説明

道路データ更新装置

【課題】 経路案内情報として利用価値が比較的低いことが想定される経路情報を道路情報としての登録対象から外す。
【解決手段】 地図データ記憶部3と、走行経路認識部7と、走行経路認識部7において認識した走行経路に応じて該地図データ記憶部に記憶されている道路データの更新を制御する制御部10と、をそなえ、制御部10が、該走行中の経路が、地図データ記憶部3で記憶されておらず、かつ該車両の往来交通用となる道路であるか否かを判定する道路判定部11と、該道路であると判定された経路については地図データ記憶部3に新規の道路データとして記憶する一方、該道路でないと判定された経路については地図データ記憶部3への記憶を行なわない記憶制御部12と、をそなえるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路データ更新装置に関し、特に車両における走行経路を案内するナビゲーション装置として用いて好適の、道路データ更新装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載されたナビゲーション装置において、ナビゲーション装置で管理する地図情報に無い情報でも、走行する毎に新たな地図情報として活用することが検討されている。特許文献1〜3には、地図情報に無い新規経路を走行した場合に、走行した新規経路を新たな道路データとして地図情報を更新する技術について記載されている。その他、地図情報を更新する技術として、特許文献4,5に記載された技術もある。
【特許文献1】特開平11−37787号公報
【特許文献2】特開2002−48559号公報
【特許文献3】特開2003−130656号公報
【特許文献4】特開2002−296042号公報
【特許文献5】特開2002−4382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ナビゲーション装置における地図情報として登録されていない道路について地図情報として更新する場合において、例えば河川敷や大型の駐車場内等の公道でない経路や、山奥の林道等、車両の交通のために利用することが適当でない経路等については、一般に車両に搭載されたナビゲーション装置における経路案内情報として利用価値が比較的低いことが想定される。
【0004】
このような経路案内情報として利用価値が比較的低いことが想定される経路情報については、地図情報を記憶する記憶装置の容量を有効に利用する観点からも、道路情報としての登録対象から外すことが好ましい。特許文献1〜5に記載された技術においては、上述のごとき経路案内情報として利用価値が比較的低いことが想定される経路情報を道路情報としての登録対象から積極的に外すための技術については開示されていない。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、経路案内情報として利用価値が比較的低いことが想定される経路情報を道路情報としての登録対象から外すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本発明の道路データ更新装置は、測位システムに基づいて車両が走行する経路について該車両の位置とともに認識する走行経路認識部と、該走行経路認識部において認識した走行経路に応じて地図データ記憶部に記憶されている道路データの更新を制御する制御部と、をそなえ、該制御部が、該走行中の経路が、該地図データ記憶部で記憶されておらず、かつ該車両の往来交通用となる道路であるか否かを判定する道路判定部と、該道路判定部で該道路であると判定された経路については該地図データ記憶部に新規の道路データとして記憶する一方、該道路判定部で該道路でないと判定された経路については該地図データ記憶部への記憶を行なわない記憶制御部と、をそなえたことを特徴としている。
【0007】
この場合においては、好ましくは、該道路判定部を、該走行経路認識部において認識した走行経路が、該地図データ記憶部で記憶されている道路に一致するかを照合により判定する照合部と、該走行中の経路が、該地図データ記憶部で記憶されていない走行経路であると該照合部で判定された場合に、該車両についての操作動作状態、該走行経路認識部で認識する経路位置以外の該車両の外部の環境、又は、上記の操作動作状態及び環境の双方に関する情報に基づいて、該走行中の経路が該車両の往来交通用となる道路であるか否かを判定する情報判定部と、をそなえることとしてもよい。
【0008】
さらに、該車両の外部の環境として、該車両の周囲環境を撮影するカメラからの映像データを取り込む映像データ取込部と、該映像データ取込部で取り込まれた映像データから走行通路幅を検知するとともに、検知した走行通路幅が該車両の走行に適したものか否かを判定する走行通路幅判定部と、をそなえ、該情報判定部では、該走行通路幅判定部において該車両の走行に適さない走行通路幅であると判定された場合には、該走行中の経路を該道路でないと判定し、該記憶制御部で新規の道路データとして記憶しないこととすることができる。
【0009】
また、該車両の外部の環境として、該車両の周囲環境を撮影するカメラからの映像データを取り込む映像データ取込部と、該映像データ取込部で取り込まれた映像データから該車両が駐車場施設内にあることを検知する駐車場検知部と、をそなえ、該情報判定部では、該駐車場検知部で該車両が駐車場施設内にあると検知された場合には、該走行中の経路を該道路でないと判定し、該記憶制御部で新規の道路データとして記憶しないこととすることもできる。
【0010】
また、該車両の運転操作を監視する運転操作監視部をそなえ、該情報判定部では、該運転操作監視部での監視の結果、該地図データ記憶部で記憶されていない走行経路であると該照合部で判定されてから所定時間内に、該車両についての切り返し操作や後退操作があった場合には、該走行中の経路を該道路でないと判定し、該記憶制御部で新規の道路データとして記憶しないこととすることができる。
【0011】
さらに、該車両の走行速度を検知する車速検知部をそなえ、該情報判定部では、該車速検知部で検知された該車両の走行速度が所定速度よりも遅い場合には、該走行中の経路を未舗装路であり該道路でないと判定し、該記憶制御部で新規の道路データとして記憶しないこととすることもできる。
さらに、該地図データ記憶部では高度情報についても記憶しておく一方、該車両の位置における高度を監視する高度監視部をそなえ、該情報判定部では、該高度監視部での高度監視の結果、該車両の位置における高度と該地図データ記憶部に記憶されている対応地点の高度との差が所定の閾値よりも高い場合には、該走行中の経路を該道路であると判定して、該記憶制御部で新規の道路データとして記憶することとすることができる。
【0012】
