説明

道案内システムおよび道案内方法

【課題】直感的にわかりやすい簡便な道案内システムを提供する。
【解決手段】利用者が本道案内システムに近づくと、制御装置は撮像機2の画像から利用者を認識し、制御装置の指示により、記憶装置に記憶されている地図情報Mが画像投影装置1によって利用者近傍の床面に投影される。利用者が地図情報Mに表示される目的地を指示すると、撮像機2が撮像した利用者の動きに基づいて制御装置が目的地を判断して目的地の方向を決定し、制御装置の指示により、記憶装置に記憶されている目的地の方向を示す方向指示マークDが画像投影装置1によって利用者近傍の床面に投影される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公共施設や商業施設などに設置して、目的地に応じた道案内情報を表示する道案内システムおよび道案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、施設案内手段あるいは装置として、パンフレットや壁に地図を掲示したり、携帯電話や携帯情報端末を利用した地図情報サービスなどがある(例えば、特許文献1参照)。
これらの案内はそれなりに有効であるが、地図と周りの様子を整合させようとした場合、自分の(想定している)向きと地図の向きに違いがあると、迷いを生じ、最悪の場合、目的地に到達できなくなることがある。特に、屋内施設や地下街、駅の出口、展示場など各方向が似たような景色であったり、記憶と似た景色がある場合、思い込みによる間違いを生じやすい。
【0003】
そこで、特許文献2では、以下の情報表示方法及びシステムが開示されている。即ち、顧客が携帯する識別タグから、顧客に固有の識別タグ情報と位置情報を認識装置が受信して設備サーバの認識用PCに当該情報が送られると、認識用PCがこの情報を解析し、解析結果が画像データサーバに送られる。そうすると、 画像生成用PCが 、かかる画像データから案内画像信号を 生成し、顧客に最も近い画像投影装置を介して 顧客の近傍の床面に案内画像を表示させるものである 。そして、この方法によれば、データが水平面に投影されるので、方向感覚のずれが起こりにくいという利点がある。
【特許文献1】特開2003−70041号公報
【特許文献2】特開2004−110377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に記載された情報表示方法及びシステムの場合、利用者が常時、識別タグを携帯しておく必要があるうえ、大掛りなシステムとなるため、コストが掛かるという問題がある。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、直感的にわかりやすい簡便な道案内システムおよび道案内方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る道案内システムは、壁面あるいは床面に地図情報および方向指示マークを投影する画像投影装置と、利用者を撮像する撮像機と、当該撮像機が撮像した画像から目的地を判断して目的地の方向を決定し、目的地の方向を示す方向指示マークを床面に投影するように前記画像投影装置に指示する制御装置とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る道案内システムでは、GPS装置を備える移動体に前記画像投影装置と前記撮像機と前記制御装置が搭載され、目的地の位置情報および前記GPS装置から得られる利用者の位置情報に基づいて、前記制御装置が行くべき方向を決定し、行くべき方向を示す方向指示マークを床面に投影するように前記画像投影装置に指示するようにしてもよい。
【0008】
また、本発明に係る道案内システムでは、前記利用者には、前記地図情報および前記方向指示マークの投影と共に、音声案内および移動機械による目的地への誘導の少なくとも一方が提供されるようにしてもよい。
【0009】
また、本発明に係る道案内システムでは、人の動線を検知する検知装置を備え、前記動線の状態から前記利用者への案内提供の必要を確認し、該必要を有する前記利用者に対して前記画像投影装置より前記地図情報を投影するようにしてもよい。
【0010】
また、本発明に係る道案内方法は、画像投影装置によって壁面あるいは床面に投影された地図情報が撮像機によって撮像されており、利用者が前記地図情報に表示される目的地を指示すると、前記撮像機が捉えた利用者の動きに基づいて制御装置が目的地を判断して目的地の方向を決定し、目的地の方向を示す方向指示マークを投影するように前記画像投影装置に指示し、当該方向指示マークが前記画像投影装置によって床面に投影されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る道案内方法では、GPS装置を備える移動体に前記画像投影装置と前記撮像機と前記制御装置が搭載されており、利用者が前記移動体とともに移動すると、目的地の位置情報および前記GPS装置から得られる利用者の位置情報に基づいて前記制御装置が行くべき方向を決定し、行くべき方向を示す方向指示マークを投影するように前記画像投影装置に指示し、当該方向指示マークが前記画像投影装置によって床面に投影されるようにしてもよい。
【0012】
また、本発明に係る道案内方法では、予め前記利用者は人の動線を検知する検知装置により道に迷っている対象人物であるかを判断し、前記対象人物に該当するものと判定された場合に前記地図情報の提供の必要を確認し、該必要を有する場合に前記画像投影装置より前記地図情報を床面に投影させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る道案内システムおよび道案内方法では、画像投影装置によって壁面あるいは床面に投影された地図情報に表示される目的地を利用者が指示すれば、撮像機が捉えた利用者の動きに基づいて制御装置が目的地を判断して目的地の方向を決定し、目的地の方向を示す方向指示マークが画像投影装置によって床面に投影されるので、直感的にわかりやすいうえ、利用者が個々に特別なデバイスを用意する必要がない。
