じて又は自動的に排気ガス後処理装置60の再生処理が行われるとき、電気ヒータ110をONにする。例えば、制御装置100は、前述のように内燃機関1Cに備えられた情報提供装置152からの情報に基づいて再生処理の要否を判定し、再生処理が必要と判定した場合に電気ヒータ110をONにする。
【0101】
制御装置100は、電気ヒータ110を排気ガス後処理装置60の再生処理時はONにし、非再生処理時はOFFにする。これにより、排気ガス後処理装置60の再生処理時にDPF65が加熱されて、排気ガス後処理装置60通過中の排気ガスの温度が上昇しながら、DPF65に堆積している粒子状物質が燃焼除去される。
【0102】
すなわち、排気ガス後処理装置60において、DPF65に堆積している粒子状物質が電気ヒータ110による加熱を利用して燃焼除去される。したがって、排気ガス後処理装置60において、DPF65に堆積している粒子状物質の燃焼除去が促進され、再生処理が効率よく行われる。
【0103】
以上のように、第3実施形態に係る内燃機関1Cにおいて、排気ガス後処理装置60は、排気ガス中の粒子状物質を捕捉するためのDPF65と、このDPF65を加熱可能な電気ヒータ110とを含む。そして、制御装置100は、DPF65に捕捉した粒子状物質を燃焼除去する排気ガス後処理装置60の再生処理が行われるとき、電気ヒータ110をONにする。
【0104】
この内燃機関1Cによれば、第1実施形態に係る内燃機関1Aと同様の作用効果に加えて、排気ガス後処理装置60の再生処理を効率よく行うことができる。また、内燃機関1Cの運転状態にかかわらず、再生処理を行うことが可能となる。
【0105】
好ましくは、内燃機関1Cにおいて、制御装置100は、放出ライン70の開口幅が電気ヒータ110がOFFのとき(非再生処理時)よりも電気ヒータ110がONのとき(再生処理時)のほうが小さくなるように、第1制御弁81を作動させるように構成される。すなわち、制御装置100は、排気ガス後処理装置60を通過する排気ガスの流量が排気ガス後処理装置60の非再生処理時に比べて再生処理時のほうが少なくなるように、第1制御弁81の開度を調整するように構成される。
【0106】
内燃機関本体10の燃焼室から排出されたガスのうち一部は排気ガス後処理装置60に向かってEGRライン50を流れる。排気ガス後処理装置60の非再生処理時、制御装置100は、排気ガス後処理装置60通過後の排気ガスのうち一部がEGRガスとして吸気ライン20へ供給されるようにEGR制御弁80を作動させ、このガスのうち残部が放出ライン70へ流れるように第1制御弁81を作動させる。
【0107】
排気ガス後処理装置60の再生処理時、制御装置100は、排気ガス後処理装置60通過後の排気ガスがEGRガスとして吸気ライン20へ供給されないようにEGR制御弁80を作動させ、放出ライン70へ若干量の排気ガスが流れるように第1制御弁81を作動させる。この際、制御装置100は、排ガス後処理装置60を流れる排気ガスの流量が非再生処理時よりも再生処理時のほうが少なくなるように、第1制御弁81を作動させる。
【0108】
これにより、排気ガス後処理装置60においては、その再生処理時に電気ヒータ110がONすることによって排気ガスが高温になるが、この高温の排気ガスの流量が抑制される。そのため、熱損が少なくなり、排気ガス後処理装置60自体の温度効果が抑えられ、早期に再生処理が完了する。また、再生処理時、排気ガス後処理装置60を通過する排気ガスの中に存在する酸素によって、電気ヒータ110で昇温した排気ガス後処理装置60内に溜まったカーボン(煤)の燃焼が促進される。
【0109】
