説明

道路交通情報の受信方法、ナビゲーション装置

【課題】車両の走行速度に関係なく、高速道路上に設置された電波ビーコンからのVICS情報を一般道路において誤って受信することを防止できる道路交通情報の受信方法を提供する。
【解決手段】複数の道路が並走している並走区間を車両が走行しているか否かを地図データに基づいて判断し(ステップS12)、並走区間を走行していると判断した場合、地図データに基づいたマップマッチング処理によって高速道路と一般道路のどちらを車両が走行しているか判定する(ステップS13)。高速道路を走行していると判定した場合は、電波ビーコンからのVICS情報に対する受信感度を高い方に切り替え(ステップS15)、一般道路を走行していると判定した場合は、電波ビーコンからのVICS情報に対する受信感度を低い方に切り替える(ステップS17)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に道路交通情報通信システム(VICS)によって提供される道路交通情報の受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
VICSセンターより送信されるVICS情報を受信することにより、車両に搭載されたナビゲーション装置において、渋滞情報などの様々な道路交通情報を表示する道路交通情報通信システム(VICS)が広く利用されている。このVICSにおけるVICS情報の送信には二通りの方法があり、ビーコンと呼ばれる道路上に設置された送信機によって送信する方法と、FM電波によって送信する方法とがある。ビーコンには二種類のものが存在し、主に高速道路上に設置され、電波を用いてVICS情報を送信する電波ビーコンと、主要な一般道路上に設置され、光(赤外線)を用いてVICS情報を送信する光ビーコンとがある。
【0003】
上記の電波ビーコンは電波を用いてVICS情報を送信するため、電波ビーコンが設置されている高速道路だけでなく、その周辺においてもVICS情報が受信される場合がある。そのため、高速道路と並走する一般道路を車両が走行中の場合、たとえば高架の上を高速道路が通っており、その高速道路の下の一般道路を走行している場合などに、高速道路上に設置された電波ビーコンからのVICS情報を誤って受信してしまうことがある。そこで、このような誤受信を防止するために、車両の走行速度に応じて受信感度を変更する装置が知られている(特許文献1、2)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−170195号公報
【特許文献2】特開2002−230689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高速道路と一般道路における車両の走行速度を比較した場合、必ずしも高速道路のほうが速度が高いとは限らない。たとえば、高速道路であっても渋滞していれば一般道路よりも低速度になることがある。その場合、特許文献1や2に開示される装置では適切な受信感度とすることができず、かえって誤受信を招きかねない。このような問題点を改善するため、車両の走行速度に関係なく、高速道路上に設置された電波ビーコンからのVICS情報を一般道路において誤って受信することを防止できる道路交通情報の受信方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、高速道路上に設置された電波ビーコンにより送信される道路交通情報を車両に備えられた受信装置により受信する道路交通情報の受信方法において、複数の道路が並走している並走区間を車両が走行しているか否かを地図データに基づいて判断し、並走区間を走行していると判断した場合、地図データに基づいたマップマッチング処理によって高速道路と一般道路のどちらを車両が走行しているかを判定し、高速道路を走行していると判定した場合は、受信装置の受信感度を所定の第1の受信感度に切り替え、一般道路を走行していると判定した場合は、受信装置の受信感度を第1の受信感度よりも低い第2の受信感度に切り替えるものである。
請求項2の発明は、高速道路上に設置された電波ビーコンにより送信される道路交通情報を車両に備えられた受信装置により受信する道路交通情報の受信方法において、受信装置を用いて一般道路上に設置された光ビーコンにより送信される道路交通情報をさらに受信し、電波ビーコンからの道路交通情報を受信した場合は、車両が高速道路を走行していると判定して、電波ビーコンにより送信される道路交通情報に対する受信装置の受信感度を所定の第1の受信感度に切り替え、光ビーコンからの道路交通情報を受信した場合は、車両が一般道路を走行していると判定して、電波ビーコンにより送信される道路交通情報に対する受信装置の受信感度を第1の受信感度よりも低い第2の受信感度に切り替えるものである。
請求項3の発明は、高速道路上に設置された電波ビーコンにより送信される道路交通情報を車両に備えられた受信装置により受信する道路交通情報の受信方法において、高速道路の料金所に設置されたETC(Electronic Toll Collection System)路側システムと通信し、そのETC路側システムとの通信結果に基づいて、車両が入口料金所を通過してから支払い料金の確定する出口料金所を通過するまでの間であるか否かを判断し、入口料金所を通過してから出口料金所を通過するまでの間であると判断した場合は、車両が高速道路を走行していると判定して、受信装置の受信感度を所定の第1の受信感度に切り替え、入口料金所を通過してから出口料金所を通過するまでの間でないと判断した場合は、車両が一般道路を走行していると判定して、受信装置の受信感度を第1の受信感度よりも低い第2の受信感度に切り替えるものである。
請求項4の発明は、高速道路上に設置された電波ビーコンにより送信される道路交通情報を車両に備えられた受信装置により受信する道路交通情報の受信方法において、複数の道路が並走している並走区間を車両が走行しているか否かを地図データに基づいて判断し、受信装置により受信された道路交通情報の受信レベルが予め設定された受信感度以下であるか否かを判定し、並走区間を走行していると判断し、かつ、道路交通情報の受信レベルが予め設定された受信感度以下であると判定した場合は、そのときに受信された道路交通情報を無効とするものである。
請求項5の発明は、車両に備えられて使用されるナビゲーション装置であって、高速道路上に設置された電波ビーコンにより送信される道路交通情報を受信する受信手段と、地図データを記憶する地図記憶手段と、複数の道路が並走している並走区間を車両が走行しているか否かを地図記憶手段により記憶された地図データに基づいて判断する判断手段と、判断手段により並走区間を走行していると判断された場合、地図データに基づいたマップマッチング処理によって高速道路と一般道路のどちらを車両が走行しているかを判定する道路判定手段と、道路判定手段により高速道路を走行していると判定された場合は、受信手段の受信感度を所定の第1の受信感度に切り替え、道路判定手段により一般道路を走行していると判定された場合は、受信手段の受信感度を第1の受信感度よりも低い第2の受信感度に切り替える切り替え手段とを備えるものである。
