説明

道路交通情報提供システム及び方法

【課題】道路上を移動している車両に対して、することができる道路交通情報提供システムを実現することにある。
【解決手段】道路交通情報提供システム10は、道路上を走行する車両30に搭載された車載装置31との間で無線通信により情報の交換を行なう複数の路側装置20及びサーバ12を有する。サーバ12は、各路側装置20を介して収集した車両の移動速度に基づいて、配信する道路交通情報の伝送データを分割して各路側装置20に割り当てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路上を走行中の車両に対して道路交通情報を提供する道路交通情報提供システムのデータ伝送技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般道路や高速道路には、走行中の車両(自動車)に対して各種の道路交通情報を提供するための情報掲示板や標識などが設けられている。しかしながら、これらの情報掲示板や標識などは、天候や交通状況の影響により、走行中の車両のユーザ(利用者)には見難く、状況によって見落とすようなことがある。このため、道路の経路選択ミスや誤侵入が発生して、交通渋滞や交通事故が発生する要因ともなる可能性がある。
【0003】
近年、車両に搭載された車載装置(車載器)に対して、例えばDSRC(Dedicated Short Range Communication)方式の無線通信(以下、DSRC無線通信と表記する場合がある)を使用して、音声や画像を用いた道路交通情報を提供する道路交通情報提供システムの開発が推進されている。このようなシステムであれば、車載装置に接続された表示装置の画面上に道路交通情報が表示されるため、車両のユーザは、天候や交通状況の影響を受けることなく、道路交通情報を容易に確認することができる。
【0004】
ところで、道路交通情報提供システムでは、通信エリアが限定されているDSRC無線通信が利用されているため、路側装置(基地局に相当)から移動する車両に搭載されている車載装置に伝送できるデータ量は制限されている。特に、高速道路において、高速で移動する車両は、路側装置の通信エリアを短時間で通過するため、路側装置から必要な情報が伝送完了する前に、車載装置との無線通信が途絶えてしまう可能性が考えられる。
【0005】
このような問題点を解消できる先行技術として、端末局と基地局の路車間通信において、1つ目の基地局で送信できなかったデータを次以降の基地局で伝送することにより、大容量のデータ伝送を行なうことが可能となる無線通信システムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3760079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
先行技術の方法は、車両の移動速度が道路の法定速度であることが想定されている。このため、法定速度以上で走行している車両は、1つ目の基地局から完全なデータを受信する前に2つ目の基地局からのデータを受信開始する可能性がある。このような事態が発生すると、車両の車載装置では、最終的に提供された情報の中で、部分的なデータのみが再生されることになる。このため、ユーザには、内容が把握できない情報が提供されるため、混乱が生じて、交通渋滞や交通事故を引き起こす可能性がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、道路上を移動している車両に対して、道路交通情報を確実に提供することができる道路交通情報提供システムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の観点に従った道路交通情報提供システムは、道路の近傍に配置されて、道路上を走行する車両に搭載された車載装置との間で無線通信手段を使用して情報の交換を行なう複数の路側装置と、前記各路側装置を介して、前記車載装置から車両の移動速度情報を収集する手段と、道路交通情報を提供するための伝送データを作成する手段と、前記移動速度情報に基づいて前記伝送データを分割して、前記各路側装置に割り当てるデータ割り当て手段と、前記各路側装置を介して前記伝送データを前記車載装置に配信する配信手段とを備えた構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、道路上を移動している車両に対して、道路交通情報を確実に提供することができる道路交通情報提供システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に関する道路交通情報提供システムの構成を説明するためのブロック図。
