説明

過酸ベースの除去可能な抗菌性コーティング組成物の酵素的その場調製および使用方法

過酸ベースの除去可能な抗菌性コーティング組成物のその場酵素的調製および様々な場所で微生物を防除するためのそれらの使用方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、すべて2009年7月27日出願の4つの米国仮特許出願第61/228732号明細書、同第61/228735号明細書、同第61/228737号明細書、および同第61/228746号明細書の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、その場で酵素的に発生したペルオキシ酸を含有する除去可能な抗菌性フィルム形成組成物で表面をコートする工程を含む微生物の防除方法および前記組成物の塗布方法に関する。
【0003】
化学消毒剤は、食品安全性を保証するため、および一層厳しい健康安全規制を遵守するために、ますます多くの業界において現在使用されている。除染、消毒および殺菌用の組成物は、優れた殺微生物効能を有し、迅速に作用し、非腐食性であり、かつ、最小量で有効でなければならない。理想的な組成物は、微生物を殺すための多重機構を有し、こうして広範囲の微生物に対して効能を提供し、かつ、耐抗菌物質性微生物の発生につながる可能性を下げなければならない。
【0004】
過酸化物、とりわけ過酸化水素(HP)および過酢酸(ペルオキシ酢酸、PAAとも呼ばれる)を含有する組成物は非常に有効な抗菌剤であることが証明されている。多くのこのような調合液は必要な試験に合格し、殺菌剤、消毒剤、および殺胞子剤として登録された製品である。これらの過酸化物/ペルオキシ酸組成物の多くは液体溶液であり、水性溶液、表面および物体を処理するために使用することができる。食品接触表面用および食品製品の殺菌用に認可されているものがある。消毒剤または滅菌剤として、気相処理剤として登録されているものもある。
【0005】
硬表面、肉製品、生きている植物組織、および医療装置を望ましくない微生物増殖に抗して清浄にする、消毒する、および/または殺菌するための方法が記載されている(米国特許第6,545,047号明細書;同第6,183,807号明細書;同第6,518,307号明細書;米国特許出願公開第2003/0026846号明細書;および米国特許第5,683,724号明細書)。過酸はまた洗濯洗剤用途向けの漂白組成物を調製するのに有用であると報告されている(米国特許第3,974,082号明細書;同第5,296,161号明細書;および同第5,364,554号明細書)。
【0006】
過酸を製造する幾つかの方法がある。たとえば国際公開第2006/076334号パンフレットは、過酸化物および過酸の水性溶液を含む殺微生物および除汚組成物を記載しており;米国特許第5,130,124号明細書は、過酸化水素入りの水性抗菌性フィルム形成組成物を記載しており;国際公開第1996/022687号パンフレットは、過酸化水素を含有する酸化性フィルム形成組成物を記載している。酵素触媒がまた過酸の発生を促進するために使用されてもよい。その全体を参照により本明細書に援用される、共同所有される同時係属米国特許出願公開第2008/0176299A1号明細書は、過酸の酵素的生産方法を記載している。過酸の酵素的発生のためのエステラーゼ(米国特許第3,974,082号明細書)、プロテアーゼ(米国特許第5,364,554号明細書)、エステラーゼおよびリパーゼ(米国特許第5,296,161号明細書)などの酵素の使用もまた記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上に示された過酸製造の記載にもかかわらず、表面への塗布後に短期間および延びた長期間の(または残留する)抗菌効能の両方を提供する、その場酵素的発生、過酸ベースの、容易に除去可能な、均一な抗菌性コーティング組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、抗菌性であり、そしてまた標的表面上に抗菌性コーティングを形成することによって微生物に対する長時間の有効性を提供する、方法および組成物を提供することによって上に特定された問題に対処するものである。
【0009】
一態様においては本発明は、
ある場所での微生物の防除を提供する方法であって、
a)i)フィルムを形成する水溶性もしくは水分散性試剤;
ii)不活性溶媒;
iii)カルボン酸エステル基質;
iv)ペルオキシゲン源;
v)それによって少なくとも1つのペルオキシ酸を形成して第1抗菌剤を少なくとも提供する、ペルヒドロラーゼ活性を有する酵素触媒;および
vi)レオロジー調整剤
を含む成分を組み合わせることによって組成物を形成する工程と;
b)前記組成物を前記場所に塗布する工程と;
c)前記組成物を乾燥させ、それによって前記場所上にコーティングを形成する工程と
を含む方法を指向する。
【0010】
本発明の別の態様は、
ある場所での微生物の防除を提供する方法であって、
(a)不活性溶媒およびフィルム形成剤を含む第1予混合成分を提供する工程と;
(b)ペルヒドロラーゼ活性を有する酵素触媒、カルボン酸エステル基質およびペルオキシゲン源を含む第2予混合成分を提供する工程と;
(c)前記第1予混合成分と前記第2予混合成分とを混合してペルオキシ酸を含む第1抗菌剤を含む液体コーティング組成物を得る工程と;
(d)前記コーティング組成物を場所に塗布する工程と;
(e)前記コーティング組成物を乾燥させ、それによって前記場所上にコーティングを形成する工程と
を含む方法を指向する。
【0011】
本発明の別の態様は、
a)フィルムを形成する水溶性もしくは水分散性試剤;
b)不活性溶媒;
c)カルボン酸エステル基質;
d)ペルオキシゲン源;
e)ペルヒドロラーゼ活性を有する酵素触媒;および
f)レオロジー調整剤
を含む成分を含む抗菌性組成物であって、
前記成分を組み合わせると、ペルオキシ酸が形成される組成物を指向する。
【0012】
生物学的配列の簡単な説明
以下の配列は、37C.F.R.§1.821−1.825(「ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列開示を含有する特許出願の要件−配列規則(Requirements for Patent Applications Containing Nucleotide Sequences and/or Amino Acid Sequence Disclosures−the Sequence Rules)」)に従っており、World Intellectual Property Organization(WIPO)Standard ST.25(1998)およびEuropean Patent Convention(EPC)およびPatent Cooperation Treaty(PCT)Rules 5.2 and 49.5(a−bis)の配列リスティング規定、ならびにAdministrative InstructionsのSection 208およびAnnex Cと一致している。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列データについて用いられる記号およびフォーマットは、37C.F.R.§1.822に記述されている規則に従う。
【0013】
SEQ ID NO:1は、枯草菌(Bacillus subtilis)ATCC31954からのセファロスポリンCデアセチラーゼのアミノ酸配列である。
【0014】
SEQ ID NO:2は、枯草菌亜種サブチリス株(Bacillus subtilis subsp.subtilis strain)168(GenBank登録番号NP_388200)からのセファロスポリンCデアセチラーゼのアミノ酸配列である。
【0015】
SEQ ID NO:3は、枯草菌(Bacillus subtilis)ATCC6633(GenBank登録番号YP_077621.1)からのセファロスポリンCデアセチラーゼのアミノ酸配列である。
【0016】
SEQ ID NO:4は、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)ATCC14580(GenBank登録番号YP_077621.1)からのセファロスポリンCデアセチラーゼのアミノ酸配列である。
【0017】
SEQ ID NO:5は、バチルス・プミリス(Bacillus pumilis)(GenBank登録番号CAB76451.2)からのアセチルキシランエステラーゼのアミノ酸配列である。
【0018】
SEQ ID NO:6は、クロストリジウム・サーモセラム(Clostridium thermocellum)ATCC27405(GenBank登録番号ZP_00504991)からのアセチルキシランエステラーゼのアミノ酸配列である。
【0019】
SEQ ID NO:7は、サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)(GenBank登録番号AAB70869.1)からのアセチルキシランエステラーゼのアミノ酸配列である。
【0020】
SEQ ID NO:8は、サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)MSB8(GenBank登録番号NP_227893.1)からのアセチルキシランエステラーゼのアミノ酸配列である。
【0021】
SEQ ID NO:9は、サーモアナエロバクテリウム種(Thermoanaerobacterium sp.)(GenBank登録番号AAB68821.1)からのアセチルキシランエステラーゼのアミノ酸配列である。
【0022】
SEQ ID NO:10は、バチルス種(Bacillus sp.)NRRL B14911(GenBank登録番号ZP_01168674)からのセファロスポリンCデアセチラーゼのアミノ酸配列である。
【0023】
SEQ ID NO:11は、バチルス・ハロデュランス(Bacillus halodurans)C−125(GenBank登録番号NP_244192)からのアセチルキシランエステラーゼのアミノ酸配列である。
【0024】
SEQ ID NO:12は、バチルス・クラウシィ(Bacillus clausii)KSM−K16からのセファロスポリンCデアセチラーゼのアミノ酸配列である。
【0025】
SEQ ID NO:13は、サーモアナエロバクテリウム・サッカロリチカム(Thermoanaerobacterium saccharolyticum)からのアセチルキシランエステラーゼのアミノ酸配列である。
【0026】
SEQ ID NO:14は、サーモトガ・レッチンガエ(Thermotoga lettingae)からのアセチルキシランエステラーゼのアミノ酸配列である。
【0027】
SEQ ID NO:15は、サーモトガ・ペトロフィリア(Thermotoga petrophilia)からのアセチルキシランエステラーゼのアミノ酸配列である。
【0028】
SEQ ID NO:16は、サーモトガ種(Thermotoga sp.)RQ2”a”からのアセチルキシランエステラーゼのアミノ酸配列である。
【0029】
SEQ ID NO:17は、サーモトガ種(Thermotoga sp.)RQ2”b”からのアセチルキシランエステラーゼのアミノ酸配列である。
【0030】
SEQ ID NO:18は、実施例1において使用されるプライマーf27405についてのヌクレオチド配列である。
【0031】
SEQ ID NO:19は、実施例1において使用されるプライマーr27405についてのヌクレオチド配列である。
【0032】
SEQ ID NO:20は、実施例1において使用されるプラスミドpSW196を調製するために使用されたSEQ ID NO:18および19によって増幅された核酸生成物の核酸配列である。
【0033】
SEQ ID NO:21は、CE−7炭水化物エステラーゼにおいて見いだされる4保存モチーフの隣接アミノ酸配列である。
【0034】
SEQ ID NO:22は、実施例8において使用されるフォワードプライマー[TAACTGCAGT AAGGAGGAAT AGGACATGGC CTTCTTCGAT TTACCCACTC]についてのヌクレオチド配列である。
【0035】
SEQ ID NO:23は、実施例8において使用されるリバースプライマー[TGATCTAGAT TAGCCTTTCT CAAATAGTTT TTTCAAGA]についてのヌクレオチド配列である。
【0036】
SEQ ID NO:24は、プラスミドpSW207を調製するために使用されたSEQ ID NO:22および23によって増幅された核酸生成物の核酸配列である。
【0037】
SEQ ID NO:25は、実施例8において使用されるフォワードプライマー[TAAGAATTCT AAGGAATAGG ACATGGCGTT TCTTCGACCT GCCTCTG]についてのヌクレオチド配列である。
【0038】
SEQ ID NO:26は、実施例8において使用されるリバースプライマー[AAACTGCAGT TAGCCCTTCT CAAACAGTTT CTTCAG]についてのヌクレオチド配列である。
【0039】
SEQ ID NO:27は、実施例8において使用されるプラスミドpSW228を調製するために使用されたSEQ ID NO:25および26によって増幅された核酸生成物の核酸配列である。
【0040】
SEQ ID NO:28は、実施例9において使用されるフォワードプライマーTma_C277Sf[GGACAACATCTCACCTCCTTCTA]についてのヌクレオチド配列である。
【0041】
SEQ ID NO:29は、実施例9において使用されるフォワードリバースプライマーTma_C227Sr[TAGAAGGAGGTGAGATGTTGTCC]である。
【0042】
SEQ ID NO:30は、実施例9において使用されるプラスミドpSW228におけるT.マリチマ(T.maritima)アセチルキシランエステラーゼのコドン最適化配列である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
特に明記しない限り、すべての百分率、部、比などは重量による。商標は大文字で示される。さらに、量、濃度、またはその他の値が範囲、好ましい範囲または好ましい上方値と下方値とのリストのどれかとして開示されるとき、このような開示は、個々の値が本明細書において独自にまたは個々に開示されない場合でさえ、あたかも、明記された範囲内の各個々の値−および開示された範囲内の任意の2つの個々の値の組み合わせから得られるあらゆる範囲−が明確に開示されたかのように同じ効果を有するべきである。数値の範囲が本明細書において列挙される場合、特に明記しない限り、この範囲はそれの終点、ならびにこの範囲内のすべての整数および分数を含むことが意図される。明記しない限り、本発明の範囲が、ある範囲を明確にするときに列挙される特定の値に限定されることは意図されない。
【0044】
明確にするために、本明細書において使用される用語は、本明細書において説明されるように、またはこのような用語が本発明の技術分野の当業者によって理解されるであろうように理解されるべきである。本明細書において使用される幾つかの用語の追加の説明が以下に提供される:
【0045】
「過酸」は、酸性−OH基が−OOH基で置き換えられたカルボン酸である。本明細書において使用される場合、「過酸」は、ペルオキシ酸、ペルオキシ酸、過カルボン酸およびペルオキソ酸と同じ意味である。一般に知られているように、過酸としては、過酢酸が挙げられる。用語「過酢酸」または「PAA」は、本明細書において使用される場合、ペルオキシ酢酸、エタンペルオキソ酸およびCAS登録番号79−21−0のすべてのその他の同意語と同じ意味である。
【0046】
「トリアセチン」は、グリセリントリアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセリルトリアセテート、1,2,3−トリアセトキシプロパン、1,2,3−プロパントリオールトリアセテートおよびCAS登録番号102−76−1のすべてのその他の同意語と同じ意味である。
【0047】
「ペルオキシゲン源」は、あらゆる過酸化物化合物または溶液中で放出されてもよい過酸化水素を含有する化合物を意味する。
【0048】
「剪断速度」は、流れる物質中の速度勾配を意味し、秒の逆数のSI単位(秒-1)で測定される。
【0049】
「剪断薄化特性」または「擬塑性特性」は、剪断速度の増加とともに粘度の減少を示す流体に関する。
【0050】
「容易に除去可能な」は、対象となる表面への液体コーティング組成物の塗布後に形成されたコーティングを容易に除去することを意味するが、故意でない物理的接触によって除去されるほど容易には除去されないことを意味する。
【0051】
「非揮発性」は、25℃でのその蒸気圧が1000パスカルより下である化合物に関する。
【0052】
「不活性溶媒または水性溶媒」は、コーティング組成物のその場所への塗布を容易にする水またはあらゆるその他の溶媒を意味する。水性溶媒はまた、コートされた表面をリンスして必要に応じてコーティングを除去するために用いられてもよい。
【0053】
本明細書において同じ意味で使用されてもよい、「フィルム形成剤」または「水溶性もしくは水分散性コーティング剤」は、フィルムを形成し、そして対象となる表面に保護コーティングを提供するために用いられる試剤を意味する。これらの試剤は、水溶性か水分散性かのどちらかである。これらの試剤は以下にさらに詳細に説明される。
【0054】
「金属キレート剤」または「金属イオン封鎖剤」は、金属または金属含有不純物と結合し、そして過酸化水素またはペルオキシ酸のそれらの分解触媒作用を防ぐ試剤を意味する。
【0055】
「レオロジー調整剤」または「レオロジー剤」は、粘度を増加させおよび/または剪断薄化特性を組成物に提供し、そして水性処理剤またはコーティング組成物を興味のある表面に粘着させる化合物を意味する。
【0056】
「重量%」は、溶液または分散液の総重量に対する重量パーセントを意味する。
【0057】
「液体コーティング組成物」は、少なくとも水溶性フィルム形成剤、不活性溶媒、カルボン酸エステル基質、ペルオキシゲン源、およびペルヒドロラーゼ活性を有する酵素触媒を含む組成物であって、少なくとも1つのペルオキシ酸が生成する組成物を意味する。
【0058】
「抗菌性」または「抗菌特性」は、本明細書において使用される場合、微生物を殺す、微生物汚染をブロックするもしくは防ぐ(障壁の形成などの)、または微生物の増殖を抑えるもしくは防ぐ、殺すために微生物を捕捉する、バイオフィルム形成を防ぐもしくはバイオフィルムを排除する/除去する試剤の能力に関する。
【0059】
「抗菌剤」は、本明細書において使用される場合、抗菌特性を有する化合物または物質を意味する。
【0060】
「微生物」は、系統発生領域の細菌および古細菌、ならびに単細胞(たとえば、酵母)および線維状(たとえば、カビ)真菌類、単細胞および線維状藻類、単細胞および多細胞寄生生物、ウィルス、ビリノおよびビロイドからなるあらゆる生物を含むことが意図される。
【0061】
「殺生物剤」は、本明細書において使用される場合、微生物を不活性化するかまたは殺す、典型的には幅広いスペクトルの化学試剤を意味する。微生物を不活性化するかまたは殺す能力を示す化学試剤は「殺生物」活性を有すると記載される。
【0062】
「バイオフィルム」は、自己成長ポリマーマトリックス内に封入された、そして生きたまたは不活性表面に付着した微生物の構造化群生を意味する。
【0063】
「乾燥」は、調合物中に存在する不活性溶媒またはあらゆるその他の液体が蒸発によって除去されるプロセスを意味する。
【0064】
「消毒剤」は、抗菌活性を提供する試剤を意味する。公式の消毒剤試験によれば、消毒剤は、特定の試験微生物の99.9%を試験の条件下に10分で殺す化学薬品である。(消毒剤の殺菌作用および洗剤殺菌作用、公認分析化学者協会の公定法、パラグラフ960.09および適用可能なセクション、第15版、1990年(EPAガイドライン91−2)(Germicidal and Detergent Sanitizing Action of Disinfectants,Official Methods of Analysis of the Association of Official Analytical Chemists,paragraph 960.09 and applicable sections,15th Edition,1990(EPA Guideline 91−2))。
【0065】
「酵素活性の1単位」または「活性の1単位」または「U」は、規定温度で毎分1マイクロモルの過酸生成物の生成のために必要とされるペルヒドロラーゼ活性の量と定義される。
【0066】
「半減期」または「τ」は、PAA濃度がその最大値の半分に低下してしまう時間と定義される。
【0067】
「酵素触媒」および「ペルヒドロラーゼ触媒」は同じ意味で使用され、過加水分解活性を有する酵素、すなわち、過酸を形成するための過酸化物源と基質との間の反応を触媒する能力を示す酵素を含む触媒を意味し、全微生物細胞、透過処理微生物細胞、微生物細胞抽出物の1つ以上の細胞成分、部分精製酵素、または精製酵素の形態にあってもよい。
【0068】
「アセチルキシランエステラーゼ」は、アセチル化キシランおよびその他のアセチル化糖類の脱アセチル化を触媒するおよびまたカルボン酸エステルから過カルボン酸を生成するために好適な著しい過加水分解活性を有する酵素(E.C.3.1.1.72;AXE)を意味する。
【0069】
「遺伝子」は、コード配列に先行する調節配列(5’非コード配列)およびコード配列後の調節配列(3’非コード配列)を含む、特異的タンパク質を発現する核酸分子を意味する。
【0070】
「単離核酸分子」および「単離核酸断片」は同じ意味で使用されてもよく、合成、非天然または改変ヌクレオチド塩基を任意選択的に含有する、一本鎖または二本鎖であるRNAまたはDNAのポリマーを意味する。DNAのポリマーの形態での単離核酸分子は、cDNA、ゲノムDNAまたは合成DNAの1つ以上のセグメントからなってもよい。
【0071】
「発現」は、本発明の核酸分子に由来するセンスRNA(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写および安定蓄積を意味する。発現はまた、ポリペプチドへのmRNAのトランスレーションを意味してもよい。
【0072】
「形質転換」は、遺伝子的に安定な遺伝的形質をもたらす、宿主有機体のゲノムへの核酸分子の導入を意味する。本発明においては、宿主細胞のゲノムは、染色体遺伝子および染色体外(たとえば、プラスミド)遺伝子を含む。形質転換した核酸分子を含有する宿主有機体は、「遺伝子組み換えの(transgenic)」または「組み換えの」または「形質転換された」有機体と言われる。
【0073】
「ATCC」はAmerican Type Culture Collectionを意味する。微生物の収納場所は、Virginia,USAに置かれている。
【0074】
「第1抗菌剤」は、本発明の方法に従ってコーティング組成物においてその場発生した抗菌剤を意味する。好ましい実施形態においては、第1抗菌剤はペルオキシ酸である。
【0075】
「第2抗菌剤」は、コーティング組成物において存在するペルオキシ酸以外の追加の抗菌剤を意味する。現行法によれば、この試剤はその場発生しない。好ましい実施形態においては、第2抗菌剤は第四級アンモニウム化合物である。
【0076】
「RGQ」は、CE−7酵素ファミリーに特徴的であるSEQ ID NO:1の位置118〜120でのアミノ酸残基の高保存モチーフを意味する。
【0077】
「GXSQG」は、CE−7酵素ファミリーに特徴的であるSEQ ID NO:1の位置179〜183でのアミノ酸残基の高保存モチーフを意味する。
【0078】
「HE」は、CE−7酵素ファミリーに特徴的であるSEQ ID NO:1の位置298〜299でのアミノ酸残基の高保存モチーフを意味する。
【0079】
「LXD」は、CE−7酵素ファミリーに特徴的であるSEQ ID NO:1の位置267〜269でのアミノ酸残基の高保存モチーフを意味する。
【0080】
「実質的に類似の」は、1つ以上のヌクレオチド塩基の変化が1つ以上のアミノ酸の付加、置換、または削除をもたらすが、DNA配列でエンコードされたタンパク質の機能特性(すなわち、過加水分解活性)に影響を及ぼさない核酸分子に関する。
【0081】
「シグネチャーモチーフ」、「CE−7シグネチャーモチーフ」、および「診断モチーフ」は、ペルヒドロラーゼ活性などの規定の活性を有する酵素のファミリーの間で共有される保存構造を意味する。
【0082】
一態様においては、本発明は、ペルオキシ酸を形成するためのペルオキシゲン源およびカルボン酸エステルと組み合わせたペルヒドロラーゼの使用を含む方法である。ペルヒドロラーゼは、ペルオキシゲン源(たとえば、過酸化水素)と選択された基質との反応を触媒して過酸を形成する酵素である。上に示されたように、ペルヒドロラーゼ活性を有する酵素としては、リパーゼ、エステラーゼ、プロテアーゼ、非ヘムハロペルオキシダーゼ、および、アセチルキシランエステラーゼまたはセファロスポリンCデアセチラーゼなどの、CE−7ファミリーの炭水化物エステラーゼが挙げられるが、それらに限定されない。
【0083】
それらの過加水分解活性に関するこれらの酵素の適用は、それらの全体を参照により本明細書に援用される、共同所有される米国特許出願公開第2009/0005590A1号明細書、同第2008/0176299A1号明細書および同第2007/042924A1号明細書、ならびに米国特許出願第61/102,520号明細書に記載されている。
【0084】
セファロスポリンCデアセチラーゼ(CAH)およびアセチルキシランエステラーゼ(AXE)などの、CE−7エステラーゼの構造ファミリーに属するある種の酵素は、ペルオキシゲンの無機源(たとえば、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム)の存在下にカルボン酸エステルを消毒剤および/または漂白剤として使用するために十分な濃度で過酸に変換するための著しい過加水分解活性を示す。このシステムは、高濃度のペルオキシゲンを必要とすることなく過酸を高濃度で生成することによって効率を達成する(たとえば、共同所有される米国特許出願公開第2008/0176299A1号明細書に記載されているように)。
【0085】
ペルヒドロラーゼ触媒は、全微生物細胞、透過処理微生物細胞、微生物細胞抽出物の1つ以上の細胞成分、部分精製酵素、または精製酵素として使用されてもよい。酵素触媒はまた、(たとえば、PEG化によってまたは架橋試薬との反応によって)化学修飾されてもよい。ペルヒドロラーゼ触媒はまた、当業者に周知の方法を用いて可溶性または不溶性担体に固定化されてもよい。
【0086】
CE−7ファミリーの炭水化物エステラーゼ
CE−7ファミリーのメンバー、セファロスポリンCデアセチラーゼ(E.C.3.1.1.41;系統名セファロスポリンCアセチルヒドロラーゼ;CAH)およびアセチルキシランエステラーゼ(E.C.3.1.1.72)は、植物、真菌類(たとえば、セファロスポリジウム・アクレモニウム(Cephalosporidium acremonium))、酵母(たとえば、ロドスポリジウム・トルロイデス(Rhodosporidium toruloides)、ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis)、およびサーモアナエロバクテリウム種(Thermoanaerobacterium sp.)などのバクテリア;ノルカディア・ラクタムデュランス(Norcardia lactamdurans)、ならびにバチルス属(Bacillus)の様々なメンバー(Politinoら,Appl.Environ.Microbiol.,63:4807−4811,1997;Sakaiら,J.Ferment.Bioeng.85:53−57,1998;Lorenz,W.and Wiegel,J.,J.Bacteriol.179:5436−5441,1997;Cardozaら,Appl.Microbiol.Biotechnol.,54:406−412,2000;Mitsushimaら、上記を参照;Abbott,B.and Fukuda,D.,Appl.Microbiol.30:413−419,1975;Vincentら、J.Mol.Biol.,330:593−606,2003;Takamiら,NAR,28:4317−4331,2000;Reyら,Genome Biol.,5:article 77,2004;Degrassiら,Microbiology,146:1585−1591,2000;米国特許第6,645,233号明細書;同第5,281,525号明細書;同第5,338,676号明細書;および国際公開第99/03984号パンフレット)に見いだされる。SEQ ID NO:1と著しいホモロジーを有するCE−7ファミリーメンバーの非包括的なリストは、SEQ ID NO 1〜18において提供される。
【0087】
炭水化物エステラーゼのCE−7ファミリーのメンバーとして(Vincentら、上記を参照)、セファロスポリンCデアセチラーゼ(E.C.3.1.1.41)およびアセチルキシランエステラーゼ(E.C.3.1.1.72)の両方とも、アセチル化ポリマーキシラン、アセチル化キシロース、アセチル化グルコース、およびアセチル化セルロース上のアセチル基を加水分解する。したがって、アセチル化炭水化物は、本方法を用いて(すなわち、ペルオキシゲン源の存在下に)過カルボン酸を発生させるための好適な基質であることができる。アセチル化炭水化物の例としては、アセチル化グルコース(グルコースペンタアセテートなどの)、アセチル化マンノース、アセチル化キシロース(キシローステトラアセテートなどの)、およびアセチル化セルロースが挙げられるが、それらに限定されない。
【0088】
現行法における適用のために好適なものなどの、幾つかの酵素は、規定のファミリーの基質に対して類似の酵素活性を有する構造上関連する酵素のファミリーを明確にするおよび/または同定するために用いることができるシグネチャーモチーフを有する。シグネチャーモチーフは、単一の隣接アミノ酸配列またはシグネチャーモチーフを一緒に形成する不連続の保存モチーフの集まりであることができる。典型的には、保存モチーフはアミノ酸配列で表される。本明細書において記載される場合、本ペルヒドロラーゼはCE−7炭水化物エステラーゼのファミリーに属する。このファミリーの酵素は、以下に記載されるようなシグネチャーモチーフの存在によって定義することができる。
【0089】
CE−7ファミリーメンバーは、それらがアセチル化キシロオリゴ糖およびセファロスポリンCの両方に対してエステル加水分解活性を典型的に示すという点において異常であり、CE−7ファミリーが様々な小さな基質に対して多機能のデアセチラーゼ活性を持った単一クラスのタンパク質を表すことを示唆する(Vincentら、上記を参照)。Vincentらは、このファミリーのメンバー間での構造類似性を記載しており、CE−7ファミリーに特有のシグネチャー配列モチーフ(SEQ ID NO:21)を明確にしている。CLUSTALWを用いて基準配列SEQ ID NO:1と整列するCE−7シグネチャーモチーフは、SEQ ID NO:1の残基118〜120(RGQ)、SEQ ID NO:1の残基179〜183(GXSQG)、SEQ ID NO:1の残基298〜299(HE)およびSEQ ID NO:1の残基267〜269(LXD)を含む、このファミリーに特徴的である幾つかの高保存モチーフを有する。アミノ酸配列の多重アラインメントは、デフォルトパラメーター(GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=10)でアラインメントのClustal法、Higgins and Sharp,CABIOS,5:151-153(1989)を用いて行われてもよい。Clustal法を用いる一対アラインメントのためのデフォルトパラメーターは典型的には、KTUPLE 1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5およびDIAGONALS SAVED=5である。
【0090】
生じた酵素が本機能特性(すなわち、過加水分解活性)を保持する、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、その上さらにより好ましくは少なくとも90%、もっとその上さらにより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%が本明細書において報告される配列と同一であるアミノ酸配列を有するペルヒドロラーゼ酵素が本方法のために好適である。用語「実質的に類似の」はまた、本明細書において報告されるアミノ酸配列(たとえば、SEQ ID NO:1〜17および30)の核酸分子に厳しい条件下でハイブリッド化する核酸分子でエンコードされた過加水分解活性を有する酵素に関してもよい。それ故、本発明は特有の例示的配列より多くを包含すると理解される。
【0091】
本明細書に例示されるペルヒドロラーゼ間の全体的パーセント同一性の比較は、SEQ ID NO:1と33%ほどに少ない同一性を有する酵素が(シグネチャーモチーフを保持しながら)顕著なペルヒドロラーゼ活性を示し、CE−7炭水化物エステラーゼとして構造上分類されることを示す。
【0092】
一実施形態においては、本方法のために有用であるペルヒドロラーゼ触媒の1つは、CLUSTALWを用いて基準配列SEQ ID NO:1と整列するCE−7シグネチャーモチーフを有する酵素であって、前記シグネチャーモチーフが、
i)SEQ ID NO:1のアミノ酸位置118〜120にRGQモチーフ;
ii)SEQ ID NO:1のアミノ酸位置179〜183にGXSQGモチーフ;
iii)SEQ ID NO:1のアミノ酸位置298〜299にHEモチーフ
を含む酵素を含み、
ここで、前記酵素はまた、SEQ ID NO:1と少なくとも30%アミノ酸同一性を含む。
【0093】
さらなる実施形態においては、シグネチャーモチーフは、CLUSTALWを用いて基準配列SEQ ID NO:1に整列させられるときにアミノ酸残基267〜269にLXDモチーフと定義される第4保存モチーフをさらに含む。
【0094】
別の実施形態では、ペルヒドロラーゼ触媒は、SEQ ID NO:1〜17および30からなる群から選択されるペルヒドロラーゼ活性を有する酵素、または前記アミノ酸配列への1つ以上のアミノ酸を置換する、削除するまたは付加することによって誘導されるペルヒドロラーゼ活性を有する実質的に類似の酵素を含む。
【0095】
別の実施形態においては、ペルヒドロラーゼ活性を有する実質的に類似の酵素は、SEQ ID NO:1〜17および30からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である。
【0096】
別の実施形態においては、ペルヒドロラーゼ触媒は、SEQ ID NO:1と定義されるような隣接シグネチャーモチーフと少なくとも30%、好ましくは少なくとも36%アミノ酸同一性を有する酵素であって、上記のシグネチャーモチーフ(たとえば、RGQ、GXSQG、およびHE、ならびに任意選択的にLXD)が保存されている酵素を含む。
【0097】
その上さらなら実施形態においては、本方法のペルヒドロラーゼシステムは、プロテアーゼ、アミラーゼなどを含むが、それらに限定されない、追加の酵素と併せて使用される。実際に、微生物細胞壁分解および糖タンパク質分解酵素、リゾチーム、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、13−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、エンドグルカナーゼ、PNGアーゼ、アミラーゼなど、ならびにまたはそれらの混合物を含むが、それらに限定されない様々な酵素が本発明と関連して使用されるであろうと考えられる。ある実施形態においては、酵素安定剤が本方法において使用される。酵素の組み合わせを使用することによって、本方法において必要とされる化学薬品の量が同時に低減されるであろうと考えられる。