請求項6の発明は、車両に備えられて使用されるナビゲーション装置であって、高速道路上に設置された電波ビーコンおよび一般道路上に設置された光ビーコンにより送信される道路交通情報を受信する受信手段と、受信手段により電波ビーコンからの道路交通情報を受信した場合は、車両が高速道路を走行していると判定し、受信手段により光ビーコンからの道路交通情報を受信した場合は、車両が一般道路を走行していると判定する道路判定手段と、道路判定手段により高速道路を走行していると判定された場合は、電波ビーコンにより送信される道路交通情報に対する受信手段の受信感度を所定の第1の受信感度に切り替え、道路判定手段により一般道路を走行していると判定された場合は、電波ビーコンにより送信される道路交通情報に対する受信手段の受信感度を第1の受信感度よりも低い第2の受信感度に切り替える切り替え手段とを備えるものである。
請求項7の発明は、車両に備えられて使用されるナビゲーション装置であって、高速道路上に設置された電波ビーコンにより送信される道路交通情報を受信する交通情報受信手段と、高速道路の料金所に設置されたETC(Electronic Toll Collection System)路側システムと通信するETC通信手段と、ETC通信手段によるETC路側システムとの通信結果に基づいて、車両が入口料金所を通過してから支払い料金の確定する出口料金所を通過するまでの間であるか否かを判断する判断手段と、判断手段により入口料金所を通過してから出口料金所を通過するまでの間であると判断された場合は、車両が高速道路を走行していると判定し、判断手段により入口料金所を通過してから出口料金所を通過するまでの間でないと判断された場合は、車両が一般道路を走行していると判定する道路判定手段と、道路判定手段により高速道路を走行していると判定された場合は、交通情報受信手段の受信感度を所定の第1の受信感度に切り替え、道路判定手段により一般道路を走行していると判定された場合は、交通情報受信手段の受信感度を第1の受信感度よりも低い第2の受信感度に切り替える切り替え手段とを備えるものである。
請求項8の発明は、車両に備えられて使用されるナビゲーション装置であって、高速道路上に設置された電波ビーコンにより送信される道路交通情報を受信する受信手段と、地図データを記憶する地図記憶手段と、複数の道路が並走している並走区間を車両が走行しているか否かを地図記憶手段により記憶された地図データに基づいて判断する判断手段と、受信手段により受信された道路交通情報の受信レベルが予め設定された受信感度以下であるか否かを判定する受信レベル判定手段と、判断手段により並走区間を走行していると判断され、かつ、受信レベル判定手段により道路交通情報の受信レベルが予め設定された受信感度以下であると判定された場合は、そのときに受信された道路交通情報を無効とする無効化手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の道路が並走している並走区間を車両が走行しているか否かを地図データに基づいて判断し、並走区間を走行していると判断した場合、地図データに基づいたマップマッチング処理によって高速道路と一般道路のどちらを車両が走行しているか判定する。そして、高速道路を走行していると判定した場合は、電波ビーコンにより送信される道路交通情報に対する受信装置の受信感度を高い方に切り替え、一般道路を走行していると判定した場合は、受信装置の受信感度を低い方に切り替える。
または、電波ビーコンからの道路交通情報を受信した場合は、車両が高速道路を走行していると判定して、電波ビーコンにより送信される道路交通情報に対する受信装置の受信感度を高い方に切り替える。一方、光ビーコンからの道路交通情報を受信した場合は、車両が一般道路を走行していると判定して、受信装置の受信感度を低い方に切り替える。
あるいは、ETC路側システムとの通信結果に基づいて、車両が入口料金所を通過してから支払い料金の確定する出口料金所を通過するまでの間であるか否かを判断し、入口料金所を通過してから出口料金所を通過するまでの間であると判断した場合は、車両が高速道路を走行していると判定して、電波ビーコンにより送信される道路交通情報に対する受信装置の受信感度を高い方に切り替える。一方、入口料金所を通過してから出口料金所を通過するまでの間でないと判断した場合は、車両が一般道路を走行していると判定して、電波ビーコンにより送信される道路交通情報に対する受信装置の受信感度を低い方に切り替える。
もしくは、複数の道路が並走している並走区間を車両が走行しているか否かを地図データに基づいて判断するとともに、受信装置により受信された道路交通情報の受信レベルが予め設定された受信感度以下であるか否かを判定する。そして、並走区間を走行していると判断し、かつ、道路交通情報の受信レベルが予め設定された受信感度以下であると判定した場合は、そのときに受信された道路交通情報を無効とする。
以上のようにしたので、車両の走行速度に関係なく、高速道路上に設置された電波ビーコンからのVICS情報を一般道路において誤って受信することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
−第1の実施の形態−
本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。このナビゲーション装置は車両に搭載されており、推奨経路を探索して道路地図を表示することにより、自車両を目的地まで誘導する。また、VICSセンターから送信されるVICS情報を受信して、そのVICS情報により渋滞情報などの各種の道路交通情報を道路地図上に表示するものである。図1に示すナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、入力装置17、VICS情報受信部18およびディスクドライブ19を有している。ディスクドライブ19には、地図データが記録されたDVD−ROM20が装填される。
【0009】
制御回路11は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行することにより、後で説明するような各種の処理や制御を行う。現在地検出装置14は、自車両の現在地を検出する装置であり、たとえば、自車両の進行方向を検出する振動ジャイロセンサ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14c等の各種センサ類からなる。ナビゲーション本体1は、この現在地検出装置14により検出される自車両の現在地に基づいて、後述する経路探索開始点を決定したり、自車位置を道路地図上に示したりすることができる。