また、道路工事情報を受信する道路工事情報受信部と、該道路工事情報受信部からの道路工事情報に基づいて、該走行中の経路が道路工事を迂回するための一時的な迂回路であるか否かを判定する迂回路判定部と、をそなえ、該情報判定部では、該迂回路判定部において該走行中の経路が道路工事を迂回するための一時的な迂回路であると判定された場合には、該走行中の経路を該道路でないと判定し、該記憶制御部で新規の道路データとして記憶しないこととすることもできる。
【0013】
さらに、該車両の振動を監視する振動監視部をそなえ、該情報判定部では、該振動監視部での監視の結果、検知された該車両の振動が所定強度よりも強い場合には、該走行中の経路を未舗装路であり該道路でないと判定し、該記憶制御部で新規の道路データとして記憶しないこととしてもよい。
また、該車両の外部の環境として、該車両の周囲環境を撮影するカメラからの映像データを取り込む映像データ取込部と、該映像データ取込部で取り込まれた映像データから該車両の進行方向に障害物出現の頻度を検知する障害物出現頻度検知部と、をそなえ、該情報判定部では、該障害物出現頻度検知部で検知された該障害物出現の頻度が、所定閾値よりも大きい場合には、該走行中の経路を該道路でないと判定し、該記憶制御部で新規の道路データとして記憶しないこととすることができる。
【0014】
さらに、該車両の運転操作を監視する運転操作監視部をそなえ、該情報判定部では、該運転操作監視部での監視の結果、走行中のハンドル操作の頻度が所定閾値よりも大きい場合には、該走行中の経路を該道路でないと判定し、該記憶制御部で新規の道路データとして記憶しないこととしてもよい。
また、該走行中の経路が、該地図データ記憶部で記憶されていない走行経路であると該照合部で判定された場合に、該走行中の経路について、道路更新候補データとして、地図データについて管理する地図データ管理センタに送信する更新候補データ送信部と、該地図データ管理センタにおいて他の車両から一定期間内に同じ道路更新候補データを複数受信した場合に、該地図データ管理センタから送信される当該道路更新候補データについての更新指示を受信する更新指示受信部と、をそなえ、該記憶制御部では、該更新指示受信部において該更新指示を受信した道路更新候補データについて、該地図データ記憶部に新規の道路データとして記憶することとすることができる。
【0015】
さらに、同一経路の複数周回を検知する複数周回検知部をそなえ、該情報判定部では、該複数周回検知部において同一経路の複数周回を検出した場合には、該走行中の経路を該道路でないと判定し、該記憶制御部で新規の道路データとして記憶しないこととすることができる。
また、該車両の運転操作を監視する運転操作監視部をそなえ、該情報判定部では、該走行経路認識部で該車両が走行中であると認識した場合であっても、該運転操作監視部での監視結果に基づいて、ハンドル操作無く該車両が移動している場合には、牽引又は車両運搬中であるとして、該走行中の経路を該道路でないと判定し、該記憶制御部で新規の道路データとして記憶しないこととすることもできる。
【0016】
さらに、該情報判定部では、該車両についての操作動作状態又は該走行経路認識部で認識する経路位置以外の該車両の外部の環境に関する情報であって複数種類の情報に優先度を付与して該判定を行なうように構成することとしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
このように、本発明によれば、道路判定部および記憶制御部により、経路案内情報として利用価値が比較的低いことが想定される経路情報を道路情報としての登録対象から除外することができるので、地図データ記憶部での記憶容量を有効に利用しつつ、利用価値の高いと想定される道路データについて記憶することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照することにより本発明の実施の形態について説明する。
なお、上述の本願発明の目的のほか、他の技術的課題,その技術的課題を解決する手段及びその作用効果についても、以下の実施の形態による開示によって明らかとなる。
〔A〕一実施形態の説明
図1は本発明の一実施形態にかかる道路データ更新装置1が適用されたナビゲーション装置2を示すブロック図である。この図1に示すナビゲーション装置2は、車両に搭載されて、画面上に地図情報を現在位置とともに表示することにより、車両の走行経路を案内しうるものであって、地図データ記憶部3,コンピュータ4,入出力部5,通信部6および測位処理部7をそなえている。
【0019】
ここで、地図データ記憶部3は地図データを記憶するもので、コンピュータ4はナビゲーション装置2を統括して動作を制御するもので、ハードウェアとしてはプロセッサおよびメモリ等により構成することができる。入出力部5は、地図とともに車両の現在位置等を画面表示しうるディスプレイ51,音声による案内を行なうためのスピーカ52およびオペレータによる操作入力を受け付ける操作入力部53をそなえている。
【0020】
さらに、通信部6は道路交通情報発信センタ800から発信された渋滞情報等の道路交通情報を受信したり、地図管理センタ900との間で地図データを送受信したりするようになっている。又、測位処理部7は、例えば図示しないGPS(Global Positioning System)衛星等からの信号の受信を通じて、当該ナビゲーション装置2が搭載された車両の現在位置を経度緯度情報等として測定するものであって、測位システムに基づいて車両が走行する経路について車両の位置とともに認識する走行経路認識部として機能する。
【0021】
すなわち、コンピュータ4においては、測位処理部7で測定された車両の現在位置の経度緯度情報に基づいて、かかる車両位置を含んだ地図データを地図データ記憶部3から読み出して、ディスプレイ51を通じて地図データを車両の現在位置とともに表示すべく制御するようになっている。これにより、車両の乗員はディスプレイ51に表示された内容を通じて走行経路を確認することができるようになっている。
【0022】
また、道路データ更新装置1としての機能に着目すると、コンピュータ4は、測位処理部7において測定した走行経路に応じて地図データ記憶部3に記憶されている道路データの更新を制御する制御部10をそなえるとともに、制御部10での道路データの更新制御を支援する更新支援処理部20をそなえている。
そして、この図1に示すように、制御部10は、道路判定部11および記憶制御部12をそなえている。道路判定部11は、測位処理部7での測定により認識された走行中の経路が、地図データ記憶部3で記憶されておらず、且つ車両の往来交通用となる道路であるか否かを、上述の更新支援処理部20での処理の支援を受けて判定するものである。
【0023】
さらに、記憶制御部12は、道路判定部11での判定結果に基づいて地図データ記憶部3に記憶された地図データの内容について記憶制御するものである。具体的には、道路判定部11で上述のごとき地図データ記憶部3に記憶されていない道路であると判定された経路については、地図データ記憶部3に新規の道路データとして記憶しうる。
