説明

過酸および2−ヒドロキシ有機酸組成物での物品の殺菌

微生物を制御するために物品を処理する方法および組成物を提供する。該方法は、物品の表面を、i) 式RC(O)OOH(式中、Rは、メチル、エチル、n−プロピルまたはs−プロピルである)で示される有機過酸;ii) 酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸および乳酸から選択される2−ヒドロキシ有機酸;および、iii) 水、を含む水溶液(ここで、該水溶液は、2.5ないし6.0のpHを有する)と接触させることにより処理する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
環境から微生物を除去する安全かつ確実な方法は、公衆衛生および農業分野で関心が高まっている。環境微生物を除去するか、または減少させるための既存の方法は、疾病をもたらす可能性を有するか、または食品および農産物を腐敗させる微生物を制御するのに十分ではない。従って、環境中の微生物の存在を大幅に減少させ得る新規の方法および組成物が大いに求められている。
【0002】
本発明は、これを満たす組成物および方法を提供する。
【発明の概要】
【0003】
発明の概要
本発明は、ペルオキシ酢酸、乳酸、および(所望により)ラウリル硫酸ナトリウムまたは他の界面活性剤を含む水溶液が、驚くべきことに、物品表面の微生物汚染を減少させるのに有効であるという発見に関連する。これら成分の組み合わせは、該成分のいずれか1つの単独作用よりも、物品上の付着微生物を減少させるのにより有効である。従って、本発明は、接触面殺菌に有用な組成物および方法を提供する。表面の殺菌または消毒は、あらゆる媒介物または他の物品表面上の望まれない微生物の存在を制御または減少させる。第一の側面において、本発明は、物品の表面を本発明の殺菌または消毒組成物と接触させて、該表面を殺菌または消毒する方法を提供する。
【0004】
本発明の組成物は、2.5ないし6.0のpHを有し、
i) 式RC(O)OOH(式中、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、またはs−プロピルである)で示される有機過酸;ii) 酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸および乳酸から選択される2−ヒドロキシ有機酸;iii) 水;ならびに、所望によりiv) 陰イオン界面活性剤、を含む。好ましい態様において、過酸はペルオキシ酢酸(過酢酸またはアセチルヒドロペルオキシドとしても公知)であり、該有機酸は乳酸(2−ヒドロキシプロピオン酸としても公知)であり、存在するとき、好ましい陰イオン界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムである。過酸の水性組成物は、過酸化水素、それらの対応する酸および水と平衡状態で存在するか、またはそれらの濃縮溶液から形成され得るため、該水性組成物はまた、過酸化水素および対応する酸(例えば、ペルオキシ酢酸の場合には、酢酸)も含み得る。組成物は、濃縮物として、または即時使用の水性製剤として提供され得る。組成物はまた、食品の殺菌に使用するためのキットの一部としても提供され得る。
【0005】
ある態様において、殺菌または消毒される物品の表面は、微生物汚染の危険がある、硬いまたは軟らかい表面を有する。
【0006】
ある態様において、表面は、食品加工環境(装置および器具、例えば、収穫器、まな板、包丁および刃、ならびに農産物)に見出される物品の表面である。接触は、物品の表面に存在するか接着する何れかのヒト病原菌を含む微生物の数を大幅に減少させることにより該物品の表面を殺菌し得る。接触はまた、その表面上の常在微生物汚染による該物品の腐敗を防止するのに有用であり得る。接触はまた、異臭、腐敗を減少させ、および/または表面上の常在微生物の増殖を阻害することにより、物品の品質を保持するのに有用であり得る。
【0007】
別の態様において、本発明は、植物と本発明の組成物を接触させることにより、カットした植物(切り花または切り枝)を消毒または維持する方法を提供する。ある態様において、組成物は、切り花に噴霧される溶液である。他の態様において、花のカットされた茎または木の幹(例えば、松の木、モミの木またはトウヒの木)は、本発明の溶液中に入れられる。他の態様において、該組成物は、水耕状態を含む生きた植物の表面を処理するのに使用される。
【0008】
ある態様において、種子、発芽苗(例えば、芽野菜における大腸菌の発生を阻止する)、観葉植物(例えば、蘭)、および植物の苗(例えば、カビを防止する)は、本発明の組成物で処理またはそれと接触させて殺菌することが意図される。ある態様において、ジュース(例えば、オレンジジュース、柑橘類のジュース、リンゴジュース、グレープジュース、トマトジュース、植物ジュース)の抽出前のベリー類、果物、野菜または植物の外皮または表面を殺菌することは、果物または野菜の外皮と本発明の組成物を接触させることにより行われる。これらの処理は、処理された物品の衛生状態を保持するか、または腐敗を減少させることによりその貯蔵期間を延長するのに役立ち得る。
【0009】
別の面において、本発明は、植物由来の材料またはそれらの表面と本発明の組成物を接触させることにより、それらを殺菌する方法を提供する。
【0010】
さらに別の態様において、本発明は、果物および野菜を含むが、これらに限定されない食品と本発明の組成物を接触させることにより、該食品を殺菌するための方法を提供する。ある態様において、該食品は、家庭で処理されるか、または調理前もしくは消費前の最終的な食品調理の1時間未満前に処理される。
【0011】
別の面において、本発明は、本発明の方法における使用に適する包装または形態で本発明の組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、フリューム水(flume-water)浮遊細胞殺菌試験における、5つの処理の比較を示し、左から右の順に、a)塩素処理水:50−70ppm 活性塩素、pH6.5;b)CS:主要な活性成分としてのクエン酸+界面活性剤を含む、市販の抗菌性製品クリーナー;c)ペルオキシ酢酸:70−80ppm ペルオキシ酢酸+0.01%界面活性剤;d)乳酸溶液:0.9−1.2%乳酸+0.01%界面活性剤;そして、e)FE:70−80ppm ペルオキシ酢酸+0.9−1.2%乳酸+0.01%界面活性剤)である。用いた界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムであった。
【0013】
【図2】図2は、葉付着(leaf-attached)細胞殺菌試験における、図1の5つの処理の比較である。
【図3】図3は、塩素処理水および本発明の水性溶液(FE:ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)の、処理された農産物の腐敗を減少させる能力の比較である。
【図4】図4は、塩素処理水および本発明の水性溶液(FE:ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)の、処理された農産物の異臭を減少させる能力の比較である。
【0014】
【図5】図5は、塩素処理水および本発明の水溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)の、低含水率のスプリングミックスの腐敗を減少させる能力の比較である。
【図6】図6は、塩素処理水または本発明の水溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)での処理の、低含水率のスプリングミックスの異臭を減少させる能力の比較である。
【0015】
【図7】図7は、塩素処理水および本発明の水溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)の、低含水率のスプリングミックスうちのにおける常在微生物の増殖を抑制する能力の比較である。
【図8】図8は、塩素処理水および本発明の水溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)の、低含水率のスプリングミックスにおける腐敗微生物の増殖を抑制する能力の比較である。
【図9】図9は、塩素処理水および本発明の水溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)の、高含水率のスプリングミックスの腐敗を減少させる能力の比較である。
【0016】
【図10】図10は、塩素処理水または本発明の水溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)での処理の、高含水率のスプリングミックスにおける異臭を減少させる能力の比較である。
【図11】図11は、塩素処理水および本発明の水溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)の、高含水率のスプリングミックスにおける常在微生物の増殖を抑制する能力の比較である。
【図12】図12は、塩素処理水および本発明の水溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)の、高含水率のスプリングミックスにおける腐敗微生物の増殖を抑制する能力の比較である。
【0017】
【図13】図13は、塩素処理水および本発明の水溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)の、ホウレンソウの腐敗を減少させる能力の比較である。
【図14】図14は、塩素処理水または本発明の水溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)での処理の、ホウレンソウにおける異臭を減少させる能力の比較である。
【図15】図15は、塩素処理水および本発明の水溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)の、高含水率のホウレンソウにおける常在微生物の増殖を抑制する能力の比較である。
【図16】図16は、塩素処理水および本発明の水溶液(ペルオキシ酢酸、乳酸およびラウリル硫酸ナトリウム)の、ホウレンソウにおける腐敗微生物の増殖を抑制する能力の比較である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の詳細な説明
本発明は、ペルオキシ酢酸および乳酸を含む水性組成物が、驚くべきことに、物品の表面上の微生物汚染を減少させるのに有効であるという知見に関連する。この成分の組み合わせは、単独で作用する成分のいずれか1つより物品上に付着した微生物を減少させるのに非常に有効である。
【0019】
ペルオキシ酢酸の抗菌活性は、その高い酸化能力による。酸化の機序は、電子の転移であるため、酸化剤がより強力である程、より速く電子を微生物に転移させ、より速く微生物を不活化するか、または死滅させる。下の表によれば、ペルオキシ酢酸は、オゾンの酸化力よりも低いが、塩素系殺菌剤よりも強い酸化力を有する。
【表1】

【0020】
分子の拡散はその半減期よりも遅いので、ペルオキシ酢酸は、近接するあらゆる酸化化合物と反応し得る。それは、実質的に、微生物に関連する全種類の高分子;例えば、炭水化物、核酸(突然変異)、脂質(脂質過酸化)およびアミノ酸(例えば、Pheからm−Tyrおよびo−Tyrへの転換)に損傷を与え、最終的に細胞溶解を引き起こし得る。従来は、酸化有機化合物の化学特性を有する乳酸のような2−ヒドロキシ有機酸は、強力な酸化剤、特に過酸と共に使用するのは禁忌と教えられてきた。従って、本発明において過酢酸と乳酸を組み合わせることは特に驚くべきことであり、2つの化合物は、互いに拮抗する作用よりもむしろ、相乗効果を有することが示される。
【0021】
定義
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いる、単数形“a”、“an”および“the”は、他に特に記載がない限り複数形も包含することに留意すべきである。故に、例えば、“界面活性剤”への言及には、2種またはそれ以上の界面活性剤が包含される。
【0022】
他に特に記載されない限り、本明細書で用いる全ての技術的および化学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者に通常理解されるのと同じ意味を有する。全ての数値範囲は、その両端を含む。
【0023】
本発明の水性溶液および方法に関して、“過酸”および“有機過酸”は、構造式RC(O)OOH(式中、Rは、1ないし3個の炭素原子を有する脂肪族基である)で示される化合物を意味する。Rは、メチル、エチル、n−プロピル、またはs−プロピルであり得る。特に好ましい過酸は、過酢酸/ペルオキシ酢酸/PAA/(CHC(O)OOH)である。上記の有機過酸の混合物が用いられ得る。
【0024】
水溶液中、有機過酸は、過酸化水素と化学平衡状態で存在し、対応する有機酸および過酸化水素から以下の反応に従い形成され得る:
【化1】