【0098】
好ましい一実施形態においては、炭水化物ファミリーエステラーゼファミリーCE−7の構造上関連するメンバーの過加水分解活性が現行法のために用いられてきたが、過酸化水素の存在下にエステル基質を大部分は過酸へ変換する、あらゆるソースから得られたあらゆるペルヒドロラーゼ酵素がまた本方法において使用されてもよい。
【0099】
さらに、あるヒドロラーゼ酵素が現行法に使用されてもよい。この目的のための好適なヒドロラーゼとしては、(1)ペプチジル−ペプチドヒドロラーゼクラスに属するプロテアーゼ(たとえば、ペプシン、ペプシンB、レンニン、トリプシン、キモトリプシンA、キモトリプシンB、エラスターゼ、エンテロキナーゼ、カテプシンC、パパイン、キモパパイン、フィシン、トロンビン、フィブリノリジン、レニン、スブチリシン、アスペルギロペプチダーゼA、コラゲナーゼ、クロストリジオペプチダーゼB、カリクレイン、ガストリシン、カテプシンD、ブロメリン、ケラチナーゼ、キモトリプシンC、ペプシンC、アスペルギロペプチダーゼB、ウロキナーゼ、カルボキシペプチダーゼAおよびB、ならびにアミノペプチダーゼ);(2)カルボキシルエステラーゼ、リパーゼ、ペクチンエステラーゼ、およびクロロフィラーゼを含むカルボキシレートエステルヒドロラーゼ;ならびに(3)高い過加水分解対加水分解比を有する酵素が挙げられる。それらの中で、リパーゼ、ならびに高い過加水分解対加水分解比を示すエステラーゼ、ならびに本方法のペルヒドロラーゼの第一級、第二級、第三級、および/または第四級構造的特徴を使用する、タンパク質改変エステラーゼ、クチナーゼ、およびリパーゼがとりわけ有効である。
【0100】
好適な酵素反応混合物
「好適な酵素反応混合物」、「過酸のその場発生のために好適な成分」、「好適な反応成分」、および「好適な水性反応混合物」は、本明細書においては同じ意味で使用され、反応剤および酵素触媒が接触する材料および溶液を意味する。好適な水性反応混合物の成分が本明細書において提供され、当業者は、本方法のために好適な成分変動の範囲を十分よく理解している。
【0101】
一実施形態においては、好適な酵素反応混合物は、反応成分を組み合わせるとその場で過酸を生成する。したがって、反応成分は、反応成分の1つ以上が使用まで別々のままである多成分系として提供されてもよい。多数の活性成分を組み合わせるためのシステムの設計は、当該技術分野において公知であり、個々の反応成分の物理的形態に一般に依存するであろう。たとえば、多数の活性流体(液体−液体)システムは、所望の漂白剤が反応性流体を混合すると生成する幾つかの漂白用途に見いだされるなどの、多室ディスペンサーボトルまたは2相システムを典型的には用いる(米国特許出願公開第2005/0139608号明細書;米国特許第5,398,846号明細書;同第5,624,634号明細書;同第6,391,840号明細書;欧州特許第0807156B1号明細書;米国特許出願公開第2005/0008526号明細書;およびPCT公開国際公開第00/11713 A1号パンフレット)。過酸を発生させるために用いられる多成分システムのその他の形態としては、粉末(たとえば、多くの商業的に入手可能な漂白組成物、米国特許第5,116,575号明細書)、多層錠剤(米国特許第6,210,639号明細書)、複数の区画を有する水溶性パケット(米国特許第6,995,125号明細書)および水を加えると反応する固体凝集塊(米国特許第6,319,888号明細書)などの、1つ以上の固体成分または固体−液体成分のために設計されたものが挙げられてもよいが、それらに限定されない。
【0102】
別の態様においては、反応性成分を組み合わせるための好適なシステムは、米国特許出願公開第2005/014427号明細書に開示されているような対ノズルボトルの使用である。本発明の方法で使用するために好適な代わりのデバイスは、欧州特許第0715899B1号明細書に開示されているような二重区画トリガー活性化流体ディスペンサーである。
【0103】
別の態様においては、好適な反応成分を混合するための好適なシステムは、機械力によって膜を破ると、反応成分が使用前に組み合わせられる、反応性成分を分離する膜を持った容器であってもよい。別の態様においては、好適なデバイスは、バッグ内バッグであってもよい。
【0104】
別の態様においては、本発明の方法に従って使用するための好適な酵素反応混合物を組み合わせるまたは混合するための手段としては、反応性成分を使用前に別々に保つために使用される、当業者に公知のシステム、デバイス、容器、キット、マルチパッグ、バッグ、ディスペンサー、および塗布機が挙げられる。
【0105】
別の態様においては、酵素過加水分解生成物組成物は、望ましい機能性を提供する追加の成分を含有してもよい。これらの追加の成分としては、緩衝剤、洗剤ビルダー、増粘剤、乳化剤、界面活性剤、湿潤剤、腐食防止剤(たとえば、ベンゾトリアゾール)、酵素安定剤、および過酸化物安定剤(たとえば、金属イオンキレート剤)が挙げられるが、それらに限定されない。追加の成分の多くは洗剤工業でよく知られている(たとえば、参照により本明細書に援用される、米国特許第5,932,532号明細書を参照されたい)。乳化剤の例としては、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンが挙げられるが、それらに限定されない。増粘剤の例としては、LAPONITE(登録商標)RD、コーンスターチ、PVP、CARBOWAX(登録商標)、CARBOPOL(登録商標)、CABOSIL(登録商標)、ポリソルベート20、PVA、およびレシチンが挙げられるが、それらに限定されない。緩衝系の例としては、リン酸ナトリウム一塩基性/リン酸ナトリウム二塩基性;スルファミン酸/トリエタノールアミン;クエン酸/トリエタノールアミン;酒石酸/トリエタノールアミン;コハク酸/トリエタノールアミン;酢酸/トリエタノールアミン;および炭酸水素ナトリウム/炭酸ナトリウムが挙げられるが、それらに限定されない。界面活性剤の例としては、a)エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドのブロックコポリマー、エトキシル化もしくはプロポキシル化直鎖状もしくは分枝状の第一級および第二級アルコール、ならびに脂肪族ホスフィンオキシドなどの非イオン界面活性剤、b)第四級アンモニウム化合物、特に、3つのC1〜C2アルキル基にさらに結合した窒素原子に結合したC8〜C20アルキル基を有する第四級アンモニウム化合物などの陽イオン界面活性剤、c)アルカンカルボン酸(たとえば、C8〜C20脂肪酸)、アルキルホスホネート、アルカンスルホネート(たとえば、ドデシル硫酸ナトリウム「SDS」)または直鎖状もしくは分枝状のアルキルベンゼンスルホネート、アルケンスルホネートなどの陰イオン界面活性剤ならびにd)アミノカルボン酸、アミノジカルボン酸、アルキルベタイン、およびそれらの混合物などの両性および双性イオン界面活性剤が挙げられるが、それらに限定されない。追加の成分としては、香料、染料、過酸化水素の安定剤(たとえば、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(DEQUEST(登録商標)2010、Solutia Inc,(St.Louis,Mo.))およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの金属キレート剤)、TURPINAL(登録商標)SL、DEQUEST(登録商標)0520、DEQUEST(登録商標)0531、酵素活性の安定剤(たとえば、ポリエチレングリコール(PEG))、ならびに洗剤ビルダーが挙げられてもよい。
【0106】
別の態様においては、酵素過加水分解生成物は、消毒されるべき表面または無生物物体と接触する前に所望濃度のペルオキシカルボン酸を発生させるために予混合されてもよい。
【0107】
別の態様においては、酵素過加水分解生成物は、所望濃度のペルオキシカルボン酸を発生するために予混合されてもよく、所望のより低い濃度の過酸入りの混合物を生成するために、水または主に水からなる溶液で任意選択的に希釈されてもよい。
【0108】
別の態様においては、酵素過加水分解生成物は、消毒されるべき表面または無生物物体と接触する前に所望濃度のペルオキシカルボン酸を発生させるために予混合されないが、その代わりに、所望濃度の過カルボン酸を発生させる反応混合物の成分が、消毒されるべき表面または無生物物体と接触させられ、所望濃度のペルオキシカルボン酸を発生させる。ある実施形態においては、反応混合物の成分はその場所で化合させるかまたは混合する。ある実施形態においては、反応成分はその場所に送出されるかまたは塗布され、その後混合するかまたは化合して所望のペルオキシ酸を発生させる。
【0109】
水性反応混合物中の触媒の濃度は、触媒の具体的な触媒活性に依存し、所望の反応速度を得るために選択される。過加水分解反応における触媒の濃度は典型的には、全反応容量の1mL当たり0.0001mg〜10mg、好ましくは1mL当たり0.0005mg〜2.0mgの範囲である。触媒はまた、当業者に周知の方法を用いて可溶性または不溶性担体上に固定されてもよく;たとえば、酵素および細胞の固定化(Immobilization of Enzymes and Cells);Gordon F.Bickerstaff,Editor;Humana Press,Totowa,N.J.,USA,1997を参照されたい。固定化触媒の使用は、触媒の回収およびその後の反応における再使用を可能にする。酵素触媒は、全微生物細胞、透過処理微生物細胞、微生物細胞抽出物、部分精製または精製酵素、およびそれらの混合物の形態にあってもよい。
【0110】
一態様においては、カルボン酸エステルの化学的過加水分解と酵素的過加水分解との組み合わせによって発生する過酸の濃度は、所望のpHで所望の用途向けの過酸の有効な濃度を提供するのに十分である。別の態様においては、本方法は、所望の有効な濃度の過酸を生成するための酵素と酵素基質との組み合わせを提供し、ここで、添加酵素の不存在下では、生成過酸の濃度はかなり低くなる。ある場合には、無機過酸化物と酵素基質との直接化学反応による酵素基質のかなりの化学的過加水分解が存在する可能性があるが、所望の用途において有効な濃度の過酸を提供するのに十分な濃度の発生過酸は存在する可能性はなく、全過酸濃度の著しい増加は、反応混合物への適切なペルヒドロラーゼ触媒の添加によって達成される。
【0111】
少なくとも1つのカルボン酸エステルの過加水分解によって発生する過酸(たとえば、過酢酸)の濃度は、過加水分解反応の開始の10分以内、好ましくは5分以内、最も好ましくは1分以内に少なくとも約2ppm、好ましくは少なくとも20ppm、好ましくは少なくとも100ppm、より好ましくは少なくとも約200ppm過酸、より好ましくは少なくとも300ppm、より好ましくは少なくとも500ppm、より好ましくは少なくとも700ppm、より好ましくは少なくとも約1000ppm過酸、最も好ましくは少なくとも2000ppm過酸である。別の態様においては、過加水分解触媒によって発生する過酸の濃度は、過加水分解反応の開始の1時間以内、より好ましくは30分以内、最も好ましくは5分以内に少なくとも約3000ppm、好ましくは少なくとも5000ppm、より好ましくは8000ppm、最も好ましくは少なくとも10000ppmである。一態様においては、所望の濃度の過酸を生成するために要する反応時間は、約2時間以下、好ましくは約30分以下、より好ましくは約10分以下、さらにより好ましくは約5分以下、最も好ましくは約1分以下である。その他の態様においては、ある濃度の微生物固体群で汚染された硬表面または無生物物体は、前記反応成分の組み合わせの約1分〜約168時間内に、もしくは約1分〜約48時間内に、もしくは約1分〜8時間内に、もしくは前記反応成分の組み合わせの1分〜2時間内に、またはその中におけるあらゆるこのような時間間隔で本明細書において記載される方法に従って形成される過酸と接触させられる。
【0112】
反応の温度は、反応速度および酵素触媒活性の安定性の両方を制御するように選択される。反応の温度は、反応混合物の凍結温度(約0℃)のすぐ上から約75℃の範囲であってもよく、反応温度の好ましい範囲は約5℃〜約55℃である。
【0113】
過酸を含有する最終反応混合物のpHは、約5〜約9.5、好ましくは約6〜約8、より好ましくは約6.5〜約7.5である。別の実施形態においては、反応混合物のpHは酸性(pH<7)である。反応中のまたは反応の完了後の反応混合物のpHは、リン酸塩、ピロリン酸塩、重炭酸塩、酢酸塩、またはクエン酸塩を含むが、それらに限定されない、好適な緩衝剤の添加によって任意選択的に調整されてもよい。用いられるとき、緩衝剤の濃度は、典型的には0.1mM〜1.0M、好ましくは1mM〜300mM、最も好ましくは10mM〜100mMである。
【0114】
本発明の一実施形態においては、成分の少なくとも幾つかは予混合される。予混合は、コーティング組成物の1つ以上の個々の成分の組み合わせを意味し、フィルム形成組成物の所望の成分のすべてが組み合わせられるわけではない。コーティング組成物の追加の成分は、ある特定の場所での最終塗布または使用の前に予混合成分に加えられなければならない。別の実施形態においては、2つの予混合成分は、本発明の方法に従って所望のコーティング組成物を形成するために組み合わせられなければならない。
【0115】
本発明のコーティング組成物の成分は、本明細書においては多区画システムとも言われる、多区画封じ込めシステムに含有することができる。多区画システムは、多区画システムコーティングシステムの2つ以上の反応性成分を使用前に別々に保つ手段を意味する。一態様においては、多区画システムは、少なくとも2つの区画を含み、そして液体形態で反応性化合物を組み合わせるために使用される多室ディスペンサーボトルまたは2相システムを含有してもよい。別の態様においては、粉末、多層錠剤、または多区画を有する水溶性パケットを、固体形態または固体形態と液体形態との組み合わせの化合物のために使用することができる。別の態様においては、反応性成分を使用前に別々に保つために使用されるあらゆる種類のシステム、デバイス、容器、パッケージ、バッグ、キット、マルチパック、ディスペンサー、または塗布機を、本方法の方法に従って使用することができる。
【0116】
本発明のコーティングは、水性溶液を使用して、適用後に、除去することができる。コーティング除去のために有効な水性溶液は、60〜100重量%の水を含有し、残りの成分が溶解されたまたは分散された成分であるあらゆる溶液である。溶解されたまたは分散された成分としては、アルコールなどの溶媒、可溶化剤、界面活性剤、塩、キレート剤、酸および塩基が挙げられてもよいが、それらに限定されない。
【0117】
本発明の抗菌性コーティングは耐久性コーティングである。本発明との関連で耐久性は、その除去が意図的に開始されるかまたは起こるようにされるまで典型的な使用条件下に表面上に残る、乾燥後の、塗布された抗菌性コーティングの特性または性質である。使用条件は、コーティングが本発明の塗布エリアのための標的表面上に残り、そして水との不注意な接触を含む可能性がある期間中によく見られる周囲環境条件である。
【0118】
標的表面に塗布された抗菌性コーティングは連続であるかまたは実質的に連続であることが好ましいことであり得る。連続の、または実質的に連続のは、本発明との関連で、空洞、割れ目、カバーされていないエリア、または故意ではなく露出した表面積を残すコーティング欠陥なしに標的表面をカバーするコーティングを意味する。
【0119】
本発明のコーティングは好ましくは均一であるかまたは実質的に均一である。均一な、または実質的に均一なは、本発明との関連で、コーティング表面の全域で小さな厚さ変動があるにすぎない、被覆表面の全域でコーティング厚さの標準偏差がコーティング厚さの0〜40%の範囲にあるコーティングを意味する。均一でないかまたは実質的に均一でないコーティングは、コーティングが塗布されている全体表面にわたって均等な抗菌性および除去特性を提供しないであろうし、典型的には不均一コーティングの出現は、多くの用途にとって魅力がないと考えられる。
【0120】
擬塑性指数または剪断薄化指数(STI)は、組成物が示す垂れ下がりおよび液だれにに対する抵抗の指標を提供する。より低い剪断速度で記録された値がSTIを得るためにより高い剪断速度での値で割られる。一般に、STIが高ければ高いほど、コーティング材料の垂れ下がりおよび液だれに対する抵抗はより高いであろう。この開示においては剪断薄化指数は、第1剪断速度および第2剪断速度で測定された粘度の比と定義され、ここで、前記第2剪断速度は、前記第1剪断速度の値の10倍である。あるいは、秒-1単位での剪断速度が知られていない場合、剪断薄化指数はまた、第1rpmおよび第2rpmで回転粘度計を用いて粘度を測定することによって計算することができ、ここで、前記第2rpmは、前記第1rpmの値の10倍である。STIを計算するために用いられる具体的な第1および第2剪断速度にまたは具体的な第1および第2rpm値に限定されることなく、本実施例においては、剪断薄化指数は1rpmおよび10rpmで測定された粘度の比として計算された。
【0121】
殺菌剤
本発明の抗菌性コーティングは、殺菌剤として使用することができる。本明細書において定義されるように、殺菌剤は、(i)その意図が、食品と実際にまたは潜在的に接触する表面上の微生物を防除することである場合の食品接触殺菌剤か、(ii)表面が食品と接触するためにくぼみをつけられない場合の非食品接触殺菌剤かのどちらかであることができる化学薬品または化学薬品混合物である。本明細書において定義されるように、食品接触殺菌剤は、EPA policy DIS/TSS−4:「効能データ要件−前もって清浄にされた食品接触表面の殺菌リンス剤」、米国環境保護庁、1979年、1月30日(「Efficacy data requirements−Sanitizing rinses for previously cleaned food−contact surfaces」、United States Environmental Protection Agency、January 30,1979)による試験方法の条件下に30秒で特定の試験微生物の99.999%を殺す。非食品接触殺菌剤は、本明細書において定義されるように、ASTM標準E 1153−03:「無生物非食品接触表面に対して推奨される殺菌剤の効能についての標準試験方法」、2003年4月10日版および2003年7月公表(ASTM standard E−1153−03:「Standard Test Method for Efficacy of Sanitizers Recommended for Inanimate Non−Food Contact Surfaces」、edition April 10,2003 and published July 2003)による方法の条件下に5分で特定の試験微生物の少なくとも99.9%を殺す。
【0122】
本発明のコーティング組成物は、残留抗菌効能を示すことができ、自己殺菌特性を示す。「残留抗菌効能」または「自己殺菌特性」は、乾燥後に抗菌活性のままである本明細書において記載されるように形成されたコーティングの特性を意味する。乾燥コーティングの抗菌活性は、残留自己殺菌(RSS)試験方法を用いて測定することができる。
【0123】
向上した抗菌効能および向上した作用速度を有する抗菌剤が長い間必要とされてきた。このような試剤の具体的な要件は、意図される用途(たとえば、殺菌剤、消毒剤、滅菌剤、無菌包装処理など)および当てはまる公衆衛生要件に従って変わる。たとえば、消毒剤の殺菌作用および洗剤殺菌作用、公認分析化学者協会の公定法、パラグラフ960.09および適用可能なセクション、第15版、1990年(EPAガイドライン91−2)(Germicidal and Detergent Sanitizing Action of Disinfectants,Official Methods of Analysis of the Association of Official Analytical Chemists,paragraph 960.09 and applicable sections,15th Edition,1990(EPA Guideline 91−2))に示されているように、殺菌剤は、幾つかの試験生物に対して、室温(23〜27℃)で30秒以内に99.999%減少(5−log次数減少)を提供すべきである。
【0124】
本発明のために有用なその場酵素生成過酸ベースの、除去可能な抗菌性コーティング組成物は、標準殺菌製品(希釈された第四級アンモニウム化合物溶液、過酸フォームなどの)の代替品または補足品として使用されてもよく、使用中のまたは使用中でない装置用の保護コーティングとして日常殺菌のために、ならびにより長期間保護(数週または数ヶ月)のために使用されてもよい。
【0125】
本開示のその場酵素的生成過酸ベースの、除去可能な抗菌性コーティング組成物は、自由生息または浮遊性微生物およびバイオフィルム中に潜伏した微生物の両方を殺すこと、バイオフィルムの形成を防ぐことによっておよびコーティングの中に、下にまたは別のやり方でコーティングと接触して微生物を捕捉することによって微生物の増殖を低減するかまたは防ぐことを含むが、それらに限定されない幾つかの利点を提供する。
【0126】
本明細書において開示されるコーティング組成物は、垂直の、傾いた、幾何学的に複雑なまたは到達し難い表面をコートするために組成物をレオロジー調整剤と調合することによって変性されてもよい。これは、さもなければ、伝統的な剪断−速度プロフィルおよび25℃で約0.01パスカル−秒より下の粘度を持った従来の抗菌性溶液の塗布によってアクセスできない装置上のまたは装置中の表面への抗菌剤の塗布を可能にする。水平および垂直表面は、液だれがレオロジー調整剤によって防止されるかまたは大きく低減されるので抗菌剤の浪費なしに保護コーティングの薄層でカバーすることができる。適切なレオロジー調整剤および架橋度で組成物を調合することによって、表面仕上げおよび保護ならびに除去の容易さの程度が変わる様々なコーティング特性のコーティング組成物を調製することができる。
【0127】
本発明のコーティング組成物は、汚れなどの、微生物または非微生物起源の汚染からの保護の幾つかのメカニズムを提供する。たとえば、表面上の浮遊性のまたは軽く付着した細胞は、液体コーティング組成物が塗布されるときにコーティング調合物中の抗菌剤によって、殺されるか、またはあるいは増殖が低減されるかもしくは防止される。
【0128】
さらに、本発明の液体抗菌性コーティング組成物の塗布後に、表面上のバイオフィルムによって潜伏した細胞は、塗布されたフィルム形成組成物が完全に乾燥して抗菌性フィルムを提供する前に、水和バイオフィルムへの抗菌剤の拡散によって、殺されるか、または増殖を低減するかもしくは防ぐことができる。持続される抗菌活性のためには、本発明の抗菌性フィルムは半透過性であることが望ましい。このように形成された抗菌性フィルムは、数秒または数分以内に典型的には垂れ落ちる従来の衛生リンス液よりはるかに長い接触時間を提供する抗菌剤の溜めを構成する。
【0129】
コーティングがその場所上に存在する間長持ちする活性は、様々な用途においてとりわけ有益である。本発明のフィルム形成抗菌性組成物は、標的表面から迅速に垂れ落ちず、たとえば、偶発的な接触によって容易には除去されない。本発明のコーティングのフィルム柔軟性、粘度、強度、および接着性の変動は、それが具体的な用途に合わせられることを可能にし、こうして持続する抗菌性保護を、このような持続する活性(残留利益)がこれまで利用可能ではなかった多数の状況において利用可能にする。
【0130】
本発明の実行において有用なフィルムを形成する水溶性もしくは水分散性試剤は、耐久性のある、除去可能な、以下に記載されるような、あらゆる試剤の少なくとも1つであってもよい。本発明のフィルムは、比較的穏和な条件下に除去可能であるように設計される。たとえば、本発明のフィルムは、15℃より上の温度、好ましくは30℃より上の温度で水性溶液での処理にかけられるときに除去することができる。好適なフィルム形成剤は、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、アクリレートコポリマー、イオン性炭化水素ポリマー、ポリウレタン、多糖類、官能化多糖類、アラビノキシラン、グルコマンナン、グアーガム、アラビア・ゴム、ジョハニーストリー・ゴム(johannistree gum)、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、キサンタンゴム、カラギーナン、カードラン、プルラン、ゼラチン、デキストラン、キトサン、グリセロール、アルギン酸ナトリウム、カルシウム塩で架橋されたアルギン酸ナトリウム、カラギーナン、エチレンオキシド/プロピレンオキシド/エチレンオキシドブロックコポリマー、ならびにそれらの組み合わせから選択されるが、それらに限定されない。当業者は、本発明の方法に従って容易に除去可能なコーティングを提供する範囲の水溶解度を提供するために好適な分子量の範囲を容易に選択することができる。
【0131】
ポリ(ビニルアルコール)と言われることもあるポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルから加水分解によって製造され、本明細書での使用に好適である。ポリビニルアルコールの物理的特性は、分子量および加水分解度によって制御される。加水分解度によって格付けされる、ポリビニルアルコールの最も一般的に入手可能なグレードは、87〜89%グレード(11〜13モル%残存酢酸ビニル単位を含有する)、96%加水分解グレード(4モル%残存酢酸ビニル単位を含有する)、ならびに、それぞれ、約98%および99%超加水分解されている「完全加水分解」および「超加水分解」グレードである。より低い加水分解度(たとえば、74%および79%)もまた商業的に入手可能である。幾つかの好ましい加水分解度は、85モル%超、または92モル%超である。本発明のポリビニルアルコール成分はまた、酢酸ビニルと少量(約15モル%以下)のその他のモノマーとのコポリマーを加水分解することによって得られるものなどの、ビニルアルコールのコポリマーであってもよい。好適なコモノマーはたとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸またはフマル酸、イタコン酸などのエステルである。また、酢酸ビニルと炭化水素、たとえば、エチレン、プロピレンまたはオクタデセンなどのアルファ−オレフィンとの、酪酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリメチル酢酸ビニル、またはそれらの同族体(Shell Chem.Co.によって販売される「VV−10」型のビニルエステル)などとの共重合は、加水分解して好適なポリビニルアルコールコポリマーにすることができるコポリマーを与える。その他の好適なコモノマーは、N−置換アクリルアミド、フッ化ビニル、酢酸アリル、アリルアルコールなどである。アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸モノメチルなどの遊離不飽和酸もまた、コモノマーとして作用することができる。
【0132】
文献において公知か商業的に入手可能かのいずれにしても、グレードの多様性のために、当業者は、公知のまたは商業的なグレードをあらゆる所望の比で単にブレンドすることによって、74〜99%超の範囲である平均加水分解度を有するポリビニルアルコール溶液を調合してもよい。
【0133】
ポリビニルアルコールフィルムのフィルム柔軟性、感水性、溶媒和の容易さ、粘度、フィルム強度および接着性は、分子量および加水分解度を調節することによって変え得る。
【0134】
一実施形態においては、本発明の方法に使用するためのポリビニルアルコールは、約85%〜99%超の加水分解度を有する。別の実施形態においては、ポリビニルアルコールは、約87%〜89%超の加水分解度を有する。一実施形態においては、ポリビニルアルコールは、約4,000〜約200,000、または約4,000〜約150,000、または10,000〜約100,000の範囲の数平均分子量(Mn)を有する。
【0135】
一実施形態においては、ポリビニルアルコールは、約10,000〜130,000の範囲に入る分子量を有する。別の実施形態においては、様々な分子量のポリビニルアルコールが、所望の特性を与えるためにブレンドされてもよい。
【0136】
一実施形態においては、ポリビニルアルコールは、溶液の重量の約2重量%〜約30重量%で使用される。より特異的な実施形態においては、ポリビニルアルコールは、溶液の重量の約2重量%〜約15重量%で使用される。さらにより特異的な実施形態においては、ポリビニルアルコールは、溶液の重量の約5重量%〜約12重量%で使用される。
【0137】
本発明のフィルム形成組成物は、約0.25〜約50重量%の濃度でPVPを含有してもよい。PVPの好適なグレードは、International Specialty Products(Wayne,NJ,USA)から入手できる。このようなグレードとしては、約6,000〜約15,000の分子量(Mw)平均範囲を有する、K−15;約40,000〜約80,000の分子量範囲を有する、K−30;約240,000〜約450,000の分子量範囲を有する、K−60;約900,000〜約1,500,000の分子量範囲を有するK−90;および約2,000,000〜約3,000,000の分子量範囲を有する、K−120が挙げられる。PVPとその他のフィルム形成化合物との組み合わせであってもよいような、PVPの混合物が用いられてもよい。好適なグレードは、それらの全体を参照により本明細書に援用される、共同所有されるおよび同時係属の米国特許出願公開第2007/0275101 A1号明細書および同第2008/0026026A1号明細書に記載されている。
【0138】
典型的には、より低い分子量PVPは、同じ濃度において、より高い分子量PVPよりも粘性の少ない生成物を与えるであろう。所与の濃度のPVPについては、分子量範囲が増加するにつれて、粘度もまた増加するであろう。本発明は、多数の分子量範囲のどれを有するPVPを用いてもよい。しかし、約15,000〜約3,000,000g/モルの分子量分布のPVPを使用することが好ましい。この分子量分布を有するPVPは、容易に調整することができ、かつ塗装された表面との相互作用の目に見える兆候が全くなしに容易に表面を洗い流し得る粘度のフィルム形成組成物を典型的には与える。好ましい実施形態においては、約15,000〜約3,000,000g/モルの分子量分布のPVPは、約0.25重量%〜約40重量%の濃度で存在する。別の好ましい実施形態においては、約30,000〜約1,200,000g/モルの分子量分布のPVPは、約0.25重量%〜約10重量%の濃度で存在する。
【0139】
高度に有効な消毒剤を含むとして広く認められている1クラスの分子は、有機ペルオキシ酸のそれである。ここ数年研究は、それらの配送の安定なおよび安全な手段を提供することを特に目的として、これらの化合物に向けられてきた。ペルオキシ酸の中で、最も注視の対象であったものは、ペルオキシ酢酸(多くの場合過酢酸またはPAAと言われる)であった。この特定のペルオキシ酸は、純化合物として単離されることはめったになく、普通は水性および非水性媒体の両方中の溶液で遭遇する。ペルオキシ酢酸は、安定剤などの多数のその他の少量成分と一緒に、主として水、酢酸および過酸化水素を含む平衡混合物として多くの場合供給される(国際公開第2006/076334号パンフレット;米国特許第5,508,046号明細書)。しかし、ペルオキシ酢酸の平衡システムでさえ、酢酸および酸素へのペルオキシ酢酸の分解のために本質的に熱力学的に不安定である。このような分解は、特別な手段が講じられる場合に減速される可能性があるが、完全に防止することはできない。それらを使用するまたは貯蔵するのを困難にするペルオキシ酸のさらなる特性は、それら、特に低分子量のおよび高純度のペルオキシ酸が迅速におよび激しく分解することである。この問題を解決するために、ペルオキシ酸は、特定の所望の機能を果たすために多くの場合その場発生させられる。このようなその場発生は、生成するペルオキシ酸の量が出発原料の相対的組成を選択することによって化学量論的に制御され得るという点において利点を有する。さらに、その場システムの非平衡性のために平衡システムから入手可能であるものより高い濃度のペルオキシ酸が達成される可能性がある。
【0140】
必要とされる速度でペルオキシ酸を発生させることがまた必要とされており:余りにも遅い速度は性能の欠如をもたらす可能性がある。本方法は、所望の有効な濃度の過酸を生成するための酵素と酵素基質との組み合わせを提供し、ここで、添加酵素が存在しないと、著しくより低い濃度の過酸が生成する。ある場合には、無機過酸化物と酵素基質との直接化学反応による酵素基質のかなりの化学的過加水分解が存在する可能性があるが、所望の用途における有効な濃度の過酸を提供するのに十分な濃度の過酸は発生しない可能性があり、全過酸濃度の著しい増加は、反応混合物への適切なペルヒドロラーゼ触媒の添加によって達成される。
【0141】
過酸の安定性の固有の欠如に対する一解決策は、過酸を生成する、または形成するために反応する反応成分が必要とされるまで別々に維持されるシステムを提供することである(国際公開第2006/016145号パンフレット)。この問題に対するこのような解決策は、本明細書に記載される方法において熟考される。
【0142】
本発明においてフィルム形成成分は、カルボン酸エステル基質、ペルヒドロラーゼ活性を有する酵素触媒、およびペルオキシゲン源を含む、その他の成分と組み合わせられる。フィルム形成成分と次の成分、カルボン酸エステル基質、酵素触媒、およびペルオキシゲン源の1つ以上とは、抗菌性コーティング組成物を形成するための組み合わせおよび標的表面への塗布の前に、1つの区画に一緒に貯蔵するか、または別個の区画に貯蔵することができる。たとえば、フィルム形成成分は、カルボン酸エステル基質、酵素触媒およびペルオキシゲン源とは別個の区画に貯蔵し、標的表面への塗布の直前に組み合わせることができるか、あるいは、フィルム形成成分は、それらが組み合わせられ、そして標的表面に塗布されるような時間までカルボン酸エステル基質と一緒に、しかし酵素触媒もしくはペルオキシゲン源とは別々に貯蔵することができる。
【0143】
本方法は、炭水化物エステラーゼのCE−7ファミリーからの酵素のペルヒドロラーゼ活性を用いて耐久性のある、連続的なおよび容易に除去可能なフィルム形成組成物における効果ある濃度の過酸のその場酵素的生成を提供する。本明細書において記載されるように、前記酵素(たとえば、サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)から単離されたアミノ酸配列SEQ ID NO:7、サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)から単離されたアミノ酸配列SEQ ID NO:8、または実質的に類似のアミノ酸配列の酵素)をエンコードする遺伝子が現行法における適用のために好適である。上に開示されたように、ペルヒドロラーゼ活性を有する、様々なソースからの、その他の酵素がまた、本明細書において開示される本方法に使用されてもよい。
【0144】