一方で、道路判定部11で上述のごとき道路でないと判定された経路については地図データ記憶部3への記憶を行なわないようになっている。これにより、照合部13で地図データ記憶部3に未登録の経路を走行中と判断される場合であっても、当該経路の地図データ記憶部3への記憶をキャンセルすることができる。
【0024】
また、この道路判定部11は、照合部13および情報判定部14をそなえている。照合部13は、測位処理部7での測定を通じて認識した走行経路が、地図データ記憶部3で記憶されている道路に一致するかを、上述のごとく認識した走行経路と地図データ記憶部3に記憶されている地図データとの照合により判定するものである。即ち、この照合部13での判定を通じて、地図データ記憶部3で記憶されている道路から走行経路が外れると、当該外れた地点からの走行経路について認識することができるようになっている。
【0025】
さらに、情報判定部14は、走行中の経路が、地図データ記憶部3で記憶されていない走行経路であると照合部13で判定された場合に、上述の判定、即ち走行中の経路が車両の往来交通用となる道路であるか否かを判定するものである。具体的には、通信部6からの渋滞情報のほか、更新支援処理部20から車両の往来交通用となる道路であるか否かの判断材料となる情報等を受けて、これらの情報に基づいて、走行中の経路が、地図データ記憶部3に道路データとして(更新により)記憶すべき道路であるか否かの判定を行なう。
【0026】
すなわち、情報判定部14においては、更新支援処理部20から、車両についての操作動作状態、測位処理部7で認識する経路位置以外の車両の外部の環境、又は、車両の操作動作状態及び車両外部環境の双方に関する情報を受けることができるようになっており、この更新支援処理部20や通信部6から受け取った情報に基づいて、走行中の経路が地図データ記憶部3に記憶すべき道路か否かの判定を行なうことができるのである。
【0027】
換言すれば、情報判定部14においては、更新支援処理部20から上述の車両についての操作動作状態や車両外部環境に関する情報を、走行中の経路の地図データ記憶部3への更新対象から除外する条件についての情報として受け取って、経路案内情報としての利用価値が比較的低いと想定される経路については、地図データ記憶部3の更新対象から除外することとしているのである。
【0028】
このため、更新支援処理部20は、車両についての操作動作状態に関する情報を収集し情報判定部14に供給する車両情報供給部21と、測位処理部7で認識する経路位置以外の車両の外部の環境についての情報を収集し情報判定部14に供給する車外情報供給部22と、をそなえている。
また、車両情報供給部21は、エンジン停止時間監視部26,運転操作監視部27および車速監視部28をそなえている。エンジン停止時間監視部26は、車両に搭載されるエンジンセンサ44からのエンジン動作状態の検出情報から、エンジン停止時間を監視するものである。運転操作監視部27は、車両に搭載される運転操作センサ45からの運転操作の検出情報から、ハンドル操作やバック動作等の運転操作を監視するものである。更に、車速監視部28は、車両に搭載される車速センサ46からの車両走行速度の検出情報から、車速について監視するものである。そして、これらの監視部26〜28での監視結果については適宜情報判定部14に出力されるようになっている。
【0029】
すなわち、情報判定部14においては、運転操作監視部27での監視の結果、走行中の経路が、地図データ記憶部3で記憶されていないと照合部13で判定されてから所定時間内に、車両についての切り返し操作や後退操作があった場合には、その先の経路が遮断されているとして、走行中の経路を道路でないと判定することができるようになっている。これにより、記憶制御部12では、情報判定部14での上述のごとき判定結果により、走行中の経路を新規の道路データとして記憶しないこととすることができる。
【0030】
また、情報判定部14においては、運転操作監視部27での監視の結果、走行中のハンドル操作の頻度が所定閾値よりも大きい場合には、走行中の経路を森の中の未舗装路等、車両の往来交通用に設けられた道路ではないと判定する。これにより、記憶制御部12では走行中の経路を新規の道路データとして記憶することはない。
さらに、情報判定部14は、測位処理部7で車両が走行中であると認識した場合であっても、運転操作監視部27での監視結果に基づいて、一定期間ハンドル操作無く車両が移動している場合には、牽引又は車両運搬中であるとして、走行中の経路を道路でないと判定することができる。この場合においては、記憶制御部12では走行中の経路を新規の道路データとして地図データ記憶部3には記憶することはない。
【0031】
また、情報判定部14においては、車速監視部28での監視の結果、検知された車両の走行速度が所定速度よりも遅い場合には、走行中の経路を未舗装路であり道路でないと判定することもできる。これにより、記憶制御部12では、情報判定部14での上述のごとき判定結果により、走行中の経路を新規の道路データとして記憶しないこととすることができる。
【0032】
さらに、車外情報供給部22は、映像データ取込部23,走行通路幅判定部24,駐車場検知部25,渋滞情報受信部29,高度監視部30,道路工事情報受信部31,迂回路判定部32,振動監視部33,障害物出現頻度検知部34,通行回数計数部35,更新候補データ送信部36,更新指示受信部37および複数周回検知部38をそなえている。
ここで、映像データ取込部23は、車両の外部の環境として、車両の周囲環境を撮影する外部カメラ41からの映像データを取り込むものである。又、走行通路幅判定部24は、映像データ取込部23で取り込まれた映像データから走行通路幅を検知するとともに、検知した走行通路幅が該車両の走行に適したものか否かを判定するものである。
【0033】
具体的には、映像データ取込部23で取り込んだ車両前方の映像から車両通行のための平坦な領域(車道領域)の両端を検出するとともに、検出した両端の距離を走行通路幅として割り出す。そして、割り出した走行通路幅と、当該車両が通行可能な最小幅として予め設定された基準幅と、の大小を比較して、走行通路幅が基準幅よりも大きい場合には車両の走行に適していると判定する一方、走行通路幅が基準幅以下の場合には車両の走行に適していないと判定するのである。
【0034】
情報判定部14においては、走行通路幅判定部24からの判定結果に基づいて、走行通路幅判定部24において車両の走行に適さない走行通路幅であると判定された場合には、走行中の経路を、(地図データ記憶部3に記憶すべき)道路でないと判定するようになっている。即ち、記憶制御部12では、情報判定部14からの判定結果から、新規の道路データとして地図データ記憶部3に記憶しないようにすることができる。
【0035】