各反応物質の平衡濃度は、以下の平衡方程式から計算され得る:
([RCOOOH][HO])/([RCOOH][H])=Kap (式1)
式中:[RCOOOH]は、過酸の濃度(モル/L)であり;[HO]は、水の濃度(モル/L)であり;[RCOOH]は、有機酸の濃度(モル/L)であり;[H]は、過酸化水素の濃度(モル/L)であり;Kapは、過酸平衡方程式(式1)の見かけの平衡定数である。
【0025】
見かけの平衡定数値Kapは、選択された過酸および温度の両方によって変化する。過酸形成の平衡定数は、D. Swern, ed., Organic Peroxides, Vol. 1, Wiley-Interscience, New York, 1970に見出され得る。40℃の温度にて、ペルオキシ酢酸の見かけの平衡定数は、約2.21である。この平衡反応によって、有機過酸溶液は、有機過酸に加えて、過酸化水素および対応する有機酸を含む。
【0026】
希釈に際して、新たな平衡状態が達成されるまでに、比較的長時間を要し得る。例えば、約5%のペルオキシ酢酸を含む平衡溶液は、典型的に、過酸化水素を約22%含む。約15%のペルオキシ酢酸を含む平衡溶液は、典型的に、過酸化水素を約10%含む。これらの平衡溶液が約50ppmのペルオキシ酢酸を含む溶液に希釈されるとき、5%ペルオキシ酢酸溶液の希釈によってもたらされる溶液は、約220ppmの過酸化水素を含み、15%溶液の希釈によってもたらされる溶液は、約33ppmの過酸化水素を含む。従って、ある態様において、殺菌組成物は、使用直前に、水または本発明の殺菌溶液の他の成分を含む水性溶液で所望の過酸濃度に希釈される濃縮物として提供される。ある態様において、殺菌組成物は、使用直前に希釈される濃縮物として提供される。
【0027】
過酸は、上記の平衡式に従って容易に購入可能である。ペルオキシ酢酸(CAS番号79−21−0)は、例えば、ペルオキシ酢酸(35%)、過酸化水素(6.5%)、酢酸64−19−7(40%)、硫酸(約1%)および水(約17%)(全て単位は、w/w)を含む水溶液として、既に市販されている。
【0028】
2−ヒドロキシ有機酸は、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸および乳酸から選択される。主要な生物学的光学異性体が好ましい。2−ヒドロキシ有機酸はまた、ラセミ体、ならびに何れかその光学的に純粋な異性体としても提供され得る。ある態様において、(+)エナンチオマーが好ましい(例えば、L−乳酸、L(+)−乳酸)。
【0029】
本発明で用いる用語“殺菌する”または“消毒する”は、細菌性胞子を除く表面上の生存微生物の減少を意味し得る。ある態様において、該減少は、本発明の殺菌溶液との接触の前後で測定されたところでは、少なくとも99.9%、99.99%、99.999%(例えば、それぞれ3、4または5log単位)または少なくとも3、4、5、6、7、8または□log単位である。ある態様において、殺菌された表面は、あらゆる適用可能な公衆衛生法令の基で安全であるとみなされるか、または感染もしくは疾病の危険をもたらすと考えられる閾値以下の病原性微生物レベルを有する。従って、表面は、殺菌されるべき全ての形態の微生物体が完全に除去または破壊される必要はない。減少は、物理的除去、または微生物の増殖の崩壊または抑制をもたらす、微生物に対する毒性によるものであり得る。
【0030】
用語“物品”は、何れかの物を意味し、有形物である。“物品”は表面を含む。これらの表面は、硬い表面(ガラス、陶器、金属、岩、木およびポリマー表面)、柔らかい表面(例えば、エラストメリックまたはプラスチック表面、織物の表面)であり得る。従って、表面は、織布または不織布材料に属し得る。用語“物品”は、表面および表面が付属する物(article)を含む。表面は、何れかの器具、装置、機器、器具、容器、家具、構造物または建築物の一部であり得る。従って、表面は、作業が行われる構造物の床、壁、天井または固定具の表面を含む。
【0031】
ある態様において、該表面は、国内の商業的食品加工および食品製造行為および/または環境で使用される。表面は、未調理物品もしくは生の食品材料(例えば、肉、魚、鶏肉、農産物)または包装された食品材料の表面であり得る。かかる表面はまた、食物を収穫、輸送、処理、加工または貯蔵する際に使用されるか、または存在する器具、機器、装置、容器、包装、衣類(例えば、手袋、ブーツ)、構造物、建築物などの何れかの表面を含むが、これらに限定されない。かかる表面の例には、食品加工に使用されるスライス用、缶詰め用、または輸送用の装置の表面;調理器具、食器類、洗浄器具、容器(食物の処理または保持に用いられる)の表面、ならびに建築物の表面(例えば、床、壁、天井)、または食品加工環境に存在する建築用取り付け具が含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
食品加工表面は、食品産業および農業分野の多くの適用でも見出され得る。これらの適用は、食品の防腐システムを含む。これらのシステムには、空気循環システム、冷却塔、飲料冷蔵および保温室、食品冷凍および冷却器クリーナーおよび殺菌剤、食品包装材、まな板の付属物、食器洗浄殺菌剤、第3の流し台殺菌剤、食肉を冷却または熱湯処理する水、無菌包装殺菌剤、ブランチャー洗浄剤および殺菌剤、食品加工抗菌衣類スプレー、ならびに洗浄用添加剤が含まれる。
【0033】
物品には、農業および家畜の環境および活動で使用される物品の表面が含まれる。適当な物品または表面には、動物の餌、動物の水飲み場およびその周辺、動物舎、獣医舎(例えば、外科処理領域または処置領域)、ならびに動物の外科的領域が含まれるが、これらに限定されない。従って、物品には、食品およびそれらの表面が含まれるが、これに限定されない。かかる物品には、何らかの物質が含まれ、通常、栄養または嗜好のためにヒトを含む動物によって飲食され得る、炭水化物、脂質、タンパク質および水からなる。食品とみなされる物品は、植物、動物、細菌および発酵(例えば、エタノール)から得られ得る。食物は、さらなる調理の有無に関わらず食され得る。食品には、農産物、加工されたフルーツまたは野菜、肉製品、肉類(例えば、赤身肉および豚肉)、シーフード、鶏肉、果物および野菜類、卵、生卵、卵製品、インスタント食品、小麦、穀類、種、根、塊茎、葉、茎、球茎、花、芽キャベツ、ハーブ、調味料またはそれらの組合せが含まれる。食品にはまた、動物性の食物も含まれる。
【0034】
ある態様において、物品は、植物原料である。用語“植物原料”には、成長している植物を含む、何れかの植物性物質または植物由来の物質が含まれる。植物原料には、温室で成長するか、または貯蔵される種、ナッツ、ナッツ果肉、切り花、植物または農作物、室内植物が含まれる。植物は、食用か、または食用ではない場合がある。
【0035】
ある態様において、食物は、加工された果物または野菜である。“加工された果物または野菜”は、カットされ、刻まれ、均質化され、スライスされ、皮をむかれ、挽かれ、粉々にされ、冷凍され、調理され(例えば、湯通しされ、低温殺菌され)、または放射線照射された果物または野菜を意味する。
【0036】
ある態様において、食品は、農産物である。用語“農産物”は、果物および野菜を含む植物由来の食品、ならびに典型的に生で、または未調理のまま食べられる他の植物の食用部分(例えば、種、ナッツ、ハーブ)を意味する。農産物は、未調理のまま食べられるものを含むが、これに限定されない、全体またはカットされた有機および非有機野菜ならびに果物を含むが、これに限定されない。ある態様において、農産物は、スプリングミックス、ホウレンソウ、ロメインレタス、アボガド、ヤムイモ、アスパラガス、キクヂシャ(escarole)、ルッコラ、赤チコリ、豆苗(pea shoot)、ディル、ニラ、結球レタス、リーフレタス(例えば、レッドおよびグリーンレタス)、アイスバーグレタス、エンダイブ、パセリ、ホウレンソウ、大根、セロリ、ニンジン、ビート(beet)、タマネギ、ダイオウ、ナス、コショウ、カボチャ、ズッキーニ、キュウリ、トマト、ジャガイモ、サツマイモ、カブ、ルタバガ(rutabaga)、ズッキーニ、キャベツ(例えば、赤および緑キャベツ)、ケール(例えば、緑および紫ケール)、コールラビ、コラードグリーン、カリフラワー、東洋野菜(例えば、チンゲン菜(baby bakchoy)、サヤインゲン、ザーサイ、カイラン菜、ハクサイ、ニラ、パクチー、ヤウチョイ(yau-choy)、ヘチマ)、芽キャベツ、オクラ、マッシュルーム、サヤエンドウ、大豆、ブロッコリ、スナップエンドウ、コーンおよびタンポポの若葉;リンゴ、パイナップル、メロン(例えば、カンタロープ、スイカ、甘露メロン、マスクメロン、冬瓜)、柑橘類の果物(例えば、オレンジ、レモン、タンジェリン、グレープフルーツ)、ゴルジ(golgi)、アサイ(acai)、桃、サクランボ、アンズ、柿、キウイ、マルメロ、プラム、プルーン、ブドウおよび西洋ナシのような果物;ならびに、ベリー類(例えば、イチゴ、キイチゴ、グーズベリー、ローガンベリー、ボイゼンベリー、クランベリー、干しブドウ、ニワトコの実、ブラックベリーおよびブルーベリーを含むが、これらに限定されない。ある態様において、農産物は全体またはカットされた、バナナ、マンゴー、パパイア、ハーブ、コリアンダー、シシトウガラシ、タマネギ、パイナップルである。ある態様において、本発明の組成物は、腐敗(例えば、菌核病)を防止するために、バナナの全体に適用される。
【0037】
ある態様において、物品は、肉製品である。用語“肉製品”は、筋肉、脂肪、臓器および皮膚を含む、動物の食用部分を包含する全ての動物部分を意味する。供給源動物は、哺乳動物、トリ、魚、爬虫類、両生類、カタツムリ、ハマグリまたは甲殻類であり得る。該用語は、シーフード(例えば、ロブスター、カニ)を含む。肉製品は、動物の生肉の全体または部分を含み得る。肉製品は、加工肉、分割され成形された製品、刻まれた肉製品、細切れ製品、挽肉およびそれらを含む製品を含む。肉製品は、鶏肉、牛肉、豚肉およびラム肉製品を含むが、それらに限定されない。
【0038】
ある態様において、ウシ、ヒツジ、ニワトリ、カモもしくは他の家畜、またはブタの死骸の外皮を、該表面と本発明の組成物を接触させるか、処理することにより殺菌する。
【0039】
従って、ある態様において、食品は、鶏肉である。“鶏肉”は、チキン、七面鳥、ダチョウ、ゲームヘン(game hen)、ひな鳥、ホロホロチョウ、キジ、ウズラ、カモ、ガチョウ、エミューなど、ならびにこれらの鳥の卵を含むが、これらに限定されない、鶏肉または卵のために維持され、集められ、または家畜とされた何れかの鳥類の全ての形態を意味する。鶏肉は、丸ごと、分割された、処理された、調理された、または生肉を含み、鶏肉、副産物および副生成物の全ての形態を含む。養鶏の肉には、筋肉、脂肪、臓器、皮膚、骨および体液などの動物を形成する要素が含まれる。養鶏の肉の形態には、例えば、動物の肉全体または一部の肉、他の成分単独またはそれとの組み合わせが含まれる。典型的な形態は、例えば、加工肉、分割され成形された製品、刻まれた肉製品、細切れ製品および全製品のような、加工処理された鶏肉を含む。
【0040】
ある態様において、物品は、食品処理表面である。“食品処理表面”は、食品の収穫、輸送、処理、加工または貯蔵活動で使用されるか、または存在する器具(例えば、ナイフ、包丁)、機械、装置、容器、包装、衣類(例えば、手袋、ブーツ)、構造物、建築物などの何れかの表面を意味する。かかる表面の例には、食品加工に使用されるスライス用、缶詰め用、または輸送用の装置の表面;調理器具、食器類、洗浄器具、容器(食物の処理または保持に用いられる)の表面、ならびに建築物の表面(例えば、床、壁、天井)、または食品加工環境に存在する建築用取り付け具が含まれるが、これらに限定されない。殺菌される食品加工面および環境はまた、無菌包装、食品冷凍および冷却器クリーナー、食洗機、食品防腐空気循環システム、ブランチャー、食品包装材、まな板の付属物、第3のシンク、飲料冷蔵および保温機、食肉の冷却または熱湯処理水、冷却塔、および非水性−低水性食品製造潤滑油、油状物、および濯ぎ添加剤であり得る。
【0041】
ある態様において、物品は、洗浄水または食品加工水である。用語“食品加工水”には、食品および食品農産物の輸送、加工および/または洗浄に使用される何らかの水媒体が含まれる。食品加工水または輸送用水には、農産物輸送水(例えば、フリューム、パイプ輸送路、カッター、スライサー、ブランチャー、レトルトシステム、洗浄機等に見出される)、食品輸送ライン用ベルトスプレー、ブーツおよび手荒いディップ−パン、第3シンクの濯ぎ水などが含まれる。
【0042】
ある態様において、処理される物品は、再循環水である。十分量の本発明の組成物は、特定の量が生物負荷または既に存在する微生物により消費された後にも、抗微生物作用を有効にするために添加または使用され得る。再循環水はまた、漉されるか、濾過されるか、希釈されるか、またはその他に、再循環中に洗浄され得る。ペルオキシ酢酸および乳酸の濃度は、十分な濃度を再循環水中で維持するために監視され得る。従って、本発明の組成物の濃度は、本発明の組成物として記載のペルオキシ酢酸および2−ヒドロキシ有機酸の濃度を維持するために再循環水に添加され得る。
【0043】
“農業”関連の物品または表面には、動物の餌、動物の水飲み場およびその周辺、動物舎(例えば、囲い、ケージおよび柵)、動物の獣医クリニック(例えば、外科領域または処理領域)、動物の研究施設、および動物の外科領域などを含む、“獣医”関連の物品または表面を含むが、それらに限定されない。
【0044】
用語“実質的に含まない”とは、引用された化合物または物質が、約300ppm未満、好ましくは約150ppm未満、より好ましくは約50ppm未満、最も好ましくは約10ppm未満、またはさらには1ppm(重量比)のレベルで溶液中に存在することを意味する。
【0045】
本発明の組成物
従って、第一の側面において、本発明は、i) 式RC(O)OOH(式中、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、またはs−プロピルである)の有機過酸;ii) 酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸、および乳酸から選択される2−ヒドロキシ有機酸;iii) 水;および、所望により、iv) 陰イオン界面活性剤、を含む水溶液またはゲルを提供する(ここで、該水溶液は、2.5ないし6.0のpHを有する)。ある態様において、pHは、2.5ないし3.5、2.5ないし4.0、2.7ないし3.5、2.5ないし5.0、3.0ないし4.0、3.0ないし5.0、3.0ないし6.0または3.5ないし4.5である。本発明の組成物は、所望により、他の抗菌成分を含むか、または他の抗菌成分を本質的に、もしくは実質的に含まない。
【0046】
本発明の水溶液に使用される好適な2−ヒドロキシ有機酸は、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸、および乳酸(すなわち、2−ヒドロキシプロパン酸)である。2−ヒドロキシ有機酸の例は乳酸である。上記の2−ヒドロキシ有機酸の何れか2種以上の組み合わせを、使用し得る(例えば、乳酸+クエン酸;乳酸+酒石酸;乳酸+リンゴ酸;乳酸+マンデル酸)。
【0047】
本発明の殺菌性組成物は、i) 式RC(O)OOHの有機過酸(式中、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、またはs−プロピルである);ii) 酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸および乳酸から選択される2−ヒドロキシ有機酸;iii) 水を含み、pHが2.5ないし7.8(その値を含む)であり、ここで、過酸の濃度は、40ないし250ppm(w/w)(その値を含む)であり、2−ヒドロキシ有機酸の濃度は、0.1ないし1%(w/w)(その値を含む)である。上記の何れかのさらなる態様において、組成物の重量による主成分は水である。ある態様において、本発明の組成物は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%または99%重量の水である。
【0048】
ある態様において、過酸はペルオキシ酢酸であり、有機酸は乳酸であり、陰イオン界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムである。他の態様において、組成物中の過酸の濃度は、3ないし100ppm(w/w)であり、溶液中の2−ヒドロキシ有機酸の濃度は、0.1%ないし2%(w/w)であり;pHは、2.5ないし5.0である。さらなる態様において、過酸の濃度は、5ないし100ppm(w/w)であり、2−ヒドロキシ有機酸の濃度は、0.1ないし2%(w/w)である。
【0049】
さらなる態様において、本発明の水性組成物は、組成物の過酸の濃度が約60ないし80ppm(w/w)であり、溶液中の2−ヒドロキシ有機酸の濃度が約0.2%ないし1.25%(w/w)であり;pHは、約2.8ないし4.2であるか、または3.8なしい4.2(その値を含む)である。
【0050】
ある態様において、組成物中の過酸の濃度は、3ないし100ppm(w/w)であり、組成物中の2−ヒドロキシ有機酸の濃度は、0.1%ないし2%(w/w)であり;pHは、2.5ないし5.0であり得る。さらなる態様において、過酸の濃度は、50ないし100ppm(w/w)であり、2−ヒドロキシ有機酸の濃度は、0.1ないし1%(w/w)である。さらなる態様において、過酸はペルオキシ酢酸であり、2−ヒドロキシ有機酸は乳酸(例えば、L(+)−乳酸)である。さらなる態様において、過酢酸の濃度は、60ないし90ppmであるか、または70ないし80ppmである。そのさらなる態様において、乳酸の濃度は、0.1ないし0.8%であるか、または0.2ないし0.4%(w/w)である。
【0051】
特に好ましい態様において、本発明は、pHが約2.5ないし6.0、より好ましくは2.8ないし4.2または3.8ないし4.2(その値を含む)のpHのペルオキシ酢酸および乳酸(例えば、L−(+)−乳酸)の水性組成物を含むか、または本質的にそれから構成される組成物であって、組成物の量が、過酸化水素および酢酸をさらに含み、該組成物が任意の界面活性剤を実質的に含まない、組成物である。
【0052】
ある態様において、水性溶液は、L−(+)−乳酸以外の乳酸の如何なる異性体も実質的に含まない。上記の何れかのさらなる態様において、組成物中の過酸(例えば、ペルオキシ酢酸)の濃度は、30ないし300ppm(w/w)、60ないし80ppm(w/w)、50ないし200ppm(w/w);60ないし160ppm(w/w)、120ないし160ppm(w/w)、または140ないし160ppm(w/w)であり;溶液中の2−ヒドロキシ−有機酸(例えば、乳酸)の濃度は、0.1%ないし5%(w/w)、0.1%ないし2%、0.2%ないし1%、0.2%ないし0.6%、または0.1%ないし0.5%、または約2%、3%、または4%から選択され;pHは、2.5ないし6.0、2.5ないし5.0、2.8ないし3.2、2.5ないし3.5、または2.6ないし3.2である。上記の他の態様において、溶液は、10、20または30秒ないし2分間、または約10、20、30または40秒間、殺菌される物品と接触させるものである。さらなる態様において、過酸の濃度は、30ないし100ppm(w/w)であり、2−ヒドロキシ有機酸の濃度は、0.3ないし2.0%(w/w)である。特に好ましい態様において、過酸の濃度は、70ないし80ppm(w/w)であり、2−ヒドロキシ有機酸の濃度は、0.2ないし0.4%(w/w)である。上記の何れかの他の態様において、組成物は、35°Fないし45°Fの温度または環境温度である。これらの水性組成物は、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤または陰イオン界面活性剤の何れかまたは全てを含む界面活性剤を含まないか、または実質的に含まない。概して、1ないし20ppm、5ないし15ppm、または7ないし12ppmの低濃度の過酸化水素が、組成物中に存在し得る。ある態様において、過酸化水素から形成されるか、または水性組成物中に存在する2−ヒドロキシ有機酸の任意の過酸は、溶液中の対応する2−ヒドロキシ有機酸の量の1/10、1/5、1/20、または1/50未満の量で存在し得る。上記の好ましい態様において、過酸はペルオキシ酢酸であり、2−ヒドロキシ有機酸は、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸および乳酸の1種以上から選択される。上記の何れかの特に好ましい態様において、2−ヒドロキシ有機酸は乳酸である。
【0053】
有機過酸が平衡に達する速度を加速するために添加される触媒はまた、所望により本発明の組成物中に存在してもよい。典型的な触媒は、硫酸、スルホン酸、リン酸、およびホスホン酸のような強酸である。過酸組成物が、所望の過酸濃度を生じるために希釈されるとき、触媒もまた、希釈され得る。例えば、約1ppmないし約50ppmの範囲の濃度の、低濃度の硫酸の存在は、殺菌組成物の特性に悪影響を及ぼさない。
【0054】
所望により、本発明の溶液の何れかは、使用中または物品との接触中に組成物が発泡または泡を形成するのを低減または抑制するために、薬剤をさらに含んでいてよい。本発明の組成物はまた、如何なる非イオン、陰イオン、および/または陽イオン界面活性剤を実質的に含まないでよく、および/または如何なる濃化剤を実質的に含まなくてよい。
【0055】
本発明の組成物はまた、物品上の溶液の検出を容易にするために着色剤を含み得る。
【0056】
陰イオン界面活性剤が、本発明の水性組成物に添加されるとき、それらは、好ましくは、当技術分野で公知の食材として安全な物質、C6−18アルキル硫酸塩および/またはスルホン酸塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムまたはカリウム)、ならびにそれらの混合物から選択される。抗菌効果および食味に関しては、アルキル硫酸塩が好ましく、とりわけそのナトリウム塩および/またはカリウム塩が好ましい。ドデシル硫酸ナトリウムまたはラウリル硫酸ナトリウムが、特に好ましい陰イオン界面活性剤である。
【0057】
ある態様において、組成物は、ペルオキシカルボン酸に対するアミンオキシドのモル比が1以上で、アミンオキシドを含む。多くのペルオキシカルボン酸組成物は、辛みが強く、不快であるか、あるいは許容され難い悪臭を示す。かかる許容され難い悪臭は、ペルオキシカルボン酸にアミンオキシドを添加することにより低減され得る。ペルオキシカルボン酸はアミンオキシドの存在下で製造されるか、またはアミンオキシドが、ペルオキシカルボン酸を形成後に添加され得る。一態様において、アミンオキシドは、食品製品に用いられるか、または食品加工装置もしくは材料を洗浄もしくは殺菌するために用いられ得る。一態様において、アミンオキシドは、保健衛生環境において用いられ得る。一態様において、アミンオキシドは無毒である。一態様において、アミンオキシドは、骸骨と十字の骨の標識などのような悪い標識を付されることなく、食品医薬品局のような政府機関のガイドラインに従って用いられ得る。好ましいアミンオキシドには、オクチルアミンオキシド(例えば、オクチルジメチルアミンオキシド)、ラウリルジメチルアミンオキシドなどが含まれる。あるいは、アミンオキシドは、以前に本発明の組成物で処理された物品に、それとは別に適用され得る。かかる態様において、アミンオキシドは、好ましくは水溶液である。
【0058】
アミンオキシドは、典型的に、ペルオキシカルボン酸の悪臭を減少させるのに有効な量で存在する。好適な濃度のアミンオキシドが、ペルオキシカルボン酸に対するアミンオキシドのモル比が1以上で含まれる。一態様において、該モル比は、2以上である。一態様において、該モル比は、3以上である。一態様において、該モル比は、2ないし5である。一態様において、該モル比は、3ないし5である。オクチルジメチルアミンオキシドは、ペルオキシ酢酸よりも約3(例えば、2.7)倍大きい分子量を有し、適用可能な重量比は、かかる基準を元に計算され得る(2009年11月24日に出願された米国特許番号第7,622,606(この目的に関して、好適なアミンオキシドについて、引用により本明細書に包含される)を参照のこと)。
【0059】
アミンオキシドの例は、式
【化2】