好ましい実施形態においては、無機過酸化物源は過酸化水素である。本発明が無機過酸化水素に限定されることは意図されない。過酸化水素は、酵素触媒および好適な基質を使用して発生させられてもよい。好適な基質で過酸化水素および酸を発生させるあらゆる酵素が本方法において使用される。たとえば、乳酸と酸素とからの公知の過酸化水素プロデューサーである、ラクトバチルス種(Lactobacillus species)からのラクテートペルオキシダーゼが現行法に使用されてもよい。
【0145】
過酸化水素を発生させることができるその他の酵素(たとえば、グルコースオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、エチレングリコールオキシダーゼ、グリセロールオキシダーゼ、アミノ酸オキシダーゼなど)もまた、過酸を発生させるために本方法のペルヒドロラーゼ酵素と組み合わせてエステル基質で使用される。過酸化水素の発生なしに基質から酸を発生させる酵素もまた本発明において使用される。このような酵素の例としては、プロテアーゼが挙げられるが、それらに限定されない。
【0146】
別の態様においては、ペルオキシゲン源はあらゆる過酸化物化合物であってもよく、次のもの:過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム一水和物、過ホウ酸ナトリウム四水和物、ピロリン酸ナトリウムペルオキシハイドレート、ウレアペルオキシハイドレート、過炭酸ナトリウム、過酸化ナトリウムおよびそれらの混合物から選択されてもよいが、それらに限定されない。
【0147】
一実施形態においては、好適な基質としては、次式:
[X]m5
(式中、X=式R6C(O)Oのエステル基であり、
6=ヒドロキシル基またはC1〜C4アルコキシ基で任意選択的に置換された、C1〜C7の直鎖状、分枝状または環式ヒドロカルビル部分であり、ここで、R6は、R6=C2〜C7については1つ以上のエーテル結合を任意選択的に含み;
5=ヒドロキシル基で任意選択的に置換されたC1〜C6の直鎖状、分枝状、または環式ヒドロカルビル部分であり、ここで、R5中の各炭素原子は個別に、1つ以下のヒドロキシル基または1つ以下のエステル基を含み、R5は1つ以上のエーテル結合を任意選択的に含み;
m=1からR5中の炭素原子の数までである)
で与えられるエステルであって、
25℃で少なくとも5ppmの水への溶解度を有するエステルが挙げられる。
【0148】
別の実施形態においては、好適な基質としてはまた、式:R1−COO−R2(式中、R1=ヒドロキシル基またはC1〜C4アルコキシ基で任意選択的に置換された、C1〜C7の直鎖状、分枝状鎖アルキルであり、R2=C1〜C10の直鎖状、分枝状鎖アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリール、−(CH2CH2−O)nHまたは−(CH2CH(CH3)−O)nHであり、n=1〜10である)のエステルが挙げられる。
【0149】
別の実施形態においては、好適な基質としては、式:R1−COO−CH2−CH(OR3)−CH2−OR4(式中、R1=ヒドロキシル基またはC1〜C4アルコキシ基で任意選択的に置換されたC1〜C7の直鎖状または分枝状鎖アルキルであり、R3およびR4は個別にHまたはR1C(O)である)のグリセリドが挙げられる。
【0150】
別の実施形態においては、R6は、ヒドロキシル基またはC1〜C4アルコキシ基で任意選択的に置換された、1つ以上のエーテル結合を任意選択的に含む、C1〜C7の直鎖状ヒドロカルビル部分である。さらなる好ましい実施形態においては、R6は、ヒドロキシル基で任意選択的に置換された、および/または1つ以上のエーテル結合を任意選択的に含む、C2〜C7の直鎖状ヒドロカルビル部分である。
【0151】
別の実施形態においては、好適な基質としてはまた、アセチル化単糖類、二糖類、および多糖類からなる群から選択されるアセチル化糖類が挙げられる。好ましい実施形態においては、アセチル化糖類としては、アセチル化単糖類、二糖類、および多糖類が挙げられる。別の実施形態においては、アセチル化糖類は、アセチル化キシラン、アセチル化キシランの断片、アセチル化キシロース(キシローステトラアセテートなどの)、アセチル化グルコース(グルコースペンタアセテートなどの)、β−D−リボフラノース−1,2,3,5−テトラアセテート、トリ−O−アセチル−D−ガラクタール、およびトリ−O−アセチル−D−グルカール、ならびにアセチル化セルロースからなる群から選択される。好ましい実施形態においては、アセチル化糖類は、β−D−リボフラノース−1,2,3,5−テトラアセテート、トリ−O−アセチル−D−ガラクタール、およびトリ−O−アセチル−D−グルカール、ならびにアセチル化セルロースからなる群から選択される。したがって、アセチル化炭水化物は、本方法(すなわち、ペルオキシゲン源の存在下に)を用いて過カルボン酸を発生させるための好適な基質であり得る。
【0152】
一実施形態においては、基質は、モノアセチン;ジアセチン;トリアセチン;モノプロピオニン;ジプロオピオニン;トリプロピオニン;モノブチリン;ジブチリン;トリブチリン;グルコースペンタアセテート;キシローステトラアセテート;アセチル化キシラン;アセチル化キシラン断片;β−D−リボフラノース−1,2,3,5−テトラアセテート;トリ−O−アセチル−D−ガラクタール;トリ−O−アセチル−グルカール;1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,5−ペンタンジオール、1,6−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールのモノエステルまたはジエステル;ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0153】
好ましい実施形態においては、基質は、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、3−ヒドロキシ酪酸メチル、3−ヒドロキシ酪酸エチル、2−アセチルクエン酸トリエチル、グルコースペンタアセテート、グルコノラクトン、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、モノプロピオニン、ジプロオピオニン(グリセリルジジプロピオネート)、トリプロピオニン(1,2,3−トリプロピオニルグリセロール)、モノブチリン、ジブチリン(グリセリルジブチレート、トリブチリン(1,2,3−トリブチリルグリセロール)などのグリセリド(モノ−、ジ−、およびトリグリセリド)、アセチル化糖類、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0154】
さらに好ましい態様においては、カルボン酸エステル基質は、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、モノプロピオニン、ジプロオピオニン、トリプロピオニ、モノブチリン、ジブチリン、トリブチリン、酢酸エチル、および乳酸エチルからなる群から選択される。さらに別の態様においては、カルボン酸エステル基質は、ジアセチン、トリアセチン、酢酸エチル、および乳酸エチルからなる群から選択される。好ましい態様においては、カルボン酸エステルは、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるグリセリドである。
【0155】
本発明のために有用な不活性溶媒としては、水または少なくとも50重量%の水を含む溶媒が挙げられる。追加の溶媒としては、好ましくは約1〜約6個の炭素原子および1〜約6個のヒドロキシ基を含有する、モノアルコール、一官能性および多官能性アルコールが挙げられる。例としては、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、マンニトールおよびグルコースが挙げられる。高級グリコール、ポリグリコール、ポリオキシド、グリコールエーテルおよびプロピレングリコールエーテルもまた有用である。追加の溶媒としては、遊離の酸ならびに、トルエン、キシレン、クメンおよびフェノールまたはフェノールエーテルもしくはジフェニルエーテルスルホネートなどのスルホン化アルキルアリールのアルカリ金属塩;アルキルおよびジアルキルナフタレンスルホネートならびにアルコキシル化誘導体が挙げられる。
【0156】
本発明のために有用な組成物はまた、1つ以上の界面活性剤を含有してもよい。理論に制約されることなく、界面活性剤はカバーされるべき表面の湿潤化を助け、かつ、フィルムによる一様な被覆を助けるであろう。界面活性剤はまた、除去されたときにフィルムによる泡立ちを助け、それによってフィルムの除去および保護された表面の洗浄を助けると考えられる。好適な界面活性剤は、約9〜約17の好ましい親水性−親油性バランス(HLB)を有する。好適な界面活性剤としては、Tomah Products製のAmphoteric Nなどの、両性界面活性剤;BYK Chemie(BYK−Chemie GmbH,(Wesel,Germany))から入手可能なBYK 348などの、シリコーン界面活性剤;DuPont(Wilmington,DE,USA)製のZonyl(登録商標)FS300などのフッ素化界面活性剤;およびDow(Midland,MI,USA)から入手可能なTriton N−101などの、ノニルフェノキシポリエトキシエタノールベースの界面活性剤が挙げられるが、それらに限定されない。その他の好適な界面活性剤としては、Air Products & Chemicals(Allentown,PA,USA)から入手可能なSurfynol 465などのエトキシル化デシンジオール;Dowから入手可能なTriton CF−10などのアルキルアリールポリエーテル;Dowから入手可能なTriton X−100などのオクチルフェノキシポリエトキシエタノール;Shell(The Hague,the Netherlands)から入手可能なNeodol 23−5またはNeodol 91−8などのエトキシル化アルコール;Dowから入手可能なTergitol 15−S−7;Steol−4N、Stepan Company(Northfield,IL,USA)製の28%ラウレス硫酸ナトリウム;Stepanから入手可能なAmmonyx(登録商標)LOなどのアミノオキシド;BASF(Parsippany,NJ,USA)から入手可能なPluronic(登録商標)17R4などのEO/POブロックコポリマー;Uniqema(New Castle,DE,USA)製のTween 20またはTween 60などのソルビタン誘導体;および塩化ベンザルコニウムなどの、第四級アンモニウム化合物が挙げられる。
【0157】
その他の好適な界面活性剤としては、Setre Chemical Company(Memphis,TN,USA)製のSilwet(登録商標)L−77などのオルガノ−シリコーン界面活性剤;DowCorning Silicones(Midland,MI,USA)製のDowCorning(登録商標)Q2−5211;またはSiltech Corporation(Toronto,ON,Canada)によるSilsurf(登録商標)A008が挙げられる。
【0158】
得られたフィルムが可塑化されることは、保護フィルムの柔軟性および完全性のために重要であり得る。フィルムの可塑化は、ポリエチレングリコールまたはグリセロールなどの好適な可塑剤の組み込みによって本発明の目的のために成し遂げられてきた。本発明のために好適なその他の可塑剤としては、溶媒、ポリオール、200〜800g/モルの平均分子量のポリエチレングリコールおよびソルビトールが挙げられるが、それらに限定されない。グリセロールは微生物によって容易に代謝され、微生物増殖をもたらす可能性があるので、PEGがグリセロールよりも好ましい。
【0159】
可塑剤の包含は一般にまた、わずかに粘着性の表面感触をフィルムに保持させる。可塑剤レベルが増加するにつれて、生じたフィルムはまた増加する程度の粘着性を示すであろう。このような粘着性は、空中粒子および汚物またはその他の材料を捕捉するために低いレベルで望ましいかもしれない。しかし、可塑剤レベルが余りにも高い場合、コーティングは余りにも粘着性になり、たとえば、拭くことによる、偶然の機械的除去に対して低い抵抗を示すであろう。
【0160】
好ましい可塑剤量は、フィルム形成体の重量の約1重量%〜約20重量%、より好ましくは約5重量%〜約10重量%である。
【0161】
本発明のために有用な組成物はまた、粘度を高め、または増粘し、水性処理剤またはコーティング組成物を表面に粘着させるために用いられる1つ以上のレオロジー調整剤を含有してもよい。粘着は、組成物がより長い期間、一時的なおよび常在する微生物と接触したままであり、微生物学的効能を促進し、かつ、過度の液だれによる浪費に抵抗することを可能にする。レオロジー調整剤はフィルム形成体であってもよく、またはフィルム形成剤と協調的に行動して追加の保護を提供する障壁を形成してもよい。有用である水溶性のまたは水分散性のレオロジー調整剤は無機または有機として分類されてもよい。有機増粘剤は天然および合成ポリマーにさらに分けられてもよく、後者は合成天然ベースおよび合成石油ベースものに、その上さらに細かく分けられる。
【0162】
無機増粘剤は一般に、大きい表面対サイズ比の粒子を生み出すために融解されたまたは沈澱させられたコロイド状ケイ酸マグネシウムアルミニウム(VEEGUM(登録商標))、コロイド状粘土(ベントナイト)、またはシリカ(CAB−O−SIL(登録商標))などの化合物である。役立つ天然ヒドロゲル増粘剤は、主として植物由来の滲出液である。たとえば、トラガカンスゴム、カラヤゴム、およびアカシアゴム;ならびにカラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガムおよびペクチンなどの抽出物;または、キサンタンゴムなどの純粋培養発酵生成物はすべて、本発明において有用である可能性がある。化学的には、これらの物質のすべては複合アニオン多糖類の塩である。用途を有する合成天然ベースの増粘剤は、直鎖状アンヒドログルコースポリマー上の遊離ヒドロキシル基が、水に溶解し、そして粘稠な溶液を与える物質の一族を与えるためにエーテル化されたまたはエステル化されたセルロース誘導体である。この群の物質としては、アルキルおよびヒドロキシル−アルキルセルロース、具体的にはメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびカルボキシ−メチルセルロースが挙げられる。別の好ましい群の増粘剤としては、独占所有権のあるAcusol増粘剤(たとえば、Acusol 823,Rohm and Haas,(Philadelphia,PA,USA))などのポリアクリレート、およびCarbopol 934またはCarbopol Aqua−30 Polymer(B F Goodrich,(Cleveland,OH,USA))などの、Carbopol増粘剤が挙げられる。追加の好ましいアクリレートベースのレオロジー調整剤としては、独占所有権のあるカチオン性Rheovis(登録商標)増粘剤(Ciba,(Basel,Switzerland))が挙げられる。ポリアクリレート増粘剤は、フィルム形成体重量の約3重量%以下の濃度で使用されてもよい。増粘剤の混合物がまた用いられてもよく、ここで、総量は、使用される増粘剤および最終製品の所望の粘度に依存して約3重量%以下であってもよい。
【0163】
本出願のためのその他の潜在的な増粘剤としては、デキストリン、コーンスターチおよび、商品名Laponite XLG(Southern Clay Products,Inc.,(Gonzales,TX,USA))で販売されるケイ酸ナトリウムマグネシウムなどの、水和ケイ酸マグネシウムが挙げられる。
【0164】
その場発生ペルオキシ酸に加えて、1つ以上の追加の抗菌剤が本組成物中に存在してもよい。本発明のために有用な抗菌剤は、無機試剤か有機試剤かのどちらか、またはそれらの混合物であってもよい。
【0165】
本明細書において使用される用語「無機抗菌剤」は、抗菌特性を有する銀、亜鉛、銅などの、金属または金属イオンを含有する無機化合物に対する一般用語である。
【0166】
本発明は、あらゆる特定の抗菌剤の選択に限定されず、抗菌剤が組成物中のその他の成分と化学的に相溶性であるという条件で、抗菌剤、防かび剤、防腐剤、消毒剤、殺菌剤、殺菌薬、殺藻剤、防汚剤、保存料、および前述の組み合わせなどの、あらゆる公知の水溶性もしくは水分散性の抗菌剤が本発明の組成物中に含められてもよい。好適なクラスの抗菌剤は以下に記載される。
【0167】
有用な抗菌剤の例としては、クロルヘキシジン、クロルヘキシジングルコネート、グルタラール、ハラゾン、ヘキサクロロフェン、ニトロフラゾン、ニトロメルゾール、チメロソル、C1〜C5パラベン、次亜塩素酸塩、クロフカルバン、クロロフェン、フェノール類、マフェナイドアセテート、アミナクリン塩酸塩、第四級アンモニウム塩、塩素および臭素放出化合物(たとえば、アルカリおよびアルカリ土類次亜塩素酸塩および次亜臭素酸塩、イソシアヌレート;ヒダントイン、スルファミド、アミンの塩素化誘導体など)、過酸化物およびペルオキシ酸化合物(たとえば、過酢酸、過オクタン酸)、プロトン化短鎖カルボン酸、オキシクロロセン、メタブロムサラン、メルブロミン、ジブロムサラン、グリセリルラウレート、ナトリウムおよび/または亜鉛ピリチオン、リン酸三ナトリウム、(ドデシル)(ジエチレンジアミン)グリシンおよび/または(ドデシル)(アミノプロピル)グリシンなどが挙げられる。有用な第四級アンモニウム塩としては、ハロゲン化物、たとえば、塩化物、臭化物およびヨウ化物;サルフェート、メトサルフェートなどの水可溶化アニオンを含むN−C10〜C24アルキル−N−ベンジル−第四級アンモニウム塩ならびにイミダゾリウム塩などの複素環イミドが挙げられる。第四級アンモニウム塩はまた、プロピオネートおよびサッカリネートなどのその他の非ハロゲン化アニオンを含んでもよい。有用なフェノール殺菌剤としては、フェノール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、o−フェニル−フェノール、4−クロロ−m−クレゾール、クロロキシレノール、6−n−アミル−m−クレゾール、レゾルシノール、レゾルシノールモノアセテート、p−第三ブチルフェノールおよびo−ベンジル−p−クロロフェノールが挙げられる。うどん粉菌コロニーの目に見える増殖を防ぐのに有効であることが知られる有用な抗菌剤としては、たとえば、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、ジヨードメチル−p−トリルスルホン、テトラクロロイソフタロニトリル、2−ピリジンチオール−1−オキシドの亜鉛錯体(それの塩を含む)ならびに前述の組み合わせが挙げられる。抗菌剤を含むコーティング組成物は、種々の微生物からの保護を提供する。
【0168】
一実施形態においては、本コーティング組成物は、グラム陽性菌またはグラム陰性菌から保護する。本コーティングによって抑止されるまたは殺されるグラム陽性菌としては、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、C.パーフリンゲンス(C.perfringens)、C.ボツリナム(C.botulinum)、その他のクロストリジウム種(Clostridium species)、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、ウシ型結核菌(M.bovis)、マイコバクテリウム・ティフィムリウム(M.typhimurium)、ウシ型結核菌株BCG(M.bovis strain BCG)、BCG亜株(BCG substrains)、トリ型結核菌(M.avium)、M.イントラセルラーレ(M.intracellulare)、M.アフリカナム(M.africanum)、M.カンサシ(M.kansasii)、M.マリヌム(M.marinum)、M.ウルセランス(M.ulcerans)、トリ型結核菌亜種パラ結核菌(M.avium subspecies paratuberculosis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)、S.エクイ(S.equi)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクチアエ(S.agalactiae)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、L.イバノビイ(L.ivanovii)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、枯草菌(B.subtilis)、ノカルディア・アステロイデス(Nocardia asteroides)、およびその他のノカルディア種(Nocardia species)、ビリダンス型連鎖球菌群(Streptococcus viridans group)、ペプトコッカス種(Peptococcus species)、ペプトストレプトコッカス種(Peptostreptococcus species)、イスラエル放線菌(Actinomyces israelii)およびその他のアクチノミセス種(Actinomyces species)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、ならびにエンテロコッカス種(Enterococcus species)が挙げられるが、それらに限定されない。本コーティングによって抑止されるまたは殺されるグラム陰性菌としては、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、その他のシュードモナス種(Pseudomonas species)、カンピロバクター種(Campylobacter species)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、エールリヒア種(Ehrlichia species)、アクチノバチルス・プルロニューモニエ(Actinobacillus pleuropneumoniae)、パスツレラ・ヘモリチカ(Pasteurella haemolytica)、P.ムルトシダ(P.multocida)、その他のパスツレラ種(Pasteurella species)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、その他のレジオネラ種(Legionella species)、チフス菌(Salmonella typhi)、その他のサルモネラ種(Salmonella species)、シゲラ種(Shigella species)、ウシ流産菌(Brucella abortus)、その他のブルセラ種(Brucella species)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、C.シッタシ(C.psittaci)、コクシエラ・バーネッティイ(Coxiella burnetti)、ナイセリア・メニンギティディス(Neiserria meningitidis)、淋菌(N.gonorrhea)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、デュクレー菌(H.ducreyi)、その他のヘモフィルス種(Haemophilus species)、ペスト菌(Yersinia pestis)、エルシニア・エンテロリチカ(Y.enterolitica)、その他のエルシニア種(Yersinia species)、大腸菌(Escherichia coli)、エシェリキア・ヒラエ(E.hirae)およびその他のエシェリキア種(Escherichia species)、ならびにその他のエントロバクレイアカエ(Enterobacteriacae)、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、類鼻疽菌(B.pseudomallei)、野兎病菌(Francisella tularensis)、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)、フゾバクテリウム・ヌクレアーツム(Fusobacterium nucleatum)、プロベッテラ種(Provetella species)、コウドリア・ルミナンチウム(Cowdria ruminantium)、クレブシエラ種(Klebsiella species)、ならびにプロテウス種(Proteus species)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0169】
別の実施形態においては、本コーティングは、アルテルナリア・アルタナータ(Alternaria alternata)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、オーレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides)、ドレクスレラ・アオストラリエンシス(Drechslera australiensis)、グリオマスチックス・セレアリス(Gliomastix cerealis)、モニリア・グリセア(Monilia grisea)、ペニシリウム・コンミュネ(Penicillium commune)、フォーマ・フィメチ(Phoma fimeti)、ピトマイセス・チャータラム(Pithomyces chartarum)、およびスコレコバシディウム・フミコラ(Scolecobasidium humicola)を含むが、それらに限定されない真菌類からの保護を提供する。
【0170】
痕跡量の不純物、とりわけ金属は、過酸化水素およびペルオキシ酸と反応し、分解を引き起こす可能性がある。それ故、多くの過酸化物/ペルオキシ酸組成物は、金属および金属含有不純物材料を封鎖する化合物などの、安定化原料を含む。好ましいキレート剤の例としては、それらの幾つかが名称Dequest(登録商標)(Thermphos,Vissingen, the Netherlands)でマークされる、アルキリデンアミノホスホン酸またはそれらの塩、それらの幾つかが名称Turpinal(登録商標)(Thermphos)でマークされる、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸およびそれの塩、ならびにBayhibit(登録商標)でLANXESS Corporation(Pittsburgh,PA,USA)から入手可能な、2−ホスホノ−1,2,4−ブタントリカルボン酸およびそれの塩が挙げられるが、それらに限定されない。使用するために好適なさらなるクラスの化合物は、アミノカルボン酸またはそれらの塩である。例は、エチレンジアミン四酢酸である。
【0171】
さらに、その他の好適なキレート剤としては、ジピコリン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸およびエチリデン−1,1−ジホスホン酸が挙げられる。さらに、リン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、および、クエン酸またはサリチル酸などの、カルボン酸もまたキレート剤として当該技術分野においてよく知られている。安定剤は、過酸化物/ペルオキシ酸の分解を抑止するのに十分な量で存在するべきである。
【0172】
本発明は、着色剤または染料を任意選択的に含むことができる。本発明のために有用な着色剤としては、染料および食品グレード顔料などの顔料が挙げられる。
【0173】
本発明のために有用な染料としては、水溶性染料および水不溶性染料の両方が挙げられる。水溶性染料は、本発明の水性系に容易に調合することができる。水不溶性染料は、本発明のために有用な抗菌性コーティング組成物中に分散されてもまたは懸濁されてもよい油相中に含められてもよい。本発明の目的のための有用な染料は典型的には、可視光を吸収し、検出できる色の出現をもたらす有機化合物である。蛍光染料がまた、たとえば、紫外光によってフィルムを見えるようにするために使用されてもよい。
【0174】
本発明において典型的に有用な染料は、食品、医薬品、化粧品および医療装置における使用を認可されている着色剤である。現在使用中の着色剤およびそれらの状況は次の通りである:(1)認証の対象である食品において許可される着色剤:FD&C Blue No.1、FD&C Blue No.2、FD&C Green No.3、FD&C Red No.3、FD&C Red No.40、FD&C Yellow No.5、FD&C Yellow No.6、Citrus Red No.2、およびOrange(B);(2)認証を免除される食品において許可される着色剤:アナトー抽出物、シータ−アポ−8’−カロテナール、カンタキサンチン、カラメル、シータ−カロテン、ニンジン油、コチニール抽出物(カルミン)、トウモロコシ胚乳油、脱水ビート(ビート粉末)、乾燥藻類ミール、グルコン酸第一鉄、フルーツジュース、ブドウ色抽出物、ブドウ皮抽出物、パプリカ、パプリカ・オレオレジン、リボフラビン、サフラン、合成酸化鉄、マンジュギク・ミールおよび抽出物、二酸化チタン、焼いた部分脱脂調理済み綿実粉、ターメリック、ターメリック・オレオレジン、ウルトラマリン・ブルー、および野菜ジュース。(1)認証の対象である医薬品において許可される着色剤(食品において許可される着色剤を含む):FD&C Red No.4、D&C Blue No.4、D&C Blue No.9、D&C Green No.5、D&C Green No.6、D&C Green No.8、D&C Orange No.4、D&C Orange No.5、D&C Orange No.10、D&C Orange No.11、D&C Red No.6、D&C Red No.7、D&C Red No.17、D&C Red No.21、D&C Red No.22、D&C Red No.27、D&C Red No.28、D&C Red No.30、D&C Red No.31、D&C Red No.33、D&C Red No.34、D&C Red No.36、D&C Red No.39、D&C Violet No.2、D&C Yellow No.7、D&C Yellow No.8、D&C Yellow No.10、D&C Yellow No.11、およびExt.D&C Yellow No.7。さらに、カンタキサンチン、ベータカロテン、クロロフィリン、およびその他の着色剤も公知である。認可された着色剤に関するより詳細な列挙および/または考察については、D.M.Marmion,Handbook of U.S.Colorants,Foods,Drugs,Cosmetics and Medical Devices,John Wiley & Sons Inc.,New York(1991)およびU.S.Code of Federal Regulations,Title 21,parts 70−82を参照されたい。
【0175】
本発明は、架橋剤を任意選択的に含んでもよい。フィルム形成組成物で架橋剤を使用することの利点としては、粘着性および機械的強度などの、機械的フィルム特性、ならびにコーティングの溶解性に影響を及ぼすことが挙げられる。さらに、架橋は、粘着性を低下させ、汚物および微生物がポリマーフィルムに物理的に付着するのを防ぎ、それは、ある種の用途にとって望ましい可能性がある。架橋度は、特性の望ましい組み合わせを達成するように調整される。
【0176】
ポリビニルアルコールおよびそれのコポリマーで使用するために好適な架橋剤としては、アルデヒド(たとえば、ホルムアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド)、ホウ酸、四ホウ酸ナトリウム、金属イオン(たとえば、Zn、Fe、Al、Ni、V、Co、Cu、Zr、Ti、Mnのイオン)、有機金属化合物(たとえば、DuPont Tyzor(登録商標)などの有機チタネート、DuPont Quilon(登録商標)などの有機Cr(III)錯体)、シロキサン(たとえば、テトラエトキシシラン、ポリジメチルシロキサン)、イソシアネート(たとえば、ブロックされた、水溶性もしくは分散型の)、エポキシド(たとえば、ジグリシジルエーテル)、ジカルボン酸(たとえば、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸)、ウレアベースの架橋剤(たとえば、Sunrez 700)が挙げられるが、それらに限定されない。Biおよび三価金属カチオン(たとえば、Fe(II)、Fe(III)、Al(III))は、それらがフィルム乾燥時にPVOHポリマー鎖との間で配位結合の形成を提供するので好ましい。これは、架橋剤が「ワン−ポット」混合物においてフィルム形成液体に加えられることを可能にする。微粒子レオロジー調整剤などのその他の原料を沈澱させることなくポリマーを効率的に架橋するために、適切な濃度を選択するよう注意しなければならない。
【0177】
ほとんどの場合に架橋剤は、標準的な混合技法を用いてその他の原料と混合されるであろう。架橋反応は、当業者によく知られているように、触媒の存在下に任意選択的に実施されてもよい。アルデヒド、イソシアネート、シロキサン、ジグリシジルエーテル、およびジカルボン酸の場合には、熱および酸触媒または金属触媒がさらに使用されてもよい。
【0178】
調合物中の架橋剤濃度は、ゼロから、沈澱が起こり始める調合物の安定性限界か、生じたフィルムを効率的に除去することができないかのどちらかによって決定される上限までであってもよい。
【0179】
好ましい架橋剤濃度は、使用される架橋剤のタイプに強く依存する可能性があり、典型的にはポリマー含量の25重量%より下、より好ましくはポリマー含量の10重量%より下である。
【0180】
前述の成分に加えて、本発明の組成物はまた、「性能エンハンサー」としても知られる1つ以上の性能向上添加剤を含んでもよい。これらとしては、材料および地金と接触すると錆が形成するのを防ぐために水性系で使用される多数の有機または無機物質のいずれかを含む、フラッシュ錆防止剤が挙げられる。2つの例は、安息香酸ナトリウムまたはベンゾトリアゾールである。
【0181】
別の任意選択の性能向上添加剤としては、塗布中に生成物の望ましくない発泡を防ぐために、水性系のために推奨される数多くの消泡剤の1つ以上が挙げられる。余りにも多くの泡は、生成物の必要とされる連続フィルム形成を妨げ、そして生成物破損をもたらす可能性がある。マスキング組成物の混合および処理を助けるために、Ashland Chemical,Inc.Drew Industrial Division(Covington,KY,USA)製のDrewplus L475などの、泡制御製品を添加することもまた有利である可能性がある。追加の任意選択の性能向上添加剤は、コーティング調合物の貯蔵寿命を延ばすための酸化防止剤である。一例はブチル化ヒドロキシトルエンである。さらなる追加の添加剤としては、香料が挙げられる。
【0182】
発泡剤が、塗布されたコーティング中に気泡を生み出すためにさらに添加されてもよい。気泡は、塗布を容易にするためのおよび/または、たとえば、傾いた表面からの液だれを防ぐことによって表面とのより長い接触時間を可能にするためのおよび/またはある一定の表面積または容量を処理するために要するコーティング調合物の量を減らすための乳白剤として機能し得る。
【0183】
アプリケーションインジケータもまた添加されてもよい。これらの幾つかは上に記載されているが、顔料、染料、蛍光染料、pH指示薬または塗布中に発生した気泡を含む。
【0184】
少量(典型的には1重量パーセント未満)のこれらの追加の材料が、水またはその他の成分の適切な調整で添加されてもよい。前述の任意選択の成分の任意の1つ以上の混合物もまた用いられてもよいことが理解されるべきである。
【0185】