好ましくは、前述のように放出ライン70の開口幅を排気ガス後処理装置60の非再生処理時と再生処理時とで変更する場合、制御装置100は、EGRライン50の開口幅が電気ヒータ110がOFFのとき(非再生処理時)よりも電気ヒーがONのとき(再生処理時)のほうが小さくなるように、EGR制御弁80を作動させるように構成される。すなわち、制御装置100は、吸気ライン20に供給されるEGRガスの流量が非再生処理時に比べて再生処理時のほうが少なくなるように、EGR制御弁80の開度を調整するように構成される。
【0110】
このように構成される場合、内燃機関1Cは、情報提供装置152と、作動状態検出装置153と、EGRガス量検出装置154とを備える。
【0111】
作動状態検出装置153は、内燃機関本体10の作動状態を検出するためのものである。作動状態検出装置153は制御装置100と電気的に接続される。制御装置100は、作動状態検出装置153によって検出された検出値に基づいて、吸気ライン20へ供給する必要があるEGRガスの供給量を常時取得する。
【0112】
作動状態検出装置153としては、例えば、内燃機関本体10の出力回転数を検出するための回転数検出装置、内燃機関本体10のトルクを検出するためのトルク検出装置、及び/又は燃料噴射量を検出するための燃料噴射量検出装置が利用される。
【0113】
なお、作動状態検出装置153に、排気ガス中の窒素酸化物の濃度を検出するための窒素酸化物濃度検出装置、又は空燃比検出装置などを加えれば、制御装置100によって必要なEGRガスの供給量をより高精度に演算可能となる。
【0114】
EGRガス量検出装置154はEGRライン60から吸気ライン20へ供給されるEGRガス量を検出するものである。EGRガス量検出装置154は制御装置100と電気的に接続される。制御装置100は、EGRガス量検出装置154によって検出された検出値に基づいて、吸気ライン20へ供給されるEGRガスの供給量を取得する。
【0115】
制御装置100は、情報提供装置152によって提供された情報に基づいて排気ガス後処理装置60の再生処理が必要か否かを判定するとともに、作動状態検出装置153によって検出された内燃機関本体10の作動状態に基づいてEGRガスの吸気ライン20への供給量が閾値以上必要であるか否かを判定する。
【0116】
制御装置100は、排気ガス後処理装置60の再生処理が必要と判定した場合であって、EGRガスの吸気ライン20への供給量が閾値以上必要であると判定した場合、電気ヒータ110をONするとともに、電気ヒータ110がOFFのとき(非再生処理時)よりもEGRライン50の開口幅が小さくなるようにEGR制御弁80を作動させる。
【0117】
これにより、排気ガス後処理装置60の再生処理が開始される。この際には、排気ガス後処理装置60内に溜まったカーボン(煤)が燃焼し、非再生処理時に比べて、EGRガス中の酸素濃度が低下し、且つ二酸化炭素濃度が上昇する。そのため、例えば、非再生処理時に吸気ライン20へのEGRガスの供給量を閾値とすることによって吸入空気中の二酸化炭素濃度を目標値としている場合、再生処理時には閾値未満の供給量で吸入空気中の二酸化炭素濃度を前記目標値とすることが可能となる。
【0118】
したがって、EGRガスの吸気ライン20への供給量を減少させるために、EGRライン50の開口幅は非再生処理時よりも再生処理時のほうが小さくなるように変更される。その結果、排気ガス後処理装置60の再生処理時には、非再生処理時と比べて、排気ライン30を介して過給機40のタービン41に供給される排気ガスの供給量が増加し、過給機40の回転速度が低下しにくくなり、ひいては内燃機関1Cの性能が低下しにくくなる。
【0119】
[実施形態4]
本発明の第4実施形態に係る過給機付き内燃機関1Dについて図4を参照しつつ説明する。
【0120】
図4に示すように、内燃機関1Dは、第1実施形態に係る過給機付き内燃機関1Aと同様に構成されている。そのうえで、内燃機関1Dにおいて、排気ガス後処理装置60がバーナー120を備えている。
【0121】