[式中、R、RおよびRは、独立して、飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分枝状の1−18個の炭素および芳香族基などを有するアルキル基であって、所望によりヘテロ原子としてのO、NもしくはPまたはポリアルコキシ基を含み得るアルキル基である。]
で示される。アミンオキシドの例には、アルキルジメチルアミンオキシド、ジアルキルメチルアミンオキシド、アルキルジアルコキシアミンオキシド、ジアルキルアルコキシアミンオキシド、ジアルキルエーテルアミンオキシドおよびジアルコキシエーテルアミンオキシドが含まれるが、これらに限定されない。一態様において、Rは、4−18個の炭素を有するアルキル基であり、RおよびRは、1−18個の炭素を有するアルキル基である。一態様において、Rは、6−10個の炭素を有するアルキル基であり、RおよいbRは、1−2個の炭素を有するアルキル基である。一態様において、Rは、8個の炭素を有するアルキル基(オクチル基)であり、RおよびRは、1−2個の炭素を有するアルキル基である。一態様において、Rは、12個の炭素を有するアルキル基(ラウリル基)であり、RおよびRは、1−2個の炭素を有するアルキル基である。ある態様において、アミンオキシドは、オクチルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ジデシルメチルアミンオキシド、メチルモルホリンオキシド、テトラデシルジエトキシアミンオキシド、またはラウリルジメチルアミンオキシドである。
【0060】
従って、ある態様において、過酸はペルオキシ酢酸であり、有機酸は乳酸であり、陰イオン界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムである。他の態様において、組成物中の過酸の濃度は3ないし100ppm(w/w)であり、組成物中の2−ヒドロキシ有機酸の濃度は、0.1%ないし2%(w/w)であり;組成物中の陰イオン界面活性剤の濃度は、10ないし2500ppmであり、pHは2.5ないし5.0である。さらなる態様において、過酸の濃度は、5ないし100ppm(w/w)であり、2−ヒドロキシ有機酸の濃度は、0.1ないし2%(w/w)であり、陰イオン界面活性剤の濃度は、50ないし400ppmである。
【0061】
一般的に、水性組成物中の過酸化水素の濃度は、過酸の濃度の5倍ないし10倍未満であり、その存在は、過酸と対応する酸および過酸化水素の平衡または相互変換を反映し得る。過酸化水素の濃度は、過酸の選択および濃度によって変わり、例えば、5ppm、10ppmまたは20ppm未満であり得る。従って、水性組成物中の過酸化水素の濃度は、典型的に、過酸の濃度より非常に低い。
【0062】
従って、ある態様において、本発明は、i) 式RC(O)OOH(式中、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、またはs−プロピルである)の有機過酸;ii) 酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸、および乳酸から選択される2−ヒドロキシ有機酸;および、所望によりiii) 陰イオン界面活性剤を含む水性組成物であって、ここで、該水溶液は、2.5ないし6.0、4.0ないし6.0、3.5ないし4.5、3.0ないし5.0、3.6ないし4.2、2.5ないし5.0、2.5ないし4.5、2.5ないし3.5、2.7ないし3.5、3.6ないし4.6、2.8ないし3.2(その値を含む)であるか、または約3.0(例えば、3.0+/−0.2;3.0+/−0.3)のpHを有し;過酸の濃度が、40ないし250ppm(w/w)(その値を含む)であり、2−ヒドロキシ有機酸の濃度が、0.1ないし1%(w/w)(その値を含む)である組成物を提供する。さらなる態様において、水性組成物は、過酸がペルオキシ酢酸であり、2−ヒドロキシ有機酸がL−(+)−乳酸である。さらなる態様において、組成物中のペルオキシ酢酸の濃度は50ないし100ppm(w/w)であり、溶液中の乳酸の濃度は、0.1%ないし0.6%(w/w)である。好ましい水性組成物は、ペルオキシ酢酸の濃度が60ないし80ppm(w/w)であり、乳酸の濃度が0.1%ないし0.4%(w/w)である。上記の何れかの他の態様において、pHは、2.5ないし4.5、2.8ないし3.2、2.5ないし5.0、および2.7ないし3.5から選択される範囲内である。上記の何れかの他の態様において、組成物は、35°Fないし45°Fの温度または環境温度である。これらの水性組成物は、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤または陰イオン界面活性剤の何れかまたは全てを含む界面活性剤を実質的に含み得ない。概して、1ないし20ppm、5ないし15ppm、または7ないし12ppmの低濃度の過酸化水素が、組成物中に存在し得る。水性組成物中に形成されるか、または存在する何れかのペルオキシ2−ヒドロキシ有機酸は、溶液中の対応する2−ヒドロキシ有機酸の量の1/10、1/5、1/20、または1/50未満の量で存在し得る。
【0063】
ある態様において、水性組成物は、過酸の溶液に、過酸化水素を実質的に含まない2−ヒドロキシ有機酸の溶液を添加することによるか、または過酸化水素を実質的に含まない2−ヒドロキシ有機酸の溶液に過酸の溶液を添加することにより形成される。得られる混合物は、上記の通り濃縮物であるか、もしくはプレ混合物であるか、または本明細書に記載の物品と接触するのに適する殺菌濃度で存在し得る。他の態様において、如何なる過酸化水素も実質的に含まない有機酸および過酸が、物品を洗浄または殺菌するのに使用される水溶液とは別に添加される。ある態様において、使用される組成物中の過酸のpHおよび/または濃度および/または2−ヒドロキシ有機酸の濃度は、過酸のpH、濃度、2−ヒドロキシ有機酸の濃度、または組成物の酸化還元電位の1個以上をモニターし、物品との接触における組成物の使用中、水溶液中の過酸および乳酸のpH、濃度を維持するために、水溶液の濃縮物またはプレ混合物を添加することにより維持される。
【0064】
本発明の上記組成物の何れかは、特に、使用中または物品との接触中に溶液が泡立つこと、または泡を形成するのを低減または抑制するために、薬剤をさらに含んでいてよい。本発明の組成物はまた、如何なる非イオンおよび/または陽イオン界面活性剤を実質的に含まないでよく、および/または如何なるの濃化剤を実質的に含まなくてよい。
【0065】
さらなる態様において、本発明の水性組成物は、組成物中の過酸の濃度が約60ないし80ppm(w/w)であり、組成物中の2−ヒドロキシ有機酸の濃度が約0.2%ないし1.25%(w/w)であり;組成物中の陰イオン界面活性剤の濃度が約150ないし200ppm(w/w)であり、pHが約3.8ないし4.2(その値を含む)、または3.8ないし4.2(その値を含む)である。
【0066】
本発明の水性組成物はまた、所望により、過酸化水素の分解を触媒する金属をキレートする金属イオン封鎖剤を含んでいてよい。これらの薬剤には、二価金属カチオンを封鎖可能な有機ホスホン酸、ならびにかかる酸の水溶性の塩類が含まれるが、これらに限定されない。常用のキレートは、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸である。殺菌組成物中に存在するキレート剤は、典型的に、使用と同時に希釈され、故に使用中のそれらの効果を最小にする。特に、本発明の水性の殺菌組成物は、所望によりマグネシウムまたはカルシウムをキレートする薬剤を含み得る。
【0067】
理論にとらわれることなく、任意の陰イオン界面活性剤の存在は、表面張力および水性組成物の粘性を低減し、物品の表面上への溶液の拡散を促進するのに作用し得る。低粘性は、とりわけ層、皺などがある食物の表面上への拡散を促進することにより処理の完全性を改善する。低粘性はまた、濯ぎ特性および残りの乾燥速度を改善する。
【0068】
ある態様において、本水性組成物は、物品(例えば、農産物)の表面上の微生物汚染を、実施例に記載の何れかの方法に従い、少なくとも2log単位、より好ましくは少なくとも3log単位、さらにより好ましくは少なくとも4log単位減少させることが可能である(例えば、レタスの葉に付着する大腸菌またはリステリア属病原菌を用いて)。他の態様において、本方法は、実施例に記載の何れかの方法に従い、食品の腐敗を10%、20%、30%、40%、20ないし50%妨げるか、または1、2、3、4または5日間保存期間を延長する。
【0069】
組成物は、本明細書に記載の物品と接触するための殺菌溶液を得るために、水で希釈されるプレ混合物または濃縮物として提供され得る。プレ混合物または濃縮物は、使用前に水で4ないし200倍、10ないし100倍、10ないし50倍、10ないし25倍、4ないし10倍希釈(例えば、約5倍、10倍、20倍、40倍、50倍、100倍希釈)する必要があることが意図される。
【0070】
用語“実質的に含まない”は、一般的に、対象物質を不含有であるか、または目的物質の特性を物質的に変化させ得ない微量成分として存在することを意味する。過酸化水素に関して、過酸化水素を実質的に含まない2−ヒドロキシ有機酸溶液は、過酸化水素を有しないか、あるいは過酸化水素を0.1ppm(w/w)未満の量で有する物であり得る。ペルオキシ 2−ヒドロキシ有機酸に関して、殺菌溶液は、2−ヒドロキシ有機過酸が、目的組成物中に不存在であるか、または対応する2−ヒドロキシ有機酸の1/10、1/20、1/40または1/100未満の量で存在するか、もしくは過酸化水素および式RC(O)OOH(式中、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、またはs−プロピルである)の有機過酸を含む溶液中、2−ヒドロキシ有機酸の反応により最初に形成される反応生成物としての存在するとき、2−ヒドロキシ有機過酸を実質的に含まない。従って、ある態様において、殺菌組成物または該殺菌組成物の作製に使用される2−ヒドロキシ有機酸溶液は、2−ヒドロキシ有機酸の過酸を実質的に含まない。
【0071】
本発明の消毒剤または殺菌組成物は、溶液、懸濁液、ゲル、泡状物、霧状物、スプレーおよびワイプを含む種々の形態であり得る。さらなる製品タイプには、消毒性の泡状物、クリーム、ムースなど、ならびにエマルジョン、ローション、クリーム、ペーストなどのような有機および無機フィルター材を含む組成物が含まれる。該消毒性組成物はまた、消毒性霧状物および消毒性ミストとして使用され得る。本発明の組成物は、薄いすぐに使用できる組成物として、または使用前に希釈され得る濃縮物として製造され得る。種々の組成物はまた、製品の特性によって香りを含み得る。例えば、パインまたはレモンの香りは、多くの消費者に清潔さと関連するそれらの魅力のために、台所洗浄ワイプの使用に望ましい。さらにゲルまたはエアロゾルもまた、同様の、または他の理由で香りを付加され得る。ある態様において、組成物の重量による主成分は水である。ある態様において、本発明の組成物は、少なくとも50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%、98重量%または99重量%が水である。
【0072】
本発明の一態様において、消毒性組成物は、消毒性ワイプを製造するために使用される。本発明の消毒性ワイプは、ヒトの手および皮膚、医療機器、調理台、シンク、床、壁、窓などを含む、種々の硬い表面および他の表面を洗浄するのに使用され得る。本発明のワイプは、種々の繊維で製造され得る。本発明の目的に関して、繊維は、布繊維および紙繊維、ならびに織布および不織布材を含み得る。織布および不織布材は、レーヨン、ナイロン、綿、リンネル、またはそれらの組み合わせのような適当な材料から製造され得る。不織布の例は、米国特許番号第3,786,615号;同第4,395,454号;および同第4,199,322号(引用により本明細書中に包含される)に記載される。繊維または紙は、当技術分野で公知の何れかの方法により、消毒性溶液を染み込み得る。ワイプは、個々に包装されるか、または個々のブリスターパックまたは包装されもしくは積み重ねされたマルチパックを含む当技術分野で公知の方法で包装され得る。
【0073】
別の態様において、本発明の消毒組成物は、ゲルまたはゼラチン状の殺菌組成物に製剤される。消毒組成物に加えて、本発明のゲル状殺菌剤には、濃化剤またはゲル化剤が含まれ得て、ここで、“濃化剤”および“ゲル化剤”は、互換的に用いられる。本発明の目的に関して、用語“ゲル”または“ゼラチン性”殺菌組成物は、約1,000センチポアズないし約100,000センチポアズの粘性、または他の態様において2,000センチポアズないし50,000センチポアズの粘性を有し得る消毒用液体物質を意味する(これらの範囲は、限定を意図しない)。ハンドジェルは、産業用清掃または消毒目的のために使われるジェルよりかなり粘性の低いものであり得る。ゲル化剤または濃化剤の例には、グアーおよびグアー誘導体のような天然ガム、粘度、ヒュームド・シリカ、合成ポリマー、カルボマー、セルロース、セルロース誘導体、アルギン、アルギン誘導体、不溶性C−C20アルコール、アクリレート・ホモポリマー、アクリレート共重合体、カラゲーニン、油、ワックス、アロエベラ・ジェル、それらの混合物などが含まれるが、それらに限定されない。ゲル化剤は、約0.1wt%ないし50wt%のゼラチン状組成物の量で、ゼラチン状の殺菌組成物として存在し得る。別の態様において、ゲル化剤は、0.25wt%ないし10wt%のゼラチン状組成物の量で存在する。ゲル化剤の量は、所望の粘性およびゲル化剤を含む種々の因子によって変わり得る。ゼラチン状殺菌剤は、種々の適用が見出される。1つの特定の態様において、消毒組成物は、消毒用アロエ製剤を形成するために天然のアロエジェルと組み合わされ得る。かかる製剤は、皮膚接触が起こり得るか、またはそれが意図される場所での使用が見出される。
【0074】
別の態様において、本発明の消毒用組成物は、消毒用泡状物または泡形成組成物として提供され得る。該消毒用泡状物または泡形成組成物には、本発明の消毒剤または殺菌組成物および泡形成剤が含まれる。当技術分野で公知の全ての泡形成剤は、所望の適用および消毒用泡状物をもたらす特性に次第で使用され得る。
【0075】
別の態様において、本発明の消毒剤または殺菌組成物は、エアロゾルまたは霧の形成に用いられ得る。噴霧剤は、消毒剤をエアロゾル化する手段である。消毒剤のエアロゾル粒子は、空気口の内側表面のような手の届かない表面または構造部分を含む、空気自体および表面の両方を消毒するためにしばらくの間、空気中に滞留し得る。消毒剤のエアロゾル化粒子は、約5μmないし約200μmの粒子サイズを有し得る。別の態様において、エアロゾル化粒子は、約20μmないし約□μmの粒子サイズを有し得る。
【0076】
噴霧剤は、疾病の予防および制御に特に有用である。噴霧装置は、典型的に、小さな液滴を生じるために、大きな圧力下で高用量の空気を用いて作動する。本発明の消毒用組成物は、最も標準的な噴霧装置と互換性である。好適な噴霧装置の例には、Dyna−Fog’s(登録商標)Thermal FoggersおよびCold Foggersが含まれる。
【0077】
溶液として、本発明の殺菌組成物は、器具のような物のための液体分散浴として、または移動しにくい物に適用するためのスプレーとして使用され得る。
【0078】
容器およびキット
ある態様において、本発明は、本発明の水性殺菌溶液および上記の物品または他の物品の処理に用いるための使用説明書を含むキットを提供する。いくつかのさらなる態様において、該キットは、平衡状態または平衡状態近傍の過酸溶液を含む第1の部分を提供する。典型的に、該溶液は、即時に使用できる状態で、あるいは約5重量%ないし約35重量%のペルオキシ酢酸のような過酸、または過酸の混合物を、使用前にどの程度の量の水で希釈されるべきかを示す指示書と共に含んで提供される。該キットは、所望により、浸漬ボウルおよびストレーナーを含む。すぐに使用できる製剤は、スプレーボトルで提供され得る。他の態様において、該キットは、所望により一定量の即時に使用できる製剤を含んでいてよい再充填可能なスプレーボトルと共に1つの容器中に濃縮物として水性殺菌溶液を提供し得る。このキットは、該濃縮物を水で希釈するときの好適な希釈率についての指示書を含み得る。典型的に、濃縮物は、直ぐに使用できる製剤よりも、4、5、6、8、10または20倍以上濃縮され得る。かかるキットは、とりわけ消費者の使用に好適であり得る。
【0079】
発明の方法