繊維状基材からなる場所のためには、任意選択の性能向上原料は、表面効果を提供する試剤である。このような表面効果としては、ノーアイロン、アイロン掛けが容易、収縮制御、しわが寄らない、パーマネントプレス、湿度制御、柔らかさ、強度、スリップ防止、帯電防止、ほつれ防止、抗ピル性、撥染み性、染み放出、撥汚物性、汚物放出、撥水性、撥油性、臭気制御、抗菌性、または日焼け防止が挙げられる。
【0186】
フィルムまたはコーティングは、流し込みを含む、あらゆる手段によって標的表面または場所に塗布されてもよい。フィルムまたはコーティングは、連続のおよび/または均一の層を標的表面上に達成するために塗布される。ブラシ、ローラー、ペイントパッド、マット、スポンジ、櫛、手動式ポンプディスペンサー、圧縮空気操作スプレーガン、エアレススプレーガン、電気または静電気噴霧器、バックパックスプレー塗布装置、エアゾールスプレー缶、クロス、紙、羽毛、スタイラス、ナイフ、およびその他の塗布機ツールなどの、しかしそれらに限定されない、ペイントおよびコーティングのために日常的に用いられるコーティングシステムがコーティングのために用いられてもよい。ディッピングがコーティングを塗布するための方法として用いられる場合、特別な装置は全く必要とされない。エアゾールスプレー缶が塗布のために用いられる場合、コーティング組成物は、エアゾール噴射剤(圧縮ガスなどの)と混合してもよく、またはコーティング組成物は、缶内部のポリマーバッグなどの障壁材料によって噴射剤から物理的に分離してもよく;コーティング組成物と噴射剤とが混合される場合、この混合物は1つ以上の液相を構成してもよい。
【0187】
織物およびカーペットなどの、繊維状基材のためには、本コーティングは、吸尽、泡、フレックス−ニップ、ニップ、パッド、キス−ロール、ベック、かせ、ウインチ、液体注入、オーバーフロー冠水、ロール、ブラシ、ローラー、スプレー、ディッピング、浸漬などによって塗布されてもよい。本コーティングはまた、従来のベック染色手順、連続染色手順またはスレッド−ライン塗布を用いて塗布されてもよい。
【0188】
本開示の一実施形態においては、静電噴霧器を、表面をコートするために用いることができる。静電噴霧器は、高電位によってエネルギーを水性コーティング組成物に与える。このエネルギーは、水性コーティング組成物を霧化し、帯電させる働きをし、細かい帯電した粒子のスプレーを生み出す。静電噴霧器は、Tae In Tech Co.,(South Korea)およびSpectrum,(Houston,TX,USA)などの供給業者から容易に入手可能である。
【0189】
本発明の別の実施形態においては、エアレススプレーガンが、標的表面に塗布するために用いられてもよい。エアレススプレーガンは、圧縮空気よりもむしろ、高い流体圧力および独特のノズルを用いて液体を搬送し、霧化する。液体は、典型的には3.5〜45MPaの範囲の圧力で流体ポンプによってエアレスガンに供給される。ペイントがこの圧力で流体ノズルを出るとき、それはわずかに膨張し、霧化空気の衝突なしにとても小さい小滴へと霧化される。出ていくペイントの高速は、小滴を標的表面に向かって推進させる。エアレスガンの流体ノズルは、空気霧化ガンの流体ノズルとは大いに異なる。適切なノズルの選択が、どれだけ多くのペイントが送出されるかおよび塗布のファンパターンを決定する。エアレスノズルオリフィスのサイズは、スプレーされるペイントの量を決定する。エアレス流体送出量は高く、700〜2000mL/分の範囲である。推奨されるガン距離は標的から約30cmであり、ノズルタイプに依存し、10〜45cmのファンパターンが可能である。このように、ノズルは、標的表面のサイズおよび形状と塗布されるべきコーティングの厚さとに基づいて各塗布について選択されてもよい。エアレスガンは、食品加工装置、孵化場などに見いだされるであろうなどの、「到達し難いエリア」から液体を排斥し得る乱気流をほとんど生み出さない。この高い流量は、抗菌性コーティングが大きい表面積および多重表面の全域に塗布されるべきである、浄化および消毒状況でエアレスを有利にする。
【0190】
塗布され、乾燥されたフィルムの厚さは、様々な因子に依存するであろう。これらの因子としては、フィルム形成剤の濃度、レオロジー調整添加剤および/またはその他の添加剤の濃度、ならびに塗布温度および湿度が挙げられる。フィルム厚さおよびフィルム一様性はまた、流体送出、スプレーオリフィス直径、空気圧またはエアレス塗布の場合にはピストンポンプ圧、およびスプレー塗布機から標的表面までの距離などの、塗布装置のパラメータに、少なくともある程度、依存する。それ故、液体調合物は、所望のフィルム厚さを生成するために調節されてもよい。コーティング液の霧化は、薄膜が標的エリアに均一に塗布されるように選択される。
【0191】
標的表面(場所)としては、消毒剤または殺菌剤を(到達し難い表面など)に塗布することが典型的には困難な表面を含む、微生物で潜在的に汚染される可能性があるすべての表面が挙げられる。標的表面の例としては、食品もしくは飲料業界に見いだされる装置表面(タンク、コンベヤ、床、ドレイン、クーラー、フリーザー、冷蔵庫、装置表面、天井、壁、バルブ、ベルト、パイプ、ドレイン、配管、ジョイント、クレバス、それらの組み合わせなど);建設中の建物、新築住宅建築物を含む、建物表面、および別荘表面(天井、壁、木枠、床、窓、配管などの)のような季節資産中または上の表面、台所(流し、ドレイン、カウンター−トップ、冷蔵庫、まな板)、浴室(シャワー、トイレ、ドレイン、パイプ、配管、バスタブ)、(とりわけカビ除去のための)、テラス、木材、羽目板およびその他の住居外装、アスファルト板ぶき、パティオまたはストーンエリア(とりわけ藻類処理のための);ボートおよびボート遊び装置表面;生ごみ処理機、ごみ缶および大型ごみ容器またはその他のごみ除去装置および表面;非食品工業関連パイプおよびドレイン;病院にある表面;または外科、外来または獣医科の診療が行われる場所(天井、壁、床、配管、ベッド、装置;手術着、シューズを含む、病院/獣医院またはその他の医療の場で着用された衣類、およびその他の病院または獣医院表面などの)の表面、第一対応者またはその他の緊急医療サービス装置および衣類;材木工場装置、表面および木製品;レストラン表面;スーパーマーケット、食料品店、小売店およびコンビニエンスストア装置および表面;デリ設備および表面ならびに食品調理表面;醸造所および製パン所表面;流し、シャワー、カウンター、およびトイレなどの浴室表面;クロスおよびシューズ;玩具;学校および体育館の設備、天井、壁、床、窓、配管およびその他の表面;流し、カウンター、電化製品などの台所表面;木製テラスまたは複合材テラス、プール、温水浴槽および温泉表面;カーペット;紙;皮革;動物の死骸、毛皮および獣皮;納屋、または、家禽、畜牛、乳牛、山羊、馬および豚などの、家畜用の家畜小屋の表面;ならびに家禽用またはエビ用の孵化場が挙げられる。たとえば檻および畜舎などの、動物が収容される構造物内の表面は、本明細書において記載される抗菌性コーティングを使用してコートすることができる。追加の表面としては、牛肉、鶏肉、豚肉、野菜、果物、シーフード、それらの組み合わせなどの、食品がまた挙げられる。
【0192】
本発明において使用するために好適な追加の場所は繊維状表面基材を含み、繊維、糸、布、織物、不織布、カーペット、皮革、または紙を含む。繊維状基材は、羊毛、綿、ジュート、サイザルアサ、海草、紙、コイアおよびセルロース、もしくはそれらの混合物などの天然繊維で製造されるか;またはポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアラミド、アクリルおよびそれらのブレンドなどの合成繊維;もしくは少なくとも1つの天然繊維と少なくとも1つの合成繊維とのブレンドで製造される。「布」とは、綿、レーヨン、絹、羊毛、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ナイロン、ならびに「NOMEX(登録商標)」および「KEVLAR(登録商標)」などのアラミドなどの繊維からなる、天然もしくは合成布、またはそれらのブレンドを意味する。「布ブレンド」とは、2つ以上のタイプの繊維でできた布を意味する。典型的にはこれらのブレンドは、少なくとも1つの天然繊維と少なくとも1つの合成繊維との組み合わせであるが、同様に2つ以上の天然繊維のブレンドまたは2つ以上の合成繊維のブレンドであってもよい。不織基材としては、たとえば、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE,USA)から入手可能なSONTARAなどの、スパンレース不織布、およびスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布などの、積層不織布が挙げられる。
【0193】
表面材料の例は、金属(たとえば、スチール、ステンレススチール、クロム、チタン、鉄、銅、真ちゅう、アルミニウム、およびそれらの合金)、鉱物(たとえば、コンクリート)、天然または合成のポリマーおよびプラスチック(たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリ(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン)、ポリ(アクリロニトリル、ブタジエン)、アクリロニトリルブタジエンなどの、ポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;およびナイロンなどのポリアミド)である。追加の表面としては、煉瓦、タイル、セラミック、磁器、ガラス、木材、ビニル、およびリノリウムが挙げられる。
【0194】
一時的コーティングで保護される装置または表面は、保護される間、使用中であってもまたは使用中でなくてもよい。標的表面は、疎水性または親水性であってもよい。
【0195】
本コーティングシステムはまた1つ以上の成分であってもよいし、触媒を含んでもよい。一般に、本コーティングは、フィルムを形成するために約5分超、固定または乾燥させられる。しかし、本コーティングは、30秒後などの、より短い時間枠で抗菌的に有効であることができる。本コーティングは、所望の使用に依存してそれが乾燥される前にまたはその後いつでも除去されてもよい。乾燥時間は、湿度および温度などの環境条件を含む、多数の因子に部分的に依存するであろう。乾燥時間はまた、塗布されたコーティングの厚さに依存するであろう。
【0196】
標的表面上へ塗布されたフィルムまたはコーティングの厚さは、除去のために要する時間および表面に塗布された単位面積当たりの殺生物剤の量に影響を及ぼす。より厚いフィルムは、フィルムが所望の抗菌特性を維持するために再塗布されなければならないまでの時間間隔を大きくする。より薄いフィルムは、リンスすることによって除去するのがより容易で、より速いであろう。したがって、コーティングの容易な除去および長続きする抗菌特性の両方を可能にするフィルム厚さをもたらすやり方で調合物を塗布することが重要である。上に記載されたように、フィルムまたはコーティングは、約0.3〜約300マイクロメートルの厚さを有する。より特異的な実施形態においては、フィルムまたはコーティングは、約0.5〜約100マイクロメートルの厚さを有する。さらにより特異的な実施形態においては、フィルムまたはコーティングは、約1.0〜約30マイクロメートルの厚さを有する。
【0197】
本発明は、ユーザーによって適切であると決定される時間に除去することができるフィルムを指向する。本コーティングは容易に除去され、水性溶媒または溶液で表面をリンスすることによって除去され得る。除去の時は、(i)出発個体群から殺されるまたは不活性化される微生物の量として典型的には表される、所望の抗菌活性を可能にするための所望の最小接触時間か(ii)その後の操作または処理工程を開始する前にコーティングを表面から取り除く必要性または願望かのどちらかによって決定されてもよい。コーティングは、乾燥後などの、いつでも除去されてもよいが、フィルム厚さ、抗菌剤の濃度、および具体的な用途が除去に適切な時を決定する。たとえばユーザーは、処理された装置をある期間の運転シャットダウン後に平常運転に戻したいと願うかもしれない。たとえば、果実は食べる前に洗浄することを要するであろう。フィルム中の殺生物剤が使い果たされると、フィルムを取り除くことができ、新鮮なコーティング層を塗布することができよう。たとえば、ドレインは、毎日、週1回または隔週になど定期的に処理されてもよい。抗菌活性は、フィルムの塗布後の30秒、数時間、数日、数週、数ヶ月、さらに数年後ほど早期に測定されてもよい。それ故、コーティングの除去の適時選択は、コーティングが用いられる用途の関数である。
【0198】
フィルム除去は、生じたコーティングの溶解または分散によって達成されてもよい。これは、コーティング上への水性溶液の適用によって達成されてもよい。一実施形態においては、この溶液の温度は約15℃〜約100℃の範囲にある。別の実施形態においては、この溶液の温度は約30〜約80℃である。溶液、または水の適用は、簡単なリンスまたは表面上へのスプレーによって達成されてもよい。コーティング除去はまた、追加の機械力によって除去を容易にする、圧力洗浄機を用いて達成されてもよい。コーティング除去はまた、クロスまたはスポンジと一緒に水で洗浄することによって達成されてもよい。さらに、一般に使用される酸もしくは塩基、キレート剤または洗剤を含む、穏和な添加剤が、フィルム形成剤または水分散性試剤を可溶化するまたは分散させるのを助けるために利用されてもまたは水性溶液と混合されてもよい。あるいは、フィルムは、ドレインにおいてなど、ドレイン下流への水および/またはその他の成分の繰り返し洗浄によって、分解されてもよい。フィルムはまた、それを表面から剥がす、表面からすり減らすもしくはブラシにかけて落とす、または除去のその他の機械的メカニズムによって除去されてもよい。
【0199】
オペレータによる意図的な除去に加えて、除去としてはまた、自動またはロボットシステムによる除去と、たとえば、パイプまたはドレインにおいて、時間をかけてコーティングと連続的にもしくは定期的に接触する液体による、または摩耗などの、機械力の連続的なもしくは定期的な印加による非意図的な除去とが挙げられる。
【0200】
接触時間は、コーティングまたはコーティング組成物が、前記コーティングまたはコーティング組成物と接触するまたはその近くに来る微生物への抗菌特性を提供する時間を意味する。抗菌性調合物の具体的な要件に依存して、接触時間は、消毒剤の殺菌作用および洗剤殺菌作用、公認分析化学者協会の公定法、パラグラフ960.09および適用可能なセクション、第15版、1990年(EPAガイドライン91−2)(Germicidal and Detergent Sanitizing Action of Disinfectants,Official Methods of Analysis of the Association of Official Analytical Chemists,paragraph 960.09 and applicable sections,15th Edition,1990(EPA Guideline 91−2))に示されているように、変わるであろう。たとえば、本開示の意図される用途が食品接触表面のための殺菌剤としての使用である場合、本組成物は、幾つかの試験微生物に対して室温で30秒以内に99.999%減少(5−log次数減少)を提供すべきである。意図される用途が非食品接触表面のための殺菌剤としてである場合、本組成物は、幾つかの試験微生物に対して室温で5分以内に99.9%減少(3−log次数減少)を提供すべきである。この意図が本開示を消毒剤として使用することである場合、本組成物は10分以内に99.9%減少(3−log次数減少)を提供すべきである。意図される用途が残留抗菌活性を提供することである場合、本方法は、微生物との10分超の接触時間を有することが許されるであろう。
【0201】
本発明のコーティングは、物理的障壁を提供する。本明細書では、物理的障壁は、本フィルム形成組成物から形成されたフィルムと定義される。生じたフィルムは、汚物、脂肪、ダスト、微生物などの、周囲のものによる汚染から処理表面を密封する。これらの汚染はコーティングの表面上にとどまり、コーティングの除去の時に洗い流されるであろう。
【0202】
本明細書において開示され、特許請求される方法および組成物のすべては、本開示に照らして過度の実験なしに製造し、実行することができる。本開示の方法および組成物は本発明の様々な態様および好ましい実施形態の観点から記載されてきたが、変形が、本発明の概念、精神、および範囲から逸脱することなく組成物および方法に、および本明細書において記載される方法の工程においてまたは一連の工程において適用されてもよいことは当業者に明らかであろう。より具体的には、化学的に関連する、ある種の試剤が、同じまたは類似の結果が達成されながら本明細書において記載される試剤の代わりに使用されてもよいことは明らかであろう。当業者に明らかなすべてのこのような類似の代用品および修正品は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の精神、範囲、および概念内にあると考えられる。
【0203】
(実施例)
本発明は、以下の実施例においてさらに明確にされる。これらの実施例は、本発明のある種の好ましい実施形態を示すが、例示のためだけに示されることが理解されるべきである。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的特性を解明することができ、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明を様々な用途および条件に適応させるために本発明の様々な変更および修正を行うことができる。
【0204】
実施例において使用される省略形
次の省略形が実施例において使用される:「ATCC」はAmerican Type Culture Collectionを意味し、「℃」は度摂氏を意味し、「CFU」はコロニー形成単位を意味し、「FBS」はウシ胎仔血清を意味し、「L」はリットルを意味し、「log CFU」はCFU数の常用対数を意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「CFU/mL」は1ミリリットル当たりのCFUを意味し、「NFC」は非食品接触殺菌剤試験を意味し、「Pa*s」はパスカル秒を意味し、「PAA」は過酢酸を意味し「PEG」はポリエチレングリコールを意味し、「ppm」は百万当たりの部を意味し、以下の実施例においてはmg/L(1リットル当たりのミリグラム)を意味し、「RPM」は1分当たりの回転数を意味し、「RSS」は残留自己殺菌活性を意味し;「SS316」はステンレススチール、タイプ316(ASTM標準)を意味し;「TAED」はテトラアセチルエチレンジアミンを意味し、「wt%」は重量パーセントを意味し、「mm」はミリメートルを意味し、「cm」はセンチメートルを意味し、「g」はグラムを意味し、「DI water」は脱イオン水を意味し、「min」は分を意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「%」はパーセントを意味し、「sec」は秒を意味し、「mL/min」は1分当たりのミリリットルを意味し、「MPa」はメガパスカルを意味し、「g/mol」は1モル当たりのグラムを意味し、そして「mol%」はモルパーセントを意味する。
【0205】
化学薬品
すべての化学薬品は、特に明記しない限りSigma−Aldrich(St.Louis,MO,USA)から入手した。Elvanol(登録商標)51−04(部分加水分解グレードポリビニルアルコール、88%グレード)はDuPont(Wilmington,DE,USA)製であった。ポリエチレングリコール(PEG−300)はDow(Midland,MI,USA)製であった。BTC(登録商標)885、Onyxide(登録商標)3300およびBiosoft(登録商標)N25−7はStepan(Northfield,IL,USA)製であった。Rheovis(登録商標)FRCはCiba(Basel,Switzerland)から入手し、TAED B675はWarwick International Ltd(Flintshire,U.K.)製であり、Provox(登録商標)CはOCI Chemical Corp.(Decatur,AL,USA)製であった。Glucopon(登録商標)215 UPはCognis Corporation(Cincinnati,OH)から入手した。PC 5450 NFはPerformance Chemicals,LLC(Concord,NH)製であった。BactoTM D/E中和ブロスはDifco(Cat.No.281910,DifcoTM Laboratories,Detroit,MI,USA)製であった。
【0206】
一般的な方法
微生物の組み換え技術および増殖
本実施例において用いられる標準組み換えDNAおよび分子クローニング技術は、当該技術分野においてよく知られており、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.,分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989によって、T.J.Silhavy,M.L.Bennan,and L.W.Enquist,遺伝子融合を使った実験(Experiments with Gene Fusions),Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.,1984によって、and Ausubel,F.M.ら,分子生物学における現行プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology),Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscience,N.Y.,1987によって記載されている。
【0207】
細菌培養の維持および増殖のために好適な材料および方法はまた、当該技術分野においてよく知られている。以下の実施例において用いるために好適な技術は、一般細菌学のための方法のマニュアル(Manual of Methods for General Bacteriology),Phillipp Gerhardt,R.G.E.Murray,Ralph N.Costilow,Eugene W.Nester,Willis A.Wood,Noel R.Krieg and G.Briggs Phillips,eds,American Society for Microbiology,Washington,DC,USA,1994において、またはThomas D. Brockによるバイオテクノロジー:工業的微生物学の教科書(Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology),Second Edition,Sinauer Associates,Inc.,Sunderland,MA,USA,1989に見いだすことができる。
【0208】
細菌細胞の増殖および維持のために使用されるすべての試薬、制限酵素および材料は、特に明記しない限り、Aldrich Chemicals(Milwaukee,WI,USA)、BD Diagnostic Systems(Sparks,MD,USA)、Life Technologies(Rockville,MD,USA)、またはSigma Chemical Company(St.Louis,MO,USA)から入手された。
【0209】
SDSゲル電気泳動
SDSゲル電気泳動は、当該技術分野においてよく知られる方法を用いて行った。
【0210】
硬表面上での抗菌活性についての試験方法
過酸は殺生物活性を有する可能性がある。本発明において使用するために好適である可能性がある、当該技術分野において公知の典型的な代わりの殺生物剤としては、たとえば、塩素、二酸化塩素、クロロイソシアヌレート、次亜塩酸塩、オゾン、アミン、塩素化フェノール類、銅塩、有機硫黄化合物、および第四級アンモニウム塩が挙げられる。コーティング組成物の殺生物効能または抗菌効能は、以下に記載される2つの試験方法を用いて測定した。
【0211】
非食品接触殺菌剤試験:微生物汚染が本抗菌性コーティング組成物の塗布時に標的表面上に既に存在する状況についてコーティング組成物の抗菌活性を評価するために、ASTM標準E1153−03に従った「無生物非食品接触表面に対して推奨される殺菌剤の効能についての標準試験方法(Standard Test Method for Efficacy of Sanitizers Recommended for Inanimate Non−Food Contact Surfaces)」を用いた。この試験方法は、非食品接触殺菌剤試験または「NFC試験」と言われる。
【0212】
残留自己殺菌試験:微生物汚染が既に乾燥したコーティングと接触している状況についてコーティング組成物の抗菌活性を評価するために、次の残留自己殺菌試験方法を用いた。この試験方法は、残留自己殺菌試験または「RSS試験」と言われる。サイズが25.4×25.4mmの非多孔性の、前もってきれいにしたステンレススチール(タイプSS316)クーポンを試験のために使用した。生物のストックプレート(引き続いて3回移したが、30以下の移行)から、コロニーを選択し、10mLのAOAC Nutrient Broth(NaCl 2.5g;牛肉エキス2.5g;Anatone 5g;脱イオン水500mL)中に入れた。接種培養物を静置条件下に35℃で24時間培養した。試験接種物の調製において、静置培養物を、Vortexミキサーを用いて激しくかき混ぜ、15分間放置し、培養物の上方2/3を滅菌管(約6mL)に移した。有機汚物負荷のウシ胎児血清(FBS)を、5重量%有機汚物負荷の最終濃度に向けてこの試験接種物に加えた。最終試験接種物密度は約1×108CFU/mLであった。
【0213】
試験クーポンを70重量%エタノール中に一晩入れ、穏和な洗剤に少なくとも30分間浸漬し、十分に水道水でリンスし、風乾させた。いったんきれいにした、表面のすべての取り扱いは、滅菌鉗子を用いて行った。クーポンを70重量%エタノールでスプレーし、完全に乾燥させた。試験されるべきコーティング組成物のアリコート(50μL)を各ステンレススチール・クーポンに塗布し、滅菌プラスチック延展機で均一に広げ、滅菌プラスチックペトリ皿に入れ、生物学的安全キャビネット中で一晩風乾させた。周囲空気温度および相対湿度を記録した。コートされていないクーポンを対照表面として使用し、本コーティング組成物で処理されたクーポンと同じ条件下に取り扱った。
【0214】
コートされたクーポンの表面の全域に少なくとも30スポットを使用して0.01mLの接種物をスポットすることによってクーポンに接種した。1コーティング組成物当たり少なくとも2つの反復試験クーポンを接種した。5分後に、試験クーポンを20mLのBactoTM D/E中和ブロスに無菌で移した。チューブを手動で激しく振盪し、超音波処理水浴中、最大設定で10秒間超音波処理し、最後に回転振盪機で250rpmで4分間振盪した。培養物の細胞密度は、Butterfield Phosphate Buffer希釈管およびTrypticaseTM Soy Agar(TSA)ペトリ皿を使って連続希釈延展プレート技法を用いて測定した。すべてのサンプルをD/E Neutralizing Brothへのそれらの移行の約30分以内に数え上げた。
【0215】
処理および未処理クーポンの両方について反復試験測定の平均細胞密度(CFU/mL)を、個々のCFU測定値の幾何平均として計算した。すべてのlog数は自然対数である。
【0216】
(実施例)
以下の実施例は、本発明の好ましい態様を実証するために提供される。以下に続く本実施例において開示される技法は本発明の実施においてうまく機能することが本発明者によって発見された技法を表し、したがってその実施のための好ましいモードを構成すると考え得ることは、当業者によって十分理解されるべきである。しかし、当業者は、本開示を踏まえて、多くの変更が本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示される具体的な実施形態において行われ、同様のまたは類似の結果を依然として得ることができることを十分理解するべきである。
【0217】
本実施例において使用される省略形
本明細書における以下の省略形は、次の通り測定の単位、技法、特性、または化合物に対応する:「sec」または「s」は秒を意味し、「min」は分を意味し、「h」または「hr」は時間を意味し、「mm」はミリメートルを意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「L」はリットルを意味し、「mM」は1リットル当たりのミルモルを意味し、「M」は1リットル当たりのモルを意味し、「mmol」はミリモルを意味し、「℃」は摂氏温度を意味し、「ppm」は百万当たりの部を意味し、以下の実施例においてはmg/L(1リットル当たりのミリグラム)を意味し、「wt」は重量を意味し、「wt%」は重量によるパーセントを意味し、「g」はグラムを意味し、「μg」はマイクログラムを意味し、「g」は地球重力定数を意味し、「HPLC」は高性能液体クロマトグラフィーを意味し、「dd H2O」は蒸留および脱イオン水を意味し、「DI」は脱イオン化を意味し、「dcw」は乾燥細胞重量を意味し、「ATCC」または「ATCC(登録商標)」はAmerican Type Culture Collection(Manassas,VA、USA)を意味し、「U」はペルヒドロラーゼ活性の単位を意味し、「U/mgタンパク質」は1ミリグラムタンパク質当たりのペルヒドロラーゼ活性の単位を意味し、「rpm」は回転数毎分を意味し、「EDTA」はエチレンジアミン四酢酸を意味し、「PAA」は過酢酸を意味し、「PEG」はポリエチレングリコールを意味し、「Pa・s」はパスカル秒を意味し、「IPTG」はイソプロピル−ベータ−D−チオガラクトピラノシドを意味し、「MPa」はメガパスカルを意味し、「NMWCO」は名目分子量カットオフ値を意味し、「LB」はLuriaブロス培地を意味し、「OD」は光学密度を意味し、「g供給/分」はグラム供給毎分を意味し、「SDS」はドデシル硫酸ナトリウムを意味し、「o−DA」はオルト−ジアニジジンを意味し、「pNPA」はパラ−ニトロフェニルアセテートを意味し、「L・cm-1・mol-1」は1モル当たり1センチメートル当たりのリットルを意味し、「mg/mL」は1ミリリットル当たりのミリグラムを意味し、「kg」はキログラムを意味し、「U/mg」は1ミリグラム当たりの単位を意味し、「CFU」はコロニ形成単位を意味し、「FBS」はウシ胎児血清を意味し、「log CFU」はCFU数の常用対数を意味し、「CFU/mL」は1ミリリットル当たりのCFUを意味し、「NFC」は非食品接触殺菌剤試験を意味し、「RSS」は残留自己殺菌活性を意味し、「SS316」はステンレススチール、タイプ316(ASTM標準)を意味し、「TAED」はテトラアセチルエチレンジアミンを意味する。
【0218】
化学薬品
すべての化学薬品は、特に明記しない限りSigma−Aldrich(St.Louis,MO,USA)から入手した。Elvanol(登録商標)51−04(部分加水分解グレードポリビニルアルコール、88%グレード)はDuPont(Wilmington,DE,USA)製であった。300g/モルの平均分子量のポリエチレングリコール(Carbowax(商標) PEG−300)はDow(Midland,MI,USA)製であった。BTC(登録商標)885、Onyxide(登録商標)3300およびBiosoft(登録商標)N25−7はStepan(Northfield,IL,USA)製であった。BTC(登録商標)885は、抗菌剤としての50重量%第四級アンモニウム化合物と50重量%不活性材料とを含有する。Rheovis(登録商標)FRCはCiba(Basel,Switzerland)から入手した。Glucopon(登録商標)215 UPはCognis Corporation(Cincinnati,OH)から入手した。PC 5450 NFはPerformance Chemicals,LLC(Concord,NH)製であった。テトラアセチルエチレンジアミン(TAED B675)はWarwick International Ltd.(Flintshire,UK)製であった。過炭酸ナトリウム(Provox(登録商標)C)はOCI Chemical Corp.(Decatur,AL,USA)製であった。Turpinal(登録商標)SLはThermphos(Vlissingen,the Netherlands)から入手した。Silwet(登録商標)L−77はSetre Chemical Company(Memphis,TN,USA)から入手した。微生物増殖培地は、DIFCO Laboratories(Detroit,MI,USA)、GIBCO/BRL(Gaithersburg,MD,USA)、TCI America(Portland,OR,USA)、Roche Diagnostics Corporation(Indianapolis,IN,USA)またはSigma−Aldrich Chemical Company(St. Louis,MO,USA)から入手した。BactoTM D/E中和ブロスはDifco(Cat.No.281910,DifcoTM Laboratories,Detroit,MI,USA)製であった。
【0219】
pNPAマイクロプレート・アッセイ
96ウェル・マイクロプレートの4ウェルのそれぞれへ、170μLのリン酸カリウム緩衝液(50mM、pH7.2)および10μLの0.1mg全タンパク質/1mLの細胞溶解物か10μLの0.02mg全タンパク質/1mLの噴霧乾燥酵素溶液かのどちらかを加えた。プレートをカバーし、マイクロプレート読取り機(Molecular Devices SPECTRAmax(登録商標)384 Plus)に入れ、次に数秒間混合し、30℃で10分間平衡させた。プレートの各ウェルに次に、0.6mLのアセトニトリル中100mMのpNPAと1.4mLの50mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.2)とを(使用の直前に)混合することによって調製した20μLの30mMのpNPA溶液を同時に加えた。400nmでの吸光度の変化を、1分の反応時間にわたって測定した。pNPA加水分解のバックグランド速度(酵素の存在下に測定された加水分解の速度から差し引かれる)を、細胞溶解物または酵素含有溶液の代わりに10μL/ウェルのリン酸カリウム緩衝液(50mM、pH7.2)を使用することによって4ウェルにおいて別々に測定した。1cm路長セルにおいてpH7.2で測定された、パラ−ニトロフェノールについての吸光係数は10,909L・cm-1・モル-1であった。酵素活性の1pNPA単位は、1分に1マイクロモルのpNPAの加水分解を触媒するタンパク質の量に等しい。
【0220】
レオロジー特性の測定
液体抗菌性調合物のレオロジー特性は、RV Seriesスピンドル#6付きのBrookfield Digital Viscometer Model DV−II(Brookfield Engineering Laboratories,Middleboro,MA,USA)および丈が高いガラスビーカーを用いて評価した。サンプルをガラスビーカーに注ぎ込むことによって装填した。粘度測定値を異なるrpmで採取した。
【0221】
高性能クロマトグラフィー(HPLC)
反応混合物中のPAAの濃度は、HPLCを用いて測定した。プレカラムSupelco Superguard Discovery C8付きのSupelco Discovery C8カラム(15cm×4.0mm、5μm)を使用した。注入容量は10μLであった。1.0mL/分および周囲温度でアセトニトリルおよび脱イオン水でのグラジエント法を下表に示す。
【0222】
【表1】