バーナー120は、排気ガス後処理装置60のDPF65を加熱可能に構成されている。バーナー120は、燃料供給手段と、スパークプラグ等の着火手段とを備えている。燃料供給手段は、燃料を内燃機関1Aの燃料タンク140からEGRライン50のうちDPF65よりも排気ガス流れ方向上流側に供給することができるように構成されている。
【0122】
バーナー120は、制御装置100と電気的に接続されている。制御装置100は、バーナー120の作動制御を司り、バーナー120を作動又は停止させることができるように構成されている。
【0123】
制御装置100は、外部操作に応じて又は自動的に排気ガス後処理装置60の再生処理が行われるとき、バーナー120を加熱状態となるように作動させる。例えば、制御装置100は、前述のように内燃機関1Dに備えられた情報提供装置152からの情報に基づいて再生処理の要否を判定し、再生処理が必要と判定した場合にバーナー120を加熱状態となるように作動させる。
【0124】
制御装置100は、バーナー120を排気ガス後処理装置60の再生処理時は作動させ、非再生処理時は停止させる。これにより、排気ガス後処理装置60の再生処理時、バーナー120が燃料をEGRライン50のうちDPF65よりも排気ガス流れ方向上流側で燃焼させる。したがって、EGRライン50のうちDPF65よりも排気ガス流れ方向上流側において排気ガスの温度が上昇し、この排気ガスがDPF65を通過する際にこれに堆積している粒子状物質が燃焼除去される。
【0125】
すなわち、排気ガス後処理装置60を通過する排気ガスの温度がバーナー120による燃料の燃焼によって上昇し、高温になった排気ガスによってDPF65に堆積している粒子状物質が燃焼除去される。これにより、排気ガス後処理装置60において、DPF65に堆積している粒子状物質の燃焼除去が促進され、再生処理が効率よく行われる。
【0126】
以上のように、第4実施形態に係る内燃機関1Dにおいて、排気ガス後処理装置60は、排気ガス中の粒子状物質を捕捉するためのDPF65と、このDPF65を加熱可能なバーナー120とを含む。そして、制御装置100は、DPF65に捕捉した粒子状物質を燃焼除去する排気ガス後処理装置60の再生処理が行われるとき、バーナー120を加熱状態とする。
【0127】
この内燃機関1Dによれば、第1実施形態に係る内燃機関1Aと同様の作用効果に加えて、排気ガス後処理装置60の再生処理を効率よく行うことができる。また、内燃機関1Dの運転状態にかかわらず、再生処理を行うことが可能となる。
【0128】
[実施形態5]
本発明の第5実施形態に係る過給機付き内燃機関1Eについて図5を参照しつつ説明する。
【0129】
図5に示すように、内燃機関1Eは、第1実施形態に係る過給機付き内燃機関1Aと同様に構成されている。そのうえで、内燃機関1Eにおいて、排気ガス後処理装置60が添加剤供給機構130を備えている。
【0130】
添加剤供給機構130は、EGRライン50のうちDPF65よりも排気ガス流れ方向上流側において昇温用添加剤を添加可能に構成されている。昇温用添加剤としては、例えばセリアが利用される。
【0131】
添加剤供給機構130は、制御装置100と電気的に接続されている。制御装置100は、添加剤供給機構130の作動制御を司り、添加剤供給機構130を作動又は作動停止させることができるように構成されている。
【0132】
制御装置100は、外部操作に応じて又は自動的に排気ガス後処理装置60の再生処理が行われるとき、昇温用添加剤がEGRライン50に添加されるように添加剤供給機構130を作動させる。例えば、制御装置100は、前述のように内燃機関1Eに備えられた情報提供装置152からの情報に基づいて再生処理の要否を判定し、再生処理が必要と判定した場合に昇温用添加剤がEGRライン50に添加されるように添加剤供給機構130を作動させる。
【0133】