第二の面において、本発明は、物品の殺菌法であって、物品と本発明の水性殺菌溶液を接触させることを含む方法を提供する。該溶液は、当業者に公知の何らかの好適な手段により、物品と接触させるか、またはそれに適用され得る。例えば、溶液は、殺菌される表面と殺菌剤溶液との良好な接触を確実にする何らかの方法によって適用され得る。そのような方法には、浸漬(bathing)、洗浄、コーティング、ブラッシング、ディッピング、イマージング(immersing)、払拭、ミストティング、噴霧、およびフォギング(fogging)などが含まれる。これらの工程は、完全に接触することを確実にするために繰り返され得る。一旦適用されると、所望の殺菌作用(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7または8log倍の微生物汚染の除去)を確実にするのに十分な滞留時間後に、溶液を、乾燥、遠心および/または脱水および/または食品への使用に適する水(例えば、飲料水)で物品を濯ぎもしくは洗浄することにより、物品の表面から物理的に除去し得る。これらの除去工程の任意の組み合わせは、順次行われ得る。濯ぎは、過酸、2−ヒドロキシ有機酸およびラウリル硫酸ナトリウムがGRAS量で存在する場合には必須ではない。特に、好ましく使用される過酸は揮発性であり、それ故に、乾燥すると物品上に残留物はほとんど残らない。
【0080】
ある態様において、植物または農産物は、物品の腐敗または損傷を防止するために処理される。従って、本明細書に記載の方法が植物の種々の細菌感染を防止するか、または阻止するために適用され得ることが意図される。シュードモナス科(Pseudomonadaceae)、リゾビウム科(Rhizobiaceae)、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、コリネバクテリウム科(Corynebacteriaceae)およびストレプトマイセス科(Streptomycetaceae)の細菌は、本発明により制御され得る全ての経済的に重要な植物の病原体である。本明細書に記載の方法によって有効に阻害され得る特定の植物病原体の限定されない例には、例えば、Xanthomonas campestris pv. oryzaeのようなキサントモナス種;例えば、Pseudomonas syringae pv. lachrymansのようなシュードモナス種;および、例えば、Erwinia amylovoraのようなエルウイニア種が含まれる。本明細書の記載の植物の細菌感染を防止または阻止する方法はまた、別個に、または共に製剤され得る、ブロノポール、ジクロロフェン、ニトラピリン、ニッケル・ジメチルジチオカルバメート、カスガマイシン、オクチリノン、フランカルボン酸、オキシテトラサイクリン、プロベナゾール、ストレプトマイシン、テクロフタラム、硫酸銅および他の銅製品のような抗菌剤と共に、または別個での使用を含み得ることも意図される。
【0081】
本明細書に記載の細菌感染を防止または阻止する方法は、全ての植物および植物の部分を処理するのに使用され得る。植物に関して、本明細書中、所望のおよび所望ではない野生の植物または作物(天然に生じる作物を含む)のような全ての植物および植物群であると理解される。作物は、形質転換植物および品種保護権により保護され得るか、または保護され得ない植物種を含む、常套の栽培法および最適化法、または生物工学的および遺伝子工学的方法またはこれらの方法の組み合わせにより得られ得る植物であり得る。植物の部分は、例えば、葉、針葉、茎、幹、花、子実体、果実および種、ならびに根、塊茎および根茎であり得る、新芽、葉、花および根のような植物の地上および地下の部分および器官の全てを意味すると理解される。植物の部分にはまた、例えば、苗、塊茎、根茎、切り枝および種のような、収穫された植物ならびに栄養繁殖部分および生長繁殖部分が含まれる。
【0082】
植物および植物の部分の本発明の活性化合物での処理は、直接行われるか、または例えば、浸漬、スプレー、蒸発、噴霧、散布、拡散のような慣習的な処理法により、それらの周辺域、生息域または貯蔵域に作用することにより行われる。
【0083】
ある態様において、物品は、微生物による完全または中毒を防止するために処理される。
【0084】
滞留時間は、過酸(例えば、ペルオキシ酢酸)、2−ヒドロキシ有機酸(例えば、L−(+)−乳酸、および界面活性剤(存在するとき)の濃度によって異なり得る。しかしながら、一般的に、物品の表面が、約10秒ないし約10分の滞留時間中に、水性殺菌溶液と接触され得ると考えられる。より好ましくは、滞留時間は、約20秒ないし約1、2または4分までである。滞留時間は、温度ならびに過酸および2−ヒドロキシ有機酸の濃度によって異なり得る。低温および低濃度は、当業者により経験的に容易に決定され得る通り、より長時間の接触が要され得る。
【0085】
水性殺菌溶液/濯ぎ溶液が適用される温度は、物品の熱耐性によって変えられるべきである。殺菌溶液は、液体の水に好適な温度で効果的に適用され得る。都合よくは、温度は、環境温度または室温(例えば、20℃ないし35℃)であり得る。しかしながら、他の温度は、処理される物品の熱耐性、物品の新鮮さを保つか、または腐敗を避けるために低温が使用される必要性によって、または過酸および/または2−ヒドロキシ有機酸が添加される源水の無調節のまたは調節された温度によって、使用され得る。
【0086】
ある態様において、接触は、物品表面上の微生物汚染を、少なくとも3または4log単位、より好ましくは少なくとも5log単位、さらにより好ましくは少なくとも6、7または8log単位減少させる。汚染菌は、ヒト病原菌(例えば、大腸菌、大腸菌O157H7株、リステリア菌、サルモネラ菌)、または物品の表面上で一般的に見出される常在微生物であり得る。
【0087】
本発明の水性殺菌溶液は、家庭用および商業用の両方で、物品に使用され得る。
【0088】
ある態様において、処理により低減される微生物汚染は、細菌(例えば、大腸菌O157H7、リステリア菌、サルモネラ菌)、ウイルス、菌またはカビを含むが、これらに限定されない、ヒト病原菌(例えば、毒素原性細菌)である。
【0089】
水性殺菌組成物中、過酸(例えば、ペルオキシ酢酸)と2−ヒドロキシ有機酸(例えば、L−(+)−乳酸)との共製剤が、使用時に、特に効果的、かつ長時間続く殺菌性組成物を提供するということは驚くべき発見であった。複数の物品を処理するために連続して使用されるとき、組成物は、新たに調製されるか、または過酸を約60ないし80ppmの範囲の濃度および乳酸を0.2ないし0.4%、または約2.5%の濃度に維持するために、さらなる過酸および2−ヒドロキシ有機酸を補填されなければならない。
【0090】
ある態様において、殺菌組成物は、物品と接触するために水に添加される、水性プレ混合物(例えば、約5−200倍濃縮物、5、10、20、40、50または100倍濃縮物)として提供される。ある態様において、過酸および/または2−ヒドロキシ有機酸の濃度は、実際に測定されるか、または過去の消費データにより決定される通り、洗浄溶液中、過酸および/または2−ヒドロキシ有機酸の濃度に基づきプレ混合物または濃縮物を添加してその濃度を維持するように該洗浄溶液中で調整される。
【0091】
商業的適用において、ある態様において、物品は、該物品が、溶液に浸漬することにより殺菌溶液と接触されるとき、殺菌溶液に移される。気泡は、プレ混合物の接触および/または混合を促進するために発生し得る。次いで、物品は、殺菌溶液から除去され、要すれば、過酸および2−ヒドロキシ有機酸を含まない水でスプレーされ、および/または過酸および2−ヒドロキシ有機酸を含まない水に浸されることにより濯がれる。濯ぎ水は、物品を振盪するか、遠心するか、空気乾燥するか、またはタオルで拭くことによりさらに除かれ得る。
【0092】
本発明の臭気低減組成物は、ヒト、動物などの病原菌のような病原微生物群を減少させるために用いられ得る。該臭気低減組成物は、真菌、カビ、細菌、胞子およびウイルス、例えば、パーボ・ウイルス、コサック・ウイルス、ヘルペス・ウイルス、黄色ブドウ球菌、大腸菌、連鎖球菌、レジオネラ菌、マイコバクテリウムなどを含む病原菌に対して活性を示し得る。かかる病原菌は、水虫、有毛足疣疾病、乳腺炎または他の哺乳動物の搾乳病、結核などを含む種々の疾病および障害を引き起こし得る。加えて、本組成物は、水、空気または表面の物質による移動を介して拡散する病原性微生物を殺菌する。組成物を含むフィルターは、空気および液体中の微生物集団を低減し得る。
【0093】
本発明の悪臭を減じる過酸化カルボン酸組成物の濃縮物または使用濃度は、抗菌組成物または洗浄組成物を目的物に適用するために、何れかの常套法または装置により物品との接触に適用されるか、または導入され得る。例えば、目的物は、臭気低減組成物または臭気低減組成物から製造される組成物で拭かれ、それをスプレーされ、および/もしくはそれに浸され得る。接触は、手作業か、または機械により行われ得る。
【0094】
本発明の方法は、有意な抗菌作用を生じるために、組成物と物品の一定の最低接触時間を要する。該接触時間は、使用する組成物の濃度、使用する組成物の適用方法、使用する組成物の温度、物品上の汚染量、物品上の微生物数、環境、要される殺菌の程度などによって異なり得る。好ましくは、暴露時間は、少なくとも約5ないし約15秒である。
【0095】
1つの態様において、加圧スプレーが、本発明の組成物を適用するために用いられる。物品上へのスプレー組成物の適用中、物品の表面は、機械的作用で、好ましくは撹拌、粗磨き、研磨などで移動され得る。撹拌は、圧力下でスプレー組成物の作用を介して、超音波処理を介して、物品を物理的に擦ることにより、または他の方法により可能である。撹拌は、おそらく微生物を含む何らかの割れ目または小さなコロニー中への組成物の良好な暴露のために、微生物を殺す際におけるスプレー組成物の効果を増大する。適用前に、スプレー組成物はまた、熱不耐性物品に関して、2ないし5℃、2ないし10℃の範囲の温度まで冷却され得るか、または熱耐性物品に関して、効果を増大するために、約15℃ないし20℃、好ましくは約20℃ないし60℃の温度に加熱され得る。
【0096】
スプレー適用は、自動的に(製造ラインの場合)または手動で行われ得る。複数のスプレーヘッドは、完全な接触または他のスプレー手段を確実にするために用いられ得る。スプレーヘッドは、何れかの有用なスプレーパターンを有し得る。使用され得るスプレーブースは、スプレーされた組成物をブース内に実質的に限定する。例えば、製造ライン物品は、全てのその外表面が接触するブースに通路を通って移動し得る。表面から排出するために数回処理された後、物品は、完全に処理された形態でブースから出され得る。スプレーブースは、本発明の抗菌剤または殺菌組成物を提供するために蒸気ジェットを用い得る。これらの蒸気ジェットは、物品に達する処理剤が所望の温度であり、物品が、スプレーの温度により望ましくない変化をしない(例えば、調理されない)ことを確実にするために用いられ得る。
【0097】
ある態様において、物品は、一定量の本発明の組成物を含むタンクに浸される。組成物は、好ましくは、組成物の有効性および組成物が鶏肉製品に付着している微生物を減少させる速度を速めるために、撹拌される。撹拌は、超音波、組成物を介するバブリングした空気による通気を含む常套法によるか、ストレーナー、パドル、ブラシ、ポンプによる液体ジェットのような撹拌のような機械的方法によるか、またはこれらの方法の組み合わせにより、得られ得る。ある態様において、殺菌組成物は、微生物を殺す際に溶液の効果を増大するために加熱され得る。
【0098】
本発明の別のさらなる態様において、物品は、本発明の組成物の泡形成バージョンで処理され得る。泡状物は、前もって、または使用時に、本発明の組成物を製造するために泡形成界面活性剤と他の成分を混合することにより製造され得る。泡形成界面活性剤は、天然で非イオン、陰イオンまたは陽イオン性であり得る。有用な界面活性剤タイプの例には、アミンオキシド、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、スルホン酸塩、第4級アンモニウム化合物、アルキルサルコシン、アルコールエトキシレート、アルコールエトキシレートカルボキシレート、ベタインおよびアルキルアミドが含まれるが、これらに限定されない。泡形成界面活性剤は、典型的に、使用時に殺菌溶液と混合される。泡形成剤の使用される溶液濃度は、約50ppmないし約2.0重量%である。使用時、圧縮空気が混合物に注入され、次いで、タンクフォーマー(tank foamer)または吸気ウォールマウントフォーマー(aspirated wall mounted foamer)のような泡加工装置を介して物品に適用され得る。
【0099】
本発明の別の態様において、物品は、表面に付着し得る組成物の濃化またはゲル化バージョンで処理され得る。組成物は、既存の技術を用いて濃化またはゲル化され得る:キサンタンガム、重合増粘剤、セルロース増粘剤など。アミンオキシドおよび陰イオン性対イオンのようなロッド・ミセル形成システムもまた、使用され得る、濃化物またはゲル形成剤は、使用時に、濃化生成物に、または殺菌溶液と混合して用いられ得る。濃化剤またはゲル化剤の一般的使用濃度は、約100ppmないし約0.1重量%または約0.1重量%ないし1重量%、または1重量%ないし10重量%の範囲である。濃化またはゲル化状態では、殺菌溶液またはゲルは、より長時間物品と接触したままであり、故に抗菌効果が増大される。
下記の実施例は、本発明を例示することを目的とし、限定することを意図しない。
【実施例】
【0100】
実施例
実施例1.
本実施例は、本発明の水性殺菌溶液の使用を説明する。図1から16に示す通り、本発明の溶液は、有利には、種々の物品の表面から微生物を除去し、処理された物品上の常在微生物の増殖を抑制し、そして物品表面からモデル病原菌を除去し得る。本発明の方法および組成物はまた、腐敗する物品の貯蔵期間を顕著に延長し、腐敗する物品の腐敗を大幅に遅らせることも示す。該知見は、細菌、酵母およびカビのような多様な微生物にまで及ぶ。
【0101】
A.貯蔵期間試験のための標準的操作手順
この方法は、殺菌溶液により、一般的におよび特に本発明のものにより処理されている農産物の貯蔵期間を決定するために用いられ得る。
準備
水を75%含む8個の20ガロン容量の容器を〜45°Fまで冷却する。
処理を行う少なくとも1日前に、アルミホイルで完全に包んだ12個の5ガロン容器をオートクレーブで滅菌する。
1.農産物の種類によって、対応するOTR管を用いる;カットし、印を付け、密封してバッグを形成する。バッグを、汚染を最小にするために、生物学的に安全なキャビネット中で2時間、紫外線下におく。
【0102】
処理
1.使用直前に化学殺菌剤を処方する。すべての計算値は、質量/質量に基づく。
2.処理中、あふれるのを防ぐために容器の3/4容量まで仕込む。
3.生の農産物を静かに蓋付きステンレス製バスケットに入れ、3/4容量まで入れる。
4.該バスケットを化学殺菌剤に浸すときにタイマーを開始する。
5.30分間、該充填したバスケットを穏やかに上下する。
6.化学溶液を含む容器から農産物を含む処理済みバスケットを取り出し、直ぐに3/4容量の濯ぎ水を含む別の容器に移す。
7.処理された農産物表面上の残存化合物の大分部を除去するために、水中で10回上下する。
8.処理された農産物を含むバスケットを逆さにし、内容物を穏やかにドライヤービンライナー(dryer bin liner)に移す。
9.ドライヤービンライナーが一杯になるまで、3から8の工程を繰り返す。該ドライヤーの蓋を閉じ、20分間遠心する。
10.乾燥した農産物を該ビンライナーから滅菌容器に移し、乾燥処理された農産物を、対応する生産設備と同一の水分含量にするために、環境下で水分平衡させるために10〜15分静置する。
11.全ての道具、装置および容器を洗浄する。
12.他の殺菌剤処理について、1から11の工程を繰り返す。
【0103】
袋詰めおよび密封
1.毎回、バッグの風袋重量を量る。
2.目的農産物重量をバッグに仕込む。
3.好適な密封装置でバッグを密封する。
4.45°Fでボックスに貯蔵し、評価を行う:微生物的分析、オープンバッグ評価(OBE)、所望の適当な日数の目視検査。
【0104】
評価
1.OBEのための適当な形態を使用する。
2.種々の化学物質からのサンプルの相違点を農産物の目視検査し、撮影して調べる。
a.OBE水分定量−葉の初期重量を量り、折り畳んだペーパータオル上に葉を広げ、外水分を除去するために手で押して拭き取り、最終重量を量る。
計算:
濃縮溶液を有するストック溶液の使用される容量:
【化3】


