説明

過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定方法

【課題】過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定において、時間を要さず、省スペース化が可能であり、メンテナンス作業の低減及び分析サンプル廃液量の低減化が可能な過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定方法及びシステムを提供する。
【解決手段】測定方法は、過酸化水素含有水溶液に硫酸チタンを加えることにより、過酸化水素とチタンとの錯化合物を形成し、該錯化合物のUV吸収スペクトルを吸光度として測定することを特徴とし、測定システムは、過酸化水素含有水溶液から被測定サンプルをサンプリングするサンプリング装置、硫酸チタンを導入する試薬供給装置、サンプリングされた被測定サンプルと供給された硫酸チタンとを混合して被測定試料を調製するための混合槽、混合槽から被測定試料中のUV吸収スペクトルを測定するための過酸化水素検出用UV吸収スペクトル測定装置を備えてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定方法に関し、更に詳しくは、過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定方法及び測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
過酸化水素を含有する水溶液は、洗浄剤、殺菌剤、漂白剤、酸化剤、触媒等様々な用途に使用されている。例えば、過酸化水素を酸化剤として含有する水溶液は、金属部材のエッチングに広く使用されている。
【0003】
過酸化水素と硫酸を使用する金属部材のエッチング(以下、過水−硫酸系エッチングということもある)システムにおいて、良好なエッチング状態を維持するために種々の分析によってエッチング液の組成をモニターすることが知られている。エッチング液の組成を測定又は管理する方法としては、電位測定、電流測定、滴定法が使用されており、例えば、特許文献1〜3に報告されている。
【0004】
特許文献1には、エッチング液として少なくとも硫酸及び過酸化水素を含有する水溶液を用いる銅または銅合金のエッチング方法であって、前記銅または銅合金のエッチング速度の変動を検知し、該エッチング速度を一定の速度に制御することを特徴とする銅または銅合金のエッチング方法(請求項1);請求項1記載の銅または銅合金のエッチング方法において、前記エッチング速度を一定に制御する場合に、前記エッチング液中における被エッチング材または該被エッチング材と同一組成材の浸漬電位の測定値を制御指標として、過酸化水素水の補給量を制御することを特徴とする銅または銅合金のエッチング方法(請求項2);請求項1記載の銅または銅合金のエッチング方法において、前記エッチング速度を一定に制御する場合に、前記エッチング液中のハロゲン化物イオン濃度の測定値を制御指数として、該ハロゲン化物イオン濃度に対応した濃度の過酸化水素水を補給することを特徴とする銅または銅合金のエッチング方法(請求項3);請求項1記載の銅または銅合金のエッチング方法において、前記エッチング速度を一定に制御する場合に、前記エッチング液中における被エッチング材または該被エッチング材と同一組成材の浸漬電位を制御指標として、ハロゲン化物イオンを除去することを特徴とする銅または銅合金のエッチング方法(請求項4);請求項1記載の銅または銅合金のエッチング方法において、前記エッチング速度を一定に制御する場合に、前記エッチング液中のハロゲン化物イオン濃度の測定値を制御指数として、該ハロゲン化物イオン濃度に対応したハロゲン化物イオンを除去することを特徴とする銅または銅合金のエッチング方法(請求項5)が開示されている。
【0005】
特許文献2には、硫酸・過酸化水素系エッチング溶液中における過酸化水素濃度並びに硫酸及び銅濃度を測定するため、過マンガン酸カリウムまたは水酸化ナトリウムを使用する自動電位差滴定を使用することが開示されている。
【0006】
特許文献3には、過酸化水素、硫酸、銅の三成分のそれぞれに色彩の変化をもたらす指示薬による滴定分析の終点を光学センサーで検知して濃度を検知し、得られた濃度及び当該濃度から演算される比重を指標として、不足成分を補充する方法が開示されている。
【0007】
非特許文献1には、過酸化水素存在下におけるチタンについてのキレート滴定法が記載されており、過酸化水素とチタンとの錯体化合物の発色を利用した光度滴定法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−240474号公報
【特許文献2】特開平7−134112号公報
【特許文献3】特開2004−361180号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】上野景平 キレート滴定法 南江堂(1972)393