制御装置100は、添加剤供給機構130を排気ガス後処理装置60の再生処理時は作動させ、非再生処理時は停止させる。これにより、排気ガス後処理装置60の再生処理時、添加剤供給機構130が昇温用添加剤をEGRライン50のうちDPF65よりも排気ガス流れ方向上流側に添加する。EGRライン50への添加後、昇温用添加剤は、排気ガスで反応して熱を発生さ、その熱で排気ガスを加熱する。したがって、EGRライン50のうちDPF65よりも排気ガス流れ方向上流側で排気ガスの温度が上昇し、この排気ガスが排気ガス後処理装置60を通過する際にDPF65に堆積している粒子状物質が燃焼除去される。
【0134】
すなわち、排気ガス後処理装置60を通過する排気ガスの温度が添加剤供給機構130からの昇温用添加剤の発熱によって上昇し、高温になった排気ガスによってDPF65に堆積している粒子状物質が燃焼除去される。これにより、排気ガス後処理装置60において、DPF65に堆積している粒子状物質の燃焼除去が促進され、再生処理が効率よく行われる。
【0135】
以上のように、第5実施形態に係る内燃機関1Eにおいて、排気ガス後処理装置60は、排気ガス中の粒子状物質を捕捉するためのDPF65と、フィルタDPF65よりも排気ガス流れ方向上流側において昇温用添加剤を添加可能な添加剤供給機構130とを含む。そして、制御装置100は、DPF65に捕捉した粒子状物質を燃焼除去する排気ガス後処理装置60の再生処理が行われるとき、昇温用添加剤が添加されるように添加剤供給機構130を作動させる。
【0136】
この内燃機関1Eによれば、第1実施形態に係る内燃機関1Aと同様の作用効果に加えて、排気ガス後処理装置60の再生処理を効率よく行うことができる。また、内燃機関1Eの運転状態にかかわらず、再生処理を行うことが可能となる。
【0137】
[実施形態6]
本発明の第6実施形態に係る過給機付き内燃機関1Fについて図6を参照しつつ説明する。
【0138】
図6に示すように、内燃機関1Fは、第1実施形態に係る過給機付き内燃機関1Aと同様に構成されている。そのうえで、過給機40が、タービン41に可変ノズルベーン45が設けられた可変容量ターボ(Variable Geometry Turbo:VGT)型とされる。本実施形態においては、情報提供装置152が内燃機関1Fに備えられて、前述と同様に排気ガス後処理装置60の再生処理が自動的に行われる。
【0139】
この場合には、制御装置100は、排気ガス後処理装置60の再生処理が必要と判定したとき、再生処理を行うために、EGRライン50を遮断するようにEGR制御弁80を作動させ、且つタービン41(過給機40)の回転数が所定回転数以下となるように第1制御弁81を作動させる。同時に、制御装置100は、再生処理が必要と判定しなかったとき(非再生処理時)よりもベーン45を絞るように作動させる。制御装置100は、排気ガス後処理装置60の再生処理を行っている間、各制御弁及びベーン45の作動状態を維持する。
【0140】
この作動状態が継続している間、前述のように排気ガスの温度がEGR制御弁80及び第1制御弁81の作動により上昇する。また、ベーン45が絞られることによって、過給機40の回転数が上昇すると同時に、排気ガスエネルギーが上昇する。そのため、排気ガスが内燃機関本体10の燃焼室に残りやすくなって、燃焼室内の酸素濃度が低下する。その結果、燃焼効率が低下して、排気ガスの温度が上昇する。また、排気ガスエネルギーが上昇することから、内燃機関本体10の燃焼室から排出された排気ガスがEGRライン50に流れ込みやすくなる。
【0141】
これにより、内燃機関本体10の燃焼室から排出された排気ガスのうちその一部は、過給機40のタービン41を迂回するように、EGRライン50を経て放出ライン70に至り、つづいて放出ライン70から排気ライン30に放出される。この際、排気ガスの温度が第1実施形態のようにベーン45の開度を調整しない場合に比べて上昇する。したがって、高温になった排気ガスがEGRライン50上の排気ガス後処理装置60を通過して、再生処理が効率よく行われる。