湿気差:
【化4】


湿気パーセンテージ:
【化5】


3.視覚分析のために、貯蔵期間を通して同一バッグを追跡するために、最初の分析前に必ずバッグにラベルを付す。
4.連続希釈およびスプレッドプレーティング(spread plating)を用いて、処理された農産物の微生物群を計数する。
5.例えば、1日目、5日目、7日目、9日目、12日目および15日目に、微生物およびOBE分析サンプルを回収する。
【0105】
B.浮遊細胞殺菌試験のための標準的操作手順
この方法は、液体中に懸濁される微生物に対する殺菌剤の抗菌作用を試験するために用いられる。
処理パラメーターおよび処理
1.温度:45°F
2.滞留時間:30+/−10秒
pH:3+/−0.3
3.病原菌種:大腸菌K12、リステリア・イノキュア(Listeria innocua)。
4.腐敗性微生物種:シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas flourescens)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)。
【0106】
試験法
1.1.00mLの10cfu/gストック培養物を、9.00gmの試験溶液を含む試験管に移す。
2.混合物を15秒間ボルテックスする。
3.1mLの処理されたサンプルを9mLのバターフィールドリン酸緩衝液に移し、反応を停止させる。
4.連続希釈およびスプレッドプレーティングを用いて、生存残存細胞を計数する。
5.操作温度を45±1°Fで維持する(全ての試験を室温で行うとき、化学物質の動態がかなり変化するため、一度に1個の試験管のみを冷蔵庫から取り出す)
【0107】
C.付着細胞殺菌試験のための標準的操作手順
この方法は、葉の表面に付着する微生物に対する殺菌剤の抗菌作用を試験するために用いられ得る。
処理パラメーターおよび処理
1.温度:45°F
2.滞留時間:45秒
3.pH:3+/−0.3
4.処理:水、塩素処理水、CS、乳酸、ペルオキシ酢酸、16レベルのFE殺菌(すなわち、ここでは、ペルオキシ酢酸および乳酸を含む水溶液)。
5.試験する農産物:ロメインレタス、ホウレンソウ、スプリングミックス。
6.病原菌種:大腸菌K12、リステリア・イノキュア。
7.試験する微生物:農産物の葉に常在する微生物(全生菌数[APC]、酵母、およびカビ[YM])
【0108】
サンプル調製
1.試験農産物の3−4枚の葉を取得し、6”x6”x5”の滅菌ポリプロピレン(PP)製バスケットにそれらを入れる。試験農産物がロメインレタスであるとき、該レタスを2”x4”の長方形にカットする。
2.1mLのピペットマンで1.00mLの10cfu/gストック培養物を取り出し、葉の表面上に小滴の接触材料を滴下することにより葉表面を徐々にスパイクする。PP製バスケットを揺らさないように注意し、乾燥前に葉から小滴を落とす。
3.スパイクされた葉を含むバスケットを生物学的に安全なキャビネットに入れ、1.75時間、送風する(〜0.5 W.C.)。
4.スパイクされた葉を含むPP製バスケットをキャビネットから取り出し、それらを40−45°Fの低温室/冷蔵庫に0.25時間入れる。
【0109】
スパイクされた葉の処理
1.スパイクされた葉を含むPP製バスケットを、3Lの45°Fの水を含む滅菌容器に入れ、45秒間回転させる。
2.処理されたバスケットを45°Fで水道水に浸して、直ぐに10秒間濯ぐ。
3.処理された葉をバスケットから取り出し、それらを滅菌トングを用いてストマッカー・バッグに入れる。
4.ストマッカー・バッグを葉に対して関連する処理で標識する。
5.試験物を他の処理をして工程1から4を繰り返す。
【0110】
処理された葉の計数
1.処理された葉を含むストマッカー・バッグに、10倍希釈に達するまでリン酸緩衝液を添加する。
2.リン酸緩衝液および処理された葉を含むバッグを30秒間ミキシングする。
3.再びリン酸緩衝溶液に葉を戻して振盪して、さらに30秒間ストマックを繰り返す。
4.ミキシングされたサンプルから緩衝液を除去し、連続希釈およびスプレッドプレーティングにより、残った細胞を計数する。
5.全ての他の処理について1から4の工程を繰り返す。
【0111】
D.微生物ストック培養物の調製のための標準的操作手順
この方法を、浮遊および付着細胞付加試験のための10−10cfu/mLのストック培養物を調製するために使用する。ストック培養物の細胞濃度は、溶液を試験する前に測定される。
1.ストック培養物の活性化
a.全ての手順を、滅菌環境下(例えば、生物学的に安全なキャビネット内)で行う。
b.細胞ループを、滅菌ループにより純粋なストック培養物から取り出す。該細胞ループを、10mLの滅菌増殖培地(培養液)を含む試験管に無菌的に移す。
c.工程“b”を3回繰り返す。
d.工程“b”および“c”からの接種した試験管を、活性化しようとする微生物について最適な増殖温度下で2日間、インキュベートする。
e.工程“b”から“d”は、第一輸送(第1T)と称する。
f.第1Tの試験管から0.1mLの増殖培地を取り出し、10mLの滅菌増殖培地を含む別の試験管に無菌的に移す。
g.第1Tからの試験管が、寒天プレート上に50ないし100uL サンプルの増殖培地をプレーティングするスプレッドプレーティングにより純粋培養を有することを確認する。
h.工程“g”を2回繰り返す。
i.両方のプレートを選択した最適温度で2日間インキュベートし、試験管#2に移す。
j.工程“f”から“i”を第2Tと称する。
k.100mLの増殖培地を用いて、工程“f”から“i”繰り返して、第3Tとする。
l.第3Tから得られたErlenmeyer培養物フラスコを一晩冷蔵庫で貯蔵する。
m.工程“l”からの第3Tフラスコを取り、4個の遠心管に等しく分ける。
n.純粋な貯蔵培地を10,000RPMで10分間遠心する。
o.直ぐに増殖培地を捨てる。細胞ペレットが遠心管の底に形成されている。
p.同量の滅菌脱イオン水を細胞ペレットに添加する。
q.ボルテックスして解し、細胞ペレットを再懸濁する。
r.工程“n”から“o”をさらに2回繰り返す。
s.最終濃度10−10 cfu/gmの懸濁細胞培地を得るために、開始容量の1/10の滅菌脱イオン水を工程“r”の細胞ペレットに添加する。
t.1個の遠心管に全ての再懸濁した細胞培養物を合わせ、最終的な懸濁貯蔵培養物を形成する。
【0112】
農産物表面上の微生物を除去する本発明の殺菌溶液の効果。
結果
以下の表は、界面活性剤の有無における浮遊細胞殺菌試験の結果を示す。
【表2】