【0010】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを一時的に格納する。この画像データは、道路地図を表示するための道路地図描画用データや各種の図形データ等からなり、DVD−ROM20に記録されている地図データや、後で説明するVICS情報受信部18により受信したVICS情報に基づいて、制御回路11において作成される。制御回路11により作成された画像データが画像メモリ15に出力されることによって、表示モニタ16に道路地図が表示され、さらに、その道路地図上に様々な道路交通情報が表示される。
【0011】
入力装置17は、車両の目的地や経由地(以下、これらを合わせて単に目的地という)をユーザが設定したりするための各種入力スイッチを有している。この入力装置17は、操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16に表示される画面指示に従って入力装置17を操作することにより、地名や地図上の位置などを指定して目的地を設定することができる。
【0012】
VICS情報受信部18は、不図示のVICS情報センターからナビゲーション装置1に対して送信されるVICS情報を受信する。このVICS情報により、渋滞情報や通行規制情報、駐車場情報などの様々な道路交通情報がナビゲーション装置1に対して送信される。VICS情報受信部18において受信されたVICS情報は制御回路11に出力され、前述したように制御回路11において、その道路交通情報の内容を道路地図上に画像表示するための画像データが作成される。このようにして、受信されたVICS情報に基づいて、各種の道路交通情報の内容が表示モニタ16に画像表示される。
【0013】
VICS情報センターからナビゲーション装置1へのVICS情報の送信は、主に高速道路上に設置されている電波ビーコンや、主に一般道路上に設置されている光ビーコン、またはFM多重放送によって行われる。電波ビーコンや光ビーコンは、その設置地点付近を通過する車両に対して、電波あるいは光(赤外線)により局所的にVICS情報を送信するものである。これに対して、FM多重放送では比較的広い地域に対してVICS情報を送信することができる。
【0014】
ディスクドライブ19は、装填されたDVD−ROM20より、道路地図を表示するための地図データを読み出す。この地図データには、ルート探索に用いられる経路計算データや、交差点名称および道路名称など、推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導するために用いられる経路誘導データ、さらに道路を表す道路データなどが含まれている。また、河川や鉄道、地図上の各種施設等(ランドマーク)など、道路以外の地図形状を表す背景データなども地図データに含まれている。なお、道路データには各道路の道路区分(道路種別)を表すための道路区分データが含まれている。この道路区分により、たとえば高速道路や国道、県道などが表される。
【0015】
道路データにおいて、道路区間を表す最小単位はリンクと呼ばれており、各道路は複数のリンクによって構成されている。リンク同士を接続している点はノードと呼ばれ、このノードはそれぞれに位置情報(座標情報)を有している。このノードの位置情報によって、リンク形状、すなわち道路の形状が決定される。なお、ここではDVD−ROMを用いた例について説明しているが、DVD−ROM以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより、地図データを読み出すこととしてもよい。
【0016】
ユーザが入力装置17を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、現在地検出装置14により検出された現在地を経路探索開始点として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算を行うことにより、現在地から目的地までのルート探索を行う。ルート探索の結果求められた推奨経路は、その表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、他の道路とは区別して道路地図上に表される。これにより、ユーザは推奨経路を表示モニタ16に表示された道路地図上において認識することができる。また、この推奨経路に従って自車両が走行できるよう、ナビゲーション装置1は、ユーザに対して画像や音声などによる進行方向指示を行うことにより、自車両を誘導する。このように、道路地図を表示して推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導することにより、目的地までのルート案内が行われる。
【0017】
上記のルート案内の際には、自車位置を示すための自車位置マークが道路地図上に表示される。この自車位置マークが自車両の走行に合わせて道路地図上を移動することにより、ユーザはどの地点を自車両が走行しているか知ることができる。この自車位置は、前述のように現在地検出装置14によって検出される。
【0018】
ところで、現在地検出装置14において自車両の現在地を正確に検出するためには、前述したような各種センサ類による検出結果だけでは不十分なことがある。複数の道路が並走している場合、たとえば、特に都市内高速道路において、高架の上を高速道路が通り、その下を一般道路が通っているような場合などは、各種センサ類による検出結果だけではどちらの道路を走行しているのか判別できない。そこで、このような場合にも自車両の現在地を正確に検出できるようにするため、制御回路11において地図データに基づいたマップマッチングと呼ばれる処理が行われる。
【0019】
上記のマップマッチング処理では、並走する複数の道路のうち自車両がどの道路を走行しているかを様々な方法によって判断する。周知のマップマッチング処理の手法として、たとえば、高架の上と下で異なる道路が走行している場合に、自車両の高さ方向の位置変化やGPS信号の受信強度などを検出し、その検出結果を地図データと照合することで、高架上または高架下のどちらの道路を走行しているかを判断するものがある。また、それまでの走行経路の履歴や設定されている推奨経路に基づいて、複数の道路のうちどの道路を走行しているか判断する方法も知られている。本発明では、これら周知のマップマッチング手法のいずれを用いてもよい。並走する複数の道路のどちらを自車両が走行しているか判別できれば、どのようなマップマッチング手法でも用いることができる。
【0020】