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、エッチング液の電位や電流を測定する方法は、多成分の濃度管理には不適である。滴定法は、分析に時間を費やすのでエッチング液の状態をリアルタイムにモニターできるものではない。また、滴定法は、各成分の測定を個別に測定するものであるので、エッチングシステムに複数の分析装置を組み込まなければならず、分析サンプルの廃液量も多い問題がある。また、硫酸コバルトを使用する方法も知られているが、これは反応時間が長く、リアルタイムのモニターには適さない。
【0011】
従って、本発明の目的は、過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定において、時間を要さず、省スペース化が可能であり、メンテナンス作業の低減及び分析サンプル廃液量の低減化が可能な過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定方法及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、検討を重ねた結果、硫酸チタンを指示薬とし、過酸化水素含有水溶液のUV吸収スペクトル測定をすることにより過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度を測定できることを見出し、本発明に到達した。
【0013】
即ち、本発明は、過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定方法において、過酸化水素含有水溶液に硫酸チタンを加えることにより、過酸化水素とチタンとの錯化合物を形成し、該錯化合物のUV吸収スペクトルを吸光度として測定することを特徴とする過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定方法を提供することにある。
【0014】
また、本発明は、過酸化水素含有水溶液から被測定サンプルをサンプリングするためのサンプリング装置、硫酸チタンを導入するための試薬供給装置、サンプリングされた被測定サンプルと供給された硫酸チタンとを混合して被測定試料を調製するための混合槽、混合槽から被測定試料中のUV吸収スペクトルを測定するための過酸化水素検出用UV吸収スペクトル測定装置を備えてなることを特徴とする過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定システムを提供することにある。
【0015】
更に、本発明は、過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の管理方法において、過酸化水素含有水溶液から被測定用サンプルを採取し、被測定用サンプルに硫酸チタンを加えることにより、過酸化水素とチタンとの錯化合物を含有する被測定用試料を形成し、被測定用試料中の該錯化合物のUV吸収スペクトルを過酸化水素検出用UV吸収スペクトル測定装置により吸光度として測定し、得られた測定結果を演算装置に送り、過酸化水素含有水溶液中の予め設定された過酸化水素濃度と測定結果を対比し、過酸化水素濃度が設定値を下回っている場合には、過酸化水素水溶液供給装置から過酸化水素含有水溶液へ過酸化水素水溶液を補充することを特徴とする過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の管理方法を提供することにある。
【0016】
また、本発明は、過酸化水素含有水溶液から被測定サンプルをサンプリングするためのサンプリング装置、硫酸チタンを導入するための試薬供給装置、サンプリングされた被測定サンプルと供給された硫酸チタンとを混合して被測定試料を調製するための混合槽、混合槽から被測定試料中のUV吸収スペクトルを測定するための過酸化水素検出用UV吸収スペクトル測定装置、過酸化水素含有水溶液中の予め設定された過酸化水素濃度と測定結果を対比するための演算装置、演算装置からの信号により過酸化水素水溶液を過酸化水素含有水溶液へ補充するための過酸化水素水溶液供給装置を備えてなることを特徴とする過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の管理システムを提供することにある。
【0017】
更に、本発明は、過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度及び硫酸濃度の管理方法において、過酸化水素含有水溶液から被測定用サンプルを採取し、被測定用サンプルに硫酸チタンを加えることにより、過酸化水素とチタンとの錯化合物を含有する被測定用試料を形成し、被測定用試料中の該錯化合物のUV吸収スペクトルを過酸化水素検出用UV吸収スペクトル測定装置により吸光度として測定し、得られた測定結果を演算装置に送り、過酸化水素含有水溶液中の予め設定された過酸化水素濃度と測定結果を対比し、過酸化水素濃度が設定値を下回っている場合には、過酸化水素水溶液供給装置から過酸化水素含有水溶液へ過酸化水素水溶液を補充すると共に、被測定用試料中の金属硫酸塩のUV吸収スペクトルを金属硫酸塩検出用UV吸収スペクトル測定装置により吸光度として測定し、得られた測定結果を演算装置に送り、過酸化水素含有水溶液中の予め設定された硫酸濃度と測定結果を対比し、硫酸濃度が設定値を下回っている場合には、硫酸水溶液供給装置から過酸化水素含有水溶液へ硫酸水溶液を補充することを特徴とする過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度及び硫酸濃度の管理方法を提供することにある。