【0142】
以上のように、第6実施形態に係る内燃機関1Fは、排気ガス後処理装置60のDPF65に捕捉した粒子状物質を燃焼除去する再生処理の要否を判定するための情報を提供する情報提供装置152を備えている。そして、内燃機関1Fにおいて、過給機40は、タービン41に可変ノズルベーン45が設けられた可変容量ターボ型とされている。また、制御装置100は、情報提供装置152によって提供された情報に基づいて前記再生処理の要否を判定し、再生処理が必要と判定した場合には、ベーン45を絞り、EGRライン50を遮断するようにEGR制御弁80を作動させ、排気ガス後処理装置60通過後の排気ガスが放出ライン70を流れるように前記第1制御弁81を作動させる。
【0143】
この内燃機関1Fによれば、第1実施形態に係る内燃機関1Aと同様の作用効果に加えて、排気ガス温度を上昇させ、排気ガス後処理装置60の再生処理を効率よく行うことができる。
【0144】
好ましくは、内燃機関1Fは、吸入空気量検出装置155と、ブースト検出装置156とを備え、これらの吸入空気量検出装置155及びブースト検出装置156によって検出された各検出値に基づいて、第1制御弁81及びタービン41の可変ノズルベーン45の作動制御を行うように構成される。
【0145】
吸入空気量検出装置155は、吸入ライン20のうちエアクリーナよりも吸入空気流れ方向下流側を流れる吸入空気の流量を検出するものである。ブースト検出装置156は、吸入ライン20のうち過給機40のコンプレッサ42の下流側でブースト(過給圧)を検出するためのものである。
【0146】
吸入空気量検出装置155及びブースト検出装置156はそれぞれ制御装置100に電気的に接続される。制御装置100は、吸入空気量検出装置155によって検出された検出値に基づいて吸入空気量を取得し、ブースト検出装置156によって検出された検出値に基づいてブーストを取得する。
【0147】
制御装置100は、排気ガス後処理装置60の再生処理が行われない非再生処理時にEGRライン50の排気ガスが吸気ライン20へ流れるようにEGR制御弁80を作動させ、排気ガス後処理装置60の再生処理が行われる再生処理時にEGRライン50の排気ガスが吸気ライン20へ流れないようにEGR制御弁80を作動させる。
【0148】
そのため、排気ガス後処理装置60の非再生処理時には、タービン41へ供給される排気エネルギーが再生処理時に比べると減少する。したがって、制御装置100は、排気ガス後処理装置60の非再生処理時、内燃機関本体10の燃焼室への空気量を確保するため、過給機40の回転数が所定回転数を維持するようにタービン41のベーン45を絞るように作動させる。ここで、ベーン45は再生処理時と同様に絞られるが、ベーン45の開度は再生処理時よりも小さい。
【0149】
一方、排気ガス後処理装置60の再生処理時には、タービン41へ供給される排気エネルギーが非再生処理時に比べると増加する。この際、仮にベーン45の開度が非再生処理時と同じに設定されていれば、タービン41の回転数が上昇し、再生処理の開始時に内燃機関1Fの作動状態が大きく変化する。
【0150】
そこで、制御装置100は、吸入空気量検出装置155によって検出された検出値に基づいて取得した吸入空気量、及びブースト検出装置156によって検出された検出値に基づいて取得したブーストに基づいて、排気ガス後処理装置60の再生処理時及び非再生処理時で吸入空気量及びブーストが一定となるように、ベーン45を絞り、且つ第1制御弁81を作動させる。これにより、再生処理の開始時又は終了時における内燃機関1Fの作動状態の変化が抑制される。
【0151】
なお、本発明は、ここで説明した実施形態の他にも、前述の説明の観点からさまざまな変更形態及び変形形態をとり得る。そのため、添付の請求の範囲内において、本発明をここでの説明とは異なる他の方法で実行することは考えられる。