ナビゲーション装置1は、VICS情報受信部18によりVICS情報を受信すると、そのVICS情報に基づいて前述したような様々な道路交通情報の内容を表示モニタ16に画像表示する。たとえば、道路上の渋滞箇所をその渋滞度合いに応じてオレンジ色や赤色で示したり、通行規制箇所を特定のマークを用いて示したりする。また、駐車場の空き状況に応じて色分けした駐車場マークを道路地図上の各駐車場の位置に表示することにより、駐車場情報の内容を表示する。このように、各種の道路交通情報が様々な表示マークを用いて道路地図上に表される。
【0021】
なお、VICSセンターより送信されるVICS情報にはレベル1〜レベル3の3段階のレベルがあり、VICS情報により送信された道路交通情報を表示したときの表示形態は、このレベルによって異なる。レベル1の場合、文字によって道路交通情報の内容が表示される。たとえば、渋滞地点名や渋滞距離、ある地点間の所要時間などを表現した文章が、レベル1のVICS情報によって表示される。レベル2の場合は、簡易図形(道路線形を簡易的な図形で表したもの)を用いて表現された道路交通情報の内容が表示される。たとえば、特定の道路の渋滞箇所を赤やオレンジ色などによって簡易図形上に表した画像が、レベル2のVICS情報によって表示される。
【0022】
以上説明したように、レベル1とレベル2のVICS情報による道路交通情報は、道路地図とは組み合わされずに単独で表示される。一方、レベル3のVICS情報による道路交通情報は、前述した駐車場マークのように道路地図と組み合わされて表示される。このように、道路交通情報の内容を道路地図上に重ねて画像表示するときには、レベル3のVICS情報が用いられ、レベル1とレベル2のVICS情報は用いられない。
【0023】
VICS情報受信部18は、制御回路11によって制御されることにより、電波ビーコンからのVICS情報を受信するときの受信感度を前述のマップマッチング処理の結果に応じて切り替える。具体的には、複数の道路が並走している場合に、マップマッチング処理の結果から自車両が高速道路を走行していると判断したら、受信感度を高くして受信可能な電界強度のしきい値を下げ、低いレベルのVICS情報でも受信できるようにする。一方、一般道路を走行していると判断したら、受信感度を低くして受信可能な電界強度のしきい値を上げ、低いレベルのVICS情報は受信できないようにする。これにより、高速道路に並走する一般道路を自車両が走行しているときに、高速道路上に設置された電波ビーコンからのVICS情報を誤って受信してしまうことを防止している。なお、自車両が走行中の道路が高速道路と一般道路のどちらであるかは、道路データに含まれる道路区分データを参照することによって確認できる。
【0024】
なお、上記の受信感度とは、VICS情報受信部18において受信されたVICS情報が有効であるか無効であるかを判断するための受信電界強度(受信レベル)のしきい値を表している。すなわち、VICS情報受信部18によりVICS情報を受信したときの受信レベルが設定された受信感度よりも高ければ、そのVICS情報を有効とする。逆に、受信レベルが受信感度以下であれば、そのVICS情報を無効とする。本実施形態では、この受信感度をマップマッチング処理の結果に応じて変化させる。
【0025】
以上説明したような受信感度の変化は、VICS情報の受信処理の前後いずれで行ってもよい。すなわち、設定された受信感度に受信レベルが満たない場合は、VICS情報の受信自体を行わないようにしてもよいし、あるいは、受信されたVICS情報の内容を破棄することで、そのVICS情報を無効としてもよい。受信処理後にVICS情報の内容を破棄する場合には、VICS情報受信部18において破棄してもよいし、VICS情報受信部18から制御回路11へ出力した後、制御回路11において破棄してもよい。
【0026】
電波ビーコンから送信されるVICS情報の受信感度をVICS情報受信部18において切り替えるときに実行される処理のフローチャートを、受信感度切替Aとして図2に示す。このフローチャートは、一定時間ごとに制御回路11において実行される。
【0027】
ステップS11では、現在地検出装置14に対して現在の自車位置の検出結果を問い合わせることにより、自車位置の情報を取得する。ステップS12では、ステップS11で取得した自車位置を地図データと照合することにより、自車両が地図上のどの地点を走行しているかを特定し、その地点に並走する複数の道路があるか否かを判定する。こうしてステップS12において、複数の道路が並走している並走区間を自車両が走行しているか否かを地図データに基づいて判断する。自車両が並走区間を走行していると判断した場合はステップS13へ進む。一方、並走する道路がないと判定した場合はステップS18へ進む。以下、ステップS13へ進んだ場合から先に説明する。
【0028】
ステップS13では、自車両が並走している道路のどちらを走行しているかを前述のようなマップマッチング処理を行うことによって判断し、その道路の道路区分が高速道路であるか、それとも高速道路以外の一般道路であるかを判定する。なお、ここでいう高速道路には、東名高速道路などの都市間高速道路と、首都高速道路などの都市内高速道路とが含まれる。道路区分が高速道路(都市間高速道路または都市内高速道路)である場合、すなわち自車両が高速道路を走行していると判定した場合は、ステップS14へ進む。その他の道路区分である場合、すなわち自車両が一般道路を走行していると判定した場合は、ステップS16へ進む。
【0029】
ステップS13からステップS14へ進んだ場合、ステップS14では、VICS情報受信部18において電波ビーコンからのVICS情報の受信感度が高低いずれの受信感度に現在設定されているかを判定する。ここで、VICS情報受信部18は異なる2種類の受信感度が設定可能であるものとする。以下の説明では、高い方の受信感度を第1の受信感度と呼び、低い方の受信感度を第2の受信感度と呼ぶこととする。
【0030】
ステップS14において第2の受信感度が設定されていると判定した場合は、ステップS15へ進む。ステップS15では、VICS情報受信部18の受信感度を第1の受信感度に切り替え、電波ビーコンの受信感度を高くする。このようにすることで、自車両が高速道路を走行しているときには、受信感度を上げて電波ビーコンからのVICS情報を受信しやすくする。ステップS15を実行した後は、図2のフローチャートを終了する。なお、ステップS14において第1の受信感度が既に設定されていると判定した場合は、受信感度を切り替える必要がないため、ステップS15を実行せずに図2のフローチャートを終了する。
【0031】
一方、ステップS13からステップS16へ進んだ場合、ステップS16では、ステップS14と同様の判定を行う。すなわち、VICS情報受信部18における電波ビーコンからのVICS情報の受信感度が、前述の第1の受信感度と第2の受信感度のいずれに設定されているかを判定する。