また、GPS装置を備える移動体に上記各装置を搭載すれば、利用者が移動体とともに移動することにより、目的地の位置情報およびGPS装置から得られる利用者の位置情報に基づいて制御装置が行くべき方向を決定して、行くべき方向を示す方向指示マークを適宜、床面に投影させることができるので、道案内の範囲が拡大し、利用者へのサービス向上につながる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に本発明に係る道案内方法を説明するための概念図を、また図2にそのシステム構成を説明するためのブロック図を、図3にそのシステムによる人の動線の検知方法を説明するための概念図を、図4(a)、(b)に案内情報の提供手段を説明するための図を示す。
本道案内システムは、データプロジェクターなどの画像投影装置1と、利用者の動作を撮像するカメラなどの撮像機2と、画像投影装置1および撮像機2を制御するための制御装置3、さらには地図情報Mや方向指示マークDなどが記憶されているハードディスクなどの記憶装置4を主構成要素とする。
【0015】
利用者が本道案内システムに近づくと、制御装置3は撮像機2の画像から利用者を認識し、制御装置3の指示により、記憶装置4に記憶されている地図情報Mが画像投影装置1によって利用者近傍の床面に投影される。あるいは、呼び出しボタン、音声認識、人感センサーなどをトリガーとして床面に地図情報Mを投影させるようにしてもよい。
【0016】
利用者が地図情報Mに表示される目的地を指示すると、撮像機2が撮像した利用者の動きに基づいて制御装置3が目的地を判断して目的地の方向を決定し、制御装置3の指示により、記憶装置4に記憶されている目的地の方向を示す方向指示マークDが画像投影装置1によって利用者近傍の床面に投影される
【0017】
この際、矢印などの方向指示マークDが移動すべき方向に次第に移動するようにすると、利用者に、よりわかりやすい本道案内システムとなる。なお、方向指示マークDの移動は、方向指示マークDの投影位置を徐々に変化させたりすることで実現することができる。
【0018】
次に、本道案内システムによる地図情報などの提供方法について図面に基づいて説明する。
図3に示すように、本道案内システムには、人の動線(人の移動軌跡)などをモニタリングするカメラや人感センサーなどの検知装置7が設けられている。この検知装置7によりモニタリングされた映像に写る人の動線は、例えば道に迷っていない人の場合に目的地に向かってほぼ直線的動線L1となり、迷っている人の場合に逡巡するような動線L2となる。このように、モニタリングされた動線を分析して判断し、逡巡する動線L2を形成する対象人物(利用者)に該当するものと判定された場合に、上述した地図情報Mなどの案内情報の提供の必要性を確認する。この案内情報の提供手段として、図4(a)に示すように画像投影装置1からの対象人物の近辺に、例えば文字情報を投影して表示したり、図4(b)のような音声機能を有した移動機械8を対象人物に近寄らせて音声による問い掛けを発信させるなどの手段を用いることができる。
【0019】
これに対して、対象人物が案内情報の提供を必要とするか否かを確認する方法として、対象人物による音声を認識する方法、投影した情報表示への動作(例えば、足で表示を踏む、表示を指差しするなど)をカメラやセンサーを通して確認する方法、接近させた移動機械8に備えられているボタンを操作する方法などがある。その結果、対象人物が案内情報提供を必要としないという意思表示をした場合には、案内活動を停止する。一方、対象人物が案内情報提供を要求した場合の提供手段として、地図情報Mの投影や目的地の提示(図1参照)、音声案内、移動機械8による誘導などがなされる。
【0020】
本実施形態では、画像投影装置1によって床面に投影された地図情報Mに表示される目的地を利用者が指示すれば、撮像機2が捉えた利用者の動きに基づいて制御装置3が目的地を判断して目的地の方向を決定し、目的地の方向を示す方向指示マークDが画像投影装置1によって利用者近傍の床面に投影されるので、直感的にわかりやすいうえ、利用者が個々に特別なデバイスを用意する必要がない。
【0021】
図5は、地図情報および方向指示マークに関する他の投影方法を示したものである。
先の実施形態では、利用者を確認した時点で床面上に地図情報Mを表示するシステムとしたが、常時、壁面に地図情報mを投影しておき、利用者が地図情報mに表示される目的地を指示すると、床面上に地図情報Mおよび目的地の方向を示す方向指示マークDが投影されるようにしてもよい。
【0022】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図6に本発明に係る他の道案内方法を説明するための概念図を、また図7にそのシステム構成を説明するためのブロック図を示す。
本道案内システムは、GPS装置6を備える移動体5上に画像投影装置1、撮像機2、制御装置3、および記憶装置4を備えた構成とされている。
【0023】
ここで、移動体5は自走式、手押し式のいずれでもよい。
また、GPSとは、Global Positioning System(全地球測位システム)の略称であり、 人工衛星を利用して自分 が地球上のどこにいるのか正確に割り出すことができる。
【0024】