また、駐車場検知部25は、映像データ取込部23で取り込まれた映像データから車両が駐車場施設内にあることを検知するものである。具体的には、映像データ取込部23で取り込まれた映像データから、駐車場特有の映像パターン、例えば白線レイアウトのパターンを識別するようになっている。そして、駐車場検知部25では、白線レイアウトのパターンのごとき駐車場特有の映像パターンが検知された場合には、当該車両は駐車場内の通路等を走行している旨を検知するのである。
【0036】
これにより、情報判定部14においては、駐車場検知部25で車両が駐車場施設内にあると検知された場合には、走行中の経路を(地図データ記憶部3に記憶すべき)道路でないと判定するようになっている。即ち、記憶制御部12では、情報判定部14からの判定結果から、新規の道路データとして記憶しないようにすることができる。
また、駐車場検知部25においては、車両が駐車場内にありながら、例えば吹雪や大雨などにより、検知すべき駐車場特有の映像パターンを検知することが困難な場合においても、上述のエンジン停止時間監視部26からの監視結果に基づいて、車両が所定時間以上のエンジン停止状態にある場合には、車両が駐車場施設内にあると検知することができるようになっている。
【0037】
さらに、渋滞情報受信部29は渋滞情報を受信するものである。具体的には、渋滞情報受信部29では、道路交通情報発信センタ800から発信される情報を、通信部6を介して受信するとともに、この道路交通情報発信センタ800からの情報のうちで、当該車両の現在位置に関連する渋滞情報について識別し解析するようになっている。
これにより、情報判定部14においては、上述の車速監視部28での監視の結果、車両の走行速度が所定速度よりも遅い場合であっても、渋滞情報受信部29において走行中の経路が渋滞中である旨の渋滞情報を受信している場合には、走行中の経路を、地図データ記憶部3に記憶すべき道路であると判定することができる。
【0038】
また、地図データ記憶部3においては、地図上に登録された特定の地点における高度情報についても(海抜値のごとき絶対的な値として)記憶しておくことができる。そして、高度監視部30では、車両に搭載の高度センサ42で検出される車両の現在位置における高度を、地図データ記憶部3に記憶されている対応地点の高度との高度差を求めることにより監視することができるようになっている。尚、高度センサ42としては、車両外部の気圧や温度等をもとにして、海抜値のごとき絶対的な値として現在位置の高度を検出することができる。
【0039】
具体的には、高度監視部30では、求められた高度差が所定の閾値よりも小さく、現在位置の高度が、地図データ記憶部3に記憶されている対応地点の高度に対して誤差範囲にあるか、求められた高度差が所定の閾値よりも大きく、現在位置の高度が、地図データ記憶部3に記憶されている対応地点の高度に対して誤差範囲を越えて相違するか、を判断する。
【0040】
そして、情報判定部14では、高度監視部30での高度監視の結果を入力されて、車両の位置における高度と地図データ記憶部3に記憶されている対応地点の高度との差が所定の閾値よりも高い場合には、走行中の経路を地図データ記憶部3にて記憶すべき道路であると判定することができる。
たとえば、現在位置の高度が、記憶されている対応地点の高度よりも閾値差を越えて大きい場合には、現在走行中の経路は新規に開通した高架道路であると判断して、道路データを更新する一方、現在位置の高度が、記憶されている対応地点の高度よりも閾値差を越えて小さい場合には、現在走行中の経路は新規に開通したトンネル道路等として判断して、道路データを更新することができる。
【0041】
さらに、道路工事情報受信部31は、道路工事情報を受信するものであり、例えばVICS(Vehicle Information and Communication System)による道路交通情報発信センタ800から発信される道路交通情報としての道路工事情報について、通信部6を介して受信するようになっている。尚、上述の道路工事情報受信部31においては、道路交通情報発信センタ800のほかに、ビーコン信号や他の通信端末から道路工事情報を受信するようにしてもよい。
【0042】
また、迂回路判定部32は、道路工事情報受信部31からの道路工事情報に基づいて、走行中の経路が道路工事を迂回するための一時的な迂回路であるか否かを判定するものである。これにより、情報判定部14においては、迂回路判定部32において走行中の経路が道路工事を迂回するための一時的な迂回路であると判定された場合には、走行中の経路は、近い将来新規道路が開通すれば無くなることになる道路であり、地図データ記憶部3に記憶すべき道路ではないと判定する。従って、記憶制御部12では、この走行中の経路を新規の道路データとして記憶しない。
【0043】
さらに、振動監視部33は、車両搭載の振動センサ43からの車両振動の検出情報から、車両の振動を監視するものである。具体的には、振動センサ43で検出される車両振動の強度と路面が未舗装である場合であることを判断する基準強度とを比較して、検出された振動強度が基準強度よりも大きい場合には、走行中の路面が未舗装であると判断するようになっている。
【0044】
そして、情報判定部14では、振動監視部33での監視の結果を入力されて、検知された車両の振動が所定強度よりも強く、該走行中の経路を未舗装路である場合には、走行中の経路は地図データ記憶部3に記憶すべき道路でないと判定するようになっている。
さらに、障害物出現頻度検知部34は、映像データ取込部23で取り込まれた映像データから車両の進行方向に障害物出現の頻度を検知するものである。例えば、映像データ取込部23で取り込まれた車両前方の映像データから、車両進行方向にある木などの障害物の出現頻度を検知する。
【0045】
そして、情報判定部14では、障害物出現頻度検知部34で検知された障害物の出現頻度を所定の閾値と比較し、比較した結果出現頻度が閾値よりも大きく、上述のごとき木などの障害物の出現頻度が多い場合には、走行中の経路は、車両の往来交通用の道路として設けられた道路ではないと判断する。即ち、走行中の経路は地図データ記憶部3に記憶すべき道路ではないと判定する。従って、記憶制御部12では走行中の経路について新規の道路データとして記憶しない。
【0046】
さらに、情報判定部14においては、上述の障害物出現頻度検知部34での検知結果とともに、運転操作監視部27からの走行中のハンドル操作の頻度情報を用いて、障害物の出現頻度が多く、かつ走行中のハンドル操作についても頻繁であると判断される場合に、走行中の経路を森の中の未舗装路等、車両の往来交通用に設けられた道路ではないと判定することもできる。
【0047】
また、通行回数計数部35は、情報判定部14において、地図データ記憶部3に記憶すべき道路ではないと判定した同一経路の通行回数、即ち地図データ記憶部3に記憶すべき道路ではないと判定した経路ごとの通行回数を計数するものである。そして、情報判定部14においては、通行回数計数部35で計数した通行回数が所定閾値以上となった場合には、地図データ記憶部3に記憶すべき道路ではないと判定した当該経路を、地図データ記憶部3に記憶すべき道路であると判定する。これにより、記憶制御部12では、当該経路を新規の道路データとして記憶することができる。