【図2】本実施形態に関する道路交通情報提供システムの動作を説明するための図。
【図3】本実施形態に関する道路交通情報提供システムの動作を説明するためのフローチャート。
【図4】他の実施形態に関する道路交通情報提供システムの動作を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0013】
本実施形態の道路交通情報提供システムは、道路交通情報を提供するための伝送データを車両の移動速度に基づいて分割し、車両に搭載された車載装置に対してデータを伝送する複数の路側装置毎に割り当てる構成である。
【0014】
[システムの構成]
図1は、本実施形態の道路交通情報提供システムの要部を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の道路交通情報提供システム10は、例えば交通管制室11に配置されたサーバ12と、データベース(DB)13と、ハブ(HUB)14と、トラフィックカウンタ15と、カメラ16と、エンコーダ17と、データベース(DB)18と、複数の路側装置20とから構成されている。
【0016】
サーバ12は、システムのメインコントローラであり、後述する道路交通情報の配信処理を実行する。データベース13は、サーバ12により処理される道路交通情報などを蓄積する。ハブ14は、各路側装置20を接続するネットワーク19とサーバ12とを接続する集線装置である。
【0017】
トラフィックカウンタ15は、路側装置20と、後述する車両30の車載装置31との路車間通信(DSRC無線通信)により収集された車両30のID情報(ユーザ識別情報)を使用して、リアルタイムに交通量や移動速度をカウントしてサーバ12に出力する。なお、システム10は、センシング装置としてトラフィックカウンタ15以外に、風量計や雨量計などを有する。
【0018】
カメラ16は、道路の路側やビルなどに設置されており、道路上の交通状況を撮影した映像を出力する。エンコーダ17は、カメラ16により撮影された映像をエンコードする。データベース18は、エンコーダ17によりエンコードされた映像情報を蓄積する。
【0019】
各路側装置20は、道路に一定の間隔で設置されており、車両30に搭載された無線装置32との間でDSRC無線通信による双方向無線通信を行なうための無線通信機、及びサーバ12から伝送される伝送データを受信してバッファするバッファメモリなどを有する一種の基地局である。
【0020】
車両30は、DSRC無線通信により各路側装置20と車載装置31との路車間通信(双方向無線通信)を行なうための無線装置32を有する。車載装置31は、専用車載器やカーナビゲーション装置に含まれる道路交通情報の受信装置である。車載装置31は、受信した伝送データを保存するメモリ、及び伝送データを再生して画面上に表示する表示装置を内蔵している。
【0021】
(システムの動作)
以下、図2及び図3のフローチャートを参照して、本実施形態の道路交通情報提供システム10の動作を説明する。
【0022】
本実施形態では、図2に示すように、例えば高速道路などの道路において、一定間隔で第1の路側装置20Aから第4の路側装置20Dが配置されている。各路側装置20A〜20Dはそれぞれ、例えば30m範囲の通信エリアを有し、走行中の車両30の車載装置31との間でDSRC無線通信により情報の交換を行なう。
【0023】
図3に示すように、サーバ12は、トラフィックカウンタ15やカメラ16などを使用して、道路交通情報を収集し、データベース13に蓄積する(ステップS1)。道路交通情報は、図2に示す道路に繋がっている交差点や、カメラ16が設置されているパーキングエリアなどの交通状況(交通渋滞や駐車状況などを含む)を示す情報である。サーバ12は、データベース13に蓄積された情報に基づいて、走行中の車両30に提供する情報、特に音声情報を含む動画情報からなる道路交通情報を作成し、データベース13に蓄積する。
【0024】
一方、図2に示すように、各路側装置20A〜20Dは、道路上を走行する車両30に搭載された車載装置31からDSRC無線通信により移動速度を収集して、サーバ11に伝送する(ステップS2)。サーバ11は、収集された移動速度情報に基づいて、ある範囲の道路上を走行する車両30に対して、伝送可能なデータ量を算出する(ステップS3)。具体的には、サーバ11は、道路上を走行する車両30の平均移動速度を算出し、これを移動速度情報として使用する。