【0223】
このHPLC法を用いる、対象となる化合物の保持時間は、MTSO(メチルp−トリルスルホキシド)=2.34分;DEET(N,N−ジエチル−m−トルアミド)=4.40分;TPPO(トリフェニルホスフィンオキシド)=5.02分;MTS(メチルp−トリルスルフィド)=5.99分およびTPP(トリフェニルホスフィン)=6.48分であった。
【0224】
実施例1
サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)からのアセチルキシランエステレラーゼのクローニングおよび発現
サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)(GENBANK(登録商標)登録番号AAB70869、SEQ ID NO:7)からのアセチルキシランエステラーゼをエンコードするコード領域を、大腸菌(E.coli)(DNA 2.0,Menlo Park,CA,USA)での発現のために最適化されたコドンを使用して合成した。このコーティング領域をその後、SEQ ID NO:18およびSEQ ID NO:19として同定されるプライマーを使用してPCR(94℃で0.5分、55℃で0.5分、70℃で1分、30サイクル)によって増幅した。生じた核酸生成物(SEQ ID NO:20)を、pSW196として同定されるプラスミドを発生させるためにpTrcHis2−TOPO(登録商標)(Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)へサブクローン化した。プラスミドpSW196を使用して大腸菌(E.coli)KLP18を形質転換してKLP18/pSW196として同定される菌株を発生させた(全体を参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2008/0176299号明細書を参照されたい)。KLP18/pSW196を0.4〜0.5のOD600nmまで振盪しながら37℃でLB培地において増殖させ、その時点でイソプロピル−ベータ−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を1mMの最終濃度まで加え、培養を2〜3時間続行した。細胞を遠心分離によって収穫し、−80℃で20重量%グリセロール中に貯蔵し;全可溶性タンパク質の20〜40%でのペルヒドロラーゼの発現を、SDS−PAGEを用いて測定した。
【0225】
実施例2
T.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼを発現する大腸菌(E.coli)KLP18/PSW196の発酵
発酵を3段階:フラスコにおけるプレ種調製、14L発酵槽における種調製、および200L発酵槽におけるスケールアップで行った。種培養物を、酵母抽出液(Difco、1.0g/L)、K2HPO4(10.0g/L)、KH2PO4(7.0g/L)、クエン酸ナトリウム二水和物(1.0g/L)、(NH42SO4(4.0g/L)、MgSO4七水和物(1.0g/L)およびクエン酸第二鉄アンモニウム(0.10g/L)を含有する0.5L種培地を2L振盪フラスコに装入することによって調製した。培地のpHを6.8に調整し、培地をフラスコにおいて滅菌した。ポスト滅菌添加物は、グルコース(50重量%、10.0mL)および1mLアンピシリン(25mL/mL)原液を含んだ。種培地を、20%グリセロール中の大腸菌(E.coli)KLP18/pSW196の1mLの培養物で植菌し、35℃および300rpmで培養した。
【0226】
種培養物を、KH2PO4(5.0g/L)、FeSO4七水和物(0.05g/L)、MgSO4七水和物(1.0g/L)、クエン酸ナトリウム二水和物(1.90g/L)、Biospumex153K消泡剤(0.5mL/L、Cognis Corporation)、NaCl(1.0g/L)、CaCl2二水和物(0.1g/L)と、クエン酸一水和物(10g/L)、MnSO4水和物(2g/L)、NaCl(2g/L)、FeSO4七水和物(0.5g/L)、ZnSO4七水和物(0.2g/L)、CuSO4五水和物(0.02g/L)およびNaMoO4二水和物(0.02g/L)を含有する微量要素溶液(10mL/L)とを含有する8Lの培地とともに約1〜2の550nmでの光学密度で14L種発酵槽(Braun,B.Braun Biotech Inc.,(Allentown,PA,USA))に移した。ポスト滅菌添加物は、グルコース溶液(50重量%、80.0g)、アンピシリン(25mg/mL)原液(16.00mL)およびチアミン(3.3g/L)原液(6.00mL)を含んだ。溶存酸素(DO)濃度を25%の空気飽和で制御した。DOは、先ず羽根車かき混ぜ速度(400〜1400rpm)によって、その後曝気速度(標準状態で2〜10L/分)によって制御した。温度を35℃で制御した。pHを6.8に調整した。NH4OH(29重量%)およびH2SO4(200g/L)をpH調整のために使用した。オーバーヘッド圧力を0.50バールに維持した。培養密度が5超のOD550nmに達したときまたはブロス中のグルコース濃度が1g/L未満に低下したとき、8L培養物を200LのSartorius Biostet−DCU−D生産発酵槽に移した。
【0227】
200LのSartorius Biostet−DCU−D生産発酵槽(Sartorius Stedium North America Inc.,(Bohemia,NY,USA))に装入された培地の初期容量は150Lであり、ここで、この培地は、14L種発酵槽におけるものと同じ原料および濃度を使用して調製した。ポスト滅菌添加物は、グルコース−MgSO4溶液(グルコース50重量%およびMgSO4七水和物1重量%;1600g)、アンピシリン(25g/L)原液(3200mL)およびチアミン(3.3g/L)原液(120mL)を含んだ。溶存酸素(DO)濃度を25%の空気飽和で制御した。DOは、先ず羽根車かき混ぜ速度(200〜450rpm)によって、その後曝気速度(標準状態で35〜80L/分)によって制御した。温度を35℃で制御した。pHを6.8に調整した。NH4OH(29重量%)およびH2SO4(200g/L)をpH調整のために使用した。オーバーヘッド圧力を0.50バールに維持した。グルコース−MgSO4溶液(グルコース(50重量%)およびMgSO4七水和物(1重量%))を流加増殖のために使用した。グルコース供給は、グルコース濃度が0.5g/Lに低下したときに開始し、6.30g供給/分の速度でスタートし、それぞれ、7.30、8.50、9.8、11.40、13.30、15.40、17.2g/分に漸次毎時増やし;速度はその後一定のままであった。培地中のグルコース濃度を監視し、その濃度が0.1g/Lを超えた場合、供給速度を下げるかまたは一時的に停止した。誘導は、180mLのIPTG(0.5M)の添加で76のOD550nmで(26.7時間で)開始した。細胞をIPTG添加16時間後に遠心分離によって収穫した。発酵を42.7時間で終了させ、1mgの細胞乾燥重量当たり3.4pNPA Uのペルヒドロラーゼ比活性を有する約21kgの湿潤細胞ペースト収穫した。
【0228】
実施例3
T.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼの調製
細胞ペースト(13kg;実施例2において記載されたように調製された、大腸菌(E.coli)KLP18/pSW196)をpH7.4で40Lの50mMリン酸ナトリウム緩衝液中に懸濁させ、細胞懸濁液を、83MPaおよび室温で運転するAPV 16.56ホモジナイザー(APV Fluid Handling and Homogenizers,(Delavan,WI,USA))を用いて均質化し、生じたホモジネートを65℃に加熱し、室温に冷却する前にこの温度で30分間保持した。0.1マイクロメートル中空繊維膜カートリッジ(GE Healthcare,(Little Chalfont,United Kingdom))を用いて固形分をタンパク質溶液から分離した。浄化したタンパク質溶液を次に、30,000 NMWCO中空繊維膜カートリッジ(GE Healthcare)を用いて濃縮して14.7Lの最終コンセントレートを得、それを−80℃で凍結させた。この材料をその後解凍し、さらに濃縮して(30,000 NMWCO)約256グラムのタンパク質(34.15gタンパク質/L;Micro−BCAタンパク質アッセイ(Sigma Life Sciences,Sigma−Aldrich Corp.,(St.Louis,MO,USA))を用いて測定される)を含有する7.5リットルの溶液を得た。この溶液に、500gのMaltrin M100マルトデキストリン、110gのMaltrin M250コーンシロップ固形分、および110gのMaltrin M040マルトデキストリン(すべてがGrain Processing Corporation(GPC),(Muscatine,IA,USA)製)を加えた。
【0229】
生じた混合物(約7.9kg)を噴霧乾燥して(入口温度=225℃、出口温度=76℃、供給速度=60g/分)合計786グラムの固形分(68%収率)の酵素粉末:93.2%乾燥重量、20.3重量%タンパク質、34.5pNPA U/mgタンパク質を生成した。
【0230】
実施例4
ペルヒドロラーゼ活性を有する酵素とともにポリビニルアルコールの存在下での過酢酸のその場発生
本実施例は、ポリビニルアルコールの存在下にペルヒドロラーゼ活性を有する酵素での過酢酸のその場発生を例示する。反応は、T.ネアポリタナ(T.neapolitana)から単離したペルヒドロラーゼ酵素を使用して行った。磁気撹拌棒を備えた75mLガラス瓶に、12.3mLの0.2M重炭酸ナトリウム緩衝液(pH7.2;44mM)、36.2mLのDI水、41.7mgのTurpinal(登録商標)SL(Thermphos,(Vlissingen,the Netherlands)),0.95mLのトリアセチン(90mM)および6.0gのElvanol(登録商標)51−04(20%水性溶液,DuPont,(Wilmington,DE,USA))を入れ、サンプルが均一になるまで室温で撹拌した。この時点で、0.51mLの30重量%過酸化水素(89mM)、引き続き直ちに50mM重炭酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)中の20mg/mLのT.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼ酵素の125μLを加えた。過酸化水素および過酢酸濃度を、硫酸セリウム/チオ硫酸ナトリウム滴定分析(Greenspan,F.P.;MacKeller,D.G.Anal.Chem.,20:1061−1063,1948)を用いて経時監視した。対照反応を、(12.3mLの0.2M重炭酸ナトリウム緩衝液、pH7.2、50mM;0.51mLの30%過酸化水素、100mM;36.2mLのDI水;41.7mgのTurpinal(登録商標)SL;0.95mLのトリアセチン、0.1M;50mM重炭酸ナトリウム緩衝液、pH7.2中の20mg/mLのT.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼ酵素(酵素粉末中の重量%タンパク質を基準として)の125μL)で、および添加酵素なし(酵素なしの上の対照条件と同一)で行った。30分間にわたって、添加酵素全くなしのトリアセチンおよび過酸化水素で行った対照反応は、トリアセチンと過酸化水素との化学反応から114ppm過酢酸を生成した。添加酵素ありのトリアセチンおよび過酸化水素で行った対照反応は、1分以内に380ppm過酢酸を生成し、30分にわたって2280ppmに増加した。ポリビニルアルコールの存在下でのPAAのその場酵素的生成は、1分以内に456ppmを生成し、30分にわたって1976ppmに増加した。表1は、フィルム形成剤の存在下でのPAAのその場酵素的生成から生成したPAA濃度を示す。
【0231】
【表2】