【符号の説明】
【0152】
1 内燃機関
10 内燃機関本体
20 吸気ライン
30 排気ライン
40 過給機
41 タービン
42 コンプレッサ
45 可変ノズルベーン
50 EGRライン
60 排気ガス後処理装置
65 DPF
70 放出ライン
80 EGR制御弁
81 第1制御弁
82 第2制御弁
83 第3制御弁
84 第4制御弁
90 接続ライン
100 制御装置
110 電気ヒータ
120 バーナー
130 添加剤供給機構
152 情報提供装置
153 作動状態検出装置
155 吸入空気量検出装置
156 ブースト検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関本体と、
前記内燃機関本体の燃焼室に吸入空気を導くための吸気ラインと、
前記燃焼室から排出される排気ガスの通路となる排気ラインと、
前記排気ラインに介挿されたタービン、及びこのタービンによって駆動される状態で前記吸気ラインに介挿されたコンプレッサを含む過給機と、
一端部が前記排気ラインのうち前記タービンよりも排気ガス流れ方向上流側に接続され、他端部が前記吸気ラインのうち前記コンプレッサよりも吸入空気流れ方向上流側に接続されたEGRラインと、
前記EGRラインに介挿された排気ガス後処理装置と、
前記排気ガス後処理装置よりも排気ガス流れ方向下流側において前記EGRラインの開口幅を変更可能なEGR制御弁と、
一端部が前記EGRラインのうち排気ガス流れ方向に関し前記排気ガス後処理装置と前記EGR制御弁との間に接続され、他端部が前記排気ラインのうち前記タービンよりも排気ガス流れ方向下流側に接続された放出ラインと、
前記放出ラインの開口幅を変更可能な第1制御弁と、
前記EGR制御弁及び前記第1制御弁の作動制御を司るための制御装置とを備えていることを特徴とする過給機付き内燃機関。
【請求項2】
前記排気ガス後処理装置のフィルタに捕捉した粒子状物質を燃焼除去する再生処理の要否を判定するための情報を提供するように構成された情報提供装置を備え、
前記制御装置は、前記情報提供装置によって提供された情報に基づいて前記再生処理の要否を判定し、再生処理が必要と判定した場合には、前記EGRラインを遮断するように前記EGR制御弁を作動させ、且つ前記過給機の回転数が所定回転数以下となるように前記第1制御弁を作動させることを特徴とする請求項1に記載の過給機付き内燃機関。
【請求項3】
前記放出ラインのうち前記第1制御弁よりも下流側を前記排気ラインのうち排気ガス流れ方向に関し前記EGRラインとの接続部と前記タービンとの間に接続するための接続ラインと、
前記放出ラインのうち前記接続ラインとの接続部よりも排気ガス流れ方向下流側において当該放出ラインの開口幅を変更可能な第2制御弁と、
前記接続ラインの開口幅を変更可能な第3制御弁と、
前記燃焼室から前記タービンへの排気ガスの流れを遮断し且つ前記接続ラインから前記タービンへの排気ガスの流れを許容する状態、又は前記燃焼室から前記タービンへの排気ガスの流れを許容し且つ前記接続ラインから前記タービンへの排気ガスの流れを遮断する状態を切替可能な第4制御弁とを備え、
前記制御装置は、前記排気ガス後処理装置のフィルタに捕捉した粒子状物質を強制的に燃焼除去する強制再生処理を行う場合、前記放出ライン中の排気ガスが前記接続ラインを流れるように前記第2制御弁及び前記第3制御弁を作動させるとともに、前記燃焼室から前記タービンへの排気ガスの流れを遮断し且つ前記接続ラインから前記タービンへの排気ガスの流れを許容するように前記第4制御弁を作動させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の過給機付き内燃機関。
【請求項4】