【0018】
また、本発明は、過酸化水素含有水溶液から被測定サンプルをサンプリングするためのサンプリング装置、硫酸チタンを導入するための試薬供給装置、サンプリングされた被測定サンプルと供給された硫酸チタンとを混合して被測定試料を調製するための混合槽、混合槽から被測定試料中のUV吸収スペクトルを測定するための過酸化水素検出用UV吸収スペクトル測定装置、過酸化水素検出用UV吸収スペクトル測定装置の下流側に設けられた金属硫酸塩検出用UV吸収スペクトル測定装置、過酸化水素含有水溶液中の予め設定された過酸化水素濃度及び硫酸濃度と測定結果を対比するための演算装置、演算装置からの信号により過酸化水素水溶液を過酸化水素含有水溶液へ補充するための過酸化水素水溶液供給装置及び演算装置からの信号により硫酸水溶液を過酸化水素含有水溶液へ補充するための硫酸水溶液供給装置を備えてなることを特徴とする過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度及び硫酸濃度の管理システムを提供することにある。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度を測定するにあたり、短時間で分析ができ、分析部位の省スペース化、メンテナンス作業の低減及び分析サンプル廃液量の低減化が可能な方法を提供することができ、これを過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の管理に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定システムの1実施態様を示す。
【図2】本発明の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の管理システムの1実施態様を示す。
【図3】本発明の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定システムに硫酸銅濃度の測定システムを組み込んだシステムの1実施態様である。
【図4】本発明の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の管理システムに、硫酸濃度の管理システムを組み込んだシステムの1実施態様である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
まず、本発明の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定方法について説明する。
本発明に係る過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定方法は、硫酸チタンと過酸化水素との反応により生成する錯化合物のUV吸収スペクトルを測定するものである。過酸化水素と硫酸チタンとの反応は、酸性下、チタンイオンやその他の金属イオンの存在下においても阻害されることなく、速やかに進行し、安定な錯化合物を形成する。従って、硫酸チタンを、過酸化水素含有水溶液(被測定サンプル)中に存在する過酸化水素の理論反応当量よりも過剰量供給し、それによって被測定サンプル中の全ての過酸化水素を硫酸チタンとの錯化合物として存在させ、得られた錯化合物含有水溶液のUV吸収スペクトルをUV検出器で吸光度として検出するものである。なお、硫酸チタンの使用量の設定は、硫酸チタン濃度と供給量や被測定サンプルの供給量によって調整できる。また、被測定サンプル中に高濃度で過酸化水素が存在する場合には、被測定サンプルを希釈液で希釈して測定することもできる。
【0022】
ここで、硫酸チタンと過酸化水素との錯化合物は、水溶液中350nm〜600nmの範囲にλmax407nmのUV吸収スペクトルを示す。この波長範囲における吸光度は、硫酸や金属イオン(銅イオン、チタンイオン等)の濃度に影響されずに錯化合物の濃度、即ち、過酸化水素の濃度のみに定量的に依存する。従って、予め測定に使用する装置及びUV吸収スペクトル測定装置を用いて、所定の過酸化水素濃度における吸光度の検量化を行い、検量式を得ておけば、測定された吸光度を過酸化水素の濃度に変換することができる。測定された吸光度と錯化合物、即ち、過酸化水素の濃度について、得られる検量式は、一次式であり、10℃〜30℃の温度域では、0.97以上の相関係数を示す。なお、この相関係数は、被測定サンプルの温度が高温になると低下する傾向にある。
【0023】
例えば、被測定サンプルの温度が18.5〜21.5℃の時の過酸化水素濃度2g/リットル〜25g/リットルの間の任意の10種の濃度の過酸化水素水溶液について、反応当量の2倍の硫酸チタンを加えた溶液の500nmにおける吸光度と過酸化水素水溶液の間には、比例の相関が得られ、この相関係数は、0.9914であった。同様の実験を23.5〜26.5℃で行なった場合の相関係数は0.9902であり、28.5〜31.5℃で行なった場合の相関係数は0.9731であった。従って、被測定サンプルの温度は、30℃以下に制御するのが好ましい。
【0024】
