説明

道路交通情報提供システム及び方法

【課題】路線単位などの指定範囲の道路を対象として、気象を代表とする環境条件及びリアルタイムの道路交通状況を考慮した事故危険性などを判断するための危険レベル情報を提供できる道路交通情報提供システムを提供することにある。
【解決手段】道路上の指定範囲における道路交通上の危険レベルを判定する道路交通情報提供システムが開示されている。道路交通情報提供システムは、道路交通状況情報及び気象情報を考慮した危険レベルを判定する道路交通状況危険レベル判定部12を有する。道路交通状況危険レベル送信部14は、危険レベル情報をネットワーク1を介して外部に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、道路上の危険レベルを含む道路交通状況の情報を提供する道路交通情報提供技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特にITS(Intelligent Transport Systems)と呼ばれる道路交通システムの分野では、道路交通状況に関する情報を走行中の車両(自動車と表記する場合がある)に提供する道路交通情報提供システムの開発が推進されている。提供される情報としては、路側の可変情報板による走行所要時間や、渋滞状況等の数値化データ、模式図データ等である。
【0003】
道路交通情報提供システムとしては、例えばVICS(Vehicle Information and Communication System)と称する道路交通情報通信システムに対応するカーナビゲーションシステム(以下、カーナビと表記する場合がある)がある。カーナビは自動車に搭載された車載器として普及しており、VICSにより提供される文字、図形表示による道路交通状況に関する情報をディスプレイ上に表示することが可能である。VICSは、通常では、道路のある区間のマクロな情報提供を主とするシステムである。
【0004】
また、道路上に設置されている車両感知器と呼ばれる道路センサからの計測結果を利用して、道路上の時間交通量、走行する自動車の平均速度や、道路の占有率などのマクロ情報を生成して提供する道路交通情報提供システムも提案されている。
【0005】
さらに、安全方面の観点からは、衝突や事故等に関する情報を提供するシステムが提案されている。具体的には、予め入手している交差点情報を利用し、見通しの悪い交差点にて運転支援情報を提供するシステムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。また、カメラ画像により、車両周囲の衝突のみの衝突判定情報を提供するシステムが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。また、車両搭載の車速センサやGPSセンサにより車両の移動状況を予測し、危険度を判定するシステムが提案されている(例えば、特許文献3を参照)。さらに、レーダ等のセンサを用いて歩行者の飛び出しに対する危険度を推定するシステムが提案されている(例えば、特許文献4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−323185号公報
【特許文献2】特開2007−310574号公報
【特許文献3】特開2006−209333号公報
【特許文献4】特開2007−257338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の先行技術文献で提案されているシステムは、いずれの場合も、ある特定の車両に対する危険情報(特定車両の周辺情報を含む)のみを取り扱っている。また、リアルタイムに道路交通流を考慮した路線規模(ある範囲の道路)を対象としたものではない。例えば、道路交通状況から、重渋滞が頻発する箇所で、事故発生件数が多い路線等が相当する。この様な、路線または交差点単位での安全性向上のための情報としては、公的機関において、安全向上を目的として作成された事故マップ等があるが、統計的に収集された情報を提示するものであり、ダイナミックな道路状況を考慮したものではない。
【0008】
また、道路の安全性は、時刻、気象などの環境条件に依存することが類推されるが、これら従来例は、一般的にこのような環境条件を考慮したものではない。
【0009】
そこで、本発明の目的は、路線単位などの指定範囲の道路を対象として、気象を代表とする環境条件及びリアルタイムの道路交通状況を考慮した事故危険性などを判断するための危険レベル情報を提供できる道路交通情報提供システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の観点は、道路上の指定範囲におけるリアルタイムな道路交通状況情報及び気象を代表とする環境条件を考慮した道路交通上の危険レベルを判定し、当該危険レベル情報を道路管制官や自動車ユーザなどに提供することができる道路交通情報提供システムである。