【0032】
ステップS16において高い第1の受信感度が設定されていると判定した場合は、ステップS17へ進む。ステップS17では、VICS情報受信部18の受信感度を第2の受信感度に切り替えて、電波ビーコンの受信感度を低くする。このようにすることで、自車両が一般道路を走行しているときには、受信感度を下げて電波ビーコンからのVICS情報を受信しにくくする。それにより、高速道路上の電波ビーコンからのVICS情報を誤って受信しないようにする。ステップS17を実行した後は、図2のフローチャートを終了する。なお、ステップS16において第2の受信感度が既に設定されていると判定した場合は、受信感度を切り替える必要がないため、ステップS17を実行せずに図2のフローチャートを終了する。
【0033】
また、ステップS12からステップS18へ進んだ場合、ステップS18では、VICS情報受信部18の受信感度を第1の受信感度に切り替えて、電波ビーコンの受信感度を高くする。並走区間以外の一般道路を走行中には、高速道路上の電波ビーコンからのVICS情報を誤って受信することはないため、このように並走区間以外において電波ビーコンの受信感度を上げることができる。なお、既に第1の受信感度に切り替えられていた場合は、ステップS18において何も実行しなくてもよい。ステップS18を実行した後は、図2のフローチャートを終了する。
【0034】
以上説明した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)複数の道路が並走している並走区間を車両が走行しているか否かを地図データに基づいて判断し(ステップS12)、並走区間を走行していると判断した場合、地図データに基づいたマップマッチング処理によって高速道路と一般道路のどちらを車両が走行しているか判定する(ステップS13)。高速道路を走行していると判定した場合は、電波ビーコンからのVICS情報に対するVICS情報受信部18の受信感度を高い方に切り替え(ステップS15)、一般道路を走行していると判定した場合は、電波ビーコンからのVICS情報に対するVICS情報受信部18の受信感度を低い方に切り替える(ステップS17)こととした。このようにしたので、車両の走行速度に関係なく、高速道路上に設置された電波ビーコンからのVICS情報を一般道路において誤って受信することを防止することができる。
【0035】
なお、上記の実施の形態では、並走区間において高速道路と一般道路のどちらを走行しているかによって二種類の受信感度を切り替えることとしたが、さらに受信感度を変化させてもよい。たとえば、誤受信が発生しやすい一般道路上の地点を予め調べておき、その情報をナビゲーション装置1に記録させておくことで、その地点を走行中のときには通常の一般道路の走行中よりもさらに受信感度を下げることができる。このようにすれば、誤受信の可能性をより一層低減できる。なお、誤受信が発生しやすい一般道路上の地点の情報をナビゲーション装置1において記録する際には、道路データのリンク番号を用いることができる。すなわち、ナビゲーション装置1において予め記録された特定のリンク番号を自車両が走行しているときには、誤受信が発生しやすい地点にいるものと判断して、受信感度を下げるようにする。
【0036】
また、上記の実施の形態において高速道路と一般道路のどちらを走行しているかを判断する際に、マップマッチング処理以外の情報を加味してもよい。たとえば、GPS信号の受信強度を加味して、受信強度が高いときには高架上の道路を、低いときには高架下の道路を走行している可能性が高いと判断できる。また、光ビーコンからのVICS情報の受信状況を加味して、これを受信しているときには一般道路を走行している可能性が高いと判断できる。
【0037】
さらに、ETC(Electronic Toll Collection System)システムにおいて用いられるETC路側システムとの通信結果を加味してもよい。ETC路側システムは主に高速道路の出入り口にある料金所に備えられているため、車両とETC路側システムとの通信結果に基づいて入口料金所を通過してから支払い料金の確定する出口料金所を通過するまでの間であることが分かれば、高速道路を走行している可能性が高いと判断できる。都市間高速道路などのように高速道路から出るときに領域を精算する場合には、特に有効である。
【0038】
−第2の実施の形態−
以上説明した第1の実施の形態では、マップマッチング処理によって車両が高速道路と一般道路のどちらを走行しているか判定し、その判定結果に応じて電波ビーコンからの受信感度を切り替えていた。これに対して、以下に説明する第2の実施の形態では、最後に電波ビーコンと光ビーコンのどちらからVICS情報を受信したかにより、車両が高速道路と一般道路のどちらを走行しているか判定し、その判定結果に応じて電波ビーコンからの受信感度を切り替える。
【0039】
本実施形態で一定時間ごとに制御回路11において実行されるフローチャートを、受信感度切替Bとして図3に示す。なお、本実施形態のナビゲーション装置の構成は図1に示した第1の実施の形態と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0040】
ステップS21では、VICS情報受信部18に対して最後に受信したビーコンが電波ビーコンと光ビーコンのいずれであったかを問い合わせる。ステップS22では、ステップS21の問い合わせ結果により、VICS情報受信部18において電波ビーコンと光ビーコンのいずれから最後にVICS情報を受信したか判定する。電波ビーコンであった場合はステップS23へ進み、光ビーコンであった場合はステップS25へ進む。
【0041】
なお、車両が走行を開始した直後でまだVICS情報を受信していないなどの理由により、ステップS22の判定時に電波ビーコンと光ビーコンのいずれから最後にVICS情報を受信したか不明な場合がある。このような場合は、ステップS23とS25のいずれにも進まずに図3のフローチャートを終了する。このときVICS情報受信部18における受信感度は初期設定の状態に保たれる。なお、初期設定では受信感度を高低いずれの状態としてもよいが、最初に電波ビーコンからのVICS情報を確実に受信できるようにするため、受信感度を高くしておくことが好ましい。
【0042】
ステップS22からS23へ進んだ場合、ステップS23およびS24において図2のステップS14およびS15と同じ処理を実行することにより、受信感度を高い方の第1の受信感度に切り替える。すなわち、ステップS22において電波ビーコンからのVICS情報を最後に受信したと判定することにより、車両が高速道路を走行していると判断して受信感度を上げ、電波ビーコンからのVICS情報を受信しやすくする。
【0043】