【0025】
サーバ12は、図2に示すように、算出された伝送可能データ量の動画情報120を道路交通情報として作成する。本実施形態では、動画情報120は、便宜的にIピクチャからなるIフレーム及びそれ以外のピクチャからなる複数のフレームP1〜P12から構成されており、例えば5分程度の映像である。
【0026】
さらに、サーバ12は、移動車両30に提供する動画情報120を、特定の通信エリア毎に伝送する伝送データに分割する処理を実行する(ステップS4)。即ち、特定の通信エリアとは、各路側装置20A〜20Dの通信エリア(例えば30m範囲程度)に相当する。サーバ12は、分割した伝送データを各路側装置20A〜20Dに割り当てるデータ割り当て処理を実行する(ステップS5)。ここで、サーバ12は、算出した車両30の移動速度情報に基づいて、相対的に高速度で車両30が移動している場合には車両30が各通信エリアを追加する時間が短時間となるため、伝送データの分割数を増大させる。従って、割り当てる路側装置20の数も増大する。
【0027】
サーバ12は、分割した伝送データを割り当てた各路側装置20A〜20Cのそれぞれにハブ14を介して伝送する。これに応じて、各路側装置20A〜20Cは、図2に示すように、割り当てられた伝送データを、走行中の車両30に配信する(ステップS6)。なお、路側装置20Dは、便宜的に予備として伝送データの割り当て対象から外される。
【0028】
一方、道路を走行中の車両30は、車載装置31が各路側装置20A〜20Cの通信エリアを走行しているときに、配信された伝送データを受信して内部のメモリに格納する(ステップS7)。具体的には、図2に示すように、車載装置31は、路側装置20Aから動画情報120に含まれるIフレーム及びフレームP1,P2からなる伝送データを受信して、メモリに格納する(310A)。同様に、車載装置31は、路側装置20BからフレームP3〜P7からなる伝送データを受信して、メモリに格納する。このとき、車載装置31のメモリには、Iフレーム及びフレームP1〜P7からなる伝送データが格納された状態となる(310B)。
【0029】
さらに、車載装置31は、路側装置20CからフレームP8〜P12からなる伝送データを受信して、メモリに格納する。従って、車両30が路側装置20Cの通信エリアを走行しているときに、車載装置31のメモリには、サーバ12が提供する動画情報120の全伝送データが格納された状態となる(310C)。
【0030】
車載装置31は、各路側装置20A〜20Cから伝送データを受信したときに、受信確認信号(ACK)を送信する。サーバ12は、各路側装置20A〜20Cから転送されるACKに基づいて、走行中の車両30が動画情報120の全伝送データを受信完了したか否かを判定する(ステップS8)。
【0031】
車載装置31は、動画情報120の全伝送データを受信完了したときに、例えば表示装置の画面上にその旨を表示する。車載装置31は、ユーザからの操作に応じて、メモリに格納された全伝送データの表示処理を実行することにより、画面上に動画情報120を再生して表示する(ステップS9)。なお、車載装置31は、伝送データに含まれる制御データに基づいて受信完了したか否かを判定する。
【0032】
以上のように本実施形態の道路交通情報提供システムであれば、動画情報などの伝送データ量が大きい道路交通情報を、DSRC無線通信を利用して、走行中の車両に配信することができる。この場合、相対的に高速度で走行している車両に対しても、各路側装置の割り当てる伝送データの分割数を増大させることにより、画質やフレームレートを低下させることなく、動画情報などを含む道路交通情報を車両に配信することができる。従って、走行する車両の移動速度に影響されることなく、動画や音声などのデータ量が大きく、再生したときにユーザに見やすく、聞き取りやすい道路交通情報を確実に提供することができる。これにより、車両の車載装置では、提供された情報を完全に再生表示することが可能となり、内容が把握できない情報のために交通渋滞や交通事故を引き起こすような事態を回避できる。
【0033】