本発明の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定方法において、定量化できる過酸化水素の濃度は、UV吸収スペクトル測定装置の精度及び測定に使用する吸収波長に依存するが、一般に市販されている液体クロマト用検出器を使用した場合は、350〜600nmにおける吸光度を使用すれば、0.001〜60質量%の範囲において信頼性の高い測定結果が得られる。
【0025】
本発明の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定方法において、錯化合物を形成するために使用される硫酸チタンの量は、過酸化水素1当量に対して1〜10当量、好ましくは1.1〜5当量である。なお、硫酸チタンの使用量は、硫酸チタン濃度と供給量や被測定サンプルの供給量によって調整できる。また、被測定サンプル中に高濃度で過酸化水素が存在する場合や、過酸化水素検出用UVスペクトル測定装置の規格等に依存して被測定サンプルを希釈液で希釈して測定することもできる。希釈液としては水または硫酸水溶液を使用することが好ましい。
【0026】
本発明の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定方法は、被測定サンプルを少量サンプリングして、少量の硫酸チタンと混合すること、過酸化水素と硫酸チタンの反応は速やかに進むこと、並びに吸光度検出に時間を要しないことから、少量の被測定サンプル及び硫酸チタンを測定システムに連続的に供給することによって過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度のリアルタイムの連続(常時)モニタリングを実現できる利点がある。
【0027】
本発明の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定システムは、上記の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定方法を実施できるシステムであり、過酸化水素含有水溶液から被測定サンプルをサンプリングするサンプリング装置、硫酸チタンを導入する試薬供給装置、サンプリングされた被測定サンプルと供給された硫酸チタンとを混合して被測定試料を調製する混合槽、混合槽から被測定試料を過酸化水素検出用UV吸収スペクトル測定装置に導入するための供給装置及び過酸化水素検出用UV吸収スペクトル測定装置を備えてなる過酸化水素濃度の測定システムであり、混合槽からの被測定試料中の錯化合物をUV吸収スペクトルの測定に適した濃度に希釈したり、測定系内を洗浄するための希釈液供給装置を備えていてもよい。
【0028】
次に、図1を使用して本発明の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定システムの1実施態様を説明する。
図1に示す測定システムにおいて、硫酸チタンを導入する試薬供給装置は、硫酸チタン供給ライン(1)、液体用ポンプ(4)、硫酸チタン供給ライン(1’)から構成され、硫酸チタンは、硫酸チタン供給ライン(1)から液体用ポンプ(4)により硫酸チタン供給ライン(1’)を介して混合槽(5)へ供給される。
過酸化水素含有水溶液から被測定サンプルをサンプリングするサンプリング装置は、被測定サンプル供給ライン(2)、液体用ポンプ(4)、被測定サンプル供給ライン(2’)から構成され、過酸化水素を含有する被測定サンプルは、被測定サンプル供給ライン(2)から液体用ポンプ(4)により被測定サンプル供給ライン(2’)を介して混合槽(5)へ供給される。
希釈液供給装置は、希釈液供給ライン(3)、液体用ポンプ(4)、希釈液供給ライン(3’)から構成され、希釈液は、希釈液供給ライン(3)から液体用ポンプ(4)により希釈液供給ライン(3’)を介して混合槽(5)へ送られる。
混合槽(5)で、硫酸チタン、被測定サンプル及び希釈液が混合される。なお、希釈液は、被測定サンプルの過酸化水素濃度や、過酸化水素検出用UVスペクトル測定装置(7)の規格等を勘案して適宜使用されるものであり、通常、水または硫酸水溶液が使用される。
また、液体用ポンプ(4)は、硫酸チタン、被測定サンプル及び希釈液の3つの系を1台の液体用ポンプで送液するタイプで図示したが、硫酸チタン、被測定サンプル、希釈液の供給系毎にそれぞれに1台ずつの液体用ポンプを設置することも可能である。また、硫酸チタン供給ライン(1’)、被測定サンプル供給ライン(2’)並びに希釈液供給ライン(3’)は、それぞれ混合槽(5)に接続されているが、混合槽(5)の上流側で、それぞれのラインを合流させてから混合槽(5)に接続させる形態とすることもできる。更に、混合槽(5)には、液体の攪拌・混合手段、液体の加温・冷却等を行なうための温度制御手段等を適宜設置することができる。
【0029】
なお、液体用ポンプ(4)は、送液量、液の種類等により適宜選択すれることができ、例えば、チューブポンプ、プランジャーポンプ、ダイアフラムポンプ等の定量ポンプが挙げられる。常時フローさせて濃度の連続モニターを行なう場合はチューブポンプが好ましい。
【0030】
被測定サンプル中の過酸化水素と硫酸チタンとの反応により形成された錯化合物を含有する被測定試料は、混合槽(5)から被測定試料供給ライン(6)を介して過酸化水素検出用UVスペクトル測定装置(7)へ送られ、350〜600nmの波長領域の所定の波長における吸光度が測定される。過酸化水素検出用UVスペクトル測定装置(7)は、吸光度の測定結果を電気信号として出力したり、吸光度を監視できる構成となっている。なお、測定後の被測定試料は、被測定試料ドレイン(8)を介して系外に排出できる構成となっている。