【0232】
実施例5
ペルヒドロラーゼ活性を有する酵素ありのフィルム形成組成物における過酢酸のその場発生
本実施例は、追加の性能向上添加剤とともにフィルム形成組成物の存在下にペルヒドロラーゼ活性を有する酵素での過酢酸のその場発生を例示する。反応は、T.ネアポリタナ(T.neapolitana)からのペルヒドロラーゼ酵素を使用して行った。磁気撹拌棒を備えた75mLガラス瓶に、12.3mLの0.2M重炭酸ナトリウム緩衝液(pH7.2;44mM)、36.2mLのDI水、41.7mgのTurpinal(登録商標)SL(Thermphos,(Vlissingen,the Netherlands)),0.95mLのトリアセチン(89mM)、6.0gのElvanol(登録商標)51−04(20%水性溶液,DuPont,(Wilmington,DE,USA))、0.5gのPEG−300(Dow,(Midland,MI,USA))および0.25gのSilwet(登録商標)L−77(Setre Chemical Company,(Memphis,TN,USA))を入れ、サンプルが均一になるまで室温で撹拌した。この時点で、0.51mLの30%過酸化水素(88mM)、引き続き直ちに50mM重炭酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)中の20mg/mLのT.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼ酵素(酵素粉末中の重量%タンパク質を基準として)の125μLを加えた。過酸化水素および過酢酸濃度を、硫酸セリウム/チオ硫酸ナトリウム滴定試験(Greenspan,F.P.;MacKeller,D.G.Anal.Chem.,20:1061−1063,1948)を用いて経時監視した。対照反応を、(12.3mLの0.2M重炭酸ナトリウム緩衝液、pH7.2、50mM;0.51mLの30%過酸化水素、100mM;36.2mLのDI水(脱イオン水);41.7mgのTurpinal(登録商標)SL;0.95mLのトリアセチン、0.1M;50mM重炭酸ナトリウム緩衝液、pH7.2中の20mg/mLのT.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼ酵素(酵素粉末中の重量%タンパク質を基準として)の125μL)で、および添加酵素なし(酵素なしの上の対照条件と同一)で行った。30分間にわたって、添加酵素全くなしのトリアセチンおよび過酸化水素で行った対照反応は、トリアセチンと過酸化水素との化学反応から114ppm過酢酸を生成した。添加酵素ありのトリアセチンおよび過酸化水素で行った対照反応は、1分以内に380ppm過酢酸を生成し、30分にわたって2280ppmに増加した。フィルム形成組成物におけるPAAのその場酵素的生成は、1分以内に342ppmを生成し、30分にわたって1900ppmに増加した。表2は、追加の性能向上添加剤とともにフィルム形成組成物の存在下でのPAAのその場酵素的生成から生成したPAAの濃度を示す。
【0233】
【表3】