また、相対的に車両が低速度で走行している場合には、伝送データの分割数を減少させることにより、割り当てる路側装置の数を相対的に減少できる。これにより、割り当てる路側装置が固定的に決定されている場合と比較して、路側装置に必要な消費電力の節約となる。また、本実施形態では、割り当てから外した路側装置20Dを予備として設定することにより、例えば、路側装置20Cからの伝送データの配信に障害が起きた場合に、サーバ12は予備の路側装置20Dを介して伝送データの配信を代替させることが可能となる。
【0034】
なお、本実施形態では、路車間通信としては、DSRC無線通信を利用する場合について説明したが、これに限ることなく、通信エリアは限定されているが、双方向の無線通信が可能であれば他の方式の無線通信方式でもよい。また、各路側装置を管理する管理サーバが設けられる構成でもよい。管理サーバは、路側装置毎にデータの配信完了を確認する機能を有する。
【0035】
(応用例)
一般的に、車載装置31は、受信した伝送データを再生表示した後に、メモリの格納された伝送データを消去する。本実施形態の応用例として、サーバ12は、各路側装置20を介して車載装置31に対してメモリに格納された伝送データを消去すること指示する信号を伝送する機能を有する。このような機能があれば、提供する道路交通情報の更新が必要になった場合に、車載装置31で再生される前に、配信した道路交通情報を消去することが望ましい場合に有効である。これにより、更新前の不適切な道路交通情報の表示を未然に防止し、ユーザの混乱を回避することができる。
【0036】
さらに、サーバ12は、道路交通情報の評価機能を有し、ユーザからのフィードバックに応じて作成した道路交通情報の定量的評価(例えば、Double Stimulus Impairment Scale:DSIS方法を使用する)を実行し、最終的に提供する道路交通情報の内容を決定する。
【0037】
具体的には、サーバ12は、各路側装置20を介して車載装置31に対して、様々なシチュエーションの道路交通情報を作成して配信する。サーバ12は、各路側装置20を介して車載装置31からユーザの主観的な評価結果を受信し、この主観的な評価結果に定量評価値を求める。サーバ12は、定量評価値に基づいて、例えばフレームレートやビットレートに応じてユーザ側に見やすい動画情報などを含む最終的に提供する道路交通情報の内容を決定できる。
【0038】
また、本実施形態の応用例として、サーバ12は、トラフィックカウンタ15から交通量情報に基づいて、道路上の車両の移動速度(平均速度)が遅く、交通渋滞が発生していると判定した場合には、交通渋滞に関する道路交通情報を提供する。また逆に、道路上の車両の移動速度が速い場合には、接触事故などが発生しやすい状態であるので、交通事故を回避するためのカーブなどの位置を示す道路交通情報を提供する。
【0039】
本実施形態では、サーバ12は、作成した道路交通情報を、一般車両向けに提供する。応用例として、サーバ12は、各路側装置20を介する路車間通信の送信チャンネルを切り替えて、パトロールカーなどの特別車両向けに個別の道路交通情報を提供するマルチ情報提供機能を有する構成である。具体的には、サーバ12は、例えば、高速道路上で交通事故や災害が発生した場合に、その現場の映像や作業指示情報を取得し、パトロールカーなどの特別車両向けに提供する。これにより、交通事故や災害の発生時に、復旧作業をサポートできる情報を関係者に提供することが可能となる。
【0040】
本実施形態では、各路側装置は、道路上を走行する車両の車載装置からDSRC無線通信により移動速度を収集する。応用例として、各路側装置は、車載装置から車両の目的地情報(ユーザID情報も含む)を収集する。この目的地情報は、ユーザが車載装置に入力する。サーバ12は、当該目的地情報を考慮した道路交通情報を個別に作成し、ユーザID情報の車載装置向けに配信する。具体的には、個別の道路交通情報としては、目的地までのインターチェンジの交通状況(交通渋滞の状態など)や、高速道路から一般道路に移行する場合の一般道路の交通状況などである。
【0041】
また、当該応用例の変形例として、各路側装置は、車載装置からユーザのリクエスト情報(ユーザID情報も含む)を収集してもよい。サーバ12は、当該リクエスト情報を考慮した道路交通情報を個別に作成し、ユーザID情報の車載装置向けに配信する。リクエスト情報としては、例えば目的地の天候状況などである。
【0042】
[他の実施形態]