【0031】
次に、本発明の過酸化水素水溶液の濃度管理方法を説明する。
本発明の過酸化水素の濃度管理方法は、上記の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定方法により得られた過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度が過酸化水素と硫酸チタンの錯化合物の吸光度として測定され、得られた吸光度のデータから、過酸化水素含有水溶液へ補給すべき過酸化水素の供給量を算出し、これにより算出された補給すべき過酸化水素を過酸化水素含有水溶液に供給する方法である。常時または所望の時間毎に濃度測定をし、必要量の過酸化水素を供給することで過酸化水素濃度管理を行うことができる。
【0032】
次に、本発明の過酸化水素水溶液の濃度管理システムを説明する。
本発明の過酸化水素水溶液の濃度管理システムは、上記の過酸化水素水溶液の濃度管理方法を実施しうるシステムであり、前記の濃度測定システムで得られた吸光度からの過酸化水素濃度と、当該濃度から得られる補給すべき過酸化水素量を算出する演算装置及び当該演算装置により算出された過酸化水素をユースポイントに供給する装置から構成される。
【0033】
次に、図2を使用して本発明の過酸化水素水溶液の濃度管理システムの1実施態様を説明する。
図2に示す過酸化水素の濃度管理システムにおいて、濃度測定システム(9)は、図1に示す液体ポンプ(4)から過酸化水素検出用UV吸収スペクトル測定装置(7)までを備えてなり、過酸化水素含有水溶液である被測定サンプルは、エッチング槽のような過酸化水素含有水溶液槽(18)から被測定サンプル供給ライン(2)を介して濃度測定システム(9)に導入され、過酸化水素濃度が過酸化水素と硫酸チタンの錯化合物の吸光度として測定される。得られた吸光度のデータは、信号として演算装置(10)へ送られ、ここで演算により過酸化水素濃度及び供給量に変換される。この供給量分の過酸化水素水溶液を液体用ポンプ(12)によってユースポイントに供給する。ここで、液体用ポンプ(12)は、送液量等により適宜選択すれることができ、例えば、チューブポンプ、プランジャーポンプ、ダイアフラムポンプ等の定量ポンプが挙げられる。即ち、過酸化水素含有水溶液槽(18)中の過酸化水素の設定濃度と対比され、被測定サンプル中の過酸化水素濃度が設定濃度値を下回っている場合には、演算装置(10)からの信号により液体用ポンプ(12)が稼動し、過酸化水素水溶液槽(11)から過酸化水素水溶液を過酸化水素水溶液供給ライン(13)を介して過酸化水素含有水溶液槽(18)へ所定量供給できる構成となっている。
【0034】
ここで、被測定サンプルに加えられる硫酸チタン供給ライン(1)を介して供給される硫酸チタンは、通常水溶液として使用される。例えば、過酸化水素含有水溶液槽(18)が金属部材のエッチング液である場合を例にすると、エッチング液中の過酸化水素濃度(設定値)は5〜50g/リットル、好ましくは5〜30g/リットルの範囲内である。硫酸チタンは、被測定サンプル中の過酸化水素に対して過剰に使用されるので5〜30質量%、好ましくは5〜25質量%の水溶液が使用に適している。また、UV吸収スペクトル測定のために、被測定試料中の過酸化水素と硫酸チタンとの錯化合物の濃度を、過酸化水素検出用UV吸収スペクトル測定装置の規格に合わせて希釈することもできる。この場合、UV吸収スペクトル測定の前に被測定サンプルを希釈水で希釈するのが好ましい。また、過酸化水素水溶液供給ライン(13)を介して補給される過酸化水素水溶液の濃度は、過酸化水素含有水溶液槽(18)中の過酸化水素の濃度設定値の濃度範囲によって選択される。金属部材のエッチング液の場合は、過酸化水素水溶液の濃度は、1〜50質量%、好ましくは5〜30質量%の範囲内である。
【0035】
本発明の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定方法及び測定システム、過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の管理方法並びに管理システムは、例えば、金属部材のエッチング、殺菌工程、洗浄工程、漂白工程、排水管理等に適用できる。また、本発明の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度は、高感度であるので環境水中の過酸化水素の測定にも適用できる。
【0036】
次に、本発明の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定システムに金属硫酸塩濃度の測定システムを組み込んだ実施態様について説明する。金属硫酸塩濃度の測定システムを組み込むことにより過酸化水素同様の手法で金属硫酸塩濃度の制御が同時に可能となるので、過水−硫酸系エッチングに最も好適に適用できる。金属硫酸塩濃度の測定システムについては、例えば金属硫酸塩が硫酸銅である場合には、硫酸銅を制御の指標とすることで、過酸化水素の濃度測定システムと共用できる。
【0037】