【0011】
本発明の観点に従った道路交通情報提供システムは、指定範囲の道路上の道路交通状況を示す道路交通状況情報を取得する交通情報取得手段と、前記指定範囲の道路を含む地域の気象情報を取得する気象情報取得手段と、前記道路交通状況情報と前記気象情報に基づいて、前記指定範囲の道路上での道路交通における危険レベルを判定する判定手段と、前記判定手段により判定された危険レベルを示す危険レベル情報を提供する情報提供手段とを備えた構成である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、路線単位などの指定範囲の道路を対象として、気象を代表とする環境条件及びリアルタイムの道路交通状況を考慮した事故危険性などを判断するための危険レベル情報を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に関する道路交通情報提供システムの基本的構成を説明するためのブロック図。
【図2】第1の実施形態に関する道路交通情報提供システムの具体的構成を説明するためのブロック図。
【図3】第2の実施形態に関する道路交通情報提供システムの構成を説明するためのブロック図。
【図4】第2の実施形態に関する道路交通情報提供システムの変形例を説明するためのブロック図。
【図5】第1の実施形態に関する危険レベルの定義を説明するための速度と車頭間距離との関係を説明するための図。
【図6】第1の実施形態に関する危険レベルの定義を説明するための図で、速度と車頭間距離との関係を標準偏差で示す図。
【図7】第1の実施形態に関する危険レベルの定義を説明するための図で、天候との関係を示す図。
【図8】第1の実施形態に関する危険レベルモニタの危険レベル情報の表示例を示す図。
【図9】第1の実施形態に関する危険レベル情報を路側情報板に表示する場合の一例を示す図。
【図10】第1の実施形態に関する車載器における危険レベル情報の表示例を示す図。
【図11】第1の実施形態に関する危険レベル判定の変形例を示す図。
【図12】第1の実施形態に関する危険レベル判定の変形例を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
(システムの構成)
図1は、本実施形態の道路交通情報提供システムの基本的構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の道路交通情報提供システムは、ネットワーク1と、道路センサ2と、路側道路交通状況危険レベル情報提供部(以下、危険レベル情報提供部と略す)3と、道路交通管制センタ10と、気象情報提供部20とを有する構成である。
【0017】
ネットワーク1は、道路側に設置されている光LANなどである。道路センサ2は、道路側に例えば約数百[m]〜数[km]間隔に設置される車両感知器であり、道路交通状況を計測する。なお、交通渋滞が頻繁に発生する範囲などでは、道路センサ2は、数十〜数百[m]毎に設置されることが望ましい。道路センサ2は、計測結果である道路交通状況情報を、ネットワーク1を介して道路交通管制センタ20に送信する。ここで、道路センサ2は例えば超音波式車両感知器であり、道路上を走行する自動車の交通量(即ち、単位時間に通過した車両の台数)や平均速度(センシングヘッドが2ヘッドの場合にそれぞれの通過時刻の差をもとに演算可能)、及び時間占有率などの計測を行なう。
【0018】
道路交通管制センタ10は、交通情報取得・保存部11と、道路交通状況危険レベル判定部(以下、危険レベル判定部と略す)12と、道路交通状況危険レベルモニタ(以下、モニタと略す)13と、道路交通状況危険レベル送信部(以下、危険レベル送信部と略す)14と、気象情報取得・保存部15とを有する。気象情報取得・保存部15は、例えばネットワークを介して気象情報提供部20から提供される気象情報または気象予測情報を受信して、記憶装置に保存する。
【0019】
このような基本的構成において、図2は、路車間通信方式(プローブカー)を採用して、危険レベル情報を車載器31に提供する道路交通情報提供システムの具体的構成を示す。ここで、車載器31は、道路上を走行する自動車30に搭載されている。
【0020】
図2に示すように、道路交通情報提供システムは、前述のネットワーク1、道路センサ2、道路交通管制センタ10、及び気象情報提供部20以外に、路側車両情報収集部5と、路側道路交通状況危険レベル情報伝送部(以下、危険レベル情報伝送部)4と、車載器31とを有する。