【0234】
実施例6
第2殺生物剤およびレオロジー調整剤を含有するフィルム形成組成物における過酢酸のその場酵素的発生
本実施例は、レオロジー調整剤および第2殺生物剤を含有するフィルム形成組成物の存在下にペルヒドロラーゼ活性を有する酵素での過酢酸のその場発生を例示する。撹拌棒を備えた100mLガラス瓶に、Elvanol(登録商標)51−04の20重量%水性溶液の25g、14gの脱イオン水、0.8gのRheovis(登録商標)FRC、0.5gのPEG 300および0.15gのBTC(登録商標)885を入れ、サンプルが均一になるまで室温で撹拌した。この時点で、1.09gのトリアセチン(100mM)および0.67gの30重量%過酸化水素(100mM)を加え、撹拌して混合した。pHを、8gの0.2M重炭酸ナトリウム緩衝液(32mM)の添加で7.0より上に調整した。pH調整の後に、125μLのT.ネアポリタナ(T.neapolitana)ペルヒドロラーゼ酵素(50mM重炭酸ナトリウム緩衝液中の20mg/mL溶液(酵素粉末中の重量%タンパク質を基準として))を加え、タイマーをスタートさせた。対照反応は、酵素なしを除いて、上の条件と同一で行った。過酢酸濃度を、硫酸セリウム/チオ硫酸ナトリウム滴定試験を用いて5分、30分および1時間、経時監視した。1時間にわたって、添加酵素なしの対照反応は、トリアセチンと過酸化水素との化学反応からの487ppm過酢酸を生成した。フィルム形成組成物におけるPAAのその場酵素的生成は、5分以内に2112ppmを生成し、1時間にわたって2593ppmに増加した。表3は、フィルム形成組成物における酵素的に発生したPAAの濃度を示す。
【0235】
【表4】