金属硫酸塩濃度の測定は、金属硫酸塩の有するUV吸収スペクトルを利用するものであり、金属硫酸塩のUV吸収スペクトルを測定するために使用されるUV波長は、過酸化水素含有水溶液中に含まれる金属硫酸塩が有するUV吸収スペクトルのうち、過酸化水素、硫酸及びチタンイオンの存在下においても定量性のある吸収であり、硫酸チタンや過酸化水素と硫酸チタンとの錯化合物による吸収の影響のない範囲を選択すればよい。
【0038】
例えば、過酸化水素含有水溶液に含まれる金属イオンが銅イオンである場合、金属硫酸塩は硫酸銅である。硫酸銅は、水溶液において硫酸及び金属イオンの濃度に影響されず600nmを超える範囲にλmax820nmのUV吸収スペクトルを示す。この吸収の吸光度は、硫酸、過酸化水素、チタンイオンの濃度に影響されずに硫酸銅の濃度のみに定量的に依存する。従って、硫酸銅の濃度を測定する場合には、この範囲の吸光度と硫酸銅濃度を検量化して求めるのがよい。この方法で定量化できる過酸化水素含有水溶液中の硫酸銅の濃度は、0.10〜25質量%である。
【0039】
次に、図3を用いて本発明の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定システムに金属硫酸塩濃度の測定システムを組み込んだ実施態様を説明する。
図3に示すシステムは、図1に示すシステムの過酸化水素検出用UV吸収スペクトル測定装置(7)の下流側に、金属硫酸塩検出用UV吸収スペクトル測定装置(7’)を設置したものであり、金属硫酸塩検出用UV吸収スペクトル測定装置(7’)により例えば硫酸銅については600nmを超え900nmまでの波長領域の所定の波長における吸光度を測定し、金属硫酸塩検出用UVスペクトル測定装置(7’)は、吸光度の測定結果を電気信号として出力したり、吸光度を監視できる構成となっている。なお、測定後の被測定試料は、被測定ドレイン(8)を介して系外に排出される構成となっている。
【0040】
次に、過水−硫酸系エッチングシステムに、上記過酸化水素濃度の管理システム並びに硫酸銅濃度の管理システムを組み込んだ1実施態様を図4を使用して説明する。
図4において、濃度測定システム(9’)は、図3に示す液体用ポンプ(4)から金属硫酸塩検出用UV吸収スペクトル測定装置(7’)までを備えてなり、過酸化水素含有水溶液である被測定サンプルは、エッチング槽(17)から被測定サンプル供給ライン(2)を介して濃度測定システム(9’)に導入され、過酸化水素濃度が過酸化水素と硫酸チタンの錯化合物の吸光度として測定される。得られた吸光度のデータは、信号として演算装置(10)へ送られ、ここで演算により過酸化水素水溶液の供給量に変換される。この供給量分を液体用ポンプ(12)によって過酸化水素水溶液槽(11)からの過酸化水素水溶液をエッチング槽(17)に供給する。また、金属硫酸塩濃度が金属硫酸塩の吸光度として測定される。得られた吸光度のデータは、信号として演算装置(10)へ送られ、ここで演算により硫酸の供給量に変換される。この供給量分を液体用ポンプ(14)によって硫酸水溶液をエッチング槽(17)に供給する。ここで、液体用ポンプ(14)は、送液量等により適宜選択すれることができ、例えば、チューブポンプ、プランジャーポンプ、ダイアフラムポンプ等の定量ポンプが挙げられる。
【0041】
即ち、過酸化水素濃度のデータは、エッチング槽(17)中の過酸化水素の設定濃度と対比され、被測定サンプル中の過酸化水素濃度が設定濃度値を下回っている場合には、演算装置(10)からの信号により液体用ポンプ(12)が稼動し、過酸化水素水溶液槽(11)から過酸化水素水溶液を過酸化水素水溶液供給ライン(13)を介してエッチング槽(17)へ所定量供給できる構成となっている。また、金属硫酸塩濃度のデータは、エッチング槽(17)中の過酸化水素含有水溶液液中の硫酸濃度と対比され、消費された硫酸から補給すべき硫酸の供給量を算出し、これにより算出された量の硫酸水溶液を硫酸水溶液槽(14)から液体用ポンプ(15)を介してエッチング槽(17)に供給できる構成となっている。これにより過酸化水素と硫酸の濃度管理を同時に行なうことができる。エッチング槽(17)に供給される硫酸水溶液の濃度は5〜60質量%、好ましくは10〜50質量%の範囲内である。
【0042】
この金属部材エッチングシステムにより加工される金属材料は、過酸化水素を酸化剤として使用するエッチングが適応できるものであれば特に制限されないが、銅および銅合金に代表される銅含有材料が好適である。銅合金としては銅−アルミニウム合金等が挙げられる。
【0043】
なお、このエッチングシステムには、本発明の濃度管理システム以外に、比重、電位差、滴定等を指標とする管理システム等の他の薬液管理システムを備えていてもよく、エッチング液の濃度調整のための水供給装置が備えられていてもよい。
【0044】
このエッチングシステムは、金属材料の表面処理(表面粗化、ソフトエッチング)、パターニングに使用することができ、具体的には、プリント配線基板、パッケージ用基板、COF、TAB等の使用することができる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例、評価例及び比較例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施例等によって、何ら制限を受けるものではないことを理解されたい。
実施例1