【0048】
たとえば、道路が完成する前や途中、道路工事中などにおいて、車は通行しているが砂利等による走行中の振動などが多い場合がある。このような経路を走行中には、情報判定部14においては未舗装道路であることを判断して、地図データ記憶部3に記憶すべき道路ではないと判定することが想定される。しかしながら、そのような道でも、その道を一定回数以上通行した場合には、情報判定部14では、近い将来完成された道路になると判断し更新予定の道路として判定することができる。
【0049】
この場合においては、更新予定の道路として、記憶制御部12を通じて地図データ記憶部3に記録する。そして、その後道路完成、道路工事終了によって道路状態が良好となった場合に、情報判定部14では道路であると判断し、地図データ記憶部3に完成された道路として登録する。
また、更新候補データ送信部36は、測位処理部7で地図データ記憶部3に未登録の経路を走行中であると認識された場合において、当該走行中の未登録経路を、道路更新候補データとして、地図データについて管理する地図管理センタ900に送信するものである。この場合においては、通信部6を介して送信することができるようになっている。尚、地図管理センタ900においては、他の車両から一定期間内に同じ道路更新候補データを複数受信した場合に、地図管理センタ900では当該道路更新候補データについての更新指示を送信することができるようになっている。
【0050】
そして、更新指示受信部37は、地図管理センタ900において他の車両から一定期間内に同じ道路更新候補データを複数受信した場合に、地図管理センタ900から送信される当該道路更新候補データについての更新指示を受信するものである。これにより、記憶制御部12においては、更新指示受信部37において更新指示を受信した道路更新候補データについて、地図データ記憶部3に新規の道路データとして記憶することとすることができる。
【0051】
さらに、複数周回検知部38は、同一経路の複数周回を検知するものであり、情報判定部14は、複数周回検知部38において同一経路の複数周回を検出した場合には、サーキットなどの道を走行していると判断して、走行中の経路を地図データ記憶部3に記憶すべき道路でないと判定する。従って、記憶制御部12においては、サーキットを走行しても新規の道路データとしては地図データ記憶部3に記憶しない。
【0052】
また、情報判定部14が、車両についての操作動作状態、又は測位処理部7で認識する経路位置以外の車両の外部の環境に関する情報であって複数種類の情報に基づき優先順位を付与して判定を行なうように構成することもできる。
すなわち、情報判定部14においては、走行中の経路が地図データ記憶部3に記憶すべき道路であるかの判定を、更新支援処理部20をなす車両情報供給部21をなす上述の各機能部26〜28から車両についての操作動作状態を入力されるとともに、車外情報供給部22をなす上述の各機能部23〜25,29〜38による処理を通じて得られる、測位処理部7で認識する経路位置以外の車両の外部の環境に関する情報を入力されて行なっている。このとき、これらの情報を総合的に判断することができるのである。
【0053】
具体的には、上述したような、走行通路幅による判定、駐車場検知による判定、切り返し操作や後退操作による判定、走行速度による判定、高度監視による判定、迂回路判定による判定、振動監視による判定、障害物の出現頻度の検知による判定、ハンドル操作頻度による判定、通行回数の計数結果による判定、更新指示による判定、複数周回検知による判定および車両運搬中であるかの判定、について、優先度を付与しておくことで、各判定結果に齟齬が生じた場合においても適切な判定を行なうことができる。例えば、情報判定部14においては、通行回数の計数結果による判定、更新指示による判定については、他の判定結果に優先することができる。
【0054】
すなわち、上述のごとき通行回数の計数結果による情報判定部14での判定により、地図データ記憶部3に記憶すべき道路ではないと判定された経路であっても、その後の通行回数により道路として地図データ記憶部3に記憶することができるようになり、将来完成することになる道路を、更新予定の道路として先行して登録することができるようになる。
【0055】
また、情報判定部14においては、走行通路幅による判定、駐車場検知による判定、切り返し操作や後退操作による判定、走行速度による判定、高度監視による判定、迂回路判定による判定、振動監視による判定、障害物の出現頻度の検知による判定、ハンドル操作頻度による判定、通行回数の計数結果による判定、複数周回検知による判定および車両運搬中であるかの判定のいずれかにより、走行中の経路を地図データ記憶部3に記憶すべきと判定した場合には、更新候補データ送信部36においてこれを更新候補データとして地図管理センタ900に送信させることができる。
【0056】
これにより、更新支援処理部20をなす各機能部23〜35,38における処理により、走行中の経路を地図データ記憶部3に記憶すべき道路であると情報判定部14で判定した場合においても、更新指示受信部37で更に地図管理センタ900からの更新指示を受けてから、地図データ記憶部3に記憶される道路データの更新を行なうようにすることができる。これにより、地図データ記憶部3に記憶される道路に、車両の往来交通用の道路ではないものが含まれることがなくなり、地図データ記憶部3に記憶される道路データの信頼性を高めることができる。
【0057】
上述の構成による、本発明の一実施形態にかかる道路データ更新装置1が適用されたナビゲーション装置2において、道路データ記憶部3にて記憶している道路データを更新する際には、例えば以下のように動作する。
図2のフローチャートに示すように、車両走行時において走行中の経路が地図データ記憶部3で記憶されていない走行経路であると照合部13で判定された場合において(ステップA1)、情報判定部14では、測位処理部7からの現在位置情報以外の情報として、上述の車両情報供給部21からの車両についての操作動作状態情報や、車外情報供給部22からの車両の外部の環境についての情報を収集する(ステップA2)。
【0058】
たとえば、情報判定部14では、走行通路幅判定部24からの判定結果、駐車場検知部25からの検知結果、運転操作監視部27からのハンドル切り返し操作や後退操作の有無、車速検知部28で検出された車速および渋滞情報受信部29からの渋滞情報、高度監視部30からの高度監視結果、迂回路判定部32による迂回路の判定結果、並びに振動検知部33での振動検知の結果についての情報を収集する。
【0059】
そして、情報判定部14では、上述のごとく収集した情報をもとに、走行中の経路が、地図データ記憶部3に記憶すべき道路であるか、即ち地図データ記憶部3に登録されていない開通済みの(車両の往来交通用の)道路であるか否かを判断する(ステップA3)。