【0021】
危険レベル情報伝送部4は、危険レベル情報提供部3に相当する要素であり、ネットワーク1を介して道路交通管制センタ10から送信される危険レベル情報を受信し、当該危険レベル情報110を例えばDSRCを使用して車載器31に伝送する。車載器31は、車両情報送信部32及び道路交通状況危険レベル情報提供部(以下、危険レベル情報提供部と略す)33を含む。
【0022】
車両情報送信部32は、車両30の挙動情報100を無線通信により路側車両情報収集部5に送信する。危険レベル情報提供部33は、危険レベル情報伝送部4から伝送された危険レベル情報110を、例えば車載器31のモニタに表示して、自動車30の運転手に情報提供する。なお、危険レベル情報提供部33はモニタ表示と共に、危険レベル情報110を音声情報に変換して運転手に提供する機能を含む構成でもよい。
【0023】
路側車両情報収集部5は、例えば狭域無線通信(DSRC:dedicated short range communication)を使用して、自動車30に搭載されている車載器31から送信される車両挙動情報(車両の速度、加減速度、ハンドリング情報等)100を収集し、ネットワーク1を介して道路交通管制センタ10に送信する。なお、路側車両情報収集部5と車載器31間の無線通信は、DSRC以外にも、例えば電波ビーコン通信または光ビーコン通信でもよい。
【0024】
(システムの動作)
以下、図2に示す道路交通情報提供システムの動作を説明する。
【0025】
本実施形態のシステムは、車載器31を搭載した自動車30が指定範囲の道路、例えば高速道路の特定区間を走行している場合に、自動車30を運転している運転者(ユーザ)に対して、当該道路での危険レベル情報110を提供することができる。この場合、本実施形態のシステムは、後述するように、当該道路を含む地域の気象環境を示す気象情報または気象予測情報を考慮した危険レベル情報110を提供する。
【0026】
ここで、危険レベル情報110で示す危険レベルの定義について、図5から図7を参照して説明する。
【0027】
例えば高速道路の特定区間において、走行する車両の速度と車頭間距離(車間距離)に関する情報を長期間にわたってプロットすると、図5に示すように、速度(走行速度)に対する車頭間距離の関係を示す情報が得られる。曲線500は、平均速度に対する平均車頭間距離の特性を示すものである。図5に示すように、車頭間距離の平均値よりも車頭間距離が小さい領域では、車頭間距離が大きい領域に比べて相対的に事故や渋滞が発生する可能性が高く、危険度が高いと推定できる。このような車頭間距離の広がりを統計的に処理し、標準偏差の形で表現することにより、危険度を示す危険レベル情報を数字として評価することが可能となる。
【0028】
図6は、平均速度に対する平均車頭間距離の特性を示す曲線610と、標準偏差の曲線600を示す図である。即ち、曲線600は、各平均速度に対する車頭間距離の平均値から標準偏差1σ、即ち当該平均値から車頭間距離が短い値からなる特性を示す。ここでは、平均的な車頭間距離が確保されている状態と比べて、危険度が高くなると考えられ、平均値からのずれ(即ち、標準偏差1σ)を危険度の尺度として用いることができる。
【0029】
本システムでは、道路交通管制センタ10は、交通情報取得・保存部21が指定範囲の道路(高速道路の特定区間)に設置された道路センサ2から送信される道路交通状況の計測結果、及び路側車両情報収集部5から送信される自動車30の車両挙動情報100を取得する。道路センサ2からの計測結果とは、指定範囲の交通量(単位時間に通過した車両の台数)、平均速度、時間占有率を含む道路交通状況情報である。また、車両挙動情報100は、車載器31に含まれる車両情報送信部32から送信される情報であり、車両の速度、加減速度、ハンドリング情報等である。
【0030】
本実施形態では、危険レベル情報110で示す危険レベルとして、前述の速度と車頭間距離との関係と共に降雨などの気象状況(気象環境)を考慮した定義を想定する。即ち、速度と車頭間距離との関係は気象状況(気象環境)により変化し、豪雨時、濃霧時などには車頭間距離は、晴天時と比べて大きくなることが確認されている。図7は、ある速度に対する車頭間距離との関係において、晴天時の場合の特性700と雨天時の場合の特性710が異なることを示す図である。図7に示すように、雨天時のある速度に対する車頭間距離は、晴天時のそれよりも長くなることが確認されている。したがって、危険度の尺度として用いる車頭間距離は、天候などの気象環境に依存することになる。
【0031】