一方、ステップS22からS25へ進んだ場合は、ステップS25およびS26において図2のステップS16およびS17と同じ処理を実行することにより、受信感度を低い方の第2の受信感度に切り替える。すなわち、ステップS22において光ビーコンからのVICS情報を最後に受信したと判定することにより、車両が一般道路を走行していると判断して受信感度を下げ、電波ビーコンからのVICS情報を受信しにくくする。これにより、高速道路上の電波ビーコンからのVICS情報を誤って受信しないようにする。上記の処理を実行したら、図3のフローチャートを終了する。
【0044】
以上説明した第2の実施の形態によれば、VICS情報受信部18において電波ビーコンと光ビーコンのどちらから送信されたVICS信号を受信したか判定する(ステップS22)。電波ビーコンからのVICS情報を受信した場合は、車両が高速道路を走行していると判定して、電波ビーコンからのVICS情報に対するVICS情報受信部18の受信感度を高い方に切り替える(ステップS24)。一方、光ビーコンからのVICS情報を受信した場合は、車両が一般道路を走行していると判定して、電波ビーコンからのVICS情報に対するVICS情報受信部18の受信感度を低い方に切り替える(ステップS26)。このようにしたので、第1の実施の形態と同様に、車両の走行速度に関係なく、高速道路上に設置された電波ビーコンからのVICS情報を一般道路において誤って受信することを防止することができる。
【0045】
−第3の実施の形態−
本実施の形態では、ETCシステムを利用して車両が高速道路と一般道路のどちらを走行しているか判定し、その判定結果に応じて電波ビーコンからの受信感度を切り替える例を説明する。本実施形態の構成は図4に示すとおりであり、図1に示した第1の実施の形態に加えて、さらにETC通信部21を有している。このETC通信部21は、高速道路の料金所に設置されたETC路側システムと通信を行う部分であり、アンテナや受信機などを用いて構成される。その他の部分は図1と同じであるため、説明を省略する。
【0046】
本実施形態で一定時間ごとに制御回路11において実行されるフローチャートを、受信感度切替Cとして図5に示す。ステップS31では、ETC通信部21に対して直前のETCの通信結果を問い合わせる。次のステップS32では、ステップS31の問い合わせ結果によりETC通信を行ったか否かを判定する。ETC通信を行った場合はステップS33へ進む。一方、通信していない場合はステップS38へ進む。以下、ステップS33へ進んだ場合から先に説明する。
【0047】
ステップS33では、ETC通信内容が入口料金所の通過または支払い料金の確定する出口料金所の通過のいずれかに該当するかを判断する。入口料金所の通過である場合はステップS34へ進み、出口料金所の通過である場合はステップS36へ進む。いずれにも該当しない場合、たとえば支払い料金の確定しない料金均一区間にある料金所の通過などの場合は、ステップS38へ進む。なお、上記の判断は、ステップS31で問い合わせたETC路側システムとの通信結果に基づいて行うことができる。すなわち、ETC路側システムが設置されている料金所を通過すると、その料金所が入口料金所、出口料金所または料金均一区間にある料金所のいずれに該当するか、また出口料金所では確定した支払い料金の金額がいくらであったなどの情報が、ETC路側システムより送信される。
【0048】
ステップS33からステップS34へ進んだ場合は、ステップS34およびS35において図2のステップS14およびS15と同じ処理を実行することにより、受信感度を高い方の第1の受信感度に切り替える。この切り替え状態は、ステップS33において入口料金所を通過したと判断されたときから、支払い料金の確定する出口料金所を通過したと判断されるまでの間、後で説明するステップS38によって維持される。これにより、入口料金所を通過してから出口料金所を通過するまでの間であると判断した場合は、車両が高速道路を走行していると判定して受信感度を上げ、電波ビーコンからのVICS情報を受信しやすくする。
【0049】
一方、ステップS33からS36へ進んだ場合は、ステップS36およびS37において図2のステップS16およびS17と同じ処理を実行することにより、受信感度を低い方の第2の受信感度に切り替える。すなわち、ステップS33において支払い料金の確定する出口料金所を通過したと判断された後は、車両が一般道路を走行していると判定して受信感度を下げ、電波ビーコンからのVICS情報を受信しにくくする。これにより、高速道路上の電波ビーコンからのVICS情報を誤って受信しないようにする。上記の処理を実行したら、図5のフローチャートを終了する。
【0050】
ステップS32、ステップS33からステップS38へ進んだ場合、ステップS38では、VICS情報受信部18の受信感度をそれまでの状態に維持する。なお、入口料金所を通過するまでの間は、低い方の第2の受信感度を維持しておく。これにより、入口料金所を通過してから出口料金所を通過するまでの間であると判断した場合には、前述したようにVICS情報受信部18の受信感度が第1の受信感度に切り替えられ、それ以外の場合には第2の受信感度に切り替えられる。ステップS38を実行した後は、図5のフローチャートを終了する。
【0051】
以上説明した第3の実施の形態によれば、ETC通信部21における通信結果により、高速道路の料金所に設置されたETC路側システムとのETC通信を行ったか否かを判定し(ステップS32)、ETC通信を行った場合には、その通信結果に基づいて、入口料金所の通過なのか、支払い料金の確定する出口料金所の通過なのか、あるいはそれ以外に該当するかを判断する(ステップS33)。この判断結果から、入口料金所の通過であった場合は、電波ビーコンからのVICS情報に対するVICS情報受信部18の受信感度を高い方に切り替え(ステップS35)、出口料金所の通過であった場合は、その受信感度を低いほうに切り替える(ステップS37)。また、ETC通信を行っていない場合や入口料金所または出口料金所の通過に該当しない場合は、その受信感度をそれまでの状態に維持する(ステップS38)。これにより、入口料金所を通過してから出口料金所を通過するまでの間であると判断した場合は、車両が高速道路を走行していると判定して、電波ビーコンからのVICS情報に対するVICS情報受信部18の受信感度を高い方に切り替え、そうでない場合には、車両が一般道路を走行していると判定して、電波ビーコンからのVICS情報に対するVICS情報受信部18の受信感度を低い方に切り替えることとした。このようにしたので、第1および第2の実施の形態と同様に、車両の走行速度に関係なく、高速道路上に設置された電波ビーコンからのVICS情報を一般道路において誤って受信することを防止することができる。
【0052】
−第4の実施の形態−