このとき、情報判定部14において、収集した情報に基づいて、走行中の経路は、地図データ記憶部3に登録されていない開通済みの道路であって地図データ記憶部3に記憶すべきであると判定された場合には、記憶制御部12を通じて地図データ記憶部3を更新し、当該走行中の経路を新規の道路データとして記憶する(ステップA3のYESルートからステップA4)。
【0060】
一方、収集した情報に基づいて、走行中の経路は、地図データ記憶部3に登録されておらず、また地図データ記憶部3に記憶すべき道路でもないと判定された場合には、記憶制御部12による地図データ記憶部3で記憶する道路データの更新をキャンセルする(ステップA3のNOルートからステップA5)。
また、図3のフローチャートに示すように、走行中の経路が地図データ記憶部3で記憶されていない走行経路であると照合部13で判定された場合において(ステップB1)、情報判定部14で、運転操作監視部27からの監視結果からハンドル操作が頻繁であったり、障害物出現頻度検出部34からの検出結果から車両進行方向に障害物の出現が頻繁であったりするか否かを判断する。
【0061】
このとき、ハンドル操作や障害物出現が頻繁である場合には、情報判定部14では、走行中の経路を地図データ記憶部3に記憶すべき道路ではないと判定し、記憶制御部12による地図データ記憶部3で記憶する道路データの更新をキャンセルする(ステップB2のYESルートからステップB3)。
一方、情報判定部14での判定の結果ハンドル操作や障害物出現の頻度が高くないと判断された場合には、当該走行中の経路を記憶させることができるが、この地図データ記憶部3への記憶については、オペレータが実際に地図データ記憶部3への登録をすべきとする最終的な確認操作の入力を前提とすることもできる(ステップB2のNOルートからステップB4)。
【0062】
さらに、図4のフローチャートに示すように、情報判定部14において、走行中の経路が地図データ記憶部3で記憶されていない走行経路で、地図データ記憶部3へデータを記憶すべき道路であると判定された場合においては(ステップC1,C2のYESルート)、前述したように走行中の経路について地図データ記憶部3に記憶するが(ステップC3、ステップA4,B4参照)、地図データ記憶部3へデータを記憶すべき道路であると判定された場合には、更に将来完成する予定の道路か否かを判定する(ステップC3のNOルートからステップC4)。
【0063】
すなわち、情報判定部14では、通行回数計数部35からの通行回数情報基づいて、地図データ記憶部3に記憶すべき道路ではないと判定された当該経路の通行回数が所定閾値以上となった場合には、その通行頻度により将来完成した道路になると判断して、記憶制御部12を通じ、更新予定の道路として地図データ記憶部3に記憶させる(ステップC4のYESルートからステップC5)。
【0064】
一方、地図データ記憶部3に記憶すべき道路ではないと判定された当該経路の通行回数が所定閾値まで到達しない場合には、将来完成した道路となるとは判断できないので、記憶制御部12による地図データ記憶部3で記憶する道路データの更新をキャンセルする(ステップC4のNOルートからステップC6)。このとき、通行回数計数部35での当該経路についての計数を「1」増加させておく。
【0065】
上述のごとく更新予定の道路データとして地図データ記憶部3に記憶した道路を、その後走行する際には、情報判定部14において、その走行の都度、更新予定の道路が完成した道路となったか、即ち地図データ記憶部3に完成した道路データとして登録すべき道路となったか否かを判定する(図5のフローチャートにおけるステップD1,D2)。
そして、地図データ記憶部3に完成した道路データとして登録すべき道路となった場合には、記憶制御部12を通じて地図データ記憶部3の内容を更新する一方(ステップD2のYESルートからステップD3)、登録すべき道路となっていない場合には、更新予定の道路としての登録をそのまま維持しておく(ステップD2のNOルートからステップD4)。
【0066】
また、図6のフローチャートに示すように、走行中の経路が地図データ記憶部3で記憶されていない走行経路であると照合部13で判定された場合においては(ステップE1)、更新候補データ送信部36により、当該走行中の経路についての経路データを、道路更新候補データとして、地図データについて管理する地図管理センタ900に送信することができる(ステップE2)。
【0067】
このとき、地図管理センタ900では、受信した道路更新候補データについて、一定期間の間に他の車両から同一データとして受信したものであるか否かを判断する(ステップE3)。
そして、受信した道路更新候補データを他の車両から受信している場合には、更新指示を発信する。これにより、地図管理センタ900で発信された更新指示を更新指示受信部37で受信すると、情報判定部14では、走行中の経路を、地図データ記憶部3に記憶すべき道路であると判定する。従って、記憶制御部12では地図データ記憶部3における道路データを更新することができる(ステップE3のNOルートからステップE4)。
【0068】
一方、地図管理センタ900において、受信した道路更新候補データと同一の候補データについては他の車両から一定期間受信しておらず、唯一のものであると判定された場合には、地図管理センタ900においては、地図データ記憶部3を更新する旨の指示は出力しない。情報判定部14においては、地図管理センタ900からの更新指示を、道路更新データの送信時から上述の一定期間に相当する時間受信しない場合には、記憶制御部12による地図データ記憶部3の更新をキャンセルすることができる(ステップE3のYESルートからステップE5)。
【0069】
この場合においては、更新指示受信部37では、地図管理センタ900から更新キャンセルの指示を受信して、記憶制御部12による地図データ記憶部3の更新をキャンセルすることとしてもよい。
さらに、図7のフローチャートに示すように、走行中の経路が地図データ記憶部3で記憶されていない走行経路であると照合部13で判定された場合においては(ステップF1)、情報判定部14では、複数周回検知部38による同一経路を複数周回しているか否かの検知結果を用いて、走行中の経路を地図データ記憶部3に記憶すべきか否かを判定することもできる(ステップF2)。
【0070】
すなわち、情報判定部14は、複数周回検知部38において同一経路の複数周回を検出していない場合には、走行中の経路を地図データ記憶部3に記憶することができるが(ステップF2のNOルートからステップF3)、複数周回検知部38において同一経路の複数周回を検出している場合には、サーキットなどの道を走行していると判断して、走行中の経路を地図データ記憶部3に記憶すべき道路でないと判定して、地図データ記憶部3の更新をキャンセルする(ステップF2のYESルートからステップF4)。
【0071】