図3に示される過酸化水素と金属硫酸塩濃度の測定システムにより、下記の条件により過酸化水素、硫酸、硫酸銅の混合水溶液のUV吸光度の連続フロー測定を行なった。各濃度における吸光度の経時変化を観察した。結果を表1に示す。
(UV吸光度測定条件)
硫酸チタン水溶液濃度:10質量%、流量:0.8ml/分
(硫酸チタンの過酸化水素に対する反応当量の1.2〜3.5倍)
混合水溶液流量:0.6ml/分
希釈水流量:1.2ml/分
被測定試料流量:2.6ml/分
被測定試料液温:24℃
過酸化水素検出用UV吸収スペクトル測定装置:日本分光社製875-UV
測定装置のセル光路長及び測定波長:光路長0.1mm 波長500nm
金属硫酸塩検出用UV吸収スペクトル測定装置:日本分光社製UV−2070
測定装置のセル光路長及び測定波長:光路長1.0mm 波長800nm
【0046】
【表1】

【0047】
上記より、本発明の濃度測定システムは、安定したUV吸収を保持し、これによって、定量的な濃度測定が可能であることが確認できた。
【0048】
実施例2
図1に示す過酸化水素濃度の測定システムを銅のウエットエッチング装置に取り付け、銅のエッチング処理稼動中のエッチング液のUV吸光度を下記の条件で連続的に測定した。これとは別に特定の時間にエッチング液をサンプリングし、過マンガンカリウムを使用した電位差滴定法による過酸化水素の分析を行った。滴定による濃度分析のためのサンプリング時の吸光度と滴定により得られた過酸化水素の濃度について、表2に示す。
(UV吸光度測定条件)
硫酸チタン水溶液濃度:10質量% 流量:0.6ml/分
(硫酸チタンの過酸化水素初期濃度に対する反応当量の2.1倍)
混合水溶液流量:0.6ml/分
希釈水流量:0.6ml/分
被測定試料流量:1.8ml/分
被測定試料液温:22〜26℃
過酸化水素検出用UV吸収スペクトル測定装置:日本分光社製875-UV
測定装置のセル光路長及び測定波長:光路長0.1mm 波長500nm
(エッチング条件)
エッチング液初期組成:過酸化水素濃度:18.3g/リットル、硫酸濃度:39g/リットル、第二硫酸銅5水和物98.2g/リットル
エッチング方法:スプレー方式
エッチング槽の液保有量:350リットル
エッチング有効距離:1700mm
エッチング液温:30℃
スプレー圧:0.1MPa
コンベア速度:2〜3m/分
銅エッチング処理面積:400m
エッチング速度:2μm/分
【0049】
【表2】

【0050】
上記結果より、本発明の過酸化水素濃度の測定方法により、銅ウエットエッチングにおける過酸化水素濃度を連続的にモニターできること確認できた。得られた吸光度をもとにエッチング液中の過酸化水素濃度及びエッチング液に補給すべき過酸化水素量を算出し、エッチング液に供給することでエッチング液の濃度管理システムを備えてなるエッチングシステムとなる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定方法は、洗浄剤、殺菌剤、漂白剤、酸化剤、触媒、エッチング液等の過酸化水素含有水溶液の管理に幅広く使用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1、1’:硫酸チタン供給ライン、2、2’:被測定サンプル供給ライン、3、3’:希釈液供給ライン、4:液体用ポンプ、5:混合槽、6:被測定試料供給ライン、7:過酸化水素検出用UV吸収スペクトル測定装置、7’: 金属硫酸塩検出用UV吸収スペクトル測定装置、8:被測定試料ドレイン、9:濃度測定システム、10:演算装置、11:過酸化水素水溶液槽、12:液体用ポンプ、13:過酸化水素水溶液供給ライン、14:硫酸水溶液槽、15:液体ポンプ、16:硫酸水溶液供給ライン、17:エッチング槽、18:過酸化水素含有水溶液槽。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定方法において、過酸化水素含有水溶液に硫酸チタンを加えることにより、過酸化水素とチタンとの錯化合物を形成し、該錯化合物のUV吸収スペクトルを吸光度として測定することを特徴とする過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定方法。
【請求項2】
過酸化水素とチタンとの錯化合物の350〜600nmの範囲のUV吸収スペクトルを測定する、請求項1に記載の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定方法。
【請求項3】
過酸化水素含有水溶液が金属部材のエッチング液である、請求項1または2に記載の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定方法。
【請求項4】
金属部材が、銅または銅合金である、請求項3に記載の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定方法。
【請求項5】
過酸化水素含有水溶液から被測定サンプルをサンプリングするためのサンプリング装置、硫酸チタンを導入するための試薬供給装置、サンプリングされた被測定サンプルと供給された硫酸チタンとを混合して被測定試料を調製するための混合槽、混合槽から被測定試料中のUV吸収スペクトルを測定するための過酸化水素検出用UV吸収スペクトル測定装置を備えてなることを特徴とする過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定システム。