先ず、先の実施形態と同様に、画像投影装置1によって床面または壁面に投影された地図情報Mに表示される目的地を利用者が指示しておく。これにより、撮像機2が捉えた利用者の動きに基づいて制御装置3が目的地を判断し、目的地の位置情報が記憶装置4から読み込まれることになる
その後、利用者が移動体5とともに移動すると、先に得られた目的地の位置情報およびGPS装置6から得られる利用者の位置情報に基づいて、制御装置3が行くべき方向を決定する。そして、制御装置3の指示により、記憶装置4に記憶されている行くべき方向を示す方向指示マークDが画像投影装置1によって利用者近傍の床面に投影される。
【0025】
本実施形態では、GPS装置6を備える移動体5上に画像投影装置1、撮像機2、制御装置3、および記憶装置4を搭載しているので、利用者が移動体5とともに移動することにより、目的地の位置情報およびGPS装置6から得られる利用者の位置情報に基づいて制御装置3が行くべき方向を決定して、行くべき方向を示す方向指示マークDを適宜、床面に投影させることができる。その結果、道案内の範囲が拡大し、利用者へのサービスが向上する。
【0026】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記の実施形態では、目的地を指で示すようにしているが、地図情報上に目的地に対応するスイッチのイメージを投影し、当該スイッチのイメージを押す動作をさせるようにしてもよい。要は、本発明において所期の機能が得られればよいのである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る道案内方法を説明するための概念図である。
【図2】本発明に係る道案内システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る道案内システムによる人の動線の検知方法を説明するための概念図である。
【図4】(a)、(b)は案内情報の提供手段を説明するための図である。
【図5】地図情報および方向指示マークの他の投影方法を説明するための概念図である。
【図6】本発明に係る他の道案内方法を説明するための概念図である。
【図7】本発明に係る他の道案内システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0028】
1 画像投影装置
2 撮像機
3 制御装置
4 記憶装置
5 移動体
6 GPS装置
7 検知装置
8 移動機械
M、m 地図情報
D 方向指示マーク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面あるいは床面に地図情報および方向指示マークを投影する画像投影装置と、利用者を撮像する撮像機と、当該撮像機が撮像した画像から目的地を判断して目的地の方向を決定し、目的地の方向を示す方向指示マークを床面に投影するように前記画像投影装置に指示する制御装置とを備えることを特徴とする道案内システム。
【請求項2】
GPS装置を備える移動体に前記画像投影装置と前記撮像機と前記制御装置が搭載され、
目的地の位置情報および前記GPS装置から得られる利用者の位置情報に基づいて、前記制御装置が行くべき方向を決定し、行くべき方向を示す方向指示マークを床面に投影するように前記画像投影装置に指示することを特徴とする請求項1に記載の道案内システム。
【請求項3】
前記利用者には、前記地図情報および前記方向指示マークの投影と共に、音声案内および移動機械による目的地への誘導の少なくとも一方が提供されることを特徴とする請求項1又は2に記載の道案内システム。
【請求項4】
人の動線を検知する検知装置を備え、前記動線の状態から前記利用者への案内提供の必要を確認し、該必要を有する前記利用者に対して前記画像投影装置より前記地図情報を投影することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の道案内システム。
【請求項5】
画像投影装置によって壁面あるいは床面に投影された地図情報が撮像機によって撮像されており、利用者が前記地図情報に表示される目的地を指示すると、前記撮像機が捉えた利用者の動きに基づいて制御装置が目的地を判断して目的地の方向を決定し、目的地の方向を示す方向指示マークを投影するように前記画像投影装置に指示し、当該方向指示マークが前記画像投影装置によって床面に投影されることを特徴とする道案内方法。
【請求項6】
GPS装置を備える移動体に前記画像投影装置と前記撮像機と前記制御装置が搭載されており、利用者が前記移動体とともに移動すると、目的地の位置情報および前記GPS装置から得られる利用者の位置情報に基づいて前記制御装置が行くべき方向を決定し、行くべき方向を示す方向指示マークを投影するように前記画像投影装置に指示し、当該方向指示マークが前記画像投影装置によって床面に投影されることを特徴とする請求項5に記載の道案内方法。
【請求項7】
予め前記利用者は人の動線を検知する検知装置により道に迷っている対象人物であるかを判断し、前記対象人物に該当するものと判定された場合に前記地図情報の提供の必要を確認し、該必要を有する場合に前記画像投影装置より前記地図情報を床面に投影させることを特徴とする請求項5又は6に記載の道案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−149053(P2007−149053A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−94130(P2006−94130)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】