また、図8のフローチャートに示すように、走行中の経路が地図データ記憶部3で記憶されていない走行経路であると照合部13で判定された場合においては(ステップG1)、情報判定部14では、運転操作監視部27での監視結果に基づいて、特にハンドル操作無く車両が移動している場合には、牽引又は車両運搬中であるとして、走行中の経路を道路でないと判定し、地図データ記憶部3への記憶をキャンセルすることができる(ステップG1のYESルートからステップG3)。尚、運転操作監視部27での監視の結果、ハンドル操作無く車両が移動しているとはいえない場合には、オペレータからの道路データの更新処理を行なう旨の確認入力を受けた上で、地図データ記憶部3の内容を更新することができる(ステップG1のNOルートからステップG2)。
【0072】
また、図9のフローチャートに示すように、上述の情報判定部14においては、走行中の経路が地図データ記憶部3に記憶すべき道路であるかの判定を、更新支援処理部20をなす機能部23〜38での処理を通じた各判定結果を総合することにより、地図データ記憶部3を更新するか否かを決定することができる(ステップH1)。この場合においては、機能部23〜38での処理を通じた各判定結果に齟齬が生じていない場合には、通常通り地図データ記憶部3の内容について更新し又は更新をキャンセルする(ステップH2のNOルートからステップH3)。
【0073】
一方、機能部23〜38での処理を通じた各判定結果に齟齬が生じている場合には、予め設定された優先度の高い判定結果に基づいて、地図データ記憶部3を更新し又は更新をキャンセルする(ステップH2のYESルートからステップH4)。
なお、図10のフローチャートに示すように、上述のごとき判定結果に優先度を設定することで、一般的には、各判定結果に齟齬が生じても地図データ記憶部3を更新するか否かを決定することができるようになる(ステップJ1のNOルートからステップJ2)。
【0074】
しかし、更新支援処理部20をなす機能部23〜38での処理を通じた各判定結果に設けた優先度の設定の態様によっては上述のごとく判定結果を総合しても地図データ記憶部3を更新すべきか決定できない場合も想定される。例えば優先すべき判定結果として複数種類の判定結果を設定したような態様においては、優先すべき複数の判定結果に齟齬が生じた場合には、判定結果を総合しても地図データ記憶部3を更新すべきか決定することができなくなる。
【0075】
この場合においては、地図データ記憶部3の更新を行なうか否かをオペレータ(ユーザ)に対してディスプレイ51による画面表示を通じて問い合わせ、オペレータからの操作入力部53を通じた操作に応じて、地図データ記憶部3を更新するか更新をキャンセルするかを決定することとする(ステップJ1のYESルートからステップJ3)。
また、コンピュータ4においては、図11に示すように、地図データ記憶部3に登録されていない経路を走行している場合に当該経路について登録されている道路データを更新する動作モードを、未登録経路を走行する前に事前に操作入力部53を通じて設定することができる(ステップK1)。
【0076】
この場合においては、地図データ記憶部3に登録されていない経路を走行した場合に地図データ記憶部3に記憶されている道路データを更新しない動作モードとした場合には、制御部10においては道路の更新処理を行なわない(ステップK2のNOルートからステップK3)。一方、地図データ記憶部3に記憶されている道路データを更新する動作モードとする場合には、地図データ記憶部3に登録されていない経路を走行した場合において、上述のごとき更新除外条件を判定した上で道路データを更新する処理を行なう(ステップK2のYESルートからステップK4)。
【0077】
このように、本発明の一実施形態によれば、道路判定部11および記憶制御部12により、経路案内情報として利用価値が比較的低いことが想定される経路情報を道路情報としての登録対象から除外することができるので、地図データ記憶部3での記憶容量を有効に利用しつつ、利用価値の高いと想定される道路データについて記憶することができる。
特に、車両に搭載されるナビゲーション装置に適用することで、地図データ記憶部3での記憶容量を有効に利用しつつ、年々更新される道路状況に合わせた地図データを保持しておくことができるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施形態にかかる道路データ更新装置が適用されたナビゲーション装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態に動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態に動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の一実施形態に動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
1 道路データ更新装置
2 ナビゲーション装置
3 地図データ記憶部
4 コンピュータ
5 入出力部
6 通信部
7 測位処理部(走行経路認識部)
10 制御部
11 道路判定部
12 記憶制御部
13 照合部
14 情報判定部
20 更新支援処理部
21 車両情報供給部
22 車外情報供給部
23 映像データ取込部
24 走行通路幅判定部
25 駐車場検知部
26 エンジン停止時間監視部
27 運転操作監視部
28 車速監視部
29 渋滞情報受信部
30 高度監視部
31 道路工事情報受信部
32 迂回路判定部
33 振動監視部
34 障害物出現頻度検知部
35 通行回数計数部
36 更新候補データ送信部
37 更新指示受信部
38 複数周回検知部
41 外部カメラ
42 高度センサ
43 振動センサ
44 エンジンセンサ
45 運転操作センサ
46 車速センサ
51 ディスプレイ
52 スピーカ
53 操作入力部
800 道路交通情報発信センタ
900 地図管理センタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位システムに基づいて車両が走行する経路について該車両の位置とともに認識する走行経路認識部と、
該走行経路認識部において認識した走行経路に応じて地図データ記憶部に記憶されている道路データの更新を制御する制御部と、をそなえ、
該制御部が、
該走行中の経路が、該地図データ記憶部で記憶されておらず、かつ該車両の往来交通用となる道路であるか否かを判定する道路判定部と、
該道路判定部で該道路であると判定された経路については該地図データ記憶部に新規の道路データとして記憶する一方、該道路判定部で該道路でないと判定された経路については該地図データ記憶部への記憶を行なわない記憶制御部と、をそなえたことを特徴とする、道路データ更新装置。
【請求項2】
該道路判定部が、
該走行経路認識部において認識した走行経路が、該地図データ記憶部で記憶されている道路に一致するかを照合により判定する照合部と、