以上説明した第1〜第3の実施の形態では、いずれもVICS情報受信部18におけるVICS情報の受信感度を切り替えることにより、高速道路上に設置された電波ビーコンからのVICS情報が一般道路において誤受信されるのを防止していた。これに対して本実施形態では、VICS情報の受信感度を切り替えずに、高速道路上に設置された電波ビーコンからのVICS情報が一般道路において誤受信されるのを防止する。その具体的な方法を以下に説明する。
【0053】
本実施形態では、VICS情報の受信レベルが設定された受信感度以下であっても、そのVICS情報を受信する。そして、複数の道路が並走している並走区間を自車両が走行している場合は、受信感度以下で受信されたVICS情報を無効とすることにより、並走する高速道路からのVICS情報の誤受信を防ぐ。受信感度以下で受信されたVICS情報であっても、並走区間を走行中でない場合は、受信したVICS情報を有効とすることにより、VICS情報の受信レベルが低いときであっても受信できるようにする。このような処理を、以下の説明では有効性判断処理という。
【0054】
本実施形態において制御回路11により一定時間ごとに実行される有効性判断処理のフローチャートを図6に示す。なお、本実施形態のナビゲーション装置の構成は図1に示した第1の実施の形態と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0055】
ステップS41では、電波ビーコンから送信されたVICS情報をVICS情報受信部18において受信したか否かを判定する。受信した場合は次のステップS42へ進み、受信しない場合は図6のフローチャートを終了する。ステップS42では、図2のステップS11と同様に、現在地検出装置14に対して現在の自車位置の検出結果を問い合わせることにより、自車位置の情報を取得する。
【0056】
ステップS43では、図2のステップS12と同様に、ステップS42で取得した自車位置を地図データと照合することにより、自車両が地図上のどの地点を走行しているかを特定し、その結果に基づいて、複数の道路が並走している並走区間を自車両が走行しているか否かを判断する。自車両が並走区間を走行していると判断した場合はステップS44へ進む。一方、並走する道路がないと判定した場合は、図6のフローチャートを終了する。この場合は、受信したVICS情報が有効であるものとされ、そのVICS情報に基づいて渋滞情報などの道路交通情報が表示モニタ16に表示される。
【0057】
ステップS44では、VICS情報受信部18により電波ビーコンからのVICS情報を受信したときの受信レベルが受信感度以下であったか否かを判定する。受信感度以下であった場合はステップS45へ進む。一方、受信レベルが受信感度より高かった場合は、図6のフローチャートを終了する。この場合にも、受信したVICS情報が有効であるものとされ、そのVICS情報に基づいて渋滞情報などの道路交通情報が表示モニタ16に表示される。
【0058】
ステップS45では、受信したVICS情報を無効にする。この場合は、VICS情報に基づく道路交通情報の表示は行われない。ステップS45を実行したら、図6のフローチャートを終了する。
【0059】
なお、本実施形態におけるVICS情報の受信感度は、VICS情報受信部18が有する受信性能よりも高い受信レベルの範囲内で予め設定される。すなわち、設定された受信感度より低い受信レベルであっても、VICS情報受信部18の受信性能によって決まる受信レベルの最低値(最低受信感度)以上であれば、VICS情報を受信することができる。この受信感度以下で受信されたVICS情報のうち、自車両が並走区間を走行しているときに受信されたものが、ステップS45の処理によって無効とされる。
【0060】
以上説明した第4の実施の形態によれば、複数の道路が並走している並走区間を車両が走行しているか否かを地図データに基づいて判断する(ステップS43)とともに、VICS情報受信部18により受信されたVICS情報の受信レベルが予め設定された受信感度以下であるか否かを判定する(ステップS44)。そして、並走区間を走行していると判断し、かつ、道路交通情報の受信レベルが予め設定された受信感度以下であると判定した場合は、そのときに受信された道路交通情報を無効とする(ステップS45)。このようにしたので、第1〜第3の実施の形態と同様に、車両の走行速度に関係なく、高速道路上に設置された電波ビーコンからのVICS情報を一般道路において誤って受信することを防止することができる。
【0061】
上記の各実施の形態では、判断手段、道路判定手段、切り替え手段、受信レベル判定手段および無効化手段の各手段を制御回路11の処理によって実現している。しかし、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も、本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態において実行される処理のフローチャートである。
【図3】第2の実施の形態において実行される処理のフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第3の実施の形態において実行される処理のフローチャートである。
【図6】第4の実施の形態において実行される処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
1 ナビゲーション本体
11 制御回路
12 ROM
13 RAM
14 現在地検出装置
15 画像メモリ
16 表示モニタ
17 入力装置
18 VICS情報受信部
19 ディスクドライブ
20 DVD−ROM
21 ETC通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速道路上に設置された電波ビーコンにより送信される道路交通情報を車両に備えられた受信装置により受信する道路交通情報の受信方法において、
複数の道路が並走している並走区間を前記車両が走行しているか否かを地図データに基づいて判断し、
前記並走区間を走行していると判断した場合、前記地図データに基づいたマップマッチング処理によって高速道路と一般道路のどちらを前記車両が走行しているかを判定し、
高速道路を走行していると判定した場合は、前記受信装置の受信感度を所定の第1の受信感度に切り替え、
一般道路を走行していると判定した場合は、前記受信装置の受信感度を前記第1の受信感度よりも低い第2の受信感度に切り替えることを特徴とする道路交通情報の受信方法。
【請求項2】
高速道路上に設置された電波ビーコンにより送信される道路交通情報を車両に備えられた受信装置により受信する道路交通情報の受信方法において、
前記受信装置を用いて一般道路上に設置された光ビーコンにより送信される道路交通情報をさらに受信し、