そこで、本実施形態のシステムでは、道路交通管制センタ10の危険レベル判定部12は、高速道路の特定区間における速度と車頭間距離との関係と共に、その地域の天候を示す気象情報又は気象予測情報を使用して道路上の危険レベルを判定する。道路交通管制センタ10では、気象情報取得・保存部15は、例えばネットワークを介して気象情報提供部20から提供される気象情報または気象予測情報を受信して、記憶装置に保存する。危険レベル判定部12は、気象情報取得・保存部15から気象情報または気象予測情報を取得する。一方、危険レベル判定部12は、対象とする道路地点の現在の交通状況(例えば交通量、平均速度、時間占有率)を示す道路交通状況情報を交通情報取得・保存部21から入力する。これにより、危険レベル判定部12は、その地点の天候に対応した速度と車頭間距離との関係を示す情報、即ち雨天時や濃霧時などの天候に対して速度と車頭間距離との関係の変化を示す情報を作成することにより、その地点の危険レベルを判定する。
【0032】
危険レベル判定部12は、危険レベルの判定、即ち危険度の尺度の一例としては、現状の平均速度に対する現状の平均車頭間距離が、一定期間に渡って蓄積された平均車頭間距離データと比べて大きいか小さいかにより判定する。具体的には、危険レベル判定部12は、数値化された危険レベルがある一定値よりも低い場合には「危険レベルは低レベル」と判定する。また、ある一定の範囲の場合には「危険レベルは中レベル」と判定する。さらに、ある値よりも高い場合には「危険レベルが高レベル」と判定する。
【0033】
以上のような判定方法により、危険レベル判定部12は、高速道路などの道路の特定区間(指定区間)での道路交通における危険レベルをリアルタイムで判定し、判定した結果を示す危険レベル情報を生成する。危険レベル判定部12は、生成した危険レベル情報を危険レベルモニタ13に出力する。危険レベルモニタ13は、ディスプレイ上に危険レベル情報を表示する。危険レベルモニタ13は、道路交通状況を監視する監視員(または道路管制官)に対して、ディスプレイ上に危険レベル情報を表示して情報を提供するための装置である。
【0034】
図8は、危険レベルモニタ23のディスプレイに表示される危険レベル情報の表示例を示す図である。図8に示すように、道路線図上の各区間を、危険レベル判定結果として危険レベルに応じて青色、黄色、赤色などの表示色を変化させて表示する。
【0035】
具体的には、危険レベルが低レベル(危険度が小さい)の区間820を、例えば黄色で表示する。危険レベルが中間レベルの区間810を、例えばオレンジ色で表示する。危険レベルが高レベル(危険度が大きい)の区間800を、例えば赤色で表示する。また、それ以外の区間は、危険レベルがほぼ0であることを示す。
【0036】
次に、危険レベル送信部14は、危険レベルモニタ13からの危険レベル情報を、ネットワーク1を介して路側の危険レベル情報伝送部4に送信する。危険レベル情報伝送部4は、無線通信により路側に設置された可変情報板などの情報提供装置(運転手向け道路交通状況の情報提供表示装置)に送信する。
【0037】
具体的には、図9(A)、(B)に示すように、道路を走行中の自動車の運転者が確認できるように、路側に設置された可変情報板(表示パネル)に、道路交通状況に対する危険レベル情報を表示する。これにより、道路を走行中の自動車30の運転者は、路側に設置された可変情報板により、走行中の道路における危険レベル情報を確認することができる。
【0038】
また、危険レベル情報伝送部4は、無線通信により危険レベル情報110を走行している自動車30の車載器31に伝送する。車載器31では、危険レベル情報提供部33は、危険レベル情報伝送部4から伝送された危険レベル情報110を、図10に示すように、車載器31のモニタに表示する。また、危険レベル情報提供部33はモニタ表示と共に、危険レベル情報110を音声情報に変換してスピーカから出力する構成でも良い。このような構成により、自動車30の運転者は、車載器31のモニタやスピーカから、走行中の道路における危険レベル情報110を確認することができる。
【0039】
(変形例)
図11及び図12は、本実施形態の危険レベル判定方法の変形例を説明するための図である。
【0040】
一般的に、走行する自動車の平均速度と一定時間の通過台数(交通量)から、指定範囲の道路における車頭間距離や車両密度に関する情報を算出することができる。本実施形態の危険レベル判定部12は、これらの情報に基づいて危険度を評価し、危険レベル情報110を算出することが可能である。具体的には、図11に示すように、平均的な車両密度に対する平均速度との関係を示す特性900を算出し、この特性900に基づいて危険度の高低を評価できる。また、図12に示すように、平均的な車両密度に対する平均速度との関係を示す特性920と、標準偏差の特性910とを算出し、これらの特性910,920に基づいて危険度の高低を評価できる。