該走行中の経路が、該地図データ記憶部で記憶されていない走行経路であると該照合部で判定された場合に、該車両についての操作動作状態、該走行経路認識部で認識する経路位置以外の該車両の外部の環境、又は、上記の操作動作状態及び環境の双方に関する情報に基づいて、該走行中の経路が該車両の往来交通用となる道路であるか否かを判定する情報判定部と、をそなえたことを特徴とする、請求項1記載の道路データ更新装置。
【請求項3】
該車両の外部の環境として、該車両の周囲環境を撮影するカメラからの映像データを取り込む映像データ取込部と、
該映像データ取込部で取り込まれた映像データから走行通路幅を検知するとともに、検知した走行通路幅が該車両の走行に適したものか否かを判定する走行通路幅判定部と、をそなえ、
該情報判定部は、
該走行通路幅判定部において該車両の走行に適さない走行通路幅であると判定された場合には、該走行中の経路を該道路でないと判定し、該記憶制御部で新規の道路データとして記憶しないことを特徴とする、請求項2記載の道路データ更新装置。
【請求項4】
該車両の外部の環境として、該車両の周囲環境を撮影するカメラからの映像データを取り込む映像データ取込部と、
該映像データ取込部で取り込まれた映像データから該車両が駐車場施設内にあることを検知する駐車場検知部と、をそなえ、
該情報判定部は、
該駐車場検知部で該車両が駐車場施設内にあると検知された場合には、該走行中の経路を該道路でないと判定し、該記憶制御部で新規の道路データとして記憶しないことを特徴とする、請求項2記載の道路データ更新装置。
【請求項5】
該車両の運転操作を監視する運転操作監視部をそなえ、
該情報判定部は、
該運転操作監視部での監視の結果、該地図データ記憶部で記憶されていない走行経路であると該照合部で判定されてから所定時間内に、該車両についての切り返し操作や後退操作があった場合には、該走行中の経路を該道路でないと判定し、該記憶制御部で新規の道路データとして記憶しないことを特徴とする、請求項2記載の道路データ更新装置。
【請求項6】
該車両の走行速度を検知する車速検知部をそなえ、
該情報判定部は、
該車速検知部で検知された該車両の走行速度が所定速度よりも遅い場合には、該走行中の経路を未舗装路であり該道路でないと判定し、該記憶制御部で新規の道路データとして記憶しないことを特徴とする、請求項2記載の道路データ更新装置。
【請求項7】
該地図データ記憶部では高度情報についても記憶しておく一方、
該車両の位置における高度を監視する高度監視部をそなえ、
該情報判定部は、
該高度監視部での高度監視の結果、該車両の位置における高度と該地図データ記憶部に記憶されている対応地点の高度との差が所定の閾値よりも高い場合には、該走行中の経路を該道路であると判定して、該記憶制御部で新規の道路データとして記憶することを特徴とする、請求項2記載の道路データ更新装置。
【請求項8】
道路工事情報を受信する道路工事情報受信部と、
該道路工事情報受信部からの道路工事情報に基づいて、該走行中の経路が道路工事を迂回するための一時的な迂回路であるか否かを判定する迂回路判定部と、をそなえ、
該情報判定部は、
該迂回路判定部において該走行中の経路が道路工事を迂回するための一時的な迂回路であると判定された場合には、該走行中の経路を該道路でないと判定し、該記憶制御部で新規の道路データとして記憶しないことを特徴とする、請求項2記載の道路データ更新装置。
【請求項9】
該車両の振動を監視する振動監視部をそなえ、
該情報判定部は、
該振動監視部での監視の結果、検知された該車両の振動が所定強度よりも強い場合には、該走行中の経路を未舗装路であり該道路でないと判定し、該記憶制御部で新規の道路データとして記憶しないことを特徴とする、請求項2記載の道路データ更新装置。
【請求項10】
該車両の外部の環境として、該車両の周囲環境を撮影するカメラからの映像データを取り込む映像データ取込部と、
該映像データ取込部で取り込まれた映像データから該車両の進行方向に障害物出現の頻度を検知する障害物出現頻度検知部と、をそなえ、
該情報判定部は、
該障害物出現頻度検知部で検知された該障害物出現の頻度が、所定閾値よりも大きい場合には、該走行中の経路を該道路でないと判定し、該記憶制御部で新規の道路データとして記憶しないことを特徴とする、請求項2記載の道路データ更新装置。
【請求項11】
該車両の運転操作を監視する運転操作監視部をそなえ、
該情報判定部は、
該運転操作監視部での監視の結果、走行中のハンドル操作の頻度が所定閾値よりも大きい場合には、該走行中の経路を該道路でないと判定し、該記憶制御部で新規の道路データとして記憶しないことを特徴とする、請求項2記載の道路データ更新装置。
【請求項12】
該走行中の経路が、該地図データ記憶部で記憶されていない走行経路であると該照合部で判定された場合に、該走行中の経路について、道路更新候補データとして、地図データについて管理する地図データ管理センタに送信する更新候補データ送信部と、
該地図データ管理センタにおいて他の車両から一定期間内に同じ道路更新候補データを複数受信した場合に、該地図データ管理センタから送信される当該道路更新候補データについての更新指示を受信する更新指示受信部と、をそなえ、
該記憶制御部は、
該更新指示受信部において該更新指示を受信した道路更新候補データについて、該地図データ記憶部に新規の道路データとして記憶することを特徴とする、請求項2記載の道路データ更新装置。
【請求項13】
同一経路の複数周回を検知する複数周回検知部をそなえ、
該情報判定部は、
該複数周回検知部において同一経路の複数周回を検出した場合には、該走行中の経路を該道路でないと判定し、該記憶制御部で新規の道路データとして記憶しないことを特徴とする、請求項2記載の道路データ更新装置。
【請求項14】
該車両の運転操作を監視する運転操作監視部をそなえ、
該情報判定部は、
該走行経路認識部で該車両が走行中であると認識した場合であっても、該運転操作監視部での監視結果に基づいて、ハンドル操作無く該車両が移動している場合には、牽引又は車両運搬中であるとして、該走行中の経路を該道路でないと判定し、該記憶制御部で新規の道路データとして記憶しないことを特徴とする、請求項2記載の道路データ更新装置。
【請求項15】
該情報判定部が、該車両についての操作動作状態又は該走行経路認識部で認識する経路位置以外の該車両の外部の環境に関する情報であって複数種類の情報に優先度を付与して該判定を行なうように構成されたことを特徴とする、請求項2記載の道路データ更新装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2007−52341(P2007−52341A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−238678(P2005−238678)
【出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】