前記排気ガス後処理装置は、排気ガス中の粒子状物質を捕捉するためのフィルタと、このフィルタを加熱可能な電気ヒータとを含み、
前記制御装置は、前記フィルタに捕捉した粒子状物質を燃焼除去する前記排気ガス後処理装置の再生処理が行われるとき、前記電気ヒータをONにすることを特徴とする請求項1に記載の過給機付き内燃機関。
【請求項5】
前記排気ガス後処理装置は、排気ガス中の粒子状物質を捕捉するためのフィルタと、このフィルタを加熱可能なバーナーとを含み、
前記制御装置は、前記フィルタに捕捉した粒子状物質を燃焼除去する前記排気ガス後処理装置の再生処理が行われるとき、前記バーナーを加熱状態とすることを特徴とする請求項1に記載の過給機付き内燃機関。
【請求項6】
前排気ガス記後処理装置は、排気ガス中の粒子状物質を捕捉するためのフィルタと、このフィルタよりも排気ガス流れ方向上流側において昇温用添加剤を添加可能な添加剤供給機構とを含み、
前記制御装置は、前記フィルタに捕捉した粒子状物質を燃焼除去する前記排気ガス後処理装置の再生処理が行われるとき、昇温用添加剤が添加されるように前記添加剤供給機構を作動させることを特徴とする請求項1に記載の過給機付き内燃機関。
【請求項7】
前記排気ガス後処理装置のフィルタに捕捉した粒子状物質を燃焼除去する再生処理の要否を判定するための情報を提供するように構成された情報提供装置を備え、
前記過給機は、前記タービンに可変ノズルベーンが設けられた可変容量ターボ型とされ、
前記制御装置は、前記情報提供装置によって提供された情報に基づいて前記再生処理の要否を判定し、再生処理が必要と判定した場合には、前記ベーンを絞り、前記EGRラインを遮断するように前記EGR制御弁を作動させ、前記排気ガス後処理装置通過後の排気ガスが前記放出ラインを流れるように前記第1制御弁を作動させることを特徴とする請求項1に記載の過給機付き内燃機関。
【請求項8】
吸入空気量を検出するための吸入空気量検出装置と、
ブーストを検出するためのブースト検出装置とを備え、
前記制御装置は、再生処理が必要でないと判定した場合には、前記ベーンを絞り、前記EGRラインの排気ガスが前記吸気ラインへ流れるように前記EGR制御弁を作動させ、
前記制御装置は、前記吸入空気量検出装置によって検出された吸入空気量及び前記ブースト検出装置によって検出されたブーストに基づいて、前記排気ガス後処理装置の再生処理時及び非再生処理時で吸入空気量及びブーストが一定となるように、前記ベーンを絞り、且つ前記第1制御弁を作動させることを特徴とする請求項7に記載の過給機付き内燃機関。
【請求項9】
前記制御装置は、前記電気ヒータがONのときには、前記放出ラインの開口幅が前記電気ヒータがOFFのときよりも小さくなるように前記第1制御弁を作動させることを特徴とする請求項4に記載の過給機付き内燃機関。
【請求項10】
前記再生処理の要否を判定するための情報を提供するように構成された情報提供装置と、
前記内燃機関本体の作動状態を検出するための作動状態検出装置とを備え、
前記制御装置は、前記情報提供装置によって提供された情報に基づいて前記再生処理が必要と判定した場合であって、前記作動状態検出装置によって検出された前記内燃機関本体の状態に基づいて排気ガスの前記吸気ラインへの供給量が閾値以上必要であると判定した場合、前記電気ヒータをONにし、この電気ヒータがOFFのときよりも前記EGRラインの開口幅が小さくなるように前記EGR制御弁を作動させることを特徴とする請求項9に記載の過給機付き内燃機関。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−72377(P2013−72377A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212651(P2011−212651)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】