図4は、他の実施形態に関する道路交通情報提供システム10の動作を説明するためのフローチャートである。なお、道路交通情報提供システム10の構成は、図1に示すものと同様のため、説明を省略する。また、道路交通情報提供システム10の動作として、図3のフローチャートに示すステップS1〜S5までの処理は同様であるため、説明を省略する。以下、図4を参照して、具体的に本実施形態における道路交通情報提供システム10の動作を説明する。
【0043】
各路側装置20A〜20Cは、図2に示すように、割り当てられた伝送データを、走行中の車両30に配信する(ステップS11)。サーバ12は、各路側装置20A〜20Cから転送されるACKに基づいて、走行中の車両30が動画情報120の全伝送データを受信完了したか否かを判定する(ステップS12)。
【0044】
本実施形態では、車載装置31が動画情報120の全伝送データを受信完了したと判定された場合に、サーバ12は、路側装置20A〜20Cを介して道路交通情報の再生指示を車載装置31に送信する(ステップS12のYES,S13)。これにより、車載装置31は、サーバ12により指示された再生タイミングに応じて、メモリに格納された全伝送データを再生して表示する処理を実行し、画面上に動画情報120を表示する(ステップS14)。
【0045】
一方、サーバ12は、路側装置20Cからの配信処理後でも、全伝送データの受信が完了しない状態で、かつ前述の移動速度情報に基づいて車両が高速走行中の場合には、車載装置31が受信した伝送データ量が許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS12のNO,S15のYES,S16)。即ち、サーバ12は、高速走行中の車両が、当初予定している通信エリアでの道路交通情報の全伝送データを受信完了できない場合を想定する。サーバ12は、再生指示を車載装置31に送信することを中止し、例えば予備の路側装置20Dを介して伝送データの配信を代替させる処理に移行する(ステップS16のNO)。
【0046】
一方、サーバ12は、車載装置31が受信した伝送データ量が許容範囲内であると判定すると、道路交通情報の再生指示を車載装置31に送信する(ステップS16のYES,S13)。これにより、車載装置31は、サーバ12により指示された再生タイミングに応じて、全伝送データではなく、メモリに格納された伝送データを再生して表示する処理を実行し、画面上に動画情報120の部分情報を表示する(ステップS14)。
【0047】
本実施形態のシステムであれば、高速走行中の車両の車載装置は、提供される道路交通情報の全伝送データを受信できず、部分的な伝送データのみしか受信できない状態になる可能性がある。このような場合に、車載装置に対して再生タイミングの指示の伝送を停止することにより、車載装置は、不完全な動画情報を再生して表示する処理を未然に回避できる。従って、高速走行中の車両のユーザは、不完全な動画情報を画面上で見て、誤解や混乱を招くような事態を回避できる。
【0048】
一方、伝送データ量が許容範囲内であると判定された場合には、全伝送データを受信できない状態でも、高速走行中の車両のユーザは、提供された動画情報の部分的情報を確認できる。この場合、高速走行中の車両のユーザは、不完全な動画情報ではあるが、誤解や混乱を招くことなく、道路交通状況を把握できる程度の動画情報を確認できる。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…道路交通情報提供システム、11…交通管制室、12…サーバ、
13…データベース(DB)、14…ハブ(HUB)、15…トラフィックカウンタ、
16…カメラ、17…エンコーダ、18…データベース(DB)、
19…ネットワーク、20、20A〜20D…路側装置、30…車両、
31…車載装置、32…無線装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の近傍に配置されて、道路上を走行する車両に搭載された車載装置との間で無線通信手段を使用して情報の交換を行なう複数の路側装置と、
前記各路側装置を介して、前記車載装置から車両の移動速度情報を収集する手段と、
道路交通情報を提供するための伝送データを作成する手段と、
前記移動速度情報に基づいて前記伝送データを分割して、前記各路側装置に割り当てるデータ割り当て手段と、
前記各路側装置を介して前記伝送データを前記車載装置に配信する配信手段と
を具備したことを特徴とする道路交通情報提供システム。
【請求項2】
前記データ割り当て手段は、