【請求項6】
被測定サンプルを希釈するための希釈液供給装置を備えてなる、請求項5記載の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定システム。
【請求項7】
更に、金属硫酸塩検出用UV吸収スペクトル測定装置を備えてなる、請求項5または6記載の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の測定システム。
【請求項8】
過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の管理方法において、過酸化水素含有水溶液から被測定用サンプルを採取し、被測定用サンプルに硫酸チタンを加えることにより、過酸化水素とチタンとの錯化合物を含有する被測定用試料を形成し、被測定用試料中の該錯化合物のUV吸収スペクトルを過酸化水素検出用UV吸収スペクトル測定装置により吸光度として測定し、得られた測定結果を演算装置に送り、過酸化水素含有水溶液中の予め設定された過酸化水素濃度と測定結果を対比し、過酸化水素濃度が設定値を下回っている場合には、過酸化水素水溶液供給装置から過酸化水素含有水溶液へ過酸化水素水溶液を補充することを特徴とする過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の管理方法。
【請求項9】
過酸化水素含有水溶液から被測定サンプルをサンプリングするためのサンプリング装置、硫酸チタンを導入するための試薬供給装置、サンプリングされた被測定サンプルと供給された硫酸チタンとを混合して被測定試料を調製するための混合槽、混合槽から被測定試料中のUV吸収スペクトルを測定するための過酸化水素検出用UV吸収スペクトル測定装置、過酸化水素含有水溶液中の予め設定された過酸化水素濃度と測定結果を対比するための演算装置、演算装置からの信号により過酸化水素水溶液を過酸化水素含有水溶液へ補充するための過酸化水素水溶液供給装置を備えてなることを特徴とする過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の管理システム。
【請求項10】
被測定サンプルを希釈するための希釈液供給装置を備えてなる、請求項9記載の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度の管理システム。
【請求項11】
過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度及び硫酸濃度の管理方法において、過酸化水素含有水溶液から被測定用サンプルを採取し、被測定用サンプルに硫酸チタンを加えることにより、過酸化水素とチタンとの錯化合物を含有する被測定用試料を形成し、被測定用試料中の該錯化合物のUV吸収スペクトルを過酸化水素検出用UV吸収スペクトル測定装置により吸光度として測定し、得られた測定結果を演算装置に送り、過酸化水素含有水溶液中の予め設定された過酸化水素濃度と測定結果を対比し、過酸化水素濃度が設定値を下回っている場合には、過酸化水素水溶液供給装置から過酸化水素含有水溶液へ過酸化水素水溶液を補充すると共に、被測定用試料中の金属硫酸塩のUV吸収スペクトルを金属硫酸塩検出用UV吸収スペクトル測定装置により吸光度として測定し、得られた測定結果を演算装置に送り、過酸化水素含有水溶液中の予め設定された硫酸濃度と測定結果を対比し、硫酸濃度が設定値を下回っている場合には、硫酸水溶液供給装置から過酸化水素含有水溶液へ硫酸水溶液を補充することを特徴とする過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度及び硫酸濃度の管理方法。
【請求項12】
過酸化水素含有水溶液から被測定サンプルをサンプリングするためのサンプリング装置、硫酸チタンを導入するための試薬供給装置、サンプリングされた被測定サンプルと供給された硫酸チタンとを混合して被測定試料を調製するための混合槽、混合槽から被測定試料中のUV吸収スペクトルを測定するための過酸化水素検出用UV吸収スペクトル測定装置、過酸化水素検出用UV吸収スペクトル測定装置の下流側に設けられた金属硫酸塩検出用UV吸収スペクトル測定装置、過酸化水素含有水溶液中の予め設定された過酸化水素濃度及び硫酸濃度と測定結果を対比するための演算装置、演算装置からの信号により過酸化水素水溶液を過酸化水素含有水溶液へ補充するための過酸化水素水溶液供給装置及び演算装置からの信号により硫酸水溶液を過酸化水素含有水溶液へ補充するための硫酸水溶液供給装置を備えてなることを特徴とする過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度及び硫酸濃度の管理システム。
【請求項13】
被測定サンプルを希釈するための希釈液供給装置を備えてなる、請求項12記載の過酸化水素含有水溶液中の過酸化水素濃度及び硫酸濃度の管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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