【0236】
実施例7
除去可能な抗菌性コーティング組成物の剪断薄化指数
「擬塑性指数」または「剪断薄化指数」(STI)は、垂れ下がりおよび液だれにに対する組成物の抵抗に関する指標を提供する。一般的な測定は、2つの異なる剪断速度で粘度を測定する。より低い剪断速度で記録された値をより高い剪断速度での値で割ってSTIを得る。一般に、STIが高ければ高いほど、コーティング材料の垂れ下がりおよび液だれに対する抵抗はより高いであろう。STI値は、本明細書において使用される場合、酵素の添加30分後に粘度を測定することによって測定した。粘度は、RV Seriesスピンドル#6付きのBrookfield Digital Viscometer Model DV−II(Brookfield Engineering Laboratories,(Middleboro,MA,USA))を用いて室温で測定した。剪断薄化指数(STI)は、1rpmで測定された粘度を10rpmで測定された粘度で割ることによって計算した。本発明のコーティング組成物A(組成については表4を参照されたい)についてのSTIを表5に示す。1rpmでフィルム形成組成物Aの粘度は12.8Pa・sであり、10rpmで4.86Pa・sに低下した。このコーティング組成物についての剪断薄化指数は2.74である。
【0237】
【表5】

【0238】
【表6】

【0239】
実施例8
サーモトガ・マリタナ(Thermotoga maritima)からのアセチルキシランエステレラーゼのクローニングおよび発現
GENBANK(登録商標)(登録番号NP_227893.1,SEQ ID NO:8)に報告されているようなT.マリタナ(T.maritima)MSB8からのアセチルキシランエステラーゼをエンコードする遺伝子を合成した(DNA 2.0,(Menlo Park,CA,USA))。この遺伝子をその後、SEQ ID NO:22およびSEQ ID NO:23として同定されるプライマーを使用してPCR(94℃で0.5分、55℃で0.5分、70℃で1分、30サイクル)によって増幅した。生じた核酸生成物(SEQ ID NO:24)を制限酵素PstIおよびXbaIでカットし、pSW207として同定されるプラスミドを発生させるためにpUC19中のPstIおよびXbaIサイトの間でサブクローン化した。大腸菌(E.coli)における発現のためのT.マリチマ(T.maritima)MSB8アセチルキシランエステラーゼのコドン最適化バージョンを合成し、その後、SEQ ID NO:25および26として同定されるプライマーを使用してPCR(94℃で0.5分、55℃で0.5分、70℃で1分、30サイクル)によって増幅した。生じた核酸生成物(SEQ ID NO:27)を制限酵素EcoRIおよびPstIでカットし、pSW228として同定されるプラスミドを発生させるためにpTrc99A(GENBANK(登録商標)登録番号M22744)中のPstIおよびXbaIサイトの間でサブクローン化した。プラスミドpSW207およびpSW228を使用して大腸菌(E.coli)KLP18を形質転換して(参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2008/0176299号明細書)、それぞれ、KLP18/pSW207およびKLP18/pSW228として同定される菌株を発生させた。KLP18/pSW207およびKLP18/pSW228をOD600nm 0.4〜0.5まで振盪しながら37℃でLB培地において増殖させ、その時点でIPTGを1mMの最終濃度まで加え、培養を2〜3時間続行した。細胞を遠心分離によって収穫し、SDS−PAGEを、全可溶性タンパク質の20〜40%でのペルヒドロラーゼの発現を確認するために行った。
【0240】
実施例9
残基C277でのサーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)アセチルキシランエステラーゼ突然変異の構成
T.マリチマ(T.maritima)アセチルキシランエステラーゼのC277(Cys277)位を、プラスミドpSW228におけるT.マリチマ(T.maritima)アセチルキシランエステラーゼのコドン最適化配列(SEQ ID NO:30)をベースとして設計されたオリゴヌクレオチドプライマー対(SEQ ID NO:28および29)を使用してSerに変更した。突然変異は、製造業者の指示書に従ってQuikchange(Stratagene,(Cedar Creek,TX,USA))を使用して行った。増幅されたプラスミドを37℃で1時間1UのDpnIで処理した。処理されたプラスミドを使用して化学的に有能な大腸菌(E.coli)XL1−Blue(Stratagene)を形質転換した。形質転換体を、0.1mgアンピシリン/mLで補足されたLB寒天プレート上に筋状にし、37℃で一晩増殖させた。5つ以下の個々のコロニーを選別し、予期される突然変異を確認するためにプラスミドDNAの配列を決定した。
【0241】
実施例10
大腸菌(E.coli)KLP18におけるサーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)アセチルキシランエステラーゼC277S突然変異体の発現
確認されたアセチルキシランエステラーゼC277S突然変異のプラスミドを使用して大腸菌(E.coli)KLP18を形質転換して(実施例1)KLP18/pSW228/C277Sとして同定される菌株を発生させた。形質転換体を、OD600nm 0.4〜0.5まで振盪しながら37℃でLB培地において増殖させ、その時点でIPTGを1mMの最終濃度まで加え、培養を2〜3時間続行した。細胞を遠心分離によって収穫し、SDS−PAGEを、全可溶性タンパク質の20〜40%でのアセチルキシランエステラーゼC277S突然変異体の発現を確認するために行った。
【0242】
実施例11
噴霧乾燥T・マリチマ(T.maritima)アセチルキシランエステラーゼ野生型およびその突然変異体C277Sの調製
(T.マリチマ(T.maritima)アセチルキシランエステラーゼを生成するために)大腸菌(E.coli)KLP18/pSW228または(T.マリチマ(T.maritima)アセチルキシランエステラーゼC277S突然変異体を生成するために)大腸菌(E.coli)KLP18/pSW228/C277Sを増殖させるために用いられる発酵プロトコルは、それが10L規模で行われたことを除いて、実施例2に記載されたものと似ていた。細胞ペーストを、5,000×gで15分間の遠心分離によって収穫し、後の使用のために−80℃で凍結貯蔵した。
【0243】
細胞ペーストのサンプルを、1.0mMジチオスレイトール(Dithiothreitol)(DDT)で補足された50mMリン酸塩緩衝液pH7.0中に再懸濁させた(200g/L)。再懸濁細胞を、>95%細胞溶解を確実にするために2回French Pressure Cellを通過させた。溶解細胞を、12,000×gで30分間遠心分離し、上澄み液を75℃で20分間加熱し、引き続き氷浴中で2分間急冷した。沈澱したタンパク質を、11.000×gで10分間の遠心分離によって除去した。SDS−PAGEは、CE−7酵素がこの調製における全タンパク質の約85〜90%を占めることを示した。
【0244】
実施例3において記載されたものと類似の手順を、上に記載されたように調製されたどちらかの細胞ペーストを使用して繰り返した。生じたT.マリチマ(T.maritima)ペルヒドロラーゼ噴霧乾燥酵素粉末は、95.5乾燥重量%、27.8重量%タンパク質、86.1pNPA U/mgタンパク質であった。生じたT.マリチマ(T.maritima)C277Sペルヒドロラーゼ噴霧乾燥酵素粉末は、95.5乾燥重量%、25.5重量%タンパク質、129.5pNPA U/mgタンパク質であった。
【0245】
実施例12
マルチプルペルヒドロラーゼを使用するフィルム形成組成物における過酢酸のその場酵素的発生
本実施例においては、PAAを発生させるための異なる好適なペルヒドロラーゼを使用するフィルム形成組成物におけるPAAのその場酵素的発生ならびに調合物において第2殺生物剤およびレオロジー調整剤を使用する能力が実証された。
【0246】
実施例6において記載されたものと類似のコーティング組成物を、上記と同じ方法を用いて、しかし表6に示されるような原料および重量%単位の組成を用いて製造した。コーティング組成物Bは、酵素なしでTAEDおよび過炭酸ナトリウムを使用してフィルム形成組成物においてPAAを発生させ、比較のためのみに使用される。コーティング組成物Cは酵素を欠き、酵素含有組成物D、EおよびFの対照として役立つ。各酵素反応混合物の初期pHは約7.0であった。TAED反応混合物の初期pHは約8.0であった。
【0247】
反応混合物中のPAAの濃度の測定は、Karstらによって記載された方法(Anal.Chem.,69:3623−3627,1997)に従って行った。所望の時点(1分、5分など)で、反応混合物のアリコートを取り出し(約25〜50mg)、反応を停止させるために5mMリン酸で重量により希釈した。典型的な希釈は、2000ppm超のPAA濃度のサンプルについては1:35、約1000ppmのPAA濃度のサンプルについては1:25、200ppm未満のPAA濃度のサンプルについては1:10であった。約200μL(またはフィルターカップを完全に満たすためにそれ以上)の希釈アリコートを、非滅菌の10,000NMWL(名目分子量限界)フィルター・ユニット(Nanosep 10K Omega,PALL Life Sciences,(East Hills,NY,USA))に移し、12,000rpmで7分間の遠心分離によって濾過した。生じた濾液のアリコート(100μL)を、300μLの脱イオン水を含有する1.8mLスクリューキャップHPLCバイアル(1.8mLのROBO Autosampler Vial,VWR International,(West Chester,PA,USA))に移し、次にアセトニトリル中の20mMのMTS(メチル−p−トリル−スルフィド)の100μLを加え、バイアルに蓋をし、内容物を、光の不存在下に約25℃での10分培養の前に短く混合した。各バイアルに次に400μLのアセトニトリルおよび100μLのアセトニトリル中のトリフェニルホスフェンの溶液(120mM)を加え、バイアルに再び蓋をし、生じた溶液を混合し、光の不存在下に約25℃で30分間培養した。各バイアルに次に100μLの2.5mMのN,N−ジエチル−m−トルアミド(DEET;HPLC外部標準)を加え、生じた溶液を上記のようにHPLCによって分析した。
【0248】
経時PAA濃度を表7に示す。すべての酵素含有ならびにTAED含有組成物についてPAAの最高観察濃度は、それぞれの化学反応を開始した後0.5〜2時間の間に観察された。最高濃度に達した後、濃度は、式c(t)=k・exp[−t/(ln(2)・τ)](ここで、c(t)は、反応時間tの関数としてのPAAの濃度を表す)の指数関数的減衰関数によって数学的に近似することができる時間プロフィールで低下する。パラメーターkおよびτは、τがおおよその半減期、すなわち、PAA濃度がその最高値の半分に低下してしまう時間を示して、各組成物について異なってもよい定数である。おおよその半減期は、最小二乗法を用いて上の指数関数的減衰関数に経時PAA濃度データを2〜120時間の時間についてフィットさせることによって計算した。半減期τをまた表7に示す。理解できるように、酵素的に発生したPAAについての半減期は似ており、約27〜29時間である。対照的に、コーティング組成物Bの非酵素的に発生したPAAについての半減期は7時間超より短い。それ故に、酵素的に発生した組成物は、液体コーティング組成物においてPAA濃度のより遅い経時低下を提供する。これは、具体的な最小PAA濃度がより長い期間にわたって存在することが望ましい状況において有益であり得る。
【0249】
【表7】

【0250】
【表8】

【0251】
実施例13
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)へのフィルム形成抗菌性組成物Gの効能
フィルム形成組成物G(表8)の抗菌特性を、NFC試験法および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(ATCC 6538)を試験微生物として使用して試験した。重量%単位でのGの組成を表8に示す。混合後の組み合わせた試薬は100重量%であった。1クーポン当たり0.05mLの容量のコーティング組成物を均一に塗布した。5分暴露で、少なくとも99.999%だけのCFU数の減少に等しい、コロニー形成単位(CFU)の5.6 log減少またはそれ以上が観察された。
【0252】
【表9】

【0253】
実施例14
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)へのフィルム形成抗菌性組成物Hの効能
フィルム形成組成物H(表9)の抗菌特性を、RSS試験法および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(ATCC 6538)を試験微生物として使用して試験した。重量%単位でのHの組成を表9に示す。全組み合わせた試薬は100重量%に等しかった。1クーポン当たり0.05mLの容量のコーティング組成物を均一に塗布した。表9に示されるように、少なくとも99.9%だけのCFU数の減少に等しい、CFUの3.1 log減少が組成物Hについて達成された。
【0254】
【表10】

【0255】
実施例15
商業的に入手可能なPAA溶液とフィルムにおけるその場発生PAAとの比較
本実施例は、フィルム形成組成物パックA中へドープされた商業的に入手可能な平衡PAA溶液とフィルム形成組成物におけるその場発生PAAとの間でフィルムにおけるPAA濃度を経時的に比較する。
【0256】
重量%単位でのHおよび#141Bのフィルム形成組成物を表10に示す。すべての成分を混合すると、100重量%の抗菌性コーティング組成物をもたらす。組成物#141Bについては、商業的に入手可能なPAA(90μLの32重量%溶液)を、その場発生の代わりにパックAに加えた。
【0257】
【表11】

【0258】
組成物のすべての成分を一緒に混合した後、フィルムを、8パス湿潤フィルム塗布機(5ミルフィルム深さ、モデルNo.15,Paul N.Gardner Co.Inc.,(Pompano Beach,FL,USA))を用いてプラスチックパネルに塗布した。フィルムにおけるPAA濃度を、フィルムが乾燥されるときに一定間隔で監視した。典型的な実験においては、フィルムは、30分以内では接触に対して粘着性であり、1時間までに完全に乾燥した。反応混合物中のPAAの濃度の測定は、Karstらによって記載された方法(Anal.Chem.,69:3623−3627,1997)に従って行った。実施例12における詳細を参照されたい。
【0259】
コーティング組成物HにおけるPAA濃度は、1時間で732ppmのPAAに低下するまで、1分で1925ppmのPAAから10分で最高の2599ppmのPAAまで増加することが観察されたが、組成物#141BにおけるPAA濃度は、1分で最高の2849ppmのPAAから1時間で22ppmのPAAまで1時間にわたって着実に低下した。本実施例は、PAAが前もって調製されるよりむしろその場発生する本発明のフィルム形成組成物の利益を強調する。
【0260】
【表12】

【0261】
実施例16
コーティング組成物Hの塗布および除去
コーティング組成物H(表9)を、8パス湿潤フィルム塗布機(5ミルフィルム深さ、モデルNo.15,Paul N.Gardner Co.Inc.,(Pompano Beach,FL,USA))を用いてアルミニウムパネルに塗布した。乾燥後に生じたコーティングは、垂れ下がり、泡もしくは気泡、クレーターまたはカバーされていないエリアなどのコーティング欠陥の不存在で特徴づけられる優れた外観を有した。乾燥フィルムは、パネルを30〜32℃の水道水でリンスすることによって容易に除去された。アルミニウムパネル上に後に残された目に見える残渣は全くなく、このフィルムの良好な除去特性を実証した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある場所での微生物の防除を提供する方法であって、
a)i)フィルムを形成する水溶性もしくは水分散性試剤;
ii)不活性溶媒;
iii)カルボン酸エステル基質;
iv)ペルオキシゲン源;
v)ペルヒドロラーゼ活性を有し、それによって少なくとも1つのペルオキシ酸を形成して第1抗菌剤を少なくとも提供する、酵素触媒;および
vi)レオロジー調整剤
を含む成分を組み合わせることによって組成物を形成する工程と;
b)前記組成物を前記場所に塗布する工程と;
c)前記組成物を乾燥させ、それによって前記場所上にコーティングを形成する工程と
を含み、
前記成分が第2抗菌剤をさらに含み、前記第2抗菌剤が第四級アンモニウム化合物を含む方法。
【請求項2】
前記酵素触媒がCE−7ファミリーの炭水化物エステラーゼから選択される請求項2に記載の方法。
【請求項3】
前記ペルオキシ酸が前記成分の組み合わせの約5分〜約2時間以内に少なくとも20ppmの濃度で生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ある場所での微生物の防除を提供する方法であって、
(a)不活性溶媒およびフィルム形成剤を含む第1予混合成分を提供する工程と;
(b)ペルヒドロラーゼ活性を有する酵素触媒、カルボン酸エステル基質およびペルオキシゲン源を含む第2予混合成分を提供する工程と;
(c)前記第1予混合成分と前記第2予混合成分とを混合してペルオキシ酸を含む第1抗菌剤を含む液体コーティング組成物を得る工程と;
(d)前記コーティング組成物を前記場所に塗布する工程と;および
(e)前記コーティング組成物を乾燥させ、それによって前記場所上にコーティングを形成する工程と
を含み、
少なくとも1つの予混合成分が第2抗菌剤をさらに含み、前記第2抗菌剤が第四級アンモニウム化合物を含む方法。
【請求項5】
前記第1および第2予混合成分が多区画システムにおいて提供され;前記第1および第2予混合成分が工程(c)前に別々のままである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
1つの予混合成分が液体形態にあり、1つの予混合成分が固体形態にある、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記酵素触媒がCE−7ファミリーの炭水化物エステラーゼを含む請求項4に記載の方法。
【請求項8】
a)フィルムを形成する水溶性もしくは水分散性試剤;
b)不活性溶媒;
c)カルボン酸エステル基質;
d)ペルオキシゲン源;
e)ペルヒドロラーゼ活性を有する酵素触媒;および
f)レオロジー調整剤
を含む成分を含む抗菌性組成物であって、
前記成分を組み合わせると、ペルオキシ酸が形成され;前記成分が、第四級アンモニウム化合物を含む抗菌剤である成分をさらに含む組成物。
【請求項9】
少なくとも1つ以上の前記成分が、前記ペルオキシ酸を形成するためのそれらの組み合わせの前に多区画システムにおいて前記その他の成分と別々にパッケージされている請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記ペルオキシ酸が前記成分の組み合わせの約5分〜約2時間以内に少なくとも20ppmの濃度で生成する、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
それの少なくとも1つの表面上に抗菌性組成物でのコーティングを含む物品であって、前記抗菌性組成物が、
a)フィルムを形成する水溶性もしくは水分散性試剤;
b)不活性溶媒;
c)カルボン酸エステル基質;
d)ペルオキシゲン源;および
e)ペルヒドロラーゼ活性を有する酵素触媒
を含み、
(a)〜(e)の成分を組み合わせると、ペルオキシ酸が形成される物品。
【請求項12】
食品または飲料業界において使用される装置である請求項11に記載の物品。

【公表番号】特表2013−500346(P2013−500346A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522964(P2012−522964)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/043376
【国際公開番号】WO2011/017095
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】