前記移動速度情報に基づいて前記車両の移動速度が高速である場合、相対的に前記伝送データの分割数を増大し、この分割数に応じた割り当て対象となる路側装置を設定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の道路交通情報提供システム。
【請求項3】
前記各路側装置を介して、前記車載装置から前記伝送データの受信完了を受け付ける手段と、
前記伝送データの全ての受信完了を受け付けた後に、前記路側装置を介して前記車載装置に対して前記道路交通情報の表示開始タイミングを示す信号を送信する手段と
を含むことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の道路交通情報提供システム。
【請求項4】
前記車載装置のメモリに格納されている前記伝送データを消去するための信号を送信する消去手段を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の道路交通情報提供システム。
【請求項5】
前記各路側装置を介して前記車載装置から収集した識別情報を使用して、前記道路上の走行車両数をカウントし、交通量を算出する手段を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の道路交通情報提供システム。
【請求項6】
前記算出された交通量に基づいて、前記路側装置を介して提供する道路交通情報の内容を決定する手段を含むことを特徴とする請求項5に記載の道路交通情報提供システム。
【請求項7】
前記各路側装置は切り替え可能な複数の送信チャネルを有し、
前記道路交通情報として一般車両向け用情報と特別車両向け用情報のそれぞれに対応する伝送データを作成する手段と、
前記送信チャネルを切り替えて、前記一般車両向け用情報に対応する伝送データを一般車両の車載装置に配信し、前記特別車両向け用情報に対応する伝送データを特別車両の車載器に配信する手段と
を有することを特徴とする請求項1に記載の道路交通情報提供システム。
【請求項8】
前記各路側装置を介して、前記車載装置から車両の識別情報と目的地情報を収集する手段と、
前記目的地情報で指定された道路の道路交通情報を提供するための個別伝送データを作成する手段と、
前記識別情報で指定された前記車載装置に対して前記個別伝送データを配信する手段と
を有することを特徴とする請求項1に記載の道路交通情報提供システム。
【請求項9】
前記各路側装置を介して、前記車載装置から識別情報及び要求情報を収集する手段と、
前記要求情報に応じた道路交通情報を提供するための応答用伝送データを作成する手段と、
前記識別情報で指定された前記車載装置に対して前記応答用伝送データを配信する手段と
を有することを特徴とする請求項1に記載の道路交通情報提供システム。
【請求項10】
道路の近傍に配置されて、道路上を走行する車両に搭載された車載装置との間で無線通信手段を使用して情報の交換を行なう複数の路側装置と、
前記各路側装置を介して道路交通情報を提供するサーバとを有し、
前記サーバは、
前記各路側装置を介して、前記車載装置から車両の移動速度情報を収集する手段と、
道路交通情報を提供するための伝送データを作成する手段と、
前記移動速度情報に基づいて前記伝送データを分割して、前記各路側装置に割り当てるデータ割り当て手段と、
前記各路側装置を介して前記伝送データを前記車載装置に配信する配信手段と
を含むことを特徴とする道路交通情報提供システム。
【請求項11】
道路の近傍に配置されて、道路上を走行する車両に搭載された車載装置との間で無線通信手段を使用して情報の交換を行なう複数の路側装置を有する道路交通情報提供システムに適用する道路交通情報の伝送方法であって、
前記各路側装置を介して、前記車載装置から車両の移動速度情報を収集する処理と、
道路交通情報を提供するための伝送データを作成する処理と、
前記移動速度情報に基づいて前記伝送データを分割して、前記各路側装置に割り当てる処理と、
前記各路側装置を介して前記伝送データを前記車載装置に配信する処理と
を実行することを特徴とする道路交通情報の伝送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−191923(P2011−191923A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56380(P2010−56380)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】