【表3】

【0113】
以下の表は、付着細胞殺菌試験の結果を示す。
【表4】


【表5】


【表6】


【表7】

【0114】
上記の結果は、驚くことに、本発明の水溶液の使用と関連して、微生物の除去の予想外の効果および顕著な増加ならびに農産物の貯蔵期間の改善と一致する。
【0115】
実施例2.次の実施例は、2−ヒドロキシ有機酸(例えば、乳酸)の存在が、農産物の処置中のペルオキシ酢酸の消費を顕著に減らすことを立証し、本発明の水性殺菌溶液の使用を説明する。以下に示す通り、本発明の溶液は、有利には、種々の農産物の表面から微生物を除去する間、ペルオキシ酢酸を保存する。本発明の方法および組成物はまた、農産物の貯蔵期間を顕著に改善し、農産物の腐敗を顕著に遅らせることが示される。保存は、細菌、酵母およびカビのような種々の微生物に及ぶべきである。
【0116】
界面活性剤を含まない、20秒の滞留時間での浮遊細胞殺菌試験における相乗効果
実験処理群は、水道水、塩素処理水、FE殺菌洗浄水(所定の実験でさらに詳細に記載される通り、FE、FE殺菌剤、ペルオキシ酢酸および乳酸の溶液)であった。実験パラメーターは、40ないし45Fであった;滞留時間は20秒であった;pHは:
水(〜7)
塩素処理水(6.5ないし7.1)
乳酸(3.8ないし4.0)
ペルオキシ酢酸(6.5ないし6.8)
FE殺菌洗浄水(2.7ないし3.2)であった。
微生物種は、ストレプトマイシン耐性遺伝子を有するリステリア・イノキュアまたは大腸菌K12であった。
【0117】
実験プロトコールは以下の通りであった:
1.1.00mLの〜10cfu/g ラクトバチラス・プランタルム(ATCC 14917)ストック培養物を、9.00mLの処理試験溶液を含む試験管に移す。
2.混合物を15秒間ボルテックスする。
3.1mLの処理サンプルを9mLのバターフィールド リン酸緩衝液に移し、反応を停止させる。
4.連続希釈および1mLのトランスファーでのスプレッドプレーティングにより、目視できる残余細胞を計数する。
5.操作温度を40ないし45°Fに確実に維持する(全試験が室温で行われるとき、化学物質の動態がかなり変わるため、1度に1本の試験管のみを冷蔵庫から取り出す)。
6.工程1から5をさらに2回繰り返す。
7.フリューム水(flume water)で工程1から6を繰り返す。
8.塩素処理水で工程1から6を繰り返す。
9.種々の濃度のFEで工程1から8を繰り返す。
10.種々の濃度の乳酸で工程1から8を繰り返す。
11.種々の濃度のペルオキシ酢酸で工程1から8を繰り返す。
12.リステリア・イノキュア(ATCC33090)を用いて工程1から11を繰り返す。
【0118】
対数減少値の予測
1.対数活性は、消毒処理中に不活化される微生物の割合の測定値であり、対数不活性=Log10(N/N)(式中:Nは生存微生物の初期流入濃度であり;Nは残存微生物の濃度である)として定義される。M(cfu/g)=ストック培養物の微生物群;W(cfu/g)=“水処理群”の溶液中の微生物群およびX(cfu/g)=“X処理群”の溶液中の微生物群であるので、“処理群X”に起因する対数減少値=Log(w/x)である。
【0119】
結果および結論
表2.1. 塩素処理洗浄水、乳酸洗浄水、ペルオキシ酢酸洗浄水、およびFE殺菌洗浄水による、浮遊リステリア・イノキュア細胞の対数減少値の比較。
【表8】


表2.2. 塩素処理洗浄水、乳酸洗浄水(LA)、ペルオキシ酢酸洗浄水(PA)、およびFE殺菌洗浄水による、浮遊ラクトバチラス・プランタルム細胞の対数減少値の比較。
【表9】

【0120】
試験FE殺菌剤(本明細書中、上記の通り乳酸およびペルオキシ酢酸の組み合わせ)のL.イノキュアおよびL.プランタルムに対する対数減少値は、PA洗浄水およびLA洗浄水よりも有意に大きかった。このことは、LAおよびPAの組合せの相乗効果を明確に示す。70ppm PAおよび2000ppm LAを含むFE殺菌洗浄水は、20秒の滞留時間で、リステリア・イノキュアの、〜3−log10減少をもたらした。乳酸およびペルオキシ酢酸の組合せにより供される対数減少値は、乳酸を添加しないペルオキシ酢酸よりも有意に約2ないし4倍大きかった。
【0121】
実施例3.次の実験は、液体中に浮遊する野菜の病原菌に対する殺菌剤の効果を比較する。
処理パラメーターおよび処理
処理:水道水、塩素処理水、FE殺菌洗浄水;温度:40ないし45°F;滞留時間:30秒;pH:
水(〜7)
塩素処理水(6.5ないし7.1)
FE殺菌洗浄水(2.7ないし3.2)
病原菌:
大腸菌O157:H7(F4546、F4637、SEA13B88、TW14359、960218)の5株混合物
リステリア・モノサイトジェネス(ATCC19115、ATCC51414、ATCC15313、FRRB2472(SCOTT A)、1838)の5株混合物
サルモネラ(S.ニューポット、S.テネシー、S.ミュンヘン、S.キュバナ、S.セントポール)の5株混合物。
【0122】
ストック培養物の活性化
1.ストック培養物の活性化を、生物学的に安全なキャビネット中での無菌的な最適増殖媒培地へのストック培養物の一連の移動により達成する。
2.アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)または公開された論文により推奨される通りに、貯蔵庫のストック培養物から小ループ(約100uL)の純粋培養物を取り出し、10mLの各微生物に特異的な最適増殖培養液を含む試験管に移す。
3.ATCCまたは公開された論文により推奨される通り、その最適な増殖温度で対数増殖期の終わりに達するまで培養物をインキュベートする。
4.ストリークプレーティング(streak plating)およびスプレッドプレーティングにより伝播された培養物の純度を確かめる。
5.ATCCまたは公開された論文により推奨される通り、工程3から1.5mlの培養液を取り出し、各微生物に特異的な150mLの最適な増殖培養液を含む250mLのErlenmeyerフラスコに移す。
6.ATCCまたは公開された論文により推奨される通り、その最適な増殖温度で対数増殖期の終わりに達するまで培養をインキュベートする。
7.スプレッドプレーティングにより伝播された培養の純度を確かめる。
8.スプレッドプレーティングにより工程6からの培養液の濃度を確認し、1mLのトランスファーで連続希釈する。
9.接種前に1ないし4時間、冷凍温度で150mL Erlenmeyer フラスコのストック培養物を冷却する。
【0123】
接種調製物および計数
1.第2輸送Erlenmeyer フラスコ中の冷却したストック培養物150mLを、等容量(各50mL)で3本の50mL遠心管に分ける。
2.該管を、4℃で15分間、10,000RPMで遠心する。
3.液体ブロスを各遠心管から捨て、細胞ペレットを残す。
4.工程3の遠心管に5mLの滅菌0.1%ペプトン水を入れ、ボルテックスして細胞ペレットを緩め、混合する。
5.1本の遠心管に全ての懸濁した保存培養物を注ぎ、〜10cfu/gmの接種物を形成する。
1mLのトランスファーで連続希釈して、スプレッドプレーティングにより工程‘5’から得られた接種物の微生物群を計数し、確認する。
【0124】
方法
6.1.00mLの〜10cfu/gの大腸菌O157:H7の5株混合物の保存培養物を、9.00mLの試験溶液を含む試験管に移す。
7.15秒間ボルテックスして混合する。
8.1mLの処理サンプルを9mLのバターフィールド リン酸緩衝液に移して、反応を停止する。
9.連続希釈および1mLのトランスファーでスプレッドプレーティングして生存残余細胞を計数する。
10.必ず操作温度を40ないし45°Fで維持する(全試験が室温で行われるとき、化学物質の動態がかなり変わるため、1度に1本の試験管のみを冷蔵庫から取り出す)。
11.工程1から5をさらに2回繰り返す。
12.フリューム水で工程1から6を繰り返す。
13.塩素処理水(pH6.5ないし7の、10ppm活性塩素)で工程1から6を繰り返す。
14.別の濃度のFEで工程1から8を繰り返す。
15.別のリステリア・モノサイトジェネスの5株混合物酸で工程1から8を繰り返す。
16.別のサルモネラの5株混合物で工程1から8を繰り返す。
【0125】
結果および考察
表3.1. 塩素処理洗浄水および試験FE殺菌剤洗浄水に懸濁された大腸菌O157:H7細胞の対数減少値の比較。
【表10】

【0126】
表3.2. 塩素処理洗浄水および試験FE殺菌剤洗浄水に懸濁されたサルモネラ細胞の対数減少値の比較。
【表11】

【0127】
表3.3. 塩素処理洗浄水および試験FE殺菌剤洗浄水に懸濁されたリステリア・モノサイトジェネス細胞の対数減少値の比較。
【表12】

【0128】
水道水対照と比較するとき、10ppm塩素処理水は、各病原菌を〜1−log10まで低減させた。2つの濃度のFE殺菌剤洗浄水生菌数は残存コロニーを有さず、結果は<1.0 log10 cfu/mLと記録された。故に、FE殺菌剤洗浄水は、水道水対照と比較するとき、大腸菌O157:H7およびサルモネラを7−log10以上減少させ、リステリア・モノサイトジェネスを5.2−log10以上減少させた。リステリア・モノサイトジェネスで観察されたより少ない減少は、FE殺菌剤が、記録された結果がストック接種材料の初期個体群によって制限される病原菌に対して効果が低いことを示すものではない。
【0129】
実施例4. これらの実験の目的は、葉の表面上に付着する野菜の病原菌に対する殺菌剤の抗菌活性を決定することであった。
処理パラメーターおよび処理
処置:水道水、塩素処理水、試験FE殺菌剤洗浄水;
温度:40ないし45°F;
滞留時間:30秒;
pH:
水(〜7)
塩素処理水(6.5ないし7.1)
FE殺菌洗浄水(2.7ないし3.2)
試験する農産物:角切りのロメインレタスの葉および成熟したホウレンソウの葉
病原菌:
大腸菌O157:H7(F4546、F4637、SEA13B88、TW14359、960218)の5株混合物
リステリア・モノサイトジェネス(ATCC19115、ATCC51414、ATCC15313、FRRB2472(SCOTT A)、1838)の5株混合物
サルモネラ(S.ニューポット、S.テネシー、S.ミュンヘン、S.キュバナ、S.セントポール)の5株混合物。
【0130】
ストック培養物の活性化
1.ストック培養物の活性化を、生物学的に安全なキャビネット中での無菌的な最適増殖媒培地へのストック培養物の一連の移動により達成する。
2.米国培養細胞系統保存機関(ATCC)または公開された論文により推奨される通り、貯蔵庫のストック培養物から小ループ(〜100uL)の純粋培養物を取り出し、10mLの各微生物に特異的な最適増殖培養液を含む試験管に移す。
3.ATCCまたは公開された論文により推奨される通りに、その最適な増殖温度で対数増殖期の終わりに達するまで培養物をインキュベートする。
4.ストリークプレーティングおよびスプレッドプレーティングにより伝播された培養物の純度を確かめる。
5.ATCCまたは公開された論文により推奨される通りに、工程3から1.5mlの培養液を取り出し、各微生物に特異的な150mLの最適な増殖培養液を含む250mLのErlenmeyerフラスコに移す。
6.ATCCまたは公開された論文により推奨される通りに、その最適な増殖温度で対数増殖期の終わりに達するまで培養をインキュベートする。
7.スプレッドプレーティングにより伝播された培養の純度を確かめる。
8.スプレッドプレーティングにより工程6からの培養液の濃度を確認し、1mLのトランスファーで連続希釈する。
9.接種前に1ないし4時間、冷凍温度で150mL Erlenmeyer フラスコのストック培養物を冷却する。
【0131】
接種調製物および計数
1.第2輸送Erlenmeyer フラスコ中の冷却したストック培養物150mLを、等容量(各50mL)で3本の50mL遠心管に分ける。
2.該管を、4℃で15分間、10,000RPMで遠心する。
3.液体ブロスを各遠心管から捨て、細胞ペレットを残す。
4.工程3の遠心管に5mLの滅菌5%ウマ血清溶液を入れ、ボルテックスして細胞ペレットを緩め、混合する。
5.1本の遠心管に全ての再懸濁した保存培養物を注ぎ、〜10cfu/gmの接種物を形成する。
6.1mLのトランスファーで連続希釈して、スプレッドプレーティングにより工程‘5’から得られた接種物の微生物個体群を計数し、確認する。
【0132】
サンプル調製
1.試験農産物の4枚の葉を取り、6”x6”x5”の滅菌ポリプロピレン(PP)製バスケットにそれらを入れる。試験した農産物がロメインレタスであるとき、レタスを1.5”x2.5”の長方形にカットする。
2.工程1の4枚の葉のうち、2枚は上向きのその表皮上層を有し、あとの2枚は上向きのその表皮下層を有するはずである。
3.100uLのピペットで50uLの〜10cfu/gストック培養物を取り出し、上向きの葉の平面および中央脈上に小滴(10−15液滴)の接種材料を滴下することにより葉表面をゆっくりスパイクする。葉をスパイクする前にピペットチップの側面の過剰ストック培養物を必ず取り除く。PPバスケットを振盪しないように注意し、乾燥前に小滴を葉から落とす。
4.スパイクされた葉を含むバスケットをフォト1に示す乾燥剤を含む生物学的に安全なキャビネットに入れ、1−1.5時間、70−80F、38ないし48%相対湿度におく。乾燥工程を通して、フード温度が一定である(<±2F)ことを確認する。
5.葉が、乾燥期間の終わりにしおれた状態にないようにする。
【0133】
スパイクされた葉の処理
PP製バスケットからの3Lの試験溶液を5L滅菌PPタブに移す。
1.必要量の最終成分を3L溶液に加え、必要に応じて滅菌トングで完全に混合する。
2.2枚のスパイクされた葉(1枚は表皮上層にスパイクされ、もう1枚は表皮下層にスパイクされる)を空の滅菌PP製バスケットに移す。
3.スパイクされた葉を有するPP製バスケットを3Lの完全に調製した試験溶液を含有する滅菌容器に入れる。
4.40−45°Fで試験溶液の温度を維持する。
5.葉全体を常に浸水させ、葉の折り畳みおよび重なりを防止するために試験溶液中の葉を徐々に圧縮するためにトングを使用する。
6.葉全体を浸すとすぐに30秒の時間を計るためにストップウォッチを開始する。
7.バスケットから処理された葉を取り出し、滅菌トングを用いてそれらをストマッカー・バッグに入れる。
8.葉の関連処理でストマッカー・バッグを標識する。
9.滅菌ゴム製メロンハンマーを用いて葉を粉々にする。
【0134】
10.試験の他の処理で工程1〜7を繰り返す。
11.工程13の後に、各工程を3回行わなければならない。
12.乾燥工程中の細菌の死滅からエラーを避けるために各複製を別々に行わなければならない。試験の順序は以下のとおりである:
a.第1の複製:1サンプルのスパイクされていない対照、スパイクされた細菌を有する対照、水洗浄したスパイクされた対照、塩素処理水洗浄したスパイクされた細菌、FE1洗浄したスパイクされた細菌、およびFE2洗浄したスパイクされた細菌。
b.第2の複製:1サンプルのスパイクされていない対照、スパイクされた細菌を有する対照、水洗浄したスパイクされた対照、塩素処理水洗浄したスパイクされた細菌、FE1洗浄したスパイクされた細菌、およびFE2洗浄したスパイクされた細菌。
c.第3の複製:1サンプルのスパイクされていない対照、スパイクされた細菌を有する対照、水洗浄したスパイクされた対照、塩素処理水洗浄したスパイクされた細菌、FE1洗浄したスパイクされた細菌、およびFE2洗浄したスパイクされた細菌。
13.試料の計数は各複製直後に行わなければならない。
【0135】
処理された葉の計数
1.100倍希釈されるまで、100mLリン酸緩衝液をすりつぶり処理した葉を有するストマッカー・バッグに加える。
2.30秒間リン酸緩衝および処理された葉を有するバッグを消化する。
3.リン酸緩衝に葉を戻して振盪し、さらに30秒間消化を繰り返す。
4.消化された試料から緩衝液を除去し、連続希釈および1mL輸送物でスプレッドプレーティングによって残存細胞を計数する。
5.すべての他の処理について工程1〜4を繰り返す。
【0136】
対数減少値の予測
M(cfu/g)=任意の処理を伴わない葉上の微生物群;
R(cfu/g)=“水処理群”の水溶液中微生物群;
W(cfu/g)=“水処理群”からの葉上の微生物群;
X(cfu/g)=“X処理群”からの葉上の微生物群;
故に、“処理群X”に起因する対数減少値=Log(w/x)
機械的洗浄によって除去される微生物=R
乾燥プロセス間に死滅した微生物=M−W−R。
【0137】
結果
表4.1. 40〜45°Fでの水道水によるホウレンソウおよびロメインレタスに付着した病原体の対数減少値(3複製の平均値)
【表13】