【0041】
以上のように本実施形態のシステムであれば、道路交通状況情報に含まれる指定範囲の道路での平均速度と車頭間距離との関係を示す情報、及び天候を示す気象情報を使用して、当該道路を含む地域の気象環境(天候の変動など)を考慮した危険度を評価することができる。さらに、本実施形態のシステムは、危険度の評価を含む危険レベル情報を走行している自動車30の車載器31や道路管制官に提供することができる。従って、走行中の自動車30の運転者は、当該危険レベル情報を検討して、例えば天候の変化に応じて走行速度を低下させる運転操作や、別の道路に変更するなどの判断をリアルタイムで行なうことが可能となる。
【0042】
[第2の実施形態]
図3は、第2の実施形態に関する道路交通情報提供システムの構成を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態の道路交通情報提供システムは、第1の実施形態に関する道路交通情報提供システムと異なる構成として、自動車30の車載器31が危険レベル判定部12を含む構成である。なお、本実施形態の道路交通情報提供システムにおいて、図2に示す第1の実施形態に関する道路交通情報提供システムと同一機能を実現する構成要素については同一符号を付している。以下、具体的に説明する。
【0043】
道路交通管制センタ10は、交通情報取得・保存部11及び交通情報送信部16を有する。交通情報取得・保存部11は、指定範囲の道路(高速道路の特定区間)に設置された道路センサ2から送信される道路交通状況の計測結果、及び路側車両情報収集部5から送信される自動車30の車両挙動情報100をネットワーク1を介して取得する。交通情報送信部16は、交通情報取得・保存部11により保存されている情報をネットワーク1を介して路側交通情報送信部6に伝送する。
【0044】
一方、自動車30に搭載されている車載器31は、車両情報送信部32及び危険レベル情報提供部33以外に、危険レベル判定部12と、気象情報取得・保存部15と、交通情報取得・保存部34とを有する。気象情報取得・保存部15は、例えばネットワークを介して気象情報提供部20から提供される気象情報または気象予測情報を受信して、記憶装置に保存する。交通情報取得・保存部34は、路側交通情報送信部6から伝送される交通情報を受信して記憶装置に保存する。
【0045】
本実施形態では、車載器31に配置された危険レベル判定部12は、交通情報取得・保存部34に保存された高速道路の特定区間における速度と車頭間距離との関係を示す交通情報と共に、気象情報取得・保存部15に保存されたその地域の天候を示す気象情報又は気象予測情報を使用して道路上の危険レベルを判定する。危険レベル情報提供部33は、危険レベル判定部12から出力された危険レベル情報をモニタに表示し、かつスピーカから出力する(図10を参照)。
【0046】
図4は、本実施形態のシステムの変形例を示すものである。本変形例は、図4に示すように、車載器31の危険レベル判定部35は、当該車載器31の車両情報送信部32から車両の速度、加減速度、ハンドリング情報等の車両挙動情報を入力して、危険度の評価を行なう構成である。
【0047】
以上のように本実施形態のシステムであれば、道路交通管制センタ10は、各車両30に対して道路交通状況に関する交通情報のみを提供すればよい。各車両30はそれぞれ、気象情報あるいは気象予測情報を独自で受信し、車載器31に搭載された危険レベル判定部12,35より危険レベルを判定し、この判定結果を車載器31のモニタに表示する。従って、自動車30のユーザは、車載器31に実装された仕様に基づいて独自での道路上の危険度を評価できる。これにより、例えばユーザの自動車30における危険度の評価結果を取得することが可能となる。特に、気象情報あるいは気象予測情報については、公共あるいは民間の気象予測会社が複数存在し、それぞれが独自の気象情報を配信している。このため、本実施形態の車載器31であれば、ユーザの好みや目的に合致する気象情報を利用することが可能になる。従って、ユーザが最適な気象情報を利用することにより、より決め細やかで、正確な危険レベルの評価や予測、あるいは危険レベル情報の表示形態を実現することが可能となる。
【0048】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…ネットワーク、2…道路センサ、3…路側道路交通状況危険レベル情報提供部、
4…路側道路交通状況危険レベル情報伝送部(危険レベル情報伝送部)、