前記電波ビーコンからの道路交通情報を受信した場合は、前記車両が高速道路を走行していると判定して、前記電波ビーコンにより送信される道路交通情報に対する前記受信装置の受信感度を所定の第1の受信感度に切り替え、
前記光ビーコンからの道路交通情報を受信した場合は、前記車両が一般道路を走行していると判定して、前記電波ビーコンにより送信される道路交通情報に対する前記受信装置の受信感度を前記第1の受信感度よりも低い第2の受信感度に切り替えることを特徴とする道路交通情報の受信方法。
【請求項3】
高速道路上に設置された電波ビーコンにより送信される道路交通情報を車両に備えられた受信装置により受信する道路交通情報の受信方法において、
高速道路の料金所に設置されたETC(Electronic Toll Collection System)路側システムと通信し、
前記ETC路側システムとの通信結果に基づいて、前記車両が入口料金所を通過してから支払い料金の確定する出口料金所を通過するまでの間であるか否かを判断し、
入口料金所を通過してから出口料金所を通過するまでの間であると判断した場合は、前記車両が高速道路を走行していると判定して、前記受信装置の受信感度を所定の第1の受信感度に切り替え、
入口料金所を通過してから出口料金所を通過するまでの間でないと判断した場合は、前記車両が一般道路を走行していると判定して、前記受信装置の受信感度を前記第1の受信感度よりも低い第2の受信感度に切り替えることを特徴とする道路交通情報の受信方法。
【請求項4】
高速道路上に設置された電波ビーコンにより送信される道路交通情報を車両に備えられた受信装置により受信する道路交通情報の受信方法において、
複数の道路が並走している並走区間を前記車両が走行しているか否かを地図データに基づいて判断し、
前記受信装置により受信された道路交通情報の受信レベルが予め設定された受信感度以下であるか否かを判定し、
並走区間を走行していると判断し、かつ、前記道路交通情報の受信レベルが予め設定された受信感度以下であると判定した場合は、そのときに受信された道路交通情報を無効とすることを特徴とする道路交通情報の受信方法。
【請求項5】
車両に備えられて使用されるナビゲーション装置であって、
高速道路上に設置された電波ビーコンにより送信される道路交通情報を受信する受信手段と、
地図データを記憶する地図記憶手段と、
複数の道路が並走している並走区間を前記車両が走行しているか否かを前記地図記憶手段により記憶された地図データに基づいて判断する判断手段と、
前記判断手段により並走区間を走行していると判断された場合、前記地図データに基づいたマップマッチング処理によって高速道路と一般道路のどちらを前記車両が走行しているかを判定する道路判定手段と、
前記道路判定手段により高速道路を走行していると判定された場合は、前記受信手段の受信感度を所定の第1の受信感度に切り替え、前記道路判定手段により一般道路を走行していると判定された場合は、前記受信手段の受信感度を前記第1の受信感度よりも低い第2の受信感度に切り替える切り替え手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
車両に備えられて使用されるナビゲーション装置であって、
高速道路上に設置された電波ビーコンおよび一般道路上に設置された光ビーコンにより送信される道路交通情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記電波ビーコンからの道路交通情報を受信した場合は、前記車両が高速道路を走行していると判定し、前記受信手段により前記光ビーコンからの道路交通情報を受信した場合は、前記車両が一般道路を走行していると判定する道路判定手段と、
前記道路判定手段により高速道路を走行していると判定された場合は、前記電波ビーコンにより送信される道路交通情報に対する前記受信手段の受信感度を所定の第1の受信感度に切り替え、前記道路判定手段により一般道路を走行していると判定された場合は、前記電波ビーコンにより送信される道路交通情報に対する前記受信手段の受信感度を前記第1の受信感度よりも低い第2の受信感度に切り替える切り替え手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
車両に備えられて使用されるナビゲーション装置であって、
高速道路上に設置された電波ビーコンにより送信される道路交通情報を受信する交通情報受信手段と、
高速道路の料金所に設置されたETC(Electronic Toll Collection System)路側システムと通信するETC通信手段と、
前記ETC通信手段によるETC路側システムとの通信結果に基づいて、前記車両が入口料金所を通過してから支払い料金の確定する出口料金所を通過するまでの間であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により入口料金所を通過してから出口料金所を通過するまでの間であると判断された場合は、前記車両が高速道路を走行していると判定し、前記判断手段により入口料金所を通過してから出口料金所を通過するまでの間でないと判断された場合は、前記車両が一般道路を走行していると判定する道路判定手段と、
前記道路判定手段により高速道路を走行していると判定された場合は、前記交通情報受信手段の受信感度を所定の第1の受信感度に切り替え、前記道路判定手段により一般道路を走行していると判定された場合は、前記交通情報受信手段の受信感度を前記第1の受信感度よりも低い第2の受信感度に切り替える切り替え手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
車両に備えられて使用されるナビゲーション装置であって、
高速道路上に設置された電波ビーコンにより送信される道路交通情報を受信する受信手段と、
地図データを記憶する地図記憶手段と、
複数の道路が並走している並走区間を前記車両が走行しているか否かを前記地図記憶手段により記憶された地図データに基づいて判断する判断手段と、
前記受信手段により受信された道路交通情報の受信レベルが予め設定された受信感度以下であるか否かを判定する受信レベル判定手段と、
前記判断手段により並走区間を走行していると判断され、かつ、前記受信レベル判定手段により道路交通情報の受信レベルが予め設定された受信感度以下であると判定された場合は、そのときに受信された道路交通情報を無効とする無効化手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−260517(P2006−260517A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195930(P2005−195930)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】