【0138】
水道水洗浄は、細胞が葉上に完全に付着しなかったことを示す、葉からの0.3〜1.5 log10の接種細胞を除去した。このことは、恐らく、低い相対湿度の環境下(プロトコールに記載の38〜48%よりも低い20〜23%)での葉の乾燥およびしおれによってもたらされた。
表4.2.水道水洗浄と比較したときの、塩素処理洗浄水によるホウレンソウおよびロメインレタスに付着した病原体のさらなる対数減少値(3複製の平均値)
【表14】

【0139】
10ppm塩素処理水は、病原体をさらに0.1−log10〜1.4−log10減少させた。ホウレンソウの場合の、2.3−log10は、付着細胞の結果に比べて格別に高く、恐らく、水道水洗浄の結果によって示されるように、葉上の細胞の不完全な付着によってもたらされた。
表4.3.40〜45FにてFE殺菌剤洗浄水によるホウレンソウおよびロメインレタス上に付着した病原体のさらなる対数減少値(3複製の平均値)
【表15】

【0140】
試験FE殺菌洗浄水(69ppmペルオキシ酢酸および4800ppm乳酸)は、水道水洗浄に比べて、病原体をさらに2.1−log10〜3.4−log10減少させた。
【0141】
塩素処理水に比べて、FE殺菌剤は、葉に付着した病原体をさらに2log10減少させた。さらに、40Fでのスプレッドプレートの保存は、傷害細胞が1週間以内に冷凍温度にて増殖し得なかったことを示した。細菌細胞が栄養富化寒天プレート上で増殖できなければ、それらは、処理された新鮮な農産物上で増殖しない可能性が高い。
【0142】
実施例5.これらの実験は、農産物を洗浄するために用いられるときのペルオキシ酢酸の消費または枯渇を評価した。従って、目的は、600ガロンの塩素処理水、600ガロンのペルオキシ酢酸洗浄水、および600ガロンのFE殺菌剤洗浄水を消費するのに必要な刻んだロメインレタスの量を比較することであった。
【0143】
プロセシングパラメータおよび処理
処理:塩素処理水、ペルオキシ酢酸洗浄水、およびFE殺菌剤洗浄水
温度:38〜40
滞留時間:20秒
pH:
塩素処理水(6.5〜7.1)
ペルオキシ酢酸(6.5〜6.8)
FE殺菌剤洗浄水(2.7〜3.2)
農産物:1.5”x2”ダイスカットロメインレタス
【0144】
A.600ガロンのペルオキシ酢酸洗浄水を消費し得るロメインレタスの量の測定
1.パイロット・ライン・システム(Pilot Line System)で完全に殺菌する。
2.第2フリューム式タンク、第2容器、および第2濾過タンクを水道水で満たす。
3.システム中の水が40°Fに冷却されるまでシステムを介して水を再利用する。
4.プロミネントシステム(Prominent System)を調整し、洗浄水中のPAA濃度をモニターするために該システムを使用する。
5.標的プロセシング制限値に達するまでPAAを第2濾過タンクに加える。
6.translicerでロメインレタスをダイスカットする。
7.トート(tote)中に2”x2”ダイスカットロメインレタスを回収する。
8.それを第2フリュームに移す前に各トートの重量を記録する。
9.各ビンから3つの未処理バッグのロメインレタスを回収する(1つは上部、1つは中間、および1つは下部)。
10.F2の最後部に、3つの処理バッグのロメインレタスを回収する(1つはビンの先頭、1つはビンの中間、および1つはビンの最後)。
11.水がこぼれた位置の下部に白色トートを入れる。必要に応じて、フリューム式タンクにこぼれた水を戻す。
12.葉から取り除かれる液体を回収するために遠心分離機の下部出口に白色トートを入れる。必要に応じて、フリューム式タンクに回収した水を戻す。
13.FE濃度が最も低い処理制限値を下回るまで、残りのビンについて工程‘e’〜‘k’を繰り返す。
14.回収したサンプル上の微生物群(APCおよび酵母およびカビ)を計数する。
【0145】
B.600ガロンのFE洗浄水を消費し得るロメインレタスの量の測定
1.パイロット・ライン・システムで完全に殺菌する。
2.第1フリューム式タンク、第2フリューム式タンク、第1容器、第2容器、第1濾過タンク、および第2濾過タンクを水道水で満たす。
3.システム中の水が40°Fに冷却されるまでシステムを介して水を再利用する。
4.水が濾過システムを通過するのではなく、連続してフリューム式タンクからその付随容器へ再利用循環するのみとなるように第1および第2フリューム式タンクのバイパスの電源を入れる。
5.標的プロセシング制限値に達するまで化学成分を両方のタンクに加える。
6.第1フリューム式タンク(F1)、第1容器(R1)、第2フリューム式タンク(F2)、および第2容器(R2)でプロミネントモニタリングシステムのプローブによってFEの濃度を確認する。
7.F1およびF2から水試料を回収する。
8.ダンプスターの隣にロメインレタスビンを取り付ける。
9.ビンからコンベヤーにすべてのロメインレタスの葉を移す。
10.必ずF1の上のフタを閉める。translicerの「オン/オフ」スイッチを「オン」にする。
11.葉をtranslicerに移すためのコンベヤーを「オン」にする。
12.必ず刻んだロメインレタスをフリューム式タンクに均等に供給する。
13.各ビンから3つの未処理バッグのロメインレタスを回収する(1つは上部、1つは中間、および1つは下部)。
14.F2の最後部にて3つの処理バッグのロメインレタスを回収する(1つはビンの先頭、1つはビンの中間、および1つはビンの最後)。
15.ビンをプロセシングする前後に、第1フリューム式タンク(F1)、第1容器(R1)、第2フリューム式タンク(F2)、および第2容器(R2)にてpH、温度、およびFEの濃度を確認する。
16.水がこぼれた位置の下部に白色トートを入れる。必要に応じて、フリューム式タンクにこぼれた水を戻す。
17.葉から取り除かれる液体を回収するために遠心分離機の下部出口に白色トートを入れる。必要に応じて、フリューム式タンクに回収した水を戻す。
18.FE濃度が最も低いプロセシング制限値を下回るまで、残りのビンについて工程‘e’〜‘o’を繰り返す。
19.回収した試料上の微生物個体群(APCおよび酵母およびカビ)を計数する。
【0146】
c.最適条件以下の濃度に600ガロンの塩素処理水を消費し得るロメインレタスの量の測定
1.パイロット・ライン・システムで完全に殺菌する。
2.第1フリューム式タンク、第2フリューム式タンク、第1容器、第2容器、第1濾過タンク、および第2濾過タンクを水道水で満たす。
3.システム中の水が40°Fに冷却されるまでシステムを介して水を再利用する。
4.水が濾過システムを通過するのではなく、連続してフリューム式タンクからその付随容器へ再循環するのみとなるように第1および第2フリューム式タンクのバイパスの電源を入れる。
5.標的プロセシング制限値に達するまで化学成分を両方のタンクに加える。
6.第1フリューム式タンク(F1)、第1容器(R1)、第2フリューム式タンク(F2)、および第2容器(R2)でHACHシステムのプローブによって塩素処理水の濃度を確認する。
7.F1およびF2から水試料を回収する。
8.ダンプスターの隣にロメインレタスビンを取り付ける。
9.ビンからコンベヤーにすべてのロメインレタスの葉を移す。
10.必ずF1の上のフタを閉める。translicerの「オン/オフ」スイッチを「オン」にする。
11.葉をtranslicerに移すためのコンベヤーを「オン」にする。
12.凝集および塊にならないように刻んだロメインレタスをフリューム式タンクに必ず均等に供給する。
13.各ビンから3つの未処理バッグのロメインレタスを回収する(1つは上部、1つは中間、および1つは下部)。
14.F2の最後部にて3つの処理バッグのロメインレタスを回収する(1つはビンの先頭、1つはビンの中間、および1つはビンの最後)。
15.ビンをプロセシングする前後に、第1フリューム式タンク(F1)、第1容器(R1)、第2フリューム式タンク(F2)、および第2容器(R2)にてpH、温度、および塩素処理水の濃度を確認する。
16.水がこぼれた位置の下部に白色トートを入れる。必要に応じて、フリューム式タンクにこぼれた水を戻す。
17.葉から取り除かれる液体を回収するために遠心分離機の下部出口に白色トートを入れる。必要に応じて、フリューム式タンクに回収した水を戻す。
18.回収した試料上の微生物個体群(APCおよび酵母およびカビ)を計数する。
【0147】
結果および考察
表5.1.工業規模試験に基づく有機物の存在下における、乳酸/LAを含有しないペルオキシ酢酸/PAの枯渇
【表16】