5…路側車両情報収集部、10…道路交通管制センタ、11…交通情報取得・保存部、
12…道路交通状況危険レベル判定部(危険レベル判定部)、
13…道路交通状況危険レベルモニタ(危険レベルモニタ)、
14…道路交通状況危険レベル送信部(危険レベル送信部)、
15…気象情報取得・保存部、20…気象情報提供部、
30…自動車(車両)、31…車載器、32…車両情報送信部、
33…道路交通状況危険レベル情報提供部(危険レベル情報提供部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定範囲の道路上の道路交通状況を示す道路交通状況情報を取得する交通情報取得手段と、
前記指定範囲の道路を含む地域の気象情報を取得する気象情報取得手段と、
前記道路交通状況情報と前記気象情報に基づいて、前記指定範囲の道路上での道路交通における危険レベルを判定する判定手段と、
前記判定手段により判定された危険レベルを示す危険レベル情報を提供する情報提供手段と
を具備したことを特徴とする道路交通情報提供システム。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記道路交通状況情報に含まれる平均速度と車頭間距離との関係を示す情報、及び前記気象情報に含まれる天候状態を示す情報に基づいて、前記危険レベルを判定することを特徴とする請求項1に記載の道路交通情報提供システム。
【請求項3】
前記判定手段は、
前記道路交通状況情報に含まれる平均速度と車両密度との関係を示す情報、及び前記気象情報に含まれる天候状態を示す情報に基づいて、前記危険レベルを判定することを特徴とする請求項1に記載の道路交通情報提供システム。
【請求項4】
前記情報提供手段は、
道路上を走行する車両に搭載された車載器に、前記危険レベル情報を伝送する手段を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の道路交通情報提供システム。
【請求項5】
前記情報提供手段は、
路側に設置された情報提供装置に、前記危険レベル情報を伝送する手段を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の道路交通情報提供システム。
【請求項6】
前記情報提供手段は、
前記危険レベル情報に基づいて、指定範囲の道路線図上に危険レベル毎の区間を区別する表示形態で、表示装置の画面上で表示する手段を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の道路交通情報提供システム。
【請求項7】
前記情報提供手段は、
前記表示画面上に前記危険レベル毎の区間を表示色で区別して表示できる情報を生成刷る手段を含むことを特徴とする請求項6に記載の道路交通情報提供システム。
【請求項8】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の道路交通情報提供システムにおいて、前記気象情報取得手段、前記判定手段、及び前記情報提供手段を含むことを特徴とする車載器。
【請求項9】
前記判定手段は、
自車両の車両挙動情報を取得して、当該車両挙動情報及び前記気象情報に基づいて前記危険レベルを判定する請求項8に記載の道路交通情報提供システム。
【請求項10】
前記交通情報取得手段は、
前記道路交通状況情報として、前記道路上の路側に設置された道路センサにより収集された情報及び前記道路上を走行する車両に搭載された車載器から送信された車両挙動情報を取得することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の道路交通情報提供システム。
【請求項11】
指定範囲の道路上の危険レベルを示す危険レベル情報を提供する道路交通情報提供方法であって、
前記指定範囲の道路上の道路交通状況を示す道路交通状況情報を取得する処理と、
前記指定範囲の道路を含む地域の気象情報を取得する処理と、
前記道路交通状況情報と前記気象情報に基づいて、前記指定範囲の道路上での道路交通における危険レベルを判定する処理と、
前記危険レベルを示す危険レベル情報を提供する処理と
を実行することを特徴とする道路交通情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−186940(P2011−186940A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53594(P2010−53594)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】