【0148】
表5.2.工業規模試験に基づく乳酸洗浄水を含有しないペルオキシ酢酸による常在微生物の減少
【表17】

【0149】
表5.3.工業規模試験に基づく有機物の存在下における試験FE殺菌剤洗浄水(乳酸/LAを含有するペルオキシ酢酸/PA/PAA)の枯渇
【表18】

【0150】
表5.4.工業規模試験に基づくFE殺菌剤洗浄水(乳酸を含有するペルオキシ酢酸)による常在微生物の減少
【表19】

【0151】
表5.5.工業規模試験に基づく有機物の存在下における10ppm塩素処理洗浄水の枯渇
【表20】

【0152】
表5.6.工業規模試験に基づく塩素処理洗浄水による常在微生物の減少
【表21】

【0153】
FE殺菌剤におけるペルオキシ酢酸の枯渇は、乳酸不含有のペルオキシ酢酸溶液のものより5倍(500%)低かった。このことは、ペルオキシ酢酸の同一容量および濃度で、試験FE殺菌剤が乳酸不含有のペルオキシ酢酸殺菌剤より5倍以上農産物を殺菌し得ることを示す。さらに、1ポンドのロメインレタスを処理するのに必要な遊離塩素のlbsは、試験FE殺菌剤のものの8.5倍(850%)以上であったため、1ポンド当たりの試験FE殺菌剤が1ポンド当たりの塩素処理水より8.5倍以上農産物を殺菌し得ることを示した。
【0154】
73〜84ppmペルオキシ酢酸洗浄水、FE殺菌洗浄水(59〜69ppm PAおよび2,389〜2,724ppm LA)、および1.2〜7.6ppm遊離塩素洗浄水に対するロメインレタス葉上の常在微生物の対数減少値は、それぞれ、0.7、2.6、および1.2log10であった。試験におけるFE殺菌剤は最適下限値以下であったが、ロメインレタス葉上に付着した常在微生物の対数減少値は、それでも塩素処理水およびペルオキシ酢酸洗浄水のものより、それぞれ、2.2倍および3.7倍高かった。
【0155】
実施例6.この実施例は、種々の表面上の殺菌剤の使用に関する。
接種物調製:シュードモナス・アエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)(ATCC9027)の凍結乾燥培養物を、10mLの殺菌した栄養培養液(NB)に再水和し、均一に混合した。0.1mLのストック溶液を10mLのNBに移し、37℃で24時間インキュベートした。増殖物(Enrichment)を純度を確かめるために線状に播種した。10mLの濃縮ストックを1,000mLのNBに移し、37℃で24時間インキュベートして〜10cfu/mLの静止期培養ストック溶液とした。該ストック溶液を4℃で1時間冷却した。静止期培養ストック溶液の微生物群を、9mLのバターフィールドリン酸緩衝液入り試験管での連続希釈および寒天プレートに予め注いだニュートリエント寒天培地(TSA)上にスプレッドプレーティングして計数した。
【0156】
非食品表面の接種:1000mLの〜10cfu/mLストック培養溶液を、Erlenmeyerフラスコを振盪および回転させて均一に混合した。1000mLの培養液を、20本の遠心管(各50mL)に分け、4℃で15分間、10,000rpmで遠心した。ストック培養ペレットを、50mLのNBに再懸濁した。20個の遠心管からの全ての再懸濁した培養物を合わせて、1,000mLの〜10cfu/mL接種ストック培養物を形成した。15mLのP.アエルギノーザ接種ストックと非食品表面切片(2.5cmx5cm)を共に滅菌50mL遠心管に入れ、37℃で24時間インキュベートした。24時間後、該切片を滅菌したペトリ皿に移し、オーブン中、35℃で1時間乾燥させた。該切片は、ステンレススチール製シート、木、ガラススライドおよびプラスチックシートから切断された。
【0157】
接種した非食品表面の処理:1mLの試験溶液を、各接種切片の2.5cmx2.5cmの標識した領域上に60秒間処理した。予め湿らせた滅菌綿棒を、10mLのチオ硫酸ナトリウム含有バターフィールドリン酸緩衝液に浸し、6秒間暴露後に、該切片上の標識した領域を綿棒で拭き取った。次いで、綿棒を直ぐに10mLのチオ硫酸ナトリウム含有バターフィールドリン酸緩衝液に入れ、混合した。直ぐに、上記試験管から1mLを9mLのバターフィールドリン酸緩衝液に移した。暴露時間、拭き取り時間および移動時間を含む全処理時間は、90秒であった。各溶液の処理をデュプリケートで行った。各溶液処理についての減少を、水道水処理のそれと比較した。
【0158】
表6.1 PA溶液(100および140ppm)、LA溶液(2500および7500ppm)、およびFR溶液(2500ppm LA+100ppm PA、2500ppm LA+140ppm PA、7500ppm LA+100ppm PA、および7500ppm LA+140ppm PA)による木片上に付着したシュードモナス・アエルギノーザ(ATCC9027)の対数減少値:
【表22】

【0159】
表6.2 PA溶液(60および100ppm)、LA溶液(1250および2500ppm)、およびFR溶液(1250ppm LA+60ppm PA、1250ppm LA+100ppm PA、2500ppm LA+60ppm PA、および2500ppm LA+100ppm PA)によるステンレススチール片上に付着したシュードモナス・アエルギノーザ(ATCC9027)の対数減少値:
【表23】

【0160】
表6.3 PA溶液(60および80ppm)、LA溶液(2500および5000ppm)、およびFR溶液(2500ppm LA+60ppm PA、2500ppm LA+80ppm PA、5000ppm LA+60ppm PA、および5000ppm LA+80ppm PA)によるプラスチック片上に付着したシュードモナス・アエルギノーザ(ATCC9027)の対数減少値:
【表24】

【0161】
表6.4 PA溶液(60および80ppm)、LA溶液(1250および2500ppm)、およびFR溶液(1250ppm LA+60ppm PA、1250ppm LA+80ppm PA、2500ppm LA+60ppm PA、および2500ppm LA+80ppm PA)によるガラス片上に付着したシュードモナス・アエルギノーザ(ATCC9027)の対数減少値:
【表25】

【0162】
実施例7.野菜および果物の表面の結果
接種物調製:ATCC凍結乾燥培養物を、10mLの滅菌トリプティックソイブロス(TSB)中に再水和し、均一に混合した。0.1mLのストック溶液を10mLのTSBに移し、37℃で24時間インキュベートした。増殖物を純度を確かめるために線状に播種した。2mLの濃縮ストックを200mLのTSBに移し、大腸菌K−12(ATCC 25253)(EC)およびリステリア・イノキュア(ATCC 33090)(LI)についてそれぞれ、37℃で24時間および36時間インキュベートして、〜10cfu/mLの静止期培養ストック溶液とした。該ストック溶液を4℃で1時間冷却した。静止期培養ストック溶液の微生物群を、9mLのバターフィールドリン酸緩衝液入り試験管での連続希釈およびECについて寒天プレートに予め注いだトリプティックソイアガー(TSA)またはLIについて寒天プレートに予め注いだ修飾オックスフォード寒天ン(MOX)上にスプレッドプレーティングして計数した。
【0163】
野菜および果物の表面の接種:200mLの〜10cfu/mLストック培養溶液を、Erlenmeyerフラスコを振盪および回転させて均一に混合した。200mLの培養液を、4本の遠心管(各50mL)に分け、4℃で15分間、10,000rpmで遠心した。ストック培養ペレットを、5mLの5%ウマ血清に再懸濁した。4本の遠心管からの全ての再懸濁した培養物を合わせて、20mLの〜10cfu/mL接種ストック培養物を形成した。試験野菜および果物の外皮または表面を、接種用に5cmx2.5cm片にカットするか、またはトマトの場合は10cmキューブに角切りした。2uLの液滴形態の50uLの接種物をイチゴおよび角切りトマトの表面にスパイクし、2uLの液滴形態の100uLを、とまとの皮に接種した。スパイクされた表面または皮を、生物学的に安全なキャビネットに入れ、18ないし24℃で60分間乾燥させた。
【0164】
接種した野菜および果物の表面の処理:接種した野菜または果物の表面の各試料を、500mLの試験溶液を含む2.5Lのストマッカー・バッグに入れ、45秒間激しく振盪した。試験溶液には、水道水、乳酸溶液(LA)、過酢酸溶液(PA)、およびフレッシュリンス溶液(FR)が含まれた。45秒の処理の最後に、試験した野菜および果物の表面を、直ちに1 チオ硫酸ナトリウムペレットを含む100mLのバターフィールドリン酸緩衝液を含む滅菌ストマッカー・バッグに移した。各溶液の処理をデュプリケートで行った。各溶液処理の減少を、水道水処理のものと比較した。
【0165】
表7.1 PA溶液(60および80ppm)、LA溶液(1500および3000ppm)、およびFR溶液(1500ppm LA+60ppm PA、1500ppm LA+80ppm PA、3000ppm LA+60ppm PA、および3000ppm LA+80ppm PA)によるトマトの皮上に付着した大腸菌K−12(ATCC 25253)の対数減少値:
【表26】

【0166】
表7.2 PA溶液(60および80ppm)、LA溶液(1500および3000ppm)、およびFR溶液(1500ppm LA+60ppm PA、1500ppm LA+80ppm PA、3000ppm LA+60ppm PA、および3000ppm LA+80ppm PA)による角切りトマト上に付着した大腸菌K−12(ATCC 25253)の対数減少値:
【表27】

【0167】
表7.3 PA溶液(50ppm)、LA溶液(1500および3000ppm)、およびFR溶液(1500ppm LA+50ppm PAおよび3000ppm LA+50ppm PA)による全イチゴ表面上に付着したリステリア・イノキュア(ATCC 33090)の対数減少値:
【表28】

【0168】
実施例8. 肉についての結果
接種物調製:ATCC凍結乾燥培養物を、10mLの滅菌TSB中に再水和し、均一に混合した。0.1mLのストック溶液を10mLのTSBに移し、37℃で24時間インキュベートした。増殖物を純度を確かめるために線状に播種した。2mLの濃縮ストックを200mLのTSBに移し、大腸菌K−12(ATCC 25253)(EC)について、37℃で24時間インキュベートして、〜10cfu/mLの静止期培養ストック溶液とした。該ストック溶液を4℃で1時間冷却した。静止期培養ストック溶液の微生物群を、9mLのバターフィールドリン酸緩衝液入り試験管での連続希釈およびECについて寒天プレートに予め注いだトリプティックソイアガー(TSA)上にスプレッドプレーティングして計数した。
【0169】
鶏手羽肉表面の接種:200mLの〜10cfu/mLストック培養溶液を、Erlenmeyerフラスコを振盪および回転させて均一に混合した。200mLの培養液を、4本の遠心管(各50mL)に分け、4℃で15分間、10,000rpmで遠心した。ストック培養ペレットを、5mLの5%ウマ血清に再懸濁した。4本の遠心管からの全ての再懸濁した培養物を合わせて、20mLの〜10cfu/mL接種ストック培養物を形成した。鶏手羽肉の中間部位をペーパータオルで軽く叩いて乾燥させた。油性マジックを用いて、接種用の鶏手羽肉の平らな表面の中間に2.5cmx2.5cm立方のマークを付した。2uLの液滴形態の50uLの接種物を鶏手羽表面上の標識した正方形上にスパイクした。接種された鶏手羽肉を、滅菌ポリプロピレン製バスケットに入れた。ポリプロピレン製バスケット内のスパイクされた鶏手羽肉を、生物学的に安全なキャビネット内で、18ないし24℃で120分間乾燥させた。
【0170】
接種した鶏手羽肉の処理:接種した鶏手羽肉の各試料を、500mLの試験溶液を含む2.5Lのストマッカー・バッグに入れ、10分間、0、4および9分にて間欠的に30秒間振盪した。試験溶液には、水道水、乳酸溶液(LA)、過酢酸溶液(PA)、およびフレッシュリンス溶液(FR)が含まれた。10分間の処理後に、試験した鶏手羽肉から直ちに処理溶液を除き、滅菌ペトリ皿に標識した表面を上に向けて入れた。10mLのチオ硫酸ナトリウム含有バターフィールドリン酸緩衝液に浸して予め湿らせた滅菌綿棒を、標識した領域を綿棒で拭き取るために使用した。次いで、該綿棒を直ぐに10mLのチオ硫酸ナトリウム含有バターフィールドリン酸緩衝液に入れ、混合した。直ぐに、上記管から1mLを9mLのバターフィールドリン酸緩衝液に移した。暴露時間、拭き取り時間および移動時間を含む全処理時間は、10.5分であった。各溶液の処理をデュプリケートで行った。各溶液処理についての減少を、水道水処理のものと比較した。
【0171】
表8.1 PA溶液(40、60および80ppm)、LA溶液(5000および10,000ppm)、およびFR溶液(5000ppm LA+40ppm PA、5000ppm LA+60ppm PA、5000ppm LA+80ppm PA、10,000ppm LA+40ppm PA、10,000ppm LA+60ppm PA、および10,000ppm LA+80ppm PA)による鶏手羽肉上に付着した大腸菌K−12(ATCC 25253)の対数減少値:
【表29】

【0172】
上記または下記のいずれかの、本明細書に引用されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、各個々の刊行物、特許または特許出願が引用により本明細書中に包含されるように明確かつ個々に示されるように、同一内容についてその全体を引用により本明細書中に包含させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i) 式RC(O)OOH(式中、Rは、メチル、エチル、n−プロピルまたはs−プロピルである)で示される有機過酸;
ii) 酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸および乳酸から選択される2−ヒドロキシ有機酸;
を含む、物品を処理するための水性組成物であって、
該水溶液は、2.5ないし6.0(両端を含む)のpHを有し、過酸の濃度が40ないし250ppm(w/w)(両端を含む)、2−ヒドロキシ有機酸の濃度が0.1ないし1%(w/w)(両端を含む)である、水性組成物。
【請求項2】
陰イオン界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
過酸がペルオキシ酢酸であり、2−ヒドロキシ有機酸がL−(+)−乳酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
溶液中のペルオキシ酢酸の濃度が、50ないし100ppm(w/w)であり、溶液中の乳酸の濃度が、0.1%ないし0.6%(w/w)である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
溶液中のペルオキシ酢酸の濃度が、60ないし80ppm(w/w)であり、溶液中の乳酸の濃度が、0.1%ないし0.4%(w/w)である、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
pHが2.5ないし4.5である、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
pHが2.8ないし3.2である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
pHが約3.0である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
溶液が35°Fないし45°Fの温度である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
溶液が、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤または陰イオン界面活性剤を実質的に含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
溶液、ゲル、泡状物または懸濁液の形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
物品の表面を、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物を含む水溶液と接触させることにより、該物品を殺菌する方法。
【請求項13】
該接触を少なくとも10秒間行う、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
該接触を10秒ないし1分間行う、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
過酸がペルオキシ酢酸であり、2−ヒドロキシ有機酸がL−(+)−乳酸である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
溶液中の過酢酸の濃度が50ないし100ppm(w/w)であり、溶液中の乳酸の濃度が0.1%ないし0.6%(w/w)である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
溶液中のペルオキシ酢酸の濃度が、60ないし80ppm(w/w)であり、溶液中の乳酸の濃度が、0.1%ないし0.4%(w/w)である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
溶液中のペルオキシ酢酸の濃度が、70ないし80ppm(w/w)であり、溶液中の乳酸の濃度が、0.2ないし0.4%(w/w)である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
溶液が、室温、環境温度、または35°Fないし85°Fから選択される温度である、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
溶液が、室温、環境温度、または35°Fないし45°Fから選択される温度である、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
溶液が、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤または陰イオン界面活性剤を実質的に含まない、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
物品との接触に使用する間、水溶液のpH、過酸濃度または2−ヒドロキシ有機酸濃度を維持するために、pH、過酸濃度、酸化還元電位または2−ヒドロキシ有機酸濃度の何れか1種以上の測定に応じて、さらなる過酸または2−ヒドロキシ有機酸を該水溶液に添加する、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
水溶液が、過酸の溶液に、過酸化水素を実質的に含まない2−ヒドロキシ有機酸の溶液を添加すること、または過酸化水素を実質的に含まない2−ヒドロキシ有機酸の溶液に、過酸の溶液を添加することにより形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項24】
過酸化水素を実質的に含まない2−ヒドロキシ有機酸の溶液および過酸の溶液が、物品の輸送または洗浄に用いられる水性液体に別個に添加される、請求項12に記載の方法。
【請求項25】
物品上で増殖しまたは付着するする細菌を無くすかまたは阻止することにより該物品を殺菌する、請求項12に記載の方法。
【請求項26】
物品を殺菌するためのキットであって、
i) 請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物を含む容器、または希釈されて請求項1から11のいずれか一項に記載の水性殺菌組成物が得られ得る濃縮水性組成物を含む容器;ならびに
ii) 該物品に水性殺菌組成物を適用するための使用説明書
を含む、キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2013−515072(P2013−515072A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546125(P2012−546125)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/061366
【国際公開番号】WO2011/079081
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(510338190)フレッシュ・エクスプレス・インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】FRESH EXPRESS INCORPORATED
【Fターム(参考)】